JP2004294618A - 位相シフトマスク用ブランク及び位相シフトマスク及びそれを用いたパターン転写法 - Google Patents

位相シフトマスク用ブランク及び位相シフトマスク及びそれを用いたパターン転写法 Download PDF

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Abstract

【課題】基板掘り込み法による掘り込み部側壁のアンダーカットを無くすと同時に、隣接パターン開口部には位相効果とともに透過光の光強度調整層としての役割も担う半透明性膜がより安定化し、低欠陥化が可能な、両開口部における露光光透過率の均一性向上を実現するパターン転写法を提供する。
【解決手段】透明性基板上に形成される遮光膜パターンの開口部において、互いに隣接する該開口部のうち一方の開口部には、透明性基板掘り込み部を有し、もう一方の開口部には半透明性膜パターンが形成され、そのうち該透明性基板掘り込み部の側壁は遮光膜パターン直下に形成された構造であり、前記透明性基板掘り込み部と前記半透明性膜パターンはそれぞれ、双方の透過光位相差が180°になるような深さ及び膜厚を有する位相シフトマスク及びそれを用いたパターン転写法。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体製造プロセス中のフォトリソグラフィ工程で使用される露光転写用のフォトマスク及びこれを製造するためのフォトマスクブランクに係るものであり、特にレベンソン型と呼ばれる位相シフトマスクまたはそれを製造するための位相シフトマスクブランク及びその位相シフトマスクを用いたパターン転写法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ここ数年の半導体デバイスの急激な微細化に伴い、Siウエハ上にマスクパターンを転写するリソグラフィ技術も同時に進歩を遂げてきた。縮小投影露光装置(ステッパー)は解像性を向上させるために、i線(波長365nm)以降ではKrFエキシマレーザー(波長248nm),ArFエキシマレーザー(波長193nm)といった遠紫外線領域、さらにはF2レーザー(波長157nm)の真空紫外線領域へと、短波長化の一途を辿っている。
【0003】
一方、位相シフト法はリソグラフィ技術における解像度向上技術の1つであるが、露光源を変えずに微細化を行う一手法であり開発が盛んに行われている。これはマスク上の隣接する光透過部に部分的に180度なる位相シフト量をもたらすことで、回折により境界領域にて重複する透過光が干渉し互いに弱めあう為、結果として転写パターンの解像度が向上し、焦点深度を深くするというものである。
【0004】
上記のような位相シフト法のうちとりわけ解像度向上効果の高い手法にレベンソン型位相シフト法がある。この手法では従来のマスク基板をそのまま利用して位相シフトマスクを作る方法、すなわち図3に示すように、マスク基板を部分的に半波長掘り込むことで位相シフト部を作る基板掘り込み方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
その他に、図4に示すように、パターニングされた遮光膜の上に位相シフト部を形成する、いわゆるシフタ上置き方法がある。
【0006】
更に、図5に示すように、パターニングされた位相シフト膜パターンの上に遮光膜パターンを形成する、いわゆるシフタ下置き方法が知られている。以後、シフタ上置き方法とシフタ下置き方法を総じてシフタ膜方法と称する。
【0007】
このうちまず、基板掘り込み方法では、基板を掘り込んだ位相シフト部と掘り込まない非位相シフト部で光強度分布に差を生じることにより、ウエハー上への転写パターンサイズの均一性が損なわれる傾向となる。この光強度分布の差は、基板掘り込み部側壁から斜方へ入射する透過光と0次光が干渉することにより、基板掘り込み部透過光の光強度が弱められることによるものである。この為、基板掘り込み方法により位相シフト部を形成するレベンソン型位相シフトマスクでは、図6に示すように、基板掘り込み部1a側壁に等方的エッチングによるアンダーカット部を設け、斜方入射光の影響を阻止することにより光強度分布の均一性をはかる手法がとられている(非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開昭62−189468号公報
【非特許文献1】
1996年春季応用物理学会予稿集、27p−Zw−12
【非特許文献2】
K.Chiba etal,BACUS,Symposium2001−4562−46
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、この手法では等方的エッチングで形成したアンダーカット部の空間を検査しにくく、遮光膜下の空間に生じた欠陥の修正が困難であることや、洗浄の工程にてアンダーカット部上の遮光膜が破損し、パーティクル発生の原因となりやすいとし、より根本的には加速される微細化によりこのようなアンダーカット部を形成すること自体が難しくなるという問題がある。
【0010】
次に、シフタ膜方法によるレベンソン型位相シフトマスクでは、シフター材として基板と屈折率が近くて露光光に対して透過率の高い材料が選ばれるが、通常塗布ガラスであるSOG膜やスパッタによるSiO成膜が行われる。
【0011】
しかし、SOG膜では化学的安定性不足、更には短波長域での対応が難しく、さらにスパッタによるSiO成膜については、成膜欠陥の増大を避けられないといった問題がある。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、基板掘り込み法による掘り込み部側壁のアンダーカットの必要を無くすと同時に、隣接パターン開口部には位相効果とともに透過光の光強度調整層としての役割も担う半透明性膜がSOG膜やSiO膜よりも安定化、低欠陥化が可能な金属シリサイドの膜により構成され、両開口部における露光光透過率の均一性向上を実現する方式を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために以下のように構成されている。本発明の請求項1に係る発明は、透明性基板上に形成される遮光膜パターンの開口部において、遮光膜パターンの互いに隣接する該開口部のうち一方の開口部には、透明性基板掘り込み部を有し、もう一方の開口部には半透明性膜パターンが形成され、そのうち該透明性基板掘り込み部の側壁は遮光膜パターン直下に形成された構造であることを特徴とする位相シフトマスクである。
【0014】
本発明の請求項2に係る発明は、前記半透明性膜パターンは金属シリサイドもしくはその化合物からなる薄膜で形成され、前記透明性基板掘り込み部と前記半透明性膜パターンはそれぞれ、双方の透過光位相差が180°になるような深さ、ならびに膜厚を有することを特徴とする請求項1記載の位相シフトマスクである。
【0015】
本発明の請求項3に係る発明は、前記半透明性膜パターンは、酸化物もしくは酸窒化物の金属シリサイド薄膜であることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載の位相シフトマスクである。
【0016】
本発明の請求項4に係る発明は、前記透明性基板掘り込み部及び前記半透明性膜パターン部の露光光透過率が等しく、その露光光透過率は半透明性膜がない場合に比べて小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の位相シフトマスクである。
【0017】
本発明の請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の位相シフトマスクを作製するために用いられることを特徴とする位相シフトマスク用ブランクである。
【0018】
本発明の請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の位相シフトマスクを露光装置に設置し、当該マスクを用いたリソグラフィー法による露光転写を行ない、パターン形成を行なうことを特徴とするパターン転写法である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面に従って本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施例に関するレベンソン型位相シフトマスクの構造を示す断面図で、(a)は、上シフター法によるレベンソン型位相シフトマスクで、(b)は、下シフター法によるレベンソン型位相シフトマスクで、(c)は、下シフター法によるレベンソン型位相シフトマスクの作製に用いるブランクの構造を示す断面図である。
【0021】
本発明は透明性基板の掘り込み方式による位相シフトマスクに関するものであるが、図1に示すように、掘り込み部1aには従来のマスク構造(図6参照)にみられるようなアンダーカットをもたない構成としたものである。これにより、アンダーカット部を有する従来マスクに比べ、遮光膜パターン2a下の空間における検査や欠陥修正が容易になる他、洗浄の工程にてアンダーカット部上の遮光膜が破損し、パーティクルの発生を生じるといった問題を避けることが可能である。
【0022】
但し、掘り込み部1aのアンダーカットを無くすことにより、この部分の露光光透過率は、隣接する非掘り込み部の透過光強度に比べ低下するので露光光透過率のアンバランスを生じる。この為、更に本発明では非掘り込み部に半透明性膜パターン4aを形成することにより、光強度におけるアンバランスを補正する構成としたものである。
【0023】
つまり、図1(a)に示すように、透明性基板1の掘り込み部1aにおける露光光透過率をT1、これに隣接する非掘り込み部の露光光透過率をT2とすると、まずT1は掘り込み部1aの掘り込み深さd1によって決まる。従って、この掘り込み部1aに隣接する非掘り込み部にはT1=T2を満足するように半透明性膜パターン4aを形成する。
【0024】
ここで、透明性基板1の掘り込み部における掘り込み量d1と半透明性膜4の成膜厚d2との関係について説明する。位相シフト効果を得るためには図1で、掘り込み部1aおよび半透明性膜パターン4a部の両遮光膜パターン開口部を透過する光の位相差をφとすると、これが180°であればよいから、d1とd2の関係は下記式にて定まる。
φ=π=(2π/λ)[(n1−1)d1+(n2ー1)d2]
d2=[1/(n2ー1)] [(λ/2)−(n1−1)d1] ―――▲1▼
λ :露光波長
n1:透明性基板1の屈折率
n2:半透明性膜4の屈折率
【0025】
上記のように掘り込み部における掘り込み深さd1によって露光光(マスク)透過率がT1=T2(=T)と決まるので、これに隣接する非掘り込み部には露光光透過率Tを有すると同時に、位相差に関する▲1▼式の関係を満足するような屈折率n2、消衰係数k及び膜厚d2を有する半透明性膜を形成する。この半透明性膜の設計は、いわゆるハーフトーン型位相シフトマスクにおいてマスク透過率Tなるシフター膜を設計する工程と全く同様に行うことができる。このように本発明によれば掘り込み部の掘り込み量d1と半透明性膜4の成膜厚d2を調整することにより、最も高い位相シフト効果の得られる露光光透過率の設定が可能である。
【0026】
図1(b)は、下シフター法によるレベンソン型位相シフトマスクで、透明性基板(1)上に半透明性膜パターン(4a)と遮光膜パターン(2a)が形成されている。図1(c)は、下シフター法によるレベンソン型の位相シフトマスク用ブランクであり、透明性基板(1)上に半透明性膜(4)と遮光膜(2)が形成されている。
【0027】
本発明によるフォトマスクを用いたパターン転写方法は、例えば、先ず被加工層を表面に形成した基板上にフォトレジスト層を設けたのち、本発明による位相シフトマスクを介して該フォトレジスト層に、KrFエキシマレーザー光、ArFエキシマレーザー光,F2レーザーなどを選択的に照射する。次いで、現像工程において不必要な部分のフォトレジスト層を除去し、基板上にエッチングレジスト層のパターンを形成させたのち、このエッチングレジスト層のパターンをマスクとして被加工層をエッチング処理し、次いで、エッチングレジスト層のパターンを除去することにより、フォトマスクパターンに忠実なパターンを基板上に転写する方法である。
【0028】
【実施例】
本発明の一実施例について述べる。図2(a)〜(d)は、本発明の一実施例に関するレベンソン型位相シフトマスクの製造工程を示す側断面図である。
【0029】
〈実施例1〉
まず図2(a)は、透明性基板上に形成されたCr膜による遮光膜パターン2aの上に半透明性膜4が成膜され、さらに電子線レジスト3が塗布された状態を示すものである。半透明性膜4にはスパッタリング成膜によりO雰囲気下にて作製したジリコニウムシリサイド膜を用いた。この他、半透明性膜4を形成する金属の種類としてはZr以外にMo、Ta、W、Hfなどから選ぶことも可能である。
【0030】
また、この半透明性膜4については、隣接する開口掘り込み部における透過光との干渉による充分な位相シフト効果を得る為にできるだけ透明性基板1に近い透過率が求められる。この為、半透明性膜4は金属シリサイドの酸化膜、もしくは酸窒化膜とするのがよく、膜中において金属の占める割合は10%程度以下とするのが適当である。
【0031】
このように、半透明性膜4をスパッタリングにより成膜する場合、金属シリサイドの化合物ターゲットを用いて行うので、SiターゲットのスパッタによりSiOシフター膜の成膜を行う従来の方法に比べて、成膜ターゲットにおける電荷蓄積はおこりにくい。この為、異常放電の発生が緩和されるので、成膜欠陥の低減に効果的である。
【0032】
尚、Cr膜の膜厚は約1000Åで、電子線レジスト3の塗布膜厚は約5000Åである。これに電子線描画を行い、現像によりレジストのパターン3aを得る(図2(b)参照)。レジストの塗布膜厚としては、その後の現像を経たレジスト残膜が透明性基板のドライエッチングに耐え得るものでなければならないから、上記膜厚が適当である。
【0033】
その後、レジストパターン3aとCr膜パターン2aをマスクとして、ジリコニウムシリサイド膜にて形成した半透明性膜4並びに透明性基板1のドライエッチングを行い図2(c)を得る。ドライエッチングガスにはCなどのフッ素系ガスを用いるが、Cr膜は塩素系のガスによってエッチングされやすいので、選択比の高いドライエッチングが行える為、この工程におけるCr膜パターン2aへの影響はほとんど生じない。その後、レジストを剥離して図2(d)に示す本発明のレベンソン型位相シフトマスクを得る。
【0034】
このようにして得られた図2(d)に示す構成のレベンソン型位相シフトマスクを用いた波長193nmの露光光における隣接パターン開口部の透過率並びに位相差の測定を行った。その結果、まず透過率は掘り込み開口部で92.5%、半透明性膜パターン開口部4aにて91.3%と両方の隣接開口部透過光の透過率はほぼ一致した。また、位相差は178.5°であり、良好な位相シフト効果の得られるレベンソン型位相シフトマスクを作製することができた。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のレベンソン型位相シフトマスクによれば、透明性基板の掘り込み部におけるアンダーカットを無くすことにより、洗浄や修正の工程が容易になる他、今後のパターン微細化にも対応が可能となる。更に、掘り込み部に隣接する開口部へ半透明性膜パターンを転写欠陥の低減にも効果的な金属を含むシリサイド膜で形成することにより、開口部の露光光透過率の均一性が向上し、良好な位相シフト効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に関するレベンソン型位相シフトマスクの構造を示す側断面図であり、(a)は、上シフター法によるレベンソン型位相シフトマスク、(b)は、下シフター法によるレベンソン型位相シフトマスク、(c)は、下シフター法によるレベンソン型位相シフトマスクの作製に用いるブランクである。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の一実施例に関するレベンソン型位相シフトマスクの製造工程を示す側断面図である。
【図3】従来の基板掘り込み法によるレベンソン型位相シフトマスクの構造を示す側断面図である。
【図4】従来のシフター上置き法によるレベンソン型位相シフトマスクの構造を示す側断面図である。
【図5】従来のシフター下置き法によるレベンソン型位相シフトマスクの構造を示す側断面図である。
【図6】従来のアンダーカットを有する基板掘り込み法によるレベンソン型位相シフトマスクの構造を示す側断面図である。
【符号の説明】
1…透明性基板
1a…透明性基板堀り込み部
2…遮光膜
2a…遮光膜パターン
3…電子線レジスト
3a…電子線レジストパターン
4…半透明性膜
4a…半透明性膜パターン
5a…位相シフト膜パターン
d1…基板掘り込み深さ
d2…半透明性膜の厚さ

Claims (6)

  1. 透明性基板上に形成される遮光膜パターンの開口部において、遮光膜パターンの互いに隣接する該開口部のうち一方の開口部には、透明性基板掘り込み部を有し、もう一方の開口部には半透明性膜パターンが形成され、そのうち該透明性基板掘り込み部の側壁が遮光膜パターン直下に垂直に形成された構造であることを特徴とする位相シフトマスク。
  2. 前記半透明性膜パターンは金属シリサイドもしくはその化合物からなる薄膜で形成され、前記透明性基板掘り込み部と前記半透明性膜パターンはそれぞれ、双方の透過光位相差が180°になるような深さ、ならびに膜厚を有することを特徴とする請求項1記載の位相シフトマスク。
  3. 前記半透明性膜パターンは、酸化物もしくは酸窒化物の金属シリサイド薄膜であることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載の位相シフトマスク。
  4. 前記透明性基板掘り込み部及び前記半透明性膜パターン部の露光光透過率が等しく、その露光光透過率は半透明性膜がない場合に比べて小さいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の位相シフトマスク。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の位相シフトマスクを作製するために用いられることを特徴とする位相シフトマスク用ブランク。
  6. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の位相シフトマスクを露光装置に設置し、当該マスクを用いたリソグラフィー法による露光転写を行ない、パターン形成を行なうことを特徴とするパターン転写法。
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