JP2004293814A - 冷却貯蔵庫 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】除霜水を受けて溜める蒸発皿20の下面には、圧縮機11の吐出側から引き出された蒸発皿パイプ22が密着して配管され、冷却運転時に蒸発皿パイプ22に高温のガス冷媒が流通して加熱されることで、除霜水が蒸発排出されるようになっている。圧縮機11の吐出口11Aから蒸発皿20に至る吐出管17の途中に立ち上がり部25が形成され、その頂点25Aはスパイラルコンデンサ12並びに冷却器15よりも高い位置にある。除霜工程において、除霜水により蒸発皿パイプ22が急激に冷却されることに起因して液冷媒が集まり、仮に全ての冷媒が液冷媒となって蒸発皿パイプ22から溢れたとしても、立ち上がり部25、スパイラルコンデンサ12さらには冷却器15にわたって溜められて、圧縮機11の吐出口11A側に液冷媒が戻ることが確実に防がれる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、除霜水の蒸発排出機能を備えた冷却貯蔵庫に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の除霜水の蒸発排出機能を備えた冷却貯蔵庫の一例として、特許文献1に記載されたものが知られている。
このものは、図7に示すように、圧縮機1、スパイラルコンデンサ2(凝縮器)、キャピラリチューブ3及び冷却器4(蒸発器)とが冷媒配管5で循環接続されて周知の冷凍サイクルが構成されているとともに、冷却器4等からの除霜水を受けて溜める蒸発皿6が設けられて、その下面に圧縮機1からの吐出管が密着して配管されており、特に、圧縮機1の上方に、蒸発皿6とスパイラルコンデンサ2とが順次に配された縦積み構造とされて機械室内に設置されている。
そして除霜を行う際には、冷凍サイクル(圧縮機1)がオフとされることで、冷却器4等に付着した霜が溶けて除霜水として蒸発皿6に受けられ、除霜が終了して冷凍サイクルが駆動されることで冷却運転が再開されると、圧縮機1から高温の冷媒ガスが吐出されてその熱で蒸発皿6ひいては溜められた除霜水が加熱され、これにより除霜水が蒸発して排出されるようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−350035公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで除霜工程の際、除霜水が蒸発皿6に滴下すると、蒸発皿6の下面に配された吐出管(蒸発皿パイプ5A)が急激に冷却される。そうすると、この蒸発皿パイプ5Aの部分が冷凍回路中で最も低温、低圧となることで、冷媒が蒸発皿パイプ5Aに集まる傾向となり、周囲条件等も作用して多量の液冷媒が集まって蒸発皿パイプ5Aの収容量を超えると、液冷媒が圧縮機1の吐出側に溢れ出す結果となる。
そうすると、例えば図8に示すように、液冷媒Xによりシリンダヘッド7内のガス冷媒が冷やされて液化し、液圧縮や、液封状態の圧縮現象を呈し、異常音を発生させたり、圧縮機1の故障に繋がるおそれがあった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、圧縮機の吐出側へ液冷媒が戻ることを防止するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、圧縮機の吐出口の上方には冷却器等からの除霜水を溜める蒸発皿が設けられて、この蒸発皿に前記圧縮機の吐出口からの吐出管が配管され、この吐出管の熱を利用して前記蒸発皿内の除霜水を蒸発させるようにした冷却貯蔵庫において、前記圧縮機から前記蒸発皿に至る吐出管の途中に立ち上がり部が形成されている構成としたところに特徴を有する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記立ち上がり部の頂点が、少なくとも凝縮器の入口よりも高い位置に設けられているところに特徴を有する。
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のものにおいて、前記立ち上がり部の頂点が、凝縮器並びに前記冷却器よりも高い位置に設けられているところに特徴を有する。
【0006】
【発明の作用及び効果】
<請求項1の発明>
除霜水により蒸発皿に配管された吐出管が急激に冷却されることに起因して、多量の液冷媒が集まったとしても、圧縮機に繋がる吐出管の途中には立ち上がり部が形成されているから、溢れた液冷媒も立ち上がり部に溜められ、圧縮機の吐出側に液冷媒が戻ることが防がれる。
その結果、圧縮機で液圧縮や液封状態の圧縮が生じることがなく、異音の発生や圧縮機の故障の発生を未然に防止することができる。
【0007】
<請求項2の発明>
立ち上がり部の頂点を凝縮器の入口よりも高位置に配したことで、立ち上がり部に加えて、凝縮器をも液溜まりとして利用でき、多量の液冷媒を溜めることができて、圧縮機の吐出側に液冷媒が戻ることがより確実に防止される。
<請求項3の発明>
凝縮器さらには冷却器をも液溜まりとして利用でき、圧縮機への戻りを阻止すべくさらに多量の液冷媒を溜めることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を図1ないし図4によって説明する。
この実施形態の冷蔵庫に装備された冷凍回路10は、図1及び図2に示すように、圧縮機11、スパイラルコンデンサ12(凝縮器)、ドライヤ13、キャピラリチューブ14及び冷却器15(蒸発器)が冷媒配管16で循環接続されて形成されている。また、冷却器15等からの除霜水を受けて溜める蒸発皿20が設けられており、この蒸発皿20の下面には、圧縮機11の吐出側から引き出された冷媒配管16(以下、吐出管17という)が密着して配管されている。詳細には、図4に示すように、蒸発皿20の下面に複数本の取付溝21が形成されており、これらの取付溝21に吐出管17が蛇行しつつ緊密に嵌められている。以下、この取付溝21に嵌められた吐出管17を蒸発皿パイプ22と言う。
【0009】
上記のうち、圧縮機11の上方には、蒸発皿20、キャピラリチューブ14及びスパイラルコンデンサ12が順次に配されて縦積み構造とされ、冷蔵庫の側面に設けられた機械室内に設置される。蒸発皿20の手前側には凝縮ファン18が設置され、蒸発皿20の上面に向けて外気を吹き付けるとともに、蒸発皿20の奥側に立てられたガイド板23によってスパイラルコンデンサ12に向けて吹き上げられ、これを冷却するようになっている。
一方、冷却器15は、スパイラルコンデンサ12の側方に配され、冷蔵室に連通して設けられた冷却器室内に収容される。冷却器15には、図3にも示すように庫内ファン19が付設されている。
【0010】
そして冷却運転に際しては、圧縮機11、凝縮ファン18及び庫内ファン19が駆動され、図2の矢線に示す方向に冷媒が流通しつつ、周知のように冷却器15内で液冷媒を気化させた場合の潜熱により、冷蔵室から引かれた室内空気が冷却されて冷気が生成され、これが庫内ファン19で冷蔵室内に循環供給される。一方、適宜の時間間隔ごとに除霜工程が取られ、この場合は圧縮機11等が停止され(凝縮ファン18は駆動したままでもよい)、冷却器15等に付着した霜が溶けて除霜水として蒸発皿20に受けられて溜められる。除霜工程が終了して冷却運転が再開されると、圧縮機11から高温の冷媒ガスが吐出されて蒸発皿パイプ22にも巡り、その熱で蒸発皿20ひいてはそこに溜められた除霜水が加熱され、さらには凝縮ファン18で外気が吹き付けられることも相俟って除霜水が蒸発し、外部へ排出されるようになっている。
【0011】
さて本実施形態では、除霜を行うことに伴って蒸発皿パイプ22から圧縮機11へ液冷媒が戻ることを防ぐべく手段が講じられている。
まず冷凍回路10において、スパイラルコンデンサ12はその上端側が入口12Aとなっているとともに、冷却器15はスパイラルコンデンサ12の側方において少し低い位置に配され、その入口15Aが、スパイラルコンデンサ12の入口12Aよりも低い位置に設けられている。
そして、圧縮機11の吐出口11Aから蒸発皿20に至る吐出管17の途中位置に、立ち上がり部25が形成されており、この立ち上がり部25の頂点25Aが、スパイラルコンデンサ12並びに冷却器15よりも高い位置に来るように設定されている。
また立ち上がり部25、スパイラルコンデンサ12及び冷却器15の合計の内容積が、封入された冷媒(液冷媒)の充填量よりも大きい設定となっている。
【0012】
本実施形態の作用は以下のようである。
除霜工程において、冷却器15等から除霜水が蒸発皿20に滴下すると、蒸発皿20の下面に配された蒸発皿パイプ22が急激に冷却される。そうすると、この蒸発皿パイプ22の部分が冷凍回路10中で最も低温、低圧となることで、封入された冷媒が蒸発皿パイプ22に液冷媒となって集まる傾向となる。
ここで周囲条件等も作用して、多量の液冷媒が集まって蒸発皿パイプ22の収容量を超えると、液冷媒が溢れて圧縮機11の吐出口11A側に向けて逆流するおそれがあるが、吐出管17の途中位置に立ち上がり部25が形成されているから、溢れた液冷媒が立ち上がり部25内に溜められ、圧縮機11の吐出口11A側に逆流することが阻止される。
【0013】
周囲条件等によりさらに多量の液冷媒が蒸発皿パイプ22から溢れたとしても、立ち上がり部25の頂点25Aが、スパイラルコンデンサ12の入口12Aよりも上にあるから、液冷媒は立ち上がり部25側でその頂点25Aを越えるよりも前に、スパイラルコンデンサ12からその下の冷媒配管16側に流入し、言い換えると、スパイラルコンデンサ12からその下の冷媒配管16が液溜まりとして機能し、液冷媒が圧縮機11の吐出口11A側に逆流することが無い。
さらに液冷媒が多量に溢れたとしても、スパイラルコンデンサ12が一杯となる前に、冷却器15側に流入してそこにも溜められる。上記のように、立ち上がり部25、スパイラルコンデンサ12及び冷却器15の合計の内容積は、封入された冷媒(液冷媒)の充填量より大きく設定されているから、仮に封入された冷媒がすべて液化されて溢れたとしても、立ち上がり部25、スパイラルコンデンサ12及び冷却器15にわたって溜められ、同じく液冷媒が圧縮機11の吐出口11A側に逆流することが阻止される。
【0014】
このように本実施形態によれば、除霜水により蒸発皿20の下面に配管された蒸発皿パイプ22が急激に冷却されることに起因して液冷媒が集まり、仮に全ての冷媒が液冷媒となって溢れたとしても、立ち上がり部25、スパイラルコンデンサ12さらには冷却器15にわたって溜められて、圧縮機11の吐出口11A側に液冷媒が戻ることが確実に防がれる。
その結果、圧縮機11で液圧縮や液封状態の圧縮が生じることがなく、異音の発生や圧縮機11の故障の発生を未然に防止することができる。
【0015】
<第2実施形態>
図5は、本発明の第2実施形態を示す。
この第2実施形態では、スパイラルコンデンサ30がその下端側に入口30Aを有する形態であり、同じく圧縮機11の吐出口11Aから蒸発皿20に至る吐出管17の途中位置に、立ち上がり部32が形成されている。
この第2実施形態では、除霜工程において除霜水により蒸発皿パイプ22が急激に冷却されることに起因して液冷媒が集まり、蒸発皿パイプ22から溢れた場合、液冷媒は、立ち上がり部32とともにスパイラルコンデンサ30内に下側から溜まり、圧縮機11の吐出口11A側に逆流することが阻止される。
【0016】
この第2実施形態では、スパイラルコンデンサ30が初めから立ち上がり部32とともに液溜まりとして利用される。スパイラルコンデンサ30には、立ち上がり部32の頂点32Aの位置と対応する高さまで液冷媒を溜めることが可能であるから、封入された冷媒がすべて液化された場合の容量を勘案し、それをすべて溜めることができる範囲で、立ち上がり部32の高さを設定すればよい。
また、立ち上がり部32の頂点32Aをスパイラルコンデンサ30よりも高い位置に持って来た上で、冷却器をスパイラルコンデンサ30より低位置に配した構造とすれば、冷却器をも液溜まりとして利用することが可能となる。
【0017】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)図6に示すように、蒸発皿パイプ22は、蒸発皿20の底板の上面に載せて配管するようにしてもよい。
(2)上記実施形態では、言わば自然溶解で除霜するようにしたが、冷却器にヒータを装備してその熱で霜を溶かすようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る冷凍回路の一部切欠斜視図
【図2】その回路構成図
【図3】その部分図
【図4】蒸発皿パイプの配管構造を示す断面図
【図5】第2実施形態の冷凍回路の部分回路構成図
【図6】蒸発皿パイプの他の配管構造を示す概略斜視図
【図7】従来例に係る冷凍回路の回路構成図
【図8】その液圧縮等の発生状態を示す説明図
【符号の説明】
10…冷凍回路 11…圧縮機 11A…(圧縮機11の)吐出口 12…スパイラルコンデンサ(凝縮器) 12A…(スパイラルコンデンサ12の)入口15…冷却器 15A…(冷却器15の)入口 17…吐出管 20…蒸発皿22…蒸発皿パイプ 25…立ち上がり部 25A…(立ち上がり部25の)頂点 30…スパイラルコンデンサ(凝縮器) 30A…(スパイラルコンデンサ30の)入口 32…立ち上がり部 32A…(立ち上がり部32の)頂点
Claims (3)
- 圧縮機の吐出口の上方には冷却器等からの除霜水を溜める蒸発皿が設けられて、この蒸発皿に前記圧縮機の吐出口からの吐出管が配管され、この吐出管の熱を利用して前記蒸発皿内の除霜水を蒸発させるようにした冷却貯蔵庫において、
前記圧縮機から前記蒸発皿に至る吐出管の途中に立ち上がり部が形成されていることを特徴とする冷却貯蔵庫。 - 前記立ち上がり部の頂点が、少なくとも凝縮器の入口よりも高い位置に設けられていることを特徴とする請求項1記載の冷却貯蔵庫。
- 前記立ち上がり部の頂点が、凝縮器並びに前記冷却器よりも高い位置に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の冷却貯蔵庫。
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- 2003-03-25 JP JP2003083055A patent/JP2004293814A/ja active Pending
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