JP2004293331A - スクロール型圧縮機 - Google Patents
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Abstract
【課題】スクロール型圧縮機の渦巻き形の羽根部に生じる摩耗を可及的に低減して信頼性と耐久性を高めると共に、全体を従来よりも小型軽量化する。
【解決手段】旋回スクロール6の公転半径を可変とする従動クランク機構を構成しているクランクピン1aの表面と、それを受け入れるために、旋回スクロール6を支持するブッシュ2の偏心した位置に形成された駆動用穴2aのような受け入れ部分の内面との間に、円筒形摺動材21のような摺動接触面を形成する簡単な減摩手段を設ける。この部分の摩擦係数を低減することによって、渦巻き形の羽根部6b及び8bの間に作用する押し付け力のピーク値と変動幅が減少することから、摩耗を招く過剰な押し付け力を加える必要がなくなる。しかし、この部分にニードルベアリングのような構造の複雑な減摩手段を設けると、この部分では負荷が非常に大きいために破損して耐久性と信頼性が低下する。
【選択図】 図1
【解決手段】旋回スクロール6の公転半径を可変とする従動クランク機構を構成しているクランクピン1aの表面と、それを受け入れるために、旋回スクロール6を支持するブッシュ2の偏心した位置に形成された駆動用穴2aのような受け入れ部分の内面との間に、円筒形摺動材21のような摺動接触面を形成する簡単な減摩手段を設ける。この部分の摩擦係数を低減することによって、渦巻き形の羽根部6b及び8bの間に作用する押し付け力のピーク値と変動幅が減少することから、摩耗を招く過剰な押し付け力を加える必要がなくなる。しかし、この部分にニードルベアリングのような構造の複雑な減摩手段を設けると、この部分では負荷が非常に大きいために破損して耐久性と信頼性が低下する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスクロール型圧縮機に係り、特に、スクロール型圧縮機に使用される従動クランク機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクロール型圧縮機において、駆動シャフトに対する旋回スクロールの偏心量を可変として、固定スクロールの渦巻き形の羽根部と、それに向かって押し付けられる旋回スクロールの渦巻き形の羽根部との接触部における押し付け力を適度に調整可能とすることは従来から行なわれている。それによって2つの渦巻き形の羽根部の間に形成される三日月形の作動室のシール状態を維持しながら、接触部における摩耗を低減することができる。この場合は、シャフトに対する旋回スクロールの偏心量が一定ではないから、シャフトと旋回スクロールとの間を連結するために従動クランク機構と呼ぶ偏心量が可変のクランク機構が用いられる。従動クランク機構には、下記の特許文献1に示されているように二重偏心機構を利用するものとか、ブッシュ等に形成された半径方向のスリットと、その中を半径方向に摺動し得るクランクピンとからなるもの等がある。
【0003】
【特許文献1】
特開昭56−129791号公報(第4−5頁、第2図)
【0004】
特許文献1に記載されているような二重偏心機構を利用する従動クランク機構においては、駆動シャフトと一体のものとして、その中心軸線に対して偏心した位置に形成された小径の駆動ピンを、旋回スクロールを回転可能に支持しているブッシュの偏心した穴に対して回転可能に係合させる必要がある。シャフトに比べて駆動ピンは小径であるが、それと係合する小径の偏心穴との間で大きい動力を伝達しなければならない。しかも、この部分において大きい摩擦が発生することは望ましくないから、前述の特許文献1に記載されたものでは、シャフトの先端の偏心した位置に形成された小径の駆動ピンと、ブッシュに形成された小径の偏心穴との間に小型の転がり軸受であるニードルベアリングを挿入している。
【0005】
しかしながら、このような位置に構造が複雑で華奢なニードルベアリングを設けると、その負荷がきわめて大きくなるために、ニードルベアリングの耐久性に問題が生じ、スクロール型圧縮機全体の信頼性が低下する。また、駆動ピンとニードルベアリングを大径化して対応すると、大径化したニードルベアリングを受け入れるブッシュの偏心穴の直径をその分だけ大径としなければならないので、偏心穴の強度を維持する必要からブッシュの直径が大きくなるため、スクロール型圧縮機全体の体格が大きくなるという結果を招く。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術における前述のような問題に対処して、スクロール型圧縮機の渦巻き形の羽根部に生じる摩耗を可及的に低減し、冷媒のような流体を高圧まで加圧することができるように、スクロール型圧縮機の信頼性と耐久性を高めると共に、高性能のスクロール型圧縮機を従来よりも小型軽量化することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、従来技術における前述のような問題に対応することができる解決手段として、特許請求の範囲の請求項1に記載されたスクロール型圧縮機を提供する。
【0008】
本発明のスクロール型圧縮機においては、従動クランク機構を構成するクランクピンの表面と、クランクピンを受け入れるためにブッシュに形成された受け入れ部分の内面との間に、少なくとも摺動接触面を形成する簡単な構成の減摩手段が設けられている点に特徴がある。
【0009】
この減摩手段は、例えば肉厚の薄い円筒形の摺動材や板状の摺動材から構成することができる。この摺動材は、例えば軸受用メタルのような金属材料、フッ素樹脂やポリアミド樹脂のような合成樹脂材料、多孔質で含油性のあるセラミック材料、及び黒鉛の中から選択することができるし、それら複数の材料を複合することにより製作することもできる。
【0010】
減摩手段は、クランクピンの表面と、ブッシュにおけるクランクピンのための受け入れ部分の内面の少なくとも一方に、表面処理によって形成することができる。具体的には、フッ素樹脂のコーティングや低摩擦金属のメッキ等である。他の減摩手段として、クランクピンの表面と、ブッシュにおけるクランクピンのための受け入れ部分の内面の少なくとも一方に、潤滑油を内部へ導く潤滑油溝を形成してもよい。
【0011】
本発明のスクロール型圧縮機においては、シャフトに連結される動力源として電動モーターをハウジングに一体化して構成してもよい。本発明のスクロール型圧縮機は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮する冷媒圧縮機として使用するのに適している。この場合、従動クランク機構が非常に堅牢なので、冷媒をその臨界圧力以上の高さの圧力まで圧縮するように構成することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1及び図2を用いて本発明の第1実施例であるスクロール型圧縮機の構造を説明する。図1に示す1はシャフトであって、その右端にはシャフト1の中心軸線Csに対して所定量だけ偏心したクランクピン1aが形成されている。クランクピン1aはシャフト1に比べて小径の円柱状のものである。2は円柱形のブッシュであって、その中心軸線Cbに対して所定量だけ偏心した位置に円筒形の駆動用穴2aが形成されていて、後に詳しく述べる円筒形の摺動材21を介して、シャフト1のクランクピン1aを回転自由に受け入れている。3は圧縮機を覆うハウジングであって、メインベアリング4を介してシャフト1を回転可能に支持している。
【0013】
6は旋回スクロールであって、概ね円板状の端板部6aと、それから軸線方向に突出するように形成された渦巻き形の羽根部6bと、端板部6aの背面に形成された円筒状のボス部6c等からなっている。旋回スクロール6の全体は、ボス部6cに圧入して取り付けられた旋回スクロール軸受16と、前述のブッシュ2及び摺動材21を介して、シャフト1のクランクピン1aによって回転可能に支持されていて、シャフト1の中心軸線Csの回りに公転運動をする。7は旋回スクロール6の公転運動のみを許す複数個の自転防止ピンであって、旋回スクロール6の自転運動を阻止する。
【0014】
8は固定スクロールであって、ハウジング3と一体化される端板部8aと、旋回スクロール6と同様な形状の渦巻き形の羽根部8bを備えていて、旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bと噛み合うように組み付けられている。固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bと旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bが噛み合うことによって、それらの羽根部6b及び8bの間に軸線方向に見た時に三日月形に見える作動室9が複数個形成される。
【0015】
そして、このスクロール型圧縮機が空調装置の冷媒圧縮機として使用される場合には、図示しない冷凍サイクルから戻って来て吸入ポート3aから吸入室14内へ導入される気体冷媒を、外周において作動室9が吸入室14に向かって開いた時に作動室9の内部へ吸入し、旋回スクロール6が公転をする間に旋回スクロール6と固定スクロール8の中心部に向かって作動室9が半径方向に移動しながら縮小することによって冷媒を圧縮する。最後に作動室9が中心部の作動室9aに向かって開いた時に、吐出圧に達した冷媒が固定スクロール8の端板部8aに設けられた吐出孔8cを通過して、吐出弁17を押し開き、端板部8aと、それに固定されているリアハウジング18との間に形成された吐出室15内へ吐出される。
【0016】
18aはリアハウジング18に形成された吐出ポートであって、図示しない配管によって冷凍サイクルに連通しており、吐出室15内へ吐出された高圧の冷媒を冷凍サイクルの凝縮器へ導く。なお、図1に示す10は旋回スクロール6等の偏心した質量に概ね釣り合うように設けられたバランサであって、シャフト1に固定されていてもよいが、この場合はブッシュ2に取り付けられている。また、12はシャフト1がハウジング3を貫通する部分に設けられたシャフトシールであって、圧縮機内部の冷媒等が外部へ漏れ出るのを防止する。
【0017】
第1実施例のスクロール型圧縮機はシャフト1のクランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aによって二重偏心型の従動クランク機構を構成しているから、作動状態においては、図3に示すように、シャフト1がその中心軸線Csの回りに矢印Rsの方向に回転すると、クランクピン1aがブッシュ2を中心軸線Csの回りに回転させようとする。その時には、圧縮反力Fpと駆動力Fの作用下においてブッシュ2がクランクピン1aの中心軸線Cpの回りに僅かに回転する。後者の微小な回転、即ちクランクピン1aとブッシュ2との間の相対回転は、図3の中に小さな矢印Rbによって示されている。ブッシュ2がクランクピン1aに対して僅かに回転することにより旋回スクロール6の公転半径が微小な量だけ増大し、旋回スクロール6が半径方向の外側に向かって押し出される。そして、旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bが固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bに抵触した状態で後者の回転Rbが停まり、公転半径の大きさも決まる。
【0018】
このように、従動クランク機構を構成するクランクピン1aとブッシュ2によって、旋回スクロール6が半径方向の外側に向かって押し出されることにより、旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bを固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bに向かって押し付ける力FDが発生する。ここでクランクピン1aの中心軸線Cpとブッシュ2の中心軸線Cbとの間の距離をL、クランクピン1aの半径をRとすると共に、羽根部6b及び8bが接触した状態において決まるブッシュ2とクランクピン1aとの相対的な回転角度(実質的に一定の値)を、クランクピン1aの位置角度γとして定義する。更に、作動室9において流体を圧縮することによって発生する圧縮反力を受けている旋回スクロール6が、ボス部6c及び旋回スクロール軸受16を介してブッシュ2に及ぼす半径方向の力をFpとすると、押し付け力FDの値は下記の数式によって与えられる。
【0019】
【数1】
【0020】
この数式によって、シャフト1が1回転する間に押し付け力FDがどのように変化するかということを計算した結果を図4に示す。数式の形から、押し付け力FDは定数であるL及びRの値と、実質的に一定の値となるクランクピン1aの位置角度γと、これも実質的に一定の値となるクランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aとの間の摩擦係数μの値に依存していて、それらの値が小さいほど押し付け力FDの値が小さくなることが分かる。圧縮反力Fpはシャフト1の回転角度θによって大きく変動するので、シャフト1の回転角度θに応じて押し付け力FDが図4に示したように変動する。この変動の幅は摩擦係数μの値によっても大きく変化する。図4においては摩擦係数μの値を3段階に変化させて押し付け力FDの変化を示している。
【0021】
図4から明らかなように、押し付け力FDの値はクランクピン1aの表面と、ブッシュ2の駆動用穴2aの内面との間に作用する摩擦係数μの値の大小によって大きく変動する。クランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aが直接に接触する場合には、それらに通常の材料を使用すると、潤滑油を供給している状態でも摩擦係数μの値が0.15程度になる。この場合の押し付け力FDのピーク値は、理想的な状態として考えられる摩擦係数μ=0の場合に比べて、少なくとも0.2kN程度上昇し、変動幅が1.6倍程度に大きくなる。
【0022】
羽根部6b及び8bの間に形成される作動室9のシール性を保持するのに必要な荷重(押し付け力)が例えば1kN程度であるとすれば、押し付け力FDの最小値を1kNに設定することによって、シャフト1が1回転する間の殆どの領域において1kNを超える過剰な荷重が羽根部6b及び8bの間に作用することになる。それによって、機械損失が増大するだけでなく、羽根部6b及び8bの間の接触部における摩耗が増大して、圧縮機の寿命が短くなる。
【0023】
従って、図4に示すような押し付け力FDの変動のピーク値を低減させて荷重変動の幅をできるだけ小さく抑えることができれば、機械損失が減少して運転効率が高くなるだけでなく、羽根部6b及び8bの間の摩耗が少なくなって、圧縮機としての耐久性や信頼性が高くなる。更に、押し付け力FDの最小値を底上げして変動幅を縮小すれば、クランクピン1aの位置角度γを小さくすることができ、それによっても羽根部6b及び8bの間の摩耗を減少させることができる。
【0024】
このような理由から、シャフト1のクランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aとの間の摩擦係数μを低減させることによって、羽根部6b及び8bの間に作用する押し付け力FDの変動幅を可及的に小さくすることができることが分かる。しかしながら、前述の従来技術のように、クランクピン1aと駆動用穴2aとの間にニードルベアリングを挿入するというような常識的な対策を講じると、この部分に作用する荷重が非常に大きいために、ニードルベアリングが早期に破損して、却って圧縮機の耐久性や信頼性を低下させるという結果を招くし、クランクピン1aとニードルベアリングを大径化して対応すると、大径化したニードルベアリングに応じてブッシュ2を更に大径とする必要が生じるために、圧縮機が大型化するという別の問題を生じることになる。
【0025】
なお、シャフト1の中心軸線Csとブッシュ2の中心軸線Cbとの距離rが旋回スクロール6の幾何学的な公転半径となる。この値は、第1実施例の場合は、図3に示すブッシュ2の図形の第4象限(IVの領域内)にあるクランクピン1aを中心として、矢印Rbのようにブッシュ2がクランクピン1aに対して僅かに回転することによって増大する。そして、旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bが固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bに対して軽く接触した状態で一定の値となる。しかしながら、実際の公転半径は、羽根部6bが羽根部8bに接触した後も、押し付け力FDの大きさに応じて羽根部6b及び8bが僅かに弾性変形すること等の理由から、幾何学的な公転半径の値を中心として微小な範囲内で増減変化する。因みに、クランクピン1aが図3に示すブッシュ2の第1象限(I)及び第3象限(III)の領域内にある場合には、圧縮反力によって羽根部6bを羽根部8bに向かって押し付ける正の値の押し付け力FDは発生しない。
【0026】
本発明の第1実施例の特徴は、図1及び図2に示すように、シャフト1のクランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aとの間に単純な円筒形の、肉厚の薄い摺動材21を挿入した点にある。摺動材21は、ホワイトメタルや銅等の軸受用メタルのように、摩擦係数が低くて耐摩耗性が高い金属材料から製作することができる。場合によっては摺動材21をフッ素樹脂やポリアミド樹脂のような自己潤滑性のある合成樹脂材料とか、多孔質で含油性のあるセラミック材料、或いは黒鉛等から製作してもよい。それらの複数の材料を複合して使用することができることは言うまでもない。
【0027】
摺動材21を使用することによって、クランクピン1aと駆動用穴2aとの間に作用する摩擦力がきわめて小さくなるので、その部分における動力損失が低減するだけでなく、図4に示す押し付け力FDの変動幅が狭くなるので、作動室9のシール性保持のために必要な最小の押し付け力を超える過剰な押し付け力が作用する領域においても、その値が比較的に小さくなる結果、羽根部6b及び8bの接触部における摩耗が少なくなり、摺動材21が単純な形状であるために、トラブルの発生する恐れが少ないこともあって、圧縮機の耐久性と信頼性を従来よりも高めることができる。
【0028】
また、第1実施例のスクロール型圧縮機において採用する摺動材21は単純な円筒形であるから、製作が容易で安価であるだけでなく、摺動材21の肉厚が薄いので、ブッシュ2の駆動用穴2aの内径はシャフト1のクランクピン1aの外径に比べて僅かに大きくするだけでよく、摺動材21をクランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aとの間に挿入したことに伴って、ブッシュ2の外径を特に大きくする必要がない。従って、圧縮機全体が大型化するとか、重量が増加するのを避けることができる。
【0029】
図5に本発明の第2実施例の要部のみを示す。前述の第1実施例の要部を示す図2と比較すれば明らかなように、第2実施例においては摺動材21のような別の部材を使用しないで、円柱状のクランクピン1aの表面に摩擦係数μを低減させるのに有効な表面処理22を施している点に特徴がある。表面処理22は、クランクピン1aの表面の相手方となるブッシュ2の駆動用穴2aの内面に施してもよい。具体的な表面処理22の例としてはフッ素樹脂等のコーティングや、低摩擦金属のメッキ等の方法がある。
【0030】
第2実施例の場合は、第1実施例と基本的には同様な作用効果を奏するほか、構成が更に簡単になるのと、表面処理22の層の半径方向における厚さが摺動材21よりも薄くなることから、一部において第1実施例よりも優れた作用効果を奏する場合があり得る。
【0031】
図6に本発明の第3実施例の要部を示す。前述の第2実施例の要部を示す図5と比較すれば明らかなように、第3実施例においても第1実施例における摺動材21のような別の部材を使用しないで、ブッシュ2に設けられる円筒形の駆動用穴2aの内面にクランクピン1aの長手方向に沿った潤滑油溝23を形成した点に特徴がある。潤滑油溝23はクランクピン1aの表面に形成してもよい。
【0032】
第3実施例における潤滑油溝23は、潤滑油を駆動用穴2aの内面とクランクピン1aの表面との間へ万遍なく導くために有効であって、この摺動接触部分に常に確実に潤滑油膜を形成するので、クランクピン1aが駆動用穴2aに直接に摺動接触していても、摺動接触部分における摩擦係数μが低くなり、第1実施例や第2実施例の場合と同様な作用効果を奏することができる。
【0033】
図7及び図8に本発明の第4実施例の要部を示す。前述の第1実施例における要部の作動状態を示す図2及び図3と比較すれば明らかなように、第4実施例においてはシャフト1のクランクピン1aを図7におけるブッシュ2の図形の第2象限(II)の領域内に設けている点に特徴がある。図8に示すように、この場合もシャフト1のクランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aとの間には、第1実施例の場合と同様な摺動材21が挿入される。しかしながら、摺動材21を挿入する代わりに、第2実施例のようにクランクピン1aや駆動用穴2aの摺動接触面に表面処理22を施こすとか、第3実施例のような潤滑油溝23を設けるというような他の減摩手段を講じることも可能である。
【0034】
前述のように、図3或いは図7に示す図形の状態において、クランクピン1aが常にブッシュ2の第2象限(II)或いは第4象限(IV)の領域内にあるように設定されている場合に限って、クランクピン1a及びブッシュ2からなる二重偏心型の従動クランク機構が旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bを固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bに向かって押し付ける作用をする。従って、第4実施例においてもまた、前述の第1実施例と同様な作用効果を奏する。
【0035】
図9に本発明の第5実施例の要部を示す。前述の各実施例においては、全て二重偏心型に属する従動クランク機構を使用しており、シャフト1のクランクピン1aが小径の円柱形であると共に、ブッシュ2の駆動用穴2aが小径の円筒形となっているが、第5実施例は従動クランク機構のもう1つの代表的な形式である二面幅型(或いはスリット型)の従動クランク機構を使用している点に特徴がある。それによって、第5実施例は、本発明が二重偏心型の従動クランク機構に限らず他の形式の従動クランク機構にも適用可能であることを示すものである。
【0036】
第5実施例の二面幅型の従動クランク機構においては、シャフト1の末端に、二面幅形の、即ち板状或いは四角柱形のクランクピン1bが、シャフト1に対して実質的に半径方向に、しかし、クランクピン1bの長手方向(半径方向)の中央部分が中心軸線Csに対して偏っているように設けられる。これに対して、旋回スクロール6を回転可能に支持するブッシュ2は、板状のクランクピン1bを摺動可能に受け入れるために実質的に同じ幅を有すると共に、半径方向の長さがクランクピン1bのそれよりも若干長い二面幅形の溝、即ちスリット2bが形成されている。従って、シャフト1の板状のクランクピン1bと、ブッシュ2のスリット2bによって従来周知の二面幅型の従動クランク機構が構成される。
【0037】
一般的な二面幅型の従動クランク機構の作用はよく知られているので、ここでは詳しい説明を省略するが、ブッシュ2が半径方向に長いスリット2bによってシャフト1の板状のクランクピン1bに摺動接触しているため、旋回スクロール6がブッシュ2に対して半径方向に可動となっていると共に、二面幅型の従動クランク機構を介して動力が伝達される時に、圧縮反力に応じて旋回スクロール6を半径方向の外方に向かって押し出す力が発生するため、前述の二重偏心型の従動クランク機構の場合と同様に、旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bが、固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bに向かって押し付けられる。
【0038】
本発明の第5実施例の特徴として、この従動クランク機構を設けられた圧縮機が回転駆動される際に動力伝達面となる側の板状のクランクピン1bの一面と、それに対向しているスリット2bの一方の内面との間に、軸受用メタルのように摩擦係数が低くて耐摩耗性が高い材料や、フッ素樹脂或いはポリアミド樹脂のような自己潤滑性のある合成樹脂材料、更には多孔質のセラミック材料等から製作された単なる板状の薄い摺動材24が減摩手段として挿入されている。減摩手段としては前述の各実施例に見られるように、動力伝達面に表面処理を施すとか、潤滑油溝を形成するというように他の手段を用いることも可能である。第5実施例においては、二面幅型の従動クランク機構における動力伝達面に、板状の摺動材24のようなきわめて簡単な構成の減摩手段を設けたので、実質的に前述の各実施例と同様な作用効果を奏する。
【0039】
図10に本発明の第6実施例として、モーター一体型のスクロール型圧縮機を例示する。一端部が閉じた形状のモーターハウジング25の開口端部には、ミドルハウジング26を介して、第1実施例のそれと同様な形状の固定スクロール8の端板部8aが取り付けられている。ミドルハウジング26の内部に、前述の各実施例の場合と同様な従動クランク機構等が設けられる。駆動のためのシャフト1はモーターハウジング25の内部へ長く伸びていて、その前端部がモーターハウジング25の内部に設けられたフロント軸受27によって軸支される。モーターハウジング25の内部において、シャフト1の周囲には電動モーター28が構成されている。この場合の吸入ポート8dは、例えば固定スクロール8の端板部8aに形成される。その他の構成は図1に示す第1実施例と同様である。
【0040】
第6実施例のモーター一体型のスクロール型圧縮機においては、圧縮機部分がそれに一体化された動力源としてのモーター28によって直接に回転駆動されるので、シャフト1がハウジングを貫通する必要がないから、図1に示すシャフトシール12や動力伝達機構のようなものが不要になることによって構成が簡単になる。また、動力源や動力伝達機構の部分を含めた全体を小型軽量化することができるという利点もある。詳細な説明は省略するが、第6実施例においても従動クランク機構は前述の各実施例と同様な構成を有しており、従動クランク機構における本発明の特徴と作用効果も同様である。
【0041】
以上の説明から明らかなように、本発明のスクロール型圧縮機は従来のスクロール型圧縮機に比べて小型軽量でありながら非常に堅牢なものとなるため、冷媒のような被圧縮流体を従来よりも高い圧力まで圧縮することができる。従って、二酸化炭素(CO2)のような流体を冷媒とする空調装置の冷媒圧縮機として使用するのに適しており、そのような冷媒を、例えば、その臨界圧力よりも高い圧力まで加圧することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】第1実施例の要部を拡大して示す斜視図である。
【図3】第1実施例の要部の作動状態を示す側面図である。
【図4】押し付け力の変動を示す線図である。
【図5】第2実施例の要部を拡大して示す斜視図である。
【図6】第3実施例の要部を拡大して示す斜視図である。
【図7】第4実施例の要部の作動状態を示す側面図である。
【図8】第4実施例の要部を拡大して示す斜視図である。
【図9】第5実施例の要部を拡大して示す斜視図である。
【図10】本発明の第6実施例の圧縮機を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…シャフト
1a…円柱形のクランクピン
1b…板状のクランクピン
2…ブッシュ
2a…円筒形の駆動用穴
2b…スリット
6…旋回スクロール
6a…端板部
6b…渦巻き形の羽根部
6c…ボス部
8…固定スクロール
8a…端板部
8b…渦巻き形の羽根部
9…作動室
21…円筒形の摺動材
22…表面処理
23…潤滑油溝
24…板状の摺動材
25…モーターハウジング
【発明の属する技術分野】
本発明はスクロール型圧縮機に係り、特に、スクロール型圧縮機に使用される従動クランク機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
スクロール型圧縮機において、駆動シャフトに対する旋回スクロールの偏心量を可変として、固定スクロールの渦巻き形の羽根部と、それに向かって押し付けられる旋回スクロールの渦巻き形の羽根部との接触部における押し付け力を適度に調整可能とすることは従来から行なわれている。それによって2つの渦巻き形の羽根部の間に形成される三日月形の作動室のシール状態を維持しながら、接触部における摩耗を低減することができる。この場合は、シャフトに対する旋回スクロールの偏心量が一定ではないから、シャフトと旋回スクロールとの間を連結するために従動クランク機構と呼ぶ偏心量が可変のクランク機構が用いられる。従動クランク機構には、下記の特許文献1に示されているように二重偏心機構を利用するものとか、ブッシュ等に形成された半径方向のスリットと、その中を半径方向に摺動し得るクランクピンとからなるもの等がある。
【0003】
【特許文献1】
特開昭56−129791号公報(第4−5頁、第2図)
【0004】
特許文献1に記載されているような二重偏心機構を利用する従動クランク機構においては、駆動シャフトと一体のものとして、その中心軸線に対して偏心した位置に形成された小径の駆動ピンを、旋回スクロールを回転可能に支持しているブッシュの偏心した穴に対して回転可能に係合させる必要がある。シャフトに比べて駆動ピンは小径であるが、それと係合する小径の偏心穴との間で大きい動力を伝達しなければならない。しかも、この部分において大きい摩擦が発生することは望ましくないから、前述の特許文献1に記載されたものでは、シャフトの先端の偏心した位置に形成された小径の駆動ピンと、ブッシュに形成された小径の偏心穴との間に小型の転がり軸受であるニードルベアリングを挿入している。
【0005】
しかしながら、このような位置に構造が複雑で華奢なニードルベアリングを設けると、その負荷がきわめて大きくなるために、ニードルベアリングの耐久性に問題が生じ、スクロール型圧縮機全体の信頼性が低下する。また、駆動ピンとニードルベアリングを大径化して対応すると、大径化したニードルベアリングを受け入れるブッシュの偏心穴の直径をその分だけ大径としなければならないので、偏心穴の強度を維持する必要からブッシュの直径が大きくなるため、スクロール型圧縮機全体の体格が大きくなるという結果を招く。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術における前述のような問題に対処して、スクロール型圧縮機の渦巻き形の羽根部に生じる摩耗を可及的に低減し、冷媒のような流体を高圧まで加圧することができるように、スクロール型圧縮機の信頼性と耐久性を高めると共に、高性能のスクロール型圧縮機を従来よりも小型軽量化することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、従来技術における前述のような問題に対応することができる解決手段として、特許請求の範囲の請求項1に記載されたスクロール型圧縮機を提供する。
【0008】
本発明のスクロール型圧縮機においては、従動クランク機構を構成するクランクピンの表面と、クランクピンを受け入れるためにブッシュに形成された受け入れ部分の内面との間に、少なくとも摺動接触面を形成する簡単な構成の減摩手段が設けられている点に特徴がある。
【0009】
この減摩手段は、例えば肉厚の薄い円筒形の摺動材や板状の摺動材から構成することができる。この摺動材は、例えば軸受用メタルのような金属材料、フッ素樹脂やポリアミド樹脂のような合成樹脂材料、多孔質で含油性のあるセラミック材料、及び黒鉛の中から選択することができるし、それら複数の材料を複合することにより製作することもできる。
【0010】
減摩手段は、クランクピンの表面と、ブッシュにおけるクランクピンのための受け入れ部分の内面の少なくとも一方に、表面処理によって形成することができる。具体的には、フッ素樹脂のコーティングや低摩擦金属のメッキ等である。他の減摩手段として、クランクピンの表面と、ブッシュにおけるクランクピンのための受け入れ部分の内面の少なくとも一方に、潤滑油を内部へ導く潤滑油溝を形成してもよい。
【0011】
本発明のスクロール型圧縮機においては、シャフトに連結される動力源として電動モーターをハウジングに一体化して構成してもよい。本発明のスクロール型圧縮機は、冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮する冷媒圧縮機として使用するのに適している。この場合、従動クランク機構が非常に堅牢なので、冷媒をその臨界圧力以上の高さの圧力まで圧縮するように構成することもできる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1及び図2を用いて本発明の第1実施例であるスクロール型圧縮機の構造を説明する。図1に示す1はシャフトであって、その右端にはシャフト1の中心軸線Csに対して所定量だけ偏心したクランクピン1aが形成されている。クランクピン1aはシャフト1に比べて小径の円柱状のものである。2は円柱形のブッシュであって、その中心軸線Cbに対して所定量だけ偏心した位置に円筒形の駆動用穴2aが形成されていて、後に詳しく述べる円筒形の摺動材21を介して、シャフト1のクランクピン1aを回転自由に受け入れている。3は圧縮機を覆うハウジングであって、メインベアリング4を介してシャフト1を回転可能に支持している。
【0013】
6は旋回スクロールであって、概ね円板状の端板部6aと、それから軸線方向に突出するように形成された渦巻き形の羽根部6bと、端板部6aの背面に形成された円筒状のボス部6c等からなっている。旋回スクロール6の全体は、ボス部6cに圧入して取り付けられた旋回スクロール軸受16と、前述のブッシュ2及び摺動材21を介して、シャフト1のクランクピン1aによって回転可能に支持されていて、シャフト1の中心軸線Csの回りに公転運動をする。7は旋回スクロール6の公転運動のみを許す複数個の自転防止ピンであって、旋回スクロール6の自転運動を阻止する。
【0014】
8は固定スクロールであって、ハウジング3と一体化される端板部8aと、旋回スクロール6と同様な形状の渦巻き形の羽根部8bを備えていて、旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bと噛み合うように組み付けられている。固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bと旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bが噛み合うことによって、それらの羽根部6b及び8bの間に軸線方向に見た時に三日月形に見える作動室9が複数個形成される。
【0015】
そして、このスクロール型圧縮機が空調装置の冷媒圧縮機として使用される場合には、図示しない冷凍サイクルから戻って来て吸入ポート3aから吸入室14内へ導入される気体冷媒を、外周において作動室9が吸入室14に向かって開いた時に作動室9の内部へ吸入し、旋回スクロール6が公転をする間に旋回スクロール6と固定スクロール8の中心部に向かって作動室9が半径方向に移動しながら縮小することによって冷媒を圧縮する。最後に作動室9が中心部の作動室9aに向かって開いた時に、吐出圧に達した冷媒が固定スクロール8の端板部8aに設けられた吐出孔8cを通過して、吐出弁17を押し開き、端板部8aと、それに固定されているリアハウジング18との間に形成された吐出室15内へ吐出される。
【0016】
18aはリアハウジング18に形成された吐出ポートであって、図示しない配管によって冷凍サイクルに連通しており、吐出室15内へ吐出された高圧の冷媒を冷凍サイクルの凝縮器へ導く。なお、図1に示す10は旋回スクロール6等の偏心した質量に概ね釣り合うように設けられたバランサであって、シャフト1に固定されていてもよいが、この場合はブッシュ2に取り付けられている。また、12はシャフト1がハウジング3を貫通する部分に設けられたシャフトシールであって、圧縮機内部の冷媒等が外部へ漏れ出るのを防止する。
【0017】
第1実施例のスクロール型圧縮機はシャフト1のクランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aによって二重偏心型の従動クランク機構を構成しているから、作動状態においては、図3に示すように、シャフト1がその中心軸線Csの回りに矢印Rsの方向に回転すると、クランクピン1aがブッシュ2を中心軸線Csの回りに回転させようとする。その時には、圧縮反力Fpと駆動力Fの作用下においてブッシュ2がクランクピン1aの中心軸線Cpの回りに僅かに回転する。後者の微小な回転、即ちクランクピン1aとブッシュ2との間の相対回転は、図3の中に小さな矢印Rbによって示されている。ブッシュ2がクランクピン1aに対して僅かに回転することにより旋回スクロール6の公転半径が微小な量だけ増大し、旋回スクロール6が半径方向の外側に向かって押し出される。そして、旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bが固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bに抵触した状態で後者の回転Rbが停まり、公転半径の大きさも決まる。
【0018】
このように、従動クランク機構を構成するクランクピン1aとブッシュ2によって、旋回スクロール6が半径方向の外側に向かって押し出されることにより、旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bを固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bに向かって押し付ける力FDが発生する。ここでクランクピン1aの中心軸線Cpとブッシュ2の中心軸線Cbとの間の距離をL、クランクピン1aの半径をRとすると共に、羽根部6b及び8bが接触した状態において決まるブッシュ2とクランクピン1aとの相対的な回転角度(実質的に一定の値)を、クランクピン1aの位置角度γとして定義する。更に、作動室9において流体を圧縮することによって発生する圧縮反力を受けている旋回スクロール6が、ボス部6c及び旋回スクロール軸受16を介してブッシュ2に及ぼす半径方向の力をFpとすると、押し付け力FDの値は下記の数式によって与えられる。
【0019】
【数1】
【0020】
この数式によって、シャフト1が1回転する間に押し付け力FDがどのように変化するかということを計算した結果を図4に示す。数式の形から、押し付け力FDは定数であるL及びRの値と、実質的に一定の値となるクランクピン1aの位置角度γと、これも実質的に一定の値となるクランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aとの間の摩擦係数μの値に依存していて、それらの値が小さいほど押し付け力FDの値が小さくなることが分かる。圧縮反力Fpはシャフト1の回転角度θによって大きく変動するので、シャフト1の回転角度θに応じて押し付け力FDが図4に示したように変動する。この変動の幅は摩擦係数μの値によっても大きく変化する。図4においては摩擦係数μの値を3段階に変化させて押し付け力FDの変化を示している。
【0021】
図4から明らかなように、押し付け力FDの値はクランクピン1aの表面と、ブッシュ2の駆動用穴2aの内面との間に作用する摩擦係数μの値の大小によって大きく変動する。クランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aが直接に接触する場合には、それらに通常の材料を使用すると、潤滑油を供給している状態でも摩擦係数μの値が0.15程度になる。この場合の押し付け力FDのピーク値は、理想的な状態として考えられる摩擦係数μ=0の場合に比べて、少なくとも0.2kN程度上昇し、変動幅が1.6倍程度に大きくなる。
【0022】
羽根部6b及び8bの間に形成される作動室9のシール性を保持するのに必要な荷重(押し付け力)が例えば1kN程度であるとすれば、押し付け力FDの最小値を1kNに設定することによって、シャフト1が1回転する間の殆どの領域において1kNを超える過剰な荷重が羽根部6b及び8bの間に作用することになる。それによって、機械損失が増大するだけでなく、羽根部6b及び8bの間の接触部における摩耗が増大して、圧縮機の寿命が短くなる。
【0023】
従って、図4に示すような押し付け力FDの変動のピーク値を低減させて荷重変動の幅をできるだけ小さく抑えることができれば、機械損失が減少して運転効率が高くなるだけでなく、羽根部6b及び8bの間の摩耗が少なくなって、圧縮機としての耐久性や信頼性が高くなる。更に、押し付け力FDの最小値を底上げして変動幅を縮小すれば、クランクピン1aの位置角度γを小さくすることができ、それによっても羽根部6b及び8bの間の摩耗を減少させることができる。
【0024】
このような理由から、シャフト1のクランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aとの間の摩擦係数μを低減させることによって、羽根部6b及び8bの間に作用する押し付け力FDの変動幅を可及的に小さくすることができることが分かる。しかしながら、前述の従来技術のように、クランクピン1aと駆動用穴2aとの間にニードルベアリングを挿入するというような常識的な対策を講じると、この部分に作用する荷重が非常に大きいために、ニードルベアリングが早期に破損して、却って圧縮機の耐久性や信頼性を低下させるという結果を招くし、クランクピン1aとニードルベアリングを大径化して対応すると、大径化したニードルベアリングに応じてブッシュ2を更に大径とする必要が生じるために、圧縮機が大型化するという別の問題を生じることになる。
【0025】
なお、シャフト1の中心軸線Csとブッシュ2の中心軸線Cbとの距離rが旋回スクロール6の幾何学的な公転半径となる。この値は、第1実施例の場合は、図3に示すブッシュ2の図形の第4象限(IVの領域内)にあるクランクピン1aを中心として、矢印Rbのようにブッシュ2がクランクピン1aに対して僅かに回転することによって増大する。そして、旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bが固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bに対して軽く接触した状態で一定の値となる。しかしながら、実際の公転半径は、羽根部6bが羽根部8bに接触した後も、押し付け力FDの大きさに応じて羽根部6b及び8bが僅かに弾性変形すること等の理由から、幾何学的な公転半径の値を中心として微小な範囲内で増減変化する。因みに、クランクピン1aが図3に示すブッシュ2の第1象限(I)及び第3象限(III)の領域内にある場合には、圧縮反力によって羽根部6bを羽根部8bに向かって押し付ける正の値の押し付け力FDは発生しない。
【0026】
本発明の第1実施例の特徴は、図1及び図2に示すように、シャフト1のクランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aとの間に単純な円筒形の、肉厚の薄い摺動材21を挿入した点にある。摺動材21は、ホワイトメタルや銅等の軸受用メタルのように、摩擦係数が低くて耐摩耗性が高い金属材料から製作することができる。場合によっては摺動材21をフッ素樹脂やポリアミド樹脂のような自己潤滑性のある合成樹脂材料とか、多孔質で含油性のあるセラミック材料、或いは黒鉛等から製作してもよい。それらの複数の材料を複合して使用することができることは言うまでもない。
【0027】
摺動材21を使用することによって、クランクピン1aと駆動用穴2aとの間に作用する摩擦力がきわめて小さくなるので、その部分における動力損失が低減するだけでなく、図4に示す押し付け力FDの変動幅が狭くなるので、作動室9のシール性保持のために必要な最小の押し付け力を超える過剰な押し付け力が作用する領域においても、その値が比較的に小さくなる結果、羽根部6b及び8bの接触部における摩耗が少なくなり、摺動材21が単純な形状であるために、トラブルの発生する恐れが少ないこともあって、圧縮機の耐久性と信頼性を従来よりも高めることができる。
【0028】
また、第1実施例のスクロール型圧縮機において採用する摺動材21は単純な円筒形であるから、製作が容易で安価であるだけでなく、摺動材21の肉厚が薄いので、ブッシュ2の駆動用穴2aの内径はシャフト1のクランクピン1aの外径に比べて僅かに大きくするだけでよく、摺動材21をクランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aとの間に挿入したことに伴って、ブッシュ2の外径を特に大きくする必要がない。従って、圧縮機全体が大型化するとか、重量が増加するのを避けることができる。
【0029】
図5に本発明の第2実施例の要部のみを示す。前述の第1実施例の要部を示す図2と比較すれば明らかなように、第2実施例においては摺動材21のような別の部材を使用しないで、円柱状のクランクピン1aの表面に摩擦係数μを低減させるのに有効な表面処理22を施している点に特徴がある。表面処理22は、クランクピン1aの表面の相手方となるブッシュ2の駆動用穴2aの内面に施してもよい。具体的な表面処理22の例としてはフッ素樹脂等のコーティングや、低摩擦金属のメッキ等の方法がある。
【0030】
第2実施例の場合は、第1実施例と基本的には同様な作用効果を奏するほか、構成が更に簡単になるのと、表面処理22の層の半径方向における厚さが摺動材21よりも薄くなることから、一部において第1実施例よりも優れた作用効果を奏する場合があり得る。
【0031】
図6に本発明の第3実施例の要部を示す。前述の第2実施例の要部を示す図5と比較すれば明らかなように、第3実施例においても第1実施例における摺動材21のような別の部材を使用しないで、ブッシュ2に設けられる円筒形の駆動用穴2aの内面にクランクピン1aの長手方向に沿った潤滑油溝23を形成した点に特徴がある。潤滑油溝23はクランクピン1aの表面に形成してもよい。
【0032】
第3実施例における潤滑油溝23は、潤滑油を駆動用穴2aの内面とクランクピン1aの表面との間へ万遍なく導くために有効であって、この摺動接触部分に常に確実に潤滑油膜を形成するので、クランクピン1aが駆動用穴2aに直接に摺動接触していても、摺動接触部分における摩擦係数μが低くなり、第1実施例や第2実施例の場合と同様な作用効果を奏することができる。
【0033】
図7及び図8に本発明の第4実施例の要部を示す。前述の第1実施例における要部の作動状態を示す図2及び図3と比較すれば明らかなように、第4実施例においてはシャフト1のクランクピン1aを図7におけるブッシュ2の図形の第2象限(II)の領域内に設けている点に特徴がある。図8に示すように、この場合もシャフト1のクランクピン1aとブッシュ2の駆動用穴2aとの間には、第1実施例の場合と同様な摺動材21が挿入される。しかしながら、摺動材21を挿入する代わりに、第2実施例のようにクランクピン1aや駆動用穴2aの摺動接触面に表面処理22を施こすとか、第3実施例のような潤滑油溝23を設けるというような他の減摩手段を講じることも可能である。
【0034】
前述のように、図3或いは図7に示す図形の状態において、クランクピン1aが常にブッシュ2の第2象限(II)或いは第4象限(IV)の領域内にあるように設定されている場合に限って、クランクピン1a及びブッシュ2からなる二重偏心型の従動クランク機構が旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bを固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bに向かって押し付ける作用をする。従って、第4実施例においてもまた、前述の第1実施例と同様な作用効果を奏する。
【0035】
図9に本発明の第5実施例の要部を示す。前述の各実施例においては、全て二重偏心型に属する従動クランク機構を使用しており、シャフト1のクランクピン1aが小径の円柱形であると共に、ブッシュ2の駆動用穴2aが小径の円筒形となっているが、第5実施例は従動クランク機構のもう1つの代表的な形式である二面幅型(或いはスリット型)の従動クランク機構を使用している点に特徴がある。それによって、第5実施例は、本発明が二重偏心型の従動クランク機構に限らず他の形式の従動クランク機構にも適用可能であることを示すものである。
【0036】
第5実施例の二面幅型の従動クランク機構においては、シャフト1の末端に、二面幅形の、即ち板状或いは四角柱形のクランクピン1bが、シャフト1に対して実質的に半径方向に、しかし、クランクピン1bの長手方向(半径方向)の中央部分が中心軸線Csに対して偏っているように設けられる。これに対して、旋回スクロール6を回転可能に支持するブッシュ2は、板状のクランクピン1bを摺動可能に受け入れるために実質的に同じ幅を有すると共に、半径方向の長さがクランクピン1bのそれよりも若干長い二面幅形の溝、即ちスリット2bが形成されている。従って、シャフト1の板状のクランクピン1bと、ブッシュ2のスリット2bによって従来周知の二面幅型の従動クランク機構が構成される。
【0037】
一般的な二面幅型の従動クランク機構の作用はよく知られているので、ここでは詳しい説明を省略するが、ブッシュ2が半径方向に長いスリット2bによってシャフト1の板状のクランクピン1bに摺動接触しているため、旋回スクロール6がブッシュ2に対して半径方向に可動となっていると共に、二面幅型の従動クランク機構を介して動力が伝達される時に、圧縮反力に応じて旋回スクロール6を半径方向の外方に向かって押し出す力が発生するため、前述の二重偏心型の従動クランク機構の場合と同様に、旋回スクロール6の渦巻き形の羽根部6bが、固定スクロール8の渦巻き形の羽根部8bに向かって押し付けられる。
【0038】
本発明の第5実施例の特徴として、この従動クランク機構を設けられた圧縮機が回転駆動される際に動力伝達面となる側の板状のクランクピン1bの一面と、それに対向しているスリット2bの一方の内面との間に、軸受用メタルのように摩擦係数が低くて耐摩耗性が高い材料や、フッ素樹脂或いはポリアミド樹脂のような自己潤滑性のある合成樹脂材料、更には多孔質のセラミック材料等から製作された単なる板状の薄い摺動材24が減摩手段として挿入されている。減摩手段としては前述の各実施例に見られるように、動力伝達面に表面処理を施すとか、潤滑油溝を形成するというように他の手段を用いることも可能である。第5実施例においては、二面幅型の従動クランク機構における動力伝達面に、板状の摺動材24のようなきわめて簡単な構成の減摩手段を設けたので、実質的に前述の各実施例と同様な作用効果を奏する。
【0039】
図10に本発明の第6実施例として、モーター一体型のスクロール型圧縮機を例示する。一端部が閉じた形状のモーターハウジング25の開口端部には、ミドルハウジング26を介して、第1実施例のそれと同様な形状の固定スクロール8の端板部8aが取り付けられている。ミドルハウジング26の内部に、前述の各実施例の場合と同様な従動クランク機構等が設けられる。駆動のためのシャフト1はモーターハウジング25の内部へ長く伸びていて、その前端部がモーターハウジング25の内部に設けられたフロント軸受27によって軸支される。モーターハウジング25の内部において、シャフト1の周囲には電動モーター28が構成されている。この場合の吸入ポート8dは、例えば固定スクロール8の端板部8aに形成される。その他の構成は図1に示す第1実施例と同様である。
【0040】
第6実施例のモーター一体型のスクロール型圧縮機においては、圧縮機部分がそれに一体化された動力源としてのモーター28によって直接に回転駆動されるので、シャフト1がハウジングを貫通する必要がないから、図1に示すシャフトシール12や動力伝達機構のようなものが不要になることによって構成が簡単になる。また、動力源や動力伝達機構の部分を含めた全体を小型軽量化することができるという利点もある。詳細な説明は省略するが、第6実施例においても従動クランク機構は前述の各実施例と同様な構成を有しており、従動クランク機構における本発明の特徴と作用効果も同様である。
【0041】
以上の説明から明らかなように、本発明のスクロール型圧縮機は従来のスクロール型圧縮機に比べて小型軽量でありながら非常に堅牢なものとなるため、冷媒のような被圧縮流体を従来よりも高い圧力まで圧縮することができる。従って、二酸化炭素(CO2)のような流体を冷媒とする空調装置の冷媒圧縮機として使用するのに適しており、そのような冷媒を、例えば、その臨界圧力よりも高い圧力まで加圧することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の圧縮機を示す縦断面図である。
【図2】第1実施例の要部を拡大して示す斜視図である。
【図3】第1実施例の要部の作動状態を示す側面図である。
【図4】押し付け力の変動を示す線図である。
【図5】第2実施例の要部を拡大して示す斜視図である。
【図6】第3実施例の要部を拡大して示す斜視図である。
【図7】第4実施例の要部の作動状態を示す側面図である。
【図8】第4実施例の要部を拡大して示す斜視図である。
【図9】第5実施例の要部を拡大して示す斜視図である。
【図10】本発明の第6実施例の圧縮機を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…シャフト
1a…円柱形のクランクピン
1b…板状のクランクピン
2…ブッシュ
2a…円筒形の駆動用穴
2b…スリット
6…旋回スクロール
6a…端板部
6b…渦巻き形の羽根部
6c…ボス部
8…固定スクロール
8a…端板部
8b…渦巻き形の羽根部
9…作動室
21…円筒形の摺動材
22…表面処理
23…潤滑油溝
24…板状の摺動材
25…モーターハウジング
Claims (10)
- ハウジングと、前記ハウジングによって軸支されていると共に一部にクランクピンを有するシャフトと、渦巻き形の羽根部及び端板部を有し前記クランクピンによって駆動されることにより公転運動をする旋回スクロールと、前記ハウジングに固定されると共に前記旋回スクロールと噛み合う渦巻き形の羽根部及び端板部を有する固定スクロールとを備えていて、前記旋回スクロールが公転運動をすることにより、前記旋回スクロールの羽根部と前記固定スクロールの羽根部との間に形成される複数個の作動室が外周部から中心部に向かって移動する間に、該作動室の容積が連続的に縮小することにより該作動室内において流体を圧縮するように構成されており、更に前記旋回スクロールの公転半径が可変となっていて、前記旋回スクロールを公転運動させる動力が、前記クランクピンと前記旋回スクロールを支持するブッシュとを含む従動クランク機構を介して前記シャフトから前記旋回スクロールへ伝達されるように構成されたスクロール型圧縮機において、
前記従動クランク機構を構成する前記クランクピンの表面と、前記クランクピンを受け入れるために前記ブッシュに形成された受け入れ部分の内面との間に、摺動接触面を形成する減摩手段が設けられていることを特徴とするスクロール型圧縮機。 - 請求項1において、前記減摩手段が肉厚の薄い円筒形の摺動材からなることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項1において、前記減摩手段が肉厚の薄い板状の摺動材からなることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項2又は3において、前記摺動材が、軸受用メタルのような金属材料、フッ素樹脂やポリアミド樹脂のような合成樹脂材料、多孔質で含油性のあるセラミック材料、及び黒鉛の中から選択され、或いはそれら複数の材料を複合することにより製作されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項1において、前記減摩手段が、前記クランクピンの表面と、前記ブッシュにおける前記クランクピンのための前記受け入れ部分の内面との少なくとも一方に、表面処理によって形成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項5において、前記表面処理が、フッ素樹脂のコーティング及び低摩擦金属のメッキのいずれかであることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項1において、前記減摩手段として、前記クランクピンの表面と、前記ブッシュにおける前記クランクピンのための前記受け入れ部分の内面との少なくとも一方に、潤滑油を内部へ導く潤滑油溝が形成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項1ないし7のいずれかにおいて、前記シャフトに連結される動力源として、電動モーターが前記ハウジングに一体化されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項1ないし8のいずれかにおいて、それ自体が冷凍サイクルにおいて冷媒を圧縮する冷媒圧縮機として適用されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
- 請求項9において、冷媒をその臨界圧力以上の高さの圧力まで圧縮し得るように構成されていることを特徴とするスクロール型圧縮機。
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