JP2004292907A - 電解処理装置および半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で均一な面内膜厚分布を実現できる電解処理装置を提供する。
【解決手段】電解処理装置は、電解漕(1)と、電解漕内で基板を保持する保持部(2)と、基板に負電位を印加するカソード端子(5)と、電解漕内で垂直方向に伸びる垂直型のアノード電極(10)とを備え、保持部は、基板の中心がアノード電極の長手方向の軸上に位置するように基板を保持する。アノード電極は、互いに絶縁された複数の電極部分から構成される。複数の電極部分のうち、基板に近い側に位置する電極部分は、基板から遠い側に位置する電極部分よりも高い電圧を有する。
【選択図】 図3
【解決手段】電解処理装置は、電解漕(1)と、電解漕内で基板を保持する保持部(2)と、基板に負電位を印加するカソード端子(5)と、電解漕内で垂直方向に伸びる垂直型のアノード電極(10)とを備え、保持部は、基板の中心がアノード電極の長手方向の軸上に位置するように基板を保持する。アノード電極は、互いに絶縁された複数の電極部分から構成される。複数の電極部分のうち、基板に近い側に位置する電極部分は、基板から遠い側に位置する電極部分よりも高い電圧を有する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解処理装置に関し、特に半導体製造工程で使用される電解めっき装置と、これを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIウエハプロセスの配線形成に、電解処理による銅(Cu)めっきが利用されている。LSI基板の配線をダマシン法で形成する場合、絶縁層に形成した配線溝や接続孔の埋め込みが必要となるが、このような埋め込み工程で、低コストで埋め込み性に優れためっき技術が採用されている。めっき法の中でも、外部から供給する電流により抵抗の低い銅(Cu)を析出させる電解めっきがLSI多層配線プロセスに導入されている。
【0003】
図1は一般的な電解めっき装置の概略図である。供給管110からめっき液111が供給されて、めっき漕101を満たしている。ホルダ105によりウエハ106が保持され、フェイスダウンでめっき液111に浸漬される。図示しないカソード電極からコンタクト107を介して、ウエハ106の外周部にマイナス電位が印加される。一方、めっき漕101の底部に配置されたアノード電極104にはプラス電位が印加される。これにより、めっき漕101内のめっき液111を介して、アノード電極104からウエハ106まで電流が流れ、めっき液に含まれる陽イオンである金属イオン(たとえばCuイオン)がウエハ106の表面に引き寄せられる。ウエハ106はマイナス電位の印加によりその表面で電子を受け取り、この結果、ウエハ106表面に金属膜が析出する。
【0004】
しかし、図1に示す電解めっき装置では、ウエハ106の外周部においてマイナス電位が印加されるので、ウエハ106の中心部と外周部の間に電位差が生じてしまう。したがって、電流の集中が発生するウエハの外周部で析出する金属膜(めっき層)が厚くなるという問題があった。
【0005】
とくにダマシン工程において配線溝を電解めっきで埋め込む場合、単にウエハ上でめっきの膜厚が不均一になるだけでなく、配線溝の埋め込み性が不均一になってしまう。埋め込み性の不均一性は、図1(b)に示すように、ボイド発生の原因となる。通常、ウエハ106上へのめっき層の形成に先立って、所定の配線溝131を形成し、配線溝131の内壁およびウエハ106の表面を覆って、薄いめっきシード層132が形成される。めっきシード層132で覆われたウエハ106をめっき液に浸漬すると、矢印で示すように、ウエハ106の表面だけではなく、配線溝131の底部や側面からも金属膜(めっき層)が成長する。このとき、成長するめっき層133の膜厚が不均一だと配線溝131の埋め込み性がばらつき、配線溝131の内部にボイド135が生じる。
【0006】
金属膜(めっき層)の膜厚の均一化を図るため、アノード電極からウエハに流れる電流密度をウエハ表面で均一にする試みが提案されている(たとえば特許文献1および2参照)。電流密度を均一にする具体的な手法として、図2(a)に示すように、めっき漕101に設置されたアノード電極104と、ホルダ105に保持されたウエハ106の間に、補助電極112を挿入する。補助電極12には、めっき液を通過させるための孔113が形成されている。補助電極112は、ウエハ106の中央部分と対向するように設置され、プラスの電位が印加される。これにより、ウエハ106表面での電界が全体的に均一となるように制御される。
【0007】
あるいは、図2(b)に示すように、めっき漕101内に設置されたアノード電極104とウエハ106の間に、めっき液111よりも電気伝導率の小さい高抵抗構造体122を挿入することによって、全体にわたって大きな抵抗を生じさせる。これにより、ウエハ106の周辺部と中央部の抵抗差が相対的に小さくなり(周辺部と中央部の抵抗比が1に近づき)、ウエハ表面での電流密度がより均一になる。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−26937号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2002−16155号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、めっき漕の内部において、アノード電極とウエハの間に新たな物体を挿入するのは構造的に難点がある。図2(a)の場合は、めっき液流通孔が設けられているとはいえ、めっき漕の中央に電極を挿入することによって、めっき液の対流が阻害され、めっき層の膜厚に別の影響が生じる。図2(b)の場合は、ウエハ106での電位差に比べてかなり高い抵抗の抵抗体を挿入することによって電流密度差をほぼ一定に制御するが、抵抗の増大を補うために、めっき液そのものの導電性を高める、印加電圧を高める、などの別の工夫が必要となる。
【0011】
また別の問題として、図2(a)の構造では、ウエハ外周部におけるカソード電極とのコンタクト107がめっき液111にさらされるため、めっきの使用回数が増えるにつれて、結晶化した硫酸銅が析出してしまう。この結果、コンタクト107からパーティクルが発生し、めっき膜中やウエハ表面に取り込まれてしまうという問題がある。とくに、ウエハ外周に隣接するチップ領域へのパーティクルの付着は、動作の信頼性の観点から問題となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、めっき漕内に新たな構造体を挿入することなく、簡単な構成でウエハ表面での電流密度の均一化を図ることのできる電界処理装置の提供を目的とする。
【0013】
また、ウエハ上へのパーティクルの付着、混入を防止することのできる電界処理装置の提供を目的とする。
【0014】
上記の目的を達成するために、めっき漕内に設置されるアノード電極を、垂直型電極とし、垂直型電極の一方の端部をウエハ中心と対向するように配置する。
【0015】
また、垂直電極を、互いに絶縁された2以上の電極部分から構成し、各電極部分に異なる電圧を印加することによって、ウエハ表面での電流密度をほぼ一定になるように調整する。
【0016】
さらに、ウエハとカソード電極コンタクトとの新規な接触構造を導入する。
【0017】
具体的には、本発明の第1の側面では、電解処理装置は、電解漕と、電解漕内で基板を保持する保持部と、基板に負電位を印加するカソード端子と、電解漕内で垂直方向に伸びる垂直型のアノード電極とを備え、保持部は、基板の中心がアノード電極の長手方向の軸上に位置するように基板を保持する。
【0018】
この構成では、基板の中心に対向する垂直型アノード電極の端部から基板までの距離が、基板中央部で最も近くなり、電流が集中しやすい基板外周に向かうほど距離が長くなる。すなわち、基板上での電位差を、基板までの距離の差で補うことができる。結果として、基板上にほぼ均一な膜厚でめっき層を形成することができる。
【0019】
アノード電極は、たとえば棒状の電極であり、長手方向に互いに絶縁された複数の電極部分から構成される。
【0020】
複数の電極部分のうち、基板に近い電極部分は、基板から遠い電極部分よりも高い電圧を有する。これにより、ウエハ外周に比べて電流密度が低くなりがちなウエハ中央部への電界を補強し、全体としてウエハ表面での電流密度がほぼ均一になるように制御する。
【0021】
アノード電極は、半径方向に互いに絶縁された複数の電極部分から成る円柱状の電極であってもよい。この場合は、中心に近い位置の電極部分に、外周側の電極部分よりも高い電圧を印加するのが望ましい。
【0022】
基板の保持部は、基板のエッジをベベル接触で保持するベベル部を有し、このベベル部がカソード端子として機能する。あるいは、保持部は、基板の裏面が電解液に接触しないように封止保持する封止部を有し、カソード端子は、基板の裏面と接触する。このような構成により、カソード端子が電解液に接触するのを防止、あるいは最小限に抑え、基板処理面へのパーティクルの付着や、導電層内部へのパーティクルの取り込みを防止することができる。
【0023】
電解漕は電解液を供給する供給口を有し、供給口は電解漕の底部で、前記アノード電極下端の周囲に位置する。これによりアノード電極表面に沿った電解液の流速がアノード電極から離れた位置での流速に比較して早くなり、基板中央部での導電層の形成が促進される。
【0024】
本発明の第2の側面では、上述した電解処理装置を用いた半導体装置の製造方法を提供する。半導体装置の製造方法は、以下の工程を含む。
(a)半導体ウエハの処理面と、少なくとも裏面の外周部とに導電性のシード層を形成する。
(b)半導体ウエハの中心が電解漕内で垂直に延びるアノード電極の延長線上に位置するように保持して、半導体ウエハの処理面を電解処理液に浸漬する。
(c)アノード電極に正電位を印加し、半導体ウエハに負電位を印加して、処理面に導電層を形成する。
(d)導電層を研磨して、所定の配線を形成する。
【0025】
この方法によれば、ウエハの中心を、ウエハに対して垂直に延びるアノード電極の端部に対向させて電解処理するので、アノード電極からウエハ中心部までの距離が、アノード電極からウエハ外周までの距離と比較して短くなり、ウエハ外周への電流集中の傾向を補償することができる。結果として、導電層をウエハ全体にわたってほぼ均一に形成することができる。
【0026】
好ましくは、半導体ウエハへの負電位の印加は、ウエハ裏面へのカソード端子の接触により行う。これにより、ウエハ処理面へのパーティクルの付着を防止することができる。
【0027】
また、アノード電極を長手方向に互いに絶縁された複数の電極部分で構成し、ウエハに近い側に位置する電極部分に、ウエハから遠い側に位置する電極部分よりも高い電圧を印加する。これにより、ウエハ中心部に向かう電界を補強し、ウエハ表面での電流密度を全体として均一にする。
【0028】
本発明のその他の特徴、効果は、以下で図面を参照して述べる詳細な説明によりいっそう明確になる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図3(a)は、本発明の一実施形態に係る電界処理装置の概略構成図、図3(b)は、電界処理装置の底部の拡大図である。本実施形態では、処理基板であるシリコンウエハ上に銅(Cu)膜をめっき形成するめっき処理装置を例にとって説明する。シリコンウエハにはあらかじめ下層の回路素子が形成されており、積層された絶縁膜に配線溝や、必要に応じてコンタクトホールが形成されているものとする。
【0030】
めっき装置は、めっき漕1と、めっき漕1内でウエハ6を保持するホルダヘッド2と、ウエハ6にマイナス電位を印加するカソード端子5と、めっき漕1内で垂直方向に伸びる垂直型のアノード電極10を備え、ホルダヘッド2は、ウエハ6の中心がアノード電極10の長手方向の軸上に位置するようにウエハ6を保持する。
【0031】
めっき漕1の内部には、銅イオンと硫化物イオンとを含有する硫酸銅ベースのめっき液(電解液)8が満たされている。めっき液8は、めっき漕1の底部1aに接続されるめっき液供給管4から供給される。アノード電極10は、たとえば直径10mm、長さ10cmの棒状の銅(Cu)電極であり、めっき漕1の底部1aから上方に向かって垂直に伸びている。ホルダヘッド2は、アノード電極10の上端部にウエハ6の中心が対向するようにウエハ6を保持し、ウエハ6の処理面(シード層7で全面被覆された面)を下方に向けて、めっき液8に浸漬する。ホルダヘッド2は、図示しない駆動機構により、上下移動および回転移動が可能である。
【0032】
アノード電極10は、長手方向(すなわち図3の構成例では垂直方向)に互いに絶縁された2つの電極部分10a、10bを有し、電極部分10a、10bにそれぞれ独立して電圧を印加することができる。アノード電極10は、ゴム、セラミクスなどの絶縁体で構成される仕切り部11により分割されている。アノード電極10のうち、ウエハ6に近い側に位置する電極部分10aに印加される電圧は、ウエハ6から遠い側に位置する電極部分10bに印加される電圧よりも高く設定される。たとえば、電極部分10aに、電極部分10bに印加する電圧の1.5倍の電圧を印加するが、この値は、ウエハサイズ、めっき液の濃度、アノード電極10の長さなどに応じて適宜変更される。本実施形態では、アノード電極10の電極部分10aに3Vの電圧を印加し、電極部分10bに2Vの電圧を印加する。
【0033】
アノード電極10の上端部とウエハ6の中心との間の距離は、200mmのシリコンウエハを用い、上述した長さのアノード電極と電圧条件のときに、5cmとする。もちろんこの距離は、アノード電圧、カソード電圧、めっき液濃度、ウエハサイズなどを総合的に勘案して、ウエハ6上に形成されるCuめっき層の面内均一性が最もよくなるように設定される。300mmウエハを用いた場合は、ウエハ中心付近と外周部分の間の抵抗がより大きくなるので、ウエハ位置をアノード電極10にさらに近づける。ウエハ6の位置は、ホルダヘッド2の高さを調整することで変更可能である。
【0034】
ホルダヘッド2は、ウエハ6を安定保持するためのウエハ押さえ3と、ウエハ6の外周に接触するカソード端子5を有する。フェイスダウンの場合、ウエハ押さえ3により上方から加圧することで、ウエハ6の外周部の約2mmの領域でカソード端子5をウエハ6に接触させることができる。電界処理中は、ホルダヘッド2はウエハ6を定位置で水平保持したまま回転し、ウエハ6の処理面6a上にまんべんなくめっき層を形成する。
【0035】
図3(b)は、図3(a)のめっき処理装置の底面構成を示す図である。アノード電極10の電極部分10bが底面から垂直方向に突出し、めっき液供給管4の供給口4aが、アノード電極10の下端の周囲に配置されている。このような供給口4aの配置により、めっき液8はアノード電極10の側面に沿って上方に流れる。アノード電極10の表面に沿った流速は、アノード電極10から離れた部分での流速に比較して速くなり、アノード電極10に対向するウエハ6の中心付近でのめっき層7の形成が、外周部分よりも促進される。
【0036】
図4は、棒状の垂直アノード電極10を用いた場合の面内均一性の実現を説明するための図である。アノード電極10の上端からの距離をLとすると、ウエハ6の中心とアノード電極との間の距離L1が最短となる。距離Lはウエハ6の外周に向かうにつれて長くなり、外周部ではL2となる。距離Lに比例して、アノード電極10の上端部とウエハ表面との間のめっき液の抵抗Rも、ウエハ外周へ向かうほど増大する。アノード電極10とウエハ6の中心との間の抵抗をR1、アノード電極とウエハ6の外周との間の抵抗をR2とすると、R2−R1の抵抗差が生じる。一方、ウエハ6の外周部と中心の間の導体層には抵抗R3が存在する。そこで、抵抗R2とR1との差が、ウエハ上に存在する抵抗R3を補償するように距離L1、L2を設定することにより、ウエハ6の表面での電流密度をほぼ一定にすることができる。上述したように、距離L1の値はめっき液の濃度、印加電圧、ウエハサイズに依存し、これらのパラメータを考慮して最適な値に設定すればよい。
【0037】
図4(b)は、長手方向に3つの独立した電極部分10a〜10cを有するアノード電極10の構成例を示す。各電極部分10a〜10cは、ゴム、セラミクスなどの絶縁体で構成される仕切り部11により、互いに電気的に絶縁されている。3分割構成とした場合、たとえば、上側の電極部分10aに4Vを印加し、真ん中の電極部分10bに3Vを印加し、下側の電極部分10cに2Vを印加する。ウエハ6と各電極部分10a〜10cとの間に、上述した距離と抵抗の関係がそれぞれ成立する。したがって、各電極部分10a〜10cの印加電圧を独立して調整することで、ウエハ6の表面に生じるトータルの電流密度をより細かに調整することが可能になり、面内均一性を精度よく制御できる。
【0038】
このような3分割の垂直型アノード電極10を用いて、200mmのウエハに導電層としてのCuめっき層を形成し、ウエハ上の49点で抵抗を測定した。抵抗値から膜厚を換算し、面内分布を求めた。図1(a)に示した水平型のアノード電極104を用いた場合の3σが5%前後であったのに対し、本実施形態の垂直型アノード電極10を用いると、膜厚分布(3σ)が2%程度にまで改善された。アノード電極10の分割数を増やし、印加電圧をより細かく調整することにより、面内均一性はさらに改善されると予測される。
【0039】
図5は、図3に示しためっき処理装置の変形例を示し、図5(a)はめっき処理装置の概略構成図、図5(b)はホルダヘッド22の拡大図である。
【0040】
この変形例では、めっき液中でのウエハ6とカソード端子との接触を最小限にする。ホルダヘッド22は、ウエハ6のエッジをベベル接触で保持するカソード端子(ベベル端子)23を有する。カソード電極23はウエハ6のエッジとベベル接触するだけなので、めっき液中でウエハ処理面6bの表面領域とはほとんど接触しない。したがって、カソード端子(ベベル端子)23とチップ領域との間に、素子が形成されない4〜5mmのエッジ領域をそのまま介在させることができ、チップ領域へのパーティクルの付着や巻き込みを抑制することができる。
【0041】
ベベル接触によりウエハ6に確実にマイナス電位を印加するために、ウエハ6の処理面6aだけではなく、裏面6bの少なくとも外周にもシード層7を形成しておく。ウエハ裏面6bの外周にシード層7を形成するために、シード層7のスパッタリング工程で、ウエハ6を静電保持するウエハステージの直径を、ウエハ6の直径よりも小さく設定する。これによりCuターゲットから飛び出したイオンがウエハ裏面6bにも回りこみ、裏面外周にもシード層7が形成される。
【0042】
図6は、図3に示しためっき処理装置の別の変形例を示し、図6(a)はめっき処理装置の概略構成図、図6(b)はホルダヘッド32の拡大図である。
【0043】
図6の例では、ホルダヘッド32は、ウエハ6のエッジ近傍でウエハ処理面6aを支持する支持部33と、支持部33とウエハ処理面6aとの間を封止保持するシール材34と、ウエハ6の裏面6bに接触するカソード端子35とを有する。シール材34により、ウエハ6の裏面6bがめっき液8と接触することを防止する。カソード端子35は、めっき液との接触なしにウエハ6にマイナス電位を印加する。したがって、カソード端子とめっき液との接触に起因するパーティクルの析出自体が防止され、チップ動作の信頼性が確保される。
【0044】
図7は、本発明の電解処理装置で使用されるホルダヘッドのさらに別の変形例を示す図である。ホルダヘッド42は、ウエハ6を安定保持するウエハ押さえ43を有する。ウエハ押さえ43のウエハ6と接触する面(図7の例では下面)の一部または全部が、カソード電極44となっている。カソード電極44は、たとえばウエハ6の裏面外周に沿ったリング状の電極であってもよいし、ウエハ6の裏面全体と接触する円形の電極であってもよい。
【0045】
ホルダヘッド42は、支持部33とシール材34を有し、ウエハ裏面に接するカソード電極44がめっき液8と接触しない構成となっている。これにより、カソード端子とめっき液8との接触に起因するパーティクルの析出自体が防止され、チップ動作の信頼性が確保される。
【0046】
図8は、本発明のめっき処理装置で使用されるアノード電極の構成例を示す図である。本発明のアノード電極は、めっき漕内でウエハに対向するよう垂直に延び、絶縁物で分割された複数の部分に分かれるが、このような構成のバリエーションをいくつか示す。
【0047】
図8(a)に示すアノード電極70は、幅広の第1円柱の外周に沿った第1電極部分70bと、第1円柱の中心から垂直方向に延びる棒状の第2電極部分70aを有する。第1電極部分70bと第2電極部分70aとの間は、絶縁材料から成るしきり部71で隔てられている。棒状の第2電極部分70aは、ウエハと近い位置でウエハ中心部と対向し、第1電極部分70bは、ウエハから離れた位置でウエハ外周と対向する。したがって、第2電極部分70aの長さと、第1電極部分70bの直径および高さを調節することによって、2つの電極部分70a、70bに同じ電圧を印加しつつ、ウエハ上に形成されるめっき層の厚さを均一にすることができる。もちろん、第1電極部分70bと第2電極部分70aのそれぞれに異なる電圧を印加することによって、ウエハ上に形成されるめっき層を均一にしてもよい。
【0048】
図8(b)に示すアノード電極70は、同心円状の絶縁仕切り部71で半径方向に沿って分割された複数の電極部分70a、70bを有する。この構成では、中心よりの電極部分70aに、外側の電極部分70よりも高い電圧をかけることによって、ウエハ上に形成されるめっき層の厚さを均一にすることができる。
【0049】
もっとも、図7に示したホルダヘッドの構成で、カソード電極44がウエハ裏面全体と接触する場合は、電極部分70aおよび70bに同じ電圧を印加してもよい。
【0050】
図8(c)は、図8(b)のタイプBのアノード電極70をさらに変形させたものである。タイプBのアノード電極では、同心円状の絶縁層71に対応するウエハ領域で、めっき層の付着が不十分になるおそれがある。そこで、図8(c)に示すタイプCでは、アノード電極を半径方向に分割するとともに、円周方向に沿っても複数部分に分割する。円柱の中心に第1電極部分70aが位置し、その外側に、円周に沿って2つに分割された第2電極部分70bが位置する。さらにその外側に、円周に沿って分割される第3電極部分70c、最外側に第4電極部分70dが位置する。第1〜第4電極部分70a〜70dの各々は絶縁性の仕切り部71で隔てられている。ウエハは、ホルダヘッドにより回転保持されているので、図8(c)のように、アノード電極70を半径方向に分割するとともに円周方向にも分割することによって、ウエハ上でめっき付着が不十分な領域が発生するのを防止する。
【0051】
図8(a)〜8(c)のいずれのタイプにおいても、図3に示すように高さ方向(垂直方向)にさらに分割してもよい。また、これらのアノード電極は図5〜7に示したホルダヘッドのいずれの構成とも組み合わせ可能である。
【0052】
図9は、本発明のめっき処理装置の変形例を示す。図9の例では、めっき処理装置は、アノード電極80を上下方向(垂直方向)に移動可能にする上下可動機構85を有する。前述したように、ウエハ6を保持するホルダヘッド2は、回転可能であるとともに上下移動可能であるが、アノード電極80を上下移動可能とした場合、ホルダヘッド2の上下位置は固定とすることができる。また、ホルダヘッド2とアノード電極80の双方を上下移動可能とした場合は、アノード電極80からウエハ6のめっき形成面までの距離を微調整することができる。結果として、ウエハ上に形成されるめっき層の膜厚をさらに均一にすることができる。
【0053】
図9の例では、絶縁層81によって垂直方向に分割されたアノード電極80を示しているが、上下可動機構は図8(a)〜8(c)に示すいずれの電極タイプと組み合わせ可能であることは言うまでもない。
【0054】
図10は、本発明のめっき処理装置のさらに別の構成例を示す図である。図10の例では、めっき処理装置は、ウエハ6とアノード電極90との間に挿入されるシャッター機構95を有する。シャッター機構95を設けることによって、ウエハ6と対向するアノード電極90の面積を可変にできる。ウエハ6と対向するアノード電極90の面積を変えることによって、ウエハ6上の各位置での電位を調整することができる。シャッター機構95と、アノード電極90の分割構成を組み合わせることによって、ウエハ6上に形成されるめっき層の膜厚をさらに均一にできる。
【0055】
図10の例では、垂直方向に3つの電極部分90a、90b、90cに分割されたアノード電極90を示しているが、図8(a)〜8(c)に示したいずれのアノード電極もシャッター機構95と組み合わせ可能なことは言うまでもない。
【0056】
図11は、本発明の電解処理装置を用いて、上部配線層を電界めっきにより形成したLSI基板の構成例を示す。シリコン基板151上に、LOCOS酸化膜などの素子分離領域152で区画された領域にトランジスタTrが形成されている。トランジスタTrは、ゲート酸化膜149を介して形成されたゲート電極150と、その両側のシリコン基板151に拡がるソース・ドレイン不純物拡散領域を有する。トランジスタTrの一方のソース・ドレイン拡散領域153は、層間絶縁膜157aを貫通するコンタクト154を介して、配線156に接続されている。層間絶縁膜151a、151b、151cと、各絶縁膜上に形成された配線156とで多層配線構造155を構成する。多層配線構造155において、異なる層間の配線はコンタクト152により接続されている。
【0057】
最上層の絶縁膜157cには、たとえば幅0.14μm、深さ0.3μmの配線溝160aや、配線溝160aとコンタクトホール160bとを組み合わせた溝163が形成されている。溝160a、150bの内部および絶縁膜157cの表面を覆って、膜厚5〜100nmのめっきシード層(Cuシード層)159が形成されている。めっきシード層159上には、1μmの厚さのめっき層161が形成されている。
【0058】
このようなLSI基板の製造方法としては、シリコン基板151の処理面(絶縁膜157の表面)と、シリコン基板裏面の少なくとも外周部とにCuシード層159を形成する。シリコン基板151の中心がめっき漕内で垂直に延びるアノード電極(図3参照)の延長線上に位置するように保持して、シリコン基板151の処理面をめっき液に浸漬する。アノード電極に正電位を印加し、シリコン基板に負電位を印加して、処理面にめっき層161を形成する。めっき層161を研磨して所定の配線が完成する。
【0059】
図3のめっき処理装置を用いることによって、LSI基板の中心から外周部にわたって全体に均一な厚さのCuめっき層161が形成される。溝160a、163の内部の埋め込み性も良好であり、溝内でのボイドの発生もない。
【0060】
溝163は、デュアルダマシン法により、配線溝160aとコンタクトホール106とを同時に埋め込むのが望ましい。本発明のめっき処理装置は、めっき層の膜厚の均一性とともに、溝の埋め込み性も向上できるので、デュアルダマシン法に十分に対応できる。
【0061】
上述した実施形態では、LSIプロセスにおける配線形成を例にとって説明したが、本発明の電解処理装置はLSIチップの配線形成に限定されず、パッケージ基板、プリント配線基板、多層配線板、同軸配線内蔵基板など、任意の基板上への配線形成に適用される。いずれの場合も、基板全面にわたって埋め込みの均一性が実現され、ボイド等の欠陥の発生を抑制することができる。
【0062】
また、アノード電極を基板の下方に配置し、ウエハをフェイスダウンで保持する構成を例にとって説明したが、ウエハを下方に支持し、垂直型アノード電極をウエハの中心軸の延長上の上方に配置する構成としてもよい。この場合、めっき液の供給はめっき漕の上部から行う。
【0063】
最後に、以上の説明に関して、以下の付記を開示する。
(付記1) 電解漕と、
電解漕内で基板を保持する保持部と、
基板に負電位を印加するカソード端子と、
電解漕内で垂直方向に伸びる垂直型のアノード電極と
を備え、前記保持部は、基板の中心が前記アノード電極の長手方向の軸上に位置するように基板を保持することを特徴とする電解処理装置。
(付記2) 前記アノード電極は、長手方向に互いに絶縁された複数の電極部分から構成されることを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記3) 前記複数の電極部分のうち、基板に近い側に位置する電極部分は、基板から遠い側に位置する電極部分よりも高い電圧を有することを特徴とする付記2に記載の電解処理装置。
(付記4) 前記保持部は、基板のエッジをベベル接触で保持するベベル部を有し、前記ベベル部がカソード端子として機能することを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の電解処理装置。
(付記5) 前記保持部は、前記基板の裏面が電解液に接触しないように封止保持する封止部を有し、前記カソード端子は、前記基板の裏面に接続されることを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の電解処理装置。
(付記6) 前記電解漕は電解液を供給する供給口を有し、前記供給口は前記電解漕の底部で、前記アノード電極下端の周囲に位置することを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記7) 前記保持部は、前記基板を回転させる回転機構を有することを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記8) 前記基板とアノード電極との間に位置するシャッター機構をさらに有し、前記シャッター機構により、前記基板に対するアノード電極の面積を可変にすることを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記9) 前記アノード電極は、半径方向に沿って互いに絶縁された複数の電極部分から構成されることを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記10) 前記複数の電極部分のうち、アノード電極の中心に近い側に位置する電極部分は、中心から遠い側に位置する電極部分よりも高い電圧を有することを特徴とする付記9に記載の電解処理装置。
(付記11) 前記アノード電極は、上下方向に移動可能な可動機構を有することを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記12) 前記カソード端子は、前記基板の表面外周部に接触することを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記13) 前記カソード端子は、前記基板裏面の外周部に接触することを特徴とする付記5に記載の電解処理装置。
(付記14) 半導体ウエハの処理面と、裏面の少なくとも外周部とに導電性のシード層を形成する工程と、
前記半導体ウエハの中心が電解漕内で垂直に延びるアノード電極の延長線上に位置するように保持して、前記半導体ウエハの処理面を電解処理液に浸漬する工程と、
アノード電極に正電位を印加し、半導体ウエハに負電位を印加して、処理面に導電層を形成する工程と
導電層を研磨して所定の配線を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記15) 前記半導体ウエハへの負電位の印加は、ウエハ裏面にカソード端子を接触させることにより行うことを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記16) 前記アノード電極を垂直方向に互いに絶縁された複数の電極部で構成し、前記基板に近い側に位置する電極部に、前記基板から遠い側に位置する電極部よりも高い電圧を印加する工程をさらに含むことを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記17) 前記シード層の形成に先立って、半導体ウエハの処理面に所定の配線溝を形成する工程をさらに含むことを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記18) 基板の処理面と、裏面の少なくとも外周部とに導電性のシード層を形成する工程と、
前記基板の中心が電解漕内で垂直に延びるアノード電極の延長線上に位置するように保持して、前記基板の処理面を電解処理液に浸漬する工程と、
前記アノード電極に正電位を印加し、前記基板に負電位を印加して、前記処理面に導電層を形成する工程と
前記導電層を研磨して所定の配線を形成する工程と
を含むことを特徴とする配線基板の作製方法。
【0064】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、基板全面にわたって埋め込みの均一性が実現され、ボイド等の欠陥の発生を抑制することができる。
【0065】
また、カソード電極コンタクト近傍の基板へのパーティクルの付着や、めっき層内へのパーティクルの侵入を防止することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の問題を説明するための図である。
【図2】めっき層の膜厚の均一化を図る電解処理装置の構成例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電解処理装置の概略構成図である。
【図4】図3のめっき処理装置で用いる垂直型電極を説明するための図である。
【図5】図3のめっき処理装置で用いるホルダヘッドの変形例を示す図である。
【図6】図3のめっき処理装置で用いるホルダヘッドの変形例1を示す図である。
【図7】図3のめっき処理装置で用いるホルダヘッドの変形例2を示す図である。
【図8】本発明のめっき処理装置で用いるアノード電極の構成例を示す図である。
【図9】本発明のめっき処理装置の変形例を示す図である。
【図10】本発明のめっき処理装置の別の変形例を示す図である。
【図11】図3の電解処理装置により、LSI基板の上部配線用にめっき層を形成した例を示す図である。
【符号の説明】
1 めっき漕(電解漕)
2、22、32、42 ホルダヘッド(保持部)
3、43 ウエハ押さえ
4 めっき液供給管(電解液供給管)
4a 供給口
5、35、44 カソード端子(カソード電極)
6 シリコンウエハ(基板)
7、161 めっきシード層
8 めっき液(電解液)
10、70、80 アノード電極
11、71、81、 絶縁仕切り部
23 ベベル端子(カソード端子)
34 シール材(封止部)
33 ウエハ支持部
85 上下可動機構
95 シャッター機構
161 めっき層(導電層)
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解処理装置に関し、特に半導体製造工程で使用される電解めっき装置と、これを用いた半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIウエハプロセスの配線形成に、電解処理による銅(Cu)めっきが利用されている。LSI基板の配線をダマシン法で形成する場合、絶縁層に形成した配線溝や接続孔の埋め込みが必要となるが、このような埋め込み工程で、低コストで埋め込み性に優れためっき技術が採用されている。めっき法の中でも、外部から供給する電流により抵抗の低い銅(Cu)を析出させる電解めっきがLSI多層配線プロセスに導入されている。
【0003】
図1は一般的な電解めっき装置の概略図である。供給管110からめっき液111が供給されて、めっき漕101を満たしている。ホルダ105によりウエハ106が保持され、フェイスダウンでめっき液111に浸漬される。図示しないカソード電極からコンタクト107を介して、ウエハ106の外周部にマイナス電位が印加される。一方、めっき漕101の底部に配置されたアノード電極104にはプラス電位が印加される。これにより、めっき漕101内のめっき液111を介して、アノード電極104からウエハ106まで電流が流れ、めっき液に含まれる陽イオンである金属イオン(たとえばCuイオン)がウエハ106の表面に引き寄せられる。ウエハ106はマイナス電位の印加によりその表面で電子を受け取り、この結果、ウエハ106表面に金属膜が析出する。
【0004】
しかし、図1に示す電解めっき装置では、ウエハ106の外周部においてマイナス電位が印加されるので、ウエハ106の中心部と外周部の間に電位差が生じてしまう。したがって、電流の集中が発生するウエハの外周部で析出する金属膜(めっき層)が厚くなるという問題があった。
【0005】
とくにダマシン工程において配線溝を電解めっきで埋め込む場合、単にウエハ上でめっきの膜厚が不均一になるだけでなく、配線溝の埋め込み性が不均一になってしまう。埋め込み性の不均一性は、図1(b)に示すように、ボイド発生の原因となる。通常、ウエハ106上へのめっき層の形成に先立って、所定の配線溝131を形成し、配線溝131の内壁およびウエハ106の表面を覆って、薄いめっきシード層132が形成される。めっきシード層132で覆われたウエハ106をめっき液に浸漬すると、矢印で示すように、ウエハ106の表面だけではなく、配線溝131の底部や側面からも金属膜(めっき層)が成長する。このとき、成長するめっき層133の膜厚が不均一だと配線溝131の埋め込み性がばらつき、配線溝131の内部にボイド135が生じる。
【0006】
金属膜(めっき層)の膜厚の均一化を図るため、アノード電極からウエハに流れる電流密度をウエハ表面で均一にする試みが提案されている(たとえば特許文献1および2参照)。電流密度を均一にする具体的な手法として、図2(a)に示すように、めっき漕101に設置されたアノード電極104と、ホルダ105に保持されたウエハ106の間に、補助電極112を挿入する。補助電極12には、めっき液を通過させるための孔113が形成されている。補助電極112は、ウエハ106の中央部分と対向するように設置され、プラスの電位が印加される。これにより、ウエハ106表面での電界が全体的に均一となるように制御される。
【0007】
あるいは、図2(b)に示すように、めっき漕101内に設置されたアノード電極104とウエハ106の間に、めっき液111よりも電気伝導率の小さい高抵抗構造体122を挿入することによって、全体にわたって大きな抵抗を生じさせる。これにより、ウエハ106の周辺部と中央部の抵抗差が相対的に小さくなり(周辺部と中央部の抵抗比が1に近づき)、ウエハ表面での電流密度がより均一になる。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−26937号公報
【0009】
【特許文献2】
特開2002−16155号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、めっき漕の内部において、アノード電極とウエハの間に新たな物体を挿入するのは構造的に難点がある。図2(a)の場合は、めっき液流通孔が設けられているとはいえ、めっき漕の中央に電極を挿入することによって、めっき液の対流が阻害され、めっき層の膜厚に別の影響が生じる。図2(b)の場合は、ウエハ106での電位差に比べてかなり高い抵抗の抵抗体を挿入することによって電流密度差をほぼ一定に制御するが、抵抗の増大を補うために、めっき液そのものの導電性を高める、印加電圧を高める、などの別の工夫が必要となる。
【0011】
また別の問題として、図2(a)の構造では、ウエハ外周部におけるカソード電極とのコンタクト107がめっき液111にさらされるため、めっきの使用回数が増えるにつれて、結晶化した硫酸銅が析出してしまう。この結果、コンタクト107からパーティクルが発生し、めっき膜中やウエハ表面に取り込まれてしまうという問題がある。とくに、ウエハ外周に隣接するチップ領域へのパーティクルの付着は、動作の信頼性の観点から問題となる。
【0012】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は、めっき漕内に新たな構造体を挿入することなく、簡単な構成でウエハ表面での電流密度の均一化を図ることのできる電界処理装置の提供を目的とする。
【0013】
また、ウエハ上へのパーティクルの付着、混入を防止することのできる電界処理装置の提供を目的とする。
【0014】
上記の目的を達成するために、めっき漕内に設置されるアノード電極を、垂直型電極とし、垂直型電極の一方の端部をウエハ中心と対向するように配置する。
【0015】
また、垂直電極を、互いに絶縁された2以上の電極部分から構成し、各電極部分に異なる電圧を印加することによって、ウエハ表面での電流密度をほぼ一定になるように調整する。
【0016】
さらに、ウエハとカソード電極コンタクトとの新規な接触構造を導入する。
【0017】
具体的には、本発明の第1の側面では、電解処理装置は、電解漕と、電解漕内で基板を保持する保持部と、基板に負電位を印加するカソード端子と、電解漕内で垂直方向に伸びる垂直型のアノード電極とを備え、保持部は、基板の中心がアノード電極の長手方向の軸上に位置するように基板を保持する。
【0018】
この構成では、基板の中心に対向する垂直型アノード電極の端部から基板までの距離が、基板中央部で最も近くなり、電流が集中しやすい基板外周に向かうほど距離が長くなる。すなわち、基板上での電位差を、基板までの距離の差で補うことができる。結果として、基板上にほぼ均一な膜厚でめっき層を形成することができる。
【0019】
アノード電極は、たとえば棒状の電極であり、長手方向に互いに絶縁された複数の電極部分から構成される。
【0020】
複数の電極部分のうち、基板に近い電極部分は、基板から遠い電極部分よりも高い電圧を有する。これにより、ウエハ外周に比べて電流密度が低くなりがちなウエハ中央部への電界を補強し、全体としてウエハ表面での電流密度がほぼ均一になるように制御する。
【0021】
アノード電極は、半径方向に互いに絶縁された複数の電極部分から成る円柱状の電極であってもよい。この場合は、中心に近い位置の電極部分に、外周側の電極部分よりも高い電圧を印加するのが望ましい。
【0022】
基板の保持部は、基板のエッジをベベル接触で保持するベベル部を有し、このベベル部がカソード端子として機能する。あるいは、保持部は、基板の裏面が電解液に接触しないように封止保持する封止部を有し、カソード端子は、基板の裏面と接触する。このような構成により、カソード端子が電解液に接触するのを防止、あるいは最小限に抑え、基板処理面へのパーティクルの付着や、導電層内部へのパーティクルの取り込みを防止することができる。
【0023】
電解漕は電解液を供給する供給口を有し、供給口は電解漕の底部で、前記アノード電極下端の周囲に位置する。これによりアノード電極表面に沿った電解液の流速がアノード電極から離れた位置での流速に比較して早くなり、基板中央部での導電層の形成が促進される。
【0024】
本発明の第2の側面では、上述した電解処理装置を用いた半導体装置の製造方法を提供する。半導体装置の製造方法は、以下の工程を含む。
(a)半導体ウエハの処理面と、少なくとも裏面の外周部とに導電性のシード層を形成する。
(b)半導体ウエハの中心が電解漕内で垂直に延びるアノード電極の延長線上に位置するように保持して、半導体ウエハの処理面を電解処理液に浸漬する。
(c)アノード電極に正電位を印加し、半導体ウエハに負電位を印加して、処理面に導電層を形成する。
(d)導電層を研磨して、所定の配線を形成する。
【0025】
この方法によれば、ウエハの中心を、ウエハに対して垂直に延びるアノード電極の端部に対向させて電解処理するので、アノード電極からウエハ中心部までの距離が、アノード電極からウエハ外周までの距離と比較して短くなり、ウエハ外周への電流集中の傾向を補償することができる。結果として、導電層をウエハ全体にわたってほぼ均一に形成することができる。
【0026】
好ましくは、半導体ウエハへの負電位の印加は、ウエハ裏面へのカソード端子の接触により行う。これにより、ウエハ処理面へのパーティクルの付着を防止することができる。
【0027】
また、アノード電極を長手方向に互いに絶縁された複数の電極部分で構成し、ウエハに近い側に位置する電極部分に、ウエハから遠い側に位置する電極部分よりも高い電圧を印加する。これにより、ウエハ中心部に向かう電界を補強し、ウエハ表面での電流密度を全体として均一にする。
【0028】
本発明のその他の特徴、効果は、以下で図面を参照して述べる詳細な説明によりいっそう明確になる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図3(a)は、本発明の一実施形態に係る電界処理装置の概略構成図、図3(b)は、電界処理装置の底部の拡大図である。本実施形態では、処理基板であるシリコンウエハ上に銅(Cu)膜をめっき形成するめっき処理装置を例にとって説明する。シリコンウエハにはあらかじめ下層の回路素子が形成されており、積層された絶縁膜に配線溝や、必要に応じてコンタクトホールが形成されているものとする。
【0030】
めっき装置は、めっき漕1と、めっき漕1内でウエハ6を保持するホルダヘッド2と、ウエハ6にマイナス電位を印加するカソード端子5と、めっき漕1内で垂直方向に伸びる垂直型のアノード電極10を備え、ホルダヘッド2は、ウエハ6の中心がアノード電極10の長手方向の軸上に位置するようにウエハ6を保持する。
【0031】
めっき漕1の内部には、銅イオンと硫化物イオンとを含有する硫酸銅ベースのめっき液(電解液)8が満たされている。めっき液8は、めっき漕1の底部1aに接続されるめっき液供給管4から供給される。アノード電極10は、たとえば直径10mm、長さ10cmの棒状の銅(Cu)電極であり、めっき漕1の底部1aから上方に向かって垂直に伸びている。ホルダヘッド2は、アノード電極10の上端部にウエハ6の中心が対向するようにウエハ6を保持し、ウエハ6の処理面(シード層7で全面被覆された面)を下方に向けて、めっき液8に浸漬する。ホルダヘッド2は、図示しない駆動機構により、上下移動および回転移動が可能である。
【0032】
アノード電極10は、長手方向(すなわち図3の構成例では垂直方向)に互いに絶縁された2つの電極部分10a、10bを有し、電極部分10a、10bにそれぞれ独立して電圧を印加することができる。アノード電極10は、ゴム、セラミクスなどの絶縁体で構成される仕切り部11により分割されている。アノード電極10のうち、ウエハ6に近い側に位置する電極部分10aに印加される電圧は、ウエハ6から遠い側に位置する電極部分10bに印加される電圧よりも高く設定される。たとえば、電極部分10aに、電極部分10bに印加する電圧の1.5倍の電圧を印加するが、この値は、ウエハサイズ、めっき液の濃度、アノード電極10の長さなどに応じて適宜変更される。本実施形態では、アノード電極10の電極部分10aに3Vの電圧を印加し、電極部分10bに2Vの電圧を印加する。
【0033】
アノード電極10の上端部とウエハ6の中心との間の距離は、200mmのシリコンウエハを用い、上述した長さのアノード電極と電圧条件のときに、5cmとする。もちろんこの距離は、アノード電圧、カソード電圧、めっき液濃度、ウエハサイズなどを総合的に勘案して、ウエハ6上に形成されるCuめっき層の面内均一性が最もよくなるように設定される。300mmウエハを用いた場合は、ウエハ中心付近と外周部分の間の抵抗がより大きくなるので、ウエハ位置をアノード電極10にさらに近づける。ウエハ6の位置は、ホルダヘッド2の高さを調整することで変更可能である。
【0034】
ホルダヘッド2は、ウエハ6を安定保持するためのウエハ押さえ3と、ウエハ6の外周に接触するカソード端子5を有する。フェイスダウンの場合、ウエハ押さえ3により上方から加圧することで、ウエハ6の外周部の約2mmの領域でカソード端子5をウエハ6に接触させることができる。電界処理中は、ホルダヘッド2はウエハ6を定位置で水平保持したまま回転し、ウエハ6の処理面6a上にまんべんなくめっき層を形成する。
【0035】
図3(b)は、図3(a)のめっき処理装置の底面構成を示す図である。アノード電極10の電極部分10bが底面から垂直方向に突出し、めっき液供給管4の供給口4aが、アノード電極10の下端の周囲に配置されている。このような供給口4aの配置により、めっき液8はアノード電極10の側面に沿って上方に流れる。アノード電極10の表面に沿った流速は、アノード電極10から離れた部分での流速に比較して速くなり、アノード電極10に対向するウエハ6の中心付近でのめっき層7の形成が、外周部分よりも促進される。
【0036】
図4は、棒状の垂直アノード電極10を用いた場合の面内均一性の実現を説明するための図である。アノード電極10の上端からの距離をLとすると、ウエハ6の中心とアノード電極との間の距離L1が最短となる。距離Lはウエハ6の外周に向かうにつれて長くなり、外周部ではL2となる。距離Lに比例して、アノード電極10の上端部とウエハ表面との間のめっき液の抵抗Rも、ウエハ外周へ向かうほど増大する。アノード電極10とウエハ6の中心との間の抵抗をR1、アノード電極とウエハ6の外周との間の抵抗をR2とすると、R2−R1の抵抗差が生じる。一方、ウエハ6の外周部と中心の間の導体層には抵抗R3が存在する。そこで、抵抗R2とR1との差が、ウエハ上に存在する抵抗R3を補償するように距離L1、L2を設定することにより、ウエハ6の表面での電流密度をほぼ一定にすることができる。上述したように、距離L1の値はめっき液の濃度、印加電圧、ウエハサイズに依存し、これらのパラメータを考慮して最適な値に設定すればよい。
【0037】
図4(b)は、長手方向に3つの独立した電極部分10a〜10cを有するアノード電極10の構成例を示す。各電極部分10a〜10cは、ゴム、セラミクスなどの絶縁体で構成される仕切り部11により、互いに電気的に絶縁されている。3分割構成とした場合、たとえば、上側の電極部分10aに4Vを印加し、真ん中の電極部分10bに3Vを印加し、下側の電極部分10cに2Vを印加する。ウエハ6と各電極部分10a〜10cとの間に、上述した距離と抵抗の関係がそれぞれ成立する。したがって、各電極部分10a〜10cの印加電圧を独立して調整することで、ウエハ6の表面に生じるトータルの電流密度をより細かに調整することが可能になり、面内均一性を精度よく制御できる。
【0038】
このような3分割の垂直型アノード電極10を用いて、200mmのウエハに導電層としてのCuめっき層を形成し、ウエハ上の49点で抵抗を測定した。抵抗値から膜厚を換算し、面内分布を求めた。図1(a)に示した水平型のアノード電極104を用いた場合の3σが5%前後であったのに対し、本実施形態の垂直型アノード電極10を用いると、膜厚分布(3σ)が2%程度にまで改善された。アノード電極10の分割数を増やし、印加電圧をより細かく調整することにより、面内均一性はさらに改善されると予測される。
【0039】
図5は、図3に示しためっき処理装置の変形例を示し、図5(a)はめっき処理装置の概略構成図、図5(b)はホルダヘッド22の拡大図である。
【0040】
この変形例では、めっき液中でのウエハ6とカソード端子との接触を最小限にする。ホルダヘッド22は、ウエハ6のエッジをベベル接触で保持するカソード端子(ベベル端子)23を有する。カソード電極23はウエハ6のエッジとベベル接触するだけなので、めっき液中でウエハ処理面6bの表面領域とはほとんど接触しない。したがって、カソード端子(ベベル端子)23とチップ領域との間に、素子が形成されない4〜5mmのエッジ領域をそのまま介在させることができ、チップ領域へのパーティクルの付着や巻き込みを抑制することができる。
【0041】
ベベル接触によりウエハ6に確実にマイナス電位を印加するために、ウエハ6の処理面6aだけではなく、裏面6bの少なくとも外周にもシード層7を形成しておく。ウエハ裏面6bの外周にシード層7を形成するために、シード層7のスパッタリング工程で、ウエハ6を静電保持するウエハステージの直径を、ウエハ6の直径よりも小さく設定する。これによりCuターゲットから飛び出したイオンがウエハ裏面6bにも回りこみ、裏面外周にもシード層7が形成される。
【0042】
図6は、図3に示しためっき処理装置の別の変形例を示し、図6(a)はめっき処理装置の概略構成図、図6(b)はホルダヘッド32の拡大図である。
【0043】
図6の例では、ホルダヘッド32は、ウエハ6のエッジ近傍でウエハ処理面6aを支持する支持部33と、支持部33とウエハ処理面6aとの間を封止保持するシール材34と、ウエハ6の裏面6bに接触するカソード端子35とを有する。シール材34により、ウエハ6の裏面6bがめっき液8と接触することを防止する。カソード端子35は、めっき液との接触なしにウエハ6にマイナス電位を印加する。したがって、カソード端子とめっき液との接触に起因するパーティクルの析出自体が防止され、チップ動作の信頼性が確保される。
【0044】
図7は、本発明の電解処理装置で使用されるホルダヘッドのさらに別の変形例を示す図である。ホルダヘッド42は、ウエハ6を安定保持するウエハ押さえ43を有する。ウエハ押さえ43のウエハ6と接触する面(図7の例では下面)の一部または全部が、カソード電極44となっている。カソード電極44は、たとえばウエハ6の裏面外周に沿ったリング状の電極であってもよいし、ウエハ6の裏面全体と接触する円形の電極であってもよい。
【0045】
ホルダヘッド42は、支持部33とシール材34を有し、ウエハ裏面に接するカソード電極44がめっき液8と接触しない構成となっている。これにより、カソード端子とめっき液8との接触に起因するパーティクルの析出自体が防止され、チップ動作の信頼性が確保される。
【0046】
図8は、本発明のめっき処理装置で使用されるアノード電極の構成例を示す図である。本発明のアノード電極は、めっき漕内でウエハに対向するよう垂直に延び、絶縁物で分割された複数の部分に分かれるが、このような構成のバリエーションをいくつか示す。
【0047】
図8(a)に示すアノード電極70は、幅広の第1円柱の外周に沿った第1電極部分70bと、第1円柱の中心から垂直方向に延びる棒状の第2電極部分70aを有する。第1電極部分70bと第2電極部分70aとの間は、絶縁材料から成るしきり部71で隔てられている。棒状の第2電極部分70aは、ウエハと近い位置でウエハ中心部と対向し、第1電極部分70bは、ウエハから離れた位置でウエハ外周と対向する。したがって、第2電極部分70aの長さと、第1電極部分70bの直径および高さを調節することによって、2つの電極部分70a、70bに同じ電圧を印加しつつ、ウエハ上に形成されるめっき層の厚さを均一にすることができる。もちろん、第1電極部分70bと第2電極部分70aのそれぞれに異なる電圧を印加することによって、ウエハ上に形成されるめっき層を均一にしてもよい。
【0048】
図8(b)に示すアノード電極70は、同心円状の絶縁仕切り部71で半径方向に沿って分割された複数の電極部分70a、70bを有する。この構成では、中心よりの電極部分70aに、外側の電極部分70よりも高い電圧をかけることによって、ウエハ上に形成されるめっき層の厚さを均一にすることができる。
【0049】
もっとも、図7に示したホルダヘッドの構成で、カソード電極44がウエハ裏面全体と接触する場合は、電極部分70aおよび70bに同じ電圧を印加してもよい。
【0050】
図8(c)は、図8(b)のタイプBのアノード電極70をさらに変形させたものである。タイプBのアノード電極では、同心円状の絶縁層71に対応するウエハ領域で、めっき層の付着が不十分になるおそれがある。そこで、図8(c)に示すタイプCでは、アノード電極を半径方向に分割するとともに、円周方向に沿っても複数部分に分割する。円柱の中心に第1電極部分70aが位置し、その外側に、円周に沿って2つに分割された第2電極部分70bが位置する。さらにその外側に、円周に沿って分割される第3電極部分70c、最外側に第4電極部分70dが位置する。第1〜第4電極部分70a〜70dの各々は絶縁性の仕切り部71で隔てられている。ウエハは、ホルダヘッドにより回転保持されているので、図8(c)のように、アノード電極70を半径方向に分割するとともに円周方向にも分割することによって、ウエハ上でめっき付着が不十分な領域が発生するのを防止する。
【0051】
図8(a)〜8(c)のいずれのタイプにおいても、図3に示すように高さ方向(垂直方向)にさらに分割してもよい。また、これらのアノード電極は図5〜7に示したホルダヘッドのいずれの構成とも組み合わせ可能である。
【0052】
図9は、本発明のめっき処理装置の変形例を示す。図9の例では、めっき処理装置は、アノード電極80を上下方向(垂直方向)に移動可能にする上下可動機構85を有する。前述したように、ウエハ6を保持するホルダヘッド2は、回転可能であるとともに上下移動可能であるが、アノード電極80を上下移動可能とした場合、ホルダヘッド2の上下位置は固定とすることができる。また、ホルダヘッド2とアノード電極80の双方を上下移動可能とした場合は、アノード電極80からウエハ6のめっき形成面までの距離を微調整することができる。結果として、ウエハ上に形成されるめっき層の膜厚をさらに均一にすることができる。
【0053】
図9の例では、絶縁層81によって垂直方向に分割されたアノード電極80を示しているが、上下可動機構は図8(a)〜8(c)に示すいずれの電極タイプと組み合わせ可能であることは言うまでもない。
【0054】
図10は、本発明のめっき処理装置のさらに別の構成例を示す図である。図10の例では、めっき処理装置は、ウエハ6とアノード電極90との間に挿入されるシャッター機構95を有する。シャッター機構95を設けることによって、ウエハ6と対向するアノード電極90の面積を可変にできる。ウエハ6と対向するアノード電極90の面積を変えることによって、ウエハ6上の各位置での電位を調整することができる。シャッター機構95と、アノード電極90の分割構成を組み合わせることによって、ウエハ6上に形成されるめっき層の膜厚をさらに均一にできる。
【0055】
図10の例では、垂直方向に3つの電極部分90a、90b、90cに分割されたアノード電極90を示しているが、図8(a)〜8(c)に示したいずれのアノード電極もシャッター機構95と組み合わせ可能なことは言うまでもない。
【0056】
図11は、本発明の電解処理装置を用いて、上部配線層を電界めっきにより形成したLSI基板の構成例を示す。シリコン基板151上に、LOCOS酸化膜などの素子分離領域152で区画された領域にトランジスタTrが形成されている。トランジスタTrは、ゲート酸化膜149を介して形成されたゲート電極150と、その両側のシリコン基板151に拡がるソース・ドレイン不純物拡散領域を有する。トランジスタTrの一方のソース・ドレイン拡散領域153は、層間絶縁膜157aを貫通するコンタクト154を介して、配線156に接続されている。層間絶縁膜151a、151b、151cと、各絶縁膜上に形成された配線156とで多層配線構造155を構成する。多層配線構造155において、異なる層間の配線はコンタクト152により接続されている。
【0057】
最上層の絶縁膜157cには、たとえば幅0.14μm、深さ0.3μmの配線溝160aや、配線溝160aとコンタクトホール160bとを組み合わせた溝163が形成されている。溝160a、150bの内部および絶縁膜157cの表面を覆って、膜厚5〜100nmのめっきシード層(Cuシード層)159が形成されている。めっきシード層159上には、1μmの厚さのめっき層161が形成されている。
【0058】
このようなLSI基板の製造方法としては、シリコン基板151の処理面(絶縁膜157の表面)と、シリコン基板裏面の少なくとも外周部とにCuシード層159を形成する。シリコン基板151の中心がめっき漕内で垂直に延びるアノード電極(図3参照)の延長線上に位置するように保持して、シリコン基板151の処理面をめっき液に浸漬する。アノード電極に正電位を印加し、シリコン基板に負電位を印加して、処理面にめっき層161を形成する。めっき層161を研磨して所定の配線が完成する。
【0059】
図3のめっき処理装置を用いることによって、LSI基板の中心から外周部にわたって全体に均一な厚さのCuめっき層161が形成される。溝160a、163の内部の埋め込み性も良好であり、溝内でのボイドの発生もない。
【0060】
溝163は、デュアルダマシン法により、配線溝160aとコンタクトホール106とを同時に埋め込むのが望ましい。本発明のめっき処理装置は、めっき層の膜厚の均一性とともに、溝の埋め込み性も向上できるので、デュアルダマシン法に十分に対応できる。
【0061】
上述した実施形態では、LSIプロセスにおける配線形成を例にとって説明したが、本発明の電解処理装置はLSIチップの配線形成に限定されず、パッケージ基板、プリント配線基板、多層配線板、同軸配線内蔵基板など、任意の基板上への配線形成に適用される。いずれの場合も、基板全面にわたって埋め込みの均一性が実現され、ボイド等の欠陥の発生を抑制することができる。
【0062】
また、アノード電極を基板の下方に配置し、ウエハをフェイスダウンで保持する構成を例にとって説明したが、ウエハを下方に支持し、垂直型アノード電極をウエハの中心軸の延長上の上方に配置する構成としてもよい。この場合、めっき液の供給はめっき漕の上部から行う。
【0063】
最後に、以上の説明に関して、以下の付記を開示する。
(付記1) 電解漕と、
電解漕内で基板を保持する保持部と、
基板に負電位を印加するカソード端子と、
電解漕内で垂直方向に伸びる垂直型のアノード電極と
を備え、前記保持部は、基板の中心が前記アノード電極の長手方向の軸上に位置するように基板を保持することを特徴とする電解処理装置。
(付記2) 前記アノード電極は、長手方向に互いに絶縁された複数の電極部分から構成されることを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記3) 前記複数の電極部分のうち、基板に近い側に位置する電極部分は、基板から遠い側に位置する電極部分よりも高い電圧を有することを特徴とする付記2に記載の電解処理装置。
(付記4) 前記保持部は、基板のエッジをベベル接触で保持するベベル部を有し、前記ベベル部がカソード端子として機能することを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の電解処理装置。
(付記5) 前記保持部は、前記基板の裏面が電解液に接触しないように封止保持する封止部を有し、前記カソード端子は、前記基板の裏面に接続されることを特徴とする付記1〜3のいずれかに記載の電解処理装置。
(付記6) 前記電解漕は電解液を供給する供給口を有し、前記供給口は前記電解漕の底部で、前記アノード電極下端の周囲に位置することを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記7) 前記保持部は、前記基板を回転させる回転機構を有することを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記8) 前記基板とアノード電極との間に位置するシャッター機構をさらに有し、前記シャッター機構により、前記基板に対するアノード電極の面積を可変にすることを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記9) 前記アノード電極は、半径方向に沿って互いに絶縁された複数の電極部分から構成されることを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記10) 前記複数の電極部分のうち、アノード電極の中心に近い側に位置する電極部分は、中心から遠い側に位置する電極部分よりも高い電圧を有することを特徴とする付記9に記載の電解処理装置。
(付記11) 前記アノード電極は、上下方向に移動可能な可動機構を有することを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記12) 前記カソード端子は、前記基板の表面外周部に接触することを特徴とする付記1に記載の電解処理装置。
(付記13) 前記カソード端子は、前記基板裏面の外周部に接触することを特徴とする付記5に記載の電解処理装置。
(付記14) 半導体ウエハの処理面と、裏面の少なくとも外周部とに導電性のシード層を形成する工程と、
前記半導体ウエハの中心が電解漕内で垂直に延びるアノード電極の延長線上に位置するように保持して、前記半導体ウエハの処理面を電解処理液に浸漬する工程と、
アノード電極に正電位を印加し、半導体ウエハに負電位を印加して、処理面に導電層を形成する工程と
導電層を研磨して所定の配線を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記15) 前記半導体ウエハへの負電位の印加は、ウエハ裏面にカソード端子を接触させることにより行うことを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記16) 前記アノード電極を垂直方向に互いに絶縁された複数の電極部で構成し、前記基板に近い側に位置する電極部に、前記基板から遠い側に位置する電極部よりも高い電圧を印加する工程をさらに含むことを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記17) 前記シード層の形成に先立って、半導体ウエハの処理面に所定の配線溝を形成する工程をさらに含むことを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記18) 基板の処理面と、裏面の少なくとも外周部とに導電性のシード層を形成する工程と、
前記基板の中心が電解漕内で垂直に延びるアノード電極の延長線上に位置するように保持して、前記基板の処理面を電解処理液に浸漬する工程と、
前記アノード電極に正電位を印加し、前記基板に負電位を印加して、前記処理面に導電層を形成する工程と
前記導電層を研磨して所定の配線を形成する工程と
を含むことを特徴とする配線基板の作製方法。
【0064】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、基板全面にわたって埋め込みの均一性が実現され、ボイド等の欠陥の発生を抑制することができる。
【0065】
また、カソード電極コンタクト近傍の基板へのパーティクルの付着や、めっき層内へのパーティクルの侵入を防止することができる
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の問題を説明するための図である。
【図2】めっき層の膜厚の均一化を図る電解処理装置の構成例を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電解処理装置の概略構成図である。
【図4】図3のめっき処理装置で用いる垂直型電極を説明するための図である。
【図5】図3のめっき処理装置で用いるホルダヘッドの変形例を示す図である。
【図6】図3のめっき処理装置で用いるホルダヘッドの変形例1を示す図である。
【図7】図3のめっき処理装置で用いるホルダヘッドの変形例2を示す図である。
【図8】本発明のめっき処理装置で用いるアノード電極の構成例を示す図である。
【図9】本発明のめっき処理装置の変形例を示す図である。
【図10】本発明のめっき処理装置の別の変形例を示す図である。
【図11】図3の電解処理装置により、LSI基板の上部配線用にめっき層を形成した例を示す図である。
【符号の説明】
1 めっき漕(電解漕)
2、22、32、42 ホルダヘッド(保持部)
3、43 ウエハ押さえ
4 めっき液供給管(電解液供給管)
4a 供給口
5、35、44 カソード端子(カソード電極)
6 シリコンウエハ(基板)
7、161 めっきシード層
8 めっき液(電解液)
10、70、80 アノード電極
11、71、81、 絶縁仕切り部
23 ベベル端子(カソード端子)
34 シール材(封止部)
33 ウエハ支持部
85 上下可動機構
95 シャッター機構
161 めっき層(導電層)
Claims (4)
- 電解漕と、
前記電解漕内で基板を保持する保持部と、
前記基板に負電位を印加するカソード端子と、
前記電解漕内で垂直方向に伸びる垂直型のアノード電極と
を備え、前記保持部は、前記基板の中心が前記アノード電極の長手方向の軸上に位置するように基板を保持することを特徴とする電解処理装置。 - 前記アノード電極は、互いに絶縁された複数の電極部分から構成されることを特徴とする請求項1に記載の電解処理装置。
- 前記複数の電極部分のうち、前記基板に近い側に位置する電極部分は、前記基板から遠い側に位置する電極部分よりも高い電圧を有することを特徴とする請求項2に記載の電解処理装置。
- 半導体ウエハの処理面と、裏面の少なくとも外周部とに導電性のシード層を形成する工程と、
前記半導体ウエハの中心が電解漕内で垂直に延びるアノード電極の延長線上に位置するように保持して、前記半導体ウエハの処理面を電解処理液に浸漬する工程と、
前記アノード電極に正電位を印加し、前記半導体ウエハに負電位を印加して、前記処理面に導電層を形成する工程と
前記導電層を研磨して所定の配線を形成する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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JP2003088142A JP2004292907A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 電解処理装置および半導体装置の製造方法 |
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JP2008174770A (ja) * | 2007-01-16 | 2008-07-31 | Fujikura Ltd | メッキ治具 |
JP2008266775A (ja) * | 2007-03-29 | 2008-11-06 | Toyoda Gosei Co Ltd | めっき製品の製造方法 |
JP2009161792A (ja) * | 2007-12-28 | 2009-07-23 | Suzuki Motor Corp | 陽極酸化処理装置 |
JP2011500960A (ja) * | 2007-10-10 | 2011-01-06 | リニューアブル・エナジー・コーポレーション・エーエスエー | 電力を供給するための方法及び装置 |
-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003088142A patent/JP2004292907A/ja not_active Withdrawn
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