JP2004292852A - 薄膜成膜装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ALEによる成膜装置の多数枚の一括成膜において、原料ガス供給およびガス排気の各システムを拡大することなく、原料ガス供給量の均一化を図ること。
【解決手段】複数の基板を配置し、原料ガスが複数の基板に供給される際に、各基板表面への原料ガスの供給流量が供給パイプの原料ガス供給源からの距離に応じて変化することを、より均一化するように補正した原料供給手段を用いる、原子層成長(ALE)による薄膜成膜装置。補正は原料パイプの噴出し穴の穴径、数などで調整できる。
【選択図】 なし
【解決手段】複数の基板を配置し、原料ガスが複数の基板に供給される際に、各基板表面への原料ガスの供給流量が供給パイプの原料ガス供給源からの距離に応じて変化することを、より均一化するように補正した原料供給手段を用いる、原子層成長(ALE)による薄膜成膜装置。補正は原料パイプの噴出し穴の穴径、数などで調整できる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜成膜装置および方法に係り、特に原子層成長(ALE)によるエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置で使用される絶縁層、発光層等の薄膜の成膜装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置で使用される絶縁層、発光層等の薄膜形成においてはALEによる成膜装置が使用されている。この成膜装置で例えばAl2O3絶縁膜を成膜する場合は、ガラス基板に第一の原料ガスとしてAlCl3を供給し、ガラス基板表面にAlCl3を吸着させる。その後、不活性ガスを導入して、ガラス基板表面以外の浮遊原料を除去・排気する。その後第二の原料ガスとしてH2Oガスを供給し、AlCl3ガスと同様に浮遊ガスを不活性ガスで除去・排気し、基板表面のAlCl3とH2Oの反応によりAl2O3の絶縁膜を得る。さらにこのプロセスを繰り返して必要な膜厚のAl2O3絶縁膜を得る。ALE成膜装置としては例えば特許文献1に記載がある。
【0003】
ここで原料ガスは原料導入パイプに開けられた穴からガラス基板に噴射されるが、この場合ガス供給源からガス噴出し穴までの距離が遠くなる位置ではガスの流量が少なくなり、この領域のガラス基板における絶縁膜の膜厚は薄くなることがあり、特に多数枚の一括成膜においては原料供給量の不足による膜厚の不均一が生じることがあった。従来、処理枚数が少ない状態では原料ガスの供給およびガス排気ともに少ない能力で済み、膜厚の安定化については原料ガスの過剰供給を行うことで比較的容易に均一な膜厚を得ることができた。しかしながら一度の処理枚数を増すと原料ガスの供給量を増す必要があるが、この場合原料供給システムの拡大とそれと同時に排気能力の向上も必要になり、大型、高価格な設備が必要になる。
【0004】
【特許文献1】
特開昭55−130896号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、ALEによる成膜装置の多数枚の一括成膜において、原料ガス供給およびガス排気の各システムを拡大することなく、原料ガス供給量の均一化を図ることで膜厚の安定化を実現し、ひいてはEL表示装置の表示特性を均一化することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)複数の基板を配置し、原料ガスが複数の基板に供給される際に、各基板表面への原料ガスの供給流量が供給パイプの原料ガス供給源からの距離に応じて変化することを、より均一化するように補正した原料供給手段を用いることを特徴とする原子層成長(ALE)による薄膜成膜装置。
【0007】
(2)原料ガスを供給パイプで輸送し、供給パイプに設けた噴出し穴から反応室内に順に原料ガスを供給し、ガスの供給量が反応室内全域において均一となるように前記噴出し穴の穴径及び/又は穴ピッチを調整したことを特徴とする上記(1)に記載の薄膜成膜装置。
【0008】
(3)反応室内に複数の基板を並行配置し、1または2以上の原料ガス供給パイプを複数の基板の端部付近に配置し、各原料ガス供給パイプに間歇的に設けた噴出し穴から原料ガスを噴出すことで原料ガスを複数の基板の端部から基板の表面に沿って供給し、少なくとも各原料ガス供給パイプに関してその原料ガスの流れ方向に、前記噴出し穴の穴径及び/又は穴ピッチを調整して各基板への各原料ガスの供給流量を均一化させることを特徴とする上記(1)(2)に記載の薄膜成膜装置。
【0009】
(4)エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置で使用される絶縁層、発光層等の薄膜を形成する上記(1)〜(3)に記載の薄膜成膜装置。
【0010】
(5)上記(1)〜(4)に記載の薄膜成膜装置を用いて薄膜を原子層成長(ALE)することを特徴とする薄膜成膜方法。
【0011】
(6)エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置で使用される絶縁層、発光層等の薄膜の成膜を行うことを特徴とする上記(5)に記載の薄膜成膜方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
ALEによる成膜装置では原料ガスを供給するノズルから所定量の第一の原料ガスを供給して被成膜物であるガラス基板の表面に原料を吸着させ、さらに反応ガスとして第二の原料ガスを供給して目的とする薄膜を形成するが、所定間隔で互いに平行に並べられた複数のガラス基板に同時に成膜をするためには、ガラス枚数に応じた原料ガスの供給とそれに見合う排気能力が必要である。
【0013】
本発明においては、原料ガスの供給源からガスの噴出し穴までの距離に応じて変化するガス流量を均一化することで、薄膜の膜厚および膜質の均一化を図るものである。
【0014】
具体的には、例えば、原料ガス供給パイプのガス噴出し穴の穴径及び/又は穴ピッチを調整する。代表的には、並列配置する複数の原料ガス供給パイプの各パイプの噴出し穴の穴径を原料ガスの流れ方向に沿って概して増大させることで、噴出し流量を均一化することができる。あるいは噴出し穴の間隔を概して狭めることで噴出し流量を均一化することができる。さらに、並列配置した複数の原料供給パイプにマニホールドから原料ガスを供給する場合には、マニホールドから供給されるパイプに応じてガス噴出し穴の穴径及び/又は穴ピッチを調整する。ここで、概してとは、少なくとも殆どあるいは大半である全部とは限らない趣旨であるが、さらにその変化の割合も一定ではない。パイプを均一間隔で配置し、パイプに均一間隔で噴出し穴を設けた場合の原料ガスの供給流量の空間的不均一を、補正するように穴径及び/又は穴ピッチを調整(変更)することをいう。
【0015】
本発明の原料ガスの流量の調整は、基板の寸法、原料ガスの種類などにも依存するが、特に基板の数が多数になると効果があり、例えば、30〜40枚位以上になる場合に、効果が大きい。
【0016】
【実施例】
(実施例1)
本発明の第1の実施例を示す。図1はALE成膜装置の概要図である。
【0017】
また図1における断面の拡大図を図2に示す。
【0018】
ガラス基板1は図2に示すような保持治具2によって保持され、多数のガラス基板1の間隙3に第一の原料ガス6および第二の原料ガス7がそれぞれ原料供給パイプ4a、4bを通して供給される。ここで、第一の原料ガスとしてAlCl3を原料供給パイプ4aの原料噴出し穴5aから供給し、基板表面にAlCl3を吸着させる。その後、バルブを切り替えて不活性ガスとしてN2ガスを導入して、基板表面以外の浮遊原料を除去・排気する。その後第二の原料ガスとして原料供給パイプ4bの原料噴出し穴5bからからH2Oガスを供給し、AlCl3ガスと同様にバルブを切り替えて浮遊ガスをN2ガスで除去・排気し、基板表面のAlCl3とH2Oの反応によりAl2O3の絶縁膜を得る。さらにこのプロセスを繰り返して必要な膜厚のAl2O3絶縁膜を得る。
【0019】
図3にガスを供給するパイプの概要図を示す。ここでガスはパイプ4a、4bに開けられた穴5a、5bから噴射される。本実施例においては、原料供給パイプの長さL1=420mm、パイプ内直径Φ=10mm、原料供給パイプの配列(幅)方向の長さL2=540mmとしている。原料ガスAlCl3は左右方向の複数のパイプ4aに上から下の方向にマニホールドを用いて順に分配され、各パイプ4aの右から左の方向に供給され、原料ガスH2Oは左右方向の複数のパイプ4bに下から上の方向にマニホールドを用いて順に分配され、各パイプ4bの左から右の方向へ供給されるが、各原料供給パイプ4a、4bの先端は閉鎖されている。なお、本発明では、原料ガス源から各パイプにガスを分配するマニホールドは上記の形態に限定されず、例えば、並列配置したパイプの中央から両端側にガスを分配するものに変更してもよい。
【0020】
また図4および図5に原料供給量の分布と絶縁膜の膜厚変化に伴う容量分布の相関を示した概要図を示す。図4は、等間隔で同じ大きさの噴出し穴を設けたガス供給パイプ4bの列に、○印の位置からマニホールドに所定圧力で原料ガスAlCl3およびH2Oを交互に供給した場合に、各パイプから反応室内に導入される各原料ガスの流量の分布を濃淡表示したものである。一般的に、左手前から奥へ行くに従い、また左から右に行くに従い、流量が低下していることが見られる。
【0021】
図4の下図の容量分布は、上記供給量分布で原料ガスAlCl3およびH2Oを交互に供給してAl2O3を成膜した場合に、形成された絶縁膜の容量を各基板について測定した結果を示すものである。基板の位置が左から右へ、即ち、原料流量が低下するに従い、容量は増加することが見られる。絶縁膜の膜厚が変化したものである。
【0022】
これに対して、図5は、ガス供給パイプ4bに設ける噴出し穴5の直径を調整して反応室内の原料供給流量の分布を均一化した場合を示す。図4と図5を比較すればその均一性は明らかである。具体的には、パイプの噴出し穴の直径を、全般的には、左から右の方に順に増大させるとともに、下から上の方向にも増大させ、さらに微調整した。図4の場合と同様に原料ガスAlCl3およびH2Oを交互に供給してAl2O3を成膜した場合に、形成された絶縁膜の容量を各基板について測定した結果を図5の下図に示すが、基板の位置に依存することなく容量が均一化していることが見られる。絶縁膜の膜厚が均一化したものである。
【0023】
より具体的には、従来は原料供給パイプの原料噴出し穴4aおよび4bの穴径は全て1mmとしていたが、この場合原料供給源からの原料噴出し穴までの距離が遠くなる位置ではガスの流量が少なくなり、流量ばらつきは±35%程度であり、特に流量の少なくなる領域のガラス基板における絶縁膜の膜厚は薄くなり、絶縁膜容量が高くなっていた。従来の装置構成でガラス基板を80枚投入して成膜した場合、バッチ内の膜厚差は57%であり、均一な膜厚を得ることができなかった。本実施例では、このパイプの穴径を0.9mmから1.5mmの間で調整することにより、流量ばらつきを±10%程度に低減することで原料供給量を均一化した。これにより従来と同様の原料供給能力と排気能力の装置でガラス基板を80枚投入して成膜した結果、バッチ内の膜厚差は約5%に改善できた。
【0024】
(実施例2)
本発明の第2の実施例を示す。
【0025】
従来はパイプの穴ピッチは全て20mmとしていたが、この場合原料供給源からの距離が遠くなる位置ではガスの流量が少なくなり、前述の実施例1で記した通り、流量ばらつきが生じて均一な膜厚を得ることができなかった。本実施例では、このパイプの穴ピッチを10mmから20mmの間で調整することにより、流量ばらつきを±10%程度に低減することで原料供給量を均一化した。これにより従来と同様の原料供給能力と排気能力の装置でガラス基板を80枚投入して成膜した結果、バッチ内の膜厚差は第1の実施例と同等の約5%に改善できた。
【0026】
【発明の効果】
ALE成膜装置において、膜厚の均一性に優れた絶縁膜を提供するとともに、成膜装置の多数枚同時処理を可能とする。薄膜成膜装置およびエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る成膜装置の概要図である。
【図2】本発明の実施例に係る成膜装置の断面概要図である。
【図3】本発明の実施例に係るガスの供給パイプの概要図である。
【図4】従来の実施例に係るガス供給分布と絶縁膜容量の相関概要図である。
【図5】本発明の実施例に係るガス供給分布と絶縁膜容量の相関概要図である。
【符号の説明】
1…ガラス基板
2…ガラス基板保持治具
3…ガラス基板の間隙
4…原料供給パイプ
4a…第一の原料供給パイプ
4b…第二の原料供給パイプ
5…原料供給パイプの噴出し穴
5a…第一の原料供給パイプの噴出し穴
5b…第二の原料供給パイプの噴出し穴
6…第一の原料が充填された容器
7…第二の原料が充填された容器
8…真空加熱チャンバー
9…排気ポンプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜成膜装置および方法に係り、特に原子層成長(ALE)によるエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置で使用される絶縁層、発光層等の薄膜の成膜装置および方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置で使用される絶縁層、発光層等の薄膜形成においてはALEによる成膜装置が使用されている。この成膜装置で例えばAl2O3絶縁膜を成膜する場合は、ガラス基板に第一の原料ガスとしてAlCl3を供給し、ガラス基板表面にAlCl3を吸着させる。その後、不活性ガスを導入して、ガラス基板表面以外の浮遊原料を除去・排気する。その後第二の原料ガスとしてH2Oガスを供給し、AlCl3ガスと同様に浮遊ガスを不活性ガスで除去・排気し、基板表面のAlCl3とH2Oの反応によりAl2O3の絶縁膜を得る。さらにこのプロセスを繰り返して必要な膜厚のAl2O3絶縁膜を得る。ALE成膜装置としては例えば特許文献1に記載がある。
【0003】
ここで原料ガスは原料導入パイプに開けられた穴からガラス基板に噴射されるが、この場合ガス供給源からガス噴出し穴までの距離が遠くなる位置ではガスの流量が少なくなり、この領域のガラス基板における絶縁膜の膜厚は薄くなることがあり、特に多数枚の一括成膜においては原料供給量の不足による膜厚の不均一が生じることがあった。従来、処理枚数が少ない状態では原料ガスの供給およびガス排気ともに少ない能力で済み、膜厚の安定化については原料ガスの過剰供給を行うことで比較的容易に均一な膜厚を得ることができた。しかしながら一度の処理枚数を増すと原料ガスの供給量を増す必要があるが、この場合原料供給システムの拡大とそれと同時に排気能力の向上も必要になり、大型、高価格な設備が必要になる。
【0004】
【特許文献1】
特開昭55−130896号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、ALEによる成膜装置の多数枚の一括成膜において、原料ガス供給およびガス排気の各システムを拡大することなく、原料ガス供給量の均一化を図ることで膜厚の安定化を実現し、ひいてはEL表示装置の表示特性を均一化することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1)複数の基板を配置し、原料ガスが複数の基板に供給される際に、各基板表面への原料ガスの供給流量が供給パイプの原料ガス供給源からの距離に応じて変化することを、より均一化するように補正した原料供給手段を用いることを特徴とする原子層成長(ALE)による薄膜成膜装置。
【0007】
(2)原料ガスを供給パイプで輸送し、供給パイプに設けた噴出し穴から反応室内に順に原料ガスを供給し、ガスの供給量が反応室内全域において均一となるように前記噴出し穴の穴径及び/又は穴ピッチを調整したことを特徴とする上記(1)に記載の薄膜成膜装置。
【0008】
(3)反応室内に複数の基板を並行配置し、1または2以上の原料ガス供給パイプを複数の基板の端部付近に配置し、各原料ガス供給パイプに間歇的に設けた噴出し穴から原料ガスを噴出すことで原料ガスを複数の基板の端部から基板の表面に沿って供給し、少なくとも各原料ガス供給パイプに関してその原料ガスの流れ方向に、前記噴出し穴の穴径及び/又は穴ピッチを調整して各基板への各原料ガスの供給流量を均一化させることを特徴とする上記(1)(2)に記載の薄膜成膜装置。
【0009】
(4)エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置で使用される絶縁層、発光層等の薄膜を形成する上記(1)〜(3)に記載の薄膜成膜装置。
【0010】
(5)上記(1)〜(4)に記載の薄膜成膜装置を用いて薄膜を原子層成長(ALE)することを特徴とする薄膜成膜方法。
【0011】
(6)エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置で使用される絶縁層、発光層等の薄膜の成膜を行うことを特徴とする上記(5)に記載の薄膜成膜方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
ALEによる成膜装置では原料ガスを供給するノズルから所定量の第一の原料ガスを供給して被成膜物であるガラス基板の表面に原料を吸着させ、さらに反応ガスとして第二の原料ガスを供給して目的とする薄膜を形成するが、所定間隔で互いに平行に並べられた複数のガラス基板に同時に成膜をするためには、ガラス枚数に応じた原料ガスの供給とそれに見合う排気能力が必要である。
【0013】
本発明においては、原料ガスの供給源からガスの噴出し穴までの距離に応じて変化するガス流量を均一化することで、薄膜の膜厚および膜質の均一化を図るものである。
【0014】
具体的には、例えば、原料ガス供給パイプのガス噴出し穴の穴径及び/又は穴ピッチを調整する。代表的には、並列配置する複数の原料ガス供給パイプの各パイプの噴出し穴の穴径を原料ガスの流れ方向に沿って概して増大させることで、噴出し流量を均一化することができる。あるいは噴出し穴の間隔を概して狭めることで噴出し流量を均一化することができる。さらに、並列配置した複数の原料供給パイプにマニホールドから原料ガスを供給する場合には、マニホールドから供給されるパイプに応じてガス噴出し穴の穴径及び/又は穴ピッチを調整する。ここで、概してとは、少なくとも殆どあるいは大半である全部とは限らない趣旨であるが、さらにその変化の割合も一定ではない。パイプを均一間隔で配置し、パイプに均一間隔で噴出し穴を設けた場合の原料ガスの供給流量の空間的不均一を、補正するように穴径及び/又は穴ピッチを調整(変更)することをいう。
【0015】
本発明の原料ガスの流量の調整は、基板の寸法、原料ガスの種類などにも依存するが、特に基板の数が多数になると効果があり、例えば、30〜40枚位以上になる場合に、効果が大きい。
【0016】
【実施例】
(実施例1)
本発明の第1の実施例を示す。図1はALE成膜装置の概要図である。
【0017】
また図1における断面の拡大図を図2に示す。
【0018】
ガラス基板1は図2に示すような保持治具2によって保持され、多数のガラス基板1の間隙3に第一の原料ガス6および第二の原料ガス7がそれぞれ原料供給パイプ4a、4bを通して供給される。ここで、第一の原料ガスとしてAlCl3を原料供給パイプ4aの原料噴出し穴5aから供給し、基板表面にAlCl3を吸着させる。その後、バルブを切り替えて不活性ガスとしてN2ガスを導入して、基板表面以外の浮遊原料を除去・排気する。その後第二の原料ガスとして原料供給パイプ4bの原料噴出し穴5bからからH2Oガスを供給し、AlCl3ガスと同様にバルブを切り替えて浮遊ガスをN2ガスで除去・排気し、基板表面のAlCl3とH2Oの反応によりAl2O3の絶縁膜を得る。さらにこのプロセスを繰り返して必要な膜厚のAl2O3絶縁膜を得る。
【0019】
図3にガスを供給するパイプの概要図を示す。ここでガスはパイプ4a、4bに開けられた穴5a、5bから噴射される。本実施例においては、原料供給パイプの長さL1=420mm、パイプ内直径Φ=10mm、原料供給パイプの配列(幅)方向の長さL2=540mmとしている。原料ガスAlCl3は左右方向の複数のパイプ4aに上から下の方向にマニホールドを用いて順に分配され、各パイプ4aの右から左の方向に供給され、原料ガスH2Oは左右方向の複数のパイプ4bに下から上の方向にマニホールドを用いて順に分配され、各パイプ4bの左から右の方向へ供給されるが、各原料供給パイプ4a、4bの先端は閉鎖されている。なお、本発明では、原料ガス源から各パイプにガスを分配するマニホールドは上記の形態に限定されず、例えば、並列配置したパイプの中央から両端側にガスを分配するものに変更してもよい。
【0020】
また図4および図5に原料供給量の分布と絶縁膜の膜厚変化に伴う容量分布の相関を示した概要図を示す。図4は、等間隔で同じ大きさの噴出し穴を設けたガス供給パイプ4bの列に、○印の位置からマニホールドに所定圧力で原料ガスAlCl3およびH2Oを交互に供給した場合に、各パイプから反応室内に導入される各原料ガスの流量の分布を濃淡表示したものである。一般的に、左手前から奥へ行くに従い、また左から右に行くに従い、流量が低下していることが見られる。
【0021】
図4の下図の容量分布は、上記供給量分布で原料ガスAlCl3およびH2Oを交互に供給してAl2O3を成膜した場合に、形成された絶縁膜の容量を各基板について測定した結果を示すものである。基板の位置が左から右へ、即ち、原料流量が低下するに従い、容量は増加することが見られる。絶縁膜の膜厚が変化したものである。
【0022】
これに対して、図5は、ガス供給パイプ4bに設ける噴出し穴5の直径を調整して反応室内の原料供給流量の分布を均一化した場合を示す。図4と図5を比較すればその均一性は明らかである。具体的には、パイプの噴出し穴の直径を、全般的には、左から右の方に順に増大させるとともに、下から上の方向にも増大させ、さらに微調整した。図4の場合と同様に原料ガスAlCl3およびH2Oを交互に供給してAl2O3を成膜した場合に、形成された絶縁膜の容量を各基板について測定した結果を図5の下図に示すが、基板の位置に依存することなく容量が均一化していることが見られる。絶縁膜の膜厚が均一化したものである。
【0023】
より具体的には、従来は原料供給パイプの原料噴出し穴4aおよび4bの穴径は全て1mmとしていたが、この場合原料供給源からの原料噴出し穴までの距離が遠くなる位置ではガスの流量が少なくなり、流量ばらつきは±35%程度であり、特に流量の少なくなる領域のガラス基板における絶縁膜の膜厚は薄くなり、絶縁膜容量が高くなっていた。従来の装置構成でガラス基板を80枚投入して成膜した場合、バッチ内の膜厚差は57%であり、均一な膜厚を得ることができなかった。本実施例では、このパイプの穴径を0.9mmから1.5mmの間で調整することにより、流量ばらつきを±10%程度に低減することで原料供給量を均一化した。これにより従来と同様の原料供給能力と排気能力の装置でガラス基板を80枚投入して成膜した結果、バッチ内の膜厚差は約5%に改善できた。
【0024】
(実施例2)
本発明の第2の実施例を示す。
【0025】
従来はパイプの穴ピッチは全て20mmとしていたが、この場合原料供給源からの距離が遠くなる位置ではガスの流量が少なくなり、前述の実施例1で記した通り、流量ばらつきが生じて均一な膜厚を得ることができなかった。本実施例では、このパイプの穴ピッチを10mmから20mmの間で調整することにより、流量ばらつきを±10%程度に低減することで原料供給量を均一化した。これにより従来と同様の原料供給能力と排気能力の装置でガラス基板を80枚投入して成膜した結果、バッチ内の膜厚差は第1の実施例と同等の約5%に改善できた。
【0026】
【発明の効果】
ALE成膜装置において、膜厚の均一性に優れた絶縁膜を提供するとともに、成膜装置の多数枚同時処理を可能とする。薄膜成膜装置およびエレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る成膜装置の概要図である。
【図2】本発明の実施例に係る成膜装置の断面概要図である。
【図3】本発明の実施例に係るガスの供給パイプの概要図である。
【図4】従来の実施例に係るガス供給分布と絶縁膜容量の相関概要図である。
【図5】本発明の実施例に係るガス供給分布と絶縁膜容量の相関概要図である。
【符号の説明】
1…ガラス基板
2…ガラス基板保持治具
3…ガラス基板の間隙
4…原料供給パイプ
4a…第一の原料供給パイプ
4b…第二の原料供給パイプ
5…原料供給パイプの噴出し穴
5a…第一の原料供給パイプの噴出し穴
5b…第二の原料供給パイプの噴出し穴
6…第一の原料が充填された容器
7…第二の原料が充填された容器
8…真空加熱チャンバー
9…排気ポンプ
Claims (6)
- 複数の基板を配置し、原料ガスが複数の基板に供給される際に、各基板表面への原料ガスの供給流量が供給パイプの原料ガス供給源からの距離に応じて変化することを、より均一化するように補正した原料供給手段を用いることを特徴とする原子層成長(ALE)による薄膜成膜装置。
- 原料ガスを供給パイプで輸送し、供給パイプに設けた噴出し穴から反応室内に順に原料ガスを供給し、ガスの供給量が反応室内全域において均一となるように前記噴出し穴の穴径及び/又は穴ピッチを調整したことを特徴とする請求項1に記載の薄膜成膜装置。
- 反応室内に複数の基板を並行配置し、複数の原料ガス供給パイプを複数の基板の端部に配置し、各原料ガス供給パイプに間歇的に設けた噴出し穴から原料ガスを噴出すことで原料ガスを複数の基板の端部から基板の表面に沿って供給し、少なくとも各原料ガス供給パイプに関してその原料ガスの流れ方向に、前記噴出し穴の穴径及び/又は穴ピッチを調整して各基板への各原料ガスの供給流量を均一化させることを特徴とする請求項1または2記載の薄膜成膜装置。
- エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置で使用される絶縁層、発光層等の薄膜を形成する請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜成膜装置。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜成膜装置を用いて薄膜を原子層成長(ALE)することを特徴とする薄膜成膜方法。
- エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置で使用される絶縁層、発光層等の薄膜の成膜を行うことを特徴とする請求項5に記載の薄膜成膜方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003083828A JP2004292852A (ja) | 2003-03-25 | 2003-03-25 | 薄膜成膜装置および方法 |
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- 2003-03-25 JP JP2003083828A patent/JP2004292852A/ja active Pending
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