JP2004292560A - 変性ジエン系重合体ゴム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】省燃費性に優れた両末端変性重合体ゴム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】以下の工程から得られる、両末端が変性されたジエン系重合体ゴム。
工程1:下式(1)で表される化合物の存在下に、共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとを重合させて、アルカリ金属末端を有する活性重合体を製造する工程
工程2:該活性重合体と、下式(2)で表されるヘテロ環化合物を反応させて、両末端が変性された変性重合体ゴムを製造する工程
式(1)において、R1、R2及びR3はC1〜C4のアルキル基が、mは0〜5の整数が、nは3〜10の整数が、MはLiが好ましい。式(2)において、R4は炭素数が1〜4のアルキル基が、Yは炭素数1〜4のアルキル基で置換されたN原子が好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】以下の工程から得られる、両末端が変性されたジエン系重合体ゴム。
工程1:下式(1)で表される化合物の存在下に、共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとを重合させて、アルカリ金属末端を有する活性重合体を製造する工程
工程2:該活性重合体と、下式(2)で表されるヘテロ環化合物を反応させて、両末端が変性された変性重合体ゴムを製造する工程
式(1)において、R1、R2及びR3はC1〜C4のアルキル基が、mは0〜5の整数が、nは3〜10の整数が、MはLiが好ましい。式(2)において、R4は炭素数が1〜4のアルキル基が、Yは炭素数1〜4のアルキル基で置換されたN原子が好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた反撥弾性を有する両末端変性重合体ゴム及びその製造方法に関する。この製造方法で得られる両末端変性重合体ゴムは、優れた省燃費性を有する自動車タイヤに最適である。
【0002】
【従来の技術】
自動車タイヤ用ゴムとして、乳化重合法によって得られるスチレン−ブタジエン共重合体が知られている。しかしながら、該共重合体の反撥弾性は劣っているので、該共重合体からなる自動車タイヤは、優れた省燃費性を持っていないという問題点を有している。
【0003】
優れた反撥弾性を有するゴムを得るための試みとして、特許文献1には、ブタジエンとスチレンとを、有機リチウム化合物を重合開始剤とし、エ−テルのようなルイス塩基をミクロ構造調節剤とし、炭化水素溶媒中で共重合させる方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ジエン重合体ゴムのアルカリ金属末端に特定のアクリルアミドを反応させて、反撥弾性の改良された変性ジエン共重合体ゴムを得る方法が提案されている。
【0005】
また、特許文献3には、ジエン重合体ゴムのアルカリ金属末端に特定のアミンを反応させて、反撥弾性及び加工性の改良された変性ジエン共重合体ゴムを得る方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−72907号公報
【特許文献2】
特許第2540901号公報
【特許文献3】
特開2002−128824号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら近年、自動車タイヤの省燃費性に対する要求は、環境に対する配慮を背景に、一層高度なものとなっており、上記の共重合体ゴムはこの要求に十分に応えることができない。
【0008】
本発明の目的は、優れた反撥弾性を有する両末端変性重合体ゴム及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち第一の発明は、以下の工程から得られる、両末端が変性されたジエン系重合体ゴムに係るものである。
工程1:下式(1)で表される化合物の存在下に、共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとを重合させて、アルカリ金属末端を有する活性重合体を製造する工程
工程2:該活性重合体と、下式(2)で表されるヘテロ環化合物を反応させて、両末端が変性された変性重合体ゴムを製造する工程
(式(1)中、R1、R2、及びR3はハロゲン、C1〜C12のアルキル基、アルケニル基、アリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基を表わし、Xは共役ジエンモノマー又は芳香族ビニルモノマーmユニットの重合からなる飽和又は不飽和炭化水素を表し、mは0〜10の整数を表し、nは1〜10の整数を表し、Mはアルカリ金属を表す。)
(式(2)中、R4は炭素数が1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表わし、Yは炭素数が1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基、フェニル基又はベンジル基で置換されたN原子;O原子;又はS原子を表す。)
本発明のうち第二の発明は、上記の工程による両末端変性重合体ゴムの製造方法に係るものである。
本発明のうち第三の発明は、該変性重合体ゴムを、ゴム成分中10重量%以上含有するゴム組成物に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる共役ジエンモノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン(ピペリン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等を例示することができる。これらの中でも、入手容易性や、得られる変性重合体ゴムの物性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0011】
本発明で用いられる芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、及びジビニルナフタレン等を例示することができる。中でも、入手容易性や、得られる変性重合体ゴムの物性の観点から、スチレンが好ましい。
【0012】
式(1)中、好ましいR1、R2、及びR3はC1〜C4のアルキル基である。特に重合中の安定性が良好なR1がt−ブチル基、R2及びR3がメチル基の場合が好ましい。
【0013】
式(1)中、Xは共役ジエンモノマー又は芳香族ビニルモノマーmユニットの重合からなる飽和又は不飽和炭化水素を表し、mは0以上10以下の整数を表すが、mは0以上5以下の整数が好ましい。mが0の場合、溶液中での会合が強く、炭化水素溶媒への溶解性が悪化するため重合速度が遅くなることもある。mが5以上の場合、分子量が大きくなるため、使用量が増大するため好ましくない。
【0014】
式(1)中、nは1以上10以下の整数であるが、3以上10以下の整数が好ましい。3以下の場合、該化合物の反応性が高いため、合成が難しく、また重合も制御しにくい。
【0015】
式(1)中、Mはアルカリ金属を表し、Li、Na、K、Cs等を例示することができるが、炭化水素溶媒への溶解性が高いLiが好ましい。
【0016】
式(1)で表される化合物としては、3−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、4−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−ブチルリチウム、5−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−ペンチルリチウム、6−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−ヘキシルリチウム、8−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−オクチルリチウム、3−(t−ブチルジフェニルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、6−(t−ブチルジフェニルシリロキシ)−1−ヘキシルリチウム、3−(トリイソプロピルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、及びこれらをブタジエン、イソプレン、又はスチレン1〜10ユニットにより鎖延長した化合物等があげられるが、分子量分布の狭い活性重合体が迅速な反応で得られ、また得られる重合体は省燃費性を著しく改良できるという観点から3−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、及び3−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、を2ユニットのイソプレンで鎖延長した化合物が好ましい。
【0017】
本発明における工程1で共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとの組合わせを用いる場合、共役ジエンモノマー/芳香族ビニルモノマーの重量比は50/50〜90/10が好ましく、55/45〜85/15がさらに好ましい。該比が50/50未満であると、得られる活性重合体が炭化水素溶媒に不溶となり、その結果、均一な重合が不可能となる場合がある。該比が90/10を越えると、得られる活性重合体の強度が低下する場合がある。
【0018】
工程1における重合方法は特に制限されず、公知の方法であってもよい。該工程においては、炭化水素溶媒;ランダマイザー;および、得られる活性重合体中のビニル結合(共役ジエンモノマーに由来する)の含有量を調節するための添加剤、のような通常使用されている公知の溶媒や添加剤を用いてもよい。
【0019】
上記の、炭化水素溶媒は、式(1)で表される化合物を失活させない溶媒である。適した溶媒として、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、および脂環族炭化水素を例示することができる。特に適した溶媒は炭素数2〜12の溶媒である。溶媒として、プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、iso−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼン、ならびに、これらの少なくとも2種の組合わせを例示することができる。
【0020】
上記の、ビニル結合の含有量を調節するための添加剤として、ルイス塩基性化合物を例示することができる。該化合物として、工業的に実施する際の入手容易性の観点から、エーテルまたは第三級アミンが好ましい。
【0021】
上記エーテルとして、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、及び1,4−ジオキサンのような環状エーテル;ジエチルエーテル及びジブチルエーテルのような脂肪族モノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びジエチレングリコールジブチルエーテルのような脂肪族ジエ−テル;ならびにジフェニルエーテル及びアニソールのような芳香族エーテル、を例示することができる。
【0022】
上記第三級アミンとして、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、及びキノリンなどを例示することができる。
【0023】
式(2)で表されるヘテロ環化合物中、R4は炭素数が1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基、フェニル基、又はベンジル基を表すが、少ない使用量で省燃費性を改良できる、炭素数が1〜4のアルキル基であるものが好ましい。
式(2)中、Yは炭素数が1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基、フェニル基またはベンジル基で置換されたN原子;O原子;又はS原子を表すが、省燃費性改良の観点から、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたN原子であるものが好ましい。
【0024】
式(2)で表される化合物として、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジブチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−エチル−2−オキサゾリジノン、3−プロピル−2−オキサゾリジノン、3−ブチル−2−オキサゾリジノン、3−メチル−2−チアゾリジノン、3−エチル−2−チアゾリジノン、3−プロピル−2−チアゾリジノン、3−ブチル−2−チアゾリジノン、等があげられるが、省燃費性を著しく改良できるという観点から、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましい。
【0025】
ヘテロ環化合物の使用量は、活性重合体1モルあたり、通常0.1〜10モルであり、好ましくは0.5〜2モルである。該使用量が0.1モル未満であると、省燃費性改良の効果が小さく、該使用量が10モルを超えると、未反応のヘテロ環化合物が溶媒中に残存するので、経済的に好ましくない。なぜなら、該溶媒をリサイクルして再使用する場合、該溶媒中のヘテロ環化合物を分離する工程が必要であるからである。
【0026】
工程2の反応は迅速に進行する。好ましい接触方法として、工程1で得られる反応混合物中にヘテロ環化合物を添加する方法を例示することができる。反応温度は一般に、室温〜80℃であり、反応時間は一般に、数秒〜数時間である。
【0027】
変性重合体ゴムの混練加工性の観点から、工程2の前又は後に、活性重合体に対して下式(式中R’はアルキル基、アルコキシ基、アリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又は芳香族炭化水素基、M’はケイ素又はスズ原子、Zはハロゲン原子、bは0〜2の整数、cは2〜4の整数を表す)で示されるカップリング剤を添加してもよい。
R’bM’Zc
【0028】
上記カップリング剤の添加量は、活性重合体1モル当たり、通常0.005〜0.4モルであり、好ましくは0.01〜0.3モルである。該添加量が0.005モル未満であると、変性重合体ゴムの加工性の改良効果が少ない。該添加量が0.3モルを超えると、ヘテロ環化合物と反応する活性重合体の割合が少なくなるので、省燃費性の改良効果が低下する。また溶液の粘性が非常に高くなることがある。
【0029】
工程2で得られる反応混合物中の変性重合体ゴムは、溶液重合法によるゴムの製造において通常実施されている(1)凝固剤を添加する方法、又は、(2)スチームを添加する方法のような凝固法によって、凝固される。凝固温度は特に制限されない。
【0030】
凝固された変性重合体ゴムは、バンドドライヤーや押出型ドライヤーのような、合成ゴムの製造で用いられている公知の乾燥機で乾燥される。乾燥温度は特に制限されない。
【0031】
得られる変性重合体ゴムのムーニー粘度(ML1+4)は、好ましくは10〜200、更に好ましくは20〜150である。該粘度が10未満であると、その加硫物の引張り強度のような機械物性が低下する場合がある。該粘度が200を超えると、それを他のゴムと組合せた組成物として使用する場合の混和性が悪化するので加工しにくくなり、その結果、得られるゴム組成物の加硫物の機械物性が低下する場合がある。
【0032】
得られる変性重合体ゴムの、共役ジエンモノマー単位に由来するビニル結合の含有量は、好ましくは10〜70%、更に好ましくは15〜60%である。該含有量が10%未満であると、該重合体ゴムのガラス転移温度が低下し、その結果、該重合体ゴムからなるタイヤのグリップ性能が劣る場合がある。該含有量が70%を超えると、該重合体ゴムのガラス転移温度が上昇し、その結果、該重合体ゴムの反撥弾性が劣る場合がある。
【0033】
得られる変性重合体ゴムは、他のゴムや添加剤のような成分と組合せて用いてもよい。
【0034】
上記他のゴムとして、乳化重合法で得られるスチレン−ブタジエン共重合体ゴム;アニオン重合触媒やziegler型触媒のような触媒を用いる溶液重合法で得られる、ポリブタジエンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム共重合体ゴム、及び、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム;天然ゴム;ならびに、これらゴムの少なくとも2種の組合せ、を例示することができる。
【0035】
他のゴムと変性重合体ゴムとからなるゴム組成物中の後者の割合は、両者の合計量を100重量%として、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。該割合が10重量%未満であると、得られるゴム組成物の反撥弾性が改良され難く、加工性も良くならない。
【0036】
上記添加剤の種類や添加量は、得られるゴム組成物の使用目的に応じて決めればよい。添加剤として、ゴム工業で常用されている、硫黄のような加硫剤;ステアリン酸;亜鉛華;チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤およびスルフェンアミド系加硫促進剤等のような加硫促進剤;有機過酸化物;HAF及びISAFのようなグレードのカーボンブラックの如き補強剤;シリカ;炭酸カルシウム及びタルクのような充填剤;伸展油;加工助剤;並びに、老化防止剤、を例示することができる。
【0037】
上記ゴム組成物の製造方法は制限されない。該製造方法として、各成分をロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法を例示することができる。得られるゴム組成物は通常加硫され、加硫されたゴム組成物として使用される。
【0038】
本発明の変性重合体ゴムは反撥弾性および加工性に優れているので、該ゴムからなるゴム組成物は、省燃費性に優れた自動車タイヤ用ゴムとして最適である。該ゴム組成物はまた、靴底用、床剤用および防振ゴム用のような用途として使用することができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
実施例1
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄・乾燥した後、反応機を乾燥窒素で置換した。次いで、これに3−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、(シクロヘキサン溶液11.2mmol)と、1,3−ブタジエン1420gと、スチレン580gと、テトラヒドロフラン324gと、ヘキサン10.2kgとを仕込み、攪拌下に65℃で3時間重合させた。得られた重合反応混合物に四塩化スズ(カップリング剤)0.67mmolを添加し、攪拌下に65℃で30分反応させた後、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(ヘテロ環化合物)8.50mmolを添加し、攪拌下に65℃でさらに30分間反応させた。得られた反応混合物にメタノール10mlを加えて、65℃でさらに5分間攪拌した。得られた反応混合物を取り出し、これに10gの2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(住友化学製のスミライザーBHT:以下同様)を加えた後、ヘキサンの大部分を蒸発させ、次いで、55℃で12時間減圧乾燥し、両末端が変性された重合体ゴムを得た。
【0040】
比較例1
3−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、(シクロヘキサン溶液)11.2mmolをn−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液)9.90mmolに変更したこと、四塩化スズ(カップリング剤)の添加量を0.50mmolに変更したこと、及び、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(ヘテロ環化合物)の添加量を7.52mmolに変更したこと以外、実施例1と同じに行い、変性重合体ゴムを得た。
【0041】
比較例2
n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液)の添加量を9.40mmolに変更したこと、THFの添加量を122gに変更したこと、四塩化スズ(カップリング剤)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(ヘテロ環化合物)を添加しなかったこと以外、比較例1と同じに行い、重合体ゴムを得た。
【0042】
実施例1で得た変性重合体ゴム,及び、比較例1〜2で得た重合体ゴムについて以下の測定を行い、結果を表2にまとめた。
1.ムーニー粘度
JIS K−6300に準拠して100℃にて測定した。
2.ビニル含量
赤外分光分析法により測定した。
3.スチレン単位の含量
屈折率法により測定した。
4.加硫ゴムの反撥弾性
変性重合体ゴムまたは重合体ゴム表1に示す成分とをラボプラストミルにて混練した後、混練物を6インチロールで成形してシートを得た。該シートを160℃で45分加熱して加硫させた後、加硫されたシートの60℃での反撥弾性をリュプケレジリエンステスターで測定した。
【0043】
【表1】
*1:ウルトラシルVN3−G(デグッサ株式会社製)
*2:Si69(デグッサ社製)
*3:X−140(共同石油社製アロマ油)
*4:アンチゲン3C(住友化学社製 老化防止剤)
*5:ソクシノールCZ(住友化学社製 加硫促進剤)
*6:ソクシノールD(住友化学社製 加硫促進剤)
*7:サンノックN(大内新興化学工業株式会社製)
【0044】
【表2】
*1 式(1)で表される化合物
I:3−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、
*2 変性剤
II:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
【0045】
【発明の効果】
以上、本発明により省燃費性に優れた両末端変性重合体ゴム及びその製造方法を提供することができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた反撥弾性を有する両末端変性重合体ゴム及びその製造方法に関する。この製造方法で得られる両末端変性重合体ゴムは、優れた省燃費性を有する自動車タイヤに最適である。
【0002】
【従来の技術】
自動車タイヤ用ゴムとして、乳化重合法によって得られるスチレン−ブタジエン共重合体が知られている。しかしながら、該共重合体の反撥弾性は劣っているので、該共重合体からなる自動車タイヤは、優れた省燃費性を持っていないという問題点を有している。
【0003】
優れた反撥弾性を有するゴムを得るための試みとして、特許文献1には、ブタジエンとスチレンとを、有機リチウム化合物を重合開始剤とし、エ−テルのようなルイス塩基をミクロ構造調節剤とし、炭化水素溶媒中で共重合させる方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ジエン重合体ゴムのアルカリ金属末端に特定のアクリルアミドを反応させて、反撥弾性の改良された変性ジエン共重合体ゴムを得る方法が提案されている。
【0005】
また、特許文献3には、ジエン重合体ゴムのアルカリ金属末端に特定のアミンを反応させて、反撥弾性及び加工性の改良された変性ジエン共重合体ゴムを得る方法が提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開昭60−72907号公報
【特許文献2】
特許第2540901号公報
【特許文献3】
特開2002−128824号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら近年、自動車タイヤの省燃費性に対する要求は、環境に対する配慮を背景に、一層高度なものとなっており、上記の共重合体ゴムはこの要求に十分に応えることができない。
【0008】
本発明の目的は、優れた反撥弾性を有する両末端変性重合体ゴム及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち第一の発明は、以下の工程から得られる、両末端が変性されたジエン系重合体ゴムに係るものである。
工程1:下式(1)で表される化合物の存在下に、共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとを重合させて、アルカリ金属末端を有する活性重合体を製造する工程
工程2:該活性重合体と、下式(2)で表されるヘテロ環化合物を反応させて、両末端が変性された変性重合体ゴムを製造する工程
(式(1)中、R1、R2、及びR3はハロゲン、C1〜C12のアルキル基、アルケニル基、アリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基を表わし、Xは共役ジエンモノマー又は芳香族ビニルモノマーmユニットの重合からなる飽和又は不飽和炭化水素を表し、mは0〜10の整数を表し、nは1〜10の整数を表し、Mはアルカリ金属を表す。)
(式(2)中、R4は炭素数が1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表わし、Yは炭素数が1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基、フェニル基又はベンジル基で置換されたN原子;O原子;又はS原子を表す。)
本発明のうち第二の発明は、上記の工程による両末端変性重合体ゴムの製造方法に係るものである。
本発明のうち第三の発明は、該変性重合体ゴムを、ゴム成分中10重量%以上含有するゴム組成物に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる共役ジエンモノマーとしては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン(ピペリン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエン等を例示することができる。これらの中でも、入手容易性や、得られる変性重合体ゴムの物性の観点から、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。
【0011】
本発明で用いられる芳香族ビニルモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、及びジビニルナフタレン等を例示することができる。中でも、入手容易性や、得られる変性重合体ゴムの物性の観点から、スチレンが好ましい。
【0012】
式(1)中、好ましいR1、R2、及びR3はC1〜C4のアルキル基である。特に重合中の安定性が良好なR1がt−ブチル基、R2及びR3がメチル基の場合が好ましい。
【0013】
式(1)中、Xは共役ジエンモノマー又は芳香族ビニルモノマーmユニットの重合からなる飽和又は不飽和炭化水素を表し、mは0以上10以下の整数を表すが、mは0以上5以下の整数が好ましい。mが0の場合、溶液中での会合が強く、炭化水素溶媒への溶解性が悪化するため重合速度が遅くなることもある。mが5以上の場合、分子量が大きくなるため、使用量が増大するため好ましくない。
【0014】
式(1)中、nは1以上10以下の整数であるが、3以上10以下の整数が好ましい。3以下の場合、該化合物の反応性が高いため、合成が難しく、また重合も制御しにくい。
【0015】
式(1)中、Mはアルカリ金属を表し、Li、Na、K、Cs等を例示することができるが、炭化水素溶媒への溶解性が高いLiが好ましい。
【0016】
式(1)で表される化合物としては、3−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、4−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−ブチルリチウム、5−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−ペンチルリチウム、6−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−ヘキシルリチウム、8−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−オクチルリチウム、3−(t−ブチルジフェニルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、6−(t−ブチルジフェニルシリロキシ)−1−ヘキシルリチウム、3−(トリイソプロピルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、及びこれらをブタジエン、イソプレン、又はスチレン1〜10ユニットにより鎖延長した化合物等があげられるが、分子量分布の狭い活性重合体が迅速な反応で得られ、また得られる重合体は省燃費性を著しく改良できるという観点から3−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、及び3−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、を2ユニットのイソプレンで鎖延長した化合物が好ましい。
【0017】
本発明における工程1で共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとの組合わせを用いる場合、共役ジエンモノマー/芳香族ビニルモノマーの重量比は50/50〜90/10が好ましく、55/45〜85/15がさらに好ましい。該比が50/50未満であると、得られる活性重合体が炭化水素溶媒に不溶となり、その結果、均一な重合が不可能となる場合がある。該比が90/10を越えると、得られる活性重合体の強度が低下する場合がある。
【0018】
工程1における重合方法は特に制限されず、公知の方法であってもよい。該工程においては、炭化水素溶媒;ランダマイザー;および、得られる活性重合体中のビニル結合(共役ジエンモノマーに由来する)の含有量を調節するための添加剤、のような通常使用されている公知の溶媒や添加剤を用いてもよい。
【0019】
上記の、炭化水素溶媒は、式(1)で表される化合物を失活させない溶媒である。適した溶媒として、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、および脂環族炭化水素を例示することができる。特に適した溶媒は炭素数2〜12の溶媒である。溶媒として、プロパン、n−ブタン、iso−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、iso−ブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びエチルベンゼン、ならびに、これらの少なくとも2種の組合わせを例示することができる。
【0020】
上記の、ビニル結合の含有量を調節するための添加剤として、ルイス塩基性化合物を例示することができる。該化合物として、工業的に実施する際の入手容易性の観点から、エーテルまたは第三級アミンが好ましい。
【0021】
上記エーテルとして、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、及び1,4−ジオキサンのような環状エーテル;ジエチルエーテル及びジブチルエーテルのような脂肪族モノエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、及びジエチレングリコールジブチルエーテルのような脂肪族ジエ−テル;ならびにジフェニルエーテル及びアニソールのような芳香族エーテル、を例示することができる。
【0022】
上記第三級アミンとして、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジン、及びキノリンなどを例示することができる。
【0023】
式(2)で表されるヘテロ環化合物中、R4は炭素数が1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基、フェニル基、又はベンジル基を表すが、少ない使用量で省燃費性を改良できる、炭素数が1〜4のアルキル基であるものが好ましい。
式(2)中、Yは炭素数が1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基、フェニル基またはベンジル基で置換されたN原子;O原子;又はS原子を表すが、省燃費性改良の観点から、炭素数1〜4のアルキル基で置換されたN原子であるものが好ましい。
【0024】
式(2)で表される化合物として、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジブチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−エチル−2−オキサゾリジノン、3−プロピル−2−オキサゾリジノン、3−ブチル−2−オキサゾリジノン、3−メチル−2−チアゾリジノン、3−エチル−2−チアゾリジノン、3−プロピル−2−チアゾリジノン、3−ブチル−2−チアゾリジノン、等があげられるが、省燃費性を著しく改良できるという観点から、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが好ましい。
【0025】
ヘテロ環化合物の使用量は、活性重合体1モルあたり、通常0.1〜10モルであり、好ましくは0.5〜2モルである。該使用量が0.1モル未満であると、省燃費性改良の効果が小さく、該使用量が10モルを超えると、未反応のヘテロ環化合物が溶媒中に残存するので、経済的に好ましくない。なぜなら、該溶媒をリサイクルして再使用する場合、該溶媒中のヘテロ環化合物を分離する工程が必要であるからである。
【0026】
工程2の反応は迅速に進行する。好ましい接触方法として、工程1で得られる反応混合物中にヘテロ環化合物を添加する方法を例示することができる。反応温度は一般に、室温〜80℃であり、反応時間は一般に、数秒〜数時間である。
【0027】
変性重合体ゴムの混練加工性の観点から、工程2の前又は後に、活性重合体に対して下式(式中R’はアルキル基、アルコキシ基、アリル基、アルケニル基、シクロアルケニル基又は芳香族炭化水素基、M’はケイ素又はスズ原子、Zはハロゲン原子、bは0〜2の整数、cは2〜4の整数を表す)で示されるカップリング剤を添加してもよい。
R’bM’Zc
【0028】
上記カップリング剤の添加量は、活性重合体1モル当たり、通常0.005〜0.4モルであり、好ましくは0.01〜0.3モルである。該添加量が0.005モル未満であると、変性重合体ゴムの加工性の改良効果が少ない。該添加量が0.3モルを超えると、ヘテロ環化合物と反応する活性重合体の割合が少なくなるので、省燃費性の改良効果が低下する。また溶液の粘性が非常に高くなることがある。
【0029】
工程2で得られる反応混合物中の変性重合体ゴムは、溶液重合法によるゴムの製造において通常実施されている(1)凝固剤を添加する方法、又は、(2)スチームを添加する方法のような凝固法によって、凝固される。凝固温度は特に制限されない。
【0030】
凝固された変性重合体ゴムは、バンドドライヤーや押出型ドライヤーのような、合成ゴムの製造で用いられている公知の乾燥機で乾燥される。乾燥温度は特に制限されない。
【0031】
得られる変性重合体ゴムのムーニー粘度(ML1+4)は、好ましくは10〜200、更に好ましくは20〜150である。該粘度が10未満であると、その加硫物の引張り強度のような機械物性が低下する場合がある。該粘度が200を超えると、それを他のゴムと組合せた組成物として使用する場合の混和性が悪化するので加工しにくくなり、その結果、得られるゴム組成物の加硫物の機械物性が低下する場合がある。
【0032】
得られる変性重合体ゴムの、共役ジエンモノマー単位に由来するビニル結合の含有量は、好ましくは10〜70%、更に好ましくは15〜60%である。該含有量が10%未満であると、該重合体ゴムのガラス転移温度が低下し、その結果、該重合体ゴムからなるタイヤのグリップ性能が劣る場合がある。該含有量が70%を超えると、該重合体ゴムのガラス転移温度が上昇し、その結果、該重合体ゴムの反撥弾性が劣る場合がある。
【0033】
得られる変性重合体ゴムは、他のゴムや添加剤のような成分と組合せて用いてもよい。
【0034】
上記他のゴムとして、乳化重合法で得られるスチレン−ブタジエン共重合体ゴム;アニオン重合触媒やziegler型触媒のような触媒を用いる溶液重合法で得られる、ポリブタジエンゴム、ブタジエン−イソプレンゴム共重合体ゴム、及び、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム;天然ゴム;ならびに、これらゴムの少なくとも2種の組合せ、を例示することができる。
【0035】
他のゴムと変性重合体ゴムとからなるゴム組成物中の後者の割合は、両者の合計量を100重量%として、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。該割合が10重量%未満であると、得られるゴム組成物の反撥弾性が改良され難く、加工性も良くならない。
【0036】
上記添加剤の種類や添加量は、得られるゴム組成物の使用目的に応じて決めればよい。添加剤として、ゴム工業で常用されている、硫黄のような加硫剤;ステアリン酸;亜鉛華;チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤およびスルフェンアミド系加硫促進剤等のような加硫促進剤;有機過酸化物;HAF及びISAFのようなグレードのカーボンブラックの如き補強剤;シリカ;炭酸カルシウム及びタルクのような充填剤;伸展油;加工助剤;並びに、老化防止剤、を例示することができる。
【0037】
上記ゴム組成物の製造方法は制限されない。該製造方法として、各成分をロールやバンバリーのような公知の混合機で混練する方法を例示することができる。得られるゴム組成物は通常加硫され、加硫されたゴム組成物として使用される。
【0038】
本発明の変性重合体ゴムは反撥弾性および加工性に優れているので、該ゴムからなるゴム組成物は、省燃費性に優れた自動車タイヤ用ゴムとして最適である。該ゴム組成物はまた、靴底用、床剤用および防振ゴム用のような用途として使用することができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
実施例1
内容積20リットルのステンレス製重合反応機を洗浄・乾燥した後、反応機を乾燥窒素で置換した。次いで、これに3−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、(シクロヘキサン溶液11.2mmol)と、1,3−ブタジエン1420gと、スチレン580gと、テトラヒドロフラン324gと、ヘキサン10.2kgとを仕込み、攪拌下に65℃で3時間重合させた。得られた重合反応混合物に四塩化スズ(カップリング剤)0.67mmolを添加し、攪拌下に65℃で30分反応させた後、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(ヘテロ環化合物)8.50mmolを添加し、攪拌下に65℃でさらに30分間反応させた。得られた反応混合物にメタノール10mlを加えて、65℃でさらに5分間攪拌した。得られた反応混合物を取り出し、これに10gの2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(住友化学製のスミライザーBHT:以下同様)を加えた後、ヘキサンの大部分を蒸発させ、次いで、55℃で12時間減圧乾燥し、両末端が変性された重合体ゴムを得た。
【0040】
比較例1
3−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、(シクロヘキサン溶液)11.2mmolをn−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液)9.90mmolに変更したこと、四塩化スズ(カップリング剤)の添加量を0.50mmolに変更したこと、及び、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(ヘテロ環化合物)の添加量を7.52mmolに変更したこと以外、実施例1と同じに行い、変性重合体ゴムを得た。
【0041】
比較例2
n−ブチルリチウム(n−ヘキサン溶液)の添加量を9.40mmolに変更したこと、THFの添加量を122gに変更したこと、四塩化スズ(カップリング剤)及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(ヘテロ環化合物)を添加しなかったこと以外、比較例1と同じに行い、重合体ゴムを得た。
【0042】
実施例1で得た変性重合体ゴム,及び、比較例1〜2で得た重合体ゴムについて以下の測定を行い、結果を表2にまとめた。
1.ムーニー粘度
JIS K−6300に準拠して100℃にて測定した。
2.ビニル含量
赤外分光分析法により測定した。
3.スチレン単位の含量
屈折率法により測定した。
4.加硫ゴムの反撥弾性
変性重合体ゴムまたは重合体ゴム表1に示す成分とをラボプラストミルにて混練した後、混練物を6インチロールで成形してシートを得た。該シートを160℃で45分加熱して加硫させた後、加硫されたシートの60℃での反撥弾性をリュプケレジリエンステスターで測定した。
【0043】
【表1】
*1:ウルトラシルVN3−G(デグッサ株式会社製)
*2:Si69(デグッサ社製)
*3:X−140(共同石油社製アロマ油)
*4:アンチゲン3C(住友化学社製 老化防止剤)
*5:ソクシノールCZ(住友化学社製 加硫促進剤)
*6:ソクシノールD(住友化学社製 加硫促進剤)
*7:サンノックN(大内新興化学工業株式会社製)
【0044】
【表2】
*1 式(1)で表される化合物
I:3−(t−ブチルジメチルシリロキシ)−1−プロピルリチウム、
*2 変性剤
II:1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
【0045】
【発明の効果】
以上、本発明により省燃費性に優れた両末端変性重合体ゴム及びその製造方法を提供することができた。
Claims (8)
- 以下の工程から得られる、両末端が変性されたジエン系重合体ゴム。
工程1:下式(1)で表される化合物の存在下に、共役ジエンモノマー又は共役ジエンモノマーと芳香族ビニルモノマーとを重合させて、アルカリ金属末端を有する活性重合体を製造する工程
工程2:該活性重合体と、下式(2)で表されるヘテロ環化合物を反応させて、両末端が変性された変性重合体ゴムを製造する工程
(式(1)中、R1、R2、及びR3はハロゲン、C1〜C12のアルキル基、アルケニル基、アリル基、シクロアルキル基、アルコキシ基を表わし、Xは共役ジエンモノマー又は芳香族ビニルモノマーmユニットの重合からなる飽和又は不飽和炭化水素を表し、mは0〜10の整数を表し、nは1〜10の整数を表し、Mはアルカリ金属を表す。)
(式(2)中、R4は炭素数が1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基、フェニル基又はベンジル基を表わし、Yは炭素数が1〜4のアルキル基、アルコキシアルキル基、フェニル基又はベンジル基で置換されたN原子;O原子;又はS原子を表す。) - 式(1)において、R1、R2及びR3が、C1〜C4のアルキル基である請求項1記載の両末端変性重合体ゴム。
- 式(1)において、mが0〜5の整数である請求項1記載の両末端変性重合体ゴム。
- 式(1)において、nが3〜10の整数である請求項1記載の両末端変性重合体ゴム。
- 式(1)において、MがLiである請求項1記載の両末端変性重合体ゴム。
- 式(2)において、R4が炭素数が1〜4のアルキル基であり、Yが炭素数1〜4のアルキル基で置換されたN原子である請求項1記載の両末端変性重合体ゴム。
- 炭化水素溶媒中における、請求項1記載の工程による両末端変性重合体ゴムの製造方法。
- 請求項1記載の両末端変性重合体ゴムを、ゴム成分中10重量%以上含有するゴム組成物。
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