JP2004291814A - 樹脂製可撓管 - Google Patents
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Abstract
【課題】破断等することなく、所定の方向への変形を確実に規制することができる樹脂製可撓管を得る。
【解決手段】樹脂製可撓管である注入口10は、外周部に山部16と谷部18とが長手方向に交互に設けられた蛇腹筒状に形成されており、隣り合う山部16の先端同士を近接させる方向に曲げ変形可能とされている。この注入口10は、山部16における軸線に対し対称となる周方向の2箇所を凹ませて形成され、谷部18の外形に沿う円弧状とされて所定幅で該谷部18と連続する底部20Aを有する一対の変形規制凹部20を備えており、該変形規制凹部20によって矢印B方向の曲げが規制される一方、矢印A方向の曲げが許容されている。
【選択図】 図1
【解決手段】樹脂製可撓管である注入口10は、外周部に山部16と谷部18とが長手方向に交互に設けられた蛇腹筒状に形成されており、隣り合う山部16の先端同士を近接させる方向に曲げ変形可能とされている。この注入口10は、山部16における軸線に対し対称となる周方向の2箇所を凹ませて形成され、谷部18の外形に沿う円弧状とされて所定幅で該谷部18と連続する底部20Aを有する一対の変形規制凹部20を備えており、該変形規制凹部20によって矢印B方向の曲げが規制される一方、矢印A方向の曲げが許容されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両に搭載されるウォッシャタンクの注入口等に適用される樹脂製可撓管に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車等の車両のエンジンルームには、ウインドシールドガラスに洗浄液を噴射するウォッシャ装置等に供給する洗浄液を貯液するためのウォッシャタンクが搭載されている。
【0003】
車両のエンジンルーム内にはエンジンや変速機をはじめ多数の部品が密に配置されているため、ウォッシャタンクがエンジンルーム内の比較的下部に配置される場合がある。この場合、エンジンルームの上部からウォッシャタンクへの洗浄液を注入補充するために、一端部がウォッシャタンクに接続されると共に他端部がエンジンルーム上部に開口した管状の注入口が用いられる。
【0004】
このような注入口として蛇腹状に形成された樹脂製可撓管を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この注入口は、その軸線を湾曲させる方向に変形可能であるため、適宜変形させることでエンジンルーム内の部品の隙間を通して、ウォッシャタンクとエンジンルーム上部との間に配置することができる。
【0005】
しかしながら、蛇腹状の注入口(可撓管)では、その変形方向に制限がなく、所望の形態に保持することが困難であった。具体的には、図5に示される如く、一端部がウォッシャタンク50に接続された注入口52の場合、仮想直線CLに沿って配置しようとしても、その中間部52Aが側方に変形して他の部品54に干渉してしまう場合があった。この干渉を避けるために、他の部品54と注入口52との間を広く設定すると、エンジンルーム内空間の有効利用の要求に反することとなる。
【0006】
この対策として、図6(A)に示す如く、注入口52の中間部52Aにクランプ56を設け、該クランプ56を車体の適宜位置に固定することも考えられるが、この場合、樹脂材より成る注入口52の成形性が悪化すると共に、組付工数が増加してしまう。また、図6(B)に示す如く、蛇腹構造による可撓性を備えない注入口52を予め所望の形態に形成しておくことも考えられるが、この場合、注入口52が車種や仕様毎の専用品となり部品管理が煩雑化し、またエンジンルーム内への注入口52の配索作業性が悪化する。
【0007】
そこで、可撓管の特定の方向への変形を規制する構造が考えられている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0008】
特許文献2には、樹脂材より成り外周に設けられた螺旋状の凸部の条間に螺旋状の凹部が形成された可撓管、すなわち長手方向に沿って外周に凸部と凹部とが交互に配置された可撓管が記載されている。この可撓管は、その凹部に、別部材である屈曲規制片の突起部を嵌合させて、屈曲規制片設置側への変形(屈曲)が規制されている。そして、この可撓管の上記変形規制方向と直交する方向への変形を許容するために、長手方向に分割された複数の屈曲規制片を取り付けるようになっている。しかしながら、この構成では、可撓管に別部材である屈曲規制片を取り付ける必要があり、組付工数が増加してしまう。しかも、複数の屈曲規制片を取りつける必要があり、組付工数の増加が顕著となる。
【0009】
特許文献3には、ゴムまたはエラストマより成り蛇腹筒状に形成され、2つ折りにされるワイヤハーネス用グロメットが記載されている。このワイヤハーネス用グロメットには、変形規制部としてのリブまたは平坦面が設けられており、該リブまたは平坦面側への折り畳みが規制されるようになっている。具体的には、リブは、上記特許文献2記載の屈曲規制片を蛇腹筒状の本体に一体成形した如きものであり、平坦面は、蛇腹を構成する山部を谷部外面における接線に沿って直線的に切り欠いて形成されたものである。これにより、組付工数を増やすことなく可撓管の変形方向を規制することができる。
【0010】
しかしながら、このような変形規制部としてのリブや平坦面を設けた構成では、可撓管の材質がゴムやエラストマであれば各変形規制部の設置方向に直交する方向の変形及び復帰が許容されるが、可撓管を樹脂材で構成すると、以下の如き問題が生じる。
【0011】
谷部を埋めるリブを設けた構成では、特許文献3における図2(A)に示す如き断面形状となり、樹脂で構成した場合に、リブ設置方向と直交する方向に可撓管を変形させ難く、変形させてもリブの復元力で変形前の状態に復帰してしまい、変形状態を保持できない。また、材料の使用量が多く高コストの原因となる。
【0012】
一方、図7(A)に示す蛇腹状の可撓管60に平坦面62を設けた構成では、該可撓管60の山部64の頂部における断面形状が図7(B)に示される如くなり、谷部66の底部における断面形状が図7(C)に示される如くなる。すなわち、可撓管60の長手方向に連続する複数の平坦面62は、隣り合う平坦面62とは頂部Pで連続するようになっており、該頂部Pを起点として該平坦面62に沿う方向への可撓管60の変形を許容している。この頂部Pは、応力集中を生じやすい部位であるため、このような頂部Pで連続する平坦面62を有する蛇腹形状をゴム等と比較して高弾性の樹脂材にて構成すると、破断等の原因となる。
【0013】
【特許文献1】
実開平7−19033号公報
【特許文献2】
特開平8−303652号公報
【特許文献3】
特開2001−132871号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮して、破断等することなく、所定の方向への変形を確実に規制することができる樹脂製可撓管を得ることが目的である。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る樹脂製可撓管は、外周部に山部と谷部とが長手方向に交互に設けられた筒状に形成され、隣り合う前記山部の先端同士を近接させる方向に曲げ変形可能な樹脂製可撓管であって、前記山部における軸線に対し対称となる周方向の2箇所を凹ませて、前記谷部の外形に沿う円弧状の底部を有する一対の変形規制凹部を形成した、ことを特徴としている。
【0016】
請求項1記載の樹脂製可撓管は、樹脂材料によって、外周部に山部と谷部とが長手方向に交互に設けられた蛇腹状または螺旋状に形成されている。そして、この樹脂製可撓管は、直径方向の一方側で隣り合う山部の先端同士を近接させると共に、他方側では山部の先端同士を離間させることで、その軸線を上記山部同士の近接側に湾曲するように曲げ変形可能とされている。
【0017】
ここで、樹脂製可撓管には、山部における軸線に対し対称となる周方向の2箇所を凹ませて、底部の形状が谷部の外形に沿う(谷部の曲面と一致する)円弧状とされた一対の変形規制凹部が形成されているため、山部の存在しない各変形規制凹部側への樹脂製可撓管の曲げ変形が規制される。また、変形規制凹部の底部が谷部の外形に沿う円弧形状であるため、従来における頂部Pの如き応力集中部位が形成されず、破断等の恐れがない。
【0018】
このため、樹脂製可撓管は、変形規制凹部が形成された長手方向の範囲において、谷部における底部との境界部を起点とする変形規制凹部が形成されていない方向、すなわち、その軸線を一対の変形規制凹部の共通中心線との直交面上に位置させる方向の曲げ変形が許容される。
【0019】
このように、請求項1記載の樹脂製可撓管では、破断等することなく、所定の方向への変形を確実に規制することができる。
【0020】
請求項2記載の発明に係る樹脂製可撓管は、請求項1記載の樹脂製可撓管において、前記一対の変形規制凹部を、全ての前記山部における周方向の同じ位置にそれぞれ設けた、ことを特徴としている。
【0021】
請求項2記載の樹脂製可撓管では、一対の変形規制凹部を全長に亘り周方向の同じ位置に設けているため、該樹脂製可撓管を適宜変形させつつ所定の直線に沿って配置することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る樹脂製可撓管をウォッシャタンクの注入口に適用した例について、図1乃至4に基づいて説明する。
【0023】
図3には、樹脂製可撓管としての注入口10をウォッシャタンク12に取り付けた状態が斜視図にて示されている。ウォッシャタンク12は、自動車等の車両のエンジンルーム内に配設され、ウインドシールドガラスやヘッドランプへ洗浄液を噴射するウインドウォッシャ装置やヘッドランプクリーナ装置に供給する洗浄液を貯液するものである。
【0024】
この図3に示される如く、注入口10は、長手方向の一端部がウォッシャタンク12の上部に取り付けられている。また、注入口10の他端部には、漏斗部14が一体に形成されており、漏斗部14は、エンジンルームの上部において洗浄液の補充可能に開口している。
【0025】
図2に示される如く、注入口10は、山部16と谷部18とが長手(軸線)方向に交互に設けられた蛇腹筒状に、樹脂成形によって形成されている。この注入口10の各山部16には、軸線に対し対称となる2箇所を凹ませて一対の変形規制凹部20がそれぞれ形成されている。なお、注入口10を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)が用いられる。
【0026】
図1(A)乃至図1(C)に示される如く、変形規制凹部20は、山部16を谷部18に至るまで扇状に切り欠かれた如く形成されている。この変形規制凹部20の底部20Aの形状は、谷部18の形状と一致する(同軸同径の)円弧形状とされている。また、底部20A形成部位の内面形状も谷部18の内面形状と一致している。これにより、底部20Aと谷部18とは、所定の幅をもって連続し、注入口10の長手方向に沿って連続的な円弧面を形成している。
【0027】
さらに、変形規制凹部20の径方向の開口部20Bは、底部20Aの頂部Tよりも径方向外側で開口している。すなわち、開口部20Bの周方向縁部を結ぶ仮想線Lが、頂部Tにおける底部20Aの接線Cよりも注入口10の軸心から離間している。
【0028】
そして、全ての山部16における周方向の同じ2箇所にそれぞれ変形規制凹部20が設けられていることにより、注入口10は、各図に適宜示される矢印A方向の変形が許容され、矢印A方向と直交する矢印B方向(を含む方向)の変形が規制される構成である。
【0029】
すなわち、注入口10を矢印B方向に曲げようとしても、山部16が存在しない変形規制凹部20形成部位の上下では、谷部18(に隣接する変形規制凹部20)の伸び及び縮みが許容されないため、該曲げが阻止される。
【0030】
一方、山部16が形成されている矢印A方向への注入口10の曲げは、直径方向の一方側において隣り合う山部16同士が近接すると共に他方側において隣り合う山部16が互いに離間することで、許容される。また、矢印Aと交差(直交を除く)する方向への曲げは、矢印B方向への曲げと同様に、変形規制凹部20の存在によって阻止され、その曲げ力の分力によって結局矢印A方向に変形することとなる。
【0031】
すなわち、注入口10は、矢印Bとの直交面に沿って、より具体的には、その軸線を矢印Bとの直交面上に位置させる形態の変形が可能とされている。
【0032】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0033】
上記構成の注入口10は、図3に示される如く、適宜矢印A方向に湾曲してエンジンルーム内で配索され、一端部がウォッシャタンク12に取り付けられると共に、他端部に形成された漏斗部14をエンジンルームの上部に位置させている。注入口10は、この変形後の姿勢(変形状態)を自ら保持している。
【0034】
そして、注入口10が矢印A方向の変形のみ許容されているため、図4に示される如く、注入口10は平面視で直線的に配置され、他の部品22との間に適正なクリアランスが確保されている。
【0035】
ここで、注入口10では、変形規制凹部20の底部20Aは、谷部18の外形に沿う所定幅の円弧形状をもって谷部18と連続するため、従来における頂部Pの如き応力集中部位が形成されず、矢印A方向への曲げ変形を許容すると共に矢印B方向への曲げ変形を規制する機能を実現しつつ、破断等の恐れがない。
【0036】
このように、本実施の形態に係る注入口10では、破断等することなく、所定の方向への変形が確実に規制される。
【0037】
また、注入口10は、変形規制凹部20の開口部20Bが底部20Aの頂部Tよりも径方向外側に開口しているため、底部20Aの周長が比較的短く、樹脂製であっても該底部20Aに挟まれた谷部18を起点とする注入口10の矢印A方向への変形が確実に許容される。さらに、底部20Aを挟んで長手方向に分離している上記谷部18における復元力は、従来の一体化されたリブ等と比較して小さく、注入口10の矢印A方向への変形状態が上記の通り維持される。また、変形規制が変形規制凹部20によって為されるため、樹脂材料の使用量が少なく低コスト化が図られる。
【0038】
さらに、全ての山部16に一対の変形規制凹部20をぞれぞれ同位相となるように直線的に設けているため、図4に示される如く、注入口10を適宜変形させつつ所定の直線CLに沿って配置することができる。
【0039】
なお、上記の実施の形態では、樹脂製可撓管を注入口10に適用した例を示したが、本発明はこれに限定されず、樹脂製可撓管を如何なる用途に適用しても良い。
【0040】
また、上記の実施の形態では、注入口10(樹脂製可撓管)をPEにて構成した例を示したが、本発明はこれに限定されず、用途に適した樹脂材料を採用することが可能である。
【0041】
さらに、上記の実施の形態では、注入口10(樹脂製可撓管)が蛇腹筒状に形成された好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、外周部において螺旋状の山部の条間に谷部を形成して長手方向に山部と谷部とが交互に配置される螺旋筒状に形成しても良い。
【0042】
さらにまた、上記の実施の形態では、変形規制凹部20を全長に亘り同位相上に設けた注入口10に好適に適用される構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、長手方向の所定範囲の山部16にのみ変形規制凹部20を設けても良く、所定範囲毎に変形規制凹部20の位相を異ならせても良い。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る樹脂製可撓管は、破断等することなく、所定の方向への変形を確実に規制することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る注入口を部分的に示す図であって、(A)は正面図、(B)は谷部における断面図、(C)は山部における断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る注入口の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る注入口のウォッシャタンクへの取付状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る注入口の配索状態を示す平面図である。
【図5】従来の注入口の配索状態を示す平面図である。
【図6】従来の注入口における変形規制構造を示す図であって、(A)は第1例を示す正面図、(B)は第2例を示す正面図である。
【図7】従来の変形規制部を有するワイヤハーネス用グロメットを部分的に示す図であって、(A)は正面図、(B)は山部における断面図、(C)は谷部における断面図である。
【符号の説明】
10 注入口(樹脂製可撓管)
16 山部
18 谷部
20 変形規制凹部
20A 底部
T 頂部(底部における頂部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両に搭載されるウォッシャタンクの注入口等に適用される樹脂製可撓管に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車等の車両のエンジンルームには、ウインドシールドガラスに洗浄液を噴射するウォッシャ装置等に供給する洗浄液を貯液するためのウォッシャタンクが搭載されている。
【0003】
車両のエンジンルーム内にはエンジンや変速機をはじめ多数の部品が密に配置されているため、ウォッシャタンクがエンジンルーム内の比較的下部に配置される場合がある。この場合、エンジンルームの上部からウォッシャタンクへの洗浄液を注入補充するために、一端部がウォッシャタンクに接続されると共に他端部がエンジンルーム上部に開口した管状の注入口が用いられる。
【0004】
このような注入口として蛇腹状に形成された樹脂製可撓管を用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この注入口は、その軸線を湾曲させる方向に変形可能であるため、適宜変形させることでエンジンルーム内の部品の隙間を通して、ウォッシャタンクとエンジンルーム上部との間に配置することができる。
【0005】
しかしながら、蛇腹状の注入口(可撓管)では、その変形方向に制限がなく、所望の形態に保持することが困難であった。具体的には、図5に示される如く、一端部がウォッシャタンク50に接続された注入口52の場合、仮想直線CLに沿って配置しようとしても、その中間部52Aが側方に変形して他の部品54に干渉してしまう場合があった。この干渉を避けるために、他の部品54と注入口52との間を広く設定すると、エンジンルーム内空間の有効利用の要求に反することとなる。
【0006】
この対策として、図6(A)に示す如く、注入口52の中間部52Aにクランプ56を設け、該クランプ56を車体の適宜位置に固定することも考えられるが、この場合、樹脂材より成る注入口52の成形性が悪化すると共に、組付工数が増加してしまう。また、図6(B)に示す如く、蛇腹構造による可撓性を備えない注入口52を予め所望の形態に形成しておくことも考えられるが、この場合、注入口52が車種や仕様毎の専用品となり部品管理が煩雑化し、またエンジンルーム内への注入口52の配索作業性が悪化する。
【0007】
そこで、可撓管の特定の方向への変形を規制する構造が考えられている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0008】
特許文献2には、樹脂材より成り外周に設けられた螺旋状の凸部の条間に螺旋状の凹部が形成された可撓管、すなわち長手方向に沿って外周に凸部と凹部とが交互に配置された可撓管が記載されている。この可撓管は、その凹部に、別部材である屈曲規制片の突起部を嵌合させて、屈曲規制片設置側への変形(屈曲)が規制されている。そして、この可撓管の上記変形規制方向と直交する方向への変形を許容するために、長手方向に分割された複数の屈曲規制片を取り付けるようになっている。しかしながら、この構成では、可撓管に別部材である屈曲規制片を取り付ける必要があり、組付工数が増加してしまう。しかも、複数の屈曲規制片を取りつける必要があり、組付工数の増加が顕著となる。
【0009】
特許文献3には、ゴムまたはエラストマより成り蛇腹筒状に形成され、2つ折りにされるワイヤハーネス用グロメットが記載されている。このワイヤハーネス用グロメットには、変形規制部としてのリブまたは平坦面が設けられており、該リブまたは平坦面側への折り畳みが規制されるようになっている。具体的には、リブは、上記特許文献2記載の屈曲規制片を蛇腹筒状の本体に一体成形した如きものであり、平坦面は、蛇腹を構成する山部を谷部外面における接線に沿って直線的に切り欠いて形成されたものである。これにより、組付工数を増やすことなく可撓管の変形方向を規制することができる。
【0010】
しかしながら、このような変形規制部としてのリブや平坦面を設けた構成では、可撓管の材質がゴムやエラストマであれば各変形規制部の設置方向に直交する方向の変形及び復帰が許容されるが、可撓管を樹脂材で構成すると、以下の如き問題が生じる。
【0011】
谷部を埋めるリブを設けた構成では、特許文献3における図2(A)に示す如き断面形状となり、樹脂で構成した場合に、リブ設置方向と直交する方向に可撓管を変形させ難く、変形させてもリブの復元力で変形前の状態に復帰してしまい、変形状態を保持できない。また、材料の使用量が多く高コストの原因となる。
【0012】
一方、図7(A)に示す蛇腹状の可撓管60に平坦面62を設けた構成では、該可撓管60の山部64の頂部における断面形状が図7(B)に示される如くなり、谷部66の底部における断面形状が図7(C)に示される如くなる。すなわち、可撓管60の長手方向に連続する複数の平坦面62は、隣り合う平坦面62とは頂部Pで連続するようになっており、該頂部Pを起点として該平坦面62に沿う方向への可撓管60の変形を許容している。この頂部Pは、応力集中を生じやすい部位であるため、このような頂部Pで連続する平坦面62を有する蛇腹形状をゴム等と比較して高弾性の樹脂材にて構成すると、破断等の原因となる。
【0013】
【特許文献1】
実開平7−19033号公報
【特許文献2】
特開平8−303652号公報
【特許文献3】
特開2001−132871号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事実を考慮して、破断等することなく、所定の方向への変形を確実に規制することができる樹脂製可撓管を得ることが目的である。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る樹脂製可撓管は、外周部に山部と谷部とが長手方向に交互に設けられた筒状に形成され、隣り合う前記山部の先端同士を近接させる方向に曲げ変形可能な樹脂製可撓管であって、前記山部における軸線に対し対称となる周方向の2箇所を凹ませて、前記谷部の外形に沿う円弧状の底部を有する一対の変形規制凹部を形成した、ことを特徴としている。
【0016】
請求項1記載の樹脂製可撓管は、樹脂材料によって、外周部に山部と谷部とが長手方向に交互に設けられた蛇腹状または螺旋状に形成されている。そして、この樹脂製可撓管は、直径方向の一方側で隣り合う山部の先端同士を近接させると共に、他方側では山部の先端同士を離間させることで、その軸線を上記山部同士の近接側に湾曲するように曲げ変形可能とされている。
【0017】
ここで、樹脂製可撓管には、山部における軸線に対し対称となる周方向の2箇所を凹ませて、底部の形状が谷部の外形に沿う(谷部の曲面と一致する)円弧状とされた一対の変形規制凹部が形成されているため、山部の存在しない各変形規制凹部側への樹脂製可撓管の曲げ変形が規制される。また、変形規制凹部の底部が谷部の外形に沿う円弧形状であるため、従来における頂部Pの如き応力集中部位が形成されず、破断等の恐れがない。
【0018】
このため、樹脂製可撓管は、変形規制凹部が形成された長手方向の範囲において、谷部における底部との境界部を起点とする変形規制凹部が形成されていない方向、すなわち、その軸線を一対の変形規制凹部の共通中心線との直交面上に位置させる方向の曲げ変形が許容される。
【0019】
このように、請求項1記載の樹脂製可撓管では、破断等することなく、所定の方向への変形を確実に規制することができる。
【0020】
請求項2記載の発明に係る樹脂製可撓管は、請求項1記載の樹脂製可撓管において、前記一対の変形規制凹部を、全ての前記山部における周方向の同じ位置にそれぞれ設けた、ことを特徴としている。
【0021】
請求項2記載の樹脂製可撓管では、一対の変形規制凹部を全長に亘り周方向の同じ位置に設けているため、該樹脂製可撓管を適宜変形させつつ所定の直線に沿って配置することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態に係る樹脂製可撓管をウォッシャタンクの注入口に適用した例について、図1乃至4に基づいて説明する。
【0023】
図3には、樹脂製可撓管としての注入口10をウォッシャタンク12に取り付けた状態が斜視図にて示されている。ウォッシャタンク12は、自動車等の車両のエンジンルーム内に配設され、ウインドシールドガラスやヘッドランプへ洗浄液を噴射するウインドウォッシャ装置やヘッドランプクリーナ装置に供給する洗浄液を貯液するものである。
【0024】
この図3に示される如く、注入口10は、長手方向の一端部がウォッシャタンク12の上部に取り付けられている。また、注入口10の他端部には、漏斗部14が一体に形成されており、漏斗部14は、エンジンルームの上部において洗浄液の補充可能に開口している。
【0025】
図2に示される如く、注入口10は、山部16と谷部18とが長手(軸線)方向に交互に設けられた蛇腹筒状に、樹脂成形によって形成されている。この注入口10の各山部16には、軸線に対し対称となる2箇所を凹ませて一対の変形規制凹部20がそれぞれ形成されている。なお、注入口10を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)が用いられる。
【0026】
図1(A)乃至図1(C)に示される如く、変形規制凹部20は、山部16を谷部18に至るまで扇状に切り欠かれた如く形成されている。この変形規制凹部20の底部20Aの形状は、谷部18の形状と一致する(同軸同径の)円弧形状とされている。また、底部20A形成部位の内面形状も谷部18の内面形状と一致している。これにより、底部20Aと谷部18とは、所定の幅をもって連続し、注入口10の長手方向に沿って連続的な円弧面を形成している。
【0027】
さらに、変形規制凹部20の径方向の開口部20Bは、底部20Aの頂部Tよりも径方向外側で開口している。すなわち、開口部20Bの周方向縁部を結ぶ仮想線Lが、頂部Tにおける底部20Aの接線Cよりも注入口10の軸心から離間している。
【0028】
そして、全ての山部16における周方向の同じ2箇所にそれぞれ変形規制凹部20が設けられていることにより、注入口10は、各図に適宜示される矢印A方向の変形が許容され、矢印A方向と直交する矢印B方向(を含む方向)の変形が規制される構成である。
【0029】
すなわち、注入口10を矢印B方向に曲げようとしても、山部16が存在しない変形規制凹部20形成部位の上下では、谷部18(に隣接する変形規制凹部20)の伸び及び縮みが許容されないため、該曲げが阻止される。
【0030】
一方、山部16が形成されている矢印A方向への注入口10の曲げは、直径方向の一方側において隣り合う山部16同士が近接すると共に他方側において隣り合う山部16が互いに離間することで、許容される。また、矢印Aと交差(直交を除く)する方向への曲げは、矢印B方向への曲げと同様に、変形規制凹部20の存在によって阻止され、その曲げ力の分力によって結局矢印A方向に変形することとなる。
【0031】
すなわち、注入口10は、矢印Bとの直交面に沿って、より具体的には、その軸線を矢印Bとの直交面上に位置させる形態の変形が可能とされている。
【0032】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0033】
上記構成の注入口10は、図3に示される如く、適宜矢印A方向に湾曲してエンジンルーム内で配索され、一端部がウォッシャタンク12に取り付けられると共に、他端部に形成された漏斗部14をエンジンルームの上部に位置させている。注入口10は、この変形後の姿勢(変形状態)を自ら保持している。
【0034】
そして、注入口10が矢印A方向の変形のみ許容されているため、図4に示される如く、注入口10は平面視で直線的に配置され、他の部品22との間に適正なクリアランスが確保されている。
【0035】
ここで、注入口10では、変形規制凹部20の底部20Aは、谷部18の外形に沿う所定幅の円弧形状をもって谷部18と連続するため、従来における頂部Pの如き応力集中部位が形成されず、矢印A方向への曲げ変形を許容すると共に矢印B方向への曲げ変形を規制する機能を実現しつつ、破断等の恐れがない。
【0036】
このように、本実施の形態に係る注入口10では、破断等することなく、所定の方向への変形が確実に規制される。
【0037】
また、注入口10は、変形規制凹部20の開口部20Bが底部20Aの頂部Tよりも径方向外側に開口しているため、底部20Aの周長が比較的短く、樹脂製であっても該底部20Aに挟まれた谷部18を起点とする注入口10の矢印A方向への変形が確実に許容される。さらに、底部20Aを挟んで長手方向に分離している上記谷部18における復元力は、従来の一体化されたリブ等と比較して小さく、注入口10の矢印A方向への変形状態が上記の通り維持される。また、変形規制が変形規制凹部20によって為されるため、樹脂材料の使用量が少なく低コスト化が図られる。
【0038】
さらに、全ての山部16に一対の変形規制凹部20をぞれぞれ同位相となるように直線的に設けているため、図4に示される如く、注入口10を適宜変形させつつ所定の直線CLに沿って配置することができる。
【0039】
なお、上記の実施の形態では、樹脂製可撓管を注入口10に適用した例を示したが、本発明はこれに限定されず、樹脂製可撓管を如何なる用途に適用しても良い。
【0040】
また、上記の実施の形態では、注入口10(樹脂製可撓管)をPEにて構成した例を示したが、本発明はこれに限定されず、用途に適した樹脂材料を採用することが可能である。
【0041】
さらに、上記の実施の形態では、注入口10(樹脂製可撓管)が蛇腹筒状に形成された好ましい構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、外周部において螺旋状の山部の条間に谷部を形成して長手方向に山部と谷部とが交互に配置される螺旋筒状に形成しても良い。
【0042】
さらにまた、上記の実施の形態では、変形規制凹部20を全長に亘り同位相上に設けた注入口10に好適に適用される構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、長手方向の所定範囲の山部16にのみ変形規制凹部20を設けても良く、所定範囲毎に変形規制凹部20の位相を異ならせても良い。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る樹脂製可撓管は、破断等することなく、所定の方向への変形を確実に規制することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る注入口を部分的に示す図であって、(A)は正面図、(B)は谷部における断面図、(C)は山部における断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る注入口の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る注入口のウォッシャタンクへの取付状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る注入口の配索状態を示す平面図である。
【図5】従来の注入口の配索状態を示す平面図である。
【図6】従来の注入口における変形規制構造を示す図であって、(A)は第1例を示す正面図、(B)は第2例を示す正面図である。
【図7】従来の変形規制部を有するワイヤハーネス用グロメットを部分的に示す図であって、(A)は正面図、(B)は山部における断面図、(C)は谷部における断面図である。
【符号の説明】
10 注入口(樹脂製可撓管)
16 山部
18 谷部
20 変形規制凹部
20A 底部
T 頂部(底部における頂部)
Claims (2)
- 外周部に山部と谷部とが長手方向に交互に設けられた筒状に形成され、隣り合う前記山部の先端同士を近接させる方向に曲げ変形可能な樹脂製可撓管であって、
前記山部における軸線に対し対称となる周方向の2箇所を凹ませて、前記谷部の外形に沿う円弧状の底部を有する一対の変形規制凹部を形成した、
ことを特徴とする樹脂製可撓管。 - 前記一対の変形規制凹部を、全ての前記山部における周方向の同じ位置にそれぞれ設けた、ことを特徴とする請求項1記載の樹脂製可撓管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003086976A JP2004291814A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 樹脂製可撓管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003086976A JP2004291814A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 樹脂製可撓管 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004291814A true JP2004291814A (ja) | 2004-10-21 |
Family
ID=33401451
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003086976A Pending JP2004291814A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 樹脂製可撓管 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004291814A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102018128853A1 (de) * | 2018-11-16 | 2020-05-20 | Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft | Behälter zur Aufnahme von Betriebsflüssigkeit eines Kraftfahrzeugs |
-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003086976A patent/JP2004291814A/ja active Pending
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DE102018128853A1 (de) * | 2018-11-16 | 2020-05-20 | Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft | Behälter zur Aufnahme von Betriebsflüssigkeit eines Kraftfahrzeugs |
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