JP2004291527A - 管路修復工法 - Google Patents
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Abstract
【目的】管ライニング材をその全長に亘って均一に加熱して硬化不良と硬化収縮による局部的な内部応力の発生を防ぐことができる管路修復工法の提供。
【構成】未硬化の熱硬化性樹脂を含浸して成る管ライニング材2を管路1内に挿入し、該管ライニング材2の内部に空気圧を作用させて管ライニング材2を管路1の内壁に押圧した状態で、管ライニング材2の一端から内部に温水を注入して管ライニング材2の内部の空気を温水で置換し、管ライニング材2を温水によって加熱硬化させることによって管路1を修復する管路修復工法において、管ライニング材2の内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材2の内部に注入し、管ライニング材2の他端から排出される温水の温度が設定温度に達すると、温水の注入を停止して管ライニング材2の内部に温水を貯留し、管ライニング材2の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材2を温水によって加熱硬化させる。
【選択図】 図4
【構成】未硬化の熱硬化性樹脂を含浸して成る管ライニング材2を管路1内に挿入し、該管ライニング材2の内部に空気圧を作用させて管ライニング材2を管路1の内壁に押圧した状態で、管ライニング材2の一端から内部に温水を注入して管ライニング材2の内部の空気を温水で置換し、管ライニング材2を温水によって加熱硬化させることによって管路1を修復する管路修復工法において、管ライニング材2の内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材2の内部に注入し、管ライニング材2の他端から排出される温水の温度が設定温度に達すると、温水の注入を停止して管ライニング材2の内部に温水を貯留し、管ライニング材2の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材2を温水によって加熱硬化させる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、老朽化した管路を管ライニング材によってライニングすることによって修復する管路修復工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水管、水道管、ガス管等の管路が老朽化した場合、該管路を地中から掘出することなく、その内壁にライニングを施して該管路を修復する工法が提案され、既に提案されている。
【0003】
上記工法は、例えば未硬化の熱硬化性樹脂を含浸して成る管ライニング材を流体圧によって管路内に反転挿入した後、この管ライニング材を流体圧によって膨張させて管路の内壁に押圧したまま、管ライニング材の内部に配備された温水ホースや温水シャワーホース等から温水を排出又はシャワリングして管ライニング材を加熱し、加熱に供されて温度の下がった温水を管ライニング材外に排出して再度加熱し、加熱された温水を温水ホースや温水シャワーホース等から排出又はシャワリングして管ライニング材の加熱に供する作業を繰り返すことによって管ライニング材を加熱し、管ライニング材に含浸された熱硬化性樹脂を硬化させることによって管路内に剛性管を形成する工法である。
【0004】
しかし、上記工法では、管ライニング材の内部に温水ホースや温水シャワーホースを配備する必要があるため、施工長が異なる毎に最適な長さの温水ホース又は温水シャワーホースを準備する必要があり、又、ライニング終了後にこれらの温水ホース又は温水シャワーホースを除去する必要があり、その作業に多大な手間と労力を要していた。
【0005】
そこで、管路内に挿入された管ライニング材の内部に空気圧を作用させ、管ライニング材の一端から内部に温水を注入して空気を温水で置換し、この温水によって管ライニング材を加熱してこれを硬化させる方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では、管ライニング材の一端から内部に注入された温水が管ライニング材の加熱に供されるため、この温水が管ライニング材の他端に向かって流れる間に冷却され、管ライニング材の他端側では温水の温度が下がり、その部分の管ライニング材が十分加熱されないために硬化不良が発生するという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、管ライニング材をその全長に亘って均一に加熱して硬化不良と硬化収縮による局部的な内部応力の発生を防ぐことができる管路修復工法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸して成る管ライニング材を管路内に挿入し、該管ライニング材の内部に空気圧を作用させて管ライニング材を管路内壁に押圧した状態で、管ライニング材の一端から内部に温水を注入して管ライニング材の内部の空気を温水で置換し、管ライニング材を温水によって加熱硬化させることによって管路を修復する管路修復工法において、管ライニング材内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材内部に注入し、管ライニング材の他端から排出される温水の温度が設定温度に達すると、温水の注入を停止して管ライニング材内部に温水を貯留し、管ライニング材の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材を温水によって加熱硬化させることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、管ライニング材内部を流れる温水の流速を0.1m/s以上に設定することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載発明は、請求項1又は2記載の発明において、管ライニング材内部に注入される温水の温度を排出側の温度との差が25℃以内となるよう設定することを特徴とする。
【0011】
従って、本発明によれば、管ライニング材内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材内部に注入し続け、管ライニング材の他端から排出される温水の温度が設定温度に達して該温水が管ライニング材を加熱する熱媒として十分機能する段階になると、温水の注入を停止して管ライニング材内部に温水を貯留し、管ライニング材の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材を温水によって加熱硬化させるようにしたため、管ライニング材をその全長に亘って均一に加熱することができ、該管ライニング材の硬化不良の発生と硬化収縮による局部的な内部応力の発生を防ぐことができる。
【0012】
又、管ライニング材内部を流れる温水の流速を0.1m/s以上に設定することによって、管ライニング材内部での温水の対流に起因する管底部と管頂部との温度差を小さく抑えることができ、管ライニング材を全周に亘って均一に硬化させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
本発明は、管径がφ200mm以下で管路長が20m〜200mの通信ケーブル管、ガス管、電力ケーブル管、水道管等の比較的小径で長さの長い管に対して好適な工法である。
【0015】
図1は〜図5は本発明工法をその工程順に示す断面図である。
【0016】
図において、1は地中に埋設された管路であって、該管路1の修復に際しては、図1に示すように管ライニング材2が管路1内に牽引によって挿入される。この牽引による管ライニング材2の管路1内への挿入は、地上に設置されたウインチ3によってロープ4を巻き取ることによってなされるが、図2に示すように、流体圧によって管路1内に反転挿入されるライナー材5によって管ライニング材2を牽引してこれを管路1内に挿入する方式を採用しても良い。
【0017】
又、図3に示すように、管ライニング材2を流体圧によって管路1内に反転挿入する方式を採用しても良い。この管ライニング材2の反転挿入に使用される流体には、温度調節された圧力水が用いられるが、管ライニング材2の硬化を良好にするため、プラスチックフィルム又は布にプラスチックフィルムをコーティングして成る不図示のスタートライナーを管路1内に反転挿入した後、そのスタートライナー内に管ライニング材2を反転挿入する方法を採用しても良く、この場合、管路1の壁面と管ライニング材2との間にスタートライナーが存在することになる。
【0018】
ところで、管ライニング材2を圧力水の作用で管路1内に反転挿入した場合には、反転終了後、管ライニング材2の端部から管ライニング材2内の底部まで挿入された不図示の排水ホースによって管ライニング材2の内部の水を排出するが、ホースにバキューム力を作用させて水を排出しても良い。又、管ライニング材2の内部に空気圧を作用させることによって、管ライニング材2の内部の水をホースを通して外部に排出するようにしても良い。
【0019】
ここで、管ライニング材2は、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した管状不織布の外表面を気密性の高いプラスチックフィルムで被覆して構成されており、管状不織布にはプラスチックファイバー又はグラスファイバー或はプラスチックファイバーとグラスファイバーの複合体等が用いられ、その外表面に被覆されるプラスチックフィルムの材質にはポリウレタン、ポリエチレン等が用いられる。又、管状不織布に含浸される熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニールエステル樹脂、エポキシ樹脂等が用いられる。
【0020】
而して、上述のように管ライニング材2が管路1内に挿入されると、図4に示すように、管ライニング材2の一端を、地上に設置された温水槽6の温水注入ノズル7に接続し、同管ライニング材2の他端を温水排出ノズル8に接続する。
【0021】
上記温水槽6の底部には前記温水注入ノズル7が接続され、この温水注入ノズル7の途中には温水ポンプ9と注入バルブ10が設けられるとともに、圧力計11が取り付けられ、その内部にはコンプレッサー12がエアーホース13を介して接続されている。
【0022】
又、温水槽6の底部から水平に導出する温水パイプ14は、途中から直角に曲げられて上方へ立ち上がって温水槽6の上方に開口しており、その途中には温水ポンプ15とボイラー16が設けられている。尚、温水槽6の上部側壁には温度計17が取り付けられている。
【0023】
他方、前記温水排出ノズル8には排水バルブ18が設けられるとともに、温度計19と圧力計20が取り付けられており、該温水排出ノズル8は、地上に設置された温水槽21の上方に開口している。
【0024】
而して、温水槽6には、管ライニング材2の内部容積よりも多い温度70℃〜90℃の温水が予め用意される。即ち、注入バルブ10を閉じた状態で、温水ポンプ15及びボイラー16を駆動し、温水槽6内の水を温水ポンプ15によってボイラー16に送り、ボイラー16によって加熱された温水を温水パイプ14から温水槽6に戻す作業を繰り返すことによって、温水槽6内に温度70℃〜90℃の温水を予め用意する。
【0025】
又、前記コンプレッサー12が駆動され、圧縮空気がエアーホース13から温水注入ノズル7を経て管ライニング材2の内部に供給され、管ライニング材2が0.05MPa〜0.5MPaの空気圧によって加圧されて膨張し、図示のように管路1の内壁に押圧されている。
【0026】
上記状態において、注入バルブ10と排水バルブ18を開け、温水ポンプ9を駆動して温水槽6内の温水を温水注入ノズル7から管ライニング材2の内部に注入する。すると、管ライニング材2の内部の圧縮空気が温水排出ノズル8から順次排出され、管ライニング材2内の圧縮空気が温水によって置換される。このとき、注入バルブ10及び排水バルブ18の開度を調整して管ライニング材2の内圧を所定圧に保持しながら作業を進める必要がある。
【0027】
而して、本発明工法においては、管ライニング材2の内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材2の内部に注入する。従って、管ライニング材2の内部に温水が流れ、管ライニング材2の加熱に供されて温度の低下した温水が温水排出ノズル8から排出されて温水槽21に回収される。この場合、管ライニング材2の内部に注入される温水の温度は、排出される温水の温度との差が25℃以内となるよう70℃〜90℃に設定される。
【0028】
ところで、初期状態においては、管ライニング材2の加熱に供されて温水排出ノズル8から排出される温水の温度は低いため、この温水の温度を温度計19で計測し、管ライニング材2の他端から温水排出ノズル8を通って外部に排出される温水の温度が50℃〜80℃に達するまで温水を管ライニング材2の内部に流し続ける。尚、このとき、注入バルブ10と排水バルブ18の開度を調整し、管ライニング材2の内部を流れる温水の流速を0.1m/s以上に設定する。
【0029】
上述のように、管ライニング材2の内部に温水を流し続けると、温水排出ノズル8から外部に排出される温水の温度は次第に上昇し、その温度が50℃〜80℃に達すると、温水の注入を停止して図5に示すように管ライニング材2の内部に温水を貯留し、管ライニング材2の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材2を温水によって加熱する。すると、管ライニング材2に含浸された熱硬化性樹脂が加熱されて硬化し、老朽化した管路1の内壁が剛性管としての管ライニング材2によってライニングされて補修される。
【0030】
その後、管ライニング材2から温水注入ノズル7と温水排出ノズル8を切り離し、管ライニング材2の内部に温水を貯留したままの状態で、温水が冷却されるまで放置し、温水が温度温度まで下がった段階で温水を管ライニング材2の外部に排出する。尚、管ライニング材2が完全に硬化していれば、直ちに温水を管ライニング材2の外部に排出しても良い。
【0031】
ここで、管ライニング材2の内部の温水を排出する形態を図6、図7にそれぞれ示す。
【0032】
図6に示す形態では、地上に設置されたバキュームタンク22に接続された排水ホース23を管ライニング材2の一端から内部に挿入し、バキュームタンク22に接続されたバキュームポンプ24を駆動してバキュームタンク22内を真空引きすることによって、管ライニング材2の内部の温水を排水ホース23へと吸引してバキュームタンク22に回収する方法が採用されている。尚、図6において、25,26はバルブ、27は真空計である。
【0033】
又、図7に示す形態では、排水ホース23が温水注入ノズル7を貫通して管ライニング材2の内部に挿入され、その一端が管ライニング材2の内部の温水中に開口せしめられるとともに、排水ホース23の他端側が温水槽6の上方に開口せしめられている。この状態でコンプレッサー12を駆動して圧縮空気を管ライニング材2に供給し、管ライニング材2の内部を圧縮空気で加圧することによって、該管ライニング材2の内部の温水が圧力によって排水ホース23へと押し出され、温水は排水ホース23から温水槽6へと排出される。
【0034】
以上のように、本発明に係る修復工法によれば、管ライニング材2の内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材2の内部に注入し続け、管ライニング材2の他端から排出される温水の温度が設定温度に達して該温水が管ライニング材2を加熱する熱媒として十分機能する段階になると、温水の注入を停止して管ライニング材2の内部に温水を貯留し、管ライニング材2の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材2を温水によって加熱硬化させるようにしたため、管ライニング材2をその全長に亘って均一に加熱することができ、該管ライニング材2の硬化不良の発生と硬化収縮による局部的な内部応力の発生を防ぐことができる。
【0035】
又、管ライニング材2の内部を流れる温水の流速を0.1m/s以上に設定することによって、管ライニング材2の内部での温水の対流に起因する管底部と管頂部との温度差を小さく抑えることができ、管ライニング材2を全周に亘って均一に硬化させることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸して成る管ライニング材を管路内に挿入し、該管ライニング材の内部に空気圧を作用させて管ライニング材を管路内壁に押圧した状態で、管ライニング材の一端から内部に温水を注入して管ライニング材の内部の空気を温水で置換し、管ライニング材を温水によって加熱硬化させることによって管路を修復する管路修復工法において、管ライニング材内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材内部に注入し、管ライニング材の他端から排出される温水の温度が設定温度に達すると、温水の注入を停止して管ライニング材内部に温水を貯留し、管ライニング材の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材を温水によって加熱硬化させるようにしたため、管ライニング材をその全長に亘って均一に加熱して硬化不良と硬化収縮による局部的な内部応力の発生を防ぐことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る管路修復工法(牽引による管ライニング材の管路内への挿入工程)を示す断面図である。
【図2】本発明に係る管路修復工法(ライナー材の牽引による管ライニング材の管路内への挿入工程)を示す断面図である。
【図3】本発明に係る管路修復工法(流体圧による管ライニング材の管路内への反転挿入工程)を示す断面図である。
【図4】本発明に係る管路修復工法(温水注入工程)を示す断面図である。
【図5】本発明に係る管路修復工法(加熱硬化工程)を示す断面図である。
【図6】管ライニング材の内部の温水を排出する形態を示す断面図である。
【図7】管ライニング材の内部の温水を排出する形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 管路
2 管ライニング材
6 温水槽
7 温水注入ノズル
8 温水排出ノズル
9 温水ポンプ
10 注入バルブ
12 コンプレッサー
15 温水ポンプ
16 ボイラー
18 排水バルブ
19 温度計
21 温水槽
【発明の属する技術分野】
本発明は、老朽化した管路を管ライニング材によってライニングすることによって修復する管路修復工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水管、水道管、ガス管等の管路が老朽化した場合、該管路を地中から掘出することなく、その内壁にライニングを施して該管路を修復する工法が提案され、既に提案されている。
【0003】
上記工法は、例えば未硬化の熱硬化性樹脂を含浸して成る管ライニング材を流体圧によって管路内に反転挿入した後、この管ライニング材を流体圧によって膨張させて管路の内壁に押圧したまま、管ライニング材の内部に配備された温水ホースや温水シャワーホース等から温水を排出又はシャワリングして管ライニング材を加熱し、加熱に供されて温度の下がった温水を管ライニング材外に排出して再度加熱し、加熱された温水を温水ホースや温水シャワーホース等から排出又はシャワリングして管ライニング材の加熱に供する作業を繰り返すことによって管ライニング材を加熱し、管ライニング材に含浸された熱硬化性樹脂を硬化させることによって管路内に剛性管を形成する工法である。
【0004】
しかし、上記工法では、管ライニング材の内部に温水ホースや温水シャワーホースを配備する必要があるため、施工長が異なる毎に最適な長さの温水ホース又は温水シャワーホースを準備する必要があり、又、ライニング終了後にこれらの温水ホース又は温水シャワーホースを除去する必要があり、その作業に多大な手間と労力を要していた。
【0005】
そこで、管路内に挿入された管ライニング材の内部に空気圧を作用させ、管ライニング材の一端から内部に温水を注入して空気を温水で置換し、この温水によって管ライニング材を加熱してこれを硬化させる方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では、管ライニング材の一端から内部に注入された温水が管ライニング材の加熱に供されるため、この温水が管ライニング材の他端に向かって流れる間に冷却され、管ライニング材の他端側では温水の温度が下がり、その部分の管ライニング材が十分加熱されないために硬化不良が発生するという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、管ライニング材をその全長に亘って均一に加熱して硬化不良と硬化収縮による局部的な内部応力の発生を防ぐことができる管路修復工法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸して成る管ライニング材を管路内に挿入し、該管ライニング材の内部に空気圧を作用させて管ライニング材を管路内壁に押圧した状態で、管ライニング材の一端から内部に温水を注入して管ライニング材の内部の空気を温水で置換し、管ライニング材を温水によって加熱硬化させることによって管路を修復する管路修復工法において、管ライニング材内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材内部に注入し、管ライニング材の他端から排出される温水の温度が設定温度に達すると、温水の注入を停止して管ライニング材内部に温水を貯留し、管ライニング材の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材を温水によって加熱硬化させることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、管ライニング材内部を流れる温水の流速を0.1m/s以上に設定することを特徴とする。
【0010】
請求項3記載発明は、請求項1又は2記載の発明において、管ライニング材内部に注入される温水の温度を排出側の温度との差が25℃以内となるよう設定することを特徴とする。
【0011】
従って、本発明によれば、管ライニング材内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材内部に注入し続け、管ライニング材の他端から排出される温水の温度が設定温度に達して該温水が管ライニング材を加熱する熱媒として十分機能する段階になると、温水の注入を停止して管ライニング材内部に温水を貯留し、管ライニング材の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材を温水によって加熱硬化させるようにしたため、管ライニング材をその全長に亘って均一に加熱することができ、該管ライニング材の硬化不良の発生と硬化収縮による局部的な内部応力の発生を防ぐことができる。
【0012】
又、管ライニング材内部を流れる温水の流速を0.1m/s以上に設定することによって、管ライニング材内部での温水の対流に起因する管底部と管頂部との温度差を小さく抑えることができ、管ライニング材を全周に亘って均一に硬化させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0014】
本発明は、管径がφ200mm以下で管路長が20m〜200mの通信ケーブル管、ガス管、電力ケーブル管、水道管等の比較的小径で長さの長い管に対して好適な工法である。
【0015】
図1は〜図5は本発明工法をその工程順に示す断面図である。
【0016】
図において、1は地中に埋設された管路であって、該管路1の修復に際しては、図1に示すように管ライニング材2が管路1内に牽引によって挿入される。この牽引による管ライニング材2の管路1内への挿入は、地上に設置されたウインチ3によってロープ4を巻き取ることによってなされるが、図2に示すように、流体圧によって管路1内に反転挿入されるライナー材5によって管ライニング材2を牽引してこれを管路1内に挿入する方式を採用しても良い。
【0017】
又、図3に示すように、管ライニング材2を流体圧によって管路1内に反転挿入する方式を採用しても良い。この管ライニング材2の反転挿入に使用される流体には、温度調節された圧力水が用いられるが、管ライニング材2の硬化を良好にするため、プラスチックフィルム又は布にプラスチックフィルムをコーティングして成る不図示のスタートライナーを管路1内に反転挿入した後、そのスタートライナー内に管ライニング材2を反転挿入する方法を採用しても良く、この場合、管路1の壁面と管ライニング材2との間にスタートライナーが存在することになる。
【0018】
ところで、管ライニング材2を圧力水の作用で管路1内に反転挿入した場合には、反転終了後、管ライニング材2の端部から管ライニング材2内の底部まで挿入された不図示の排水ホースによって管ライニング材2の内部の水を排出するが、ホースにバキューム力を作用させて水を排出しても良い。又、管ライニング材2の内部に空気圧を作用させることによって、管ライニング材2の内部の水をホースを通して外部に排出するようにしても良い。
【0019】
ここで、管ライニング材2は、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した管状不織布の外表面を気密性の高いプラスチックフィルムで被覆して構成されており、管状不織布にはプラスチックファイバー又はグラスファイバー或はプラスチックファイバーとグラスファイバーの複合体等が用いられ、その外表面に被覆されるプラスチックフィルムの材質にはポリウレタン、ポリエチレン等が用いられる。又、管状不織布に含浸される熱硬化性樹脂としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニールエステル樹脂、エポキシ樹脂等が用いられる。
【0020】
而して、上述のように管ライニング材2が管路1内に挿入されると、図4に示すように、管ライニング材2の一端を、地上に設置された温水槽6の温水注入ノズル7に接続し、同管ライニング材2の他端を温水排出ノズル8に接続する。
【0021】
上記温水槽6の底部には前記温水注入ノズル7が接続され、この温水注入ノズル7の途中には温水ポンプ9と注入バルブ10が設けられるとともに、圧力計11が取り付けられ、その内部にはコンプレッサー12がエアーホース13を介して接続されている。
【0022】
又、温水槽6の底部から水平に導出する温水パイプ14は、途中から直角に曲げられて上方へ立ち上がって温水槽6の上方に開口しており、その途中には温水ポンプ15とボイラー16が設けられている。尚、温水槽6の上部側壁には温度計17が取り付けられている。
【0023】
他方、前記温水排出ノズル8には排水バルブ18が設けられるとともに、温度計19と圧力計20が取り付けられており、該温水排出ノズル8は、地上に設置された温水槽21の上方に開口している。
【0024】
而して、温水槽6には、管ライニング材2の内部容積よりも多い温度70℃〜90℃の温水が予め用意される。即ち、注入バルブ10を閉じた状態で、温水ポンプ15及びボイラー16を駆動し、温水槽6内の水を温水ポンプ15によってボイラー16に送り、ボイラー16によって加熱された温水を温水パイプ14から温水槽6に戻す作業を繰り返すことによって、温水槽6内に温度70℃〜90℃の温水を予め用意する。
【0025】
又、前記コンプレッサー12が駆動され、圧縮空気がエアーホース13から温水注入ノズル7を経て管ライニング材2の内部に供給され、管ライニング材2が0.05MPa〜0.5MPaの空気圧によって加圧されて膨張し、図示のように管路1の内壁に押圧されている。
【0026】
上記状態において、注入バルブ10と排水バルブ18を開け、温水ポンプ9を駆動して温水槽6内の温水を温水注入ノズル7から管ライニング材2の内部に注入する。すると、管ライニング材2の内部の圧縮空気が温水排出ノズル8から順次排出され、管ライニング材2内の圧縮空気が温水によって置換される。このとき、注入バルブ10及び排水バルブ18の開度を調整して管ライニング材2の内圧を所定圧に保持しながら作業を進める必要がある。
【0027】
而して、本発明工法においては、管ライニング材2の内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材2の内部に注入する。従って、管ライニング材2の内部に温水が流れ、管ライニング材2の加熱に供されて温度の低下した温水が温水排出ノズル8から排出されて温水槽21に回収される。この場合、管ライニング材2の内部に注入される温水の温度は、排出される温水の温度との差が25℃以内となるよう70℃〜90℃に設定される。
【0028】
ところで、初期状態においては、管ライニング材2の加熱に供されて温水排出ノズル8から排出される温水の温度は低いため、この温水の温度を温度計19で計測し、管ライニング材2の他端から温水排出ノズル8を通って外部に排出される温水の温度が50℃〜80℃に達するまで温水を管ライニング材2の内部に流し続ける。尚、このとき、注入バルブ10と排水バルブ18の開度を調整し、管ライニング材2の内部を流れる温水の流速を0.1m/s以上に設定する。
【0029】
上述のように、管ライニング材2の内部に温水を流し続けると、温水排出ノズル8から外部に排出される温水の温度は次第に上昇し、その温度が50℃〜80℃に達すると、温水の注入を停止して図5に示すように管ライニング材2の内部に温水を貯留し、管ライニング材2の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材2を温水によって加熱する。すると、管ライニング材2に含浸された熱硬化性樹脂が加熱されて硬化し、老朽化した管路1の内壁が剛性管としての管ライニング材2によってライニングされて補修される。
【0030】
その後、管ライニング材2から温水注入ノズル7と温水排出ノズル8を切り離し、管ライニング材2の内部に温水を貯留したままの状態で、温水が冷却されるまで放置し、温水が温度温度まで下がった段階で温水を管ライニング材2の外部に排出する。尚、管ライニング材2が完全に硬化していれば、直ちに温水を管ライニング材2の外部に排出しても良い。
【0031】
ここで、管ライニング材2の内部の温水を排出する形態を図6、図7にそれぞれ示す。
【0032】
図6に示す形態では、地上に設置されたバキュームタンク22に接続された排水ホース23を管ライニング材2の一端から内部に挿入し、バキュームタンク22に接続されたバキュームポンプ24を駆動してバキュームタンク22内を真空引きすることによって、管ライニング材2の内部の温水を排水ホース23へと吸引してバキュームタンク22に回収する方法が採用されている。尚、図6において、25,26はバルブ、27は真空計である。
【0033】
又、図7に示す形態では、排水ホース23が温水注入ノズル7を貫通して管ライニング材2の内部に挿入され、その一端が管ライニング材2の内部の温水中に開口せしめられるとともに、排水ホース23の他端側が温水槽6の上方に開口せしめられている。この状態でコンプレッサー12を駆動して圧縮空気を管ライニング材2に供給し、管ライニング材2の内部を圧縮空気で加圧することによって、該管ライニング材2の内部の温水が圧力によって排水ホース23へと押し出され、温水は排水ホース23から温水槽6へと排出される。
【0034】
以上のように、本発明に係る修復工法によれば、管ライニング材2の内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材2の内部に注入し続け、管ライニング材2の他端から排出される温水の温度が設定温度に達して該温水が管ライニング材2を加熱する熱媒として十分機能する段階になると、温水の注入を停止して管ライニング材2の内部に温水を貯留し、管ライニング材2の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材2を温水によって加熱硬化させるようにしたため、管ライニング材2をその全長に亘って均一に加熱することができ、該管ライニング材2の硬化不良の発生と硬化収縮による局部的な内部応力の発生を防ぐことができる。
【0035】
又、管ライニング材2の内部を流れる温水の流速を0.1m/s以上に設定することによって、管ライニング材2の内部での温水の対流に起因する管底部と管頂部との温度差を小さく抑えることができ、管ライニング材2を全周に亘って均一に硬化させることができる。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、未硬化の熱硬化性樹脂を含浸して成る管ライニング材を管路内に挿入し、該管ライニング材の内部に空気圧を作用させて管ライニング材を管路内壁に押圧した状態で、管ライニング材の一端から内部に温水を注入して管ライニング材の内部の空気を温水で置換し、管ライニング材を温水によって加熱硬化させることによって管路を修復する管路修復工法において、管ライニング材内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材内部に注入し、管ライニング材の他端から排出される温水の温度が設定温度に達すると、温水の注入を停止して管ライニング材内部に温水を貯留し、管ライニング材の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材を温水によって加熱硬化させるようにしたため、管ライニング材をその全長に亘って均一に加熱して硬化不良と硬化収縮による局部的な内部応力の発生を防ぐことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る管路修復工法(牽引による管ライニング材の管路内への挿入工程)を示す断面図である。
【図2】本発明に係る管路修復工法(ライナー材の牽引による管ライニング材の管路内への挿入工程)を示す断面図である。
【図3】本発明に係る管路修復工法(流体圧による管ライニング材の管路内への反転挿入工程)を示す断面図である。
【図4】本発明に係る管路修復工法(温水注入工程)を示す断面図である。
【図5】本発明に係る管路修復工法(加熱硬化工程)を示す断面図である。
【図6】管ライニング材の内部の温水を排出する形態を示す断面図である。
【図7】管ライニング材の内部の温水を排出する形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 管路
2 管ライニング材
6 温水槽
7 温水注入ノズル
8 温水排出ノズル
9 温水ポンプ
10 注入バルブ
12 コンプレッサー
15 温水ポンプ
16 ボイラー
18 排水バルブ
19 温度計
21 温水槽
Claims (3)
- 未硬化の熱硬化性樹脂を含浸して成る管ライニング材を管路内に挿入し、該管ライニング材の内部に空気圧を作用させて管ライニング材を管路内壁に押圧した状態で、管ライニング材の一端から内部に温水を注入して管ライニング材の内部の空気を温水で置換し、管ライニング材を温水によって加熱硬化させることによって管路を修復する管路修復工法において、
管ライニング材内部の空気を温水で置換した後も更に温水を管ライニング材内部に注入し、管ライニング材の他端から排出される温水の温度が設定温度に達すると、温水の注入を停止して管ライニング材内部に温水を貯留し、管ライニング材の内部に所定の空気圧を作用させた状態で、管ライニング材を温水によって加熱硬化させることを特徴とする管路修復工法。 - 管ライニング材内部を流れる温水の流速を0.1m/s以上に設定することを特徴とする請求項1記載の管路修復工法。
- 管ライニング材内部に注入される温水の温度を排出側の温度との差が25℃以内となるよう設定することを特徴とする請求項1又は2の記載管路修復工法。
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- 2003-03-28 JP JP2003089564A patent/JP2004291527A/ja active Pending
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