JP2004290891A - 汚泥処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】嫌気性消化槽の維持管理が容易になる2槽嫌気性消化処理方式の汚泥処理装置を提供する。
【解決手段】投入された汚泥を10〜25℃で消化処理する第一嫌気性消化槽と、第一嫌気性消化槽から排出された汚泥を濃縮処理する機械濃縮装置と、機械濃縮装置から排出された濃縮汚泥を30〜40℃で加温消化処理する第二嫌気性消化槽とからなる。第一嫌気性消化槽から排出された汚泥に、高分子凝集剤を注入する設備を備えることが好ましい。
【選択図】 図1
【解決手段】投入された汚泥を10〜25℃で消化処理する第一嫌気性消化槽と、第一嫌気性消化槽から排出された汚泥を濃縮処理する機械濃縮装置と、機械濃縮装置から排出された濃縮汚泥を30〜40℃で加温消化処理する第二嫌気性消化槽とからなる。第一嫌気性消化槽から排出された汚泥に、高分子凝集剤を注入する設備を備えることが好ましい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理施設などにおいて発生する汚泥の嫌気性消化を行う汚泥処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、汚泥の嫌気性消化とは、嫌気的状態に保たれた汚泥消化槽内で、嫌気性微生物の働きで有機物を低分子化、液化およびガス化することである。この嫌気性消化は、(1)汚泥量の減少と質の安定化、(2)衛生面の安全性が図れること、(3)副産物として生成する消化ガスが有効に利用できることなど、多くの利点を有しているので、古くから汚泥消化の主なものとして利用されている。
【0003】
図4は、従来多く使用されている2槽嫌気性消化処理方式の汚泥消化方法の一例のフローシートである。
【0004】
重力濃縮した最初沈殿池汚泥(最初沈殿池で発生する汚泥、以下「初沈汚泥」という)を、第一嫌気性消化槽へ投入する。また、第一嫌気性消化槽へ投入する汚泥の濃度を高めるために、第一嫌気性消化槽の前段に機械濃縮装置を設置し、最終沈殿池で沈降した濃縮性の悪い余剰汚泥のみを、機械濃縮装置で濃縮(分離濃縮)し、濃縮汚泥と分離液とに分離する。そして、この濃縮汚泥を第一嫌気性消化槽へ投入し、分離液を系外に排出する。投入された初沈汚泥と濃縮汚泥とは、第一嫌気性消化槽、続いて第二嫌気性消化槽で消化した後、消化ガスおよび安定した消化汚泥になる。
【0005】
このような従来方法に対し、特開平10−34192号公報には、第一嫌気性消化槽で消化された汚泥を機械濃縮装置で分離液を排出した後に、さらに第二嫌気性消化槽で消化する方法が開示されている。
【0006】
この方法は、第一嫌気性消化槽で減量化した汚泥を機械濃縮装置で濃縮し、第二嫌気性消化にて再び減量化し、汚泥の減量化の効率の向上を目指すものである。
【0007】
【特許公報1】
特開平10−34192号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の処理方法では、以下のような運転管理上の問題が生じている。
【0009】
一般に、嫌気性消化槽は、消化効率を向上させる目的で、加温による中温消化(35℃程度)が行われている。消化効率を向上させると、消化後の汚泥の有機物濃度は減少するが、分解できないアンモニア等が汚泥中に残留し、pHが高い汚泥(通常、pH7〜8)となる。このような状況下では、汚泥中でリン酸マグネシウムアンモニウムなどが結晶化し易く、これらの結晶が汚泥配管などを閉塞させ、運転停止という事態を招く。
【0010】
さらに、閉塞した汚泥配管を再生するという維持管理面でも問題となる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、前記問題点を解消し、嫌気性消化槽の維持管理が容易になる2槽嫌気性消化処理方式の汚泥処理装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の汚泥処理装置は、投入された汚泥を10〜25℃で消化処理する第一嫌気性消化槽と、該第一嫌気性消化槽から排出された汚泥を濃縮処理する機械濃縮装置と、該機械濃縮装置から排出された濃縮汚泥を30〜40℃で加温消化処理する第二嫌気性消化槽とからなる。
【0013】
前記第一嫌気性消化槽から排出された汚泥に、高分子凝集剤を注入する薬注設備を備えることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の汚泥処理装置を使用して初沈汚泥と余剰汚泥の嫌気性消化を行う方法のフローシートである。第一嫌気性消化槽から排出された汚泥を、機械濃縮装置で機械濃縮する。この機械濃縮装置の具体例としては、遠心分離機、浮上濃縮タンクなどが挙げられる。
【0015】
第一嫌気性消化槽から排出された汚泥中に高濃度で溶存し、リン酸マグネシウムアンモニウムなどが結晶化する原因物質であるアンモニアの多くが、前記機械濃縮により分離液に混ざって系外に排出される。
【0016】
次に、機械濃縮装置で機械濃縮され、アンモニア量を低減して排出される濃縮汚泥を、第二嫌気性消化槽へ投入して処理する。そのため(1)第二嫌気性消化槽の維持管理が容易になる、(2)濃縮汚泥の濃度を高く維持できるので、第二嫌気性消化槽から引き抜かれる消化汚泥の濃度が高くなり、ひいてはこの消化汚泥の脱水処理の効率も上がる、という効果が得られる。
【0017】
後段の機械濃縮装置から、前述のように分離液中に混入して系外に排出するアンモニアの量がより多く排出されるように、第一嫌気性消化槽は加温せず、常温消化(10〜25℃)を行う。なお、常温としてこの範囲をあげたのは、四季変動、地域変動を加味してのことである。すなわち、消化処理に重点を置かず、投入された汚泥の調質に主眼を置くような温度で運転するということである。従って、寒冷地などでは加温することも考えられる。濃度が薄い汚泥の常温消化を行うと、滞留日数が短いことと相俟って消化が進みにくくなる。すなわち、有機物の分解とガス化が抑えられ、有機酸などの酸性物質が残留する。そのため、pHはあまり上昇しない。従って、リン酸マグネシウムアンモニウムなどが結晶化し難く、スケールの付着が防止できるので、第一嫌気性消化槽の維持管理が容易になる。
【0018】
機械濃縮装置により機械濃縮された濃縮汚泥を、第二嫌気性消化槽へ投入する際、他のものと混合することなく投入すると、第二嫌気性消化槽へ投入する濃縮汚泥の濃度を、機械濃縮装置の運転制御のみでコントロールすることができて望ましい。例えば、濃縮汚泥の濃度が薄い場合は、機械濃縮装置の効率を上げて運転し、濃縮汚泥の濃度が濃い場合は、機械濃縮装置の効率を下げて運転すればよい。
【0019】
以上のように、第一嫌気性消化槽から排出される汚泥中に溶存していたアンモニアの多くが、機械濃縮装置により分離液に入って除去されてしまうため、第二嫌気性消化槽で、濃縮汚泥を中温消化しても、pHはあまり上昇せず、リン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止できる。従って、第二嫌気性消化槽では、加温して消化効率を高める30〜40℃で消化を行うのが望ましい。なお、50〜60℃で消化を行うことも可能であり、消化日数の短縮になる。しかし、経済上不利であるが、敷地面積の狭い場合には有効である。従来の2槽嫌気性消化処理方式の汚泥処理装置では、前述したように現実的には第一嫌気性消化槽で消化処理はほぼ終了してしまい、第二嫌気性消化槽は流量調整の貯留槽程度に利用されているにすぎない。これに対して、本発明の汚泥処理装置では、前述のように2槽の嫌気性消化槽に、それぞれ独自の消化作用などを発揮させることにより、該2槽の嫌気性消化槽を有効に活用することができる。
【0020】
図2は、機械濃縮装置が遠心濃縮機である図1と同様のフローシートである。図3は、図2の汚泥処理装置において、第一嫌気性消化槽から遠心濃縮機に汚泥を移送する間に、薬注設備から凝集剤を注入するフローシートである。
【0021】
図3において、第一嫌気性消化槽から排出される汚泥の性状などによっては、高分子凝集剤などを注入して機械濃縮する。
【0022】
高分子凝集剤を注入した場合は、遠心濃縮機の分離液が清澄になり、濃縮濃度も増加する。高分子凝集剤では、リン酸マグネシウムアンモニウムの原因となるアンモニアや溶解性リンは濃縮されず、分離液として系外へ排出されるため、スケール付着の原因とはならない。しかし、凝集剤としてポリ鉄等の無機凝集剤を使用すると、リンは汚泥中に濃縮されるため、後段の第二嫌気性消化槽で高濃度のリンが残留して、スケールの原因となるので好ましくない。
【0023】
【実施例】
(実施例1)
図2にフローシートを示す汚泥処理装置(濃縮に遠心濃縮機使用)により、初沈汚泥および余剰汚泥の消化を行った。初沈汚泥の汚泥濃度は1〜2重量%であり、余剰汚泥の汚泥濃度は1.1〜1.2重量%であった。なお、第一嫌気性消化槽の温度を常温(15〜20℃)とし、第二嫌気性消化槽の温度を36〜38℃とし、汚泥滞留日数は、いずれの嫌気性消化槽も15日とした。
【0024】
この運転により、第一嫌気性消化槽から排出される消化汚泥濃度は1〜1.1重量%であり、遠心濃縮機から第二嫌気性消化槽へ投入される濃縮汚泥濃度は3〜5重量%であり、第二嫌気性消化槽の排出汚泥濃度は2重量%であった。運転中、第一嫌気性消化槽のpHは7以下で、有機物の分解率は20重量%程度に抑えられた。この程度の消化は初期段階といえる。そのため、第一嫌気性消化槽においてリン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止できた。また、第二嫌気性消化槽のpHも7以下で、アンモニアの多くが、前段の遠心濃縮機から分離液中に溶解して、系外に排出した。そのため、第二嫌気性消化槽においても、リン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止できた。第二嫌気性消化槽から引き抜かれた消化汚泥は、有機物の分解率は60重量%で、十分に消化処理された。また、脱水性能も向上しており、消化汚泥の脱水処理を、極めて効率的に行うことができた。
【0025】
なお、第一嫌気性消化槽の温度を10〜15℃で、第二嫌気性消化槽の温度を30〜35℃で、いずれの汚泥滞留日数も20日で行ったところ、リン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止でき、脱水性能も良好であった。また、第一嫌気性消化槽の温度を20〜25℃で、第二嫌気性消化槽の温度を38〜40℃で、いずれの汚泥滞留日数も12日で行ったところ、リン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止でき、脱水性能も良好であった。しかし、第二嫌気性消化槽の温度は20℃でも運転は可能であるが、汚泥滞留日数が多く必要とする。
【0026】
(従来例1)
図4にフローシートを示す汚泥処理装置により、初沈汚泥および余剰汚泥の消化を行った。なお、第一嫌気性消化槽、第二嫌気性消化槽および機械濃縮装置は、実施例1と同様のものを使用し、初沈汚泥および余剰汚泥の汚泥濃度は、実施例1と同様である。また、第一嫌気性消化槽と第二嫌気性消化槽の温度を、いずれも36〜38℃とし、汚泥滞留日数はいずれの嫌気性消化槽も15日とした。
【0027】
この運転により、第一嫌気性消化槽へ投入する濃縮汚泥の汚泥濃度は4〜5重量%であり、第二嫌気性消化槽から引き抜かれる消化汚泥の汚泥濃度は0.9〜1.1重量%であった。運転中、第一嫌気性消化槽のpHは8程度で、有機物の分解率は50重量%程度に進んだ。これは、消化がほぼ終了しているといえる。そのため、第一嫌気性消化槽において、リン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止し難かった。また、第二嫌気性消化槽でも、pHは8程度で、有機物の分解率は50重量%程度からあまり進まなかった。そのため、第二嫌気性消化槽においても、リン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止し難かった。第二嫌気性消化槽から引き抜かれた消化汚泥は、十分に消化処理されていたが、汚泥濃度が0.9〜1.1重量%と低かった。また、脱水性能も十分でなく、消化汚泥の脱水処理を効率的に行うことができなかった。
【0028】
【発明の効果】
本発明では、機械濃縮装置からの分離液中にアンモニアの量がより多くなるように、第一嫌気性消化槽では常温消化を行う。これにより、リン酸マグネシウムアンモニアなどを結晶化させる原因物質のアンモニアが、機械濃縮により分離液に溶解して、系外に排出される。
【0029】
第一嫌気性消化槽で、濃度が薄い汚泥の常温消化を行うと、滞留日数が短いことと相俟って消化が進みにくい。すなわち、有機物の分解とガス化が抑えられ、有機酸などの酸性物質が残留する。そのため、pHはあまり上昇しない。従って、リン酸マグネシウムアンモニアなどが結晶化し難く、第一嫌気性消化槽にスケールが付着することが防止できて、維持管理が容易になる。
【0030】
また、機械濃縮装置で、濃縮汚泥の濃度を高く維持できるので、第二嫌気性消化槽から引き抜かれる消化汚泥の濃度が高くなり、ひいてはこの消化汚泥の脱水処理の効率も上がるという効果が得られる。
【0031】
さらに、第一嫌気性消化槽から排出される汚泥中に溶存していたアンモニアの多くが、機械濃縮装置により除去されてしまうため、第二嫌気性消化槽では、濃縮汚泥を中温消化しても、pHはあまり上昇せず、リン酸マグネシウムアンモニアなどの結晶化を防止でき、スケールの付着を防ぐことができる。
【0032】
また、第二嫌気性消化槽から引き抜かれた消化汚泥は、十分に消化処理され、汚泥濃度が高く、また脱水性能も向上しており、消化汚泥の脱水処理を極めて効率的に行うことができる。
【0033】
高分子凝集剤を注入した場合は、遠心濃縮機の分離液が清澄になり、濃縮濃度も増加する。高分子凝集剤では、リン酸マグネシウムアンモニアの原因となるアンモニアや溶解性リンを、ポリ鉄等の無機凝集剤のように濃縮せず、分離液として系外へ排出できるため、高濃度のリンが残留し結晶化して第二嫌気性消化槽でスケールの原因となることがない。
【0034】
本発明により、2槽嫌気性消化処理方式で、嫌気性消化槽のスケールの付着を防止できて、維持管理が容易な汚泥処理装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚泥処理装置を使用して初沈汚泥と余剰汚泥の嫌気性消化を行う方法を示すフローシートである。
【図2】機械濃縮装置が遠心濃縮機である図1と同様のフローシートである。
【図3】図2の汚泥処理装置において、第一嫌気性消化装置から遠心濃縮機に汚泥を移送する間に、薬注設備から凝集剤を注入するフローシートである。
【図4】従来の2槽嫌気性消化処理方式の汚泥消化方法の一例を示すフローシートである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理施設などにおいて発生する汚泥の嫌気性消化を行う汚泥処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、汚泥の嫌気性消化とは、嫌気的状態に保たれた汚泥消化槽内で、嫌気性微生物の働きで有機物を低分子化、液化およびガス化することである。この嫌気性消化は、(1)汚泥量の減少と質の安定化、(2)衛生面の安全性が図れること、(3)副産物として生成する消化ガスが有効に利用できることなど、多くの利点を有しているので、古くから汚泥消化の主なものとして利用されている。
【0003】
図4は、従来多く使用されている2槽嫌気性消化処理方式の汚泥消化方法の一例のフローシートである。
【0004】
重力濃縮した最初沈殿池汚泥(最初沈殿池で発生する汚泥、以下「初沈汚泥」という)を、第一嫌気性消化槽へ投入する。また、第一嫌気性消化槽へ投入する汚泥の濃度を高めるために、第一嫌気性消化槽の前段に機械濃縮装置を設置し、最終沈殿池で沈降した濃縮性の悪い余剰汚泥のみを、機械濃縮装置で濃縮(分離濃縮)し、濃縮汚泥と分離液とに分離する。そして、この濃縮汚泥を第一嫌気性消化槽へ投入し、分離液を系外に排出する。投入された初沈汚泥と濃縮汚泥とは、第一嫌気性消化槽、続いて第二嫌気性消化槽で消化した後、消化ガスおよび安定した消化汚泥になる。
【0005】
このような従来方法に対し、特開平10−34192号公報には、第一嫌気性消化槽で消化された汚泥を機械濃縮装置で分離液を排出した後に、さらに第二嫌気性消化槽で消化する方法が開示されている。
【0006】
この方法は、第一嫌気性消化槽で減量化した汚泥を機械濃縮装置で濃縮し、第二嫌気性消化にて再び減量化し、汚泥の減量化の効率の向上を目指すものである。
【0007】
【特許公報1】
特開平10−34192号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の処理方法では、以下のような運転管理上の問題が生じている。
【0009】
一般に、嫌気性消化槽は、消化効率を向上させる目的で、加温による中温消化(35℃程度)が行われている。消化効率を向上させると、消化後の汚泥の有機物濃度は減少するが、分解できないアンモニア等が汚泥中に残留し、pHが高い汚泥(通常、pH7〜8)となる。このような状況下では、汚泥中でリン酸マグネシウムアンモニウムなどが結晶化し易く、これらの結晶が汚泥配管などを閉塞させ、運転停止という事態を招く。
【0010】
さらに、閉塞した汚泥配管を再生するという維持管理面でも問題となる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、前記問題点を解消し、嫌気性消化槽の維持管理が容易になる2槽嫌気性消化処理方式の汚泥処理装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の汚泥処理装置は、投入された汚泥を10〜25℃で消化処理する第一嫌気性消化槽と、該第一嫌気性消化槽から排出された汚泥を濃縮処理する機械濃縮装置と、該機械濃縮装置から排出された濃縮汚泥を30〜40℃で加温消化処理する第二嫌気性消化槽とからなる。
【0013】
前記第一嫌気性消化槽から排出された汚泥に、高分子凝集剤を注入する薬注設備を備えることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の汚泥処理装置を使用して初沈汚泥と余剰汚泥の嫌気性消化を行う方法のフローシートである。第一嫌気性消化槽から排出された汚泥を、機械濃縮装置で機械濃縮する。この機械濃縮装置の具体例としては、遠心分離機、浮上濃縮タンクなどが挙げられる。
【0015】
第一嫌気性消化槽から排出された汚泥中に高濃度で溶存し、リン酸マグネシウムアンモニウムなどが結晶化する原因物質であるアンモニアの多くが、前記機械濃縮により分離液に混ざって系外に排出される。
【0016】
次に、機械濃縮装置で機械濃縮され、アンモニア量を低減して排出される濃縮汚泥を、第二嫌気性消化槽へ投入して処理する。そのため(1)第二嫌気性消化槽の維持管理が容易になる、(2)濃縮汚泥の濃度を高く維持できるので、第二嫌気性消化槽から引き抜かれる消化汚泥の濃度が高くなり、ひいてはこの消化汚泥の脱水処理の効率も上がる、という効果が得られる。
【0017】
後段の機械濃縮装置から、前述のように分離液中に混入して系外に排出するアンモニアの量がより多く排出されるように、第一嫌気性消化槽は加温せず、常温消化(10〜25℃)を行う。なお、常温としてこの範囲をあげたのは、四季変動、地域変動を加味してのことである。すなわち、消化処理に重点を置かず、投入された汚泥の調質に主眼を置くような温度で運転するということである。従って、寒冷地などでは加温することも考えられる。濃度が薄い汚泥の常温消化を行うと、滞留日数が短いことと相俟って消化が進みにくくなる。すなわち、有機物の分解とガス化が抑えられ、有機酸などの酸性物質が残留する。そのため、pHはあまり上昇しない。従って、リン酸マグネシウムアンモニウムなどが結晶化し難く、スケールの付着が防止できるので、第一嫌気性消化槽の維持管理が容易になる。
【0018】
機械濃縮装置により機械濃縮された濃縮汚泥を、第二嫌気性消化槽へ投入する際、他のものと混合することなく投入すると、第二嫌気性消化槽へ投入する濃縮汚泥の濃度を、機械濃縮装置の運転制御のみでコントロールすることができて望ましい。例えば、濃縮汚泥の濃度が薄い場合は、機械濃縮装置の効率を上げて運転し、濃縮汚泥の濃度が濃い場合は、機械濃縮装置の効率を下げて運転すればよい。
【0019】
以上のように、第一嫌気性消化槽から排出される汚泥中に溶存していたアンモニアの多くが、機械濃縮装置により分離液に入って除去されてしまうため、第二嫌気性消化槽で、濃縮汚泥を中温消化しても、pHはあまり上昇せず、リン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止できる。従って、第二嫌気性消化槽では、加温して消化効率を高める30〜40℃で消化を行うのが望ましい。なお、50〜60℃で消化を行うことも可能であり、消化日数の短縮になる。しかし、経済上不利であるが、敷地面積の狭い場合には有効である。従来の2槽嫌気性消化処理方式の汚泥処理装置では、前述したように現実的には第一嫌気性消化槽で消化処理はほぼ終了してしまい、第二嫌気性消化槽は流量調整の貯留槽程度に利用されているにすぎない。これに対して、本発明の汚泥処理装置では、前述のように2槽の嫌気性消化槽に、それぞれ独自の消化作用などを発揮させることにより、該2槽の嫌気性消化槽を有効に活用することができる。
【0020】
図2は、機械濃縮装置が遠心濃縮機である図1と同様のフローシートである。図3は、図2の汚泥処理装置において、第一嫌気性消化槽から遠心濃縮機に汚泥を移送する間に、薬注設備から凝集剤を注入するフローシートである。
【0021】
図3において、第一嫌気性消化槽から排出される汚泥の性状などによっては、高分子凝集剤などを注入して機械濃縮する。
【0022】
高分子凝集剤を注入した場合は、遠心濃縮機の分離液が清澄になり、濃縮濃度も増加する。高分子凝集剤では、リン酸マグネシウムアンモニウムの原因となるアンモニアや溶解性リンは濃縮されず、分離液として系外へ排出されるため、スケール付着の原因とはならない。しかし、凝集剤としてポリ鉄等の無機凝集剤を使用すると、リンは汚泥中に濃縮されるため、後段の第二嫌気性消化槽で高濃度のリンが残留して、スケールの原因となるので好ましくない。
【0023】
【実施例】
(実施例1)
図2にフローシートを示す汚泥処理装置(濃縮に遠心濃縮機使用)により、初沈汚泥および余剰汚泥の消化を行った。初沈汚泥の汚泥濃度は1〜2重量%であり、余剰汚泥の汚泥濃度は1.1〜1.2重量%であった。なお、第一嫌気性消化槽の温度を常温(15〜20℃)とし、第二嫌気性消化槽の温度を36〜38℃とし、汚泥滞留日数は、いずれの嫌気性消化槽も15日とした。
【0024】
この運転により、第一嫌気性消化槽から排出される消化汚泥濃度は1〜1.1重量%であり、遠心濃縮機から第二嫌気性消化槽へ投入される濃縮汚泥濃度は3〜5重量%であり、第二嫌気性消化槽の排出汚泥濃度は2重量%であった。運転中、第一嫌気性消化槽のpHは7以下で、有機物の分解率は20重量%程度に抑えられた。この程度の消化は初期段階といえる。そのため、第一嫌気性消化槽においてリン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止できた。また、第二嫌気性消化槽のpHも7以下で、アンモニアの多くが、前段の遠心濃縮機から分離液中に溶解して、系外に排出した。そのため、第二嫌気性消化槽においても、リン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止できた。第二嫌気性消化槽から引き抜かれた消化汚泥は、有機物の分解率は60重量%で、十分に消化処理された。また、脱水性能も向上しており、消化汚泥の脱水処理を、極めて効率的に行うことができた。
【0025】
なお、第一嫌気性消化槽の温度を10〜15℃で、第二嫌気性消化槽の温度を30〜35℃で、いずれの汚泥滞留日数も20日で行ったところ、リン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止でき、脱水性能も良好であった。また、第一嫌気性消化槽の温度を20〜25℃で、第二嫌気性消化槽の温度を38〜40℃で、いずれの汚泥滞留日数も12日で行ったところ、リン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止でき、脱水性能も良好であった。しかし、第二嫌気性消化槽の温度は20℃でも運転は可能であるが、汚泥滞留日数が多く必要とする。
【0026】
(従来例1)
図4にフローシートを示す汚泥処理装置により、初沈汚泥および余剰汚泥の消化を行った。なお、第一嫌気性消化槽、第二嫌気性消化槽および機械濃縮装置は、実施例1と同様のものを使用し、初沈汚泥および余剰汚泥の汚泥濃度は、実施例1と同様である。また、第一嫌気性消化槽と第二嫌気性消化槽の温度を、いずれも36〜38℃とし、汚泥滞留日数はいずれの嫌気性消化槽も15日とした。
【0027】
この運転により、第一嫌気性消化槽へ投入する濃縮汚泥の汚泥濃度は4〜5重量%であり、第二嫌気性消化槽から引き抜かれる消化汚泥の汚泥濃度は0.9〜1.1重量%であった。運転中、第一嫌気性消化槽のpHは8程度で、有機物の分解率は50重量%程度に進んだ。これは、消化がほぼ終了しているといえる。そのため、第一嫌気性消化槽において、リン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止し難かった。また、第二嫌気性消化槽でも、pHは8程度で、有機物の分解率は50重量%程度からあまり進まなかった。そのため、第二嫌気性消化槽においても、リン酸マグネシウムアンモニウムなどの結晶化を防止し難かった。第二嫌気性消化槽から引き抜かれた消化汚泥は、十分に消化処理されていたが、汚泥濃度が0.9〜1.1重量%と低かった。また、脱水性能も十分でなく、消化汚泥の脱水処理を効率的に行うことができなかった。
【0028】
【発明の効果】
本発明では、機械濃縮装置からの分離液中にアンモニアの量がより多くなるように、第一嫌気性消化槽では常温消化を行う。これにより、リン酸マグネシウムアンモニアなどを結晶化させる原因物質のアンモニアが、機械濃縮により分離液に溶解して、系外に排出される。
【0029】
第一嫌気性消化槽で、濃度が薄い汚泥の常温消化を行うと、滞留日数が短いことと相俟って消化が進みにくい。すなわち、有機物の分解とガス化が抑えられ、有機酸などの酸性物質が残留する。そのため、pHはあまり上昇しない。従って、リン酸マグネシウムアンモニアなどが結晶化し難く、第一嫌気性消化槽にスケールが付着することが防止できて、維持管理が容易になる。
【0030】
また、機械濃縮装置で、濃縮汚泥の濃度を高く維持できるので、第二嫌気性消化槽から引き抜かれる消化汚泥の濃度が高くなり、ひいてはこの消化汚泥の脱水処理の効率も上がるという効果が得られる。
【0031】
さらに、第一嫌気性消化槽から排出される汚泥中に溶存していたアンモニアの多くが、機械濃縮装置により除去されてしまうため、第二嫌気性消化槽では、濃縮汚泥を中温消化しても、pHはあまり上昇せず、リン酸マグネシウムアンモニアなどの結晶化を防止でき、スケールの付着を防ぐことができる。
【0032】
また、第二嫌気性消化槽から引き抜かれた消化汚泥は、十分に消化処理され、汚泥濃度が高く、また脱水性能も向上しており、消化汚泥の脱水処理を極めて効率的に行うことができる。
【0033】
高分子凝集剤を注入した場合は、遠心濃縮機の分離液が清澄になり、濃縮濃度も増加する。高分子凝集剤では、リン酸マグネシウムアンモニアの原因となるアンモニアや溶解性リンを、ポリ鉄等の無機凝集剤のように濃縮せず、分離液として系外へ排出できるため、高濃度のリンが残留し結晶化して第二嫌気性消化槽でスケールの原因となることがない。
【0034】
本発明により、2槽嫌気性消化処理方式で、嫌気性消化槽のスケールの付着を防止できて、維持管理が容易な汚泥処理装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚泥処理装置を使用して初沈汚泥と余剰汚泥の嫌気性消化を行う方法を示すフローシートである。
【図2】機械濃縮装置が遠心濃縮機である図1と同様のフローシートである。
【図3】図2の汚泥処理装置において、第一嫌気性消化装置から遠心濃縮機に汚泥を移送する間に、薬注設備から凝集剤を注入するフローシートである。
【図4】従来の2槽嫌気性消化処理方式の汚泥消化方法の一例を示すフローシートである。
Claims (2)
- 投入された汚泥を10〜25℃で消化処理する第一嫌気性消化槽と、該第一嫌気性消化槽から排出された汚泥を濃縮処理する機械濃縮装置と、該機械濃縮装置から排出された濃縮汚泥を30〜40℃で加温消化処理する第二嫌気性消化槽とからなる汚泥処理装置。
- 前記第一嫌気性消化槽から排出された汚泥に、高分子凝集剤を注入する薬注設備を備えたことを特徴とする請求項1に記載の汚泥処理装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003088919A JP2004290891A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 汚泥処理装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003088919A JP2004290891A (ja) | 2003-03-27 | 2003-03-27 | 汚泥処理装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2004290891A true JP2004290891A (ja) | 2004-10-21 |
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
Country | Link |
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-
2003
- 2003-03-27 JP JP2003088919A patent/JP2004290891A/ja active Pending
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