JP2004290831A - デカンタ型遠心脱水装置 - Google Patents

デカンタ型遠心脱水装置 Download PDF

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Abstract

【課題】デカンタ型遠心脱水装置において、固形分の排出口での詰まりを防止しつつ効率的な脱水を図りながらも、消費動力を確実に低減する。
【解決手段】スクリュウコンベア5のスクリュウシャフト6a外周と回転ボウル1内周との間の環状空間Cに被処理物Pを供給して固液分離した固形分Sを軸線O方向一端側に搬送するに際し、この環状空間Cの一端側において、スクリュウシャフト6a外周にスクリュウ側凸壁部11を設けるとともに、回転ボウル1の内周にはスクリュウ側凸壁部11から一端側に間隔をあけて軸線O方向に対向するボウル側凸壁部12を設け、これらの間に、環状空間Cの外周側から一端側に向かうに従い内周側に向かって環状空間Cの内周縁に臨むように開口する固形分の排出経路13を形成する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水汚泥等の被処理物を脱水するためのデカンタ型遠心脱水装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このようなデカンタ型遠心脱水装置として、本発明の発明者等は、例えば特許文献1において、一端側内周部が先細り状に傾斜させられた外形略円筒状をなして軸線回りに回転される回転ボウルとその内周に同軸的に配置されるスクリュウコンベアとを備え、これらスクリュウコンベアと回転ボウルとの間の環状空間に供給された被処理物を固液分離して、固形分は上記一端側に搬送して排出する一方、分離液は他端側において上記環状空間の内周側に開口した分離液流路から排出するように構成し、さらにこの環状空間内のスクリュウシャフトの上記一端側の部分に、この一端側に向かうに従い外径が漸次縮径する円錐台状のコーン状部を形成したものを提案している。
【0003】
従って、このようなデカンタ型遠心脱水装置によれば、環状空間内の一端側の部分に上記コーン状部が形成されることにより、固形分が排出されるこの一端側において環状空間の断面積をより小さくすることができて、被処理物から固液分離された固形分を確実に圧縮して効率的な脱水を図ることができる。また、その一方で、分離液が排出される流路は環状空間の内周側に開口しているので、この分離液が遠心力による大きな運動エネルギーをもったまま排出されるのを防ぐことができ、エネルギー損失を抑えて当該装置を駆動するための消費動力の軽減を図ることができる。なお、特許文献2〜6などにも、同様に下水汚泥のような被処理物を脱水を行う装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−336735号公報
【特許文献2】
特開2001−219097号公報
【特許文献3】
特開2002−239415号公報
【特許文献4】
特開2002−239416号公報
【特許文献5】
特開2002−273270号公報
【特許文献6】
特開2002−282737号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このうち特許文献1記載の装置にあっては、固形分が排出される環状空間の一端側の断面積を小さくする先細り状に傾斜させられた回転ボウルの一端側内周部と上記コーン状部の外周部とが、上記軸線に対する径方向に互いに対向するようにされているため、この断面積が小さくさせられた部分が軸線方向に長くなり、下水汚泥の性状等によっては、上述のようにこの部分で固形分が確実に圧縮されることにより、却って詰まりやスリップを生じたりして排出性が損なわれるおそれがあることが分かった。
【0006】
また、特許文献2〜6に記載の装置でも、同様に環状空間の一端側で断面積が小さくなる部分が形成されているものの、これら特許文献2〜6では、この部分は固形分の排出口となるその一端で径方向に環状空間の外周縁寄りの位置に開口するように形成されており、このため今度は比重の大きな固形分が遠心力による大きな運動エネルギーをもったまま排出されることとなって、回転ボウルやスクリュウシャフトの回転駆動量の増大を招く結果となる。また、特にこのうち特許文献3にあってはこの部分が上記一端側に向かって狭くなるように形成されており、特許文献4にあってはこの部分に突条が形成されており、特許文献5にあってはこの部分に螺旋翼が設けられているので、この部分で断面積が小さくなることによって圧縮された固形分がやはり詰まりを生じるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような背景の下になされたもので、被処理物を脱水して固形分と分離液とに固液分離するデカンタ型遠心脱水装置において、固形分の排出口での詰まりを防止しつつ効率的な脱水を図りながらも、消費動力を確実に低減することが可能なデカンタ型遠心脱水装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明は、外形略円筒状をなして中心軸線回りに回転可能に支持される回転ボウルと、この回転ボウル内に同軸的に配置されて回転ボウルと差速をもって同方向に回転可能に支持されるスクリュウコンベアとを備え、このスクリュウコンベアのスクリュウシャフト外周と回転ボウルの内周との間の環状空間に供給された被処理物を回転ボウルの遠心力によって固液分離しつつ、分離された固形分はスクリュウコンベアによってこの環状空間を軸線方向一端側に搬送するとともに、被処理物から分離された分離液は軸線方向他端側において環状空間の内周側に開口した分離液流路から排出可能とし、環状空間の一端側において、スクリュウシャフト外周には環状空間に突出するスクリュウ側凸壁部を設けるとともに、回転ボウルの内周にはスクリュウ側凸壁部から一端側に間隔をあけて該スクリュウ側凸壁部に軸線方向に対向するように環状空間に突出するボウル側凸壁部を設けて、これらスクリュウ側凸壁部とボウル側凸壁部との間に、環状空間の外周側から一端側に向かうに従い内周側に向かって環状空間の内周縁に臨むように開口する固形分の排出経路を形成したことを特徴とする。
【0009】
従って、このように構成されたデカンタ型遠心脱水装置においては、まず被処理物が供給される上記環状空間の一端側において、スクリュウシャフト外周に設けられたスクリュウ側凸壁部と回転ボウル内周に設けられたボウル側凸壁部とにより、これよりも他端側の環状空間に対して断面積が小さくされた固形分の排出経路が形成されることとなるので、これによって固形分をこの一端側で圧縮して効率的な脱水を図ることができる。その一方で、これらスクリュウ側凸壁部とボウル側凸壁部とは回転ボウルの軸線方向に対向するようにされているため、この排出経路の軸線方向長さも短くすることができて、これにより、上述のように圧縮された固形分が排出経路で詰まりを生じるのを防ぐことができる。そして、この排出経路の固形分排出口とされる一端側は上記環状空間の内周側に臨んで開口させられているので、排出される固形分が遠心力による大きな運動エネルギーを伴うことが無く、しかも分離液が排出される分離液流路も環状空間の内周側に開口しているため、エネルギー損失を抑えてその分回転ボウルやスクリュウコンベアの回転駆動力を低減することが可能となる。
【0010】
また、上記固形分の排出経路を、その上記固形分排出口における上記軸線に対する径方向の幅が、該排出経路の他端における径方向の幅よりも大きくなるようにすることにより、一層確実な詰まりの防止を図ることができる。特にこのような場合には、この固形分の排出経路を、その上記軸線に対する径方向の幅が、上記一端側に向かうに従い漸次大きくなるように形成することにより、円滑な固形分の排出を促すことができる。さらに、上記スクリュウ側凸壁部の上記一端側を向く壁面と上記ボウル側凸壁部の上記他端側を向く壁面とを、上記一端側に向かうに従い内周側に向かって傾斜する円錐面状とした場合には、上記軸線に沿った断面においてこれらの壁面同士の該軸線に対する径方向の中心を結んだ直線がこの軸線に対してなす排出経路傾斜角を20〜70°の範囲に設定することにより、排出経路の軸線方向の長さをより確実に抑えつつも、固形分を排出経路を通して内周側に排出するのに大きな押圧力を要したり、かかる押圧力によって固形分に過度な圧縮力が作用して詰まりを生じたりするのを防止することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1および図2は、本発明の一実施形態を示すものである。本実施形態において回転ボウル1は、軸線Oを中心とした概略円筒状をなすボウル本体2と、このボウル本体2と略同内径の有底円筒状をなして該ボウル本体2の軸線O方向一端側(図1、2において左側)の開口部に同軸に取り付けられる支持部材3、およびボウル本体2と略同外径の円板状をなして該ボウル本体2の他端側(図1、2において右側)の開口部に取り付けられる支持部材4とから構成されて、これら支持部材3,4により両端が閉塞された直胴型をなしている。
【0012】
このうち、支持部材3の底部中央と支持部材4の中央とには、当該回転ボウル1の内部に連通する小径円筒状の支持部3a,4aがそれぞれ軸線Oを中心として外側に突出するように設けられていて、これらの支持部3a,4aが図示されない軸受に取り付けられるとともに、その一方がやはり図示されない回転駆動装置に連結されることにより、回転ボウル1は軸線Oを水平にして該軸線O回りに回転可能に支持されている。なお、このうち例えば一端側の支持部材3の支持部3aは、図2に示すように該支持部材3がなす上記有底円筒の内部に突出するようにされていてもよい。
【0013】
また、スクリュウコンベア5は、円筒状のスクリュウシャフト6aの外周にスクリュウ羽根6bが設けられてなるスクリュウコンベア本体6と、上記スクリュウシャフト6aの両端に同軸に取り付けられたトラニオン7,8とから構成されており、これらトラニオン7,8はそれぞれ上記回転ボウル1の支持部材3,4の支持部3a,4a内にベアリング9を介して軸線O回りに回転自在かつ液密に支持されるとともに、そのうちの一方は、回転ボウル1の上記回転駆動装置とは異なる図示されない回転駆動装置に連結されていて、これにより当該スクリュウコンベア5は回転ボウル1内に同軸的に配置されて該回転ボウル1と差速をもって同方向に回転可能とされる。
【0014】
しかして、本実施形態では、このように同軸的に配置されたスクリュウコンベア5の概ね上記スクリュウシャフト6a部分の外周と、回転ボウル1の概ね上記ボウル本体2の内周との間に形成される環状空間Cに下水汚泥等の被処理物Pを供給することにより、この被処理物Pが上記環状空間C内に充密させられて回転ボウル1の遠心力によって固液分離され、被処理物Pから分離されて脱水された固形分Sはスクリュウコンベア5のスクリュウ羽根6bによりこの環状空間Cを軸線O方向一端側に搬送される一方、分離液Lは軸線O方向他端側に押し出されてそれぞれ排出される。
【0015】
ここで、上記トラニオン7,8のうち、他端側のトラニオン8内には軸線Oに沿って被処理物Pの供給路8aが形成されるとともに、スクリュウコンベア本体6のスクリュウシャフト6aには、回転ボウル1の軸線O方向略中央部に位置するように被処理物Pの供給部材10が備えられており、この供給部材10は上記供給路8aと供給管10aによって連結されている。
【0016】
ここで、この供給部材10は、本実施形態では鋳鉄等の鋳物によって円盤状に形成されてスクリュウシャフト6aに同軸に取り付けられ、その内部には、上記軸線O上に他端側を向いて開口する上記供給管10aとの連結部から分岐し、この軸線Oに滑らかに接する円弧状をなして一端側に向かうに従い外周側に向かった後に、軸線Oに直交する方向に延びてスクリュウシャフト6aの外周に開口する供給路10bが、周方向に等間隔に複数(本実施形態では4つ)形成されている。従って、トラニオン8の上記供給路8aから供給された被処理物Pは、供給管10aを介してこの供給部材10の供給路10bから上記環状空間Cの軸線O方向中間部においてその内周に吐出して該環状空間C内に供給される。
【0017】
また、上記他端側のトラニオン8内には、上記供給路8aの外周に、分離液Lの排出用の複数の分離液流路8bが互いに周方向に等間隔に、かつそれぞれ軸線Oに平行に形成されており、これらの分離液流路8aは、その一端が外周側に延びて上記環状空間C内の他端に位置するトラニオン8の端部の外周すなわち該環状空間Cの内周に開口させられている。なお、この分離液流路8aの環状空間C内への開口部には液側ベーン8cが備えられている。また、上記スクリュウ羽根6bは、スクリュウシャフト6a他端に取り付けられたこのトラニオン8の端部にまで延設されており、さらにこのスクリュウ羽根6bの内周側の根元部分には、該スクリュウ羽根6bを軸線O方向に貫通する複数の貫通孔6cが周方向に間隔を開けて、かつ当該スクリュウ羽根6bの軸線O方向全長に亙って形成されている。
【0018】
一方、上記スクリュウシャフト6aの一端部外周には環状空間C内に突出するようにインナーコーン11が取り付けられていて、このインナーコーン11により本実施形態におけるスクリュウ側凸壁部が構成されている。このインナーコーン11は、スクリュウシャフト6aの一端部外周に外嵌されて着脱可能に固定される軸線Oを中心としたリング状の部材であって、ただしその外径は、スクリュウ羽根6bの外径が回転ボウル1のボウル本体2内径よりも僅かに小さい程度であるのに対し、このスクリュウ羽根6b外径よりもさらに一段小さくされており、図2に示すように軸線O方向一端側を向く壁面11aと他端側を向く壁面11bおよび外周側を向く周面11cとを備えている。
【0019】
そして、このうち上記一端側を向く壁面11aは、この一端側に向かうに従い一定の傾斜角αで内周側に向かう軸線Oを中心とした円錐状面とされていて、その一端側の内周縁はスクリュウシャフト6aの外周面に連続させられている。また、このインナーコーン11の他端側を向く上記壁面11bは、上記傾斜角αよりも軸線Oに対して大きな傾斜角βで壁面11aとは逆に一端側に向かうに従い外周側に向かうやはり軸線Oを中心とした円錐状面とされ、従ってその軸線O方向の長さは壁面11aよりも短くされる。さらに、インナーコーン11の上記周面11cも、その軸線O方向の長さが壁面11aより短くされた該軸線Oを中心とする円筒面状とされている。
【0020】
さらに、このインナーコーン11に対して軸線O方向一端側に間隔を開けた位置には、やはり環状空間Cに突出するようにしてアウターコーン12が回転ボウル1の内周に取り付けられており、このアウターコーン12は上記インナーコーン11に軸線O方向において対向するようにされていて、本実施形態におけるボウル側凸壁部とされている。ここで、このアウターコーン12も軸線Oを中心としたリング状の部材であって、軸線O方向他端側を向く壁面12aと一端側を向く壁面12bおよび内周側を向く周面12cとを備えている。
【0021】
なお、このアウターコーン12の外周部には円環板状のフランジ部12dが形成されており、このフランジ部12dが回転ボウル1の上記ボウル本体2と支持部材3との取付部に1ないし複数のスペーサー12eとともに介装されることにより、該アウターコーン12は回転ボウル1の内周に着脱可能に固定されている。従って、このスペーサー12eを上記フランジ部12dの前後(軸線O方向一端側と他端側)で入れ替えることにより、アウターコーン12の軸線O方向の位置は調整可能とされる。
【0022】
そして、このアウターコーン12の上記他端側を向く壁面12aは、インナーコーン11の上記壁面11aの傾斜角αよりも小さな傾斜角γで一端側に向かうに従い内周側に向かう該軸線Oを中心とした円錐状面とされている。従って、これらの壁面11a,12aの間には、環状空間Cの一端側において、回転ボウル1の内周面寄りの円周部すなわち環状空間Cの外周縁部から一端側に向かうに従い内周側に向けて延び、この一端内周側でスクリュウシャフトの外周面寄りの円周部すなわち環状空間Cの内周縁部に開口する、軸線Oを中心とした円錐台面に沿った空間が形成されることとなり、この空間が被処理物Pから分離された固形分Sの排出経路13とされる。
【0023】
また、このように排出経路13を形成する壁面12aの傾斜角γが壁面11aの傾斜角αよりも小さくされることにより、この排出経路13は、上記環状空間Cの外周縁部から内周縁部に向かう部分では、その上記軸線Oに対する径方向の幅が上記一端側に向かうに従い漸次大きくなるように形成されることとなる。
【0024】
なお、このように一端側に向かうに従い環状空間Cの外周縁部から内周縁部に向かうように傾斜した排出経路13の傾斜角、すなわち図2に示すように円錐面状とされた上記壁面11a,12a同士の軸線Oに沿った断面における該軸線Oに対する径方向の中心を結んだ直線Mが軸線Oに対してなす排出経路傾斜角θ(=(α+γ)/2)は、本実施形態では20〜70°の範囲に設定されている。因みに、本実施形態では、壁面11aの上記傾斜角αは20〜70°の範囲とされるとともに、壁面12aの傾斜角γは20〜60°の範囲とされて、これらの範囲でα>γとされ、さらにインナーコーン11の他端側を向く壁面11bの傾斜角β(>α>γ)は60〜90°の範囲とされている。
【0025】
さらに、アウターコーン12の上記壁面12aは、インナーコーン11の上記周面11cよりも軸線O方向一端側において回転ボウル1の内周面に連続するようにされ、従って上記排出経路13の他端側にはこの周面11cと回転ボウル1の内周面(ボウル本体2の内周面)との間に、軸線Oに平行に延びる短い導入部13aが形成されることとなる。ただし、図示のアウターコーン12においては壁面12aが円錐状面のまま回転ボウル1の内周面に連なるようにされているが、この壁面12aが回転ボウル1内周面に連なる部分は軸線Oに垂直な平面によって切り欠くようにしてもよい。
【0026】
また、アウターコーン12の上記周面12cは、上記周面11cと同様にその軸線O方向の長さが壁面12aより短くされた該軸線Oを中心とする円筒面状とされている。ただし、その内径は上記周面11cの外径よりも小さくされて、これによりインナーコーン11とアウターコーン12とは、その壁面11a,12a同士が軸線Oに対する径方向にオーバーラップされるようにして、上述のように軸線O方向に対向させられることとなる。
【0027】
さらに、該周面12cは、インナーコーン11の壁面11aがスクリュウシャフト6aの外周面に連なる部分よりも僅かに軸線O方向一端側に配設されており、これによりこの周面12cとスクリュウシャフト6aの外周面との間には、排出経路13の他端側にあって軸線Oに平行に延びる短い排出部13bが形成されることとなって、この排出部13bの一端、すなわち周面12cとスクリュウシャフト6a外周面との一端縁の間に形成される円環状の開口部が排出経路13からの固形分Sの排出口13cとされる。しかして、この排出口13cの軸線Oに対する径方向の幅Aは、排出経路13の他端における上記導入部13aの径方向の幅Bよりも大きくされている。
【0028】
一方、この排出口13cよりもさらに一端側の上記支持部材3内は、その他端側が、該支持部材3の円筒壁部に周方向に間隔を開けて形成される複数の排出孔14aを介して大気圧に開放された固形分Sの排出室14とされている。そして、この排出室14には、支持部材3内の一端側に設けられた弁機構15によって上記排出口13cに向けて進退可能とされて該排出口13cを開閉する弁体16が備えられており、従って本実施形態ではこの弁体16および弁機構15は、回転ボウル1内に配設されることとなる。
【0029】
ここで、この弁機構15においては、回転ボウル1を構成する上記支持部材3内の一端側に周方向に等間隔に複数の油圧室15aが形成されていて、これらの油圧室15a内にはピストン15bがその周面を油圧室15a内壁に液密に摺接させて軸線O方向に進退可能に収容されるとともに、該ピストン15bによって前後に分けられる油圧室15aには、図示されない作動油の供給手段からトラニオン7および支持部材3内に形成された作動油供給路15cを介して作動油が供給・排出可能とされている。また、ピストン15bには油圧室15aから軸線Oに平行に他端側に向けて延びて上記排出室14に突出するロッド15dがオイルシール15eを介して設けられていて、これら複数の油圧室15aから突出する複数のロッド15dの先端に上記弁体16が取り付けられている。従って、これら複数のロッド15dも周方向に間隔を開けて配設されるとともに、個々のロッド15dの排出室14内における内周側と外周側とには、ある程度の空間があけられている。
【0030】
また、この弁体16は、上述のように円環状をなして開口する排出口13cに合わせて円環状とされていて、すなわち1つの弁体16が上記複数のロッド15dの先端に支持されて軸線O方向に進退可能とされており、上記油圧室15aのピストン15bより他端側に作動油を供給したときには図2の上側に示されるように一端側に後退して排出口13cを開放可能とされ、逆に油圧室15aのピストン15bより一端側に作動油を供給したときには図2の下側に示されるように他端側すなわち排出口13c側に前進して該排出口13cの開口部周縁に密着することにより、この排出口13cを閉鎖可能とされている。従って、この弁体16の外径は排出口13cの外径より大きくされ、内径は排出口13cの内径よりも小さくされる。
【0031】
なお、この弁体16の内径は、当該弁体16の内周側に環状の空間があけられるように、その内周に配置されるトラニオン7の外径や、図2に示したように支持部材3の支持部3aが有底円筒部内に突出しているときにはその外径よりも大きくされる。ただし、図示においては弁体16の排出口13c側を向く先端面とこの先端面が密着する排出口13cの開口部周縁とが軸線Oに直交する平坦面状とされているが、例えば排出口13c開口部周縁の内外周をテーパ状に切り欠くとともに弁体16の先端部内外周をこの排出口13cを閉鎖可能な形状としてもよい。
【0032】
そして、このように弁体16によって排出口13cが閉鎖されることにより、回転ボウル1の上記環状空間Cを一端側に搬送されて上記排出経路13内に押し込まれた固形分Sには、上記油圧室15aに供給された作動油の圧力による一定の背圧が作用することとなり、この背圧を固形分Sの排出圧力が上回ったときに上記作動油の圧力に抗して弁体16が後退して排出口13cが開放され、この排出口13cから固形分Sが排出室14内に排出されて、さらに排出孔14aを通して回転ボウル1の外周に排出される。なお、この回転ボウル1の外周には、軸線O方向において少なくともその直胴部分(支持部材3,4の支持部3a,4aの間)を覆うように図示されないカバーが設けられている。
【0033】
従って、このように構成されたデカンタ型遠心脱水装置では、まず環状空間Cの上記一端側においてインナーコーン11(スクリュウ側凸壁部)とアウターコーン12(ボウル側凸壁部)とにより、この環状空間Cよりも断面積の小さな固形分Sの排出経路13が形成されるので、スクリュウコンベア5によってこの一端側に搬送された固形分Sを該排出経路13で圧縮して、その効率的な脱水を図ることができる。また、その一方で、これらインナーコーン11とアウターコーン12とは回転ボウル1の軸線O方向に対向するように環状空間C内の内周側と外周側とに突出するように設けられているので、回転ボウルの一端側内周部とコーン状部の外周とが軸線に対する径方向に対向するようにされた特許文献1記載のデカンタ型遠心脱水装置に比べては排出経路傾斜角θを大きくすることができ、従って排出経路13の径方向の長さが同じでも軸線O方向の長さは短くすることができて、すなわち排出経路13自体を短くすることができ、これにより被処理物Pが下水汚泥等であってもその固形分Sが排出経路13内で詰まりやスリップを生じてその円滑な排出が阻害されたり被処理物Pの遠心分離自体が不可能となったりするような事態を防止することができる。
【0034】
そして、さらに上記構成のデカンタ型遠心脱水装置によれば、上記アウターコーン12内周の周面12cがインナーコーン11の壁面12aよりも一端側に位置してスクリュウコンベア5のスクリュウシャフト6a外周面と対向することにより上記固形分Sの排出口13cが形成されており、すなわち排出経路13が環状空間Cの外周側から上記一端側に向かうに従い内周側に向かってこの環状空間Cの内周縁に臨むように開口させられているので、遠心分離の際に回転ボウル1ととも回転することによって与えられた遠心力による大きな運動エネルギーを固形分Sが伴ったまま排出口13cから排出されてしまうのを防ぐことができる。従って、これによりエネルギー損失を抑えて回転ボウル1やスクリュウコンベア5の回転駆動力の低減を図ることが可能となり、被処理物Pの遠心脱水の省エネルギー化を促すことができる。
【0035】
また、本実施形態の遠心脱水装置では、上記排出経路13の軸線O方向両端部に、環状空間Cの一端側に搬送された被処理物Pの固形分Sを排出経路13の導入する導入部13aと、この排出経路13を通った固形分Sを排出口13cに導く排出部13bとが、傾斜した排出経路13よりは短いものの軸線Oに平行に延びるように形成されており、これにより固形分Sを円滑に排出経路13に導入して排出することが可能となる。そして、この排出経路13の両端における当該排出経路13の軸線Oに対する径方向の幅は、固形分Sが排出される一端側の排出部13bの排出口13cにおける幅Aが、固形分Sが導入される他端側の導入部13aにおける幅Bよりも大きくされているので、例えば上記特許文献3のようにこの間で排出経路の幅が一端側に向かって狭くなるように形成されていたりするのに比べ、排出経路13に導入された固形分Sが該排出経路13の傾斜(縮径)によって強く圧縮されすぎるのを緩和することができ、上述のように排出経路13の長さ自体が短くされることとも相俟って、その詰まり等をより確実に防止することができる。
【0036】
さらに、本実施形態では、この排出経路13の径方向の幅が、その両端の上記導入部13aと排出部3bとの間の一端側に向かうに従い内周側に向かって傾斜する部分で、上記幅Bから幅Aへと一端側に向けて漸次大きくなるようにされている。すなわち、この部分で排出経路13の幅の拡がりが不連続となることがないので、このような不連続部において固形分Sが滞留したりすることで詰まりを生じるようなこともなく、一層円滑な固形分Sの排出を図ることができる。
【0037】
しかも、この排出経路13の内周側に傾斜する部分を形成するインナーコーン11とアウターコーン12の互いに対向する壁面11a,11bは、いずれも軸線Oを中心とした円錐面状に形成されており、これにより排出経路13の当該部分も上述のように軸線Oを中心とする円錐台面に沿った空間(ただし、径方向の幅は一端側に向けて漸次大きくなる。)として形成されることとなる。すなわち、本実施形態では排出経路13に周方向にも不連続な部分が形成されることがなくなるので、例えば上記特許文献4記載の遠心脱水装置のように上記壁面に突条が形成されていたり、特許文献5に記載の遠心脱水装置のように排出経路に螺旋翼が設けられていたりするのに比べ、これら突条や螺旋翼と干渉することよって固形分Sの排出が阻害されるようなこともない。
【0038】
ところで、本実施形態では、このようにインナーコーン11とアウターコーン12の壁面11a,12aが円錐面状とされた上で、この排出経路13を形成する上記空間が沿う円錐台面の母線の傾斜角、すなわち上記軸線Oに沿った断面においてこれらの壁面11a,12a同士の径方向の中心を結んだ上記直線Mが軸線Oに対してなす排出経路傾斜角θを20〜70°の範囲に設定しているが、これは、この排出経路傾斜角θがこれよりも大きいと、そのような傾斜の急な排出経路13を通して固形分Sを回転ボウル1の回転による遠心力に抗して内周側に排出するには、上記スクリュウコンベア5によって大きな押圧力で固形分Sを排出経路13に押し込まなければならず、またこのような大きな押圧力によって固形分Sが強く圧縮されすぎて排出経路13における詰まりを招くおそれがあるからである。
【0039】
その一方で、逆に排出経路傾斜角θが上記範囲よりも小さくて傾斜が緩やかであると、上記壁面11a,12aが径方向に対向するようになって上述の効果を得られなくなるおそれが生じるので、この排出経路傾斜角θは上記範囲に設定されるのが望ましい。なお、同様の理由により、これらの壁面11a,12aが軸線Oに対してなす上記傾斜角α,γも、本実施形態のように傾斜角αは20〜70°の範囲、傾斜角γは20〜60°の範囲とされるのが望ましい。
【0040】
また、本実施形態ではインナーコーン11とアウターコーン12とが着脱可能とされるとともに、特にアウターコーン12はスペーサー12eによってその軸線O方向の位置を変更することができるので、被処理物Pの性状等に応じてインナーコーン11やアウターコーン12をその上記傾斜角α,β,γの異なるものと交換したり、排出経路13の軸線O方向の間隔や径方向の幅を調整したりすることもできる。さらにまた、上記スペーサー12eは、これを周方向に分割可能な例えば半割状などにしておいて外周側から交換可能としておけば、回転ボウル1のボウル本体2と支持部材3とを完全に取り外すことなく、アウターコーン12の位置変更を行うことができて作業が容易となる。
【0041】
さらに、本実施形態では、上記壁面11aとは反対のインナーコーン11(スクリュウ側凸壁部)の他端側を向く壁面11bが、壁面11aとは逆に一端側に向かうに従い外周側に向かう軸線Oを中心とした円錐状面とされており、従って環状空間Cを一端側に搬送された固形物Cを、該環状空間Cの外周側縁部に開口する上記排出経路13の導入部13aに、より円滑に導入することができて確実に圧縮することにより効率的な脱水を促すことができる。なお、この壁面11bの軸線Oに対する傾斜角βについても、これが大きすぎると固形分Sを上記導入部13aに円滑に導くことができなくなる一方、逆に小さすぎるとインナーコーン11が軸線O方向に長くなって被処理物Pを固形分Sと分離液Lとに固液分離する環状空間Cのスペースが小さくなるので、本実施形態のように壁面11aの傾斜角αよりは大きくされるのが望ましく、または60〜90°の範囲とされるのが望ましい。
【0042】
一方、本実施形態においては、上記環状空間Cの一端に開口した固形分Sの排出口13cに該排出口13cを開閉可能な弁体16が設けられている。従って、この弁体16によって排出口13cを閉鎖しておくことにより、排出口13cから排出されようとする固形分Sには一定の圧力(背圧)が作用することとなるため、固形分Sを一層確実に圧縮することが可能となり、これによってさらに高い脱水効率を得ることができる。
【0043】
なお、分離液流路8aが環状空間Cの内周側に開口してこれよりさらに内周側の上記他端側のトラニオン8内に延びるように形成された本実施形態の遠心脱水装置では、この分離液流路8aの図示されない排出口と環状空間Cの内周側縁部に臨んで開口した上記固形分Sの排出口13cとの間には、その径方向の位置によって大きな差圧が生じることとなり、この排出口13cを弁体16が塞ぐことによって固形分Sに与えられる上記一定の圧力は、この差圧分に相当する圧力とされる。従って、固形分Sが環状空間Cの一端側で圧縮されてその圧力がこの差圧分の一定圧力を上回ったところで上述のように弁体16は開放され、固形分Sは排出口13cから排出室14を介してその排出孔14aより排出される。
【0044】
そして、本実施形態では、この弁体16が、回転ボウル1の内部に配設されており、すなわち上記円筒状のボウル本体2の一端に取り付けられて直胴型の回転ボウル1を構成する有底円筒状の支持部材3内に収容されているので、上記排出口13cを、周方向に間隔を開けて点在するように形成することなく、環状空間Cにそのまま連通するようにされた環状に形成することが可能となり、これによって排出口13cの開口面積を大きく確保して固形分Sが排出される際の詰まり等も防止することが可能となる。
【0045】
しかるに、例えば上記特許文献1記載の遠心脱水装置においても、環状空間からの固形分の排出口には弁体が備えられているが、この特許文献1における弁体は回転ボウルの外部に設けられたものであり、すなわち回転ボウルの排出口が形成された端壁部から延びる軸端部の外周にリング状の弁体が進退可能に設けられたものであるので、弁体やこれを進退せしめる弁機構のメインテナンスは容易であるものの、この弁体が設けられる上記軸端部は排出口が形成される上記端壁部を介して回転ボウルの本体と連結されるため、この排出口が軸線回りに一周する環状であると、軸端部と回転ボウルの本体とが分断されて一体に回転させることができなくなってしまう。従って、そのような特許文献1記載の遠心脱水装置では、こうして軸端部と回転ボウルの本体とが分断されないように、上記排出口を上述のように周方向に間隔を開けて点在するように形成して、この間隔を開けた部分で軸端部と回転ボウル本体とが連結されるようにしなければならず、その結果この軸端部と回転ボウル本体が連結される上記排出口が間隔を開けた部分で排出口の開口面積が小さくなってしまい、特にこの部分の背面で固形分の詰まりを生じるおそれがある。
【0046】
ところが、これに対して本実施形態では、弁体16が回転ボウル1の内部に配設されていて、その外周を取り囲む支持部材3の円筒部分が円筒状のボウル本体2の一端部に取り付けられて支持部3aと連結されているので、排出口13cを環状としても上記支持部3aを回転ボウル1のボウル本体2と一体に回転することが可能となり、排出口13cでの固形分Sの詰まり等を防止することができるのである。また、この排出口から排出されようとする固形分には上述のような大きな差圧が作用しているため、上述のように排出口が間隔を開けた部分で軸端部と回転ボウル本体とが連結されていると、排出口を開放したときにこの部分にかかる差圧が作用してその変形を招いたりするおそれもあるが、排出口13cを環状に形成することが可能な本実施形態ではそのような変形による損傷も生じることはなく、従って装置寿命の延長を図ることが可能となる。
【0047】
一方、このように弁体16が回転ボウル1に配設されることにより、本実施形態によれば、例えばこの弁体16が上記スクリュウコンベア5側に設けられている場合と比べても、この弁体16や回転ボウル1の損傷を防いで装置寿命の延長を図ることが可能となる。すなわち、このように弁体16がスクリュウコンベア5側に設けられている場合でも、回転ボウル1内に配設されていれば排出口13cを環状に形成することは可能であるが、スクリュウコンベア5は回転ボウル1と差速をもって回転するため、弁体16がこの排出口13cの開口部周縁に密着して該排出口13cを閉じた状態では、弁体16はこの排出口13cの回転ボウル1側の開口部周縁つまり排出口13cの外周側の開口部周縁に摺接しながら軸線O回りに上記差速分の回転速度で回転ボウル1に対し相対回転させられることとなり、間に排出された固形分Sの粒子が噛み込まれたりすることとも相俟って、これら弁体16の外周縁部と回転ボウル1側の上記排出口13cの開口部周縁に摩耗が生じたりするおそれがある。
【0048】
この点、このような相対回転による摺接は、弁体16を回転ボウル1側に設けた本実施形態でも、弁体16と排出口13cのスクリュウコンベア5側の開口部周縁つまり排出口13cの内周側の開口部周縁との間に生じることとなる。ところが、こうして弁体16が排出口13cの内周側の開口部周縁と摺接する場合には、外周側と摺接する場合に比べて軸線Oからの径が小さいために同じ差速による回転速度であっても周速度は小さく、しかも周長も短いために噛み込まれる固形分Sの粒子も少なくなるため、本実施形態では、弁体16や開口部周縁の摩耗を抑えることができて長期に亙って高い密着性を得ることができるのである。
【0049】
さらに、本実施形態では、この弁体16が、やはり回転ボウル1内に設けられた複数の弁機構15によって開閉駆動可能とされており、すなわちこの回転ボウル3の上記支持部材3に軸線O周りの周方向に複数設けられた油圧室15a内にそれぞれ収容されたピストン15bから突出するロッド15dの先端に当該弁体16が取り付けられて、これらの油圧室15aに作動油を供給・排出することにより、ピストン15bがロッド15dごと進退して弁体16により排出口13cが開閉可能とされているので、このロッド15dのオイルシール15eのシール性を確保しやすく、また確実な弁体16の開閉を図ることができる。
【0050】
すなわち、同じ油圧駆動によって弁体を進退させるにしても、例えば上記特許文献1記載の遠心脱水装置では、上述のように弁体が軸端部の外周に設けられたリング状のものであって、すなわち軸端部外周にフランジ部が形成されるとともに、弁体は断面が内周側に開口する「コ」字状とされて、上記フランジ部を取り囲むように軸端部外周にオイルシールを介して密着して進退可能に取り付けられ、この弁体の内周とフランジ部との間に形成される油圧室に作動油を供給・排出して弁体を進退させるものであり、従ってその上記オイルシールは大径の軸端部外周の全周に亙って軸端部と弁体との間に介装しなければならず、シール性の確保や弁体を円滑に進退させるには高い取付精度や軸端部および弁体の成形精度が要求されることとなる。ところが、これに対して本実施形態では、個々の弁機構15におけるオイルシール15eは小径で済むためシール性が確保しやすく、しかも万一1つの弁機構15でオイルシール15eの破損や成形精度の誤差によってピストン15bやロッド15dの進退が不安定となっても、残りの弁機構15によって弁体16を確実に開閉駆動することができるのである。
【0051】
また、この特許文献1記載の遠心脱水装置のように、軸端部の外周をリング状の弁体が取り囲むようにして進退可能に取り付けられている場合に、弁体によって固形分の排出口を閉じた状態でこの排出口の内周側の開口部周縁と弁体との間に隙間があると、この隙間から弁体と軸端部との間に介装された上記オイルシールまでの範囲が、排出される固形分に作用する上記背圧と等しい圧力状態となるため、該オイルシールにはより高い耐圧性が要求されることとなる。ところが、これに対して本実施形態では、弁体16は環状であるもののその内径はトラニオン7や支持部材3の支持部3aの外径より大きくされており、またこの弁体16を進退せしめる弁機構15のロッド15dも、周方向に間隔を開けるとともにその排出室14内外周にも空間が開けられるように突出してその先端に該弁体16を支持した構成とされているので、排出口13cの開口部周縁と弁体16との間に隙間が形成されても、この隙間は大気圧に開放された上記排出室14内に連通することとなって、弁機構15におけるロッド15dのオイルシール15e等に大きな圧力が作用することはなく、一層高いシール性を確保することが可能となる。
【0052】
さらにまた、本実施形態では、上記環状空間Cに被処理物Pを供給する供給部材10に、軸線Oに沿って延びる供給管10aに連通し、この軸線Oに滑らかに接する円弧状をなして外周側に延びる供給路10bが形成されており、被処理物Pに空気等のガスが混入したりした場合でもこれを供給路10b内に留めることなく確実かつ速やかに排出して、環状空間C内に充填された被処理物Pに圧力変動が生じるのを防ぎ、安定した遠心脱水を図ることができる。
【0053】
この点、例えば上記特許文献2〜6に記載された遠心脱水装置は、分離液の排出口が回転ボウルの端面に開口させられた、いわゆる堰排出型のものであって、被処理物から分離した分離液は、遠心力により回転ボウルの内周面側に保持されて上記排出口の外周側縁部で堰き止められ、これを越えた分が排出されることとなるため、その液面はこの排出口の外周側縁部に維持されて、これよりも内周側の回転ボウル内は大気圧に開放された空洞状態となっており、従って環状空間に供給された被処理物中にガスが混ざっていてもこの空洞部分に排出されるため、遠心脱水に影響を及ぼすことはない。
【0054】
ところが、本実施形態のように分離液Lを排出する分離液流路8bが環状空間Cの内周側に開口していて、被処理物Pから固液分離された分離液Lと固形分Sとによって環状空間C内が充密される、いわゆる水没式の遠心脱水装置では、被処理物P中にガスが混入してこれが速やかに排出されないと、溜まったガスが被処理物や分離液Lおよび固形分Sの圧力によって加圧されて一定圧を越えたときに一気に分離液流路8bや固形分Sの排出口13cから放出されることとなり、これによって安定した遠心脱水操作が阻害される結果となる。そして、上記供給路10bに供給された比重の大きい被処理物Pは遠心力によって外周側の環状空間C内に速やかに送り出されて分離されるのに対し、比重の小さいガスはこれとは逆に内周側の供給路8b内に滞りやすく、従ってそのような供給路8bが角度をもって曲折していたりするとガスが一層抜け難くなって蓄積してしまい、これが環状空間Cに排出されたときにはより大きな不安定要因となってしまう。
【0055】
また、このような水没式の遠心脱水装置において、上述のように下水汚泥を被処理物Pとして脱水する場合には、装置に供給する下水汚泥に高分子凝集剤を添加して撹拌することにより、予め固形分Sをフロックとして形成しておいて固液分離されやすいようにしておくが、供給路8bがこのように角度をもって曲折していると、折角形成されたフロックが崩れてしまって効率的な固液分離が阻害されるという問題もある。
【0056】
そこで、本実施形態においては、上述のようにこの供給路10bを滑らかな円弧状に形成することにより、供給路10b内にガスを滞留させることなく被処理物Pとともに滑らかに環状空間C内に送り出し、この供給路10b内や環状空間C内にも蓄積されないうちに速やかに分離液流路8bから排出することで、円滑な遠心脱水操作が維持されるようにしている。しかも、本実施形態では、スクリュウコンベア5のスクリュウ羽根6bの根元部分すなわち環状空間Cの内周側に貫通孔6cが形成されているので、環状空間C内に送り出されて遠心力によりその内周側に寄ったガスを、スクリュウ羽根6bがなす螺旋に沿って移動させるのではなく、この貫通孔6cを通してショートパスさせて分離液流路8bに導くことができ、従って一層速やかなガスの排出を図ることができる。
【0057】
また、こうして供給路10bが滑らかに形成されることで、下水汚泥を被処理物Pとする場合でもフロックが崩されるのを防ぐことができ、効率的な遠心脱水を促すことが可能となる。さらに、本実施形態では、この供給路10bがスクリュウコンベア5のコンベア本体6におけるスクリュウシャフト6aに取り付けられた供給部材10に形成されており、この供給部材10は鋳鉄等の鋳物製であるため、このような円弧状に曲折する供給路10bも比較的精度よく容易に形成することが可能であり、しかも質量の大きい鋳物製の供給部材10が回転するスクリュウコンベア5の回転中心に位置することとなるので、高い回転バランスを維持することができるという利点も得られる。なお、本実施形態では供給路10bは円弧状とされてその外周側が軸線Oに垂直に延びるようにされているが、滑らかな弧状を描くものであれば円弧以外の曲線状とされていてもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、環状空間の一端側に軸線方向に対向するスクリュウ側凸壁部とボウル側凸壁部とによってこの環状空間の内周縁に臨むように開口する固形分の排出経路を形成することにより、排出経路を短くして固形分の詰まりを防止しつつ固形分を圧縮して効率的な脱水を図りながらも、排出される固形分によるエネルギー損失を抑えることができ、これに伴い回転ボウルやスクリュウコンベアの回転駆動力も軽減することができて、消費動力の少ない経済的なデカンタ型遠心脱水装置を提供することが可能となる。また、排出経路の径方向の幅を、その排出口において他端側よりも大きくしたり、一端側の排出口に向けて漸次大きくしたり、あるいはこの排出経路の傾斜角を20〜70°の範囲としたりすることにより、一層確実に排出経路における固形分の詰まりを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す実施形態の一端側部分の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 回転ボウル
2 ボウル本体
3,4 支持部材
5 スクリュウコンベア
6 コンベア本体
6a スクリュウシャフト
6b スクリュウ羽根
7,8 トラニオン
8b 分離液流路
10 供給部材
10b 供給路
11 インナーコーン(スクリュウ側凸壁部)
11a インナーコーン(スクリュウ側凸壁部)11の一端側を向く壁面
12 アウターコーン(ボウル側凸壁部)
12a アウターコーン(ボウル側凸壁部)12の他端側を向く壁面
13 排出経路
13c 排出口
14 排出室
15 弁機構
16 弁体
O 回転ボウル1、スクリュウコンベア5の回転軸線
A 固形分排出口13cにおける排出経路13の軸線Oに対する径方向の幅
B 排出経路13の他端における径方向の幅
C 環状空間
M 壁面11a,11bの軸線Oに対する径方向の中心を結んだ直線
P 被処理物
S 固形分
L 分離液
θ 排出路傾斜角

Claims (4)

  1. 外形略円筒状をなして中心軸線回りに回転可能に支持される回転ボウルと、この回転ボウル内に同軸的に配置されて該回転ボウルと差速をもって同方向に回転可能に支持されるスクリュウコンベアとを備え、このスクリュウコンベアのスクリュウシャフト外周と上記回転ボウルの内周との間の環状空間に供給された被処理物を上記回転ボウルの遠心力によって固液分離しつつ、分離された固形分は上記スクリュウコンベアによってこの環状空間を上記軸線方向一端側に搬送されるとともに、上記被処理物から分離された分離液は上記軸線方向他端側において上記環状空間の内周側に開口した分離液流路から排出可能とされており、上記環状空間の一端側において、上記スクリュウシャフト外周には上記環状空間に突出するスクリュウ側凸壁部が設けられるとともに、上記回転ボウルの内周には上記スクリュウ側凸壁部から上記一端側に間隔をあけて該スクリュウ側凸壁部に上記軸線方向に対向するように上記環状空間に突出するボウル側凸壁部が設けられていて、これらスクリュウ側凸壁部とボウル側凸壁部との間に、上記環状空間の外周側から上記一端側に向かうに従い内周側に向かって上記環状空間の内周縁に臨むように開口する上記固形分の排出経路が形成されていることを特徴とするデカンタ型遠心脱水装置。
  2. 上記固形分の排出経路は、上記固形分排出口における上記軸線に対する径方向の幅が、該排出経路の他端における径方向の幅よりも大きくされていることを特徴とする請求項1に記載のデカンタ型遠心脱水装置。
  3. 上記固形分の排出経路は、その上記軸線に対する径方向の幅が、上記一端側に向かうに従い漸次大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデカンタ型遠心脱水装置。
  4. 上記スクリュウ側凸壁部の上記一端側を向く壁面と上記ボウル側凸壁部の上記他端側を向く壁面とは、上記一端側に向かうに従い内周側に向かって傾斜する円錐面状とされており、上記軸線に沿った断面においてこれらの壁面同士の該軸線に対する径方向の中心を結んだ直線がこの軸線に対してなす排出経路傾斜角が20〜70°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のデカンタ型遠心脱水装置。
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