JP2004289077A - 半導体用接着剤組成物およびそれを用いた半導体用接着剤シート、半導体集積回路接続用基板、半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐半田リフロー性に優れた半導体装置用接着剤組成物を工業的に提供し、半導体装置の信頼性を向上させる。
【解決手段】半導体装置に用いられる接着剤組成物であって、熱硬化状態ある接着剤組成物の熱重量分析における1%重量減少温度が250℃以上であることを特徴とする半導体装置用接着剤組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】半導体装置に用いられる接着剤組成物であって、熱硬化状態ある接着剤組成物の熱重量分析における1%重量減少温度が250℃以上であることを特徴とする半導体装置用接着剤組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路を実装し、パッケージ化をする際に用いられる半導体集積回路接続用基板(インターポーザー)を構成する半導体装置用接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路(IC)パッケージにおいて、多ピン化、小型化の手段としてBGA方式、LGA方式、PGA方式、等が実用化されてきた。中でもBGA方式はプラスチック材料の利用による低コスト化、軽量化、薄型化の可能性が高く注目されている。
【0003】
図1にBGA方式の例を示す。IC1を接続するために絶縁体層3および導体パターン5、接着剤4からなる配線基板層、補強板(スティフナー)、放熱板(ヒートスプレッダー)、シールド板等の導体パターンが形成されていない層7、およびこれらを積層するための接着剤層6を、それぞれ少なくとも1層以上有しており、さらに金バンプ2、ソルダーレジスト8をもち、IC1を接続した半導体集積回路接続用基板の外部接続部としてICのピン数にほぼ対応する半田ボール9を格子状(グリッドアレイ)に有している。
【0004】
一方、BGA方式は以下のような課題がある。(a)半田ボールの面の平面性を保つ、(b)放熱を良くする、(c)温度サイクルやリフローの際に半田ボールにかかる熱応力を緩和する、(d)リフロー回数が多いのでより高い耐リフロー性を要する。これらを改善する方法として、半導体集積回路接続用基板に補強、放熱、電磁的シールドを目的とする金属板等の材料を積層する方法が一般的である。特に、ICを接続するための絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層にTABテープやフレキシブルプリント基板を用いた場合は重要である。このため、半導体集積回路接続用基板は、図2に例示するように、ICを接続するための絶縁体層11および導体パターン13、接着剤層12からなる配線基板層、補強板(スティフナー)、放熱板(ヒートスプレッダー)、シールド板等の導体パターンが形成されていない層15、およびこれらを積層するための接着剤層14、ソルダーレジスト16をそれぞれ少なくとも1層以上有する構成となっている。
【0005】
最終的に、接着剤層14は、パッケージ内部に残留する。接着剤層14に要求される特性は(a)易加工性、(b)耐リフロー性、(c)温度サイクルやリフローの際に、配線基板層と補強板等の異種材料間で発生する応力吸収(低応力性)、(d)配線上に積層する場合の絶縁性等が挙げられる。
【0006】
中でも、重要な特性は耐リフロー性である。耐リフロー性は、半田浴浸漬、不活性ガスの飽和蒸気による加熱(ペーパーフェイズ法)や赤外線リフローなどパッケージ全体が高温に加熱される実装方法において、接着剤層が剥離しパッケージの信頼性を低下するというものである。リフロー工程における剥離の発生は、接着剤層を硬化してから実装工程の間までに部材に吸湿された水分が加熱時に爆発的に水蒸気化、膨張することに起因するといわれている。そこで接着剤としては、リフローにおいて発生する水蒸気が侵入できないくらい硬く、低吸湿性で接着力の高いことが求められる。
【0007】
一方、近年、環境への不可の少ないことを考慮した外部端子接続に使用される半田からの鉛フリー化が取り組まれている各種鉛フリー半田は現行の鉛系半田より融点が高いため、半田リフロー時のパッケージ表面温度は250〜260℃に達する。これは現行鉛系半田と比べると約30℃高くなり、接着剤に求められる半田リフロー性も要求温度が上がる。従来の半導体用接着剤組成物は接着剤組成物に使用可能な水酸化アルミニウム等の金属水和物を用いたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、上記の接着剤組成物ではリフロー温度が向上するとその分解により水が発生するため、要求温度が高くなる鉛フリー半田リフローでは、接着界面剥離、クラックが生じ、好ましくない。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−315696号公報(第8〜第12段落)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の半導体用接着剤組成物の半田リフロー温度上昇における問題点を解決し、耐半田リフロー性に優れる半導体装置用接着剤組成物を提供するとともに、本発明の半導体用接着剤組成物を用いることで信頼性が高く、高接着力を有し、耐半田リフロー性に優れた半導体集積回路接続用基板ならびに半導体装置を得る。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、半導体装置に用いられる接着剤組成物であって、熱硬化状態である接着剤組成物の1%重量減少温度が250℃以上であることを特徴とする半導体装置用接着剤組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における半導体用接着剤組成物とは、スティフナー、ヒートスプレッダー、半導体素子や配線基板(インターポーザー)用の層間接着剤であり、それら被着体の形状および材料は特に限定されない。
【0012】
また、本接着剤組成物をフレキシブルプリント基板の接着剤層に適用することも出来る。その場合、耐熱性絶縁フィルムと金属箔とを積層するのに本接着剤組成物を用いる。フレキシブルプリント基板の保護に用いるカバーレイフィルムの接着剤層にも本接着剤組成物を適用することも可能である。
【0013】
本発明の半導体装置用接着剤組成物は、熱硬化状態にある接着剤組成物の1%重量減少温度が250℃以上、好ましくは280℃以上、さらに好ましくは300℃以上である。250℃未満であると、リフロー時の高温で接着剤が熱分解を起こし、特に鉛フリー半田リフローに使用することが出来ない。また本発明では、1%重量減少温度は昇温速度20℃/分の熱重量分析によって得られるものである。
【0014】
熱重量分析とは、対象サンプルを一定の昇温速度の加熱炉中における重量変化を測定したものである。高温になってくると接着剤組成分の分解・昇華が起こっていくことで重量が徐々に減少していく。分析前と比較して重量が1%減少した温度を1%重量減少温度という。
【0015】
また、ここでいう熱硬化状態とは、熱硬化させた接着剤組成物をDSC(示差走査熱分析)により、その残存発熱量を測定した値が、未硬化状態の接着剤組成物での残存発熱量の15%以下であることを示す。
【0016】
本発明の接着剤層を構成する接着剤組成物は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂をそれぞれ少なくとも1種類を含むことが耐リフロー性の点でより好ましく、その種類は特に限定されない。熱可塑性樹脂は接着性、可撓性、熱応力の緩和、低吸水性による絶縁性の向上等の機能を有し、熱硬化性樹脂は耐熱性、高温での絶縁性、耐薬品性、接着剤層の強度等のバランスを実現するために重要である。
【0017】
熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン樹脂(ABS)、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン−エチレン樹脂(SEBS)、アクリル、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、等公知のものが例示される。また、これらの熱可塑性樹脂は後述の熱硬化性樹脂との反応が可能な官能基を有していてもよい。具体的には、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基、ビニル基、シラノール基等である。これらの官能基により熱硬化性樹脂との結合が強固になり、耐熱性が向上するので好ましい。熱可塑性樹脂として(B)導体パターンが形成されていない層の素材との接着性、可撓性、熱応力の緩和効果の点からブタジエンを必須共重合成分とする共重合体は特に好ましく、種々のものが使用できる。特に、金属との接着性、耐薬品性等の観点からアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、スチレン−ブタジエン−エチレン樹脂(SEBS)、スチレン−ブタジエン樹脂(SBS)等は好ましい。さらにブタジエンを必須共重合成分としかつカルボキシル基を有する共重合体はより好ましく、たとえばNBR(NBR−C)およびSEBS(SEBS−C)、SBS(SBS−C)等が挙げられる。NBR−Cとしては、例えばアクリロニトリルとブタジエンを約10/90〜50/50のモル比で共重合させた共重合ゴムの末端基をカルボキシル化したもの、あるいはアクリロニトリル、ブタジエンとアクリル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性単量体の三元系共重合ゴムなどが挙げられる。具体的には、PNR−1H(日本合成ゴム(株)製)、”ニポール”1072J、”ニポール”DN612、”ニポール”DN631(以上日本ゼオン(株)製)、”ハイカー”CTBN(BFグッドリッチ社製)等がある。また、SEBS−CとしてはMX−073(旭化成(株)製)が、SBS−CとしてはD1300X(シェルジャパン(株)製)が例示できる。
【0018】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、シアン酸エステル樹脂、等公知のものが例示される。特に、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂は絶縁性に優れるので好適である。
【0019】
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものなら特に制限されないが、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエンジフェノール等のジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック、エポキシ化クレゾールノボラック、エポキシ化トリスフェニロールメタン、エポキシ化テトラフェニロールエタン、エポキシ化メタキシレンジアミン、シクロヘキサンエポキサイド等の脂環式エポキシ等が挙げられる。具体的には、YD−128(東都化成(株)製)、”エピコート”828、”エピコート”180(油化シェルエポキシ(株)製)等が例示できる。さらに、難燃性付与のために、ハロゲン化エポキシ樹脂、特に臭素化エポキシ樹脂を用いることも有効である。この際、臭素化エポキシ樹脂のみでは難燃性の付与はできるものの接着剤の耐熱性の低下が大きくなるため非臭素化エポキシ樹脂との混合系とすることがさらに有効である。臭素化エポキシ樹脂の例としては、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAの共重合型エポキシ樹脂、あるいは”BREN”−S(日本化薬(株)製)等の臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらの臭素化エポキシ樹脂は臭素含有量およびエポキシ当量を考慮して2種類以上混合しても良い。
【0020】
フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等の公知のフェノール樹脂がいずれも使用できる。たとえば、フェノール、クレゾール、p−t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、p−フェニルフェノール等のアルキル置換フェノール、テルペン、ジシクロペンタジエン等の環状アルキル変性フェノール、ニトロ基、ハロゲン基、シアノ基、アミノ基等のヘテロ原子を含む官能基を有するもの、ナフタレン、アントラセン等の骨格を有するもの、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、レゾルシノール、ピロガロール等の多官能性フェノールからなる樹脂が挙げられる。
【0021】
熱硬化性樹脂の添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜400重量部、好ましくは50〜200重量部である。熱硬化性樹脂の添加量が5重量部未満であると、高温での弾性率低下が著しく、半導体装置を実装した機器の使用中に半導体集積回路接続用基板の変形が生じるとともに加工工程において取り扱いの作業性に欠けるので好ましくない。熱硬化性樹脂の添加量が400重量部を越えると弾性率が高く、熱膨張係数が小さくなり熱応力の緩和効果が小さいので好ましくない。
【0022】
本発明の接着剤層にエポキシ樹脂およびフェノール樹脂の硬化剤および硬化促進剤を添加することは何等制限されない。たとえば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールおよび1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン化合物、3,3’5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4,4’−トリアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の有機酸、ジシアンジアミド、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィンおよびトリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン化合物等の公知のものが使用できる。これらを単独または2種以上混合しても良い。添加量は接着剤組成物100重量部に対して0.1〜50重量部であると好ましい。
【0023】
また、硬化剤として、シランカップリング剤を併用することも出来る。シランカップリング剤は、ケイ素に有機マトリックスと親和もしくは結合可能な有機官能基と無機材料と結合可能な加水分解基を持った構造している。有機官能基としては、アルキル基、フェニル基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メタクリロキシ基、メルカプトキシ基等があり、一般的には炭素数1〜6のアルキレン基を介してケイ素原子と結合している。また、有機官能基はエポキシ基、アミノ基を有しているものが反応性がよく、接着剤の耐リフロー性に優れ、好ましい。具体的には、有機官能基がアミノ基の場合、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−トリス(β−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、 N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−4,5ジヒドロキシイミダゾールプロピルトリエトキシシランが挙げられる。有機官能基がエポキシ基の場合、β−3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。
【0024】
以上の成分以外に、接着剤組成物の接着強度・膜強度を向上させる目的で粒子成分を添加することが好ましい。特にリフロー耐熱性の点より、熱重量分析における熱分解開始温度が250℃以上の無機粒子が好ましい。熱重量分析は、一定の昇温速度の加熱炉中における測定対象サンプルの重量変化を測定するものである。本測定については、熱重量分析装置(セイコーインスツルメンツ(株)製、TG/DTA 6200型)にて、窒素ガス流入中(300ml/min)で一定昇温(20℃/min)し、熱重量測定を行った。高温になってくると熱分解等により対象物の重量が減少していく。したがって、本接着剤組成物に用いる無機粒子としては、半田リフロー時の250〜260℃といった温度で分解が生じないもの、具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、タルク等の金属酸化物、アルミニウム、金、銀、ニッケル、鉄、等の金属微粒子、あるいはカーボンブラック、ガラスが挙げられる。これらを単独または2種以上混合して用いても良い。
【0025】
中でも熱分解温度が300℃を大きく超える点、接着剤シートの流動性を調整しやすい点、粒径の安定性からシリカが特に好ましい。粒子形状に制限はされず、破砕系、球状、鱗片状などが用いられるが、塗料への分散性の良さ、接着剤組成物の接着強度・膜強度等が優れることから球状が好ましい。粒子成分の粒径は特に制限されないが、分散性および塗工性、耐半田リフロー性等の観点から、平均粒径5μm以下、最大粒径10μm以下が好ましく、さらに好ましくは、平均粒径2μm以下、最大粒径5μm以下である。なお、ここでは、平均粒径、最大粒径は堀場製作所製LA500レーザー回折式粒度分布計で測定を行った。また、実装後の信頼性向上のため、粒子の純度は99%を超え、好ましくは99.8%を超え、さらに好ましくは99.9%を超えることが好ましい。純度99%以下であると、ウラン、トリウム等の放射線不純物により放出されるα線により、半導体素子のソフトエラーが生じやすくなる。また、これらの無機粒子に耐熱性、接着強度等の向上のため、シランカップリング剤等を用いて、表面処理を施しても良い。無機粒子の配合量は接着剤組成物全体の2〜50重量部が適当である。2重量部未満であると目的である膜強度、接着剤層の破壊靭性向上効果が得られない。また、50重量部を超えると接着強度が低下する。
【0026】
本発明の半導体装置用接着剤シートは、有機絶縁性フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を有するものを指す。
【0027】
銅箔等の金属板を、本発明の接着剤層により有機絶縁性フィルムへ貼り合わせ、エッチングによりパターン形成をすると、配線基板として用いることが出来る。この際の有機絶縁性フィルムは、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックあるいはエポキシ樹脂含浸ガラスクロス等の複合材料からなる、厚さ10〜125μmの可撓性を有する絶縁性フィルムが用いられる。
【0028】
次に有機絶縁性フィルムを接着剤の保護層の役割として用いる場合を以下に示す。本発明の半導体装置用接着剤組成物は、接着剤層の保護のために、少なくとも片面、必要であれば両面に保護層を有することは構わない。保護フィルム層の材料については、絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層(TABテープ等)、あるいは導体パターンが形成されていない層(スティフナー、ヒートスプレッター等)に接着剤層を貼り合わせる前に、接着剤層の形態および機能を損なうことなく剥離できれば特に限定されず、その具体例としてはポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート等のプラスチックフィルム、これらにシリコーン、アルキッド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂あるいは含フッ素化合物等の離型剤のコーティング処理を施したフィルムあるいはこれらのフィルムをラミネートした紙やこれらフィルムの積層体、離型性のある樹脂を含浸あるいはコーティング処理した紙等が挙げられる。また、サンドマット加工フィルムも挙げられる。これはフィルム表面を微粒子吹きつけなどにより、微小の凹凸を付けたもので、離型性を凹凸レベルにより調節できる。これらの保護フィルムの中で、特に本発明で好ましく用いられるものは離型性の調節に優れる、シリコーンあるいは含フッ素化合物等の離型処理を施したフィルムである。さらに好ましくは、前述の離型処理が施されたポリエステルフィルムが耐熱性の点で優れている。
【0029】
また、特に図3のように接着剤層の両面に保護フィルム層を有する場合は、それぞれの保護フィルム層の接着剤層に対する剥離力をF1、F2(F1>F2)としたとき、F1−F2は好ましくは5N/m以上、さらに好ましくは10N/m以上が必要である。F1−F2が5N/mより小さい場合は、剥離面がいずれの保護フィルム側になるかが安定せず、使用上問題となるので好ましくない。また、剥離力F1、F2はいずれも1〜200N/m、好ましくは3〜150N/m、さらに好ましくは3〜100N/mである。1N/mより小さい場合は保護フィルムの脱落が生じ、200N/mを越えると剥離が困難になり好ましくない。
【0030】
保護フィルムは、加工時に視認性が良いように顔料による着色が施されていても良い。これにより、先に剥離する側の保護フィルムが簡便に認識できるため、誤使用を避けることが出来る。
【0031】
また、本発明における接着剤シートは、銅箔や補強板等の被着体へ貼り合わせ時に気泡を噛み込むとリフロー時の膨れ原因にもなり好ましくない。したがって接着剤自体の粘着性を下げるため、接着剤層の片面、必要であれば両面が粗面化されていても構わない。接着剤層自体の粘着性が高くとも、粗面化することで貼り合わせる対象物への接点が分散されることにより、粘着性が低減される。接着剤の粗面化の方法としては、特に限定されるものではないが、次の例が上げられる。接着剤組成物を溶剤に溶解した塗液をフィルム上に塗布、乾燥し、半硬化状態の接着剤シートを作成する上で、この塗布するフィルムの表面形状が凹凸のあるもの、例えばエンボス加工やサンドマット加工などであれば、その凹凸が接着剤シート表面に転写される。また、作成した接着剤シートの保護フィルムとして、凹凸のあるフィルムを用い、ラミネートすれば同様に凹凸が接着剤シート表面に転写される。ただし、フィルム表面の凹凸に接着剤が埋まり込むことより、実際の使用の際、フィルムを剥がしにくくなり得るため、使用するフィルムとして特に本発明で好ましく用いられるものは、離型性の調節に優れる、シリコーンあるいは含フッ素化合物等の離型処理を施したフィルムである。その他にも、接着剤シートを凹凸のあるゴムロールなどで表面粗化することもできる。
【0032】
また、通常の接着剤層に、低粘着な接着剤層を薄く積層して粘着性を下げる手法と表面粗化を組み合わせることで、より低粘着な接着剤シートにすることもできる。低粘着な接着剤層の具体的な例としては、無機粒子を増量した組成から成る接着剤、もしくは薄厚の接着剤シートを加熱エージングをかけることで粘着性をコントロールしたものなどが挙げられる。
【0033】
本発明の半導体集積回路接続用基板とは、シリコンなどの半導体基板上に素子が形成された後、切り分けられた半導体集積回路(ベアチップ)を接続するものであり、(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層、(B)導体パターンが形成されていない層および(C)接着剤層をそれぞれ1層以上有するものであれば、形状、材料および製造方法は特に限定されない。したがって、最も基本的なものは、A/C/Bの構成であるが、A/C/B/C/B等の多層構造もこれに含まれる。
【0034】
本発明でいう半導体装置とは本発明の半導体集積回路接続用基板を用いたものをいい、例えば、BGAタイプ、LGAタイプパッケージであれば特に形状や構造は限定されない。半導体集積回路接続用基板とICの接続方法は、TAB方式のギャングボンディングおよびシングルポイントボンディング、リードフレームに用いられるワイヤーボンディング、フリップチップ実装での樹脂封止、異方性導電フィルム接続等のいずれでもよい。また、CSPと称されるパッケージも本発明の半導体装置に含まれる。
【0035】
本発明の(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層は、半導体素子の電極パッドとパッケージの外部(プリント基板等)を接続するための導体パターンを有する層であり、絶縁体層の片面または両面に導体パターンが形成されているものである。
【0036】
ここでいう絶縁体層は、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックあるいはエポキシ樹脂含浸ガラスクロス等の複合材料からなる、厚さ10〜125μmの可撓性を有する絶縁性フィルム、アルミナ、ジルコニア、ソーダガラス、石英ガラス等のセラミック基板が好適であり、これから選ばれる複数の層を積層して用いてもよい。また、必要に応じて、絶縁体層に加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施すことができる。
【0037】
導体パターンの形成は、一般にサブトラクティブ法あるいはアディティブ法のいずれかで行われるが、本発明ではいずれを用いてもよい。
【0038】
サブトラクティブ法では、絶縁体層に銅箔等の金属板を絶縁性接着剤で接着するか、あるいは金属板に絶縁体層の前駆体を積層し、加熱処理などにより絶縁体層を形成する方法で作成した材料を、薬剤処理でエッチングすることによりパターン形成する。材料の具体例としては、リジッドあるいはフレキシブルプリント基板用銅貼り材料やTABテープなどが挙げられる。中でも、少なくとも1層以上のポリイミドフィルムを絶縁体層とし、銅箔を導体パターンとするフレキシブルプリント基板用銅貼り材料やTABテープが好ましく用いられる。
【0039】
アディティブ法では、絶縁体層に無電解メッキ、電解メッキ、スパッタリング等により直接導体パターンを形成する。いずれの場合も、形成された導体に腐食防止のため耐食性の高い金属がメッキされていてもよい。また、配線基板層には必要に応じてビアホールが形成され、両面に形成された導体パターンがメッキにより接続されていてもよい。
【0040】
本発明における(B)導体パターンが形成されていない層は実質的に(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層または(C)接着剤層とは独立した均一な層であり、半導体集積回路接続用基板の補強および寸法安定化(補強板あるいはスティフナーと称される)、外部とICの電磁的なシールド、ICの放熱(ヒートスプレッター、ヒートシンクと称される)、半導体集積回路接続基板への難燃性の付与、半導体集積回路接続用基板の形状的による識別性の付与等の機能を担持するものである。したがって、形状は層状だけでなく、たとえば放熱用としてはフィン構造を有するものでもよい。上記の機能を有するものであれば絶縁体、導電体のいずれであってもよく、材料も特に限定されない。金属としては、銅、鉄、アルミニウム、金、銀、ニッケル、チタン等、無機材料としてはアルミナ、ジルコニア、ソーダーガラス、石英ガラス、カーボン等、有機材料としてはポリイミド系、ポリアミド系、ポリエステル系、ビニル系、フェノール系、エポキシ系等のポリマー材料が挙げられる。また、これらの組み合わせによる複合材料も使用できる。例えば、ポリイミドフィルム上に薄い金属メッキをした形状のもの、ポリマーにカーボンを練り込んで導電性をもたせたもの、金属板に有機絶縁性ポリマーをコーティングしたもの等が挙げられる。また、上記(A)配線基板層に含まれる絶縁体層と同様に種々の表面処理を行うことは制限されない。
【0041】
本発明の半導体集積回路接続用基板とは、半導体集積回路用基板および半導体装置を作成するために用いられる中間加工段階の材料である。半導体集積回路接続用基板は、絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層としてフレキシブルプリント基板あるいはTABテープを用い、その片面あるいは両面にシリコーン処理したポリエステル保護フィルムを有するBステージの接着剤層を積層した接着剤付き配線基板や、導体パターンが形成されていない層として銅、ステンレス、42アロイ等の金属板の片面あるいは両面に上記と同様に保護フィルムを有するBステージの接着剤層を積層した接着剤付き金属板(接着剤付きスティフナー等)が該当する。絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層、および導体パターンが形成されていない層をそれぞれ1層以上有する場合でも、その最外層に保護フィルムを有するBステージの接着剤層を積層した、いわゆる接着剤付き半導体集積回路接続用基板も本発明に包含される。
【0042】
本発明でいう半導体装置とは本発明の半導体装置用接着剤シートを用いて作成されるものをいい、例えば、BGAタイプ、LGAタイプパッケージであれば特に形状や構造は限定されない。半導体集積回路接続用基板とICの接続方法は、TAB方式のギャングボンディングおよびシングルポイントボンディング、リードフレームに用いられるワイヤーボンディング、フリップチップ実装での樹脂封止、異方性導電フィルム接続等のいずれでもよい。また、CSPと称されるパッケージも本発明の半導体装置に含まれる。
【0043】
次に、本発明の半導体装置用接着剤シートおよびそれを用いた半導体集積回路接続用基板の製造方法、半導体装置の製造方法の例について説明する。
(1)半導体装置用接着剤シートの作成:本発明の接着剤組成物を溶剤に溶解した塗料を、両面ともに離型処理を行ったポリエステルフィルム上に塗布、乾燥する。接着剤層の膜厚は10〜100μmとなるように塗布することが好ましい。乾燥条件は、100〜200℃、1〜5分である。溶剤は特に限定されないが、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系、メチルエチルケトン、メチルエチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロドリン等の非プロトン系極性溶剤単独あるいは混合物が好適である。
【0044】
塗工、乾燥した接着剤層上にさらに高い離型性を有するポリエステルあるいはポリオレフィン系の保護フィルムをラミネートして、本発明の接着剤シートを得る。さらに接着剤厚みを増す場合は、接着剤シートを複数回積層すればよく、場合によってはラミネート後に、例えば40〜100℃で1〜200時間程度エージングして硬化度を調整してもよい。図3に本発明で得られた半導体装置用接着剤シートの形状を例示する。
【0045】
(2)接着剤付きスティフナーの作成:厚さ0.05〜0.5mmの銅板あるいはステンレス板をアセトンにより脱脂した金属板に、上記(1)で作成した半導体装置用接着剤シートの片面の保護フィルムを剥がした後にラミネートする。ラミネート温度20〜200℃、圧力0.1〜3MPaが好適である。最後に半導体装置の形状によって、適宜打ち抜き、切断加工が施される。
【0046】
(3)半導体集積回路接続用基板の作成:(2)で得られた部品(接着剤付きスティフナー)を、金型で打ち抜き、たとえば角型で中央にやはり角型の穴がある形状の接着剤付きスティフナーの場合、接着剤付きスティフナーから保護フィルムを剥がす。ポリイミドフィルム上に接着剤層および保護フィルム層を積層した3層構造のTABテープを下記(a)〜(d)の工程により加工する。(a)スプロケットおよびデバイス孔の穿孔、(b)銅箔との熱ラミネート、(c)スズまたは金メッキ処理を施す。以上のようにして得られた配線基板層の導体パターン面または裏面のポリイミドフィルム面に、接着剤付きスティフナーの中央の穴を、配線基板のデバイス孔に一致させ貼り合わせる。貼り合わせ条件は温度20〜200℃、圧力0.1〜3MPaが好適である。最後に熱風オーブン内で接着剤層の加熱硬化のため、80〜200℃で15〜180分程度のポストキュアを行う。
【0047】
以上述べた半導体集積回路接続用基板の例を図2に示す。
(4)半導体装置の作成:(3)の半導体集積回路接続用基板のインナーリード部を、ICの金バンプに熱圧着(インナーリードボンディング)し、ICを搭載する。次いで、封止樹脂による封止工程を経て半導体装置を作成する。図1に半導体装置の一態様の断面図を示す。
【0048】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。まず、実施例および比較例で用いた評価方法について説明する。
【0049】
1%重量減少温度の測定
接着剤シート単膜(50μm厚)をエアオーブン中で、100℃、1時間、150℃、1時間の順次加熱処理を行い、評価用サンプルを作成した。本サンプルを熱重量分析装置(セイコーインスツルメンツ(株)製、TG/DTA 6200型)にて、窒素ガス流入中(300ml/分)で一定昇温(20℃/分)し、熱重量測定を行った。
【0050】
接着力
0.35mm厚のSUS304上に接着剤シートを60℃、1MPaの条件でラミネートした。その後、ポリイミドフィルム(75μm:宇部興産(株)製「ユーピレックス75S」)を先のSUS上にラミネートした接着剤シート面に130℃、1MPaの条件でさらにラミネートした後、エアオーブン中で、100℃、1時間、150℃、1時間の順次加熱処理を行い、評価用サンプルを作成した。ポリイミドフィルムを5mm幅にスリットした後、5mm幅のポリイミドフィルムを90°方向に50mm/分の速度で剥離し、その際の接着力を測定した。
【0051】
耐リフロー性
30mm角に型抜きした50μm厚の接着剤シートの一方の保護フィルムを剥がし、接着剤層の片面のみに保護フィルムがある状態にした後、50シート重ね、室温に1時間放置する。その後、上から順に1シートずつを持ち上げ、30mm角の0.25mm厚SUS304の上に置く。シート同士がくっついている場合は、手でくっついている部分を剥がして行う。60℃、1MPa、1m/分の条件でロールラミネートした後、続いて接着剤シート上に導体幅100μm、導体間距離100μmの模擬パターンを形成した30mm角の半導体接続用基板を150℃、5MPa、1m/分の条件でロールラミネートした。その後、150℃、2時間の条件で硬化し耐リフロー性評価用サンプルを作成した。30mm□サンプル20個を85℃/85%RHの条件下、12時間吸湿させた後、Max.230℃、10秒のIRリフローにかけ、その剥離状態を超音波短傷機により観察した。
【0052】
実施例1
下記熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂およびその他添加剤を、それぞれ表1に示した組成比となるように配合し、濃度28重量%となるようにDMF/モノクロルベンゼン/MIBK混合溶媒に40℃で撹拌、溶解して接着剤溶液を作成した。
【0053】
A.エポキシ樹脂
1.o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、”エピコート”180、エポキシ当量:200)
2.ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、”エピコート”828、エポキシ当量:186)
B.熱可塑性樹脂
SEBS−C(旭化成(株)製、MX−073)
C.無機充填剤
シリカ(トクヤマ(株)製、球状シリカ”エクセリカ”、熱分解開始温度300℃以上)
水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、”H−42”熱分解開始温度210℃)
D.フェノール樹脂
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量:107、群栄化学工業(株)製、PSM4261)
E.添加剤
1.4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
2.γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
3.2−ヘプタデシルイミダゾール
これらの接着剤溶液をバーコータで、両面ともシリコート処理された厚さ75μmのポリエステルフィルム1に、50μmの乾燥厚さとなるように塗布し、100℃、1分および150℃で5分間乾燥し、その上にポリエステルフィルム1より剥離力が低いポリエステルフィルム2をラミネートしながらロール上に巻き取り、厚さ50μmの接着剤シートを作成した。接着剤シートの構造としては、図3のようになる。
【0054】
実施例2〜3、比較例1〜3
表1記載の組成で上記実施例1と同様に作製した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
表2の結果から明らかなように、本発明により得られた半導体装置用接着剤シートは、接着力、耐リフロー性にもいずれも優れていた。一方、比較例1〜3は、リフロー時に膨れが生じた。
【0058】
【発明の効果】
本発明の半導体用接着剤組成物を用いることで信頼性が高く、高接着力を有し、耐半田リフロー性に優れた半導体集積回路接続用基板ならびに半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置用接着剤シートを用いて加工したBGA型半導体装置の一態様の断面図。
【図2】本発明の半導体装置用接着剤シートを用いて加工した半導体集積回路接続前の半導体集積回路接続用基板の一態様の断面図。
【図3】本発明の半導体装置用接着剤シートの一態様の断面図。
【符号の説明】
1 半導体集積回路
2 金バンプ
3,11 可撓性を有する絶縁体層
4,12 配線基板層を構成する接着剤層
5,13 半導体集積回路接続用の導体
6,14、17 本発明の接着剤組成物より構成される接着剤層
7,15 導体パターンが形成されていない層
8,16 ソルダーレジスト
9 半田ボール
10 封止樹脂
18 保護フィルム層
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体集積回路を実装し、パッケージ化をする際に用いられる半導体集積回路接続用基板(インターポーザー)を構成する半導体装置用接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体集積回路(IC)パッケージにおいて、多ピン化、小型化の手段としてBGA方式、LGA方式、PGA方式、等が実用化されてきた。中でもBGA方式はプラスチック材料の利用による低コスト化、軽量化、薄型化の可能性が高く注目されている。
【0003】
図1にBGA方式の例を示す。IC1を接続するために絶縁体層3および導体パターン5、接着剤4からなる配線基板層、補強板(スティフナー)、放熱板(ヒートスプレッダー)、シールド板等の導体パターンが形成されていない層7、およびこれらを積層するための接着剤層6を、それぞれ少なくとも1層以上有しており、さらに金バンプ2、ソルダーレジスト8をもち、IC1を接続した半導体集積回路接続用基板の外部接続部としてICのピン数にほぼ対応する半田ボール9を格子状(グリッドアレイ)に有している。
【0004】
一方、BGA方式は以下のような課題がある。(a)半田ボールの面の平面性を保つ、(b)放熱を良くする、(c)温度サイクルやリフローの際に半田ボールにかかる熱応力を緩和する、(d)リフロー回数が多いのでより高い耐リフロー性を要する。これらを改善する方法として、半導体集積回路接続用基板に補強、放熱、電磁的シールドを目的とする金属板等の材料を積層する方法が一般的である。特に、ICを接続するための絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層にTABテープやフレキシブルプリント基板を用いた場合は重要である。このため、半導体集積回路接続用基板は、図2に例示するように、ICを接続するための絶縁体層11および導体パターン13、接着剤層12からなる配線基板層、補強板(スティフナー)、放熱板(ヒートスプレッダー)、シールド板等の導体パターンが形成されていない層15、およびこれらを積層するための接着剤層14、ソルダーレジスト16をそれぞれ少なくとも1層以上有する構成となっている。
【0005】
最終的に、接着剤層14は、パッケージ内部に残留する。接着剤層14に要求される特性は(a)易加工性、(b)耐リフロー性、(c)温度サイクルやリフローの際に、配線基板層と補強板等の異種材料間で発生する応力吸収(低応力性)、(d)配線上に積層する場合の絶縁性等が挙げられる。
【0006】
中でも、重要な特性は耐リフロー性である。耐リフロー性は、半田浴浸漬、不活性ガスの飽和蒸気による加熱(ペーパーフェイズ法)や赤外線リフローなどパッケージ全体が高温に加熱される実装方法において、接着剤層が剥離しパッケージの信頼性を低下するというものである。リフロー工程における剥離の発生は、接着剤層を硬化してから実装工程の間までに部材に吸湿された水分が加熱時に爆発的に水蒸気化、膨張することに起因するといわれている。そこで接着剤としては、リフローにおいて発生する水蒸気が侵入できないくらい硬く、低吸湿性で接着力の高いことが求められる。
【0007】
一方、近年、環境への不可の少ないことを考慮した外部端子接続に使用される半田からの鉛フリー化が取り組まれている各種鉛フリー半田は現行の鉛系半田より融点が高いため、半田リフロー時のパッケージ表面温度は250〜260℃に達する。これは現行鉛系半田と比べると約30℃高くなり、接着剤に求められる半田リフロー性も要求温度が上がる。従来の半導体用接着剤組成物は接着剤組成物に使用可能な水酸化アルミニウム等の金属水和物を用いたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、上記の接着剤組成物ではリフロー温度が向上するとその分解により水が発生するため、要求温度が高くなる鉛フリー半田リフローでは、接着界面剥離、クラックが生じ、好ましくない。
【0008】
【特許文献1】
特開2000−315696号公報(第8〜第12段落)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の半導体用接着剤組成物の半田リフロー温度上昇における問題点を解決し、耐半田リフロー性に優れる半導体装置用接着剤組成物を提供するとともに、本発明の半導体用接着剤組成物を用いることで信頼性が高く、高接着力を有し、耐半田リフロー性に優れた半導体集積回路接続用基板ならびに半導体装置を得る。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、半導体装置に用いられる接着剤組成物であって、熱硬化状態である接着剤組成物の1%重量減少温度が250℃以上であることを特徴とする半導体装置用接着剤組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明における半導体用接着剤組成物とは、スティフナー、ヒートスプレッダー、半導体素子や配線基板(インターポーザー)用の層間接着剤であり、それら被着体の形状および材料は特に限定されない。
【0012】
また、本接着剤組成物をフレキシブルプリント基板の接着剤層に適用することも出来る。その場合、耐熱性絶縁フィルムと金属箔とを積層するのに本接着剤組成物を用いる。フレキシブルプリント基板の保護に用いるカバーレイフィルムの接着剤層にも本接着剤組成物を適用することも可能である。
【0013】
本発明の半導体装置用接着剤組成物は、熱硬化状態にある接着剤組成物の1%重量減少温度が250℃以上、好ましくは280℃以上、さらに好ましくは300℃以上である。250℃未満であると、リフロー時の高温で接着剤が熱分解を起こし、特に鉛フリー半田リフローに使用することが出来ない。また本発明では、1%重量減少温度は昇温速度20℃/分の熱重量分析によって得られるものである。
【0014】
熱重量分析とは、対象サンプルを一定の昇温速度の加熱炉中における重量変化を測定したものである。高温になってくると接着剤組成分の分解・昇華が起こっていくことで重量が徐々に減少していく。分析前と比較して重量が1%減少した温度を1%重量減少温度という。
【0015】
また、ここでいう熱硬化状態とは、熱硬化させた接着剤組成物をDSC(示差走査熱分析)により、その残存発熱量を測定した値が、未硬化状態の接着剤組成物での残存発熱量の15%以下であることを示す。
【0016】
本発明の接着剤層を構成する接着剤組成物は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂をそれぞれ少なくとも1種類を含むことが耐リフロー性の点でより好ましく、その種類は特に限定されない。熱可塑性樹脂は接着性、可撓性、熱応力の緩和、低吸水性による絶縁性の向上等の機能を有し、熱硬化性樹脂は耐熱性、高温での絶縁性、耐薬品性、接着剤層の強度等のバランスを実現するために重要である。
【0017】
熱可塑性樹脂としては、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム−スチレン樹脂(ABS)、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン−エチレン樹脂(SEBS)、アクリル、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、等公知のものが例示される。また、これらの熱可塑性樹脂は後述の熱硬化性樹脂との反応が可能な官能基を有していてもよい。具体的には、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、水酸基、メチロール基、イソシアネート基、ビニル基、シラノール基等である。これらの官能基により熱硬化性樹脂との結合が強固になり、耐熱性が向上するので好ましい。熱可塑性樹脂として(B)導体パターンが形成されていない層の素材との接着性、可撓性、熱応力の緩和効果の点からブタジエンを必須共重合成分とする共重合体は特に好ましく、種々のものが使用できる。特に、金属との接着性、耐薬品性等の観点からアクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)、スチレン−ブタジエン−エチレン樹脂(SEBS)、スチレン−ブタジエン樹脂(SBS)等は好ましい。さらにブタジエンを必須共重合成分としかつカルボキシル基を有する共重合体はより好ましく、たとえばNBR(NBR−C)およびSEBS(SEBS−C)、SBS(SBS−C)等が挙げられる。NBR−Cとしては、例えばアクリロニトリルとブタジエンを約10/90〜50/50のモル比で共重合させた共重合ゴムの末端基をカルボキシル化したもの、あるいはアクリロニトリル、ブタジエンとアクリル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性単量体の三元系共重合ゴムなどが挙げられる。具体的には、PNR−1H(日本合成ゴム(株)製)、”ニポール”1072J、”ニポール”DN612、”ニポール”DN631(以上日本ゼオン(株)製)、”ハイカー”CTBN(BFグッドリッチ社製)等がある。また、SEBS−CとしてはMX−073(旭化成(株)製)が、SBS−CとしてはD1300X(シェルジャパン(株)製)が例示できる。
【0018】
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、シアン酸エステル樹脂、等公知のものが例示される。特に、エポキシ樹脂およびフェノール樹脂は絶縁性に優れるので好適である。
【0019】
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものなら特に制限されないが、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、レゾルシノール、ジヒドロキシナフタレン、ジシクロペンタジエンジフェノール等のジグリシジルエーテル、エポキシ化フェノールノボラック、エポキシ化クレゾールノボラック、エポキシ化トリスフェニロールメタン、エポキシ化テトラフェニロールエタン、エポキシ化メタキシレンジアミン、シクロヘキサンエポキサイド等の脂環式エポキシ等が挙げられる。具体的には、YD−128(東都化成(株)製)、”エピコート”828、”エピコート”180(油化シェルエポキシ(株)製)等が例示できる。さらに、難燃性付与のために、ハロゲン化エポキシ樹脂、特に臭素化エポキシ樹脂を用いることも有効である。この際、臭素化エポキシ樹脂のみでは難燃性の付与はできるものの接着剤の耐熱性の低下が大きくなるため非臭素化エポキシ樹脂との混合系とすることがさらに有効である。臭素化エポキシ樹脂の例としては、テトラブロモビスフェノールAとビスフェノールAの共重合型エポキシ樹脂、あるいは”BREN”−S(日本化薬(株)製)等の臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。これらの臭素化エポキシ樹脂は臭素含有量およびエポキシ当量を考慮して2種類以上混合しても良い。
【0020】
フェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂等の公知のフェノール樹脂がいずれも使用できる。たとえば、フェノール、クレゾール、p−t−ブチルフェノール、ノニルフェノール、p−フェニルフェノール等のアルキル置換フェノール、テルペン、ジシクロペンタジエン等の環状アルキル変性フェノール、ニトロ基、ハロゲン基、シアノ基、アミノ基等のヘテロ原子を含む官能基を有するもの、ナフタレン、アントラセン等の骨格を有するもの、ビスフェノールF、ビスフェノールA、ビスフェノールS、レゾルシノール、ピロガロール等の多官能性フェノールからなる樹脂が挙げられる。
【0021】
熱硬化性樹脂の添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対して5〜400重量部、好ましくは50〜200重量部である。熱硬化性樹脂の添加量が5重量部未満であると、高温での弾性率低下が著しく、半導体装置を実装した機器の使用中に半導体集積回路接続用基板の変形が生じるとともに加工工程において取り扱いの作業性に欠けるので好ましくない。熱硬化性樹脂の添加量が400重量部を越えると弾性率が高く、熱膨張係数が小さくなり熱応力の緩和効果が小さいので好ましくない。
【0022】
本発明の接着剤層にエポキシ樹脂およびフェノール樹脂の硬化剤および硬化促進剤を添加することは何等制限されない。たとえば、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールおよび1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7などの3級アミン化合物、3,3’5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4,4’−トリアミノジフェニルスルホン等の芳香族ポリアミン、三フッ化ホウ素トリエチルアミン錯体等の三フッ化ホウ素のアミン錯体、2−アルキル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−アルキルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、無水フタル酸、無水トリメリット酸等の有機酸、ジシアンジアミド、トリフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィンおよびトリ(ノニルフェニル)ホスフィンなどの有機ホスフィン化合物等の公知のものが使用できる。これらを単独または2種以上混合しても良い。添加量は接着剤組成物100重量部に対して0.1〜50重量部であると好ましい。
【0023】
また、硬化剤として、シランカップリング剤を併用することも出来る。シランカップリング剤は、ケイ素に有機マトリックスと親和もしくは結合可能な有機官能基と無機材料と結合可能な加水分解基を持った構造している。有機官能基としては、アルキル基、フェニル基、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メタクリロキシ基、メルカプトキシ基等があり、一般的には炭素数1〜6のアルキレン基を介してケイ素原子と結合している。また、有機官能基はエポキシ基、アミノ基を有しているものが反応性がよく、接着剤の耐リフロー性に優れ、好ましい。具体的には、有機官能基がアミノ基の場合、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピル−トリス(β−メトキシ−エトキシ−エトキシ)シラン、N−メチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、 N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−4,5ジヒドロキシイミダゾールプロピルトリエトキシシランが挙げられる。有機官能基がエポキシ基の場合、β−3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。
【0024】
以上の成分以外に、接着剤組成物の接着強度・膜強度を向上させる目的で粒子成分を添加することが好ましい。特にリフロー耐熱性の点より、熱重量分析における熱分解開始温度が250℃以上の無機粒子が好ましい。熱重量分析は、一定の昇温速度の加熱炉中における測定対象サンプルの重量変化を測定するものである。本測定については、熱重量分析装置(セイコーインスツルメンツ(株)製、TG/DTA 6200型)にて、窒素ガス流入中(300ml/min)で一定昇温(20℃/min)し、熱重量測定を行った。高温になってくると熱分解等により対象物の重量が減少していく。したがって、本接着剤組成物に用いる無機粒子としては、半田リフロー時の250〜260℃といった温度で分解が生じないもの、具体例としては、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、タルク等の金属酸化物、アルミニウム、金、銀、ニッケル、鉄、等の金属微粒子、あるいはカーボンブラック、ガラスが挙げられる。これらを単独または2種以上混合して用いても良い。
【0025】
中でも熱分解温度が300℃を大きく超える点、接着剤シートの流動性を調整しやすい点、粒径の安定性からシリカが特に好ましい。粒子形状に制限はされず、破砕系、球状、鱗片状などが用いられるが、塗料への分散性の良さ、接着剤組成物の接着強度・膜強度等が優れることから球状が好ましい。粒子成分の粒径は特に制限されないが、分散性および塗工性、耐半田リフロー性等の観点から、平均粒径5μm以下、最大粒径10μm以下が好ましく、さらに好ましくは、平均粒径2μm以下、最大粒径5μm以下である。なお、ここでは、平均粒径、最大粒径は堀場製作所製LA500レーザー回折式粒度分布計で測定を行った。また、実装後の信頼性向上のため、粒子の純度は99%を超え、好ましくは99.8%を超え、さらに好ましくは99.9%を超えることが好ましい。純度99%以下であると、ウラン、トリウム等の放射線不純物により放出されるα線により、半導体素子のソフトエラーが生じやすくなる。また、これらの無機粒子に耐熱性、接着強度等の向上のため、シランカップリング剤等を用いて、表面処理を施しても良い。無機粒子の配合量は接着剤組成物全体の2〜50重量部が適当である。2重量部未満であると目的である膜強度、接着剤層の破壊靭性向上効果が得られない。また、50重量部を超えると接着強度が低下する。
【0026】
本発明の半導体装置用接着剤シートは、有機絶縁性フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を有するものを指す。
【0027】
銅箔等の金属板を、本発明の接着剤層により有機絶縁性フィルムへ貼り合わせ、エッチングによりパターン形成をすると、配線基板として用いることが出来る。この際の有機絶縁性フィルムは、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックあるいはエポキシ樹脂含浸ガラスクロス等の複合材料からなる、厚さ10〜125μmの可撓性を有する絶縁性フィルムが用いられる。
【0028】
次に有機絶縁性フィルムを接着剤の保護層の役割として用いる場合を以下に示す。本発明の半導体装置用接着剤組成物は、接着剤層の保護のために、少なくとも片面、必要であれば両面に保護層を有することは構わない。保護フィルム層の材料については、絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層(TABテープ等)、あるいは導体パターンが形成されていない層(スティフナー、ヒートスプレッター等)に接着剤層を貼り合わせる前に、接着剤層の形態および機能を損なうことなく剥離できれば特に限定されず、その具体例としてはポリエステル、ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート等のプラスチックフィルム、これらにシリコーン、アルキッド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂あるいは含フッ素化合物等の離型剤のコーティング処理を施したフィルムあるいはこれらのフィルムをラミネートした紙やこれらフィルムの積層体、離型性のある樹脂を含浸あるいはコーティング処理した紙等が挙げられる。また、サンドマット加工フィルムも挙げられる。これはフィルム表面を微粒子吹きつけなどにより、微小の凹凸を付けたもので、離型性を凹凸レベルにより調節できる。これらの保護フィルムの中で、特に本発明で好ましく用いられるものは離型性の調節に優れる、シリコーンあるいは含フッ素化合物等の離型処理を施したフィルムである。さらに好ましくは、前述の離型処理が施されたポリエステルフィルムが耐熱性の点で優れている。
【0029】
また、特に図3のように接着剤層の両面に保護フィルム層を有する場合は、それぞれの保護フィルム層の接着剤層に対する剥離力をF1、F2(F1>F2)としたとき、F1−F2は好ましくは5N/m以上、さらに好ましくは10N/m以上が必要である。F1−F2が5N/mより小さい場合は、剥離面がいずれの保護フィルム側になるかが安定せず、使用上問題となるので好ましくない。また、剥離力F1、F2はいずれも1〜200N/m、好ましくは3〜150N/m、さらに好ましくは3〜100N/mである。1N/mより小さい場合は保護フィルムの脱落が生じ、200N/mを越えると剥離が困難になり好ましくない。
【0030】
保護フィルムは、加工時に視認性が良いように顔料による着色が施されていても良い。これにより、先に剥離する側の保護フィルムが簡便に認識できるため、誤使用を避けることが出来る。
【0031】
また、本発明における接着剤シートは、銅箔や補強板等の被着体へ貼り合わせ時に気泡を噛み込むとリフロー時の膨れ原因にもなり好ましくない。したがって接着剤自体の粘着性を下げるため、接着剤層の片面、必要であれば両面が粗面化されていても構わない。接着剤層自体の粘着性が高くとも、粗面化することで貼り合わせる対象物への接点が分散されることにより、粘着性が低減される。接着剤の粗面化の方法としては、特に限定されるものではないが、次の例が上げられる。接着剤組成物を溶剤に溶解した塗液をフィルム上に塗布、乾燥し、半硬化状態の接着剤シートを作成する上で、この塗布するフィルムの表面形状が凹凸のあるもの、例えばエンボス加工やサンドマット加工などであれば、その凹凸が接着剤シート表面に転写される。また、作成した接着剤シートの保護フィルムとして、凹凸のあるフィルムを用い、ラミネートすれば同様に凹凸が接着剤シート表面に転写される。ただし、フィルム表面の凹凸に接着剤が埋まり込むことより、実際の使用の際、フィルムを剥がしにくくなり得るため、使用するフィルムとして特に本発明で好ましく用いられるものは、離型性の調節に優れる、シリコーンあるいは含フッ素化合物等の離型処理を施したフィルムである。その他にも、接着剤シートを凹凸のあるゴムロールなどで表面粗化することもできる。
【0032】
また、通常の接着剤層に、低粘着な接着剤層を薄く積層して粘着性を下げる手法と表面粗化を組み合わせることで、より低粘着な接着剤シートにすることもできる。低粘着な接着剤層の具体的な例としては、無機粒子を増量した組成から成る接着剤、もしくは薄厚の接着剤シートを加熱エージングをかけることで粘着性をコントロールしたものなどが挙げられる。
【0033】
本発明の半導体集積回路接続用基板とは、シリコンなどの半導体基板上に素子が形成された後、切り分けられた半導体集積回路(ベアチップ)を接続するものであり、(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層、(B)導体パターンが形成されていない層および(C)接着剤層をそれぞれ1層以上有するものであれば、形状、材料および製造方法は特に限定されない。したがって、最も基本的なものは、A/C/Bの構成であるが、A/C/B/C/B等の多層構造もこれに含まれる。
【0034】
本発明でいう半導体装置とは本発明の半導体集積回路接続用基板を用いたものをいい、例えば、BGAタイプ、LGAタイプパッケージであれば特に形状や構造は限定されない。半導体集積回路接続用基板とICの接続方法は、TAB方式のギャングボンディングおよびシングルポイントボンディング、リードフレームに用いられるワイヤーボンディング、フリップチップ実装での樹脂封止、異方性導電フィルム接続等のいずれでもよい。また、CSPと称されるパッケージも本発明の半導体装置に含まれる。
【0035】
本発明の(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層は、半導体素子の電極パッドとパッケージの外部(プリント基板等)を接続するための導体パターンを有する層であり、絶縁体層の片面または両面に導体パターンが形成されているものである。
【0036】
ここでいう絶縁体層は、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート等のプラスチックあるいはエポキシ樹脂含浸ガラスクロス等の複合材料からなる、厚さ10〜125μmの可撓性を有する絶縁性フィルム、アルミナ、ジルコニア、ソーダガラス、石英ガラス等のセラミック基板が好適であり、これから選ばれる複数の層を積層して用いてもよい。また、必要に応じて、絶縁体層に加水分解、コロナ放電、低温プラズマ、物理的粗面化、易接着コーティング処理等の表面処理を施すことができる。
【0037】
導体パターンの形成は、一般にサブトラクティブ法あるいはアディティブ法のいずれかで行われるが、本発明ではいずれを用いてもよい。
【0038】
サブトラクティブ法では、絶縁体層に銅箔等の金属板を絶縁性接着剤で接着するか、あるいは金属板に絶縁体層の前駆体を積層し、加熱処理などにより絶縁体層を形成する方法で作成した材料を、薬剤処理でエッチングすることによりパターン形成する。材料の具体例としては、リジッドあるいはフレキシブルプリント基板用銅貼り材料やTABテープなどが挙げられる。中でも、少なくとも1層以上のポリイミドフィルムを絶縁体層とし、銅箔を導体パターンとするフレキシブルプリント基板用銅貼り材料やTABテープが好ましく用いられる。
【0039】
アディティブ法では、絶縁体層に無電解メッキ、電解メッキ、スパッタリング等により直接導体パターンを形成する。いずれの場合も、形成された導体に腐食防止のため耐食性の高い金属がメッキされていてもよい。また、配線基板層には必要に応じてビアホールが形成され、両面に形成された導体パターンがメッキにより接続されていてもよい。
【0040】
本発明における(B)導体パターンが形成されていない層は実質的に(A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層または(C)接着剤層とは独立した均一な層であり、半導体集積回路接続用基板の補強および寸法安定化(補強板あるいはスティフナーと称される)、外部とICの電磁的なシールド、ICの放熱(ヒートスプレッター、ヒートシンクと称される)、半導体集積回路接続基板への難燃性の付与、半導体集積回路接続用基板の形状的による識別性の付与等の機能を担持するものである。したがって、形状は層状だけでなく、たとえば放熱用としてはフィン構造を有するものでもよい。上記の機能を有するものであれば絶縁体、導電体のいずれであってもよく、材料も特に限定されない。金属としては、銅、鉄、アルミニウム、金、銀、ニッケル、チタン等、無機材料としてはアルミナ、ジルコニア、ソーダーガラス、石英ガラス、カーボン等、有機材料としてはポリイミド系、ポリアミド系、ポリエステル系、ビニル系、フェノール系、エポキシ系等のポリマー材料が挙げられる。また、これらの組み合わせによる複合材料も使用できる。例えば、ポリイミドフィルム上に薄い金属メッキをした形状のもの、ポリマーにカーボンを練り込んで導電性をもたせたもの、金属板に有機絶縁性ポリマーをコーティングしたもの等が挙げられる。また、上記(A)配線基板層に含まれる絶縁体層と同様に種々の表面処理を行うことは制限されない。
【0041】
本発明の半導体集積回路接続用基板とは、半導体集積回路用基板および半導体装置を作成するために用いられる中間加工段階の材料である。半導体集積回路接続用基板は、絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層としてフレキシブルプリント基板あるいはTABテープを用い、その片面あるいは両面にシリコーン処理したポリエステル保護フィルムを有するBステージの接着剤層を積層した接着剤付き配線基板や、導体パターンが形成されていない層として銅、ステンレス、42アロイ等の金属板の片面あるいは両面に上記と同様に保護フィルムを有するBステージの接着剤層を積層した接着剤付き金属板(接着剤付きスティフナー等)が該当する。絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層、および導体パターンが形成されていない層をそれぞれ1層以上有する場合でも、その最外層に保護フィルムを有するBステージの接着剤層を積層した、いわゆる接着剤付き半導体集積回路接続用基板も本発明に包含される。
【0042】
本発明でいう半導体装置とは本発明の半導体装置用接着剤シートを用いて作成されるものをいい、例えば、BGAタイプ、LGAタイプパッケージであれば特に形状や構造は限定されない。半導体集積回路接続用基板とICの接続方法は、TAB方式のギャングボンディングおよびシングルポイントボンディング、リードフレームに用いられるワイヤーボンディング、フリップチップ実装での樹脂封止、異方性導電フィルム接続等のいずれでもよい。また、CSPと称されるパッケージも本発明の半導体装置に含まれる。
【0043】
次に、本発明の半導体装置用接着剤シートおよびそれを用いた半導体集積回路接続用基板の製造方法、半導体装置の製造方法の例について説明する。
(1)半導体装置用接着剤シートの作成:本発明の接着剤組成物を溶剤に溶解した塗料を、両面ともに離型処理を行ったポリエステルフィルム上に塗布、乾燥する。接着剤層の膜厚は10〜100μmとなるように塗布することが好ましい。乾燥条件は、100〜200℃、1〜5分である。溶剤は特に限定されないが、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族系、メチルエチルケトン、メチルエチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、Nメチルピロドリン等の非プロトン系極性溶剤単独あるいは混合物が好適である。
【0044】
塗工、乾燥した接着剤層上にさらに高い離型性を有するポリエステルあるいはポリオレフィン系の保護フィルムをラミネートして、本発明の接着剤シートを得る。さらに接着剤厚みを増す場合は、接着剤シートを複数回積層すればよく、場合によってはラミネート後に、例えば40〜100℃で1〜200時間程度エージングして硬化度を調整してもよい。図3に本発明で得られた半導体装置用接着剤シートの形状を例示する。
【0045】
(2)接着剤付きスティフナーの作成:厚さ0.05〜0.5mmの銅板あるいはステンレス板をアセトンにより脱脂した金属板に、上記(1)で作成した半導体装置用接着剤シートの片面の保護フィルムを剥がした後にラミネートする。ラミネート温度20〜200℃、圧力0.1〜3MPaが好適である。最後に半導体装置の形状によって、適宜打ち抜き、切断加工が施される。
【0046】
(3)半導体集積回路接続用基板の作成:(2)で得られた部品(接着剤付きスティフナー)を、金型で打ち抜き、たとえば角型で中央にやはり角型の穴がある形状の接着剤付きスティフナーの場合、接着剤付きスティフナーから保護フィルムを剥がす。ポリイミドフィルム上に接着剤層および保護フィルム層を積層した3層構造のTABテープを下記(a)〜(d)の工程により加工する。(a)スプロケットおよびデバイス孔の穿孔、(b)銅箔との熱ラミネート、(c)スズまたは金メッキ処理を施す。以上のようにして得られた配線基板層の導体パターン面または裏面のポリイミドフィルム面に、接着剤付きスティフナーの中央の穴を、配線基板のデバイス孔に一致させ貼り合わせる。貼り合わせ条件は温度20〜200℃、圧力0.1〜3MPaが好適である。最後に熱風オーブン内で接着剤層の加熱硬化のため、80〜200℃で15〜180分程度のポストキュアを行う。
【0047】
以上述べた半導体集積回路接続用基板の例を図2に示す。
(4)半導体装置の作成:(3)の半導体集積回路接続用基板のインナーリード部を、ICの金バンプに熱圧着(インナーリードボンディング)し、ICを搭載する。次いで、封止樹脂による封止工程を経て半導体装置を作成する。図1に半導体装置の一態様の断面図を示す。
【0048】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。まず、実施例および比較例で用いた評価方法について説明する。
【0049】
1%重量減少温度の測定
接着剤シート単膜(50μm厚)をエアオーブン中で、100℃、1時間、150℃、1時間の順次加熱処理を行い、評価用サンプルを作成した。本サンプルを熱重量分析装置(セイコーインスツルメンツ(株)製、TG/DTA 6200型)にて、窒素ガス流入中(300ml/分)で一定昇温(20℃/分)し、熱重量測定を行った。
【0050】
接着力
0.35mm厚のSUS304上に接着剤シートを60℃、1MPaの条件でラミネートした。その後、ポリイミドフィルム(75μm:宇部興産(株)製「ユーピレックス75S」)を先のSUS上にラミネートした接着剤シート面に130℃、1MPaの条件でさらにラミネートした後、エアオーブン中で、100℃、1時間、150℃、1時間の順次加熱処理を行い、評価用サンプルを作成した。ポリイミドフィルムを5mm幅にスリットした後、5mm幅のポリイミドフィルムを90°方向に50mm/分の速度で剥離し、その際の接着力を測定した。
【0051】
耐リフロー性
30mm角に型抜きした50μm厚の接着剤シートの一方の保護フィルムを剥がし、接着剤層の片面のみに保護フィルムがある状態にした後、50シート重ね、室温に1時間放置する。その後、上から順に1シートずつを持ち上げ、30mm角の0.25mm厚SUS304の上に置く。シート同士がくっついている場合は、手でくっついている部分を剥がして行う。60℃、1MPa、1m/分の条件でロールラミネートした後、続いて接着剤シート上に導体幅100μm、導体間距離100μmの模擬パターンを形成した30mm角の半導体接続用基板を150℃、5MPa、1m/分の条件でロールラミネートした。その後、150℃、2時間の条件で硬化し耐リフロー性評価用サンプルを作成した。30mm□サンプル20個を85℃/85%RHの条件下、12時間吸湿させた後、Max.230℃、10秒のIRリフローにかけ、その剥離状態を超音波短傷機により観察した。
【0052】
実施例1
下記熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂およびその他添加剤を、それぞれ表1に示した組成比となるように配合し、濃度28重量%となるようにDMF/モノクロルベンゼン/MIBK混合溶媒に40℃で撹拌、溶解して接着剤溶液を作成した。
【0053】
A.エポキシ樹脂
1.o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、”エピコート”180、エポキシ当量:200)
2.ビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、”エピコート”828、エポキシ当量:186)
B.熱可塑性樹脂
SEBS−C(旭化成(株)製、MX−073)
C.無機充填剤
シリカ(トクヤマ(株)製、球状シリカ”エクセリカ”、熱分解開始温度300℃以上)
水酸化アルミニウム(昭和電工(株)製、”H−42”熱分解開始温度210℃)
D.フェノール樹脂
フェノールノボラック樹脂(水酸基当量:107、群栄化学工業(株)製、PSM4261)
E.添加剤
1.4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
2.γ−アミノプロピルトリエトキシシラン
3.2−ヘプタデシルイミダゾール
これらの接着剤溶液をバーコータで、両面ともシリコート処理された厚さ75μmのポリエステルフィルム1に、50μmの乾燥厚さとなるように塗布し、100℃、1分および150℃で5分間乾燥し、その上にポリエステルフィルム1より剥離力が低いポリエステルフィルム2をラミネートしながらロール上に巻き取り、厚さ50μmの接着剤シートを作成した。接着剤シートの構造としては、図3のようになる。
【0054】
実施例2〜3、比較例1〜3
表1記載の組成で上記実施例1と同様に作製した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
表2の結果から明らかなように、本発明により得られた半導体装置用接着剤シートは、接着力、耐リフロー性にもいずれも優れていた。一方、比較例1〜3は、リフロー時に膨れが生じた。
【0058】
【発明の効果】
本発明の半導体用接着剤組成物を用いることで信頼性が高く、高接着力を有し、耐半田リフロー性に優れた半導体集積回路接続用基板ならびに半導体装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置用接着剤シートを用いて加工したBGA型半導体装置の一態様の断面図。
【図2】本発明の半導体装置用接着剤シートを用いて加工した半導体集積回路接続前の半導体集積回路接続用基板の一態様の断面図。
【図3】本発明の半導体装置用接着剤シートの一態様の断面図。
【符号の説明】
1 半導体集積回路
2 金バンプ
3,11 可撓性を有する絶縁体層
4,12 配線基板層を構成する接着剤層
5,13 半導体集積回路接続用の導体
6,14、17 本発明の接着剤組成物より構成される接着剤層
7,15 導体パターンが形成されていない層
8,16 ソルダーレジスト
9 半田ボール
10 封止樹脂
18 保護フィルム層
Claims (7)
- 半導体装置に用いられる接着剤組成物であって、熱硬化状態である接着剤組成物の1%重量減少温度が250℃以上であることを特徴とする半導体装置用接着剤組成物。
- 接着剤組成物が、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂をそれぞれ少なくとも1種類含む請求項1記載の半導体装置用接着剤組成物。
- 接着剤組成物が、熱分解開始温度が250℃以上である無機粒子を含む請求項1記載の半導体装置用接着剤組成物。
- 無機粒子がシリカである請求項3記載の半導体装置用接着剤組成物。
- 有機絶縁性フィルムの少なくとも一方の面に接着剤層を有する半導体装置用接着剤シートであって、接着剤層が請求項1〜4のいずれか記載の接着剤組成物である半導体装置用接着剤シート。
- (A)絶縁体層および導体パターンからなる配線基板層、(B)導体パターンが形成されていない層および(C)接着剤層をそれぞれ少なくとも1層有する半導体集積回路接続用基板であって、(C)接着剤層に請求項5記載の半導体装置用接着剤シートを用いたことを特徴とする半導体集積回路接続用基板。
- 請求項6記載の半導体集積回路接続用基板を用いたことを特徴とする半導体装置。
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