JP2004288609A - 電子放出源、その製造方法、及び画像表示装置 - Google Patents

電子放出源、その製造方法、及び画像表示装置 Download PDF

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彰彦 細野
Shuhei Nakada
修平 中田
Etsushi Adachi
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Abstract

【課題】 耐電圧確保に必要な最低限の膜厚、平坦な上面、高密度の開口部及び高耐熱性を有する絶縁層を備えたFED用電子放出源の提供、及び、その製造技術の確立。
【解決手段】 ガラス基板1上のカソード電極2の上に、CNT粉末を含む電子放出部3を印刷・乾燥・焼成を経て形成する。次に、カソード電極2、電子放出部3及び基板1の上に、液状のPPSQを塗布し、乾燥・焼成工程を経てPPSQをポリマー化することにより、絶縁層4を形成する。次に、絶縁層4の上にゲート電極5を形成し、レジスト膜パターン6Pをマスクとしてゲート電極5をエッチングする。その上で、絶縁層4をドライエッチングして、電子放出部上面3EUSをその底面8BSとする開口部8を形成する。
【選択図】図2



Description

この発明は、電界放出ディスプレイ(以下、FEDと称す)装置用の冷陰極電界電子放出源に関する。
FED背面パネルのゲート電極を支える絶縁層としては、(1)SiO2、SiN、又はSiONの膜、又は、(2)SOG(スピンオングラス)やポリイミド樹脂の膜、あるいは、(3)低融点ガラスペーストを用いて成る膜が、報告されている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
そして、(1)SiO2、SiN、又はSiONの膜は、真空蒸着法やスパッタリング法あるいはCVD法を用いることで、ガラス基板上に形成されている。
又、(2)SOGやポリイミド樹脂の膜は、スピンコートを用いてガラス基板上に形成されている。
又、(3)低融点ガラスペーストを用いた絶縁層は、スクリーン印刷法によって形成されている。
さらに、他の文献では、電子源であるカーボンナノチューブ(以下、CNTとも称す)の表面に保護膜を形成する工程を有することにより、前記CNTが化学的及び物理的な作用により損傷を受けることを防止し、前記CNTを電子源として用いた場合の本来の特性である低閾値で大電流密度を示す電子放出特性が損なわれない製造方法を提供している(例えば、下記特許文献2参照)。
この文献における絶縁層として、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、エポキシアクリレート樹脂、有機珪素系樹脂、SOG、フルオレン骨格を有するエポキシアクリレート樹脂、及び、ベンゾシクロブテン樹脂のうちいずれか一つを用いてなる膜が報告されている。
特開2002―270087号公報(7頁の段落番号0043、13頁の段落番号0088、図1) 特開2002−140979号公報(6貢の段落番号0034〜0041)
(1)耐電圧確保に必要な最低限のFED用絶縁層の膜厚は、10μm程度(6μm〜10μm)である。しかしながら、真空蒸着法やスパッタリング法を利用してSiO2、SiN、又はSiONをFED用絶縁層として形成する場合には、生成可能な膜厚の限界は3μm程度であることが、本願発明者の研究活動によって確かめられている。即ち、上記方法を用いて膜厚6μm〜10μmの絶縁層としてSiO2、SiN、又はSiON膜を形成すると、膜応力による歪が大きくなり、基板のそりが大きくなったり、膜が剥離する等の不具合が生じることが、新たに発見された。又、CVD法でSiO2、SiN、又はSiON膜を形成する場合においても、同様に膜厚を耐電圧確保に必要なレベルまで厚くすることが出来ない。しかも、上記の方法でSiO2、SiN、又はSiON膜を絶縁層として形成する際に、予め下部に電子放出部を形成しておく場合には、絶縁層上面の形状は電子放出部の凹凸を反映した表面形状になるため、絶縁層上面の平坦性が悪くなると言う問題点も発生する。そして、この様な平坦性が比較的悪い上面を有する絶縁層を備える電子放出源を多数個用いて画像表示装置を構成する場合には、ゲート電極とカソード電極間の距離がばらつき、このばらつきは、電子放出特性の不均一性の原因となる。
(2)SOGやポリイミド樹脂を絶縁層として用いる場合、これらの膜は一般的にはスピンコートで形成される。しかしながら、この場合においても、これらの膜の膜厚を耐電圧確保に必要なレベルにまで厚くすることは、出来ない。特に、ポリイミド樹脂の場合には、その耐熱性が不充分であると言う問題があり、そのため、画像表示装置の製造プロセスにおける熱工程において、ポリイミド樹脂より成る絶縁層が変形してしまうと言う問題点が発生し得る。
加えて、ポリイミド樹脂は、硬化時に縮合水を伴い、膜収縮も大きい。この残留応力である膜応力による歪が大きくなり、基板のそりが大きくなったり、膜が剥離する等の不具合が生じる問題点が発生し得る。
また、SOGやポリイミド樹脂を絶縁層として用いる場合、水等のガス放出が大きく、真空内に導入した後も、長期に及ぶガス放出が見られ、この残留ガスは異常放電の原因になるばかりか、放電時にイオン化して、電子源としてCNTを用いた場合には、このCNTに衝突し、CNTが劣化したり、真空度の向上に時間がかかるという問題点も発生し得る。
(3)低融点ガラスペーストを用いて絶縁層を形成する場合には、その膜厚を6μm〜10μmに設定することは、製造上、可能である。しかしながら、この場合には、ウェットエッチングを用いて当該絶縁層内に開口部を形成する必要がある。そこで、レジストあるいはゲート電極の開口径をφ10μmとし、且つ、絶縁層の膜厚を10μmに設定すると、ウェットエッチングは等方性エッチングであるため、絶縁層は、その膜厚方向に10μmエッチングされる間に、横方向にも10μm削られることになる。そのため、開口径φ10μmのゲート電極における開口部近傍部分の直下においては、絶縁層がφ30μmで以って開口されることになる。この様な状況は、「オーバーエッチング」と呼ばれている。このため、開口部のピッチを小さくすることができず、単位面積当たりの開口部の数(以後、開口部の密度と称す)が少なくなると言う問題点がある。
また、有機珪素系樹脂を用いて絶縁層を形成し、ウェットエッチングを用いて開口部を形成した場合には、露光部の硬化した膜が、有機溶媒により膨潤することで、前記開口部の側壁が膨張し良好な形状の開口部ができない。この為、開口部のピッチを小さくすることができず、開口部の密度が小さくなり、高精細には対応できないと言う問題点も発生し得る。
以上の通り、従来のFED用電子放出源(背面パネル)においては、(I)耐電圧確保に必要な最低限の膜厚及び平坦な上面を有し、(II)比較的高密度の開口部を有すると共に、(III)後工程である画像表示装置の製造プロセスにおいて変形を発生させることの無いレベルの耐熱性を兼ね備え、(IV)さらにガス放出の少ない、絶縁層及びその製造技術は、未だ実現されるに至っていないのが、現状である。
この発明は斯かる技術的状況を打破すべく成されたものであり、その目的とするところは、(I)耐電圧確保に必要な最低限の膜厚及び凹凸の無い平坦な上面を有し、(II)比較的高密度の開口部を有すると共に、(III)後工程である画像表示装置の製造プロセスにおいて変形を発生させることの無いレベルの高耐熱性を兼ね備え、(IV)さらにガス放出の少ない絶縁層を備えるFED用電子放出源の提供、及び、その製造技術の確立にある。
この発明に係る電子放出源の第1の製造方法は、基板の上にカソード電極を形成する工程と、前記カソード電極の上に電子放出部を形成する工程と、前記カソード電極の露出面、前記電子放出部の露出面、及び前記基板の露出面の上に、液状又はペースト状のシリコーンラダーポリマーを塗布した上で、前記シリコーンラダーポリマーを焼成することにより絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層の上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極の上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光/現像する工程と、現像後のレジスト膜パターンをマスクとして前記ゲート電極をエッチングして、前記絶縁層の上面の一部を露出させる工程と、前記絶縁層の前記露出部より前記絶縁層をドライエッチングして、前記電子放出部の上面の一部をその底面全体とする開口部を形成する工程とを備えることを特徴とする。
この発明に係る電子放出源の第2の製造方法は、基板の上にカソード電極を形成する工程と、前記カソード電極の露出面及び前記基板の露出面の上に、液状又はペースト状のシリコーンラダーポリマーを塗布した上で、前記シリコーンラダーポリマーを焼成することにより絶縁層を形成する工程と、前記絶縁層の上にゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極の上にレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光/現像する工程と、現像後のレジスト膜パターンをマスクとして前記ゲート電極をエッチングして、前記絶縁層の上面の一部を露出させる工程と、前記絶縁層の前記露出部より前記絶縁層をドライエッチングして、前記カソード電極の上面の一部をその底面全体とする開口部を形成する工程と、前記開口部の前記底面の一部上に電子放出部を形成する工程とを備えることを特徴とする。
(実施の形態のポイント)
(I)本発明のシリコーンラダーポリマーは、図1に示すようにシロキサン結合が梯子状に形成され、側鎖にフェニル基やビニル基や低級アルキル基などの官能基Rを有する。ここで、低級とは、炭素数1〜4の分枝又は直鎖状のものをいう。本実施の形態では、絶縁層の材料として、シリコーンラダーポリマーを、例えば官能基にフェニル基をもつポリフェニルシルセスキオキサン(以下、PPSQと表記)を、採用している。このため、絶縁層の膜厚を、耐電圧確保に必要な膜厚である約10μmにすることが出来る。
(II)電子放出源においては、ガラス基板とカソード電極との段差、及び、カソード電極と電子放出部との段差が存在する。しかしながら、本実施の形態では、液状のPPSQをそのまま焼成してポリマー化(固体化)することで絶縁層を形成している。このため、絶縁層上面が平坦になる。
(III)本実施の形態における絶縁層は、ドライエッチング可能なシリコンラダーポリマーより成る。そこで、本実施の形態では、ドライエッチングによって絶縁層の開口部を形成している。このため、オーバーエッチングが少なく、開口部の密度は、従来技術と比較して、著しく増加する。
また、シリコーンラダーポリマーは吸湿性も低く、膨潤による開口部側壁の膨張が比較的小さく抑えられ、良好な形状の開口部が得られる。この為、開口部のピッチを小さくすることができ、開口部の密度を増加することで、高精細に対応した電子放出源が得られる。
(IV)シリコーンラダーポリマーは、比較的高い温度まで、耐熱性を発揮し得る。例えば、PPSQは、約500℃まで、その耐熱性を有する。このため、熱工程において印加される熱応力に対する、本絶縁層の形状変化は比較的小さく、画像表示装置の製造プロセスにおける熱工程に耐え得る電子放出源が得られる。
また、シリコーンラダーポリマーは吸湿性が低く、膜収縮も小さいため、膜応力による歪が小さく抑えられる。その為、基板のそりが大きくなったり、膜が剥離する等の不具合の生じない電子放出源が得られる。
更に、シリコーンラダーポリマーは元々ポリマーであるため、膜厚の変化が少ない。加えて、梯子型で剛直な構造のため、一般的な鎖状シリコーンポリマーが末端のシラノールが高温では自身のシロキサン結合を攻撃し、6員環等で分解するのに対して、このようなことが起きず、高耐熱性である。
(V)シリコーンラダーポリマーは吸湿性も低く、ガス放出も小さいために、電子放出源を真空内に導入した後も、長期に及ぶガス放出が見られない。この為、残留ガスによる異常放電が発生したり、イオン化して、電子源としてCNTを用いた場合、このCNTが劣化したり、真空度の向上に時間がかかったりということが回避できる。
シリコーンラダーポリマーは、末端シラノールから脱水するが、高分子量であるため、ガス放出が小さい。加えて、吸湿性が小さいため、さらにガス放出が抑えられる。
(実施の形態1)
本実施の形態に係るFED用背面パネルないしは電子放出源の製造工程を、図2の縦断面図に示す。
図2の(h)に示す通り、本電子放出源9は、構造上、(1)ガラス基板(単に基板とも称す)1と、(2)同基板1の上面1US上に形成されたカソード電極(第1主電極)2と、(3)カソード電極2の上面2US上に形成された、カーボンナノチューブ(以下、CNTとも称す)を含む電子放出部3と、(4)電子放出部3周囲のカソード電極上面2US上、電子放出部3の側面3SS上、及び電子放出部3の上面3USの周縁部上に形成された、約10μmの膜厚T及び凹凸の無い平滑な上面4USを有するシリコーンラダーポリマーの絶縁層4と、(5)絶縁層上面4USに形成されたゲート電極(制御電極)5とを、備えている。更に、本電子放出源9は、ゲート電極5及び絶縁層4を貫通し且つ電子放出部上面3USの露出面3EUSをその底面8BSとする、開口径Dが略φ10μmの開口部8を備えている。しかも、開口部8の側壁8SSは、ガラス基板上面1USの法線方向に延在している(垂直に立設されている)。即ち、開口部側壁8SSは、オーバーエッチングを殆ど有してはいない。
この様に、本電子放出源9は、絶縁層材料としては新規な材料から成る絶縁層4とその周辺構造とを備えるので、次の様な利点が得られる。
即ち、本電子放出源9における絶縁層4は、(1)基板の反りや膜剥離等の不具合を有すること無く、その耐電圧確保に必要な最低限の膜厚を容易に備えることが出来る。(2)その上、絶縁層上面の平坦性は確実に確保されているので、本電子放出源9をFED装置用背面パネルに用いても、ゲート電極とカソード電極間の距離にばらつきが発生しにくく、電子放出特性を均一化し得るので、より好ましい背面パネルを提供することが可能である。しかも、当該絶縁層4は、(3)後工程である画像表示装置の製造プロセスにおいて変形を発生させることの無いレベルの高耐熱性を有している。更に、(4)吸湿性も低く、ガス放出も小さいために、電子放出源9を真空内に導入した後も、長期に及ぶガス放出が見られないので、本電子放出源9を信頼性の高い背面パネルとしてFED装置に適用可能である。
加えて、(5)本電子放出源9の開口部側壁は基板に対して垂直な面を成しているので、隣り合う開口部間の配列ピッチを比較的短く設定できる結果、比較的高密度の開口部を有する電子放出源9を実現することが出来る。
以下では、本電子放出源9の製造方法を、図2を参照して記載する。
工程1:カソード電極2の形成(図2(a)参照)
ガラス基板1の上面1US上に、例えば透明導電膜であるITO膜から成るカソード電極2の膜を、スパッタリング法を用いて形成する。膜厚は、例えば0.3μmである。
その後、フォトリソグラフィ等の方法を用いて、パターン形成し、ライン状の電極であるカソード電極2を得る。
また、ここで挙げたフォトリソグラフィとは、半導体製造技術において、光や電子線等を利用して平面基板にパターンを転写する写真製版のことを意味する。この工程では、レジストの塗布、露光、エッチング、及び、レジストの除去等様々な工程を含んでいるが、一般的な工程であるため、ここでは一つの工程として取り扱う。
工程2:電子放出部3の形成(図2(b)参照)
カソード電極2の上面2US上に、電子放出部3を形成する。その際、カソード電極上面2USの全面に渡ってではなくて、上面2USの内で、電子放出用開口部8の直下に該当する領域上とその周辺領域上とにのみ、電子放出部3を形成する。
より具体的には、カーボンナノチューブ粉末を含むスクリーン印刷ペーストを用いて、スクリーン印刷法で以って、電子放出部3を形成する。このとき、カーボンナノチューブ粉末の平均粒径を1.5μmとし、ペーストの組成比は、重量比で、カーボンナノチューブ:エチルセルロース:ブチルカルビトール:ブチルカルビトールアセテート=4:13:42:41とする。スクリーン印刷用マスクとしては、250番メッシュのスクリーン版を用いる。
電子放出部3の印刷後は、150℃で同部3を乾燥し、その後、大気中450℃で同部3を10分間焼成し、同部3中の樹脂および溶剤を燃焼分解する。
工程3:絶縁層4の形成(図2(c)参照)
次に、カソード電極2の露出面2US、電子放出部3の露出面3SS,3US、及び基板1の露出面(図示せず)の上に、液状のシリコーンラダーポリマーを塗布した上で、当該シリコーンラダーポリマーを焼成(ポリマー化)することにより、約10μmの膜厚Tを有する絶縁層4を形成する。より、具体的には、次の通りである。
先ず、シリコーンラダーポリマーの一例として、ポリフェニルシルセスキオキサン(PPSQ:この状態では液状である)を、テーブルコータを用いて、上記露出面上に、均一に塗布する。ここで、テーブルコータとは、図3に示す様に、スリット状の射出部を有するインク射出部21を、基材22との間隔を一定に保ちながら、基材22の表面に沿って低速度で移動させて、スリット状の射出部からインクを押し出すことで、均一な塗布膜23を基材22の表面に形成する装置である。ここでは、塗布直後のウェット膜厚が40μmになる様に、インク押し出し量および射出部21の移動速度を調整する。尚、塗布直後のウェット状態においては、PPSQ表面には、ガラス基板1とカソード電極2との段差およびカソード電極2と電子放出部3との段差を反映した凹凸が現れるけれども、直ちに表面張力の作用によりPPSQ表面は一様に凹凸の無い平坦な面となる。
次に、平坦な上面を有する液状のPPSQ層としての絶縁層4が形成された基板1を、ホットプレートを用いて、150℃の温度下で乾燥する。更に、基板1を、大気中350℃の温度下で1時間焼成して、PPSQをポリマー化(固体化)することで、絶縁層4を強固なものとする。その結果、絶縁層の膜厚Tは約10μmになる。しかも、絶縁層4は、平坦な上面を有する液状から、上面の平坦性が保たれたままで固体化されているので、焼成後の絶縁層上面4USもまた、一様に凹凸の無い平坦な面となっている。
ここで、PPSQをポリマー化(固体化)する工程は、大気中ではなく真空中で行っても良い。このことで、処理時間の短縮が期待できるとともに、硬化温度を低く設定することができるので、熱によるCNTの劣化を抑えつつ良好な電子放出特性が保たれる。
工程4:ゲート電極5の形成(図2(d)参照)
次に、絶縁層上面4US上に、ゲート電極5となる金属膜を形成する。例えば、真空蒸着法を用いて、Cr/Al/Crの順に、3層構造の金属膜を蒸着する。膜厚は、Cr(20nm)/Al(500nm)/Cr(20nm)である。
工程5:レジスト膜6の形成(図2(e)参照)
次に、ゲート電極5の上に、レジスト膜6を全面的に形成する。例えば、ポジ型レジスト液を用いてスピンコートで、レジスト膜6を塗布する。その後、レジスト膜6を乾燥させる。
工程6:レジスト膜6の露光/現像(図2(f)参照)
レジスト膜6の乾燥後、開口部8の横断面形状に相当する円形の透過部をもつ露光マスク7を用いて、レジスト膜6を露光する。更に、アルカリ系現像液で現像を行ない、露光された部分のレジスト膜を除去する。これにより、開口部8aに相当するパターンを有するレジスト膜パターン6Pが形成される。
工程7:ゲート電極のエッチング(図2(g)参照)
現像後のレジスト膜パターン6Pをマスクとしてゲート電極5をエッチングして、絶縁層上面4USの一部を露出させる。即ち、レジスト膜パターン6Pにおける円形開口部の直下に位置する 3層構造の金属膜の全てをエッチングして、電子放出部3の上面3EUSの直上方に位置するゲート電極5の部分に、当該部分を貫通する第1開口部8aを形成する。例えば、Crのエッチングには硝酸セリウム系のエッチング液を用い、Alのエッチングにはリン酸系のエッチング液を用いる。エッチング速度はエッチング液の液温で変化するので、Crエッチングの場合には液温を25℃に、Alエッチングのときには液温を40℃に、それぞれ保つ。
工程8:開口部8の形成(図2(h)参照)
次に、絶縁層上面4USの露出部(第1開口部8aの底面に該当)より、その直下の絶縁層4をドライエッチングして、電子放出部3の上面3USの一部3EUSをその底面8BS全体とする開口部8(8a+8b)を形成する。具体的には、次の通りである。
<8−1>先ず、第1開口部8aが形成された基板1を反応性イオンエッチング装置(図示せず)内に配置して、ドライエッチングを行い、第1開口部8aの直下に当る絶縁層4の部分に、当該部分を貫通し且つ露出上面3EUSをその底面8BSとする第2開口部8bを形成する。その際、エッチングガスとして、例えばCF4(75)+O2(25)の混合ガスを用いる。このとき、ゲート電極5の上にあるレジスト膜6Pも、同時に除去される(逆に言えば、同膜6Pの膜厚は、ドライエッチングによって除去される程度の値に予め設定されている)。これにより、第1及び第2開口部8a,8bより成る開口部8が形成される。
ここで、次の点に言及する。即ち、CNTを含む電子放出部3における露出対象上面3EUSの実際の構造は、膜厚の局所的なバラツキに起因して、凹凸のある表面となっている。例えば、凸部分の上面2USからの高さは約3μmであり、凹部分の上面2USからの高さは約2μmであるため、凹凸の段差は約1μmであり、この段差ないしは隙間内に、PPSQ膜4が浸透している。そこで、隙間内に浸透したPPSQ膜4を完全に除去して上面3EUS全体を完全に開口部8内に露出させる、従って、上面3EUS全体を開口部底面8BSとするために、当該表面の凹部が露出するまで、上面3EUSの凸部分をドライエッチングで除去している。このため、表面凸部分に存在するCNTがドライエッチングで失われると言う事態が、現実には生じているのである。他面、この事態は、ドライエッチング後に開口部底面8BS上に最終的に形成される電子放出部3中のCNTを精製すると言う利点をもたらす。と言うのは、実際のCNT粉末においては、チューブ状では無いカーボン(この様なカーボンは、電子放出のための電界集中と言う作用を発揮し得ない)が、不純物として、ある割合で当該粉末中に混在している。そして、CNTの粉末中に含まれている不純物のエッチングレートはCNT自身のエッチングレートよりも速いので、上記の電子放出部表面凸部分のドライエッチングによって、当該凸部分に含まれていた不純物は完全に除去されてしまうのである。このため、電子放出部3におけるCNTの純度を結果的に高め得ると言う精製効果が得られる。
更に、本願発明者は、当該ドライエッチング時に、電子放出部3の露出面3EUS中の各CNTをゲート電極5の方向に向けて起立させることが出来ると言う事実を、発見した。この現象は、上面3USの凸部が除去される際に、その中に含まれていた非チューブ状の不純物も除去されて、障害物が減少する結果、露出表面3EUS中のCNTの内で横倒し状態となっていたCNTが起立し易くなったためであると、考えられる。この起立効果により、電界集中がより効率的に起こり、電子のエミッションによる電流の増大化を図ることが出来ると言う利点が得られる。
<8−2>更に、アミン系ポリマー除去剤でウェットエッチングを行ない、開口部8内の側壁8SSに付着した、ドライエッチング時に生成される不要物を、除去する。
<8−3>最後に、イソプロピルアルコールを用いて上記除去剤を洗浄する。これにより、本電子放出源9が得られる。
<利点>
(イ)上記の様な工程で作製された電子放出源9は、その絶縁層4にPPSQを使用しているため、従来技術で生じる様な不具合を何等発生させること無く、絶縁層4の膜厚を約10μmに設定することが出来る。
(ロ)しかも、ガラス基板1とカソード電極2との段差及びカソード電極2と電子放出部3との段差があるにも拘わらず、絶縁層4をPPSQで形成することで、絶縁層上面4USを容易に凹凸の無い平坦な面とすることが出来る。
また、PPSQは吸湿性が低く、膜収縮も小さいため、膜応力による歪が小さく抑えられる。その為、基板のそりが大きくなったり、膜が剥離する等の不具合が生じない。加えて、膜厚変化も小さいため、電子放出源9を真空内に導入した後も、凹凸の無い平坦な面を長期にわたり維持することができる。
(ハ)更に、PPSQは約500℃までの耐熱性を有しており、熱工程における、その形状変化も小さい。このため、画像表示装置の製造プロセスでの熱工程に耐え得る電子放出源9を得ることが出来る。
(二)更に、ドライエッチングで絶縁層4の開口部8bを形成しているため、オーバーエッチングが少ない。加えて、絶縁層4を形成するPPSQは、吸湿性も低く、膨潤による開口部側壁の膨張が比較的小さく抑えられるため、開口部8の密度を飛躍的に増大させることが出来る。
(ホ)更に、PPSQは吸湿性も低く、ガス放出も小さいために、電子放出源9を真空内に導入した後も、長期に及ぶガス放出が見られない。この為、残留ガスによる異常放電が発生したり、イオン化して、電子源としてCNTを用いた場合、このCNTが劣化したり、真空度の向上に時間がかかったりということが回避できる。
(実施の形態2)
<工程8−1−1:ウェットエッチング追加>
本実施の形態においては、実施の形態1における<8−1>ドライエッチング工程と<8−2>アミン系ポリマー除去剤によるウェットエッチング工程との間に、「重量比がアニソール(所定のウェットエッチング溶剤):キシレン(所定の希釈剤)=1:7の混合溶液(所定の混合溶液)で、20秒間のウェットエッチングを行う」と言う工程を追加する。この工程の追加目的は、電子放出部3の表面3US(3EUS)を構成するカーボンナノチューブ粉末の凹凸部の隙間に浸透している、不純物たるPPSQを除去することにある。
ここでは、前記ウェットエッチング溶剤としてアニソールを例に挙げたが、シリコーンラダーポリマーに対して良溶媒である芳香族系有機溶剤(アニソール、トルエン等)、アルコール系有機溶剤(ブタノール等)、エステル系有機溶剤(酢酸ブチル等)、エーテル系有機溶剤(テトラヒドロフラン等)、及び、ケトン系有機溶剤(メチルイソブチルケトン等)のうち少なくとも1種類以上の溶剤であれば良い。
具体例を挙げれば、芳香族系有機溶剤としては、ベラトール、トルエン、及び、フェネトールなどがあり、その他の材料として、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラリン、メチルイソブチルケトン、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、及び、ジメチルホルムアミドなども挙げられる。
ここに挙げたウェットエッチング溶剤において、その選択、所定の希釈剤との混合比、及び、ウェットエッチングに要する時間等は、製造環境により最良の設定にすれば良い。
この様な隙間に浸透しているPPSQの除去により、次の追加効果が得られる。即ち、工程<8−1>で既述した通り、実施の形態1によるドライエッチングによれば、電子放出部表面3USに存在する凸部分中に包含されるCNTもまた、削られてしまう。そこで、この様なCNTの局所的削除と言う事態を極力回避して凹凸の隙間に浸透しているPPSQのみを効果的に除去すべく、上記工程<8−1>のドライエッチングを電子放出部表面3USの凸部分が露出した段階で終了し、それ以降のエッチング工程としては、アニソールと言うエッチング溶剤中に重量比的に見て大量のキシレンと言う希釈剤を混ぜ合わせることで、そのウェットエッチング力を比較的に十分に弱めた混合溶液を用いて、20秒間と言う比較的短時間(上記のドライエッチング工程よりも短い)で、上記の追加ウェットエッチングを行っている。このため、等方性の当該ウェットエッチングによって主として除去されるのは、隙間に浸透したPPSQであり、電子放出部表面3USの凸部分は殆ど除去されずに残存し得ることになる(凸部分の除去量は問題視される程度では無い)。また、当該ウェットエッチング工程は短時間であるため、PPSQ表面の膨潤もほとんど起こらない。そのため、ドライエッチングによるCNTの量的減少を防止しつつ、隙間に浸透したPPSQを完全に除去して CNTの露出化を促進させることが出来ると言う利点が、新たに得られる。
(実施の形態3)
本実施の形態においては、前記実施の形態2における<8−1>ドライエッチング工程と<8−1−1>ウェットエッチング工程の間に<8−1−2>フッ酸による処理工程を追加する。
この工程を追加することで、ドライエッチング工程により形成されるシリコン酸化膜(この工程で形成されるシリコン酸化膜は、<8−1−1>ウェットエッチング工程における隙間に浸透したPPSQの除去を阻害する)を予め除去し、<8−1−1>ウェットエッチング工程における電子放出部3の表面3US(3EUS)を構成するカーボンナノチューブ粉末の凹凸部の隙間に浸透している、不純物たるPPSQを除去する効果を増す働きと、<8−1−1>ウェットエッチング工程では除去しにくいシリコン酸化膜の残さを処理する効果がある。
さらに、<8−1−2>フッ酸による処理工程後、<8−1−1>ウェットエッチング工程の間に、<8−1−3>水洗工程と<8−1−4>アミン系ポリマー除去剤によるウェットエッチング工程をさらに追加することで、絶縁層側壁に一部形成される不要物CmHnを除去することができ、<8−1−1>ウェットエッチング工程では除去しにくい不要物CmHnの残さを処理し、不純物たるPPSQを除去する効果を増す働きが得られる。
(実施の形態4)
本実施の形態においては、実施の形態1の工程2における電子放出部3の印刷・乾燥・焼成工程中、最後の焼成は行われず、その代わりに、工程8−3の後に、「450℃の温度下で10分間の電子放出部3の焼成を行う」と言う工程8−4が、追加される。
この実施の形態によれば、工程8−1のドライエッチング時に、樹脂成分が電子放出部3内に含まれているので、この残存する樹脂成分が電子放出部3のエッチングレートを低目に抑制する結果、ドライエッチングによる電子放出部表面3USの凸部分除去の進行が遅くなり、凸部分を出来る限り残しつつ、隙間に浸透したPPSQを除去することが出来る。そのため、ドライエッチングによるCNTの量的減少を抑制することが出来る。
(実施の形態5)
実施の形態1の工程5において形成するレジスト膜6の膜厚を、PPSQ膜4のそれと同程度以上の値に設定することとしても良い。この様な膜厚設定により、レジスト膜パターン6Pは、工程8−1のドライエッチングによって完全に消失してしまうことはなく、ドライエッチング終了時において、ある程度の量のパターン6Pが残存し得ることとなる。
この様な実施の形態により、次の効果が追加的に得られる。即ち、実施の形態1の様に、ドライエッチングの進行によって完全にレジスト膜パターン6Pが同時に除去されてしまうときには、ゲート電極6の上層Cr膜もまたドライエッチングの進行に伴って削られてしまう事態をレジスト膜パターン6Pが防止することが出来ない。このため、ドライエッチングの進行に伴って削られたCr膜が、当該ドライエッチングによって生成途上にある開口部8bに付着してしまい、絶縁層たるPPSQ4のエッチングにムラが発生してしまう。この様な不具合の発生を、本実施の形態は、上記膜厚の設定によって確実に防止することが出来るのである。
尚、本変形例を採用する場合には、ドライエッチングの終了後に、残存するレジスト膜パターン6Pを除去する工程が新たに必要となることは、勿論である。
(実施の形態6)
本実施の形態は、実施の形態5の適用を前提とした実施の形態1の修正例であり、実施の形態1の工程7において、上層Cr膜のウェットエッチングに代えて、「乾燥酸素中でプラズマを発生させて上層Cr膜を除去しておく」と言う工程をその後のウェットエッチング工程の前に設けておく点に、その特徴点を有している。尚、ゲート電極5の残部の2層金属膜(Al/Cr)に対しては、実施の形態1で述べたウェットエッチングを行う。
この様な追加工程の採用により、実施の形態4に基づいて、レジスト膜6の膜厚をPPSQ膜4のそれと同程度以上の値に設定していても、レジスト膜が厚いことに起因してウェットエッチングだけでは上層Cr膜を完全に除去できないと言う不具合の発生を、未然に防止することが出来ると言う効果が、得られる。
(実施の形態7)
(1)実施の形態1及び実施の形態2−6では、カソード電極をスパッタリング法で形成したITO膜で、ゲート電極を真空蒸着法で形成したCr/Al/Crの金属膜でそれぞれ作製しているが、両電極をそれ以外の方法で、例えばAgペーストを用いたスクリーン印刷法で形成しても良い。
(2)又、実施の形態1及び実施の形態2−6では、テーブルコータを用いてPPSQを塗布し焼成することで絶縁層4を形成する方法を一例として記載しているが、それに代えて、スピンナを用いたスピンコーティング(スピン塗布方式)によって溶液状のPPSQを塗布し、その後にPPSQを乾燥・焼成することによって、絶縁層4を形成しても良い。あるいは、スクリーン印刷法を用いてペースト状のPPSQを塗布し、その後にPPSQを乾燥・焼成することによって、絶縁層4を形成しても良い。後者の場合においても、スキージング時のペースト塗布量をコントロールすることで、絶縁層4下方のガラス基板1とカソード電極2との段差等に起因した凹凸が絶縁層上面4USに生じない様にして、当該上面4USの平坦化を図りつつ、その膜厚を耐電圧確保に必要な厚みに設定することが可能となる。
(実施の形態8)
実施の形態1及び実施の形態2−6では、シリコーンラダーポリマーの一例としてPPSQを用いる例を記載しているが、これに限られるものではないことは勿論であり、側鎖構造の異なる他のシリコーンラダーポリマーを用いても良い。その様な一例として、PPSQのフェニル基の一部をビニル基に置き換えたポリビニルシリセスオキサン(PVSQ)を挙げることが出来る。
さらに、特公平5−57289号公報、又は特公平5−57290号公報に開示されているフェニルトリクロロシランを、えられるプレポリマーの濃度が0.1〜0.3g/mlとなるように有機溶剤に溶解し、超純水を滴下して−10〜20℃で該フェニルトリクロロシランを加水分解した後、超純水を用いて洗浄する。もしくは、その後、該有機溶剤相に求核試薬を添加し、加熱することにより加水分解物を脱水縮合せしめてえられた高分子量物を溶解再沈法によって精製することを特徴とするナトリウム、カリウム、鉄、鉛、銅、及び、塩素の各含有量が1ppm以下、また、ウラン、及び、トリウムの各含有量が1ppb以下である、図4に表されるような末端に水酸基を有する高純度なフェニルシリコーンラダーポリマーを用いることができる。図4において、n1は7〜1600の整数を示す。
または、フェニルトリアルコキシシランを、プレポリマーの濃度が0.1〜0.3g/mlとなるように有機溶剤に溶解し、0〜30℃で微量の塩化水素を含有する超純水を滴下して該フェニルトリアルコキシシランを加水分解した後、超純水を用いて洗浄する。もしくは、その後、加水分解物を含む溶液に求核試薬を添加して脱水縮合せしめてえられた高分子量物を溶解再沈法によって精製することを特徴とするナトリウム、カリウム、鉄、鉛、銅、及び、塩素の各含有量が1ppm以下、また、ウラン、及び、トリウムの各含有量が1ppb以下である図5で表されるような末端に炭素数1〜4のアルコキシル基を有する高純度なフェニルシリコーンラダーポリマーを用いることもできる。図5において、 R1〜R4はそれぞれ低級アルキル基、n2は6〜1000の整数を示す。ここで、低級とは、炭素数1〜4の分枝又は直鎖状のものを言う。
図4、図5に示すフェニルシリコーンラダーポリマーの末端は、水酸基、アルコキシル基の種類が同一でもよく、異なってもよい。
図4、図5に示す高純度なフェニルシリコーンラダーポリマーを用いることによって、FEDの電子放出源として動作させた場合に、不純物がCNT表面に付着することによる電子放出特性の劣化が抑えられる。
また、電子放出能の安定化を妨げる要因の一つに異常放電がある。放電開始に関与するアルファ線の放射が大きい材料は不利となる。この点においても、前記高純度なフェニルシリコーンラダーポリマーは、ウランおよびトリウムの各含有量が1ppb以下であるため放電を誘起する電離発生の機会が少ない。これらのことから、前記高純度なフェニルシリコーンラダーポリマーを絶縁材料にもつ電子放出源は、長期間に渡って良好な電子放出特性が保持できる。
ここでいう高純度とは、ナトリウム、カリウム、鉄、鉛、銅、及び、塩素の各含有量が1ppm以下、また、ウラン、及び、トリウムの各含有量が1ppb以下であることをいう。
更に、特開平11−292971号公報に開示されている
(A)一般式(a):R7 SiOR8 OR9 OR10(式中、R7 はフッ素原子またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、アルケニル基もしくはアリール基、R8 、R9 およびR10はそれぞれ独立して低級アルキル基またはフッ素原子を含有する低級アルキル基)で示されるオルガノトリアルコキシシランを、
または、上記一般式(a)で示されるオルガノトリアルコキシシランと一般式(b):R11SiOR8 OR9 OR10(式中、R11は水素原子、低級アルキル基、アルケニル基またはアリール基、R8、R9およびR10はそれぞれ独立して低級アルキル基またはフッ素原子を含有する低級アルキル基)で示されるオルガノトリアルコキシシランとを、有機溶剤に溶解する工程と、
(B)えられる溶液を超純水を用いて冷却下で加水分解、脱水縮合する工程と、
(C)えられる脱水縮合物を超純水で洗浄する工程と
で得られる、図6で示され、ナトリウム、カリウム、鉄、銅、鉛、マグネシウム、マンガンおよび塩素のいずれの含有量も1ppm以下であり、かつウランおよびトリウムのいずれの含有量も1ppb以下である高純度シリコーンラダープレポリマー(図6の式中、R12およびR13のいずれか一方は必ずフッ素原子またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、アルケニル基もしくはアリール基、他方は水素原子、フッ素原子、低級アルキル基、アルケニル基、アリール基またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、アルケニル基もしくはアリール基、R14、R15、R16およびR17はそれぞれ独立して水素原子、低級アルキル基またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、n3は5〜600の整数)
を有機溶媒に溶解し、えられる溶液に求核試薬を添加して脱水縮合させ、ついで該脱水縮合物を溶解再沈法によって精製する図7で表される高純度なシリコーンラダーポリマーを用いることも可能である。
図7の式中、R18およびR19のいずれか一方は必ずフッ素原子またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、アルケニル基もしくはアリール基、他方は水素原子、フッ素原子、低級アルキル基、アルケニル基、アリール基またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、アルケニル基もしくはアリール基、R20、R21、R22およびR23は、それぞれ独立して水素原子、低級アルキル基またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、n4は5〜10000の整数を示す。
この図7に示す高純度なシリコーンラダーポリマーを用いても、図4、図5に示す高純度なフェニルシリコーンラダーポリマーの場合と同様な効果が得られる。耐熱性に関しては、相対的に図4、図5に示す高純度なフェニルシリコーンラダーポリマーと比較して若干劣化するが、その分、絶縁性能は増す。
上記工程(A)において、一般式(a)で示されるオルガノトリアルコキシシラン、又は一般式(a)で示されるオルガノトリアルコキシシランと一般式(b)で示されるオルガノトリアルコキシシランとを用いたが、一般式(d):R24SiC24(式中、R24はフッ素原子またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、アルケニル基もしくはアリール基)で示されるオルガノトリクロロシラン、または一般式(d)で示されるオルガノトリクロロシランと一般式(e):R25SiC25(式中、R25は水素原子、低級アルキル基、アルケニル基またはアリール基)で示されるオルガノトリクロロシランとの混合物、を用いても、図7に示される高純度なシリコーンラダーポリマーを得ることができる。
また、特開2000−103855号公報で開示されている図8または図9で表される高純度なシリコーンラダーポリマーにフッ素化剤を加えて、攪拌することで得られる図10で表される高純度なシリコーンラダーポリマーを用いても、図4、図5に示す高純度なフェニルシリコーンラダーポリマーの場合と同様な効果が得られる。耐熱性に関しては、相対的に図4、図5に示す高純度なフェニルシリコーンラダーポリマーと比較して若干劣化するが、その分、絶縁性能は増す。
図8の式中、R26およびR27は水素原子、フッ素原子、低級アルキル基、アルケニル基、アリール基またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、アルケニル基もしくはアリール基であって同種でも異種でもよいが、R26およびR27の少なくとも一つは、水素原子もしくは水素原子を有する有機基、R28、R29、R30およびR31は水素原子、低級アルキル基またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、n5は5〜10000の整数を示す。
図9の式中、R32およびR33は水素原子、フッ素原子、低級アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルケニル基を有するアリール基またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、アルケニル基、アリール基もしくはアルケニル基を有するアリール基であって同種でも異種でもよいが、R32およびR33の少なくとも一つは、水素原子もしくは水素原子を有する有機基、R34、R35、R36およびR37は水素原子、低級アルキル基またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、n6は5〜10000の整数を示す。
図10の式中、R38およびR39のいずれか一方は必ずフッ素原子またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、アルケニル基、アリール基もしくはアルケニル基を有するアリール基、他方は水素原子、フッ素原子、低級アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルケニル基を有するアリール基またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、アルケニル基、アリール基もしくはもしくはアルケニル基を有するアリール基を、R40、R41、R42およびR43は水素原子、低級アルキル基またはフッ素原子を含有する低級アルキル基、n7は5〜10000の整数を示す。
さらに、特開平10−319597号公報で開示されている図11で表されるシリコーンラダー系樹脂に、感光剤となる感光性架橋剤もしくは光重合開始剤を含有した感光性シリコーンラダー系樹脂組成物を用いることにより、硬化温度をさらに下げることができる。また、感光性であることから、レジストを用いなくてよい場合もあり得る。
図11の式中、R44およびR45はアリール基、水素原子、フッ素原子、脂肪族アルキル基または不飽和結合を有する官能基であり、同種でも異種でも良い。R46、R47、R48およびR49は水素原子、アリール基、脂肪族アルキル基、トリアルキルシリル基または不飽和結合を有する官能基であり、同種でも異種でも良い。ただし、R44、R45、R46、R47、R48およびR49のうち1重量%以上は感光性を有する官能基で、nは自然数を示す。
(実施の形態9)
本実施の形態においては、実施の形態1における<8−3>イソプロピルアルコールによる洗浄後に、乾燥酸素中でプラズマを発生させる工程を追加することで、イソプロピルアルコールの除去ができる。加えて、シリコーンラダーポリマーからなる絶縁層の表面の有機基を除去することができ、開口部側壁のシリコーンラダーポリマー表面部も同時に改質され、その表面にはシリコン酸化膜が形成される。このことによりガス放出がさらに抑制され電子放出源の信頼性は向上する。
なお、前記工程中は中性ラジカルの照射、酸化により基板温度が上がる。電子放出源は多層構造を有する為、急激な温度変化は基板クラックの発生原因となる。これを防止するため水冷等で温度上昇を抑制するのが好ましい。
(実施の形態10)
前記実施の形態9では、乾燥酸素中でプラズマを発生させる工程中、エネルギーの大きなイオンが、起立したCNTを有する電子放出部表面に衝突することにより破壊し、電子のエミッションによる電流劣化を引き起こす原因になることが考えられる。
そこで、図12に示すように、真空容器10内に、図1に示す電子放出源9と、前記電子放出源9に対向する位置に、前記電子放出源9を覆う形で、板状の電極に多数の孔が設けられた多孔グリッド電極11を接地する形で配置し、前記多孔グリッド電極11を挟んで、前記電子放出源9と反対側に、高周波電極12とを設け、前記真空容器10内で実施の形態7に示す乾燥酸素中でプラズマを発生させる工程を行う。
ここで、図12では、板状の電極である前記多孔グリッド電極11を平面状に加工したものを用いているが、例えば、シリンドリカルな円筒状のもの、または、その一部を切り出したものを用いても良く、前記電子放出源9を覆うような形状であれば良い。
具体的には、前記真空容器10内で酸素雰囲気とし、高周波電圧を前記高周波電極12に印加し、グロー放電を発生させる。このときカソード電極2、及び、前記多孔グリッド電極11を接地した状態にすることで、前記高周波電極12と前記多孔グリッド電極11との間でプラズマが発生し、前記高周波電極12に負極性の自己バイアスが生じるためエネルギーの大きなイオンはCNTを材料とする電子放出部に到達することができず、表面を破壊しない。一方、中性活性種である酸素ラジカルは、前記多孔グリッド電極11の孔を通ってシリコーンラダーポリマーからなる開口部側壁に到達し、シリコーンラダーポリマー表面の有機基を除去する。
その結果、電子放出部表面を破壊することなく、開口部側壁のシリコーンラダーポリマー表面部も同時に改質され、その表面にはシリコン酸化膜が形成される。このことによりガス放出がさらに抑制され電子放出源9の信頼性は向上する。
また、開口部側壁を改質するための方法としては、紫外線照射等他の方法を用いてもよい。また、マイクロ波放電により発生したオゾンを利用して改質処理しても同様な効果が得られる。
(実施の形態11)
本実施の形態に係る電子放出源が、構造上、実施の形態1の電子放出源と相違する点は、「開口部底面が、電子放出部の露出面(側面及び上面)のみならず、当該露出面周辺に位置するカソード電極の露出面をも含む」と言う点に、換言すれば、「開口部底面の一部上にのみ電子放出部が形成されている」と言う点にある。従って、その他の構造上の特徴点は、両実施形態に共通している。以下、本実施の形態に係る電子放出源の製造方法を、図13の縦断面工程図に基づき記載する。
本実施の形態に係る製造方法と実施の形態1に係る製造方法との違いは、電子放出部形成工程を開口部形成工程後に行うことにした点にある。従って、(1)ガラス基板31の上面上にカソード電極32を形成する工程1と、(2)PPSQをテーブルコータでカソード電極32及び基板31の上に均一に塗布した上で乾燥・焼成することで絶縁層34を形成する工程2と、(3)絶縁層34の上にゲート電極35となる金属膜を形成する工程3と、(4)レジスト膜(図示せず)をゲート電極35の上に全面的に形成する工程4と、(5)上記レジスト膜を露光現像する工程5と、(6)現像後のレジスト膜パターンをマスクとして金属膜35をエッチングしてゲート電極35に第1開口部38aを形成する工程5と、(6)反応性イオンエッチング装置でドライエッチングを行い、絶縁層34を貫通する第2開口部38bを形成することで開口部38を完成させ、その後、アミン系ポリマー除去剤でウェットエッチングを行ない、開口部38内の側壁38SSに付着した、ドライエッチング時に生成される不要物を除去すると共に、イソプロピルアルコールを用いて除去剤を洗浄する工程6とは、基本的に実施の形態1で述べた方法と同一である。従って、これらの工程1〜6の記載に関しては、対応する実施の形態1中の記載を援用する。以上の工程1〜6を経て形成された電子放出源の中間構造を、図13(a)に示す。
工程7:レジスト膜36の形成(図13(b)参照)
実施の形態1と同様に、ポジ型レジスト液をスピンコートで塗布する。この場合、ゲート電極35の上面上のみならず、開口部38の側壁38SS及び底面38BSの上にも、レジスト膜36が形成される。
工程8:レジスト膜の露光/現像(図13(c)参照)
次に、開口部38の直径Dよりも小さい直径D1を有する円形の透過部を持つ露光マスク(図示せず)を用いて、レジスト膜36を露光する。更に、アルカリ系現像液で露光後のレジスト膜36の現像を行ない、露光された部分のレジスト膜36を除去する。これにより、直径D1の円形領域であるカソード電極上面一部32EUSを露出させるレジスト膜パターン36Pが、形成される。
工程9:カーボンナノチューブ層39の形成(図13(d)参照)
次に、カーボンナノチューブ粉末を分散して成るスプレー液を用いたスプレーコートにより、電子放出部となるべきカーボンナノチューブ層39を、レジスト膜パターン36Pの表面全体及びカソード電極上面一部32EUSの全体に塗布する。スプレー液としては、実施の形態1で使用したスクリーン印刷用ペーストを溶剤で希釈することで低粘度の液にしたものを用いる。
工程10:電子放出部36の形成(図13(e)参照)
最後に、エタノールのウェットエッチングで以ってレジスト膜パターン36Pを剥離することで、カーボンナノチューブ層39の不要部分を除去する。これにより、開口部8の底面8BSの中央部上にのみ、電子放出部36が形成される。
<利点>
上記の工程で作製された電子放出源は、実施の形態1と同様に、約10μmの膜厚を有する絶縁層34を備えている。しかも、同電子放出源は、画像表示装置の製造プロセスにおける熱工程に耐え得るだけの耐熱特性を有している。加えて、本電子放出源は、開口部間ピッチを比較的小さく設定して開口部密度を高め得る構造を有している。
更に、本電子放出源は開口部底面中央部のみに形成された電子放出部36を有しており、その結果、絶縁層直下に電子放出部が全く存在しないので、実施の形態1と比較して、絶縁層上面の平坦性はより一層向上し得る。このため、複数の電子放出源を同一基板上に作製する場合には、ゲート電極とカソード電極間の距離のばらつきを少なくすることが出来、電子放出特性のより一層の均一化を達成することが出来る。
(実施の形態12)
本実施の形態は、実施の形態1乃至実施の形態11に係る電子放出源を画像表示装置(FEDパネル)に適用する一例に関する。以下、画像表示装置を製造する際の工程を、図14〜図18を参照して記載する。尚、図14〜図17の(a)は、実施の形態1あるいは実施の形態11に係る電子放出源がマトリックス状に形成・配置されるカソード基板(背面パネル)を上面から見た平面概略図である。又、図14〜図17の(b)は、それぞれ対応する図14〜図17の(a)に示した断線I-Iに関する縦断面概略図である。
先ず、ガラス基板41の上に、カソード電極として、第1方向Xに延在する複数のITO膜をストライプ状に形成する(図14参照)。即ち、スパッタリング法でITO膜をガラス基板41の上面上に全面的に形成し、通常のレジスト膜を用いた露光/現像を行なってITO膜のストライプパターンを形成することで、第1方向Xに延在した複数のストライプ状カソード電極42を形成する。カラー表示のために、1画素は、赤、青及び緑色の3つの発光点で構成される。そのため、カソード電極の数は3の倍数となる必要性がある。ここでは、説明を簡単にするために、便宜上、カソード電極の数を3本に設定している。
次に、図15に示す様に、各カソード電極42の上面上であって且つ後述する発光点の直下となる箇所に、カーボンナノチューブ粉末を含んだ印刷ペーストを用いたスクリーン印刷法によって、複数の電子放出部43を印刷する。その上で、印刷パターンを乾燥させ、その後に焼成を行うことで、各カソード電極42上を第1方向Xに一列に配列して成る電子放出部43を形成する。
次に、図15に示す様に、テーブルコータで、ガラス基板41の周辺部を除いた、ガラス基板41のほぼ全面に渡ってPPSQを塗布し、その後のPPSQの乾燥・焼成工程を経て、絶縁層44を形成する。
その上で、図16に示す様に、ガラス基板の上面上に全面的に金属膜を蒸着法で蒸着し、通常のレジスト膜を用いた露光/現像を行なって、カソード電極42の延在方向Xと直交する第2方向Yに延在した、複数のストライプ状のゲート電極45を形成する。
次に、図17に示す様に、各カソード電極42と各ゲート電極45との立体交差位置に、放出電子を取り出すための複数の第1開口部48aを形成する。この開口部48aは、上記ゲート電極形成方法と同様に、通常のレジスト膜を用いた露光/現像を行なうことで形成される。その上で、各ゲート電極45の各第1開口部48aをマスクとしてドライエッチングを行い、その直下の絶縁層44に第2開口部48bを形成する。これにより、ゲート電極45及び絶縁層44を貫通してその直下の電子放出部43の上面を露出させる開口部48が、形成される。
次に、図18に示す様に、上記一連の工程で作製されたカソード基板49と、アノード電極(第2主電極)61及び蛍光体層62が形成されたアノード基板(前面パネル)63とを、各蛍光体層62とそれに対応する電子放出部43とが互いに対向する様に、配置した上で、カソード基板69とアノード基板63とを、それぞれの周縁部において、フリットガラスで以って接合する。これにより、FEDパネルが形成される。その上で、FEDパネルを大気中450℃の温度下で30分間焼成して気密容器とし、最後に内部を真空に排気することで、画像表示装置は作製される。
<利点>
以上の工程で作製された画像表示装置においては、カソード電極−ゲート電極間の間隔が全画素で均一であり、画素間の輝度ばらつきが小さい。又、気密容器にするための450℃焼成でも絶縁層の形状変化がなく、画素欠陥も生じない。更には、開口部の密度が高いので、1画素内の電子放出部の数が多く、画素内の輝度均一性が向上する。
(付記)
以上、本発明の実施の形態を詳細に開示し記述したが、以上の記述は本発明の適用可能な局面を例示したものであって、本発明はこれに限定されるものではない。即ち、記述した局面に対する様々な修正や実施の形態を、この発明の範囲から逸脱することの無い範囲内で考えることが可能である。
この発明は以上説明したように、絶縁層をシリコーンラダーポリマーにより形成することにより、絶縁層の膜厚を耐電圧確保に必要な値に容易に設定することが出来る。また、絶縁層上面を凹凸の無い平坦な面に容易に生成することが出来る。さらに、開口部の密度を上げることができ、高精細に対応した電子放出源を得ることが出来る。
シリコーンラダーポリマーの構造例を示す図である。 実施の形態1に係る電子放出源の製造工程を示す縦断面図である。 テーブルコータの構成を模式的に示す斜視図である。 シリコーンラダーポリマーの構造例を示す図である。 シリコーンラダーポリマーの構造例を示す図である。 シリコーンラダーポリマーの構造例を示す図である。 シリコーンラダーポリマーの構造例を示す図である。 シリコーンラダーポリマーの構造例を示す図である。 シリコーンラダーポリマーの構造例を示す図である。 シリコーンラダーポリマーの構造例を示す図である。 シリコーンラダーポリマーの構造例を示す図である。 実施の形態10に係る電子放出源の製造工程におけるプラズマ発生工程を説明するための断面図である。 実施の形態11に係る電子放出源の製造工程の一部を示す縦断面図である。 実施の形態12に係るFED用背面パネルの製造工程を示す上面図及び縦断面図である。 実施の形態12に係るFED用背面パネルの製造工程を示す上面図及び縦断面図である。 実施の形態12に係るFED用背面パネルの製造工程を示す上面図及び縦断面図である。 実施の形態12に係るFED用背面パネルの製造工程を示す上面図及び縦断面図である。 実施の形態12に係るFEDパネルの構造を示す縦断面図である。
符号の説明
1 ガラス基板、2 カソード電極、3 電子放出部、4 絶縁層、5 ゲート電極、6 レジスト膜、6P レジスト膜パターン、8 開口部。




Claims (13)

  1. 基板の上にカソード電極を形成する工程と、
    前記カソード電極の上に電子放出部を形成する工程と、
    前記カソード電極の露出面、前記電子放出部の露出面、及び前記基板の露出面の上に、液状又はペースト状のシリコーンラダーポリマーを塗布した上で、前記シリコーンラダーポリマーを焼成することにより絶縁層を形成する工程と、
    前記絶縁層の上にゲート電極を形成する工程と、
    前記ゲート電極の上にレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜を露光/現像する工程と、
    現像後のレジスト膜パターンをマスクとして前記ゲート電極をエッチングして、前記絶縁層の上面の一部を露出させる工程と、
    前記絶縁層の前記露出部より前記絶縁層をドライエッチングして、前記電子放出部の上面の一部をその底面全体とする開口部を形成する工程とを備えることを特徴とする、
    電子放出源の製造方法。
  2. 請求項1記載の電子放出源の製造方法であって、
    前記開口部形成工程は、
    前記電子放出部の前記上面一部の凸部が露出するまで前記ドライエッチングを行う工程と、
    前記ドライエッチング後に所定の混合溶液を用いたウェットエッチングを前記ドライエッチングよりも短時間行うことで前記上面一部の凹部を露出させる工程とを備えており、 前記所定の混合溶液は、50質量%未満のウェットエッチング溶剤と、50質量%を超える希釈剤より成ることを特徴とする、
    電子放出源の製造方法。
  3. 請求項1記載の電子放出源の製造方法であって、
    前記電子放出部形成工程は、
    カーボンナノチューブ粉末を含むスクリーン印刷ペーストを用いて前記電子放出部を印刷し、印刷後の前記電子放出部を乾燥させるだけで焼成しない工程から成り、
    前記開口部形成工程後に前記電子放出部の焼成を行う工程を更に備えることを特徴とする、
    電子放出源の製造方法。
  4. 請求項1記載の電子放出源の製造方法であって、
    前記レジスト膜は、前記絶縁層と同程度以上の膜厚を有しており、
    前記開口部形成工程後に、残存する前記レジスト膜パターンを除去する工程を更に備えることを特徴とする、
    電子放出源の製造方法。
  5. 請求項4記載の電子放出源の製造方法であって、
    前記ゲート電極は複数層構造の金属膜より成り、
    前記ゲート電極エッチング工程は、
    乾燥酸素中でプラズマを発生させることにより前記金属膜の最上層を除去する工程と、 前記最上層の除去後に、前記金属膜の残部全てをウェットエッチングにより除去する工程とから成ることを特徴とする、
    電子放出源の製造方法。
  6. 基板の上にカソード電極を形成する工程と、
    前記カソード電極の露出面及び前記基板の露出面の上に、液状又はペースト状のシリコーンラダーポリマーを塗布した上で、前記シリコーンラダーポリマーを焼成することにより絶縁層を形成する工程と、
    前記絶縁層の上にゲート電極を形成する工程と、
    前記ゲート電極の上にレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜を露光/現像する工程と、
    現像後のレジスト膜パターンをマスクとして前記ゲート電極をエッチングして、前記絶縁層の上面の一部を露出させる工程と、
    前記絶縁層の前記露出部より前記絶縁層をドライエッチングして、前記カソード電極の上面の一部をその底面全体とする開口部を形成する工程と、
    前記開口部の前記底面の一部上に電子放出部を形成する工程とを備えることを特徴とする、
    電子放出源の製造方法。
  7. 請求項1乃至6の何れかに記載の電子放出源の製造方法であって、
    前記開口部形成工程のあとに、真空容器内において、前記電子放出部に対向する位置に、板状の電極に多数の孔が設けられた多孔グリッド電極を接地して配置し、前記多孔グリッド電極を挟んで、前記電子放出部と反対側に、高周波電極を設け、前記高周波電極に高周波電圧を印加する工程を備えることを特徴とする、
    電子放出源の製造方法。
  8. 請求項1乃至7の何れかに記載の電子放出源の製造方法であって、
    前記シリコーンラダーポリマーが、ナトリウム、カリウム、鉄、鉛、銅、及び、塩素の各含有量が1ppm以下、また、ウラン、及び、トリウムの各含有量が1ppb以下であることを特徴とする、
    電子放出源の製造方法。
  9. 基板と、
    前記基板の上面上に形成されたカソード電極と、
    前記カソード電極の上に形成された電子放出部と、
    前記カソード電極の上に形成されたシリコーンラダーポリマーの絶縁層と、
    前記絶縁層の上に形成されたゲート電極と、
    前記ゲート電極及び前記絶縁層を貫通し且つ前記電子放出部の露出面を含む底面を有する開口部とを備えることを特徴とする、
    電子放出源。
  10. 請求項9記載の電子放出源であって、
    前記開口部の側壁は前記基板の前記上面の法線方向に延在していることを特徴とする、電子放出源。
  11. 請求項10記載の電子放出源であって、
    前記開口部の前記底面は、前記電子放出部の前記露出面周辺に位置する前記カソード電極の露出面をも含むことを特徴とする、
    電子放出源。
  12. 請求項9乃至11の何れかに記載の電子放出源であって、
    前記シリコーンラダーポリマーが、ナトリウム、カリウム、鉄、鉛、銅、及び、塩素の各含有量が1ppm以下、また、ウラン、及び、トリウムの各含有量が1ppb以下であることを特徴とする、
    電子放出源。
  13. 基板の上に複数のストライプ状のカソード電極が形成されており、前記基板の上に形成された絶縁層によって支持される複数のストライプ状のゲート電極の各々がその長手方向に前記複数のカソード電極の各々と立体交差しつつ延在しており、各カソード電極と各ゲート電極との交差位置に前記絶縁層の複数の開口部が形成されていると共に、各開口部毎に請求項9乃至12の何れかに記載の前記電子放出源が配置されて成るカソード基板と、
    複数のストライプ状のアノード電極及び複数の蛍光体層が形成されたアノード基板とを備えており、
    各蛍光体層と当該蛍光体層に対応する前記電子放出源の前記電子放出部とが対応する開口部を介して対向し合う様に、前記カソード基板と前記アノード基板とがそれぞれの周縁部において接合されて成ることを特徴とする、
    画像表示装置。
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