JP2004288607A - 有機el発光素子およびその製造方法 - Google Patents

有機el発光素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 安定した発光特性をもつ有機EL発光素子とその製造方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の有機EL発光素子は支持基板上に設けられた第1電極と、該第1電極に直交して対向配置された第2電極と、第1電極と第2電極間に配置された有機EL層とを含む有機EL発光素子であって、前記第1電極が、複数の領域に分割され、該複数の領域のそれぞれで対応する複数のバス電極と接続される第1電極部からなり、第1電極の複数の領域がそれぞれ独立して駆動される。本発明の製造方法は、前記第1電極を形成する工程が、(1)支持基板上に第1電極との接続部を有する複数のバス電極を形成する工程、(2)前記バス電極の接続部以外の、前記バス電極の少なくとも一部を覆うように絶縁膜を形成する工程、(3)対応する複数のバス電極のみに接続部で接続するように第1電極を形成する工程とを含む。
【選択図】 図3

Description

本発明は、有機EL発光素子およびその製造方法に関し、より詳細には、長期にわたり安定した発光特性を維持する有機EL発光素子およびその製造方法に関する。
有機ELディスプレイにおける電極構成には、TFT(薄膜トランジスタ)を用いたアクティブマトリックス駆動方式やパッシブマトリックス駆動方式がある。これらの方式のうち、パッシブマトリックス駆動方式は、電極構成が単純であるため安価に製造できるという利点を有している。
パッシブマトリックス駆動方式において、高画素数、高精細のパネルを形成するためには、XYマトリックス電極構造を構成する電極(走査電極および信号電極)の数を増加させることが必要となる。一定フレーム周波数においてパッシブマトリックス駆動を行う場合、各画素は、1本の走査電極に割り当てられる期間だけ電圧が印加され、発光する。この期間は、走査電極数の逆数であるデューティ比で定義される(デューティ比=1/走査電極数)ため、走査電極数に逆比例して減少する。従って、デューティ比1/100のディスプレイにおいて100Cd/mの面輝度が要求される場合、各画素は10,000Cd/mの輝度で発光することが必要となる。このような輝度を得るためには画素に流れる電流を大きくする必要があるが、一般に、有機発光素子は電流量を大きくすると、輝度半減時間などで示される画像表示の信頼性が低下する傾向がある。
パッシブマトリックス駆動方式の液晶表示装置においてデューティ比を大きくする手法として、(1)信号電極をパネル上下で分割し、パネル上下を独立に駆動する方法、(2)1本の走査電極に対し2本の信号電極を櫛歯状に配置し、隣接する2個の画素を構成する方法、(3)同一基板内で下部信号線上の一部に絶縁膜を設け、その上にさらに上部信号線を重畳して配列することにより信号電極を上部と下部で個別駆動する方法、が知られている。さらに、これらの方法を組み合わせた方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。これらの方法によれば、電圧を同時に印加できる走査線数を多くすることにより、デューティ比を大きくすることができる。
有機発光素子においても、上述の(1)および(2)の方法を組み合わせた方法が既に知られている(例えば、特許文献2〜5参照)。
上述の(1)および(2)の技術は、1本の走査電極に2本以上の信号電極を櫛歯状に配置するものであるが、配置される全画素の電極を絶縁しなければならず、製造時の歩留まりが低下することが想定される。さらには、走査電極に流れる電流が画素の数の増加に従い大きくなるため、走査側の駆動ICを通常のICより数倍の電流を流せるものに対応させる必要がある。
また、上述の(3)に類似した方法が、例えば特許文献6に開示されている。この技術は特許文献1に記載される方法に類似している点がある。即ち、特許文献6に記載の技術は、パネルを複数のサブパネル領域に分割することを特徴とし、このように分割することで、第1電極がパネル面内で上下方向に複数に分割される。また、この特許文献の信号電極は、第1バス電極と、これに電気的に接続される透光性物質である第1電極とにより構成され、配線を立体的に構成することも開示されている。また、この製造方法として、第1電極を形成した後に、第1バスラインを形成する方法が記述されている。
しかし、この特許文献に記載のような方法で走査電極を分割すると、分割数が増加するに従い走査電極に直交するバスライン数が分割数に比例して増加し、バスライン電極間のスペースが狭くなる。これは、パターンニング不良による隣接バスライン間で短絡不良を発生する確率が高くなり、製造時の歩留まりが低下するという問題がある。
さらに特許文献6に記載の方法に従って走査電極を分割して駆動すると、パネルの点灯時に分割された各領域の境界において輝度が急峻に変化し、目視で電極の境界が認識されてしまうという問題がある。
加えて、特許文献6に記載の方法では、高精細なパネルでは外部駆動回路と接続するための電極ピッチが100μmよりも小さくなる。基板間の接続に用いられるフレキシブルプリント基板では、導電部の細線化が難しいという問題もある。
特公平1−57350号公報 特開2000−259124号公報 特開2001−142415号公報 特開2001−217081号公報 特開2001−313182号公報 特開2000−56707号公報
パッシブマトリックス駆動方式では、デューティ比を大きくするという第1の課題と、パッシブマトリックス駆動方式の電極を、歩留まりを低下させることなく簡便に形成するという第2の課題を同時に達成する必要がある。加えて、電極の形成では、表示部分の電極のみでなく、電極の引き出し部や接続部を含めた、電極部の簡便な形成が求められる。特に、高精細で長期にわたって安定した駆動のできる有機EL発光素子を得るためには上記課題を同時に達成する必要がある。しかし、これまでは、上記の技術的課題を全て達成する有効で具体的な方法は知られていない。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、高精細で長期にわたり安定した発光特性を維持する有機EL発光素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は以下に示す有機EL発光素子およびその製造方法により解決される。
本発明の第1は有機EL発光素子に関する。第1の実施形態では、該素子は支持基板上に設けられた第1電極と、該第1電極に直交して対向配置された第2電極と、これら第1電極と第2電極間に配置された有機EL層とを含む有機EL発光素子であって、前記第1電極が、複数の領域に分割され、該複数の領域のそれぞれで対応する複数のバス電極と接続される第1電極部からなり、第1電極の複数の領域がそれぞれ独立して駆動される。本発明では、前記第1電極部の複数のバス電極が絶縁膜により絶縁されていることが好ましい。さらに前記バス電極が絶縁膜と交互に積層されており、前記絶縁膜はバス電極と第1電極が接続される接続部に開口部を有していてもよい。
特に本発明では、バス電極が異なる材料で形成されることが好ましい。
本発明の第2は有機EL発光素子の製造方法に関する。この方法は、支持基板上に、複数の領域に分割され、該複数の領域のそれぞれで対応する複数のバス電極と接続される複数に分割された第1電極を形成する工程と、有機EL層および第2電極を形成する工程とを含む、有機EL発光素子の製造方法であって、前記第1電極を形成する工程が、(1)支持基板上に第1電極との接続部を有する複数のバス電極を形成する工程と、(2)対応する複数のバス電極のみに前記接続部で接続するように、分割された第1電極を形成する工程とを含む。本発明の製造方法の第2の実施形態は、前記第1電極を形成する工程が、(1)支持基板上に第1電極との接続部を有する複数のバス電極を形成する工程と、(2)前記バス電極の接続部以外であって、前記バス電極の少なくとも一部を覆うように絶縁膜を形成する工程と、(3)対応する複数のバス電極のみに前記接続部で接続するように、分割された第1電極を形成する工程とを含む。本発明の第3の実施形態では、前記第1電極を形成する工程が、(1)支持基板上に第1電極との接続部を有する1または複数のバス電極を形成する工程と、(2)バス電極の接続部以外であって、前記バス電極を覆うように絶縁膜を形成する工程と、(3)前記(1)および(2)の工程を繰り返し、必要な複数のバス電極を形成する工程と、(4)対応する複数のバス電極のみに接続部で接続するように、分割された第1電極を形成する工程とを含む。特に本発明では、バス電極が異なる材料で形成されることが好ましい。さらに本発明では、色変換フィルタを含む有機EL発光素子およびその製造方法を包含する。
本発明のその他の特徴および効果は以下の本発明の説明で明らかになるであろう。
本発明によれば、第1電極が複数に分割され、これが第1バス電極から第nバス電極にそれぞれ接続される。このような構成にすることにより、第1電極と第2電極との間に設けられる有機発光層のうち、各領域に対応して位置する有機発光層部分が、互いに独立して駆動されることとなるので、パッシブマトリックス駆動方式で求められるデューティ比を大きくすることができる。また、本発明では第1電極部の配列も、歩留まりを低下させることなく簡便に形成できる。このため、長期の駆動安定性を確保することができる。このように本発明は、デューティー比を大きくすることと、歩留まりを低下させることなく、電極を簡便に形成することの2つの課題を同時に達成することができる。さらに、本発明の電極構造を有する有機EL発光素子は、高精細で、長期にわたって安定した発光特性を維持することができる。また、本発明の有機EL発光素子の製造方法では、上記2つの課題を達成できる有機EL発光素子の提供が可能となる。
以下に図面を参照しながら本発明を説明する。
本発明はパッシブマトリックス駆動方式の有機EL発光素子であって、その第1電極の構造に特徴を有する有機EL発光素子に関する。本発明の有機EL発光素子はパッシブマトリックス駆動方式であれば特に限定されないが、例えば図1に示す構造の有機EL発光素子を挙げることができる。図1(a)および(b)は、それぞれ、積層タイプのいわゆるボトムエミッション型およびトップエミッション型パッシブマトリックス駆動方式の有機EL発光素子であり、図1(c)は、貼り合わせタイプのトップエミッション型パッシブマトリックス駆動方式の有機EL発光素子である。
具体的には、図1(a)に示される有機EL発光素子10は、ガラス、セラミックスあるいはポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリカーボネート等を材料とする支持基板102の上に、ブラックマトリックス108と、例えば赤、緑、青の染料または顔料からなる色変換フィルタ層(蛍光変換フィルタ層)110が備えられている。この上には、これらの色変換フィルタ層を覆う平坦化層112が設けられている。この上にパッシベーション層114が設けられ、この面上に、色変換フィルタ層の各々に対応する第1電極104が備えられている。ここで、平坦化層112、パッシベーション層114は後述するように種々の高分子膜、無機膜などから作製することができる。
第1電極104の上には、これらの電極を覆う有機EL層116(例えば、図1(d)に示されるように、正孔注入層124、正孔輸送層126、有機発光層128、電子注入層130など)が積層される。この有機EL層116上には第2電極106が設けられている。なお、この有機EL発光素子は、図示しない封止部材により封止されている。
図1(b)に示される有機EL発光素子20は、支持基板102の上に、第1電極104が備えられている。第1電極104の上には、これらの電極を覆う、例えば上記のような有機EL層116が積層され、この有機EL層116上には第2電極106が設けられている。第2電極106上には、パッシベーション層114aが設けられる。パッシベーション層114a上には、ブラックマトリックス108と、例えば赤、緑、青の染料または顔料からなる色変換フィルタ層(蛍光変換フィルタ層)110が備えられている。この有機EL発光素子は、図示しない封止部材により封止されている。なお、色変換フィルタ層110上には、これらを覆うパッシベーション層114bを設けてもよい。
図1(c)に示される有機EL発光素子30は、支持基板102上に形成された第1電極104と、上述のような有機EL層116と、第2電極106を含む有機EL発光素子と、別途透明基板118上に設けられた、ブラックマトリックス108、例えば赤、緑、青の染料または顔料からなる色変換フィルタ層(蛍光変換フィルタ層)110と、平坦化層112b、パッシベーション層114bを備えた色変換フィルタ基板とを外周封止層120を介して対向して貼り合わせたものである。なお、上記有機EL発光素子はパッシベーション層114aを設けてもよい。
なお、本明細書において、支持基板上に形成される第1電極、有機EL層および第2電極を合わせて発光部と称する。また、本明細書では、上述のように有機EL層は、少なくとも有機発光層少なくとも含み、必要に応じて正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を含有するものである。
本発明の有機EL発光素子の主要な構成要素の材料などは従来の通りであるが、例えば、有機発光層として青色から青緑色の発光を得るためには、例えば、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリデン系化合物などが好ましく使用される。本発明の有機EL発光素子は第1電極部の配列に特徴を有する。従って有機EL発光素子の材料などは従来のものを用いることができるが、その概略は、必要に応じて以下で説明する。
図1の例では、色変換フィルタを含む多色有機EL発光素子を例に挙げたが、本発明は、色変換フィルタを含まない、いわゆるモノクロの有機EL発光素子も包含する。
本発明のパッシブマトリックス駆動方式の有機EL発光素子は、図2に示されるように透明基板102上の複数列の第1の電極104と、第1電極と交差する複数列の第2の電極106が設けられる。図2は、ボトムエミッション型のパッシブマトリックス駆動方式の有機EL発光素子を支持基板102から見た図である(ただし、色変換フィルタ、バス電極などは省略した)。なお、図2には、有機発光層を含む有機EL層116、第1電極104と第2電極106との交差領域で構成される画素202、この画素202が複数個配列することにより形成される表示部分204が示されている。第1電極および第2電極を表示部から基板周囲へ延長して形成した接続部分を介して、外部駆動回路と表示部とを接続することにより、表示装置が構成される。本発明では、この第1電極の構造に特徴を有する。以下に図面を参照して電極構造を詳細に説明するが本発明はこれに限定されない。
図3に本発明の有機EL発光素子の第1電極の構造の概略を示す。図3(a)はこの第1電極の一部分の平面図である。図3(b)および(c)は、それぞれ、図3(a)のa−a’位置での断面図およびb−b’位置での断面図を表す。なお、以下の説明で参照する図面は、第1電極の構成のみを説明する目的から、カラーフィルタ層や色変換層を含めた本発明の有機EL発光素子の他の構成要素は省略した。また、支持基板上に色変換フィルタを形成する場合には、カラーフィルタ層や色変換層、および、これらの層の上に設けられた平坦化層やパッシベーション層などを一体的に、「第1電極基板」とよぶこととする。以下の明細書では、煩雑を避けるため、主にボトムエミッション型有機EL発光素子について説明する。従って、支持基板上に設けられる第1電極は、上述した第1電極基板の主表面に接して設けられることとなる。しかしながら、本発明は上述のようにパッシブ駆動方式であればどのような光放出形態であってもよい。
図3(a)に示されるように、第1電極部は、第1電極基板の上に設けられた表示部306と外部駆動回路との接続部308、引き出し部310とから構成されている。なお、本明細書において、第1電極部とは、第1電極、絶縁膜、バス電極(表示部、引き出し部および外部駆動回路との接続部を含む)を含む第1電極周辺の構造の総称である。表示部306は、複数の領域A〜A(nは1以上の整数である。)を有している。この複数の領域には、それぞれ、分割された第1電極104(nは1以上の整数である。)と、その各々に接続される複数のバス電極302(nは1以上の整数である。)がある。複数の領域には、並列に第1電極が形成されている(例えば、Aの領域には分割された第1電極104(n=1)が並列に形成されている。)。バス電極302は、それぞれ、引き出し部308を介して外部駆動回路との接続部306から外部駆動回路へ接続される。このように、本発明では、第1電極104は複数の領域に分割され、それぞれ対応する複数のバス電極により外部駆動回路に接続される。本発明ではバス電極302は絶縁膜304(nは1以上の整数である。)により絶縁される。この様子を図3(b)および(c)に示す。なお、本発明の有機EL発光素子では、第1電極の分割される領域は、2または3(即ち、n=2または3)であることが好ましい。
図3(a)〜(c)を参照して、本発明の第1電極部の構造をさらに詳細に説明する。第1バス電極302(n=1)は第1電極基板上の領域A〜Aまで延びている。第1電極104n(n=1)は、領域Aに並列に設けられており、それぞれ接点Sにおいて第1バス電極302(n=1)に接している。第1バス電極302(n=1)との絶縁をとるため、領域A〜Aまで少なくとも第1バス電極上に絶縁膜304(n=2)が設けられる。図3(a)では、領域A〜Aの全面に絶縁膜を形成する例を示した。この絶縁膜上に第2バス電極302(n=2)が、領域A〜Aまで延びている。第1電極104n(n=2)は、領域Aに並列に設けられており、それぞれ接点Sにおいて第2バス電極302(n=2)に接している。このような構造が順次領域Aまで繰り返され、図3に示す本発明の有機EL発光素子の第1電極部が配列される。
本発明では、バス電極の配列、第1電極とバス電極の接続部の形状、絶縁膜を設ける部分はバス電極間の絶縁不良を起こさず、効率的に第1電極へ電流を供給でき、デューティー比を高めることができるものであれば特に限定されない。図4にバス電極、第1電極とバス電極の接続部の形状、絶縁膜の組み合わせの一例を示したが、本発明はこれに限定されない。図4は、複数に分割された1本の第1電極の部分のみを示し、煩雑を避けるため、図4(l)にのみ符号を付した。
本発明では、バス電極の配列は、図4(a)〜(c)、(i)および(j)に示されるように、積層型であってもよく、図4(d)〜(f)および(k)に示されるように並列型であってもよく、または図4(g)、(h)および(l)に示されるように積層型と並列型を併用したものであってもよい。また、バス電極は引き出し部および外部駆動回路との接続部まで延びているが、これらの形状を後述する絶縁膜と併せて、後に詳述するような所定の形態に形成することで、バス電極間の短絡を防止することが可能となり、本発明の有機EL発光素子の歩留まりを向上させつつ簡便に第1電極部を形成することが可能となる。また、バス電極間の短絡の防止は、長期の安定した駆動を確保するためにも重要である。
本発明では、バス電極の材料としては、Ag、Cu、Al,Mo,Cr,Ni,W等の金属やこれらの金属の合金を用いることができる。
バス電極302は、引き出し部から離れた箇所(即ちn=1に近づく箇所)へ設けるにつれて比較的電気抵抗の低い材料(例えば、Ag、Cu、またはこれらの合金)を用い、引き出し部に近い箇所へ設けるにつれて比較的電気抵抗の高い材料(Cr、Ni、Mo、Wなど)を用いることにより各バス電極の配線抵抗をほぼ同一にすることができる。また、バス電極302は、引き出し部から離れた箇所へ設けるにつれてバス電極の幅および/または膜厚を大きくとり、引き出し部に近い箇所へ設けるにつれてバス電極の幅および/または膜厚を小さくとることにより各バス電極の配線抵抗をほぼ同一にすることもできる。このようにすることで、バス電極間の配線抵抗による電圧降下の値を各領域Aでほぼ等しくすることができ、各領域の輝度の差を解消することができる。
絶縁膜は図4(a)〜(h)に示されるように第1電極基板上のAから所定の領域Aまでの全面であって、バス電極302と第1電極104の接続部S、および、外部駆動回路との接続部を除いた全面に形成することができる。また、図4(i)〜(l)のようにバス電極上とその近傍部分であって、バス電極302と第1電極104nの接続部Sと外部駆動回路との接続部を除いた部分に形成することが可能である。本発明では、絶縁膜を例えば引き出し部など特定の箇所にも形成することによりバス電極間の短絡を防止することが可能となり、本発明の有機EL発光素子の歩留まりを向上させつつ簡便に第1電極部を形成することが可能となる。
バス電極が積層型の場合、絶縁膜はバス電極数に応じて複数層形成するが、並列型の場合、複数層の絶縁膜を設ける他に、第1電極基板上に複数のバス電極を全てパターンニングし、その上に所定の接続部を形成した一層の絶縁膜を設けることもできる。
絶縁膜は、バス電極間を絶縁する機能と、接続が意図される分割された第1電極とバス電極以外の、第1電極都バス電極間を絶縁する機能と、バス電極上に形成される有機EL層との絶縁(例えば有機EL層の正孔注入層への正孔の注入を防ぐ)機能を有する。
また、本発明では、絶縁膜は、第1電極基板上の一部に形成される場合や、バス電極と第1電極の接続部の開口部などにおいて、絶縁膜の少なくとも側面や端面がテーパー形状に形成されることが好ましい。絶縁膜のテーパー形状の第1電極基板表面となす傾斜角度は7°以上30°未満となるように設計することが好ましい。これは、絶縁膜上に形成される第1電極の導電性を充分に確保することができるためである。好ましくはこの角度は7°以上10°未満である。
絶縁膜は、酸化珪素、酸化窒素、酸化窒化珪素および酸化アルミニウムなどの無機酸化物、無機窒化物、これらの混合物やアクリレート等のネガ型のフォトレジスト、ポリイミド材料、ノボラック樹脂を用いることが可能である。本発明ではノボラック樹脂を用いることが好ましい。トップエミッション型の場合、絶縁膜は透明であっても透明でなくてもよいが、ボトムエミッション型の場合には絶縁膜として、例えば酸化珪素等の光透過性の高い材料を用いる。なお、形成方法としては、フォトリソグラフィ法やリフトオフ法によるパターンニング、ドライエッチング法などの技術が応用可能である。
バス電極と第1電極の接続部Sは、図4(a)(b)に代表されるように第1電極の側面402にわたってまたは該側面の一部にのみに形成されていてもよい。また図4(c)および(d)などに代表されるように第1電極の端部404や、該端部の一部に形成されていてもよい。さらには、図3(f)、(h)、(g)に示されるように、第1電極の内部に第1電極の端部と平行に形成されていてもよい。本発明では、バス電極と第1電極の接続部Sは、図4(a)、(c)、(e)〜(l)に示されるように、第1電極の側面または端部方向の第1電極の幅にわたって形成されることが好ましい。このようにすることで第1電極に効率よく電流を供給できる。また、本発明では、後に具体的に説明するように、隣接する第1電極に接続されるバス電極は、隣接する第1電極の端面から等距離に設けることが好ましい。このようにすることで第1電極に効率よく電流を供給できる。
第1電極は、図3または図4に示されるように、所望の数に分離される。第1電極を複数に分割することで有機EL発光素子のデューティー比を高めることができる。第1電極は陽極または陰極として形成することができる。第1電極を陽極として用いる場合、ボトムエミッション型では第1電極は透明であることが必要であり、ITO、IZOなどの導電性金属酸化物を用いることができる。トップエミッション型の場合も同様の材料を用いることができるが、第1電極は反射機能を持った電極とすることができる。具体的には、IZOなどの代わりに反射率の高いNiやCrを紫外線処理して、仕事関数をIZOなどと同等にする。このようにすることにより正孔の注入ができ、所定の反射性金属を陽極として用いることができる。第1電極を陰極として用いる場合、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物が用いられる。
本発明の有機EL発光素子では、第1電極とバス電極が接続されている接続部、バス電極の配線部分は、有機EL発光素子の発光に寄与する開口部以外の領域(例えば、第1電極基板のブラックマトリックスに相当する領域など)にあることが好ましい。
次に、第1電極部の構造について図面を参照してさらに具体的に説明する。以下の説明では、上記nが2または3の場合を例にとる。
<第1の実施形態>
第1の実施形態は、バス電極を積層型で形成する例である。
第1の例を図5に示す。第1の例は、第1電極を2つの領域AおよびBに分割し、領域Aのバス電極近傍に絶縁膜を設ける場合の例である。図5(a)は、第1電極部の一部の平面図であり、図5(b)および(c)は、図5(a)のa−a’断面図、およびb−b’断面図である。第1電極(502、504、506)の各々は、赤、緑、青の各発光色に対応するもので、これらの電極の各々は、上述の第1電極基板の上に設けられた、表示部508と、外部駆動回路との接続部510および引き出し部512とから構成されている。この表示部は、領域A(これらの領域の第1電極を、502A、504A、506A、とする)と領域B(これらの領域の第1電極を、502B、504B、506B、とする)を有し、領域Aには、図5(b)の断面図に示すように、第1電極基板514の主表面に設けられた第1バス電極516の上に、絶縁膜520を介して第2バス電極518が設けられ、さらに、この第2バス電極518上に第1電極(502A、504A、506A)が設けられている。また、領域Bには、図5(c)の断面図に示すように、第1電極基板514の表面に設けられた第1バス電極516の上に第1電極(502B、504B、506B)が設けられた構造を有する。図5に示される例では、バス電極と第1電極の接続部は第1電極の側面522に沿って設けられている。すなわち、第1電極部は、領域Aにおいて、第1の補助配線である第1バス電極516/絶縁膜520/第2の補助配線である第2バス電極518/第1電極(502A、504A、506A)という構造を有し、領域Bにおいては第1の補助配線である第1バス電極516/第1電極(502B、504B、506B)という構造を有する。
このような構造の第1電極部を備える有機EL発光素子は、領域Aにおける第2バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)と、領域Bにおける第1バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)とは、互いに独立して駆動される。
本発明では、絶縁膜520の少なくとも側面部521はテーパー形状に形成することが好ましい。絶縁膜520のテーパー形状の第1電極基板514表面となす傾斜角度は7°以上30°未満となるように設計することが好ましい。これは、絶縁膜520の上に形成される第1電極(502A、504A、506A)の導電性を充分に確保することができるためである。好ましくはこの角度は7°以上10°未満である。図6に、絶縁膜520の端部形状と第1電極(502A、504A、506A)の形状を表す断面SEM像を示す。この図に示す例では、絶縁膜520の端部が第1電極基板の主表面となす傾斜角度は7°以上10°未満となっている。
また、図7には、上述の第1電極部の配線部分の断面SEM像である。この図に示すように、第1電極部の第1バス電極516、第2バス電極518、絶縁膜520、第1電極(502、504、506)は第1電極基板上に断線することなく形成されていることがわかる。
次に、第2の例について図8を参照して説明する。第2の例は、第1電極を2つの領域AおよびBに分割し、第1電極基板上の全面に絶縁膜を設ける場合の例である。図8(a)は、第1電極部の一部の平面図であり、図8(b)および(c)は、図8(a)のa−a’断面図、およびb−b’断面図である。第1電極(502、504、506)の各々、およびバス電極の配置は第1の例と同じである。第1バス電極516と第2バス電極518は、絶縁膜520により絶縁されている。絶縁膜520上に第2バス電極518が設けられ、さらに、この第2バス電極518上に領域Aの第1電極(502A、504A、506A)が設けられる。また、領域Bでは、図8(c)の断面図に示すように、第1電極基板514の表面に設けられた第1バス電極516の上に絶縁膜520が設けられており、この絶縁膜には第1電極(502B、504B、506B)が接触できるように、絶縁膜の一部がパターンニングにより除かれている。このように、本発明では、絶縁膜は領域Bにおいて、第1バス電極と第1電極が接触できるように開口部524を有する。第2の例では、バス電極と第1電極の接続部は第1電極の側面522に沿って設けられている。
このように、第2の例では、第1電極部は、領域Aにおいて、第1の補助配線である第1バス電極516/絶縁膜520/第2の補助配線である第2バス電極518/第1電極(502A、504A、506A)という構造を有し、領域Bにおいては第1の補助配線である第1バス電極516/絶縁膜520(ただし、第1電極との接触部を除く)/第1電極(502B、504B、506B)という構造を有する。このような構造の第1電極部を備える有機EL発光素子は、領域Aにおける第2バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)と、領域Bにおける第1バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)とは、互いに独立して駆動される。
本発明では、絶縁膜は、少なくとも第1電極とバス電極を接続するための接続部でテーパー形状に形成されることが好ましい。絶縁膜のテーパー形状は傾斜角度は7°以上30°未満となるように設計することが好ましい。これは、絶縁膜の上に形成される第1電極の導電性を充分に確保することができるためである。好ましくはこの角度は7°以上10°未満である。
上述のようにバス電極を積層型とする場合、上述の例では、第1電極とバス電極の接続部を第1電極の側面に設ける例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば図9に一例を示すように種々の形状をとることができる(図9は、2つの領域に分割された1本の第1電極の部分のみを示し、煩雑を避けるため、図9(i)にのみ符号を付した。)。
図9(a)および(f)に代表されるように、接続部は第1電極の角部分に設けられてもよく、図9(b)〜(e)および(g)〜(i)に代表されるように、第1電極の端部(526、528、530、532)に平行に設けられていてもよい。このように平行に接続部を形成する場合、第1電極は、図9(b)、(c)、(d)、(g)および(h)のようにバス電極を覆うように形成してもよく、図9(e)および(i)のようにバス電極に覆わないように形成してもよい。
接続部が、第1電極の端部(526、528、530、532)に平行に設けられる場合、接続部は、第1電極の隣接する端面(528、530)から等しい距離(d)で形成されることが好ましい(例えば図9(b)、(e)、(g)または(i)を参照)。距離(d)が同じである限り、接続部は該端部からどの距離に形成されてもよい。このように接続部を形成と、接続部をこのように形成することにより、デューティーを大きくするために上述のように分割駆動した場合でも分割した領域の境界で輝度が急峻に変化することがないので好ましい。
第1の実施形態では、絶縁膜520は、上述のようにバス電極近傍、第1電極基板上の全面など、種々の位置に設けることができる。また図面としては表していないが、絶縁膜520を例えば領域Aのみに形成してもよい。
次に第3の例について説明する。第3の例は、図10に示すように第1電極を3つの領域A、BおよびCに分割する例である。
図10(a)は、第1電極部の一部の平面図であり、図10(b)、(c)および(d)は、図10(a)のa−a’断面図、b−b’断面図およびc−c’断面図である。第1電極(502、504、506)の各々は、赤、緑、青の各発光色に対応するもので、これらの電極の各々は、上述の第1電極基板の上に設けられた、表示部508と、外部駆動回路との接続部510および引き出し部512とから構成されている。この表示部は、領域A(これらの領域の第1電極を、502A、504A、506A、とする)と、領域B(これらの領域の第1電極を、502B、504B、506B、とする)と、領域C(これらの領域の第1電極を、502C、504C、506C、とする)とを有し、絶縁膜がこれらの領域AおよびBにわたって、第1電極部の一部に設けられる。
領域Aには、図10(b)の断面図に示すように、第1バス電極516が第1電極基板514の主表面に設けられ、これは第1の絶縁膜1004に覆われている。この絶縁膜1004上に第2バス電極518が設けられる。さらに、この第2バス電極518上に第2の絶縁膜520が設けられ、この絶縁膜520上に第3バス電極1002が設けられる。この第3バス電極1002上に第1電極(502A、504A、506A)が設けられている。第1の絶縁膜1004は後述する領域Bまで延びており、第2の絶縁膜520は、領域Aのバス電極近傍に設けられている。第3バス電極1002は領域Aに形成されている。
領域Bには、図10(c)の断面図に示すように、第1バス電極516が第1電極基板514の主表面に設けられ、これは第1の絶縁膜1004に覆われている。この絶縁膜1004上に第2バス電極518が設けられる。さらに、この第2バス電極518上に第1電極(502B、504B、506B)が設けられている。第1の絶縁膜1004は領域Bのバス電極近傍に設けられている。
領域Cでは、図10(d)の断面図に示すように、第1電極基板514の表面に設けられた第1バス電極516の上に第1電極(502C、504C、506C)が設けられた構造を有する。図10に示される例では、バス電極と第1電極の接続部は第1電極の側面522に沿って設けられている。
このような構造の第1電極部を備える有機EL発光素子は、領域Aにおける第3バス電極1002と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)と、領域Bにおける第2バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)と、領域Cにおける第1バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)とは、それぞれ、互いに独立して駆動される。
第3の例においても、第1の絶縁膜1004の少なくとも側面部1006と第2の絶縁膜520の少なくとも側面部521はテーパー形状に形成することが好ましい。これら絶縁膜のテーパー形状の第1電極基板514表面となす傾斜角度は7°以上30°未満となるように設計することが好ましい。これは、絶縁膜の上に形成される第1電極(502、504、506)の導電性を充分に確保することができるためである。好ましくはこの角度は7°以上10°未満である。
次に、第4の例について図11を参照して説明する。第4の例は、第1電極を3つの領域A、BおよびCに分割し、領域AおよびBの全面に絶縁膜を設ける場合の例である。図11(a)は、第1電極部の一部の平面図であり、図11(b)、(c)および(d)は、図11(a)のa−a’断面図、b−b’の断面図およびc−c’断面図である。第1電極(502、504、506)の各々、およびバス電極の配置は第3の例と同じである。領域Aにおいては、図11(b)に示すように、第1バス電極516と第2バス電極518は、領域AおよびBに形成された第1の絶縁膜1102により絶縁されている。この絶縁膜1102上に第2バス電極518が設けられ、さらに、この第2バス電極518上には第2の絶縁膜520が設けられている。この第2の絶縁膜520上には第3バス電極1002が形成され、この第3バス電極上に第1電極(502A、504A、506A)が設けられている。また、領域Bでは、図11(c)に示すように、絶縁膜1102上に第2バス電極518が設けられ、この第2バス電極518上には第1電極(502B、504B、506B)が設けられている。また、領域Cでは、図11(d)に示すように、第1電極基板514の表面に設けられた第1バス電極516の上に第1電極(502C、504C、506C)が設けられている。第4の例では、バス電極と第1電極の接続部は第1電極の側面522A、522B、522Cに沿って設けられている。
なお、第4の例では絶縁膜1102は領域Bまで形成したが、本発明では、絶縁膜は第2の例で説明したような領域AおよびBにわたって設けたように領域AからCにわたって設けてもよい。この場合、領域Cにおいて第1バス電極と第1電極は絶縁膜1102に設けた開口部(図8(A)の524に相当)を介して接続される。また、絶縁膜は、少なくとも、第1電極とバス電極を接続するための接続部でテーパー形状に形成することが好ましい。絶縁膜のテーパー形状は傾斜角度は7°以上30°未満となるように設計することが好ましい。これは、絶縁膜の上に形成される第1電極の導電性を充分に確保することができるためである。好ましくはこの角度は7°以上10°未満である。
本発明では、上述のように接続部は第1電極の隣接する端面から等距離に設けることが好ましい。従って、第4の例は、図12に示すような構造をとることが好ましい。図12に示されるように、第1バス電極516、第2バス電極518および第3バス電極1003は、各々の第1電極(502A、504A、506Aと、502B、504B、506Bと、502C、504C、506C)の中間の位置に形成されることが好ましい。このような配置では、第1の絶縁膜1102および第2の絶縁膜520はそれぞれ領域Bの中間および領域Cの中間(即ち、第1バス電極および第2バス電極のそれぞれの接続部の位置)まで形成される。
図10から図12で示した構造以外にも、例えば先に図9を参照して第1電極を領域AおよびBに分割する例で説明したのと同様に、領域を3分割する場合も種々の構成をとりうる。バス電極、絶縁膜、第1電極の配置などは、図10から図12を参照して説明した内容に基づいて図9の例を3分割する場合に拡張して適用すればよい。
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、バス電極を並列型で形成する例である。第1の例を図13に示す。この例は、第1電極を2つの領域A、Bに分割する例である。図13(a)は、第1電極部の一部の平面図であり、図13(b)、(c)および(d)は、それぞれ、図13(a)のa−a’断面図、b−b’の断面図およびc−c’断面図である。図13に示されるように、第1電極部は、第1電極基板の上に設けられた表示部1302と外部駆動回路との接続部1304および引き出し部1306とから構成されている。この表示部1302は、領域Aと領域Bの2つの領域を有している。図13の例では、絶縁膜がこれらの領域にわたって、第1電極部の一部に設けられる。このうち、領域Aには、図13(b)および(c)の断面図に示すように、第1電極基板1308の表面上に第1バス電極1310と第2バス電極1312とが設けられている。第1バス電極は第1電極の間に形成され、第2バス電極は隣接する第1バス電極間に形成される。第1電極(1314A、1316A、1318A)は、第1バス電極1310の上に形成された絶縁膜1320の一部に重なるように、そして第2バス電極と接触するように設けられる。即ち、第2バス電極は第1電極(1314A、1316A、1318A)の一方の端部1322の側で第1電極(1314A、1316A、1318A)と接触する。絶縁膜1320は第1電極間にあり、これに一部重なり、且つ、第1バス電極上を覆うように形成されている。
領域Bでは、図13(d)の断面図に示すように、第1電極基板1308の表面上に第1バス電極1310が設けられている。第1バス電極は第1電極の間に形成される。第1電極は(1314B、1316B、1318B)は、第1バス電極1310の上に形成された絶縁膜1320の一部に重なるように設けられる。第1バス電極は第1電極(1314B、1316B、1318B)の一方の端部1328の側で第1電極(1314B、1316B、1318B)と接触する。絶縁膜1320は第1電極間にあり、これに一部重なり、且つ、第1バス電極上を覆うように形成されている。
本発明では、図13に示したように、バス電極は第1電極の隣接する端部1324、1326から等距離の位置で、第1電極に接続されることが好ましい。これは第1の実施形態で説明した通りである。
なお、図13(a)では、この第1電極は第1バス電極上に延在しないように設けられているが、本発明では絶縁膜を設けるので第1電極は第1バス電極上に延在して設けることもできる。このような例は図14に示される。このような構造をとると、図14(a)に示されるように第1電極(1314B、1316B、1318B)の角部分に第1バス電極を設ける場合に有効である。
この構造の概略を以下に説明する。領域Aでは、図14(b)(図14のa−a’拡大断面図)に示されるように、第1電極(1314A、1316A、1318A)は、2つの第1バス電極1310の間に位置する第2バス電極1312の表面を覆うかたちで接続されている。また、領域Bでは、図14(c)(図14(a)のb−b’拡大断面図)に示すように、第1電極基板1308の表面上に第1バス電極1310が設けられ、この第1バス電極1310の表面を覆うように、第1電極(1314B、1316B、1318B)の角部分が接続されている。なお、図14では、第1バス電極と第2バス電極の線幅が異なる場合を示した。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様にバス電極は、その材料、または、線幅および/または膜厚を適宜選択して、領域間での輝度のばらつきを防止することが好ましい。
図14に示される例のように、第1電極は、2つの領域(A,B)を有しており、領域Aにおける第1電極は、交互に配置されかつ互いに離隔されて設けられた複数の第1バス電極1310と複数の第2バス電極1312とを備えている。そして、第1バス電極上は領域Aにおいて絶縁膜1320で被覆されている。また、第2バス電極1312は、接続部S上で第1電極(1314A、1316A、1318A)と電気的に接続するように直接設けられている。さらに、第1電極(1314A、1316A、1318A)は、絶縁膜1320の上面であって、第1バス電極の設けられた位置まで延在している。
また、領域Bにおける第1の電極は、複数の互いに離隔されて設けられた第1バス電極(1314B、1316B、1318B)を備えており、第1バス電極1310の上全面にはこの第1電極の端部1326側の角部分が電気的に接続するように直接設けられている。
図13または図14に示す第1電極部は、領域Aにおいては第1電極(1314A、1316A、1318A)が第2バス電極1312に接続され、領域Bにおいて、第1電極(1314B、1316B、1318B)が第1バス電極1310に接続されることとなり、第1電極と第2電極との間に設けられる有機EL層のうち、領域Aに対応した部分と、領域Bに対応した部分が、互いに独立して駆動されることとなる。
第1電極とバス電極の接続位置は、第1の実施形態で説明したように種々の位置をとりうる。また接続部の形状も、図13および図14に示すもの以外にも、例えば第1電極の側面に沿った形状など、種々の形状をとりうる。また、図13および図14の例では絶縁膜は、第1電極基板上の一部、特にバス電極上に設けたが、本発明はこれに限定されず、第1電極基板上の全面に形成することができる。また、このようにすると、例えば、第1バス電極上に第1の絶縁膜を設け、この第1の絶縁膜上に第2バス電極を設けることができ、バス電極を段階的に形成することができる。さらに、図13および図14の例以外例でも、絶縁膜の側面部や端面、または絶縁膜の接続部などを形成する部分はテーパー形状に形成することが好ましい。絶縁膜のテーパー形状は傾斜角度は7°以上30°未満となるように設計することが好ましい。これは、絶縁膜の上に形成される第1電極の導電性を充分に確保することができるためである。好ましくはこの角度は7°以上10°未満である。
次に、第2の例について説明する。第2の例は図15から図17に示すように、第1電極を領域A、BおよびCに3分割する例である。これらの図では、本発明の好ましい形態である、第1電極とバス電極の接続位置は隣接する第1電極の端面から等距離に形成される場合を示した。しかし、本発明では、上記第1の実施形態で説明したように、接続部の位置および形状は種々の形態をとることができる。
図15の例では、第1バス電極および第2バス電極上の領域A〜Cに絶縁膜を形成する。図15(a)は、第1電極部の一部の平面図であり、図15(b)、(c)、(d)および(e)は、図15(a)のa−a’断面図、b−b’断面図、c−c’断面図およびd−d’断面図である。第1電極(1314、1316、1318)の各々は、赤、緑、青の各発光色に対応するもので、これらの電極の各々は、上述の第1電極基板の上に設けられた、表示部1302と、外部駆動回路との接続部および引き出し部1304とから構成されている。この表示部は、領域Aと、領域Bと、領域Cとを有し、絶縁膜がこれらの領域にわたって、第1電極部の一部に設けられる。
領域Aには、図15(b)の断面図に示すように、第1バス電極1310および第2バス電極1312が第1電極基板1308の主表面に設けられ、これは絶縁膜1320に覆われている。第3バス電極1330は第1電極基板1308の主表面に設けられる。この第3バス電極1330上に第1電極(1314A、1316A、1318A)が設けられている。絶縁膜1320は領域Aにおいて、第1および第2バス電極近傍に設けられる。第3バス電極は領域Aに形成されている。図15の例では、第3バス電極は絶縁膜で覆われていないが、絶縁膜は第3バス電極の接続部を除く、第3バス電極上を覆っていてもよい。領域Aでは、バス電極と第1電極の接続部は第1電極の中央部に端面1324と平行に設けられている。
領域Bでは、図15(c)および(d)の断面図に示すように、第1バス電極1310および第2バス電極1312が第1電極基板1308の主表面に設けられ、これは絶縁膜1320に覆われている。絶縁膜1320はバス電極近傍に設けられている。領域Bでは、絶縁膜1320から第1電極(1314B、1316B、1318B)の中央部位置に延びた第2バス電極と第1電極が接続している(図15(d))。
領域Cでは、図15(e)の断面図に示すように、第1電極基板1308の表面に設けられた第1バス電極1310の上に第1電極(1314C、1316C、1318C)が設けられた構造を有する。領域Cでもバス電極と第1電極の接続部は第1電極の中央部に端面1332と平行に設けられている。
このような構造の第1電極部を備える有機EL発光素子は、領域Aにおける第3バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)と、領域Bにおける第2バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)と、領域Cにおける第1バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)とは、それぞれ、互いに独立して駆動される。
第2の例においても、絶縁膜1320の少なくとも両側面部はテーパー形状に形成することが好ましい。これら絶縁膜のテーパー形状の第1電極基板1308表面となす傾斜角度は7°以上30°未満となるように設計することが好ましい。これは、絶縁膜の上に形成される第1電極(1314、1316、1318)の導電性を充分に確保することができるためである。好ましくはこの角度は7°以上10°未満である。
次に図16の例を説明する。この例では、絶縁膜1320を第1電極基板上の全面(ただし、バス電極と第1電極の接続部を除く)に設ける。図16(a)は、第1電極部の一部の平面図であり、図16(b)、(c)および(d)は、図16(a)のa−a’断面図、b−b’断面図およびc−c’断面図である。外部駆動回路との接続部・引き出し部、表示部(絶縁膜を除く)、第1電極、第1から第3バス電極の配置は図15の例と同じである。表示部は、領域Aと、領域Bと、領域Cとを有する。
領域Aでは、図16(b)の断面図に示すように、第1バス電極1310および第2バス電極1312が第1電極基板1308の主表面に設けられ、これは絶縁膜1320に覆われている。絶縁膜は、領域Aにおいて第1電極基板の全面に形成される。第3バス電極は領域Aに形成される。この第3バス電極1330上に第1電極(1314A、1316A、1318A)が設けられている。図16の例では、第3バス電極は絶縁膜で覆われていない。領域Aでは、バス電極と第1電極の接続部は第1電極の中央部で、第1電極の端面1324と平行に設けられている。
領域Bでは、図16(c)の断面図に示すように、第1バス電極1310および第2バス電極1312が第1電極基板1308の主表面に設けられ、これは絶縁膜1320に覆われている。絶縁膜1320は第2バス電極と第1電極の接続部を除いて、第1電極基板の全面に設けられる。領域Bでは、絶縁膜1320の第1電極(1314B、1316B、1318B)の中央部位置に接続部のための開口部が延びており、この開口部で第1電極と第2バス電極が接続している。領域Bでもバス電極と第1電極の接続部は第1電極の中央部で、第1電極の端面1326、1328と平行に設けられている。
領域Cでは、図16(d)の断面図に示すように、第1電極基板1308の表面に第1バス電極1310と、絶縁膜1320が設けられる。領域Cでは、絶縁膜は第1バス電極と第1電極(1314C、1316C、1318C)との接続部を除いて、第1電極基板上の全面に設けられる。この絶縁膜上に第1電極(1314C、1316C、1318C)が設けられる。領域Cでもバス電極と第1電極の接続部は第1電極の中央部で端面1332と平行に設けられている。
このような構造の第1電極部を備える有機EL発光素子は、領域Aにおける第3バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)と、領域Bにおける第2バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)と、領域Cにおける第1バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)とは、それぞれ、互いに独立して駆動される。
この例においても、絶縁膜1320は、少なくとも接続部でテーパー形状に形成することが好ましい。これら絶縁膜のテーパー形状の傾斜角度は7°以上30°未満となるように設計することが好ましい。これは、絶縁膜の上に形成される第1電極(1314、1316、1318)の導電性を充分に確保することができるためである。好ましくはこの角度は7°以上10°未満である。
次に図17の例を説明する。図17の例では、第1の絶縁膜1702と第2の絶縁膜1320の2種類の絶縁膜を用いる。
図17(a)は、第1電極部の一部の平面図であり、図17(b)、(c)、(d)および(e)は、図17(a)のa−a’断面図、b−b’断面図、c−c’断面図およびd−d’断面図である。外部駆動回路との接続部・引き出し部、表示部(絶縁膜を除く)、第1電極、第1から第3バス電極の配置は図15の例と同じである。表示部は、領域Aと、領域Bと、領域Cとを有する。
領域Aには、図17(b)の断面図に示すように、第1バス電極1310が第1電極基板1308の主表面に設けられ、これは第1の絶縁膜1702に覆われている。絶縁膜1702は、領域Aにおいて第1電極基板上の全面に設けられる。この絶縁膜1702上であって、第1バス電極の近傍に第2バス電極が設けられる。第2バス電極は、第2の絶縁膜1320で覆われており、この絶縁膜1320は、領域Aにおいて第1の絶縁膜1702上の全面に設けられる。第3バス電極1330は第2の絶縁膜1320上に設けられる。この第3バス電極1330上に第1電極(1314A、1316A、1318A)が設けられている。第3バス電極は領域Aに形成される。領域Aでは、バス電極と第1電極の接続部は第1電極の中央部に端面1324と平行に設けられている。
領域Bでは、図17(c)および(d)の断面図に示すように、第1バス電極1310は第1電極基板1308の主表面に設けられ、これは絶縁膜1702に覆われている。これらの配置などは、領域Aで説明した通りである。絶縁膜1702上で第1バス電極の近傍に第2バス電極1312が設けられる。第2バス電極は領域A〜Bにわたって形成される。この第2バス電極上に第2の絶縁膜1320が設けられる。領域Bで、第2の絶縁膜1320には、第1電極(1314B、1316B、1318B)の中央部位置に接続部のための開口部が設けられており、この開口部を介して第1電極と第2バス電極とが接続している(図17(d))。
領域Cでは、図17(e)の断面図に示すように、第1電極基板1308の表面に設けられた第1バス電極1310の上に第1電極(1314C、1316C、1318C)が設けられた構造を有する。領域Cでは、第1バス電極が領域A〜Cにわたって設けられる。この第1バス電極上で領域Cの第1電極基板上に第1の絶縁膜1702が設けられ、第2の絶縁膜1320が第1の絶縁膜上に設けられている。領域Cでもバス電極と第1電極の接続部は第1電極の中央部に端面1332と平行に設けられている。この接続部は、図17(e)に示されるように、第1の絶縁膜および第2の絶縁膜の両方を貫くように設けられた開口部に設けられる。
このような構造の第1電極部を備える有機EL発光素子は、領域Aにおける第3バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)と、領域Bにおける第2バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)と、領域Cにおける第1バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)とは、それぞれ、互いに独立して駆動される。
この例においても、絶縁膜1320の、少なくとも接続部が設けられる部分はテーパー形状に形成することが好ましい。これら絶縁膜のテーパー形状の第1電極基板1308表面となす傾斜角度は7°以上30°未満となるように設計することが好ましい。これは、絶縁膜の上に形成される第1電極(1314、1316、1318)の導電性を充分に確保することができるためである。好ましくはこの角度は7°以上10°未満である。
第1電極とバス電極の接続位置は、第1の実施形態で説明したように種々の位置をとりうる。また接続部の形状も、図15から図17に示すもの以外にも、例えば第1電極の側面に沿った形状など、種々の形状をとりうる。また、これらの例でも、絶縁膜の側面部や端面、および、絶縁膜の第1電極とバス電極の接続部などはテーパー形状に形成することが好ましい。絶縁膜のテーパー形状の傾斜角度は7°以上30°未満となるように設計することが好ましい。これは、絶縁膜の上に形成される第1電極の導電性を充分に確保することができるためである。好ましくはこの角度は7°以上10°未満である。
<第3の実施形態>
次に第3の実施形態を説明する。第3の実施形態は、バス電極を積層型と並列型を併用して設けるものである。
図18を参照して、第3の実施形態を説明する。図18の例は、第1の絶縁膜1820と第2の絶縁膜11842の2種類の絶縁膜を用いる。また、第1バス電極と第2バス電極を積層型で形成し、第3バス電極をこれらと並列に形成する例である。
図18(a)は、第1電極部の一部の平面図であり、図18(b)、(c)および(d)は、図18(a)のa−a’断面図、b−b’断面図およびc−c’断面図である。第1電極(1814、1816、1818)の各々は、赤、緑、青の各発光色に対応するもので、これらの電極の各々は、上述の第1電極基板の上に設けられた、表示部1802と、外部駆動回路との接続部1804および引き出し部1806とから構成されている。この表示部は、領域Aと、領域Bと、領域Cとを有する。絶縁膜は、第1の絶縁膜と第2の絶縁膜が設けられ、第1の絶縁膜が領域Aから領域Cの一部まで、第2の絶縁膜が領域AからBの一部まで設けられる。
領域Aには、図18(b)の断面図に示すように、第1バス電極1810が第1電極基板1808の主表面に設けられ、これは第1の絶縁膜1842に覆われている。絶縁膜1842は、領域Aにおいて第1電極基板上の全面に設けられる。この絶縁膜1842上であって、第1バス電極の上に第2バス電極1812が設けられる。第2バス電極1812は、第2の絶縁膜1820で覆われており、この絶縁膜1820は、領域Aにおいて第1の絶縁膜1842上の全面に設けられる。第3バス電極1830は第2の絶縁膜1820上に設けられる。この第3バス電極1830上に第1電極(1814A、1816A、1818A)が設けられている。第3バス電極は領域Aに形成される。図18の例では、第3バス電極1830は、第1電極の引き出し部1806側で、端面1824と平行に設けられる。
領域Bでは、図18(c)の断面図に示すように、第1バス電極1810は第1電極基板1808の主表面に設けられ、これは絶縁膜1842に覆われている。これらの配置などは、領域Aで説明した通りである。絶縁膜1842上で第1バス電極の上に第2バス電極1812が設けられる。第2バス電極は領域Aから領域Bの引き出し部1806側まで設けられる。この第2バス電極上に第2の絶縁膜1820が設けられる。領域Bで、第2の絶縁膜1820には、第1電極(1814B、1816B、1818B)の引き出し部側の端面1826近傍に接続部のための開口部が設けられており、この開口部を介して第1電極と第2バス電極とが接続している。
領域Cでは、図18(d)の断面図に示すように、第1電極基板1808の表面で領域Cの引き出し部側まで設けられた第1バス電極1810の上に第1電極(1814C、1816C、1818C)が設けられた構造を有する。なお、第1バス電極は領域A〜Cにわたって設けられる。図18の例では、第1の絶縁膜は、この第1バス電極の端部1832近傍に設けられた接続部まで、領域Aから形成されている。第1の絶縁膜1842は、第1バス電極1810と第1電極(1814C、1816C、1818C)の接続部において、開口部または切り欠き部を有し、この部分で第1バス電極1810と第1電極(1814C、1816C、1818C)が電気的に接続される。
このような構造の第1電極部を備える有機EL発光素子は、領域Aにおける第3バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)と、領域Bにおける第2バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)と、領域Cにおける第1バス電極に接続された第1電極と第2電極(図示せず)との間に配置された有機発光層(図示せず)とは、それぞれ、互いに独立して駆動される。
この例においても、第1の絶縁膜1842と第2の絶縁膜1820において、少なくとも接続部が設けられる部分はテーパー形状に形成することが好ましい。これら絶縁膜のテーパー形状は傾斜角度は7°以上30°未満となるように設計することが好ましい。これは、絶縁膜の上に形成される第1電極(1814、1816、1818)の導電性を充分に確保することができるためである。好ましくはこの角度は7°以上10°未満である。
第1電極とバス電極の接続位置は、第1の実施形態で説明したように種々の位置をとりうる。また接続部の形状も、図18に示すもの以外にも、例えば第1電極の側面に沿った形状など、種々の形状をとりうる。また、これらの例でも、絶縁膜の側面部や端面、および、絶縁膜の第1電極とバス電極の接続部などはテーパー形状に形成することが好ましい。絶縁膜のテーパー形状は傾斜角度は7°以上30°未満となるように設計することが好ましい。これは、絶縁膜の上に形成される第1電極の導電性を充分に確保することができるためである。好ましくはこの角度は7°以上10°未満である。
上述した各実施形態においても、絶縁膜は、バス電極間を絶縁する機能と、接続が意図される分割された第1電極およびバス電極以外の、第1電極とバス電極間を絶縁する機能と、バス電極上に形成される有機EL層との絶縁(例えば有機EL層の正孔注入層への正孔の注入を防ぐ)機能を有する。
以上説明してきたように、本発明の有機EL発光素子は第1電極を所定の数に分割し、これをバス電極で外部回路と接続することで、分割された領域の第1電極を独立に駆動する。本発明では、有機EL発光素子の第1の電極を素子の中央で走査線方向に2つに分割(即ち、素子の上下方向に2分割)し、かつ、この2分割した第1電極を上記のような所定数に分割することができる。本発明では、このような構成とすることが好ましい。走査線方向に2つに分割された第1電極の端子(バス電極)を上下2方向から取り出し、外部駆動回路へ接続する。
<絶縁膜>
以下に本発明の絶縁膜の形成位置についてバス電極との関係で述べる。本発明では、先に述べてきたように絶縁膜は複数のバス電極間を絶縁するためなどの目的に設けられるが、この目的を達成する限り、有機EL発光素子の外部駆動回路との接続部、引き出し部、表示部の種々の位置に配置することができる。しかし、本発明では、特定の位置に絶縁膜を設けることによりバス電極の短絡防止、バス電極のピッチの確保など、種々の目的を達成することができ、高精細で長期にわたって安定に駆動する有機EL発光素子を得ることができる。
本発明では、絶縁膜を引き出し部や外部接続回路との接続部などにも設けることにより上記の効果を発揮させることができる。図19および図20は、このような絶縁膜の配設例である。なお、先の図18に示した例も、絶縁膜を引き出し部1806まで形成した例であり、以下に説明する絶縁膜の効果と同一の効果を有する。
図19および図20は、バス電極都第1電極の配列のパターンの一例をなしており、且つ絶縁膜を引き出し部1904または外部駆動回路との接続部1902の一部分まで形成した一例である。従って、以下の例も上記の実施形態の一部であり、バス電極都第1電極の配列のパターンから生じる本発明の効果を併せ持つ。
図19(a)は、第1バス電極1916および第2バス電極1918の、第1電極との接続部を第1電極の側面に沿って形成し、絶縁膜を引き出し部1904から領域Bの引き出し部側の部分まで設けた例である。図19(b)は、第1バス電極1916および第2バス電極1918の、第1電極との接続部を第1電極の引き出し部側に設けた例である。この例では、絶縁膜は、接続部で第1電極と第1バス電極または第2バス電極が電気的に接触できるように開口部を設ける。
図19(a)および(b)の例では、第1バス電極上に絶縁膜1914が形成され、この絶縁膜上に第2バス電極1918が形成されている。従って、第1バス電極と第2バス電極は絶縁膜を介して離隔されているため、引き出し部においてバス電極間のピッチは、第1バス電極と第2バス電極を第1電極基板上に並列して設けた場合に比べ、2倍広くとることができる。
図20(a)は、図19(b)と同様の構成であるが、絶縁膜を、引き出し部と、外部駆動回路との接続部1902の一部分まで形成し、第2バス電極の端部を絶縁膜上にとどめたものである。図20(b)は、絶縁膜を外部駆動回路との接続部1902の一部に形成し、第2バス電極の端部を絶縁膜上にとどめた例である。
図20(a)および(b)の例では、第1バス電極上に絶縁膜1914が形成され、この絶縁膜上に第2バス電極が形成されている。また、外部駆動回路との接続部も2つの領域(絶縁膜を設けた部分と設けていない部分)に分けられており、接合部を含めてバス電極間ピッチを広くとることができる。従って、隣接したバス電極間でのパターンニング不良による短絡を防止することができる。また、第1バス電極と第2バス電極は絶縁膜を介して離隔されているため、第2バス電極と外部駆動回路のフレキシブルプリント基板との接続に際して、位置ずれがあっても短絡を起こさない。
図20(c)の例は、図19(b)の絶縁膜を、第1バス電極と第1電極、および第2バス電極と第1電極の接続部、並びに、外部駆動回路の接続部を除いて全面に設けた例である。この場合も絶縁膜は、図19で述べた効果を奏する。
以上説明した通り、本発明の有機EL発光素子は、第1電極の構成に特徴を有する。この他、本発明の有機EL発光素子は、分割された個々の第1電極の端部を被覆し、かつ、発光領域を規定する目的で絶縁層を形成するようにしてもよい。この場合には、絶縁層として、無機酸化物やアクリレート等のネガ型のフォトレジスト、または、ポリイミド材料を用いることができ、フォトリソグラフィ等の方法でパターンニングを行うことができる。
さらに、第1電極と直交する方向であって、第2電極の間の部分に第2電極分離隔壁を形成するようにしてもよい。この場合には、第2電極分離隔壁にはアクリレート等のネガ型のフォトレジストやノボラック樹脂等のネガ型フォトレジストを用いることができる。第2電極分離隔壁は逆テーパー形状を有しており、有機EL層や第2電極のパターンニング機能をもつ。
第2電極を目的の形状に成膜するために、その形状に開口部を有するマスクを用いる場合には、上記の第2電極分離隔壁を用いずに有機EL層や第2電極を成膜することができる。
本発明の有機EL発光素子では、領域を2つに分割する場合には、バス電極は、第1バス電極のように引き出し部から離れた箇所まで設置するものに、第2バス電極よりも比較的電気抵抗の低い材料(例えば、Ag、Cu、またはこれらの合金)を使用し、第2バス電極に、これよりも電気抵抗の高い材料(Cr、Ni、Mo、Wなど)を用いることにより配線抵抗をほぼ同一にすることができる。また、領域を3つに分割する場合には、第1および第3バス電極は、上述のような関係とし、第2バス電極をこれらの中間の電気抵抗の材料を用いることにより、バス電極の配線抵抗をほぼ同一にすることができる。さらに、バス電極は、バス電極の幅および/または膜厚を第1バス電極で大きくとり、第2バス電極、第3バス電極となるにつれてバス電極の幅および/または膜厚を順次小さくとることにより各バス電極の配線抵抗をほぼ同一にすることもできる。このようにすることで、バス電極間の配線抵抗による電圧降下の値を各領域でほぼ等しくすることができ、各領域の輝度の差を解消することができる。
次に、図1に示す本発明の有機EL発光素子の製造方法を説明する。以下では、多色有機EL発光素子を例に取り説明するが、いわゆるモノクロ有機EL発光素子の場合は、色変換フィルタの形成を省略すればよい。また、以下の説明では、第1電極104が陽極であり、第2電極106が陰極である場合を例にとる。
第1の工程では、色変換フィルタを有する第1電極基板を提供する。本明細書において、色変換フィルタを有する有機EL発光表示素子または多色有機EL発光表示素子とは、少なくとも色変換フィルタと有機発光素子を含む有機EL発光表示素子を意味する。本明細書において色変換フィルタとは、色変換フィルタ層を含み、その他、例えば透明な基板、ブラックマトリックス、平坦化層、パッシベーション層などを任意に含むものである。色変換フィルタ層とはカラーフィルタ、色変換層、およびカラーフィルタと色変換層との積層体の総称である。色変換層は、有機発光層で発光される光を波長分布変換して異なる波長の光として発光するものである。カラーフィルタは、波長分布変換を行わず特定の波長域の光を透過させるものである。また、有機EL発光素子とは、第1電極、有機発光層および第2電極を少なくとも含む有機エレクトロルミネセンス素子を意味する。有機EL発光素子は、いずれの発光色のものを用いることができるが、例えば、青色ないし青緑色領域の光や白色光を発する素子を用いることができる。色変換フィルタと有機EL発光素子の組み合わせとしては、例えば青色ないし青緑色領域の光を発する素子の場合、青色カラーフィルタと、蛍光色素によって緑色領域の光または赤色領域の光に変換する緑色変換フィルタ層および赤色変換フィルタ層を組み合わせることができる。また、白色光を発する素子を用いる場合には、青、緑および赤のカラーフィルタの組み合わせを用いることができるが、カラーフィルタと色変換フィルタの一方または両方を用いることもできる。
本発明では、有機発光表示素子は図1を参照して冒頭に述べた通り、ボトムエミッション型、トップエミッション型の何れの方式であってもよく、色変換フィルタを有機発光素子上に積層したものまたは色変換フィルタと有機発光素子を貼り合わせたものなど種々の形態のものである。また、本発明の多色有機EL発光表示素子は、パッシブマトリックス駆動方式である。本発明では、多色有機発光表示素子の色変換フィルタおよび有機発光素子は、さらに平坦化層やパッシベーション層を含むことができる。なお、図1において、多色有機発光表示素子は、複雑化を避けるため一画素として表したが、もちろん複数画素からなる多色有機発光表示素子であってもよい。
以下に、第1の工程を説明する。本工程の第1の実施形態は、図1(a)のボトムエミッション方式で積層型のパッシブマトリックス型多色有機発光表示素子である。まず、図1(a)の多色有機発光表示素子の製造方法について説明する。この工程では、透明な支持基板102上に、ブラックマトリックス108をパターン形成し、色変換フィルタ110をまず形成する。第1の実施形態では、支持基板102として、ガラスやプラスチックなどからなる絶縁性基板などを用いることができる。あるいはまた、ポリマーフィルムを支持基板102として用いてもよい。
具体的な製造方法は、例えば黒色の無機層、黒色顔料または黒色染料を樹脂に分散した層等を、例えばコーニング社製のガラスのような透明基板上に、スパッタ法、CVD法、真空蒸着等のドライプロセス、スピンコート法のようなウエットプロセスにより形成することができ、フォトリソグラフィ法等によりパターンニングしてブラックマトリックス108を形成することができる。次に、染料または顔料を含有したマトリックス樹脂を、ブラックマトリックス108を設けた透明基板102上にスピンコート法などを用いて塗布し、フォトリソグラフィ法などによりパターンニングを行うことにより色変換フィルタ110を形成する。
また、例えば、マトリックス樹脂は、光硬化性樹脂または光熱併用型の硬化性樹脂からなる。これを、光および/または熱処理して、ラジカル種やイオン種を発生させて重合または架橋させ、樹脂を不溶不融化させて、色変換フィルタ層を形成する。
色変換フィルタに使用される染料または顔料には有機蛍光色素がある。例えば、有機EL層から発せられる青色から青緑色領域の光を吸収して、赤色領域の蛍光を発する蛍光色素には、例えば以下のような有機蛍光色素がある。すなわち、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、スルホローダミン、べ一シックバイオレット11、べーシックレッド2などのローダミン系色素、シアニン系色素、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−13−ブタジエニル]−ピリジウム−パークロレート(ピリジン1)などのピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素などである。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も所望の蛍光を発することができれば使用することができる。有機EL層から発せられる青色ないし青緑色領域の光を吸収して、緑色領域の蛍光を発する蛍光色素には、例えば以下のような有機蛍光色素がある。すなわち、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、3−(2’−N−メチルベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン30)、2,3,5,6−1H,4H−テトラヒドロ−8−トリフルオロメチルキノリジン(9,9a,1−gh)クマリン(クマリン153)などのクマリン系色素、または、クマリン色素系染料であるべーシックイエロー51、さらにはソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116などのナフタルイミド系色素などである。さらに、各種染料(直接染料、酸性染料、塩基性染料、分散染料など)も所望の蛍光を発することができれば使用することができる。なお、本発明に用いることができる有機蛍光色素を、ポリメタクリル酸エステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、アルキッド樹脂、芳香族スルホンアミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂およびこれらの樹脂混合物などに予め練り込んで顔料化して、有機蛍光顔料としてもよい。また、これらの有機蛍光色素や有機蛍光顔料(本明細書中で、前記2つを合わせて有機蛍光色素と総称する)は単独で用いてもよく、蛍光の色相を調整するために二種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明に用いる有機蛍光色素は、色変換フィルタ層に対して、この変換フィルタ層の重量を基準として0.01〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%の量で含有される。有機蛍光色素の含有量が0.01重量%未満の場合には、十分な波長変換を行うことができず、その含有量が5%を越える場合には、濃度消光等の効果により色変換効率の低下が起こる。これらの成膜条件は、従来の条件を適用すればよい。
本発明では、続いて平坦化層112、パッシベーション層114を形成する。これらの形成方法は、例えば、上記の色変換フィルタ層上に、平滑化層を形成するための材料を、スピンコート法等で塗布し、オーブンのような加熱手段でベーキングすることが含まれる。パッシベーション層は、スパッタ法、CVD法、真空蒸着法、ディップ法、ゾル−ゲル法等の慣用の手法により成膜することができる。平坦化層およびパッシベーション層の材料、膜厚、成膜などの諸条件は従来の通りである。例えば、平坦化層などは、当該技術に知られている任意の材料により形成することができる。好ましくは、無機酸化物または窒化物、あるいはポリイミドまたはアクリル樹脂から形成される。パッシベーション層は、例えば、SiO、SiN、SiN、AlO、TiO、TaO、ZnO等の無機酸化物、無機窒化物等の材料を使用できる。また、パッシベーション層として種々のポリマー材料を用いることができる(例えば、イミド変性シリコーン樹脂、無機金属化合物(TiO、Al、SiO等)をアクリル、ポリイミド、シリコーン樹脂等の中に分散した材料、アクリレートモノマー/オリゴマー/ポリマーの反応性ビニル基を有した樹脂、レジスト樹脂、フッ素系樹脂、または高い熱伝導率を有するメソゲン構造を有するエポキシ樹脂などの光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂など)。
次に、第1電極104を含む第1電極部の作製(第2工程)、並びに、有機発光層116および第2電極106の作製(第3工程)について説明する。
以下に第1電極部の形成について説明するが、上述のように、本発明の第1電極部は、バス電極、分割された第1電極、絶縁膜から形成される。第1電極部の形成を、図面を参照して具体例に基づいて説明する。以下の説明での具体例は、第1電極が2つの領域AおよびBに分割して形成される場合に関する。以下の具体的な製造工程の説明で参照する図面は、各工程が2つの断面図から構成されており、これらは上部が領域A、下部が領域Bの部分を表す断面図である。なお、2以上に第1電極を分割する場合には、以下に説明する手順を適宜選択して繰り返し適用することで第1電極部を形成することができる。
まず、積層型でバス電極を形成する場合について、図21および図22を参照して説明する。図21は、図5で説明した積層型の第1電極の製造工程を示すものであり、図22は、図8で説明した積層型の第1電極部の製造工程を示すものである。
図21の例では、第1電極基板上514に第1バス電極516を形成する。この第1バス電極は、外部駆動回路との接続部から表示部(領域B)まで形成される。この第1バス電極の材料としては、前述の通りAg、Cu、Al,Mo,Cr,Ni,W,Al合金およびこれらの合金等を用いることができる。さらに、第1バス電極は、スパッタ法等の成膜方法により膜形成した後にフォトリソグラフィによりパターンニングを行うことで形成可能であり、リフトオフ法やマスク成膜法等により形成してもよい。
次に、絶縁膜520を形成する(図21(b))。領域Aのうちの第1バス電極516と第2バス電極518とが立体的に構成されている領域部分に、少なくとも第1電極516の上部を被覆するように形成する。形成方法としては、フォトリソグラフィやリフトオフ、ドライエッチングなどによるパターンニング技術が応用可能である。
この絶縁膜520には、無機酸化物やアクリレート等のネガ型のフォトレジストやポリイミド材料を用いることが可能である。本発明では、ノボラック樹脂(特に熱硬化性成分を含むノボラック樹脂)が好ましい。これは、ノボラック樹脂上には第1電極を断線することなく形成可能であること、および、ノボラック樹脂が素子の駆動に充分な絶縁耐圧をもっていることによる。さらに、ノボラック樹脂(特に熱硬化性成分を含むノボラック樹脂)を用いることとすると、絶縁膜の側面や端部の形状(すなわちテーパー形状)が緩やかになる利点がある。また、この絶縁膜520の端部が第1電極基板514の主表面となす傾斜角度が7°以上30°未満となるように設計すると、第1電極502、504、506の導電性を充分に確保することができる。熱硬化性成分を含むノボラック樹脂を用いる場合、パターンニングの後のポストベークの温度で絶縁膜のテーパー形状の傾斜角度を制御することができる。本発明の好ましい範囲とするためには、ポストベーク温度は170℃〜200℃、下記実施例では180℃とした。
次に、絶縁膜520の上に第2バス電極518を形成する(図21(b))。第2バス電極518は、外部駆動回路との接続部から表示部(領域A)まで形成される。この第2バス電極518の材料としては、Al,Mo,Cr,Ni,W,Al合金およびこれらの合金等を用いることができ、第1バス電極516と同様に、フォトリソグラフィ等によるパターンニングが可能である。
本発明の有機EL発光素子では、第2バス電極518は第1バス電極516よりも配線長が短い。このため、第2バス電極518の材料としてMo,W,Cr,Ni等の高抵抗金属を用い、第1バス電極516の材料にAlやAl合金等の低抵抗金属を用いるようにすれば、ディスプレイパネル内での電圧降下を均一にすることが可能となる。これは本発明の利点である。
この第2バス電極518の形成に続いて、パターン化した第1電極502、504、506を第1バス電極516と第2バス電極518上に形成する(図21(c))。この第1電極502、504、506の材料としては、ITO、In−Zn酸化物、ATO等を用いることができ、特に、In−Zn酸化物を用いることとすれば、室温成膜により比較的低抵抗な膜が得られ、かつ、弱酸(例えば蓚酸)によるパターンニングが可能となるので好ましい。この第1電極502、504、506は、スパッタ法等の方法で成膜し、フォトリソグラフィによりパターンニングを行うことができる。
図21の例では、絶縁膜をバス電極近傍に形成したが、同様の手順で絶縁膜を領域A全面に設けることができる。このような場合には、酸化珪素等の光透過性の高い材料を用いればよい。絶縁膜は、引き出し部や外部駆動回路との接続部へも形成することができる。
また、バス電極の形成と絶縁膜の形成を繰り返すことで、第1電極をより多く分割した場合にも同様の手順で第1電極部を形成することができる。
図22の例に基づいて、製造工程を説明する。図22では、絶縁膜520を領域AおよびBに形成する。
まず、第1電極基板514上に第1バス電極516を形成する(図22(a))。第1バス電極の材料および形成方法は、図21の例で説明した通りである。
次に、絶縁膜520を領域Aから領域Bにわたって形成する(図22(a))。絶縁膜は、領域Bにおいて、第1バス電極と第1電極502B、504B、506Bが接触する位置に開口部524を形成する。このような開口部を有する絶縁膜は、フォトリソグラフィやリフトオフ、ドライエッチングなどによるパターンニング技術を応用して成膜することが可能である。絶縁膜の材料等は上述の通りであるが、この例では、領域AおよびBに絶縁膜を形成するので、酸化珪素等の光透過性の高い材料を用いる。絶縁膜は、引き出し部や外部駆動回路との接続部へも形成することができる。
次に、引き出し部を介して外部駆動回路との接続部から領域Aにまで第2バス電極を形成する(図22(b))。形成方法および材料等は図21で説明した通りである。
次に、この第2バス電極518の形成に続いて、パターン化した第1電極502、504、506を第1バス電極516と第2バス電極518上に形成する(図22(c))。
バス電極の形成と絶縁膜の形成を繰り返すことで、第1電極をより多く分割した場合にも同様の手順で第1電極部を形成することができる。
次に並列型の第1電極部の形成工程を、図23を参照して説明する。図23は、図14で説明した並列型の第1電極部の製造工程を示すものである。
まず、第1電極基板1308上に第1バス電極1310と第2バス電極1312を形成する(図23(a))。この第1バス電極と第2バス電極は、外部駆動回路との接続・引き出し部から表示部まで形成される。第1バス電極および第2バス電極の材料および成膜法は図21および図22で説明した通りである。なお、第1バス電極と第2バス電極は同じ材料でも異なる材料でもよいが、上述のように第1バス電極を抵抗の小さい材料とし、第2バス電極をより抵抗の大きい材料とすることで、領域間の輝度のばらつきを防止できる。このように第1バス電極と第2バス電極で材料み異なったものを使用する場合には、第1バス電極と第2バス電極を別々に2段階で形成すればよい。
次に絶縁膜1320を形成する(図23(b))。絶縁膜は、少なくとも領域Aにおいて、第1バス電極1310と第1電極1312、1314、1316とが立体的に構成される部分に、第1バス電極1310の上部を被覆するように形成する。この絶縁膜1320の材料(特に好ましい材料は、ノボラック樹脂(特に熱硬化性成分を含むノボラック樹脂)である)、成膜方法などは、図21、図22で説明した通りである。この例においても、絶縁膜1320は、テーパー形状に形成することが好ましい。テーパー形状の傾斜角度などは先に説明した通りである。
この例においても、例えば、酸化珪素等の光透過性の高い材料を用いる場合には、第1バス電極と第1電極との接続部、および、外部駆動回路との接続部を除いて全面に形成する方法や、第1バス電極と第1電極の接続部および第2バス電極と第1電極の接続部、並びに、外部駆動回路との接続部を除いて全面に形成する方法も可能である。
次に、パターン化した第1電極1312、1314、1316を領域Aと領域Bに形成する。この第1電極の材料としては、図21および図22の例で説明した通りである。
図23の例では、第1バス電極と第2バス電極を第1電極基板上に形成する例を示したが、本発明では、図21および図22で説明したような手順に従って、第1バス電極を形成し、次いで絶縁膜を形成し、この絶縁膜上に第2バス電極を形成するというような逐次形成法を用いてもよい。
また、バス電極の形成と絶縁膜の形成を繰り返すことで、第1電極をより多く分割した場合にも同様の手順で第1電極部を形成することができる。
積層型と並列型を併用する場合の製造工程は、上記の製造工程を適宜組み合わせればよい。例えば図18に示す例の場合、第1電極基板上に第1バス電極1810を形成する。次いで、次に第1の絶縁膜1842を形成する。第1の絶縁膜は、例えば引き出し部から領域Cの引き出し部に近い側の一部まで形成される。第1の絶縁膜は、第1バス電極と第1電極を電気的に接続するための開口部が形成されるようにパターンニングされている。この第1の絶縁膜上に第2バス電極1812を形成する。次いでこの第2バス電極1812上には、第2の絶縁膜が、例えば引き出し部から領域Bの引き出し部に近い側の一部まで形成される。第2の絶縁膜は、第2バス電極と第1電極を電気的に接続するための開口部が形成されるようにパターンニングされている。次に、第2の絶縁膜上に第3バス電極1830を形成する。
次に、この第3バス電極1830の形成に続いて、パターン化した第1電極1814、1816、1818を第1バス電極からと第3バス電極に接続するように形成する。
バス電極の形成と絶縁膜の形成を適宜選択して繰り返すことで、第1電極をより多く分割した場合にも同様の手順で第1電極部を形成することができる。
次に、第3の工程を説明する。
上述のようにして得られた第1電極上に有機発光層116を形成する。有機発光層116は、抵抗加熱蒸着装置などを用いて、例えば正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層を、真空を破らずに順次成膜すればよい。なお、有機発光層116はこの構成に限らず、例えば、以下のような種々の形態をとりうる。それぞれの形態においても、各層は抵抗加熱蒸着装置などを用いて成膜すればよい。以下の例では、第1電極および第2電極を含めた構成を示した。
(A)陽極/有機発光層/陰極
(B)陽極/正孔注入層/有機発光層/陰極
(C)陽極/有機発光層/電子輸送層/陰極
(D)陽極/正孔注入層/有機発光層/電子輸送層/陰極
(E)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/陰極
(F)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
この後、第1電極のラインと垂直なストライプパターンが得られるマスクを用いて第2電極(陰極)106を、真空を破らずに形成する。
第1電極、有機発光層および第2電極の材料は上述のような従来より知られたものを用いることができる。例えば、陽極である第1電極は、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)などの透明電極を用いることができ、陰極である第2電極は、例えば、リチウム、ナトリウム等のアルカリ金属、カリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、またはこれらのフッ化物等からなる電子注入性の金属、その他の金属との合金や化合物などの材料を用いることができる。有機EL層の各層の材料は、公知のものが使用できる。青色から青緑色の発光を得るためには、有機発光層中に、例えばベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、べンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、金属キレート化オキソニウム化合物、スチリルベンゼン系化合物、芳香族ジメチリディン系化合物などが好ましく使用される。電子注入層としては、上記電極の欄で説明した仕事関数の小さな材料を使用することができる。また、電子輸送層としては、金属錯体系(Alq3)とオキサジアゾール、トリアゾール系化合物等を用いることができる。また、正孔注入層としては、芳香族アミン化合物、スターバースト型アミンや、ベンジジン型アミンの多量体および銅フタロシアニン(CuPc)などを用いることができる。正孔輸送層としては、スターバースト型アミン、芳香族ジアミンなどを用いることができる。その他、第1電極、有機発光層および第2電極の膜厚などの諸条件は従来の通りである。
得られた色変換フィルタを含む有機EL層は、封止工程に供され、封止された有機EL発光素子となる。封止工程では第2電極を形成した後に、酸化シリコンや、酸化窒化シリコンなどの無機膜を連続的に形成する方法や、ガラス板、SUS板、ポリカーボネートなどのフィルムを、UV硬化樹脂や熱硬化樹脂などを用いて基板と接着させる方法を用いることができる。封止の条件は従来の通りである。
次に、第2の実施形態の多色有機発光表示素子の製造方法を説明する。第2の実施形態は、図1(b)に示されるトップエミッション方式で積層型の多色有機発光表示素子20の製造方法である。
第2の実施形態では、支持基板102上に第1電極104を形成する工程(第1工程)、有機発光層116、第2電極106、パッシベーション層114aを設けて有機EL層を形成し(第2工程)、さらにその上に色変換フィルタを形成(第3工程)すればよい。有機発光素子は、支持基板102上に第1電極部、有機発光層および第2電極を形成すればよい。この第2電極を形成した後に、従来の手順に従ってパッシベーション層114aをさらに形成する。本実施形態でも第1電極部は第1の実施形態で説明した手順で形成することができる。
次いで、このパッシベーション層上に、スピンコート法およびフォトリソグラフィ法を併用して、ブラックマトリックス108、色変換フィルタ層110形成する。パッシベーション層および色変換フィルタ層の形成は、従来の方法を適用すればよい。得られた色変換フィルタを含む有機発光素子は、封止工程に供され、封止されて本発明の有機EL発光素子となる。封止工程では第2電極を形成した後に、酸化シリコンや、酸化窒化シリコンなどの無機膜を連続的に形成する方法や、ガラス板、SUS板、ポリカーボネートなどのフィルムを、UV硬化樹脂や熱硬化樹脂などを用いて基板と接着させる方法を用いることができる。
次に、第三の実施形態の多色有機発光表示素子の製造方法を説明する。第三の実施形態は、図1(c)に示されるトップエミッション方式で貼り合わせ型の多色有機発光表示素子30、40の製造方法である。本実施形態は、パッシブマトリックス型(図1(c))多色有機発光表示素子である。
第三の実施形態では、支持基板102上に第1電極104を形成する(第1工程)。次いで、有機発光層116および第2電極106を作製する(第2工程)。
第2電極106を設けた後、パッシベーション層114aを従来の手順に従って設ける。
次に、第3工程として、透明基板118上に、例えばブラックマトリックス108、色変換フィルタ層110をスピンコート法およびフォトリソグラフィ法を併用して色変換フィルタ層を形成し、次いで平坦化層112b、およびパッシベーション層114bを形成して色変換フィルタを作製する。次いで、上述のように形成された有機発光素子と色変換フィルタを、UV硬化接着剤などの外周封止層120を用いて接着し、封止すればよい(封止工程)。封止の条件などは従来の条件を用いればよい。以上のようにして図1(c)に示される本発明の有機EL発光素子を得ることができる。
本発明の有機EL発光素子について実施例によりさらに詳細に説明する。
以下の説明では、図24および図25を参照する。以下の実施例では、有機EL発光素子は画素数320×240×RGB、画素ピッチ0.195mmで形成した。本実施例では、図24に示すように有機EL発光素子の表示部を2つの領域(領域1:領域A1、B1と領域2:領域A2、B2)のように中央で分割し、この分割した領域1と領域2の第1電極を2分割する例である。領域1と領域2の各々に設けられる第1バス電極および第2バス電極は、それぞれ外部駆動回路への接続部2410A、2410Bの上下2方向から取り出す。この実施例に示すような構造とすることにより、本実施例では画面を走査線方向に4つの領域に分割し、デューティー比を1/60とした。
図24は、本実施例の有機EL発光素子の電極構造を表した図であり、この図においてじゃ、煩雑を避けるため絶縁膜を省略した。図25は、第1電極部に設けられる絶縁膜34を表した図である。図24では、2404は第1バス電極、2402は第2バス電極、2410Aおよび2410Bは第1バス電極および第2バス電極の接続電極群(外部駆動回路への接続部)を表し、2414Aおよび2414Bは第1バス電極および第2バス電極の引き出し部を表す。2412Aおよび2412Bは第2電極の接続電極群である。図25において、図25(a)は有機EL発光素子の発光部の平面図であり、図25(b)および(c)は図25(a)のa−a’断面図およびb−b’断面図である。図25では、絶縁膜は第1電極と、第1バス電極および第2バス電極都の接続部に開口部36を設けた以外、表示部の全面に設けられている。図25(b)および(c)では、開口部36の周囲を40の部分で表した。開口部は引き出し部および表示部の中央部近傍の位置に形成した例を示した。本発明では、バス電極の配列およびこれらの形成される位置、絶縁膜の配置などに合わせて開口部を適切に設ける。
なお、図24および図25では、第1バス電極および第2バス電極は、それぞれ、引き出し部および表示部の中央部近傍の位置まで形成した例を示したが、以下の実施例に示すように第1バス電極および第2バス電極の配列およびこれらの形成される位置は種々の形態をとりうる。また、絶縁膜も種々の形態をとりうる。
この有機EL発光素子の発光部の基本構成は図1および図2に示したものと同様である。従って、多色有機EL発光素子の場合、図24および図25で示した発光部の第1電極側、または第2電極側に色変換フィルタを設ける。
(実施例1)
本実施例は、積層型の無機膜層を適用した場合の本発明の有機EL発光素子の性能比較例である。以下に、この有機EL発光素子の作製プロセスを説明する。
[青色フィルターの作製]
透明支持基板102としてのコーニングガラスTM(100×100×0.7mm)上に、厚さ1.5μmのブラックマトリックス(富士フイルムアーチ社製、CK7800)を形成し、青色フィルター材料(富士フィルムアーチ社製、カラーモザイクCB−7001)をスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、青色フィルタ層110Bの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[緑色変換フィルタ層の作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。光重合性樹脂(V259PA/P5、新日鐵化学(株)製)100重量部を加えて溶解させ、塗布溶液を得た。この塗布溶液を、青色フィルターのラインパターンが形成済である、透明支持基板102上に、スピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、緑色変換フィルター層110Gの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[赤色変換フィルター層の作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.6重量部)、ローダミン6G(0.3重量部)、ベーシックバイオレット11(0.3重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。光重合性樹脂(V259PA/P5、新日鐵化学(株)製)100重量部を加えて溶解させ、塗布溶液を得た。この塗布溶液を、青色フィルタおよび緑色変換フィルタ層のラインパターンが形成済である、透明支持基板102上に、スピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、赤色変換フィルタ層110Rの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[平坦化層(高分子膜層)の作製]
これらの色変換フィルタ層110の上に、UV硬化型樹脂(エポキシ変性アクリレート;JSR社製、NN810)をスピンコート法にて塗布し、高圧水銀灯にて照射して膜厚8μmで高分子膜層112を形成した。このとき、色変換フィルタ層のパターンは変形がなく、かつ、高分子膜層109の上面は平坦であった。
[パッシベーション層(無機膜層)の作製]
室温において、DCスパッタ法によりSiOx膜を300nm成膜して無機膜層を形成した。スパッタターゲットにはSiを用い、スパッタガスとしてArおよび酸素の混合ガスを用いた。
[第1バス電極の形成]
第1バス電極2402としてAlパターンを形成した。第1バス電極は外部駆動回路との接続部位から表示パネル内の、領域1および領域2の所定部位(本実施例では表示部内の中央部までの領域)まで配線される。DCスパッタ法により、室温でAl膜を300nm形成した。スパッタターゲットにはAlを用い、スパッタガスとしてArを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に燐酸と硝酸と酢酸の混合液をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅7μmのパターンを形成した。この第1バス電極の抵抗率はおよそ8.0×10−6Ωcmであった。
[絶縁膜の形成]
ノボラック系樹脂を材料としたポジ型フォトレジスト(JSR社製JEM700R2)を用い、厚さ1μmの絶縁膜34をフォトリソグラフィ法により形成した。ポストベークにより絶縁膜と支持基板102とのなす角度(テーパー角)が約10°となるように制御した。絶縁膜34と支持基板102とがなすテーパー角は、フォトリソグラフィ法によるパターン形成直後は約70°であるが、ポストベークによりテーパー形状が変化する。表1は、ポストベーク温度とテーパー角との関係をまとめたものである。なお、絶縁膜を第1バス電極と第1電極との接合部および外部駆動回路との接合部を除いて形成した。
なお、この結果は、何れの温度でのポストベークも60分間実施して得られたものであり、本実施例では180℃で60分間のポストベークを行っている。
[第2バス電極の形成]
第2バス電極2404としてMoパターンを形成した。第2バス電極は外部駆動回路との接続部位から表示部の領域Aの端部から所定の位置(本実施例では領域Aと領域Bの境まで)の位置まで配線される。DCスパッタ法により、室温でMo膜を300nm形成した。スパッタターゲットにはMoを用い、スパッタガスとしてArを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に燐酸と硝酸と酢酸の混合液をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅7μmのパターンを形成した。この第2バス電極204の抵抗率はおよそ1.5×10−5Ωcmであった。
第1バス電極2404としてAl、第2バス電極2402としてMoを用いることにより、何れの電極にもMoを用いた場合に比較して、パネル面内での電圧降下をおよそ50%に小さくできることが確認できた。
[第1電極の形成]
第1電極2406としてIn−Zn酸化物パターンを形成した。第1電極は表示領域に走査線方向に4つの領域に分割して形成される。DCスパッタ法により、室温でIn−Zn酸化物膜を200nm形成した。スパッタターゲットにはIn−Zn酸化物焼成ターゲットを用い、スパッタガスとしてArおよび酸素の混合ガスを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後にシュウ酸をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅58μm、間隙7μmのパターンを形成した。
[有機発光層および第2電極の作製]
以上の工程に続き、第1電極2406を形成した第1電極基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層124、正孔輸送層126、有機発光層128、電子注入層130を、真空を破らずに順次成膜した。成膜に際して真空槽内圧は1×10−4Paまで減圧した。正孔注入層は銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層は4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。発光層は4,4′−ビス[2,2′−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子注入層はアルミキレート(Alq)を20nm積層した。
この後、第1電極(2406)のラインと垂直に幅0.165mm、空隙0.03mmギャップのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層からなる第2電極(陰極)2408を、真空を破らずに形成した。こうして得られた有機発光素子をグローブボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラスとUV硬化接着剤を用いて封止した。
(比較例)
画素数320×240×RGB、画素ピッチ0.195mmのパネルにおいて、信号線を第1電極のみで形成し、駆動デゥーティ1/240のパネルを形成した(比較例1)。また、画素数320×240×RGB、画素ピッチ0.195mmのパネルにおいて、信号線を第1電極のみで形成し、中央部で分割することにより駆動デゥーティ1/120のパネルを形成した(比較例2)。
上述した実施例および比較例1および比較例2で得られた3つのパネルについて、駆動周波数60Hzの線順次走査、1画素当たりの電流量75μAの条件下で、1000時間の連続駆動を行った後にパネルの平均輝度変化の比較評価を行った。
表2は、この評価の結果を纏めたものである。
この結果から明らかなように、本発明の有機EL発光素子の輝度は評価前後で変化が認められず、駆動による輝度低下が認められないのに対し、比較例1および比較例2の有機EL発光素子の輝度は評価前後で顕著な低下が認められる。すなわち、本発明の有機EL発光素子の構成とすることで、輝度保持率の低下を抑制できることが確認された。
(実施例2)
以下に、第2の実施例を説明する。この実施例では、有機EL発光素子は画素数320×240×RGB、画素ピッチ0.195mmで形成した。第1電極の分割は実施例1と同様であり、デューティー比は1/60である。本実施例では、第1バス電極と第2バス電極を並列に設ける並列型の例である。並列型の場合、実施例1と同様に第1バス電極上に絶縁膜を形成し、この上に第2バス電極を形成することができる。
以下に、この有機EL発光素子の各作製プロセスを説明する。
[青色フィルターの作製]
透明支持基板としてコーニングガラスTM(50×50×1.1mm)を用い、この上に厚さ1.5μmのブラックマトリックス(富士フイルムアーチ社製、CK7800)を形成し、青色フィルター材料(富士フィルムアーチ社製、カラーモザイクCB−7001)をスピンコート法で塗布した後フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、青色フィルタの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[緑色変換フィルタの作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。光重合性樹脂(V259PA/P5、新日鐵化学(株)製)100重量部を加えて溶解させ塗布液を得た。この塗布溶液を、青色フィルターのラインパターンが形成済である透明支持基板上にスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、緑色変換フィルターの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[赤色変換フィルター層の作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.6重量部)、ローダミン6G(0.3重量部)、ベーシックバイオレット11(0.3重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。光重合性樹脂(V259PA/P5、新日鐵化学(株)製)100重量部を加えて溶解させ塗布液を得た。この塗布溶液を、青色フィルタおよび緑色変換フィルタのラインパターンが形成済である透明支持基板上にスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、赤色変換フィルタの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[平坦化層(高分子膜層)の作製]
これらの色変換フィルタの上に、UV硬化型樹脂(エポキシ変性アクリレート;JSR社製、NN810)をスピンコート法にて塗布し、高圧水銀灯にて照射して膜厚8μmで高分子膜層を形成した。このとき、色変換フィルターのパターンは変形がなく、かつ、高分子膜層の上面は平坦であった。
[パッシベーション層(無機膜層)の作製]
室温において、DCスパッタ法によりSiOx膜を300nm成膜して無機膜層を形成した。スパッタターゲットにはSiを用い、スパッタガスとしてArおよび酸素の混合ガスを用いた。
[第1バス電極の形成]
第1バス電極としてAlパターンを形成した。第1バス電極は外部駆動回路との接続部位から表示部内の、領域1および領域2の所定部位まで(本実施例では表示部内の約1/4までの領域)配線される。DCスパッタ法により、室温でAl膜を300nm形成した。スパッタターゲットにはAlを用い、スパッタガスとしてArを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に燐酸と硝酸と酢酸の混合液をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅7μmのパターンを形成した。このようにして形成した第1バス電極(Al電極)の抵抗率はおよそ8.0×10−6Ωcmであった。
[絶縁膜の形成]
絶縁膜としてSiOx膜をリフトオフ法により形成した。リフトオフレジストを、第1バス電極と第1電極との接合部および外部駆動回路との接合部に形成した。次いで、DCスパッタ法により室温においてSiOx膜を300nm形成した後に、レジスト剥離液でリフトオフレジストを除去し、絶縁膜を第1バス電極と第1電極との接合部および外部駆動回路との接合部を除いて形成した。
[第2バス電極の形成]
第2バス電極としてMoパターンを形成した。第2バス電極は外部駆動回路との接続部位から表示部の端部の位置(引き出し部に近い側)まで配線される。DCスパッタ法により、室温でMo膜を300nm形成した。スパッタターゲットにはMoを用い、スパッタガスとしてArを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に燐酸と硝酸と酢酸の混合液をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅7μmのパターンを形成した。この第2バス電極(Mo電極)の抵抗率はおよそ1.5×10−5Ωcmであった。
第1バス電極としてAl、第2バス電極としてMoを用いることにより、第1および第2バス電極ともにMoを用いる場合に比較して、パネル面内での電圧降下をおよそ50%に小さくできることが確認できた。
[第1電極の形成]
第1電極としてIn−Zn酸化物パターンを形成した。第1電極は表示領域に走査線方向に4つの領域に分割して形成される。DCスパッタ法により、室温でIn−Zn酸化物膜を200nm形成した。スパッタターゲットにはIn−Zn酸化物焼成ターゲットを用い、スパッタガスとしてArおよび酸素の混合ガスを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に蓚酸をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅58μm、間隙7μmのパターンを形成した。
[有機発光層および第2電極の作製]
以上の工程に続き、第1電極を形成した第1電極基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層を、真空を破らずに順次成膜した。成膜に際して真空槽内圧は1×10−4Paまで減圧した。正孔注入層は銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層は4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。発光層は4,4′−ビス[2,2′−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子注入層はアルミキレート(Alq)を20nm積層した。
この後、第1電極のラインと垂直に幅0.165mm、空隙0.03mmギャップのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層からなる第2電極(陰極)を、真空を破らずに形成した。こうして得られた有機発光素子をグローブボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラスとUV硬化接着剤を用いて封止した。
本実施例では、上記のように第1バス電極と、絶縁膜と、第2バス電極とを順次形成する以外に、図14を参照して先に説明したように、第1バス電極と第2バス電極を第1電極基板上に形成し、これに絶縁膜を形成し、さらに第1電極を絶縁膜上に形成するような構造をとることもできる(図14(b)および(c)を併せて参照)。即ち、この例の有機EL発光素子の領域Aの第1電極の構成は、第1電極基板上に交互に配置されかつ互いに離隔されて設けられた複数の第1バス電極と複数の第2バス電極とを備えており、第1バス電極の上全面および第2バス電極の上面の一部は絶縁膜で被覆され、この絶縁膜上には第1電極が設けられる。そして、第2バス電極と第1電極とが、絶縁膜に設けられた接続のための開口部を介して電気的に接続される。
なお、この構造を採用する場合の製造プロセスは上述した内容とほぼ同じであるが、この場合には、第1バス電極2404と第2バス電極2402とを同時に形成することとなる。
本実施例においても、実施例1と同様の駆動試験を行った結果、実施例1と同様に輝度保持率の低下を抑制できることが確認された。
(実施例3)
以下に、第3の実施例を説明する。この実施例では、有機EL発光素子は画素数320×240×RGB、画素ピッチ0.195mmで形成した。第1電極の分割は実施例1と同様であり、デューティー比は1/60である。本実施例では、第1バス電極と第2バス電極を並列に設ける並列型の例である。本実施例の場合、第1バス電極上および本実施例では、絶縁膜を外部駆動回路との接続部の一部に絶縁膜を形成した。このような絶縁膜の例は図20(b)に示してある。本実施例では、第1バス電極、絶縁膜、第2バス電極は、この順に逐次形成される。
以下に、この有機EL発光素子の各作製プロセスを説明する。
[青色フィルターの作製]
透明支持基板としてコーニングガラスTM(50×50×1.1mm)を用い、この上に厚さ1.5μmのブラックマトリックス(富士フイルムアーチ社製、CK7800)を形成し、青色フィルター材料(富士フィルムアーチ社製、カラーモザイクCB−7001)をスピンコート法で塗布した後フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、青色フィルタの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[緑色変換フィルタの作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。光重合性樹脂(V259PA/P5、新日鐵化学(株)製)100重量部を加えて溶解させ塗布液を得た。この塗布溶液を、青色フィルターのラインパターンが形成済である透明支持基板上にスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、緑色変換フィルターの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[赤色変換フィルター層の作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.6重量部)、ローダミン6G(0.3重量部)、ベーシックバイオレット11(0.3重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。光重合性樹脂(V259PA/P5、新日鐵化学(株)製)100重量部を加えて溶解させ塗布液を得た。この塗布溶液を、青色フィルタおよび緑色変換フィルタのラインパターンが形成済である透明支持基板上にスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、赤色変換フィルタの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[平坦化層(高分子膜層)の作製]
これらの色変換フィルタの上に、UV硬化型樹脂(エポキシ変性アクリレート;JSR社製、NN810)をスピンコート法にて塗布し、高圧水銀灯にて照射して膜厚8μmで高分子膜層を形成した。このとき、色変換フィルターのパターンは変形がなく、かつ、高分子膜層の上面は平坦であった。
[パッシベーション層(無機膜層)の作製]
室温において、DCスパッタ法によりSiOx膜を300nm成膜して無機膜層を形成した。スパッタターゲットにはSiを用い、スパッタガスとしてArおよび酸素の混合ガスを用いた。
[第1バス電極の形成]
第1バス電極としてAlパターンを形成した。第1バス電極は外部駆動回路との接続部位から表示部内の、領域1および領域2の所定部位まで(本実施例では表示部内の中央部までの領域)配線される。DCスパッタ法により、室温でAl膜を300nm形成した。スパッタターゲットにはAlを用い、スパッタガスとしてArを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に燐酸と硝酸と酢酸の混合液をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅7μmのパターンを形成した。このようにして形成した第1バス電極(Al電極)の抵抗率はおよそ8.0×10−6Ωcmであった。
[絶縁膜の形成]
絶縁膜としてSiOx膜をリフトオフ法により形成した。リフトオフレジストを、第1バス電極と第1電極との接合部、および外部駆動回路との接合部に形成した後、DCスパッタ法により室温においてSiOx膜を300nm形成した。なお、外部駆動回路との接続部では、絶縁膜は引き出し部に近い方の約中程までに形成される(例えば、図20(b)参照。)。この後、レジスト剥離液でリフトオフレジストを除去し、絶縁膜を第1バス電極と第1電極との接合部および外部駆動回路との接合部を除いて形成した。
[第2バス電極の形成]
第2バス電極としてMoパターンを形成した。第2バス電極は外部駆動回路との接続部のほぼ中央部から表示部の約1/4の位置まで配線される。DCスパッタ法により、室温でMo膜を300nm形成した。スパッタターゲットにはMoを用い、スパッタガスとしてArを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に燐酸と硝酸と酢酸の混合液をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅7μmのパターンを形成した。この第2バス電極(Mo電極)の抵抗率はおよそ1.5×10−5Ωcmであった。
第1バス電極としてAl、第2バス電極としてMoを用いることにより、第1および第2バス電極ともにMoを用いる場合に比較して、パネル面内での電圧降下をおよそ50%に小さくできることが確認できた。
[第1電極の形成]
第1電極としてIn−Zn酸化物パターンを形成した。第1電極は表示領域に走査線方向に4つの領域に分割して形成される。DCスパッタ法により、室温でIn−Zn酸化物膜を200nm形成した。スパッタターゲットにはIn−Zn酸化物焼成ターゲットを用い、スパッタガスとしてArおよび酸素の混合ガスを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に蓚酸をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅58μm、間隙7μmのパターンを形成した。
[有機発光層および第2電極の作製]
以上の工程に続き、第1電極を形成した第1電極基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層を、真空を破らずに順次成膜した。成膜に際して真空槽内圧は1×10−4Paまで減圧した。正孔注入層は銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層は4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。発光層は4,4′−ビス[2,2′−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子注入層はアルミキレート(Alq)を20nm積層した。
この後、第1電極のラインと垂直に幅0.165mm、空隙0.03mmギャップのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層からなる第2電極(陰極)を、真空を破らずに形成した。こうして得られた有機発光素子をグローブボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラスとUV硬化接着剤を用いて封止した。
本実施例においても、実施例1と同様の駆動試験を行った結果、実施例1と同様に輝度保持率の低下を抑制できることが確認された。また、本実施例では、絶縁膜を外部駆動回路との接続部の一部に形成しているため、バス電極と外部駆動回路との接続に際して位置ずれがあっても有機EL発光素子の電極部の短絡を起こすことはなかった。
(実施例4)
以下に、第4の実施例を説明する。この実施例では、有機EL発光素子は画素数320×240×RGB、画素ピッチ0.195mmで形成した。第1電極の分割は実施例1と同様であり、デューティー比は1/60である。本実施例では、第1バス電極と第2バス電極を並列に設ける並列型の例である。本実施例の場合、第1バス電極上および引き出し部の全面に絶縁膜を形成した。本実施例では、第1バス電極、絶縁膜、次いで第2バス電極を逐次形成する例である。
以下に、この有機EL発光素子の各作製プロセスを説明する。
[青色フィルターの作製]
透明支持基板としてコーニングガラスTM(50×50×1.1mm)を用い、この上に厚さ1.5μmのブラックマトリックス(富士フイルムアーチ社製、CK7800)を形成し、青色フィルター材料(富士フィルムアーチ社製、カラーモザイクCB−7001)をスピンコート法で塗布した後フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、青色フィルタの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[緑色変換フィルタの作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。光重合性樹脂(V259PA/P5、新日鐵化学(株)製)100重量部を加えて溶解させ塗布液を得た。この塗布溶液を、青色フィルターのラインパターンが形成済である透明支持基板上にスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、緑色変換フィルターの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[赤色変換フィルター層の作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.6重量部)、ローダミン6G(0.3重量部)、ベーシックバイオレット11(0.3重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。光重合性樹脂(V259PA/P5、新日鐵化学(株)製)100重量部を加えて溶解させ塗布液を得た。この塗布溶液を、青色フィルタおよび緑色変換フィルタのラインパターンが形成済である透明支持基板上にスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、赤色変換フィルタの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[平坦化層(高分子膜層)の作製]
これらの色変換フィルタの上に、UV硬化型樹脂(エポキシ変性アクリレート;JSR社製、NN810)をスピンコート法にて塗布し、高圧水銀灯にて照射して膜厚8μmで高分子膜層を形成した。このとき、色変換フィルターのパターンは変形がなく、かつ、高分子膜層の上面は平坦であった。
[パッシベーション層(無機膜層)の作製]
室温において、DCスパッタ法によりSiOx膜を300nm成膜して無機膜層を形成した。スパッタターゲットにはSiを用い、スパッタガスとしてArおよび酸素の混合ガスを用いた。
[第1バス電極の形成]
第1バス電極としてAlパターンを形成した。第1バス電極は外部駆動回路との接続部位から表示部内の、領域1および領域2の所定部位まで(本実施例では表示部内の中央部までの領域)配線される。DCスパッタ法により、室温でAl膜を300nm形成した。スパッタターゲットにはAlを用い、スパッタガスとしてArを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に燐酸と硝酸と酢酸の混合液をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅7μmのパターンを形成した。このようにして形成した第1バス電極(Al電極)の抵抗率はおよそ8.0×10−6Ωcmであった。
[絶縁膜の形成]
絶縁膜としてノボラック系樹脂を材料としたポジ型フォトレジスト(JSR社製JEM700R2)をフォトリソグラフィ法により形成した。なお、絶縁膜は、第1バス電極上と引き出し部の全面に形成した。実施例1と同様に、ポストベークにより絶縁膜の端部および側面部のテーパー形状を傾斜角度が約10°となるように制御した。
[第2バス電極の形成]
第2バス電極としてMoパターンを形成した。第2バス電極は外部駆動回路との接続部のほぼ中央部から表示部の約1/4の位置まで配線される。DCスパッタ法により、室温でMo膜を300nm形成した。スパッタターゲットにはMoを用い、スパッタガスとしてArを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に燐酸と硝酸と酢酸の混合液をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅7μmのパターンを形成した。この第2バス電極(Mo電極)の抵抗率はおよそ1.5×10−5Ωcmであった。
第1バス電極としてAl、第2バス電極としてMoを用いることにより、第1および第2バス電極ともにMoを用いる場合に比較して、パネル面内での電圧降下をおよそ50%に小さくできることが確認できた。
[第1電極の形成]
第1電極としてIn−Zn酸化物パターンを形成した。第1電極は表示領域に走査線方向に4つの領域に分割して形成される。DCスパッタ法により、室温でIn−Zn酸化物膜を200nm形成した。スパッタターゲットにはIn−Zn酸化物焼成ターゲットを用い、スパッタガスとしてArおよび酸素の混合ガスを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に蓚酸をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅58μm、間隙7μmのパターンを形成した。
[有機発光層および第2電極の作製]
以上の工程に続き、第1電極を形成した第1電極基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層を、真空を破らずに順次成膜した。成膜に際して真空槽内圧は1×10−4Paまで減圧した。正孔注入層は銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層は4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。発光層は4,4′−ビス[2,2′−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子注入層はアルミキレート(Alq)を20nm積層した。
この後、第1電極のラインと垂直に幅0.165mm、空隙0.03mmギャップのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層からなる第2電極(陰極)を、真空を破らずに形成した。こうして得られた有機発光素子をグローブボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラスとUV硬化接着剤を用いて封止した。
本実施例においても、実施例1と同様の駆動試験を行った結果、実施例1と同様に輝度保持率の低下を抑制できることが確認された。また、本実施例では、絶縁膜を引き出し部にも形成しているため、バス電極と外部駆動回路との接続に際して位置ずれがあっても有機EL発光素子の電極部の短絡を起こすことはなかった。
(実施例5)
以下に、第5の実施例を説明する。この実施例では、有機EL発光素子は画素数320×240×RGB、画素ピッチ0.195mmで形成した。第1電極の分割は実施例1と同様であり、デューティー比は1/60である。本実施例では、第1バス電極と第2バス電極を積層型で形成する例である。また、本実施例では、第1バス電極と第2バス電極の線幅が異なるように形成した。本実施例の場合、第1バス電極上および引き出し部の全面に絶縁膜を形成した。
以下に、この有機EL発光素子の各作製プロセスを説明する。
[青色フィルターの作製]
透明支持基板としてコーニングガラスTM(50×50×1.1mm)を用い、この上に厚さ1.5μmのブラックマトリックス(富士フイルムアーチ社製、CK7800)を形成し、青色フィルター材料(富士フィルムアーチ社製、カラーモザイクCB−7001)をスピンコート法で塗布した後フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、青色フィルタの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[緑色変換フィルタの作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.7重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。光重合性樹脂(V259PA/P5、新日鐵化学(株)製)100重量部を加えて溶解させ塗布液を得た。この塗布溶液を、青色フィルターのラインパターンが形成済である透明支持基板上にスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、緑色変換フィルターの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[赤色変換フィルター層の作製]
蛍光色素としてクマリン6(0.6重量部)、ローダミン6G(0.3重量部)、ベーシックバイオレット11(0.3重量部)を溶剤のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)120重量部へ溶解させた。光重合性樹脂(V259PA/P5、新日鐵化学(株)製)100重量部を加えて溶解させ塗布液を得た。この塗布溶液を、青色フィルタおよび緑色変換フィルタのラインパターンが形成済である透明支持基板上にスピンコート法で塗布し、フォトリソグラフィ法によりパターンニングを実施して、赤色変換フィルタの線幅0.57mm、ピッチ0.195mm、膜厚10μmのラインパターンを得た。
[平坦化層(高分子膜層)の作製]
これらの色変換フィルタの上に、UV硬化型樹脂(エポキシ変性アクリレート;JSR社製、NN810)をスピンコート法にて塗布し、高圧水銀灯にて照射して膜厚8μmで高分子膜層を形成した。このとき、色変換フィルターのパターンは変形がなく、かつ、高分子膜層の上面は平坦であった。
[パッシベーション層(無機膜層)の作製]
室温において、DCスパッタ法によりSiOx膜を300nm成膜して無機膜層を形成した。スパッタターゲットにはSiを用い、スパッタガスとしてArおよび酸素の混合ガスを用いた。
[第1バス電極の形成]
第1バス電極としてAlパターンを形成した。第1バス電極は外部駆動回路との接続部位から表示部内の、領域1および領域2の所定部位まで(本実施例では表示部内の中央部までの領域)配線される。DCスパッタ法により、室温でAl膜を300nm形成した。スパッタターゲットにはAlを用い、スパッタガスとしてArを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に燐酸と硝酸と酢酸の混合液をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅10μmのパターンを形成した。このようにして形成した第1バス電極(Al電極)の抵抗率はおよそ8.0×10−6Ωcmであった。
[絶縁膜の形成]
絶縁膜としてノボラック系樹脂を材料としたポジ型フォトレジスト(JSR社製JEM700R2)をフォトリソグラフィ法により形成した。なお、絶縁膜は、第1バス電極上と引き出し部の全面に形成した。実施例1と同様に、ポストベークにより絶縁膜の端部および側面部のテーパー形状を傾斜角度が約10°となるように制御した。
[第2バス電極の形成]
第2バス電極として第1バス電極と同じ材料であるAlをパターン形成した。第2バス電極は外部駆動回路との接続部から表示部の端部(領域Aの引き出し部近傍)の位置まで配線される。DCスパッタ法により、室温でAl膜を300nm形成した。スパッタターゲットにはAlを用い、スパッタガスとしてArを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に燐酸と硝酸と酢酸の混合液をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅5μmのパターンを形成した。本実施例では、第1バス電極の配線長は約44mmであり、第2バス電極の配線長は約22mmであった。従って配線幅をそれぞれ10μmおよび5μmとしたことにより、第1バス電極と第2バス電極の配線抵抗はほぼ等しくなった。
[第1電極の形成]
第1電極としてIn−Zn酸化物パターンを形成した。第1電極は表示領域に走査線方向に4つの領域に分割して形成される。DCスパッタ法により、室温でIn−Zn酸化物膜を200nm形成した。スパッタターゲットにはIn−Zn酸化物焼成ターゲットを用い、スパッタガスとしてArおよび酸素の混合ガスを用いた。フォトリソグラフィによりレジストをパターンニングした後に蓚酸をエッチング液として用いてパターンニングすることにより配線幅55μm、間隙10μmのパターンを形成した。
[有機発光層および第2電極の作製]
以上の工程に続き、第1電極を形成した第1電極基板を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子注入層を、真空を破らずに順次成膜した。成膜に際して真空槽内圧は1×10−4Paまで減圧した。正孔注入層は銅フタロシアニン(CuPc)を100nm積層した。正孔輸送層は4,4′−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)を20nm積層した。発光層は4,4′−ビス[2,2′−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を30nm積層した。電子注入層はアルミキレート(Alq)を20nm積層した。
この後、第1電極のラインと垂直に幅0.165mm、空隙0.03mmギャップのストライプパターンが得られるマスクを用いて、厚さ200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層からなる第2電極(陰極)を、真空を破らずに形成した。こうして得られた有機発光素子をグローブボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラスとUV硬化接着剤を用いて封止した。
本実施例においても、実施例1と同様の駆動試験を行った結果、実施例1と同様に輝度保持率の低下を抑制できることが確認された。また、本実施例では、絶縁膜を引き出し部にも形成しているため、バス電極と外部駆動回路との接続に際して位置ずれがあっても有機EL発光素子の電極部の短絡を起こすことはなかった。
以上の実施例から、本発明の有機EL発光素子のデューティー比は1/60である。一方、同じ精細度の有機EL発光素子を、単純に2分割し、信号線を発光素子の2方向から取り出すだけの配線構造では、デューティー比は1/120となる。従って、本発明の有機EL発光素子は、従来のものと比べて輝度半減期によって定義される寿命が約2倍となった。また、上記実施例の有機EL発光素子は、4分割された信号線の境界において輝度の変化もほぼ連続的に変化しており、目視で輝度差を認識することはできなかった。これは、4分割された信号線の境界において信号線の抵抗値、即ち電圧降下がほぼ連続的に変化することによる。さらに、上記実施例で示されるように、絶縁膜を外部駆動回路との接続部や引き出し部にも形成することにより、バス電極と外部駆動回路との接続に際して位置ずれがあっても有機EL発光素子の電極部の短絡を起こすことはない。
上記実施例では、多色有機EL発光素子の例を示したが、色変換フィルタを設ける手順を省略することにより、いわゆるモノクロ有機EL発光素子を得ることができる。
(a)〜(c)は、本発明の有機EL発光素子の概略断面図であり、(d)は有機発光層の層構造の一例を示す図である。 本発明の有機EL発光素子の概略平面図である。 本発明の第1電極部を表す図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)のa−a’断面図であり、(c)は(a)のb−b’断面図である。 (a)〜(l)は本発明の第一電極部の配線の例を示す図である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)および(c)は、それぞれ(a)のa−a’およびb−b’断面図である。 第1電極部の絶縁膜の端部形状と透明導電膜の形状を説明するための断面SEM像である。 第1電極部の配線部分の断面SEM像である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)および(c)は、それぞれ(a)のa−a’およびb−b’断面図である。 (a)〜(i)は本発明の第一電極部の配線の例を示す図である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)、(c)および(d)は、それぞれ(a)のa−a’、b−b’およびc−c’断面図である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)、(c)および(d)は、それぞれ(a)のa−a’、b−b’およびc−c’断面図である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を示す図である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)、(c)および(d)は、それぞれ(a)のa−a’、b−b’およびc−c’断面図である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)および(c)は、それぞれ(a)のa−a’およびb−b’断面図である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)、(c)、(d)および(e)は、それぞれ(a)のa−a’、b−b’、c−c’およびd−d’断面図である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)、(c)および(d)は、それぞれ(a)のa−a’、b−b’およびc−c’断面図である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)、(c)、(d)および(e)は、それぞれ(a)のa−a’、b−b’、c−c’およびd−d’断面図である。 本発明の有機EL素子の一実施形態を示す図であり、(a)は平面図、(b)、(c)および(d)は、それぞれ(a)のa−a’、b−b’およびc−c’断面図である。 (a)および(b)は、本発明の有機EL素子の第1電極部の絶縁膜の形成例を示す図である。 (a)、(b)および(c)は、本発明の有機EL素子の第1電極部の絶縁膜の形成例を示す図である。 本発明の有機EL素子の製造方法を説明するための図である。 本発明の有機EL素子の製造方法を説明するための図である。 本発明の有機EL素子の製造方法を説明するための図である。 本発明の有機EL発光素子の第1電極部の構造を示す平面図である。 (a)本発明の有機EL発光素子の第1電極部(絶縁膜部分を含む)の構造を示す平面図である。(b)および(c)はそれぞれ(a)のa−a’およびb−b’断面の一部を表す図である。
符号の説明
10、20、30、40 多色有機発光表示素子
102 支持基板
104 第一電極
106 第二電極
108 ブラックマトリックス
110 色変換フィルタ層
112 平坦化層
114 パッシベーション層
116 有機発光層
118 封止部材
120 外周封止層
302n バス電極
304n 絶縁膜

Claims (23)

  1. 支持基板上に設けられた第1電極と、該第1電極に直交して対向配置された第2電極と、これら第1電極と第2電極間に配置された有機EL層とを含む有機EL発光素子であって、前記第1電極が、複数の領域に分割され、該複数の領域のそれぞれで対応する複数のバス電極と接続される第1電極部からなり、第1電極の複数の領域がそれぞれ独立して駆動されることを特徴とする有機EL発光素子。
  2. 前記第1電極部の複数のバス電極が絶縁膜により絶縁されていることを特徴とする請求項1に記載の有機EL発光素子。
  3. 前記バス電極が絶縁膜と少なくとも一部で交互に積層されており、前記絶縁膜はバス電極と第1電極が接続される接続部に開口部を有することを特徴とする請求項2に記載の有機EL発光素子。
  4. 前記複数のバス電極が支持基板上に形成され、該複数のバス電極の少なくとも一部を覆って絶縁膜が形成されることを特徴とする請求項2に記載の有機EL発光素子。
  5. 前記絶縁膜がノボラック樹脂、ポリイミドおよびアクリル系樹脂から選択される高分子材料、または、酸化珪素、酸化窒素、酸化窒化珪素および酸化アルミニウムから選択される無機材料からなることを特徴とする請求項2から4に記載の有機EL発光素子。
  6. バス電極と複数に分割された第1電極の接続部が複数に分割された第1電極間の隣接する端部から等距離にあることを特徴とする請求項1から5に記載の有機EL発光素子。
  7. 前記複数のバス電極が、外部駆動回路への接続部と引き出し部を含み、前記絶縁膜が、これらの領域の少なくとも一部に形成され、前記複数のバス電極の各々が絶縁膜と交互に積層されていることを特徴とする請求項2から6に記載の有機EL発光素子。
  8. 前記第1電極がインジウム、スズ、亜鉛の酸化物またはこれらの混合酸化物よりなる材料から選択され、前記複数のバス電極がAl、Al合金、Ag、Ag合金、Cu、Ni、Cr、Mo、Wからなる金属から選択されることを特徴とする請求項1から7に記載の有機EL発光素子。
  9. 前記複数のバス電極が少なくとも一部で異なる金属から選択されることを特徴とする請求項8に記載の有機EL発光素子。
  10. 第1電極とバス電極が接続されている接続部が有機EL発光素子の発光に寄与する開口部以外の領域にあることを特徴とする請求項1から9に記載の有機EL発光素子。
  11. 第1電極が2または3に分割されていることを特徴とする請求項1から10に記載の有機EL発光素子。
  12. 支持基板上に、複数の領域に分割され、該複数の領域のそれぞれで対応する複数のバス電極と接続される複数に分割された第1電極を形成する工程と、有機EL層および第2電極を形成する工程とを含む、有機EL発光素子の製造方法であって、前記第1電極を形成する工程が、
    (1)支持基板上に第1電極との接続部を有する複数のバス電極を形成する工程と、
    (2)対応する複数のバス電極のみに前記接続部で接続するように、分割された第1電極を形成する工程と
    を含むことを特徴とする有機EL発光素子の製造方法。
  13. 支持基板上に、複数の領域に分割され、該複数の領域のそれぞれで対応する複数のバス電極と接続される複数に分割された第1電極を形成する工程と、有機EL層および第2電極を形成する工程とを含む、有機EL発光素子の製造方法であって、前記第1電極を形成する工程が、
    (1)支持基板上に第1電極との接続部を有する複数のバス電極を形成する工程と、
    (2)前記バス電極の接続部以外であって、前記バス電極の少なくとも一部を覆うように絶縁膜を形成する工程と、
    (3)対応する複数のバス電極のみに前記接続部で接続するように、分割された第1電極を形成する工程と
    を含むことを特徴とする有機EL発光素子の製造方法。
  14. 支持基板上に、複数の領域に分割され、該複数の領域のそれぞれで対応する複数のバス電極と接続される複数に分割された第1電極を形成する工程と、有機EL層および第2電極を形成する工程とを含む、有機EL発光素子の製造方法であって、前記第1電極を形成する工程が、
    (1)支持基板上に第1電極との接続部を有する1または複数のバス電極を形成する工程と、
    (2)バス電極の接続部以外であって、前記バス電極を覆うように絶縁膜を形成する工程と、
    (3)前記(1)および(2)の工程を繰り返し、必要な複数のバス電極を形成する工程と、
    (4)対応する複数のバス電極のみに接続部で接続するように、分割された第1電極を形成する工程と
    を含むことを特徴とする有機EL発光素子の製造方法。
  15. 前記絶縁膜が、リフトオフ法、ドライエッチング法またはフォトリソグラフィ法により形成されることを特徴とする請求項13または14に記載の有機EL発光素子の製造方法。
  16. 前記絶縁膜がノボラック樹脂、ポリイミドおよびアクリル系樹脂から選択される高分子材料、または、酸化珪素、酸化窒素、酸化窒化珪素および酸化アルミニウムから選択される無機材料からなることを特徴とする請求項13から15に記載の有機EL発光素子の製造方法。
  17. 前記第1電極がインジウム、スズ、亜鉛の酸化物またはこれらの混合酸化物よりなる材料から選択され、前記複数のバス電極がAl、Al合金、Ag、Ag合金、Cu、Ni、Cr、Mo、Wからなる金属から選択されることを特徴とする請求項12から16に記載の有機EL発光素子の製造方法。
  18. 前記複数のバス電極が少なくとも一部で異なる金属から選択されることを特徴とする請求項17に記載の有機EL発光素子の製造方法。
  19. 前記バス電極数および第1電極の分割数が2または3であることを特徴とする請求項12から18に記載の有機EL発光素子の製造方法。
  20. 前記絶縁膜がテーパー形状に形成され、該テーパー形状の傾斜角度が7°以上30°未満であることを特徴とする。請求項2から11に記載の有機EL発光素子。
  21. 前記第1電極側または第2電極側に色変換フィルタをさらに含むことを特徴とする請求項1から11に記載の有機EL発光素子。
  22. 前記(1)の工程が、基板上に色変換フィルタを形成する工程を含み、該色変換フィルタ上にバス電極を形成することを特徴とする請求項12から19に記載の有機EL発光素子の製造方法。
  23. 前記有機EL層と第2電極を形成する工程の後に、第2電極側に色変換フィルタを形成する工程を含むことを特等とする請求項12から19に記載の有機EL発光素子の製造方法。
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