JP2004287478A - 商品の予測需要量を算出する方法と装置とそのためのプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも優れた「予測需要量を算出する技術」を提供すること。
【解決手段】本発明は、複数種類の商品がある場合に、種類毎の予測需要量をコンピュータを用いて算出する方法である。この予測需要量算出方法は、コンピュータが、以下の各工程、即ち、(1)種類毎の商品特性を示す商品特性情報リストを記憶する工程と、(2)商品特性情報リストに基づいて、商品特性が近似する種類群からなるグループが構成されるように前記した複数種類の商品をグループ分けする工程と、(3)グループ毎に最適な予測手法を選択する工程と、(4)グループ毎に、当該グループに対して選択された予測手法を用いて、当該グループに属する種類毎の予測需要量を算出する工程とを実行する。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、複数種類の商品がある場合に、種類毎の予測需要量をコンピュータを用いて算出する方法である。この予測需要量算出方法は、コンピュータが、以下の各工程、即ち、(1)種類毎の商品特性を示す商品特性情報リストを記憶する工程と、(2)商品特性情報リストに基づいて、商品特性が近似する種類群からなるグループが構成されるように前記した複数種類の商品をグループ分けする工程と、(3)グループ毎に最適な予測手法を選択する工程と、(4)グループ毎に、当該グループに対して選択された予測手法を用いて、当該グループに属する種類毎の予測需要量を算出する工程とを実行する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、商品の予測需要量(予測販売数、予測受注数等)を算出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、商品の需要量を予測することが頻繁に実施されている。例えば、複数の車種を生産している会社では、車種毎の販売台数を予測しておくことがある。販売台数を予測しておくと、予測された台数を生産するための準備をしておくことができ、受注してから短期間で納車することができる。
【0003】
現在では、商品の予測需要量を算出するための様々な手法(本明細書では予測手法と記載する)が確立されている。各予測手法はそれぞれ異なる観点に基づいて確立されたものであるために、予測手法Aによって商品Xの予測需要量を算出すると実績需要量との誤差が小さくなるが、予測手法Bによって商品Xの予測需要量を算出すると誤差が大きくなることがある。従って、複数車種を生産する会社のように複数種類の商品を扱う場合は、全種類の商品に対して一律に同じ予測手法を用いると、商品の種類によっては誤差が大きくなることがある。このために、商品の種類毎に最適な予測手法を選択することが必要とされている。下記特許文献1には、最適な予測手法を選択するための技術が開示されている。この技術では、商品の実績需要量(実際に得られた需要量)を分析し、その分析結果からその商品にとって最適な予測手法を選択する。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−250888号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した特許文献1に記載の技術を用いれば、商品の種類に応じて最適な予測手法を選択することができる。しかしながら、この技術は2つの問題点を有している。
(1)全種類の商品について実績需要量を分析する必要があるために、予測手法を選択するのに手間(例えば計算時間)がかかる。
(2)選択された予測手法を用いて予測需要量を算出したにもかかわらず、算出された予測需要量と実際に得られた実績需要量との間に大きな誤差が生じてしまうことがある。
【0006】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、従来よりも優れた「予測需要量を算出する技術」を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段と作用と効果】本発明者らは、商品特性が近似する種類群については共通の予測手法が選択される傾向があることを見出した。即ち、商品特性が近似するn種類の商品がある場合は、そのうちの一種類の商品(これはnより少ない数であれば複数の種類でもよい)の実績需要量に基づいて最適な予測手法を選択すれば、その選択された予測手法はn種類の全ての商品に対して最適なものであることがわかった。この知見をもとに本発明が創作された。
【0008】
上記課題を解決するための一つの技術は、複数種類の商品がある場合に、種類毎の予測需要量をコンピュータを用いて算出する方法である。この方法では、コンピュータが以下の各工程を実行することによって予測需要量を得る。
(A)種類毎の商品特性を示す商品特性情報リストを読取る工程。
(B)商品特性情報リストに基づいて、商品特性が近似する種類群からなるグループが構成されるように前記した複数種類の商品をグループ分けする工程。
(C)グループ毎に最適な予測手法を選択する工程。
(D)グループ毎に、当該グループに対して選択された予測手法を用いて、当該グループに属する種類毎の予測需要量を算出する工程。
本方法における予測手法選択工程(上記の(C)の工程)は、次の処理を行なうことによって実施されてもよい。(1)まず、各予測手法を用いて、グループに属する種類の商品の「過去の所定期間における予測需要量」を算出する(即ち、過去に遡及して過去の需要量を「予測」してみる)。(2)次に、各予測手法によって算出された「所定期間における予測需要量」と、所定期間における実績需要量とを対比し、誤差が最も少ない予測手法を選択する。このようにして予測手法を選択する場合は、グループに属する一種類の商品を対象として上記の(1)と(2)の処理を実行してもよいし、グループに属するいくつかの種類(当該グループに属する全ての種類の数よりも少ない数)の商品を対象にして上記の(1)と(2)の処理を実行してもよい。
本方法によると、全ての種類の商品の実績需要量を分析しなくとも、全ての種類の商品に対して最適な予測手法を選択することができる。このために、例えば、予測需要量を算出するための計算時間を短縮できることが期待できる。本方法を用いることによって、従来より容易に予測需要量を算出できるようになることが期待できる。
【0009】
上記した予測需要量算出方法において、前記した「グループ分けする工程」は、種類毎の商品特性をそれぞれ数値データに変換する数量化III類法と、変換して得られた種類毎の数値データに基づいてグループ分けするクラスター分析法とを用いてもよい。
数量化III類法とクラスター分析法とを用いれば、複数種類の商品をうまくグループ分けすることができる。
【0010】
上記の技術は、次のように表現することもできる。その技術とは、複数種類の商品がある場合に、種類毎の予測需要量を算出する装置である。この予測需要量算出装置は、種類毎の商品特性を示す商品特性情報リストを記憶している手段と、商品特性情報リストに基づいて、商品特性が近似する種類群からなるグループが構成されるように前記複数種類の商品をグループ分けする手段と、グループ毎に最適な予測手法を選択する手段と、グループ毎に、当該グループに対して選択された予測手法を用いて、当該グループに属する種類毎の予測需要量を算出する手段とを有する。
この装置を用いると、従来より容易に予測需要量を算出できるようになることが期待できる。
【0011】
上記の技術は、さらに別の表現で記載することもできる。その技術とは、複数種類の商品がある場合に、種類毎の予測需要量をコンピュータに算出させるためのプログラムである。このプログラムは、種類毎の商品特性を示す商品特性情報リストを記憶する処理と、商品特性情報リストに基づいて、商品特性が近似する種類群からなるグループが構成されるように前記の複数種類の商品をグループ分けする処理と、グループ毎に最適な予測手法を選択する処理と、グループ毎に、当該グループに対して選択された予測手法を用いて、当該グループに属する種類毎の予測需要量を算出する処理とをコンピュータに実行させる。
このプログラムを用いると、コンピュータが予測需要量を算出するための計算時間を短縮できると思われる。従来よりも容易に予測需要量を算出できるようになることが期待できる。
【0012】
また、上記課題を解決するために創作されたもう一つの技術は、商品の予測需要量をコンピュータを用いて算出する方法である。この方法では、コンピュータが以下の各工程を実行することによって予測需要量を得る。
(A)所定期間における実績需要量を読取る工程。
(B)前記の所定期間の開始前に遡及して前記の所定期間における予測需要量を算出する第1算出工程。
(C)所定期間における実績需要量と所定期間における予測需要量との差が所定量より大きい場合に、その差が生じた原因(以下では需要量変化原因と記載する場合がある)を特定する工程。
(D)特定された原因(需要量変化原因)に起因する「需要量の変化量」を算出できるモデルを作成する工程。
(E)前記の所定期間より後の特定期間における予測需要量を算出する第2算出工程。
そして、第2算出工程(上記の(E)の工程)では、特定期間に前記した原因(需要量変化原因)が予定されている場合に、前記のモデルを用いて算出される「需要量の変化量」が加えられた「特定期間における予測需要量」を算出する。
本方法は、所定の予測手法を用いて所定期間の予測需要量を算出し、その予測需要量が実績需要量から大きくかけ離れた場合は、需要量変化原因を特定する。需要量変化原因が特定されると、回帰分析モデル等を用いて、需要量変化原因と需要量の変化量との関係をモデル化する。そして、将来に需要量変化原因が予定されている場合は、モデルから算出される「需要量の変化量」を加味した予測需要量を算出する。
なお、上記の「需要量の変化量」とは、数量だけを意味するのではなく、例えば変化率も含む概念である。従って、上記の「加えられた」とは、加算だけを意味するのではなく、乗算を意味する場合もある。
従来のように予測需要量を単純に算出するだけでは、需要量変化原因の影響で予測需要量と実績需要量との間に大きな誤差が生じる可能性がある。本方法によると、需要量変化原因に起因した「需要量の変化量」が加えられた予測需要量が算出されるために、予測需要量が実績需要量から大きく外れることがなくなる。本方法を用いると、予測需要量を精度よく算出することができる。
【0013】
上記の技術は、次のように表現することができる。その技術とは、商品の予測需要量を算出する装置である。この予測需要量算出装置は、所定期間における実績需要量を記憶している手段と、前記の所定期間の開始前に遡及して前記の所定期間における予測需要量を算出する第1算出手段と、所定期間における実績需要量と所定期間における予測需要量との差が所定量より大きい場合に、その差が生じた原因を特定する手段と、特定された原因に起因する「需要量の変化量」を算出できるモデルを作成する手段と、前記の所定期間より後の特定期間における予測需要量を算出する第2算出手段とを有する。そして、その第2算出手段は、特定期間に前記の原因が予定されている場合に、前記したモデルを用いて算出される「需要量の変化量」が加えられた「特定期間における予測需要量」を算出する。
この装置を用いると、予測需要量を精度よく算出できるようになることが期待できる。
【0014】
上記の技術は、さらに別の表現で記載することもできる。その技術とは、商品の予測需要量をコンピュータに算出させるためのプログラムである。このプログラムは、所定期間における商品の実績需要量を記憶する処理と、前記の所定期間の開始前に遡及して前記の所定期間における前記の商品の予測需要量を算出する第1算出処理と、所定期間における実績需要量と所定期間における予測需要量との差が所定量より大きい場合に、その差が生じた原因を特定する処理と、特定された原因に起因する「需要量の変化量」を算出できるモデルを作成する処理と、前記の所定期間より後の特定期間における前記の商品の予測需要量を算出する第2算出処理とをコンピュータに実行させる。さらに、前記の第2算出処理では、前記の特定期間に前記の原因が予定されている場合に、前記したモデルを用いて算出される「需要量の変化量」が加えられた「特定期間における予測需要量」を算出するようにコンピュータを実行させる。
このプログラムを用いると、コンピュータが予測需要量を精度よく算出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】各請求項に記載の発明は、下記の形態で好適に実施することができる。
(形態1)請求項に記載の技術は、複数の車種を生産する会社が実施する。この場合、車種毎の月別予測販売台数を算出する。
(形態2)請求項に記載の「商品特性情報リスト」には、商品特性を決定するための複数のカテゴリー(平均実績需要量、商品のライフサイクル、商品の販売開始からの経過期間等)が用意されている。
(形態3)請求項に記載の「予測手法」としては、指数平滑法、移動平均法、センサス、X11ARIMA、重回帰分析法等を採用することができる。
【0016】
(形態4)請求項に記載の「グループ毎に最適な予測手法を選択する工程」は、次のようにして実行される。
(1)グループに属する所定の種類の商品の「過去の所定期間における実績需要量」に基づいて、所定の予測手法を用いて所定期間以外の過去の特定期間における予測需要量を算出する。
(2)特定期間における予測需要量と特定期間における実績需要量との誤差を算出する。
(3)他の様々な予測手法を順に用いて、上記の(1)と(2)の処理を実行する。
(4)上記(1)の「所定の種類の商品」以外のいくつかの種類(同一グループに属するいくつかの種類)の商品についても、上記(1)〜(3)の処理を実行する。
(5)誤差が最も小さい予測手法をそのグループの予測手法として選択する。
(6)予測対象のグループ毎に上記(1)〜(5)の処理を実行する。
【0017】
(形態5)請求項4又は5の技術は、複数の原因が特定される場合にも用いることができる。この場合、重回帰分析モデルを採用する。重回帰分析モデルには、複数の原因による相互作用項が設けられる。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明を具現化した実施例を説明する。図1は、自動車の予測販売台数を算出する装置2の概略図である。この予測販売台数算出装置2は、複数車種を生産する会社で使用され、車種毎の月別予測販売台数を算出する。
予測販売台数算出装置2は、記憶部10と情報処理部30と表示部40等から構成される。記憶部10と情報処理部30とは、信号線50によって接続されている。記憶部10と情報処理部30は相互に通信可能である。情報処理部30と表示部40とは、信号線52によって接続されている。情報処理部30から出力された画像データが表示部40に送られる。この予測販売台数算出装置2は、コンピュータシステムで構成されており、ハードウェア構成は通常のコンピュータと同一である。
【0019】
記憶部10は、特性情報記憶部12と実績販売台数記憶部14と予測手法記憶部16と販売台数変化要因記憶部18とフリー記憶部20とに分けられる。特性情報記憶部12は、車種毎の特性情報を記憶している。図2に、特性情報記憶部12の記憶内容を例示している。本実施例における車種の特性について簡単に説明しておく。
要求精度:予測販売台数を算出するにあたって要求される予測の精度を意味する。「要求精度無し」とは、予測の精度を決められないことを意味する。
販売台数:月別実績販売台数(過去に実際に販売された月別の販売台数)の平均に基づいて、「大」、「中」、「小」に区分している。
施策の頻度:販売促進施策(宣伝活動、販売促進イベント等)を実施する頻度を意味する。
競合車の多さ:他社が販売している競合車の種類の多少を意味する。
モデルサイクル:大きくモデルチェンジするサイクルを意味している。モデルサイクルの長さに基づいて、「短い」、「普通」、「長い」に区分している。
用途:法人と個人のどちらが所有(購入)することが多いのかを意味している。法人と個人とが同程度の割合で所有する場合には、「法人・個人」とする。
経過期間:販売開始から経過した期間を意味している。販売開始からあまり経過していない場合は「安定期前」とし、販売開始から充分な期間が経過している場合は「モデル末期」とし、「安定期前」と「モデル末期」の間を「安定期」としている。
年間誤差率:予測販売台数と実績販売台数の年間誤差を意味している。年間誤差率が大きいほど予測が困難な車種であると考えられる。
販売体系:販売店網が複数あるところ、単一の販売網でしか販売されない車種が「単売」であり、複数販売網でともに販売される車種が「併売」である。また、同一の車種をわずかに変えて2以上の販売網で販売することを「兄弟車」という。
【0020】
実績販売台数記憶部14は、車種毎の実績販売台数を記憶している。図3は、実績販売台数記憶部14の記憶内容の一例を示す。図3に示されるように、車種毎の月別実績販売台数が記憶されている。図中では月別販売台数を具体的な数字で示していない(A1、A2…と示している)。車種Bは、販売が開始されたのが2002年9月であるために、2002年8月以前の販売台数が記憶されていない。
【0021】
予測手法記憶部16(図1参照)は、月別実績販売台数から未来の販売台数(予測販売台数)を算出できる様々な予測手法(プログラム)を記憶している。例えば、指数平滑法、移動平均法、X11ARIMA、センサス等の種々のプログラムを記憶している。ここで記憶されているプログラムは、情報処理部30が実行する演算に用いられる。上記の各予測手法については、インターネットのホームページ「http://www.statsoft.co.jp/staapl.htm#arima」に簡単に記載されている。また、同友館出版の「計画策定と意思決定のための予測手法入門」(スピーロス・マクリダキス/スティーブン・C・フィールライト著、加藤五郎訳)にも記載されている。
【0022】
販売台数変化要因記憶部18は、販売台数を増加させる施策(販売台数プラス要因)や、販売台数を減少させる原因(販売台数マイナス要因)を時期に対応づけて車種毎に記憶している。図4に、販売台数変化要因記憶部18の記憶内容を例示している。例えば、車種Aの過去の販売台数プラス要因として、3つの施策(▲1▼2002年10月に大規模な宣伝活動を行なった。▲2▼2002年4月に値下げした。▲3▼2001年3月にナビを標準装備した。)が記憶されている。
【0023】
フリー記憶部20は、各処理を実行していく過程で情報処理部30が演算した各種情報を記憶する。
表示部40は、情報処理部30が演算した各種情報を表示できるディスプレイである。
【0024】
次に、情報処理部30が実行する処理について説明する。図5〜図11に、情報処理部30が実行する処理のフローチャートを示している。図5は、メイン処理のフローチャートである。これを見ると、情報処理部30が実行する処理は大きく分けて6つの処理から構成されることがわかる。具体的には、準備処理(ステップS10)、グルーピング処理(ステップS30)、予測手法選択処理(ステップS50)、仮予測処理(ステップS70)、モデル作成処理(ステップS100)、及び本予測処理(ステップS120)を順に実行していく。以下では、これらの各処理を詳細に説明していく。
【0025】
(準備処理;図5のステップS10)
図6に、準備処理のフローチャートを示す。準備処理では、まず、車種リストを作成しておく(ステップS12)。これにより、販売台数の予測対象とされる全ての車種がリストアップされる。なお、本実施例においては、予測対象となっている全ての車種数はNである。次いで、n=1を入力する(ステップS14)。この「n」は車種に対応しており、n=1は1番目の車種(本実施例の場合は車種A)を意味している。次に、車種リストの1番目の車種(車種A)の特性情報を記憶していく(ステップS16)。ステップS16を終えると、n=n+1を入力し(ステップS18)、nがNより大きいか否かを判定する(ステップS20)。即ち、全ての車種について特性情報を記憶したか否かが判定される。ここでNOとされると、ステップS16に戻って、次の車種(今の説明では2番目の車種(車種B))についての特性情報を記憶する処理を実行する。全ての車種について特性情報を記憶した場合(ステップS20でYESの場合)は、準備処理を終了する。この準備処理が実行されることによって、図2に例示した情報が記憶されることになる。
【0026】
(グルーピング処理;図5のステップS30)
図7に、グルーピング処理のフローチャートを示す。グルーピング処理では、特性情報記憶部12の記憶内容(図2に例示される情報)に基づいて、個体(車種)とカテゴリー(特性)との間の反応(1or0)を示した表を作成する(ステップS32)。図12には、ステップS32で作成された表が示されている。この表では、ローマ数字が各特性に対応している。例えば、要求精度のI〜IVは、「厳密な要求精度」、「±10%許容」、「±20%許容」、「要求精度無し」に順に対応しており、販売台数のI〜IIIは、「小」、「中」、「大」にそれぞれ対応している。この表では、当てはまる特性(ローマ数字)のところに「1」が示されており、当てはまらない特性のところに「0」が示されている。例えば、車種Aであれば要求精度が「要求精度無し」であるために(図2参照)、要求精度のI〜IIIのところに「0」が示されおり、要求精度のIVのところに「1」が示されている。
【0027】
つづいて、作成した表に基づいて数量化III類を用いて車種毎の二次元座標位置を算出する(図7のステップS34)。数量化III類を用いると、近似する特性をもつ個体同士が近い座標位置になり、異なる特性を持つ個体同士が離れた座標位置になる。数量化III類を用いて個体(本実施例の場合は車種)を二次元的に表現する方法については、多変量解析に関する種々の出版物に記載されている。例えば、現代数学社から出版されている「多変量解析法」(田中豊、脇本和昌著)にも記載されている。本明細書では、数量化III類に関する詳しい説明は省略する。このステップS34の処理を行なうことによって、図13の上の表に例示されるように車種毎の二次元座標位置が求められる。この車種毎の座標に基づいて、第1軸を横軸にとり第2軸を縦軸にとった座標平面上に車種をマッピングすると、図13の下の図のようになる。この図を見るとよくわかるが、車種A,E,G,Iは座標位置が近いことがわかり、さらに車種D,J,M,Nも座標位置が近いことがわかる。なお、図13の下の図は本実施例における処理で実際に作図するものではない(説明の便宜のために示しただけである)。それにかわって、次に説明するクラスター分析法を用いて座標位置が近い車種群をグループにしていく。
【0028】
車種毎の二次元座標位置を算出すると、次に、クラスター分析法を用いて複数の車種をいくつかのグループに分ける(ステップS36)。二次元座標位置で示される個体群をクラスター分析によってグループ分けする手法も、上記した出版物「多変量解析法」に記載されている。本明細書では、クラスター分析に関する詳しい説明は省略するが、図14を用いて簡単に説明しておく。本実施例におけるクラスター分析は、ユークリッド距離に基づいた最短距離法を採用している。図14に、クラスター分析によって得られたテンドログラムを、その端枝部分を省略して示している。図14の破線は、グループ分けの基準となるユークリッド距離を表している。この破線とテンドログラムが7つの点で交わっているので、7つのグループ(クラスター)が構築されている。なお、図中の※は、車種A〜N以外の車種を表している。図14の下には、各グループに含まれる車種を示している。例えば、第1グループには、車種A,E,G,Iが含まれている。これらの車種が同じグループに属するのは、上記した図13に示した座標位置からも当然であると考えられる。
図7に示されるステップS32〜S36のグルーピング処理を実行することによって、特性が近似する車種群からなるいくつかのグループが構築される。
なお、ステップS36の処理では、グループとそのグループに属する車種群とを対応づけてフリー記憶部20で記憶する処理も実行する。
【0029】
(予測手法選択処理;図5のステップS50)
図8に、予測手法選択処理のフローチャートを示す。まず、グルーピング処理で分けられた全グループ数Mを算出する(ステップS52)。本実施例では、M=7である。続いて、m=1を入力する(ステップS54)。ここでの「m」は、グループに対応しており、m=1は1番目のグループ(本実施例では第1グループ)を意味している(但しグループの順番は意味をもつものではない)。次に、第1グループにとって最適な予測手法を選択する(ステップS56)。図15に、このステップS56の処理内容を模式的に示している。図15を参照しながら、ステップS56の処理について詳しく説明する。
(1)まず、第1グループに属する車種群の中から2つ又は3つの車種を選択する。ここでは実績販売台数データが充実している車種(即ち、販売開始から長時間経過している車種)を優先して選択する。図15では、車種Aと車種Eを選択している。
(2)上記の(1)で選択された車種の、直近の過去1年(図15の期間2)を除いた期間(図15の期間1)における実績販売台数データに基づいて、その車種の直近の過去1年(図15の期間2)の月別販売台数を各予測手法(指数平滑法、移動平均法等)を用いて予測をしてみる。即ち、1年前の時点に遡及してその後の1年の需要量を予測するのである。例えば、過去10年分の実績販売台数データがある車種が選択された場合は、その車種の10年前から1年前までの9年分(108ヶ月分)の実績販売台数データに基づいて、1年前から現在までの12ヶ月分の月別販売台数(月別予測販売台数)を算出してみる。
この(2)の処理は、選択された車種毎に実行する。従って、図15の場合であれば、車種Aについて実行するとともに、車種Eについても実行する。
(3)上記した(2)の処理で算出された過去1年分の月別予測販売台数と、過去1年分の月別実績販売台数とを対比して、誤差が最も小さい予測手法を選択する。図15の場合であれば、車種Aと車種Eのどちらにおいても誤差が小さかった予測手法を選択する。
【0030】
上記したステップS56(図8参照)で選択された予測手法は、第1グループと対応づけてフリー記憶部20で記憶する。ステップS56の処理が終了すると、m=m+1を入力し(ステップS58)、mがMより大きいか否かを判定する(ステップS60)。即ち、全てのグループ(7つのグループ)に対して予測手法が選択されたか否かを判定する。ステップS60でNOと判定されると、ステップS56に戻って、次のグループ(今の説明だと2番目のグループ(第2グループ))に適合する予測手法を選択する。ステップS60でYESと判定されると、予測手法選択処理を終了する。
なお、本実施例では、全てのグループに対して予測手法を選択している。しかしながら、全てのグループに対して需要予測を行なう必要がない場合もある。この場合、全てのグループを予測対象グループと非予測対象グループとに分け、予測対象グループ数を上記フローチャートにおける「M」として予測手法選択処理を実行すればよい。このようにして予測手法選択処理を実行する場合は、以降の各処理でも予測対象グループ数を「M」とする。
【0031】
(仮予測処理;図5のステップS70)
図9に、仮予測処理のフローチャートを示している。仮予測処理では、まず、全グループ数Mを算出する(ステップS72;本実施例では7グループ)。次に、m=1を入力し(ステップS74)、当該グループ(この場合は第1グループ)に属する車種数Yを算出する(ステップS76)。続いてy=1を入力する(ステップS78)。ここでの「y」はグループ内の車種に対応しており、n=1かつy=1は第1グループに属する1番目の車種を意味している(但し車種の順番は何らかの意味を持つものではない)。次に、第1グループに対応した予測手法(上記した予測手法選択処理で選択された予測手法)を用いて、当該車種(この場合はy=1に対応する車種)の月別予測販売台数を算出する(ステップS80)。これにより、図16の(1)の表のような月別予測販売台数が算出されることになる。図16では、具体的な数値を示しておらず、月別予測販売台数をA1’、A2’…と表現している。なお、本実施例では、現在が2002年の12月であり、2003年の1月を予測起点月としている。
また、ステップS80の処理では、その予測手法を用いて過去の販売台数も予測してみる。即ち、過去の時点に遡及してその時点よりも後の期間の販売台数を予測してみる。例えば、20ヶ月分の実績販売台数データが存在する車種であれば、最初の数ヶ月分の実績販売台数データに基づいて、その数ヶ月より後の月別販売台数を算出する。図17に、このようにして算出された予測販売台数データを例示している(説明の便宜のために図17では実績販売台数データも示している)。図17では、具体的な数値を示しておらず、予測販売台数をA1’’、A2’’…で表現している。ここで算出された予測販売台数は、後述する各処理(特にモデル作成処理)で用いられる。図17を見ると、車種Aや車種Cについては、2002年7月〜12月までの予測販売台数が算出されているが、車種Bについては、2002年11月からの予測販売台数しか算出されていないことがわかる。これは、車種Aや車種Cについては、2002年7月以降の予測販売台数を算出できるだけの充分な実績販売台数データが存在するが、車種Bについては、2002年7月〜10月の予測販売台数を算出できるだけの実績販売台数データが存在しないことを意味している。ちなみに、図17をみると、車種Bに用いられる予測手法は、少なくとも2ヶ月分の実績販売台数データが存在しないと、その2ヶ月以降の予測販売台数を算出できないものであることがわかる。
【0032】
上記したステップS80(図9参照)で予測販売台数(未来の予測販売台数と過去の予測販売台数の双方を含む)を算出すると、その算出された値を車種に対応づけて記憶する(ステップS82)。このステップS82の処理を行なうことによって、図16の(1)の表に示されるような未来における予測販売台数が記憶されるとともに、図17に示されるような過去における予測販売台数が記憶される。
続いて、y=y+1を入力し(ステップS84)、yがYより大きいか否かを判別する(ステップS86)。即ち、第1グループ(今説明している例が第1グループである)に属する全ての車種について、予測販売台数が算出されたか否かが判別される。ここでNOとされると、ステップS80に戻って、次の車種についての予測販売台数を算出する処理を実行する。一方、ステップS86でYESとされると、m=m+1を入力し(ステップS88)、mがMより大きいか否かを判別する(ステップS90)。即ち、全てのグループについての処理が終了したか否かが判別される。ここでNOとされると、ステップS76に戻って、次のグループ(今説明している例だと第2グループ)についての処理を実行していく。ステップS90でYESとされると、仮予測処理を終了する。
【0033】
(モデル作成処理;図5のステップS100)
図10に、モデル作成処理のフローチャートを示す。モデル作成処理では、まず、予測対象となっている全ての車種数を算出する(ステップS102)。本実施例では、全車種数はNである。次いで、n=1を入力し(ステップS104)、1番目の車種について、過去の予測販売台数と実績販売台数との間で大きく異なる値が算出されている点(月;以下では特異点と記載する場合がある)があるか否かが判定される(ステップS106)。このステップS106の処理は、実績販売台数から予測販売台数を減算した値を月毎に算出し、その減算値の絶対値が200以上である点(月)を抽出することによって行なう。図17を例にして、もう少し詳しく説明する。例えば、車種Aであれば、2002年12月の実績販売台数A6から予測販売台数A6’’を減算した値の絶対値が200以上であれば、ステップS106の処理において車種Aの2002年12月が抽出されるが、その絶対値が200より小さい場合は車種Aの2002年12月が抽出されない。同様に、車種Aの他の月、さらには他の車種の全ての月についても実績販売台数から予測販売台数を減算した値の絶対値を算出し、その値が200以上か否かが判定される。
図10のステップS106で特異点が存在すると判定された場合は、ステップS108に進み、特異点が存在しないと判定された場合は、ステップS108,S110をスキップしてステップS112に進む。
【0034】
ステップS106において特異点を抽出すると、特異点になった要因(販売台数変化要因)を特定する(ステップS108)。この処理は、販売台数変化要因記憶部18の記憶内容を検索することによって行なう。即ち、車種Aを例にするならば、2002年10月において実績販売台数が予測販売台数よりも大きくプラスになっているとすれば、その2002年10月において販売台数がプラスになる販売台数変化要因を特定する。図4を例にすると、車種Aの販売台数プラス要因として、2002年10月に大規模な宣伝活動を行なったことが記憶されているので、図10のステップS108ではそれが特定される。なお、実績販売台数が予測販売台数よりもマイナスになっている場合は、ステップS108では販売台数マイナス要因から検索する。
なお本実施例では、このステップS108の処理を装置が実行しているが、人が実行するようにしてもよい。この場合、ステップS106で抽出された特異点の情報と、販売台数変化要因記憶部108の記憶内容とをディスプレイ40で表示すると販売台数変化要因を特定し易い。
【0035】
ステップS108の処理を終えると、続いてステップS110(図10参照)に進む。ステップS110では、ステップS108で特定された販売台数変化要因に基づいて、重回帰分析の手法を用いてモデルを作成する。重回帰分析は、公知の手法であるために詳しく説明しないが、簡単に説明しておく。重回帰分析によって作成されるモデルは、一般的には下記の式で表現される。
一般式「Y=β1・X1+β2・X2+β3・X3+α・(X1−X1’)・(X2−X2’)+…」
式中のYは、回帰分析の対象となる変数を表しており、本実施例の場合は、販売台数変化要因が作用して販売台数がどれだけプラスになるか(あるいはマイナスになるか)を意味している。即ち、Yは販売台数変化量である。
式中のX1、X2、X3…は、説明変数であり、本実施例の場合は販売台数変化要因を数値化したものが入力される。例えば、X1が「ナビの標準装備」に対応した説明変数である場合には、ナビが標準装備される場合にはX1に「1」が入力され、ナビが標準装備されない場合にはX1に「0」が入力される。この例示では、説明変数が「1」あるいは「0」のデジタル的なものであったが、アナログ的に説明変数が入力されることもあり得る。例えば、X2が「宣伝活動」に対応する説明変数である場合には、宣伝活動の規模に応じて数値を入力することがある。例えば、大規模な宣伝活動を行なった場合はX2に「3」を入力し、中規模な宣伝活動を行なった場合はX2に「2」を入力し、小規模な宣伝活動を行なった場合はX2に「1」を入力し、宣伝活動を行なわなかった場合はX2に「0」を入力するようにしてもよい。
モデル式のβ1、β2、β3…は、それぞれの説明変数に対応したパラメータである。図10のステップS110では、ステップS108で特定された販売台数変化要因と、その要因に影響を受けた月における予測販売台数と、当該月における実績販売台数とに基づいて、β1、β2、β3…が算出される。
また、式中の「α・(X1−X1’)・(X2−X2’)」は、2つの販売台数変化要因(この場合はX1とX2)の相互作用項である。例えば、ある月に2つの販売台数プラス要因(例えばX1とX2)が同時に作用した場合は、同時に作用したことに起因して販売台数変化量がよりプラスになったり、あるいはマイナスになったりすることがある。このような場合、「β1・X1+β2・X2」という式だけではYを正確に算出できないために、相互作用項を導入しているのである。なお、X1’は過去におけるX1の平均を表しており、X2’は過去におけるX2の平均を表している。このX1’とX2’はなくてもよく、相互作用項をα・X1・X2で表現することもできる。αは、相互作用に対応したパラメータであり、ステップS110で算出される数値である。
ステップS110で作成されたモデルは、車種に対応づけてフリー記憶部20で記憶される。
【0036】
ステップS106でNOと判定された場合、又は、ステップS110の処理を実行した場合は、n=n+1を入力し(ステップS112)、nがNより大きいか否かを判定する(ステップS114)。即ち、全ての車種について、特異点を抽出する処理が終了し、さらに、特異点が抽出された場合にはモデルを作成する処理が終了したか否かが判定される。ここでNOと判定されると、ステップS106に戻って、次の車種についての処理を実行する。またYESと判定されると、モデル作成処理を終了する。
【0037】
(本予測処理;図5のステップS120)
図11には、本予測処理のフローチャートが示されている。まず、予測対象になっている全ての車種数を算出する(ステップS122)。本実施例では、全車種数はNである。次いで、n=1を入力し(ステップS124)、1番目の車種について販売台数変化要因が予定されているか否かを判定する(ステップS126)。この処理は、販売台数変化要因記憶部18を検索することによって行なう。ここでYESとされるとステップS128に進み、NOとされるとステップS128〜S132をスキップしてステップS134に進む。ステップS128では、先に作成したモデルの説明変数に数値を入力する(ステップS128)。例えば、ステップS126で特定された販売台数変化要因に対応する説明変数には、その要因に対応する数値を入力し、それ以外の説明変数にはゼロを入力する。次に、数値が入力されたモデルを計算することによって販売台数変化量(即ちモデル式のY)を求める(ステップS130)。ここでは、マイナス要因が大きく影響する場合にはマイナスの値が算出されるし、プラス要因が大きく影響する場合にはプラスの値が算出される。ステップS128とS130の処理は、販売台数変化要因が予定されている月毎に実行される。従って、複数の月において販売台数変化要因が予定されている場合には、それぞれの月毎に販売台数変化量が算出される。
【0038】
図11のステップ132で販売台数変化分が算出されると、その算出された値を仮予測処理で算出された予測販売台数に反映させる。例えば、ステップ132において、車種Aの2003年6月がプラスα1と算出された場合には、2003年6月の予測販売台数にα1を加算する。この処理を行なうことによって、販売台数変化量が加味された予測販売台数が求められることになる。図16の(2)の表には、仮予測処理で算出された予測販売台数(図16の(1)の表)に販売台数変化量を加えた最終的な予測販売台数を例示している。例えば、車種Aの欄をみると、大規模な宣伝が行なわれる2003年6月における予測販売台数が上方修正されていることがよくわかる。
ステップS126でNOと判定された場合、又は、ステップS132の処理を実行した場合は、n=n+1を入力し(ステップS134)、nがNより大きいか否かを判定する(ステップS136)。即ち、全ての車種について、予定されている販売台数変化要因が加味された予測販売台数が求められたか否かが判定される。ここでNOとされると、ステップS126に戻って、次の車種についての処理を実行する。YESとされると、最終的に算出された車種毎の予測販売台数を表示する(ステップS138)。
【0039】
上記した予測販売台数算出装置2によると、特性が近似する車種群をグループにし、グループ単位で予測手法を選択する。このために、従来のように全ての車種の実績販売台数を分析する必要がなく、いくつかの車種の実績販売台数を分析するだけで、全ての車種に対して予測手法を選択することができる。このために、予測販売台数を算出するための計算量を減らすことができ、これにより計算時間も短縮できる。
また、販売台数変化要因が将来に予定されている場合には、その販売台数変化要因に起因した販売台数変化量を加えた予測販売台数を算出する。従って、予測精度が非常によい。
【0040】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0041】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の予測販売台数算出装置を模式的に示している。
【図2】特性情報記憶部の記憶内容を例示している。
【図3】実績販売台数記憶部の記憶内容を例示している。
【図4】販売台数変化要因記憶部の記憶内容を例示している。
【図5】情報処理部が行なう処理のフローチャートを示している。
【図6】準備処理のフローチャートを示している。
【図7】グルーピング処理のフローチャートを示している。
【図8】予測手法選択処理のフローチャートを示している。
【図9】仮処理処理のフローチャートを示している。
【図10】モデル作成処理のフローチャートを示している。
【図11】本予測処理のフローチャートを示している。
【図12】各車種の特性情報をデジタル的に数値化した表を示している。
【図13】上には各車種の特性情報の二次元座標位置が例示しており、下には各二次元座標位置を座標平面上にマッピングした図を示している。
【図14】クラスター分析を説明するための図を示している。
【図15】最適な予測手法を選択する処理を説明するための図を示している。
【図16】(1)には仮予測処理で算出された「車種毎の月別予測販売台数」を例示しており、(2)には本予測処理で修正された「車種毎の月別予測販売台数」を例示している。
【図17】過去の月別予測販売台数と実績予測販売台数とを示している。
【符号の説明】
2・・予測販売台数算出装置
10・・記憶部
12・・特性情報記憶部
14・・実績販売台数記憶部
16・・予測手法記憶部
18・・販売台数変化要因記憶部
20・・フリー記憶部
30・・情報処理部
40・・表示部
【発明の属する技術分野】本発明は、商品の予測需要量(予測販売数、予測受注数等)を算出する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、商品の需要量を予測することが頻繁に実施されている。例えば、複数の車種を生産している会社では、車種毎の販売台数を予測しておくことがある。販売台数を予測しておくと、予測された台数を生産するための準備をしておくことができ、受注してから短期間で納車することができる。
【0003】
現在では、商品の予測需要量を算出するための様々な手法(本明細書では予測手法と記載する)が確立されている。各予測手法はそれぞれ異なる観点に基づいて確立されたものであるために、予測手法Aによって商品Xの予測需要量を算出すると実績需要量との誤差が小さくなるが、予測手法Bによって商品Xの予測需要量を算出すると誤差が大きくなることがある。従って、複数車種を生産する会社のように複数種類の商品を扱う場合は、全種類の商品に対して一律に同じ予測手法を用いると、商品の種類によっては誤差が大きくなることがある。このために、商品の種類毎に最適な予測手法を選択することが必要とされている。下記特許文献1には、最適な予測手法を選択するための技術が開示されている。この技術では、商品の実績需要量(実際に得られた需要量)を分析し、その分析結果からその商品にとって最適な予測手法を選択する。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−250888号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した特許文献1に記載の技術を用いれば、商品の種類に応じて最適な予測手法を選択することができる。しかしながら、この技術は2つの問題点を有している。
(1)全種類の商品について実績需要量を分析する必要があるために、予測手法を選択するのに手間(例えば計算時間)がかかる。
(2)選択された予測手法を用いて予測需要量を算出したにもかかわらず、算出された予測需要量と実際に得られた実績需要量との間に大きな誤差が生じてしまうことがある。
【0006】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされたものであり、従来よりも優れた「予測需要量を算出する技術」を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段と作用と効果】本発明者らは、商品特性が近似する種類群については共通の予測手法が選択される傾向があることを見出した。即ち、商品特性が近似するn種類の商品がある場合は、そのうちの一種類の商品(これはnより少ない数であれば複数の種類でもよい)の実績需要量に基づいて最適な予測手法を選択すれば、その選択された予測手法はn種類の全ての商品に対して最適なものであることがわかった。この知見をもとに本発明が創作された。
【0008】
上記課題を解決するための一つの技術は、複数種類の商品がある場合に、種類毎の予測需要量をコンピュータを用いて算出する方法である。この方法では、コンピュータが以下の各工程を実行することによって予測需要量を得る。
(A)種類毎の商品特性を示す商品特性情報リストを読取る工程。
(B)商品特性情報リストに基づいて、商品特性が近似する種類群からなるグループが構成されるように前記した複数種類の商品をグループ分けする工程。
(C)グループ毎に最適な予測手法を選択する工程。
(D)グループ毎に、当該グループに対して選択された予測手法を用いて、当該グループに属する種類毎の予測需要量を算出する工程。
本方法における予測手法選択工程(上記の(C)の工程)は、次の処理を行なうことによって実施されてもよい。(1)まず、各予測手法を用いて、グループに属する種類の商品の「過去の所定期間における予測需要量」を算出する(即ち、過去に遡及して過去の需要量を「予測」してみる)。(2)次に、各予測手法によって算出された「所定期間における予測需要量」と、所定期間における実績需要量とを対比し、誤差が最も少ない予測手法を選択する。このようにして予測手法を選択する場合は、グループに属する一種類の商品を対象として上記の(1)と(2)の処理を実行してもよいし、グループに属するいくつかの種類(当該グループに属する全ての種類の数よりも少ない数)の商品を対象にして上記の(1)と(2)の処理を実行してもよい。
本方法によると、全ての種類の商品の実績需要量を分析しなくとも、全ての種類の商品に対して最適な予測手法を選択することができる。このために、例えば、予測需要量を算出するための計算時間を短縮できることが期待できる。本方法を用いることによって、従来より容易に予測需要量を算出できるようになることが期待できる。
【0009】
上記した予測需要量算出方法において、前記した「グループ分けする工程」は、種類毎の商品特性をそれぞれ数値データに変換する数量化III類法と、変換して得られた種類毎の数値データに基づいてグループ分けするクラスター分析法とを用いてもよい。
数量化III類法とクラスター分析法とを用いれば、複数種類の商品をうまくグループ分けすることができる。
【0010】
上記の技術は、次のように表現することもできる。その技術とは、複数種類の商品がある場合に、種類毎の予測需要量を算出する装置である。この予測需要量算出装置は、種類毎の商品特性を示す商品特性情報リストを記憶している手段と、商品特性情報リストに基づいて、商品特性が近似する種類群からなるグループが構成されるように前記複数種類の商品をグループ分けする手段と、グループ毎に最適な予測手法を選択する手段と、グループ毎に、当該グループに対して選択された予測手法を用いて、当該グループに属する種類毎の予測需要量を算出する手段とを有する。
この装置を用いると、従来より容易に予測需要量を算出できるようになることが期待できる。
【0011】
上記の技術は、さらに別の表現で記載することもできる。その技術とは、複数種類の商品がある場合に、種類毎の予測需要量をコンピュータに算出させるためのプログラムである。このプログラムは、種類毎の商品特性を示す商品特性情報リストを記憶する処理と、商品特性情報リストに基づいて、商品特性が近似する種類群からなるグループが構成されるように前記の複数種類の商品をグループ分けする処理と、グループ毎に最適な予測手法を選択する処理と、グループ毎に、当該グループに対して選択された予測手法を用いて、当該グループに属する種類毎の予測需要量を算出する処理とをコンピュータに実行させる。
このプログラムを用いると、コンピュータが予測需要量を算出するための計算時間を短縮できると思われる。従来よりも容易に予測需要量を算出できるようになることが期待できる。
【0012】
また、上記課題を解決するために創作されたもう一つの技術は、商品の予測需要量をコンピュータを用いて算出する方法である。この方法では、コンピュータが以下の各工程を実行することによって予測需要量を得る。
(A)所定期間における実績需要量を読取る工程。
(B)前記の所定期間の開始前に遡及して前記の所定期間における予測需要量を算出する第1算出工程。
(C)所定期間における実績需要量と所定期間における予測需要量との差が所定量より大きい場合に、その差が生じた原因(以下では需要量変化原因と記載する場合がある)を特定する工程。
(D)特定された原因(需要量変化原因)に起因する「需要量の変化量」を算出できるモデルを作成する工程。
(E)前記の所定期間より後の特定期間における予測需要量を算出する第2算出工程。
そして、第2算出工程(上記の(E)の工程)では、特定期間に前記した原因(需要量変化原因)が予定されている場合に、前記のモデルを用いて算出される「需要量の変化量」が加えられた「特定期間における予測需要量」を算出する。
本方法は、所定の予測手法を用いて所定期間の予測需要量を算出し、その予測需要量が実績需要量から大きくかけ離れた場合は、需要量変化原因を特定する。需要量変化原因が特定されると、回帰分析モデル等を用いて、需要量変化原因と需要量の変化量との関係をモデル化する。そして、将来に需要量変化原因が予定されている場合は、モデルから算出される「需要量の変化量」を加味した予測需要量を算出する。
なお、上記の「需要量の変化量」とは、数量だけを意味するのではなく、例えば変化率も含む概念である。従って、上記の「加えられた」とは、加算だけを意味するのではなく、乗算を意味する場合もある。
従来のように予測需要量を単純に算出するだけでは、需要量変化原因の影響で予測需要量と実績需要量との間に大きな誤差が生じる可能性がある。本方法によると、需要量変化原因に起因した「需要量の変化量」が加えられた予測需要量が算出されるために、予測需要量が実績需要量から大きく外れることがなくなる。本方法を用いると、予測需要量を精度よく算出することができる。
【0013】
上記の技術は、次のように表現することができる。その技術とは、商品の予測需要量を算出する装置である。この予測需要量算出装置は、所定期間における実績需要量を記憶している手段と、前記の所定期間の開始前に遡及して前記の所定期間における予測需要量を算出する第1算出手段と、所定期間における実績需要量と所定期間における予測需要量との差が所定量より大きい場合に、その差が生じた原因を特定する手段と、特定された原因に起因する「需要量の変化量」を算出できるモデルを作成する手段と、前記の所定期間より後の特定期間における予測需要量を算出する第2算出手段とを有する。そして、その第2算出手段は、特定期間に前記の原因が予定されている場合に、前記したモデルを用いて算出される「需要量の変化量」が加えられた「特定期間における予測需要量」を算出する。
この装置を用いると、予測需要量を精度よく算出できるようになることが期待できる。
【0014】
上記の技術は、さらに別の表現で記載することもできる。その技術とは、商品の予測需要量をコンピュータに算出させるためのプログラムである。このプログラムは、所定期間における商品の実績需要量を記憶する処理と、前記の所定期間の開始前に遡及して前記の所定期間における前記の商品の予測需要量を算出する第1算出処理と、所定期間における実績需要量と所定期間における予測需要量との差が所定量より大きい場合に、その差が生じた原因を特定する処理と、特定された原因に起因する「需要量の変化量」を算出できるモデルを作成する処理と、前記の所定期間より後の特定期間における前記の商品の予測需要量を算出する第2算出処理とをコンピュータに実行させる。さらに、前記の第2算出処理では、前記の特定期間に前記の原因が予定されている場合に、前記したモデルを用いて算出される「需要量の変化量」が加えられた「特定期間における予測需要量」を算出するようにコンピュータを実行させる。
このプログラムを用いると、コンピュータが予測需要量を精度よく算出することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】各請求項に記載の発明は、下記の形態で好適に実施することができる。
(形態1)請求項に記載の技術は、複数の車種を生産する会社が実施する。この場合、車種毎の月別予測販売台数を算出する。
(形態2)請求項に記載の「商品特性情報リスト」には、商品特性を決定するための複数のカテゴリー(平均実績需要量、商品のライフサイクル、商品の販売開始からの経過期間等)が用意されている。
(形態3)請求項に記載の「予測手法」としては、指数平滑法、移動平均法、センサス、X11ARIMA、重回帰分析法等を採用することができる。
【0016】
(形態4)請求項に記載の「グループ毎に最適な予測手法を選択する工程」は、次のようにして実行される。
(1)グループに属する所定の種類の商品の「過去の所定期間における実績需要量」に基づいて、所定の予測手法を用いて所定期間以外の過去の特定期間における予測需要量を算出する。
(2)特定期間における予測需要量と特定期間における実績需要量との誤差を算出する。
(3)他の様々な予測手法を順に用いて、上記の(1)と(2)の処理を実行する。
(4)上記(1)の「所定の種類の商品」以外のいくつかの種類(同一グループに属するいくつかの種類)の商品についても、上記(1)〜(3)の処理を実行する。
(5)誤差が最も小さい予測手法をそのグループの予測手法として選択する。
(6)予測対象のグループ毎に上記(1)〜(5)の処理を実行する。
【0017】
(形態5)請求項4又は5の技術は、複数の原因が特定される場合にも用いることができる。この場合、重回帰分析モデルを採用する。重回帰分析モデルには、複数の原因による相互作用項が設けられる。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照して、本発明を具現化した実施例を説明する。図1は、自動車の予測販売台数を算出する装置2の概略図である。この予測販売台数算出装置2は、複数車種を生産する会社で使用され、車種毎の月別予測販売台数を算出する。
予測販売台数算出装置2は、記憶部10と情報処理部30と表示部40等から構成される。記憶部10と情報処理部30とは、信号線50によって接続されている。記憶部10と情報処理部30は相互に通信可能である。情報処理部30と表示部40とは、信号線52によって接続されている。情報処理部30から出力された画像データが表示部40に送られる。この予測販売台数算出装置2は、コンピュータシステムで構成されており、ハードウェア構成は通常のコンピュータと同一である。
【0019】
記憶部10は、特性情報記憶部12と実績販売台数記憶部14と予測手法記憶部16と販売台数変化要因記憶部18とフリー記憶部20とに分けられる。特性情報記憶部12は、車種毎の特性情報を記憶している。図2に、特性情報記憶部12の記憶内容を例示している。本実施例における車種の特性について簡単に説明しておく。
要求精度:予測販売台数を算出するにあたって要求される予測の精度を意味する。「要求精度無し」とは、予測の精度を決められないことを意味する。
販売台数:月別実績販売台数(過去に実際に販売された月別の販売台数)の平均に基づいて、「大」、「中」、「小」に区分している。
施策の頻度:販売促進施策(宣伝活動、販売促進イベント等)を実施する頻度を意味する。
競合車の多さ:他社が販売している競合車の種類の多少を意味する。
モデルサイクル:大きくモデルチェンジするサイクルを意味している。モデルサイクルの長さに基づいて、「短い」、「普通」、「長い」に区分している。
用途:法人と個人のどちらが所有(購入)することが多いのかを意味している。法人と個人とが同程度の割合で所有する場合には、「法人・個人」とする。
経過期間:販売開始から経過した期間を意味している。販売開始からあまり経過していない場合は「安定期前」とし、販売開始から充分な期間が経過している場合は「モデル末期」とし、「安定期前」と「モデル末期」の間を「安定期」としている。
年間誤差率:予測販売台数と実績販売台数の年間誤差を意味している。年間誤差率が大きいほど予測が困難な車種であると考えられる。
販売体系:販売店網が複数あるところ、単一の販売網でしか販売されない車種が「単売」であり、複数販売網でともに販売される車種が「併売」である。また、同一の車種をわずかに変えて2以上の販売網で販売することを「兄弟車」という。
【0020】
実績販売台数記憶部14は、車種毎の実績販売台数を記憶している。図3は、実績販売台数記憶部14の記憶内容の一例を示す。図3に示されるように、車種毎の月別実績販売台数が記憶されている。図中では月別販売台数を具体的な数字で示していない(A1、A2…と示している)。車種Bは、販売が開始されたのが2002年9月であるために、2002年8月以前の販売台数が記憶されていない。
【0021】
予測手法記憶部16(図1参照)は、月別実績販売台数から未来の販売台数(予測販売台数)を算出できる様々な予測手法(プログラム)を記憶している。例えば、指数平滑法、移動平均法、X11ARIMA、センサス等の種々のプログラムを記憶している。ここで記憶されているプログラムは、情報処理部30が実行する演算に用いられる。上記の各予測手法については、インターネットのホームページ「http://www.statsoft.co.jp/staapl.htm#arima」に簡単に記載されている。また、同友館出版の「計画策定と意思決定のための予測手法入門」(スピーロス・マクリダキス/スティーブン・C・フィールライト著、加藤五郎訳)にも記載されている。
【0022】
販売台数変化要因記憶部18は、販売台数を増加させる施策(販売台数プラス要因)や、販売台数を減少させる原因(販売台数マイナス要因)を時期に対応づけて車種毎に記憶している。図4に、販売台数変化要因記憶部18の記憶内容を例示している。例えば、車種Aの過去の販売台数プラス要因として、3つの施策(▲1▼2002年10月に大規模な宣伝活動を行なった。▲2▼2002年4月に値下げした。▲3▼2001年3月にナビを標準装備した。)が記憶されている。
【0023】
フリー記憶部20は、各処理を実行していく過程で情報処理部30が演算した各種情報を記憶する。
表示部40は、情報処理部30が演算した各種情報を表示できるディスプレイである。
【0024】
次に、情報処理部30が実行する処理について説明する。図5〜図11に、情報処理部30が実行する処理のフローチャートを示している。図5は、メイン処理のフローチャートである。これを見ると、情報処理部30が実行する処理は大きく分けて6つの処理から構成されることがわかる。具体的には、準備処理(ステップS10)、グルーピング処理(ステップS30)、予測手法選択処理(ステップS50)、仮予測処理(ステップS70)、モデル作成処理(ステップS100)、及び本予測処理(ステップS120)を順に実行していく。以下では、これらの各処理を詳細に説明していく。
【0025】
(準備処理;図5のステップS10)
図6に、準備処理のフローチャートを示す。準備処理では、まず、車種リストを作成しておく(ステップS12)。これにより、販売台数の予測対象とされる全ての車種がリストアップされる。なお、本実施例においては、予測対象となっている全ての車種数はNである。次いで、n=1を入力する(ステップS14)。この「n」は車種に対応しており、n=1は1番目の車種(本実施例の場合は車種A)を意味している。次に、車種リストの1番目の車種(車種A)の特性情報を記憶していく(ステップS16)。ステップS16を終えると、n=n+1を入力し(ステップS18)、nがNより大きいか否かを判定する(ステップS20)。即ち、全ての車種について特性情報を記憶したか否かが判定される。ここでNOとされると、ステップS16に戻って、次の車種(今の説明では2番目の車種(車種B))についての特性情報を記憶する処理を実行する。全ての車種について特性情報を記憶した場合(ステップS20でYESの場合)は、準備処理を終了する。この準備処理が実行されることによって、図2に例示した情報が記憶されることになる。
【0026】
(グルーピング処理;図5のステップS30)
図7に、グルーピング処理のフローチャートを示す。グルーピング処理では、特性情報記憶部12の記憶内容(図2に例示される情報)に基づいて、個体(車種)とカテゴリー(特性)との間の反応(1or0)を示した表を作成する(ステップS32)。図12には、ステップS32で作成された表が示されている。この表では、ローマ数字が各特性に対応している。例えば、要求精度のI〜IVは、「厳密な要求精度」、「±10%許容」、「±20%許容」、「要求精度無し」に順に対応しており、販売台数のI〜IIIは、「小」、「中」、「大」にそれぞれ対応している。この表では、当てはまる特性(ローマ数字)のところに「1」が示されており、当てはまらない特性のところに「0」が示されている。例えば、車種Aであれば要求精度が「要求精度無し」であるために(図2参照)、要求精度のI〜IIIのところに「0」が示されおり、要求精度のIVのところに「1」が示されている。
【0027】
つづいて、作成した表に基づいて数量化III類を用いて車種毎の二次元座標位置を算出する(図7のステップS34)。数量化III類を用いると、近似する特性をもつ個体同士が近い座標位置になり、異なる特性を持つ個体同士が離れた座標位置になる。数量化III類を用いて個体(本実施例の場合は車種)を二次元的に表現する方法については、多変量解析に関する種々の出版物に記載されている。例えば、現代数学社から出版されている「多変量解析法」(田中豊、脇本和昌著)にも記載されている。本明細書では、数量化III類に関する詳しい説明は省略する。このステップS34の処理を行なうことによって、図13の上の表に例示されるように車種毎の二次元座標位置が求められる。この車種毎の座標に基づいて、第1軸を横軸にとり第2軸を縦軸にとった座標平面上に車種をマッピングすると、図13の下の図のようになる。この図を見るとよくわかるが、車種A,E,G,Iは座標位置が近いことがわかり、さらに車種D,J,M,Nも座標位置が近いことがわかる。なお、図13の下の図は本実施例における処理で実際に作図するものではない(説明の便宜のために示しただけである)。それにかわって、次に説明するクラスター分析法を用いて座標位置が近い車種群をグループにしていく。
【0028】
車種毎の二次元座標位置を算出すると、次に、クラスター分析法を用いて複数の車種をいくつかのグループに分ける(ステップS36)。二次元座標位置で示される個体群をクラスター分析によってグループ分けする手法も、上記した出版物「多変量解析法」に記載されている。本明細書では、クラスター分析に関する詳しい説明は省略するが、図14を用いて簡単に説明しておく。本実施例におけるクラスター分析は、ユークリッド距離に基づいた最短距離法を採用している。図14に、クラスター分析によって得られたテンドログラムを、その端枝部分を省略して示している。図14の破線は、グループ分けの基準となるユークリッド距離を表している。この破線とテンドログラムが7つの点で交わっているので、7つのグループ(クラスター)が構築されている。なお、図中の※は、車種A〜N以外の車種を表している。図14の下には、各グループに含まれる車種を示している。例えば、第1グループには、車種A,E,G,Iが含まれている。これらの車種が同じグループに属するのは、上記した図13に示した座標位置からも当然であると考えられる。
図7に示されるステップS32〜S36のグルーピング処理を実行することによって、特性が近似する車種群からなるいくつかのグループが構築される。
なお、ステップS36の処理では、グループとそのグループに属する車種群とを対応づけてフリー記憶部20で記憶する処理も実行する。
【0029】
(予測手法選択処理;図5のステップS50)
図8に、予測手法選択処理のフローチャートを示す。まず、グルーピング処理で分けられた全グループ数Mを算出する(ステップS52)。本実施例では、M=7である。続いて、m=1を入力する(ステップS54)。ここでの「m」は、グループに対応しており、m=1は1番目のグループ(本実施例では第1グループ)を意味している(但しグループの順番は意味をもつものではない)。次に、第1グループにとって最適な予測手法を選択する(ステップS56)。図15に、このステップS56の処理内容を模式的に示している。図15を参照しながら、ステップS56の処理について詳しく説明する。
(1)まず、第1グループに属する車種群の中から2つ又は3つの車種を選択する。ここでは実績販売台数データが充実している車種(即ち、販売開始から長時間経過している車種)を優先して選択する。図15では、車種Aと車種Eを選択している。
(2)上記の(1)で選択された車種の、直近の過去1年(図15の期間2)を除いた期間(図15の期間1)における実績販売台数データに基づいて、その車種の直近の過去1年(図15の期間2)の月別販売台数を各予測手法(指数平滑法、移動平均法等)を用いて予測をしてみる。即ち、1年前の時点に遡及してその後の1年の需要量を予測するのである。例えば、過去10年分の実績販売台数データがある車種が選択された場合は、その車種の10年前から1年前までの9年分(108ヶ月分)の実績販売台数データに基づいて、1年前から現在までの12ヶ月分の月別販売台数(月別予測販売台数)を算出してみる。
この(2)の処理は、選択された車種毎に実行する。従って、図15の場合であれば、車種Aについて実行するとともに、車種Eについても実行する。
(3)上記した(2)の処理で算出された過去1年分の月別予測販売台数と、過去1年分の月別実績販売台数とを対比して、誤差が最も小さい予測手法を選択する。図15の場合であれば、車種Aと車種Eのどちらにおいても誤差が小さかった予測手法を選択する。
【0030】
上記したステップS56(図8参照)で選択された予測手法は、第1グループと対応づけてフリー記憶部20で記憶する。ステップS56の処理が終了すると、m=m+1を入力し(ステップS58)、mがMより大きいか否かを判定する(ステップS60)。即ち、全てのグループ(7つのグループ)に対して予測手法が選択されたか否かを判定する。ステップS60でNOと判定されると、ステップS56に戻って、次のグループ(今の説明だと2番目のグループ(第2グループ))に適合する予測手法を選択する。ステップS60でYESと判定されると、予測手法選択処理を終了する。
なお、本実施例では、全てのグループに対して予測手法を選択している。しかしながら、全てのグループに対して需要予測を行なう必要がない場合もある。この場合、全てのグループを予測対象グループと非予測対象グループとに分け、予測対象グループ数を上記フローチャートにおける「M」として予測手法選択処理を実行すればよい。このようにして予測手法選択処理を実行する場合は、以降の各処理でも予測対象グループ数を「M」とする。
【0031】
(仮予測処理;図5のステップS70)
図9に、仮予測処理のフローチャートを示している。仮予測処理では、まず、全グループ数Mを算出する(ステップS72;本実施例では7グループ)。次に、m=1を入力し(ステップS74)、当該グループ(この場合は第1グループ)に属する車種数Yを算出する(ステップS76)。続いてy=1を入力する(ステップS78)。ここでの「y」はグループ内の車種に対応しており、n=1かつy=1は第1グループに属する1番目の車種を意味している(但し車種の順番は何らかの意味を持つものではない)。次に、第1グループに対応した予測手法(上記した予測手法選択処理で選択された予測手法)を用いて、当該車種(この場合はy=1に対応する車種)の月別予測販売台数を算出する(ステップS80)。これにより、図16の(1)の表のような月別予測販売台数が算出されることになる。図16では、具体的な数値を示しておらず、月別予測販売台数をA1’、A2’…と表現している。なお、本実施例では、現在が2002年の12月であり、2003年の1月を予測起点月としている。
また、ステップS80の処理では、その予測手法を用いて過去の販売台数も予測してみる。即ち、過去の時点に遡及してその時点よりも後の期間の販売台数を予測してみる。例えば、20ヶ月分の実績販売台数データが存在する車種であれば、最初の数ヶ月分の実績販売台数データに基づいて、その数ヶ月より後の月別販売台数を算出する。図17に、このようにして算出された予測販売台数データを例示している(説明の便宜のために図17では実績販売台数データも示している)。図17では、具体的な数値を示しておらず、予測販売台数をA1’’、A2’’…で表現している。ここで算出された予測販売台数は、後述する各処理(特にモデル作成処理)で用いられる。図17を見ると、車種Aや車種Cについては、2002年7月〜12月までの予測販売台数が算出されているが、車種Bについては、2002年11月からの予測販売台数しか算出されていないことがわかる。これは、車種Aや車種Cについては、2002年7月以降の予測販売台数を算出できるだけの充分な実績販売台数データが存在するが、車種Bについては、2002年7月〜10月の予測販売台数を算出できるだけの実績販売台数データが存在しないことを意味している。ちなみに、図17をみると、車種Bに用いられる予測手法は、少なくとも2ヶ月分の実績販売台数データが存在しないと、その2ヶ月以降の予測販売台数を算出できないものであることがわかる。
【0032】
上記したステップS80(図9参照)で予測販売台数(未来の予測販売台数と過去の予測販売台数の双方を含む)を算出すると、その算出された値を車種に対応づけて記憶する(ステップS82)。このステップS82の処理を行なうことによって、図16の(1)の表に示されるような未来における予測販売台数が記憶されるとともに、図17に示されるような過去における予測販売台数が記憶される。
続いて、y=y+1を入力し(ステップS84)、yがYより大きいか否かを判別する(ステップS86)。即ち、第1グループ(今説明している例が第1グループである)に属する全ての車種について、予測販売台数が算出されたか否かが判別される。ここでNOとされると、ステップS80に戻って、次の車種についての予測販売台数を算出する処理を実行する。一方、ステップS86でYESとされると、m=m+1を入力し(ステップS88)、mがMより大きいか否かを判別する(ステップS90)。即ち、全てのグループについての処理が終了したか否かが判別される。ここでNOとされると、ステップS76に戻って、次のグループ(今説明している例だと第2グループ)についての処理を実行していく。ステップS90でYESとされると、仮予測処理を終了する。
【0033】
(モデル作成処理;図5のステップS100)
図10に、モデル作成処理のフローチャートを示す。モデル作成処理では、まず、予測対象となっている全ての車種数を算出する(ステップS102)。本実施例では、全車種数はNである。次いで、n=1を入力し(ステップS104)、1番目の車種について、過去の予測販売台数と実績販売台数との間で大きく異なる値が算出されている点(月;以下では特異点と記載する場合がある)があるか否かが判定される(ステップS106)。このステップS106の処理は、実績販売台数から予測販売台数を減算した値を月毎に算出し、その減算値の絶対値が200以上である点(月)を抽出することによって行なう。図17を例にして、もう少し詳しく説明する。例えば、車種Aであれば、2002年12月の実績販売台数A6から予測販売台数A6’’を減算した値の絶対値が200以上であれば、ステップS106の処理において車種Aの2002年12月が抽出されるが、その絶対値が200より小さい場合は車種Aの2002年12月が抽出されない。同様に、車種Aの他の月、さらには他の車種の全ての月についても実績販売台数から予測販売台数を減算した値の絶対値を算出し、その値が200以上か否かが判定される。
図10のステップS106で特異点が存在すると判定された場合は、ステップS108に進み、特異点が存在しないと判定された場合は、ステップS108,S110をスキップしてステップS112に進む。
【0034】
ステップS106において特異点を抽出すると、特異点になった要因(販売台数変化要因)を特定する(ステップS108)。この処理は、販売台数変化要因記憶部18の記憶内容を検索することによって行なう。即ち、車種Aを例にするならば、2002年10月において実績販売台数が予測販売台数よりも大きくプラスになっているとすれば、その2002年10月において販売台数がプラスになる販売台数変化要因を特定する。図4を例にすると、車種Aの販売台数プラス要因として、2002年10月に大規模な宣伝活動を行なったことが記憶されているので、図10のステップS108ではそれが特定される。なお、実績販売台数が予測販売台数よりもマイナスになっている場合は、ステップS108では販売台数マイナス要因から検索する。
なお本実施例では、このステップS108の処理を装置が実行しているが、人が実行するようにしてもよい。この場合、ステップS106で抽出された特異点の情報と、販売台数変化要因記憶部108の記憶内容とをディスプレイ40で表示すると販売台数変化要因を特定し易い。
【0035】
ステップS108の処理を終えると、続いてステップS110(図10参照)に進む。ステップS110では、ステップS108で特定された販売台数変化要因に基づいて、重回帰分析の手法を用いてモデルを作成する。重回帰分析は、公知の手法であるために詳しく説明しないが、簡単に説明しておく。重回帰分析によって作成されるモデルは、一般的には下記の式で表現される。
一般式「Y=β1・X1+β2・X2+β3・X3+α・(X1−X1’)・(X2−X2’)+…」
式中のYは、回帰分析の対象となる変数を表しており、本実施例の場合は、販売台数変化要因が作用して販売台数がどれだけプラスになるか(あるいはマイナスになるか)を意味している。即ち、Yは販売台数変化量である。
式中のX1、X2、X3…は、説明変数であり、本実施例の場合は販売台数変化要因を数値化したものが入力される。例えば、X1が「ナビの標準装備」に対応した説明変数である場合には、ナビが標準装備される場合にはX1に「1」が入力され、ナビが標準装備されない場合にはX1に「0」が入力される。この例示では、説明変数が「1」あるいは「0」のデジタル的なものであったが、アナログ的に説明変数が入力されることもあり得る。例えば、X2が「宣伝活動」に対応する説明変数である場合には、宣伝活動の規模に応じて数値を入力することがある。例えば、大規模な宣伝活動を行なった場合はX2に「3」を入力し、中規模な宣伝活動を行なった場合はX2に「2」を入力し、小規模な宣伝活動を行なった場合はX2に「1」を入力し、宣伝活動を行なわなかった場合はX2に「0」を入力するようにしてもよい。
モデル式のβ1、β2、β3…は、それぞれの説明変数に対応したパラメータである。図10のステップS110では、ステップS108で特定された販売台数変化要因と、その要因に影響を受けた月における予測販売台数と、当該月における実績販売台数とに基づいて、β1、β2、β3…が算出される。
また、式中の「α・(X1−X1’)・(X2−X2’)」は、2つの販売台数変化要因(この場合はX1とX2)の相互作用項である。例えば、ある月に2つの販売台数プラス要因(例えばX1とX2)が同時に作用した場合は、同時に作用したことに起因して販売台数変化量がよりプラスになったり、あるいはマイナスになったりすることがある。このような場合、「β1・X1+β2・X2」という式だけではYを正確に算出できないために、相互作用項を導入しているのである。なお、X1’は過去におけるX1の平均を表しており、X2’は過去におけるX2の平均を表している。このX1’とX2’はなくてもよく、相互作用項をα・X1・X2で表現することもできる。αは、相互作用に対応したパラメータであり、ステップS110で算出される数値である。
ステップS110で作成されたモデルは、車種に対応づけてフリー記憶部20で記憶される。
【0036】
ステップS106でNOと判定された場合、又は、ステップS110の処理を実行した場合は、n=n+1を入力し(ステップS112)、nがNより大きいか否かを判定する(ステップS114)。即ち、全ての車種について、特異点を抽出する処理が終了し、さらに、特異点が抽出された場合にはモデルを作成する処理が終了したか否かが判定される。ここでNOと判定されると、ステップS106に戻って、次の車種についての処理を実行する。またYESと判定されると、モデル作成処理を終了する。
【0037】
(本予測処理;図5のステップS120)
図11には、本予測処理のフローチャートが示されている。まず、予測対象になっている全ての車種数を算出する(ステップS122)。本実施例では、全車種数はNである。次いで、n=1を入力し(ステップS124)、1番目の車種について販売台数変化要因が予定されているか否かを判定する(ステップS126)。この処理は、販売台数変化要因記憶部18を検索することによって行なう。ここでYESとされるとステップS128に進み、NOとされるとステップS128〜S132をスキップしてステップS134に進む。ステップS128では、先に作成したモデルの説明変数に数値を入力する(ステップS128)。例えば、ステップS126で特定された販売台数変化要因に対応する説明変数には、その要因に対応する数値を入力し、それ以外の説明変数にはゼロを入力する。次に、数値が入力されたモデルを計算することによって販売台数変化量(即ちモデル式のY)を求める(ステップS130)。ここでは、マイナス要因が大きく影響する場合にはマイナスの値が算出されるし、プラス要因が大きく影響する場合にはプラスの値が算出される。ステップS128とS130の処理は、販売台数変化要因が予定されている月毎に実行される。従って、複数の月において販売台数変化要因が予定されている場合には、それぞれの月毎に販売台数変化量が算出される。
【0038】
図11のステップ132で販売台数変化分が算出されると、その算出された値を仮予測処理で算出された予測販売台数に反映させる。例えば、ステップ132において、車種Aの2003年6月がプラスα1と算出された場合には、2003年6月の予測販売台数にα1を加算する。この処理を行なうことによって、販売台数変化量が加味された予測販売台数が求められることになる。図16の(2)の表には、仮予測処理で算出された予測販売台数(図16の(1)の表)に販売台数変化量を加えた最終的な予測販売台数を例示している。例えば、車種Aの欄をみると、大規模な宣伝が行なわれる2003年6月における予測販売台数が上方修正されていることがよくわかる。
ステップS126でNOと判定された場合、又は、ステップS132の処理を実行した場合は、n=n+1を入力し(ステップS134)、nがNより大きいか否かを判定する(ステップS136)。即ち、全ての車種について、予定されている販売台数変化要因が加味された予測販売台数が求められたか否かが判定される。ここでNOとされると、ステップS126に戻って、次の車種についての処理を実行する。YESとされると、最終的に算出された車種毎の予測販売台数を表示する(ステップS138)。
【0039】
上記した予測販売台数算出装置2によると、特性が近似する車種群をグループにし、グループ単位で予測手法を選択する。このために、従来のように全ての車種の実績販売台数を分析する必要がなく、いくつかの車種の実績販売台数を分析するだけで、全ての車種に対して予測手法を選択することができる。このために、予測販売台数を算出するための計算量を減らすことができ、これにより計算時間も短縮できる。
また、販売台数変化要因が将来に予定されている場合には、その販売台数変化要因に起因した販売台数変化量を加えた予測販売台数を算出する。従って、予測精度が非常によい。
【0040】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0041】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の予測販売台数算出装置を模式的に示している。
【図2】特性情報記憶部の記憶内容を例示している。
【図3】実績販売台数記憶部の記憶内容を例示している。
【図4】販売台数変化要因記憶部の記憶内容を例示している。
【図5】情報処理部が行なう処理のフローチャートを示している。
【図6】準備処理のフローチャートを示している。
【図7】グルーピング処理のフローチャートを示している。
【図8】予測手法選択処理のフローチャートを示している。
【図9】仮処理処理のフローチャートを示している。
【図10】モデル作成処理のフローチャートを示している。
【図11】本予測処理のフローチャートを示している。
【図12】各車種の特性情報をデジタル的に数値化した表を示している。
【図13】上には各車種の特性情報の二次元座標位置が例示しており、下には各二次元座標位置を座標平面上にマッピングした図を示している。
【図14】クラスター分析を説明するための図を示している。
【図15】最適な予測手法を選択する処理を説明するための図を示している。
【図16】(1)には仮予測処理で算出された「車種毎の月別予測販売台数」を例示しており、(2)には本予測処理で修正された「車種毎の月別予測販売台数」を例示している。
【図17】過去の月別予測販売台数と実績予測販売台数とを示している。
【符号の説明】
2・・予測販売台数算出装置
10・・記憶部
12・・特性情報記憶部
14・・実績販売台数記憶部
16・・予測手法記憶部
18・・販売台数変化要因記憶部
20・・フリー記憶部
30・・情報処理部
40・・表示部
Claims (7)
- 複数種類の商品がある場合に、種類毎の予測需要量をコンピュータを用いて算出する方法であり、
コンピュータが、以下の各工程、即ち、
種類毎の商品特性を示す商品特性情報リストを読取る工程と、
商品特性情報リストに基づいて、商品特性が近似する種類群からなるグループが構成されるように前記複数種類の商品をグループ分けする工程と、
グループ毎に最適な予測手法を選択する工程と、
グループ毎に、当該グループに対して選択された予測手法を用いて、当該グループに属する種類毎の予測需要量を算出する工程と
を実行することを特徴とする予測需要量算出方法。 - 前記「グループ分けする工程」は、種類毎の商品特性をそれぞれ数値データに変換する数量化III類法と、変換して得られた種類毎の数値データに基づいてグループ分けするクラスター分析法とを用いることを特徴とする請求項1に記載の予測需要量算出方法。
- 複数種類の商品がある場合に、種類毎の予測需要量を算出する装置であり、
種類毎の商品特性を示す商品特性情報リストを記憶している手段と、
商品特性情報リストに基づいて、商品特性が近似する種類群からなるグループが構成されるように前記複数種類の商品をグループ分けする手段と、
グループ毎に最適な予測手法を選択する手段と、
グループ毎に、当該グループに対して選択された予測手法を用いて、当該グループに属する種類毎の予測需要量を算出する手段と
を有する予測需要量算出装置。 - 複数種類の商品がある場合に、種類毎の予測需要量をコンピュータに算出させるためのプログラムであり、
種類毎の商品特性を示す商品特性情報リストを記憶する処理と、
商品特性情報リストに基づいて、商品特性が近似する種類群からなるグループが構成されるように前記複数種類の商品をグループ分けする処理と、
グループ毎に最適な予測手法を選択する処理と、
グループ毎に、当該グループに対して選択された予測手法を用いて、当該グループに属する種類毎の予測需要量を算出する処理と
をコンピュータに実行させることを特徴とする予測需要量算出のためのプログラム。 - 商品の予測需要量をコンピュータを用いて算出する方法であり、
コンピュータが、以下の各工程、即ち、
所定期間における実績需要量を読取る工程と、
前記所定期間における予測需要量を算出する第1算出工程と、
所定期間における実績需要量と所定期間における予測需要量との差が所定量より大きい場合に、その差が生じた原因を特定する工程と、
特定された原因に起因する「需要量の変化量」を算出できるモデルを作成する工程と、
前記所定期間より後の特定期間における予測需要量を算出する第2算出工程とを実行し、
その第2算出工程では、前記特定期間に前記原因が予定されている場合に、前記モデルを用いて算出される「需要量の変化量」が加えられた「特定期間における予測需要量」を算出することを特徴とする予測需要量算出方法。 - 商品の予測需要量を算出する装置であり、
所定期間における実績需要量を記憶している手段と、
前記所定期間における予測需要量を算出する第1算出手段と、
所定期間における実績需要量と所定期間における予測需要量との差が所定量より大きい場合に、その差が生じた原因を特定する手段と、
特定された原因に起因する「需要量の変化量」を算出できるモデルを作成する手段と、
前記所定期間より後の特定期間における予測需要量を算出する第2算出手段とを有し、
その第2算出手段は、前記特定期間に前記原因が予定されている場合に、前記モデルを用いて算出される「需要量の変化量」が加えられた「特定期間における予測需要量」を算出することを特徴とする予測需要量算出装置。 - 所定期間における商品の実績需要量を記憶する処理と、
前記所定期間における前記商品の予測需要量を算出する第1算出処理と、
所定期間における実績需要量と所定期間における予測需要量との差が所定量より大きい場合に、その差が生じた原因を特定する処理と、
特定された原因に起因する「需要量の変化量」を算出できるモデルを作成する処理と、
前記所定期間より後の特定期間における前記商品の予測需要量を算出する第2算出処理と
をコンピュータに実行させ、
しかも、前記第2算出処理では、前記特定期間に前記原因が予定されている場合に、前記モデルを用いて算出される「需要量の変化量」が加えられた「特定期間における予測需要量」を算出するようにコンピュータを実行させることを特徴とする
商品の予測需要量をコンピュータに算出させるためのプログラム。
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