JP2004287065A - 光通信モジュール、光通信装置、及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製品の信頼性が高く、小型で安価な光通信モジュールを提供する。
【解決手段】光ファイバを挿脱可能な貫通孔2を有する基板1と、基板1の片面に密着して前記貫通孔2全体を覆うように設置され、前記貫通孔2に対向する位置に集光レンズ9が一体的に形成された透光性樹脂膜6と、透光性樹脂膜6の一面に配置される配線膜7と、配線膜7に接続され、貫通孔2上に透光性樹脂膜6を介して設置される光素子3と、を含む光通信モジュールにより課題を解決する。
【選択図】 図1
【解決手段】光ファイバを挿脱可能な貫通孔2を有する基板1と、基板1の片面に密着して前記貫通孔2全体を覆うように設置され、前記貫通孔2に対向する位置に集光レンズ9が一体的に形成された透光性樹脂膜6と、透光性樹脂膜6の一面に配置される配線膜7と、配線膜7に接続され、貫通孔2上に透光性樹脂膜6を介して設置される光素子3と、を含む光通信モジュールにより課題を解決する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光送信機、光受信機、及び光トランシーバ等の光通信モジュール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムにおいては、電気信号を光信号に変換する発光素子と光信号を電気信号に変換する受光素子相互間を光ファイバで接続する構成が基本となる。このような発光素子や受光素子などの光素子と光ファイバを着脱あるいは挿脱可能とするために、光素子と光ファィバとを光学的に接続するための光通信モジュール(例:コネクタ)が利用されている。
【0003】
従来の光送信モジュールの多くは、発光素子が缶パッケージによりパッケージングされた構造を有する。缶パッケージは、一般に、金属端子(ピン)を介して、発光素子を駆動するための信号を送信する外部回路に接続され、外部回路が形成されたプリント基板上に固定されている。発光素子と光ファイバは、例えばボールレンズ等を介して光結合される。このような方式では、発光素子から出射された光は、ボールレンズを介してモジュールのスリーブ部により位置決めされた光ファイバに入射される。
【0004】
しかし、この従来の方式では、缶パッケージを使用しているため、金属ピンを介して外部回路に接続されることになり、小型化に限界があった。また、部品点数が多く、製造工程が多い上に、各部品のアラインメント調整に時間がかかるため、製造コストが高くなる傾向にあった。
【0005】
このような課題を解決するために、種々の方法が検討されている。
【0006】
例えば、特許文献1(特開2000−349307号公報)には、光ファイバを挿入する貫通穴を有し、光素子又は外部回路との電気的接続を容易にするための導電層が形成されたプラットフォームと光素子を備えた光通信モジュールが開示されている。このプラットフォームによれば、缶パッケージを用いず、また、貫通穴により光素子に対する光ファイバの位置決めがなされるので、小型化が可能となる。
【0007】
【特許文献1】特開2000−349307号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の光通信モジュールでは、光ファイバを挿入する貫通穴上に光素子を搭載するためには、貫通穴の周囲に光素子を接続固定するためのバンプを形成する必要がある。したがって、貫通穴よりも大きな光素子が必要となり、光素子が大型化し、製造コストが高くなる。また、光ファイバの先端には、通常、ファイバを保持し、アラインメントを取るためのフェルールが接続される。したがって、フェルールの径に合わせて貫通穴の穴径も広がるため、穴径が光素子よりも大きくなり、光素子の搭載が不可能となる場合があった。
【0008】
このような光通信モジュールは、消耗品であるため、より一層の低コスト化が望まれる。
【0009】
また、この光通信モジュールの構成では、インピーダンス整合された伝送路を組むことが困難であるため、高周波域での駆動に限界があり、高速駆動に対応した光通信モジュールの開発が望まれる。
【0010】
よって、本発明は、高性能で、高信頼性の安価な小型光通信モジュールを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、さらに光通信の高速化に対応し得る光通信モジュールを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、小型光通信モジュールを簡易に大量に製造し得る製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の光通信モジュールは、光ファイバを挿脱可能な貫通孔を有する基板と、前記基板の片面に密着して前記貫通孔全体を覆うように設置され、前記貫通孔に対向する位置に集光レンズが一体的に形成された透光性樹脂膜と、前記透光性樹脂膜の少なくとも一面に配置される配線膜と、前記配線膜に接続され、前記貫通孔上に前記透光性樹脂膜を介して設置される光素子と、を含むことを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、貫通孔上に透光性樹脂膜を有するので、貫通孔の孔径よりも小さい光素子を搭載することが可能となり、安価な光通信モジュールを提供し得る。また、透光性樹脂膜により光素子と貫通孔に挿入する光ファイバが隔離されるので、光ファイバ挿入側からの外気及び湿気等の影響を防止することが可能となる。さらに、集光レンズが透光性樹脂膜と一体的に形成されるので、外付けレンズを別途設ける必要がなく、安価に、高性能、高信頼性の小型光通信モジュールを提供し得る。
【0015】
本発明の光通信モジュールは、光ファイバを挿脱可能な貫通孔を有する基板と、前記基板の片面に密着して前記貫通孔全体を覆うように設置され、前記貫通孔に対向する位置に集光レンズが一体的に形成された透光性樹脂膜と、前記透光性樹脂膜の両面に形成されるマイクロストリップラインと、前記マイクロストリップラインに接続され、前記貫通孔上に前記透光性樹脂膜を介して設置される光素子と、を含むことを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、貫通孔上に透光性樹脂膜を有するので、貫通孔の孔径よりも小さい光素子を搭載することが可能となり、安価な光通信モジュールを提供し得る。また、透光性樹脂膜により光素子と貫通孔に挿入する光ファイバが隔離されるので、光ファイバ挿入側からの外気及び湿気等の影響を防止することが可能となる。さらに、集光レンズが透光性樹脂膜と一体的に形成されるので、外付けレンズを別途設ける必要がなく、安価に、高性能、高信頼性の小型光通信モジュールを提供し得る。また、透光性樹脂膜の両面にマイクロストリップラインが形成されているため、高周波域での伝送ロスを低減することが可能となり、光素子の高速駆動に適した光通信モジュールの提供が可能となる。
【0017】
また、本発明の光通信モジュールは、必要に応じて光素子が封止材により封止されていてもよい。かかる構成により、光素子の密閉性が保たれ、信頼性の高い光通信モジュールを提供し得る。また、本発明では、透光性樹脂膜を介して、光素子が貫通孔上に設置されるので、透光性樹脂膜上で光素子を封止することが可能となり、光素子を封止した状態で、光ファイバの挿脱が可能となる。したがって、光ファイバの挿脱時においても、光素子を外気や湿気から保護することが可能となり、より信頼性の高い光通信モジュールを提供することが可能となる。
【0018】
前記光素子と前記透光性樹脂膜との接続部が、前記貫通孔上に位置していることが好ましい。貫通孔上に透光性樹脂膜が形成されているので、貫通孔の孔径よりも小さな光素子を搭載することが可能となり、製品のコストを低減し得る。
【0019】
前記透光性樹脂膜の集光レンズ以外の部分の膜厚を利用して、前記マイクロストリップラインの特性インピーダンスの値を設定することが好ましい。かかる構成によれば、インピーダンスの変動を低減することが可能となる。
【0020】
前記基板を導体として前記マイクロストリップラインの一方の配線を兼ねるようにすることが好ましい。かかる構成によれば、基板自体を接地板として用いることができるので、製造工程を簡略化することが可能となる。
【0021】
前記透光性樹脂膜がポリイミド膜であり、前記光素子が面発光レーザであることが好ましい。かかる構成によれば、ポリイミド膜を用いるので、光透過性が良好であり、また、面発光レーザを用いることで、小型化が可能となるので、光損失の少ないコンパクトな光通信モジュールの提供が可能となる。
【0022】
本発明の光通信装置は、上記光通信モジュールを含むことを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、上記のような光通信モジュールを用いているので、安価で高性能、高信頼性の小型光通信装置を提供することが可能となる。
【0024】
本発明の光通信モジュールの製造方法は、一又は複数の貫通孔を有する基板の片面に、前記貫通孔に対応する位置に所望のレンズの形状を備えた凸部を有する型を、前記凸部が前記貫通孔に向くように設置する工程と、前記基板の貫通孔内に該貫通孔を埋設する補助剤を充填し、その後に該補助剤を硬化させ、前記凸部形状が転写された凹部を有する支持部材を形成する工程と、前記型を取除き、前記支持部材の凹部が露出している前記基板の面に透光性樹脂を成膜し、前記支持部材の凹部の形状が転写されたレンズ形状の凸部を有する透光性樹脂膜を得る工程と、前記透光性樹脂膜上に導電体により配線膜を形成する工程と、前記配線膜に接続され、前記貫通孔上に位置するように光素子を実装する工程と、前記基板から前記支持部材を除去する工程と、を含むことを特徴としている。
【0025】
かかる構成によれば、レンズが一体的に形成された透光性樹脂膜を有する光通信モジュールを簡易な工程で形成し得るので、安価に高性能、高信頼性の小型光通信モジュールを提供し得る。また、貫通孔を透光性樹脂膜で覆い、透光性樹脂膜の光素子の載置面と反対側の面を、補助剤を硬化させて形成した支持部材により支えながら、光素子を搭載するため、光素子搭載時の押圧や衝撃にも透光性樹脂膜が破損することがなく、歩留まりよく光通信モジュールを形成し得る。さらに、光通信モジュールの組立工程の殆どを、一の基板上で一括バッチ処理することができるので、歩留まりよく、安価な光通信モジュールを大量に製造することも可能となる。
【0026】
本発明の光通信モジュールの製造方法は、一又は複数の貫通孔を有する基板の該貫通孔に、先端にレンズ成型用の鋳型となる凹部を有する冶具を挿入する工程と、前記冶具の凹部が露出している前記基板の面に透光性樹脂を成膜し、前記冶具の凹部の形状が転写された凸部を有する透光性樹脂膜を得る工程と、前記透光性樹脂膜上に導電体により配線膜を形成する工程と、前記配線膜に接続され、前記貫通孔上に位置するように光素子を実装する工程と、前記基板から前記冶具を除去する工程と、を含むことを特徴としている。
【0027】
かかる構成によれば、レンズが一体的に形成された透光性樹脂膜を簡易な工程で形成し得るので、安価に高性能、高信頼性の小型光通信モジュールを提供し得る。また、貫通孔を透光性樹脂膜で覆い、透光性樹脂膜の光素子の載置面と反対側の面を、冶具により支えながら、光素子を搭載するため、光素子搭載時の押圧や衝撃にも透光性樹脂膜が破損することがなく、歩留まりよく光通信モジュールを形成し得る。また、透光性樹脂膜を光素子搭載時に支える支持部材として、一時的に充填する補助剤ではなく、予めその用途に利用するために形成された冶具を使用するため、繰り返し利用でき、製造コストを低減することが可能となる。さらに、光通信モジュールの組立工程の殆どを、一の基板上で一括バッチ処理することができるので、歩留まりよく、安価な光通信モジュールを大量に製造することも可能となる。
【0028】
前記貫通孔に冶具を挿入する工程において、前記冶具の挿入後に、さらに、前記冶具を前記基板に固定することが好ましい。冶具を基板に固定することで、冶具のずれによる透光性樹脂膜の破損等を防止することが可能となる。
【0029】
前記支持部材又は前記冶具を除去する工程の前又は後に、さらに、前記基板を切断して小片化する工程を含んでもよい。一の基板上で、光通信モジュールの組立工程の殆どを一括バッチ処理した後、小片化することで、一度に大量のモジュールを製造することが可能である。また、基板を切断した後、支持部材又は冶具を除去する場合には、基板切断時の水・油等による貫通孔の汚染を防止する工程を別途設ける必要がないので、製造工程を簡略化でき、製造コストを低減せしめることが可能となる。また、支持部材又は冶具を除去する工程の後に基板を切断する場合には、冶具を一度に抜くことが可能となるので、製造工程の簡略化が図れ、製造コストを低減せしめることが可能となる。また、冶具の再利用が可能となる。
【0030】
本発明の光通信モジュールの製造方法は、先端にレンズ成型用の鋳型となる凹部を有する複数の凸部を備えた冶具に、一又は複数の貫通孔を有する一又は複数の基板を、前記貫通孔に前記凸部が嵌るように取付ける工程と、前記冶具が取付けられている面と反対側の前記基板の面に、透光性樹脂を成膜し、前記冶具の凹部の形状が転写された凸部を有する透光性樹脂膜を形成する工程と、前記透光性樹脂膜上に導電体により配線膜を形成する工程と、前記配線膜に接続するように光素子を実装する工程と、前記冶具から前記基板を取り外す工程と、を含むことを特徴としている。
【0031】
かかる構成によれば、レンズが一体的に形成された透光性樹脂膜を簡易な工程で形成し得るので、安価に高性能、高信頼性の小型光通信モジュールを提供し得る。また、貫通孔を透光性樹脂膜で覆い、透光性樹脂膜の光素子の載置面と反対側の面を、冶具により支えながら、光素子を搭載するため、光素子搭載時の押圧や衝撃にも透光性樹脂膜が破損することがなく、歩留まりよく光通信モジュールを形成し得る。また、透光性樹脂膜を光素子搭載時に支える支持部材として、一時的に充填する補助剤ではなく、予めその用途に利用するために形成された冶具を使用するため、繰り返しの利用が可能となるので、製造コストを低減することが可能となる。また、冶具の各凸部ごとに、予め小片化された基板を装着し、後で取り外すので、基板の小片化の工程が必要なく、また、基板の小片化の際に冶具の凸部間の固定部分を切断する必要もないので、冶具を繰り返し用いることができ、製造コストを低減することが可能となる。さらに、複数の基板を用いた場合には、光通信モジュールの組立工程の殆どを、一の冶具を用いて、一括バッチ処理することができるので、簡易な工程で光通信モジュールを大量に製造することも可能となる。
【0032】
前記基板が複数である場合に、前記冶具に前記基板を取付ける工程の後に、基板間の隙間に樹脂を充填し、各基板を固定する工程と、前記光素子を実装する工程の後に、前記基板間の隙間を充填した樹脂上で、前記透光性樹脂膜を切断する工程とを含むことが好ましい。かかる構成によれば、高信頼性、高性能の光通信モジュールを一括して大量に製造することが可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図1から図6を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る光通信モジュールの断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る光通信モジュールは、貫通孔2を有する基板1、集光レンズ9が一体的に形成されている透光性樹脂膜6、及び光素子3を含む。
【0034】
基板1には、光ファイバ(図示せず)が挿脱可能な貫通孔2が形成されている。貫通孔2は、光ファイバを固定し得る形状であればよく、光ファイバを挿入した際に、光ファイバとの間に実質的な隙間が生じない形状であることが好ましい。なお、光ファイバにフェルールが接続されている場合には(図3の14参照)、フェルールを固定し得る形状であって、フェルールの挿入時に間隙が生じない形状とされることが好ましい。基板1としては、例えば、ステンレス、アルミニウム又は銅等の導電性材料(導電体)、或いは樹脂又はセラミックス等の非導電性材料を用いることができる。基板1上に、高速駆動に対応可能なマイクロストリップラインを形成する場合、基板1を導電体とすると、基板1をグラウンド電位として用いることができ、別途グラウンド電位に用いる層を設けなくてもよいので、製造工程を簡略化できる。
【0035】
基板1の片面には、透光性樹脂膜6が、貫通孔全体を覆うように密着して形成されている。透光性樹脂膜6には、貫通孔2に対向する位置に集光レンズ9が一体的に形成されている。集光レンズ9は、光素子3の発光部又は受光部4と光ファイバのコアとの光結合効率を向上させる。このような集光レンズ9としては、例えば凸レンズ、フレネルレンズ等が挙げられる。透光性樹脂膜6は、例えば、ポリイミド、エポキシ樹脂等の光を透過する樹脂から形成することができる。光透過性が良好であり、可撓性を有し、取扱いが容易という観点からは、ポリイミド膜が好ましい。
【0036】
透光性樹脂膜6上には、銅等の金属の導電体を用いた配線膜7が形成されている。この配線膜7上に、VCSEL等の発光素子又はPD等の受光素子といった光素子3が、発光部又は受光部4が貫通孔2に対向するように、例えばフリップチップボンディングにより接続形成されている。光素子3として、発光素子を用いる場合、VCSEL等の面発光レーザを用いると、光素子3の小型化が可能となり、光損失の少ないコンパクトな光通信モジュールの提供が可能となる。本実施形態では、光素子3及び光ファイバが、貫通孔を基準に位置決めされて搭載される。したがって、光ファイバを貫通孔に挿入した際に、従来の缶パッケージを用いた場合に比べて、位置精度の高い光通信モジュールを提供することが可能となる。
【0037】
光素子3は、透光性樹脂膜6及び配線膜7を介して、貫通孔2上に設けられており、光素子3と配線膜7との接続部であるバンプ5が、貫通孔2上に位置するように設置されている。光素子3は、素子全体が封止材8により封止されている。なお、必要に応じて、光素子3と透光性樹脂膜6との間にアンダーフィル剤(図示せず)が充填されていてもよい。
【0038】
なお、透光性樹脂膜6と基板1との間に、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅等の金属から構成される導電体層が形成されていてもよく、この導電体層をグラウンド電位として、配線膜7とともに、透光性樹脂膜6の両面にマイクロストリップラインが形成されていてもよい。また、基板1が導電体である場合には、基板1をグラウンド電位として、マイクロストリップラインが形成されていてもよい。マイクロストリップラインが形成されていることにより、高周波域での伝送ロスを防止することが可能となる。
【0039】
透光性樹脂膜の両面にマイクロストリップラインを形成する場合、マイクロストリップラインが形成される、レンズ以外の部分の膜厚を利用して、マイクロストリップラインの特性インピーダンスの値を設定することが可能である。
【0040】
具体的には、例えば、光素子3の入力インピーダンスが例えば50Ωである場合、マイクロストリップラインの特性インピーダンスも光素子3の入力インピーダンスと同様の50Ωに揃えることが好ましい。マイクロストリップラインの特性インピーダンスZ0(Ω)は、伝送路の線幅をB(mm)、線厚みをC(mm)、伝送路とグラウンドとの間隔をH(mm)、誘電体層として機能する透光性樹脂膜6の比誘電率をεrとすると、次式により求められる。
【0041】
Z0=(87/(εr+1.41)1/2)×ln(5.98H/(0.8B+C))
透光性樹脂膜6としてポリイミド(比誘電率は3.4)を用いた場合、上記式より、例えば、H=0.05、B=0.09、C=0.012のときに、マイクロストリップラインのインピーダンスは約50Ωとなる。したがって、この寸法により、光素子3の入力インピーダンスと整合のとれたマイクロストリップラインを構成し得る。
【0042】
また、本実施形態においては、光ファイバを挿入するための貫通孔2は、一つであるが、複数の貫通孔を有していてもよい。貫通孔を複数有することで、多チャンネルシステムに対応した光通信モジュール又は送受信一体型の光通信モジュールを提供し得る。
【0043】
以上の構成によれば、集光レンズが透光性樹脂膜と一体的に形成されるので、外付けレンズを別途設ける必要がなく、安価に、高性能の小型光通信モジュールを製造し得る。また、透光性樹脂膜のマイクロストリップラインを形成することで、透光性樹脂膜の厚みで特性インピーダンスのマッチングが可能となり、高周波域での伝送ロスを低減することが可能となる。また、基板の一方の面に、貫通孔を覆う透光性樹脂膜が形成されており、光素子を封止する封止材を透光性樹脂膜上に形成するため、光素子を封止した状態で、光ファイバの挿脱が可能となるので、信頼性の高い光通信モジュールが得られる。さらに、光素子を透光性樹脂膜上に形成するため、光ファイバを挿入するための貫通孔の径が大きい場合にも、貫通孔の径に合わせて光素子を大型化する必要がなく、小型の光素子を搭載できるため、光通信モジュールの低コスト化を図ることが可能となる。また、光素子を透光性樹脂膜に位置調整して載置した後に、封止材で固定するため、精度のよい光通信モジュールを提供し得る。すなわち、上記構成によれば、透光性樹脂膜が、集光レンズとしての機能と、マイクロストリップラインの絶縁層(誘電層)としての機能と、光素子と光ファイバを隔離するための機能を併せ持つため、光素子を湿気等から保護しつつ、光ファイバの挿脱が可能で、小型で信頼性が高く、高性能の光通信モジュールを提供し得る。
【0044】
このような光通信モジュールは、光通信装置に用いられてもよい。
【0045】
図2及び図3に、本実施形態に係る光通信モジュールに光ファイバを挿着し、外部回路と接続した際の光通信装置の種々の態様を示す。なお、図2及び図3において、図1で説明した符号については、同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
図2に、本実施形態の光通信モジュールと、光ファイバ11と、外部基板12とを含む光通信装置を説明するための図を示す。
【0047】
図2に示すように、本実施形態の光通信モジュールでは、基板1の貫通孔2に対応する位置に集光レンズ9が設けられている。例えば、本実施形態の光通信モジュールが光発信モジュールである場合、発光素子3aから出射した拡がったレーザ光10が、集光レンズ9により集光され、光ファイバ11のコア11bに入射される。このように、集光レンズ9を有することで、光の結合効率を向上させることが可能となる。なお、光ファイバ11の先端は、平面でもレンズ状になっていてもよい。
【0048】
光素子3は、接続部としての例えばはんだバンプ5を介して透光性樹脂膜6上の配線膜7と接続されている。配線膜7は、外部基板12に設けられた外部回路に、例えば金属ピン、ボンディングワイヤ等の接続端子13により接続されている。光素子3は、外部基板12により設けられたこの外部回路により、駆動が制御される。
【0049】
図3は、基板1の貫通孔2にフェルール14を装着した光ファイバ11を挿入した例を示す。このように、基板1に形成する貫通孔2の大きさをフェルール径に合わせて形成した場合においても、透光性樹脂膜6を有するので、貫通孔2より小さい光素子3を設置することが可能である。したがって、光素子3を小型化することが可能となり、光通信装置の低コスト化が図れる。
【0050】
図4(a)〜同(i)は、本実施形態に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための工程図である。以下に、同図を参照しつつ、本実施形態に係る光通信モジュールの製造方法について説明する。
【0051】
まず、光ファイバを挿入可能な、例えば丸形状の貫通孔2を1又は複数個有する基板101を準備する(同図(a))。貫通孔2は、光ファイバ又は光ファイバに接続されたフェルールを挿入した際に、実質的に空隙が生じないサイズであることが光素子と光ファイバとの位置調整の観点から好ましい。基板101としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅等の導電性材料を用いることが好ましい。高速駆動に対応するためには、基板上にマイクロストリップラインを形成することが好ましく、基板101に導電体を用いた場合には、基板101をグラウンド(接地)電位として用いることが可能となるからである。なお、基板101には、樹脂、又はセラミックス等の非導電性の部材を用いることもできる。この場合には、基板101の表面に導電体層を形成することにより、この導電体層をグラウンド電位とすることができる。
【0052】
貫通孔2に対応する位置に設けられた所望の集光レンズ(例:凸レンズ)の形状をした凸部を複数有する型125を、型125の凸部が貫通孔2に対向する向きに配置する(同図(b))。型125は、特に限定されないが、例えば金属製の型が用いられる。型125の凸部は、後に形成する支持部材126にレンズ成型鋳型を形成するための型となる。
【0053】
貫通孔2に、貫通孔2を埋設する補助剤を充填する(同図(c))。ここで、補助剤としては、充填後、後に形成する透光性樹脂膜128上に光素子を載置する際に、透光性樹脂膜128が破損しないように、透光性樹脂膜128を支持し得るようなものであればよい。このような補助剤としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を貫通孔2内に充填した後、加熱硬化させ、支持部材126を形成する。また、この際、基板101の型125が設置されているのと反対側の面に、補助剤を用いて膜127を形成する。なお、基板101上に設ける膜127は、支持部材126と同じ補助剤を用いて形成されていてもよく、また、異なる補助剤を用いてもよい。支持部材126と膜127は、同時に形成されてもよく、また、別工程によってもよい。貫通孔2に充填した補助剤を取り除くのが容易という観点からは、膜127は、同一材料で一体的に形成されていることが好ましい。
【0054】
次に、型125を、基板101上から取り除く(同図(d))。
【0055】
型125が取除かれ、支持部材126の先端に形成された凹部が露出している基板101の面側に、透光性樹脂を成膜して、所望のレンズ形状の凸部9を有する透光性樹脂膜128を形成する(同図(e))。
【0056】
透光性樹脂膜128の材料としては、光を透過させる樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリイミド、エポキシ樹脂等を用いることができる。ポリイミドを用いる場合には、例えば、所定のモノマーを所定の厚さに塗布し、加熱重合させて硬化させることにより形成することができる。なお、透光性樹脂膜128を形成する前に、必要に応じて、基板101表面を研磨等により平坦化処理してもよい。
【0057】
次に、透光性樹脂膜128上に、例えば銅等の導電体膜をスパッタ又は銅箔の貼り付け等により一面に形成することで、配線膜7を形成する。その後、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によりパターニングを行い、配線パターンを形成してもよい(同図(f))。
【0058】
このような配線膜7は、マイクロストリップラインとすることが好ましい。例えば、基板101として、ステンレス等の導電体を用いた場合には、基板101を基準電位(グラウンド電位)としたマイクロストリップラインの形成が可能となる。マイクロストリップラインを利用することで、インピーダンス整合を図ることができ、高周波域での伝送ロスを防止することが可能となるので、高周波域での伝送路を確保し得る。なお、基板101と透光性樹脂膜128との間に、導電体層を設けることで、導電体層をグラウンド電位とするマイクロストリップラインを形成してもよい。
【0059】
次に、配線膜7を形成した基板101上に、光素子3を実装する(同図(g))。例えば、光素子3としての垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)を、基板101上の配線膜7に接続するように、例えばフリップチップボンディングにより接合する。なお、同図(g)では、光素子3には、接続部として、はんだバンプ5によるバンプ処理がなされている。
【0060】
上記工程(f)及び(g)において、配線膜を形成して光素子3を実装する際のアラインメント調整は、基板101に設けた貫通孔2を基準として行う。光ファイバの位置調整は、貫通孔2に固定することにより行われるので、光素子3を貫通孔2を基準にして実装することで、光ファイバと光素子との光軸調整を容易に行うことが可能となる。また、光素子3として、VCSEL等の発光素子を用いる場合には、必要に応じて、発光素子を駆動するための駆動回路(例:レーザドライバ)を同時に搭載してもよい。本実施形態においては、上記のように、貫通孔2に補助剤を充填しているため、透光性樹脂膜128が補助剤により固定されるので、光素子3を実装する際に、樹脂膜が変形したり、破損したりするのを防ぐことができ、透光性樹脂膜128を介して、貫通孔2上に光素子3を確実に載置することが可能となる。
【0061】
さらに、上記のように実装された光素子3と透光性樹脂膜128との間に、透明なアンダーフィル剤(図示せず)を浸透させ、硬化させてもよい。その後、光素子3全体を例えばエポキシ樹脂等の封止材8にて封止する。なお、アンダーフィル剤は、特に限定するものではないが、透光性樹脂膜128の界面での反射を防止し得るという観点からは、透光性樹脂膜128とほぼ等しい屈折率の材料を用いることが好ましい。したがって、例えば、透光性樹脂膜128としてポリイミドを用いた場合には、アンダーフィル剤としては、ポリイミドに屈折率が近い、透光性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0062】
このように封止した光素子3を搭載した基板101を、例えばダイサー等により縦横に切断して小片にする(同図(h))。
【0063】
小片にした各基板1から、支持部材126aと膜127aが一体となった部材129aを除去する(同図(i))。
【0064】
なお、本実施形態においては、切断時に生じるゴミ、油等による汚染を防止し得るという観点から、基板101の切断後に、部材129aを取り除いているが、他の汚染防止措置を採る場合には、基板101の切断前に支持部材126及び膜127が一体となった部材129を取り除いてもよい。部材129を除去する工程の後に基板を切断する場合には、部材129を一度に抜くことが可能となるので、製造工程の簡略化が図れ、また、部材129の再利用が可能となり、製造コストを低減せしめることが可能となる。
【0065】
また、上記例においては、発光素子としてVCSELを用いたが、端面発光レーザ等を用いてもよい。さらに、発光素子の代わりにフォトダイオード等の受光素子を実装してもよく、この場合には、受信モジュールが得られる。
【0066】
また、上記(h)工程においては、一つの基板に一つの貫通孔2を備えるように小片化を行ったが、一つの基板が複数の貫通孔2を備えるように切断してもよい。貫通孔2を複数有する基板を形成することで、多チャンネルシステムに対応した光通信モジュール又は送受信一体型の光通信モジュールを提供し得る。
【0067】
以上の構成によれば、レンズ成型用鋳型としての凹部を有する支持部材を用いることにより、透光性樹脂膜128(又は6)を形成する工程で、透光性樹脂を成膜すると同時に透光性樹脂膜128(又は6)にレンズ状の凸部を形成することができる。また、貫通孔2に、補助剤を充填して透光性樹脂膜128(又は6)を固定するので、貫通孔2上に貫通孔2の孔径よりも小さな光素子3を載置することができ、安価な光通信モジュールの提供が可能となる。また、光素子3を載置する際、透光性樹脂膜128(又は6)を支持部材126により裏面から支えることが可能となるので、薄い透光性樹脂膜128(又は6)を用いた場合でも、透光性樹脂膜128(又は6)の歪みや破損を防止することが可能となる。したがって、歩留まりよく光通信モジュールを提供することが可能となる。さらに、一度に大量の光通信モジュールを形成することができるので、製造コストを低減することが可能となる。
【0068】
図5(a)〜同(h)に、本実施形態に係る光通信モジュールの他の工程による製造方法を説明するための工程図を示す。図4に記載の製造方法では、基板101に、型125を設置し、基板101に設けられた貫通孔2と型125に補助剤を充填し、支持部材126を形成することで、光素子3を搭載する際の透光性樹脂膜128(又は6)の支えとしている。これに対し、図5に記載の製造方法では、貫通孔2に補助剤を充填する代わりに、冶具123を挿入することで、光素子3を搭載する際の透光性樹脂膜128(又は6)の支えとする点で異なる。
【0069】
以下、図5を参照しつつ、各工程について説明する。なお、同図中、図4と実質的に同じ機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
まず、光ファイバを挿入可能な、例えば丸形状の貫通孔2を1又は複数個有する基板101を準備する(同図(a))。
【0071】
貫通孔2に、先端にレンズ形成用鋳型となる凹部を有する貫通孔に嵌合する冶具123を挿入する(同図(b))。冶具123は、後の工程で取除くことが容易となるという観点から、貫通孔2の高さよりも長いものを用いることが好ましい。冶具123は、冶具123の凹部側の面が、凹部の最上端が基板101の片面と略同一平面上に位置するように、基板101に挿入する。冶具123の素材は、特に限定するものではないが、透光性樹脂膜128上に光素子3を載置した後に除去するので、基板101から容易に引き抜くことができ、また、透光性樹脂膜128から容易に剥離し易いものが好ましく、例えば金属製が好ましい。
【0072】
図5(c)工程では、貫通孔2から下方に突出した冶具123の先端を、補助剤で固定して突出部の側面又は全体を覆う膜127を形成する。なお、膜127は、冶具123の突出した先端と同じか、それ以上の厚さに形成されていることが好ましい。基板101から冶具123の先端が突出した状態にあると、基板101に負荷がかかった時に、冶具123が透光性樹脂膜128を突き抜けてしまう恐れがあるからである。
【0073】
なお、図5の(d)〜(h)工程については、図4の(e)〜(i)と同様の工程で行うことができる。
【0074】
以上の構成によれば、図4に記載の製造方法と同様の効果が得られる他、透光性樹脂膜128を支持する部材として、貫通孔に嵌合する、繰り返し利用可能な冶具123を用いているので、光通信モジュールの低コスト化が図れる。
【0075】
図6(a)〜同(h)に、本実施形態に係る光通信モジュールの更なる他の工程による製造方法を示す。なお、同図中、図4と実質的に同じ機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
同図(a)に記載するような、基板上に例えば規則的に縦横に整列され、先端にレンズ成型用鋳型となる凹部を備えた例えば円筒状の凸部140aが複数形成された構造を有する冶具140を準備する。冶具140の各凸部140aに、一又は複数の貫通孔を有する複数の基板1を、各々嵌め込む(同図(b))。
【0077】
冶具140上の各基板1間の間隙を、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性の樹脂142で埋め、加熱硬化させて基板ごと固定化し、硬化した樹脂142が基板1と面一になるように、表面を研磨する(同図(c))。なお、このような基板1間の間隙を埋める樹脂142としては、基板1と剥離容易なものが好ましい。基板1と剥離容易な樹脂を用いることで、各基板1を冶具140から取外す際、特別の操作なしに、基板1を樹脂142から容易に剥離することが可能となるので、製造工程を簡略にし得る。また、表面研磨の後に、必要に応じて、洗浄操作を行ってもよい。
【0078】
その後、図4の(e)〜(g)工程と同様に、透光性樹脂膜128を形成し、光素子3を実装して、封止材8により封止する(図6(d)〜同(f))。
【0079】
各基板1間の間隙を埋めた樹脂142の上部で透光性樹脂膜128を、例えばレーザ、又はダイシング等により切断し(同図(g))、完成した光通信モジュールを冶具140から外す(同図(h))。なお、(c)工程において、基板1間に充填した樹脂142と基板1との剥離性が良好でない場合には、ダイシング等により、基板1と樹脂142を切断してもよい。
【0080】
上記製造方法によると、図4に記載の製造方法と同様の効果が得られる他、冶具140を切断することなく、繰り返し利用することができ、簡略な工程で一括して大量に光通信モジュールを製造し得るので、製造コストを削減することが可能となる。
【0081】
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施形態に係る光通信モジュールの断面図である。
【図2】図2は、本実施形態の光通信装置の一実施態様を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態の光通信装置の他の実施態様を示す図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための工程図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る光通信モジュールの他の工程による製造方法を説明するための工程図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る光通信モジュールの更に他の工程による製造方法を説明するための工程図である。
【符号の説明】
1・・・基板、2・・・貫通孔、3・・・光素子、4・・・発光部又は受光部、5・・・バンプ、6・・・透光性樹脂膜、7・・・配線膜、8・・・封止材、9・・・集光レンズ、10・・・レーザ光
【発明の属する技術分野】
本発明は、光送信機、光受信機、及び光トランシーバ等の光通信モジュール及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光通信システムにおいては、電気信号を光信号に変換する発光素子と光信号を電気信号に変換する受光素子相互間を光ファイバで接続する構成が基本となる。このような発光素子や受光素子などの光素子と光ファイバを着脱あるいは挿脱可能とするために、光素子と光ファィバとを光学的に接続するための光通信モジュール(例:コネクタ)が利用されている。
【0003】
従来の光送信モジュールの多くは、発光素子が缶パッケージによりパッケージングされた構造を有する。缶パッケージは、一般に、金属端子(ピン)を介して、発光素子を駆動するための信号を送信する外部回路に接続され、外部回路が形成されたプリント基板上に固定されている。発光素子と光ファイバは、例えばボールレンズ等を介して光結合される。このような方式では、発光素子から出射された光は、ボールレンズを介してモジュールのスリーブ部により位置決めされた光ファイバに入射される。
【0004】
しかし、この従来の方式では、缶パッケージを使用しているため、金属ピンを介して外部回路に接続されることになり、小型化に限界があった。また、部品点数が多く、製造工程が多い上に、各部品のアラインメント調整に時間がかかるため、製造コストが高くなる傾向にあった。
【0005】
このような課題を解決するために、種々の方法が検討されている。
【0006】
例えば、特許文献1(特開2000−349307号公報)には、光ファイバを挿入する貫通穴を有し、光素子又は外部回路との電気的接続を容易にするための導電層が形成されたプラットフォームと光素子を備えた光通信モジュールが開示されている。このプラットフォームによれば、缶パッケージを用いず、また、貫通穴により光素子に対する光ファイバの位置決めがなされるので、小型化が可能となる。
【0007】
【特許文献1】特開2000−349307号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の光通信モジュールでは、光ファイバを挿入する貫通穴上に光素子を搭載するためには、貫通穴の周囲に光素子を接続固定するためのバンプを形成する必要がある。したがって、貫通穴よりも大きな光素子が必要となり、光素子が大型化し、製造コストが高くなる。また、光ファイバの先端には、通常、ファイバを保持し、アラインメントを取るためのフェルールが接続される。したがって、フェルールの径に合わせて貫通穴の穴径も広がるため、穴径が光素子よりも大きくなり、光素子の搭載が不可能となる場合があった。
【0008】
このような光通信モジュールは、消耗品であるため、より一層の低コスト化が望まれる。
【0009】
また、この光通信モジュールの構成では、インピーダンス整合された伝送路を組むことが困難であるため、高周波域での駆動に限界があり、高速駆動に対応した光通信モジュールの開発が望まれる。
【0010】
よって、本発明は、高性能で、高信頼性の安価な小型光通信モジュールを提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、さらに光通信の高速化に対応し得る光通信モジュールを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、小型光通信モジュールを簡易に大量に製造し得る製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の光通信モジュールは、光ファイバを挿脱可能な貫通孔を有する基板と、前記基板の片面に密着して前記貫通孔全体を覆うように設置され、前記貫通孔に対向する位置に集光レンズが一体的に形成された透光性樹脂膜と、前記透光性樹脂膜の少なくとも一面に配置される配線膜と、前記配線膜に接続され、前記貫通孔上に前記透光性樹脂膜を介して設置される光素子と、を含むことを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、貫通孔上に透光性樹脂膜を有するので、貫通孔の孔径よりも小さい光素子を搭載することが可能となり、安価な光通信モジュールを提供し得る。また、透光性樹脂膜により光素子と貫通孔に挿入する光ファイバが隔離されるので、光ファイバ挿入側からの外気及び湿気等の影響を防止することが可能となる。さらに、集光レンズが透光性樹脂膜と一体的に形成されるので、外付けレンズを別途設ける必要がなく、安価に、高性能、高信頼性の小型光通信モジュールを提供し得る。
【0015】
本発明の光通信モジュールは、光ファイバを挿脱可能な貫通孔を有する基板と、前記基板の片面に密着して前記貫通孔全体を覆うように設置され、前記貫通孔に対向する位置に集光レンズが一体的に形成された透光性樹脂膜と、前記透光性樹脂膜の両面に形成されるマイクロストリップラインと、前記マイクロストリップラインに接続され、前記貫通孔上に前記透光性樹脂膜を介して設置される光素子と、を含むことを特徴としている。
【0016】
上記構成によれば、貫通孔上に透光性樹脂膜を有するので、貫通孔の孔径よりも小さい光素子を搭載することが可能となり、安価な光通信モジュールを提供し得る。また、透光性樹脂膜により光素子と貫通孔に挿入する光ファイバが隔離されるので、光ファイバ挿入側からの外気及び湿気等の影響を防止することが可能となる。さらに、集光レンズが透光性樹脂膜と一体的に形成されるので、外付けレンズを別途設ける必要がなく、安価に、高性能、高信頼性の小型光通信モジュールを提供し得る。また、透光性樹脂膜の両面にマイクロストリップラインが形成されているため、高周波域での伝送ロスを低減することが可能となり、光素子の高速駆動に適した光通信モジュールの提供が可能となる。
【0017】
また、本発明の光通信モジュールは、必要に応じて光素子が封止材により封止されていてもよい。かかる構成により、光素子の密閉性が保たれ、信頼性の高い光通信モジュールを提供し得る。また、本発明では、透光性樹脂膜を介して、光素子が貫通孔上に設置されるので、透光性樹脂膜上で光素子を封止することが可能となり、光素子を封止した状態で、光ファイバの挿脱が可能となる。したがって、光ファイバの挿脱時においても、光素子を外気や湿気から保護することが可能となり、より信頼性の高い光通信モジュールを提供することが可能となる。
【0018】
前記光素子と前記透光性樹脂膜との接続部が、前記貫通孔上に位置していることが好ましい。貫通孔上に透光性樹脂膜が形成されているので、貫通孔の孔径よりも小さな光素子を搭載することが可能となり、製品のコストを低減し得る。
【0019】
前記透光性樹脂膜の集光レンズ以外の部分の膜厚を利用して、前記マイクロストリップラインの特性インピーダンスの値を設定することが好ましい。かかる構成によれば、インピーダンスの変動を低減することが可能となる。
【0020】
前記基板を導体として前記マイクロストリップラインの一方の配線を兼ねるようにすることが好ましい。かかる構成によれば、基板自体を接地板として用いることができるので、製造工程を簡略化することが可能となる。
【0021】
前記透光性樹脂膜がポリイミド膜であり、前記光素子が面発光レーザであることが好ましい。かかる構成によれば、ポリイミド膜を用いるので、光透過性が良好であり、また、面発光レーザを用いることで、小型化が可能となるので、光損失の少ないコンパクトな光通信モジュールの提供が可能となる。
【0022】
本発明の光通信装置は、上記光通信モジュールを含むことを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、上記のような光通信モジュールを用いているので、安価で高性能、高信頼性の小型光通信装置を提供することが可能となる。
【0024】
本発明の光通信モジュールの製造方法は、一又は複数の貫通孔を有する基板の片面に、前記貫通孔に対応する位置に所望のレンズの形状を備えた凸部を有する型を、前記凸部が前記貫通孔に向くように設置する工程と、前記基板の貫通孔内に該貫通孔を埋設する補助剤を充填し、その後に該補助剤を硬化させ、前記凸部形状が転写された凹部を有する支持部材を形成する工程と、前記型を取除き、前記支持部材の凹部が露出している前記基板の面に透光性樹脂を成膜し、前記支持部材の凹部の形状が転写されたレンズ形状の凸部を有する透光性樹脂膜を得る工程と、前記透光性樹脂膜上に導電体により配線膜を形成する工程と、前記配線膜に接続され、前記貫通孔上に位置するように光素子を実装する工程と、前記基板から前記支持部材を除去する工程と、を含むことを特徴としている。
【0025】
かかる構成によれば、レンズが一体的に形成された透光性樹脂膜を有する光通信モジュールを簡易な工程で形成し得るので、安価に高性能、高信頼性の小型光通信モジュールを提供し得る。また、貫通孔を透光性樹脂膜で覆い、透光性樹脂膜の光素子の載置面と反対側の面を、補助剤を硬化させて形成した支持部材により支えながら、光素子を搭載するため、光素子搭載時の押圧や衝撃にも透光性樹脂膜が破損することがなく、歩留まりよく光通信モジュールを形成し得る。さらに、光通信モジュールの組立工程の殆どを、一の基板上で一括バッチ処理することができるので、歩留まりよく、安価な光通信モジュールを大量に製造することも可能となる。
【0026】
本発明の光通信モジュールの製造方法は、一又は複数の貫通孔を有する基板の該貫通孔に、先端にレンズ成型用の鋳型となる凹部を有する冶具を挿入する工程と、前記冶具の凹部が露出している前記基板の面に透光性樹脂を成膜し、前記冶具の凹部の形状が転写された凸部を有する透光性樹脂膜を得る工程と、前記透光性樹脂膜上に導電体により配線膜を形成する工程と、前記配線膜に接続され、前記貫通孔上に位置するように光素子を実装する工程と、前記基板から前記冶具を除去する工程と、を含むことを特徴としている。
【0027】
かかる構成によれば、レンズが一体的に形成された透光性樹脂膜を簡易な工程で形成し得るので、安価に高性能、高信頼性の小型光通信モジュールを提供し得る。また、貫通孔を透光性樹脂膜で覆い、透光性樹脂膜の光素子の載置面と反対側の面を、冶具により支えながら、光素子を搭載するため、光素子搭載時の押圧や衝撃にも透光性樹脂膜が破損することがなく、歩留まりよく光通信モジュールを形成し得る。また、透光性樹脂膜を光素子搭載時に支える支持部材として、一時的に充填する補助剤ではなく、予めその用途に利用するために形成された冶具を使用するため、繰り返し利用でき、製造コストを低減することが可能となる。さらに、光通信モジュールの組立工程の殆どを、一の基板上で一括バッチ処理することができるので、歩留まりよく、安価な光通信モジュールを大量に製造することも可能となる。
【0028】
前記貫通孔に冶具を挿入する工程において、前記冶具の挿入後に、さらに、前記冶具を前記基板に固定することが好ましい。冶具を基板に固定することで、冶具のずれによる透光性樹脂膜の破損等を防止することが可能となる。
【0029】
前記支持部材又は前記冶具を除去する工程の前又は後に、さらに、前記基板を切断して小片化する工程を含んでもよい。一の基板上で、光通信モジュールの組立工程の殆どを一括バッチ処理した後、小片化することで、一度に大量のモジュールを製造することが可能である。また、基板を切断した後、支持部材又は冶具を除去する場合には、基板切断時の水・油等による貫通孔の汚染を防止する工程を別途設ける必要がないので、製造工程を簡略化でき、製造コストを低減せしめることが可能となる。また、支持部材又は冶具を除去する工程の後に基板を切断する場合には、冶具を一度に抜くことが可能となるので、製造工程の簡略化が図れ、製造コストを低減せしめることが可能となる。また、冶具の再利用が可能となる。
【0030】
本発明の光通信モジュールの製造方法は、先端にレンズ成型用の鋳型となる凹部を有する複数の凸部を備えた冶具に、一又は複数の貫通孔を有する一又は複数の基板を、前記貫通孔に前記凸部が嵌るように取付ける工程と、前記冶具が取付けられている面と反対側の前記基板の面に、透光性樹脂を成膜し、前記冶具の凹部の形状が転写された凸部を有する透光性樹脂膜を形成する工程と、前記透光性樹脂膜上に導電体により配線膜を形成する工程と、前記配線膜に接続するように光素子を実装する工程と、前記冶具から前記基板を取り外す工程と、を含むことを特徴としている。
【0031】
かかる構成によれば、レンズが一体的に形成された透光性樹脂膜を簡易な工程で形成し得るので、安価に高性能、高信頼性の小型光通信モジュールを提供し得る。また、貫通孔を透光性樹脂膜で覆い、透光性樹脂膜の光素子の載置面と反対側の面を、冶具により支えながら、光素子を搭載するため、光素子搭載時の押圧や衝撃にも透光性樹脂膜が破損することがなく、歩留まりよく光通信モジュールを形成し得る。また、透光性樹脂膜を光素子搭載時に支える支持部材として、一時的に充填する補助剤ではなく、予めその用途に利用するために形成された冶具を使用するため、繰り返しの利用が可能となるので、製造コストを低減することが可能となる。また、冶具の各凸部ごとに、予め小片化された基板を装着し、後で取り外すので、基板の小片化の工程が必要なく、また、基板の小片化の際に冶具の凸部間の固定部分を切断する必要もないので、冶具を繰り返し用いることができ、製造コストを低減することが可能となる。さらに、複数の基板を用いた場合には、光通信モジュールの組立工程の殆どを、一の冶具を用いて、一括バッチ処理することができるので、簡易な工程で光通信モジュールを大量に製造することも可能となる。
【0032】
前記基板が複数である場合に、前記冶具に前記基板を取付ける工程の後に、基板間の隙間に樹脂を充填し、各基板を固定する工程と、前記光素子を実装する工程の後に、前記基板間の隙間を充填した樹脂上で、前記透光性樹脂膜を切断する工程とを含むことが好ましい。かかる構成によれば、高信頼性、高性能の光通信モジュールを一括して大量に製造することが可能となる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図1から図6を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る光通信モジュールの断面図である。図1に示すように、本実施形態に係る光通信モジュールは、貫通孔2を有する基板1、集光レンズ9が一体的に形成されている透光性樹脂膜6、及び光素子3を含む。
【0034】
基板1には、光ファイバ(図示せず)が挿脱可能な貫通孔2が形成されている。貫通孔2は、光ファイバを固定し得る形状であればよく、光ファイバを挿入した際に、光ファイバとの間に実質的な隙間が生じない形状であることが好ましい。なお、光ファイバにフェルールが接続されている場合には(図3の14参照)、フェルールを固定し得る形状であって、フェルールの挿入時に間隙が生じない形状とされることが好ましい。基板1としては、例えば、ステンレス、アルミニウム又は銅等の導電性材料(導電体)、或いは樹脂又はセラミックス等の非導電性材料を用いることができる。基板1上に、高速駆動に対応可能なマイクロストリップラインを形成する場合、基板1を導電体とすると、基板1をグラウンド電位として用いることができ、別途グラウンド電位に用いる層を設けなくてもよいので、製造工程を簡略化できる。
【0035】
基板1の片面には、透光性樹脂膜6が、貫通孔全体を覆うように密着して形成されている。透光性樹脂膜6には、貫通孔2に対向する位置に集光レンズ9が一体的に形成されている。集光レンズ9は、光素子3の発光部又は受光部4と光ファイバのコアとの光結合効率を向上させる。このような集光レンズ9としては、例えば凸レンズ、フレネルレンズ等が挙げられる。透光性樹脂膜6は、例えば、ポリイミド、エポキシ樹脂等の光を透過する樹脂から形成することができる。光透過性が良好であり、可撓性を有し、取扱いが容易という観点からは、ポリイミド膜が好ましい。
【0036】
透光性樹脂膜6上には、銅等の金属の導電体を用いた配線膜7が形成されている。この配線膜7上に、VCSEL等の発光素子又はPD等の受光素子といった光素子3が、発光部又は受光部4が貫通孔2に対向するように、例えばフリップチップボンディングにより接続形成されている。光素子3として、発光素子を用いる場合、VCSEL等の面発光レーザを用いると、光素子3の小型化が可能となり、光損失の少ないコンパクトな光通信モジュールの提供が可能となる。本実施形態では、光素子3及び光ファイバが、貫通孔を基準に位置決めされて搭載される。したがって、光ファイバを貫通孔に挿入した際に、従来の缶パッケージを用いた場合に比べて、位置精度の高い光通信モジュールを提供することが可能となる。
【0037】
光素子3は、透光性樹脂膜6及び配線膜7を介して、貫通孔2上に設けられており、光素子3と配線膜7との接続部であるバンプ5が、貫通孔2上に位置するように設置されている。光素子3は、素子全体が封止材8により封止されている。なお、必要に応じて、光素子3と透光性樹脂膜6との間にアンダーフィル剤(図示せず)が充填されていてもよい。
【0038】
なお、透光性樹脂膜6と基板1との間に、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅等の金属から構成される導電体層が形成されていてもよく、この導電体層をグラウンド電位として、配線膜7とともに、透光性樹脂膜6の両面にマイクロストリップラインが形成されていてもよい。また、基板1が導電体である場合には、基板1をグラウンド電位として、マイクロストリップラインが形成されていてもよい。マイクロストリップラインが形成されていることにより、高周波域での伝送ロスを防止することが可能となる。
【0039】
透光性樹脂膜の両面にマイクロストリップラインを形成する場合、マイクロストリップラインが形成される、レンズ以外の部分の膜厚を利用して、マイクロストリップラインの特性インピーダンスの値を設定することが可能である。
【0040】
具体的には、例えば、光素子3の入力インピーダンスが例えば50Ωである場合、マイクロストリップラインの特性インピーダンスも光素子3の入力インピーダンスと同様の50Ωに揃えることが好ましい。マイクロストリップラインの特性インピーダンスZ0(Ω)は、伝送路の線幅をB(mm)、線厚みをC(mm)、伝送路とグラウンドとの間隔をH(mm)、誘電体層として機能する透光性樹脂膜6の比誘電率をεrとすると、次式により求められる。
【0041】
Z0=(87/(εr+1.41)1/2)×ln(5.98H/(0.8B+C))
透光性樹脂膜6としてポリイミド(比誘電率は3.4)を用いた場合、上記式より、例えば、H=0.05、B=0.09、C=0.012のときに、マイクロストリップラインのインピーダンスは約50Ωとなる。したがって、この寸法により、光素子3の入力インピーダンスと整合のとれたマイクロストリップラインを構成し得る。
【0042】
また、本実施形態においては、光ファイバを挿入するための貫通孔2は、一つであるが、複数の貫通孔を有していてもよい。貫通孔を複数有することで、多チャンネルシステムに対応した光通信モジュール又は送受信一体型の光通信モジュールを提供し得る。
【0043】
以上の構成によれば、集光レンズが透光性樹脂膜と一体的に形成されるので、外付けレンズを別途設ける必要がなく、安価に、高性能の小型光通信モジュールを製造し得る。また、透光性樹脂膜のマイクロストリップラインを形成することで、透光性樹脂膜の厚みで特性インピーダンスのマッチングが可能となり、高周波域での伝送ロスを低減することが可能となる。また、基板の一方の面に、貫通孔を覆う透光性樹脂膜が形成されており、光素子を封止する封止材を透光性樹脂膜上に形成するため、光素子を封止した状態で、光ファイバの挿脱が可能となるので、信頼性の高い光通信モジュールが得られる。さらに、光素子を透光性樹脂膜上に形成するため、光ファイバを挿入するための貫通孔の径が大きい場合にも、貫通孔の径に合わせて光素子を大型化する必要がなく、小型の光素子を搭載できるため、光通信モジュールの低コスト化を図ることが可能となる。また、光素子を透光性樹脂膜に位置調整して載置した後に、封止材で固定するため、精度のよい光通信モジュールを提供し得る。すなわち、上記構成によれば、透光性樹脂膜が、集光レンズとしての機能と、マイクロストリップラインの絶縁層(誘電層)としての機能と、光素子と光ファイバを隔離するための機能を併せ持つため、光素子を湿気等から保護しつつ、光ファイバの挿脱が可能で、小型で信頼性が高く、高性能の光通信モジュールを提供し得る。
【0044】
このような光通信モジュールは、光通信装置に用いられてもよい。
【0045】
図2及び図3に、本実施形態に係る光通信モジュールに光ファイバを挿着し、外部回路と接続した際の光通信装置の種々の態様を示す。なお、図2及び図3において、図1で説明した符号については、同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
図2に、本実施形態の光通信モジュールと、光ファイバ11と、外部基板12とを含む光通信装置を説明するための図を示す。
【0047】
図2に示すように、本実施形態の光通信モジュールでは、基板1の貫通孔2に対応する位置に集光レンズ9が設けられている。例えば、本実施形態の光通信モジュールが光発信モジュールである場合、発光素子3aから出射した拡がったレーザ光10が、集光レンズ9により集光され、光ファイバ11のコア11bに入射される。このように、集光レンズ9を有することで、光の結合効率を向上させることが可能となる。なお、光ファイバ11の先端は、平面でもレンズ状になっていてもよい。
【0048】
光素子3は、接続部としての例えばはんだバンプ5を介して透光性樹脂膜6上の配線膜7と接続されている。配線膜7は、外部基板12に設けられた外部回路に、例えば金属ピン、ボンディングワイヤ等の接続端子13により接続されている。光素子3は、外部基板12により設けられたこの外部回路により、駆動が制御される。
【0049】
図3は、基板1の貫通孔2にフェルール14を装着した光ファイバ11を挿入した例を示す。このように、基板1に形成する貫通孔2の大きさをフェルール径に合わせて形成した場合においても、透光性樹脂膜6を有するので、貫通孔2より小さい光素子3を設置することが可能である。したがって、光素子3を小型化することが可能となり、光通信装置の低コスト化が図れる。
【0050】
図4(a)〜同(i)は、本実施形態に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための工程図である。以下に、同図を参照しつつ、本実施形態に係る光通信モジュールの製造方法について説明する。
【0051】
まず、光ファイバを挿入可能な、例えば丸形状の貫通孔2を1又は複数個有する基板101を準備する(同図(a))。貫通孔2は、光ファイバ又は光ファイバに接続されたフェルールを挿入した際に、実質的に空隙が生じないサイズであることが光素子と光ファイバとの位置調整の観点から好ましい。基板101としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅等の導電性材料を用いることが好ましい。高速駆動に対応するためには、基板上にマイクロストリップラインを形成することが好ましく、基板101に導電体を用いた場合には、基板101をグラウンド(接地)電位として用いることが可能となるからである。なお、基板101には、樹脂、又はセラミックス等の非導電性の部材を用いることもできる。この場合には、基板101の表面に導電体層を形成することにより、この導電体層をグラウンド電位とすることができる。
【0052】
貫通孔2に対応する位置に設けられた所望の集光レンズ(例:凸レンズ)の形状をした凸部を複数有する型125を、型125の凸部が貫通孔2に対向する向きに配置する(同図(b))。型125は、特に限定されないが、例えば金属製の型が用いられる。型125の凸部は、後に形成する支持部材126にレンズ成型鋳型を形成するための型となる。
【0053】
貫通孔2に、貫通孔2を埋設する補助剤を充填する(同図(c))。ここで、補助剤としては、充填後、後に形成する透光性樹脂膜128上に光素子を載置する際に、透光性樹脂膜128が破損しないように、透光性樹脂膜128を支持し得るようなものであればよい。このような補助剤としては、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を貫通孔2内に充填した後、加熱硬化させ、支持部材126を形成する。また、この際、基板101の型125が設置されているのと反対側の面に、補助剤を用いて膜127を形成する。なお、基板101上に設ける膜127は、支持部材126と同じ補助剤を用いて形成されていてもよく、また、異なる補助剤を用いてもよい。支持部材126と膜127は、同時に形成されてもよく、また、別工程によってもよい。貫通孔2に充填した補助剤を取り除くのが容易という観点からは、膜127は、同一材料で一体的に形成されていることが好ましい。
【0054】
次に、型125を、基板101上から取り除く(同図(d))。
【0055】
型125が取除かれ、支持部材126の先端に形成された凹部が露出している基板101の面側に、透光性樹脂を成膜して、所望のレンズ形状の凸部9を有する透光性樹脂膜128を形成する(同図(e))。
【0056】
透光性樹脂膜128の材料としては、光を透過させる樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリイミド、エポキシ樹脂等を用いることができる。ポリイミドを用いる場合には、例えば、所定のモノマーを所定の厚さに塗布し、加熱重合させて硬化させることにより形成することができる。なお、透光性樹脂膜128を形成する前に、必要に応じて、基板101表面を研磨等により平坦化処理してもよい。
【0057】
次に、透光性樹脂膜128上に、例えば銅等の導電体膜をスパッタ又は銅箔の貼り付け等により一面に形成することで、配線膜7を形成する。その後、フォトリソグラフィ工程及びエッチング工程によりパターニングを行い、配線パターンを形成してもよい(同図(f))。
【0058】
このような配線膜7は、マイクロストリップラインとすることが好ましい。例えば、基板101として、ステンレス等の導電体を用いた場合には、基板101を基準電位(グラウンド電位)としたマイクロストリップラインの形成が可能となる。マイクロストリップラインを利用することで、インピーダンス整合を図ることができ、高周波域での伝送ロスを防止することが可能となるので、高周波域での伝送路を確保し得る。なお、基板101と透光性樹脂膜128との間に、導電体層を設けることで、導電体層をグラウンド電位とするマイクロストリップラインを形成してもよい。
【0059】
次に、配線膜7を形成した基板101上に、光素子3を実装する(同図(g))。例えば、光素子3としての垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)を、基板101上の配線膜7に接続するように、例えばフリップチップボンディングにより接合する。なお、同図(g)では、光素子3には、接続部として、はんだバンプ5によるバンプ処理がなされている。
【0060】
上記工程(f)及び(g)において、配線膜を形成して光素子3を実装する際のアラインメント調整は、基板101に設けた貫通孔2を基準として行う。光ファイバの位置調整は、貫通孔2に固定することにより行われるので、光素子3を貫通孔2を基準にして実装することで、光ファイバと光素子との光軸調整を容易に行うことが可能となる。また、光素子3として、VCSEL等の発光素子を用いる場合には、必要に応じて、発光素子を駆動するための駆動回路(例:レーザドライバ)を同時に搭載してもよい。本実施形態においては、上記のように、貫通孔2に補助剤を充填しているため、透光性樹脂膜128が補助剤により固定されるので、光素子3を実装する際に、樹脂膜が変形したり、破損したりするのを防ぐことができ、透光性樹脂膜128を介して、貫通孔2上に光素子3を確実に載置することが可能となる。
【0061】
さらに、上記のように実装された光素子3と透光性樹脂膜128との間に、透明なアンダーフィル剤(図示せず)を浸透させ、硬化させてもよい。その後、光素子3全体を例えばエポキシ樹脂等の封止材8にて封止する。なお、アンダーフィル剤は、特に限定するものではないが、透光性樹脂膜128の界面での反射を防止し得るという観点からは、透光性樹脂膜128とほぼ等しい屈折率の材料を用いることが好ましい。したがって、例えば、透光性樹脂膜128としてポリイミドを用いた場合には、アンダーフィル剤としては、ポリイミドに屈折率が近い、透光性エポキシ樹脂等を用いることができる。
【0062】
このように封止した光素子3を搭載した基板101を、例えばダイサー等により縦横に切断して小片にする(同図(h))。
【0063】
小片にした各基板1から、支持部材126aと膜127aが一体となった部材129aを除去する(同図(i))。
【0064】
なお、本実施形態においては、切断時に生じるゴミ、油等による汚染を防止し得るという観点から、基板101の切断後に、部材129aを取り除いているが、他の汚染防止措置を採る場合には、基板101の切断前に支持部材126及び膜127が一体となった部材129を取り除いてもよい。部材129を除去する工程の後に基板を切断する場合には、部材129を一度に抜くことが可能となるので、製造工程の簡略化が図れ、また、部材129の再利用が可能となり、製造コストを低減せしめることが可能となる。
【0065】
また、上記例においては、発光素子としてVCSELを用いたが、端面発光レーザ等を用いてもよい。さらに、発光素子の代わりにフォトダイオード等の受光素子を実装してもよく、この場合には、受信モジュールが得られる。
【0066】
また、上記(h)工程においては、一つの基板に一つの貫通孔2を備えるように小片化を行ったが、一つの基板が複数の貫通孔2を備えるように切断してもよい。貫通孔2を複数有する基板を形成することで、多チャンネルシステムに対応した光通信モジュール又は送受信一体型の光通信モジュールを提供し得る。
【0067】
以上の構成によれば、レンズ成型用鋳型としての凹部を有する支持部材を用いることにより、透光性樹脂膜128(又は6)を形成する工程で、透光性樹脂を成膜すると同時に透光性樹脂膜128(又は6)にレンズ状の凸部を形成することができる。また、貫通孔2に、補助剤を充填して透光性樹脂膜128(又は6)を固定するので、貫通孔2上に貫通孔2の孔径よりも小さな光素子3を載置することができ、安価な光通信モジュールの提供が可能となる。また、光素子3を載置する際、透光性樹脂膜128(又は6)を支持部材126により裏面から支えることが可能となるので、薄い透光性樹脂膜128(又は6)を用いた場合でも、透光性樹脂膜128(又は6)の歪みや破損を防止することが可能となる。したがって、歩留まりよく光通信モジュールを提供することが可能となる。さらに、一度に大量の光通信モジュールを形成することができるので、製造コストを低減することが可能となる。
【0068】
図5(a)〜同(h)に、本実施形態に係る光通信モジュールの他の工程による製造方法を説明するための工程図を示す。図4に記載の製造方法では、基板101に、型125を設置し、基板101に設けられた貫通孔2と型125に補助剤を充填し、支持部材126を形成することで、光素子3を搭載する際の透光性樹脂膜128(又は6)の支えとしている。これに対し、図5に記載の製造方法では、貫通孔2に補助剤を充填する代わりに、冶具123を挿入することで、光素子3を搭載する際の透光性樹脂膜128(又は6)の支えとする点で異なる。
【0069】
以下、図5を参照しつつ、各工程について説明する。なお、同図中、図4と実質的に同じ機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
まず、光ファイバを挿入可能な、例えば丸形状の貫通孔2を1又は複数個有する基板101を準備する(同図(a))。
【0071】
貫通孔2に、先端にレンズ形成用鋳型となる凹部を有する貫通孔に嵌合する冶具123を挿入する(同図(b))。冶具123は、後の工程で取除くことが容易となるという観点から、貫通孔2の高さよりも長いものを用いることが好ましい。冶具123は、冶具123の凹部側の面が、凹部の最上端が基板101の片面と略同一平面上に位置するように、基板101に挿入する。冶具123の素材は、特に限定するものではないが、透光性樹脂膜128上に光素子3を載置した後に除去するので、基板101から容易に引き抜くことができ、また、透光性樹脂膜128から容易に剥離し易いものが好ましく、例えば金属製が好ましい。
【0072】
図5(c)工程では、貫通孔2から下方に突出した冶具123の先端を、補助剤で固定して突出部の側面又は全体を覆う膜127を形成する。なお、膜127は、冶具123の突出した先端と同じか、それ以上の厚さに形成されていることが好ましい。基板101から冶具123の先端が突出した状態にあると、基板101に負荷がかかった時に、冶具123が透光性樹脂膜128を突き抜けてしまう恐れがあるからである。
【0073】
なお、図5の(d)〜(h)工程については、図4の(e)〜(i)と同様の工程で行うことができる。
【0074】
以上の構成によれば、図4に記載の製造方法と同様の効果が得られる他、透光性樹脂膜128を支持する部材として、貫通孔に嵌合する、繰り返し利用可能な冶具123を用いているので、光通信モジュールの低コスト化が図れる。
【0075】
図6(a)〜同(h)に、本実施形態に係る光通信モジュールの更なる他の工程による製造方法を示す。なお、同図中、図4と実質的に同じ機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
同図(a)に記載するような、基板上に例えば規則的に縦横に整列され、先端にレンズ成型用鋳型となる凹部を備えた例えば円筒状の凸部140aが複数形成された構造を有する冶具140を準備する。冶具140の各凸部140aに、一又は複数の貫通孔を有する複数の基板1を、各々嵌め込む(同図(b))。
【0077】
冶具140上の各基板1間の間隙を、例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性の樹脂142で埋め、加熱硬化させて基板ごと固定化し、硬化した樹脂142が基板1と面一になるように、表面を研磨する(同図(c))。なお、このような基板1間の間隙を埋める樹脂142としては、基板1と剥離容易なものが好ましい。基板1と剥離容易な樹脂を用いることで、各基板1を冶具140から取外す際、特別の操作なしに、基板1を樹脂142から容易に剥離することが可能となるので、製造工程を簡略にし得る。また、表面研磨の後に、必要に応じて、洗浄操作を行ってもよい。
【0078】
その後、図4の(e)〜(g)工程と同様に、透光性樹脂膜128を形成し、光素子3を実装して、封止材8により封止する(図6(d)〜同(f))。
【0079】
各基板1間の間隙を埋めた樹脂142の上部で透光性樹脂膜128を、例えばレーザ、又はダイシング等により切断し(同図(g))、完成した光通信モジュールを冶具140から外す(同図(h))。なお、(c)工程において、基板1間に充填した樹脂142と基板1との剥離性が良好でない場合には、ダイシング等により、基板1と樹脂142を切断してもよい。
【0080】
上記製造方法によると、図4に記載の製造方法と同様の効果が得られる他、冶具140を切断することなく、繰り返し利用することができ、簡略な工程で一括して大量に光通信モジュールを製造し得るので、製造コストを削減することが可能となる。
【0081】
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施形態に係る光通信モジュールの断面図である。
【図2】図2は、本実施形態の光通信装置の一実施態様を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態の光通信装置の他の実施態様を示す図である。
【図4】図4は、本実施形態に係る光通信モジュールの製造方法を説明するための工程図である。
【図5】図5は、本実施形態に係る光通信モジュールの他の工程による製造方法を説明するための工程図である。
【図6】図6は、本実施形態に係る光通信モジュールの更に他の工程による製造方法を説明するための工程図である。
【符号の説明】
1・・・基板、2・・・貫通孔、3・・・光素子、4・・・発光部又は受光部、5・・・バンプ、6・・・透光性樹脂膜、7・・・配線膜、8・・・封止材、9・・・集光レンズ、10・・・レーザ光
Claims (12)
- 光ファイバを挿脱可能な貫通孔を有する基板と、
前記基板の片面に密着して前記貫通孔全体を覆うように設置され、前記貫通孔に対向する位置に集光レンズが一体的に形成された透光性樹脂膜と、
前記透光性樹脂膜の少なくとも一面に配置される配線膜と、
前記配線膜に接続され、前記貫通孔上に前記透光性樹脂膜を介して設置される光素子と、
を含む光通信モジュール。 - 光ファイバを挿脱可能な貫通孔を有する基板と、
前記基板の片面に密着して前記貫通孔全体を覆うように設置され、前記貫通孔に対向する位置に集光レンズが一体的に形成された透光性樹脂膜と、
前記透光性樹脂膜の両面に形成されるマイクロストリップラインと、
前記マイクロストリップラインに接続され、前記貫通孔上に前記透光性樹脂膜を介して設置される光素子と、
を含む光通信モジュール。 - 前記透光性樹脂膜の集光レンズ以外の部分の膜厚を利用して、前記マイクロストリップラインの特性インピーダンスの値を設定する、請求項1又は請求項2に記載の光通信モジュール。
- 前記基板を導体として前記マイクロストリップラインの一方の配線を兼ねるようにした、請求項2又は請求項3に記載の光通信モジュール。
- 前記透光性樹脂膜がポリイミド膜であり、前記光素子が面発光レーザである、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光通信モジュール。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光通信モジュールを含む、光通信装置。
- 一又は複数の貫通孔を有する基板の片面に、前記貫通孔に対応する位置に所望のレンズの形状を備えた凸部を有する型を、前記凸部が前記貫通孔に向くように設置する工程と、
前記基板の貫通孔内に該貫通孔を埋設する補助剤を充填し、その後に該補助剤を硬化させ、前記凸部形状が転写された凹部を有する支持部材を形成する工程と、
前記型を取除き、前記支持部材の凹部が露出している前記基板の面に透光性樹脂を成膜し、前記支持部材の凹部の形状が転写されたレンズ形状の凸部を有する透光性樹脂膜を得る工程と、
前記透光性樹脂膜上に導電体により配線膜を形成する工程と、
前記配線膜に接続され、前記貫通孔上に位置するように光素子を実装する工程と、
前記基板から前記支持部材を除去する工程と、
を含む、光通信モジュールの製造方法。 - 一又は複数の貫通孔を有する基板の該貫通孔に、先端にレンズ成型用の鋳型となる凹部を有する冶具を挿入する工程と、
前記冶具の凹部が露出している前記基板の面に透光性樹脂を成膜し、前記冶具の凹部の形状が転写された凸部を有する透光性樹脂膜を得る工程と、
前記透光性樹脂膜上に導電体により配線膜を形成する工程と、
前記配線膜に接続され、前記貫通孔上に位置するように光素子を実装する工程と、
前記基板から前記冶具を除去する工程と、
を含む、光通信モジュールの製造方法。 - 前記貫通孔に冶具を挿入する工程において、前記冶具の挿入後に、さらに、前記冶具を前記基板に固定する、請求項8に記載の光通信モジュールの製造方法。
- 前記支持部材又は前記冶具を除去する工程の前又は後に、さらに、前記基板を切断して小片化する工程を含む、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の光通信モジュールの製造方法。
- 先端にレンズ成型用の鋳型となる凹部を有する複数の凸部を備えた冶具に、一又は複数の貫通孔を有する一又は複数の基板を、前記貫通孔に前記凸部が嵌るように取付ける工程と、
前記冶具が取付けられている面と反対側の前記基板の面に、透光性樹脂を成膜し、前記冶具の凹部の形状が転写された凸部を有する透光性樹脂膜を形成する工程と、
前記透光性樹脂膜上に導電体により配線膜を形成する工程と、
前記配線膜に接続するように光素子を実装する工程と、
前記冶具から前記基板を取り外す工程と、
を含む、光通信モジュールの製造方法。 - 前記基板が複数である場合に、前記冶具に前記基板を取付ける工程の後に、基板間の隙間に樹脂を充填し、各基板を固定する工程と、前記光素子を実装する工程の後に、前記基板間の隙間を充填した樹脂上で、前記透光性樹脂膜を切断する工程とを含む、請求項11に記載の光通信モジュールの製造方法。
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