JP2004286864A - 高次モードを用いた分散補償ファイバ - Google Patents

高次モードを用いた分散補償ファイバ Download PDF

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Abstract

【課題】高次モードを用いた分散補償ファイバにおいて、高次モードよりも低次のモードの伝搬を抑え、低次モードと高次モードとの干渉を低減して、多重パス干渉をさらに低下させ、高次モードの伝搬損失の波長依存性を低減する。
【解決手段】光ファイバ内に、この光ファイバを伝搬する低次のモードを減衰させ、これよりも高次のモードを減衰させないリング状の第1の損失層5と、高次モードの伝搬損失の波長依存性を平坦化する第2の損失層6を設ける。第1の損失層5は高次のモードの電界分布が零となる位置に設けられ、具体的には中心コア部1内に配置される。第2の損失層6は、第1の損失層5の外側のクラッド4の内部に設けられる。これら損失層5、6の形成は、コバルトなどの元素をドープしてなされ、その厚さは0.5μm以下とされる。また、このファイバは、中心コア部1とコア部2とリングコア部3とクラッドを有する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高次モードを用いた分散補償ファイバに関し、この分散補償ファイバにおける低次モードと高次モードとの干渉(多重パス干渉:MPI)を低減し、高次モードの伝搬損失の波長依存性を平坦化するようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】
データ通信の急速な需要の増加に対応して、光ファイバ伝送システムの大容量化、高速化の要求が高まっている。
この要求に応えるため、第1に光ファイバ伝送路の残留分散を低減することが必要になり、このために分散補償ファイバが用いられている。
【0003】
第2に、多重波長数が大幅に増加することから、光ファイバに伝送される光信号のパワーが増大するため、非線形効果による伝送特性の劣化を防止する必要がある。このために、光伝送路を構成する光ファイバとして、実効断面積Aeffが大きな光ファイバが求められ、上記分散補償ファイバにも実効断面積が大きなものが要求される。
【0004】
ところで、通常の分散補償ファイバは、基本モードLP01モードを用いるものであるが、これよりも高次のLP02モードを用いる分散補償ファイバが、米国特許第5802234号明細書(特許文献1)で提案されている。
この高次モードを用いた分散補償ファイバでは、本質的に実効断面積が格段に大きく、しかも波長分散係数(単位長さ当たりの波長分散の絶対値)も大きく、例えば−200ps/nm/kmの値が得られている。
【0005】
このような高次モードを用いた分散補償ファイバにおいては、このファイバを伝搬する低次モードと高次モードとの干渉は本質的に避けられない。このため、光伝送路におけるシングルモード光ファイバと高次モードを用いた分散補償ファイバとの接続点において、低次モードを高次モードに変換するモード変換器を挿入し、この分散補償ファイバに低次モードが極力伝搬しないようにしなければならない。
【0006】
このモード変換器としては、長周期ファイバグレーティングやホーリーファイバが用いられ、低次モードと高次モードとの挿入損失差で定義される多重パス干渉(MPI)を−40dB程度に抑えている。
しかしながら、この程度の多重パス干渉の値では、実用上不十分であり、モード変換器を使用する限りでは、多重パス干渉をさらに低下させることは困難である。
【0007】
このような多重パス干渉を低減するために、本発明者は、先に低次モードの伝搬を妨げ、高次モードの伝搬を妨げない損失層を設けた分散補償ファイバを提案している(特願2002−39981号、平成15年02月18日出願)。
この新しい分散補償ファイバでは、モード変換器を併用することで、分散補償モジュールとしての多重パス干渉を45dB以上とすることができる利点を有している。
【0008】
しかしながら、この先願発明に開示された損失層を有する分散補償ファイバにおいては、高次モード、例えばLP02モードの伝搬損失の波長依存性が大きく、短波長域では損失が増加すると言う問題が新たに発生した。
図10は、厚さ0.2μm、ピーク損失150dB/km、バックグランド損失0.5dB/kmのコバルトをドープしてなる損失層を、コアの中心から半径2.20μmの位置に設けた分散補償ファイバの伝搬損失と波長との関係を示したものである。
【0009】
この図10から、波長域1.5〜1.6μmにおいて、約1dB/kmもの最大損失変動差が存在することがわかる。なお、この損失層を有する分散補償ファイバでは、LP01モードの伝搬損失とLP02モードの伝搬損失との差は、約25dBとなって、低次のモードの伝搬が十分抑えられたものである。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第5802234号明細書
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
よって、本発明における課題は、高次モードを用いた分散補償ファイバにおいて、高次モードよりも低次のモードの伝搬を抑え、低次モードと高次モードとの干渉を低減して、多重パス干渉をさらに低下させ、かつ高次モードの伝搬損失の波長依存性を低減することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、光ファイバ内に、この光ファイバを伝搬する低次のモードを減衰させ、これよりも高次のモードを減衰させない第1の損失層と、高次のモードの伝搬損失の波長依存性を平坦化する第2の損失層を設けたことを特徴とする高次モードを用いた分散補償ファイバである。
【0013】
請求項2にかかる発明は、第1の損失層を高次のモードの電界分布における電界が零となる位置に設け、第2の損失層を第1の損失層の外側に設けたことを特徴とする請求項1に記載の高次モードを用いた分散補償ファイバである。
請求項3にかかる発明は、第1の損失層または第2の損失層が、光ファイバをなすガラスにコバルト、クロム、銅、鉄、ニッケル、マンガン、ホウ素、バナジウムのいずれか1種以上の元素をドープすることによって形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の高次モードを用いた分散補償ファイバである。
【0014】
請求項4にかかる発明は、第1の損失層または第2の損失層の厚さが1μm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高次モードを用いた分散補償ファイバである。
請求項5にかかる発明は、低次のモードがLP01モードであり、高次のモードがLP02モードであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高次モードを用いた分散補償ファイバである。
【0015】
請求項6にかかる発明は、低次のモードの伝搬損失が10dB/km以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の高次モードを用いる分散補償ファイバである。
請求項7にかかる発明は、高次のモードの最大伝搬損失差が、波長域1.5〜1.6μmで0.042dB/km以下で、波長域1.53〜1.565μmで0.0012dB/km以下であることを特徴とする請求項1ないし6に記載の高次モードを用いる分散補償ファイバである。
【0016】
請求項8にかかる発明は、光ファイバが、中心コア部と、これの外周に設けられ、屈折率が中心コア部よりも低いコア部と、これの外周に設けられ、屈折率がコア部よりも高く、中心コア部よりも低いリングコア部と、これの外周に設けられたクラッドを有するものであることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の高次モードを用いた分散補償ファイバである。
【0017】
請求項9にかかる発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の高次モードを用いた分散補償ファイバを用いたことを特徴とする分散補償モジュールである。
請求項10にかかる発明は、多重パス干渉が45dB以上であることを特徴とする請求項9に記載の分散補償モジュールである。
【0018】
請求項11にかかる発明は、請求項9または10に記載の分散補償モジュールを備えたことを特徴とする光伝送路である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
図1は、本発明の高次モードを用いた分散補償ファイバの一例を模式的に示す断面図であり、図2は、この例の分散補償ファイバの屈折率プロファイルを示すものである。
【0020】
図1において、符号1は中心コア部、2はコア部、3はリングコア部、4はクラッドを示す。
中心コア部1は、屈折率が最も高く、ゲルマニウムドープ石英などのガラスからなり、比屈折率差Δ1が0.005〜0.026で、外径2aが5〜16μmの範囲のものである。
【0021】
コア部2は、中心コア部1の外側に位置し、その屈折率が中心コア部1よりも低く、かつクラッド4よりも低く、フッ素ドープ石英などのガラスからなり、比屈折率差Δ2が−0.01〜+0.006で、外径2bが8〜20μmの範囲のものである。
また、リングコア部3は、コア部2の外側に位置し、その屈折率が中心コア部1よりも低く、コア部2よりも高く、かつクラッド4よりも高く、ゲルマニウムドープ石英などのガラスがらなり、比屈折率差Δ3が−0.007〜+0.015で、外径2cが12〜34μmの範囲のものである。
【0022】
さらに、クラッド4は、リングコア部3の外側に位置し、その屈折率はリングコア部3よりも低く、コア部2よりも高く、純粋石英などのガラスからなり、その外径は、125μmとなっている。
【0023】
そして、この高次モードを用いた分散補償ファイバの中心コア部1の内部には、図1に示したように、リング状の第1の損失層5が形成され、かつクラッド4の内部にはリング状の第2の損失層6が形成されている。図2において符号5、6で示した第1の損失層および第2の損失層は、単にその位置を示すもので、この損失層5、6の屈折率を示すものではない。
【0024】
この第1の損失層5は、例えば基本モードのLP01モードの伝搬を妨げ、これよりも高次のモードであるLP02モードの伝搬を妨げない機能を有するものである。
【0025】
この第1の損失層5は、具体的にはコバルト、クロム、銅、鉄、ニッケル、マンガン、ホウ素、バナジウムの群から選ばれる1種以上の元素をドープした石英などのガラスからなる層である。
第1の損失層5自体の損失量は、100〜200dB/km程度である。
また、第1の損失層5の厚さは0.5μm以下の薄い(狭い)ものとなっており、ファイバ自体の伝送損失を低下させないようになっている。
【0026】
さらに、第1の損失層5の位置は、高次モード、例えばLP02モードの電界分布における電界強度が零となる点を含む位置とされる。この電界強度が零となる点は、LP02モードの電界分布の「節」に相当するもので、LP02モードの伝搬に影響を与えないようになっている。
【0027】
また、第2の損失層6は、例えば高次のモードであるLP02モードの伝搬損失の波長依存性を低減化して、平坦化する機能を有するものである。
この第2の損失層6は、具体的にはコバルト、クロム、銅、鉄、ニッケル、マンガン、ホウ素、バナジウムの群から選ばれる1種以上の元素をドープした石英などのガラスからなる層である。
【0028】
第2の損失層6自体の損失量は、10〜20dB/km程度である。
また、第2の損失層6の厚さは1μm以下の薄い(狭い)ものとなっており、ファイバ自体の伝送損失を低下させないようになっている。
この第2の損失層6の位置は、高次のモード、例えばLP02モードの第3の「腹」の付近とされ、通常は第1の損失層5の外側のクラッド4の内部に設けられることが多い。
【0029】
高次のモードであるLP02モードの電界分布は、波長が長くなるにつれ、この第3の腹で大きくなり、ここに第2の損失層6を設けることで、この損失層6によるモード損失が増える。したがって、この第2の損失層6の位置、厚さ、損失量等を最適化することにより、LP02モードの損失特性を平坦化することができる。
【0030】
この第1の損失層5および第2の損失層6の損失量、厚さ、位置を具体的に設定するには、以下の計算式:(1)式に基づいて行うことができる。
【数1】
Figure 2004286864
(1)式において、Pm(r)は、ファイバプロファイルの材料損失、Aは、第1の損失層のピーク損失(dB/km)、Aは、第2の損失層のピーク損失(dB/km)、Bは、その他の層の損失(dB/km)、rは、第1の損失層の中心半径、rは、第2の損失層の中心半径、Δrは、第1の損失層のdB半値全幅、Δrは、第2の損失層のdB半値全幅である。ただし、損失層が十分に薄く(狭く)、損失はガウス分布に従うものとする。
【0031】
また、低次モード、高次モードの各モードの伝搬損失は、以下の(2)式に基づいて算出することができる。
【数2】
Figure 2004286864
(2)式において、Plは、各モードの伝搬損失(dB/km)、Rは、LPモード近似時の電磁界横成分関数であり、K.Okamoto,“Comparison of calculated and measured impulse responses of optical fibers”Appl.Opt.,vol.18,pp.2199−2206,1979.に従い計算できる。
この(1)式および(2)式を用いて、必要な特性がえられるように、第1および第2の損失層5、6の構造パラメータが定められる。
【0032】
このような第1および第2の損失層5、6を有する分散補償ファイバは、MCVD法によって作製できる。すなわち、出発基材となる石英管内に供給する四塩化シラン、四塩化ゲルマンなどのガラス原料ガスに、上述の元素を含む化合物からなるドーパントガスを追加、供給するタイミングと、その供給時間、その供給量、ドーパントガス中の元素濃度等を制御することで、目的とする第1および第2の損失層5、6を目的に位置に形成することができる。
【0033】
このような高次モードを用いた分散補償ファイバにあっては、第1の損失層5の存在によって、高次モード、例えばLP02モードの伝搬は妨げられず、これよりも低次のモード、例えばLP01モードの伝搬は大きく妨げられ、その損失は10dB/km以上、好ましくは20dB/km以上となり、高次モードの損失の8倍以上となる。また、さらに高次のモード、例えばLP03モードの伝搬も可能であるが、曲げによる損失が大きく、モジュールとした際に大きな伝搬損失を持つことになり、実用上は伝搬がほぼ抑えられる。
【0034】
この結果、この分散補償ファイバでは、高次モード、例えばLP02モードのみが伝搬されることになる。したがって、モード変換器において、基本モードから高次モード、例えばLP02モードに変換し切れなかったこれ以外のモード、例えばLP01モードは、この分散補償ファイバでは実用上伝搬されなくなり、多重パス干渉は極めて低いものとなる。また、高次モードと低次モードとの損失比は、このファイバの長さに依存しており、ファイバの長さを変えることで多重パス干渉を調整できる。
【0035】
また、この高次モードを用いた分散補償ファイバでは、先の米国特許にも開示されているように本質的に大きな分散係数と高い実効断面積を有するものであり、波長分散が−200ps/nm/km以下で、波長分散スロープが0ps/nm/kmであり、実効断面積が50μm以上となる。
したがって、この分散補償ファイバを用いて分散補償を行う場合に、短いファイバ長さで累積分散を補償することができる。また、高パワーの光信号を伝送しても、非線形効果で伝送特性が劣化することが少ない。
【0036】
さらに、この分散補償ファイバでは、第2の損失層6の存在により、後述する具体例からも明らかなように、高次モード、例えばLP02モードの伝搬損失の波長依存性が低減され、平坦化される。すなわち、波長が長くなるにつれ、LP02モードの電界はその第3の「腹」で大きくなり、この位置に第2の損失層6を設けることでLP02モードの損失−波長特性を平坦化できるのである。
【0037】
このため、この分散補償ファイバは、LP02モードの最大損失差が波長域1.5〜1.6μmで0.042dB/km以下に、波長域1.53〜1.565μmで0.0012dB/km以下の極めて優れた平坦性を有するものとなる。したがって、光通信の使用波長帯である1.55μmバンドがブロードバンド化しつつある現在において、損失特性を平坦化するイコライザーなどの装置を新たに導入する必要がない。
【0038】
本発明の分散補償モジュールは、上述の構成を有する高次モードを用いた分散補償ファイバをボビン等に所望長さ巻回してコイル状とし、これをケース等に収容したものである。上記高次モードを用いた分散補償ファイバは先に述べたように、分散係数が極めて大きいので、巻回長さは短くて済み、モジュール自体の小型化、低コスト化が可能となる。また、低次モードが大きく減衰するので、多重パス干渉は45dB以上となる。
【0039】
図3は、この分散補償モジュールを用いて光伝送路の累積波長分散を補償するシステムの例を示すものである。
図3において、符号11は、波長1.3μmにおいて分散値が零で、1.55μmにおいて分散値が+17ps/nm/kmであるシングルモードファイバからなる光伝送路を示す。
【0040】
この光伝送路11の出力端には、第1のモード変換器12の入力端が接続されている。この第1のモード変換器12は、シングルモードファイバからなる光伝送路11に伝搬される基本モードのLP01モードをこれよりも高次のモード、例えばLP02モードに変換する機能を有するものである。このモード変換器12には長周期ファイバグレーティングやホーリーファイバが用いられる。
【0041】
第1のモード変換器12の出力端には、上述の分散補償モジュール13の入力端が接続されており、この分散補償モジュール13の出力端には第2のモード変換器14の入力端が接続されている。この第2のモード変換器14は、分散補償モジュール13に伝送される高次モード、例えばLP02モードを基本モードのLP01モードに変換する機能を有するもので、先のものと同様にホーリーファイバや長周期ファイバグレーティングが用いられる。
第2のモード変換器14の出力端には、他の光伝送路15あるいは光増幅器などが接続されている。
【0042】
光伝送路11の入力端から入力された波長1.55μmの基本モード(LP01モード)の光信号は、その出力端から第1のモード変換器12に送られ、ここでモード変換されて、高次モード、例えばLP02モードに変換される。第1のモード変換器12でLP02モードに変換された信号光は分散補償モジュール13に入力され、ここで光伝送路11において累積された波長分散が補償されたのち、第2のモード変換器14に送られる。
【0043】
第2のモード変換器14では、信号光の伝搬モードが高次のモード、例えばLP02モードから基本モードのLP01モードにモード変換されて、これより出力され、他の光伝送路15あるいは光増幅器に送られる。
【0044】
分散補償モジュール13における分散補償ファイバの長さは、光伝送路11で累積された1.55μmでの波長分散をキャンセルすることができるように定められる。例えば、光伝送路11の長さが80kmで、この光伝送路11をなすシングルモードファイバの波長1.55μmでの分散値が+17ps/nm/kmであれば、光伝送路11における累積分散値は80×17=1360ps/nmとなる。
【0045】
分散補償モジュール13において使用した高次モードを用いた分散補償ファイバの1.55μmでの分散値が−1000ps/nm/kmとすると、分散補償モジュール13における分散補償ファイバの巻回長さを1.36kmとすれば、光伝送路11における1.55μmでの累積分散を完全に補償できる。
また、使用波長帯域において、分散補償モジュール13の損失波長特性が平坦であるので、光伝送路に別途これを平坦化する装置を導入する必要もない。
【0046】
以下、具体例を示す。
(例1)
MCVD法を用いて、表1の例1に示す構造パラメータを有する高次モードを用いた分散補償ファイバを作製した。この分散補償ファイバは、LP01モード、LP02モードおよびLP03モードの伝搬が可能であった。LP02モードの分散特性を図4に示す。図4から波長1.55μmでの分散値は約−1200ps/nm/kmである。
【0047】
【表1】
Figure 2004286864
【0048】
この分散補償ファイバの作製の際に、以下に示す第1の損失層と第2の損失層とを設けた。第1の損失層は、LP02モードの電界分布の電界の値が零になる半径2.20μmの位置に、厚さ0.2μmで、Aが155dB/kmであり、三酸化ホウ素(B)を中心コア部となるゲルマニウムドープ石英に16.8モル%ドープして形成されたものである。
【0049】
また、第2の損失層は、半径8.49μmの位置に、厚さ0.3μmで、Aが12.1dBであり、三酸化ホウ素(B)をクラッドとなる石英に1.3モル%ドープして形成したものである。なお、Bは、0.5dB/kmとした。
【0050】
第1および第2の損失層を設けた分散補償ファイバと、第1の損失層のみを設けた分散補償ファイバについて、そのLP02モードの伝搬損失の波長依存性を図5に示す。
図5から、第2の損失層を設けることで、損失量が全体的にやや増加しているが、波長領域1.53〜1.565μmにおいて、最大損失差が0.4dB/kmから0.0012dB/kmに改善されていることがわかる。
【0051】
表2は、波長1.55μmでの分散値が+17ps/nm/kmのシングルモードファイバを80km用いた光伝送路における1.55μmでの累積分散を分散補償モジュールにより補償した例の結果を示したものである。
この表2では、上述の第1および第2の損失層のあるLP02モードを用いる分散補償ファイバと、損失層のないLP02モードを用いる分散補償ファイバと、通常のLP01モードを用いる分散補償ファイバの3種の分散補償ファイバを用いて、3種の分散補償モジュールを作製し、この3種の分散補償モジュールを図3に示すようなシステム構成により接続した光伝送路の特性を比較して示したものである。
【0052】
【表2】
Figure 2004286864
【0053】
表2中のFOM(良好指数)は、分散補償された光伝送路の全分散値を、2箇所のモード変換器を含む全損失値で除した値であり、MPI(多重パス干渉)は、同じく分散補償された光伝送路におけるLP01モードの全挿入損失とLP02モードの全挿入損失との差である。
また、使用モードとはLP02モードであり、不要モードとはLP01モードである。
表2の結果から、損失層を設けたLP02モードを用いる分散補償ファイバでは、FOM、MPIが大幅に向上していることが明らかである。
【0054】
さらに、上記例1において、第2の損失層として、半径9.85μmの位置に、厚さ0.9μmで、Aが4.04dBであり、三酸化ホウ素(B)をクラッドとなる石英に0.44モル%ドープして形成したものを用いた分散補償ファイバについてのLP02モードの伝搬損失の波長依存性を図6に示す。
【0055】
図6から、第2の損失層を設けることで、波長領域1.5〜1.6μmにおいて、最大損失差が1.0dB/kmから0.042dB/kmに改善されていることがわかる。また、この分散補償ファイバの特性は、表2に示した例1の分散補償ファイバと同等であった。
【0056】
(例2)
MCVD法を用いて、表1の例2に示す構造パラメータを有する高次モードを用いた分散補償ファイバを作製した。この分散補償ファイバは、LP01モード、LP02モードおよびLP03モードの伝搬が可能であった。LP02モードの分散特性を図7に示す。図7から波長1.55μmでの分散値は約−440ps/nm/kmである。
【0057】
この分散補償ファイバの作製の際に、以下に示す第1の損失層と第2の損失層とを設けた。第1の損失層は、LP02モードの電界分布の電界の値が零になる半径2.30μmの位置に、厚さ0.2μmで、Aが70dB/kmであり、三酸化ホウ素(B)を中心コア部となるゲルマニウムドープ石英に7.6モル%ドープして形成されたものである。
【0058】
また、第2の損失層は、半径7.92μmの位置に、厚さ0.2μmで、Aが6.07dBであり、三酸化ホウ素(B)をクラッドとなる石英に0.66モル%ドープして形成したものである。なお、Bは、0.5dB/kmとした。
【0059】
第1および第2の損失層を設けた分散補償ファイバと、第1の損失層のみを設けた分散補償ファイバについて、そのLP02モードの伝搬損失の波長依存性を図8に示す。
図8から、第2の損失層を設けることで、損失量が全体的にやや増加しているが、波長領域1.53〜1.565μmにおいて、最大損失差が0.65dB/kmから0.0002dB/kmに著しく改善されていることがわかる。
【0060】
表3は、波長1.55μmでの分散値が+17ps/nm/kmのシングルモードファイバを80km用いた光伝送路における1.55μmでの累積分散を分散補償モジュールにより補償した例の結果を示したものである。
この表3では、上述の第1および第2の損失層のあるLP02モードを用いる分散補償ファイバと、損失層のないLP02モードを用いる分散補償ファイバと、通常のLP01モードを用いる分散補償ファイバの3種の分散補償ファイバを用いて、3種の分散補償モジュールを作製し、この3種の分散補償モジュールを図3に示すようなシステム構成により接続した光伝送路の特性を比較して示したものである。
【0061】
【表3】
Figure 2004286864
【0062】
表3の結果から、損失層を設けたLP02モードを用いる分散補償ファイバでは、FOM、MPIが大幅に向上していることが明らかである。
【0063】
さらに、上記例2において、第2の損失層として、半径7.95μmの位置に、厚さ0.4μmで、Aが3.18dBであり、三酸化ホウ素(B)をクラッドとなる石英に0.35モル%ドープして形成したものを用いた分散補償ファイバについてのLP02モードの伝搬損失の波長依存性を図9に示す。
【0064】
図9から、第2の損失層を設けることで、波長領域1.5〜1.6μmにおいて、最大損失差が0.18dB/kmから0.0022dB/kmに改善されていることがわかる。また、この分散補償ファイバの特性は、表3に示した例2の分散補償ファイバと同等であった。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の高次モードを用いる分散補償ファイバにあっては、低次モード、例えばLP01モードの伝搬を妨げ、これよりも高次の例えばLP02モードの伝搬を妨げない第1の損失層を設けることによって、低次のLP01モードは伝搬中に大きく減衰することになるものの高次のLP02モードは減衰することがなくなる。このため、多重パス干渉が劇的に向上する。
【0066】
また、高次モードの伝搬損失の波長依存性を平坦化する第2の損失層を設けることによって、使用波長帯の1.55μm帯の広い帯域において、伝搬損失の波長依存性が低減され、平坦な損失特性を有するものとなる。
【0067】
したがって、高次モードを用いた分散補償ファイバを用いて分散補償する際に不可欠なモード変換器の変換特性が少々悪くても、この発明の分散補償ファイバを用いることで、分散補償ファイバ内で不要なモード、例えばLP01モードがほとんど伝搬されなくなり、良好な多重パス干渉が得られる。
【0068】
また、高次モードを用いるようにしているため、大きな波長分散係数を持ち、補償に要するファイバ長さを短縮できる。さらに、高い実効断面積を有するので、高い光パワーの信号光を伝送しても、非線形効果による弊害を生じることがない。
さらに、損失波長特性が平坦であるため、これを平坦化するイコライザーやフィルタなどの装置が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高次モードを用いる分散補償ファイバの一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明の高次モードを用いる分散補償ファイバの屈折率分布の一例を示す図である。
【図3】本発明の分散補償モジュールを用いて分散補償した光伝送路の構成の一例を示す概略構成図である。
【図4】具体例1での分散補償ファイバの分散特性を示す図表である。
【図5】具体例1での分散補償ファイバにおける伝搬損失の波長依存性を示す図表である。
【図6】具体例1の他の例での伝搬損失の波長依存性を示す図表である。
【図7】具体例2での分散補償ファイバの分散特性を示す図表である。
【図8】具体例2での分散補償ファイバにおける伝搬損失の波長依存性を示す図表である。
【図9】具体例2の他の例での伝搬損失の波長依存性を示す図表である。
【図10】先願発明の分散補償ファイバの伝搬損失の波長依存性を示す図表である。
【符号の説明】
1・・・中心コア部、2・・・コア部、3・・・リングコア部、4・・・クラッド、5・・・第1の損失層、6・・・第2の損失層。

Claims (11)

  1. 光ファイバ内に、この光ファイバを伝搬する低次のモードを減衰させ、これよりも高次のモードを減衰させない第1の損失層と、高次のモードの伝搬損失の波長依存性を平坦化する第2の損失層を設けたことを特徴とする高次モードを用いた分散補償ファイバ。
  2. 第1の損失層を高次のモードの電界分布における電界が零となる位置に設け、第2の損失層を第1の損失層の外側に設けたことを特徴とする請求項1に記載の高次モードを用いた分散補償ファイバ。
  3. 第1の損失層または第2の損失層が、光ファイバをなすガラスにコバルト、クロム、銅、鉄、ニッケル、マンガン、ホウ素、バナジウムのいずれか1種以上の元素をドープすることによって形成されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載の高次モードを用いた分散補償ファイバ。
  4. 第1の損失層または第2の損失層の厚さが1μm以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高次モードを用いた分散補償ファイバ。
  5. 低次のモードがLP01モードであり、高次のモードがLP02モードであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の高次モードを用いた分散補償ファイバ。
  6. 低次のモードの伝搬損失が10dB/km以上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の高次モードを用いる分散補償ファイバ。
  7. 高次のモードの最大伝搬損失差が、波長域1.5〜1.6μmで0.042dB/km以下で、波長域1.53〜1.565μmで0.0012dB/km以下であることを特徴とする請求項1ないし6に記載の高次モードを用いる分散補償ファイバ。
  8. 光ファイバが、中心コア部と、これの外周に設けられ、屈折率が中心コア部よりも低いコア部と、これの外周に設けられ、屈折率がコア部よりも高く、中心コア部よりも低いリングコア部と、これの外周に設けられたクラッドを有するものであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の高次モードを用いた分散補償ファイバ。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の高次モードを用いた分散補償ファイバを用いたことを特徴とする分散補償モジュール。
  10. 多重パス干渉が45dB以上であることを特徴とする請求項9に記載の分散補償モジュール。
  11. 請求項9または10に記載の分散補償モジュールを備えたことを特徴とする光伝送路。
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