JP2004285443A - 電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストおよび艶消し電着塗料組成物 - Google Patents

電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストおよび艶消し電着塗料組成物 Download PDF

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健司 野嶋
Masamichi Ishitani
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Abstract

【課題】塗膜表面の凹凸に起因する艶消し塗膜とは異なる、表面が平滑であって奥艶を有する、電着塗装による艶消し硬化塗膜を提供すること。
【解決手段】電着塗料に含有させて硬化塗膜が艶消しされる電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストにおいて、この電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストが、水性媒体と、水性媒体中に分散させるか溶解させた顔料分散樹脂と樹脂ビーズとを含み、樹脂ビーズが、硬化塗膜を構成する成分である硬化バインダー樹脂成分の屈折率と0.05以上異なる屈折率を有している、電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電着塗料に含有させて硬化塗膜が艶消しされる電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストおよび艶消し電着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
塗装工程の自動化が可能でありその塗装効率も高い電着塗装において、近年、その外観の良さなどから艶消し塗装の要望が高くなっている。
【0003】
艶消し塗装用の電着塗料(以下艶消し電着塗料という。)は、一般的に、電着塗料にホワイトカーボン、シリカ微粒子またはケイ酸アルミニウムなどを電着塗料に加えたり、または塗膜中の顔料体積率(PVCともいう。)を高めるなどによって製造することができる。このような艶消し電着塗料は、上記方策によりその塗膜表面に微細な凹凸が形成され、艶消し効果を奏している。
【0004】
例えば、特開平5−262889号公報(特許文献1)は、電着塗料の艶消し剤として使用することができるカチオン性ゲル粒子の製造方法について記載している。このカチオン性ゲル粒子をカチオン性エポキシ樹脂電着塗料に加えて電着塗装すると、塗膜表面がゲル成分(アクリル樹脂)リッチとなる2層構造の塗膜を得ることができると記載されている。
【0005】
特開平9−87554号公報(特許文献2)は、アミン変性エポキシ樹脂とカチオン性アクリル樹脂とを組合せた、層分離による、艶消しカチオン電着塗料について記載している。この電着塗料による艶消し効果は、硬化時に顔料凝集や表面に顔料が露出することにより平面の平滑性が失われ、艶消し効果が発揮されるためと記載されている。
【0006】
また、特開2000−309742号公報(特許文献3)は、平均粒径0.5〜70μmのポリ塩化ビニル樹脂粒子からなる艶消し塗料用添加剤について記載している。この添加剤により塗膜表面に微細な凹凸がある艶消し塗装物が得られると記載されている。
【0007】
上記の方法による艶消し効果は、硬化時に、カチオン電着塗料樹脂から、相溶性の異なるカチオン性ゲル粒子や塩化ビニル樹脂粒子などが表面に露出することに起因すると考えられる。その結果、その塗膜表面に微細な凹凸が形成されることにより塗膜表面で光が散乱され、艶消し効果が発揮されると推定される。しかし、これらの方法で得られる塗膜は、塗膜表面で光が散乱されるために奥行き感のない平面的な艶消し外観となる。
【0008】
一方、淡色の艶消し電着塗装を行なう場合は、多量の酸化チタンを使用する必要がある。この場合、塗膜の性能面の問題からPVCを一定に保つ必要があり、そのため、体質顔料を減らす必要が生じる。その結果、艶消しの仕上り安定性が低下し、光沢が高くなることがある。
【0009】
また、アニオン電着塗料における艶消し手法は、特開平5−171100号公報(特許文献4)に示されているようにアルコキシシリル基を用いた手法が一般的である。この手法は、塗料中にマイクロゲルを生成させることにより塗膜表面に微細な凹凸を形成させ、塗膜表面での光の散乱により艶消し効果が発揮されると推定される。しかし、この手法で得られる塗膜も奥行き感のない平面的な艶消し外観となる。
【0010】
【特許文献1】
特開平5−262889号公報
【特許文献2】
特開平9−87554号公報
【特許文献3】
特開2000−309742号公報
【特許文献4】
特開平5−171100号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、塗膜表面の凹凸に起因する艶消し塗膜とは異なる、奥行き感、深みを有する艶消し塗膜(以下「奥艶」を有する塗膜という。)を得ることができる、電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストおよび艶消し電着塗料組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電着塗料に含有させて硬化塗膜が艶消しされる電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストにおいて、この電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストが、水性媒体と、水性媒体中に分散させるか溶解させた顔料分散樹脂と樹脂ビーズとを含み、樹脂ビーズが、硬化塗膜を構成する成分である硬化バインダー樹脂成分の屈折率と0.05以上異なる屈折率を有している、電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストを提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0013】
また、本発明は、電着塗料成分と上記の電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストとを含有する艶消し電着塗料組成物も提供する。
【0014】
また、本発明は、上記電着塗料成分が、カチオン性エポキシ樹脂とブロックポリイソシアネート硬化剤とを含むバインダー樹脂および顔料を含み、上記電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト中に含まれる顔料分散樹脂がカチオン性顔料分散樹脂である、艶消し電着塗料組成物も提供する。
【0015】
さらに、本発明は、上記電着塗料成分が、アニオン性樹脂と硬化剤とを含むバインダー樹脂を含み、上記電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト中に含まれる顔料分散樹脂がアニオン性顔料分散樹脂である、艶消し電着塗料組成物も提供する。この艶消し電着塗料組成物は更に顔料を含むものであってもよい。
【0016】
特にアニオン電着塗料では、アルミ建材に塗装する場合が多く、アルミ建材の電解発色により着色させる方法が一般に用いられている。このような塗料では、顔料分散ペーストを必要としないこともあり、樹脂ビーズを直接塗料製造時に配合することもできる。
【0017】
本明細書中において、「電着塗料成分」とは、例えば、後に詳細に説明するような、一般的に使用されている電着塗料を構成する成分をいう。電着塗料成分として、カチオン性エポキシ樹脂とブロックポリイソシアネート硬化剤とを含むバインダー樹脂を含む電着塗料組成物を、カチオン電着塗料組成物という。また、電着塗料成分として、アニオン性樹脂と硬化剤とを含むバインダー樹脂を含む電着塗料組成物を、アニオン電着塗料組成物という。
【0018】
【発明の実施の形態】
樹脂ビーズ
本発明の電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストは、艶消し剤として樹脂ビーズを含有することを特徴としている。本明細書中の樹脂ビーズとは、いわゆる広義の樹脂ビーズを意味し、粒子内に架橋構造を有していてもよく、その架橋は分子内、分子間およびその混合のいずれでもよい。樹脂ビーズとして、一般に、アクリル樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、塩化ビニルなどの有機高分子系のビーズ、およびシリコーンやフッ素などの無機成分を含有する樹脂ビーズが含まれる。
【0019】
本発明では、硬化バインダー樹脂成分の屈折率と異なる屈折率を有する樹脂ビーズを用いる。硬化バインダー樹脂成分とは、電着塗装および焼付硬化後の、電着塗料組成物を構成するバインダー樹脂が硬化した樹脂成分をいう。例えば、カチオン電着塗料組成物において、カチオン性エポキシ樹脂とブロックポリイソシアネート硬化剤とを含む硬化バインダー樹脂成分の屈折率は1.4〜1.8である。また、アニオン電着塗料組成物において、アニオン性樹脂と硬化剤とを含む硬化バインダー樹脂成分の屈折率は1.4〜1.7である。これらの硬化バインダー樹脂成分の屈折率と、樹脂ビーズとの屈折率との差は0.05以上である。硬化バインダー樹脂成分の屈折率および樹脂ビーズの屈折率は、JIS K7142「プラスチックの屈折率測定法」等に従って測定される。
【0020】
好ましい樹脂ビーズとして、アクリル樹脂、塩化ビニル、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリスチレン樹脂、セルロース、ポリエチレン、メラミン、ベンゾグアナミン、ポリアクリロニトリル等の樹脂ビーズが挙げられる。艶消しカチオン電着塗料組成物に用いる樹脂ビーズとして、特に、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリカーボネート等の樹脂ビーズが好ましい。アクリル樹脂の樹脂ビーズの屈折率は1.45程度、塩化ビニルの樹脂ビーズの屈折率は1.53程度であり、カチオン性エポキシ樹脂とブロックポリイソシアネート硬化剤とを含む硬化バインダー樹脂成分の屈折率(1.4〜1.8)との屈折率の差が大きいからである。また、艶消しアニオン電着塗料組成物に用いる樹脂ビーズとして、特に、フッ素、シリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の成分を含む樹脂ビーズが好ましい。フッ素成分を含む樹脂ビーズの屈折率は組成により異なるが、およそ1.35程度、シリコーン成分を含む樹脂ビーズの屈折率はフッ素の場合と同様およそ1.41程度であり、アニオン性樹脂と硬化剤とを含む硬化バインダー樹脂成分の屈折率(1.4〜1.7)との屈折率の差が大きいからである。
【0021】
アクリル樹脂の樹脂ビーズを使用する場合は、さらに、アクリル樹脂の樹脂ビーズの粒子表面上に水酸基を導入することにより、樹脂ビーズと水性媒体中に分散させるか溶解させた顔料分散樹脂との親和性が向上するという利点も考えられる。また、アクリル樹脂のビーズを使用する場合、架橋アクリル樹脂のビーズを使用するのがより好ましい。架橋アクリル樹脂を使用することにより、硬化塗膜の機械的強度および耐溶剤性が改善され得るからである。
【0022】
また、使用する樹脂ビーズとして、その粒子表面上に、バインダー樹脂に含まれる硬化剤と反応することができる基を有する樹脂ビーズが好ましい。硬化剤と反応することができる基として、例えば活性水素を有する基、具体的には水酸基またはカルボキシル基などが挙げられる。このような樹脂ビーズは、電着塗膜の焼付硬化時などに硬化剤等と架橋反応することができ、その結果、耐久性、耐候性に優れた硬化塗膜を得ることができると考えられるからである。
【0023】
本発明の電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストは、表面が平滑であって奥艶を有する艶消し硬化塗膜を提供することを特徴としている。従って、表面の平滑性を保つため、樹脂ビーズの粒径は、硬化塗膜の膜厚の1/5〜4/5の大きさの粒径であるのが好ましい。ここで「硬化塗膜」とは、電着塗装後の焼付硬化塗膜をいう。この硬化塗膜の膜厚は、通常5〜80μmの範囲内であり、一般的に15〜25μm程である。樹脂ビーズの平均粒径としては3μm以上20μm未満が好ましく、5〜15μmがより好ましく、8〜12μmが特に好ましい。樹脂ビーズの平均粒径が3μm未満では樹脂ビーズによる艶消しの効果が低くなり、また樹脂ビーズの平均粒径が20μmを超えると硬化塗膜表面に凹凸が生じ、硬化塗膜の平滑性が損なわれ、本発明の意図する奥艶を有する硬化塗膜が得られないからである。硬化塗膜の膜厚が約20μmである場合は、平均粒径10μm程度の樹脂ビーズを使用するのが好ましい。
【0024】
平均粒径とは、一般に粒子の粒度(粒径が粗いか細かいか)を表わすために用いられ、重量50%に相当するメジアン径や算術平均径、表面積平均径、体積面積平均径などが使用される。本発明に用いる樹脂ビーズの平均粒径は、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により測定されるメジアン径を示す。
【0025】
本発明においては、後記のように、水性媒体中に分散または溶解可能な顔料分散樹脂と樹脂ビーズを用いる。その際に、樹脂ビーズの吸油量の値が大きい場合は、水性媒体中に分散または溶解可能な顔料分散樹脂を樹脂ビーズが多量吸収してしまい、塗料分散性の良い樹脂ビーズ分散ペーストの調製が困難となる。本発明で用いる樹脂ビーズは、吸油量200ml/100g以下、好ましくは50ml/100g以下を有する。ここで、吸油量は、JIS K5101−91(顔料試験方法)によって測定される。吸油量の値は、粒子を構成する物質の特性、その粒子の大きさなどを要因とする。一般に、粒子が小さいほど吸油量の値は大きくなる。
【0026】
好ましい樹脂ビーズとして、積水化成品工業社製、商品名「テクポリマー」シリーズなどが挙げられる。また、好ましい架橋アクリル樹脂として綜研化学社製、商品名「ケミスノー」などが挙げられる。
【0027】
電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト
電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストは、水性媒体と、水性媒体中に分散させるか溶解させた顔料分散樹脂と樹脂ビーズとを含む。顔料分散樹脂としては、カチオン性顔料分散樹脂およびアニオン性顔料分散樹脂の何れを使用してもよい。これらは、使用する電着塗料組成物の種類に応じて選択することができる。本明細書において、水性媒体と、水性媒体中に分散させるか溶解させたカチオン性顔料分散樹脂と樹脂ビーズとを含む電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストをカチオン電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストという。また、水性媒体と、水性媒体中に分散させるか溶解させたアニオン性顔料分散樹脂と樹脂ビーズとを含む電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストをアニオン電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストという。
【0028】
樹脂ビーズを予め高濃度で水性媒体に分散させてペースト状にすることにより、電着塗料組成物に樹脂ビーズを低濃度均一状態に分散させるのが容易となる。さらに、水性媒体中に分散または溶解可能な顔料分散樹脂で樹脂ビーズを分散させることにより、樹脂ビーズの表面が顔料分散樹脂に覆われると考えられる。これにより樹脂ビーズはイオン化され、電着塗料組成物中では安定に分散し、また電着塗装工程においては、電圧の印加により樹脂ビーズが析出し易くなると考えられる。
【0029】
電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストは、例えば、樹脂ビーズを顔料分散樹脂分散物に投入し、攪拌混合機などを用いて1〜30分間混合して調製してよい。通常、顔料等の粉体を液状物に分散させる場合、均一な分散物を得るために、ボールミルやサンドグラインドミル等の分散装置が用いられるが、電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストの調製においてはこれらの分散装置を使用するのは好ましくない。分散手順における樹脂ビーズの耐久性は、顔料として一般的に使用される無機粉体などと比べて劣るためである。尚、本明細書中において「樹脂ビーズを分散させた」とは、分散物の分散具合をJISグラインドゲージを用いて検査した場合に、著しい凝集物が認められなくなった状態をいう。
【0030】
樹脂ビーズは、前述のように、あらかじめ分散ペーストの形態に調製して使用してよく、又は顔料分散ペーストを調製する際に顔料と共に分散させて使用してよい。本発明の電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストを電着塗料組成物に含有させることにより、艶消し電着塗料組成物を得ることができる。
【0031】
艶消しカチオン電着塗料組成物
本発明の艶消しカチオン電着塗料組成物は、カチオン性エポキシ樹脂とブロックポリイソシアネート硬化剤とを含むバインダー樹脂、顔料、およびカチオン電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト、を含有する。
【0032】
カチオン性エポキシ樹脂
本発明で用いるカチオン性エポキシ樹脂には、アミンで変性されたエポキシ樹脂が含まれる。このカチオン性エポキシ樹脂は、特開昭54−4978号、同昭56−34186号などに記載されている公知の樹脂でよい。
【0033】
カチオン性エポキシ樹脂は、典型的には、ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ環の全部をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環するか、または一部のエポキシ環を他の活性水素化合物で開環し、残りのエポキシ環をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物で開環して製造される。
【0034】
ビスフェノール型エポキシ樹脂の典型例はビスフェノールA型またはビスフェノールF型エポキシ樹脂である。前者の市販品としてはエピコート828(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量180〜190)、エピコート1001(同、エポキシ当量450〜500)、エピコート1010(同、エポキシ当量3000〜4000)などがあり、後者の市販品としてはエピコート807、(同、エポキシ当量170)などがある。
【0035】
特開平5−306327号公報第0004段落の式、化3に記載のような、オキサゾリドン環含有エポキシ樹脂をカチオン性エポキシ樹脂に用いてもよい。耐熱性及び耐食性に優れた塗膜が得られるからである。
【0036】
エポキシ樹脂にオキサゾリドン環を導入する方法としては、例えば、メタノールのような低級アルコールでブロックされたブロックポリイソシアネート硬化剤とポリエポキシドを塩基性触媒の存在下で加熱保温し、副生する低級アルコールを系内より留去することで得られる。
【0037】
特に好ましいエポキシ樹脂はオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂である。耐熱性及び耐食性に優れ、更に耐衝撃性にも優れた塗膜が得られるからである。
【0038】
二官能エポキシ樹脂とモノアルコールでブロックしたジイソシアネート(すなわち、ビスウレタン)とを反応させるとオキサゾリドン環を含有するエポキシ樹脂が得られることは公知である。このオキサゾリドン環含有エポキシ樹脂の具体例及び製造方法は、例えば、特開2000−128959号公報第0012〜0047段落に記載されている。
【0039】
これらのエポキシ樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、および単官能性のアルキルフェノールのような適当な樹脂で変性しても良い。また、エポキシ樹脂はエポキシ基とジオール又はジカルボン酸との反応を利用して鎖延長することができる。
【0040】
これらのエポキシ樹脂は、開環後0.3〜4.0meq/gのアミン当量となるように、より好ましくはそのうちの5〜50%が1級アミノ基が占めるように活性水素化合物で開環するのが望ましい。
【0041】
カチオン性基を導入し得る活性水素化合物としては1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩、スルフィド及び酸混合物がある。1級、2級又は/及び3級アミノ基含有エポキシ樹脂を調製するためには1級アミン、2級アミン、3級アミンの酸塩をカチオン性基を導入し得る活性水素化合物として用いる。
【0042】
具体例としては、ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、メチルブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、トリエチルアミン塩酸塩、N,N−ジメチルエタノールアミン酢酸塩、ジエチルジスルフィド・酢酸混合物などのほか、アミノエチルエタノールアミンのケチミン、ジエチレントリアミンのジケチミンなどの1級アミンをブロックした2級アミンがある。アミン類は複数の種類を併用して用いてもよい。
【0043】
ブロックポリイソシアネート硬化剤
本発明のブロックポリイソシアネート硬化剤で使用するポリイソシアネートとは、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物をいう。ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族系、脂環式系、芳香族系および芳香族−脂肪族系等のうちのいずれであってもよい。
【0044】
ポリイソシアネートの具体例には、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、p−フェニレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネート等のような芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等のような炭素数3〜12の脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキサンジイソシアネート(CDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4´−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4´−ジイソシアネート、及び1,3−ジイソシアナトメチルシクロヘキサン(水添XDI)、水添TDI、2,5−もしくは2,6−ビス(イソシアナートメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナンジイソシアネートとも称される。)等のような炭素数5〜18の脂環式ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、及びテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等のような芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;これらのジイソシアネートの変性物(ウレタン化物、カーボジイミド、ウレトジオン、ウレトンイミン、ビューレット及び/又はイソシアヌレート変性物);等があげられる。これらは、単独で、または2種以上併用することができる。
【0045】
ポリイソシアネートをエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールなどの多価アルコールとNCO/OH比2以上で反応させて得られる付加体ないしプレポリマーもブロックポリイソシアネート硬化剤に使用してよい。
【0046】
ブロック剤は、ポリイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離のイソシアネート基を再生し得るものである。
【0047】
ブロック剤としては、通常使用されるε−カプロラクタムやブチルセロソルブ等を用いることができる。しかしながら、これらの内、揮発性のブロック剤はHAPsの対象として規制されているものが多く、使用量は必要最小限とするのが好ましい。
【0048】
顔料
本発明の電着塗料組成物には通常用いられる顔料を含有させてもよい。但し、本明細書でいう「顔料」には、前述の樹脂ビーズは含まれない。使用し得る顔料の例としては、チタンホワイト、カーボンブラック及びベンガラのような着色顔料;カオリン、タルク、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、マイカおよびクレーのような体質顔料;リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料等が挙げられる。
【0049】
顔料は、電着塗料組成物の全固形分の1〜90重量%、好ましくは5〜50重量%を占める量で電着塗料組成物に含有させることができる。
【0050】
カチオン性顔料分散ペースト
電着塗料に顔料を含有させる場合、顔料の分散容易性の観点から、顔料を予め顔料分散ペーストの形態に調製するのが好ましい。カチオン性顔料分散ペーストは、顔料をカチオン性顔料分散樹脂に分散させて調製することができる。カチオン性顔料分散樹脂として例えば、カチオン性の低分子量界面活性剤や4級アンモニウム基および/または3級スルホニウム基を有する変性エポキシ樹脂を用いることができる。
【0051】
カチオン性顔料分散樹脂として、カチオン性基として4級アンモニウムまたは3級スルホニウムカチオン基を有するエポキシ系樹脂を使用するのが好ましい。周知のように、エポキシ系顔料分散樹脂は、上記のカチオン性エポキシ樹脂と同様に、エポキシ樹脂のエポキシ環を3級アミンとカルボキシル酸との塩もしくは混合物、またはスルフィド化合物とカルボシル酸との混合物との反応によって開環し、4級アンモニウムまたはスルホニウム基を導入することによって得られる。
【0052】
エポキシ系顔料分散樹脂の調製に用いることができる3級アミンは、ヒドロキシル基で置換された脂肪族3級アミンであり、例えばジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミンなどが好ましい。スルホニウム基を導入するのに用いることができるスルフィド化合物は、ヒドロキシル基で置換された脂肪族スルフィド化合物であり、例えばチオビスエタノール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2,3−プロパンジオール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−プロパノール、1−(2−ヒドロキシプロピルチオ)−2,3−プロパンジオール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−2−ブタノール、1−(2−ヒドロキシエチルチオ)−3−ブトキシ−1−プロパノールなどが好ましい。
【0053】
カルボキシル酸としては、ギ酸、乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ジメチロールプロピオン酸、N−アセチルグリシン、N−アセチル−β−アラニンなどが挙げられるが、カルボキシル基のほかに親水基としてヒドロキシル基やアミド基を有する乳酸、ジメチロールプロピオン酸、N−アセチル−β−アラニンなどが好ましい。
【0054】
カチオン性顔料分散樹脂を自己架橋型とするために、ハーフブロックジイソシアネートを樹脂またはヒドロキシル基で置換された脂肪族3級アミンへ結合することもできる。
【0055】
一般に、カチオン性顔料分散ペーストは、固形分35〜70重量%、好ましくは40〜65重量%に調製される。
【0056】
カチオン性顔料分散ペーストは、カチオン性顔料分散樹脂分散物と顔料とを混合した後、その混合物中の顔料の粒径が所定の均一な粒径となるまで、ボールミルやサンドグラインドミル等の通常の分散装置を用いて分散させて得ることができる。
【0057】
カチオン電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト
カチオン電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストは、樹脂ビーズをカチオン性顔料分散樹脂分散物に分散させて得ることができる。しかしながら、カチオン性顔料分散樹脂分散物の製造時に、同時に樹脂ビーズを分散させておいてもよい。カチオン性顔料分散樹脂分散物として上記のカチオン性顔料分散樹脂を水性媒体に分散させて使用することができる。
【0058】
艶消しカチオン電着塗料組成物の調製
本発明の艶消しカチオン電着塗料組成物は、上に述べたカチオン性エポキシ樹脂、カチオン性顔料分散ペースト、カチオン電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストを水性媒体中に分散させることによって調製される。また、通常、水性媒体にはカチオン性エポキシ樹脂を中和して分散性を向上させるために中和酸を含有させる。中和酸は塩酸、硝酸、リン酸、ギ酸、酢酸、乳酸、スルファミン酸、アセチルグリシン等の無機酸または有機酸である。本明細書中における水性媒体とは、水か、水と有機溶剤との混合物である。水としてイオン交換水を用いるのが好ましい。使用しうる有機溶剤の例としては炭化水素類(例えば、キシレンまたはトルエン)、アルコール類(例えば、メチルアルコール、n−ブチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール)、エーテル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ケトン類(例えば、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、アセチルアセトン)、エステル類(例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)またはそれらの混合物が挙げられる。
【0059】
ブロックポリイソシアネート硬化剤の量は、硬化時にカチオン性エポキシ樹脂中の1級、2級アミノ基、水酸基、等の活性水素含有官能基と反応して良好な硬化塗膜を与えるのに十分でなければならず、一般にカチオン性エポキシ樹脂とブロックポリイソシアネート硬化剤との固形分重量比(エポキシ樹脂/硬化剤)で表して一般に90/10〜50/50、好ましくは80/20〜65/35の範囲である。中和酸の量はカチオン性エポキシ樹脂のカチオン性基の少なくとも20%、好ましくは30〜60%を中和するのに足りる量である。
【0060】
樹脂ビーズは、硬化塗膜中の樹脂ビーズ体積率1〜50%、好ましくは20〜30%、特に好ましくは25%を占める量でカチオン電着塗料組成物に含有される。硬化塗膜中における樹脂ビーズの占める樹脂ビーズ体積率が50%を超えると塗膜表面に凹凸が現れて奥艶感が発現しなくなり、樹脂ビーズの占める樹脂ビーズ体積率が1%を下まわると樹脂ビーズによる艶消しの効果がほとんど現われなくなる。ここで、樹脂ビーズ体積率とは、塗膜体積に占める樹脂ビーズの体積分率をいう。
【0061】
使用する樹脂ビーズの平均粒径および硬化塗膜中における樹脂ビーズの占める樹脂ビーズ体積率を、上に規定の範囲内で変化させることによって、硬化塗膜の艶消し効果を調節することができる。一般に、使用する樹脂ビーズの平均粒径が大きい場合に、艶消し効果が高くなる。また、硬化塗膜中における樹脂ビーズの占める樹脂ビーズ体積率が高い場合に、艶消し効果が高くなる。
【0062】
カチオン電着塗料組成物は、上記のほかに、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、及び紫外線吸収剤などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。
【0063】
本発明の艶消しカチオン電着塗料組成物は被塗物に電着塗装され、電着塗膜を形成する。被塗物としては導電性のあるものであれば特に限定されず、例えば、鉄板、鋼板、アルミニウム板及びこれらを表面処理したもの、これらの成型物等を挙げることができる。
【0064】
カチオン電着塗料組成物の電着塗装は、被塗物を陰極として陽極との間に、通常、50〜450Vの電圧を印加して行う。印加電圧が50V未満であると電着が不充分となり、450Vを超えると、塗膜が破壊され異常外観となる。電着塗装時、塗料組成物の浴液温度は、通常10〜45℃に調節される。
【0065】
電着過程は、カチオン電着塗料組成物に被塗物を浸漬する過程、及び、上記被塗物を陰極として陽極との間に電圧を印加し、被膜を析出させる過程、から構成される。また、電圧を印加する時間は、電着条件によって異なるが、一般には、2〜4分とすることができる。電着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、120〜260℃、好ましくは140〜220℃で、10〜30分間焼き付けることにより硬化塗膜が得られる。
【0066】
得られる膜厚は硬化塗膜で5〜80μm、特に15〜25μmの範囲内にあることが好ましい。
【0067】
艶消しアニオン電着塗料組成物
本発明の艶消しアニオン電着塗料組成物は、アニオン性樹脂と硬化剤とを含むバインダー樹脂、顔料、およびアニオン電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト、を含有する。
【0068】
アニオン性樹脂
本発明で用いるアニオン性樹脂として、電着塗料の分野では周知のカルボキシル基および場合によりさらに水酸基を有する樹脂を用いることができる。アニオン性樹脂として、例えば、カルボキシル基を有するアクリル樹脂またはカルボキシル基を有するポリウレタン樹脂を用いるのが好ましく、カルボキシル基および水酸基を有するアクリル樹脂またはカルボキシル基および水酸基を有するポリウレタン樹脂を用いるのが特に好ましい。塗膜の耐候性、平滑性に優れるからである。
【0069】
上記のカルボキシル基及び水酸基を有するアクリル樹脂としては、例えば、カルボキシル基含有不飽和単量体、水酸基含有アクリル系単量体、さらに必要に応じてその他の重合性単量体を用い、これらの単量体をラジカル重合させてなる共重合体が使用できる。
【0070】
カルボキシル基含有不飽和単量体は、1分子中にカルボキシル基と重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1個有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、カプロラクトン変性カルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体などがあげられる。
【0071】
水酸基含有アクリル系単量体は、1分子中に水酸基と重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1個有する化合物であり、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;これらの水酸基含有アクリル系単量体と、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン、ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウリロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−カプロラクトンなどのラクトン類化合物との反応物などがあげられ、市販品としては、プラクセルFM1(ダイセル化学社製、商品名、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエステル類)、プラクセルFM2(同左)、プラクセルFM3(同左)、プラクセルFA1(同左)、プラクセルFA2(同左)、プラクセルFA3(同左)などがあげられる。
【0072】
その他の重合性単量体は、上記のカルボキシル基含有不飽和単量体及び水酸基含有アクリル系単量体以外であって、1分子中に重合性不飽和結合を少なくとも1個有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸のC〜C18のアルキル又はシクロアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族重合性単量体;(メタ)アクリル酸アミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリアミド、N−メチロール(メタ)アクリアミドなどの(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;(メタ)アクリロニトリル化合物類;γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのアルコキシシリル基含有重合性単量体などがあげられる。
【0073】
これらの単量体の配合割合として、カルボキシル基含有不飽和単量体を、単量体の合計重量に対して3〜30重量%、特に4〜20重量%の範囲内で用いることが好ましい。水酸基含有アクリル系単量体を、単量体の合計重量に対して3〜40重量%、特に5〜30重量%の範囲内で用いることが好ましい。その他の単量体として、(メタ)アクリル酸のC〜C18のアルキル又はシクロアルキルエステル及びスチレンなどの芳香族単量体を使用することが好ましく、単量体の合計重量に対して37〜95重量%、特に60〜91重量%の範囲内で用いることが好ましい。
【0074】
これらの単量体をラジカル共重合反応させる方法は従来から既知の溶液重合方法などを採用することができる。
【0075】
カルボキシル基及び水酸基を有するポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリオール類及びジヒドロキシカルボン酸を、水酸基過剰の当量比で、ワンショット法又は多段法によりウレタン化反応させることにより得られるものがあげられる。
【0076】
ポリイソシアネート化合物は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する化合物であり、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネートなどが好適に使用される。
【0077】
ポリオール類は、1分子中に2個以上の水酸基を有する化合物であり、例えば、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなど)及び/又は複素環式エーテル(テトラヒドロフラン)を重合又は共重合(ブロック又はランダム)させて得られるポリエーテルジオール、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレン(ブロック又はランダム)グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、ポリオクタメチレンエーテルグリコールなど;ジカルボン酸(アジピン酸、コハク酸、セバシン酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸など)とグリコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンなど)とを縮重合させて得られるポリエステルジオール、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリネオペンチルアジペート、ポリエチレン−ブチレンアジペート、ポリネオペンチル−ヘキシルアジペートなど;ポリラクトンジオール、例えば、ポリカプロラクトンジオール、ポリ3−メチルバレロラクトンジオールなど;ポリカーボネートジオール;これらから選ばれる2種以上からなる混合物などがあげられる。これらのポリオール類一般に500以上、好ましくは500〜5000、より好ましくは1000〜3000の範囲内の数平均分子量を有することができる。
【0078】
また、ポリオール類として、1分子中に2個以上の水酸基を有し、かつ数平均分子量が500未満の低分子量のポリオールも使用することができる。具体的には、上記のポリエステルジオールの原料としてあげたグリコール及びそのアルキレンオキシド低モル付加物(分子量500未満);3価アルコール、例えば、グリセリン、トリメチロルエタン、トリメチロールプロパンなど及びそのアルキレンオキシド低モル付加物(分子量500未満);これらから選ばれた2種以上からなる混合物などがあげられる。
【0079】
数平均分子量が500以上のポリオール類と数平均分子量が500未満の低分子量のポリオール類とを併用する系において、これら両ポリオールの構成比率は、両ポリオールの合計量を基準にして、前者は80〜99.9重量%、特に90〜99.5重量%、後者は20〜0.1重量%、特に10〜0.5重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0080】
ジヒドロキシカルボン酸は、1分子中に2個の水酸基と1個のカルボキシル基を有する化合物であり、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸、ジメチロールブタン酸などがあげられる。
【0081】
以上に述べたポリイソシアネート化合物、ポリオール類及びジヒドロキシカルボン酸によるウレタン化反応はそれ自体既知の方法で行なうことができる。
【0082】
硬化剤
艶消しアニオン電着塗料組成物において、アニオン性樹脂に対する硬化剤として、例えばメラミン樹脂、ブロックポリイソシアネートなどが挙げられる。
【0083】
メラミン樹脂としては、メラミンにホルムアルデヒドなどの反応させてなるメチロールメラミンのメチロール基の一部もしくは全部がC〜C10のモノアルコールから選ばれた1種もしくは2種以上のアルコールで変性されたエーテル化メラミン樹脂を使用することができる。また、メラミン樹脂中にはイミノ基、メチロール基、その他の官能基が含まれていても差支えない。
【0084】
ブロックポリイソシアネートは、前記の艶消しカチオン電着塗料組成物で例示したブロックポリイソシアネート硬化剤を使用することができる。
【0085】
アニオン性顔料分散ペースト
電着塗料に顔料を含有させる場合、顔料の分散容易性の観点から、顔料を予め顔料分散ペーストの形態に調製するのが好ましい。アニオン性顔料分散ペーストは、顔料をアニオン性顔料分散樹脂に分散させて調製することができる。顔料として、前記の艶消しカチオン電着塗料組成物で例示した顔料を使用することができる。
【0086】
アニオン性顔料分散樹脂として例えば、アクリル酸エステル、アクリル酸およびアゾニトリル化合物を有する変性アクリル樹脂を用いることができる。水性媒体として上記の水性媒体、例えばイオン交換水などを用いる。
【0087】
アニオン性顔料分散ペーストは、上記のアニオン性顔料分散樹脂と顔料と中和剤を加え、これを分散させるか溶解させることにより調製することができる。
【0088】
一般に、アニオン性顔料分散ペーストは、固形分35〜70重量%、好ましくは40〜65重量%に調製される。
【0089】
アニオン性顔料分散ペーストは、アニオン性顔料分散樹脂、および顔料、必要に応じてトリエチルアミンなどの中和剤および水性媒体を、混合した後、その混合物中の顔料の粒径が所定の均一な粒径となるまで、ボールミルやサンドグラインドミル等の通常の分散装置を用いて分散させて得ることができる。
【0090】
アニオン電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト
アニオン電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストは、樹脂ビーズをアニオン性顔料分散樹脂に分散させて得ることができる。しかしながら、アニオン性顔料分散樹脂分散物の製造時に、同時に樹脂ビーズを分散させておいてもよい。アニオン性顔料分散樹脂分散物として、上記のアニオン性顔料分散樹脂を水性媒体に分散させて使用することができる。
【0091】
艶消しアニオン電着塗料組成物の調製
本発明の艶消しアニオン電着塗料組成物は、上に述べたアニオン性樹脂、アニオン性顔料分散ペースト、アニオン電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストを水性媒体中に分散させることによって調製される。また、通常、水性媒体にはアニオン性樹脂を中和して分散性を向上させるために中和塩基を含有させる。中和塩基は、アンモニア;ジエチルアミン、エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、エチルアミノエチルアミン、ヒドキシエチルアミン、ジエチレントリアミンなどの有機アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物などの塩基性化合物である。水性媒体は水か、水と上記の有機溶剤との混合物である。水としてイオン交換水を用いるのが好ましい。
【0092】
硬化剤の量は、アニオン性樹脂と硬化剤との固形分重量比(アニオン性樹脂/硬化剤)で表して一般に90/10〜50/50、好ましくは80/20〜60/40の範囲である。中和塩基の量は、アニオン性樹脂のアニオン性基の少なくとも30%、好ましくは50〜120%を中和するのに足りる量である。
【0093】
樹脂ビーズは、硬化塗膜中の樹脂ビーズ体積率1〜50%、好ましくは20〜30%、特に好ましくは25%を占める量でアニオン電着塗料組成物に含有される。硬化塗膜中における樹脂ビーズの占める樹脂ビーズ体積率が50%を超える場合および1%を下まわる場合の不都合は、カチオン電着塗料組成物における場合と同様である。
【0094】
また、カチオン電着塗料組成物の場合と同様に、使用する樹脂ビーズの平均粒径および硬化塗膜中における樹脂ビーズの占める樹脂ビーズ体積率を、上に規定の範囲内で変化させることによって、硬化塗膜の艶消し効果を調節することもできる。また、アニオン電着塗料組成物は、添加剤として上記の塗料用添加剤を含むことができる。
【0095】
アニオン電着塗料組成物の電着塗装は、被塗物を陽極として陰極との間に、通常1〜400Vの電圧を印加して行なう。電着塗装時、塗料組成物の浴液温度は10〜45℃、好ましくは15〜30℃に、pHは6〜9、好ましくは6.5〜8に調節される。
【0096】
電着過程は、アニオン電着塗料組成物に被塗物を浸漬する過程、及び、上記被塗物を陽極として陰極との間に電圧を印加し、被膜を析出させる過程、から構成される。また、電圧を印加する時間は、電着条件によって異なるが、一般には、30秒〜5分とすることができる。電着過程の終了後、そのまま又は水洗した後、100〜200℃、好ましくは120〜180℃で、10〜60分間焼き付けることにより硬化塗膜が得られる。
【0097】
得られる膜厚は硬化塗膜で5〜30μm、特に7〜20μmの範囲内にあることが好ましい。
【0098】
特定の理論に拘束されるものではないが、本発明における樹脂ビーズによる艶消し効果は、硬化塗膜中に含まれる硬化バインダー樹脂成分の屈折率と樹脂ビーズの屈折率とが異なるため、これらの屈折率の相違により硬化塗膜の表面が平滑でありながらも光が硬化塗膜表面上で乱反射することに由来すると考えられる。また、硬化塗膜の表面が平滑であるため一部の光は乱反射せず、そのため奥艶感を有する艶消し硬化塗膜という特異な意匠が得られると考えられる。
【0099】
【発明の効果】
本発明の電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストおよび艶消し電着塗料組成物によって、塗膜表面の凹凸に起因する艶消し塗膜とは異なる、表面が平滑であって奥艶を有する艶消し塗膜を得ることができる。
【0100】
【実施例】
以下の実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例中、「部」および「%」は、ことわりのない限り、重量基準による。
【0101】
(1)カチオン電着塗料組成物
製造例1
カチオン性エポキシ樹脂の製造
攪拌装置、冷却管、窒素導入管および温度計を備え付けた反応容器に、エピコート1001(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量475のビスフェノールA型エポキシ樹脂)99.8部、エピコート1004(油化シェルエポキシ社製、エポキシ当量950のビスフェノールA型エポキシ樹脂)850.2部、ノニルフェノール55部、メチルイソブチルケトン(以下、MIBKと略す)193.3部およびベンジルジメチルアミン4.5gを加え、140℃で4時間反応し、エポキシ当量1175を有する樹脂を得た。ここにエチレングリコールn−ヘキシルエーテル69.1部、2−アミノエチルエタノールアミンのMIBKケチミン化物のMIBK溶液(固形分78重量%)35.4部、N−メチルエタノールアミン26.5部およびジエタノールアミン37.1部を加えた。これを120℃で2時間反応させ、目的とする樹脂を得た。
【0102】
製造例2
ブロックポリイソシアネート硬化剤の製造
攪拌装置、還流冷却管、滴下ロート、窒素導入管および温度計を備え付けた反応容器に、ヘキサメチンジイソシアネート三量体(コロネートEH)199.1部およびMIBK31.6部を反応容器に仕込み、窒素雰囲気下40℃に加熱保持した。これへジブチルスズジラウレート0.2部を加え、さらにメチルエチルケトオキシム87.0部を滴下ロートより2時間かけて滴下し、滴下終了後IRスペクトルの測定により、イソシアネート基に基づく吸収が消失するまで70℃で反応させた。反応終了後、MIBK38.1部およびブタノール1.6部を加えて冷却し、固形分80%のブロックポリイソシアネート硬化剤を得た。
【0103】
製造例3
カチオン性エポキシ樹脂とブロックポリイソシアネート硬化剤とを含むバインダー樹脂エマルションの製造
製造例1のカチオン性エポキシ樹脂と製造例2のブロックポリイソシアネート硬化剤を、固形分比で70:30の割合で混合し、酢酸で中和率40%に中和した。イオン交換水を加え、ゆっくり希釈した。次いで固形分が36%となるようにMIBKを除去し、バインダー樹脂エマルションを得た。
【0104】
製造例4
アクリル樹脂ゲル粒子の製造
メタクリル酸メチル(MMA)180g、アクリル酸エチル(EA)100g、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)85g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)49.5g、メタクリル酸ジメチルアミノエチル(DMAEMA)69.5g、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)8gの混合物をノニオン性乳化剤アクアロンRN−20(第一工業製薬社製ノニオン型乳化剤)9.43gを用いてイオン交換水339.48gでプレエマルジョン(A)を作製した。開始剤としてVA−086(和光純薬工業製)5gをイオン交換水33.95gに溶解し開始剤溶液(B)を調製した。
【0105】
攪拌装置、冷却管、窒素導入管、温度調整機に連結した温度計を装備した1Lの反応容器にイオン交換水113.16g、ノニオン性乳化剤(アクアロンRN−20)1.83gを仕込み、窒素雰囲気下で80℃に加熱し、プレエマルジョン(A)と開始剤溶液(B)を3時間で等速滴下し、その後、2時間80℃で保持することにより、固形分50%、アミン価54mgKOH/g、OH価43mgKOH/g、レーザー光散乱法による粒子径の測定値は250nmであるアクリル樹脂ゲル粒子を得た。得られたゲル粒子は、脱水することで最終固形分を70%とした。
【0106】
製造例5
カチオン性顔料分散樹脂の製造
【表1】
四級化剤の調製
Figure 2004285443
【0107】
上記組成に従って、適当な反応容器を用い、室温で2−エチルヘキサノールハーフブロック化TDIをジメチルエタノールアミンに加えた。混合物は発熱し、これを80℃で1時間攪拌した。次いで、乳酸を仕込み、さらにエチレングリコールモノブチルエーテルを反応混合物に添加し65℃で約30分間攪拌し、四級化剤を得た。
【0108】
ここで、2−エチルヘキサノールハーフブロック化TDIは、以下の方法により合成した。攪拌装置、冷却管、窒素導入管、温度調節機に連結した温度計を装備した1Lの反応容器にメチルイソブチルケトン(MIBK)32g、トリレンジイソシアネート(TDI)348g、ジブチルスズジラウレート0.034gを仕込み、窒素雰囲気下で60℃に加熱した。この溶液に、2−エチルヘキサノール260gを2時間で等速滴下し、その後、約1時間60℃で保持し、イソシアネート当量が320g/molになった時点で冷却し反応を終了した。
【0109】
【表2】
顔料分散樹脂ワニスの調製
Figure 2004285443
【0110】
上記組成に従って、EPON829およびビスフェノールAを適当な反応容器に仕込み、窒素雰囲気下150〜160℃まで昇温した。初期に発熱反応が起った。反応混合物を150〜160℃で約1時間反応させ、次いで、120℃へ冷却後、2−エチルヘキサノールハーフブロック化TDIを加えた。反応物を110〜120℃に約1時間保持し、次いで、エチレングリコールモノブチルエーテルを加えた。次いで、85℃〜95℃に冷却して均一化し、さらに表1の配合で得られた四級化剤を加えた。酸価が1mgKOH/gになるまで混合物を85〜95℃に保持し、顔料分散樹脂ワニスを得た(樹脂固形分50%)。
【0111】
製造例6
カチオン性顔料分散ペーストの製造
【表3】
Figure 2004285443
【0112】
上記組成に従って、カチオン性顔料分散樹脂分散物、顔料およびイオン交換水をサンドグラインドミルに入れ、粒径10μm以下に粉砕してカチオン性顔料分散ペーストを得た。得られたカチオン性顔料分散ペーストの固形分は47%であった。
【0113】
実施例1
表4に従い、カチオン電着塗料組成物を得た。表4中のカチオン電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストは、樹脂ビーズ50.0重量部と製造例5のカチオン性顔料分散樹脂ワニス89.4重量部との混合物を10〜20分撹拌して得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は15.8%であった。樹脂ビーズとして積水化成品工業社製、商品名「テクポリマーMBX5」を使用した。尚、各成分の重量比率および使用する樹脂ビーズの平均粒径は、以下の各実施例および比較例において表4〜表6に示すように変化させた。
【0114】
実施例2
実施例1で用いた「テクポリマーMBX5」の代わりに「テクポリマーMBX8」を用い、同様の手法で表4に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は15.5%であった。
【0115】
実施例3
実施例1で用いた「テクポリマーMBX5」の代わりに「テクポリマーMBX12」を用い、同様の手法で表4に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は15.5%であった。
【0116】
実施例4
実施例1と同様に、表5に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は16.6%であった。
【0117】
実施例5
実施例2と同様に、表5に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は16.0%であった。
【0118】
実施例6
実施例3と同様に、表5に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は16.6%であった。
【0119】
比較例1
実施例1と同様に表4に従いカチオン電着塗料組成物を得た。表4中のカチオン電着塗料艶消し用アクリル樹脂ゲル粒子分散ペーストは、製造例4で合成したアクリル樹脂ゲル粒子71.4重量部と製造例5のカチオン性顔料分散樹脂ワニス89.4重量部との混合物を20分間攪拌して得られた。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は、15.5%であった。
【0120】
比較例2
カチオン電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストを加えない他は実施例1と同様に、表5に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は13.5%であった。
【0121】
比較例3
比較例1と同様に表5に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は16.6%であった。
【0122】
比較例4
実施例1で用いた「テクポリマーMBX5」の代わりに「テクポリマーMBX20」を用い、実施例1と同様の手法で表5に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は14.6%であった。
【0123】
比較例5
実施例1で用いた「テクポリマーMBX5」の代わりに「フローセンUF」(住友精化社製樹脂ビーズ、商品名)を用い、実施例1と同様の手法で、表5に従ってカチオン電着塗料組成物を得た。得られたカチオン電着塗料組成物の固形分は15.3%であった。
【0124】
【表4】
Figure 2004285443
【0125】
【表5】
Figure 2004285443
【0126】
実施例1〜6および比較例1〜5で得られたカチオン電着塗料組成物を、リン酸亜鉛処理した冷間圧延鋼板(JIS G 3141 SPCC−SDのサーフダインSD−5000処理)を陰極として電圧を印加して塗装した。塗装は、印加開始から30秒間かけて120Vの電圧に昇圧し、硬化膜厚が約25μmになるように電着塗装をした。電着塗膜を水洗後160℃で20分間焼付けた。
【0127】
得られた硬化塗膜の光沢度(60°グロス)として、光沢計(BYK Gardner社製「micro−TRI−gloss」)を用い、塗料一般試験法(JIS K 5400 7.6)60度鏡面光沢度測定法に準拠して鏡面光沢度を測定した。硬化塗膜表面の凹凸は目視にて評価した。表面粗度RaはJIS B0601算術平均粗さであり、表面粗度計(Mitutoyo社製「SURFTEST SJ−201P」)を用いて測定した。評価および測定の結果を表4〜表5に示した。
【0128】
硬化バインダー樹脂成分の屈折率はアッベ屈折計を用いてJIS K7142に準拠して測定した。樹脂ビーズの屈折率はベッケ線法による測定値である。硬化バインダー樹脂成分の屈折率は1.56であり、樹脂ビーズ(テクポリマーMBXシリーズ)の屈折率は1.49であり、フローセンUF(住友精化社製樹脂ビーズ、商品名)の屈折率は1.54であった。
【0129】
(2)アニオン電着塗料組成物
製造例7
アクリル共重合体樹脂(A)の製造
攪拌装置、冷却管、窒素導入管、温度調整機に連結した温度計を装備した2Lの反応容器にイソプロピルアルコール700gを仕込み、窒素雰囲気下で80℃に加熱し、メタクリル酸メチル(MMA)322g、アクリル酸ブチル(nBA)140g、スチレン(St)105g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)84g、アクリル酸(AA)49g、アゾビスジメチルバレロニトリル7gの混合溶液を3時間で等速滴下し、その後、2時間80℃で保持することにより、酸価55mgKOH/g、水酸基価52mgKOH/g、重量平均分子量30000のアクリル共重合体樹脂を得た。
【0130】
製造例8
アクリル共重合体樹脂(B)の製造
攪拌装置、冷却管、窒素導入管、温度調整機に連結した温度計を装備した2Lの反応容器にイソプロピルアルコール700gを仕込み、窒素雰囲気下で80℃に加熱し、メタクリル酸メチル(MMA)302g、アクリル酸ブチル(nBA)115g、スチレン(St)105g、メタクリル酸2−ヒドロキシメチル(HEMA)84g、アクリル酸(AA)49g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン35g、アゾビスジメチルバレロニトリル7gの混合溶液を3時間で等速滴下し、その後、2時間80℃で保持することにより、酸価55mgKOH/g、水酸基価52mgKOH/g、重量平均分子量33000のアクリル共重合体樹脂を得た。
【0131】
製造例9
アニオン性顔料分散ペーストの製造
製造例7で得られた樹脂630g、二酸化チタン160g、カオリン160g、イソプロピルアルコール50gを混合し、サンドグラインドミルを用い、粒径10μm以下に粉砕してアニオン顔料分散ペーストを得た。
【0132】
製造例10
アニオン性樹脂ビーズ分散ペーストの製造
製造例9で得られたアニオン性顔料分散ペースト89.4gと樹脂ビーズ50.0gの混合物を20分攪拌してアニオン性艶消し樹脂ビーズ分散ペースト得た。樹脂ビーズとしてGE東芝シリコーン社製「トスパール130」を使用した。
【0133】
製造例11
アニオン電着塗料の製造
アニオン顔料分散ペースト100gと得られたアクリル樹脂(A)230g、硬化剤としてメラミン樹脂であるサイメル235(サイテック社製)63g、トリエチルアミン5.1gを混合しながら、イオン交換水2012gを徐々に添加し転相乳化した後、さらにトリエチルアミン5.1gを混合しアニオン電着塗料を得た。得られた電着塗料は、不揮発分10%、中和率70%であった。
【0134】
製造例12
アニオン電着塗料の製造
アニオン性顔料分散ペースト100gと得られたアクリル樹脂(B)230g、硬化剤としてメラミン樹脂であるサイメル235(サイテック社製)63g、トリエチルアミン5.1gを混合しながら、イオン交換水2012gを徐々に添加し転相乳化した後、さらにトリエチルアミン5.1gを混合しアニオン電着塗料を得た。
【0135】
この塗料を40℃、7日間加熱することによりγ−トリメトキシシリル基を反応させることによりマイクロゲルを形成させ、マイクロゲルによる艶消しアニオン電着塗料を得た。得られた電着塗料は、不揮発分10%、中和率70%であった。
【0136】
実施例7
製造例11で得られたアニオン電着塗料100gと製造例10で得られたアニオン性樹脂ビーズ分散ペーストを7gをディスパーで混合することにより、艶消しアニオン電着塗料を得た。
【0137】
比較例6
アニオン性樹脂ビーズ分散ペーストを用いず、製造例11で得られたアニオン電着塗料をそのまま用いた。
【0138】
比較例7
製造例12で得られた艶消しアニオン電着塗料をそのまま用いた。
【0139】
実施例8及び9
表6に従い、実施例7と同様に艶消しアニオン電着塗料組成物を得た。実施例9については、「トスパール130」の代わりに「トスパール2000B」を用いた。
【0140】
【表6】
Figure 2004285443
【0141】
カチオン電着塗料組成物の場合と同様に塗料構成成分の屈折率を測定した結果、硬化バインダー樹脂成分の屈折率は1.49、樹脂ビーズ「トスパール130」および「トスパール2000B」の屈折率は1.41であった。
【0142】
電着塗装条件
6063Sアルミニウム合金板にアルマイト処理(アルマイト皮膜厚9μ)、封孔処理(85℃の熱水に3分間浸漬)を施した板へ塗装した。塗装電圧は、100〜200Vの直流電圧を3分間印加して電着塗装した。その後180℃にて30分間焼付け、乾燥を行ったものについて、膜厚、光沢を調べた。測定方法は、カチオン電着塗料評価の場合と同様である。

Claims (9)

  1. 電着塗料に含有させて硬化塗膜が艶消しされる電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストにおいて、
    該電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストが、水性媒体と、水性媒体中に分散させるか溶解させた顔料分散樹脂と樹脂ビーズとを含み、該樹脂ビーズが、硬化塗膜を構成する成分である硬化バインダー樹脂成分の屈折率と0.05以上異なる屈折率を有している、電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト。
  2. 前記樹脂ビーズの平均粒径が塗膜の膜厚の1/5〜4/5である、請求項1に記載の電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト。
  3. 前記樹脂ビーズの平均粒径が3μm以上20μm未満である、請求項1に記載の電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト。
  4. 前記樹脂ビーズが架橋アクリル樹脂である、請求項1または2記載の電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト。
  5. 電着塗料成分と請求項1〜4いずれかに記載の電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペーストとを含有する艶消し電着塗料組成物。
  6. 前記樹脂ビーズが、硬化塗膜中の樹脂ビーズ体積率1〜50%を占める量で電着塗料組成物に含有される、請求項5に記載の艶消し電着塗料組成。
  7. 前記電着塗料成分が、カチオン性エポキシ樹脂とブロックポリイソシアネート硬化剤とを含むバインダー樹脂および顔料を含み、前記電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト中に含まれる顔料分散樹脂がカチオン性顔料分散樹脂である、請求項5または6記載の艶消し電着塗料組成物。
  8. 前記電着塗料成分が、アニオン性樹脂と硬化剤とを含むバインダー樹脂を含み、前記電着塗料艶消し用樹脂ビーズ分散ペースト中に含まれる顔料分散樹脂がアニオン性顔料分散樹脂である、請求項5または6記載の艶消し電着塗料組成物。
  9. 更に顔料を含む請求項8記載の艶消し電着塗料組成物。
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