JP2004285080A - 新規なビスフェノール化合物及びその製造方法 - Google Patents

新規なビスフェノール化合物及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリカーボネートやポリアリレート等の熱可塑性プラスチックスの原料として用いた場合に、従来よりも一層の耐水特性の向上と、それに従って電気特性の向上が期待でき、更に、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂の原料とした場合には、上記特性に加えて、耐衝撃性や耐たわみ性等の可撓性の向上が期待できる新規なビスフェノール化合物を提供する。
【解決手段】本発明による新規なビスフェノール化合物は、一般式(I)
【化1】
Figure 2004285080

(式中、2つのイソプロピリデン基はフェニレン基に対して相互にメタ位又はパラ位で結合している。)
で表されることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なビスフェノール化合物及びその製造方法に関し、詳しくは、フェノール性水酸基を有する2つの芳香核の間に1,3−又は1,4−フェニレンビス(イソプロピリデン)基を有する分子構造を有するビスフェノール化合物であって、且つ、フェノール性水酸基を有するそれぞれの芳香核上において、水酸基のオルト位に親油性のシクロヘキシル基を置換基として有すると共に、このシクロヘキシル基のパラ位にメチル基を有する新規なビスフェノール化合物及びその高純度品の製造方法に関する。
ビスフェノール化合物は、従来より、ポリカーボネート、ポリアリレート等の熱可塑性エンジニアリングプラスチックの原料や、また、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂の原料として、広く用いられている。近年、特に、電気電子分野における機器の小型化、高性能化に伴って、それらに用いられる有機材料についても、機械的特性や熱的特性の向上のみならず、耐湿性、電気絶縁性、低誘電性等の一層の向上が強く求められるに至っている。
更に、ビスフェノール化合物は、上述したようなプラスチックの原料としてのみならず、エポキシ樹脂の硬化剤、感熱記録用の顕色剤、退色防止剤、保存安定剤、酸化防止剤、殺菌剤、防菌防黴剤等の種々の添加剤としても有用に用いられており、ますますその重要性を増している。
ビスフェノール化合物は、既に、多数のものが知られており(例えば、非特許文献1参照)、その後も、上述したような樹脂の高性能化、高機能化の要請に応えるために、新たなビスフェノール化合物が多数、提案されている。
このようなビスフェノール化合物の中で、フェノール性水酸基を有する2つの芳香核を1,3−又は1,4−フェニレンビス(イソプロピリデン)基にて結合してなる構造を有するビスフェノール化合物は、この1,3−又は1,4−フェニレンビス(イソプロピリデン)基が嵩高い親油性の基であるので、現在、工業的に大量に製造されているビスフェノールA等のように、フェノール性水酸基を有する2つの芳香核をアルキレン基で結合してなるビスフェノール化合物に比べて、水酸基の含有割合が大幅に小さくなる。
従って、上述したような1,3−又は1,4−フェニレンビス(イソプロピリデン)基を有するビスフェノール化合物を用いて製造されるポリアリレートやポリカーボネート等の熱可塑性プラスチックスは、通常のビスフェノールAを原料として製造される熱可塑性プラスチックスに比べて、エステル結合や炭酸結合等の極性結合の密度が大幅に低下するので、耐加水分解性や低吸水性等の耐水特性が大きく向上し、更に、そのために耐絶縁性や低誘電性等の電気特性にもすぐれることが期待される。
更に、上述したような1,3−又は1,4−フェニレンビス(イソプロピリデン)基を有するビスフェノール化合物は、従来のビスフェノールA等のアルキレン結合を有する通常のビスフェノール化合物に比べて、嵩高い1,3−又は1,4−フェニレンビス(イソプロピリデン)基を介しているので、フェノール性水酸基の間の距離が長いという分子構造的な特徴を有する。それ故、このようなビスフェノール化合物を、例えば、エポキシ樹脂の硬化剤等、硬化性樹脂の組成物の成分として用いるときは、上述した熱可塑性プラスチックスにおける効果に加えて、硬化物の分子構造において、架橋点の間の距離が長くなるので、耐衝撃性や耐たわみ性等の可撓性にすぐれた硬化成形物が得られることが期待される。
以上のような理由によって、従来、フェノール性水酸基を有する2つの芳香核の間に1,3−又は1,4−フェニレンビス(イソプロピリデン)基を有するビスフェノール化合物が種々、提案されている。特に、フェノール性水酸基と共に、アルキル基のような親油性の置換基を有する芳香核を1,3−又は1,4−フェニレンビス(イソプロピリデン)基にて結合してなるビスフェノール化合物は、これがプラスチックスに組み込まれた場合に、上記アルキル基を置換基としてもたないものに比べて、その耐水特性が一層向上し、そのために、更に、電気特性も向上するので、種々のものが提案されている。
例えば、1,4 −ビス〔2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−プロピル〕ベンゼンは、古くは1972年に特許文献に記載されており(特許文献1参照)、これを原料として用いて得られたポリカーボネートが耐水特性にすぐれることが示されている。また、上記1,4 −ビス〔2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−プロピル〕ベンゼンが物性のすぐれたポリ(エステルカーボネート)を与えることも知られている(特許文献2参照)。
また、1,3−ビス〔2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−プロピル〕ベンゼンが電気特性にすぐれたエポキシ樹脂組成物を形成することが特許文献に開示されている(特許文献3参照)。
更に、フェノール性水酸基を有する2つの芳香核の間に1,3−又は1,4−フェニレンビス(イソプロピリデン)基を有するビスフェノール化合物において、芳香核上の置換基として、メチル基に代えて、一層嵩高い置換基を導入したビスフェノール化合物も提案されている。
例えば、これまで、1,4 −ビス〔2−(2−ヒドロキシビフェニル−5−イル)−2−プロピル〕ベンゼンが開示されている(特許文献1参照)。また、1,4 −ビス〔2−(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル−2−プロピル〕ベンゼンと1,3−ビス〔2−(4−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルフェニル−2−プロピル〕ベンゼンが開示されており(特許文献4)、いずれも、ポリプロピレンの酸化防止剤として有用であることが示されている。
しかし、上述したように、1,3−又は1,4−フェニレンビス(イソプロピリデン)基を有すると共に、芳香核に嵩高い置換基を導入したビスフェノール化合物は、プラスチックスに組み込まれた場合に、置換基の嵩高さの増大による親油性の向上は望めるが、一方では、そのような置換基が分子軸に対して片寄って導入されることによって、得られるプラスチックスのボリマー分子間の自由体積が増大し、そのような空隙に寸法の小さい水分子が容易に侵入するようになるので、得られるプラスチックスは、耐水特性の面から、従って、電気特性を追求するためには、必ずしも得策ではない。
以上のような観点から、プラスチックスの原料として、理想的な1,3−又は1,4−フェニレンビスプロピリデン基を有するビスフェノール化合物は、分子軸に対して対称であり、且つ、フェノール性水酸基の部分に対してのみならず、フェニレンビスプロピリデン結合の部分に対しても、均等に置換基効果が及ぶような分子構造を有するものであると推定される。しかしながら、このような構造の1,3−又は1,4−フェニレンビスプロピリデン基を有するビスフェノール化合物は、従来、知られていない。
上述したシクロヘキシル基を置換基として有すると共に、フェニレンビスプロピデン結合を有するビスフェノール化合物において、更に、置換基としてメチル基を導入したビスフェノール化合物が提案されている即ち、1,4 −フェニレンビス〔2−(2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシル−5−メチルフェニル)−2−プロピル〕ベンゼンと1,3−フェニレンビス〔2−(ヒドロキシ−3−シクロヘキシル−5−メチルフェニル)−2−プロピル〕ベンゼンが提案されている(特許文献5及び6参照)。しかしながら、これらビスフェノール化合物の用途は、いずれもポリウレタン用の安定剤として提案されているのみである。プラスチックスの製造の原料としては、その分子構造において、2個のプロピリデン基がいずれもフェノール性水酸基のオルト位で結合しているために、パラ位で結合した場合に比べて、ポリカーボネートやポリアリレート等、直鎖状熱可塑性プラスチックスの原料とした場合には、より非対称の屈曲したポリマー構造を形成し、また、エポキシ樹脂等、熱可塑性プラスチックスの原料とした場合には、2つの水酸基間の距離が短いために、架橋点間の距離の短い硬化成形物を与えて、耐衝撃性や耐たわみ性等の可塑性が十分に発揮されないと予測される。
西ドイツ特許第2063052号公報 ヨーロツパ特許第27844号公報 特開平05−222156号公報 アメリカ特許第3544512号公報 西ドイツ特許第2523106号公報 西ドイツ特許第2523107号公報 Eugen Mueller 編、METHODEN DER ORGANISCHEN CHEMIE (HOUBEN-WEYL), Band VI/1c, "Phenol", Teil 2, pp. 1021-1061, Georg Thieme Verlag Stuttgart (1976)
本発明は、フェノール性水酸基を有する2つの芳香核の間に1,3−又は1,4−フェニレンビスプロピリデン基を有するビスフェノール化合物の上述した事情に鑑みて、ポリカーボネートやポリアリレート等の熱可塑性プラスチックスの原料として用いた場合に、従来よりも一層の耐水特性の向上と、それに従って電気特性の向上が期待でき、更に、エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂の原料とした場合には、上記特性に加えて、耐衝撃性や耐たわみ性等の可撓性の向上が期待できる新規なビスフェノール化合物を提供することを目的とし、更に、本発明は、そのようなビスフェノール化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明による新規なビスフェノール化合物は、一般式(I)
Figure 2004285080
(式中、2つのイソプロピリデン基はフェニレン基に対して相互にメタ位又はパラ位で結合している。)
で表されることを特徴とする。
本発明によるビスフェノール化合物は、フェノール性水酸基を有する2つの芳香核の間に1,3−又は1,4−フェニレンビス(イソプロピリデン)基を有すると共に、フェノール性水酸基を有する芳香核のそれぞれにおいて、その水酸基のオルト位にシクロヘキシル基を置換基として有し、更に、このシクロヘキシル基のパラ位にメチル基を有する分子構造的な特徴を有し、従来、知られているビスフェノール化合物と同様に、広範な用途に有利に用いることができる。
特に、本発明によるビスフェノール化合物を原料として用いることによって、耐加水分解性や低吸水性等の耐水特性や、絶縁性、低誘電性等の電気特性にすぐれた熱可塑性プラスチックスを得ることができる。また、本発明によるビスフェノール化合物を原料として用いることによって、上記したすぐれた特性に加えて、耐衝撃性や耐たわみ性等の可撓性にすぐれる硬化成形物を与える熱硬化性プラスチックスも得ることができる。
本発明によるこのようなビスフェノール化合物の具体例としては、例えば、1,3−ビス〔2−メチル−5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ)フェニルジメチルメチル〕ベンゼンや、1,4−ビス〔2−メチル−5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ)フェニルジメチルメチル〕ベンゼンを挙げることができる。
このような本発明によるよる新規なビスェノール化合物は、酸性化合物の存在下、アルコール系溶媒中で、2−シクロヘキシル−5−メチルフェノールと、一般式(II)
Figure 2004285080
(式中、2つのイソプロピリデン基はフェニレン基に対して相互にメタ位又はパラ位で結合している。)
で表されるビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとを反応させることによって得ることができる。
特に、本発明によれば、このような方法において、反応終了後、生成した上記ビスフェノール化合物を含む反応液にアルカリ化合物を加えて、前記酸性化合物を中和し、次いで、反応液を蒸留して、前記アルコール系溶媒及び未反応の前記アルキルフェノール化合物を除去し、その後、得られた濃縮物に芳香族系炭化水素又は脂肪族ケトン又はそれらの混合溶媒を加えて、上記濃縮物を加温し、溶解させ、次いで、冷却して、上記ビスフェノール化合物を晶析させることによって、高純度品を容易に得ることができる。
本発明によるビスフェノール化合物の製造において、原料として用いる上記一般式(II)で表わされるビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンにおいて、2個のイソプロピリデン基は、フェニレン基に対して、相互にメタ位又はパラ位で結合している。従って、本発明によるビスフェノール化合物の製造において、上記ビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとしては、具体的には、1,3−ビス(2−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン又は1,4−ビス(2−ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンが用いられる。
2−シクロヘキシル−5−メチルフェノールとビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとの反応において、2−シクロヘキシル−5−メチルフェノールは、ビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンに対して、2倍モル以上、通常、2〜20倍モル量の範囲で用いられるが、好ましくは、3〜10倍モル量の範囲で用いられる。
2−シクロヘキシル−5−メチルフェノールとビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとの反応は、酸性化合物の存在下、アルコール系溶媒中で行われるが、このアルコール系溶剤としては、用いる反応原料、得られる生成物の溶解度、反応条件、反応の経済性等を考慮して、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、n−ブチルアルコール等のような低級脂肪族アルコールが好ましく用いられる。特に、メタノールが好ましく用いられる。
本発明において、かかるアルコール系溶剤は、通常、用いるビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン100重量部に対して、10〜1000重量部、好ましくは、200〜500重量部の範囲で用いられるが、これに限定されるものではない。
上記酸性化合物としては、反応溶媒である上記アルコール系溶剤に溶解する酸が好ましく、従って、例えば、塩酸、硫酸、無水硫酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、シュウ酸、ギ酸、リン酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等を好ましい具体例として挙げることができる。このような酸性化合物は、例えば、35%塩酸の場合は、ビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン100重量部に対して、10〜1000重量部、好ましくは、100〜500重量部の範囲で用いられる。
2−シクロヘキシル−5−メチルフェノールとビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼンとの反応は、通常、室温から80℃、好ましくは、40〜65℃にて、窒素気流下に攪拌しながら、2〜48時間程度、通常、10〜30時間程度行なえばよい。本発明においては、通常は、反応によって生成するビスフェノール化合物は、反応溶剤に溶解し難いために、上記反応温度条件下では、反応液中に析出する。
そこで、本発明によれば、反応終了後、得られた反応液に水酸化ナトリウム等のアルカリを加えて、pH5〜7まで中和し、酸性化合物を中和し、次いで、反応時に用いたアルコール系溶媒と未反応の2−シクロヘキシル−5−メチルフェノールを蒸留によって反応液から留去し、この後、濃縮した反応液に芳香族炭化水素又は脂肪族ケトン又はそれらの混合溶媒を加え、ビスフェノール化合物を溶解させた後、冷却することによって、目的とするビスフェノール化合物を晶析させ、かくして、高純度品を容易に得ることができる。
本発明において、上記晶析溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族ケトン又はこれらの混合物が用いられる。晶析溶媒の具体例としては、晶析条件、精製効果、経済性等を考慮して、芳香族炭化水素としては、例えば、トルエン、キシレン、クメン等を挙げることができ、また、ケトンとしては、例えば、イソプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン等を挙げることができる。
このような晶析溶媒は、通常、濃縮した反応液100重量部に対して、100〜1000重量部、好ましくは、200〜500重量部の範囲で加えることによって、濃縮反応液から、目的とするビスフェノール化合物を高純度にて晶析させることができる。特に、本発明においては、トルエンを晶析溶媒として用いることによって、高純度のビスフェノール化合物の結晶、通常、純度98%以上の白色の結晶を得ることができる。
他方、本発明によれば、反応終了後、得られた反応液をアルカリによって中和し、次いで、アルコール系溶媒と未反応のアルキルフェノール化合物を蒸留によって反応液から留去した後、芳香族炭化水素又は脂肪族ケトン又はそれらの混合溶媒を用いずに、反応液に水を加えて攪拌後、静置し、次いで、油水分離して、上記中和によって生成した塩を水層に分離することによって、目的とするビスフェノール化合物を得る方法も採用することができる。
この方法による場合は、未反応のアルキルフェノール化合物等、目的とするビスフェノール化合物以外の成分も多少含まれるようになるので、得られるビスフェノールの純度は低下する。反面、目的とするビスフェノール化合物は、生成した全量が回収されるので、その収率は向上する。このような粗製品を適宜の用途に供してよいことは、勿論である。
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1
2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール228g(1.2モル)と1,4−ビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン29.1g(0.15モル)をフラスコに仕込み、これにメタノール115.2gを加えて、溶解させた。この溶液に濃塩酸68.4gを加え、50℃にて攪拌下に24時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物に水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した後、トルエン230gを加え、有機層から水層を分液した。得られた有機層からトルエンと未反応の2−シクロヘキシル−5−メチルフェノールを蒸留にて留去した。
このようにして得られた蒸留残渣にトルエン260gを加え、冷却して、1,4−ビス〔2−メチル−5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ)フェニルジメチルメチル〕ベンゼンの粗結晶72.6gを得た。この粗結晶をトルエンで再結晶して、純度98.4%の白色結晶67.5gを得た。収率84%。この化合物の融点、元素分析、赤外線吸収スペクトル(KBr法)データ、マススペクトルデータ及びプロトン核磁気共鳴スペクトル(重アセトン溶媒中60MHz)データは下記のとおりである。
融点:201.0℃
元素分析値(%)(C38502 として):
C H O
実測値 85.4 9.0 5.6
計算値 84.8 9.3 5.9
赤外線吸収スペクトル(cm-1):
OH 3550
CH2 又はCH3 2840,2920
芳香族環 1500,1580
C−O 1200
マスペクトル:
親ピーク 538
フラグメントピーク 523, 333, 262
プロトン核磁気共鳴スペクトル
Figure 2004285080
実施例2
2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール304g(1.6モル)と1,3−ビス(ヒドロキシイソプロピル)ベンゼン38.8g(0.2モル)をフラスコに仕込み、これにメタノール153.6gを加えて、溶解させた。この溶液に濃塩酸91.2gを加え、50℃にて攪拌下に24時間反応させた。反応終了後、得られた反応混合物に水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した後、トルエン200gを加え、有機層から水層を分液した。得られた有機層からトルエンと未反応の2−シクロヘキシル−5−メチルフェノールを蒸留にて留去した。
このようにして得られた蒸留残渣にトルエン300gを加え、冷却して、1,3−ビス〔2−メチル−5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ)フェニルジメチルメチル〕ベンゼンの粗結晶95.5gを得た。この粗結晶をトルエンで再結晶して、純度99.4%の白色結晶78.8gを得た。収率81%。このビスフェノールの融点、元素分析、赤外線吸収スペクトル(KBr法)データ、マススペクトルデータ及びプロトン核磁気共鳴スペクトル(重アセトン溶媒中60MHz)データは下記のとおりである。
融点:174.5℃
元素分析値(%)(C38502 として):
C H O
実測値 85.3 9.0 5.7
計算値 84.8 9.3 5.9
赤外線吸収スペクトル(cm-1):
OH 3400
CH2 又はCH3 2820,3000
芳香族環 1500,1590
C−O 1205
マススペクトル:
親ピーク 538
フラグメントピーク 523,333,262
プロトン核磁気共鳴スペクトル
Figure 2004285080

Claims (1)

  1. 1,4−ビス〔2−メチル−5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ)フェニルジメチルメチル〕ベンゼン。

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