JP2004284960A - シート状皮膚外用剤及びその製造方法 - Google Patents

シート状皮膚外用剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】油性薬効成分の効果を十分に発揮でき、且つ経時安定性と使用感が優れたシート状皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】(1)油性薬効成分の1種又は2種以上、及び
メチルフェニルポリシロキサン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む油分と、
(3)親水性非イオン界面活性剤と、
(4)水溶性溶媒と、
(5)水と、
を含む水中油型乳化組成物をシート状基材に含侵させることを特徴とするシート状皮膚外用剤。
前記皮膚外用剤において、油性薬効成分がレチノール及び/又はその誘導体であることが好適である。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシート状皮膚外用剤及びその製造方法、特にその効果と経時安定性、使用感の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シート状皮膚外用剤として、外用組成物をシート状基材に塗布したものや、含浸させたものが知られている。特に美白成分や保湿成分等の薬効成分を含有する組成物を不織布等のシート状基材に含浸させたシート状皮膚外用剤は、その簡便性や斬新さから、近年注目されてきている。
【0003】
しかし、前記シート状皮膚外用剤においては、含浸させる組成物に、効果が十分に得られる量の油性薬効成分を安定に配合するためには、他の油分をも多量に配合する必要があり、以下のような問題があった。すなわち、粘度が高くなるためシート状基材に十分な量を含浸させることができない、べたべたした使用感となる、安定性が悪く油分が分離してくる、等の問題である。
【0004】
これらの問題を解決するために、例えば、油性薬効成分を寒天カプセルに包含させ、安定に水系組成物中に配合し、該組成物をシート状基材に含浸させたものが提案されている(特開平03−148207号公報)。これは、使用時にシートを手で抑えることにより、カプセルが壊れ、油性薬効成分がカプセル内部より放出されるものである。
【0005】
【特許文献1】特開平03−148207号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方法では油性薬効成分を皮膚に均一に塗布できず、効果が十分に得られないため、別の解決方法が望まれていた。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、油性薬効成分の効果を十分に発揮でき、且つ経時安定性と使用感が優れたシート状皮膚外用剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、特定の油分を配合することにより、低粘度で、経時安定性が良い水中油型乳化組成物が得られ、該組成物をシート状基材に含浸させることにより、油性薬効成分の効果を十分に発揮でき、べたつき感がないシート状皮膚外用剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明の第一の主題は、
(1)油性薬効成分の1種又は2種以上、及び
メチルフェニルポリシロキサン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む油分と、
(3)親水性非イオン界面活性剤と、
(4)水溶性溶媒と、
(5)水と、
を含む水中油型乳化組成物をシート状基材に含侵させることを特徴とするシート状皮膚外用剤である。
【0009】
また、前記皮膚外用剤において、油性薬効成分がレチノール及び/又はその誘導体であることが好適である。
また、前記皮膚外用剤において、油分の配合量が水中油型乳化組成物の3〜40質量%であることが好適である。
また、前記皮膚外用剤において、水中油型乳化組成物の粘度が1〜3000mPa・sであることが好適である。
前記皮膚外用剤は、ポリエチレンテレフタレート製包装体又はポリエチレンテレフタレートで内面をコートした包装体に、アルゴンガス及び/又は窒素ガスと共に密封装填された形態であることが好適である。
【0010】
本発明の第二の主題は、下記(A)〜(C)工程を含むことを特徴とするシート状皮膚外用剤の製造方法である。
(A)親水性非イオン界面活性剤を水溶性溶媒中に添加し、これに油分を添加して乳化を行う工程。
(B)(A)工程後、前記乳化組成物に水を添加し、水中油型乳化組成物とする工程。
(C)シート状基材に該水中油型乳化組成物を含浸させる工程。
また、油性薬効成分の安定性を考慮すると、前記製造方法において、全工程を5〜40℃にて行うことが好適である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
I.水中油型乳化組成物
(1)油分
油性薬効成分
本発明において、油性薬効成分としては、皮膚外用剤に配合できる油性薬効成分であれば特に制限されないが、例えば、美白剤、消炎剤、血行促進剤、ビタミン類等が挙げられる。
【0012】
美白剤の具体的な例としては、油溶性甘草抽出物や、テトラ2−ヘキシルデカン酸アスコビル、ジパルミチン酸アスコビル等のビタミンC誘導体、レゾルシン誘導体、リノール酸、油溶性カミツレ抽出物、テトラヒドロクルクミノイド等が挙げられる。
消炎剤の具体的な例としては、グリチルレチン酸ステアリルなどのグリチルレチン酸誘導体等が挙げられる。
血行促進剤の具体的な例としては、紅花油、米胚芽油等の植物油、γ−オリザノール等が挙げられる。
【0013】
ビタミン類の具体的な例としては、レチノール、レチノール誘導体(レチノールアセテート、レチノールパルミテート等)、ビタミンE、ビタミンE誘導体(ビタミンEアセテート等)、ビタミンD類、ビタミンK等が挙げられる。
これらの油性薬効成分は、1種又は2種以上が任意に選択されて配合される。上記油性薬効成分のうち、特にレチノール及びその誘導体が好適に用いられる。
【0014】
近年レチノールすなわちビタミンAは、活性酸素消去作用の面で注目されてきており、活性酸素に起因する皮膚の老化(しわ、しみ、たるみ、乾燥等)、にきび治療等への応用の期待が高まっている。
【0015】
本発明において、油性薬効成分は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、皮膚外用剤の目的とする効能、効果等により異なるが、水中油型乳化組成物中の0.001〜10質量%であることが好ましい。0.001質量%未満であると、油性薬効成分の効果が十分に発揮されないことがあり、10質量%を超えて配合しても、さらなる効果の向上は期待できない。
【0016】
その他の油分
油性薬効成分以外の油分としては、メチルフェニルポリシロキサン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリンからなる群より選択される1種又は2種以上を含有することが必須である。
これらを用いると水中油型乳化組成物の経時安定性および組成物中での薬剤安定性がより向上する。
【0017】
上記油分以外に例えば、シリコーン油、炭化水素油、エステル油等を配合することができる。
具体的に示すと、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ポリシロキサン;3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等のシリコーン油;流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素油;ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、 12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等の合成エステル油;その他アボガド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、グレープシード油、アーモンド油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油等の植物性油脂;タートル油、卵黄油、ミンク油等の動物性油脂、等が挙げられる。
【0018】
油分の配合量は、油性薬効成分及びそれ以外の油分の合計でシート状皮膚外用剤の目的とする効能、効果等により異なるが、水中油型乳化組成物中の3〜40質量%であることが好ましく、10〜20質量%であることが特に好ましい。50質量%を超えると経時安定性が悪くなることや粘度が高くなることがある。
油分中、メチルフェニルポリシロキサン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリンからなる群より選択される1種または2種以上の含有量は50〜100質量%であることが好ましい。
【0019】
(2)親水性非イオン界面活性剤
本発明において、親水性非イオン界面活性剤としては、通常皮膚外用剤に使用される親水性非イオン界面活性剤であれば特に限定はされないが、例えば、POE−ラウリルエーテル、POE−オレイルエーテル、POE−ステアリルエーテル、POE−ベヘニルエーテル、POE−2−オクチルドデシルエーテル、POE−コレスタノールエーテル等のPOE−アルキルエーテル類;プルロニック等のプルロニック型類;POE・POP−セチルエーテル、POE・POP−2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POP−モノブチルエーテル、POE・POP−水添ラノリン、POE・POP−グリセリンエーテル等のPOE・POP−アルキルエーテル類が好ましい。
【0020】
本発明において、親水性非イオン界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、皮膚外用剤の目的とする効能、効果等により異なるが、水中油型乳化組成物中の0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜5質量%であることが特に好ましい。
【0021】
(3)水溶性溶媒
水溶性溶媒は、前記親水性非イオン界面活性剤を溶解し、その後添加する油相との界面に効率よく配向させる効果を持つものであり、低級一価アルコール類、低級多価アルコール類、エーテル類等が挙げられる。
【0022】
水溶性溶媒について具体的に示すと、エタノール、プロパノール、ベンジルアルコール等の低級一価アルコール類;グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、2,5−ヘキサンジオール、2,3−ブチレングリコール、2,4−ヘプタンジオール、ヘキシレングリコール、1,5−ペンタンジオール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレンオキサイド、ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジメチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチレングリコールモノメチルエーテル、ジメチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチレングリコールジエチルエーテル、エトキシトリグリコール、モノプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレンランダム重合体メチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。特にグリセリン、1,3−ブチレングリコールが好ましい。
(4)水
さらに本発明にかかる水中油型乳化組成物は、水を必須成分としている。
【0023】
その他
本発明のシート状皮膚外用剤において、含浸させる水中油型乳化組成物には、必要に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、上記必須成分に加え、粉末成分、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等、通常化粧品に用いられる他の成分の配合が可能である。以下に具体的な配合可能成分を列挙するが、上記必須配合成分と下記成分の任意の1種又は2種以上とを、本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において配合し、本発明のシート状皮膚外用剤に含浸させる組成物とすることができる。
【0024】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、セリサイト、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。
【0025】
保湿剤としては、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、トレハロース、エリスリトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、フィッシュコラーゲン、フィトステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、dl−ピロリドンカルボン酸塩、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0026】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等)等が挙げられる。
【0027】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0028】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000、1000,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);カチオンポリマー等が挙げられる。
【0029】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアガム、タマリントガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ジェランガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ケイ酸A1Mg(ビーガム) 、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0030】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル−N− アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等);ピリダジン誘導体(ジモルホリノピリダジン);3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
【0031】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0032】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン、アルギニン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム) 、アシルグルタミン酸塩、アシルタウリン塩、アシルβ−アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸、トリメチルグリシン等が挙げられる。
【0033】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
【0034】
pH調整剤としては、例えば、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、δ−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
【0035】
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0036】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等);水溶性美白剤(例えば、アルブチン、トラネキサム酸、4−メトキシサリチル酸カリウム、エラグ酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム等のアスコルビン酸誘導体等);賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、グリチルリチン酸塩、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン、チオタウリン、ヒポタウリン等)、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2 、ビタミンB2誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15、ビタミンB15誘導体、等が挙げられる。
【0037】
本発明のシート状皮膚外用剤において、シート状基材に含浸させる水中油型乳化組成物は、以下の(A)、(B)工程を含む方法にて製造することが好ましい。
(A)親水性非イオン界面活性剤を水溶性溶媒中に添加し、これに油分を添加して乳化を行う工程。
(B)(A)工程後、前記乳化組成物に水を添加し、水中油型乳化組成物とする工程。
【0038】
本発明にかかる乳化方法は、従来の油−水系に代えて、第一段階として、油−水溶性溶媒系で乳化を行い、第二段階として、これに水を加えて安定化するという方法である。
水溶性溶媒の表面張力は、水の表面張力と比較して遥かに小さい。このため、水溶性溶媒と親水性非イオン界面活性剤との間には、水と親水性非イオン界面活性剤との間におけるような強固な水素結合は存在しない。
【0039】
したがって本発明の方法では、親水性非イオン界面活性剤を水溶性溶媒に溶解させ、これに油分を添加して乳化させているため、油−水溶性溶媒の界面張力が小さく、表面活性能の小さい親水性非イオン界面活性剤でも非常に少ない攪拌力で容易に界面に吸着させることができる。さらに熱を加える必要もないので、製造工程が簡便化される上、熱に弱い油性薬効成分も安定に配合することができる。よって、該製造方法において、油性薬効成分を安定に配合するために、全工程を5〜40℃の室温にて行うことが好ましい。また、その後に水を添加することにより、低粘度で、べたつかず良好な感触を持ち、且つ粒子径が小さく、均一性の良い極めて安定な水中油型乳化組成物を得ることができる。本方法によると、平均乳化粒子径は概ね1μm未満となる。
【0040】
本発明における安定な水中油型乳化組成物の量的関係は、(A)工程においては、油分:水溶性溶媒:親水性非イオン性界面活性剤=5〜65:20〜95:0.01〜15の範囲、(B)工程においては、(A)工程の乳化組成物:水=5〜95:5〜95の範囲である。
【0041】
従来の乳化方法においては、油相成分が多い場合、安定な水中油型乳化組成物を調整することは困難であったが、本発明の方法によれば、初めに水溶性溶媒中油型乳化組成物を作り、その後該乳化組成物に水を添加することにより、油相の多い水中油型乳化組成物も安定に調整することができる。
【0042】
さらに、従来の乳化方法においては、油相成分が多くなるにつれ、高粘度となり、感触もべたつくものとなったが、本発明の方法によれば、油相成分が多くても低粘度で基材に含浸させやすく、べたつかず良好な感触を持つ水中油型乳化組成物を得ることができる。
【0043】
本発明における水中油型乳化組成物は、低粘度であるが、具体的には1〜3000mPa・s(30℃)であり、好ましくは5〜1200mPa・s(30℃)である。3000mPa・sを超えるとシート状基材への浸透性が悪くなるが、逆に1mPa・s未満では、使用時にシート状基材から組成物が垂れ落ちる、あるいは垂れ落ちないように組成物の含浸量を少なくすると、油性薬効成分の効果が十分に発揮されない場合がある。
尚、粘度は30℃において芝浦システム社製のB型粘度計で12rpm、1分間の条件で測定した場合の数値である。
【0044】
本発明にかかる水中油型乳化組成物は、シート状基材に十分な量を含浸させることができ、油性薬効成分の効果が十分に発揮される。さらに基材上での安定性も良好であり、経時安定性の問題も生じない。
【0045】
II.シート状基材
本発明においては、上記水中油型乳化組成物をシート状基材に含浸させることが必須である。シート状基材へ含浸させる上記組成物の量は、シート状基材の材質によっても異なるが、本発明においては少なくとも上記組成物によりシート状基材全体が濡れる程度の量が必要である。具体的には、シート状基材の質量に対して1〜30倍量、好ましくは5〜20倍量である。
【0046】
本発明の水中油型乳化組成物は、シート状基材に含浸させることにより、皮膚の単位面積当たりにより多く塗布できるようになる。
また、本発明のシート状皮膚外用剤は、皮膚に貼付すると、従来の乳液状皮膚外用剤等と比較して、油性薬効成分の皮膚への放出が容易になり、皮膚吸収量が増加するため、有効性がより発揮される。
【0047】
本発明に用いられるシート状基材としては、液体を吸収し、その繊維等の間や表面に保持できるものであれば特に限定されないが、特に不織布であることが好ましい。不織布を構成する繊維の材質としては、コットン、レーヨン、パルプ、麻、アクリル、ナイロン、シルク、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリプロピレン等、及びそれらの混合物が使用されるが、特にコットンは、組成物の浸透含浸保持性が高く、肌触りがよいので好ましい。
【0048】
水中油型乳化組成物のシート状基材への含浸方法は公知の手段によることができる。例えば、滴下法、噴霧法、加圧法、ディッピング加工法が挙げられる。シート状基材はそのままあるいは折りたたむなどして1枚又は複数枚を用い、これに含浸させることができる。
【0049】
含浸させたシート状基材は直ちに気密性の高い容器に封入し、シート状皮膚外用剤とすることができるが、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)製トレイ等に乗せ、アルミラミネート製包装体、PETで内面コートした包装体などの光を通さず、気密の良い袋等に密封装填することにより、油性薬効成分の安定性が飛躍的に向上したシート状皮膚外用剤となる。
特にPETは油性薬効成分の吸着が少なく適している。
【0050】
このような包装体にすることにおいても、垂れ落ちせず、多量の乳化組成物を含浸できる本願発明のシート状皮膚外用剤は、作業工程での取り扱いにおいても極めて優れている。
なお、密封充填する際、酸素により油性薬効成分が酸化されるのを防止するため、アルゴンガス・窒素ガス等の不活性ガスを封入することが好ましい。
更に、脱酸素状態を維持するために、包装体に脱酸素剤を装填したり、脱酸素能を有する素材でできた包装体を用いたりすることもできる。
【0051】
シート状基材に組成物を含浸させる時期としては、使用者が使用時に含浸させることもできるが、使用者が用いる前に既に組成物をシート状基材に含浸させたものであると、油性薬効成分の安定性が確保され、使用性に優れ、携帯性にも優れるので好ましい。
本発明のシート状皮膚外用剤は、顔、首、腕、脚等の全体、局所の部位に密着させ、適当な時間放置後に剥離することにより使用される。
【0052】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術範囲はこれら実施例により限定されるものではない。なお、配合量はすべて質量%である。
油分の種類の検討
本発明の皮膚外用剤に用いるのに、好適な油分を検討するため、油分の種類と、基剤の安定性及び油性薬効成分の安定性との関係について試験した。結果を表1に示す。
【0053】
・基剤の安定性(50℃で1ヶ月放置)
◎:1ヶ月経時で分離はなく、流動性に変化が全くない
○:1ヶ月経時で分離はないが、若干粘度が上昇する
△:1ヶ月経時で若干分離する
×:1ヶ月経時で分離する
・油性薬効成分(レチノール)の安定性(50℃で2ヶ月放置)
◎:2ヶ月経時で95%以上残存
○:2ヶ月経時で80〜90%残存
△:2ヶ月経時で70〜80%残存
×:2ヶ月経時で70%以下残存
【0054】
Figure 2004284960
【0055】
(製法)
親水性非イオン界面活性剤を水溶性溶媒に添加し溶解する。これに油分を添加し、ホモミキサー処理により乳化を行う。これに、水及びその他の成分を添加する。
【0056】
油分として、メチルフェニルポリシロキサン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリンを用いた試験例1〜3、及びそれら油分を組合わせた試験例6〜7においては、基剤の安定性及び油性薬効成分の安定性が特に優れたものとなった。これに対し、これらの油分を配合しない試験例4〜5においては、これらが劣る結果となった。
よって、本発明の皮膚外用剤においては、油分として、メチルフェニルポリシロキサン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリンから選ばれる1種又は2種以上を使用することが好ましいことが確認された。
【0057】
油分の配合量の検討
本発明の皮膚外用剤において、好適な油分の配合量を検討するため、油分の配合量と、基剤の安定性及びシート状基材への含侵性の関係について試験した。結果を表2に示す。
・基材の経時安定性
○:1ヶ月経時で分離が全くない
△:1ヶ月経時で若干分離が認められる
×:1ヶ月経時で明らかに分離が認められる
・含侵性
◎:基材にとても含浸させやすく、垂れ落ちも全くない
○:基材に含浸させやすく、垂れ落ちもほとんどない
△:やや垂れ落ちがあるか、または基材にやや含浸させにくい
×:基材に含浸させにくい
【0058】
Figure 2004284960
【0059】
油分の配合量が3〜40質量%である試験例9〜13においては、経時安定性、粘度の点で優れており、なかでも10〜20質量%である試験例10〜12においては特に優れたものとなった。これに対し油分の配合量が3質量%未満である試験例8においては、経時安定性は良好だが、粘度が低くなりすぎ、垂れ落ちが起き、50質量%を超える試験例14、15においては、分離が起こる傾向にあり、粘度も高くなりすぎ、基材に含浸させにくい結果となった。以上より、油分の配合量は3〜40質量%、特に10〜20質量%であることが好適であることがわかった。
【0060】
従来の皮膚外用剤との比較
1.含侵性、基剤の経時安定性、油性薬効成分の安定性の比較
本発明の皮膚外用剤と、従来の乳液状皮膚外用剤において、シート状基材への含侵性、基剤の経時安定性、油性薬効成分の安定性を比較する。結果を表3に示す。
【0061】
・含浸性
コットン100%、目付40g/mの不織布25cmの中央にスポイトを用いて乳液を2g滴下し、10分後の状態を観察した。
○:乳液が不織布全体に行き渡る。
△:不織布の総面積の10〜20%が乾燥している。
×:不織布の総面積の20%以上が乾燥している。
・基剤の安定性
◎:1ヶ月経時で分離はなく、流動性がある
○:1ヶ月経時で分離はないが、粘度が高い
△:1ヶ月経時で若干分離する
×:1ヶ月経時で分離する
・油性薬効成分(レチノール)の安定性
◎:2ヶ月経時で95%以上残存
○:2ヶ月経時で80〜90%残存
△:2ヶ月経時で70〜80%残存
×:2ヶ月経時で70%以下残存
【0062】
Figure 2004284960
【0063】
実施例1〜4の製法
親水性非イオン界面活性剤を水溶性溶媒に添加し溶解する。これに油分を添加し、ホモミキサー処理により乳化を行う。これに水及びその他の成分を添加する。
比較例1〜4の製法
親水性非イオン界面活性剤、水溶性溶媒及びその他の成分を水に溶解する。これに油分を添加し、加熱後ホモミキサー処理により乳化し、その後冷却を行う。
【0064】
実施例1〜4の製法による水中油型乳化組成物は、流動性が高く、経時でも分離がなく、乳化組成物を不織布全体に均一に含浸させることができる。更に、油性薬効成分も安定な状態を維持できる。
一方、比較例1〜4の従来の製法によるものは、増粘剤を配合しないと経時で分離してしまい、増粘剤を配合したものは経時で分離等なないものの、粘度の関係から、不織布への均一な含浸は困難である。
更に、実施例4と比較例4の比較では、乳化粒子径の違いからか、実施例4の方がよりレチノールは安定していた。また、分離してしまう比較例1、3はレチノールを安定に維持できていなかった。
【0065】
2.油性薬効成分の浸透性の比較
次に、本発明のシート状皮膚外用剤(実施例4)と、従来の乳液状皮膚外用剤(比較例4)において、油性薬効成分の浸透性について以下の試験を行った。
【0066】
(試験方法)
シリコンを主成分とした皮膚透過特性に類似した人工膜を用いて、実施例4の水中油型乳化組成物0.05gをコットン100%、目付40g/mの不織布25cmに含浸させたシート状皮膚外用剤を10分間貼付する。
シート剥離後、残液を馴染ませ、1時間放置後、セル内のレチノール量を測定し、レチノールの累積透過量を試験した(図1)。
同様に、比較例4の乳液状皮膚外用剤0.05gを上記シート面積と同じ25cmに範囲に塗布し、1時間放置後、セル内のレチノール量を測定し、レチノールの累積透過量を試験した。
【0067】
結果を図2に示す。
本発明のシート状皮膚外用剤の方が、従来の乳液状皮膚外用剤と比較して、同濃度では累積透過量が多い結果となった。
以上より、本発明のシート状皮膚外用剤は、従来の乳液状皮膚外用剤と比較して油性薬効成分の浸透性が高いことが確認された。さらに、本発明のシート状皮膚外用剤の貼付時間は10分程度で十分であることがわかった。
【0068】
3.使用性・肌実感度の比較
本発明のシート状皮膚外用剤(実施例4)と、従来の乳液状皮膚外用剤(比較例4)の使用性を、しわの気になる30〜50代の女性パネラー45人により評価した。
なお、本発明のシート状皮膚外用剤は週3回、従来の乳液状皮膚外用剤は毎日、それぞれ2週間使用した。結果を図3に示す。
図3からわかるように、本発明のシート状皮膚外用剤は、シートの貼りやすさ、フィット感が優れている上、従来の乳液状皮膚外用剤と比較して、使用感が良い結果となった。
【0069】
さらに、本発明のシート状皮膚外用剤(実施例4)と、従来の乳液状皮膚外用剤(比較例4)の2週間使用後の肌実感度を1〜5の5段階評価した。結果を図4に示す。
図4からわかるように、本発明のシート状皮膚外用剤の方が、従来の乳液状皮膚外用剤と比較して、肌実感度が良い結果となった。
【0070】
本発明のシート状皮膚外用剤は、従来の乳液状皮膚外用剤と比較して、低粘度であるため、油性薬効成分の浸透性が高い。さらにシート状基材に含浸させることにより、油性薬効成分の皮膚への放出が容易になり、皮膚吸収量が増加するため、有効性がより発揮される。
【0071】
実施例5 シート状皮膚外用剤
(1)レチノール 0.05
(2)酢酸トコフェロール 0.1
(3)グチリルレチン酸ステアリル 0.1
(4)スクワラン 0.1
(5)テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール10.0
(6)メチルフェニルポリシロキサン 10.0
(7)POE(60)硬化ヒマシ油 0.5
(8)グリセリン 5.0
(9)1,3−ブチレングリコール 5.0
(10)ジプロピレングリコール 5.0
(11)カルボキシビニルポリマー 0.1
(12)キサンタンガム 0.05
(13)ジブチルヒドロキシトルエン 0.05
(14)EDTA−3Na 0.02
(15)水酸化カリウム 0.02
(16)メチルパラベン 適量
(17)フェノキシエタノール 適量
(18)エタノール 3.0
(19)イオン交換水 残量
(製法) (7)を(8)〜(10)に添加し溶解する。これに(1)〜(6)を添加し、ホモミキサー処理により乳化を行う。これに(11)〜(19)を混合した溶液を添加し、水中油型乳化組成物を得る。これをコットン製不織布に含浸させ、PET製トレイに装填し、PET製フィルムでできた包装体にアルゴンガスと共に密封包装する。
【0072】
実施例6 シート状皮膚外用剤
(1)レチノールパルミテート 0.1
(2)酢酸トコフェロール 0.1
(3)油溶性甘草エキス 0.1
(4)スクワラン 0.1
(5)トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン 10.0
(6)メチルフェニルポリシロキサン 5.0
(7)POE(60)硬化ヒマシ油 0.5
(8)グリセリン 8.0
(9)1,3−ブチレングリコール 5.0
(10)キシリトール 2.0
(11)アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.2
(12)キサンタンガム 0.05
(13)ジブチルヒドロキシトルエン 0.05
(14)EDTA−3Na 0.02
(15)水酸化カリウム 0.02
(16)メチルパラベン 適量
(17)フェノキシエタノール 適量
(18)エタノール 2.0
(19)イオン交換水 残量
(製法) (7)を(8)〜(10)に添加し溶解する。これに(1)〜(6)を添加し、ホモミキサー処理により乳化を行う。これに(11)〜(19)を混合した溶液を添加し、水中油型乳化組成物を得る。これをコットン製不織布に含浸させる。
【0073】
なお、実施例5、6において水中油型乳化組成物は、粘度が低く経時安定性に優れたものであった。さらに、コットン製不織布に十分量含浸させることができた。そして、これらのシート状皮膚外用剤は、油性薬効成分の効果を十分に発揮でき、使用感のよいものであった。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、特定の方法で水中油型乳化組成物を製造することにより、低粘度で、経時安定性が良く、べたつき感がない水中油型乳化組成物が得られ、該組成物をシート状基材に含浸させることにより、油性薬効成分の効果を十分に発揮しながらも、使用感のよいシート状皮膚外用剤を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシート状皮膚外用剤と従来の乳液状皮膚外用剤における油性薬効成分透過量の試験方法を示した図である。
【図2】本発明のシート状皮膚外用剤と従来の乳液状皮膚外用剤における油性薬効成分透過量を比較したグラフである。
【図3】本発明にかかるシート状皮膚外用剤と、従来の乳液状皮膚外用剤との使用性の比較図である。
【図4】本発明にかかるシート状皮膚外用剤と、従来の乳液状皮膚外用剤との肌実感度の比較図である。

Claims (7)

  1. (1)油性薬効成分の1種又は2種以上、及び
    メチルフェニルポリシロキサン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリンからなる群より選択される1種又は2種以上を含む油分と、
    (3)親水性非イオン界面活性剤と、
    (4)水溶性溶媒と、
    (5)水と、
    を含む水中油型乳化組成物をシート状基材に含侵させることを特徴とするシート状皮膚外用剤。
  2. 請求項1に記載の皮膚外用剤において、油性薬効成分がレチノール及び/又はその誘導体であることを特徴とするシート状皮膚外用剤。
  3. 請求項1又は2に記載の皮膚外用剤において、油分の配合量が水中油型乳化組成物の3〜40質量%であることを特徴とするシート状皮膚外用剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚外用剤において、水中油型乳化組成物の粘度が1〜3000mPa・sであることを特徴とするシート状皮膚外用剤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚外用剤において、ポリエチレンテレフタレート製包装体又はポリエチレンテレフタレートで内面をコートした包装体に、アルゴンガス及び/又は窒素ガスと共に密封装填された形態であることを特徴とするシート状皮膚外用剤。
  6. 下記(A)〜(C)工程を含むことを特徴とするシート状皮膚外用剤の製造方法。
    (A)親水性非イオン界面活性剤を水溶性溶媒中に添加し、これに油分を添加して乳化を行う工程。
    (B)(A)工程後、前記乳化組成物に水を添加し、水中油型乳化組成物とする工程。
    (C)シート状基材に該水中油型乳化組成物を含侵させる工程。
  7. 請求項6に記載の製造方法において、全工程を5〜40℃にて行うことを特徴とするシート状皮膚外用剤の製造方法。
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