JP2004284874A - 衝撃吸収部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】防弾性等の衝撃吸収性に優れた衝撃吸収部材を提供する。
【解決手段】セラミックスからなる長尺状の芯材2と、芯材2の外周を被覆し芯材2とは異なる組成の被覆層3とからなる複合繊維体4を複数本シート状に集束したシート状集束体5して複数枚積層した複合構造体6を衝撃吸収部材1として用いる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、衝撃吸収部材に関し、特に軽量、高硬度、高強度なセラミックスを具備し、かつ衝撃吸収性に優れた複合構造体からなる衝撃吸収部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
拳銃と違って、ライフルや小銃は弾丸の貫通力が格段に高いため、従来の様な高強度繊維を補強材としたFRPでは、通常の構成では耐弾できない。そのためFRPの表面に金属を積層したり、金属単体としたり、あるいは金属に代えて板状セラミックスをFRPの表面に貼り合わせた構造の耐弾板が用いられてきた。
【0003】
しかしながら、金属では比重が大きくライフル弾を耐弾させるための性能を得ようとすると重量の面で重くなり、例えば個人装具となる防弾チョッキに応用する場合には着用者にとって極めて負荷の大きいものであった。そこで、例えば、特許文献1では、より軽量で耐弾効率のよい超高強度繊維を補強材としたFRPの着弾側に小さなセラミックスタイルを隙間なく敷き詰めた防弾部材が提案され、また同文献では割れやすいタイルの接合部分、すなわちタイルの角部の厚みを厚くして補強することが提案されている。
【0004】
一方、特許文献2には第1のセラミックスからなる長尺状の芯材の外周に第2のセラミックスからなる被覆層を配した複合繊維体を複数本集束してロッド状とした複合構造体が記載され、セラミックスの突発的な破壊を防止できることが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−326861号公報
【特許文献2】
米国特許第5645781号明細書
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1のセラミックタイルを並べた防弾部材では接合部分が強化されて入るものの、全体としてセラミックタイル自体の極めて割れやすい性質は改善されず、一度着弾した部分は壊れてしまうので防弾性が不完全であったり、または着弾する以前の取り扱いによって割れてしまう恐れがあり、しかも部分的に厚みが異なるために構造部材として性能や取り扱いに不具合をきたす場合があった。また、この割れやすいという問題は防弾部材に限らず、ヘルメットや装甲板等の他の衝撃吸収部材にも言えることであった。
【0007】
さらに、特許文献2に記載された複合構造体の形状はロッド状のみであり、衝撃吸収部材へ応用する際の具体的な構造については一切示唆されていなかった。
【0008】
本発明は、上記課題に対し、軽量、高硬度、高強度なセラミックスを具備し、かつその破壊靭性を大幅に改善して防弾性等の衝撃吸収性に優れた衝撃吸収部材を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、硬度、強度および軽重量のセラミックスからなる長尺状芯材の外周を被覆層にて被覆した複合繊維体を集束した複合構造体を、前記複合繊維体を複数本シート状に集束してシート状集束体とし、このシート状集束体を複数枚積層した構造とすることにより、軽量で割れにくく衝撃吸収性に優れた衝撃吸収部材となることを特徴とする。
【0010】
すなわち、本発明の衝撃吸収部材は、セラミックスからなる長尺状の芯材と、該芯材の外周を被覆し芯材とは異なる組成の被覆層とからなる複合繊維体を複数本シート状に集束したシート状集束体として複数枚積層した複合構造体からなることを特徴とするものである。
【0011】
ここで、隣接する前記シート状の集束体中の複合繊維体同士が異なる向きとなるように積層した構造からなること、衝撃を受ける面が前記複合繊維体の長手方向となるように配置されていることが衝撃吸収効率を高める点で望ましい。
【0012】
また、前記芯材をなすセラミックスが窒化ケイ素質セラミックスからなるとともに、前記被覆層が窒化ホウ素質セラミックスからなることが、比強度(重量に対する強度)の点で望ましい。
【0013】
さらに、上記衝撃吸収部材としては、特に付加装甲として使用した場合、優れた性能が発揮できるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の衝撃吸収部材について、その模式図である図1および複合繊維体の構成を説明するための模式図である図2を基に説明する。
【0015】
図1、2によれば、衝撃吸収部材1(1a〜1c)は、セラミックスからなる長尺状の芯材2と、芯材2の外周を被覆し芯材とは異なる組成の被覆層3とからなる複合繊維体4(4a、4b)を複数本シート状に集束したシート状集束体5にして複数枚積層した複合構造体6(6a〜6c)からなるものであり、かかる構成によって、軽量、高硬度、高強度であり、かつ割れにくく衝撃吸収性に優れた衝撃吸収部材1(1a〜1c)となる。
【0016】
本発明によれば、衝撃吸収部材1をなす複合構造体6中のシート状集束体5の積層枚数は用途により形状や要求特性が異なることから一概には言えないが、例えば、防弾チョッキの場合には20枚以上、特に30〜100枚であることが重量、衝撃吸収性を両立させる点で望ましい。
【0017】
また、図1のように、衝撃を受ける面7が複合繊維体4の長手方向(繊維方向)となるように配置されていることが衝撃吸収効率を高める点で望ましい。
【0018】
ここで、本発明によれば、図1(a)〜(c)のうち、(a)以外の(b)(c)に示すように、隣接するシート状集束体5中の複合繊維体4同士が特に30°以上ずれた異なる向きとなるように積層した構造とすることにより、構造体中に伝播する衝撃およびクラックの進展方向を変えることができて衝撃吸収性を高めることができる。
【0019】
なお、シート状集束体5中に存在する複合繊維体4はランダムな配列、織布状に編み込んだものであってもよいが、シート状集束体5の密度や厚み等を均一化するためには一方向に配列させた構造からなることが望ましい。
【0020】
また、複合構造体6(6a〜6c)は平板状であってもよいが、用途によっては曲率を持った湾曲形状のものが必要な場合もある。また、四角形や六角形等の所定形状に小さくカットしたシート状集束体5を複数枚横に並べることもでき、この場合には図3に示すように、1層目のつなぎ目と2層目のつなぎ目とがずれるようにして積層することが望ましい。なお、シート状集束体5を横に隙間なく並べるには、六角形形状のシート状集束体5を最密充填する方法、四角形形状のシート状集束体5を格子状または千鳥状に配列する方法が、好ましく採用される。また、この横に並べる場合には、シート状集束体5,5間を隙間なく敷き詰めることが望ましいが、実際の作業面では、いくら精密に行っても隙間を皆無にすることは実質上困難であり、好ましくは0mm〜0.2mm、より好ましくは0mm〜0.1mm程度の隙間であれば性能上問題なく使用可能である。
【0021】
さらに、シート状集束体5の1枚の大きさは、1cm〜400cm、特に9cm〜225cmであるのが、作業性および製造の容易性の点で望ましい。
【0022】
図2(a)(b)は、本発明において用いられている複合繊維体4(4a、4b)の概略斜視図である。(a)の複合繊維体4aは、芯材2とこの芯材2の外周を被覆し芯材2とは異なる組成の材料からなる被覆層3とからなるシングルタイプの繊維体である。また、(b)の複合繊維体4bは、(a)のシングルタイプの繊維体4aの集合体を伸延したものでマルチタイプの繊維体である。本発明によれば、複合構造体6はこのような(a)または(b)の複合繊維体4(4a、4b)を集束した構造体によって形成されている。望ましくは、(b)のマルチタイプの複合繊維体4bを用いることが衝撃吸収性に優れる。
【0023】
また、芯材2をなすセラミックスとしては、アルミナ質セラミックス、炭化ホウ素質セラミックス、炭化珪素質セラミックス、ジルコニア質セラミックス、窒化ケイ素質セラミックス、窒化アルミニウム質セラミックス、窒化ホウ素質セラミックス、硼化チタン質セラミックスおよびダイヤモンド、さらには上記セラミックスと補強繊維が混在したものが挙げられる。
【0024】
一方、芯材2の外周を覆う被覆層3の材質としては、芯材2とは異なる材質のセラミックスを用いる。また、上記芯材2以外の材質として、超硬合金やサーメット、または、鉄、コバルト、ニッケルおよびチタンなどの金属も単独で使用可能である。
【0025】
さらに、芯材2−被覆層3の組み合わせは、例えば窒化ケイ素−窒化ホウ素、窒化ケイ素−炭化ケイ素、窒化ケイ素−アルミナ、(アルミナ、ジルコニア)−窒化ケイ素、窒化ケイ素−超硬合金、窒化ケイ素−サーメット、(アルミナ、炭窒化チタン)−窒化ケイ素、(アルミナ、ジルコニア)−(アルミナ、炭窒化チタン)、(アルミナ、炭窒化チタン)−(アルミナ、ジルコニア)、アルミナ−ニッケルの群から選ばれる1種が特に好適に使用可能であるが、特に比強度の点で、芯材2をなすセラミックスが窒化ケイ素質セラミックスからなるとともに、被覆層3が窒化ホウ素質セラミックスからなることが望ましい。
【0026】
一方、芯材2をなす焼結体の結晶粒子の平均粒径は、複合繊維体4(4a、4b)の硬度および強度向上の点、および芯材2と被覆層3中の結合材(結合金属、焼結助剤)の含有量を適正化する点で0.05〜10μm、特に0.1〜3μmであることが望ましく、他方、被覆層3をなす結晶粒子の平均粒径は、複合繊維体4の靭性向上の点で、0.01〜5μm、特に0.01〜2μmであることが望ましい。
【0027】
なお、複合構造体6の寸法は要求される重量、衝撃吸収力等で変わるものであるが、芯材2の直径が5〜300μm、被覆層3を含めた複合繊維体4の1本の直径が6〜500μm、シート状集束体5の厚みが0.05〜2.5mm、複合構造体6の厚みが0.5mm〜5mmであることが望ましい。
【0028】
また、上記シート状集束体5を用いて防弾板やヘルメット等を作製する際には、被衝撃吸収面側に上記複合構造体6を配置してその裏面に高強度繊維やプラスチックを密着配置することが衝撃吸収性能を向上させるとともに衝撃により破損したセラミックスが飛散して破片による2次災害を防止させるために望ましい。
【0029】
かかる構成の防弾板を作るためには、それら相互を接着させる必要があり、かかる接着剤としては、柔軟性のある弾性接着剤が好ましく用いられる。
【0030】
かかる衝撃吸収部材1は、防弾板、防弾チョッキ、防刃チョッキ、防弾防刃チョッキ、楯、ヘルメット等のボディ用付加装甲、車両用の付加装甲、軍事用車両の付加装甲用などの付加装甲に好適に使用されるものである。
【0031】
(製造方法)
次に、本発明の切削工具の製造方法について説明する。まず、本発明において用いられる複合繊維体の製造方法について説明する。図4は、図2の複合繊維体4(4a、4b)の製造方法を説明するための工程図である。
【0032】
(工程(A))
<芯材用成形体の成形工程>
まず、繊維状の芯材用成形体12の周囲に、芯材用成形体12とは異なる組成からなる表皮材用成形体13が被覆された複合繊維成形体14を作製する工程(A)について、その好適な一例である図4の工程図を基に説明する。
【0033】
初めに、芯材2を形成するための上述した所定の原料粉末、例えば、平均粒径が0.05〜3μmの前記セラミック粒子90〜99質量%、好ましくは95〜99質量%と、平均粒径が0.1〜5μm程度の焼結助剤粉末1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%との割合からなる原料を調合し、必要に応じて、さらにこの混合物に焼結助剤成分粉末、有機バインダ、可塑剤、溶剤、分散剤、滑剤等を添加して混練した後、得られた混合物をプレス成形または鋳込み成形等の成形法により円柱形状に成形して芯材用成形体12を作製する(図4(a1)参照)。
【0034】
ここで、後述する共押出成形によって成形性良く、均質な複合成形体を所望の太さで得るためには、前記有機バインダの添加量を30〜70体積%、特に40〜60体積%とするのが望ましく、また、有機バインダとともに可塑剤、溶剤、分散剤および滑剤の少なくとも1種、特に2種以上を添加することが望ましい。
【0035】
有機バインダ、可塑剤としては、パラフィンワックス、セルロース、ポリスチレン、ポリエチレン、エチレン‐エチルアクリレート(エチレン−エチルアクリレートコポリマー)、エチレン‐ビニルアセテート(エチレン酢酸ビニル−コポリマー)、ポリブチルメタクリレート、ポリエチレングリコール、ジブチルフタレート等を使用することができる。溶剤、分散剤および滑剤としてはメトキシポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、ミネラルオイル、ブチルオリエート、ステアリン酸等を使用することができる。
<表皮材用成形体の成形工程>
また、表皮材用成形体13を、芯材用成形体12と同様に調合、混合し、必要に応じて、さらにこの混合物に上記した焼結助剤成分粉末、有機バインダ、可塑剤、溶剤等を添加し、得られた混合物をプレス成形または鋳込み成形等の成形法により半割円筒形状に成形して2つの表皮材用成形体13、13を作製する(図4(a2)参照)。
【0036】
その後、上記のようにして得られた芯材用成形体12の外周面を表皮材用成形体13、13によって覆うように配置して複合成形体14を作製する(図4(a3)参照)。
(共押出成形工程)
ついで、図4(a4)に示すように、押出機100を用いて、上記複合成形体14を押出成形(芯材用成形体12と表皮材用成形体13、13を同時に押出す共押出成形)することによって、芯材用成形体12の周囲に表皮材用成形体13が被覆され、細い径に伸延された複合繊維成形体15を作製する。このとき、複合繊維成形体15の断面は、押出機100の出口形状を変えることによって、円形の他、三角形、四角形、五角形、六角形、楕円形等の任意形状に成形することもできる。
【0037】
なお、上記共押出成形において、複合成形体14の最大径Dと共押出成形後の複合繊維成形体15の最大径Dとの比率D/Dは、0.01〜0.2が適当である。
【0038】
また、本発明によれば、前述のようにして作製した複合繊維成形体15を束ねた集束繊維体:16、およびいわゆるマルチフィラメント構造を有するマルチフィラメント繊維成形体17を形成することもできる。その場合、複合繊維成形体15間に上記バインダなどの接着材を介在させて、さらに、この集束した収束繊維体16にCIPなどによって圧力を印加するものであってもよいが、必要に応じ、図4(a5)に示すように、複合繊維成形体15を複数本集束した収束繊維体16を細い径に伸延したマルチフィラメント繊維体17とすることもできる。
この方法によれば、成形体中の複合成形体14同士のより強固な密着性を得ることもできる。
【0039】
なお、図4においては芯材用成形体12と表皮材用成形体13とを共押出成形により複合成形体14を作製する方法について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、繊維状の芯材用成形体12を作製した後、塗布、引き上げ・浸漬、スプレー、蒸着または溶射等によりこの芯材用成形体12の外周面に表皮材となる物質を被着形成する方法であってもよい。また、上記共押出成形法により複合成形体14を作製すれば、簡便な工程、安価な装置で大量の複合焼結体を製造できるとともに、芯材用成形体12および表皮材用成形体13とも高密度でサイズ制御も容易にできるという優位性がある。
【0040】
(工程(B))
次に、図5に示すように、シングルフィラメント状の複合繊維成形体15、またはマルチフィラメント状のマルチフィラメント繊維成形体17を平面方向に複数本配列して熱圧着機101にて熱圧着しシート状成形体18を作製する。この方法によれば、成形体中の有機物成分の含有量を増すことなく複合繊維成形体15、15同士の密着力を高め、取り扱いによっても複合繊維成形体15、15同士の配列状態がずれることなく、均一に整列した複合繊維成形体15からなるシート状成形体18を作製することができて複合構造体6の特性を均一にできるとともに、取り扱いが容易となるために配列工程にかかる時間を短縮できる。
【0041】
ここで、上記熱圧着工程において、温度80〜200℃、特に120〜160℃、圧力0.1kPa〜20MPa、特に1〜10kPa、時間2〜20秒、特に3〜10秒の条件で熱圧着することが複合繊維成形体15、15同士の密着性を高めることができるとともに、複合繊維成形体15の構成(芯材成形体12の外周面に確実に表皮材成形体13が存在する構成)および整列状態を保持し複合繊維成形体15の断面形状の変形を抑制する点で望ましい。
【0042】
なお、熱圧着工程においては、配列した複合繊維成形体15、15の上下面を覆うように離型紙103を配設することが望ましい。また、離型紙103と複合繊維成形体15との間には適度の粘着力を有する粘着剤(図示せず)を塗布しておくことが複合繊維成形体15、15の配列状態を均一に保てる点で望ましい。
【0043】
また、前記(B)工程において、複合繊維成形体15の配列方法としては、ランダムな配列または織物のように編み込んだ配列であってもよいが、図5に示すように、複数本の複合繊維成形体15、15を隙間なく並列に配列することによって、より均一な複合繊維成形体15を集束したシート状成形体18を作製できる。
【0044】
さらに、図6に示すように、並列に配列した複合繊維成形体15、15を複数段積層する構成として熱圧着して、2層以上積層されたシート状成形体18を一気に作製することにより複合繊維成形体15、15同士の密着性がより向上し、取り扱いがより容易になる。ここで、上記並列に配列した複合繊維成形体15の望ましい積層数は、シート状積層成形体19の強度向上、前記離型紙103による複合繊維成形体15の固定が容易な点で2段とすることが望ましい。また、このとき、シート状成形体18を複数段積層する配置としては、図1に示すように、▲1▼1段目のシート状成形体18の複合繊維成形体15と2段目のシート状成形体18の複合繊維成形体15とが直交するように積層する方法、▲2▼1段目のシート状成形体18の複合繊維成形体15と2段目のシート状成形体18の複合繊維成形体15とが並行(並列)するように積層する方法、▲3▼1段目のシート状成形体18の複合繊維成形体15と2段目のシート状成形体18の複合繊維成形体15とが所定の角度α(例えば45°)またはランダムな角度をなすように積層する方法が挙げられる。
【0045】
さらに、複数本の複合繊維成形体15、15を並列に配列するには、図6に示すように、押出し成形された複合繊維成形体15を糸道105等を経由させて巻き取り機のロール状のドラム104表面に隙間を開けず巻き取ることによって複合繊維成形体15をドラム104表面に並列に整列させることができ、その後、このドラム104表面に巻き取られた複合繊維成形体15をドラム104の断面方向Lでカットすることによって、容易に形成可能である。この時、ドラム104表面に予め離型紙103を巻いておけばドラム104から整列した複合繊維成形体15の整列状態を維持したまま取り外しすることが可能である。
【0046】
さらに、前記(B)工程において、一旦熱圧着したシート状成形体18をさらに複数枚積層することによって、作製できるシート状積層成形体19の構成の自由度が増し、より多様な構成の複合構造体を作製することができる。その場合、図7(b2)に示すように、シート状成形体18、18を積層して再度熱圧着しても良く、または図7(b3)に示すように、シート状成形体18やシート状積層成形体19をロール106によって圧延することもできる。
【0047】
上記のようにして得られたシート状成形体18、またはこれを積層したシート状積層成形体19は、図8に示すように、さらに所定形状の金型107内に積層・充填してさらにプレス成形等により所定形状とすることもでき、シート状成形体18同士を積層して冷間静水圧プレス(CIP)成形により所定形状とすることも可能である。さらには、上記所定形状に集束された成形体を断面方向にスライスして従来の超硬合金等の硬質焼結体の表面に貼り合わせ、または接合することも可能である。
(工程(C))
ついで、上記シート状成形体18、もしくはシート状成形体18をさらに積層して圧延したシート状積層成形体19を300〜700℃で10〜200時間昇温または保持して脱バインダ処理した後、真空中または不活性雰囲気中において、使用する材質に応じた所定温度および所定時間で焼成することにより、図1に示すような複合構造体6(6a、6b)を作製することができる。
【0048】
特に、芯材1をAl、Al−TiC(TiCN)、SiまたはSiCのいずれかと焼結助剤とする場合にはArまたはN雰囲気中で1500〜2000℃で0.5〜2時間程度焼成することが望ましい。
【0049】
【実施例】
実施例1
平均粒径0.6μmのSi粉末88質量%と、平均粒径0.5μmのY粉末9質量%と、平均粒径0.5μmのAl粉末3質量%の割合で添加し、これに有機バインダ(エチレン酢酸ビニル−コポリマーとエチレン−エチルアクリレートコポリマー)40体積%と滑材(ポリエチレングリコール)10体積%の割合で添加して混合物を得た。この混合物を芯部材については直径が20mmの円柱形状に押出成形して図4(a1)に示すような芯材用成形体12を作製した。
【0050】
一方、平均粒径5μmのBN粉末に、上記同様の有機バインダを加えて混練し、図4(a2)に示すような厚みが1mmの半割円筒形状の表皮部材用成形体13:2つを押出成形にて作製し、図4(a3)に示すように芯材用成形体12の外周を覆うように配置して複合成形体14を作製した。
【0051】
ついで、この複合成形体14を共押出成形して、図4(a4)に示すような伸延された直径が1mmの複合繊維成形体15を作製した。この時、複合繊維成形体15は、図6に示すように、表面に離型紙103を配設した長さ80cm×直径30cmのドラム表面に複合繊維成形体15間の隙間が0.1mm以下となるように複合繊維成形体15を並列に配列させながら巻き取った。なお、離型紙103表面には複合繊維成形体15の付着および剥離がともに支障ない適度な接着力を有するスプレー状の接着剤を塗布しておき、複合繊維成形体15の配列がずれないように固定した。
【0052】
そして、この並列に配列した複合繊維成形体15を離型紙103に貼り付けたシートを2枚作製し、これら2枚のシートを複合繊維成形体15,15同士が互いに接触するように向き合うように、かつ1枚目のシートの複合繊維成形体15と2枚目の複合繊維成形体15とが直交する(繊維体同士の方向が90°ずれる)ように積層して、熱圧着機101にて温度140℃、圧力0.05kg/cm(4.9kPa)、時間5秒の条件で圧着した。
【0053】
熱圧着後、離型紙103は容易にはがすことができ、保形性および取り扱い性の良いシート状積層成形体19が得られた。そして、このシート状積層成形体19:50枚を隣接するシート状成形体18内の複合繊維成形体15,15同士が直交する(90°の角度となる)ように断面が10cm×10cmの空間部を有する金型107内に積層して直方体形状のシート状積層成形体19を作製した(図7参照)。
【0054】
その後、このシート状積層成形体19をカーボン型に入れて、100〜700℃まで70時間で昇温することによって脱バインダ処理を行った後、昇温速度10℃/分で昇温し、N雰囲気中、1780℃で1時間ホットプレスにて焼成することによって、100mm×100mm×厚み5mmの板状の複合構造体6を作製した。
【0055】
複合構造体6の断面を観察したところ、芯材2の直径は200μm、表皮材3の厚みは5μmであり、芯材2と表皮材3との間に剥離等は見られなかった。また、幅3mm×厚み2.5mm×長さ(スパン)10mmの試験片形状に切り出し、前記テストピースの形状以外はJISR1601に準じて3点曲げ強度を測定したところ500MPaであった。またさらに、上記強度測定の試験片の引っ張り面中央部に幅0.1mm、深さ1mmの切り込み(スリット)をつけて3点曲げ試験を行い、この時の荷重−変位曲線で囲まれた面積を破断部の断面積1.5mm(厚み:2.5mm−切り込み:1mm)×幅3mmで除すことによって破壊エネルギー(Work of Fracture)を測定したところ1500J/mであった。
【0056】
さらに、振り子式衝撃試験機を用いて衝撃値を測定した。試験片形状は幅3mm×厚み2.5mm、スパン10mmとし、持ち上げ角は150°、振り子容量は60kg−cmとした。持ち上げ角150°より振り子を振り下ろし振上げ角度x°より衝撃値を計算したところ、衝撃値は200kN/mであり、衝撃吸収体として有用であることがわかった。
【0057】
実施例2
実施例1の表皮部材用原料を、平均粒径0.3μmのSiC粉末90重量%、平均粒径1.5μmのY粉末8重量%、平均粒径0.5μmのAl粉末2重量%の割合からなる混合粉末に換え、焼成温度を1800℃に換える以外は実施例1と同様にして複合構造体を作製した。
【0058】
実施例1と同様に評価したところ複合構造体の3点曲げ強度を測定した結果、700MPa、破壊エネルギー(WOF)は1700J/m、衝撃値は210kN/mであった。
【0059】
比較例
実施例1の芯材組成で焼結体を作製した後、実施例1と同様に評価したところ、複合部材の3点曲げ強度は600MPa、破壊エネルギー(WOF)は1000J/m、衝撃値≒0kN/mであり、衝撃吸収力が低いものであることがわかった。
【0060】
【発明の効果】
以上、詳述したとおり、本発明によれば、硬度、強度および軽重量のセラミックスからなる長尺状の芯材と、該芯材の外周を被覆し芯材とは異なる組成の被覆層とからなる複合繊維体を複数本シート状に集束したシート状集束体として複数枚積層した複合構造体からなることから、軽量で割れにくく衝撃吸収性に優れた衝撃吸収部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の衝撃吸収部材をなす複合構造体の概略斜視図である。
【図2】本発明の衝撃吸収部材中に含有される複合繊維体の構成を説明するための概略斜視図である。
【図3】本発明の衝撃吸収部材について、シート状積層体の積層方法の一例を説明するための分解斜視図である。
【図4】本発明の衝撃吸収部材について複合繊維体の製造工程を説明するための工程図(a1〜a5)である。
【図5】本発明の衝撃吸収部材についてシート状集束体の製造工程を説明するための図(b−1)斜視図、(b−2)断面図である。
【図6】本発明の衝撃吸収部材について積層されたシート状集束体の製造工程を説明するための図である。
【図7】本発明の衝撃吸収部材についてシート状集束体の製造工程における複合繊維体の配列方法の一例を説明するための図である。
【図8】本発明の衝撃吸収部材の製造方法について積層されたシート状集束体の製造工程を説明するための図である。
【符号の説明】
1 衝撃吸収部材
2 芯材
3 被覆層
4 複合繊維体
5 シート状集束体
6 複合構造体
12 芯材用成形体
13 表皮材用成形体
14 複合成形体
15 複合繊維体(シングルフィラメント状)
16 集束した繊維体
17 マルチフィラメント繊維体
18 シート状成形体
19 シート状積層成形体
100 押出機
101 熱圧着機
103 離型紙
104 巻き取り機のドラム
105 糸道
106 ロール
107 金型

Claims (5)

  1. セラミックスからなる長尺状の芯材と、該芯材の外周を被覆し芯材とは異なる組成の被覆層とからなる複合繊維体を複数本シート状に集束したシート状集束体として複数枚積層した複合構造体からなることを特徴とする衝撃吸収部材。
  2. 隣接する前記シート状集束体中の複合繊維体同士が異なる向きとなるように積層した構造からなることを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収部材。
  3. 衝撃を受ける面が前記複合繊維体の長手方向となるように配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の衝撃吸収部材。
  4. 前記芯材をなすセラミックスが窒化ケイ素質セラミックスからなるとともに、前記被覆層が窒化ホウ素質セラミックスからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の衝撃吸収部材。
  5. 付加装甲として用いられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の衝撃吸収部材。
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RU2721925C1 (ru) * 2019-09-30 2020-05-25 Закрытое акционерное общество "Научно-производственное объединение специальных материалов" (ЗАО "НПО СМ") Антитравматический пакет

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