JP2004284290A - インクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧電能動部42は、高密度にマトリックス状に配置することができる形状となっている。つまり、ノズル10を高密度に多数配置することができる。更に、圧電能動42は、圧力室と略同一形状の駆動部のアスペクト比が1に近い形状であり、且つ、電気パット部との接続部42Dはくびれているため、駆動部の電歪作用によるたわみ変形を妨げにくい。従って、高い単位面積当たりの駆動効率を得ることができ、良好で安定した圧電特性を得ることができる。つまり、圧電能動部42の形状は、高密度にマトリックス状に配置することができ、且つ、良好で安定した圧電特性を得られる形状となっている。従って、良好で安定した画像形成が高速に行えるインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置となる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録ヘッドの圧電素子の形状に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録装置はインクジェット記録ヘッドを主走査方向に往復させ、同時に記録紙等を主走査方向に移送させながら、複数のノズルから選択的にインク滴を吐出させることで記録紙等に文字や画像を印刷する。インクジェット記録ヘッドには圧電素子の電歪作用を用いて、インクが充填された圧力室を加圧することで、圧力室に連通するノズルからインク滴を吐出する方法が知られている。
【0003】
さて、近年、インクジェット記録装置は高速化の傾向が強まっている。このためインクジェット記録ヘッドのノズル数を増やし、より短時間で広い領域に画像形成できるようにしている。(例えば、特許文献1参照)
しかし、単にノズル数を増やすとインクジェット記録ヘッド全体のサイズが増大し、このためインクジェット記録ヘッドの製造コストも増大する。従って、インクジェット記録ヘッドの増大を招かないでノズル数を増加させる為に、高密度にノズルを配置することが重要となる。
【0004】
高密度にノズルを多数配置するためには、圧力室の面積を小さくしたい。しかし、圧力室の面積を小さくすると、それに伴い圧電素子の面積が小さくなるため、圧電素子のたわみ変位量が小さくなる。このため駆動効率が低下し、良好で安定した圧電特性が得ることができない。
【0005】
従って、圧電素子の面積が小さくても良好で安定した圧電特性が得ることができる圧力室の形状が検討されている。(例えば、特許文献2参照)
【0006】
【特許文献1】
特開2001−334661公報
【特許文献2】
特開2002−248765公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の圧電素子の形状(例えば、四角形状、円形状、三角形状、等)では、良好で安定した圧電特性が得られる圧電素子を高密度に配置することができず、ノズルを高密度に多数配置するには限界があった。
【0008】
本発明は、上記課題に対して成されたもので、良好で安定した圧電特性を得られるともに、圧電素子を高密度に配置することができる形状とすることで、更にノズルを高密度に多数配置することを目的とする。
【0009】
また、このことにより、大型化することなく、短時間で広い領域に画像形成できるインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、圧電プレートに一定幅の溝部を形成することによってマトリックス状に配置された複数の同形状の圧電能動部と複数の残存ダミー部とが形成され、前記圧電能動部の電歪作用によって圧力室内のインクを加圧してインク滴をノズルから吐出させるインクジェット記録ヘッドにおいて、前記圧電能動部の形状が、2本の対角線の長さの比が1に近く、前記圧力室に相当する領域に納まり、前記圧力室と略同一形状の菱形形状と、前記菱形形状の前記2本の対角線の長い方の対角線の長さと略同じ長さの半径の略4分の1円の扇形状とが、前記菱形形状の中心部と前記扇形状の頂点部とが一致するように、且つ前記扇形状部の円弧の中心部が前記菱形形状の長い方の対角線の延長線上に交わるように組み合わさり、前記扇形状の円弧の両端部が凹んでいる凹み部を有する形状であることを特徴としている。
【0011】
請求項1に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、圧電能動部の形状が2本の対角線の長さの比が1に近く、圧力室に相当する領域に納まり、圧力室と略同一形状の菱形形状と、菱形形状の2本の対角線の長い方の対角線の長さと略同じ長さの半径の略4分の1円の扇形状とが、菱形形状の中心部と扇形状の頂点部とが一致するように、且つ扇形状部の円弧の中心部が菱形形状の長い方の対角線の延長線上に交わるように組み合わさり、扇形状の円弧の両端部が凹んでいる凹み部を有する形状をしている。
【0012】
従って、扇形状の凹み部に合わせて菱形形状部分を配置することで、圧電能動部を高密度にマトリックス状に配置できる。つまり、ノズルを高密度に多数配置できる。
【0013】
また、菱形形状部分は略同一形状の圧力室内のインクを加圧する駆動部となり、菱形形状部分を除いた扇形状部分は電気接続を行う電気パット部となる。圧電能動部は、菱形形状部分の2本の対角線の比、つまりアスペクト比が1に近く、且つ、菱形形状部分と扇形状部分との接続部分がくびれているので、特開2002−248765公報に記載されているように、良好で安定した圧電特性を得られる。
【0014】
従って、良好で安定した圧電特性を得られるともにノズルを高密度にマトリックス状に多数配置することができるので、大型化することなく、短時間で広い領域に画像形成できるインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、請求項1に記載の構成において、前記圧電プレートに前記一定幅の溝部をサンドブラスト加工により形成することによって、複数の同形状の前記圧電能動部と複数の前記残存ダミー部とが形成されることを特徴としている。
【0016】
請求項2に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、圧電プレートに一定幅の溝部をサンドブラスト加工によって容易に短時間で精密に複雑な形状の圧電能動部と複数の残存ダミー部とを形成することができる。また、形成された圧電能動部によって請求項1と同様の作用を奏す。
【0017】
請求項3に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、請求項2に記載の構成において、前記圧電能動部の側方加工形状が曲率半径0.5μmから40μmであることを特徴としている。
【0018】
請求項3に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、請求項2と同様の作用を奏すが、圧電能動部の側方加工形状が曲率半径0.5μmから40μmであるので、マトリックス状に配置された各圧電能動部毎の静電容量のばらつきが少ない。従って、良好で安定した、ばらつきの少ない圧電特性の圧電能動部を得ることができる。
【0019】
尚、圧電プレートをサンドブラスト加工する際、ブラスト砥粒が圧電プレートの側面に対しても衝突する為、圧電プレートの厚さ方向に対する加工(垂直加工)の進行と平行して、圧電プレートの幅方向への加工も進行する。この事を本明細書では側方加工と言い、この側方加工により形成される形状を側方加工形状と言う。
【0020】
請求項4に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、請求項2又は請求項3に記載の構成において、前記圧電プレートの厚み方向に対して45°から−45°であることを特徴としている。
【0021】
請求項4に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、請求項2又は請求項3と同様の作用を奏すが、圧電能動部の側方加工形状が圧電プレートの厚み方向に対して45°から−45°であるので、マトリックス状に配置された各圧電能動部毎の静電容量のばらつきが少ない。従って、良好で安定した、ばらつきの少ない圧電特性の圧電能動部を得ることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、圧電プレートにサンドブラスト加工によって一定幅の溝部を形成することによって、マトリックス状に配置された複数の同形状の圧電能動部と複数の残存ダミー部とが形成され、前記圧電能動部の電歪作用によって圧力室内のインクを加圧してインク滴をノズルから吐出させるインクジェット記録ヘッドにおいて、前記残存ダミー部の最小幅部が、0.1mmから0.2mmの範囲であることを特徴としている。
【0023】
請求項5に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、残存ダミー部の最小幅部が、0.1mmから0.2mmの範囲であるので、サンドブラスト加工中に残存ダミーが破損しにくい。従って、圧電能動部の側方加工が増幅し、圧電特性に影響が出るような形状になることを防止できる。
【0024】
すなわち、側方加工の加工速度は、圧電プレートに形成する溝部の幅に依存する。つまり、溝部の幅が大きいほど、ブラスト粒子が圧電プレートの側面に衝突しやすくなるため、側方加工の加工速度が大きくなる。従って、サンドブラスト加工中に残存ダミーが破損すると、その影響で圧電能動部の側方加工が増幅し、圧電能動部の形状が変化する。圧電能動部の形状の変化は、圧電特性に影響を及ぼす。
【0025】
しかしながら、本発明の残存ダミー部は、最小幅部が0.1mmから0.2mmの範囲であるので、サンドブラスト加工中に残存ダミーが破損しにくい。従って、圧電能動部の側方加工が増幅し、圧電特性に影響が出るような形状になることを防止できる。
【0026】
請求項6に記載の発明に係るインクジェット記録ヘッドは、前記圧電能動部の形状が請求項1乃至は請求項4に記載の形状であり、前記残存ダミー部の形状が請求項5に記載の形状であることを特徴としている。
【0027】
請求項6に記載のインクジェット記録ヘッドによれば、圧電能動部の形状が請求項1乃至は請求項4に記載の形状であり、残存ダミー部の形状が請求項5に記載の形状であるので、請求項1乃至は請求項5と同様の作用を奏している。
【0028】
すなわち、良好で安定した、ばらつきの少ない圧電特性の圧電能動部をサンドブラスト加工によって容易に得ることができ、また、サンドブラスト加工中に残存ダミーが破損しにくいので、圧電能動部の側方加工が増幅し、圧電特性に影響が出るような形状になることが防止される。
【0029】
請求項7に記載の発明に係るインクジェット記録装置は、請求項1乃至は請求項6に記載のインクジェット記録ヘッドを使用することを特徴としている。
【0030】
請求項7に記載のインクジェット記録装置によれば、請求項1乃至は請求項6に記載のインクジェット記録ヘッドを使用しているので、安定した良好な画像形成が高速に行えるインクジェット記録装置を提供できる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を図1〜図4に基づき説明する。
【0032】
図1及び図2に示すように本実施の形態のインクジェット記録ヘッド112は、マトリックス状に複数開けられたインク滴を吐出するノズル10、インクを加圧して連通するノズル10からインク滴を吐出する圧力室14、図示しないインク供給部材からインクが供給される共通インク室20を備えている。そして、ノズル10と圧力室14とを連通するノズル連通室12、共通インク室20の開口部18と圧力室14とを連通するインク供給路16を備えている。また、圧力室14の上面には振動板30が接着され、振動板30の上面には圧電能動部42と残存ダミー部44とが接着されている。更に圧電能動部42の上にはボール半田34を介して電気基板36が接合されている。
【0033】
圧電能動部42及び残存ダミー部44は、後述する圧電プレート72に一定幅の溝部40を形成することによって形作られる。
【0034】
圧電能動部42は、その形状が、四隅が円弧で構成され2本の対角線の長さの比が1に近い菱形形状と、菱形形状の前記2本の対角線の長い方の対角線の長さと略同じ長さの半径の略4分の1円の扇形状とが、菱形形状の中心部と扇形状の頂点部とが一致するように、且つ扇形状の円弧の中心部が菱形形状の長い方の対角線上と交わるように組み合わさり、扇形状は、その円弧の両端部が凹んでいる凹み部42Cを有する形状をしている。
【0035】
この圧電能動部42の菱形形状の部分を菱形形状部42A、菱形形状部42A以外の扇形状の部分を扇形状部42Bとする。また、菱形形状部42Aは、圧力室14に相当する領域に収まり、また圧力室14と略同一形状である。この菱形形状部42Aは電歪作用によって圧力室14内のインクを加圧する駆動部となる。また、扇形状部42Bは電気接続を行う電気パット部となりボール半田34を介して電気基板36が接合する。
【0036】
圧電能動部42は、図3に示すように、扇形状部42Bの凹み部42Cに合わせて菱形形状部42Aを配置することで、高密度にマトリックス状に配置することができる。つまり、ノズル10を高密度に多数配置することができる。
【0037】
更に、圧電能動42は、菱形形状部42Aの2本の対角線の比が1に近い形状、つまり、駆動部のアスペクト比が1に近い形状であり、且つ、電気パット部となる扇形状部42Bとの接続部42Dはくびれているため、駆動部となる菱形形状部42Bの電歪作用によるたわみ変形を妨げにくい。従って、特開2002−248765公報に記載されているように、高い単位面積当たりの駆動効率を得ることができる。換言すると良好で安定した圧電特性を得ることができる。
【0038】
つまり、圧電能動部42の形状は、高密度にマトリックス状に配置することができ、且つ、良好で安定した圧電特性を得られる形状となっている。尚、この圧電能動部42の形状は本出願人が試行錯誤を繰り返した結果、得られた形状である。
【0039】
また、残存ダミー部44は、最小幅部が0.1mmから0.2mmになるように形成されている。最小幅部とは、略平行となる辺と辺、或いは曲線部分の接線との幅の最小幅を意味する。本実施の形態の場合であれば、図4に示すD1やD2が、これに該当する。尚、D1は0.15mm、D2は0.12mmであり、いずれも0.1mmから0.2mmの範囲内に有る。
【0040】
次に本実施の形態のインクジェット記録ヘッド112の製造方法について図5を用いて説明する。
【0041】
ノズル10が形成されるノズルプレート21と、ノズル連通室12と共通インク室20とを形成するインクプールプレート22、インクプールプレート23と、共通インク室20の開口部18とノズル連通室12とを形成するスループレート24と、インク供給路16が形成されたインク供給路プレート26と、圧力室14が形成された圧力室プレート28と、を順番に積層し接合する。(図5(A))
次にノズルプレート21の表面に撥水コート膜を被覆すると共に、エキシマレーザ50にてノズル10を開ける。(図5(B))
そして、ノズル10を形成後に圧力室プレート28に振動板30を接着する。(図5(C))
尚、ノズルプレート21の材質はポリイミドであり、インクプールプレート22、インクプールプレート23、スループレート24、インク供給路プレート26、圧力室プレート28、振動板30の材質はSUSである。また、これら、ノズルプレート21、インクプールプレート22、インクプールプレート23、スループレート24、インク供給路プレート26、圧力室プレート28、振動板30が接着されたものを、以後、流路プレートユニット60と言う。
【0042】
次に別途、圧電能動部42と残存ダミー部44と後述する固定基板70からなる圧電ユニット62を作成する。
【0043】
圧電ユニット62の作成は、先ず後述する圧電プレート72と固定基板70とを接着剤を介して接着する。接着には、剥離可能な接着剤、例えば接着後に所定の温度で加熱されると、発泡して接着力が大幅に低下する性質を有する熱発泡性接着フィルムを用いる。接着固定後、後述するサンドブラスト加工を用いて、圧電プレート72に一定幅の溝部40を形成することで、マトリックス状に配列された圧電能動部42と残存ダミー部44とが形成された圧電ユニット62が作成される。
【0044】
この圧電ユニット62の固定基板70が接着された逆の面を、前述した接着接合しておいた流路プレートユニット60の振動板30と接着する(図5(D))。尚、接着の際の位置合わせは、流路プレートユニット60に予め形成されているマーク(図示せず)と固定基板70に予め開けられているマーカ孔(図示せず)とを、例えば光学顕微鏡などを用いて合わせることで高精度に接合できる。
【0045】
また、圧電プレート72の両面には、電極層として第1及び第2電極層がスパッタリングなどで予め形成されており、共通電極として兼用する振動板30と接着剤で接着することで、第一電極層、すなわち圧電能動部42と振動板30とは電気的にも接続される。
【0046】
続いて、固定基板70を加熱して熱発泡性接着フィルムの接着力を低減させ、固定基板70を剥離する。(図5(E))
剥離後、各圧電能動部42毎にボール半田34を形成し、その上に電気基板36を接合する。(図5(F))。
【0047】
尚、前述したように圧電プレート72の両面には第1及び第2電極層が形成されているので、第2電極層、すなわち圧電能動部42と電気基板36とは電気的に接続されている。また、電気基板36と振動板30とは図示しない接点にて接続されている。
【0048】
最後に図示しないインク供給部材等を取り付けることにより、本実施の形態のインクジェット記録ヘッド112が完成する。
【0049】
このように完成したインクジェット記録ヘッド112に、図1(B)の矢印Yのように、インク供給部材から導入されたインクが、共通インク室20、インク供給路16、圧力室14、ノズル連通室12に充填される。インクが充填された状態で、例えばボール半田34から振動板30へと通電することで圧電能動部42が歪み、振動板30を介して圧力室14内のインクが加圧され、ノズル10からインク滴が吐出する。
【0050】
さて、本実施の形態では、圧電プレート72への圧電能動部42と残存ダミー部44との形成、つまり圧電プレート72への一定幅の溝部40の形成に際し、サンドブラスト加工を用いることにより、このような複雑な圧電能動部42と残存ダミー部44の形状の製造を可能にしている。そこで、サンドブラスト加工について以下に説明する。
【0051】
図6に示すように、まず圧電材料ブロック(図示せず)にラップ加工を施し、圧電プレート72を作成する。圧電プレートの厚さは、圧電能動部42に必要な、たわみ変形量や駆動電圧を基に決められる。本実施の形態では35μmとしている。この圧電プレート72に対し、その両面に電極層となる電極膜をスパッタリング等で形成する。尚、本実施の形態では、電極膜材料としてクロム、ニッケル、金を用いている。続いて、熱発泡性接着フィルムを介し、スパッタリング済みの圧電プレート72を固定基板70に仮固定する。この固定基板70には、流路プレートユニット60との接合位置合わせを行うためのマーカ孔(図示せず)が開けられている。
【0052】
仮固定した圧電プレート72の上に、感光性を有するフィルムレジスト76を貼り付ける。本実施の形態では、厚さ50μmのウレタン系フィルムレジストを使用した。その後、圧電能動部42及び残存ダミー部44として残す部分にのみ紫外線(UV)が透過するパターンを有する露光マスク78を別途作成し、上記のフィルムレジスト76に貼り付ける。露光マスク78は、固定基板70のマーカ孔を基準にしてパターニングされている。この露光マスク78を介してフィルムレジスト76で被覆した圧電プレート72へUV照射を行い、その後エッチング84を行う。エッチング84の液には、UV照射された部分を除去せず、かつ、それ以外の部分を確実に除去できる特性を有するもの、例えば、炭酸ナトリウム水溶液を用いる。
【0053】
以上のプロセスによって、圧電能動部42及び残存ダミー部44にのみフィルムレジスト76が被覆され、それ以外の部分はフィルムレジスト76が除去される。つまり、除去された部分が一定幅の溝部40となる。続いて、サンドブラスト加工を行う。サンドブラスト加工では、圧電プレート72のフィルムレジスト76が除去されて露出した部分(溝部40)は確実に研削除去され、かつ、フィルムレジスト76が残った部分(圧電能動部42と残存ダミー部44)には研削が行われないような条件下で行う。
【0054】
一般にサンドブラスト加工では、ブラスト砥粒が圧電プレート72の側面に対しても衝突する為、圧電プレート72の厚さ方向に対する加工(垂直加工)の進行と平行して、圧電プレート72の幅方向への加工も進行する。この側方加工の加工速度は、圧電プレート72に形成する溝部40の幅に依存する。つまり、溝部40の幅が大きいほど、ブラスト砥粒が圧電プレート72の側面に衝突しやすくなるため、側方加工の加工速度が大きくなる。
【0055】
しかし、本実施の形態では、溝幅40は一定幅であるのでサイドエッチング量が同一となる。このため圧電能動部42は均一な寸法とすることができ、高精度の加工が可能となる。
【0056】
また、サンドブラスト加工中に残存ダミー44が破損すると、その影響で圧電能動部44の側方加工が増幅し圧電能動部44の形状が変化する。圧電能動部44の形状の変化は、圧電特性に影響をおよぼす。
【0057】
しかしながら、本実施の形態の残存ダミー部44は、最小幅部が0.1mmから0.2mmの範囲であるので、サンドブラスト加工中に残存ダミー44が破損しにくい。このため圧電能動部42の側方加工が増幅し圧電特性に影響が出るような形状になることを防止できる。
【0058】
更に、この側方加工により形成される圧電能動部42の側方加工形状は圧電特性に影響する。従って、本実施の形態では、その形状を以下のような形状にし、良好な圧電特性を得られるようにしている。
【0059】
すなわち、図7に示すように、曲率半径Rを0.5μmから40μm、垂直方向(厚み方向)に対する角度θが45°から−45°になるように加工されている。尚、曲率半径Rが40μm以上、角度θが45°以上である場合、圧電能動部の体積が大きすぎ、静電容量が大きくなる。また、尚且つ、ばらつきも大きくなる。このため安定した圧電特性とならず、駆動効率がばらつく。
【0060】
尚、本出願人の実験では、Rが40μm以内、角度θが45°以内であると、各圧電能動部の駆動効率のばらつきは±5%以内にすることができると言う結果を得ている。また、角度θが−45°以下に側方加工が進行すると、圧電能動部の体積が小さくなりすぎ、場合によっては、やはり十分な駆動効率を得ることができない。
【0061】
そしてサンドブラスト加工後、圧電プレート72の表面に残ったフィルムレジスト76を除去し洗浄を施す。
【0062】
尚、このように上部のフィルムレジスト76を除去し、前述したように固定基板70と逆の面、すなわち、このフィルムレジスト76を除去した面が振動板30に貼りつけられる。従って、図7に示す側方加工形状は、インクジェット記録ヘッド112に組みつけられたときは、図8に示すようにサンドブラスト加工時の側方加工形状とは上下逆になる。
【0063】
以上の工程により、固定基板70の上に熱発泡性接着フィルムで貼り付けられ、両面に電極膜を有する圧電能動部42と残存ダミー部44を有する圧電ユニット62が得られる。
【0064】
このようにサンドブラスト加工によれば、本実施の形態のような複雑な形状の圧電能動部42及び残存ダミー部44であっても、簡易的かつ短時間で精密に加工を行うことができ、また、そのため低コスト化することができる。
【0065】
次に本実施の形態のインクジェット記録ヘッド112の作用を説明する。
【0066】
図9は、本実施の形態のインクジェット記録ヘッド112を備えたインクジェット記録装置102である。
【0067】
インクジェット記録装置102はインクジェット記録ヘッド112を搭載するキャリッジ104、キャリッジ104を主走査方向Mに走査する為の主走査機構106、記録媒体としての記録紙Pを副走査方向Sに走査する為の副走査機構108、及びメンテナンスステーション110等を含んで構成されている。
【0068】
インクジェット記録ヘッド112は、ノズル10が形成されたノズルプレート21(図1及び図2参照)が記録用紙Pと対向するようにキャリッジ104上に搭載されており、主走査機構106によって主走査方向Mに移動されながら記録用紙Pに対してインク滴を吐出することにより、一定のバンド領域BEに対して画像の記録を行う。主走査方向への1回の移動が終了すると、副走査機構108によって記録用紙Pが副走査方向Sに搬送され、再びキャリッジ104を主走査方向Mに移動させながら次のバンド領域BEを記録する。こうした動作を複数回繰り返すことにより、記録用紙Pの全面にわたって画像記録を行うことができる。
【0069】
本実施の形態のインクジェット記録ヘッド112は、圧電能動部42を高密度にマトリックス状に配置することができる形状であるので、インクジェット記録ヘッド112には高密度に多数のノズル10を備えている。
【0070】
従って、キャリッジ104の主走査方向Mの一回の移動で、広いバンド領域BEに画像が形成できる。つまり、少ないキャリッジ104の移動回数で記録用紙Pの全面にわたって画像記録を行うことができるので、高速に印字できる。
【0071】
また、圧電能動部42の形状は、良好で安定した、ばらつきの少ない圧電特性を得られる形状となっているので、良好で安定した画像がえられる。
【0072】
従って、良好で安定した画像形成が高速に行えるインクジェット記録装置102となっている。
【0073】
尚、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではない。
【0074】
例えば、上記実施の形態では、インクジェット記録ヘッド112をキャリッジ104によって搬送しながら記録を行ったが、これに限定されるものではない。例えば、ノズルを記録媒体の全般にわたって配置したインクジェット記録ヘッドを用い、インクジェット記録ヘッドは固定して、記録媒体のみを搬送しながら記録を行っても良い。
【0075】
また、例えば、上記の製造方法に限定されない。圧電能動部42及び残存ダミー部44が、上記実施の形態の形状であれば、その他の製造方法でも可能である。例えば、振動板の上に圧電プレートを接着した状態でサンドブラスト加工を行い、振動板上に直接圧電ユニットを形成することも可能である。
【0076】
また、本明細書におけるインクジェット記録とは、記録紙上への文字や画像の記録に限定されるものではない。すなわち、記録媒体は紙に限定されるものでなく、また吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば、高分子フィルムやガラス上にインクを吐出してディスプレイ用カラーフィルターを作成したり、溶接状態の半田を基板上に吐出して部品実装用のバンプを形成したりするなど、工業用的に用いられる液滴噴射装置全般に対して本発明を利用することが可能である。
【0077】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によれば、良好で安定した圧電特性を得られるともに、圧電能動部を高密度にマトリックス状に配置にすることができる形状とすることで、ノズルを高密度に多数配置することを実現する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態のインクジェット記録ヘッドを示す断面斜視図である。尚、(B)図は、(A)図のX部の拡大図である。
【図2】本実施の形態のインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。尚、(B)図は、(A)図のA−A断面の図を表す。
【図3】本実施の形態のインクジェット記録ヘッドの圧電能動部及び残存ダミー部がマトリックス状に配置された状態を表す図である。
【図4】本実施の形態のインクジェット記録ヘッドの圧電能動部、残存ダミー部、溝部を表す図3の拡大図である。
【図5】本実施の形態のインクジェット記録ヘッドの製造工程を模式的に表す工程図である。
【図6】本実施の形態のインクジェット記録ヘッドの圧電プレートへのサンドブラスト加工の工程を模式的に表す工程図である。
【図7】本実施の形態のインクジェット記録ヘッドの側方加工形状を示す断面図である。
【図8】本実施の形態のインクジェット記録ヘッドの側方加工形状を示し、流路ユニットに接着された状態を示す断面図である。
【図9】本実施の形態のインクジェット記録ヘッドを使用したインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 ノズル
14 圧力室
40 溝部
42 圧電能動部
42C 凹み部
44 残存ダミー部
72 圧電プレート
102 インクジェット記録装置
112 インクジェット記録ヘッド
Claims (7)
- 圧電プレートに一定幅の溝部を形成することによってマトリックス状に配置された複数の同形状の圧電能動部と複数の残存ダミー部とが形成され、前記圧電能動部の電歪作用によって圧力室内のインクを加圧してインク滴をノズルから吐出させるインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記圧電能動部の形状が、2本の対角線の長さの比が1に近く前記圧力室に相当する領域に納まり前記圧力室と略同一形状の菱形形状と、前記菱形形状の前記2本の対角線の長い方の対角線の長さと略同じ長さの半径の略4分の1円の扇形状とが、前記菱形形状の中心部と前記扇形状の頂点部とが一致するように、且つ前記扇形状部の円弧の中心部が前記菱形形状の長い方の対角線の延長線上に交わるように組み合わさり、前記扇形状の円弧の両端部が凹んでいる凹み部を有する形状であることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。 - 前記圧電プレートに前記一定幅の溝部をサンドブラスト加工により形成することによって、マトリックス状に配置された複数の同形状の前記圧電能動部と複数の前記残存ダミー部とが形成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記圧電能動部の側方加工形状が、曲率半径0.5μmから40μmであることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 前記圧電能動部の側方加工形状が、前記圧電プレートの厚み方向に対して45°から−45°であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のインクジェット記録ヘッド。
- 圧電プレートにサンドブラスト加工によって一定幅の溝部を形成することによって、マトリックス状に配置された複数の同形状の圧電能動部と複数の残存ダミー部とが形成され、前記圧電能動部の電歪作用によって圧力室内のインクを加圧してインク滴をノズルから吐出させるインクジェット記録ヘッドにおいて、
前記残存ダミー部の最小幅部が、0.1mmから0.2mmの範囲であることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。 - 前記圧電能動部の形状が請求項1乃至は請求項4に記載の形状であり、前記残存ダミー部の形状が請求項5に記載の形状であることを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
- 請求項1乃至は請求項6に記載のインクジェット記録ヘッドを使用することを特徴とするインクジェット記録装置。
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