JP2004283749A - 反応装置 - Google Patents

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JP2004283749A JP2003080189A JP2003080189A JP2004283749A JP 2004283749 A JP2004283749 A JP 2004283749A JP 2003080189 A JP2003080189 A JP 2003080189A JP 2003080189 A JP2003080189 A JP 2003080189A JP 2004283749 A JP2004283749 A JP 2004283749A
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Hiroyuki Takeyama
啓之 竹山
Osamu Nakamura
修 中村
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Abstract

【課題】例えば、流体化された混合物質を微小な流路内に設けられた触媒による化学反応(触媒反応)により、所望の流体物質を生成する小型化学反応装置において、熱暴走を防止する。
【解決手段】第1〜第3基板1〜3はこの順で積層され、第1及び第2外装板4、5内に収容されている。両外装板4、5の内面にはAuからなる第1輻射伝搬抑制膜14及びYHx(xは2近傍)からなる第2輻射伝搬抑制膜15が設けられている。両外装板4、5の外面の所定の2箇所には熱暴走監視用の第1及び第2温度センサ18、19が設けられている。正常の動作では、第1及び第2輻射伝搬抑制膜14、15の輻射性能がほぼ同じであるため、両温度センサ18、19は両外装板4、5の外面の温度を検出する。熱暴走が発生した場合には、第2輻射伝搬抑制膜15のみを熱が透過するため、両温度センサ18、19による検出温度が異なり、これに基づいて、制御回路20は緊急停止信号を発する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は化学反応装置等の反応装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の化学反応装置には、反応チャンバ内にヒータが設けられものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特表2001−505819号公報(図2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、反応チャンバ内においてヒータの加熱により予め設定された温度で反応を引き起こすとき、何らかの理由により熱暴走が発生した場合には、危険である。例えば、発電用燃料を改質する燃料改質系とこの燃料改質系で改質された改質燃料ガスにより発電する燃料電池が小型化学反応装置として検討されている。このような小型化学反応装置を携帯機器に搭載した場合には、熱暴走から使用者を保護する必要がある。
そこで、この発明は、所定の温度で反応を引き起こす反応路内の温度を反応路外から検出可能とすることができる反応装置を提供することを目的とする。
また、この発明は、熱暴走を防止することができる反応装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、所定の温度で反応を引き起こす反応路と、前記反応路を加熱する熱源と、前記熱源の周囲の互いに異なる領域に配置され、所定の振動数の電磁波に対する反射率が互いに異なる第1及び第2輻射伝搬抑制膜とを備えていることを特徴とするものである。
そして、この請求項1に記載の発明によれば、反応路を加熱する熱源の周囲の互いに異なる領域に、所定の振動数の電磁波に対する反射率が互いに異なる第1及び第2輻射伝搬抑制膜を配置することにより、反応路内の温度を反応路外から検出可能とすることができる。
すなわち、請求項2に記載の発明の如く、第1輻射伝搬抑制膜の熱源と対向する側とは反対側に第1温度検出手段を設け、第2輻射伝搬抑制膜の熱源と対向する側とは反対側に第2温度検出手段を設けると、反応路内の温度を反応路外から検出することができる。
そして、請求項3に記載の発明の如く、第2温度検出手段で検出された温度が第1温度検出手段で検出された温度よりも予め設定された温度以上となったとき、装置を緊急停止する制御手段を備えると、熱暴走を防止することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の一実施形態としての小型化学反応装置の要部の斜視図を示したものである。この小型化学反応装置は、互いに積層(例えば陽極接合)された小型の第1〜第3基板1〜3を備えている。第1〜第3基板1〜3は、互いに接合された第1と第2外装板4、5からなる外装体内に収容されている。すなわち、第1及び第2外装板4、5の互いに対向する面には凹部6、7が形成され、これらの凹部6、7内には第1〜第3基板1〜3が収容されている。第1〜第3基板1〜3及び第1、第2外装板4、5の材料は一例として熱伝搬性に優れたガラスであるが、後述する流路が形成されている第2基板2は加工性に優れたシリコン、セラミック、金属(例えばアルミニウム)等であってもよい。
【0007】
第1外装板4の所定の2箇所には流入用細管8及び流出用細管9の各一端部が挿通される円孔10、11が設けられている。第1外装板4の所定の箇所には4本の丸棒状の電極12の各一端部が挿通される円孔13が設けられている。このうち、所定の2本の電極12は、後述する薄膜ヒータに接続されており、残りの2本の電極12は、後述する薄膜温度センサに接続されている。
【0008】
次に、図2は図1に示す小型化学反応装置を上から見た透過平面図を示し、図3は図2のA−A線に沿う断面図を示したものである。第1及び第2外装板4、5の凹部6、7の内壁面において、図1に示す円孔10、11、13に対応する領域を除く領域には、熱線反射率の高いAu、Ag、Al等の金属単体または単体で構成された合金からなる第1輻射伝搬抑制膜14及びYHx(xは2近傍)等の希土類水素化物からなる第2輻射伝搬抑制膜15が設けられている。
【0009】
第1及び第2外装板4、5の内面に設けられた第1及び第2輻射伝搬抑制膜14、15と第1〜第3基板1〜3との間には隙間16が設けられている。隙間16の所定の複数箇所には、この隙間16を保持するための耐圧スペーサ17が設けられている。隙間16は、第1〜第3基板1〜3で後述の如く発生する熱が第1及び第2外装板4、5を介して外部に放熱してしまうことを抑制するためのものであり、真空または低熱伝導率の気体(空気、炭酸ガス、不活性ガス等)が充満されている。第1及び第2輻射伝搬抑制膜14、15は、第1〜第3基板1〜3の最外面からの放熱を抑制するためのものであるが、第2輻射伝搬抑制膜15はそれ以外にも後述するような機能を有する。
【0010】
第1及び第2外装板4、5からなる外装体の外面の所定の2箇所には熱暴走監視用の熱電対等からなる第1及び第2温度センサ18、19が設けられている。ここで、第1及び第2外装板4、5の凹部6、7の内壁面において、第2輻射伝搬抑制膜15の配置領域は第2温度センサ19に対応する領域のみであり、その他の領域は第1輻射伝搬抑制膜14の配置領域である。その理由については後で説明する。また、第1温度センサ18は、第1輻射伝搬抑制膜14と対向する位置であればどこに設けてもよいが、その配線等を考慮すると、第2温度センサ19の近傍に設ける方が望ましい。
【0011】
第1温度センサ18は、第1輻射伝搬抑制膜14に対応する第1及び第2外装板4、5からなる外装体の外面の温度を検出し、その第1温度検出信号を制御回路20に供給するようになっている。第2温度センサ19は、第2輻射伝搬抑制膜15に対応する第1及び第2外装板4、5からなる外装体の外面の温度を検出し、その第2温度検出信号を制御回路20に供給するようになっている。そして、制御回路20は、これらの温度検出信号に基づいて、第1温度検出信号に応じた第1温度と第2温度検出信号に応じた第2温度との差を演算し、第2温度が第1温度よりも予め設定された温度以上となった場合には、つまり後述の如く熱暴走が発生した場合には、緊急停止信号を発するようになっている。
【0012】
第2基板2の第1基板1との対向面には、半導体製造技術で蓄積された微細加工技術を用いて、蛇行した微小な流路21が形成されている。流路21の幅及び深さは、一例として、共に500μm以下となっている。流路21内には触媒層22が設けられている。触媒層22は第2基板2の流路21の表面に被膜された多孔質膜(図示せず)に担持されている。流路21の一端部は、第1基板1に形成された円孔23内に挿入された流入用細管8の一端部に接続され、他端部は、第1基板1に形成された円孔24内に挿入された流出用細管9の一端部に接続されている。
【0013】
第2基板2の第3基板3との対向面にはTaSiOxやTaSiOxN等の抵抗体薄膜からなる蛇行した薄膜ヒータ25が形成されている。薄膜ヒータ25は、この小型化学反応装置における化学反応(触媒反応)が所定の熱条件による吸熱反応を伴うとき、化学反応時に流路21内の触媒層22に所定の熱エネルギーを供給するためのものであり、流路21内を常温から400℃程度までの範囲で任意の温度に加熱することができる。薄膜ヒータ25は、制御回路20から所定の2本の電極12等を介して供給される信号に応じて、適温に制御されるようになっている。この場合、蛇行した薄膜ヒータ25は、蛇行した流路21と平面的に一致させているが、一致しないようにしてもよい。また、薄膜ヒータ25は流路21全面を覆うようなべた状としてもよい。
【0014】
流路21の近傍には薄膜サーミスタや半導体薄膜熱電対等からなる薄膜温度センサ(図示せず)が設けられている。薄膜温度センサは、流路21内の温度を検出し、その温度検出信号を所定の2本の電極12等を介して制御回路20に供給するようになっている。そして、制御回路20は、この温度検出信号に基づいて、流路21内の温度が適温となるように、薄膜ヒータ25の発熱を制御するようになっている。高密度実装のために薄膜ヒータ25が加熱温度tに対し比較的線形な抵抗変化を示すのであれば、薄膜温度センサとして薄膜ヒータ25の抵抗r(t)を測定する少なくとも2つの端子を別途に設け、これらを電極12に接続させて制御回路20に抵抗r(t)から流路21内の温度を計測することができる。
【0015】
第3基板3の第2基板2との対向面中央部には座ぐり加工により凹部26が形成され、この凹部26内に薄膜ヒータ25が配置されている。第3基板3は、薄膜ヒータ25を保護するほかに、凹部26内の空間に熱伝導性の低い気体を封止することで薄膜ヒータ25の熱拡散を防止し、熱効率を良くするためのものである。また、凹部26内は、より断熱性能を高めるため、ほぼ真空又は低熱伝導率の気体(空気、炭酸ガス、不活性ガス等)としてもよい。
【0016】
次に、この発明に係る小型化学反応装置を燃料改質型の燃料電池を用いた燃料電池システムに適用した場合について説明する。図4は燃料電池システム31の一例の要部のブロック図を示したものである。この燃料電池システム31は、発電用燃料部32、燃料気化部33、改質部34、一酸化炭素除去部35、発電部36、充電部37等を備えている。
【0017】
発電用燃料部32は、発電用燃料(例えばメタノール水溶液)が封入された小型の発電用燃料貯蔵容器からなり、発電用燃料を燃料気化部33に供給する。
【0018】
燃料気化部33は、図1〜図3に示す小型化学反応装置と同様の構造となっている。ただし、この場合、流路21内には触媒層22は設けられていない。そして、燃料気化部33では、発電用燃料部32からの発電用燃料が流入用細管8を介して流路21の一端部に供給されると、流路21内において、薄膜ヒータ25の加熱(100〜180℃程度)により、発電用燃料を気化させ、この気化された発電用燃料ガス(例えば発電用燃料がメタノール水溶液の場合、CHOH+HO)を流出用細管9から流出させる。
【0019】
燃料気化部33で気化された発電用燃料ガス(CHOH+HO)は改質部34に供給される。この場合、改質部34も、図1〜図3に示すような構造となっている。ただし、この場合、触媒層22は、例えば、Cu、ZnO、Al等からなる改質触媒を含むものからなっている。そして、改質部34では、燃料気化部33からの発電用燃料ガス(CHOH+HO)が流入用細管8を介して流路21の一端部に供給されると、流路21内において、薄膜ヒータ25の加熱(200〜300℃程度)により、次の式(1)に示すような吸熱反応を引き起こし、水素と副生成物の二酸化炭素とを生成する。
CHOH+HO→3H+CO……(1)
【0020】
上記式(1)の左辺における水(HO)は、反応の初期では、発電用燃料部32の燃料に含まれているものでよいが、反応の中期以降では後述する発電部36の発電に伴い生成される水を回収して改質部34に供給するようにしてもよい。また、発電部36の発電中の上記式(1)の左辺のおける水(HO)の供給源は、発電部36のみでもよく、発電部36及び発電用燃料部32でも、また発電用燃料部32のみでもよい。なお、このとき微量ではあるが、一酸化炭素が改質部34内で生成されることがある。
【0021】
そして、上記式(1)の右辺の生成物(水素、二酸化炭素)及び微量の一酸化炭素は改質部34の流出用細管9から流出される。改質部34の流出用細管9から流出された生成物のうち、水素及び一酸化炭素は一酸化炭素除去部35に供給され、二酸化炭素は分離されて大気中に放出される。
【0022】
次に、一酸化炭素除去部35も、図1〜図3に示すような構造となっている。ただし、この場合、触媒層22は、例えば、Ru、Pt、Al等からなる選択酸化触媒を含むものからなっている。そして、一酸化炭素除去部35では、改質部34からの水素及び一酸化炭素が流入用細管8を介して流路21の一端部に供給されると、流路21内において、薄膜ヒータ25の加熱(120〜200℃程度)により、流路21内に供給された水素、一酸化炭素、水のうち、一酸化炭素と水とが反応し、次の式(2)に示すように、水素と副生成物の二酸化炭素とが生成される。
CO+HO→H+CO……(2)
【0023】
上記式(2)の左辺における水(HO)は、反応の初期では、発電用燃料部32の燃料に含まれているものでよいが、反応の中期以降では後述する発電部36の発電に伴い生成される水を回収して一酸化炭素除去部35に供給するようにしてもよい。また、発電部36の発電中の上記式(2)の左辺のおける水(HO)の供給源は、発電部36のみでもよく、発電部36及び発電用燃料部32でも、また発電用燃料部32のみでもよい。
【0024】
そして、最終的に一酸化炭素除去部35の流出用細管9に到達する流体はそのほとんどが水素、二酸化炭素(場合によって水、窒素を含む)となる。
【0025】
上記一連の反応後の生成物は水素及び二酸化炭素(場合によって水、窒素を含む)で構成されるが、これらの生成物のうち、二酸化炭素は発電部36に到達する前に水素から分離されて大気中に放出されるようにしてもよい。この場合、一酸化炭素除去部35から発電部36には高濃度の水素が供給される。
【0026】
次に、発電部36及び充電部37について説明する。発電部36は、図5に示すように、周知の固体高分子型の燃料電池からなっている。すなわち、発電部36は、Pt、C等の触媒が付着された炭素電極からなるカソード41と、Pt、Ru、C等の触媒が付着された炭素電極からなるアノード42と、カソード41とアノード42との間に介在されたフィルム状のイオン導電膜43と、を有して構成され、カソード41とアノード42との間に設けられた2次電池やコンデンサ等からなる充電部37に電力を供給するものである。
【0027】
この場合、カソード41の外側には空間部44が設けられている。この空間部44内には一酸化炭素除去部35からの水素が供給され、カソード41に水素が供給される。また、アノード42の外側には空間部45が設けられている。この空間部45内には大気中からマイクロポンプを介して取り込まれた酸素が供給され、アノード42酸素が供給される。
【0028】
そして、カソード41側では、次の式(3)に示すように、水素から電子(e)が分離した水素イオン(プロトン;H)が発生し、イオン導電膜43を介してアノード42側に通過するとともに、カソード41により電子(e)が取り出されて充電部37に供給される。
3H→6H+6e……(3)
【0029】
一方、アノード42側では、次の式(4)に示すように、充電部37を経由して供給された電子(e)とイオン導電膜43を通過した水素イオン(H)と酸素とが反応して副生成物の水が生成される。
6H+(3/2)O+6e→3HO……(4)
【0030】
以上のような一連の電気化学反応(式(3)及び式(4))は概ね室温〜80℃程度の比較的低温の環境下で進行し、電力以外の副生成物は、基本的に水のみとなる。発電部36で生成された電力は充電部37に供給され、これにより充電部37が充電される。
【0031】
発電部36で生成された副生成物としての水は回収されることが望ましい。この場合、上述の如く、発電部36で生成された水の少なくとも一部を改質部34や一酸化炭素除去部35に供給するようにすると、発電用燃料部32内に当初封入される水の量を減らすことができ、また回収される水の量を減らすことができる。
【0032】
ところで、現在、研究開発が行われている燃料改質方式の燃料電池に適用されている燃料としては、少なくとも、水素元素を含む液体燃料または液化燃料または気体燃料であって、発電部36により、比較的高いエネルギー変換効率で電気エネルギーを生成することができる燃料であればよく、上記のメタノールの他、例えば、エタノール、ブタノール等のアルコール系の液体燃料や、ジメチルエーテル、イソブタン、天然ガス(CNG)等の液化ガス等の常温常圧で気化される炭化水素からなる液体燃料、あるいは、水素ガス等の気体燃料等の流体物質を良好に適用することができる。
【0033】
ここで、図1〜図3に示す小型化学反応装置を第1〜第3基板1〜3のみで構成する場合には、そのサイズが小さく、表面積対体積比が大きくなるため、大気中に放熱される熱エネルギーが大きくなり、熱エネルギーの利用効率が悪くなる。そこで、上述の如く、第1〜第3基板1〜3を第1及び第2外装板4、5からなる外装体で覆い、その間に隙間16を設け、この隙間16を真空または低熱伝導率の気体(空気、炭酸ガス、不活性ガス等)を充満させると、大気中への放熱を抑制することができ、熱エネルギーの利用効率を良くすることができる。
【0034】
ところで、第1、第2外装板4、5の内面に第1、第2輻射伝搬抑制膜14、15を設けない場合において、小型化学反応装置をあるサイズとして、流路21内の温度を300℃まで上昇させるには、発生する輻射が熱として全て外部に逃げると仮定すると、消費電力は6W程度である。これに対し、第1、第2外装板4、5の内面にAuからなる第1輻射伝搬抑制膜14のみを設けた場合には、消費電力は1.2W程度とかなり低減することができ、熱エネルギーの利用効率をより一層良くすることができる。しかし、このままの状態では、何らかの理由により、例えば薄膜温度センサが故障して薄膜ヒータ25の発熱の制御が不能となり、熱暴走が発生した場合には、この暴走を検知して対処することができない。
【0035】
そこで、次に、上記燃料電池システム31の熱暴走防止について、代表として、改質部34の場合について説明する。まず、第1輻射伝搬抑制膜14はAu膜とし、第2輻射伝搬抑制膜15は希土類水素化物膜とする。ここで、希土類水素化物とは、希土類元素のうちのいずれか一の金属元素、詳細には、Y、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのうちのいずれか一の金属元素とHとの化合物である。ここでは、一例として、YHx(xは2近傍)膜を用いる。YHx膜の形成方法としては、一例として、不活性ガス雰囲気中でスパッタ法により第3基板3の内面にY膜を成膜し、次いでHを含む不活性ガス雰囲気中で加熱処理を行なうことにより、YHx膜を形成する方法がある。
【0036】
次に、改質部34の流路21内の設定温度を300℃とし、熱暴走検出温度を600℃とする。ところで、図6は黒体輻射の温度が300℃及び600℃の場合における振動数と輻射強度との関係を示したものである。図6において、黒四角は黒体輻射の温度が300℃である場合を示し、黒丸は黒体輻射の温度が600℃である場合を示す。なお、黒三角は黒体輻射の温度が1200℃である場合を示す。この場合、振動数とAu膜及びYHx膜に入射された電磁波の波長から換算されるエネルギーとは相関関係にある。
【0037】
図6から明らかなように、黒四角で示す黒体輻射の温度が300℃である場合には、輻射強度のピークは0.14eV近傍にあり、0.5eV以上では輻射はほとんど生じない。逆にいえば、0.5eV以下で反射率の高い材料は輻射伝搬抑制膜となる。一方、黒丸で示す黒体輻射の温度が600℃である場合には、輻射強度のピークは0.2eV近傍にあり、0.5eV以上でも輻射が生じる。このように、輻射強度の分布は、温度が増加すると、高エネルギー側にシフトし且つ全体的に大きくなる。
【0038】
次に、図7はAu膜及びYHx膜(x=1.82)の光学特性を示したものである。図7において、横軸はAu膜及びYHx膜に入射された電磁波の波長から換算されるエネルギーを示し、縦軸はAu膜及びYHx膜に入射された電磁波の反射率を示す。また、図7において、実線はAu膜の光学特性を示し、点線はYHx膜の光学特性を示す。
【0039】
図7から明らかなように、実線で示すAu膜の場合には、約2eVまで反射率がほぼ100%であり、それよりもエネルギーが大きくなるに従って反射率が減少する。そして、Au、Ag、Al等の通常の金属では、プラズマ端と呼ばれる反射率の極小値が紫外領域または可視光の青色領域にある。これに対し、点線で示すYHx膜の場合には、プラズマ端が約1.6eVの近赤外領域にあり、それよりもエネルギーが小さくなるに従って反射率が増加し、約0.5eV以下で反射率が90%以上で実線で示すAu膜とほぼ同じとなる。
【0040】
以上のことから、Au膜からなる第1輻射伝搬抑制膜14は、図7において実線で示すように、約2eVまで反射率がほぼ100%であるため、図6から明らかなように、温度が300℃、600℃のいずれであっても、第1、第2外装板4、5からの輻射に対して十分な伝搬抑制性能を有する。このため、第1、第2外装板4、5の内面にAuからなる第1輻射伝搬抑制膜14のみを設けた場合には、何らかの理由により、熱暴走が発生したとき、この熱暴走による熱輻射をほとんど第1輻射伝搬抑制膜14が反射してしまい、第1、第2外装板4、5にほとんど伝搬することがないので第1、第2外装板4、5の外側に設けられた温度センサでは、検出することはできない。
【0041】
一方、YHx膜からなる第2輻射伝搬抑制膜15は、図7において点線で示すように、約0.5eV以下で反射率が90%以上で実線で示すAu膜とほぼ同じであるため、図6から明らかなように、温度が300℃の場合には、第1、第2外装板4、5からの輻射に対して十分な伝搬抑制性能を有する。ところで、YHx膜からなる第2輻射伝搬抑制膜15は、図7において点線で示すように、エネルギーが約0.5eVよりも大きくなるに従って反射率が減少し、約1.6eVでプラズマ端となるため、図6から明らかなように、温度が600℃の場合には、輻射性能を発揮することになる。
【0042】
したがって、改質部34の流路21内の設定温度を300℃とし、正常に動作している場合には、第1及び第2輻射伝搬抑制膜14、15は共に十分な輻射伝搬抑制性能を有するため、第1及び第2温度センサ18、19は第1及び第2外装板4、5からなる外装体の外面の温度を検出し、その第1及び第2温度検出信号を制御回路20に供給する。この場合、第1輻射伝搬抑制膜14及び第2輻射伝搬抑制膜15の輻射伝搬特性にあまり差がないために、第1、第2温度検出信号が入力された制御回路20は、第1及び第2温度センサ18、19でそれぞれ検知した温度が互いに十分な差がなく、流路21内の温度が予め設定されたしきい値温度範囲を越えていないと判断し、正常な動作を続行することになる。
【0043】
一方、何らかの理由により熱暴走が発生し、改質部34の流路21内の温度が600℃のように設定温度より遙かに高くなった場合、第1輻射伝搬抑制膜14は第1、第2外装板4、5からの輻射に対して十分な伝搬抑制性能を有しているが、第2輻射伝搬抑制膜15は輻射性能を発揮することになる。したがって、第1輻射伝搬抑制膜14は、輻射伝搬特性に応じた高い反射率のために、輻射の伝搬を抑えるので第1温度センサ18は比較的低い温度を検知し、この温度にしたがって第1温度検出信号を制御回路20に出力する。一方、第2輻射伝搬抑制膜15は、高温輻射伝搬特性に応じた低い反射率のために、輻射の伝搬を十分抑えられないので、第2温度センサ19は比較的高い温度を検知し、この温度にしたがって第2温度検出信号を制御回路20に出力する。
【0044】
そして、制御回路20は、これらの温度検出信号に基づいて、第1温度検出信号に応じた第1温度と第2温度検出信号に応じた第2温度との差を演算し、第2温度から第1温度を差し引いた温度が予め設定されたしきい値温度を越えた場合には、熱暴走が発生したと判断し、緊急停止信号を発し、燃料電池システム31を緊急停止させる。
【0045】
ここで、第1及び第2外装板4、5の凹部6、7の内壁面において、第2輻射伝搬抑制膜15の配置領域を第2温度センサ19に対応する領域のみとし、その他の領域を第1輻射伝搬抑制膜14の配置領域とした理由については、正常な温度範囲内での動作では、YHx膜からなる第2輻射伝搬抑制膜15が、図7において点線で示すように、約0.5eV以下で反射率が90%以上で実線で示すAu膜とほぼ同じであるとは言え、実線で示すAu膜よりも反射率がやや劣るために、YHx膜からなる第2輻射伝搬抑制膜15の配置領域を必要最小限とし、Au膜からなる第1輻射伝搬抑制膜14の配置領域をなるべく大きくして、正常な動作時の輻射伝搬抑制効果を大きくするためである。
【0046】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、反応路を加熱する熱源の周囲の互いに異なる領域に、所定の振動数の電磁波に対する反射率が互いに異なる第1及び第2輻射伝搬抑制膜を配置することにより、反応路内の温度を反応路外から検出可能とすることができる。
すなわち、請求項2に記載の発明の如く、第1輻射伝搬抑制膜の熱源と対向する側とは反対側に第1温度検出手段を設け、第2輻射伝搬抑制膜の熱源と対向する側とは反対側に第2温度検出手段を設けると、反応路内の温度を反応路外から検出することができる。
そして、請求項3に記載の発明の如く、第2温度検出手段で検出された温度が第1温度検出手段で検出された温度よりも予め設定された温度以上となったとき、装置を緊急停止する制御手段を備えると、熱暴走を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態としての小型化学反応装置の要部の斜視図。
【図2】図1に示す小型化学反応装置の透過平面図。
【図3】図3のA−A線に沿う断面図。
【図4】この発明に係る小型化学反応装置を備えた燃料電池システムの一例の要部のブロック図。
【図5】図4に示す発電部及び充電部の概略構成図。
【図6】黒体輻射の温度が300℃及び600℃の場合における振動数と輻射強度との関係を示す図。
【図7】Au膜及びYHx膜の光学特性を示す図。
【符号の説明】
1 第1基板
2 第2基板
3 第3基板
4 第1外装板
5 第2外装板
8 流入用細管
9 流出用細管
14 第1輻射伝搬抑制膜
15 第2輻射伝搬抑制膜
18 第1温度センサ
19 第2温度センサ
20 制御回路
21 流路
25 薄膜ヒータ
31 燃料電池システム
32 発電用燃料部
33 燃料気化部
34 改質部
35 一酸化炭素除去部
36 発電部
37 充電部

Claims (7)

  1. 所定の温度で反応を引き起こす反応路と、前記反応路を加熱する熱源と、前記熱源の周囲の互いに異なる領域に配置され、所定の振動数の電磁波に対する反射率が互いに異なる第1及び第2輻射伝搬抑制膜とを備えていることを特徴とする反応装置。
  2. 請求項1に記載の発明において、前記第1輻射伝搬抑制膜の前記熱源と対向する側とは反対側に第1温度検出手段が設けられ、前記第2輻射伝搬抑制膜の前記熱源と対向する側とは反対側に第2温度検出手段が設けられていることを特徴とする反応装置。
  3. 請求項2に記載の発明において、前記反応路及び前記熱源は外装体内に配置され、前記第1及び第2輻射伝搬抑制膜は前記外装体の内面に設けられ、前記第1及び第2温度検出手段は前記外装体の外面に設けられていることを特徴とする反応装置。
  4. 請求項3に記載の発明において、前記第2輻射伝搬抑制膜は前記第2温度検出手段に対応する領域における前記外装体の内面に設けられ、前記第1輻射伝搬抑制膜は前記外装体の内面のその他の領域に設けられていることを特徴とする反応装置。
  5. 請求項2〜4のいずれかに記載の発明において、前記第2温度検出手段で検出された温度が前記第1温度検出手段で検出された温度よりも予め設定された温度以上となったとき、装置を緊急停止する制御手段を備えていることを特徴とする反応装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記第1輻射伝搬抑制膜は金属単体または単体で構成された合金からなることを特徴とする反応装置。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の発明において、前記第2輻射伝搬抑制膜は希土類水素化物からなることを特徴とする反応装置。
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