JP4742318B2 - 反応装置、発電装置及び電子機器 - Google Patents

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Description

本発明は、反応物を反応させる反応装置、特に水素改質を行う小型な反応装置、その反応装置を用いた発電装置及び電子機器に関する。
近年、半導体集積回路などの半導体デバイス製造技術で蓄積された微細加工技術を利用して、シリコンあるいはガラス基板上にミリメートルあるいはマイクロメートルオーダーの流路を形成して、ここに流体を供給して化学反応を起こさせる化学反応装置、いわゆるマイクロリアクタが知られている。マイクロリアクタの中には高温で動作するものがあり、例えば、ノートパソコンや携帯電話などの携帯電子機器の電源として期待されている燃料電池において、発電セルに供給する水素をメタノールの水蒸気改質反応によって生成するマイクロ改質器が知られている。水素の原料となるメタノールは、マイクロ改質器の流路内に蒸気として導入され、流路の裏面に形成された薄膜ヒータによって約300〜400℃に温度管理された流路内で、流路内に設けられた触媒による化学反応によって水素を生成する。
マイクロリアクタの流路内で起こる化学反応を管理する温度が、例えば上記改質反応のように300℃程度になるような場合、マイクロリアクタから雰囲気への熱流出や熱輻射によるエネルギー流出などの熱損失が大きくなり、エネルギー利用効率が小さくなってしまう。そこで、エネルギー利用効率を向上させるために、熱損失を軽減させる方法として、マイクロリアクタを内壁に輻射シールドとして反射率の高い材料が成膜された容器(断熱真空容器)内に収め、さらに断熱真空容器内の気体を真空排気する方法がある。また、マイクロリアクタから雰囲気への熱流出は、断熱真空容器内の雰囲気の圧力に大きく依存しており、10Pa以上の圧力で圧力増大とともに顕著に増大する。そのため、断熱真空容器内は10Pa以下とすることが望ましいとされている(例えば、特許文献1参照)。
一方、半導体分野の微細加工技術を利用して、ミリメートルあるいはマイクロメートルオーダーの様々なマイクロセンサが知られている。マイクロ真空センサはその一例であり、マイクロ真空センサには、そのセンシングの原理の違いによっていくつかの種類があるが、その一つに、センサの加熱部から雰囲気への熱伝導率あるいは熱流出が雰囲気の圧力(真空度)によって変化することを利用した熱伝導型マイクロ真空センサがある(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−6265号公報 特開平7−325002号公報
ところで、断熱真空容器(反応容器)内の真空度(気圧)は、真空封止直後に10Pa以下の圧力であっても、真空封止後しばらくしてから真空度が悪くなるということが起こりうる。その要因として、例えば、断熱真空容器の内壁あるいはマイクロリアクタ本体に吸着した気体分子が放出され、断熱真空容器内の真空度が低下することが考えられる。また、非常に微細なリークによって、数十時間あるいは数百時間というような長い時定数で、断熱真空容器内の真空度が少しずつ低下していくことが考えられる。断熱真空容器内の真空度が低下した状態でマクロリアクタを運転させることは、熱損失の増大によりエネルギー利用効率が悪くなるだけでなく、断熱真空容器の異常な温度上昇を伴い、安全面の観点からも問題がある。そのため、マイクロリアクタを起動させる前に断熱真空容器内の真空度の確認をすることが望ましいとされている。
ただし、単純にマイクロ真空センサを断熱真空容器内に納めると、デッドスペースを作る要因となり小型化の障害となってしまうという問題があること、また、マイクロリアクタに隣接あるいは内蔵させるように設けた場合には、マイクロ真空センサのリード線を介して外部に熱が逃げ、マイクロリアクタの温度分布に影響するだけでなく熱損失が増大してしまうという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、断熱真空容器(反応容器)内の真空度(気圧)をセンシングすることができ、また、小型化及び熱損失の軽減を図ることのできる反応装置、その反応装置を用いた発電装置及び電子機器を提供することを目的としている。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、反応装置において、反応容器と、
前記反応容器に収容されて、反応物の反応を起こす、少なくとも1枚の基板から構成される反応器と、
前記反応容器内の気圧を測定する気圧センサと、
前記反応器に熱を供給する反応器加熱用ヒータと、
を備え、
前記基板に設けられた貫通孔の外側の枠体が前記反応容器の一部を構成し、
前記気圧センサは、前記枠体部に形成されて、前記反応器加熱用ヒータの少なくとも一部の部材と同一の部材を備え、
前記反応器加熱用ヒータと、前記気圧センサの前記部材とが前記基板の同一面側に配置されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載の反応装置において、
前記反応容器は、
互いに対向配置された上蓋及び下蓋と、
前記上蓋と前記下蓋との間に挟み込まれた前記枠体と、
によって構成されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の反応装置において、
前記枠体を切り欠いて切欠部が形成され、前記切欠部に前記気圧センサが配置されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の反応装置において、
前記反応器加熱用ヒータは、前記反応器の表面に成膜された密着層と、前記密着層上に成膜された拡散防止層と、前記拡散防止層上に成膜された発熱層とを備えた構造であることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の反応装置において、
前記気圧センサは、前記反応器加熱用ヒータと同一の部材からなる薄膜ヒータを備え、
前記気圧センサの前記薄膜ヒータ部の裏側には、凹部が形成されていることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の反応装置において、
前記気圧センサが設けられる基板の表面には、窒化シリコン膜が成膜されるとともに、前記窒化シリコン膜の内側はエッチングされた貫通孔となっていることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1〜の何れか一項に記載の反応装置において、
前記反応器は、第1基板及び第2基板を有する複数の基板が積層されてなり、前記第1基板及び前記第2基板間の接合面のうち少なくとも一方に反応物が供給される流路となる溝が形成されていることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項に記載の反応装置において、
前記第1基板の前記接合面と反対の面側に前記反応器加熱用ヒータ及び前記気圧センサの前記部材が形成されていることを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項7または8に記載の反応装置において、
前記気圧センサは、前記反応器加熱用ヒータと同一の部材からなる薄膜ヒータを備え、
前記薄膜ヒータの密着層は、前記複数の基板を積層して接合する際の陽極接合用として成膜される金属膜と同一部材であることを特徴とする。
請求項10の発明は、発電装置において、
請求項1〜の何れか一項に記載の反応装置と、前記反応装置により生成される生成ガスから電気化学反応により電力を取り出す発電セルと、を備えることを特徴とする。
請求項11の発明は、電子機器において、
請求項10に記載の発電装置と、前記発電装置によって発電された電気により動作する電子機器本体と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、反応容器の内壁部に気圧センサが配置されているので、気圧センサによって反応容器内の気圧をセンシングすることができる。その結果、真空度の悪い状態で反応物の反応を行うことがないので、無駄な電力を消費することがなく、また、反応容器内の温度の異常上昇を防止することができる。
さらに、反応器に気圧センサを設ける場合に比して、リード線等を介した熱伝導により反応器の熱が外部に逃げることがない。熱損失を軽減することができる。
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
[第一の実施の形態]
図1は、燃料電池(発電セル)に供給する水素を改質する複合型マイクロ反応装置100の外観斜視図、図2は、複合型マイクロ反応装置100の正面断面図(後述する図4〜図9における切断線II−IIに沿って切断した際の矢視断面図)、図3は、図2における切断線III−IIIに沿って切断した際の矢視断面図である。
図1〜図3に示すように、断熱用上蓋(上蓋)152と断熱用下蓋(下蓋)153との間に、上基板102と中基板103とを接合してなる反応装置本体101と、反応装置本体101の下面、即ち中基板103との下面に接合した下基板120とが挟み込まれるとともに、断熱用上蓋152と断熱用下蓋153とによって形成される断熱空間150bに反応装置本体101及び下基板120が収容されている。このように、断熱用上蓋152と、断熱用下蓋153と、反応装置本体101及び下基板120の一部によって断熱真空容器(反応容器)150が構成され、断熱真空容器150を形成する内壁部150aにマイクロ真空センサ(気圧センサ)1が配置されている。
なお、反応装置本体101が、高温な水蒸気改質反応が起こる改質器(反応器)と、低温な選択酸化反応が起こる一酸化炭素除去器(反応器)の複合体となり、中基板103と中基板103に接合した状態の下基板120とが燃焼器を形成する。
図4は、断熱用上蓋152の両面のうち上基板102との接合面を示した図面であって、上基板102側から見た際の平面図、図5は、断熱用下蓋153の両面のうち下基板120との接合面を示した図面であって、下基板120側から見た際の平面図である。
図4及び図5に示すように、断熱用上蓋152及び断熱用下蓋153は、例えば、ガラス材料からなり、特に熱膨張係数が3×10-6/℃程度で可動イオンとなるアルカリ金属(例えば、Na、Li等)を含有したガラス材料からなる。また、断熱用上蓋152は後述の上基板102と陽極接合法により接合するため、断熱用上蓋152又は上基板102のどちらか一方の接合面には陽極接合のために他方のガラス含まれる酸素原子と結合する金属膜又はシリコン膜を有する陽極接合膜が気相成長法(例えば、スパッタリング法、蒸着法)により成膜されている。本実施形態では、断熱用上蓋152の上基板102との接合面に金属膜300が成膜されているものとする。なお、断熱用上蓋152と上基板102のうちのどちらか一方がガラス材料ではなく金属又はシリコンからなるものとしても良い。
また、同様に、断熱用下蓋153は後述の下基板120と陽極接合法により接合するため、断熱用下蓋153又は下基板120のどちらか一方の接合面には陽極接合のために金属膜又はシリコン膜を有する陽極接合膜が成膜されている。本実施形態では、断熱用下蓋153の下基板120との接合面に金属膜300が成膜されているものとする。なお、断熱用下蓋153と下基板120のうちのどちらか一方がガラス材料ではなく金属又はシリコンからなるものとしても良い。
さらに、断熱用上蓋152の下面に上面側に凹む凹部154が形成され、断熱用下蓋153の上面には下面側に凹む凹部155が形成され、これによって断熱用上蓋152及び断熱用下蓋153は側断面視略コ字状に形成されている。そして、各凹部154,155が互いに向き合うように断熱用上蓋152と断熱用下蓋153とが配置されて、各凹部154,155によって、反応装置本体101及び下基板120が収容される断熱空間150bが形成されている(図2参照)。
また、断熱用上蓋152及び断熱用下蓋153の各凹部154,155を形成する内面には、熱源となる赤外線に対して断熱用上蓋152及び断熱用下蓋153よりも高い反射性を備える赤外線反射膜(例えば、Au、Ag、Al)310が成膜され、断熱真空容器150内の圧力が10Pa以下、望ましくは1Pa以下に減圧された状態に保たれている。
また、図1〜図3に示すように、断熱用上蓋152及び断熱用下蓋153と同じ材料で形成された供給排出部材151が中基板103の側端面を貫通している。この供給排出部材151は、改質燃料ガス供給用の燃料供給流路と、空気供給用の二つの吸気流路と、燃焼ガス供給用の燃焼ガス供給流路と、生成ガス排出用の生成ガス排出流路と、燃焼排ガス排出用の排ガス排出流路からなっている。そして、後述するように、配管部151a、151b、151c、151d、151e、151fが、それぞれ排ガス排出口、燃料供給口、水素排出口、一酸化炭素除去器の空気供給口、燃焼器の空気供給口、燃焼燃料供給口となる。
また、リード線109〜112やマイクロ真空センサ1のリード線(図示しない)が、下基板120の側端面を貫通している。リード線109〜112やマイクロ真空センサ1のリード線にはコバール線、鉄ニッケル合金線又はジュメット線が用いられている。供給排出部材151、リード線109〜112、マイクロ真空センサ1のリード線が中基板103や下基板120を貫通した箇所は封着剤によってシーリングされている。
図6は、上基板102の両面のうち中基板103との接合面を示した図面であって、中基板103側から見た際の平面図である。図6に示すように、上基板102の両面のうち中基板103との接合面には、いずれも溝である、燃料供給流路部161と、改質反応炉となる改質流路部162と、連通溝163と、一酸化炭素除去器の空気供給流路部164と、一酸化炭素除去反応炉となる一酸化炭素除去流路部165とが凹設されている。更に、上基板102の中央部において厚さ方向に貫通した矩形状の貫通孔166が形成されている。
また、上基板102には、燃料供給流路部161、改質流路部162、連通溝163及び空気供給路164の外周を囲むように、これら燃料供給流路部161、改質流路部162、連通溝163及び空気供給路部164と離間して、上基板102の厚さ方向に貫通したコ字状の貫通孔167が形成されている。コ字状の貫通孔167の一端部は、後述の溝201の近傍に位置し、他端部は、後述の溝206の近傍に位置している。すなわち、貫通孔167の両端部間に溝201,205,206、燃料供給流路部161の端部、空気供給路部164及び一酸化炭素除去流路部165の端部が位置している。そして、コ字状の貫通孔167を隔てた外側の枠体168が、断熱用上蓋152の下面と接合される接合面となっている。また、枠体168の貫通孔167に面する内面が、断熱真空容器150の内壁部150aの一部を形成している。そして、枠体168のうち、外縁102aと対向する内縁102fには、上基板102の側端面を貫通しないように切り欠かれた切欠部169が形成されている。切欠部169は矩形状をなし、切欠部169内に、後述するマイクロ真空センサ1が配置されている。
燃料供給流路部161が、上基板102の外縁102aから外縁102aに隣接する内縁102bにかけて沿うように形成され、燃料供給流路部161の一端部が上基板102の外縁102aから連なり、燃料供給流路部161の他端部が改質流路部162の一端部に連なっている。
改質流路部162は、貫通孔166の左側においてジグザグ状に形成されている。連通溝163は貫通孔166の後ろ側(下流側)において上基板102の外縁102aに対向する内縁102dに沿って形成され、連通溝163の一端部が改質流路部162の他端部に連なり、連通溝163の他端部が後述の一酸化炭素除去器の空気供給流路部164と合流し、一酸化炭素除去流路部165に連なっている。
一酸化炭素除去器の空気供給流路部164は上基板102の外縁102aから内縁102cにかけて沿うように形成され、一酸化炭素除去器の空気供給流路部164の一端部が上基板102の外縁102aから連なり、一酸化炭素除去器の空気供給流路部164の他端部が連通溝163の他端部と合流し、一酸化炭素除去流路部165に連なっている。
一酸化炭素除去流路部165は貫通孔166の右側においてジグザグ状に形成され、一酸化炭素除去流路部165の一端部が連通溝163及び一酸化炭素除去器の空気供給流路部164の合流部から連なり、一酸化炭素除去流路部165の他端部が上基板102の外縁102aまで連なっている。
なお、燃料供給流路部161の一端部、一酸化炭素除去器の空気供給流路部164の一端部及び一酸化炭素除去流路部165の他端部は、ともに供給排出部材151の一部(151b、151d及び151c)とそれぞれ嵌合し、さらに上基板102の外縁102aには、供給排出部材151に嵌合する溝201,205,206が凹設されている。
図7は、中基板103の両面のうち上基板102との接合面を示した図面であって、上基板102側から見た際の平面図である。図7に示すように、中基板103の両面のうち上基板102との接合面には、いずれも溝である、燃料供給流路部171と、改質反応炉となる改質流路部172と、連通溝173と、一酸化炭素除去器の空気供給流路部174と、一酸化炭素除去反応炉となる一酸化炭素除去流路部175とが凹設されている。更に、中基板103の中央部には矩形状の貫通孔176が形成されている。
また、中基板103には、燃料供給流路部171、改質流路172、連通溝173及び空気供給路174の外周を囲むように、これら燃料供給流路部171、改質流路172、連通溝173及び空気供給路部174と離間して、中基板103の厚さ方向に貫通したコ字状の貫通孔177が形成されている。コ字状の貫通孔177の一端部は、後述の切欠き216の近傍に位置し、他端部は、後述の切欠き211の近傍に位置している。すなわち、貫通孔177の両端部間に切欠き211〜216が位置している。そして、コ字状の貫通孔177を隔てた外側の枠体178が、上基板102の枠体168に接合される接合面となっている。また、枠体178の貫通孔177に面する内面が、断熱真空容器150の内壁部150aの一部を形成している。そして、枠体176のうち、外縁103aと対向する内縁103f側に、マイクロ真空センサ1が設けられている。すなわち、マイクロ真空センサ1は、上基板102に形成された切欠部169、後述の下基板120の切欠部159によって形成される空間内に配置されている(図2参照)。なお、マイクロ真空センサ1の説明については、後述する。
燃料供給流路部161の一端部が上基板102の外縁102aまで連なっているのに対して、燃料供給流路部171の一端部が、上基板102の外縁102aに対応する中基板103の外縁103aに達していないことを除き、中基板103と上基板102の接合面に関して、燃料供給流路部171と燃料供給流路部161は互いに面対称であり、同様に、改質流路部172と改質流路部162が、連通溝173と連通溝163が互いに面対称である。また、一酸化炭素除去器の空気供給流路部164の一端部が上基板102の外縁102aまで連なっているのに対して、一酸化炭素除去器の空気供給流路部174の一端部が、上基板102の外縁102aに対応する中基板103の外縁103aに達していないことを除き、一酸化炭素除去器の空気供給流路部174と一酸化炭素除去器の空気供給流路部164が面対称であり、貫通孔176と貫通孔166が互いに面対称である。一酸化炭素除去流路部165の他端部が上基板102の外縁102aまで連なっているのに対して、一酸化炭素除去流路部175の他端部が、上基板102の外縁102aに対応する中基板103の外縁103aに達していないことを除き、一酸化炭素除去流路部175と一酸化炭素除去流路部165は、互いに面対称である。また、中基板103の外縁103aには、供給排出部材151に嵌合する切欠き211〜216が形成されている。燃料供給流路部171、一酸化炭素除去器の空気供給流路部174、一酸化炭素除去流路部175は中基板103の外縁103aまで連なっていないが、燃焼供給流路部171の端部が切欠き212の近くに、一酸化炭素除去器の空気供給流路部174の端部が切欠き214の近くに、一酸化炭素除去流路部175の端部が切欠き213の近くにある。
改質流路部162,172の壁面には、アルミナを担体として改質触媒(例えば、Cu/ZnO系触媒)が担持され、一酸化炭素除去流路部165,175の壁面には、アルミナを担体として一酸化炭素選択酸化触媒(例えば、白金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム)が担持されている。なお、これら触媒は、アルミナゾルを塗布した後にウォッシュコート法で形成したものである。
上基板102が中基板103に接合されており、燃料供給流路部171と燃料供給流路部161が重なっており、同様に、改質流路部172と改質流路部162が、連通溝173と連通溝163が、一酸化炭素除去器の空気供給流路部174と一酸化炭素除去器の空気供給流路部164が、一酸化炭素除去流路部175と一酸化炭素除去流路部165が、貫通孔176と貫通孔166とが重なっている。
上基板102と中基板103は例えば、ガラス材料からなり、特に熱膨張係数が3×10-6/℃程度で可動イオンとなるアルカリ金属(例えば、Na、Li等)を含有したガラス材料からなる。また、上基板102と中基板103が陽極接合法により接合するため、上基板102と中基板103のどちらか一方の接合面には陽極接合のために他方のガラスに含まれる酸素原子と結合する金属膜又はシリコン膜を有する陽極接合用膜が気相成長法(例えば、スパッタリング法、蒸着法)により成膜されている。本実施形態では、中基板103の上基板102との接合面に金属膜300が成膜されているものとする。なお、上基板102と中基板103のうちのどちらか一方がガラス材料ではなく金属又はシリコンからなるものとしても良い。上基板102には、外縁102aに対向する内縁102dと、外縁102aに隣接する内縁102cとの間の角部を切り欠いた面取縁102eが形成されており、中基板103の接合面に陽極接合用膜が成膜されている場合、この陽極接合用膜が面取縁102eによって一部露出されるので陽極接合時に電圧を印加する電極端子に容易に接続しやすくなる。これにより、上基板102と中基板103が容易に陽極接合を行うことができる。
上基板102と中基板103の接合体である反応装置本体101のうち、貫通孔166,176よりも左側に位置する改質流路部162及び改質流路部172で囲まれた流路での部分が、燃料と水の混合気から水素を生成する改質反応が行われる改質器となり、貫通孔166,176よりも右側に位置する一酸化炭素除去流路部165及び一酸化炭素除去流路部175で囲まれた流路での部分が、その改質器で生成された生成物の中に含まれる一酸化炭素を優先的に酸化させることで除去する一酸化炭素除去器となる。具体的には改質流路部162及び改質流路部172で囲まれた流路で、燃料と水の混合気から水素を生成する改質反応が行われ、一酸化炭素除去流路部165及び一酸化炭素除去流路部175で囲まれた流路で、改質反応時に生成された生成物の中に含まれる一酸化炭素を酸化させる。また、連通溝163及び連通溝173で囲まれた流路が改質器と一酸化炭素除去器とを連通する連通流路となる。さらに、貫通孔176及び貫通孔166により改質器と一酸化炭素除去器とに温度差が形成されている。
図8は、中基板103の両面のうち下基板120との接合面を示した図面であって、下基板120側から見た際の平面図である。図8に示すように、中基板103の両面のうち下基板120との接合面には、電熱パターン(反応器加熱用ヒータ)106及び電熱パターン(反応器加熱用ヒータ)136が形成されている。また、電熱パターン106の形成面に対して垂直な方向に投影視して、電熱パターン106が改質流路部172に重なり、電熱パターン136が一酸化炭素除去流路部175に重なっている。電熱パターン106の両端部の端子部107,108が他の部分よりも幅広く、電熱パターン136の両端部の端子部137,138が他の部分よりも幅広い。端子部107,108は、外縁103aに対向する内縁103d近傍にあり、端子部137,138は外縁103a近傍にある。そして、端子部107にリード線109が接合され、端子部108にリード線110が接合され、端子部137にリード線111が接合され、端子部138にリード線112が接合されている。電熱パターン106,136は、端子部107,108,137,138の部分及びマイクロ真空センサ1の部分を除いて保護絶縁膜によって被覆されている。
図9は、下基板120の両面のうち中基板103との接合面を示した図面であって、中基板103側から見た際の平面図である。図9に示すように、下基板120の両面のうち中基板103との接合面には、いずれも溝であり、電熱パターン106を収納し燃焼反応炉となる燃焼流路部121と、燃焼流路部121と独立して設けられた端子部収納室123,124と、燃焼流路部121と端子部収納室123,124との間を連通する連通溝125,126と、リード線を外部に引き出す通し溝127a,128a,127b,128bと、電熱パターン136を収納するヒータ収容溝129と、燃焼燃料供給流路部131と、燃焼器の空気供給流路部132と、連通溝133と、排ガス排出流路部134とが凹設されている。更に、下基板120の中央部において矩形状の貫通孔156が形成されている。
また、下基板120には、燃焼燃料供給流路部131、空気供給流路部132、連通溝133、排ガス排出流路部134の外周を囲むように、これら燃焼燃料供給流路部131、空気供給流路部132、連通溝133及び排ガス排出流路部134と離間して、下基板120の厚さ方向に貫通したコ字状の貫通孔157が形成されている。コ字状の貫通孔157の一端部は、燃焼燃料供給流路部131の端部の近傍に位置し、他端部は、排ガス排出流路部134の端部の近傍に位置している。すなわち、貫通孔157の両端部間に燃焼燃料供給流路部131の端部、空気供給流路部132の端部、排ガス排出流路部134端部及び溝222〜224が位置している。そして、コ字状の貫通孔157を隔てた外側の枠体158が、中基板103の枠体178に接合される接合面となっている。また、枠体158の貫通孔157に面する内面が、断熱真空容器150の内壁部150aの一部を形成している。そして、枠体158のうち、外縁102aと対向する内縁120fには、下基板120の側端面を貫通しないように切り欠かれた切欠部159が形成されている。切欠部159は矩形状をなし、切欠部159内に、後述するマイクロ真空センサ1が配置されている。
また、下基板120の外縁120aには、供給排出部材151に嵌合する溝222,223,224が凹設されている。下基板120には、ヒータ収容溝129の両端から下基板120の外縁120aまで連通する通し溝141、142が設けられている。
燃焼燃料供給流路部131の一端部が下基板120の外縁120aから連なり、燃焼器の空気供給流路部132の一端部が下基板120の外縁120aから連なる。連通溝133は貫通孔156の周縁の一辺側において下基板120の外縁120aから内縁120cにかけて沿うように形成され、連通溝133の一端部が燃焼燃料供給流路部131の他端部及び燃焼器の空気供給流路部132の他端部の合流部から連なり、連通溝133の他端部が燃焼流路部121の一端部まで連なっている。燃焼流路部121は、貫通孔156の左側においてジグザグ状に形成されている。排ガス排出流路部134が下基板120の内縁120bから外縁120aにかけて沿うように形成され、排ガス排出流路部134の一端部が燃焼流路部121の他端部から連なり、排ガス排出流路部134の他端部が下基板120の外縁120aまで連なっている。
端子部収納室123,124は下基板120の内縁120d近傍に凹設され、端子部収納室123,124と燃焼流路部121が連通溝125,126によって通じ、端子部収納室123,124と下基板120の内縁120dが通し溝127a,128aによって通じ、通し溝127a,128aの端部がコ字状の貫通孔157に通じている。さらに、通し溝127bが、コ字状の貫通孔157を隔てた枠体158の通し溝127aに対応して形成され、通し溝128bが、コ字状の貫通孔157を隔てた枠体158の通し溝128aに対応して形成され、これら通し溝127b,128bの一方の端部がコ字状の貫通孔157に通じ、他方の端部が下基板120の側端面120gに開口している。
溝201(図6)、切欠き211(図7、8)、排ガス排出流路部134の他端部(図9)は、上基板102、中基板103及び下基板120を重ね合わせることによって排ガス排出口となり、燃料供給流路部161の一端部(図6)、切欠き212(図7、8)、溝222(図9)は、上基板102、中基板103及び下基板120を重ね合わせることによって燃料供給口となり、一酸化炭素除去流路部165の他端部(図6)、切欠き213、溝223(図8)は、上基板102、中基板103及び下基板120を重ね合わせることによって水素排出口となり、一酸化炭素除去器の空気供給流路部164の一端部(図6)、切欠き214(図7、8)、溝224(図9)は、上基板102、中基板103及び下基板120を重ね合わせることによって一酸化炭素除去器の空気供給口となり、溝205(図6)、切欠き215(図7、8)、燃焼器の空気供給流路部132の一端部(図9)は、上基板102、中基板103及び下基板120を重ね合わせることによって燃焼器の空気供給口となり、溝206(図6)、切欠き216(図7、8)、燃焼燃料供給流路部131の一端部(図9)は、上基板102、中基板103及び下基板120を重ね合わせることによって燃焼燃料供給口となる。
そして、供給排出部材151は、排ガス排出口、燃料供給口、水素排出口、一酸化炭素除去器の空気供給口、燃焼器の空気供給口、燃焼燃料供給口にそれぞれ挿入される配管部151a、151b、151c、151d、151e、151fからなっている。(図1、3参照)
ヒータ収容溝129は貫通孔156の右側においてジグザグ状に形成され、ヒータ収容溝129の一端部が突き当たった状態とされ、ヒータ収容溝129の他端部が二股に分かれて下基板120の外縁120aまで連なっている。
接合面に関して、燃焼流路部121と改質流路部172は互いにほぼ面対称であり、ヒータ収容溝129と一酸化炭素去流路部175がほぼ面対称である。
燃焼流路部121の壁面には、アルミナを担体として燃焼触媒(例えば、白金)が担持されている。
下基板120も特に可動イオンとなるアルカリ金属(例えば、Na、Li等)を含有したガラス材料からなる。また、下基板120と中基板103が陽極接合法により接合するために、下基板120と中基板103のどちらか一方の接合面には金属膜又はシリコン膜が気相成長法(例えば、スパッタリング法、蒸着法)により成膜されている。本実施形態では、中基板103の下基板210との接合面に金属膜300が成膜されているものとする。なお、下基板120、上基板102及び中基板103の材料としてパイレックス(登録商標)ガラスを用いた場合、熱膨張率は約3×10-6/℃である。下基板120には、外縁120aに対向する内縁120dと、外縁120aに隣接する内縁120bとの間の角部を切り欠いた面取縁120eが形成されており、中基板103の接合面に陽極接合用膜が成膜されている場合、この陽極接合用膜が面取縁120eによって一部露出されるので陽極接合時に電圧を印加する電極端子に容易に接続しやすくなる。
中基板103と下基板120が接合された状態では、電熱パターン106が燃焼流路部121、連通溝125,126に収納され、端子部107が端子部収納室123に収納され、端子部108が端子部収納室124に収容され、リード線109,110が通し溝127a,127b,128a,128bに嵌め込まれている。電熱パターン136がヒータ収容溝129に収容され、リード線111,112が通し溝141、142を介してヒータ収容溝129の端部に嵌め込まれている。
上基板102、中基板103及び下基板120を重ね合わせることによって、各枠体168,178,158により断熱真空容器150の内壁部150aの一部が構成されている。そして、この内壁部150aの一部に、上基板102の切欠部169及び下基板120の切欠部159からなる空間部分が形成されており、この空間部分に位置する中基板103の枠体178の内側部分(貫通孔177側の部分)(以下、枠体内側部分103eと言う)にマイクロ真空センサ1が設けられている。すなわち、マイクロ真空センサ1は、切欠部169,159により形成された空間部分に収容され、断熱空間150bに露出している。
次に、マイクロ真空センサ1について説明する。図10(a)は、マイクロ真空センサ1の下基板120側から見た際の平面図、図10(b)は、マイクロ真空センサ1の切断線X−Xに沿って切断した際の矢視断面図である。
マイクロ真空センサ1は、熱伝導型真空センサであり、上記中基板103の枠体内側部分103eに形成された加熱用の薄膜ヒータ2と、薄膜ヒータ2に電流を印加する電流電極3と、薄膜ヒータ2の電圧を測定する電圧電極4とから構成されている。そして、薄膜ヒータ2に電流を印加することによって生じる発熱(ジュール発熱)から雰囲気に奪われる熱量が、断熱真空容器150内の雰囲気の圧力によって変化することを利用したセンサである。このようなマイクロ真空センサ1は、断熱真空容器150内の真空度が所定値未満(例えば、10Pa未満)である場合に、反応装置100を起動させ、所定値以上(例えば、10Pa以上)の場合に、反応装置100の起動をさせないようにセンシングを行っている。
薄膜ヒータ2は、中基板103の枠体内側部分103eのうち、下基板120との接合面である下面に、電熱パターン106と同様にジグザグ状に形成されている。また、この枠体内側部分103eのうち、上基板102との接合面である上面には、厚さ方向(薄膜ヒータ2側)に窪む凹部5が形成されており、この凹部5の下側に薄膜ヒータ2が配置されている。凹部5は、凹部5を形成する底面5bから上基板102側に向けて外側に広がるように傾斜したテーパ面5aを有した側断面視台形状をなしている。このように凹部5を形成して板厚を薄くすることにより、凹部5の下側に配される薄膜ヒータ2の熱容量を小さくすることができる。
電流電極3は、薄膜ヒータ2の一端部に連なる電極パターン31aと、この電極パター
ン31aの端部の電流端子部32aと、薄膜ヒータ2の他端部に連なる電極パターン31b
と、この電極パターン31bの端部の電流端子部32bとを備えている。
電圧電極4は、薄膜ヒータ2の一端部に連なる電極パターン41aと、この電極パター
ン41aの端部の電圧端子部42aと、薄膜ヒータ2の他端部に連なる電極パターン41b
と、この電極パターン41bの端部の電流端子部42bとを備えている。
電流電極3の二つの電流端子部32a,32bと、電圧電極4の二つの電圧端子部42a
,42bとは、薄膜ヒータ2の右側に一列に配置され、二つの電流端子32a,32bの間
に二つの電圧端子42a,42bがそれぞれ配置されている。そして、電流電極3の一方の電極パターン31aの端部と電圧電極4の一方の電極パターン41aの端部とが合流して、薄膜ヒータ2の一端部に連なり、電流電極3の他方の電極パターン31bの端部と電圧電極の他方の電極パターン41bの端部とが合流して、薄膜ヒータ2の他端部に連なっている。また、電流電極3の電極パターン31a,31b及び電圧電極4の電極パターン41a,41bは、薄膜ヒータ2よりも幅広に形成され、さらに、電流端子部32a,32b及び電圧端子部42a,42bは、各電極パターン31a,31b,41a,41bよりも幅広に形成されている。また、電流端子部32a,32b及び電圧端子部42a,42bには、それぞれリード線(図示しない)が接合され、薄膜ヒータ2、電流電極3の電極パターン31a,31b及び電圧電極4の電極パターン41a,41bは、電流端子部32a,32b及び電圧端子部42a,42bの部分を除いて保護絶縁膜によって被覆されている。
なお、例えば、薄膜ヒータ2の領域(すなわち、凹部5の底面5bの大きさm×n)は
約2mm×2mmであり、そのヒータパターン幅は約20μmであり、全長が約30mm、室温での抵抗値は約400Ω以下となっている。また、マイクロ真空センサ1全体の大きさ(すなわち、中基板103の枠体内側部分103eの大きさM×N)は、約15mm×10mmである。
薄膜ヒータ2の膜構造としては、例えば、枠体内側部分103eにTa膜301が成膜され、Ta膜301にW膜302が成膜され、W膜302にAu膜303が成膜された三層構造が好ましい(以下、この膜構造をTa/W/Auと言う)。Ta膜301は中基板103への密着層、W膜302はAu膜303及びTa膜301の層間拡散を防止する層であり、Au膜303は発熱層である。その他、密着層としてTaの代わりにTi、Cr、Moなどを使用しても良く、また、発熱層としてAuの代わりにPtなどでも良い。
図10(c)は、マイクロ真空センサ11の変形例であり、図10(b)と同様の位置で切断した際のマイクロ真空センサ11の矢視断面図である。
このマイクロ真空センサ11は、中基板103としてガラス材料ではなく、シリコンを材料としたものであり、中基板103のうち枠体内側部分103eの両面に窒化シリコン膜15a,15bが成膜され、このうち下面側に成膜した窒化シリコン膜15bに、上述した薄膜ヒータ2、電流電極3及び電圧電極4と同様の薄膜ヒータ12、電流電極13及び電圧電極14が形成されている。また、枠体内側部分103eの上面で、かつ、薄膜ヒータ12の上方に当たる位置に形成された窒化シリコン膜15aはエッチングされ、さらに、そのエッチングされた窒化シリコン膜15aが成膜されていた枠体内側部分103eに、厚さ方向に貫通する貫通孔16が形成されている。貫通孔16には、窒化シリコン膜15bが露出して自立した膜として成膜されていることになり、その窒化シリコンの自立膜15bの下面に薄膜ヒータ2が配置されている。貫通孔16は、この窒化シリコンの自立膜15bから上基板102側に向けて外側に広がるように傾斜したテーパ面16aを有した側断面視台形状をなしている。
また、窒化シリコン膜15a,15bの膜厚は、数μmとすることが好ましい。薄膜ヒータ12、電流電極13及び電圧電極14の膜構造としては、上述したように、Ta/W/Auの膜構造とすることが好ましい。また、中基板103側からCr膜、Au膜を順に成膜した二層構造であっても良い。
このように貫通孔16を形成して、その貫通孔16の底部に窒化シリコンの自立膜15bが配され、この窒化シリコン膜15bの下面に薄膜ヒータ2が配置されているので、図10(b)のマイクロ真空センサ1に比して熱伝導をより軽減し、熱容量をより小さくすることができる。その結果、マイクロ真空センサ11の消費電量をさらに軽減するとともに、センシングの時間をさらに短縮することができる。
(シリコンは熱伝導率が大きな物質の一つであり、その大きさは約150W/mKで、一方、窒化シリコンは20W/mK、ガラスは1W/mK程度である。また、熱伝導は熱が伝わるパスの断面積の大きさに反比例するため、窒化シリコンの自立膜15bは熱伝導率が小さく、かつ、伝熱パスの断面積が極めて小さいため熱伝導をより小さくすることができる。また、窒化シリコンの自立膜15bの体積は極めて小さいので、熱容量も小さくなる。これに対して、図10(b)で使用したガラスは熱伝導率の値が1W/mKと一桁小さいが、凹部5が形成された枠体内側部分103eの厚さはコンマ数mmであり、窒化シリコンの自立膜15bの厚さ(数μm)よりも2桁大きいため、窒化シリコン膜15bより熱伝導は大きくなると考えられる。また、窒化シリコン膜15bに比べると体積は大きくなるため、熱容量も大きくなる。したがって、ガラスを使用した中基板103の枠体内側部分103eに薄膜ヒータ2を形成した上記図10(b)のマイクロ真空センサ1に比して、窒化シリコンの自立膜15bに薄膜ヒータ12を形成したマイクロ真空センサ11の方が、熱伝導を軽減でき、熱容量をより小さくすることができる。)
以下に、マイクロ真空センサ1,11の原理について説明する。
薄膜ヒータの温度T、雰囲気の温度t、圧力pで定常状態にある場合には、薄膜ヒータのジュール発熱は外部に奪われる熱量に等しく、下記式(1)となる。
i2R(T) = Qgas(T-t, p) + Qsolid(T-t) + Qradiation(T-t) (定常状態)・・・(1)
ここで、iは薄膜ヒータに流れる電流値、R(T)は温度Tのときの薄膜ヒータの抵抗値、Qgas(T-t, p)、 Qsolid(T-t)、 Qradiation(T-t)はそれぞれ雰囲気によって奪われる熱量、マイクロ真空センサを構成する部材及びマイクロ真空センサが接している部材(電流電極、電圧電極、リード線、反応装置本体など)に奪われる熱量、輻射によって奪われる熱量を示している。Qsolid(T-t)およびQradiation(T-t)は、薄膜ヒータと雰囲気の温度差のみに依存し、雰囲気の圧力に依存しない。一方、雰囲気に奪われる熱量Qgas(T-t, p)は、薄膜ヒータと雰囲気の温度差T-tおよび雰囲気の圧力Pに依存する。
今、雰囲気の圧力がpからP(P > p)に変化し、雰囲気に奪われる熱量Qgasが増大したと
すると、薄膜ヒータの発熱i2Rよりも外部に奪われる熱量が大きくなる(下記式(2)参
照)。
i2R(T) < Qgas(T-t, P) + Qsolid(T-t) + Qradiation(T-t) (非定常状態)・・・(2)
その結果、薄膜ヒータの温度Tが減少する。薄膜ヒータの温度を一定に保つためには、薄膜ヒータに印加する電流値を増大させてジュール熱発熱を上記(2)式の右辺と等しくなるようにすれば良い。定常状態となったときの電流値をI(I > i)とすると、下記式(3)となる。
I2R(T) = Qgas(T-t, P) + Qsolid(T-t) + Qradiation(T-t) (定常状態)・・・(3)
したがって、雰囲気のpからPへの圧力変化は、薄膜ヒータの温度Tを一定に保つ消費電
力i2R(T)からI2R(T)への変化として観測できるというものである。
なお、上述の説明では、温度一定の条件で行ったが、センシングの際には下記のような電流一定の方法で行うのが簡便である。
すなわち、前述のように、マイクロ真空センサのジュール発熱と熱損失がつりあった定常状態では、上記式(1)の定常状態となり、雰囲気の圧力がpからPに増大すると、雰
囲気に奪われる熱量が増大するため、上記式(2)の非定常状態となり、その結果、マイクロ真空センサの温度が減少する。
一般的に金属の電気抵抗値は、温度上昇とともに線形的に増大する。したがって、マイクロ真空センサの抵抗体に金属膜を用いた場合には、雰囲気に奪われる熱量が増加し、温度が減少すると、金属膜の抵抗値が減少する。電流値をiに固定し、圧力Pにおいて再び定常状態となったときの温度をT’( < T)とすると、下記式(4)となる。
i2R(T) > i2R(T’) = Qgas(T’-t, P) + Qsolid(T’-t) + Qradiation(T’-t) (定常状態)・・・(4)
すなわち、電流値を固定した場合、雰囲気の圧力が増大すると、雰囲気に奪われる熱量が増加するため、センサ温度が下がり、マイクロ真空センサの消費電力あるいは抵抗値は減少する。
逆に、電流値を固定した場合、雰囲気の圧力が減少した場合には、雰囲気に奪われる熱量が減少するため、センサ温度が上昇し、マイクロ真空センサの消費電力あるいは抵抗値は増大する。
そこで、本実施例において、雰囲気圧力が10Pa未満であるかどうかの判定には、上述の性質を利用する。例えば、10Paの圧力下において、センサ温度をT℃に保つために流れる電流がi mA、そのときの抵抗値はRΩであるとする。反応装置を起動させる前に、マイクロ真空センサにi mA流し、抵抗値を測定する。抵抗値は、電圧測定用の端子間の電圧を測定し、その値を電流値で除すことで得られる。そして、抵抗値がRΩを超える場合には、断熱真空容器内の雰囲気の圧力は10Pa未満であるので、反応装置の起動シーケンスへと進み、逆に、抵抗値がRΩ以下ならば、雰囲気の圧力は10Pa以上であるので、反応装置を起動させないようにして、マイクロ真空センサによるセンシングを行う。
また、本実施形態のように、電流電極と電圧電極を独立に持つ4端子構成のマイクロ真空センサによれば、2端子構成のものに比べて配線抵抗や接触抵抗の影響を受けないので、高精度に真空度を測定することができる。
図11は、図10(c)で説明したように窒化シリコンの自立膜に薄膜ヒータを形成した熱伝導型マイクロ真空センサの消費電力の真空度依存性のグラフである。図11に示す特性は、マイクロ真空センサの薄膜ヒータ及び電極の膜構造が、Cr/Auの二層構造の場合のものであり、薄膜ヒータの温度が70℃の時のものである。また、シリコン基板0.625mm、窒化シリコン膜2μm、Cr膜5nm、Au膜150nmである。
ここで、通常使用するピラニ真空計のような熱伝導型真空計では、発熱体の温度は数百度で使用するが、本発明のマイクロ真空センサは70℃という低温でも、図11から明らかなように、雰囲気への熱伝導の変化、特に10Pa近傍を境に起こる雰囲気への熱伝導の急激な変化をセンシング可能である。また、マイクロ真空センサが消費する電力は2〜8mWであり、非常に小さい点からも本発明のマイクロ真空センサは好適であることがわかる。
なお、薄膜ヒータ、電流電極及び電圧電極の膜構造が、Ta/W/Auの場合も、同様の特性を示す。
次に、複合型マイクロ反応装置100の製造方法について説明する。図12(a)は、中
基板103に形成された電熱パターン106及びマイクロ真空センサ1を示した図面であって、図7における切断線XII−XIIに沿って切断した際の矢視断面図である。
まず、上基板102、中基板103、下基板120を準備し、これらの接合面に必要に応じて陽極接合用の金属膜又はシリコン膜を気相成長法により成膜する。本実施形態では、中基板103の両面に、スパッタ法により金属膜300を成膜する。金属膜300としては、例えばTa、Al、Tiを用いることができ、本実施形態ではTaを用いるものとする。
次に、中基板103の下面にべた一面に電熱膜301〜303を成膜する。電熱膜301〜303の構造としては、例えば、Ta/W/Auが好ましい。ここで、Ta膜301は、陽極接合用として成膜した金属膜300をそのまま使用することができる。したがって、中基板103の下面のTa膜301(金属膜300)にW膜302、Au膜303を順に成膜し、成膜した電熱膜301〜303をフォトリソグラフィー・エッチング法により形状加工することによって、電熱パターン106,136、マイクロ真空センサ1の薄膜ヒータ2、電流電極3及び電圧電極4をパターニングする。なお、電熱膜としてのTa膜301と、陽極接合用として使用する金属膜300とは、電気的に絶縁されるようエッチングする。また、中基板103の枠体178の上面のうち、陽極接合面となる外側部分を除いた金属膜300もエッチングする。さらに、端子部107,108,137,138を除いて電熱パターン106,136を絶縁膜によって被覆し、また、電流端子部32a,32b、電圧端子部42a,42bを除いて薄膜ヒータ2、電流電極3及び電圧電極4を絶縁膜によって被覆する。
次に、フォトリソグラフィ法とサンドブラスト法を用いて、上基板102に、いずれも溝である、燃料供給流路部161、改質流路部162、連通溝163、空気供給流路部164、一酸化炭素除去流路部165を形成し、さらに矩形状の貫通孔166、コ字状の貫通孔167及び溝201,205,206を形成する。
中基板103にも、いずれも溝である、燃料供給流路部171、改質流路部172、連通溝173、空気供給流路部174、一酸化炭素除去流路部175を形成し、さらに矩形状の貫通孔176、コ字状の貫通孔177及び切欠き211〜216を形成する。また、この際に同時に中基板103のうち枠体内側部分103eの上面にマイクロ真空センサ用の凹部5を形成して、その厚さを薄くする。
また、下基板120に、燃焼流路部121、端子部収納室123,124、連通溝125,126、通し溝127a,128a,127b,128b、ヒータ収容溝129、燃焼燃料供給流路部131、空気供給流路部132、連通溝133、排ガス排出流路部134、通し溝141,142及び溝222,223,224を形成し、さらに矩形状の貫通孔156及びコ字状の貫通孔157を形成する。
次に、改質流路部162及び改質流路部172にアルミナゾルを塗布し、更にウォッシュコート法により改質触媒を形成する。また、一酸化炭素除去流路部165及び一酸化炭素除去流路部175にアルミナゾルを塗布し、更にウォッシュコート法により一酸化炭素除去触媒を形成する。また、燃焼流路部121にアルミナゾルを塗布し、更にウォッシュコート法により燃焼触媒を形成する。
次に、上基板102及び中基板103を陽極接合法により接合する。次に、端子部107,108,137,138にそれぞれリード線109,110,111,112を抵抗溶接により接合する。
また、電流端子部32a,32b及び電圧端子部42a,42bにそれぞれリード線を抵抗溶接により接合する。
次に、中基板103と下基板120を貼りあわせ、中基板103と下基板120の位置合わせを行い、電熱パターン106,136を下基板120により覆う。そして、中基板103に下基板120を陽極接合法により接合する。
次に、通し溝127a,128a,127b,128bに封着剤を注入することで、通し溝127a,128a,127b,128bの開口をシールする。
次に、上基板102、中基板103、下基板120の接合体の右端面の開口(溝201、切欠き211、排ガス排出流路部134の端部を重なり部分等)に供給排出部材151を嵌め込み、改質燃料ガス供給用の燃料供給流路(燃料供給口151b)を燃料供給流路部161に接続し、1つの空気供給用の吸気流路(一酸化炭素除去器の空気供給口151d)を一酸化炭素除去器の空気供給流路部164に接続し、もう1つの空気供給用の吸気流路(燃焼器の空気供給口151e)を燃焼器の空気供給流路部132に接続し、燃焼ガス供給用の燃焼ガス供給流路(燃焼燃料供給口151f)を燃焼燃料供給流路部131に接続し、生成ガス排出用の生成ガス排出流路(水素排出口151c)を一酸化炭素除去流路部165に接続し、燃焼排ガス排出用の排ガス排出流路(排ガス排出口151a)を排ガス排出流路部134に接続する。
一方、断熱用上蓋152及び断熱用下蓋153を準備し、これらの接合面に陽極接合用の金属膜又はシリコン膜を気相成長法により成膜する。本実施形態では、断熱用上蓋152の下面と、断熱用下蓋153の上面に、スパッタ法により金属膜300を成膜する。金属膜300としては、例えばTa、Al、Tiを用いることができ、本実施形態ではTaを用いるものとする。そして、断熱用上蓋152及び断熱用下蓋153の成膜面をフォトリソグラフィ法及びサンドブラスト法を用いて、上基板102、中基板103及び下基板120を収容するための断熱空間150bを形成するための凹部154,155を形成し、有底箱型に加工する。さらに、その加工面(凹部154,155を形成する内壁面)に、赤外線反射膜310として例えばAu膜を、密着層としてCr膜などを下地にして成膜する。なお、赤外線反射膜310としてはAl,Agも用いることができ、また、密着層としてはTi,Ta,Wなども用いることができる。このように成膜した後、10Pa以下、望ましくは1Pa以下に減圧された雰囲気の製造装置炉内で、上基板102、中基板103、下基板120の接合体を断熱用上蓋152及び断熱用下蓋153によって上下から挟み込んで、断熱用上蓋152と上基板102とを陽極接合し、断熱用下蓋153と下基板103とを陽極接合する。
図12(b)は、中基板103に形成された電熱パターン106及び図10(c)のようなマイクロ真空センサ11を作成した場合の断面図である。
図10(c)に示す変形例であるマイクロ真空センサ11の製造方法は、中基板103としてシリコンからなるものを準備し、この中基板103の両面に窒化シリコン膜15a,15bを成膜した後に、上述した手順と同様に、中基板103の下面の窒化シリコン膜15bにべた一面に電熱膜301〜303を成膜する。電熱膜301〜303の構造としては、上述したTa/W/Auが好ましい。成膜した電熱膜301〜303をパターニングすることによって電熱パターン106,136を形成すると同時に、マイクロ真空センサ11の薄膜ヒータ12、電流電極13及び電圧電極14もパターニングする。
さらに、中基板103の枠体内側部分103e以外の部分における上面の窒化シリコン膜15aをフォトリソグラフィー・エッチング法により取り除く。また、中基板103の枠体内側部分103eの上面一部の窒化シリコン膜15aをフォトリソグラフィー・エッチング法により取り除いた後、その取り除いた領域に水酸化カリウムなどのエッチング剤を用いて貫通孔16を形成し、さらに切欠き211〜216を形成する。また、中基板103に、フォトリソグラフィ法とサンドブラスト法を用いて、燃料供給流路部171、改質流路部172、連通溝173、一酸化炭素除器の空気供給流路部174、一酸化炭素除去流路部175を形成する。
その他、上基板102や下基板120については上述した方法と同様のため、その説明を省略する。
以上のような複合型マイクロ反応装置100においては、反応装置100を起動する前に予め、マイクロ真空センサ1に二次電池などの補助電源を利用して、電力を供給することによって、断熱真空容器150内の真空度を測定する。そして、真空度が10Pa未満の場合に、反応装置100を起動させ、真空度が10Pa以上の場合には、反応装置100の起動をさせない。
そして、反応装置100が起動し、リード線109,110の間に電圧を印加すると電熱パターン106が発熱し、リード線111,112の間に電圧を印加すると電熱パターン136が発熱し、後述の改質反応のための熱源とする。また、燃焼ガス(例えば、水素ガス、メタノールガス、エタノールガス、ジメチルエーテルガス)を燃焼燃料供給流路部131に送り込み、空気(酸素)を空気供給流路部132に送り込むと、燃焼ガスと空気の混合気が燃焼流路部121を流動し、燃焼ガスが燃焼触媒により燃焼し、燃焼熱が発生するようにもできる。定常運転時にはこの触媒燃焼によって、吸熱反応である改質反応に必要な熱を供給し、システムを自立運転あるいは電熱パターンから供給する電力を軽減しての運転が可能となる。このように改質反応のための熱が供給される状態で燃料(例えば、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル)と水の混合気を燃料供給流路部161(171)に供給すると、混合気が改質流路部162(172)を流れているときに改質触媒により反応して水素ガスが生成される。このとき、僅かながら一酸化炭素ガスも生成される(燃料がメタノールの場合には、下記化学式(5)、(6)を参照。)。一酸化炭素除去器の空気供給流路部164(174)に空気を供給すると、水素ガス、一酸化炭素ガス、空気等が混合した状態で一酸化炭素除去流路部165(175)を流れる。このとき、一酸化炭素ガスが一酸化炭素除去触媒により優先的に酸化する選択酸化反応が起こり、一酸化炭素ガスが除去される(下記化学式(7)を参照)。そして、水素ガス等を含むガスが一酸化炭素除去流路部165(175)から排出される。
CH3OH+H2O→3H2+CO2・・・(5)
2+CO2→H2O+CO・・・(6)
2CO+O2→2CO2・・・(7)
上述のように、マイクロ真空センサ1は、随時、断熱真空容器150内の真空度を測定し、真空度が10Pa以上の場合に、反応装置100の起動を停止させる。このようにマイクロ真空センサ1によって予め断熱真空容器150内の真空度を測定し、10Pa以下の場合に反応装置100を起動させ、10Paを超える場合には、反応装置100を停止させることにより、無駄な電力を消費することなく、また、断熱真空容器150内の温度が異常上昇することを防止できる。
また、マイクロ真空センサ1を動作するための消費電力は数ミリワットのオーダーで、電熱パターン106,136等で消費される電力に比して2桁以上小さいため、システムの負荷にならない。
なお、燃料(例えば、メタノール、エタノール、ジメチルエーテル)と空気(酸素)の混合気を燃料供給流路部161(171)に供給するようにしても良い。この場合、燃料が部分酸化改質反応を起こして水素ガスが生成されるが、その場合、改質流路部162,172の壁面に担持させる触媒は部分酸化改質触媒とする。改質流路部162,172の担持させる触媒を2種類にし、部分酸化改質反応と水蒸気改質反応(上記式(5))を組み合わせても良い。
次に、複合型マイクロ反応装置100の用途について説明する。
この複合型マイクロ反応装置100は、図13に示すような発電装置900に用いることができる。この発電装置900は、燃料と水を液体の状態で貯留した燃料カートリッジ901と、燃料カートリッジ901から供給された燃料と水を気化させる気化器902と、複合型マイクロ反応装置100と、複合型マイクロ反応装置100の反応装置本体101から供給された水素ガスにより電気エネルギーを生成する発電セル903と、発電セル903により生成された電気エネルギーを適切な電圧に変換するDC/DCコンバータ904と、DC/DCコンバータ904に接続される2次電池905と、それらを制御する制御部906とを備える。気化器902で気化した燃料と水は燃料供給流路部161,171に流れ込み、一酸化炭素除去流路部165,175から流れ出た水素ガス等は燃料電池903の燃料極に供給され、発電セル903の酸素極には空気が供給され、発電セル903における電気化学反応により電気エネルギーが生成される。
DC/DCコンバータ904は発電セル903により生成された電気エネルギーを適切な電圧に変換したのちに電子機器1000に供給する機能の他に、発電セル903により生成された電気エネルギーを2次電池905に充電し、発電セル903側が運転されていない時に、電子機器1000に2次電池側から電気エネルギーを供給する機能も果たせるようになっている。制御部906は気化器902、反応装置100、発電セル903を運転するために必要な図示しないポンプやバルブ類、そして、ヒータ類、DC/DCコンバータ904等を制御し、電子機器1000に安定して電気エネルギーが供給されるような制御を行なう。
ここで、発電セル903の燃料極に供給された水素ガスは全てが反応しない方が高効率で、残留した水素ガスは、燃焼燃料供給流路部131から(燃焼器145(燃焼流路部121に対応))に供給されるようにしてもよい。また、改質器の温度管理の観点より、燃焼器で残留した水素ガスを全て燃焼させずに、別途水素燃焼器を備えるようにしてもよい。
このような発電装置900において、マイクロ真空センサ1による真空度の測定結果に基づいて、反応装置100の起動又は停止が制御されるようになっている。
以上のような本発明の実施の形態によれば、断熱用上蓋152、断熱用下蓋153及び上基板102、中基板103、下基板120の一部(各枠体168,178,158)によって構成される断熱真空容器150の内壁部150aにマイクロ真空センサ1が配置されているので、断熱真空容器150内の真空度をセンシングすることができる。また、マイクロ真空センサ1を、断熱真空容器150の内壁部150aに形成された切欠部169,159からなる空間部分に配置することにより、例えば、改質器や一酸化炭素除去器側にマイクロ真空センサ1を設ける場合に比してリード線を介した熱伝導により反応装置本体101の熱が外部に逃げることなく熱損失を軽減することができる。しかも、デッドスペースを有効利用することができ、複合型マイクロ反応装置100の小型化を図ることができる。
また、マイクロ真空センサ1は、薄膜ヒータ2の温度が70℃程度でセンシング可能であることから、消費電力を小さくすることができる。
また、マイクロシンクセンサ1は、中基板103の枠体内側部分103eのうち、薄膜ヒータ2の上側に位置する上面に凹部5が形成され、板厚が薄くなっているので、発熱部の熱容量が小さく、この点においても消費電力を小さくでき、かつ、マイクロ真空センサ1としての応答速度が速くなる。
さらに、マイクロ真空センサ1の薄膜ヒータ2、電流電極3、電圧電極4は、電熱パターン106,136と同時に成膜することができ、製造プロセスを特に変更することなく容易にマイクロ真空センサ1を断熱真空容器150内に設けることができる。
また、上記実施の形態では、マイクロ真空センサ1は、断熱真空容器150の内壁部150aであれば、特に上述した位置に設けなくとも適宜変更可能である。
上記実施の形態では、断熱容器内に収容される反応装置は3枚の基板からなる例を示したが、2枚または4枚以上の基板からなるものであってもよい。
上記実施の形態では、マイクロ真空センサは断熱真空容器150の一部を兼ねる反応装置を構成する基板に設ける例を示したが、反応装置部分が断熱真空容器の一部を兼ねる構成になっていないもので、マイクロ真空センサが反応装置を収容する断熱真空容器側にあるものでもよい。
また、薄膜ヒータ2,12や電流電極3,13、電圧電極4,14の位置や向き等も図示したものに限定されるものではない。
さらに、上記各実施の形態では、マイクロ真空センサとして熱伝導型マイクロ真空センサを用いる例を示したが、小型で低消費電力のものであれば、熱伝導型でなくてもよい。
複合型マイクロ反応装置100の外観斜視図である。 複合型マイクロ反応装置100の正面断面図である。 図2における切断線III−IIIに沿って切断した際の矢視断面図である。 断熱用上蓋152の両面のうち上基板102側から見た際の平面図である。 断熱用下蓋153の両面のうち下基板120側から見た際の平面図である。 上基板102の両面のうち中基板103側から見た際の平面図である。 中基板103の両面のうち上基板102側から見た際の平面図である。 中基板103の両面のうち下基板120側から見た際の平面図である。 下基板120の両面のうち中基板103側から見た際の平面図である。 (a)は、マイクロ真空センサ1の下基板120側から見た際の平面図、(b)は、マイクロ真空センサ1の(a) における切断線X−Xに沿って切断した際の矢視断面図、(c)は、マイクロ真空センサ11の切断線X−Xに沿って切断した際の矢視断面図である。 窒化シリコンの自立膜に薄膜ヒータを形成した熱伝導型マイクロ真空センサの消費電力の真空度依存性のグラフである。 (a)は、中基板103に形成された電熱パターン106及び図10(b)のようなマイクロ真空センサ1を作成した場合の切断線XII−XIIに沿って切断した際の矢視断面図、(b)は、中基板103に形成された電熱パターン106及び図10(c)のようなマイクロ真空センサ11を作成した場合の切断線XII−XIIに沿って切断した際の矢視断面図である。 発電装置900とその発電装置を用いた電子機器のブロック図である。
符号の説明
1 マイクロ真空センサ(気圧センサ)
2,12 薄膜ヒータ
3,13 電流電極
4,14 電圧電極
15b 窒化シリコン膜
100 複合型マイクロ反応装置
101 反応装置本体
102 上基板
103 中基板
106,136 電熱パターン(反応器加熱用ヒータ)
120 下基板
150 断熱真空容器(反応容器)
150a 内壁部
150b 断熱空間
152 断熱用上蓋(上蓋)
153 断熱用下蓋(下蓋)
161,171 燃料供給流路部
162,172 改質流路部
163,173 連通溝
164,174 一酸化炭素除去器の空気供給流路部
165,175 一酸化炭素除去流路部
301 Ta膜
302 W膜
303 Au膜
903 発電セル
1000 電子機器本体

Claims (11)

  1. 反応容器と、
    前記反応容器に収容されて、反応物の反応を起こす、少なくとも1枚の基板から構成される反応器と、
    前記反応容器内の気圧を測定する気圧センサと、
    前記反応器に熱を供給する反応器加熱用ヒータと、
    を備え、
    前記基板に設けられた貫通孔の外側の枠体が前記反応容器の一部を構成し、
    前記気圧センサは、前記枠体部に形成されて、前記反応器加熱用ヒータの少なくとも一部の部材と同一の部材を備え、
    前記反応器加熱用ヒータと、前記気圧センサの前記部材とが前記基板の同一面側に配置されていることを特徴とする反応装置。
  2. 前記反応容器は、
    互いに対向配置された上蓋及び下蓋と、
    前記上蓋と前記下蓋との間に挟み込まれた前記枠体と、
    によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の反応装置。
  3. 前記枠体を切り欠いて切欠部が形成され、前記切欠部に前記気圧センサが配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の反応装置。
  4. 前記反応器加熱用ヒータは、前記反応器の表面に成膜された密着層と、前記密着層上に成膜された拡散防止層と、前記拡散防止層上に成膜された発熱層とを備えた構造であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の反応装置。
  5. 前記気圧センサは、前記反応器加熱用ヒータと同一の部材からなる薄膜ヒータを備え、
    前記気圧センサの前記薄膜ヒータ部の裏側には、凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の反応装置。
  6. 前記気圧センサが設けられる基板の表面には、窒化シリコン膜が成膜されるとともに、前記窒化シリコン膜の内側はエッチングされた貫通孔となっていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の反応装置。
  7. 前記反応器は、第1基板及び第2基板を有する複数の基板が積層されてなり、前記第1基板及び前記第2基板間の接合面のうち少なくとも一方に反応物が供給される流路となる溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の反応装置。
  8. 前記第1基板の前記接合面と反対の面側に前記反応器加熱用ヒータ及び前記気圧センサの前記部材が形成されていることを特徴とする請求項に記載の反応装置。
  9. 前記気圧センサは、前記反応器加熱用ヒータと同一の部材からなる薄膜ヒータを備え、
    前記薄膜ヒータの密着層は、前記複数の基板を積層して接合する際の陽極接合用として成膜される金属膜と同一部材であることを特徴とする請求項7または8に記載の反応装置。
  10. 請求項1〜の何れか一項に記載の反応装置と、前記反応装置により生成される生成ガスから電気化学反応により電力を取り出す発電セルと、を備えることを特徴とする発電装置。
  11. 請求項10に記載の発電装置と、
    前記発電装置によって発電された電気により動作する電子機器本体と、を備えることを特徴とする電子機器。
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