JP2004283627A - Mri装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高周波反転パルスのフリップ角の変動に高い耐性を呈し、安定した動作のプリスキャンを実施でき、本スキャン時のパルスシーケンスをより高精度に補正する。
【解決手段】MRI装置では、高周波励起パルス及び複数の高周波反転パルスを有しかつその複数の高周波反転パルスの印加位相を基準位相値に設定したパルスシーケンスの第1のプリスキャン、及び、高周波励起パルス及び複数の高周波反転パルスを有しかつその複数の高周波反転パルスの内の偶数番目の高周波反転パルスの印加位相を基準位相値に対して180°の位相差を有する値に設定したパルスシーケンスの第2のプリスキャンを各別に実施する。第1のプリスキャンにより得た複数のエコー信号から成る第1のエコーデータ群と第2のプリスキャンにより得た複数のエコー信号から成る第2のエコーデータ群とに基づいて本スキャンのパルスシーケンスを事前に補正する。
【選択図】 図6

Description

本発明は、MRI(磁気共鳴イメージング)装置に係り、とくに、CPMGパルス系列や位相反転CPパルス系列など、複数の高周波反転パルス(RFrefocusing pulse)を組み込んだパルスシーケンス(代表的なシーケンス名としては例えば、RARE法(高速SE法)、GRASE法(Hybrid EPI法))を使うMRI装置に関する。
原子核スピンの磁気共鳴現象を利用した磁気共鳴イメージング(MRI)は、非侵襲で被検体内の画像を得ることができることから、医療技術の分野でも益々盛んに実施されており、画像処理などの技術の進歩、高度化に伴って、MR画像に対する質的要求及び高速撮影の度合いも非常に高まっている。
従来、これらの条件を満足させようとして磁気共鳴イメージングのための各種のパルスシーケンスが実施あるいは提案されている。その一つとして、RARE法と呼ばれるパルスシーケンス(例えば、非特許文献1:“Magnetic Resonance in Medicine Vol.3, 823-833, 1986”、非特許文献2:“Journal of Magnetic Resonance Imaging Vol.78, 397-407, 1988” 参照)や、GRASE法と呼ばれるパルスシーケンス(例えば、特許文献1:“米国特許第5270654号”参照)がある。
図35にはRARE法のパルスシーケンスを、図36にはGRASE法のパルスシーケンスをそれぞれ示す。これらの図において、パルスRFexは高周波励起パルス(RF excitation pulse)を、パルスRFre1 〜RFre5 は高周波反転パルス(RF refocusing pulse)を示す。高周波励起パルスRFexに続いて高周波反転パルスRFre1〜RFre5が順次印加される。また、パルスGssはスライス方向傾斜磁場を、パルスGpeは位相エンコード方向傾斜磁場を、パルスGroはリード方向傾斜磁場を、さらに波形E(1)〜E(5)(又はE(1,1)〜E(5,3)はCPMGパルス系列によって発生するNMRエコー信号(位相検波後の波形)をそれぞれ示している。高周波パルスRFex、RFre1〜RFre5を印加するときの位相φは、高周波励起パルスRFexに対してφ=0°、高周波反転パルスRFre1〜RFre5に対してφ=90°に夫々設定されている。また、高周波パルスによって磁化スピンを倒すフリップ角θは、高周波励起パルスRFexに対してθ=α(一般に90°)、高周波反転パルスRFre1〜RFre5に対してθ=β1〜β5(一般に180°)である。図35、36のいずれのパルスシーケンスもCPMGパルス系列を利用して複数のエコー信号を発生させ、それぞれのエコー信号に大きさ(パルス面積)の異なる位相エンコード(位相エンコード方向傾斜磁場パルスGpe)を施すことで、1フレームの画像の再構成に必要なエコーデータを収集している。これにより、従来のスピンエコー法に比べて、撮像時間が数分の1から数百分の1で済む。
このCPMGパルス系列、位相反転CPパルス系列の如く、複数の高周波反転パルスを用いたパルス系列の場合、その各高周波反転パルス間で収集されるそれぞれのエコー信号は位相ダイヤグラム上の複数の経路を経たエコー成分の総和であることが、明らかになっている(例えば、非特許文献2:“Journal of Magnetic Resonance Imaging Vol.78, 397 -407, 1988”、非特許文献3:“Magnetic Resonance in Medicine Vol.30, 183-191, 1993”参照)。
また、これらのパルスシーケンスを使う場合、傾斜磁場パルスのスイッチングに起因してMRI装置の導体部分に生じる渦電流、傾斜磁場コイルの製造誤差、そのほかのMRI装置の校正の不完全性を主たる原因として、各エコー成分に、互いに異なる空間的分布を持った位相ずれが生じる。このことは、具体的には、例えば、特許文献2:特開平6−121777号公報、特許文献3:特開平6−54827号公報、さらには、特許文献4:米国特許第5378985号明細書に記載されている。このため、再構成画像の位相エンコード方向にゴーストアーチファクトが発生したり、画像の信号値が局所的に低下したり、画像全体のS/N比が低下するなどの現象が生じ、画質を著しく劣化させてしまうことがある。この不具合は、傾斜磁場パルスを短いスイッチング時間の間に強度を大きく変化させなければならない高空間分解能の撮像や、エコー数を非常に多くとる撮像の場合に特に顕著である。
この画質劣化の不具合を解消する一つの方法(第1の従来技術)が、前述した特許文献4:米国特許第5378985号明細書に示されている。被検体に対するMR画像取得のための実際の撮像(以下、「本スキャン」という)に先立って、プリスキャンと呼ばれるスキャンを実施する。このプリスキャンでは、位相エンコード方向の傾斜磁場パルスの強度を零にした状態でスキャンを実施し、これにより得た各エコー信号に1次元のフーリエ変換を施す。これにより得た位相分布の0次、1次の成分を補正データとして算出し、本スキャンの傾斜磁場パルスの波形および高周波パルスを印加する位相(以下、「印加位相」という)を補正している。この印加位相は、図38に示す如く、回転座標系X′,Y′,Z′のX′,Y′面における基準とする座標軸、例えばX′に対する高周波パルスの印加時の磁化Mの位相φとして表される。
ところで、このCPMGパルス系列、位相反転CPパルス系列などの複数の高周波反転パルスを用いた撮像においては、また別の物理的性質も分かっている。つまり、高周波励起パルスと第1番目の高周波反転パルスとの間で横磁化が位相誤差を受けたり、また、それ以降の隣接する高周波反転パルス間で横磁化が一律に同じ大きさの位相誤差を受けたりすると、各エコー信号(複数の経路を経たエコー成分の総和)は2つのグループのエコー群に分かれる、というものである。この性質は例えば、非特許文献4:“Magnetic Resonance in Medicine Vol.30, 251-255, 1993”に示されている。
RARE法やGRASE法などのパルスシーケンスを使った場合、前述したように、ほぼ同じ形の傾斜磁場パルスが繰り返して印加されるので、傾斜磁場パルス自体は勿論のこと、傾斜磁場パルスの大きさに比例する性質を有する渦磁場もそのパルス繰返しパターンに基づく位相誤差を生じて、2つのエコー成分のグループに分かれると考えられる。したがって、各エコー信号の位相ずれのパターンと再構成画像の画質劣化は、近似的には、2つのグループのエコー成分間の相互干渉に起因していると、考えることができる。
高周波励起パルスと第1番目の高周波反転パルスとの間で原子核スピンの横磁化が受ける位相誤差をΔφ1、それ以降の隣接する高周波反転パルス間でその横磁化が一律に受ける位相誤差をΔφ2とし、第n番目と第n+1番目の高周波反転パルス間で観測される2つのグループのエコー成分の内、全ての高周波反転パルスで位相反転(refocus)される経路のエコー成分を含むものを主エコー成分Emain(n)、それ以外のエコー成分を副エコー成分Esub(n)とすると、両エコー成分Emain(n)、Esub(n)の位相は、
Figure 2004283627
Figure 2004283627
で表される。
撮像領域の各々の点において生じるエコー信号は、このような対応関係があるため、それらの総和である(観測される)エコー信号の位相や位相のちらばり程度を示す位相分散の大きさについても同様の対応関係がある。図38は各高周波反転パルス間でのリード方向傾斜磁場に因る各エコー信号の位相分散の大きさの変化を模式的に説明する位相ダイヤグラムである。同図の縦軸はリード方向傾斜磁場に因るエコー信号の位相分散の大きさ(相対値)であり、位相分散の等しいエコー成分の同図上での変化を示す経路が分かり易くなるように、故意に、高周波励起パルスと第1高周波反転パルスとの間のリード方向傾斜磁場の時間積分値を正規の値A(正規には同図中のパルスBの1/2)よりもΔAだけ増やしている。前述した文献2)に示す如く、ある位相分散を有する横磁化成分(エコー成分)は高周波反転パルスによって、分散関係が反転する横磁化成分と、反転しない横磁化成分と、縦磁化として保存される成分の3つに分化することが知られている。その後の高周波反転パルスの印加間隔、印加する傾斜磁場波形は規則的であることから、位相ダイヤグラム上のいくつかの経路のエコー成分は等しい位相分散の大きさを持って重なるため、同図に示すように規則的な分散パターンになる。同図中、太い実線は主エコー成分Emainと同位相のエコー成分のグループで、細い実線は副エコー成分Esubと同位相のエコー成分のグループである。またエコー収集の期間において、位相分散の大きさが正又は負の方向に大きく離れているエコー成分の殆どは、そのエコー成分が属するグループ内のスピン同士の位相干渉に因ってエコー信号としては観測できない、いわゆるスポイルされた状態にある。したがって、実際にエコー信号として収集される部分は主に、図中、矢印で示す部分(データ収集中に位相分散が零になる瞬間がある成分)ということになる。
一方、エコー信号の位相を見てみると、エコー信号の位相と高周波パルスの印加位相の対応関係から、CPMGパルス系列又は位相反転CPパルス系列の印加位相の条件を満たし、そのほかハードウエアの不完全性に因るスピン位相の誤差が無いものとすると、主エコー成分Emain(n)と副エコー成分Esub(n)の位相は一致する。実際に収集されるエコー信号は、両エコー成分の和であり、
[数3]
E(n)=Emain(n)+Esub(n)
となる。未調整でも図38中のΔAは十分に小さいため、2つのエコー成分のピークは重なって見えることが多い。
また、両方のエコー成分Emain(n)、Esub(n)の振幅は、高周波反転パルス数n、高周波パルスのスライス特性、フリップ角などに依存することが確認されている(例えば、非特許文献5:“Society of Magnetic Resonance in Medicine, Pro. of Annual Meeting in 1992 No.4508” 、非特許文献6:“Society of Magnetic Resonance in Medicine, Pro. of Annual Meeting in 1991 No.1025”参照)。
このため、両方のエコー成分Emain(n)、Esub(n)の振幅比R(n)が分からない限り、収集されるエコー信号から位相誤差を抽出することはできない。
このような状況下において、前述した特許公報2);特開平6−54827号記載の磁気共鳴画像化方法および装置には、上述した不具合を解消すべく別の従来技術(第2の従来技術)が開示されている。この開示による補正処理を上述と同一の記号で示すと、
[数4]
|Esub(1)|=0
であり、第1番目の高周波反転パルスのフリップ角がほぼ180°である場合、
[数5]
|Esub(2)|=ほぼ零
である。このため、
Figure 2004283627
となる。これを利用して、前述と同様のプリスキャンから得られた第1エコー信号および第2エコー信号の情報のみから、本スキャンの傾斜磁場波形および高周波パルスの印加位相を修正し、比較的簡便な補正を行おうとするものである。
この第2の従来技術を図39〜41に基づいて詳述する。図39にはプリスキャンのパルスシーケンスを、図40には本スキャンのパルスシーケンスを、図41には補正処理のフローチャートをそれぞれ示す。
図41に示すように、最初に図39のパルスシーケンスにしたがってプリスキャンが実施される(ステップ101)。このプリスキャンは位相エンコード方向の傾斜磁場が常に零である(Gpe=0)。いま何らかの原因に拠って位相ずれが在る場合、同図に示すように第1エコー信号E(1)を除く各エコー信号はそれぞれ2つのエコー成分Emain(n)、Esub(n)に分かれる。実際には、2つのエコー成分Emain(n)、Esub(n)のずれは小さく、エコーピークは2つに分かれず、エコーピークの位置ずれp(n)と位相のずれφ(n)が各エコー毎に交互に振動するように変化する。第2の従来技術によれば、第1、第2エコー信号E(1)、E(2)のエコーピークの位置ずれp(1),p(2)および位相ずれφ(1),φ(2)が測定される(ステップ102)。磁場中心から選択されたスライス面までの距離をxsとすると、高周波パルスの印加位相の補正量Δφ(あるいはスライス方向傾斜磁場パルスGssの補正量ΔGssに対する「ΔGss・xs」)は位相ずれφ(1),φ(2)の位相差に比例し、ΔGroは位置ずれp(1),p(2)の差に比例する。この関係に基づいて、求めたp(1),p(2),φ(1),φ(2)から本スキャン時の高周波パルスの印加位相の補正量Δφ及びスライス方向傾斜磁場パルスGssの補正量ΔGssのいずれか、及びリード方向傾斜磁場パルスGroの補正量ΔGroが演算される(ステップ103)。ついで、これらの補正量Δφ(又はΔGss)およびΔGroでパルスシーケンスが修正され(図40参照)、このパルスシーケンスにより本スキャンが実行される(ステップ104)。
米国特許第5270654号明細書 特開平6−121777号公報 特開平6−54827号公報 米国特許第5378985号明細書 "Magnetic Resonance in Medicine Vol.3, 823-833, 1986" "Journal of Magnetic Resonance Imaging Vol.78, 397-407, 1988" "Magnetic Resonance in Medicine Vol.30, 183-191, 1993" "Magnetic Resonance in Medicine Vol.30, 251-255, 1993" "Society of Magnetic Resonance in Medicine, Pro. of Annual Meeting in 1992 No.4508" "Society of Magnetic Resonance in Medicine, Pro. of Annual Meeting in 1991 No.1025"
上述した第1、第2の従来技術は、それぞれのエコー成分が相異なる空間的分布を持った位相ずれを起こしたことに因る位相エンコード方向のアーチファクトなどの不具合を改善しようとするものではあったが、以下の示す如く、未解決の課題があった。
(1)第1に、高周波反転パルスのフリップ角が180°からずれている場合、本スキャンに対する高周波パルスの印加位相及び傾斜磁場波形の補正精度が低下するという問題である。
例えば|Emain(n)|=|Esub(n)|の場合、2つのエコー成分Emain(n)、Esub(n)の位相差がいくら大きくても、その2つのエコー成分Emain(n)、Esub(n)のベクトル和である第n番目に収集されるエコー信号の位相は変化しない。この理由に拠り、第1、第2の従来技術のいずれの手法を実施したとしても補正が的確に実施されず、MR画像の画質は一向に改善されないか、改善されたとしても不十分な程度に終わることが多い。
フリップ角が180°からずれる又はずらしているという状況は決して特殊なものではない。例えば、前述した非特許文献5:“Society of Magnetic Resonance in Medicine, Pro. Of Annual Meeting in 1992 No.4508”でも述べられているように、現状のFSE(FastSE)法の場合でも、第4〜第8番目のエコーで主エコー成分Emain(n)と副エコー成分Esub(n)の振幅がほぼ等しくなっていることが報告されている。また、非特許文献3:“Magnetic Resonance in Medicine Vol.30, 183-191, 1993”では、各エコー信号の振幅を安定化させるために高周波反転パルスのそれぞれのスライス特性、フリップ角を個別に変化させている。さらに、この技術を利用してT2緩和による各エコー信号の減衰を減らす試みも報告されている(“Society of Magnetic Resonance, Proc. of 2nd Annual Meeting in 1994 No.27”参照)。さらに、マルチスライス撮像の場合、高周波反転パルスのフリップ角を180°以下の値に設定し、SAR(RF被爆)の低減、MTC効果による組織コントラストの変化を低減させることができるという報告もある(“Society of Magnetic Resonance in Medicine, Proc. of Annual Meeting in 1993 No.1244”参照)。
以上のように、高周波反転パルスのフリップ角が180°からずれている場合も多く、かかる状況下で前述した第1、第2の従来技術による補正はその精度及び安定性の面で不足である。
この問題は前述した特許文献3:特開平6−54827号でも指摘されているところである(同公報第11ページ、18−27行目参照)。この問題に対して、同特許公報の技術では、スライス方向の傾斜磁場を駆使して一方のエコー成分をディフェイズさせるなどの回避方法が示されているが、傾斜磁場パルスの波形を変形させるので、システムの校正の不完全性の影響を受けるなど、シーケンス調整の自動化には適さないことが多いという問題がある。
(2)第2の問題は、複数ある位相ずれの要因のうち、従来の方法で補正できるのは一部の要因によるものであり、全てではないということである。前述した第1、第2の従来技術のいずれにあっても、プリスキャンの位相エンコード方向の傾斜磁場パルスGpeは常に零である。このため、プリスキャンにより得られるエコー信号は本スキャンにおける位相エンコード方向の傾斜磁場パルスに起因する位相ずれ成分を含んでいない。つまり、a);位相エンコード方向の傾斜磁場パルス自体のずれ、b);位相エンコード方向の傾斜磁場パルスに起因する渦磁場に因る0次あるいは1次以上の空間分布を持つ位相ずれ、などは原理的に補正できない。スキャンの空間分解能の高度化、高速化が進んでいる昨今において、パルスシーケンスの種類によっては、位相エンコード方向の傾斜磁場に起因する位相ずれ成分を到底無視できない状況にあり、かかる補正に対する制限は何としても打破したいところである。
(3)第3の問題は、補正値の精度が撮像対象の状態により変化してしまうことである。前述した第1、第2の従来技術では、撮像対象からのエコー信号をもとに補正情報を求めているため、撮像対象の形状、状態によっては正確な位相誤差を測定できないこともあり、補正の安定性の面で問題がある。
例えば医用診断装置の場合、頸椎のアキシャル像のT2強調画像では主な信号源が断面に対してほぼ垂直な方向に流れる脳脊髄液(Cerebral Spinal Fluid: CSF)であるため、パルスシーケンスで使用している傾斜磁場パルスに因り流れ速度に関係した原子核スピンの位相変化が生じる。この位相変化を従来の第1、第2の従来技術に示された手法で補正する場合、かかる位相変化はほぼそのままプリスキャンでも表れるから、プリスキャンから求められる補正量の正確性に欠け、信頼性の低いものとなって、目的とする位相変化を誤って補正してしまうこともあるなど、補正精度が低く、その安定性に劣る。このため、原子核スピンが静止している部位でも、ゴーストアーチファクトが現れたり、信号値が低下してS/N比が低下したりするなどの不具合に帰着するし、また、高いエコー信号が出る部位の動きが激しい場合、画質が劣化する場合がある。これは、本スキャン時のパルスシーケンスの補正情報(補正量)を形状、状態が未知の撮像対象から予め得ることを特徴とする補正手法の場合、ある程度避けられない問題ではあるものの、臨床診断上問題となっている。
この発明は上述した不具合、問題に鑑みてなされたものである。(1);プリスキャンを実施して本スキャン時のパルスシーケンスに必要な補正量を求める処理を前提とする磁気共鳴イメージングにおいて、従来よりも高周波反転パルスのフリップ角の変動に高い耐性を呈し、安定した動作のプリスキャンを実施でき、本スキャン時のパルスシーケンスをより高精度に補正でき、再構成されるMR画像の画質劣化を抑えることができるMRIパルスシーケンスの自動補正方法及びMRI装置を提供することを、本発明の第1の目的とする。また、(2);プリスキャンを実施して本スキャン時のパルスシーケンスに必要な補正量を求める処理を前提とする磁気共鳴イメージングにおいて、位相エンコード方向の傾斜磁場パルスに起因する位相ずれ成分も精度良く補正できるようにし、再構成されるMR画像の画質向上を図ることを、本発明の第2の目的とする。また、(3);プリスキャンを実施して本スキャン時のパルスシーケンスに必要な補正量を求める処理を前提とする磁気共鳴イメージングにおいて、主要な信号源が高速で動いている場合でも、本スキャン時のパルスシーケンスの補正精度の低下を防止し、再構成されるMR画像の画質劣化を抑えることを、本発明の第3の目的とする。
以上を集約すると、上記第1〜第3の目的の少なくとも1つを達成させて、CPMGパルス系列、位相反転CPパルス系列などの複数の高周波反転パルスを使うパルスシーケンスを用いた撮像において、必要な補正情報の収集と補正を従来よりも系統的に実施して、かかる補正の精度及び安定性を向上させ、空間分解能、ゴーストアーチファクト、画像コントラストなどの面で高画質のMR画像を提供することである。
上述した目的を達成するために、本発明に本発明に係るMRI装置によれば、被検体のMR画像を得るための本スキャンの前に、高周波励起パルス及び複数の高周波反転パルスを有しかつその複数の高周波反転パルスの印加位相を基準位相値に設定したパルスシーケンスの第1のプリスキャン、及び、高周波励起パルス及び複数の高周波反転パルスを有しかつその複数の高周波反転パルスの内の偶数番目の高周波反転パルスの印加位相を前記基準位相値に対して180°の位相差を有する値に設定したパルスシーケンスの第2のプリスキャンを各別に実施するスキャン手段と、前記第1のプリスキャンにより得た複数のエコー信号から成る第1のエコーデータ群と前記第2のプリスキャンにより得た複数のエコー信号から成る第2のエコーデータ群とに基づいて前記本スキャンのパルスシーケンスを事前に補正する補正手段と、を備えたことを特徴とする。
例えば、前記第1、第2のプリスキャンのパルスシーケンス及び前記本スキャンのパルスシーケンスはCPMGパルス系列又は位相反転CPパルス系列である。また例えば、前記第1、第2のプリスキャンのパルスシーケンス及び前記本スキャンのパルスシーケンスはGRASE法又は高速SE法に従うパルス系列である。また例えば、前記第1、第2のプリスキャンのパルスシーケンスの位相エンコード用傾斜磁場は常に零である。また、前記補正手段は、典型的には、前記第1のエコーデータ群と前記第2のエコーデータ群との対応する順番のエコーデータ同士で加算又は減算して主エコー成分から成る主エコー集合体とその主エコー成分以外のエコー成分から成る副エコー集合体とを分離・抽出する手段と、前記主エコー集合体及び副エコー集合体の各集合体の内の奇数番目及び偶数番目のエコーデータのエコーピークの位相ずれ及び位置ずれの少なくとも一方を演算する手段と、この演算値から求めた補正データにより前記本スキャンのパルスシーケンスを自動的に補正する手段と、を備える。
さらに、好適には、前記第1、第2のプリスキャンのパルスシーケンスの位相エンコード用傾斜磁場は、前記本スキャンにおけるk空間の中心位置を含むデータラインに配置するエコーデータ収集時のショットと同一の位相エンコード用傾斜磁場の波形である。
また、一例として、前記第1、第2のプリスキャンのパルスシーケンスの位相エンコード用傾斜磁場は、前記本スキャンにおけるk空間上の一部又は全面のエコーデータ収集時のショットと同一の位相エンコード用傾斜磁場の波形であってもよい。
さらに、前記第1、第2のプリスキャンを実施する対象は、例えば、前記被検体とは異なるファントムである。
さらに、前記補正手段は、この第1、第2のエコーデータ群に基づいてイメージングチャンネルと傾斜磁場コイルの物理チャンネルとの組み合わせに対して固有の位相誤差に関連する情報を求める手段と、本スキャン時にはその位相誤差関連の情報と傾斜磁場に関連した撮像条件とから本スキャンのパルスシーケンスの補正データを求める手段とを含むように構成してもよい。
以上説明したように、本発明に係るMRI装置によれば、高周波反転パルスの印加位相を基準位相値に設定したパルスシーケンスの第1のプリスキャン、及び複数の前記高周波反転パルスの内の偶数番目の高周波反転パルスの印加位相を基準位相値に対して180°の位相差を有する値に設定したパルスシーケンスの第2のプリスキャンを各別に実施し、第1のプリスキャンにより得た複数のエコー信号から成る第1のエコーデータ群と第2のプリスキャンにより得た複数のエコー信号から成る第2のエコーデータ群とに基づいて本スキャンのパルスシーケンスを事前に補正するため、本スキャンのパルスシーケンスの補正が、従来とは異なり、十分に分離された主エコー成分及び副エコー成分に基づいて実施されることから、従来よりも高周波反転パルスのフリップ角の変化に高い耐性を発揮でき、安定したプリスキャンとなり、強いては補正精度が高く、高品質のMR画像を提供することができる。
とくに、上記第1、第2のプリスキャンのパルスシーケンスの位相エンコード用傾斜磁場は、本スキャンにおけるk空間の中心位置を含むデータラインに配置するエコーデータ収集時のショットと同一の位相エンコード用傾斜磁場の波形とすることで、位相エンコード方向の傾斜磁場に起因する位相ずれ成分の内、空間的に一様な位相ずれ成分(0次成分)を補正できる。また上記第1、第2のプリスキャンのパルスシーケンスの位相エンコード用傾斜磁場は、本スキャンにおけるk空間上の一部又は全面のエコーデータ収集時のショットと同一の位相エンコード用傾斜磁場の波形とすることで、位相エンコード方向の傾斜磁場に起因する位相ずれ成分の内、位相エンコード方向に1次の空間分布を持つ成分も補正できる。このように、従来では測定不可能であった位相エンコード方向の傾斜磁場に起因する位相ずれ成分を好適に補正でき、補正精度がさらに向上し、高画質のMR画像を提供できる。
またとくに、前記第1、第2のプリスキャンを実施する対象を、被検体とは異なるファントムとすることで、動きの無い一様なMR信号強度分布を持つ理想的なファントムを予め用意できるから、被検体内の主なMR信号源が激しく動くような場合でも、正確な補正データを得て補正精度を向上させることができる一方、スキャンの際、被検体に対してプリスキャンを行わなくても済むため、被検体の拘束時間が少なくなり、MR診断の容易化を図ることもできる。
このように、本発明によれば、CPMGパルス系列、位相反転CPパルス系列などの複数の高周波反転パルスを使うパルスシーケンスを用いた撮像において、必要な補正情報の収集と補正を従来よりも系統的に実施して、かかる補正の精度及び安定性を向上させ、空間分解能、ゴーストアーチファクト、画像コントラストなどの面で高画質のMR画像を提供することができる。
以下、この発明の各種の実施の形態を、図面を参照して説明する。最初に、以下に詳述する実施形態と本発明に係る上記第1〜第3の目的との対応関係を示しておく。
第1の実施形態は第1の目的を、第2の実施形態及びその変形形態は第2の目的を、第3の実施形態は同じく第2の目的を、第4の実施形態及びその変形形態は第3の目的をそれぞれ達成しようとするものである。なお、第5の実施形態は、第1〜第4の実施形態とは異なるアプローチを採り、空間分解能、ゴーストアーチファクト、画像コントラストなどの面で高画質のMR画像を提供する。
(第1の実施形態)
この発明に係る第1の実施形態を図1〜図8に基づき説明する。
この実施形態に係る磁気共鳴イメージング(MRI)装置の概略構成を図1に示す。このMRI装置は、静磁場発生用の磁石部と、静磁場に位置情報を付加するための傾斜磁場部と、選択励起用及びMR信号受信用の送受信部と、システムコントロール及び画像再構成を担う制御・演算部とを備えている。
磁石部は、例えば超電導方式の磁石1と、この磁石1に電流を供給する静磁場電源2とを備え、撮影対象としての被検体Pが挿入される円筒状の診断空間のZ軸方向(長手方向)に静磁場Hを発生させる。
傾斜磁場部は、磁石1に組み込まれたX,Y,Z軸方向の3組の傾斜磁場コイル3x〜3zと、この傾斜磁場コイル3x〜3zに電流を供給する傾斜磁場電源4と、この電源4を制御する傾斜磁場シーケンサ5aとを備える。この傾斜磁場シーケンサ5aはコンピュータを備え、装置全体のコントローラ6(コンピュータを搭載)からプリスキャン及び本スキャンを実施するためのFSE法,GRASE法などの収集シーケンスを指令する信号を受けると、この指令に応答して図2に示す処理を実行する。これにより、傾斜磁場シーケンサ5aは、指令されたシーケンスにしたがってX,Y,Z軸方向の各傾斜磁場の印加及びその強度を制御し、それらの傾斜磁場が静磁場Hに重畳可能になっている。この実施例では、互いに直交する3軸の内のZ軸方向の傾斜磁場をスライス用傾斜磁場Gとし、X軸方向のそれを読出し用傾斜磁場Gとし、さらにY軸方向のそれを位相エンコード用傾斜磁場Gとする。
送受信部は、磁石1内の撮影空間にて被検体Pの近傍に配設される高周波コイル7と、この高周波コイル7に接続された送信機8T及び受信機8Rと、この送信機8T及び受信機8Rの動作タイミングを制御するRFシーケンサ5b(コンピュータを搭載)とを備える。RFシーケンサ5bは前記傾斜磁場シーケンサ5aと共にシーケンサ5を成す。RFシーケンサ5bは傾斜磁場シーケンサ5aと同期した状態でRFパルスの印加を指令できる。送信機8T及び受信機8Rは、RFシーケンサ5bの制御のもと、核磁気共鳴(NMR)を励起させるためのラーモア周波数のRF電流パルスを高周波(RF)コイル7に供給する一方、高周波コイル7が受信したMR信号(高周波信号)に各種の信号処理を施してエコー信号を形成するようになっている。
さらに、制御・演算部は、上述したコントローラ6のほか、受信機8Rで形成されたデジタル量のエコー信号を受けるマルチプレクサ11を備える。マルチプレクサ11はコントローラ6からの制御信号に応答して、その出力経路をコントローラ側及び再構成ユニット側との間で択一的に切り換える。さらに、マルチプレクサ11の一方の出力側には、フーリエ変換法により画像再構成を行う再構成ユニット12と、再構成した画像データを保管する記憶ユニット13と、画像を表示する表示器14と、入力器15とを備えている。コントローラ6は前述したようにコンピュータを内蔵し、システム全体の動作内容及び動作タイミングを制御する。
次に、この実施形態の動作を説明する。なお、ここでは、パルスシーケンスとしてFSE(高速SE)法が採用されているとする。
コントローラ6は図2の処理を実施する。この処理には2種類のプリスキャンA,Bが含まれている。最初に、コントローラ6はマルチプレクサ11のスイッチ経路をコントローラ6側に切り換えた状態で、図3に示すパルスシーケンスのプリスキャンAをシーケンサ5に実行させ、その結果得られたエコー信号を入力する(図2ステップS1)。
このプリスキャンAでは、最初に、スライス用傾斜磁場パルスGssとともに高周波励起パルスRFex(印加位相φ=0°、フリップ角θ=α(ここでは90°))が印加される。このτ/2の時間経過後に、スライス用傾斜磁場パルスGssとともに第1番目の高周波反転パルスRFre1(印加位相φ=90°、フリップ角θ=β1(ここでは180°))が印加される。そして、最初の高周波励起パルスRFexの印加からτ時間後に、リード用傾斜磁場パルスGroを印加しながらエコー信号E(1)読み出される。以後、第1番目の高周波反転パルスRFre1の印加からτ時間毎に第2番目以降の高周波反転パルスRFre2,RFre3…がスライス用傾斜磁場パルスGssとともに印加され、エコー信号E(2),E(3),…が同様に読み出される。このプリンスキャンAでは同図に示すように、位相エンコード用傾斜磁場パルスGpeは常に零となっている。
このプリンスピンAにおいては、何等かの原因に因り原子核スピンに位相ずれがある場合、前述と同様に、最初のエコー信号E(1)以外のエコー信号E(2),E(3),…のそれぞれは、2つのエコー成分、すなわち主エコー成分Emain(2)(Emain(3),…)と副エコー成分Esub(2)(Esub(3),…)とに分かれる(図3参照)。そのような位相ずれの原因が無いとき、主エコー成分Emain(n)の位相arg{Emain(n)}と副エコー成分Esub(n)の位相arg{Esub(n)}は等しい(n=2、3、…)。
次いでコントローラ6は図4に示す2番目のプリスピンBをシーケンサ5に実行させ、その結果得られたエコー信号を入力する(図2ステップS2)。
このプリスキャンBでも最初に、スライス用傾斜磁場パルスGssとともに高周波励起パルスRFex(印加位相φ=0°、フリップ角θ=α(ここでは90°))が印加される。このτ/2の時間経過後に、スライス用傾斜磁場パルスGssとともに高周波反転パルスRFre1(印加位相φ=90°、フリップ角θ=α(ここでは180°))が印加される。そして、最初の高周波励起パルスRFexの印加からτ時間後に、リード用傾斜磁場パルスGroを印加しながらエコー信号E(1)が読み出される。以後、第1番目の高周波反転パルスRFre1の印加からτ時間毎に第2番目以降の高周波反転パルスRFre2,RFre3,…がスライス用傾斜磁場パルスGssとともに印加され、エコー信号E(2),E(3),…が同様に読み出される。
このプリスキャンBでは、偶数番目の高周波反転パルスRFre2,RFre4,…の印加位相φは図4に記載の如く、奇数番目の高周波反転パルスRFre3,REre5,…のそれをさらに180°だけ回転させた値(φ=270°)に設定してある。また、位相エンコード用傾斜磁場パルスGpeはプリスキャンAと同様に常に零となっている。
何等かの原因に因り原子核スピンに位相ずれがある場合、前述と同様に、最初のエコー信号E(1)以外のエコー信号E(2),E(3),…のそれぞれは、2つのエコー成分、すなわち主エコー成分Emain(2)(Emain(3),…)と副エコー成分Esub(2)(Esub(3),…)とに分かれ(図3参照)、しかも偶数番目の高周波反転パルスRFre2,RFre4,…の印加位相φを180°だけ余計に回転させているため、副エコー成分Esub(2),Esub(3),…の位相arg{Esub(n)}だけがプリンスキャンA時の対応する位相に対して180°回転する。
この理由を図8を用いて説明する。同図に示すように、いま、第n番目のエコー信号の位相をθ,第n+1番目、第n+2番目の高周波反転パルスの位相をそれぞれφn+1、φn+2とする。第n+2番目の高周波反転パルスで生じるSE(spin echo)成分の位相θn+2,SE、STE(stimulatedecho)成分の位相θn+2,STEは、
Figure 2004283627
で表される。
図3の場合、1以上の全ての整数nに対して、φ=90°、θ=90°、θn+2,SE=90°、θθn+2,STE=90°、である。したがって、位相ダイヤグラム上の複数のエコー経路の合成であるEmain(n)、Esub(n)の位相も等しく、それぞれ90°となる。
図4の場合は2通りに分けて考える。
n=2m(mは1以上の整数)のとき、
Figure 2004283627
第n番目の主エコー成分Emain(n)からφn+1,φn+2に因り生じるSTE成分はEsub(n+2)であるから、上記により、n=2以上の全てのnについて図4における副エコー成分Esub(n)の位相は270°、つまり図3の状態から180°反転していることが分かる。
図8には隣接する高周波反転パルス間で生じる、ある限られた数の経路についての位相の対応関係しか示していないが、前述した図38に示す規則性がエコー信号の位相の対応関係にもあるため、プリスキャンBの副エコー成分の位相はプリスキャンAのそれに対して、180°回転する。
本実施例では、CPMGパルス系列の印加位相の組み合わせを基本に変更しているが、これに限定されるものではなく、プリスキャンA,Bの高周波パルスの印加位相の組み合わせは、上記(*)式を満たし、主エコー成分Emain(n)又は副エコー成分Esub(n)が2つのプリスキャンで180°の位相差を持つようにするならば、どのような位相の組み合わせでもよい。
再び、図2に戻って説明する。上述のプリスキャンの結果、プリスキャンAで得られたエコー信号をEa(n)、プリスキャンBで得られたエコー信号をEb(n)とすると(n=2,3,…)、
Figure 2004283627
の関係が成立する。そこで、コントローラ6はプリスキャンA,Bで得られたエコー信号同士の平均化の処理を行う(図2ステップS3)。つまり、
[数10]
{Ea(n)+Eb(n)}/2、(ここでn=1,2,…)
の演算を行う。この平均化演算の概念を図5(a),(b)および図6の模式図に示す。これらの図に示すように、2番目以降のエコー信号E(2),E(3),…では副エコー成分Esub(2),Esub(3),…の位相が2回のプリスキャンA,Bにおいて互いに180°異なるので適宜相殺され、主エコー成分Emain(n)(n=1,2,…)のみが抽出される。
なお、図6(b)には、
[数11]
{Ea(n)−Eb(n)}/2
の演算を行った場合の、副エコー成分Esub(n)(n=2,3,…)のみが抽出される様子を模式的に示す。
さらにコントローラ6は第1、第2番目のエコー信号に基づいて主エコー成分のピークの純粋な位相ずれφmain(1)、φmain(2)および位置ずれpmain(1)、pmain(2)を演算する(図2ステップS4)。
次いで、従来の場合と同様に、
[数12]
φmain(1)−φmain(2)
および
[数13]
pmain(1)−pmain(2)
の値に基づいて、本スキャン時における、高周波パルスRFの印加位相φの補正量Δφ又はスライス用傾斜磁場パルスGssの補正量ΔGss、およびリード方向傾斜磁場パルスGroの補正量ΔGroを演算する(同図ステップS5)。
最後に、コントローラ6はマルチプレクサ11のスイッチ経路を再構成ユニット12側に切換え、シーケンサ5に対して図7に示すパルスシーケンスに基づく本スキャンを実行させる(図2ステップS6)。
本スキャンでは同図に記載しているように、上述の補正演算結果を反映させたパルスシーケンスが用いられる。すなわち、最初にスライス用傾斜磁場パルスGssと共に印加される高周波励起パルスRFexの印加位相φがφ=Δφの値であるか、または、このスライス用傾斜磁場パルスGssの後に印加する、極性反転したディフェイズ防止用のスライス方向傾斜磁場パルスGssの強度がΔGssだけ補正された値となっている。また同時に、そのディフェイズ防止用のスライス方向傾斜磁場パルスGssと並行して印加するリード方向傾斜磁場パルスGroの強度はΔGroだけ補正された値となっている。
そして最初の励起からτ/2の時間経過後には、スライス用傾斜磁場パルスGssと共に最初の高周波反転パルスRFre1(印加位相φ=90°、フリップ角θ=β1(ここでは180°)が印加され、スピンの位相反転がなされる。次いで、このシーケンス実行毎に強度(パルス面積)が調整される位相エンコード用傾斜磁場パルスGpeが印加される。そして、最初の選択励起からのτ時間の経過に合わせてリード用傾斜磁場パルスGroが印加され、これと並行して第1番目のエコー信号E(1)が収集される。
以下同様に、スライス用傾斜磁場パルスGssと共に高周波反転パルスRFre2,RFre3,…(印加位相φ=90°、フリップ角θ=β2,β3,…(ここでは180°)が順次印加されるとともに、その間に、スピンの位相反転に伴うエコー信号E(2),E(3),…が順次収集される。なお、図7において、各エコー収集後には、極性反転させた位相エンコード方向傾斜磁場パルスGpeがリワインディングパルスとして印加され、これにより本スキャン時の疑似エコーの発生防止が図られる。
本スキャンにより収集されたエコー信号E(n)は順次、受信機8Rにて受信処理され、エコーデータに変換される。この処理には、エコー信号E(n)の直交検波やA/D変換も含まれる。エコーデータは再構成ユニット12にてk(フーリエ)空間を形成するメモリ上にエンコード量に応じて並べられ、フーリエ変換法によりMR画像に再構成される。
このように本実施形態では、従来の手法では除去しきれなかった、第2番目以降のエコー信号の副エコー成分(第2番目のエコー信号に限って言及すると、スティミュレーティッドエコーの成分)をほぼ完全に除去でき、主エコー成分のみを的確に抽出できるので、本スキャンのパルスシーケンスに対する補正精度が格段に向上し、安定した本スキャンを実施できるという利点がある。
なお、本実施形態における補正量Δφ、ΔGss、ΔGroの算出法は前述したものに限定されることなく、例えば、前記(1)式から明らかなように、第1、2番目以外、すなわち第3番目以降の偶数番目、奇数番目の主エコー成分の位相差およびエコーピーク位置の差を、かかる補正量Δφ、ΔGss、ΔGroの算出に用いてもよい。また、プリスキャンで得たエコーデータに1次元のフーリエ変換をkr方向について施し、読出し方向の位相分布曲線を得て、その曲線の傾きと切片、つまり位相分布曲線の読出し方向の1次成分および0次成分を求め、この1次成分および0次成分に基づいてエコーピークの位置ずれ、位相ずれを求めるようにしてもよい。
(第2の実施の形態)
この発明に係る第2の実施形態を図9〜図13に基づき説明する。なお、この実施形態を含め、以下の実施形態において上記第1の実施形態と同一又は同等の構成要素には同一符号を用いてその説明を省略又は簡略化する。
この実施形態に係るMRI装置は上述したものと同一であり、コントローラ6は図9に示す一連の処理を実行する。
まず、コントローラ6はマルチプレクサ11のスイッチ経路をコントローラ6側に切り換えた状態で、FSE法に係る2種類のプリスキャンC,Dの実行を順次、シーケンサ5に指令し、収集されたエコー信号を入力する(図9ステップS11,S12)。最初のプリスキャンCについては図10に、後のプリスキャンDについては図11に、それぞれ、パルスシーケンスを示す。
最初のプリスキャンCでは、1つの高周波励起パルスRFex(印加位相φ=0°、フリップ角θ=α(ここでは90°))に続いて複数の高周波反転パルスRFre1,RFre2,…(印加位相φ=90°、フリップ角θ=β1、β2、…(ここでは180°))が順次、スライス用傾斜磁場パルスGssと共に印加され、読出し方向の傾斜磁場パルスGroの印加と共に各エコー信号Ec(n)が収集される。位相エンコード用傾斜磁場パルスGpeは、本スキャンでのk空間の中心を含むデータラインを収集するときのショットと同じ強度変化に設定されている。この結果、プリスキャンCにおける高周波パルスおよび傾斜磁場パルスは、本スキャンでのk空間の中心を含むデータラインを収集するときのショットと同じ波形に設定されている(この点は、従来および第1の実施形態に係るプリスキャンのパルスシーケンスと異なる)。
いま、何等かの原因に因り原子核スピンに位相ずれがあるとすると、前述と同様に、最初のエコー信号E(1)以外のエコー信号E(2),E(3),…のそれぞれは、2つのエコー成分、すなわち主エコー成分Emain(2)(Emain(3),…)と副エコー成分Esub(2)(Esub(3),…)とに分かれる(図10参照)。
後のプリスキャンDも、1つの高周波励起パルスRFex(印加位相φ=0°、フリップ角θ=α(ここでは90°))に続いて複数の高周波反転パルスRFre1,RFre2,…(印加位相φ=90°又は270°、フリップ角θ=β1、β2、…(ここでは180°))が順次、スライス用傾斜磁場パルスGssと共に印加され、読出し方向の傾斜磁場パルスGroの印加と共に各エコー信号Ed(n)が収集される。位相エンコード用傾斜磁場パルスGpeは、本スキャンでのk空間の中心を含むデータラインを収集するときのショットと同じ強度変化に設定されている。この結果、プリスキャンDにおける傾斜磁場パルスは、本スキャンでのk空間の中心を含むデータラインを収集するときのショットと同じ波形に設定されている(この点は、従来および第1の実施形態に係るプリスキャンのパルスシーケンスと異なる)。しかし、高周波パルスに関しては、前述した第1の実施形態におけるプリスキャンBと同様に、偶数番目の高周波反転パルスRFre2,RFre4,…の印加位相をさらに180°だけ回転させ、φ=270°に設定されている。
ここでも、何等かの原因に因り原子核スピンに位相ずれがある場合、最初のエコー信号E(1)以外のエコー信号E(2),E(3),…のそれぞれは、2つのエコー成分、すなわち主エコー成分Emain(2)(Emain(3),…)と副エコー成分Esub(2)(Esub(3),…)とに分かれ(図11参照)、しかも偶数番目の高周波反転パルスRFre2,RFre4,…の印加位相φを180°だけ余計に回転させているため、偶数番目の副エコー成分Esub(2),Esub(3),…の位相arg{Esub(n)}だけがプリンスキャンC時のそれに対して180°回転する。
いま、プリスキャンCで得られたエコー信号をEc(n)、プリスキャンDで得られたエコー信号をEd(n)とする。両方のプリスキャンにおいて実効エコー時間に相当する位置、すなわち第neff番目のエコー信号E(neff)(図10、11の例では第3番目のエコー信号E(3))を除くエコー信号には位相エンコードが施されている。そこで、本スキャン時の補正量演算に使用できるエコー信号は、実効エコー時間に相当する位置、すなわち第3番目のエコー信号Ec(3)、Ed(3)のみとなる。
次いでコントローラ6は、第neff番目のエコー信号E(neff)に相当する第3番目のエコー信号E(3)の主エコー成分Emain(3)及び副エコー成分Esub(3)を、
Figure 2004283627
に基づく、
Figure 2004283627
の演算を行って求める(図9ステップS13)。この演算により抽出された主エコー成分Emain(3)及び副エコー成分Esub(3)を図12に示す。本実施形態では第neff番目のエコー信号E(neff)に相当する第3番目のエコー信号E(3)の内、副エコー信号Esub(3)同士の位相が180°異なるため、上述のように、主エコー信号Emain(3)は加算平均により抽出され、副エコー信号Esub(3)は引算平均により抽出される。
さらにコントローラ6はこれらのエコーデータに基づいて第3番目のエコー信号E(3)の主エコー成分のピークの位相ずれφmain(3)及び位置ずれpmain(3)ならびに副エコー成分のピークの位相ずれφsub(3)及び位置ずれpsub(3)を演算する(図9ステップS14)。
次いで、従来手法と同様に、同一番目nの主エコー成分と副エコー成分の位相差
[数16]
φmain(neff)−φsub(neff
、および、ピーク位置の差
[数17]
pmain(neff)−psub(neff
の値、すなわち、ここでは、
Figure 2004283627
の値に基づいて、本スキャン時における、高周波パルスRFの印加位相φの補正量Δφ又はスライス用傾斜磁場パルスGssの補正量ΔGss、およびリード方向傾斜磁場パルスGroの補正量ΔGroを演算する(同図ステップS15)。なお、第neff番目が奇数か偶数かにより上記補正のための演算結果の極性が反転するので、常に同一極性となるように減算の順を統一する。
最後に、コントローラ6はマルチプレクサ11のスイッチ経路を再構成ユニット12側に切換え、シーケンサ5に対して図12に示すパルスシーケンスに基づく本スキャンを実行させる(図9ステップS16)。
本スキャンでは同図に記載しているように、上述の補正演算結果を反映させたパルスシーケンスが用いられる。すなわち、最初にスライス用傾斜磁場パルスGssと共に印加される高周波励起パルスRFex(フリップ角θ=α(ここでは90°)の印加位相φがφ=Δφの値であるか、または、このスライス用傾斜磁場パルスGssの後に印加する、極性反転したディフェイズ防止用のスライス方向傾斜磁場パルスGssの強度がΔGssだけ補正された値となっている。また同時に、そのディフェイズ防止用のスライス方向傾斜磁場パルスGssと並行して印加するリード方向傾斜磁場パルスGroの強度はΔGroだけ補正された値となっている。
以下、前述した図7と同様に、複数の高周波反転パルスRFre1,RFre2,…を使って、原子核スピンの位相反転に伴うエコー信号E(1),E(2),…が順次収集される。この本スキャンにより収集されたエコー信号E(n)は順次、受信機8Rを介してエコーデータとして再構成ユニット12に入力し、フーリエ変換法によりMR画像に再構成される。
このように本実施形態によれば、前述した第1の実施形態における利点に加えて、位相エンコード方向の傾斜磁場パルスに起因する位相ずれ成分の内、空間的に一様な位相ずれ成分、つまり0次成分を好適に補正することができ、本スキャンのパルスシーケンスに対する補正精度がより一層向上するという利点が得られる。
なお、本実施形態における補正量Δφ、ΔGss、ΔGroの算出法は前述したものに限定されることなく、例えば、プリスキャンで得たエコーデータに1次元のフーリエ変換をkr方向について施し、読出し方向の位相分布曲線を得て、その曲線の傾きと切片、つまり位相分布曲線の読出し方向の1次成分および0次成分を求め、この1次成分および0次成分に基づいてエコーピークの位置ずれ、位相ずれを求めるようにしてもよい。
(第2の実施の形態の変形)
上記第2の実施形態の変形形態を図14〜図18に基づき説明する。この変形形態は、上述したFSE法に代えて、GRASE法を適用したものであり、シーケンサ5はコントローラ6からの指令に応答してプリスキャン時及び本スキャン時ともにGRASE法のパルスシーケンスを指令できるようになっている。
コントローラ6は図14に示す一連の処理を実行する。
まず、コントローラ6はマルチプレクサ11のスイッチ経路をコントローラ6側に切り換えた状態で、GRASE法に係る2種類のプリスキャンE,Fの実行を順次、シーケンサ5に指令し、収集されたエコー信号を入力する(図14ステップS21,S22)。最初のプリスキャンEについては図15に、後のプリスキャンFについては図16に、パルスシーケンスをそれぞれ示す。
この2種類のプリスキャンE,Fのパルスシーケンスは、第2の実施形態に係る図10、11のそれと同一の1つの高周波励起パルスRFexおよび複数の高周波反転パルスRFre1,RFre2,…を夫々使用し、かつ、高周波反転パルス間において読出し用傾斜磁場パルスGroを3回極性反転してエコー信号Ee(m,n)、Ef(m,n)を夫々収集する。このときの位相エンコード用傾斜磁場パルスGpeは本スキャンでのk空間の中心を含むデータラインを収集するときのショットと同じ強度変化に夫々設定されている。
この両方のプリスキャンE,Fにおいて、何等かの原因に因り原子核スピンに位相ずれがある場合、前述と同様に、最初のエコー信号E(1,1)〜E(1,3)以外のエコー信号E(2,1),E(2,2),(2,3),E(3,1),…のそれぞれは、2つのエコー成分、すなわち主エコー成分Emain(2,1)(Emain(2,2),Emain(2,3),Emain(3,1),…)と副エコー成分Esub(2,1)(Esub(2,2),Esub(2,3),Esub(3,1),…)とに分かれる(その一例を、エコー信号E(3,2)について図15〜17に示す)。しかも、後の方のプリスキャンFでは、偶数番目の高周波反転パルスRFre2,RFre4,…の印加位相φを180°だけ余計に回転させ、φ=270°としているため、偶数番目の副エコー成分の位相だけがプリスキャンE時のそれに対して180°回転する。
いま、プリスキャンEで得られたエコー信号をEe(n,m)、プリスキャンFで得られたエコー信号をEf(n,m)とする。両方のプリスキャンにおいて実効エコー時間に相当する位置、すなわち第neff番目のエコー信号E(neff,m')(図15、16の例では第3番目のエコー信号中の信号E(3,2))を除くエコー信号には位相エンコードが施されている。そこで、本スキャン時の補正量演算に使用できるエコー信号は、実効エコー時間に相当する位置、すなわち第3番目のエコー信号中の信号E(3,2)のみとなる。
次いでコントローラ6は、ここではエコー信号E(3,2)の主エコー成分Emain(3.2)及び副エコー成分Esub(3,2)を、
Figure 2004283627
の演算を行って求める(図14ステップS23)。この演算により抽出された主エコー成分Emain(3,2)及び副エコー成分Esub(3,2)を図17に示す。
さらにコントローラ6はこれらのエコーデータに基づいてエコー信号E(3,2)の主エコー成分のピークの位相ずれφmain(3,2)及び位置ずれpmain(3,2)ならびに副エコー成分のピークの位相ずれφsub(3,2)及び位置ずれpsub(3,2)を演算する(図14ステップS24)。
次いで、従来手法と同様に、同一番目nの主エコー成分と副エコー成分の位相差の値、すなわち、ここでは、
Figure 2004283627
の値に基づいて、本スキャン時における、高周波パルスRFの印加位相φの補正量Δφ又はスライス用傾斜磁場パルスGssの補正量ΔGss、およびリード方向傾斜磁場パルスGroの補正量ΔGroを演算する(同図ステップS25)。
最後に、コントローラ6はマルチプレクサ11のスイッチ経路を再構成ユニット12側に切換え、シーケンサ5に対して図18に示すパルスシーケンスに基づく本スキャンを実行させる(図14ステップS26)。本スキャンでは同図に記載しているように、最初にスライス用傾斜磁場パルスGssと共に印加される高周波励起パルスRFexの印加位相φがφ=Δφの値であるか、または、このスライス用傾斜磁場パルスGssの後に印加する、極性反転したディフェイズ防止用のスライス方向傾斜磁場パルスGssの強度がΔGssだけ補正された値となっている。また同時に、そのディフェイズ防止用のスライス方向傾斜磁場パルスGssと並行して印加するリード方向傾斜磁場パルスGroの強度はΔGroだけ補正された値となっている。
このように本実施形態によれば、前述した第1及び第2の実施形態における利点が得られる。さらに、GRASE法はFSE法とは異なり、位相エンコード用傾斜磁場パルスの波形の形状は高周波反転パルス間であまり変化させないことから、位相エンコードに拠る位相誤差の発生パターンが規則的となり、したがって図18に斜線で示すΔGss、ΔGroの補正によってアーチファクトを効果的に低減させることができる。
(第3の実施の形態)
さらに、第3の実施形態に係るMRI装置を図19〜図23を参照して説明する。この実施形態においても2種類のプリスキャンG,Hを使用するが、そのスキャン時に位相エンコード量を本スキャンと同様に各エコーに施すようにしたものである。ここでは、パルスシーケンスがGRASE法である場合について説明する。
このMRI装置も前述した各実施形態のものと同一の構成であり、コントローラ6は図19に示す処理を実行する。
コントローラ6は、マルチプレクサ11のスイッチ経路をコントローラ6側に切り換え、GRASE法に係る2種類のプリスキャンG,Hの実行を順次、シーケンサ5に指令し、収集されたエコー信号を入力する(図19ステップS31,S32)。
図20に示す最初のプリスキャンG及び図21に示す次のプリスキャンHは共にこれまでのものとは異なり、位相エンコード用傾斜磁場パルスGpeを本スキャン時と同じように各エコーEg(n,m)又はEh(n,m)に施す位相エンコード量を各ショット毎に変化させる。この位相エンコードの付与は、k空間上の全面又は一部に当たる未調整状態の2次元のエコーデータを収集するためである。高周波パルスRFex、RFre1,RFre2,…の印加位相は、前述した第1の実施形態の2種類のプリスキャンA,Bの場合と同じに変化させる。このため、2次元のエコーデータは高周波パルスの印加位相の組み合わせを変えて2組、すなわちEg(n,m)又はEh(n,m)、収集される。
上記プリスキャンG,Hでは、一例として、GRASE法の高周波反転パルス数=5、隣接する高周波反転パルス間のグラジェントエコー数=3とし、1ショット当たりの合計エコー数=15のパルスシーケンスの場合を示している。図面上には、表示の関係で、2ショット、画像の位相エンコード方向のマトリクス=30のときの傾斜磁場波形のみを表してあるが、ショット数は、実効エコー時間に相当する第neff番目のエコー信号のみで、画面の位相エンコード方向の1次の位相変化を安定して測定できるだけのショット数、例えば8ショット以上(これをk空間上のデータで表現すると、k空間の中心位置を含むデータラインを中心として、隣接するエコーデータライン数が8ライン以上)であることが望ましい。
いま、何等かの原因に因り原子核スピンに位相ずれがある場合、最初のエコー信号E(1,m)以外のエコー信号E(2,m),E(3,m),…のそれぞれは、2つのエコー成分、すなわち主エコー成分Emain(2,m)(Emain(3,m),…)と副エコー成分Esub(2,m)(Esub(3,m),…)とに分かれる(例えば、図20、21中のエコー信号Eg(3,2)、Eh(3,2)参照)。しかも後の方のプリスキャンHでは、偶数番目の高周波反転パルスRFre2,RFre4,…の印加位相φを180°だけ余計に回転させているため、偶数番目の副エコー成分Esub(2,m),Esub(4,m),…の位相だけがプリンスキャンG時のそれに対して180°回転する。
前述した各実施形態のときの同様に、図22に示す如く、最初のプリスキャンGで得られた2次元のエコー信号をEg(n,m)、次のプリスキャンHで得られたエコー信号をEh(n,m)とすると、k平面上の2次元の主エコー成分Emain(n,m)、2次元の副エコー成分Esub(n,m)は、
Figure 2004283627
で抽出される。
このため、両方のプリスキャンにおいて実効エコー時間に相当する位置、すなわち第neff番目のエコー信号E(n,m)を例えばE(3,2)とすると、
Figure 2004283627
により主エコー成分Emain(3,2)及び副エコー成分Esub (3,2)が抽出される。(図19ステップS33)。抽出されたエコー成分Emain(3,2)、Esub(3,2)を図22(c),(d)にそれぞれ例示する。第neff番目に相当する2組の2次元エコー信号E(3,2)の内、副エコー信号Esub(3,2)同士の位相が180°異なるため(図21、22では一方を点線で示す)、上述のように、主エコー信号Emain(3,2)は加算平均により抽出され、副エコー信号Esub(3,2)は引算平均により抽出される。
さらにコントローラ6はこれらのk平面上の2次元のエコーデータEmain(3,2)、Esub(3,2)に基づいて第(3,2)番目のエコー信号E(3,2)の主エコー成分のピークの位相ずれφmain(3.2)及び位置ずれpmain(3,2)ならびに副エコー成分のピークの位相ずれφsub(3,2)及び位置ずれpsub(3,2)を演算する(図19ステップS34)。ここで、位置ずれpmain(3,2)、psub(3,2)は共に2次元のベクトル量である。
次いで、前記(1),(2)式に基づいて同一(3,2)番目の主エコー成分と副エコー成分の位相差
[数23]
φmain(3,2)−φsub(3,2)、
および、ピーク位置ベクトルの差
[数24]
pmain(3,2)−psub(3,2)
を演算し、この値に基づいて本スキャン時における、高周波パルスRFの印加位相φの補正量Δφ、スライス用傾斜磁場パルスGssの補正量ΔGss、リード用傾斜磁場パルスGroの補正量ΔGro、位相エンコード用傾斜磁場パルスGpeの補正量ΔGpeをそれぞれ演算する(同図ステップS35)。なお、第neff番目が奇数か偶数かにより上記補正のための演算結果の極性が反転するので、常に同一極性となるように減算の順を統一する。
最後に、コントローラ6はマルチプレクサ11のスイッチ経路を再構成ユニット12側に切換え、シーケンサ5に対して図23に示すパルスシーケンスに基づく本スキャンを実行させる(図19ステップS36)。
本スキャンでは同図に記載しているように、上述の補正演算結果を反映させたパルスシーケンスが用いられる。すなわち、最初にスライス用傾斜磁場パルスGssと共に印加される高周波励起パルスRFex(フリップ角θ=α(ここでは90°)の印加位相φがφ=Δφの値であるか、または、このスライス用傾斜磁場パルスGssの後に印加する、極性反転したディフェイズ防止用のスライス用傾斜磁場パルスGssの強度がΔGssだけ補正された値となっている。また同時に、そのディフェイズ防止用のスライス方向傾斜磁場パルスGssと並行して印加するリード用傾斜磁場パルスGroの強度はΔGroだけ補正された値で、かつ位相エンコード用傾斜磁場パルスGpeの強度はΔGpeだけ補正された値となっている。
以下、前述した実施形態と同様に、複数の高周波反転パルスRFre1,RFre2,…を使って、原子核スピンの位相反転に伴うエコー信号E(n,m)が順次収集され、MR画像に再構成される。
このように本実施形態によれば、第1、第2の実施形態における利点に加えて、位相エンコード方向の傾斜磁場パルスに起因する位相ずれ成分の内、位相エンコード方向に1次の空間分布を持つ成分までをも好適に補正することができ、本スキャンのパルスシーケンスに対する補正精度を著しく向上させ、高画質のMR画像を提供できるという利点が得られる。
なお、本実施形態における補正量Δφ、ΔG(ΔGss、ΔGro、ΔGpe)の算出法は前述したものに限定されない。例えば、プリスキャンで得た2次元のエコーデータから一度、2次元画像を再構成し、読出し方向及び位相エンコード方向の位相分布曲線の傾きと切片、つまり位相の読出し方向及び位相エンコード方向の1次成分及び0次成分を求める。そして、この1次成分および0次成分に基づいてエコーピークの位置ずれ、位相ずれを求め、本スキャンのシーケンスの補正量Δφ、ΔGを算出するようにしてもよい。
また、上記各実施形態は2次元スキャンで説明してきたが、3次元スキャンやそれ以上の次元のスキャンについても、ベクトルの次元を増加させることで同様に補正できる。
(第4の実施の形態)
さらに、第4の実施形態に係るMRI装置を図24、25に基づき説明する。この実施形態は、2種類のプリスキャンを行うことは従前と同じであるが、プリスキャンの特質を考慮し、プリスキャン時にはその特質に合致した撮像対象を使用するようにしたものである。
使用するMRI装置は第1の実施形態のものと同一の構成であり、コントローラ6は図24及び図25に示す一連の処理を実行する。図24はプリスキャン時の処理を、図25は本スキャン時の処理をそれぞれ示している。
プリスキャンは、傾斜磁場コイルのようなハードウエアの不完全性に因る主エコー成分と副エコー成分の位相誤差を測定することが目的である。このため、プリスキャン時の被検体(撮像対象)は実際のMR画像を得る本スキャン時の被検体と同一である必要な無い。そこで、この実施形態ではプリスキャン時に実際の被検体の代わりにファントムを使用する。ファントムとしては、測定精度を確保する必要上、なるべく信号値分布が一様なものが望ましく、例えばアクリル樹脂容器に硫酸銅水溶液を満たしたファントムが良い。
このようなファントムを磁石1の診断用空間に設置した後、コントローラ6に指令を与えることで、コントローラ6は図24のプリスキャン時の処理を開始する。
コントローラ6はまず、図24のステップS41で、2種類のプリスキャンG,Hの撮像条件である分解能及びスライス厚を決定する。プリスキャンG,Hは前述した第3の実施形態で説明したものと同じで、GRASE法に係るパルスシーケンスを使用する。次いでステップS42にて、決定した撮像条件にしたがった2種類のプリスキャンG,Hを順次実行させる。次いでステップS43にて、第3の実施形態のときと同様に演算処理を行い、第neff番目(=(n,m)番目)に相当するエコー信号E(n,m)の主エコー成分Emain(n,m)、副エコー成分Esub(n,m)を、
Figure 2004283627
の式に基づき抽出する。
さらにステップS44に移行し、主エコー成分Emain(n,m)、副エコー成分Esub(n,m)それぞれの位相誤差の空間分布の0次、1次の成分φmain(n,m)、pmain(n,m)、φsub(n,m)、psub(n,m)を求める。さらにステップ45で、前記(1),(2)式に基づく主エコー成分と副エコー成分の位相差、および、ピーク位置ベクトルの差を演算する。ステップ46では、これらの差情報を、プリスキャンの空間分解能、スライス厚の情報とともに補正用データとして例えば、記憶ユニット13に格納する。
本スキャンが指令されると、コントローラ6は図25の処理を開始する。最初に図25のステップS51にて、オペレータから与えられた情報を参照するなどの手法で、本スキャンの撮像条件である分解能、スライス厚を決める。次いでステップS52に移行し、予めプリスキャン時に記憶した、プリスキャンG,Hの撮像条件(分解能、スライス厚)並びに主エコー成分と副エコー成分の位相差およびピーク位置ベクトルの差を補正用データとして読み出す。
そして、ステップS53で、読み出して補正用データに基づいて前述と同様に補正量Δφ、ΔGを算出する。このとき、本スキャンの撮影条件、画像の各方向の空間分解能をプリスキャン時のそれらと比較し、それらの比率に応じて補正量Δφ、ΔGを求めるようにする。さらに、ステップS54にて、補正量Δφ、ΔGを反映させたパルスシーケンスにより本スキャンの実行をシーケンサ5に指令する。
このように理想的な信号値分布のファントムを使ってプリスキャンを実施することで、正確度を増した補正データを得ることができる。プリスキャン時に撮像対象が動いて、位相誤差の補正データの正確度が下がることも無く、撮像対象からの信号の変化に影響を受けることもなく、安定かつ正確な補正データを収集して、本スキャンを実施できる。患者にとっては、位相誤差の補正データを収集するためのプリスキャンが不要になるから、本スキャンのみで済み、患者の拘束時間が減り、診断を受け易くもなる。
なお、本実施形態において、位相エンコード方向の位相誤差分布が無視できるほど小さい場合、第1の実施形態におけるプリスキャンA,Bのように位相エンコードを零としたプリスキャンを行い、位相エンコード方向以外の方向の位相誤差分布だけを測定し、この位相誤差情報に基づいて補正を実施するようにしてもよい。また必要に応じて、第2の実施形態のプリスキャンC,Dでみられたように、位相エンコード方向の傾斜磁場に因る0次の位相誤差成分も含めた位相誤差分布の得るプリスキャンを実施してもよい。
(第4の実施の形態の変形)
上記第4の実施形態をさらに変形した例を図26、図27に基づき説明する。この変形形態に係るMRI装置は、傾斜磁場の各物理チャンネルの位相誤差特性を予め2種類のプリスキャンG,H(第4の実施形態と同一のプリスキャン)により収集しておき、本スキャンのときには、断面方向、分解能、スライス厚などの傾斜磁場に関連した撮影条件からパルスシーケンスの補正量Δφ、ΔGを算出し、本スキャンを実施するものである。これにより、後述するように、本スキャンと同じ断面方向のプリスキャンを実行しなくても任意方向の断面の撮像時におけるシーケンスの補正量Δφ、ΔGを求めることができる。
コントローラ6は、前述の図24の処理に代えて、図26、27の処理を実施するとともに、前述した図25の処理を実施する。
図26の処理は、プリスキャンを含むもので、補正用傾斜磁場係数マトリクスKp,ro、Kp,pe,Kp,ssの各要素(配列αで表示)の算出手順を示す。図27の処理は、補正用高周波位相係数ベクトルKφ,ro、Kφ,pe、Kφ,ssの各要素(配列βで表示)の算出手順を示す。
また、補正用傾斜磁場係数マトリクスKp,ro、Kp,pe,Kp,ssの各要素と配列αの各要素との対応関係は、以下の式(9)により表される。
Figure 2004283627
補正用高周波位相係数ベクトルKφ,ro、Kφ,pe、Kφ,ssの各要素と配列βの各要素との対応関係は、以下の式(10)により表される。
Figure 2004283627
補正用傾斜磁場係数マトリクスKp,ro、Kp,pe,Kp,ssと補正用傾斜磁場ΔGとの対応関係は、以下の式(11)により表される。
Figure 2004283627
補正用高周波位相係数ベクトルKφ,ro、Kφ,pe、Kφ,ssと高周波パルスの印加位相の補正量Δφとの対応関係は、以下の式(12)により表される。
Figure 2004283627
さらに、撮像断面方向の回転を表すマトリクスRの定義を式(13)に、補正用傾斜磁場ΔGの各要素を式(14)に夫々示す。
Figure 2004283627
Figure 2004283627
また、M,imgChをイメージングチャンネルimgCh方向(パルスシーケンスに関係するRO,PE,SSの方向)の空間周波数の大きさとし、M,phChを物理的なチャンネルphCh方向(X,Y,Zの傾斜磁場コイルに関係した物理的なチャンネルの方向)の空間周波数の大きさとすると、それらと撮像断面の方向を示す回転マトリクスRとは前述した式(13)で結合されているとする。
式(9),(11)に示す如く、
[数32]
α[imgCh][phCh1][phCh2]
は、imgChをphCh1に対応させると、phCh2方向の1次の位相分布をどの程度補正するかを示す係数である。式(11)中のTは補正用傾斜磁場の時間幅であり、同式中のF,imgChは添字のイメージングチャンネルimgChについて、基準とする撮像条件を得るために必要な強度の傾斜磁場に対する実際のスキャンの傾斜磁場強度の比であり、同式中のMo,imgChはそのimgCh方向の基準とする空間周波数の大きさである。
また式(10),(12)に示す如く、
[数33]
β[imgCh][phCh]
は、パルスシーケンスに関係するRO,PE,SSのイメージングチャンネルimgChを物理チャンネルphChに対応させると、0次の位相分布をどの程度補正させるかを示す係数である。式(12)中のF,imgChは式(11)と同じ値である。
続いて、コントローラ6によって実施される、図26に示す補正用傾斜磁場係数マトリクスの各要素の算出手順を説明する。まず、マトリクスの内のどの要素を求めるかを選択する(同図ステップS61)。次いで、その要素に関係する断面方向を選択する(ステップS62)。マトリクスのある要素を求めるには、撮像条件をいくつか変え、それぞれの撮像条件におけるスピンの位相ずれ分布を求め、比較する必要がある。
そこで、収集回数カウント用の変数i=0に初期設定した後(ステップS63)、目的とするマトリクス要素が抽出できるように空間分解能、スライス厚などの撮像条件を決める(ステップS64)。傾斜磁場コイルあるいはシーケンスの特性上、いくつかのマトリクス要素が明らかに零と見做せる場合、収集回数を減らすことも可能である。
次いで、前述した第4の実施形態に係る図24のプリスキャンG,H(図24のステップS42〜S44を含む一連の処理)を実施する(図26ステップS65)。次いで、プリスキャンにより求めた主エコー成分及び副エコー成分の位置ずれを示す2次元ベクトルpmain及びpsubから、それらのピーク位置ベクトルの差を、変数i毎に、
[数34]
ΔPi=pmain−psubより演算する(ステップS66)。
次いでコントローラ6はステップS67に処理を移行させて、撮像条件が残っているかどうかを判断し、未だ撮像条件があるならば変数iをインクリメントし(i=i+1)、ステップS64に戻る。これにより、ステップS64〜S66の処理が1回又は複数回実行され、異なる(又は一つの)撮像条件で上記ピーク位置ベクトルの差ΔPiが求められる。
上記ステップS67の判断でNOとなり、予め定めた撮像条件におけるプリスキャンが全部終了したと判断すると、コントローラ6は次いで、撮像条件の情報とピーク位置ベクトルの差ΔPiとに基づいて対応するマトリクス要素の補正量
[数35]
Δα[imgCh][phCh1][phCh2]
を決める(ステップS69)。この補正量Δα[imgCh][phCh1][phCh2]を用いて、対応するマトリクス要素
Figure 2004283627
を求める(ステップS70)。この一連の処理を、ステップS61で予め選択した要素α全てについて実施する(ステップS71)。
一方、図27に示す補正用高周波位相係数ベクトルの各要素も上述の図26の場合と同様の流れで算出される(図27ステップS81〜91参照)。ステップS81では補正用高周波位相係数ベクトルの求める要素β[imgCh][phCh]が予め選択される。ステップS86では、前述したプリスキャンG,H及びその後処理演算に基づいて主エコー成分と副エコー成分の位相差である
[数37]
Δφi=φmain−φsub
が撮像条件毎に演算される。さらにステップS89で、撮像条件の情報と位相差Δφiとに基づいて対応するベクトル要素の補正量
[数38]
Δβ[imgCh][phCh]
が決められ、ステップS90で、対応するベクトル要素
Figure 2004283627
が求められる。
このように求められた補正用傾斜磁場係数マトリクス及び補正用高周波位相係数ベクトルは、記憶ユニット13又は内部メモリに格納される。そして、本スキャンの際、図25で説明した処理が実行される。つまり、本スキャンの撮像条件を決定し(同図ステップS51)、格納していた補正用傾斜磁場係数マトリクス及び補正用高周波位相係数ベクトルを読出し(同図ステップS52)、式(11)及び(12)に基づいて印加位相の補正量Δφ及び傾斜磁場の補正量ΔGが算出される(ステップS53)。これらの補正量Δφ、ΔGを加味したパルスシーケンスの本スキャンが実行される(ステップS54)。
このように処理することで、本スキャンと同じ断面方向のプリスキャンが不要になり、そのようなプリスキャンを行うことなく、任意方向の断面を撮像(本スキャン)できる。
この変形形態に係る撮像手法の特質を従来技術との対比で詳述する。従来技術の項で述べた米国特許第5378985号、及び特開平6−54827号公報の記載手法において補正を行っている要素は、前述の補正用傾斜磁場係数マトリクスの内、Kp,ro、Kp,ssの要素、及び補正用高周波位相係数ベクトルの内、Kφ,ro、Kφ,ssの要素に相当すると考えてよい。各要素の分離も明確ではないため、プリスキャンは本スキャンの直前に実施し、しかも本スキャンと同じ断面方向、空間分解能、スライス厚に設定する必要があった。
これに対し、この変形形態では、従来の要素に加えて、従来では補正不可能であった補正用傾斜磁場係数マトリクスのKp,peの対角要素、及び補正用高周波位相係数ベクトルKφ,peも補正される。この補正される要素の増加に加えて、本変形形態では、全ての補正用傾斜磁場係数マトリクスの非対角要素がそれぞれ独立に測定及び補正できるため、本スキャンとプリスキャンとの撮像断面方向が異なる場合でも補正量が算出される。しかも、高周波パルスの位相と傾斜磁場を補正することで、かかるマトリクス及びベクトルのほとんどの要素が補正される。ゆえに、同一の傾斜磁場コイルのMRI装置であっても、本変形形態にかかるMRI装置の方が従来よりも格段に安定した高画質のMR画像を再構成できる。
なお、上述した式(11),(12)などの演算モデルは、傾斜磁場システムの特性に応じて適宜変更可能なものである。
(第5の実施の形態)
さらに第5の実施形態の係るMRI装置を図28〜図33に基づいて説明する。この実施形態は、従前のものとは異なり、本スキャンにおけるパルスシーケンスの高周波パルスの印加位相や傾斜磁場の波形を補正することはせずに、2次以上の高次の位相分布誤差を含む位相誤差を的確に補正したMR画像を得るようにしたものである。
MRI装置のハードウエアはこれまでのものと同一の構成であり、コントローラ6は図28に示す、プリスキャン及び本スキャンを組み合わせた一連の処理を実行する。ここではFSE法を使っている場合を例示する。
まず、コントローラ6はマルチプレクサ11をコントローラ側に切り換えた状態で、2種類のプリスキャンA,Bをシーケンサ5に順次実行させる(同図ステップS91)。このプリスキャンA,Bは第1の実施形態で説明したものと同一に設定してある。
そして、プリスキャンA,Bで得られたエコー信号Ea(n)、Eb(n)から前述と同様に、主エコー成分Emain(n)、副エコー成分Esub(n)を
Figure 2004283627
を抽出するとともに、その絶対値|{Ea(n)+Eb(n)}/2|、|{Ea(n)−Eb(n)}/2|を演算し、その絶対値を主エコー成分Emain(n)、副エコー成分Esub(n)の振幅情報EPmain、EPsubとして設定する(ステップS92;図32参照)。
次いでコントローラ6は、マルチプレクサ11を再構成ユニット側に切り換え、2種類の本スキャンI,Jをシーケンサ5に順次実行させる(ステップS93)。この本スキャンI,Jのパルスシーケンスは図29、30に示す。これらの図に示すように、高周波パルスの印加位相のパターン以外は通常のFSE法と同一であり、前述した実施形態のように、高周波パルスの印加位相や傾斜磁場波形を補正するようにはしていない。最初の本スキャンIにおける高周波パルスの印加位相パターンは、通常のFSE法のときと同一であるが、続く本スキャンJにおけるそれは、偶数番目の高周波反転パルスのときに印加位相φを180°だけ余計に回転させた値に設定してある。つまり、φ=270°であって、この印加位相のパターンは例えば前述したプリスキャンBのときと同一である。
次いで、コントローラ6は再構成ユニット11にステップS94以降の処理を自動的に行うよう指令する。
この指令に応答して、再構成ユニット11は、本スキャンI,Jにより得られるエコーデータEi(n)、Ej(n)を用いてk空間上の2次元分布の主エコー成分Emain、副エコー成分Esubを抽出分離する(ステップS94)。この処理は前述してきた手法と同一で、
Figure 2004283627
の式にしたがって行われる。分離抽出された主エコー成分Emain、副エコー成分Esubの模式図を図31、32に示す。主エコー成分Emainは実線で、副エコー成分Esubは点線で示してある。
前記式(1),(2)から明らかなように、主エコー成分Emain、副エコー成分Esubのいずれにおいても、位相の値は、奇数番目においてある値φ1、偶数番目において別のある値φ2というように2つの値φ1、φ2を交互に繰り返す。しかも、主エコー成分Emainにおける奇数番目のエコー信号の位相値と副エコー成分Esub成分における偶数番目のエコー信号の位相値は、傾斜磁場の規則性を考慮すると、ほとんど場合ほぼ同一になる。
この原理にしたがって、再構成ユニット11は図32に示す如く、k空間の中心位置に配置するエコー信号が偶数番目のときは奇数番目のエコーデータを、反対にそのエコー信号が奇数番目のときは偶数番目のエコーデータを、主エコー成分Emain、副エコー成分Esubの各k空間上で、エコーブロック毎にそっくり入れ替えて新たな主エコー成分Emain′、副エコー成分Esub′を作る(ステップS95)。この結果、新たなk空間上の主エコー成分Emain′、副エコー成分Esub′ではエコーブロック毎の位相ずれが殆ど無くなって、図32に示すようにk空間上の配置データの繋がりがほぼ完全になる。
しかし、この段階の主エコー成分Emain′、副エコー成分Esub′は共に、k空間上でエコーブロック毎に交互に並んでいるだけであるから、図32中の振幅値のke方向の変化グラフAmain、Asubに示すように、エコーブロック毎に振幅値のばらつきが存在している。
そこで、再構成ユニット11はコントローラ6から前述したプリスキャンA,Bに基づいて作成した振幅情報EPmain、EPsubを入力し、これ振幅補正データとして、主エコー成分Emain′、副エコー成分Esub′の振幅値がk空間全体として一定となるようにエコーブロック毎に振幅補正を施す(ステップS96)。この振幅補正により、さらに新たな2組の主エコー成分Emain”、副エコー成分Esub”がk空間上で作成される(図32参照)。
次いで再構成ユニット11は、2組の主エコー成分Emain”、副エコー成分Esub”を個別に2次元フーリエ変換により再構成し、実時間の2枚のMR画像MRmain、MRsubを夫々作る(ステップS97)。いずれにk空間のエコーデータEmain”、Esub”も位相ずれが殆ど無いので、調整がずれていても再構成された画像MRmain、MRsubにゴーストアーチファクトが発生することは殆ど回避できる。
再構成ユニット11はさらに、2枚の画像の同一位置のピクセル信号の位相を互いに揃える処理を行う(ステップS98)。この処理としては例えば、2画像の同一位置のピクセル値(複素データ)をIA(r),IB(r)とすると(図33参照)、その位相差Δθ(r)を、
[数42]
Δθ(r)=arg{IB(r)}−arg{IA(r)}
を求め、
[数43]
IB'(r)=IB(r)・exp{-jΔθ(r)}
の関係を使って、最終画像I(r)をピクセル毎に、
[数44]
I(r)={IA(r)+IB'(r)}/2
として求める。
あるいは、近似的に
Figure 2004283627
ここで(IB(r)/IA(r))*は(IB(r)/IA(r))の共役複素数、として最終画像I(r)をピクセル毎に求めてもよい。
さらに、
[数46]
I(r)={|IA(r)|+|IB(r)|}/2
として最終画像I(r)をピクセル毎に求めてもよい。
このように互いに同一ピクセル位置の信号の位相が揃うと、最後に、両方のMR画像MRmain、MRsubをピクセル毎に加算し、1枚の最終画像MRimageを作る(ステップS99)。
このように本実施形態によれば、撮像には最低2回の本スキャン分の時間が必要になるものの、高周波パルスの印加位相や傾斜磁場波形の補正では原理的に補正不可能な2次以上の高次の位相誤差分布が存在する場合でも、そのような高次成分を含む位相誤差分布を確実に解消することができ、画質劣化の無い、安定した高画質のMR画像を提供できる。また、プリスキャンの位相情報を使用しない方法を採用しているから、撮像対象の動きなどに耐性を持ったMRイメージング法を提供できる。
なお、上述した第5の実施形態に係る手法において、振幅補正は状況により不要の場合があるから、プリスキャンA,Bは必ずしも必須要件ではない。
また高周波反転パルスのフリップ角を下げることで、主エコー成分と副エコー成分の振幅比を変化させ、k空間上の振幅のばたつきを抑えることもできる。かかるフリップ角低下に拠る変形手法の場合、本スキャンのパルスシーケンス自体をプリスキャン情報により補正、変更しないので(第5実施形態でもそうである)、プリスキャンに相当するスキャンよりも本スキャンを時間的に先に収集してもよい。
さらに、第5の実施形態及びその変形形態に係る手法は、GRASE法など、CPMGパルス系列、位相反転CPパルス系列にみられる複数の高周波反転パルスを用いた撮像法に実施できる。
ただし、GRASE法の場合、k空間上の位相エンコード方向に並ぶ複数のエコーブロック(エコー配置区画)の偶数番目又は奇数番目のエコーデータを単純に変換すればよいという順序性は維持されないことがある。その一例を図34に示す。同図に示す2つのk空間データEmain,EsubはGRASE法であって高周波反転パルス数が奇数(=NRF=3)、高周波反転パルス間のグラジェントエコー数NGE=3でエコーデータE(NRF,NGE)を各々収集したものである。このように高周波反転パルス数が奇数のときは、各高周波反転パルス間における奇数番目(又は偶数番目)のエコーブロックのエコーデータE(NRF,NGE)を、前述した図28のステップS25に相当する処理において変換して位相が揃った2つの新たなk空間データEmain′,Esub′を形成すればよい。このように、位相ずれの規則性を利用しているので、GRASE法のような位相エンコード波形が各高周波反転パルス間であまり形状的に変化しない撮像法ではとくに効果的にアーチファクトを低減させることができる。
本発明の実施形態に係るMRI装置の概略を示すブロック図。 第1の実施形態におけるコントローラの処理を示す概略フローチャート。 第1の実施形態の一方のプリスキャンAを示すパルスシーケンス。 第1の実施形態のもう一方のプリスキャンBを示すパルスシーケンス。 主エコー成分の分離抽出を示す説明図。 主エコー成分、副エコー成分の分離抽出を示す説明図。 第1の実施形態における本スキャンのパルスシーケンス。 副エコー信号の180°の位相回転を説明するための図。 第2の実施形態におけるコントローラの処理を示す概略フローチャート。 第2の実施形態の一方のプリスキャンCを示すパルスシーケンス。 第2の実施形態のもう一方のプリスキャンDを示すパルスシーケンス。 主エコー成分、副エコー成分の分離抽出を示す説明図。 第2の実施形態における本スキャンのパルスシーケンス。 第2の実施形態の変形形態におけるコントローラの処理を示す概略フローチャート。 第2の実施形態の変形形態における一方のプリスキャンEを示すパルスシーケンス。 第2の実施形態の変形形態におけるもう一方のプリスキャンFを示すパルスシーケンス。 主エコー成分、副エコー成分の分離抽出を示す説明図。 第2の実施形態の変形形態における本スキャンのパルスシーケンス。 第3の実施形態におけるコントローラの処理を示す概略フローチャート。 第3の実施形態の一方のプリスキャンGを示すパルスシーケンス。 第3の実施形態のもう一方のプリスキャンHを示すパルスシーケンス。 主エコー成分、副エコー成分の分離抽出を示す説明図。 第3の実施形態における本スキャンのパルスシーケンス。 第4の実施形態におけるコントローラのプリスキャン時の処理を示す概略フローチャート。 第4の実施形態におけるコントローラの本スキャン時の処理を示す概略フローチャート。 第4の実施形態の変形形態におけるプリスキャン時の補正用傾斜磁場係数マトリクスの算出処理を示す概略フローチャート。 第4の実施形態の変形形態におけるプリスキャン時の補正用高周波位相係数ベクトルの算出処理を示す概略フローチャート。 第5の実施形態における画像取得の処理を示す概略フローチャート。 第5の実施形態の一方の本スキャンIを示すパルスシーケンス。 第5の実施形態のもう一方の本スキャンJを示すパルスシーケンス。 2次元k空間上の主エコー成分、副エコー成分の分離抽出を示す説明図。 2つの2次元k空間上の主エコー成分、副エコー成分から1つの実空間画像までの生成過程を説明する図。 ピクセル同士の位相合わせを説明するための図。 エコーデータの変換を示すその他の例の模式図。 従来のFSE法の一例を示すパルスシーケンス。 従来のGRASE法の一例を示すパルスシーケンス。 高周波パルスの印加位相φを説明する模式図。 位相分散ダイヤグラムの一例の図。 従来法の一つに係るプリスキャンのパルスシーケンス。 従来法の一つに係る本スキャンのパルスシーケンス。 従来法のプリスキャンから本スキャンまでの処理の概略フローチャート。
符号の説明
1 磁石
2 静磁場電源
3x〜3y 傾斜磁場コイル
5 シーケンサ
6 コントローラ
7 高周波コイル
8T,8R 送信機、受信機
11 マルチプレクサ
12 再構成ユニット
13 記憶ユニット

Claims (17)

  1. 被検体のMR画像を得るための本スキャンの前に、高周波励起パルス及び複数の高周波反転パルスを有しかつその複数の高周波反転パルスの印加位相を基準位相値に設定したパルスシーケンスの第1のプリスキャン、及び、高周波励起パルス及び複数の高周波反転パルスを有しかつその複数の高周波反転パルスの内の偶数番目の高周波反転パルスの印加位相を前記基準位相値に対して180°の位相差を有する値に設定したパルスシーケンスの第2のプリスキャンを各別に実施するスキャン手段と、
    前記第1のプリスキャンにより得た複数のエコー信号から成る第1のエコーデータ群と前記第2のプリスキャンにより得た複数のエコー信号から成る第2のエコーデータ群とに基づいて前記本スキャンのパルスシーケンスを事前に補正する補正手段と、
    を備えたことを特徴としたMRI装置。
  2. 前記第1、第2のプリスキャンのパルスシーケンス及び前記本スキャンのパルスシーケンスはCPMGパルス系列又は位相反転CPパルス系列である請求項1記載のMRI装置。
  3. 前記第1、第2のプリスキャンのパルスシーケンス及び前記本スキャンのパルスシーケンスはGRASE法又は高速SE法に従うパルス系列である請求項1又は2記載のMRI装置。
  4. 前記第1、第2のプリスキャンのパルスシーケンスの位相エンコード用傾斜磁場は常に零である請求項1、2又は3記載のMRI装置。
  5. 前記補正手段は、前記第1のエコーデータ群と前記第2のエコーデータ群との対応する順番のエコーデータ同士で加算又は減算して主エコー成分から成る主エコー集合体とその主エコー成分以外のエコー成分から成る副エコー集合体とを分離・抽出する手段と、前記主、副エコー集合体に基づいて求めた補正データにより前記本スキャンのパルスシーケンスを自動的に補正する手段と、を有する請求項4記載のMRI装置。
  6. 前記補正手段は、前記第1のエコーデータ群と前記第2のエコーデータ群との対応する順番のエコーデータ同士で加算又は減算して主エコー成分から成る主エコー集合体とその主エコー成分以外のエコー成分から成る副エコー集合体とを分離・抽出する手段と、前記主エコー集合体及び副エコー集合体の各集合体の内の奇数番目及び偶数番目のエコーデータのエコーピークの位相ずれ及び位置ずれの少なくとも一方を演算する手段と、この演算値から求めた補正データにより前記本スキャンのパルスシーケンスを自動的に補正する手段と、を有する請求請4記載のMRI装置。
  7. 前記補正手段は、前記第1のエコーデータ群と前記第2のエコーデータ群との対応する順番のエコーデータ同士で加算又は減算して主エコー成分から成る主エコー集合体とその主エコー成分以外のエコー成分から成る副エコー集合体とを分離・抽出する手段と、前記主エコー集合体及び副エコー集合体の各集合体の内の少なくとも一部の0次又は1次の位相分布を比較する手段と、この比較結果に応じて求めた補正データにより前記本スキャンのパルスシーケンスを自動的に補正する手段と、を有する請求請4記載のMRI装置。
  8. 前記補正データは、前記本スキャンのパルスシーケンスの高周波励起パルスの印加位相の補正値、スライス用傾斜磁場の補正値、リード用傾斜磁場の補正値の少なくとも一つである請求項5、6又は7記載のMRI装置。
  9. 前記補正データは、前記高周波励起パルスの印加位相の補正値又は前記スライス用傾斜磁場の補正値、及び前記リード様傾斜磁場の補正値である請求項8記載のMRI装置。
  10. 前記第1、第2のプリスキャンのパルスシーケンスの位相エンコード用傾斜磁場は、前記本スキャンにおけるk空間の中心位置を含むデータラインに配置するエコーデータ収集時のショットと同一の位相エンコード用傾斜磁場の波形である請求項1、2又は3記載のMRI装置。
  11. 前記補正手段は、前記第1のエコーデータ群及び前記第2のエコーデータ群の内の時間軸上の実効エコー時間に相当するエコーデータ同士で加算又は減算して実効エコー時間相当のエコーデータに関する主エコー成分から成る主エコー集合体とその主エコー成分以外のエコー成分から成る副エコー集合体とを分離・抽出する手段と、前記主エコー集合体と副エコー集合体との実効エコー時間相当のエコーデータのエコーピークの位相ずれ及び位置ずれの少なくとも一方を演算する手段と、この演算値から求めた補正用データで前記本スキャンのパルスシーケンスを自動的に補正する手段とを備えた請求請10記載のMRI装置。
  12. 前記第1、第2のプリスキャンのパルスシーケンスの位相エンコード用傾斜磁場は、前記本スキャンにおけるk空間上の一部又は全面のエコーデータ収集時のショットと同一の位相エンコード用傾斜磁場の波形である請求項1、2又は3記載のMRI装置。
  13. 前記補正手段は、前記第1のエコーデータ群及び前記第2のエコーデータ群のエコーデータ同士で加算又は減算してk空間上の2次元の主エコー成分から成る主エコー集合体とその主エコー成分以外のエコー成分から成るk空間上の2次元の副エコー集合体とを分離・抽出する手段と、前記主エコー集合体及び副エコー集合体から所望の前記主エコー成分のエコーピークの位相ずれと2次元位置ずれベクトル及び所望の前記副エコー成分のエコーピークの位相ずれと2次元位置ずれベクトルの少なくとも一方を演算する手段と、この演算値から求めた補正用データで前記本スキャンのパルスシーケンスを自動的に補正する手段とを備えた請求請12記載のMRI装置。
  14. 前記第1、第2のプリスキャンを実施する対象は、前記被検体とは異なるファントムである請求項1乃至13のいずれか一項記載のMRI装置。
  15. 前記補正手段は、この第1、第2のエコーデータ群に基づいてイメージングチャンネルと傾斜磁場コイルの物理チャンネルとの組み合わせに対して固有の位相誤差に関連する情報を求める手段と、本スキャン時にはその位相誤差関連の情報と傾斜磁場に関連した撮像条件とから本スキャンのパルスシーケンスの補正データを求める手段とを含む請求項1、2又は3記載のMRI装置。
  16. 前記撮像条件は、本スキャン時に指定される撮像断面の方向、分解能、及びスライス厚を含む請求項15記載のMRI装置。
  17. 前記高周波反転パルスの印加位相の基準位相値は90°であり、前記高周波反転パルスの180°の位相差を有する印加位相値は270°である請求項1ないし16の何れか一項記載のMRI装置。
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