JP2004283446A - マット - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マット基材2の表面にマット原反1が接合されて構成されたマットにおいて、マット基材2が、ゴム配合物を架橋処理して得られた架橋ゴムからなっており、ゴム配合物が、ゴム成分の主成分として、アクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマーを含有しており、該アクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマーは、結合アクリロニトリル量が30〜40%のものであり、ゴム配合物に含有される可塑剤が、分子量430〜1800のものであることを特徴としている。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、マット基材の表面にマット原反が接合されて構成されたマットに関するものである。本発明のマットは、足拭きマットなどのマット、特にレンタル用として使用されるマットである。
【0002】
【従来の技術】
マット基材の表面にマット原反が接合されて構成されたマットにおいて、特にレンタル用マットのマット基材は、通常、ゴム配合物を架橋処理して得られた架橋ゴムからなっている。そして、マット基材のゴム配合物に含有させるゴム成分としては、耐洗濯性(洗濯耐久性)や耐油性などを考慮して、アクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマー(以下、「NBRポリマー」と称する)、中でも、中高ニトリルのNBRポリマー、が一般的に用いられていた。また、その可塑剤としては、「フタル酸ジ(2エチルへキシル)」(DOP)を用いるのが、一般的であった。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−23822号公報
【特許文献2】
特開2000−279309号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなマットでは、洗浄・乾燥という洗濯作業を繰り返す度に、マット基材が硬くなってしまうという問題があった。その一因としては、可塑剤がマット基材中から多量に抜け出ることが考えられる。
【0005】
一方、マット基材は、洗濯作業によって、ある程度収縮する必要がある。何故なら、洗濯作業によってマット原反が収縮するため、マット基材が収縮しないと、マット原反とマット基材との間に歪みが生じて、マットのエッジ部に波打ちが発生するからである。マット基材は、可塑剤がマット基材中から抜け出ることによっても、収縮する、と考えられる。
【0006】
本発明は、洗濯作業を繰返し行ってもマット基材が硬化しすぎることのないマット、更には、洗濯作業によっても波打ちが発生しないマット、を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、マット基材の表面にマット原反が接合されて構成されたマットにおいて、マット基材が、ゴム配合物を架橋処理して得られた架橋ゴムからなっており、ゴム配合物が、ゴム成分の主成分として、アクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマーを含有しており、該アクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマーは、結合アクリロニトリル量が30〜40%のものであり、ゴム配合物に含有される可塑剤が、分子量430〜1800のものであることを特徴としている。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、ゴム成分がアクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマーのみであり、アクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマーと可塑剤との関係が、前者のSP値から後者のSP値を引いた値が0.9〜1.6となるよう設定されており、当該SP値はsmallの式により求めたものである。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、ゴム成分が、アクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマー及び他のゴムポリマーであり、ゴム成分全体と可塑剤との関係が、前者のSP値から後者のSP値を引いた値が0.9〜1.6となるよう設定されており、当該SP値はsmallの式により求めたものである。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、他のゴムポリマーがアクリルゴムポリマーである。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、マット基材が、マット原反の裏面全面に接合される本体部のみで構成されており、若しくは、該本体部と、マット原反の裏面には接合されず又は部分的に接合され、且つ、マット原反の縁からはみ出るように本体部の縁に接合されている、耳部と、で構成されており、若しくは、上記本体部と、マット原反の裏面には接合されず又は部分的に接合され、且つ、マット原反の縁に沿うように本体部の縁に接合されている、エッジ部と、で構成されており、少なくとも本体部を得るのに用いるゴム配合物が、上記ゴム配合物と同じ配合成分を有し、且つ、発泡剤も含有しているものである。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、マット基材が、マット原反の裏面全面に接合される本体部のみで構成されており、若しくは、該本体部と、マット原反の裏面には接合されず又は部分的に接合され、且つ、マット原反の縁からはみ出るように本体部の縁に接合されている、耳部と、で構成されており、若しくは、上記本体部と、マット原反の裏面には接合されず又は部分的に接合され、且つ、マット原反の縁に沿うように本体部の縁に接合されている、エッジ部と、で構成されており、本体部、耳部、及びエッジ部の少なくとも1つが、上記ゴム配合物と同じ配合成分を有しているものである。
【0013】
SP値とは、溶解度パラメータのことであり、本発明においては、smallの式に基づいて求めている。
【0014】
NBRポリマーとして、例えば、結合アクリロニトリル量が30%のものを用いる場合には、SP値が8.2〜8.9である可塑剤を用いるのが、好ましい。そのような可塑剤の一例としては、次のものが挙げられる。
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W280」、分子量:427、SP値:8.4
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W260S」、分子量:434、SP値:8.5
・旭電化工業株式会社製、製品番号「RS700」、分子量:550、SP値:8.5
・旭電化工業株式会社製、製品番号「RS735」、分子量:850、SP値:8.5
・旭電化工業株式会社製、製品番号「C9N」、分子量:588、SP値:8.7
・旭電化工業株式会社製、製品番号「RS107」、分子量:434、SP値:8.8
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W260」、分子量:434、SP値:8.8
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN1010」、分子量:1280、SP値:8.8
・旭電化工業株式会社製、製品番号「C880」、分子量:546、SP値:8.9
・旭電化工業株式会社製、製品番号「C8」、分子量:546、SP値:8.9
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN160」、分子量:710、SP値:8.9
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN1020」、分子量:1430、SP値:8.9
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN77」、分子量:600、SP値:9.0
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W230S」、分子量:700、SP値:9.0
・旭電化工業株式会社製、製品番号「O130P」、分子量:950、SP値:9.0
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W320」、分子量:1000、SP値:9.0
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W20」、分子量:650、SP値:9.2
・旭電化工業株式会社製、製品番号「P150」、分子量:1000、SP値:9.2
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「P103」、分子量:1200、SP値:9.2
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「P29」、分子量:1500、SP値:9.2
【0015】
NBRポリマーとして、例えば、結合アクリロニトリル量が35%のものを用いる場合には、SP値が8.5〜9.2である可塑剤を用いるのが、好ましい。そのような可塑剤の一例としては、次のものが挙げられる。
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W260S」、分子量:434、SP値:8.5
・旭電化工業株式会社製、製品番号「RS700」、分子量:550、SP値:8.5
・旭電化工業株式会社製、製品番号「RS735」、分子量:850、SP値:8.5
・旭電化工業株式会社製、製品番号「C9N」、分子量:588、SP値:8.7
・旭電化工業株式会社製、製品番号「RS107」、分子量:434、SP値:8.8
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W260」、分子量:434、SP値:8.8
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN1010」、分子量:1280、SP値:8.8
・旭電化工業株式会社製、製品番号「C880」、分子量:546、SP値:8.9
・旭電化工業株式会社製、製品番号「C8」、分子量:546、SP値:8.9
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN160」、分子量:710、SP値:8.9
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN1020」、分子量:1430、SP値:8.9
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN77」、分子量:600、SP値:9.0
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W230S」、分子量:700、SP値:9.0
・旭電化工業株式会社製、製品番号「O130P」、分子量:950、SP値:9.0
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W320」、分子量:1000、SP値:9.0
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W20」、分子量:650、SP値:9.2
・旭電化工業株式会社製、製品番号「P150」、分子量:1000、SP値:9.2
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「P103」、分子量:1200、SP値:9.2
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「P29」、分子量:1500、SP値:9.2
・旭電化工業株式会社製、製品番号「O180A」、分子量:1000、SP値:9.3
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN260」、分子量:1780、SP値:9.3
・旭電化工業株式会社製、製品番号「RS1000」、分子量:550、SP値:9.5
【0016】
NBRポリマーとして、例えば、結合アクリロニトリル量が40%のものを用いる場合には、SP値が8.8〜9.5である可塑剤を用いるのが、好ましい。そのような可塑剤の一例としては、次のものが挙げられる。
・旭電化工業株式会社製、製品番号「RS107」、分子量:434、SP値:8.8
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W260」、分子量:434、SP値:8.8
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN1010」、分子量:1280、SP値:8.8
・旭電化工業株式会社製、製品番号「C880」、分子量:546、SP値:8.9
・旭電化工業株式会社製、製品番号「C8」、分子量:546、SP値:8.9
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN160」、分子量:710、SP値:8.9
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN1020」、分子量:1430、SP値:8.9
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN77」、分子量:600、SP値:9.0
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W230S」、分子量:700、SP値:9.0
・旭電化工業株式会社製、製品番号「O130P」、分子量:950、SP値:9.0
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W320」、分子量:1000、SP値:9.0
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W20」、分子量:650、SP値:9.2
・旭電化工業株式会社製、製品番号「P150」、分子量:1000、SP値:9.2
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「P103」、分子量:1200、SP値:9.2
・大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「P29」、分子量:1500、SP値:9.2
・旭電化工業株式会社製、製品番号「O180A」、分子量:1000、SP値:9.3
・旭電化工業株式会社製、製品番号「PN260」、分子量:1780、SP値:9.3
・旭電化工業株式会社製、製品番号「RS1000」、分子量:550、SP値:9.5
【0017】
本発明において、マット原反とは、通常、パイルが基布に植設されてなるものであるが、これに限らず、例えば、織り布、編み布、不織布シート、スポンジシート、芝状シートなども含み、更には、樹脂シート、ゴムシートなども含むものである。パイルや基布としては、目的に応じて種々の材質や構成のものを使用できる。マット原反の、マット基材との接着面には、パイル抜け防止、マット原反とマット基材との接着性向上などのために、樹脂プライマーやラテックスなどが裏打ち材として塗布される場合がある。樹脂プライマーやラテックスとしては、目的に応じて種々の材質や構成のものを使用できるが、本発明では、マット基材が、ゴム成分として、NBRポリマーやアクリルゴムポリマーを含有しているので、それらとの接着性が良好なものを選択するのが好ましい。また、樹脂プライマーやラテックスには、目的に応じて種々の配合剤を加えてもよい。また、樹脂プライマーやラテックスは、適宜の方法により架橋処理が行われていてもよい。また、樹脂プライマーやラテックスの代わりに、液状ゴム(又は液状ゴム配合物)などを使用してもよい。更に、所期の目的を阻害しない場合には、樹脂プライマーやラテックスなどを使用せず、パイルと基布とからなるマット原反を使用してもよい。
【0018】
本発明のゴム配合物は、ゴム成分に加えて、適宜の、充填剤、活性剤、可塑剤、架橋剤、安定剤などを適宜の量だけ配合し、更には、架橋系に応じて適宜の架橋促進剤又は共架橋剤を、適宜の量だけ配合してもよい。
【0019】
アクリルゴムポリマーとしては、例えば、エーテル系やエステル系のエポキシ基タイプ、塩素基タイプ、活性塩素基タイプ、特殊架橋基タイプなどが挙げられるが、非ハロゲン材料が望まれているという観点から、塩素基を含まないタイプのものが好ましい。
【0020】
架橋処理は、硫黄架橋、硫黄と硫黄以外の架橋剤とを併用した架橋、又は、過酸化物架橋、によって行う方法が挙げられるが、その他の架橋によって行ってもよい。
【0021】
架橋剤として、過酸化物を用いる場合は、ゴム配合物を、汚染性が良好な配合(汚染しにくい配合)に設定しやすい。この過酸化物架橋剤としては、未架橋処理のゴム配合物シートのポットライフを短くせず、加熱加圧処理時の加熱温度を極端に高くしなくてすみ、また配合時の取扱いが容易であるという観点から、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンなどのパーオキシケタール;p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジクミル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;などが好ましく用いられ、特に架橋反応分解物に着色性及び汚染性物質が含まれていないという観点から、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキシ−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などが、より好ましく用いられる。更には、架橋反応中や架橋反応後のマットから発生する不快臭の程度が比較的低いという観点から、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシン)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などが、より好ましく用いられる。
【0022】
過酸化物架橋の場合の好適な共架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルイタコネート、多官能性メタクリレートモノマー、多価アルコールメタクリレート、多価アルコールアクリレート、N,N−メタフェニレンジマレイミド、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、メタクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛、メタクリル酸マグネシウム、ジメタクリル酸マグネシウム;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などにマグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛などの金属を含有させてなる含金属モノマー;が挙げられる。
【0023】
充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クレー、タルク、酸化チタンなどを用いることができ、目的に応じて、これらの内の1種を選択して、又は2種以上を混合して、用いる。
【0024】
可塑剤としては、フタル酸誘導体、イソフタル酸誘導体、テトラヒドロフタル酸誘導体、アジピン酸誘導体、アゼライン酸誘導体、セバシン酸誘導体、ドデカン−2−酸誘導体、マレイン酸誘導体、フマル酸誘導体、トリメリット酸誘導体、ピロメリット酸誘導体、クエン酸誘導体、イタコン酸誘導体、オレイン酸誘導体、リシノール酸誘導体、ステアリン酸誘導体などの脂肪酸誘導体;スルホン酸誘導体、リン酸誘導体、グルタール酸誘導体などの酸誘導体;グリコール誘導体、グリセリン誘導体、パラフィン誘導体、エポキシ誘導体;その他の重合型可塑剤、鉱物油系軟化剤、植物油系軟化剤;などが挙げられる。なお、本発明において、「可塑剤」とは、軟化剤、伸展剤を含む概念である。
【0025】
ゴム配合物の混練及びゴム配合物シートの圧延は、公知の方法を選択して行うことができ、シート厚さは目的に応じて種々選択できる。また、マットの部位によって、シート厚さを適宜変更したりゴム配合物の配合を適宜変更したりしてもよい。なお、NBRポリマーと他のゴムポリマーとを混練する場合は、均一に混練するために、例えば、次の(a),(b)の方法などを用いてもよい。
(a)NBRポリマーと他のゴムポリマーと少量の充填剤とを予め十分に混練しておき、これにその他の配合剤を添加して更に混練する方法。
(b)ゴム配合物に相溶化剤を配合する方法。
【0026】
本発明のマットとしては、図1、図2、図3、及び図5に示す構成のものなどが用いられる。
【0027】
図1はマット基材が本体部のみからなるマット(第1例のマット)を示す断面図である。図において、1はマット原反、2はマット基材であり、マット基材2はここでは本体部21のみからなっている。本体部21は、マット原反1の裏面全面に接合されており、マット原反1と縁が略揃っている。この本体部21は、通常は、マット原反1より少し大きめに成形しておき、トリミングして、作製する。
【0028】
図2はマット基材が本体部のみからなるマットの別の例(第2例のマット)を示す断面図である。ここでは、本体部21の縁がマット原反1の縁からはみ出ている。この本体部21も、図1の場合と同様に作製する。
【0029】
図3はマット基材が本体部と耳部とからなるマット(第3例のマット)を示す断面図である。本体部21はマット原反1と縁が略揃っており、耳部22は、マット原反1の裏面には接合されず又は部分的に接合され、マット原反1の縁からはみ出るように本体部21の縁に接合されている。この耳部22は、図4に示すように、未架橋テープゴム3を未架橋本体部211に当接させて共にプレス成形し、本体部21に接合した架橋テープゴムをマット原反1の縁からはみ出るようにトリミングして、作製する。
【0030】
図5はマット基材が本体部とエッジ部とからなるマット(第4例のマット)を示す断面図である。本体部21はマット原反1と縁が略揃っており、エッジ部23は、マット原反1の裏面には接合されず又は部分的に接合され、マット原反1の縁に沿うように本体部21の縁に接合されている。このエッジ部23は、図4に示すように成形した後、架橋テープゴムをマット原反1の縁に略揃うようにトリミングして、作製する。
【0031】
なお、マットの縁の耐久性を向上させるために、耳部22又はエッジ部23を本体部21より厚くしてもよい。
【0032】
【発明の実施の形態】
[結合アクリロニトリル量の検討]
(実施形態1〜3及び比較形態1、2)
実施形態1〜3及び比較形態1、2は、本発明の可塑剤の構成を備えているが、NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が種々異なるものである。即ち、実施形態1〜3は、本発明の結合アクリロニトリル量の構成を備えているが、比較形態1、2は備えていない。
【0033】
実施形態1のマットは、図3の構成を有している。図3において、マット原反1は、ナイロンパイル11がポリエステル不織布からなる基布12に植設され、且つ、基布12の裏面にNBRラテックスが塗布されて、構成されている。マット基材2は、本体部21と耳部22とで構成されている。
【0034】
実施形態1のマットは、次のようにして作製した。
まず、図4に示すように、マット原反1の裏面に、表1の実施形態1のゴム配合物からなるゴム配合物シート(未架橋本体部)211を、当接させるとともに、表2の実施形態1のゴム配合物からなるゴム配合物シート(未架橋テープゴム)3を、ゴム配合物シート211の周縁に約5mm重なるようにセットし、両者をマット原反1と共に加熱加圧処理した。これにより、ゴム配合物シートとマット原反1との接合処理及びゴム配合物シートの架橋処理が行われ、ゴム配合物シート211及びゴム配合物シート3は、架橋ゴムシートとなり、マット基材2即ち本体部21及び耳部22を構成した。耳部22は、適宜の幅(例えば10mm)にトリミングした。こうして、マット基材2がマット原反1に接合してなるマットが得られた。加熱加圧処理は、マット原反1の裏面にゴム配合物シートを当接したものを上下方向から熱板で挟んで加圧して行った。処理条件は、具体的には、ゴム配合物シート211の厚さを1.3mmとし、ゴム配合物シート3の厚さを1.7mmとし、熱板温度170℃、加圧時間15分間、加圧圧力0.25MPaとした。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
実施形態2、3及び比較形態1、2のマットも、それぞれ、表1及び表2に示す各々のゴム配合物を用い、実施形態1のマットと同様にして作製した。
【0038】
本体部21の物性試験のための架橋ゴムシートは、表1のゴム配合物シートを加熱加圧処理することにより、また、耳部22の物性試験のための架橋ゴムシートは、表2のゴム配合物シートを加熱加圧処理することにより、それぞれ作製した。加熱加圧処理は、ゴム配合物シートを上下方向から熱板で挟んで加圧して行った。処理条件は、具体的には、ゴム配合物シートの厚さを2.0mmとし、熱板温度170℃、加圧時間15分間、加圧圧力0.25MPaとした。
【0039】
なお、上記ゴム配合物シートは、ゴム成分と種々の配合剤とを公知の方法によりバンバリーミキサーで混練し、公知の方法によりロールで圧延することにより作製される。
【0040】
表1及び表2において、ゴム配合物の各成分の詳細は次のとおりである。
・NBR−A…JSR株式会社製のNBR、製品番号「N240S」、結合アクリロニトリル量26%、SP値9.6。
・NBR−B…JSR株式会社製のNBR、製品番号「N240S」55.6%と同じく製品番号「N230S」44.4%とを混合したもの、結合アクリロニトリル量30%、SP値9.8。
・NBR−C…JSR株式会社製のNBR、製品番号「N230S」、結合アクリロニトリル量35%、SP値10.1。
・NBR−D…JSR株式会社製のNBR、製品番号「N220S」83.3%と同じく製品番号「N230S」16.7%とを混合したもの、結合アクリロニトリル量40%、SP値10.4。
・NBR−E…JSR株式会社製のNBR、製品番号「N215SL」57.1%と同じく製品番号「N220S」42.9%とを混合したもの、結合アクリロニトリル量45%、SP値10.7。
【0041】
・カーボンブラック…SRF。
・可塑剤−A…旭電化工業株式会社製、製品番号「PN160」、分子量710、SP値8.9。
・加硫促進剤…大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラーDM」。
・老化防止剤…大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック200」。
【0042】
実施形態1〜3及び比較形態1、2について、マット基材の物性を調べた。即ち、本体部21の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表3に示す。また、耳部22の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表4に示す。更に、実施形態1〜3及び比較形態1、2について、マットの物性も調べた。その結果を表5に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
表3及び表4において、各物性の詳細は次の通りである。
・引張強さ(MPa)…JIS K 6251の加硫ゴムの引張試験方法に準拠して測定した。
・硬さ…JIS K 6253の加硫ゴムの硬さ試験方法に準拠して測定した。なお、タイプAデュロメーターを用いて測定した。
・耐油性…JIS K 6258の試験方法に準拠して測定した。即ち、サンプルを、100℃のIRM#903オイルに72時間浸漬させた後、サンプルの体積変化率を測定した。
【0046】
【表5】
【0047】
表5において、各物性の詳細は次の通りである。
・マットの柔軟性…マット(75cm×90cm、その内の全周1cmが耳部)を半分に折り畳む際の折畳み易さを評価した。
○:容易に折り畳める。
△:折り畳み部が少し折れ曲がり難く、少し畳み難い。
・マットの折り癖の直り易さ…上記と同じマットを半分に折り畳み、折り畳み部にコンクリートブロックを載せたまま1日間放置し、その後、マットを広げて伸ばして3時間放置し、折り癖の状態を評価した。
○:折り癖が無い。
×:折り癖が十分には無くならない。
・マットの洗濯耐久性…容量30kgの大型洗濯機に、約30kgのマットを投入し、90℃の温水中で30分間洗浄し、脱水し、乾燥機中で乾燥させた。この洗浄・脱水・乾燥という処理を20回繰り返した後、マット基材の状態を観察した。
○:大きな磨耗や破れ等は見られない。
△:大きな磨耗は見られないが、耳部に小さな破れが見られた。
【0048】
表3〜表5からわかるように、結合アクリロニトリル量が30〜40%である実施形態1〜3では、マット基材が硬くなりすぎることはなく、また、好適な耐油性を備えている。
【0049】
マット原反のパイルには、ダストコントロール用等のために吸着油剤を塗布する場合がある。そして、吸着油剤は、マット原反を浸透してマット基材にも到達する。それ故、マット基材は、好適な耐油性を有していることが望まれる。また、マットの敷設場所によっては、動植物系油、鉱物系油、合成油等の各種油がマットに付着する場合がある。この場合にも、マット基材は、好適な耐油性を有していることが望まれる。結合アクリロニトリル量が30%より小さいと、マット基材の耐油性が低くなりすぎる。
【0050】
結合アクリロニトリル量が40%より大きいと、マット基材が硬くなりすぎて、マット全体の柔軟性が悪くなる。それ故、保管や運搬においてマットを折り畳む際に折り畳み難く、また、マットを広げた後に折り癖が無くなるまで長時間を要する。更に、耐洗濯耐久性が比較的悪くなる。
【0051】
[可塑剤の分子量の検討]
(実施形態4〜6及び比較形態3〜6)
実施形態4〜6及び比較形態3〜6は、本発明のNBRポリマーの構成を備えているが、可塑剤の分子量が種々異なるものである。即ち、実施形態4〜6は、本発明の可塑剤の構成を備えているが、比較形態3〜6は備えていない。
【0052】
実施形態1と同様にして、実施形態4〜6及び比較形態3〜6のマットを作製するとともに、物性試験のための架橋ゴムシートも作製した。但し、各マット及び各架橋ゴムシートにおける、本体部21のゴム配合物は表6に示すものとし、耳部22のゴム配合物は表7に示すものとした。
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】
表6及び表7において、ゴム配合物の各成分の詳細は次のとおりである。
・可塑剤−B…「フタル酸ジ(2エチルへキシル)」(DOP)、分子量391、SP値8.9。
・可塑剤−C…大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W242」、分子量398、SP値8.5。
・可塑剤−D…大日本インキ化学工業株式会社製、製品番号「W260」、分子量434、SP値8.8。
・可塑剤−E…旭電化工業株式会社製、製品番号「PN1020」、分子量1430、SP値9.2。
・可塑剤−F…旭電化工業株式会社製、製品番号「PN606」、分子量1800、SP値9.0。
・可塑剤−G…旭電化工業株式会社製、製品番号「PN200」、分子量2000、SP値9.2。
・可塑剤−H…旭電化工業株式会社製、製品番号「PN350」、分子量3000、SP値9.3。
・その他の成分は、前述したのと同じである。
【0056】
実施形態4〜6及び比較形態3〜6について、マット基材の物性を調べた。即ち、本体部21の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表8に示す。また、耳部22の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表9に示す。更に、実施形態4〜6及び比較形態3〜6について、マットの物性も調べた。その結果を表10に示す。
【0057】
【表8】
【0058】
【表9】
【0059】
表8及び表9において、各物性の詳細は次の通りである。
・引張強さ(MPa)及び硬さ…実施形態1〜3と同じである。
・熱老化試験後の硬さ変化量…120℃で72時間、ギヤオーブン内に放置した後、JIS K 6253に準拠して測定した。
・可塑剤のゴム表面への滲出性…ゴム配合物を、170℃、10分間、0.2Paの条件下で、加熱プレスしてゴム板を作製し、該ゴム板を24時間放置した後、ゴム板表面の状態(可塑剤が滲出しているか否か)を観察した。
○:滲出無し。
△:若干滲出有り。
×:大きく滲出有り。
【0060】
【表10】
【0061】
表10において、各物性の詳細は次の通りである。
・マットにおける可塑剤の滲出性…マット(75cm×90cm、その内の全周1cmが耳部)を24時間放置した後、マット基材の裏面の状態(可塑剤が滲出しているか否か)を観察した。
○:滲出無し。
△:若干滲出有り。
×:大きく滲出有り。
・洗濯耐久試験後のマットの柔軟性…上記と同じマットを、排気温度90℃に設定した大型乾燥機で10時間乾燥するという耐久試験に供した後、マットを半分に折り畳む際の折畳み易さを評価した。
○:容易に折り畳める。
△:折り畳み部が少し折れ曲がり難く、少し畳み難い。
×:折り畳み部が折れ曲がり難く、畳み難い。
【0062】
表8〜表10からわかるように、可塑剤の分子量が430〜1800である実施形態4〜6では、マット基材が硬くなりすぎることはなく、また、可塑剤の滲出が殆ど無い。
【0063】
可塑剤は、分子量が低いほど、高温下にてマット基材中から揮発し易くなる。マットは、洗濯作業の乾燥工程において高温に晒されるので、可塑剤の分子量が430より小さいと、可塑剤がマット基材から多量に揮発して抜け出ることになり、それ故、マット基材が硬くなる。
【0064】
可塑剤は、分子量が大きくなるほど、マット基材から滲出し易くなる。可塑剤の分子量が1800より大きいと、可塑剤がマット基材から多量に滲出することとなり、それ故、床汚染の原因となる。
【0065】
[NBRポリマー及び可塑剤のSP値の検討]
(実施形態7〜11)
実施形態7〜11は、本発明のNBRポリマー及び可塑剤の構成を備えており、更に、NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が35%の場合、それに好適な可塑剤のSP値を求めるためのものである。
【0066】
実施形態1と同様にして、実施形態7〜11のマットを作製するとともに、物性試験のための架橋ゴムシートも作製した。但し、各マット及び各架橋ゴムシートにおける、本体部21のゴム配合物は表11に示すものとし、耳部22のゴム配合物は表12に示すものとした。
【0067】
【表11】
【0068】
【表12】
【0069】
表11及び表12において、ゴム配合物の各成分の詳細は次のとおりである。
・可塑剤−I…旭電化工業株式会社製、製品番号「PN260」、分子量1780、SP値9.3。
・可塑剤−J…旭電化工業株式会社製、製品番号「PN150」、分子量1000、SP値9.2。
・可塑剤−K…旭電化工業株式会社製、製品番号「RS735」、分子量850、SP値8.5。
・可塑剤−L…ポリエーテル系の可塑剤(試作品)、分子量800、SP値8.4。
・その他の成分は、前述したのと同じである。
【0070】
実施形態7〜11について、マット基材の物性を調べた。即ち、本体部21の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表13に示す。また、耳部22の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表14に示す。更に、実施形態7〜11について、マットの物性も調べた。その結果を表15に示す。
【0071】
【表13】
【0072】
【表14】
【0073】
表13及び表14における各物性の詳細は、前述したのと同じである。
【0074】
【表15】
【0075】
表15における各物性の詳細は、次のとおりである。
・洗濯耐久試験後のマットエッジ部の波打ち…90℃での洗浄を20回行うという洗濯耐久試験を行った後、マットエッジ部を観察した。
○:波打ち無し。
△:極僅かな波打ち有り。
□:少し波打ち有り。
×:波打ち有り。
・その他は、前述したのと同じである。
【0076】
表13〜表15からわかるように、NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が35%の場合に可塑剤のSP値が8.5〜9.2である実施形態8〜10は、マットエッジ部の波打ち防止、及び、可塑剤の滲出防止、という両方の効果を好適に発揮できる。勿論、実施形態7、11でも、本発明の所望とする効果を発揮できる。
【0077】
可塑剤は、分子量が大きくなるほど、マット基材から滲出し易くなる。NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が35%の場合に可塑剤のSP値が8.5より小さいと、可塑剤がマット基材から幾分滲出し易くなる。
【0078】
マット原反は、洗濯作業によって、ある程度収縮するが、その収縮に追従してマット基材が収縮しなければ、マット原反とマット基材との間に歪みが生じて、マットエッジ部に波打ちが生じる。NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が35%の場合に可塑剤のSP値が9.2より大きいと、マット基材が、洗濯作業によって十分に収縮しないので、マットエッジ部に波打ちが生じ易い傾向がある。
【0079】
[NBRポリマー及び可塑剤のSP値の検討]
(実施形態12〜16)
実施形態12〜16は、本発明のNBRポリマー及び可塑剤の構成を備えており、更に、NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が40%の場合、それに好適な可塑剤のSP値を求めるためのものである。
【0080】
実施形態1と同様にして、実施形態12〜16のマットを作製するとともに、物性試験のための架橋ゴムシートも作製した。但し、各マット及び各架橋ゴムシートにおける、本体部21のゴム配合物は表16に示すものとし、耳部22のゴム配合物は表17に示すものとした。
【0081】
【表16】
【0082】
【表17】
【0083】
表16及び表17において、ゴム配合物の各成分の詳細は次のとおりである。
・可塑剤−M…ポリエステル系の可塑剤(試作品)、分子量1200、SP値9.6。
・可塑剤−N…旭電化工業株式会社製、製品番号「RS1000」、分子量550、SP値9.5。
・可塑剤−O…旭電化工業株式会社製、製品番号「PN1010」、分子量1280、SP値8.9。
・可塑剤−P…旭電化工業株式会社製、製品番号「C9N」、分子量588、SP値8.7。
・その他の成分は、前述したのと同じである。
【0084】
実施形態12〜16について、マット基材の物性を調べた。即ち、本体部21の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表18に示す。また、耳部22の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表19に示す。更に、実施形態12〜16について、マットの物性も調べた。その結果を表20に示す。
【0085】
【表18】
【0086】
【表19】
【0087】
表18及び表19における各物性の詳細は、前述したのと同じである。
【0088】
【表20】
【0089】
表20における各物性の詳細は、前述したのと同じである。
【0090】
表18〜表20からわかるように、NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が40%の場合に可塑剤のSP値が8.8〜9.5である実施形態13〜15は、マットエッジ部の波打ち防止、及び、可塑剤の滲出防止、という両方の効果を好適に発揮できる。勿論、実施形態12、16でも、本発明の所望とする効果を発揮できる。
【0091】
可塑剤は、分子量が大きくなるほど、マット基材から滲出し易くなる。NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が40%の場合に可塑剤のSP値が8.8より小さいと、可塑剤がマット基材から幾分滲出し易くなる。
【0092】
マット原反は、洗濯作業によって、ある程度収縮するが、その収縮に追従してマット基材が収縮しなければ、マット原反とマット基材との間に歪みが生じて、マットエッジ部に波打ちが生じる。NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が40%の場合に可塑剤のSP値が9.5より大きいと、マット基材が、洗濯作業によって十分に収縮しないので、マットエッジ部に波打ちが生じ易い傾向がある。
【0093】
[NBRポリマー及び可塑剤のSP値の検討]
(実施形態17〜21)
実施形態17〜21は、本発明のNBRポリマー及び可塑剤の構成を備えており、更に、NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が30%の場合、それに好適な可塑剤のSP値を求めるためのものである。
【0094】
実施形態1と同様にして、実施形態17〜21のマットを作製するとともに、物性試験のための架橋ゴムシートも作製した。但し、各マット及び各架橋ゴムシートにおける、本体部21のゴム配合物は表21に示すものとし、耳部22のゴム配合物は表22に示すものとした。
【0095】
【表21】
【0096】
【表22】
【0097】
表21及び表22において、ゴム配合物の各成分の詳細は次のとおりである。
・可塑剤−P…旭電化工業株式会社製、製品番号「C9N」、分子量588、SP値8.7。
・可塑剤−Q…ポリエーテル系の可塑剤(試作品)、分子量800、SP値8.2。
・可塑剤−R…ポリエーテル系の可塑剤(試作品)、分子量890、SP値8.1。
・その他の成分は、前述したのと同じである。
【0098】
実施形態17〜21について、マット基材の物性を調べた。即ち、本体部21の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表23に示す。また、耳部22の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表24に示す。更に、実施形態17〜21について、マットの物性も調べた。その結果を表25に示す。
【0099】
【表23】
【0100】
【表24】
【0101】
表23及び表24における各物性の詳細は、前述したのと同じである。
【0102】
【表25】
【0103】
表25における各物性の詳細は、前述したのと同じである。
【0104】
表23〜表25からわかるように、NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が30%の場合に可塑剤のSP値が8.2〜8.9である実施形態18〜20は、マットエッジ部の波打ち防止、及び、可塑剤の滲出防止、という両方の効果を好適に発揮できる。勿論、実施形態17、21でも、本発明の所望とする効果を発揮できる。
【0105】
可塑剤は、分子量が大きくなるほど、マット基材から滲出し易くなる。NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が30%の場合に可塑剤のSP値が8.2より小さいと、可塑剤がマット基材から幾分滲出し易くなる。
【0106】
マット原反は、洗濯作業によって、ある程度収縮するが、その収縮に追従してマット基材が収縮しなければ、マット原反とマット基材との間に歪みが生じて、マットエッジ部に波打ちが生じる。NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が30%の場合に可塑剤のSP値が8.9より大きいと、マット基材が、洗濯作業によって十分に収縮しないので、マットエッジ部に波打ちが生じ易い傾向がある。
【0107】
[本体部が発泡ゴムである場合の検討]
(実施形態22〜26)
実施形態22〜26は、本体部21が発泡ゴムの場合でも、本発明が成立することを示すものである。
【0108】
実施形態1と同様にして、実施形態22〜26のマットを作製するとともに、物性試験のための架橋ゴムシートも作製した。但し、各マット及び各架橋ゴムシートにおける、本体部21のゴム配合物は表26に示すものとし、耳部22のゴム配合物は表27に示すものとした。また、未架橋本体部211のゴム配合物の混練方法は、発泡剤を架橋系の配合剤と同時に混練した以外は、実施形態1と同じ方法で行った。
【0109】
【表26】
【0110】
【表27】
【0111】
表26及び表27において、ゴム配合物の各成分の詳細は次のとおりである。
・発泡剤…永和化成工業株式会社製、商品名「ネオセルボンN#1000」。
・その他の成分は、前述したのと同じである。
【0112】
実施形態22〜26について、マット基材の物性を調べた。即ち、本体部21の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表28に示す。また、耳部22の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表29に示す。更に、実施形態22〜26について、マットの物性も調べた。その結果を表30に示す。
【0113】
【表28】
【0114】
【表29】
【0115】
表28及び表29における各物性の詳細は、前述したのと同じである。
【0116】
【表30】
【0117】
表30における各物性の詳細は、前述したのと同じである。
【0118】
表28〜表30からわかるように、本体部21が発泡ゴムであっても、NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が35%の場合に可塑剤のSP値が8.5〜9.2である実施形態23〜25は、マットエッジ部の波打ち防止、及び、可塑剤の滲出防止、という両方の効果を好適に発揮できる。勿論、実施形態22、26でも、本発明の所望とする効果を発揮できる。
【0119】
可塑剤は、分子量が大きくなるほど、マット基材から滲出し易くなる。NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が35%の場合に可塑剤のSP値が8.5より小さいと、可塑剤がマット基材から幾分滲出し易くなる。
【0120】
マット原反は、洗濯作業によって、ある程度収縮するが、その収縮に追従してマット基材が収縮しなければ、マット原反とマット基材との間に歪みが生じて、マットエッジ部に波打ちが生じる。NBRポリマーの結合アクリロニトリル量が35%の場合に可塑剤のSP値が9.2より大きいと、マット基材が、洗濯作業によって十分に収縮しないので、マットエッジ部に波打ちが生じ易い傾向がある。
【0121】
[ゴム成分の検討]
(実施形態27〜31)
実施形態27〜31は、ゴム成分が2種類のポリマーの混合物の場合でも、本発明が成立することを示すものである。
【0122】
実施形態1と同様にして、実施形態27〜31のマットを作製するとともに、物性試験のための架橋ゴムシートも作製した。但し、各マット及び各架橋ゴムシートにおける、本体部21のゴム配合物は表31に示すものとし、耳部22のゴム配合物は表32に示すものとした。
【0123】
【表31】
【0124】
【表32】
【0125】
表31及び表32において、ゴム配合物の各成分の詳細は次のとおりである。
・ACM…NOK株式会社製のアクリルゴムポリマー、商品番号「P312」、SP値9.3。
・その他の成分は、前述したのと同じである。
【0126】
なお、実施形態27〜31の本体部21のゴム配合物では、ゴム成分として、結合アクリロニトリル量が35%であるNBRポリマー70%と、アクリルゴムポリマー30%と、を混合しており、その混合物のSP値は9.9であった。なお、このゴム配合物の混練・圧延の方法は、均一な混練のために、次の方法で行った。即ち、まず、NBRポリマーと、配合量の半分の量の充填剤と、配合量の半分の量の可塑剤とを、バンバリーミキサーで混練し、次いで、残りの充填剤及び可塑剤を追加するとともに、架橋系の配合剤(即ち、加硫促進剤)以外の配合剤を追加して、更に混練し、その後、ミキサーから取り出して、上記架橋系の配合剤を加えながらロールで混練し圧延した。
【0127】
実施形態27〜31について、マット基材の物性を調べた。即ち、本体部21の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表33に示す。また、耳部22の架橋ゴムシートの物性を調べた。その結果を表34に示す。更に、実施形態27〜31について、マットの物性も調べた。その結果を表35に示す。
【0128】
【表33】
【0129】
【表34】
【0130】
表33及び表34における各物性の詳細は、前述したのと同じである。
【0131】
【表35】
【0132】
表35における各物性の詳細は、前述したのと同じである。
【0133】
表33〜表35からわかるように、ゴム成分が混合物であっても、当該混合物のSP値が9.9である場合に可塑剤のSP値が8.3〜9.0である実施形態28〜30は、マットエッジ部の波打ち防止、及び、可塑剤の滲出防止、という両方の効果を好適に発揮できる。勿論、実施形態27、31でも、本発明の所望とする効果を発揮できる。
【0134】
可塑剤は、分子量が大きくなるほど、マット基材から滲出し易くなる。ゴム成分のSP値が9.9である場合に可塑剤のSP値が8.3より小さいと、可塑剤がマット基材から幾分滲出し易くなる。
【0135】
マット原反は、洗濯作業によって、ある程度収縮するが、その収縮に追従してマット基材が収縮しなければ、マット原反とマット基材との間に歪みが生じて、マットエッジ部に波打ちが生じる。ゴム成分のSP値が9.9である場合に可塑剤のSP値が9.0より大きいと、マット基材が、洗濯作業によって十分に収縮しないので、マットエッジ部に僅かな波打ちが生じる。
【0136】
なお、上記実施形態は、図3の構成のマットを前提としているが、本発明は、図1、図2、又は図5の構成のマットにも、同様に適用でき、同様の効果を得ることができる。
【0137】
また、用いる可塑剤は1種類に限らない。2種類以上の可塑剤を混合して用いてもよい。更に、本体部21と耳部22とで、配合する可塑剤の種類や量、他の配合剤の種類や量、用いる他のゴムポリマーの種類や配合割合などが、異なってもよい。また、本体部21及び耳部22の一方のみが、ゴム成分としてNBRポリマーのみ配合されたものであってもよい。
【0138】
また、本発明においては、本体部21、耳部22、及びエッジ部23の少なくとも1つが、上記実施形態で用いた本発明のゴム配合物を用いたものであればよい。
【0139】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、洗濯作業によってマット基材が硬くなりすぎるのを防止できる。従って、保管や運搬において、マットを折り畳み易くできる。また、好適な耐油性を発揮でき、更に、可塑剤の滲出による床汚染を防止できる。請求項6記載の発明によっても、同様である。
【0140】
請求項2ないし4に記載の発明によれば、マットエッジ部の波打ち防止、及び、可塑剤の滲出防止、という両方の効果を好適に発揮できる。
【0141】
請求項5記載の発明によれば、少なくとも本体部が発泡ゴムからなっているので、マット基材全体を軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマットの第1例を示す断面図である。
【図2】本発明のマットの第2例を示す断面図である。
【図3】本発明のマットの第3例を示す断面図である。
【図4】第3例又は第4例のマットの一製造工程を示す断面図である。
【図5】本発明のマットの第4例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 マット原反
2 マット基材
21 本体部
22 耳部
23 エッジ部
Claims (6)
- マット基材の表面にマット原反が接合されて構成されたマットにおいて、
マット基材が、ゴム配合物を架橋処理して得られた架橋ゴムからなっており、
ゴム配合物が、ゴム成分の主成分として、アクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマーを含有しており、該アクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマーは、結合アクリロニトリル量が30〜40%のものであり、
ゴム配合物に含有される可塑剤が、分子量430〜1800のものであることを特徴とするマット。 - ゴム成分がアクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマーのみであり、アクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマーと可塑剤との関係が、前者のSP値から後者のSP値を引いた値が0.9〜1.6となるよう設定されており、当該SP値はsmallの式により求めたものである、請求項1記載のマット。
- ゴム成分が、アクリロニトリル−ブタジエンゴムポリマー及び他のゴムポリマーであり、ゴム成分全体と可塑剤との関係が、前者のSP値から後者のSP値を引いた値が0.9〜1.6となるよう設定されており、当該SP値はsmallの式により求めたものである、請求項1記載のマット。
- 他のゴムポリマーがアクリルゴムポリマーである、請求項3記載のマット。
- マット基材が、マット原反の裏面全面に接合される本体部のみで構成されており、若しくは、
該本体部と、マット原反の裏面には接合されず又は部分的に接合され、且つ、マット原反の縁からはみ出るように本体部の縁に接合されている、耳部と、で構成されており、若しくは、
上記本体部と、マット原反の裏面には接合されず又は部分的に接合され、且つ、マット原反の縁に沿うように本体部の縁に接合されている、エッジ部と、で構成されており、
少なくとも本体部を得るのに用いるゴム配合物が、上記ゴム配合物と同じ配合成分を有し、且つ、発泡剤も含有している、請求項1記載のマット。 - マット基材が、マット原反の裏面全面に接合される本体部のみで構成されており、若しくは、
該本体部と、マット原反の裏面には接合されず又は部分的に接合され、且つ、マット原反の縁からはみ出るように本体部の縁に接合されている、耳部と、で構成されており、若しくは、
上記本体部と、マット原反の裏面には接合されず又は部分的に接合され、且つ、マット原反の縁に沿うように本体部の縁に接合されている、エッジ部と、で構成されており、
本体部、耳部、及びエッジ部の少なくとも1つが、上記ゴム配合物と同じ配合成分を有している、請求項1記載のマット。
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WO2012121155A1 (ja) * | 2011-03-08 | 2012-09-13 | 日東電工株式会社 | 粘着テープ又はシート |
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