JP2004283125A - 酸化型グルタチオン高含有酵母エキス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸化処理等を必要とすることなく、安全で簡便な、水溶液中でも安定な酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した、酸化型グルタチオン高含有酵母エキス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】酵母菌体を熱水抽出する酵母エキスの製造方法において、該酵母が、キャンディダ属に属し、ポリエン系抗生物質存在下で生育可能であり、酸化型グルタチオンを多量に、好ましくは1重量%以上、含有することのできる酵母変異株を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】酵母菌体を熱水抽出する酵母エキスの製造方法において、該酵母が、キャンディダ属に属し、ポリエン系抗生物質存在下で生育可能であり、酸化型グルタチオンを多量に、好ましくは1重量%以上、含有することのできる酵母変異株を用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酸化型グルタチオン高含有酵母エキス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にグルタチオンは酵母及び動物の肝臓等に広く分布しており、生体内の酸化還元反応に深く関与しているトリペプチドであり、肝機能回復作用や解毒作用さらには活性酸素の消去による細胞の老化を防ぐ作用などの重要な役割を果たすものとして、極めて有用な物質である。グルタチオンにはその形態として還元型グルタチオン(以下、GSHと略称する。)と、2つの還元型グルタチオンがシステイン残基でジスルフィド結合した酸化型グルタチオン(以下、GSSGと略称する。)が存在する。両者とも生体内で生合成されており、酸化還元反応において重要な働きをしている。GSSGは生体内ではグルタチオン還元酵素により一旦GSHになり、リサイクルしながら働いている。従って、GSSGを投与した場合はGSHと同様の作用が見込まれるといわれている(例えば、ジャーナルオブ ニュートリショナル サイエンス アンド ビタミノロジー 44巻、613ページ、1998年、等)。
これらの物質は、主として酵母菌体中に多く蓄積されることが見いだされており、特にGSHは、キャンディダ・ウチリスで多量の蓄積量を示す変異株を培養することにより、工業的規模での生産が行われている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、GSHは、割合に不安定な物質であり、使用方法によっては、その効果が十分に発揮できない場合がある。特に水分の多い環境下での加熱処理により分解しやすい。
【0003】
一方、GSSGは、水分の多い環境中でも安定であり、加熱処理にも比較的安定である。グルタチオンは、通常、生体内で還元型の形で存在している場合が多く、GSSGを高濃度に含有にする生物は従来あまり知られていない。そのため、GSSGを取得するには、一旦生成したGSHを物理的・化学的あるいは生物的に酸化して製造されている。
これら事情は、GSSGを含有した酵母エキスの生産に関しても同様であり、例えば、特許文献2には、サッカロマイセス属の酵母で蓄積させたGSHを抽出して酵母エキスとした後、pH6以上11未満に調整し、溶存酸素の存在下で保持することによりGSHをGSSGに変換する方法が、また、特許文献3には、GSHを含有した酵母エキスにアスコルビン酸とアスコルビン酸を酸化する酵素を添加するGSSGを含有した酵母エキスの製造方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特公平3−18872号公報
【特許文献2】
特開平5−146279号公報
【特許文献3】
特開平7−177896号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、安定な化合物であるGSSGを含有した酵母エキスを製造するためには、一旦生成したGSHを酸化する必要があり、試薬、設備類が必要となるばかりでなく、条件によっては雑菌汚染等の恐れもあった。更に、酵母エキス中のGSSG含有量も十分ではなく、更に高含有の酵母エキスが求められていた。
従って、本発明は、酸化工程等を必要とすることなく、安全で簡便な、かつ、GSSGを多量に含有した酵母エキス、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はかかる課題を解決するため鋭意研究の結果、特定の変異株を使用することにより、GSSGを多量に含有した酵母エキスを取得できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酸化型グルタチオン高含有酵母エキス、
(2)酵母菌体を熱水抽出する酵母エキスの製造方法において、該酵母が、キャンディダ属に属し、ポリエン系抗生物質存在下で生育可能であり、酸化型グルタチオンを多量に含有することのできる酵母変異株であることを特徴とする、酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法、
(3)酵母菌体が、酵母変異株を炭素源が消失した状態で引き続き培養したものである、上記(2)記載の酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法、
(4)酵母変異株が、酸化型グルタチオンの菌体内含量が1%以上である、上記(2)乃至(3)記載の酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法、
(5)酵母変異株が、キャンディダ・ウチリス1453B5(FERM P−18789)である、上記(2)乃至(4)のいずれか一記載の、酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法、
(6)酵母変異株が、キャンディダ・ウチリス1483A6(FERM P−18790)である、上記(2)乃至(4)のいずれか一記載の、酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法、
を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の酵母エキスは、GSSGを10重量%以上含有したものである。
かかる酵母エキスは、特定の酵母変異株を用い培養し、得られた菌体を分離洗滌した後、熱水抽出し、該抽出液を乾燥することにより製造される。
【0008】
本発明で用いられる酵母変異株は、キャンディダ属(好ましくはキャンディダ・ウチリス)に属するもので、ポリエン系抗生物質存在下で生育可能なものであり、GSSGを多量に含有できるものであれば、いずれであってもよい。
具体的には、キャンディダ・ウチリスKJ239D5(FERM P−16017)を親株とし、変異処理によって得られたキャンディダ・ウチリス1453B5(独立行政法人産業技術総合研究所寄託番号FERM P−18789)及びキャンディダ・ウチリス1483A6(独立行政法人産業技術総合研究所寄託番号FERM P−18790)が挙げられる。
【0009】
キャンディダ・ウチリス(Candida utilis)1453B5及び1483A6の菌学的性質は以下の通りである。
1.キャンディダ・ウチリス1453Bは、アンフォテリシンB10ppmを含む培地に生育し、キャンディダ・ウチリス1483A6は、ナイスタチン35ppmを含む培地に生育する。
2.DL−メチオニン10g/L及び亜硫酸ナトリウム600mg/Lを含む培地に生育する。
3.一般に良く生育し、多量のGSSG、GSHを蓄積できる。
4.ニコチンアミドを培地に添加すると、多量のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドをも蓄積できる。
5.YM寒天培地上で全縁、半レンズ状隆起、表面滑らかで鈍い光沢、クリーム色で軟質のコロニーを形成する。
6.グルコース、シュクロース、マルトース、セルビオース、トレハロース、ラフィノース、メレジトース、キシロース、エタノール、マンニトール、乳酸、クエン酸、KNO3 を同化する。
7.ビタミンフリー培地での生育良好。
【0010】
本発明で用いられる酵母変異株は、GSSGを多量に含有することができるもので、その菌体内含量は、GSSGを1%以上、好ましくは2%以上含有するものが望ましく、かつ、GSSGの他に、GSHを多量に含有できるものが更に好ましい。GSSG及びGSHの合計菌体内含量としては、5〜12%であることが好ましい。
GSHとGSSGの菌体内含有比としては、GSH:GSSG=1:5〜5:1が好ましく、GSH:GSSG=1:5〜3:1がより好ましい。
【0011】
酵母変異株は、適当な培地を調製し、接種し、培養される。
培地組成は、炭素源としては通常微生物の培養に利用されるグルコース、蔗糖、酢酸、エタノール、糖蜜、亜硫酸パルプ廃液等が用いられるが、グルコースが好ましい。窒素源としては、尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸塩等が使用される。リン酸、カリウム、マグネシウム源としては、リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等が用いられる。その他、微量金属としては、亜鉛、銅、マンガン、鉄イオン等の無機塩が有効である。さらに必要に応じて、コーンスチープリカー、カゼイン、酵母エキス、ペプトン等の有機物を添加することもできる。
【0012】
培養温度は20〜33℃の範囲で生育可能であるが、好ましくは22〜30℃である。pHは3.5〜7.5、好ましくは4.0〜6.0である。
培養時間は炭素源の濃度、培養温度により異なるが、通常48〜72時間である。
【0013】
培養は、通常、炭素源が消失した時点で終了するが、本発明においては、炭素源がない状態で引き続き培養時間を延長することが望ましい。培養時間を延長することにより、菌体内のGSSG含有量を増加させることができる。延長できる培養時間としては、2時間から24時間程度である。
【0014】
培養終了後、得られた菌体を遠心分離機等で分離し、洗滌した後、熱水で抽出する。
抽出条件としては、公知の熱水抽出の条件が用いられ、例えば、固形分として5〜15%程度の菌体懸濁液を、80〜100℃に加熱し、1〜10分間程度その温度に保持することにより抽出することができる。
【0015】
抽出液は濃縮後、乾燥することにより、本発明の酵母エキスが製造される。
抽出液の濃縮前後に例えばデキストリン等の賦形剤を加えることが好ましく、添加量としては酵母エキス固形分当たり5〜50重量%程度である。
乾燥は、噴霧乾燥、凍結乾燥等が挙げられるが、噴霧乾燥が好ましい。
【0016】
【実施例】
以下、実施例を上げて本発明を詳細に説明する。
なお、GSSG及びGSHの定量並びに純度検定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。測定条件は以下の通りである。
・カラム:マイティシルRP−18GP(関東化学製)4.6mm−150cm
・移動相:5%リン酸水素二アンモニウム(pH3.2にリン酸で調整)
・測定波長:210nm
更にGSH及びGSSGを合わせたトータルのグルタチオンの定量は、Tietzeの方法(「アナリティカル バイオケミストリー」 第27巻、502ページ、1969年)に従って測定した。
【0017】
参考例1
キャンディダ・ウチリスKJ239D5(FERM P−16017)をYPD培地(グルコース2%、ポリペプトン2%、イーストエキス1%)を含む試験管で対数増殖期まで培養した。この菌体を回収し定法に従いニトロソグアニジン(以下、「NTG」と略称する。)による変異処理を行った。変異処理した菌体を洗浄後、YPD培地で48時間培養したものをNTG処理菌体とした。次いで、NTG処理菌体を適当に希釈し、アンフォテリシンBを含む生産培地(グルコース2%、硫酸アンモニウム0.1%、リン酸1カリウム2.0%、尿素0.2%、塩化カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.02%、硫酸第一鉄2ppm、硫酸マンガン2ppm、硫酸銅0.4ppm、硫酸亜鉛2ppm、2N水酸化ナトリウム溶液でpH5に調整)に塗抹培養した。生育してきたコロニーをYPD培地に接種し、24℃で48〜72時間振とう培養し種菌とした。
次いで生産培地30mlを含む三角フラスコをオートクレーブ滅菌したものに、この種菌を3〜5ml接種し、約30時間24〜26℃で振とう培養した。菌体を遠心分離により集菌し、1回水洗後、25mlにメスアップし、5mlを菌体重量測定に使用し、残りの菌体懸濁液を90℃、2分間保持して抽出した。この抽出液の上清についてHPLCによりGSH及びGSSGの定量を行った。
この中から、GSHまたはGSSGの生成量が増加したものをスクリーニングした。
スクリーニングした株を更に変異処理して、アンフォテリシンB含有培地に塗抹し、更にスクリーニングを行った。この様な操作を繰り返して、アンフォテリシンB10ppmに耐性になるキャンディダ・ウチリス1453B5株を得た。
本菌株を三角フラスコで培養し、熱水抽出により菌体内GSSG含量を測定したところ、2.3%であった。
本菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所に平成14年3月20日付けで寄託されており、その寄託番号はFERM P−18789である。
【0018】
参考例2
キャンディダ・ウチリスKJ239D5(FERM P−16017)をYPD培地(グルコース2%、ポリペプトン2%、イーストエキス1%)を含む試験管で対数増殖期まで培養した。この菌体を回収し定法に従いNTGによる変異処理を行った。変異処理した菌体を洗浄後、YPD培地で48時間培養したものをNTG処理菌体とした。次いで、NTG処理菌体を適当に希釈し、ナイスタチンを含む生産培地(グルコース2%、硫酸アンモニウム0.1%、リン酸1カリウム2.0%、尿素0.2%、塩化カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.02%、硫酸第一鉄2ppm、硫酸マンガン2ppm、硫酸銅0.4ppm、硫酸亜鉛2ppm、2N水酸化ナトリウム溶液でpH5に調整)に塗抹培養した。生育してきたコロニーをYPD培地に接種し、24℃で48〜72時間振とう培養し種菌とした。
次いで生産培地30mlを含む三角フラスコをオートクレーブ滅菌したものに、この種菌を3〜5ml接種し、約30時間24〜26℃で振とう培養した。菌体を遠心分離により集菌し、1回水洗後、25mlにメスアップし、5mlを菌体重量測定に使用し、残りの菌体懸濁液を90℃、2分間保持して抽出した。この抽出液の上清についてHPLCによりGSH及びGSSGの定量を行った。
この中から、GSHまたはGSSGの生成量が増加したものをスクリーニングした。
スクリーニングした株を更に変異処理して、ナイスタチン含有培地に塗抹し、更にスクリーニングを行った。この様な操作を繰り返して、ナイスタチン35ppmに耐性になるキャンディダ・ウチリス1483A6株を得た。
本菌株を三角フラスコで培養し、熱水抽出により菌体内GSSG含量を測定したところ、1.8%であった。
本菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所に平成14年3月20日付けで寄託されており、その寄託番号はFERM P−18790である。
【0019】
実施例1
YPD培地(グルコース2%、ポリペプトン2%、イーストエキス1%)を試験管に8ml分注し、121℃で15分間殺菌したものに、参考例1で得られたキャンディダ・ウチリス1453B5株を、1白金耳植菌し、24℃で72時間振とう培養し種菌とした。
次にYPD培地の1000mlを5L容の三角フラスコに分注し、121℃で25分間殺菌したものに前述の種菌を接種し、24℃で72時間、ロータリーシェーカーで振とう培養(250rpm)した。これを30L容発酵槽に植菌した。
培地としてはグルコース6.5%、燐酸一アンモニウム0.26%、硫酸アンモニウム0.15%、硫酸マグネシウム0.09%、塩化カリウム0.2%、硫酸マンガン5ppm、硫酸亜鉛5ppm、硫酸銅1ppm、硫酸第一鉄5ppmを用いバッチ培養を行った。培養条件は、槽内液量18L、培養温度24℃、通気量18L/分、攪拌400rpm、pH4.0(アンモニア添加による自動コントロール)にて行った。
培養の終了は、グルコースが消失した時点から4時間後とした。なお、グルコース消失時点以降の培養は、24℃、pHは成り行きとした。
培養時間を延長することによりGSSGの含量が増加した。
培養終了後、得られた培養液16.5Lを遠心分離で集菌し、1回水洗後約6.1Lの菌体懸濁液とした。
この懸濁液を90℃2分間熱水抽出した。この時の固形分は67.4g/L、GSSG濃度は3.3g/L、GSH濃度は4.6g/Lであった。
この熱水抽出物を遠心分離して上清を集め、24gのデキストリン(日本コーンスターチ製)を加えて溶解後、ロータリーエバポレーターで約1Lに濃縮した。これをスプレードライヤー(ニロ社製)で噴霧乾燥し、137gの酵母エキス粉末を得た。
この酵母エキス(乾燥物)のGSSG含量は11.34%、GSH含量は15.88%であった(トータルグルタチオン含量:27.22%)。
【0020】
実施例2
YPD培地(グルコース2%、ポリペプトン2%、イーストエキス1%)を試験管に8ml分注し、121℃で15分間殺菌したものに、参考例2で得られたキャンディダ・ウチリス1483A6株を、1白金耳植菌し、24℃で72時間振とう培養し種菌とした。
次にYPD培地の1000mlを5L容の三角フラスコに分注し、121℃で25分間殺菌したものに前述の種菌を接種し、24℃で72時間、ロータリーシェーカーで振とう培養(250rpm)した。これを30L容発酵槽に植菌した。
培地としてはグルコース6.5%、燐酸一アンモニウム0.26%、硫酸アンモニウム0.15%、硫酸マグネシウム0.09%、塩化カリウム0.2%、硫酸マンガン5ppm、硫酸亜鉛5ppm、硫酸銅1ppm、硫酸第一鉄5ppmを用いバッチ培養を行った。培養条件は、槽内液量18L、培養温度24℃、通気量18L/分、攪拌400rpm、pH4.0(アンモニア添加による自動コントロール)にて行った。
培養の終了は、グルコースが消失した時点から16時間後とした。なお、グルコース消失時点以降の培養は、24℃、pHは成り行きとした。
培養時間を延長することによりGSSGの含量が増加した。
培養の終了は、グルコースが消失した時点から16時間後とした。
培養終了後、得られた培養液15.8Lを遠心分離で集菌し、1回水洗後約5.3Lの菌体懸濁液とした。
この懸濁液を90℃2分間熱水抽出した。この時の固形分は71.1g/L、GSSG濃度は5.1g/L、GSH濃度は3.3g/Lであった。
この熱水抽出物を遠心分離して上清を集め、12gのデキストリンを加えて溶解後、ロータリーエバポレーターで約1.2Lに濃縮した。これをスプレードライヤー(ニロ社製)で噴霧乾燥し、126gの酵母エキス粉末を得た。
この酵母エキス(乾燥物)のGSSG含量は15.61%、GSH含量は10.29%であった(トータルグルタチオン含量:25.9%)。
【0021】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、酸化処理等を必要とすることなく、安全で簡便な、水溶液中でも安定なGSSGを10重量%以上含有した酵母エキス及びその製造方法が提供される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酸化型グルタチオン高含有酵母エキス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にグルタチオンは酵母及び動物の肝臓等に広く分布しており、生体内の酸化還元反応に深く関与しているトリペプチドであり、肝機能回復作用や解毒作用さらには活性酸素の消去による細胞の老化を防ぐ作用などの重要な役割を果たすものとして、極めて有用な物質である。グルタチオンにはその形態として還元型グルタチオン(以下、GSHと略称する。)と、2つの還元型グルタチオンがシステイン残基でジスルフィド結合した酸化型グルタチオン(以下、GSSGと略称する。)が存在する。両者とも生体内で生合成されており、酸化還元反応において重要な働きをしている。GSSGは生体内ではグルタチオン還元酵素により一旦GSHになり、リサイクルしながら働いている。従って、GSSGを投与した場合はGSHと同様の作用が見込まれるといわれている(例えば、ジャーナルオブ ニュートリショナル サイエンス アンド ビタミノロジー 44巻、613ページ、1998年、等)。
これらの物質は、主として酵母菌体中に多く蓄積されることが見いだされており、特にGSHは、キャンディダ・ウチリスで多量の蓄積量を示す変異株を培養することにより、工業的規模での生産が行われている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、GSHは、割合に不安定な物質であり、使用方法によっては、その効果が十分に発揮できない場合がある。特に水分の多い環境下での加熱処理により分解しやすい。
【0003】
一方、GSSGは、水分の多い環境中でも安定であり、加熱処理にも比較的安定である。グルタチオンは、通常、生体内で還元型の形で存在している場合が多く、GSSGを高濃度に含有にする生物は従来あまり知られていない。そのため、GSSGを取得するには、一旦生成したGSHを物理的・化学的あるいは生物的に酸化して製造されている。
これら事情は、GSSGを含有した酵母エキスの生産に関しても同様であり、例えば、特許文献2には、サッカロマイセス属の酵母で蓄積させたGSHを抽出して酵母エキスとした後、pH6以上11未満に調整し、溶存酸素の存在下で保持することによりGSHをGSSGに変換する方法が、また、特許文献3には、GSHを含有した酵母エキスにアスコルビン酸とアスコルビン酸を酸化する酵素を添加するGSSGを含有した酵母エキスの製造方法が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特公平3−18872号公報
【特許文献2】
特開平5−146279号公報
【特許文献3】
特開平7−177896号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、安定な化合物であるGSSGを含有した酵母エキスを製造するためには、一旦生成したGSHを酸化する必要があり、試薬、設備類が必要となるばかりでなく、条件によっては雑菌汚染等の恐れもあった。更に、酵母エキス中のGSSG含有量も十分ではなく、更に高含有の酵母エキスが求められていた。
従って、本発明は、酸化工程等を必要とすることなく、安全で簡便な、かつ、GSSGを多量に含有した酵母エキス、及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はかかる課題を解決するため鋭意研究の結果、特定の変異株を使用することにより、GSSGを多量に含有した酵母エキスを取得できることを見いだし、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(1)酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酸化型グルタチオン高含有酵母エキス、
(2)酵母菌体を熱水抽出する酵母エキスの製造方法において、該酵母が、キャンディダ属に属し、ポリエン系抗生物質存在下で生育可能であり、酸化型グルタチオンを多量に含有することのできる酵母変異株であることを特徴とする、酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法、
(3)酵母菌体が、酵母変異株を炭素源が消失した状態で引き続き培養したものである、上記(2)記載の酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法、
(4)酵母変異株が、酸化型グルタチオンの菌体内含量が1%以上である、上記(2)乃至(3)記載の酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法、
(5)酵母変異株が、キャンディダ・ウチリス1453B5(FERM P−18789)である、上記(2)乃至(4)のいずれか一記載の、酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法、
(6)酵母変異株が、キャンディダ・ウチリス1483A6(FERM P−18790)である、上記(2)乃至(4)のいずれか一記載の、酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法、
を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の酵母エキスは、GSSGを10重量%以上含有したものである。
かかる酵母エキスは、特定の酵母変異株を用い培養し、得られた菌体を分離洗滌した後、熱水抽出し、該抽出液を乾燥することにより製造される。
【0008】
本発明で用いられる酵母変異株は、キャンディダ属(好ましくはキャンディダ・ウチリス)に属するもので、ポリエン系抗生物質存在下で生育可能なものであり、GSSGを多量に含有できるものであれば、いずれであってもよい。
具体的には、キャンディダ・ウチリスKJ239D5(FERM P−16017)を親株とし、変異処理によって得られたキャンディダ・ウチリス1453B5(独立行政法人産業技術総合研究所寄託番号FERM P−18789)及びキャンディダ・ウチリス1483A6(独立行政法人産業技術総合研究所寄託番号FERM P−18790)が挙げられる。
【0009】
キャンディダ・ウチリス(Candida utilis)1453B5及び1483A6の菌学的性質は以下の通りである。
1.キャンディダ・ウチリス1453Bは、アンフォテリシンB10ppmを含む培地に生育し、キャンディダ・ウチリス1483A6は、ナイスタチン35ppmを含む培地に生育する。
2.DL−メチオニン10g/L及び亜硫酸ナトリウム600mg/Lを含む培地に生育する。
3.一般に良く生育し、多量のGSSG、GSHを蓄積できる。
4.ニコチンアミドを培地に添加すると、多量のニコチンアミドアデニンジヌクレオチドをも蓄積できる。
5.YM寒天培地上で全縁、半レンズ状隆起、表面滑らかで鈍い光沢、クリーム色で軟質のコロニーを形成する。
6.グルコース、シュクロース、マルトース、セルビオース、トレハロース、ラフィノース、メレジトース、キシロース、エタノール、マンニトール、乳酸、クエン酸、KNO3 を同化する。
7.ビタミンフリー培地での生育良好。
【0010】
本発明で用いられる酵母変異株は、GSSGを多量に含有することができるもので、その菌体内含量は、GSSGを1%以上、好ましくは2%以上含有するものが望ましく、かつ、GSSGの他に、GSHを多量に含有できるものが更に好ましい。GSSG及びGSHの合計菌体内含量としては、5〜12%であることが好ましい。
GSHとGSSGの菌体内含有比としては、GSH:GSSG=1:5〜5:1が好ましく、GSH:GSSG=1:5〜3:1がより好ましい。
【0011】
酵母変異株は、適当な培地を調製し、接種し、培養される。
培地組成は、炭素源としては通常微生物の培養に利用されるグルコース、蔗糖、酢酸、エタノール、糖蜜、亜硫酸パルプ廃液等が用いられるが、グルコースが好ましい。窒素源としては、尿素、アンモニア、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸塩等が使用される。リン酸、カリウム、マグネシウム源としては、リン酸カルシウム、リン酸アンモニウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等が用いられる。その他、微量金属としては、亜鉛、銅、マンガン、鉄イオン等の無機塩が有効である。さらに必要に応じて、コーンスチープリカー、カゼイン、酵母エキス、ペプトン等の有機物を添加することもできる。
【0012】
培養温度は20〜33℃の範囲で生育可能であるが、好ましくは22〜30℃である。pHは3.5〜7.5、好ましくは4.0〜6.0である。
培養時間は炭素源の濃度、培養温度により異なるが、通常48〜72時間である。
【0013】
培養は、通常、炭素源が消失した時点で終了するが、本発明においては、炭素源がない状態で引き続き培養時間を延長することが望ましい。培養時間を延長することにより、菌体内のGSSG含有量を増加させることができる。延長できる培養時間としては、2時間から24時間程度である。
【0014】
培養終了後、得られた菌体を遠心分離機等で分離し、洗滌した後、熱水で抽出する。
抽出条件としては、公知の熱水抽出の条件が用いられ、例えば、固形分として5〜15%程度の菌体懸濁液を、80〜100℃に加熱し、1〜10分間程度その温度に保持することにより抽出することができる。
【0015】
抽出液は濃縮後、乾燥することにより、本発明の酵母エキスが製造される。
抽出液の濃縮前後に例えばデキストリン等の賦形剤を加えることが好ましく、添加量としては酵母エキス固形分当たり5〜50重量%程度である。
乾燥は、噴霧乾燥、凍結乾燥等が挙げられるが、噴霧乾燥が好ましい。
【0016】
【実施例】
以下、実施例を上げて本発明を詳細に説明する。
なお、GSSG及びGSHの定量並びに純度検定は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて行った。測定条件は以下の通りである。
・カラム:マイティシルRP−18GP(関東化学製)4.6mm−150cm
・移動相:5%リン酸水素二アンモニウム(pH3.2にリン酸で調整)
・測定波長:210nm
更にGSH及びGSSGを合わせたトータルのグルタチオンの定量は、Tietzeの方法(「アナリティカル バイオケミストリー」 第27巻、502ページ、1969年)に従って測定した。
【0017】
参考例1
キャンディダ・ウチリスKJ239D5(FERM P−16017)をYPD培地(グルコース2%、ポリペプトン2%、イーストエキス1%)を含む試験管で対数増殖期まで培養した。この菌体を回収し定法に従いニトロソグアニジン(以下、「NTG」と略称する。)による変異処理を行った。変異処理した菌体を洗浄後、YPD培地で48時間培養したものをNTG処理菌体とした。次いで、NTG処理菌体を適当に希釈し、アンフォテリシンBを含む生産培地(グルコース2%、硫酸アンモニウム0.1%、リン酸1カリウム2.0%、尿素0.2%、塩化カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.02%、硫酸第一鉄2ppm、硫酸マンガン2ppm、硫酸銅0.4ppm、硫酸亜鉛2ppm、2N水酸化ナトリウム溶液でpH5に調整)に塗抹培養した。生育してきたコロニーをYPD培地に接種し、24℃で48〜72時間振とう培養し種菌とした。
次いで生産培地30mlを含む三角フラスコをオートクレーブ滅菌したものに、この種菌を3〜5ml接種し、約30時間24〜26℃で振とう培養した。菌体を遠心分離により集菌し、1回水洗後、25mlにメスアップし、5mlを菌体重量測定に使用し、残りの菌体懸濁液を90℃、2分間保持して抽出した。この抽出液の上清についてHPLCによりGSH及びGSSGの定量を行った。
この中から、GSHまたはGSSGの生成量が増加したものをスクリーニングした。
スクリーニングした株を更に変異処理して、アンフォテリシンB含有培地に塗抹し、更にスクリーニングを行った。この様な操作を繰り返して、アンフォテリシンB10ppmに耐性になるキャンディダ・ウチリス1453B5株を得た。
本菌株を三角フラスコで培養し、熱水抽出により菌体内GSSG含量を測定したところ、2.3%であった。
本菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所に平成14年3月20日付けで寄託されており、その寄託番号はFERM P−18789である。
【0018】
参考例2
キャンディダ・ウチリスKJ239D5(FERM P−16017)をYPD培地(グルコース2%、ポリペプトン2%、イーストエキス1%)を含む試験管で対数増殖期まで培養した。この菌体を回収し定法に従いNTGによる変異処理を行った。変異処理した菌体を洗浄後、YPD培地で48時間培養したものをNTG処理菌体とした。次いで、NTG処理菌体を適当に希釈し、ナイスタチンを含む生産培地(グルコース2%、硫酸アンモニウム0.1%、リン酸1カリウム2.0%、尿素0.2%、塩化カリウム0.1%、硫酸マグネシウム0.02%、硫酸第一鉄2ppm、硫酸マンガン2ppm、硫酸銅0.4ppm、硫酸亜鉛2ppm、2N水酸化ナトリウム溶液でpH5に調整)に塗抹培養した。生育してきたコロニーをYPD培地に接種し、24℃で48〜72時間振とう培養し種菌とした。
次いで生産培地30mlを含む三角フラスコをオートクレーブ滅菌したものに、この種菌を3〜5ml接種し、約30時間24〜26℃で振とう培養した。菌体を遠心分離により集菌し、1回水洗後、25mlにメスアップし、5mlを菌体重量測定に使用し、残りの菌体懸濁液を90℃、2分間保持して抽出した。この抽出液の上清についてHPLCによりGSH及びGSSGの定量を行った。
この中から、GSHまたはGSSGの生成量が増加したものをスクリーニングした。
スクリーニングした株を更に変異処理して、ナイスタチン含有培地に塗抹し、更にスクリーニングを行った。この様な操作を繰り返して、ナイスタチン35ppmに耐性になるキャンディダ・ウチリス1483A6株を得た。
本菌株を三角フラスコで培養し、熱水抽出により菌体内GSSG含量を測定したところ、1.8%であった。
本菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所に平成14年3月20日付けで寄託されており、その寄託番号はFERM P−18790である。
【0019】
実施例1
YPD培地(グルコース2%、ポリペプトン2%、イーストエキス1%)を試験管に8ml分注し、121℃で15分間殺菌したものに、参考例1で得られたキャンディダ・ウチリス1453B5株を、1白金耳植菌し、24℃で72時間振とう培養し種菌とした。
次にYPD培地の1000mlを5L容の三角フラスコに分注し、121℃で25分間殺菌したものに前述の種菌を接種し、24℃で72時間、ロータリーシェーカーで振とう培養(250rpm)した。これを30L容発酵槽に植菌した。
培地としてはグルコース6.5%、燐酸一アンモニウム0.26%、硫酸アンモニウム0.15%、硫酸マグネシウム0.09%、塩化カリウム0.2%、硫酸マンガン5ppm、硫酸亜鉛5ppm、硫酸銅1ppm、硫酸第一鉄5ppmを用いバッチ培養を行った。培養条件は、槽内液量18L、培養温度24℃、通気量18L/分、攪拌400rpm、pH4.0(アンモニア添加による自動コントロール)にて行った。
培養の終了は、グルコースが消失した時点から4時間後とした。なお、グルコース消失時点以降の培養は、24℃、pHは成り行きとした。
培養時間を延長することによりGSSGの含量が増加した。
培養終了後、得られた培養液16.5Lを遠心分離で集菌し、1回水洗後約6.1Lの菌体懸濁液とした。
この懸濁液を90℃2分間熱水抽出した。この時の固形分は67.4g/L、GSSG濃度は3.3g/L、GSH濃度は4.6g/Lであった。
この熱水抽出物を遠心分離して上清を集め、24gのデキストリン(日本コーンスターチ製)を加えて溶解後、ロータリーエバポレーターで約1Lに濃縮した。これをスプレードライヤー(ニロ社製)で噴霧乾燥し、137gの酵母エキス粉末を得た。
この酵母エキス(乾燥物)のGSSG含量は11.34%、GSH含量は15.88%であった(トータルグルタチオン含量:27.22%)。
【0020】
実施例2
YPD培地(グルコース2%、ポリペプトン2%、イーストエキス1%)を試験管に8ml分注し、121℃で15分間殺菌したものに、参考例2で得られたキャンディダ・ウチリス1483A6株を、1白金耳植菌し、24℃で72時間振とう培養し種菌とした。
次にYPD培地の1000mlを5L容の三角フラスコに分注し、121℃で25分間殺菌したものに前述の種菌を接種し、24℃で72時間、ロータリーシェーカーで振とう培養(250rpm)した。これを30L容発酵槽に植菌した。
培地としてはグルコース6.5%、燐酸一アンモニウム0.26%、硫酸アンモニウム0.15%、硫酸マグネシウム0.09%、塩化カリウム0.2%、硫酸マンガン5ppm、硫酸亜鉛5ppm、硫酸銅1ppm、硫酸第一鉄5ppmを用いバッチ培養を行った。培養条件は、槽内液量18L、培養温度24℃、通気量18L/分、攪拌400rpm、pH4.0(アンモニア添加による自動コントロール)にて行った。
培養の終了は、グルコースが消失した時点から16時間後とした。なお、グルコース消失時点以降の培養は、24℃、pHは成り行きとした。
培養時間を延長することによりGSSGの含量が増加した。
培養の終了は、グルコースが消失した時点から16時間後とした。
培養終了後、得られた培養液15.8Lを遠心分離で集菌し、1回水洗後約5.3Lの菌体懸濁液とした。
この懸濁液を90℃2分間熱水抽出した。この時の固形分は71.1g/L、GSSG濃度は5.1g/L、GSH濃度は3.3g/Lであった。
この熱水抽出物を遠心分離して上清を集め、12gのデキストリンを加えて溶解後、ロータリーエバポレーターで約1.2Lに濃縮した。これをスプレードライヤー(ニロ社製)で噴霧乾燥し、126gの酵母エキス粉末を得た。
この酵母エキス(乾燥物)のGSSG含量は15.61%、GSH含量は10.29%であった(トータルグルタチオン含量:25.9%)。
【0021】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、酸化処理等を必要とすることなく、安全で簡便な、水溶液中でも安定なGSSGを10重量%以上含有した酵母エキス及びその製造方法が提供される。
Claims (6)
- 酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酸化型グルタチオン高含有酵母エキス。
- 酵母菌体を熱水抽出する酵母エキスの製造方法において、該酵母が、キャンディダ属に属し、ポリエン系抗生物質存在下で生育可能であり、酸化型グルタチオンを多量に含有することのできる酵母変異株であることを特徴とする、酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法。
- 酵母菌体が、酵母変異株を炭素源が消失した状態で引き続き培養したものである、請求項2記載の酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法。
- 酵母変異株が、酸化型グルタチオンの菌体内含量が1%以上である、請求項2乃至3記載の酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法。
- 酵母変異株が、キャンディダ・ウチリス1453B5(FERM P−18789)である、請求項2乃至4のいずれか1項記載の、酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法。
- 酵母変異株が、キャンディダ・ウチリス1483A6(FERM P−18790)である、請求項2乃至4のいずれか1項記載の、酸化型グルタチオンを10重量%以上含有した酵母エキスの製造方法。
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WO2008069173A1 (ja) | 2006-12-04 | 2008-06-12 | Ajinomoto Co., Inc. | 調味料の製造法 |
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-
2003
- 2003-03-25 JP JP2003081686A patent/JP2004283125A/ja active Pending
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