JP2004282573A - 低域通過フィルタ - Google Patents

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健寿 神内
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Abstract

【課題】大きさを大きくすることなく、減衰量を大きくとれる低域通過フィルタを提供する。
【解決手段】誘電体基板1の表面にマイクロストリップラインで形成された、パターン幅の狭い4本の高インピーダンス伝送線路4a、4b、4c、4dと、これと交互に接続されたパターン幅の広い3本の低インピーダンス伝送線路3a、3b、3cとから構成される低域通過フィルタに対して、高インピーダンス伝送線路4a、4bのそれぞれに、所定の阻止周波数の1/4波長の電気長を有する2本のオープンスタブ5a、5bとを接続する。また、2本のオープンスタブは電気長を異なるようにしても良い。オープンスタブの帯域阻止フィルタの効果が加わり減衰量を大きくすることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は低域通過フィルタに関し、特に無線通信用のマイクロストリップライン型低域通過フィルタで減衰域の減衰量を大きくした低域通過フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の低域通過フィルタは、無線周波帯において、所望周波数より高い周波数帯に対し減衰を与えるものである。一般に無線通信装置において、送信側に使用される場合は、送信増幅器やミキサーなどの非直線形素子の影響で発生する送信信号の高調波などの不要波の阻止、また、受信側に使用される場合は、送信信号の回り込み成分、受信信号の高周波帯域に含まれる妨害波などの除去に用いられる。
【0003】
従来、この種の低域通過フィルタの代表例を図4に示す。図4はマイクロストリップライン型の低域通過フィルタの従来例を示す(a)上面図、(b)等価回路図、(c)特性図である。
【0004】
図4(a)において、本低域通過フィルタは、誘電体基板上に形成された第1〜第7のマイクロストリップライン41〜47を有する。低域通過フィルタの入力端である第1のマイクロストリップライン41の一端は同軸線48に接続され、低域通過フィルタの出力端である第7のマイクロストリップライン47の一端は同軸線49に接続され、特に第1および第7のマイクロストリップライン41,47の線路幅は約800μmに設定されている。また、線路幅の広い第2、第4および第6のマイクロストリップライン42,44,46は、容量性で低インピーダンス伝送線路、線路幅の狭い第3および第5のマイクロストリップライン43,45は、誘導性で高インピーダンス伝送線路を形成している。
【0005】
図4(b)において、本図は図4(a)の等価回路を示し、図示のように、第1のマイクロストリップライン41は、誘電体基板の裏面の接地導体面との間で等価的に容量素子C1を形成する。同様に第2、第4、第6および第7のマイクロストリップライン42,44,46,47はそれぞれ、誘電体基板の接地導体面との間で等価的に容量素子C2,C3,C4,C5を形成する。また、第3および第5のマイクロストリップライン43,45はそれぞれ、等価的にインダクタ素子L1、L2を形成する。
【0006】
図4(b)において、本図は図4(a)の低域通過フィルタの通過特性を示し、所望の周波数fcより高い周波数帯で減衰特性を示している。
【0007】
本低域通過フィルタは、図4(b)の等価回路に示したように、LCの5素子を用いた無極性の低域フィルタ回路を構成するもので、その減衰特性は比較的緩い傾斜のものである。
【0008】
なお、本低域通過フィルタは、同軸線とマイクロストリップラインとの接続点におけるマイクロストリップライン、即ちマイクロストリップライン41,47を50オーム線路幅の3倍に設定することにより、同軸線との整合性が良くなり、通過帯域の挿入損失が小さくなることを特徴とするものである。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】
特開2001−217609号公報(第3−4頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来例は、等価回路で示したように無極性の単位低域フィルタ回路を多段構成したものであるため、減衰特性において、その立ち上がり傾斜が急峻でなく、かつ、減衰量が小さいという問題がある。この減衰量が小さいという問題については、フィルタ素子の段数を増やせば改善できるが、他方濾波器の大きさが大きくなるという問題が発生する。
【0010】
本発明の目的は、大きさを大きくすることなく、減衰量を大きくとれる低域通過フィルタを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の低域通過フィルタは、それぞれマイクロストリップラインで形成される低インピーダンス伝送線路と高インピーダンス伝送線路とを所定の数だけ交互に接続して成る低域通過フィルタにおいて、前記高インピーダンス伝送線路に所定の阻止周波数の1/4波長の電気長を有するマイクロストリップラインで形成されるオープンスタブを接続するようにする。
【0012】
また、前記オープンスタブを所定の阻止周波数の1/4波長の奇数倍の間隔で前記高インピーダンス伝送線路に複数本接続するようにしても良い
また、各前記オーブンスタブの電気長をそれぞれ異なるようにしても良い。
【0013】
また、前記オープンスタブの先端部をカギ形になるようにしても良い。
【0014】
また、前記オープンスタブの代わりにショートスタブを用いるようにしても良い。
【0015】
更に、前記マイクロストリップラインの代わりにストリップラインを用いるようにしても良い。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態例を示す正面図、図2は、図1の等価回路図、図3は、図1の特性図である。
【0018】
先ず、図1を参照して構成を説明する。本低域通過フィルタは、7素子で構成される低域通過フィルタに2本のオープンスタブを接続した例を示す。
【0019】
その裏面が接地導体面で覆われた誘電体基板1の表面にマイクロストリップラインで形成された、パターン幅の狭い4本の高インピーダンス伝送線路4a、4b、4c、4dと、これと交互に接続されたパターン幅の広い3本の低インピーダンス伝送線路3a、3b、3cと、高インピーダンス伝送線路4a、4bのそれぞれに接続された2本のオープンスタブ5a、5bと、高インピーダンス伝送線路4a、4dのそれぞれに接続され、外部から接続される同軸線との整合をとるための入力端伝送線路2と出力端伝送線路6とから構成されている。
【0020】
誘電体基板1は、その裏面が接地導体面で覆われおり、その表面に導電性のパターンであるマイクロストリップラインが形成される。マイクロストリップラインの太さを細くすれば誘導性、即ち高インピーダンス伝送線路となり、太くすれば容量性、即ち低インピーダンス伝送線路となる。オープンスタブはこの中間の太さであり、入出力端伝送線路もこの中間の太さで、同軸線のインピーダンス50オームと同じ値のインピーダンスに設定されている。
【0021】
2本のオープンスタブ5a、5bは、所定の阻止周波数の1/4波長の電気長を有し、本実施例では2本共同じ電気長のものを使用している。また、その先端がカギ形になっている。このようにすると誘電体基板1の幅寸法を小さくする効果がある。尚、オープンスタブの本数は設計条件により増減される。
【0022】
また、2本のオープンスタブ5a、5bは、所定の阻止周波数の1/4波長の間隔で、高インピーダンス伝送線路4a、4dのそれぞれに接続されている。尚、この間隔は1/4波長の奇数倍であればよいが、本実施例は1倍、即ち1/4波長である。
【0023】
次に図2,3を参照して動作を説明する。
【0024】
図2において、本図は図1の等価回路である。4本の高インピーダンス伝送線路4a、4b、4c、4dは、等価的にインダクタ素子L1、L2、L3,L4,を形成する。また、3本の低インピーダンス伝送線路3a、3b、3cは、それぞれ、誘電体基板の接地導体面との間で等価的に容量素子C1,C2,C3を形成する。2本のオープンスタブ5a、5bは、インダクタ素子L1、L2のそれぞれの中間点に接続された形態となる。
【0025】
オープンスタブ5a、5bは、それぞれ等価的に阻止周波数に共振する直列共振回路に相当し、阻止周波数でインピ−ダンスが略0オームとなり、この阻止周波数帯域の通過信号に対して大きな減衰を与える。即ち、帯域阻止濾波器を形成する。
【0026】
この等価回路から明らかのように、通常の無極性の低域通過フィルタに有極性の帯域阻止濾波器が加わった形となり、オープンスタブの阻止周波数帯域において減衰量が大幅に増加する。
【0027】
この阻止周波数は、設計条件から決定される。即ち、特に減衰量を大きくしたい周波数帯域があれば、この帯域の中心周波数に決定される。また、スプリアスなどで特定の周波数で減衰量の落ち込みがある場合、これを救済するためにこの周波数に設定される場合もある。
【0028】
また、減衰帯域全体、或いは幅広い帯域の減衰量を大きくした場合は、オープンスタブを複数設け、各オープンスタブの阻止周波数を所定の間隔でずらせておくようにする。
【0029】
図3は、図1の特性を示すもので、f1はカットオフ周波数で、f1以下は通過帯域,f1以上は減衰帯域を示している。(a)は2本のオープンスタブの電気長、即ち、阻止周波数を同じf2にしたもので、点線で示した従来例のオープンスタブのない場合に比べ、2本のオ−プンスタブのf2において大きな減衰量を得ている。
【0030】
また、(b)に示したものは、2本のオープンスタブのそれぞれの阻止周波数をf2とf3とにずらしたもので、(a)に比べ減衰量は小さくなるが広帯域に減衰量を大きくしている。
【0031】
尚、図1においては、マイクロストリップラインを用いた例で説明したが、マイクロストリップラインの代わりにストリップラインを用いるようにしても良い。ストリップラインは、マイクロストリップラインの基板表面にもう1枚の片面が
接地導体面で覆われた誘電体基板を、接地導体面を表面にして重ねたような構造で、コストは高くなるが高周波特性が良くなる利点がある。
【0032】
さらに、図1においては、オープンスタブを用いた例で説明したが、オープンスタブの代わりにショートスタブを用いるようにしても良い。ショートスタブは、オープンスタブが一端は高インピーダンス伝送線路に直接接続され、他端は開放されている構成に対して、一端は高インピーダンス伝送線路に間隙を介し高周波的に接続され、他端はスルーホ−ルを介して基板裏面の接地導体面に接続され接地されている。ショートスタブは、減衰量は小さくなるが、立ち上がりが急峻な特性を示すので、減衰域の立ち上がり特性の改善に効果がある。そして、オープンスタブとショートスタブとを混用して所望の減衰特性を得るようにすることもできる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、それぞれマイクロストリップラインで形成される低インピーダンス伝送線路と高インピーダンス伝送線路とを交互に接続して成る低域通過フィルタの高インピーダンス伝送線路に、所定の阻止周波数の1/4波長の電気長を有するオープンスタブを接続することにより、オープンスタブの帯域阻止効果が加算され、減衰帯域における減衰量を大幅に大きくすることができるという効果がある。あるいは、減衰量を一定とすれば、回路の素子数を減らすことができるので、大きさを小さくすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態例を示す正面図である。
【図2】図1の等価図である。
【図3】図1の特性図である。
【図4】従来例を示す(a)正面図、(b)等価回路図、(c)特性図である。
【符号の説明】
1 誘電体基板
2 入力端伝送線路
3a、3b、3c 低インピーダンス伝送線路
4a、4b,4c,4d 高インピーダンス伝送線路
5a,5b オープンスタブ

Claims (6)

  1. それぞれマイクロストリップラインで形成される低インピーダンス伝送線路と高インピーダンス伝送線路とを所定の数だけ交互に接続して成る低域通過フィルタにおいて、前記高インピーダンス伝送線路に所定の阻止周波数の1/4波長の電気長を有するマイクロストリップラインで形成されるオープンスタブを接続することを特徴とする低域通過フィルタ。
  2. 前記オープンスタブを所定の阻止周波数の1/4波長の奇数倍の間隔で前記高インピーダンス伝送線路に複数本接続することを特徴とする請求項1記載の低域通過フィルタ。
  3. 各前記オ−ブンスタブの電気長がそれぞれ異なることを特徴とする請求項2記載の低域通過フィルタ。
  4. 前記オープンスタブの先端部がカギ形であることを特徴とする請求項1、2或いは3記載の低域通過フィルタ。
  5. 前記オープンスタブの代わりにショートスタブを用いることを特徴とする請求項1,2,3あるいは4記載の低域通過フィルタ。
  6. 前記マイクロストリップラインの代わりにストリップラインを用いることを特徴とする請求項1,2,3,4あるいは5記載の低域通過フィルタ。
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