JP2004281902A - 酸素イオン注入装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】酸素イオン注入装置を小型・軽量化しかつ、低コスト化を図ることを目的とする。
【解決手段】ターゲット12に酸素イオンを注入する酸素イオン注入装置に、酸素プラズマを生成し、該酸素プラズマ中から電圧を印加したイオン源電極13によりイオンビームを引き出して放射するイオン源1と、質量分離器2と、イオンビームの形状をイオン注入に適した形状に整形するQレンズ部4と、該成形されたイオンビームから中性なビーム成分を分離除去する偏向部5と、前記中性ビーム成分が除去されたイオンビームを入射してターゲット12にイオンを注入するイオン注入室6とを設け、さらに、イオン源1に、引き出したイオンビームを前記ターゲットにイオンを注入するために必要なエネルギを持つまで、前記イオン源電極により加速させる手段を設ける。
【選択図】図1
【解決手段】ターゲット12に酸素イオンを注入する酸素イオン注入装置に、酸素プラズマを生成し、該酸素プラズマ中から電圧を印加したイオン源電極13によりイオンビームを引き出して放射するイオン源1と、質量分離器2と、イオンビームの形状をイオン注入に適した形状に整形するQレンズ部4と、該成形されたイオンビームから中性なビーム成分を分離除去する偏向部5と、前記中性ビーム成分が除去されたイオンビームを入射してターゲット12にイオンを注入するイオン注入室6とを設け、さらに、イオン源1に、引き出したイオンビームを前記ターゲットにイオンを注入するために必要なエネルギを持つまで、前記イオン源電極により加速させる手段を設ける。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、埋め込み酸化膜を有する半導体基盤であるSIMOX基板を製作するための酸素イオン注入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの高速化および低消費電力化が可能なSIMOX(Separation by IMplanted OXygen)基板を製造するための装置に、シリコンウェハに高エネルギに加速した酸素イオンを注入する酸素イオン注入装置がある。
【0003】
従来の酸素イオン注入装置には、イオンを発生させ、イオンビームを引き出すイオン源と、特定の質量と電荷の比を持つイオンだけを取り出す質量分離器と、イオン注入に必要なエネルギを持つようにイオンビームを加速させる後段加速管と、イオン注入するターゲットにイオンビームを収束させるQレンズと、イオンビームに含まれる中性分子を除く偏向磁石と、イオン注入するターゲットが載置されているイオン注入室と、を有して構成されているものがある(例えば特許文献1)。
【0004】
さて、ここで、上述の特許文献1の酸素イオン注入装置の概略構成を図5を用いて説明する。図示するように、酸素イオン注入装置は、イオン源1と、質量分離器2と、後段加速管3(斜線で示す部分)と、Qレンズ部4と、偏向磁石5と、イオンを注入するターゲット12(例えば半導体基盤)が載置されているイオン注入室6と、を有する。また、図示するように、イオン源1、質量分離器2、後段加速管3、Qレンズ部4、偏向磁石5、イオン注入室6のそれぞれの間は接続管10(10a、10b)により接続されている。また、接続管10(10a、10b)に接続されているイオン源1からイオン注入室6までの経路は、気密連結されており、それらの内部は真空に保たれている。なお、以下の説明においてイオン源1からイオン注入室6までの経路(経路を構成する機器)をビームラインと呼ぶこととする。
【0005】
さて、イオン源1には、イオンビーム11を引き出すために、高電圧が印加されたイオン源電極(図示せず)が設置されている。また、後段加速管3には、イオンビーム11をイオン注入に必要なエネルギを持つまで加速させるために、高電圧が印加された加速電極(図示せず)が設置されている。このように、図示する酸素イオン注入装置は、イオン源1のイオン源電極および後段加速管3の加速電極の2箇所で、イオン注入に必要なエネルギをイオンビーム11に与えている。
【0006】
また、2箇所でイオン注入に必要なエネルギをイオンビーム11に与えているため、後段加速管3から見てイオン源1側に設置される機器(接続管10a、質量分離器2、イオン源1)を、後段加速管3の電位(例えば、150kV程度の電位)から絶縁して設置する必要がある。そのため、図示するようにレッドボックス7と呼ばれる高圧絶縁架台(絶縁碍子でアース電位と絶縁した機器設置用筐体)に、これらの機器(イオン源1、質量分離器2、接続管10a)を収納している。
【0007】
さらに、酸素イオン注入装置では、イオン源1で発生させたイオンビームがビームラインの構成部材に衝突することで、二次電子が発生する。そして、その二次電子がビームラインに存在する電場により、あるエネルギ(あるエネルギとは、X線を発生させるに必要な2次電子エネルギのしきい値をさす)以上にまで加速されビームラインの構成部材と衝突した場合、X線が発生する(主に高電圧が印加されている加速管3およびイオン源1でX線が発生する)。そのため、酸素イオン注入装置には、このX線が漏れることを防止する手段を設ける必要がある。
【0008】
従来の酸素イオン注入装置では、図示するように、イオン源1を収納しているレッドボックス7全体をX線遮蔽材(図示する太線部分がX線遮蔽材)で覆っている。また、X線が発生する加速管3の周りに、X線遮蔽材(図示する太線部分がX線遮蔽材)で覆ったX線遮蔽部50を設け、さらに、装置全体を全体カバー8で覆っている。
【特許文献1】
特開平10−3873号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1のイオン注入装置は、以下の問題点を有している。上記のX線遮蔽材は、高密度の重金属(重金属は、重量が大きく、高価である)である。また、X線発生箇所は、上述のように高電圧部位である。そのため、X線遮蔽材を高電圧部位に接触させて設置(または極近傍に設置)した場合、短絡あるいは放電により、イオン注入装置の運転ができなくなる。したがって、上記イオン注入装置は、レッドボックスに収納する高電位の機器及び高電位の加速管3に対しX線遮蔽材(レッドボックス7、X線遮蔽部8a)を絶縁破壊距離から十分に離間して設置している。
【0010】
その結果、X線遮蔽材で囲む範囲が大きくなるため、イオン注入装置の設置スペースが大きくなるという問題を有している。そして、X線遮蔽材で囲む範囲が大きいことからX線遮蔽材の使用量も多くなる。そのため、上記イオン注入装置は、設置面積および重量が大きく、高価な装置になる(例えば、10t位の装置重量になる)。
【0011】
そこで、本発明の目的は、酸素イオン注入装置を小型・軽量化しかつ、低コスト化を図ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、ターゲットに酸素イオンを注入して所定の深さに酸化層を形成する酸素イオン注入装置において、イオン源にイオンビームを引き出す手段と、該引き出したイオンビームにイオン注入に必要なエネルギを与える手段とを設ける。
【0013】
例えば、本発明の第一の態様の酸素イオン注入装置は、酸素プラズマを生成し、該酸素プラズマ中から電圧を印加したイオン源電極によりイオンビームを引き出して放射するイオン源と、前記イオンビームから必要なイオン種のみを分離して放射する質量分離器と、前記放射したイオンビームの形状をイオン注入に適した形状に整形するQレンズ部と、前記成形されたイオンビームから中性なビーム成分を分離除去する偏向部と、前記中性ビーム成分が除去されたイオンビームを入射して前記ターゲットにイオンを注入するイオン注入室と、を有し、前記イオン源は引き出したイオンビームを、前記ターゲットにイオンを注入するために必要なエネルギを持つまで、前記イオン源電極により加速する。
【0014】
このように、本発明の第一の態様の酸素イオン注入装置によれば、イオン源の一箇所で、イオンビームにイオンを注入するために必要なエネルギを与える構成としている。すなわち、本実施形態の酸素イオン注入装置は、上述した従来の酸素イオン注入装置のように後段加速管を必要としないため装置全体を小型化することができる。
【0015】
また、本第一の態様は、上記の通り、エネルギの注入を1箇所で行うことから、装置全体の中で、高電位部位がイオン源だけとなる。そのため、上述した、従来の酸素イオン注入装置のようなレッドボックスを設ける必要がなくなる。
【0016】
また、本第一の態様の酸素イオン注入装置では、X線が主に発生する部位もイオン源1に限られてくるため(X線は、主に高電位部位で発生する)、X線を遮蔽するための手段を、イオン源1にだけ設けておけばよい。したがって、上述した従来の酸素イオン注入装置と比べて、X線遮蔽材で囲む範囲が少なくなり、重量が大きくかつ高価なX線遮蔽材の使用量を減少させることができる。すなわち、本一態様によれば、酸素イオン注入装置を小型・軽量化しかつ、低コスト化することができる。
【0017】
また、本発明の第二の態様の酸素イオン注入装置は、第一の態様の酸素イオン注入装置からQレンズ部を除いて、該Qレンズ部が行っているイオンビームの形状をイオン注入に適した形状に成形する機能を、イオン源1で行うようにしたものである。
【0018】
例えば、第二の態様の酸素イオン注入装置は、酸素プラズマを生成し、該酸素プラズマ中から電圧を印加したイオン源電極によりイオンビームを引き出して放射するイオン源と、前記イオンビームから必要なイオン種のみを分離して放射する質量分離器と、前記放射したイオンビームから中性なビーム成分を分離除去する偏向部と、前記中性ビーム成分が除去されたイオンビームを入射して前記ターゲットにイオンを注入するイオン注入室と、を有し、前記イオン源は、前記引き出したイオンビームを、前記ターゲットにイオンを注入するために必要なエネルギを持つまで、前記イオン源電極により加速し、該加速したイオンビームをイオン注入に適した形状を有する引き出し用開口部により成形して放射する。
【0019】
また、前記引き出し用開口部とは、ターゲットが半導体基板である場合には、一方向が該半導体基板の直径の長さを有し、該一方向の直角方向は該直径に比べて短い長さを有する矩形の形状であることとしてもよい。また、前記引き出し用開口部とは、直径が数mm程度の孔を多数並べた形状であることとしてもよい。
【0020】
このように、本発明の第2の態様によれば、イオン源にイオンビームのビーム形状をターゲットに照射するための形状に成形する手段設を設けていることから、上記第1の態様で必要であったQレンズ部を除くことが可能となる。そのため、第1の態様と比べて更に、小型化しかつ軽量化した酸素イオン注入装置を実現することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態が適用された酸素イオン注入装置の概略構成を示す図である。図示するように本実施形態の酸素イオン注入装置は、イオン源1と、質量分離器2と、Qレンズ部4と、偏向磁石5と、イオンを注入するターゲット12(例えば半導体基盤)が載置されているイオン注入室6と、X線遮蔽部20と、装置の全体カバー8とを有する。また、イオン源1には、高電圧が印加されているイオン源電極13が配置されている。また、図示するように、イオン源1、質量分離器2、Qレンズ部4、偏向磁石5、イオン注入室6のそれぞれの間は接続管10により接続されている。また、この接続管10に接続されているイオン源1からイオン注入室6までの経路は、気密連結されており、それらの内部は真空に保たれている。なお、図5で示した従来の酸素イオン注入装置と同じ構成については同じ符号を用いることとする。
【0023】
イオン源1には、プラズマ室(図示せず)があり、イオン源コイル(図示せず)による磁場印加、及び、ガス及びマイクロ波供給源(図示せず)からの、ビームガス及びマイクロ波が導入され、酸素プラズマが生成される。また、イオン源1は、イオン源電極13により、その生成したプラズマからイオンビーム11を引き出し、かつ、イオンビーム11をイオン注入に必要なエネルギを持つように加速させて(例えば、イオン源1で200keV程度エネルギを注入する)、質量分離器2に放射する。なお、このイオン源1のイオン源電極13の構成については後述する。
【0024】
質量分離器2は、特定の質量と電荷の比を持つイオンだけを取り出すものであり、水平方向にイオンビーム11を偏向させるように構成されている。
【0025】
その後、イオンビーム11は、Qレンズ部4によりイオン注入に適した形状に成形され、さらに、偏向磁石5により中性なビーム成分が分離除去され(イオンの進行方向だけを曲げることにより中性分子が除かれる)、イオン注入室6の中のターゲット12に照射される。
【0026】
また、高電位が印加されているイオン源1ではX線が発生するため、図示するように、イオン源1の周りを、X線遮蔽能力を有する重金属のX線遮蔽材で覆ったX線遮蔽部20が設けられている。
【0027】
続いて、イオン源1のイオン源電極13について図2、図3を用いて説明する。
【0028】
図2は、本実施形態のイオン源1の正のイオン源電極13の構成を例示したものである。図示するように、イオン源電極13は、イオン源1のプラズマ室側から、プラズマ電極PG21と、引出し電極EG22と、減速電極DG23と、接地電極GG24とを有している。そして、本実施形態では、正のイオン源電極の場合には、上記4枚の電極で、イオン源1のプラズマ室で生成したプラズマからイオンビームを引き出し、該イオンビームにイオン注入に必要なエネルギを注入するように構成されている。例えば、図示する正のイオン源電極13では、80kv〜200kv程度のエネルギを注入することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、イオン源電極13の枚数を特に限定しない。例えば、イオン注入に必要なエネルギが200kvより大きくなる場合には、イオン源電極13の枚数を増加させるようにすればよい(例えば、数10kvあがる度に、電極を1枚追加すればよい)。また、イオン注入に必要なエネルギが80kvより小さくなる場合には、イオン源電極13の枚数を減少させて3枚にすればよい。
【0030】
図3は、本実施形態のイオン源1の負のイオン源電極13の構成を例示したものである。図示するように、負のイオン源電極13は、イオン源1のプラズマ室側から、プラズマ電極PG31と、引出し電極EG32と、接地電極GG33とを有している。そして、本実施形態では、負のイオン源電極の場合は、上記3枚の電極で、イオン源1のプラズマ室で生成したプラズマからイオンビームを引き出し、イオン注入に必要なエネルギを注入するように構成されている。ここで、負のイオン源電極13では、生成したプラズマから酸素負イオンと共に引き出される電子を除去するための磁場を形成するために、電子偏向用永久磁石34を設ける構成にしている。そして、例えば、図示する負のイオン源電極13では、80kv〜200kv程度のエネルギを注入することができる。
【0031】
なお、負のイオン源電極13の枚数についても、上記正のイオン源電極と同様に特に限定しない。例えば、イオン注入に必要なエネルギが200kvより大きくなる場合には、イオン源電極13の枚数を増加させるようにすればよい(例えば、数10kvあがる度に、電極を1枚追加すればよい)。
【0032】
このように、本実施形態の酸素イオン注入装置は、イオン注入に必要なエネルギの注入をイオン源1の1箇所で行うこととしている(イオン源1にイオンビーム引出す機能およびイオンビーム加速機能の両機能を持たせている)。そのため、図5に示す従来の酸素イオン注入装置のような後段加速管3を設ける必要がない。したがって、本実施形態の酸素イオン注入装置は、従来の酸素イオン注入装置と比較して、後段加速管3の設置に必要な容積分をそのまま小型化することができる。
【0033】
また、本実施形態の酸素イオン注入装置は、上記の通り、イオン注入に必要なエネルギ注入を1箇所で行うことから、装置全体の中の高電位部位がイオン源1だけとなる。そのため、図5に示す従来の酸素イオン注入装置のようなレッドボックスを設ける必要がなくなる(上述したようにレッドボックスは装置に高電位部位が2箇所存在するために設けている)。
【0034】
そして、X線が主に発生する部位もイオン源1に限られてくるため(X線は、主に高電位部位で発生する)、X線を遮蔽するための手段は、イオン源1にだけ設けておけばよい(従来のようにイオン源1と後段加速管3とから絶縁距離を確保してX線遮蔽部材を設ける必要はない)。したがって、図5に示す従来の酸素イオン注入装置と比べて、X線遮蔽材で囲む範囲が少なくなり、重量が大きくかつ高価なX線遮蔽材の使用量を減少させることができる。
【0035】
このように、本実施形態によれば、従来必要であった、後段加速管3およびレッドボックス7が不要となり、さらに、X線遮蔽材の使用量を減少させることができる。そのため、酸素イオン注入装置の小型・軽量化および低コスト化を実現することができる。
【0036】
続いて、本発明の第2の実施形態について図4を用いて説明する。なお、本第2の実施形態の説明では、図1で示した第1の実施形態の酸素イオン注入装置と同じ構成については同じ符号を用いることとする。
【0037】
さて、本発明の第2の実施形態は、上記第1の実施形態の酸素イオン注入装置をさらに小型化したものである。具体的には、本発明の第2の実施形態は、イオン源1のイオンビーム11の引き出し部分に、イオンビーム11のビーム形状を、イオン注入に適した形状に成形する手段設を設け、上記第1の実施形態で必要であったQレンズ部4を除くように構成したものである。
【0038】
このように、Qレンズ部4を除くことができるのは、以下の原理による。本発明の酸素イオン注入装置は、上述のように、高電位部位はイオン源1だけである(イオン源1の1箇所でイオン注入に必要なエネルギを与えている)。そのため、イオン源1から引き出されたイオンビーム11は、その後のビームラインにおいて電界の影響を受けることはない。すなわち、イオン源1から引き出されたイオンビーム11は、その後、ビーム形状が大きく変形することはない(イオンビームのビーム形状は電界の影響により変形する)。したがって、イオン源1の引き出し部分で、イオンビーム11のビーム形状をイオン注入に適した形状に成形しておくことにより、上記第1の実施形態で必要であったQレンズ部4を除くことが可能となる。
【0039】
図4は、本発明の第2の実施形態が適用された酸素イオン注入装置の概略構成を示す図である。
【0040】
図示するように、本発明の第2の実施形態の酸素イオン注入装置は、イオン源1と、質量分離器2と、偏向磁石5と、イオンを注入するターゲット12(例えば半導体基盤)が載置されているイオン注入室6と、X線遮蔽部20と、装置の全体カバー8とを有する。また、本第2の実施形態のイオン注入装置は、イオン源1にイオンビーム11のビーム形状をイオン注入に適した形状に成形して照射するための引き出し用開口部14を有している。この引出し用開口部14は、例えば図示するように矩形に構成されている。また、本第2の実施形態は、図示するように、質量分離器2及び偏向磁石5のイオンビーム11の通過口15(15a、15b、15c、15d)の形状を、引出し用開口部14を包含する大きさの楕円形状で構成している。
【0041】
そして、引出し用開口部14から引き出されたイオンビーム11は、矩形のビーム形状のままビームラインを通過して、イオンターゲット12に照射されることとなる。なお、本第2の実施形態では、上述した引出し用開口部14の具体的な寸法を特に限定しない。例えば、イオン注入ターゲット12が半導体基板の場合には、一方向を、当該半導体基板の直径程度の長さとし、これと直角方向には基板直径と比べて短い長さとすることとしてもよい。また、本第2の実施形態は、引出し用開口部14の形状についても特に限定ない。イオン注入を行うターゲット12に応じた形状にすることができる。例えば、引出し用開口部13を直径が数mm程度の孔を多数並べるように構成してもよい。
【0042】
このように、本発明の第2の実施形態によれば、イオン源1にイオンビーム11のビーム形状をイオン注入に適した形状に成形する手段設を設けていることから、上記第1の実施形態で必要であったQレンズ部4を除くことが可能となる。そのため、第1の実形態と比べて更に、小型・軽量化した酸素イオン注入装置を実現することができる。
【0043】
なお、本発明は以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、酸素イオン注入装置を小型・軽量化しかつ、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態が適用されたイオン注入装置の概略構成を説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施形態が適用された正のイオン源電極13の構成を説明するための図である。
【図3】本発明の第1実施形態が適用された負のイオン源電極13の構成を説明するための図である。
【図4】本発明の第2実施形態が適用されたイオン注入装置の概略構成を説明するための図である。
【図5】従来のイオン注入装置の概略構成を説明するための図である。
【符号の説明】
1…イオン源、2…質量分離器、3…後段加速管、4…Qレンズ部、5…偏向部、6…イオン注入室、7…レッドボックス、8…全体カバー、10…接続管、11…イオンビーム、12…ターゲット、13…イオン源電極、14…引出し用開口部、15…通過口、20…X線遮蔽部、21…プラズマ電極PG、22…引出し電極EG、23…減速電極DG、24…接地電極GG、31…プラズマ電極、32…引出し電極EG、33…接地電極GG、50…X線遮蔽部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、埋め込み酸化膜を有する半導体基盤であるSIMOX基板を製作するための酸素イオン注入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
LSIの高速化および低消費電力化が可能なSIMOX(Separation by IMplanted OXygen)基板を製造するための装置に、シリコンウェハに高エネルギに加速した酸素イオンを注入する酸素イオン注入装置がある。
【0003】
従来の酸素イオン注入装置には、イオンを発生させ、イオンビームを引き出すイオン源と、特定の質量と電荷の比を持つイオンだけを取り出す質量分離器と、イオン注入に必要なエネルギを持つようにイオンビームを加速させる後段加速管と、イオン注入するターゲットにイオンビームを収束させるQレンズと、イオンビームに含まれる中性分子を除く偏向磁石と、イオン注入するターゲットが載置されているイオン注入室と、を有して構成されているものがある(例えば特許文献1)。
【0004】
さて、ここで、上述の特許文献1の酸素イオン注入装置の概略構成を図5を用いて説明する。図示するように、酸素イオン注入装置は、イオン源1と、質量分離器2と、後段加速管3(斜線で示す部分)と、Qレンズ部4と、偏向磁石5と、イオンを注入するターゲット12(例えば半導体基盤)が載置されているイオン注入室6と、を有する。また、図示するように、イオン源1、質量分離器2、後段加速管3、Qレンズ部4、偏向磁石5、イオン注入室6のそれぞれの間は接続管10(10a、10b)により接続されている。また、接続管10(10a、10b)に接続されているイオン源1からイオン注入室6までの経路は、気密連結されており、それらの内部は真空に保たれている。なお、以下の説明においてイオン源1からイオン注入室6までの経路(経路を構成する機器)をビームラインと呼ぶこととする。
【0005】
さて、イオン源1には、イオンビーム11を引き出すために、高電圧が印加されたイオン源電極(図示せず)が設置されている。また、後段加速管3には、イオンビーム11をイオン注入に必要なエネルギを持つまで加速させるために、高電圧が印加された加速電極(図示せず)が設置されている。このように、図示する酸素イオン注入装置は、イオン源1のイオン源電極および後段加速管3の加速電極の2箇所で、イオン注入に必要なエネルギをイオンビーム11に与えている。
【0006】
また、2箇所でイオン注入に必要なエネルギをイオンビーム11に与えているため、後段加速管3から見てイオン源1側に設置される機器(接続管10a、質量分離器2、イオン源1)を、後段加速管3の電位(例えば、150kV程度の電位)から絶縁して設置する必要がある。そのため、図示するようにレッドボックス7と呼ばれる高圧絶縁架台(絶縁碍子でアース電位と絶縁した機器設置用筐体)に、これらの機器(イオン源1、質量分離器2、接続管10a)を収納している。
【0007】
さらに、酸素イオン注入装置では、イオン源1で発生させたイオンビームがビームラインの構成部材に衝突することで、二次電子が発生する。そして、その二次電子がビームラインに存在する電場により、あるエネルギ(あるエネルギとは、X線を発生させるに必要な2次電子エネルギのしきい値をさす)以上にまで加速されビームラインの構成部材と衝突した場合、X線が発生する(主に高電圧が印加されている加速管3およびイオン源1でX線が発生する)。そのため、酸素イオン注入装置には、このX線が漏れることを防止する手段を設ける必要がある。
【0008】
従来の酸素イオン注入装置では、図示するように、イオン源1を収納しているレッドボックス7全体をX線遮蔽材(図示する太線部分がX線遮蔽材)で覆っている。また、X線が発生する加速管3の周りに、X線遮蔽材(図示する太線部分がX線遮蔽材)で覆ったX線遮蔽部50を設け、さらに、装置全体を全体カバー8で覆っている。
【特許文献1】
特開平10−3873号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1のイオン注入装置は、以下の問題点を有している。上記のX線遮蔽材は、高密度の重金属(重金属は、重量が大きく、高価である)である。また、X線発生箇所は、上述のように高電圧部位である。そのため、X線遮蔽材を高電圧部位に接触させて設置(または極近傍に設置)した場合、短絡あるいは放電により、イオン注入装置の運転ができなくなる。したがって、上記イオン注入装置は、レッドボックスに収納する高電位の機器及び高電位の加速管3に対しX線遮蔽材(レッドボックス7、X線遮蔽部8a)を絶縁破壊距離から十分に離間して設置している。
【0010】
その結果、X線遮蔽材で囲む範囲が大きくなるため、イオン注入装置の設置スペースが大きくなるという問題を有している。そして、X線遮蔽材で囲む範囲が大きいことからX線遮蔽材の使用量も多くなる。そのため、上記イオン注入装置は、設置面積および重量が大きく、高価な装置になる(例えば、10t位の装置重量になる)。
【0011】
そこで、本発明の目的は、酸素イオン注入装置を小型・軽量化しかつ、低コスト化を図ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、ターゲットに酸素イオンを注入して所定の深さに酸化層を形成する酸素イオン注入装置において、イオン源にイオンビームを引き出す手段と、該引き出したイオンビームにイオン注入に必要なエネルギを与える手段とを設ける。
【0013】
例えば、本発明の第一の態様の酸素イオン注入装置は、酸素プラズマを生成し、該酸素プラズマ中から電圧を印加したイオン源電極によりイオンビームを引き出して放射するイオン源と、前記イオンビームから必要なイオン種のみを分離して放射する質量分離器と、前記放射したイオンビームの形状をイオン注入に適した形状に整形するQレンズ部と、前記成形されたイオンビームから中性なビーム成分を分離除去する偏向部と、前記中性ビーム成分が除去されたイオンビームを入射して前記ターゲットにイオンを注入するイオン注入室と、を有し、前記イオン源は引き出したイオンビームを、前記ターゲットにイオンを注入するために必要なエネルギを持つまで、前記イオン源電極により加速する。
【0014】
このように、本発明の第一の態様の酸素イオン注入装置によれば、イオン源の一箇所で、イオンビームにイオンを注入するために必要なエネルギを与える構成としている。すなわち、本実施形態の酸素イオン注入装置は、上述した従来の酸素イオン注入装置のように後段加速管を必要としないため装置全体を小型化することができる。
【0015】
また、本第一の態様は、上記の通り、エネルギの注入を1箇所で行うことから、装置全体の中で、高電位部位がイオン源だけとなる。そのため、上述した、従来の酸素イオン注入装置のようなレッドボックスを設ける必要がなくなる。
【0016】
また、本第一の態様の酸素イオン注入装置では、X線が主に発生する部位もイオン源1に限られてくるため(X線は、主に高電位部位で発生する)、X線を遮蔽するための手段を、イオン源1にだけ設けておけばよい。したがって、上述した従来の酸素イオン注入装置と比べて、X線遮蔽材で囲む範囲が少なくなり、重量が大きくかつ高価なX線遮蔽材の使用量を減少させることができる。すなわち、本一態様によれば、酸素イオン注入装置を小型・軽量化しかつ、低コスト化することができる。
【0017】
また、本発明の第二の態様の酸素イオン注入装置は、第一の態様の酸素イオン注入装置からQレンズ部を除いて、該Qレンズ部が行っているイオンビームの形状をイオン注入に適した形状に成形する機能を、イオン源1で行うようにしたものである。
【0018】
例えば、第二の態様の酸素イオン注入装置は、酸素プラズマを生成し、該酸素プラズマ中から電圧を印加したイオン源電極によりイオンビームを引き出して放射するイオン源と、前記イオンビームから必要なイオン種のみを分離して放射する質量分離器と、前記放射したイオンビームから中性なビーム成分を分離除去する偏向部と、前記中性ビーム成分が除去されたイオンビームを入射して前記ターゲットにイオンを注入するイオン注入室と、を有し、前記イオン源は、前記引き出したイオンビームを、前記ターゲットにイオンを注入するために必要なエネルギを持つまで、前記イオン源電極により加速し、該加速したイオンビームをイオン注入に適した形状を有する引き出し用開口部により成形して放射する。
【0019】
また、前記引き出し用開口部とは、ターゲットが半導体基板である場合には、一方向が該半導体基板の直径の長さを有し、該一方向の直角方向は該直径に比べて短い長さを有する矩形の形状であることとしてもよい。また、前記引き出し用開口部とは、直径が数mm程度の孔を多数並べた形状であることとしてもよい。
【0020】
このように、本発明の第2の態様によれば、イオン源にイオンビームのビーム形状をターゲットに照射するための形状に成形する手段設を設けていることから、上記第1の態様で必要であったQレンズ部を除くことが可能となる。そのため、第1の態様と比べて更に、小型化しかつ軽量化した酸素イオン注入装置を実現することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1実施形態が適用された酸素イオン注入装置の概略構成を示す図である。図示するように本実施形態の酸素イオン注入装置は、イオン源1と、質量分離器2と、Qレンズ部4と、偏向磁石5と、イオンを注入するターゲット12(例えば半導体基盤)が載置されているイオン注入室6と、X線遮蔽部20と、装置の全体カバー8とを有する。また、イオン源1には、高電圧が印加されているイオン源電極13が配置されている。また、図示するように、イオン源1、質量分離器2、Qレンズ部4、偏向磁石5、イオン注入室6のそれぞれの間は接続管10により接続されている。また、この接続管10に接続されているイオン源1からイオン注入室6までの経路は、気密連結されており、それらの内部は真空に保たれている。なお、図5で示した従来の酸素イオン注入装置と同じ構成については同じ符号を用いることとする。
【0023】
イオン源1には、プラズマ室(図示せず)があり、イオン源コイル(図示せず)による磁場印加、及び、ガス及びマイクロ波供給源(図示せず)からの、ビームガス及びマイクロ波が導入され、酸素プラズマが生成される。また、イオン源1は、イオン源電極13により、その生成したプラズマからイオンビーム11を引き出し、かつ、イオンビーム11をイオン注入に必要なエネルギを持つように加速させて(例えば、イオン源1で200keV程度エネルギを注入する)、質量分離器2に放射する。なお、このイオン源1のイオン源電極13の構成については後述する。
【0024】
質量分離器2は、特定の質量と電荷の比を持つイオンだけを取り出すものであり、水平方向にイオンビーム11を偏向させるように構成されている。
【0025】
その後、イオンビーム11は、Qレンズ部4によりイオン注入に適した形状に成形され、さらに、偏向磁石5により中性なビーム成分が分離除去され(イオンの進行方向だけを曲げることにより中性分子が除かれる)、イオン注入室6の中のターゲット12に照射される。
【0026】
また、高電位が印加されているイオン源1ではX線が発生するため、図示するように、イオン源1の周りを、X線遮蔽能力を有する重金属のX線遮蔽材で覆ったX線遮蔽部20が設けられている。
【0027】
続いて、イオン源1のイオン源電極13について図2、図3を用いて説明する。
【0028】
図2は、本実施形態のイオン源1の正のイオン源電極13の構成を例示したものである。図示するように、イオン源電極13は、イオン源1のプラズマ室側から、プラズマ電極PG21と、引出し電極EG22と、減速電極DG23と、接地電極GG24とを有している。そして、本実施形態では、正のイオン源電極の場合には、上記4枚の電極で、イオン源1のプラズマ室で生成したプラズマからイオンビームを引き出し、該イオンビームにイオン注入に必要なエネルギを注入するように構成されている。例えば、図示する正のイオン源電極13では、80kv〜200kv程度のエネルギを注入することができる。
【0029】
なお、本実施形態では、イオン源電極13の枚数を特に限定しない。例えば、イオン注入に必要なエネルギが200kvより大きくなる場合には、イオン源電極13の枚数を増加させるようにすればよい(例えば、数10kvあがる度に、電極を1枚追加すればよい)。また、イオン注入に必要なエネルギが80kvより小さくなる場合には、イオン源電極13の枚数を減少させて3枚にすればよい。
【0030】
図3は、本実施形態のイオン源1の負のイオン源電極13の構成を例示したものである。図示するように、負のイオン源電極13は、イオン源1のプラズマ室側から、プラズマ電極PG31と、引出し電極EG32と、接地電極GG33とを有している。そして、本実施形態では、負のイオン源電極の場合は、上記3枚の電極で、イオン源1のプラズマ室で生成したプラズマからイオンビームを引き出し、イオン注入に必要なエネルギを注入するように構成されている。ここで、負のイオン源電極13では、生成したプラズマから酸素負イオンと共に引き出される電子を除去するための磁場を形成するために、電子偏向用永久磁石34を設ける構成にしている。そして、例えば、図示する負のイオン源電極13では、80kv〜200kv程度のエネルギを注入することができる。
【0031】
なお、負のイオン源電極13の枚数についても、上記正のイオン源電極と同様に特に限定しない。例えば、イオン注入に必要なエネルギが200kvより大きくなる場合には、イオン源電極13の枚数を増加させるようにすればよい(例えば、数10kvあがる度に、電極を1枚追加すればよい)。
【0032】
このように、本実施形態の酸素イオン注入装置は、イオン注入に必要なエネルギの注入をイオン源1の1箇所で行うこととしている(イオン源1にイオンビーム引出す機能およびイオンビーム加速機能の両機能を持たせている)。そのため、図5に示す従来の酸素イオン注入装置のような後段加速管3を設ける必要がない。したがって、本実施形態の酸素イオン注入装置は、従来の酸素イオン注入装置と比較して、後段加速管3の設置に必要な容積分をそのまま小型化することができる。
【0033】
また、本実施形態の酸素イオン注入装置は、上記の通り、イオン注入に必要なエネルギ注入を1箇所で行うことから、装置全体の中の高電位部位がイオン源1だけとなる。そのため、図5に示す従来の酸素イオン注入装置のようなレッドボックスを設ける必要がなくなる(上述したようにレッドボックスは装置に高電位部位が2箇所存在するために設けている)。
【0034】
そして、X線が主に発生する部位もイオン源1に限られてくるため(X線は、主に高電位部位で発生する)、X線を遮蔽するための手段は、イオン源1にだけ設けておけばよい(従来のようにイオン源1と後段加速管3とから絶縁距離を確保してX線遮蔽部材を設ける必要はない)。したがって、図5に示す従来の酸素イオン注入装置と比べて、X線遮蔽材で囲む範囲が少なくなり、重量が大きくかつ高価なX線遮蔽材の使用量を減少させることができる。
【0035】
このように、本実施形態によれば、従来必要であった、後段加速管3およびレッドボックス7が不要となり、さらに、X線遮蔽材の使用量を減少させることができる。そのため、酸素イオン注入装置の小型・軽量化および低コスト化を実現することができる。
【0036】
続いて、本発明の第2の実施形態について図4を用いて説明する。なお、本第2の実施形態の説明では、図1で示した第1の実施形態の酸素イオン注入装置と同じ構成については同じ符号を用いることとする。
【0037】
さて、本発明の第2の実施形態は、上記第1の実施形態の酸素イオン注入装置をさらに小型化したものである。具体的には、本発明の第2の実施形態は、イオン源1のイオンビーム11の引き出し部分に、イオンビーム11のビーム形状を、イオン注入に適した形状に成形する手段設を設け、上記第1の実施形態で必要であったQレンズ部4を除くように構成したものである。
【0038】
このように、Qレンズ部4を除くことができるのは、以下の原理による。本発明の酸素イオン注入装置は、上述のように、高電位部位はイオン源1だけである(イオン源1の1箇所でイオン注入に必要なエネルギを与えている)。そのため、イオン源1から引き出されたイオンビーム11は、その後のビームラインにおいて電界の影響を受けることはない。すなわち、イオン源1から引き出されたイオンビーム11は、その後、ビーム形状が大きく変形することはない(イオンビームのビーム形状は電界の影響により変形する)。したがって、イオン源1の引き出し部分で、イオンビーム11のビーム形状をイオン注入に適した形状に成形しておくことにより、上記第1の実施形態で必要であったQレンズ部4を除くことが可能となる。
【0039】
図4は、本発明の第2の実施形態が適用された酸素イオン注入装置の概略構成を示す図である。
【0040】
図示するように、本発明の第2の実施形態の酸素イオン注入装置は、イオン源1と、質量分離器2と、偏向磁石5と、イオンを注入するターゲット12(例えば半導体基盤)が載置されているイオン注入室6と、X線遮蔽部20と、装置の全体カバー8とを有する。また、本第2の実施形態のイオン注入装置は、イオン源1にイオンビーム11のビーム形状をイオン注入に適した形状に成形して照射するための引き出し用開口部14を有している。この引出し用開口部14は、例えば図示するように矩形に構成されている。また、本第2の実施形態は、図示するように、質量分離器2及び偏向磁石5のイオンビーム11の通過口15(15a、15b、15c、15d)の形状を、引出し用開口部14を包含する大きさの楕円形状で構成している。
【0041】
そして、引出し用開口部14から引き出されたイオンビーム11は、矩形のビーム形状のままビームラインを通過して、イオンターゲット12に照射されることとなる。なお、本第2の実施形態では、上述した引出し用開口部14の具体的な寸法を特に限定しない。例えば、イオン注入ターゲット12が半導体基板の場合には、一方向を、当該半導体基板の直径程度の長さとし、これと直角方向には基板直径と比べて短い長さとすることとしてもよい。また、本第2の実施形態は、引出し用開口部14の形状についても特に限定ない。イオン注入を行うターゲット12に応じた形状にすることができる。例えば、引出し用開口部13を直径が数mm程度の孔を多数並べるように構成してもよい。
【0042】
このように、本発明の第2の実施形態によれば、イオン源1にイオンビーム11のビーム形状をイオン注入に適した形状に成形する手段設を設けていることから、上記第1の実施形態で必要であったQレンズ部4を除くことが可能となる。そのため、第1の実形態と比べて更に、小型・軽量化した酸素イオン注入装置を実現することができる。
【0043】
なお、本発明は以上で説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、酸素イオン注入装置を小型・軽量化しかつ、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態が適用されたイオン注入装置の概略構成を説明するための図である。
【図2】本発明の第1実施形態が適用された正のイオン源電極13の構成を説明するための図である。
【図3】本発明の第1実施形態が適用された負のイオン源電極13の構成を説明するための図である。
【図4】本発明の第2実施形態が適用されたイオン注入装置の概略構成を説明するための図である。
【図5】従来のイオン注入装置の概略構成を説明するための図である。
【符号の説明】
1…イオン源、2…質量分離器、3…後段加速管、4…Qレンズ部、5…偏向部、6…イオン注入室、7…レッドボックス、8…全体カバー、10…接続管、11…イオンビーム、12…ターゲット、13…イオン源電極、14…引出し用開口部、15…通過口、20…X線遮蔽部、21…プラズマ電極PG、22…引出し電極EG、23…減速電極DG、24…接地電極GG、31…プラズマ電極、32…引出し電極EG、33…接地電極GG、50…X線遮蔽部
Claims (4)
- ターゲットに酸素イオンを注入して所定の深さに酸化層を形成する酸素イオン注入装置であって、
酸素プラズマを生成し、該酸素プラズマ中から電圧を印加したイオン源電極によりイオンビームを引き出して放射するイオン源と、
前記イオンビームから必要なイオン種のみを分離して放射する質量分離器と、前記放射したイオンビームの形状をイオン注入に適した形状に整形するQレンズ部と、
前記成形されたイオンビームから中性なビーム成分を分離除去する偏向部と、
前記中性ビーム成分が除去されたイオンビームを入射して前記ターゲットにイオンを注入するイオン注入室と、を有し、
前記イオン源は、引き出したイオンビームを、前記ターゲットにイオンを注入するために必要なエネルギを持つまで、前記イオン源電極により加速すること
を特徴とする酸素イオン注入装置。 - ターゲットに酸素イオンを注入して所定の深さに酸化層を形成する酸素イオン注入装置であって、
酸素プラズマを生成し、該酸素プラズマ中から電圧を印加したイオン源電極によりイオンビームを引き出して放射するイオン源と、
前記イオンビームから必要なイオン種のみを分離して放射する質量分離器と、
前記放射したイオンビームから中性なビーム成分を分離除去する偏向部と、
前記中性ビーム成分が除去されたイオンビームを入射して前記ターゲットにイオンを注入するイオン注入室と、を有し、
前記イオン源は、前記引き出したイオンビームを、前記ターゲットにイオンを注入するために必要なエネルギを持つまで、前記イオン源電極により加速し、該加速したイオンビームをイオン注入に適した形状を有する引き出し用開口部により成形して放射すること
を特徴とする酸素イオン注入装置。 - 請求項2に記載の酸素イオン注入装置であって、
前記引き出し用開口部とは、ターゲットが半導体基板である場合には、一方向が該半導体基板の直径の長さを有し、該一方向の直角方向は該直径に比べて短い長さを有する矩形の形状であること
を特徴とする酸素イオン注入装置。 - 請求項2に記載の酸素イオン注入装置であって、
前記引き出し用開口部とは、直径が数mm程度の孔を多数並べた形状であること
を特徴とする酸素イオン注入装置。
Priority Applications (1)
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