JP2004281224A - Nb3Al超伝導線材およびその変態熱処理方法 - Google Patents

Nb3Al超伝導線材およびその変態熱処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】核融合炉や高エネルギ−加速器などの超伝導線自身に大きな電磁力が加わるような大型・応用超伝導機器または永久電流モード運転で高磁場発生が必要な高分解能核磁気共鳴分光分析装置の内層超伝導コイル等の使用に好適なNbAl超伝導線材を提供する。
【解決手段】特定の範囲内で塑性変形量を加えながら変態熱処理温度領域までの昇温速度を速くすることによって優れた超伝導特性を有するNbAl超伝導線材を製造する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明はNb/Al複合体の変態熱処理方法に関するものであり、さらに詳しくは核融合炉や高エネルギ−加速器などの超伝導線自身に大きな電磁力が加わるような大型・応用超伝導機器または永久電流モード運転で高磁場発生が必要な高分解能核磁気共鳴分光分析装置の内層超伝導コイル等の使用に好適なNbAl超伝導線材およびその変態熱処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
この出願の発明者らはNb/Al複合体を急熱・急冷して得られるbcc相の過飽和固溶体Nb(Al)ssを650−950℃の温度範囲で熱処理するとbcc相からA15型NbAl化合物に変態して微細な結晶粒組織で化学量論性が保たれることを知得し、高磁場まで高い臨界電流密度を有するNbAl線材の製造方法を提供した。
【0003】
そして、その中で変態熱処理の温度および時間と超伝導特性の関係を検討した結果、800℃で10時間保持するのが変態熱処理条件として最適であるであることを明らかにした(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、この熱処理法では変態温度までの昇温時間、すなわち昇温速度の違いがbcc相の過飽和固溶体Nb(Al)ssの変態後の超伝導特性に影響を与えることについては全く知見していない。たとえば、通常の変態熱処理では、短尺試料に対して石英管に真空雰囲気中で封入した試料を800℃に保持された電気炉で15分程度(昇温速度:3200℃/h)で昇温することもあれば、加熱電源のプログラム制御により室温から800℃まで1時間(昇温速度:800℃/h)で昇温することもあり様々であった。
【0005】
【特許文献1】
特公平7−60620号公報
(特許第2021986号)
【0006】
上記のように昇温速度が異なる変態処理をしたNb(Al)ss/Nbの複合線の超伝導特性を測定したところ、測定値は僅かに異なっていたが、この測定値の違いはNb(Al)ss/Nbの複合線の不均質性または実験誤差に起因するものと考えていた。
【0007】
ところが、最近は均質なNb(Al)ss/Nbの複合線が製造できるようになり、この均質なNb(Al)ss/Nbの複合線を巻いて作製した熱容量の大きな中型または大型コイルを変態熱処理する際、コイルの昇温時にコイル内部での熱歪みを極力抑えるために室温から800℃まで8時間かけてゆっくり昇温した(昇温速度:100℃/h)ところ、コイル全体の臨界電流密度のJc特性は通常の1時間かけて昇温する(昇温速度:800℃/h)短尺試料と比べて大幅に劣化するという知見を得た。
【0008】
そこで、この出願の発明は、この事実に基づきさらに検討を進め、変態熱処理温度領域までの昇温速度を速くして臨界電流密度Jcをはじめとした超伝導特性が高いNbAl超伝導線材とその熱処理方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するためのものとして、第1には、変態熱処理前の塑性変形量としてR.A.が0%の時に400℃/h以上、R.A.が0%を超えて10%以下の時290℃/h以上、R.A.が10%を超えて20%以下の時に190℃/h以上、R.A.が20%を超えて70%以下の時1℃/h以上、R.A.が70%を超えて80%以下の時140℃以上、R.A.が80%を超えた時400℃/h以上の速度で変態温度まで昇温させるNbAl超伝導線材の変態熱処理方法を提供し、第2には、R.A.が10%を超えて20%以下の時に470℃/h以上である上記NbAl超伝導線材の変態熱処理方法を、第3には、R.A.が20%を超えて30%以下の時220℃/h以上である上記NbAl超伝導線材の変態熱処理方法を、第4には、R.A.が30%を超えて40%以下の時70℃/h以上である上記NbAl超伝導線材の変態熱処理方法を、第5には、R.A.が40%を超えて50%以下の時70℃/h以上である上記NbAl超伝導線材の変態熱処理方法を、第6には、R.A.が50%を超えて60%以下の時140℃/h以上である上記NbAl超伝導線材の変態熱処理方法を、第7には、R.A.が60%を超えて70%以下の時330℃/h以上である上記NbAl超伝導線材の変態熱処理方法を、第8には、R.A.が70%を超えて80%以下の時500℃/h以上である上記NbAl超伝導線材の変態熱処理方法を、第9には、直接通電加熱を併用してコイルを速く且つ均一に昇温する上記NbAl超伝導線材の変態熱処理方法を提供する。さらに、第10には、中型コイルまたは大型コイルの変態熱処理時にクリアボアの中にも加熱ヒータを設置してコイル内層側を相対的に速く昇温し、コイル内層側の温度・電流マージンを大きくする上記NbAl超伝導線材の変態熱処理方法を、第11には、600〜850℃の温度範囲の一部あるいは全てが昇温域で、保持する一定の温度が750〜850℃で、変態熱処理時間が1〜200時間である上記NbAl超伝導線材の変態熱処理方法を提供する。
【0010】
また、この出願の発明は、第12には、組成比がNb−(23−27)at.%AlであるNbとAlの拡散対を高温に昇温して拡散反応をさせ、これを急冷にて得られる均一なAl濃度分布のbcc相過飽和固溶体がNbまたはTaマトリックス内に多数分散している合金からなる複合多芯線である上記方法で熱処理したNbAl超伝導線材を、また、第13には、通電加熱よって1900−2060℃の温度範囲で熱処理した上記NbAl超伝導線材を提供する。
【0011】
以上のとおりのこの出願の発明は、急熱・急冷・変態(Rapid Heating, Quenching and Transformation annealing)法によるNbAl超伝導線材の製造法において、超伝導性が不均一になるのは超伝導特性の昇温速度依存性および昇温時にコイル内部の局所的な昇温温度差が生じてしまうことが原因であるとの想定のもとに超伝導特性の変態熱処理における昇温速度と変態熱処理前に施す塑性変形量について検討した結果、変態熱処理昇温速度と塑性変形量を特定の範囲で行うことによって優れた超伝導特性を有するNbAl超伝導線材を製造することが可能になるとの知見が得られたことから、この知見に基づいて完成されている。
【0012】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下に発明の実施の形態について説明する。
【0013】
Nb/Al複合体を急熱・急冷して得られるbcc相過飽和固溶体を変態熱処理して生成するNbAlの超伝導特性は変態温度までの昇温速度と変態処理前に施す塑性変形量に大きく依存する。すなわち、臨界温度は昇温速度が速いと高くなるが、その挙動は変態熱処理の前の塑性変形量によって大きく変わってくる。
【0014】
また一方、高磁界の臨界電流密度(Jc)と臨界磁場(Hc)はいずれも臨界温度(Tc)に比例することは知られており、17.6K以上、好ましくは17.7K以上の臨界温度(Tc)を発現させるための昇温速度と塑性変形量の範囲は規定されている。
【0015】
そこで、変態熱処理温度までの昇温速度と塑性変形量の関係を検討した結果、昇温速度と変態熱処理前の所定の塑性変形量を調整することによって効果的な超伝導特性を得ることができる。なお、この出願の発明における塑性変形量はR.A.(断面収縮率)として測定している。
【0016】
変態熱処理における昇温速度は遅くなり過ぎると昇温途中でbcc相から変態して生成したNbAl.相が、さらにAlが不足したNbAlとAlが富んだNbAl相に相分離が開始するので臨界温度が17.6Kより低下してしまう。そのため、昇温速度は塑性変形量が如何なる場合においても1℃/h以上であることが必要である。
【0017】
なお、超伝導特性の昇温速度は昇温途中でのbcc相過飽和固溶体の規則化反応またはA15相への変態反応を反映している。したがってbcc相過飽和固溶体の規則化反応やA15相への変態反応が全く生じない600℃以下の温度範囲における昇温速度は、最終的に得られる超伝導特性に無関係であるのでこの出願の発明の効果が期待される昇温温度域から除外されている。
【0018】
また、この出願の発明のように長尺の線状体を使用場合には、線材の局部で昇温途中でのA15相の変態が一部始まってしまうことは避けられず、昇温途中の低い温度でbcc相から変態したNbAlと変態温度に達してからbcc相から変態したNbAlが混在すると電流電圧特性のn指数が低下してしまうため、変態が生じる可能性のある温度域はできるだけ狭くする必要があり、温度が850℃を超える場合も同様にこの出願の発明の効果が期待される変態域から除外されている。
【0019】
そして、R.A.が40%の塑性変形を加えた試料について、1℃/hと133℃/hの速さで800℃まで昇温した試料の断面を研磨しX線回折図形を解析したところ、133℃/hで昇温した場合はNbマトリックスの他にはA15相だけが観察されるのに対し1℃/hで昇温した場合はそれらに加えてさらにNbAl相の生成が確認された。
【0020】
この結果は昇温速度が遅すぎるとbcc相過飽和固溶体から変態で生成した化学量論性のA15相が、さらにAlが不足したA15相とNbAl相に相分解が生じることを示唆している。
【0021】
このように、昇温速度が極端に遅すぎると超伝導特性が劣化すると考えられ、850℃での保持時間は長範囲規則度を改善するために最低でも1時間以上の熱処理が必要である。また、低温域では変態温度が750℃より低くなると長範囲規則度の改善のために必要な熱処理時間が200時間以上になり製造コストが増大してしまうため750℃以上にすることが好ましい。
【0022】
この熱処理に際して、通常の電気炉でコイルを熱処理する場合にはコイルは熱輻射または熱伝導によって加熱されるので、加熱源に近い外層部分から温度上昇が始まり、一般的にコイル内層部の局所温度ならびに局所の昇温速度はコイル外層部のそれらと比べて低くなり、この傾向はコイルが大型化する程顕著となる。
【0023】
コイルの局所的な昇温の遅れ、すなわち昇温速度分布の不均一性は、電気炉の昇温速度が速くなるほど顕著であるので中型コイルまたは大型コイルを速くかつ均一に昇温するためには、巻き線自体が熱源になる巻き線への直接通電を併用することが好ましい。
【0024】
また、直接通電を併用せずにコイルを熱処理する際にはクリアボアの中にも加熱ヒータを設置すればコイル内層側の昇温が速くなり、最大経験磁界が高くなるコイル内層側の温度・電流マージンを大きくすることができて、安定なコイル設計が可能になる。
【0025】
以上述べたように、一般的なコイル応用では長手方向での臨界電流密度(Jc)分布の均質性そのものよりも、臨界電流密度最低値(Jcmin)がコイル全体の臨界電流密度(Jc,coil)を決定するので、臨界電流密度最低値(Jcmin)ができるだけ大きくなるように、しかも、磁場(Hc)が最も高くなるコイル中心部での臨界電流密度(Jc)が大きくなるように変態熱処理条件を設定することが重要である。
【0026】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん、以下の例によって発明が限定されることはない。
【0027】
【実施例】
原子%比で3対1になるような厚みのNb箔とAl箔を重ねてロール状に巻き込んだ複合体を静水圧押し出し加工、6角ダイス引き加工で6角線に加工して短い線材に切断する(jelly−roll法と呼ばれる)。さらにこの線材を多数本Nb管にスタックして静水圧押し出し加工、伸線加工を繰り返し、Nbマトリックス中にNbとAlのジェリーロール状フィラメントが多数本分散した前駆体・多芯線を作製した。これをreel−to−reelで真空チャンバー内で移動させながら、途中区間に通電加熱して約2000℃まで加熱した後、冷媒を兼ねる溶融Ga浴電極中に急冷を行い、Nbマトリックス中にbcc相過飽和固溶体が多数分散したNb(Al)ss/Nb複合多芯線を作製した。
【0028】
これらを変態熱処理して得られる超伝導特性を表1および表2に示す。
【0029】
【表1】
Figure 2004281224
【0030】
【表2】
Figure 2004281224
塑性変形を全く受けていない100m長さのNb(Al)ss/Nb複合多芯線(コイル)を変態熱処理する際に室温から800℃まで8時間かけてゆっくり昇温した(昇温速度:100℃/h)ところ、コイル全体の臨界電流密度特性(標準試料1)は普通の1時間かけて昇温する通常の短尺試料(標準試料2)と比べて大幅に約50%も劣化しており、しかも、コイルの脇に置いて同時に8時間かけて昇温した短尺線材(標準試料3)と比較しても超伝導特性が20%も劣化している。
【0031】
その理由として(1)超伝導特性に昇温速度依存性があること、さらに(2)昇温時にコイル内部に温度分布、それに伴う局所的な昇温速度分布が生じるためにコイル内部での超伝導特性が不均一になるものと考えられる。
【0032】
なお、この実験ではバイアス磁場を調整して中心磁場が21Tでコイルをクエンチさせており、そのときのJcをコイルのJc(4.2K,21T)と定義している。
【0033】
そこで、塑性変形を全く受けていない通常の短尺試料(長さ:0.1m)について800℃までの昇温時間を1時間から15時間に変化させた時の超伝導特性を調べた。800℃での保持時間はそれぞれ10時間である。その結果、図1のR.A.が0%と表記されたデータから判るように、急冷した試料をそのまま変態熱処理すると、その臨界温度Tcは17.66から17.26Kまで昇温時間が長く(昇温速度が遅く)なるほど劣化している。昇温時間が12時間を超えると超伝導特性が昇温時間(昇温速度)に鋭敏に変化しないプラトー領域に入る。
【0034】
昇温時間が8時間の辺りで昇温時間(昇温速度)に対する超伝導特性の変化率がまだ比較的大きい。したがって100m長さのコイル状試料(標準試料1)内部で昇温速度分布があったとすれば、長尺試料全体の超伝導(Jc,Tc)特性は最も昇温速度が遅かった箇所での超伝導特性によって制限されてしまい、そのためJcは短尺試料のJc(標準試料3)より低下したと解釈できる。
【0035】
一方、変態熱処理前にR.A.が10%ずつ80%まで塑性変形を施して長さ0.1mに切断した直線短尺試料についても、R.A.が0%の試料と同様に1時間から15時間かけて800℃まで昇温した後10時間保持して変態熱処理させた。
【0036】
いずれも、臨界温度Tcは、昇温時間(昇温速度)が長く(遅く)なると単調減少し、その後、変化率が小さくなってプラトー領域が形成される。
【0037】
塑性変形量を加えるとTcはR.A.が40%まで上昇し、40%付近で最大になった後、さらに塑性変形を加えると低下し始めている。そして、この挙動は、昇温時間が長いほど、すなわち昇温速度がゆっくりであるほど顕著である。
【0038】
別の言い方をすると、塑性変形を加えると超伝導特性の昇温時間(昇温速度)による変化率が小さくなり、すなわち昇温時間(速度)依存性が軽減し、プラトー領域も短い昇温時間(速い昇温速度)域で現れる。ゆっくり昇温することにより劣化するTcを、最低でも17.6Kまで、好ましくは17.7Kまでに抑えるための条件として、塑性変形量と昇温速度の関係は、R.A.が0%の時に400℃/h以上、R.A.が0%を超えて10%以下の時に290℃/h以上、R.A.が10%を超えて20%以下の時に190℃/h以上、好ましくは470℃/h以上、R.A.が20%を超えて30%以下の時に1℃/h以上、好ましくは220℃以上、R.A.が30%を超えて40%以下の時に1℃/h以上、好ましくは70℃/h以上、R.A.が40%を超えて50%以下の時に1℃/h以上、好ましくは70℃/h以上、R.A.が50%を超えて60%以下の時に1℃/h以上、好ましくは140℃/h以上、R.A.が60%を超えて70%以下の時に1℃/h以上、好ましくは330℃/h以上、R.A.が70%を超えて80%以下の時に140℃/h以上、好ましくは500℃/h以上、R.A.が80%以上の時に400℃/h以上である時が効果的な超伝導特性を示していることが図1よりわかる。
【0039】
<実施例1>
R.A.が40%の試料について100℃/h(実施例1−1)および800℃/h(実施例1−2)で昇温した短尺試料のJcおよびTcを表1に示した。R.A.が40%の100℃/hのJc(4.2K、21T)はR.A.が0%(標準試料3)の場合より60%高く、また、800℃/hではR.A.が0%(標準試料2)の場合より33%高いことが示されている。
【0040】
<実施例2>
R.A.が40%の試料について、600℃まで1時間で昇温し、そのまま1時間保持した後800℃まで100℃/hおよび800℃/hまで昇温した短尺試料(実施例2−1および2)のJcおよびTcは、室温から800℃まで一気に100℃/hおよび800℃で昇温した短尺試料(実施例1−1および2)と比較しても、有意の超伝導特性の差を見いだせなかった。これは、均質性を確保する長尺試料の熱処理条件に、600℃以下の熱履歴は無関係であることを示す。これは、長尺線材の均一性を確保する熱処理条件として昇温時間が重要でなく600℃以上の温度での昇温速度が本質的に重要なパラメータであることを示している。
【0041】
<実施例3>
R.A.が40%の試料について、100m長さのNb(Al)ss/Nb複合多芯線を標準試料1と同様にコイル状に成形し、コイルの両端を通電加熱ができるように別の外部電源と接続した状態で、これを真空雰囲気のベルジャー型電気炉内に設置した。
【0042】
電気炉を800℃/hの速度で室温から800℃/hまで1時間で昇温し、その後10時間保持した。コイルボビンの温度をモニタして、電気炉との温度差をなくすようにコイルを直接通電加熱した。このように直接通電加熱を併用して速くかつ均一にコイルを昇温できたので、このコイル(実施例3)は270A/mmの電流密度で励磁して21Tを発生することができた(表2)。
【0043】
これをコイルの臨界電流密度と定義すると、同条件で変態熱処理した短尺試料(実施例1−2)と比べてほぼ同等のJc特性が得られたことになる。
【0044】
<実施例4>
R.A.が40%のNb(Al)ss/Nb複合多芯線を用いて巻き内径:60mm、巻き外径:100mm、巻き高さ:150mmのコイルを成形した。コイルボビンの中心に棒状ヒータを設置して200℃/hの速度で800℃まで4時間で昇温し、その後10時間保持した。コイル内層およびコイル外層の温度を熱電対でモニタした。600−800℃の区間での内層の昇温速度は200℃/hで、外層の昇温速度は140℃/hであった。このコイル(実施例4−1)は中心磁場が21.5Tでクエンチした。一方、同仕様で作製したコイル(実施例4−2)について、外側から加熱すると通常の電気炉を使用することを除いて、実施例4−1と全く同じ条件で変態熱処理を施したところ、外層の昇温速度のモニタ値は200℃/hで、また、内層は160℃/hであった(表2)。
【0045】
ヒータがコイルの外側にのみ配置されている場合は、最大経験磁界の高い内層部で加熱電源の昇温速度より遅くなって超伝導特性が劣化するので、温度・電流マージンが小さくなって実施例4−1より低い20.8Tでクエンチした。言い換えると、クリアボアの中に加熱ヒータを設置する変態熱処理方法を採用することにより、最大経験磁界が高くなるコイル内層側の温度・電流マージンを大きくできた。
【0046】
【発明の効果】
NbAl線材の主な応用先はコイルであるが、この出願の発明により、短尺試料の臨界電流値と100%一致するコイル励磁特性が可能になり、高分解能NMRマグネット内層コイルなどの変態熱処理に好適NbAlな超伝導線材が実現される。
【図面の簡単な説明】
【図1】急熱・急冷・変態(Rapid Heating, Quenching and Transformation annealing)処理後に塑性変形を全く受けていない場合(0%)と、断面減少率で10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%の塑性変形をそれぞれ受けた場合について、室温から一定の速度で800℃まで昇温してそれぞれ10時間保持した後、炉冷したNb(Al)ss/Nbの複合多芯線の短尺のTcを示した図である。

Claims (13)

  1. 変態熱処理前の塑性変形量としてR.A.が0%の時に400℃/h以上、R.A. が0%を超えて10%以下の時に290℃/h以上、R.A. が10%を超えて20%以下の時に190℃/h以上、R.A. が20%を超えて70%以下の時に1℃/h以上、R.A. が70%を超えて80%以下の時に140℃以上、R.A. が80%を超えた時に400℃/h以上の速度で変態温度まで昇温させることを特徴とするNbAl超伝導線材の変態熱処理方法。
  2. R.A.が10%を超えて20%以下の時に昇温速度が470℃/h以上であることを特徴とする請求項1のNbAl超伝導線材の変態熱処理方法。
  3. R.A.が20%を超えて30%以下の時に昇温速度が220℃/h以上であることを特徴とする請求項1のNbAl超伝導線材の変態熱処理方法。
  4. R.A.が30%を超えて40%以下の時に昇温速度が70℃/h以上であることを特徴とする請求項1のNbAl超伝導線材の変態熱処理方法。
  5. R.A.が40%を超えて50%以下の時に昇温速度が70℃/h以上であることを特徴とする請求項1のNbAl超伝導線材の変態熱処理方法。
  6. R.A.が50%を超えて60%以下の時に昇温速度が140℃/h以上であることを特徴とする請求項1のNbAl超伝導線材の変態熱処理方法。
  7. R.A.が60%を超えて70%以下の時に昇温速度が330℃/h以上であることを特徴とする請求項1のNbAl超伝導線材の変態熱処理方法。
  8. R.A.が70%を超えて80%以下の時に昇温速度が500℃/h以上であることを特徴とする請求項1のNbAl超伝導線材の変態熱処理方法。
  9. 直接通電加熱を併用してコイルを速く且つ均一に昇温することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかのNbAl超伝導線材の変態熱処理方法。
  10. 中型コイルまたは大型コイルの変態熱処理時にクリアボアの中にも加熱ヒータを設置してコイル内層側を相対的に速く昇温し、コイル内層側の温度・電流マージンを大きくすることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかのNbAl超伝導線材の変態熱処理方法。
  11. 600〜850℃の温度範囲の一部あるいは全てが昇温域で、保持する一定の温度が750〜850℃であり、変態熱処理時間が1〜200時間であることを特徴とする請求項1ないし10のいずれかのNbAl超伝導線材の変態熱処理方法。
  12. 組成比がNb−(23−27)at.%AlであるNbとAlの拡散対を高温に昇温して拡散反応をさせ、これを急冷にて得られる均一なAl濃度分布のbcc相過飽和固溶体がNbまたはTaマトリックス内に多数分散している合金からなる複合多芯線であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれかの方法で熱処理したNbAl超伝導線材。
  13. 通電加熱よって1900−2060℃の温度範囲で熱処理したことを特徴とする請求項12のNbAl超伝導線材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104656155A (zh) * 2015-02-10 2015-05-27 华北科技学院 提高煤巷核磁共振仪勘探深度的超导装置及信号提取方法

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