JP2004281212A - イオン注入装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、イオンビームの幅を限定するスリットを備えたイオン注入装置に関し、スリットを構成する部材の交換頻度を低減させて、稼動効率を向上させることを目的とする。
【解決手段】一対のカーボンプレート31と、一対のカーボンプレート31の間に形成されたスリット40と、支持軸32と、アクチュエータ33と、移動制御手段34と、回転制御手段38とによりスリット部25を構成し、移動制御手段34または回転制御手段38によりアクチュエータ33を制御して、支持軸32を介して一対のカーボンプレート31を移動または回転させる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はイオン注入装置に関し、特にイオンビームの幅を限定するスリットを備えたイオン注入装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体デバイスの製造工程における不純物導入を行う装置として、不純物導入量の精密な制御が可能であるという理由から、イオン注入装置が用いられている。イオン注入装置は、アルシン(AsH)等のドーパントガスをプラズマするためのイオン源を有しており、ここでプラズマ化されたプラズマイオンは引き出し電極によりイオンビームとなって引き出される。イオンビームは、強力な電磁マグネットを有する質量分析器によって、その進行方向を規制され、必要とされるイオンビームが取り出される。ここで取り出されたイオンビームは、スリットによりビーム幅が限定されて、多段階に設けられた加速電極により加速され(加速電圧:数100eV〜数100keV)、或いは必要に応じて減速されて半導体基板にイオンが注入される。また、イオンビームが通過する部分は、ターボ分子ポンプやクライオポンプ等により、真空に維持されている。
【0003】
次に、イオンビームのビーム幅を限定するスリットが形成されたスリット部の構成について説明する。図1は、従来のスリット部の構成を示した概略図である。なお、スリット部材11の側壁を指し示すことで、一対のスリット部材11の間に形成されたスリット16を示している。
【0004】
スリット部10は、大略すると一対のスリット部材11と、支持軸12と、移動装置13とにより構成されている。スリット16は、一対のスリット部材11の間の隙間により形成されている。支持軸12の一方の端部には、スリット部材11が一体に形成されており、他方の端部には移動装置13が形成されている。移動装置13は、支持軸12を介して一対のスリット部材11をX1X2方向に移動させて、必要に応じてスリット幅Bを調整するためのものである。イオンビームは、スリット16を通過することにより、ビーム幅がスリット幅Bと同じ広さに限定される(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
イオンビームの照射位置は固定されているため、従来のイオン注入装置では、イオンビームは一対のスリット部材11の同じ位置に照射され続ける。そのため、一対のスリット部材11は、イオンビームが所定時間照射されると損傷14を受けて削れてしまう。これにより、スリット幅Bが拡大してイオンビームの形状が限定できなるため、定期的に一対のスリット部材11の交換を行っていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−195185
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、スリット部10の雰囲気は、真空状態に保たれているため、真空状態から大気開放した後に、一対のスリット部材11を交換して、真空引きする必要があるため、一対のスリット部材11の交換作業に多くの時間を要し、イオン注入装置の稼動効率を低下させていた。
【0008】
また、近年のイオンビームの高電流化に伴い、一対のスリット部材11が受ける損傷14は増加しており、スリット部材11の交換周期は短くなり、交換頻度が増して、さらにイオン注入装置の稼動効率を低下させていた。
【0009】
そこで本発明は、上記実情に鑑みなされたもので、スリットを構成するスリット部材の交換頻度を低減させて、稼動効率を向上させることのできるイオン注入装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を、請求項1記載の発明では、第1の部材と、第2の部材とにより形成されたイオンビームを通過させるスリットと、前記スリットの幅方向に対して垂直方向に前記第1及び第2の部材を移動させる駆動手段とを有することを特徴とするイオン注入装置により、解決する。
【0011】
上記発明によれば、駆動手段を設けて、スリットの幅方向に対して垂直方向に第1及び第2の部材を移動させることにより、第1及び第2の部材に照射されるイオンビームの照射領域をイオンビームが照射されていない別の領域に移動させて、イオンビームの形状を限定することができる。したがって、第1及び第2の部材の交換頻度を低減して、イオン注入装置の稼動効率を向上させることができる。
【0012】
また請求項2記載の発明では、第1の部材と、第2の部材とにより形成されたイオンビームを通過させるスリットと、前記スリットの幅方向に対して垂直方向を回転軸として、前記第1及び第2の部材を回転させる駆動手段とを有することを特徴とするイオン注入装置により、解決する。
【0013】
上記発明によれば、駆動手段を設けて、スリットの幅方向に対して垂直方向を回転軸として、第1及び第2の部材を回転させることにより、第1及び第2の部材に照射されるイオンビームの照射領域をイオンビームが照射されていない別の領域に移動させて、イオンビームの形状を限定することができる。したがって、第1及び第2の部材の交換頻度を低減して、イオン注入装置の稼動効率を向上させることができる。
【0014】
また請求項3記載の発明では、前記駆動手段を制御することにより、所定時間経過した際、前記第1及び第2の部材を前記移動または回転させる第1の制御手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のイオン注入装置により、解決する。
【0015】
上記発明によれば、第1の制御手段を設けることにより、第1の制御手段は、所定時間経過した際、駆動手段を制御して第1及び第2の部材を移動または回転させることができる。
【0016】
また請求項4記載の発明では、前記第1及び第2の部材の損傷を検出する検出手段と、該検出手段の検出結果に基づき、前記駆動手段を介して前記第1及び第2の部材を移動または回転させる第2の制御手段とを設けたことを特徴とする請求項1乃至3に記載のイオン注入装置により、解決する。
【0017】
上記発明によれば、第1及び第2の部材の損傷を検出する検出手段を設けて、検出手段の検出結果に基づいて、制御手段は、駆動手段を介して第1及び第2の部材の移動または回転させることができる。
【0018】
また請求項5記載の発明では、前記第1及び第2の部材の形状は、多面体または円柱であることを特徴とする請求項1乃至4に記載のイオン注入装置により、解決する。
【0019】
上記発明によれば、第1及び第2の部材の形状を多面体または円柱とすることにより、駆動手段により第1及び第2の部材を移動または回転させて、第1及び第2の部材の複数の領域にイオンビームを照射することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
【0021】
(第1実施例)
始めに、図2を参照して、本発明の第1実施例であるイオン注入装置について説明する。図2に示すように、イオン注入装置20は、大略するとイオン源チャンバ21と、イオン源22と、引き出し電極23と、質量分析器24と、スリットが形成されたスリット部25と、加速電極26と、マグネット27と、プロセスチャンバー29とにより構成されている。
【0022】
加速電極26の一方の端部には、イオン源22がドーパントガスを導入可能な状態で形成されており、他方の端部にはイオン源チャンバ21が形成されている。また、イオン源22は、イオンをプラズマ化するためのものである。加速電極26は、イオン源22においてプラズマ化されたイオンを加速させるためのものである。イオン源チャンバ21の図2中の上方には、引き出し電極23が形成されている。引き出し電極23は、加速電極26により加速されたイオンを、イオンビームとして引き出すためのものである。
【0023】
引き出し電極23の図2中の上方には、質量分析器24が形成されている。質量分析器24は、イオンビームに含まれる不必要なイオンを除去するためのものである。質量分析器24の図2中の右側には、スリット部25が形成されている。スリット部25は、質量分析器24から取り出されたイオンビームの形状をスリット40(図3参照)により限定するためのものである。また、イオンビームのスリット部25に対する照射位置は固定されている。スリット40を通過したイオンビームの進行方向には、マグネット27が形成されている。マグネット27は、スリット部25を通過したイオンビームの質量を揃えて、プロセスチャンバー29内のプレートに固定された半導体基板28にイオンビームを照射し、半導体基板28にイオンを注入するためのものである。
【0024】
次に、図3を参照して、第1実施例のスリット部25について説明する。図3は、第1実施例のスリット部の斜視図を示したものである。また、同図中に示したX1,X2方向はスリットの幅方向、Y1,Y2方向はスリットの幅方向に対して垂直方向、Z1,Z2方向は支持軸32の軸方向、D1及びD2は回転方向(以下、回転方向D1,回転方向D2)、I方向はイオンビームの進行方向(以下、進行方向I)、Fはカーボンプレート31上に照射されるイオンビームの照射領域(以下、照射領域F)、GはZ1,Z2方向の照射領域Fの幅(以下、幅G)をそれぞれ示している。
【0025】
図3に示すように、スリット部25は、大略すると第1及び第2の部材である一対のカーボンプレート31と、支持軸32と、駆動手段であるアクチュエータ33と、第1の制御手段である移動制御手段34と、第2の制御手段である回転制御手段38とにより構成されている。一対のカーボンプレート31は、四角柱の形状をしており、隙間を介在させた状態で対向するように配設されている。この隙間が、イオンビームの形状を限定するためのスリット40である。また、同図中に示したHは、スリット40の幅(以下、スリット幅H)を示しており、スリットを通過したイオンビームは、スリット幅Hと同じ幅にビーム幅が限定される。支持軸32の一方の端部には、カーボンプレート31がそれぞれ形成されており、他方の端部にはアクチュエータ33が形成されている。移動制御手段34及び回転制御手段38は、アクチュエータ33の制御が可能な状態でアクチュエータ33と接続されている。
【0026】
次に、図3を参照して、アクチュエータ33の構成ついて説明する。図3に示すように、アクチュエータ33は、イオンビームによりカーボンプレート31が損傷36を受けて、イオンビームの形状の限定ができなくなる前に、支持軸32を介して一対のカーボンプレート31を移動または回転させて、照射領域Fをイオンビームの損傷36を受けていない領域に移動させるためのものである。アクチュエータ33は、イオンビームによりカーボンプレート31が損傷36を受けた際、Z1,Z2方向に移動または回転方向D1,D2へ回転可能なように構成されている。
【0027】
また、アクチュエータ33は、所望のイオンビームの形状に応じて、スリット幅Hを調整できるようにX1,X2方向に移動可能なように構成されている。なお、一対のカーボンプレート31を回転させることができれば良く、回転方向D1,D2の回転方向は、同一方向でなくても良い。
【0028】
このようにアクチュエータ33を構成することにより、一対のカーボンプレート31が損傷36を受けた際、アクチュエータ33は支持軸32を介して一対のカーボンプレート31を移動または回転させて、照射領域Fをイオンビームの損傷36を受けていない領域に移動させることができる。そのため、スリット40によりイオンビームの形状を限定することができため、一対のカーボンプレート31を交換する必要が無く、カーボンプレート31の交換頻度が低減でき、イオン注入装置の稼動効率を向上させることができる。
【0029】
次に、移動制御手段34について説明する。移動制御手段34は、アクチュエータ33により一対のカーボンプレート31をZ1,Z2方向へ移動させる際の移動のタイミングと、移動量とを制御するためのものである。
【0030】
移動制御手段34には、アクチュエータ33により一対のカーボンプレート31をZ1,Z2方向へ移動させるかどうかの判定を行うために必要なイオンレーザの限界照射時間Tmaxと、一対のカーボンプレート31を移動させる際の移動量とがあらかじめ設定されている。移動制御手段34は、一対のカーボンプレート31にイオンレーザが照射された累積照射時間Tが、照射時間Tmaxを越えた際に、アクチュエータ33により一対のカーボンプレート31をZ1,Z2方向へ移動させる。移動量は、イオンレーザが照射された領域のZ1,Z2方向の幅Gよりも大きければ良い。
【0031】
このように移動制御手段34を構成することにより、移動制御手段34は、あらかじめ設定された限界照射時間Tmax及び移動量に基づき、累積照射時間Tが限界照射時間Tmaxを超えた際、アクチュエータ33により支持軸32を介して一対のカーボンプレート31をあらかじめ設定された移動量の移動をさせて、照射領域Fをイオンビームにより損傷36を受けていない領域に移動させることができる。
【0032】
次に、回転制御手段38について説明する。回転制御手段38は、アクチュエータ33により支持軸32を介して、一対のカーボンプレート31を回転方向D1,D2へ回転させる際のタイミングと、回転角度とを制御するためのものである。回転制御手段38には、アクチュエータ33により一対のカーボンプレート31を回転方向D1,D2へ回転させるかどうかの判定を行うために必要なイオンレーザの限界照射時間Tmaxと、一対のカーボンプレート31を回転させる際の回転角度とがあらかじめ設定されている。イオンレーザの限界照射時間Tmaxは、あらかじめ実験から求められた値であり、一対のカーボンプレート31が損傷してイオンビームの形状の限定ができなくなる時間のことである。
【0033】
回転制御手段34は、一対のカーボンプレート31にイオンレーザが照射された累積照射時間Tが、照射時間T1を越えたと判定された際、アクチュエータ33により支持軸32を介して、一対のカーボンプレート31を回転方向D1,D2に回転させる。回転角度は、例えば本実施例のようにカーボンプレート31の形状に四角柱を適用する際には90度に設定することができる。
【0034】
このように回転制御手段38を構成することにより、回転制御手段38は、あらかじめ設定された限界照射時間Tmax及び回転角度に基づき、累積照射時間Tが限界照射時間Tmaxを超えた際、アクチュエータ33は支持軸32を介して、一対のカーボンプレート31を回転方向D1,D2へ90度回転させて、照射領域Fをイオンビームにより損傷36を受けていない領域に移動させることができる。また、回転と移動とを組み合わせることにより、さらに一対のカーボンプレート31の交換周期を長くすることができる。なお、一対のカーボンプレートを回転のみまたは移動のみさせた場合においても同様な効果を得ることができる。
【0035】
次に、図4乃至7を参照して、一対のカーボンプレートの形状について説明を行う。図4は、形状が薄板のカーボンプレートを示した図であり、図5は、形状が円柱のカーボンプレートを示した図であり、図6は、形状が三角柱のカーボンプレートを示した図であり、図7は、形状が五角柱のカーボンプレートを示した図である。
【0036】
図4に示した薄板のカーボンプレート41の場合は、アクチュエータ33によりカーボンプレート41を移動または回転させることで、面41Aと面41Aの反対側の面の2つの面にイオンレーザを照射することができる。図5に示した円柱のカーボンプレート42の場合は、アクチュエータ33によりカーボンプレート41を移動または回転させることで、側面42Aの複数の領域にイオンレーザを照射することができる。図6に示したカーボンプレート43の場合は、面43Aと同じ面積を有する面が面43Aを含めて3つあるため、アクチュエータ33によりカーボンプレート43を移動または回転させて、この3つの面にイオンレーザを照射することができる。図7に示した五角柱のカーボンプレート44の場合は、面44Aと同じ面積を有する面が面44Aを含めて5つあるため、この5つの面にイオンレーザを照射することができる。
【0037】
このように、多面体または円柱の形状のカーボンプレート41〜44を適用することにより、カーボンプレート41〜44上の複数の領域にイオンビームを照射することができる。したがって、カーボンプレート41〜44の交換頻度を低減させることができる。なお、カーボンプレート31の形状は、多面体または円柱の形状であれば良く、図4乃至7に示したカーボンプレート41〜44の形状に限定されない。また、本実施例では、四角柱のカーボンプレート31を適用した場合について以下の説明を行う。
【0038】
次に、図8を参照して、累積照射時間Tを判定に用いた場合のアクチュエータ33の駆動処理について説明する。図8は、累積照射時間Tを判定に用いた場合のアクチュエータ33の駆動処理を示したフローチャートである。なお、図8においては、STEPをSと略して示す。
【0039】
図8に示す処理が起動すると、まずSTEP45の処理により、一対のカーボンプレート31にイオンビームが照射される照射時間を累積したイオンビームの累積照射時間Tが演算される。続く、STEP46では、移動制御手段34または回転制御手段38により、累積照射時間Tがあらかじめ設定された限界照射時間Tmaxを越えたかどうかの判定を行う。限界照射時間Tmaxは、あらかじめ実験から求められた値であり、一対のカーボンプレート31が損傷してイオンビームの形状の限定ができなくなる時間のことである。判定がNoの場合には、処理はSTEP45に戻される。判定がYesの場合には、STEP47に進む。STEP47では、移動制御手段34または回転制御手段38により、アクチュエータ33が駆動されて一対のカーボンプレート31は移動または回転させられる。続く、STEP48では、累積照射時間Tがリセットされて、処理は終了する。
【0040】
次に、図9乃至12を参照して、移動制御手段34及び回転制御手段38により制御されたアクチュエータ33がカーボンプレート31を駆動させる際の動作について一例を挙げて説明する。
【0041】
図9は、照射領域が一対のカーボンプレートの上部にある場合のスリット部の正面図であり、図10は、図5に示した一対のカーボンプレートが移動した後のスリット部の正面図であり、図11は、図10に示した一対のカーボンプレートが移動した後のスリット部の正面図であり、図12は、図11に示した一対のカーボンプレートが90度回転した後のスリット部の正面図である。図9乃至12において、図3に示したスリット部と同一構成の部分に関しては図3の符号と同一符号を付して説明を省略する。なお、図9乃至11中のGは、照射領域FのZ1,Z2方向の幅(以下、幅G)を示している。
【0042】
図9に示すように、一対のカーボンプレート31の図9中の上方には、照射領域Fが位置している。この状態でイオンビームを照射して、累積照射時間Tがあらかじめ設定された限界照射時間Tmaxを越えると、照射領域Fの部分の一対のカーボンプレート31は損傷を受けて、イオンビームの形状を限定できなくなる。そこで、図10に示すように、累積照射時間Tが限界照射時間Tmaxを越えた際、移動制御手段34は、アクチュエータ33により支持軸32を介して、一対のカーボンプレート31を図10中の上方に移動させて、照射領域Fをカーボンプレート31の損傷を受けていない領域に移動させる。これにより、一対のカーボンプレート31を交換すること無く、イオンビームの形状を限定することができる。
【0043】
図11に示すように、次にイオンビームの累積照射時間Tが限界照射時間Tmaxを越えた際には、上記と同様な方法により、カーボンプレート31の損傷を受けていない領域に照射領域Fを移動させて、一対のカーボンプレート31を交換すること無く、イオンビームの形状の限定を行う。図12に示すように、次にイオンビームの累積照射時間Tが限界照射時間Tmaxを越えた際、回転制御手段38は、アクチュエータ33により支持軸32を介して、一対のカーボンプレート31を回転方向D1,D2へそれぞれ90度回転させて、一対のカーボンプレート31の損傷の無い面をイオンビームが照射される方向に対して向けて回転を停止する。これにより、一対のカーボンプレート31を交換すること無く、イオンビームの形状の規制を行うことができる。その後、イオンビームの累積照射時間Tが限界照射時間Tmaxを越えた際には、上記説明したような移動または回転の動作を繰り返し行う。
【0044】
このように、移動制御手段34及び回転制御手段38によりアクチュエータ33を制御して、一対のカーボンプレート31を移動または回転させることで、照射領域Fを移動させて、一対のカーボンプレート31の交換頻度を低減させることができる。本実施例の場合は、一対のカーボンプレート31に四角柱を用いているため、一対のカーボンプレート31の交換周期を従来よりも12倍長くすることができる。
【0045】
以上、説明したように、移動制御手段34及び回転制御手段38により、アクチュエータ33を制御して、一対のカーボンプレート31を移動または回転させて、照射領域Fをイオンビームの損傷36を受けていない領域に移動させることができる。これにより、一対のカーボンプレート31を交換すること無く、イオンビームの形状を限定することができるので、カーボンプレート31の交換頻度を低減して、イオン注入装置の稼動効率を向上させることができる。なお、本実施例では、四角柱の形状の一対のカーボンプレート31を適用したが、一対のカーボンプレート31の形状に薄板や三角柱や五角柱等の多面体または円柱を用いても同様な効果を得ることができる。また、カーボンプレート31を円柱形状とすれば、イオンビーム照射時に連続して回転させてもイオンビームの形状を規制し、イオンビームの衝突による熱の発生を分散させて、カーボンプレート31の損傷を低減することができる。さらに、本実施例において、移動制御手段34と回転制御手段38の2つの制御手段を設けて説明を行ったが、どちらか一方の制御手段を設けても良く、同様な効果を得ることができる。
【0046】
(第2実施例)
図13は、第2実施例のスリット部の平面図を示したものである。なお、図13において、図3に示したスリット部25と同一構成の部分に関しては、図3と同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
図13に示すように、スリット部50は、大略すると第1及び第2の部材である一対のカーボンプレート31と、支持軸32と、駆動手段であるアクチュエータ33と、第1の制御手段である移動制御手段34と、第2の制御手段である回転制御手段38と、検出手段であるカメラ49とにより構成されている。なお、本実施例では、四角柱の形状をした一対のカーボンプレート31を例に挙げて以下の説明を行う。
【0048】
カーボンプレート31は、隙間が介在させた状態で対向するように形成されており、この隙間がイオンビームの形状を規制するためのスリット40を形成している。支持軸32の一方の端部には、カーボンプレート31がそれぞれ形成されており、他方の端部にはアクチュエータ33が形成されている。移動制御手段34及び回転制御手段38は、アクチュエータ33の制御が可能な状態でアクチュエータ33と接続されている。カメラ49は、移動制御手段34及び回転制御手段38に接続されている。
【0049】
カメラ49は、カーボンプレート31上のイオンビームが照射された照射領域Fを撮像するためのものである。カメラ49により撮像された画像は、移動制御手段34及び回転制御手段38に常時送信される。移動制御手段34または回転制御手段38は、カメラ49により撮像された画像に基づき、カーボンプレート31がイオンビームの照射により損傷36を受けたかどうかの判定を行い、損傷36を受けたと判定した場合には、アクチュエータ33を制御して、カーボンプレート31を移動または回転させる。カーボンプレート31がイオンビームの照射により損傷36を受けたかどうかの判定は、例えば、カメラ49に白黒のカメラを用いて、撮像された画像にフィルター処理を行い、損傷36を受けた領域を黒く表示させて、黒い領域の大きさにより行うことができる。
【0050】
このように、カメラ49を設けて、一対のカーボンプレート31の照射領域Fを撮像することにより、移動制御手段34または回転制御手段38は、撮像された画像に基づき、一対のカーボンプレート31が損傷36を受けたかどうかの判定を行うことができる。
【0051】
次に、図14を参照して、カメラ49の画像を判定に用いた場合のアクチュエータ33の駆動処理について説明する。図14は、カメラの画像を判定に用いた場合のアクチュエータの駆動処理を示したフローチャートである。なお、図14においては、STEPをSと略して示す。
【0052】
図14に示す処理が起動すると、まずSTEP53の処理により、イオンビームが照射された一対のカーボンプレート31の損傷36の具合がカメラ49により撮像されて、画像が取得される。
【0053】
続く、STEP54では、移動制御手段34または回転制御手段38により、カメラ49により撮像された画像に基づき、一対のカーボンプレート31が損傷36を受けたかどうかの判定を行う。判定がNoの場合には、処理はSTEP53に戻される。判定がYesの場合には、STEP54に進む。STEP54では、移動制御手段34または回転制御手段38により、アクチュエータ33が駆動されて一対のカーボンプレート31は移動または回転させられて、処理は終了する。
【0054】
以上、説明したように、カメラ49を設けて、撮像された画像に基づいて一対のカーボンプレート31が損傷36を受けたと判定された際には、移動制御手段34または回転制御手段38は、アクチュエータ33を制御して、一対のカーボンプレート31を移動または回転させて、照射領域Fをイオンビームの損傷36を受けていない領域に移動させることができる。これにより、一対のカーボンプレート31を交換すること無く、イオンビームの形状を限定することができるので、カーボンプレート31の交換頻度を低減して、イオン注入装置の稼動効率を向上させることができる。なお、第2実施例の場合も第1実施例の図9乃至12において説明したようにカーボンプレート31を駆動させることが可能である。また、本実施例では、四角柱の形状の一対のカーボンプレート31を適用したが、一対のカーボンプレート31の形状に薄板や三角柱や五角柱等の多面体または円柱を用いても同様な効果を得ることができる。また、本実施例において、移動制御手段34と回転制御手段38の2つの制御手段を設けて説明を行ったが、どちらか一方の制御手段を設けても良く、同様な効果を得ることができる。
【0055】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。なお、本発明は、イオンビームの加速電圧に依存することなく用いることができるが、高速で照射されるイオンビームを用いるイオン注入装置においては、カーボンプレートの損傷が激しいので、本発明の本実施例を適用する効果は大きい。
【0056】
(付記1) 第1の部材と、第2の部材とにより形成されたイオンビームを通過させるスリットと、前記スリットの幅方向に対して垂直方向に前記第1及び第2の部材を移動させる駆動手段とを有することを特徴とするイオン注入装置。
【0057】
(付記2) 第1の部材と、第2の部材とにより形成されたイオンビームを通過させるスリットと、
前記スリットの幅方向に対して垂直方向を回転軸として、前記第1及び第2の部材を回転させる駆動手段とを有することを特徴とするイオン注入装置。
【0058】
(付記3) 前記駆動手段を制御することにより、所定時間経過した際、
前記第1及び第2の部材を前記移動または回転させる第1の制御手段を設けたことを特徴とする付記1または2に記載のイオン注入装置。
【0059】
(付記4) 前記第1及び第2の部材の損傷を検出する検出手段と、
該検出手段の検出結果に基づき、前記駆動手段を介して前記第1及び第2の部材を前記移動または回転させる第2の制御手段とを設けたことを特徴とする付記1乃至3に記載のイオン注入装置。
【0060】
(付記5) 前記第1及び第2の部材の形状は、多面体または円柱であることを特徴とする付記1乃至4に記載のイオン注入装置。
【0061】
(付記6) 前記第1及び第2の部材の形状が円柱であって、イオンビームを照射する際、前記円柱を連続回転させる駆動手段を設けたことを特徴とする付記1乃至4に記載のイオン注入装置。
【0062】
(付記7) 第1の部材と、第2の部材とにより形成されたスリットにイオンビームを通過させる処理を含むイオン注入方法において、所定時間経過または第1及び第2の部材の損傷した際に、前記第1及び第2の部材を前記スリットの幅方向に対して垂直方向に移動させるか、または前記スリットの幅方向に対して垂直方向を回転軸として回転させることを特徴とするイオン注入方法。
【0063】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、駆動手段によりスリットの幅方向に対して垂直方向に第1及び第2の部材を移動させて、第1及び第2の部材に照射されるイオンビームの照射領域をイオンビームが照射されていない別の領域に移動させることで、第1及び第2の部材の交換頻度が低減されて、イオン注入装置の稼動効率を向上させることができる。
【0064】
また請求項2記載の発明によれば、駆動手段によりスリットの幅方向に対して垂直方向を回転軸として、第1及び第2の部材に照射されるイオンビームの照射領域をイオンビームが照射されていない別の領域に移動させることで、第1及び第2の部材の交換頻度が低減されて、イオン注入装置の稼動効率を向上させることができる。
【0065】
また請求項3記載の発明によれば、制御手段を設けることにより、所定時間経過した際、駆動手段を制御して、第1及び第2の部材の移動または回転させるタイミングを制御することができる。
【0066】
また請求項4記載の発明によれば、検出手段の検出結果に基づいて、制御手段は、駆動手段を介して第1及び第2の部材の移動または回転させるタイミングを制御することができる。
【0067】
また請求項5記載の発明によれば、第1及び第2の部材の形状を多面体または円柱とすることにより、駆動手段により第1及び第2の部材を移動または回転させて、第1及び第2の部材の複数の領域にイオンビームを照射することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のスリット部の構成を示した概略図である。
【図2】本発明の第1実施例であるイオン注入装置の概略図である。
【図3】第1実施例のスリット部の斜視図である。
【図4】形状が薄板のカーボンプレートを示した図である。
【図5】形状が円柱のカーボンプレートを示した図である。
【図6】形状が三角柱のカーボンプレートを示した図である。
【図7】形状が五角柱のカーボンプレートを示した図である。
【図8】累積照射時間を判定に用いた場合のアクチュエータの駆動処理を示したフローチャートである。
【図9】照射領域が一対のカーボンプレートの上部にある場合のスリット部の正面図である。
【図10】図5に示した一対のカーボンプレートが移動した後のスリット部の正面図である。
【図11】図10に示した一対のカーボンプレートが移動した後のスリット部の正面図である。
【図12】図11に示した一対のカーボンプレートが90度回転した後のスリット部の正面図である。
【図13】第2実施例のスリット部の平面図を示した図である。
【図14】カメラの画像を判定に用いた場合のアクチュエータの駆動処理を示したフローチャートである。
【符号の説明】
10、25 スリット部
11 スリット部材
12 支持軸
13 移動装置
14、36 損傷
16、40 スリット
20 イオン注入装置
21 イオン源チャンバ
22 イオン源
23 引き出し電極
24 質量分析器
26 加速電極
27 マグネット
28 半導体基板
29 プロセスチャンバー
31、41、42、43、44 カーボンプレート
33 アクチュエータ
34 移動制御手段
38 回転制御手段
41A、43A、44A 面
42A 側面
49 カメラ
B、H スリット幅
C、I イオンビームの進行方向
D1、D2 回転方向
F イオンビームの照射領域

Claims (5)

  1. 第1の部材と、第2の部材とにより形成されたイオンビームを通過させるスリットと、
    前記スリットの幅方向に対して垂直方向に前記第1及び第2の部材を移動させる駆動手段とを有することを特徴とするイオン注入装置。
  2. 第1の部材と、第2の部材とにより形成されたイオンビームを通過させるスリットと、
    前記スリットの幅方向に対して垂直方向を回転軸として、前記第1及び第2の部材を回転させる駆動手段とを有することを特徴とするイオン注入装置。
  3. 前記駆動手段を制御することにより、所定時間経過した際、前記第1及び第2の部材を前記移動または回転させる第1の制御手段を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のイオン注入装置。
  4. 前記第1及び第2の部材の損傷を検出する検出手段と、
    該検出手段の検出結果に基づき、前記駆動手段を介して前記第1及び第2の部材を前記移動または回転させる第2の制御手段とを設けたことを特徴とする請求項1乃至3に記載のイオン注入装置。
  5. 前記第1及び第2の部材の形状は、多面体または円柱であることを特徴とする請求項1乃至4に記載のイオン注入装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006156246A (ja) * 2004-11-30 2006-06-15 Sumitomo Eaton Noba Kk ビーム照射装置

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