JP2004280748A - 故障部位検出システム - Google Patents
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Abstract
【課題】特定機器の特定部位に集中して起こる故障を早期に且つ高精度に判定することにより、機器の品質改善、或いは、機器の点検業務を支援する故障部位検出システムを提供する。
【解決手段】実動機器の個体別に、積算運転時間を記録した実動機器データベースAと、故障した機器の故障部位や、故障時の積算運転時間を記録した故障部位データベースBを備え、指定機器I1と指定部位J1を受け付け、実動機器データベースAと故障部位データベースBを検索することで、指定機器I1の指定部位J1での第1故障率と積算運転時間の第1相関関係と、標準機器I2の指定部位I1に該当する部位での第2故障率と評価用時間の第2相関関係を算出する故障率相関関係算出手段2と、第1、第2相関関係から算出した故障評価値を比較することで、指定部位の故障率の有意性を判定する故障率評価手段3を備えてなる。
【選択図】 図1
【解決手段】実動機器の個体別に、積算運転時間を記録した実動機器データベースAと、故障した機器の故障部位や、故障時の積算運転時間を記録した故障部位データベースBを備え、指定機器I1と指定部位J1を受け付け、実動機器データベースAと故障部位データベースBを検索することで、指定機器I1の指定部位J1での第1故障率と積算運転時間の第1相関関係と、標準機器I2の指定部位I1に該当する部位での第2故障率と評価用時間の第2相関関係を算出する故障率相関関係算出手段2と、第1、第2相関関係から算出した故障評価値を比較することで、指定部位の故障率の有意性を判定する故障率評価手段3を備えてなる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の機器の特定の部位に集中して起こる故障を早期に且つ高精度に判定することにより、機器の品質改善、或いは、機器の点検業務を支援する故障部位検出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、機器の運転時の温度や速度等のパラメータをリアルタイムに取得し、当該機器に故障が多いか否かを判定する機能を備えた故障検出システムがあった。例えば、下記の特許文献1に開示された冷熱遠隔監視装置等がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−81809号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、大型の空調機器等において故障が頻発する場合は、その型式と故障部位の品質改善を優先して実施しなければ、使用者である顧客の保守費用が増大し、当該機器及び当該機器を販売管理する企業に対する顧客満足度が低下するという問題がある。また、当該機器に対する保守契約を締結している場合は、保守会社において保守契約料金より保守費用が増大し赤字となる事態も考えられる。
【0005】
上記従来の故障検出システムでは、過去の故障履歴から故障の多い部位を抽出することはされていなかった。また、異常判定ロジックも単純な故障回数の比較であり、故障回数の多くない使用開始初期の異常は判断が困難であった。また、故障が多いことの確からしさを示す指標がなく、分析者が判定結果をどの程度信頼してよいか分からず、結果として適切な対応が取れないという問題があった。
【0006】
また、上記従来の故障検出システムでは、早期に故障を発見して当該故障に対応することは可能であるが、当該故障部位が元来故障の多い部位である場合、その判断が確実にできないため、抜本的な解決にまでは至らず、故障数が減少されないという問題が残る。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記問題点を解消し、機器の故障の多い部位を改善して機器全体の品質向上が図れる故障部位検出システムを提供することにある。更に、機器の故障の多い部位に対し、優先的にメンテナンスを施すことにより保守費用の削減が図れる故障部位検出システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明に係る故障部位検出システムの第一の特徴構成は、実動を開始した機器の個体別に、前記個体の識別情報と、積算運転時間または経過時間で定義付けられる評価用時間または前記評価用時間を推定可能な等価量を少なくとも記録してなる実動機器データベースと、前記機器の種別と、前記機器を構成する部位と、前記部位の故障時または故障修理時の前記評価用時間とを少なくとも記録してなる故障部位データベースと、前記機器の区別と前記部位の区別の入力を受け付け、前記実動機器データベースと前記故障部位データベースとを検索することにより、前記入力によって指定される指定機器の指定部位における故障率と前記評価用時間との第1相関関係と、前記指定部位に応じて決定される一または複数の機器からなる標準機器の前記指定部位に該当する部位における故障率と前記評価用時間との第2相関関係とを算出する故障率相関関係算出手段と、前記故障率相関関係算出手段が算出した前記第1相関関係と前記第2相関関係から、前記指定機器の前記指定部位の故障率と前記標準機器の前記該当部位の故障率につき、両者を相対比較するための所定の故障評価値を夫々算出し、前記故障評価値の相対比較結果に基づき前記指定部位の故障率が有意に高いか否かの有意性を判定する故障率評価手段と、を備えてなる点にある。
【0009】
上記故障部位検出システムの第一の特徴構成によれば、指定機器の指定部位における故障率が、所定の故障評価値を用いて、指定部位に応じて決定される一または複数の機器からなる標準機器の指定部位に該当する部位における故障率との比較において評価されるので、指定機器の指定部位の故障率が標準機器との比較において有意に高いことの判断が可能となる。この結果、機器の特定部位がどの程度の確度で故障が多いかどうかの判断が容易にできるようになり、分析者が当該機器に対して抜本的な品質改善が行えるようになる。
【0010】
同第二の特徴構成は、前記機器の種別毎に、前記機器の属性情報と、前記機器を構成する各部位の種別と属性情報とを少なくとも記録してなる機器データベースを更に備えている点にある。
【0011】
上記故障部位検出システムの第二の特徴構成によれば、故障が多いと判断された特定部位について、属性情報を検索することができ、その属性情報に基づいて、機器の抜本的な品質改善を行うことができる。例えば、複数の機器について故障が多いと判断される部位が発見された場合に、当該部位で共通の属性(例えば、同じ部品メーカである。)があれば、それを手掛かりに品質改善が促進される。
【0012】
同第三の特徴構成は、前記故障率相関関係算出手段は、前記評価用時間を所定の刻み幅で区分けした評価用時間範囲毎に、前記指定機器の前記指定部位における故障率を第1故障率として、また、前記標準機器の前記指定部位に該当する部位における故障率を第2故障率として、前記実動機器データベースと前記故障部位データベースとを検索して算出し、前記第1相関関係として前記第1故障率と前記評価用時間範囲の代表値を変数とする回帰式を第1回帰式として導出し、前記第2相関関係として、前記第2故障率と前記評価用時間範囲の代表値を変数とする回帰式を第2回帰式として導出する点にある。
【0013】
上記故障部位検出システムの第三の特徴構成によれば、第1回帰式及び第2回帰式によって夫々第1相関関係と第2相関関係が簡易に導出できるので、上記第一の特徴構成の作用効果を発揮する故障部位検出システムを簡易に提供できる。
【0014】
同第四の特徴構成は、前記故障率評価手段は、前記故障評価値の相対比較として、前記第1故障率と前記第2故障率の平均値の一致の程度と、前記第1回帰式と前記第2回帰式の係数の一致の程度の少なくとも何れか一方を算出し、前記一致の程度により前記有意性を判定する点にある。
【0015】
上記故障部位検出システムの第四の特徴構成によれば、第1故障率と第2故障率の平均値の一致の程度、または、第1回帰式と第2回帰式の係数の一致の程度によって指定部位の故障率の高さの確からしさを確実に評価でき、上記第一の特徴構成の作用効果を発揮する故障部位検出システムを簡易に提供できる。
【0016】
同第五の特徴構成は、前記故障率相関関係算出手段は、前記第1回帰式または前記第2回帰式を、前記評価用時間の前記刻み幅と前記回帰式の次数の少なくとも何れか一方の複数の場合について、複数通り導出し、その内の回帰式の当てはまり良さを評価する指標である評価指標値が最大となる前記刻み幅と前記回帰式の次数を前記第1回帰式と前記第2回帰式の導出に用いる点にある。
【0017】
上記故障部位検出システムの第五の特徴構成によれば、指定部位の故障率の高さの確からしさをより正確に評価できるようになる。
【0018】
同第六の特徴構成は、前記第1回帰式と前記第2回帰式の前記評価指標値が所定数以下の場合は、前記指定機器の前記指定部位を、前記故障率評価手段による前記有意性の判定対象から除外する点にある。
【0019】
上記故障部位検出システムの第六の特徴構成によれば、回帰式の当てはまりの悪いものを除外することで、敢えて不確実な有意性判定を行わなくなるので、誤った有意性判定による誤った対応を事前に回避できる。
【0020】
同第七の特徴構成は、前記故障率評価手段により故障率が有意に高いと判定された前記指定部位を有する前記指定機器の使用者に対する次回定期点検において、前記指定部位に対して部品交換をすべきか否かを、前記第1相関関係または前記第1相関関係と前記第2相関関係に基づいて判定する部品交換要否判定手段を備えている点にある。
【0021】
上記故障部位検出システムの第七の特徴構成によれば、少なくとも第1相関関係によって指定部位の故障率と積算運転時間または経過時間で定義付けられる評価用時間の関係が得られるので、次回定期点検と次々回定期点検との間でその指定部位が故障する確率が求まるので、その確率を評価することで部品交換要否判定ができ、定期点検の作業者は高度に熟練していなくても、その部品交換要否判定に基づき部品交換を行うことができる。
【0022】
同第八の特徴構成は、前記部品交換要否判定手段は、次回定期点検時に前記指定部位に対して部品交換を行う費用と部品交換後の同じ指定部位が次回定期点検時と次々回定期点検時の間に故障して部品交換しなければならない場合の費用期待値の和と、次回定期点検時に前記指定部位に対して部品交換を行わず、前記指定部位が次回定期点検時と次々回定期点検時の間に故障して部品交換しなければならない場合の費用期待値とを算出し、両者の比較結果により前記部品交換の要否を判定する点にある。
【0023】
上記故障部位検出システムの第八の特徴構成によれば、費用支出を考慮した部品交換要否判定ができ、不当に高コストとなる部品交換を排除でき、定期点検に要するコストの高騰を防止できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係る故障部位検出システム(以下、適宜「本発明システム」という。)の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
【0025】
本発明システム1は、機器の故障の多い部位を改善して機器全体の品質向上が図れる故障部位検出システムであり、機器の故障の多い部位に対し、優先的にメンテナンスを施すことにより保守費用の削減が図れる故障部位検出システムである。本発明システム1は、図1に示すように、故障率相関関係算出手段2、故障率評価手段3、部品交換要否判定手段4、実動機器データベースA、故障部位データベースB、機器データベースCを備えて構成している。
【0026】
本発明システム1は、コンピュータのハードウェアとそのハードウェア上で実行されるアプリケーションソフトウェアで構成され、所定のネットワーク5を介して入出力端末6とのデータ送受信が可能なサーバコンピュータ上に構築されており、前記サーバコンピュータは、実動機器データベースA、故障部位データベースB、機器データベースCに接続してデータの入出力を行うデータベースサーバ等として機能するサーバコンピュータとの接続が可能になっている。本発明システム1は、入出力端末6から機器と部位の区別の入力を受け付け、受け付けた機器と部位の区別から、上述の各データベースA、B、Cに登録されているデータに基づいて、故障率相関関係算出手段2、故障率評価手段3、部品交換要否判定手段4が、後述する故障部位検出処理を実行した結果を、入出力端末6に送信することが可能となっている。
【0027】
ここで、入出力端末6は情報の入出力が可能な、パーソナルコンピュータといった情報処理端末で構成されており、ネットワーク5としては、社内ネットワーク等が想定される。また、故障率相関関係算出手段2、故障率評価手段3、部品交換要否判定手段4は同一のコンピュータ上に形成されずに、複数のコンピュータ上に分散して形成されていても構わない。
【0028】
また、入出力端末6と、故障率相関関係算出手段2、故障率評価手段3、部品交換要否判定手段4、実動機器データベースA、故障部位データベースB、機器データベースCを備えて構成される本発明システム1は、同一コンピュータ上に形成されても構わない。
【0029】
各手段2、3、4の処理内容について具体的に説明する前に、各データベースについて説明する。実動機器データベースAは、図2(a)で例示するように、実動を開始した機器の個体別に、他の機器の個体と識別可能にするために予め割り当てた識別情報と、設置先の、例えば名称、住所といった顧客情報、製造番号、型式といった種別情報、設置場所、更に、実動開始日、最新の定期点検日、積算運転時間といった情報が1つのデータレコードに記録されており、機器が実動を開始したタイミングで新規のデータレコードが実動機器データベースAに登録される。ここで、機器が実動を開始したタイミングとは、機器の個体が販売された、または機器が設置場所へ据え付けられたタイミングを指し示しており、実動開始日付は、前記個体が実動を開始したタイミングからの経過時間を推定することができる等価量である。また、実動機器データベースAの各データレコードの最新点検日と積算運転時間は定期点検の度毎に更新され、積算運転時間は、定期点検の際に例えば点検員によって調査されるもので、機器に内蔵されたタイマーに記録されている、製造後から積算運転時間調査時までの運転時間の総合計を読み取り記録している。尚、図2(a)の例では、同種別の機器が、同時期に、同じ設置先(もしくは販売先)の同じ設置場所に、複数台設置された場合、これら複数台からなる同種別の機器は、上述したデータレコードの情報に数量情報を加え、1つのデータレコードとして登録されている。
【0030】
ここで、実動機器データベースAの積算運転時間は定期点検時にのみ更新されるのではなく、例えば、各機器に内蔵されたタイマーを遠隔操作で読み込む装置により、随時自動的に更新される仕組みを備えるのも、好ましい実施形態である。
【0031】
故障部位データベースBは、実動を開始している、つまり実動機器データベースAに既に登録されている機器が故障した際、前記機器を構成している各故障部位の故障メンテナンス履歴を登録するデータベースであり、図2(b)で例示するように、故障した機器の識別情報と、機器の故障時または故障修理時における積算運転時間、機器の故障または故障修理日付、機器の故障部位と故障に関わる、例えば故障した際の現象や、故障原因、処置内容といった情報が1つのデータレコードとして記録されている。本実施形態では、既に故障部位データベースBには、故障した機器の故障部位に係る情報が蓄積されており、その蓄積された情報を流用することとする。
【0032】
機器データベースCは機器と機器を構成している部位の属性情報を管理しているデータベースであり、図2(c)に例示するように、機器の種別毎に、例えば、機器の製造元名称や製造年月といった機器の属性情報と、機器を構成する各部位の種別と、各部位の、例えば各部位の部品メーカ名称といった属性情報が記録されている。
【0033】
次に、本発明システム1の各手段及びデータベースの機能並びにそれらの動作について、本発明システム1を用いて実行される故障部位検出方法とともに、図3のフロー図を用いて説明する。
【0034】
入出力端末6から、入出力端末6の使用者が、例えば図4に示すような入力画面上から値を入力し「計算」ボタンを選択すると(#a100)、故障率相関関係算出手段2は、所定のネットワーク5を介して入出力端末6から入力された機器の区別と部位の区別を受け付ける(#a1)。故障率相関関係算出手段2は、入力によって指定された指定機器I1と指定部位J1の値に基づいて、実動機器データベースA及び故障部位データベースBを検索し、指定機器I1の指定部位J1における故障率Y1と積算運転時間X1との第1相関関係を求める処理(#a2)と、指定機器I1に応じて決定される標準機器I2と、標準機器I2の指定部位J1に該当する部位における故障率Y2と積算運転時間X2との第2相関関係を求める処理(#a3)を実行する。
【0035】
以下に、図5、図6に示すフロー図を用いて、第1相関関係及び第2相関関係を求める処理内容の詳細について説明する。尚、図5は故障率相関関係算出手段2が第1相関関係を求める処理の流れを示し、図6は故障率相関関係算出手段2が第2相関関係を求める処理の流れを示す。
【0036】
初めに、第1相関関係を求める処理内容について説明する。先ず、型式が指定機器I1である実動機器の数量と積算運転時間の関係を求めるために、実動機器データベースAから型式が指定機器I1と同じ実動機器データレコードを抽出し(#a21)、例えば2000時間といった、予め本発明システム1に登録されている所定の刻み幅を読み込み、その刻み幅で評価用時間である積算運転時間を区分けした評価用時間範囲毎に、抽出した実動機器データレコードの機器数量を集計し、評価用時間範囲毎における指定機器I1の実働機器数量DA1を取得する(#a22)。次に、指定機器I1の故障数量と積算運転時間の関係を求めるために、故障部位データベースBから、ステップ(#a21)で抽出した実動機器データレコードの識別番号と同じ識別番号の故障部位データレコードを抽出する(#a23)。ステップ(#a23)で抽出した故障部位データレコードから、故障部位が指定部位J1であるデータレコードの件数を集計し、指定部位J1が原因で故障した指定機器I1ののべ数量を求めて、それを評価用時間毎の故障数量DB1とし(#a24)、評価用時間範囲毎の、実動機器数量DA1に対する故障数量DB1の比を求めることで、指定機器I1の指定部位J1における故障率Y1が第1故障率として算出される(#a25)。
【0037】
ここで、評価用時間範囲毎の実動機器数量DA1と指定機器I1の指定部位J1の故障数量DB1を図7(a)に例示し、上述の処理内容に従った際に算出される第1故障率Y1を並べて表示する。尚、図7(a)では、評価用時間範囲毎の代表値Xを、評価用時間範囲の中央値としている。
【0038】
指定機器I1の指定部位J1における第1故障率Y1が算出されると、故障率相関関係算出手段2は、第1故障率Y1と評価用時間との第1相関関係として、例えば評価用時間範囲の代表値Xから第1故障率Y1を予測可能な第1回帰式を導出する(#a26)。代表値Xといった1つの変数から第1故障率Y1を求める第1回帰式は、代表値XをX、第1回帰式によって予測される故障率をYとすると、一般的に、数1に示すような1次式で表すことができ、評価用時間範囲の代表値Xの平均値をXAVR、指定機器I1の指定部位J1における第1故障率Y1の平均値をY1AVRとし、評価用時間範囲の代表値X(i)における第1故障率をY(i)とすると、数1の偏回帰係数a及び、定数項bは数2によって得られることから、例えば、図7(a)に示す値から第1回帰式を導出すると、数3に示すような第1回帰式が導出できる。
【0039】
【数1】
Y = aX + b
【0040】
【数2】
【0041】
【数3】
Y = (3.31E−06)×X + 0.03878
【0042】
次に、第2相関関係を求める処理内容について説明する。先ず、故障率相関関係算出手段2は、入出力端末6からの入力によって指定された指定機器I1の指定部位J1に応じて、予め本発明システム1に登録されている、所定の一または複数の機器からなる標準機器I2を決定する条件を読み込む(#a31)。
【0043】
ここで、前記条件の具体的な内容としては、例えば、指定部位J1が「スタータモータ」の場合、標準機器I2は指定部位J1と同じメーカが製造した部位(「スタータモータ」)を備える機器を指し、また、指定部位J1が「プラグ」の場合、標準機器I2は、指定機器I1と同じメーカが製造し、尚且つ、指定機器I1と馬力が同じ機器を指す、といったものが考えられる。本発明システム1に登録されている全ての部位において、標準機器I2を決定する条件は、例えば、入出力端末6から通信ネットワーク5を介して本発明システム1に登録されており、その内容は定期的、または必要に応じて随時に見直され更新される仕組みになっている。更に、標準機器I2を決定する条件の求め方としては、例えば、部位毎に、評価用時間範囲毎の部位の故障に関する相関関係を、部位を有する機器の製造メーカ別と、部位の製造メーカ別に夫々求めて、機器の製造メーカ間で前記相関関係が大きく異なる場合は、指定機器I1と同じ機器メーカが製造した機器を標準機器I2として決定し、部位の製造メーカ間で前記相関関係が大きく異なる場合は、指定部位J1と同じメーカが製造した部位を備える機器を標準機器I2とする、といった条件の求め方がある。
【0044】
標準機器I2を決定する条件を読み込んだ後、故障率相関関係算出手段2は、先ず、型式が標準機器I2である実動機器の数量と積算運転時間の関係を求めるために、実動機器データベースAから型式が標準機器I2と同じ実動機器データレコードを抽出し(#a32)、ステップ(#a22)と同様に、所定の刻み幅で評価用時間である積算運転時間を区分けした評価用時間範囲毎に、抽出した実動機器データレコードの機器数量を集計し、評価用時間範囲毎における標準機器I2の実働機器数量DA2を取得する(#a33)。次に、標準機器I2の故障数量と積算運転時間の関係を求めるために、故障部位データベースBから、ステップ(#a32)で抽出した実動機器データレコードの識別番号と同じ識別番号の故障部位データレコードを抽出する(#a34)。ステップ(#a34)で抽出した故障部位データレコードから、故障部位が指定部位J1であるデータレコードの件数を集計し、故障した標準機器I2の指定部位J1ののべ数量を求めて、それを評価用時間毎の故障数量DB2とし(#a35)、評価用時間範囲毎の、実動機器数量DA2に対する故障数量DB2の比を求めることで、標準機器I2の指定部位J1に該当する部位における故障率Y2が第2故障率として算出される(#a36)。
【0045】
評価用時間範囲毎の実動機器数量DA2と標準機器I2の指定部位J1の故障数量DB2を、図7(b)に例示し、上述の処理内容に従った際に算出される第2故障率Y2を並べて表示する。尚、図7(b)では、図7(a)と同様に評価用時間範囲毎の代表値Xを、評価用時間範囲の中央値としている。
【0046】
標準機器I2の指定部位J1に該当する部位における第2故障率Y2が算出されると、故障率相関関係算出手段2は、第2故障率Y2と評価用時間との第2相関関係として、例えば評価用時間範囲の代表値Xから第2故障率Y2を予測可能な第2回帰式を導出する(#a37)。尚、第2回帰式の導出方法は、第1回帰式の導出方法と同様であるため、説明を割愛する。
【0047】
故障率相関関係算出手段2によって第1、第2相関関係が導出された後、故障率評価手段3は、第1、第2相関関係を相対比較するための所定の故障評価値を夫々算出し、故障評価値の相対比較結果に基づき、指定部位J1の故障率が有意に高いか否かの有意性を判定する(#a4)。ここで所定の故障評価値の相対比較としては、第1故障率と第2故障率の平均の一致の程度と、第1回帰式と第2回帰式の係数の一致の程度の少なくても何れか一方を算出し、前記一致の程度によって前記有意性を判定する方法がある。
【0048】
詳述すると、先ず、故障率評価手段3は、評価用時間範囲の第1故障率と第2故障率の平均値Y1AVR、Y2AVRを求め、これら前記平均値のずれに有意差が認められるかどうかを調べるために、平均値Y1AVRとY2AVRのずれを、平均の差を表す、例えばt値といった統計量に換算する。t値は一般的に数4を用いて算出され、数4を用いて算出したt値を、予め本発明システム1に登録してあるt分布に照らし合わし、第1故障率の有意確率を取得する。更に、取得した有意確率が、予め登録されている所定の有意水準よりも小さいか否かを判定し、有意水準よりも小さい場合、第1故障率と第2故障率のずれには有意差が認められるため、故障率評価手段3は指定機器I1の指定部位J1の故障率が有意に高いと判定する。そして、例えば、判定した結果を図8に示すような画面を入出力端末6に表示する(#a101)。
【0049】
【数4】
t=|Y1AVR―Y2AVR|/√((SD21×N1+SD22×N2)/(N1+N2−2)×(1/N1+1/N2))
但し、Y1AVRは第1故障率の平均値、Y2AVRは第2故障率の平均値、SD21は第1故障率の標準偏差の二乗、SD22は第2故障率の標準偏差の二乗、N1は第1故障率のデータ個数、N2は第2故障率のデータ個数となる。
【0050】
部品交換要否判定手段4は、故障率評価手段3が、指定機器I1の指定部位J1の故障率Y1は有意に高いと判定した場合、指定部位J1を有する指定機器I1の使用者に対して行う次回定期点検において、指定部位J1に対して部品交換をすべきか否かを判定する。
【0051】
部品交換要否判定手段4が行う具体的な判定方法としては、例えば、次回定期点検時に指定部位J1の部位品交換を行わなかった場合(以下、条件Aとする)と、指定部位J1の部品交換を行った場合(以下、条件Bとする)の2つの条件において、次回定期点検日から次々回定期点検日前までに指定部位J1の部品交換に係る費用を比較し、指定部位J1に対して部品交換をすべきか否かを判定する。ここで、条件A、条件Bにおける指定部位J1の部品交換に係る双方の費用には、次回定期点検日から次々回定期点検日前までに指定部位J1が故障した際に要する費用期待値FA、FBが夫々加算されるため、費用期待値FA、FBを、数5を用いて算出すると、条件A、条件Bの夫々における指定部位J1の部品交換に係る費用SA、SBは、数6で求めることができる。ここで、数5のY(X)は、積算運転時間がX時間の場合の指定機器I1の指定部位J1の故障率を示しており、通常保守単価は指定部位J1の部品交換を行う際に要する、諸経費をも含めた費用を示し、例えば、技術料、交換部品費といった費用に、交通費、日当といった諸経費との合計を表している。それに対して、数6の事前保守単価とは、定期点検時に指定部位J1の部品交換を行う際に要する費用を示しているため、例えば、技術料、交換部品費といった費用が含まれている。
【0052】
【数5】
(条件Aの場合)
FA = 通常保守単価 × Y(XA)
XA=(前回定期点検日の積算運転時間)+(次々回定期点検日−前回定期点検日)×1日当たりの運転時間
(条件Bの場合)
FB = 通常保守単価 × Y(XB)
XB=(次々回定期点検日−次回定期点検日)×1日当たりの運転時間
【0053】
【数6】
SA = FA
SB = FB + 事前保守単価
【0054】
上述の様にして、条件A、条件Bにおける費用SA、SBが算出された後引き続き、部品交換要否判定手段4は費用SA、SBを比較し、費用SAが費用SB以上である場合は、指定部位J1の部品交換は不要であると判定し、費用SAが費用SBより小さい場合は、指定部位J1の部品交換の必要があると判定する。
【0055】
<第2実施形態>
次に、本発明システム1の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、故障部位検出の精度をより高めるために、先ず第1回帰式、または第2回帰式を複数通り導出し、導出した複数の回帰式のなかから、当てはまりの良さを評価する指標である評価指標値が最も大きいものを、第1回帰式、または第2回帰式とする機能が故障率相関関係算出手段2に追加されている。更に、評価指標値が所定数以下の指定機器I1の指定部位J1については、故障率評価手段3の有意性の判定対象から除外する機能が追加されている。
【0056】
下記に故障率相関関係算出手段2に追加された機能について、図9に示すフロー図を用いて説明するが、故障率相関関係算出手段2が、入出力端末6から入力された指定機器I1の指定部位J1に応じて、標準機器I2を決定し、実動機器データベースAと故障部位データベースBを検索することにより一通りの第1故障率と第2故障率を算出し、第1回帰式、及び第2回帰式を導出する処理内容については、第1実施形態で述べた内容と重複するので、説明を割愛する。尚、下記の説明で用いる記号は、前述と同様である。
【0057】
先ず、故障率相関関係算出手段2は、例えば500時間といった所定の刻み幅で、評価用時間である積算運転時間を区分けして、それを評価用時間範囲とし、更に、例えば数1に示すような1次式で第2回帰式を表すこととし、第1実施形態で示した処理方法を用いて、第2回帰式を導出する(#b1)。次に、導出した第2回帰式の当てはまりの良さを評価する指標である評価指数値R2を、一般的に回帰式の当てはまりの良さを示す基準である決定係数を用いて表すと、数7によって求めることができる。ここで、数7に用いられているYAVRは、標準機器I2の指定部位J1に該当する部位における故障率Y2の平均値を示し、Y(i)は実動機器データベースA、及び故障部位データベースBを検索することによって求めた第2故障率Y2を示し、Yは第2回帰式から予測される故障率を示す。
【0058】
【数7】
【0059】
故障率相関関係算出手段2は、数7によって評価指数値R2を求めると(#b2)、次に、例えば数8に示すような2次式で表す第2回帰式を導出し(#b3)、ステップ(#b2)と同様にして評価指数値R2を求める(#b4)。
【0060】
【数8】
Y = aX2 + bX + c
【0061】
評価用時間範囲の代表値Xと、標準機器I2の指定部位J1に該当する部位における第2故障率Y2との第2相関関係を、1次式、2次式といった複数の通りで表す第2回帰式を導出した後、更に、故障率相関関係算出手段2は、例えば、評価用時間である積算運転時間の刻み幅が、1000時間、2000時間、2500時間といった具体に、本発明システム1に登録されている場合、上記と同様に、第2回帰式、及び評価指数値R2を、第1実施形態、及び上記に示した同様の方法で導出する(#b5)。そして、評価指標値R2の値が最大となる積算運転時間の刻み幅と、第2回帰式の次数を選定(#b6)し、標準機器I2の指定部位J1に該当する部位の第2回帰式を導出する際の条件として用いる。
【0062】
さらに、故障率相関関係算出手段2は、上述の処理で選定した、最適な刻み幅、及び次数を用いて、第1回帰式を導出する(#b7)が、その処理内容については第1実施形態で述べた処理内容と重複するため、その説明を割愛する。また、導出する第2回帰式の次元は、1次元、2次元に限らなくても構わない。
【0063】
また、評価指標値R2の値が最大となる積算運転時間の刻み幅と、回帰式の次数といった第1、第2回帰式導出のための条件の選定は、故障率相関関係算出手段2が入出力端末6から指定機器I1、指定部位J1の入力を受け付ける度に行うのではなく、本発明システム1に登録されている全ての部位について、予め選定して本発明システム1に登録しておき、第1回帰式、第2回帰式を導出する際に、登録してある条件を読み込むようにしても構わない。
【0064】
故障率相関関係算出手段2が第1回帰式、第2回帰式を導出し、夫々の評価指標値R2を算出した後、故障率評価手段3は、第1実施形態で説明した指定部位J1の故障率が有意に高いか否かの有意性を判定する前に、故障率相関関係算出手段2が求めた第1回帰式、第2回帰式の評価指数値R2を読み込み、その値が所定の値以下の場合は、前記有意性の判定の対象から、指定機器I1の指定部位J1を除外する。このことによって、回帰式の当てはまりの悪いものを除外することができ、敢えて不確実な有意性判定を行わなくなるので、誤った有意性判定による誤った対応を事前に回避できる。
【0065】
以下に、別の実施形態につき説明する。
〈1〉上記実施形態では、本発明システム1の評価用時間は、機器内のタイマーによって記録されている積算運転時間を評価用時間として用いたが、実動を開始したタイミングから故障時または故障修理時までの経過時間を評価用時間として用いてもよい。
【0066】
〈2〉上記第1実施形態では、第1回帰式、第2回帰式として1次式を用いたが、1次式に限らず、2次式などの多次元多項式を用いて、各々の相関関係を求めても良い。2次式を用いた回帰式を例示すると、数8を用いて求められる。
【0067】
〈3〉第1実施形態では、故障率相関関係算出手段2が、指定機器I1の指定部位J1に応じた標準機器I2の第2回帰式を導出する際に、予め本発明システム1に登録されている標準機器I2を決定する条件を読み込んで、その条件を読み込むことで標準機器I2を決定し、その都度、第2回帰式を導出するとしたが、予め、本発明システム1に第2回帰式を登録しておき、故障率相関関係算出手段2は、標準機器I2の第2回帰式を読み込むのみとしても構わない。
【0068】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る故障部位検出システムの一実施形態を示す回路ブロック図
【図2】各データベースのデータレイアウトの一例図
【図3】本発明に係る故障部位検出システムの処理フロー図
【図4】機器区分、部位区分の入力画面の一例図
【図5】本発明に係る故障部位検出システムの第1相関関係算出処理フロー図
【図6】本発明に係る故障部位検出システムの第2相関関係算出処理フロー図
【図7】評価用時間範囲毎における第1故障率、第2故障率の一例図
【図8】本発明に係る故障部位検出システムの故障率評価手段3が判定する結果表示の一例図
【図9】本発明に係る故障部位検出システムの別実施形態における評価指標値算出処理フロー図
【符号の説明】
1: 本発明に係る故障部位検出システム
2: 故障率相関関係算出手段
3: 故障率評価手段
4: 部品交換要否判定手段
5: ネットワーク
6: 入出力端末
A: 実動機器データベース
B: 故障部位データベース
C: 機器データベース
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の機器の特定の部位に集中して起こる故障を早期に且つ高精度に判定することにより、機器の品質改善、或いは、機器の点検業務を支援する故障部位検出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、機器の運転時の温度や速度等のパラメータをリアルタイムに取得し、当該機器に故障が多いか否かを判定する機能を備えた故障検出システムがあった。例えば、下記の特許文献1に開示された冷熱遠隔監視装置等がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−81809号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、大型の空調機器等において故障が頻発する場合は、その型式と故障部位の品質改善を優先して実施しなければ、使用者である顧客の保守費用が増大し、当該機器及び当該機器を販売管理する企業に対する顧客満足度が低下するという問題がある。また、当該機器に対する保守契約を締結している場合は、保守会社において保守契約料金より保守費用が増大し赤字となる事態も考えられる。
【0005】
上記従来の故障検出システムでは、過去の故障履歴から故障の多い部位を抽出することはされていなかった。また、異常判定ロジックも単純な故障回数の比較であり、故障回数の多くない使用開始初期の異常は判断が困難であった。また、故障が多いことの確からしさを示す指標がなく、分析者が判定結果をどの程度信頼してよいか分からず、結果として適切な対応が取れないという問題があった。
【0006】
また、上記従来の故障検出システムでは、早期に故障を発見して当該故障に対応することは可能であるが、当該故障部位が元来故障の多い部位である場合、その判断が確実にできないため、抜本的な解決にまでは至らず、故障数が減少されないという問題が残る。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、上記問題点を解消し、機器の故障の多い部位を改善して機器全体の品質向上が図れる故障部位検出システムを提供することにある。更に、機器の故障の多い部位に対し、優先的にメンテナンスを施すことにより保守費用の削減が図れる故障部位検出システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するための本発明に係る故障部位検出システムの第一の特徴構成は、実動を開始した機器の個体別に、前記個体の識別情報と、積算運転時間または経過時間で定義付けられる評価用時間または前記評価用時間を推定可能な等価量を少なくとも記録してなる実動機器データベースと、前記機器の種別と、前記機器を構成する部位と、前記部位の故障時または故障修理時の前記評価用時間とを少なくとも記録してなる故障部位データベースと、前記機器の区別と前記部位の区別の入力を受け付け、前記実動機器データベースと前記故障部位データベースとを検索することにより、前記入力によって指定される指定機器の指定部位における故障率と前記評価用時間との第1相関関係と、前記指定部位に応じて決定される一または複数の機器からなる標準機器の前記指定部位に該当する部位における故障率と前記評価用時間との第2相関関係とを算出する故障率相関関係算出手段と、前記故障率相関関係算出手段が算出した前記第1相関関係と前記第2相関関係から、前記指定機器の前記指定部位の故障率と前記標準機器の前記該当部位の故障率につき、両者を相対比較するための所定の故障評価値を夫々算出し、前記故障評価値の相対比較結果に基づき前記指定部位の故障率が有意に高いか否かの有意性を判定する故障率評価手段と、を備えてなる点にある。
【0009】
上記故障部位検出システムの第一の特徴構成によれば、指定機器の指定部位における故障率が、所定の故障評価値を用いて、指定部位に応じて決定される一または複数の機器からなる標準機器の指定部位に該当する部位における故障率との比較において評価されるので、指定機器の指定部位の故障率が標準機器との比較において有意に高いことの判断が可能となる。この結果、機器の特定部位がどの程度の確度で故障が多いかどうかの判断が容易にできるようになり、分析者が当該機器に対して抜本的な品質改善が行えるようになる。
【0010】
同第二の特徴構成は、前記機器の種別毎に、前記機器の属性情報と、前記機器を構成する各部位の種別と属性情報とを少なくとも記録してなる機器データベースを更に備えている点にある。
【0011】
上記故障部位検出システムの第二の特徴構成によれば、故障が多いと判断された特定部位について、属性情報を検索することができ、その属性情報に基づいて、機器の抜本的な品質改善を行うことができる。例えば、複数の機器について故障が多いと判断される部位が発見された場合に、当該部位で共通の属性(例えば、同じ部品メーカである。)があれば、それを手掛かりに品質改善が促進される。
【0012】
同第三の特徴構成は、前記故障率相関関係算出手段は、前記評価用時間を所定の刻み幅で区分けした評価用時間範囲毎に、前記指定機器の前記指定部位における故障率を第1故障率として、また、前記標準機器の前記指定部位に該当する部位における故障率を第2故障率として、前記実動機器データベースと前記故障部位データベースとを検索して算出し、前記第1相関関係として前記第1故障率と前記評価用時間範囲の代表値を変数とする回帰式を第1回帰式として導出し、前記第2相関関係として、前記第2故障率と前記評価用時間範囲の代表値を変数とする回帰式を第2回帰式として導出する点にある。
【0013】
上記故障部位検出システムの第三の特徴構成によれば、第1回帰式及び第2回帰式によって夫々第1相関関係と第2相関関係が簡易に導出できるので、上記第一の特徴構成の作用効果を発揮する故障部位検出システムを簡易に提供できる。
【0014】
同第四の特徴構成は、前記故障率評価手段は、前記故障評価値の相対比較として、前記第1故障率と前記第2故障率の平均値の一致の程度と、前記第1回帰式と前記第2回帰式の係数の一致の程度の少なくとも何れか一方を算出し、前記一致の程度により前記有意性を判定する点にある。
【0015】
上記故障部位検出システムの第四の特徴構成によれば、第1故障率と第2故障率の平均値の一致の程度、または、第1回帰式と第2回帰式の係数の一致の程度によって指定部位の故障率の高さの確からしさを確実に評価でき、上記第一の特徴構成の作用効果を発揮する故障部位検出システムを簡易に提供できる。
【0016】
同第五の特徴構成は、前記故障率相関関係算出手段は、前記第1回帰式または前記第2回帰式を、前記評価用時間の前記刻み幅と前記回帰式の次数の少なくとも何れか一方の複数の場合について、複数通り導出し、その内の回帰式の当てはまり良さを評価する指標である評価指標値が最大となる前記刻み幅と前記回帰式の次数を前記第1回帰式と前記第2回帰式の導出に用いる点にある。
【0017】
上記故障部位検出システムの第五の特徴構成によれば、指定部位の故障率の高さの確からしさをより正確に評価できるようになる。
【0018】
同第六の特徴構成は、前記第1回帰式と前記第2回帰式の前記評価指標値が所定数以下の場合は、前記指定機器の前記指定部位を、前記故障率評価手段による前記有意性の判定対象から除外する点にある。
【0019】
上記故障部位検出システムの第六の特徴構成によれば、回帰式の当てはまりの悪いものを除外することで、敢えて不確実な有意性判定を行わなくなるので、誤った有意性判定による誤った対応を事前に回避できる。
【0020】
同第七の特徴構成は、前記故障率評価手段により故障率が有意に高いと判定された前記指定部位を有する前記指定機器の使用者に対する次回定期点検において、前記指定部位に対して部品交換をすべきか否かを、前記第1相関関係または前記第1相関関係と前記第2相関関係に基づいて判定する部品交換要否判定手段を備えている点にある。
【0021】
上記故障部位検出システムの第七の特徴構成によれば、少なくとも第1相関関係によって指定部位の故障率と積算運転時間または経過時間で定義付けられる評価用時間の関係が得られるので、次回定期点検と次々回定期点検との間でその指定部位が故障する確率が求まるので、その確率を評価することで部品交換要否判定ができ、定期点検の作業者は高度に熟練していなくても、その部品交換要否判定に基づき部品交換を行うことができる。
【0022】
同第八の特徴構成は、前記部品交換要否判定手段は、次回定期点検時に前記指定部位に対して部品交換を行う費用と部品交換後の同じ指定部位が次回定期点検時と次々回定期点検時の間に故障して部品交換しなければならない場合の費用期待値の和と、次回定期点検時に前記指定部位に対して部品交換を行わず、前記指定部位が次回定期点検時と次々回定期点検時の間に故障して部品交換しなければならない場合の費用期待値とを算出し、両者の比較結果により前記部品交換の要否を判定する点にある。
【0023】
上記故障部位検出システムの第八の特徴構成によれば、費用支出を考慮した部品交換要否判定ができ、不当に高コストとなる部品交換を排除でき、定期点検に要するコストの高騰を防止できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に係る故障部位検出システム(以下、適宜「本発明システム」という。)の実施の形態につき、図面に基づいて説明する。
【0025】
本発明システム1は、機器の故障の多い部位を改善して機器全体の品質向上が図れる故障部位検出システムであり、機器の故障の多い部位に対し、優先的にメンテナンスを施すことにより保守費用の削減が図れる故障部位検出システムである。本発明システム1は、図1に示すように、故障率相関関係算出手段2、故障率評価手段3、部品交換要否判定手段4、実動機器データベースA、故障部位データベースB、機器データベースCを備えて構成している。
【0026】
本発明システム1は、コンピュータのハードウェアとそのハードウェア上で実行されるアプリケーションソフトウェアで構成され、所定のネットワーク5を介して入出力端末6とのデータ送受信が可能なサーバコンピュータ上に構築されており、前記サーバコンピュータは、実動機器データベースA、故障部位データベースB、機器データベースCに接続してデータの入出力を行うデータベースサーバ等として機能するサーバコンピュータとの接続が可能になっている。本発明システム1は、入出力端末6から機器と部位の区別の入力を受け付け、受け付けた機器と部位の区別から、上述の各データベースA、B、Cに登録されているデータに基づいて、故障率相関関係算出手段2、故障率評価手段3、部品交換要否判定手段4が、後述する故障部位検出処理を実行した結果を、入出力端末6に送信することが可能となっている。
【0027】
ここで、入出力端末6は情報の入出力が可能な、パーソナルコンピュータといった情報処理端末で構成されており、ネットワーク5としては、社内ネットワーク等が想定される。また、故障率相関関係算出手段2、故障率評価手段3、部品交換要否判定手段4は同一のコンピュータ上に形成されずに、複数のコンピュータ上に分散して形成されていても構わない。
【0028】
また、入出力端末6と、故障率相関関係算出手段2、故障率評価手段3、部品交換要否判定手段4、実動機器データベースA、故障部位データベースB、機器データベースCを備えて構成される本発明システム1は、同一コンピュータ上に形成されても構わない。
【0029】
各手段2、3、4の処理内容について具体的に説明する前に、各データベースについて説明する。実動機器データベースAは、図2(a)で例示するように、実動を開始した機器の個体別に、他の機器の個体と識別可能にするために予め割り当てた識別情報と、設置先の、例えば名称、住所といった顧客情報、製造番号、型式といった種別情報、設置場所、更に、実動開始日、最新の定期点検日、積算運転時間といった情報が1つのデータレコードに記録されており、機器が実動を開始したタイミングで新規のデータレコードが実動機器データベースAに登録される。ここで、機器が実動を開始したタイミングとは、機器の個体が販売された、または機器が設置場所へ据え付けられたタイミングを指し示しており、実動開始日付は、前記個体が実動を開始したタイミングからの経過時間を推定することができる等価量である。また、実動機器データベースAの各データレコードの最新点検日と積算運転時間は定期点検の度毎に更新され、積算運転時間は、定期点検の際に例えば点検員によって調査されるもので、機器に内蔵されたタイマーに記録されている、製造後から積算運転時間調査時までの運転時間の総合計を読み取り記録している。尚、図2(a)の例では、同種別の機器が、同時期に、同じ設置先(もしくは販売先)の同じ設置場所に、複数台設置された場合、これら複数台からなる同種別の機器は、上述したデータレコードの情報に数量情報を加え、1つのデータレコードとして登録されている。
【0030】
ここで、実動機器データベースAの積算運転時間は定期点検時にのみ更新されるのではなく、例えば、各機器に内蔵されたタイマーを遠隔操作で読み込む装置により、随時自動的に更新される仕組みを備えるのも、好ましい実施形態である。
【0031】
故障部位データベースBは、実動を開始している、つまり実動機器データベースAに既に登録されている機器が故障した際、前記機器を構成している各故障部位の故障メンテナンス履歴を登録するデータベースであり、図2(b)で例示するように、故障した機器の識別情報と、機器の故障時または故障修理時における積算運転時間、機器の故障または故障修理日付、機器の故障部位と故障に関わる、例えば故障した際の現象や、故障原因、処置内容といった情報が1つのデータレコードとして記録されている。本実施形態では、既に故障部位データベースBには、故障した機器の故障部位に係る情報が蓄積されており、その蓄積された情報を流用することとする。
【0032】
機器データベースCは機器と機器を構成している部位の属性情報を管理しているデータベースであり、図2(c)に例示するように、機器の種別毎に、例えば、機器の製造元名称や製造年月といった機器の属性情報と、機器を構成する各部位の種別と、各部位の、例えば各部位の部品メーカ名称といった属性情報が記録されている。
【0033】
次に、本発明システム1の各手段及びデータベースの機能並びにそれらの動作について、本発明システム1を用いて実行される故障部位検出方法とともに、図3のフロー図を用いて説明する。
【0034】
入出力端末6から、入出力端末6の使用者が、例えば図4に示すような入力画面上から値を入力し「計算」ボタンを選択すると(#a100)、故障率相関関係算出手段2は、所定のネットワーク5を介して入出力端末6から入力された機器の区別と部位の区別を受け付ける(#a1)。故障率相関関係算出手段2は、入力によって指定された指定機器I1と指定部位J1の値に基づいて、実動機器データベースA及び故障部位データベースBを検索し、指定機器I1の指定部位J1における故障率Y1と積算運転時間X1との第1相関関係を求める処理(#a2)と、指定機器I1に応じて決定される標準機器I2と、標準機器I2の指定部位J1に該当する部位における故障率Y2と積算運転時間X2との第2相関関係を求める処理(#a3)を実行する。
【0035】
以下に、図5、図6に示すフロー図を用いて、第1相関関係及び第2相関関係を求める処理内容の詳細について説明する。尚、図5は故障率相関関係算出手段2が第1相関関係を求める処理の流れを示し、図6は故障率相関関係算出手段2が第2相関関係を求める処理の流れを示す。
【0036】
初めに、第1相関関係を求める処理内容について説明する。先ず、型式が指定機器I1である実動機器の数量と積算運転時間の関係を求めるために、実動機器データベースAから型式が指定機器I1と同じ実動機器データレコードを抽出し(#a21)、例えば2000時間といった、予め本発明システム1に登録されている所定の刻み幅を読み込み、その刻み幅で評価用時間である積算運転時間を区分けした評価用時間範囲毎に、抽出した実動機器データレコードの機器数量を集計し、評価用時間範囲毎における指定機器I1の実働機器数量DA1を取得する(#a22)。次に、指定機器I1の故障数量と積算運転時間の関係を求めるために、故障部位データベースBから、ステップ(#a21)で抽出した実動機器データレコードの識別番号と同じ識別番号の故障部位データレコードを抽出する(#a23)。ステップ(#a23)で抽出した故障部位データレコードから、故障部位が指定部位J1であるデータレコードの件数を集計し、指定部位J1が原因で故障した指定機器I1ののべ数量を求めて、それを評価用時間毎の故障数量DB1とし(#a24)、評価用時間範囲毎の、実動機器数量DA1に対する故障数量DB1の比を求めることで、指定機器I1の指定部位J1における故障率Y1が第1故障率として算出される(#a25)。
【0037】
ここで、評価用時間範囲毎の実動機器数量DA1と指定機器I1の指定部位J1の故障数量DB1を図7(a)に例示し、上述の処理内容に従った際に算出される第1故障率Y1を並べて表示する。尚、図7(a)では、評価用時間範囲毎の代表値Xを、評価用時間範囲の中央値としている。
【0038】
指定機器I1の指定部位J1における第1故障率Y1が算出されると、故障率相関関係算出手段2は、第1故障率Y1と評価用時間との第1相関関係として、例えば評価用時間範囲の代表値Xから第1故障率Y1を予測可能な第1回帰式を導出する(#a26)。代表値Xといった1つの変数から第1故障率Y1を求める第1回帰式は、代表値XをX、第1回帰式によって予測される故障率をYとすると、一般的に、数1に示すような1次式で表すことができ、評価用時間範囲の代表値Xの平均値をXAVR、指定機器I1の指定部位J1における第1故障率Y1の平均値をY1AVRとし、評価用時間範囲の代表値X(i)における第1故障率をY(i)とすると、数1の偏回帰係数a及び、定数項bは数2によって得られることから、例えば、図7(a)に示す値から第1回帰式を導出すると、数3に示すような第1回帰式が導出できる。
【0039】
【数1】
Y = aX + b
【0040】
【数2】
【0041】
【数3】
Y = (3.31E−06)×X + 0.03878
【0042】
次に、第2相関関係を求める処理内容について説明する。先ず、故障率相関関係算出手段2は、入出力端末6からの入力によって指定された指定機器I1の指定部位J1に応じて、予め本発明システム1に登録されている、所定の一または複数の機器からなる標準機器I2を決定する条件を読み込む(#a31)。
【0043】
ここで、前記条件の具体的な内容としては、例えば、指定部位J1が「スタータモータ」の場合、標準機器I2は指定部位J1と同じメーカが製造した部位(「スタータモータ」)を備える機器を指し、また、指定部位J1が「プラグ」の場合、標準機器I2は、指定機器I1と同じメーカが製造し、尚且つ、指定機器I1と馬力が同じ機器を指す、といったものが考えられる。本発明システム1に登録されている全ての部位において、標準機器I2を決定する条件は、例えば、入出力端末6から通信ネットワーク5を介して本発明システム1に登録されており、その内容は定期的、または必要に応じて随時に見直され更新される仕組みになっている。更に、標準機器I2を決定する条件の求め方としては、例えば、部位毎に、評価用時間範囲毎の部位の故障に関する相関関係を、部位を有する機器の製造メーカ別と、部位の製造メーカ別に夫々求めて、機器の製造メーカ間で前記相関関係が大きく異なる場合は、指定機器I1と同じ機器メーカが製造した機器を標準機器I2として決定し、部位の製造メーカ間で前記相関関係が大きく異なる場合は、指定部位J1と同じメーカが製造した部位を備える機器を標準機器I2とする、といった条件の求め方がある。
【0044】
標準機器I2を決定する条件を読み込んだ後、故障率相関関係算出手段2は、先ず、型式が標準機器I2である実動機器の数量と積算運転時間の関係を求めるために、実動機器データベースAから型式が標準機器I2と同じ実動機器データレコードを抽出し(#a32)、ステップ(#a22)と同様に、所定の刻み幅で評価用時間である積算運転時間を区分けした評価用時間範囲毎に、抽出した実動機器データレコードの機器数量を集計し、評価用時間範囲毎における標準機器I2の実働機器数量DA2を取得する(#a33)。次に、標準機器I2の故障数量と積算運転時間の関係を求めるために、故障部位データベースBから、ステップ(#a32)で抽出した実動機器データレコードの識別番号と同じ識別番号の故障部位データレコードを抽出する(#a34)。ステップ(#a34)で抽出した故障部位データレコードから、故障部位が指定部位J1であるデータレコードの件数を集計し、故障した標準機器I2の指定部位J1ののべ数量を求めて、それを評価用時間毎の故障数量DB2とし(#a35)、評価用時間範囲毎の、実動機器数量DA2に対する故障数量DB2の比を求めることで、標準機器I2の指定部位J1に該当する部位における故障率Y2が第2故障率として算出される(#a36)。
【0045】
評価用時間範囲毎の実動機器数量DA2と標準機器I2の指定部位J1の故障数量DB2を、図7(b)に例示し、上述の処理内容に従った際に算出される第2故障率Y2を並べて表示する。尚、図7(b)では、図7(a)と同様に評価用時間範囲毎の代表値Xを、評価用時間範囲の中央値としている。
【0046】
標準機器I2の指定部位J1に該当する部位における第2故障率Y2が算出されると、故障率相関関係算出手段2は、第2故障率Y2と評価用時間との第2相関関係として、例えば評価用時間範囲の代表値Xから第2故障率Y2を予測可能な第2回帰式を導出する(#a37)。尚、第2回帰式の導出方法は、第1回帰式の導出方法と同様であるため、説明を割愛する。
【0047】
故障率相関関係算出手段2によって第1、第2相関関係が導出された後、故障率評価手段3は、第1、第2相関関係を相対比較するための所定の故障評価値を夫々算出し、故障評価値の相対比較結果に基づき、指定部位J1の故障率が有意に高いか否かの有意性を判定する(#a4)。ここで所定の故障評価値の相対比較としては、第1故障率と第2故障率の平均の一致の程度と、第1回帰式と第2回帰式の係数の一致の程度の少なくても何れか一方を算出し、前記一致の程度によって前記有意性を判定する方法がある。
【0048】
詳述すると、先ず、故障率評価手段3は、評価用時間範囲の第1故障率と第2故障率の平均値Y1AVR、Y2AVRを求め、これら前記平均値のずれに有意差が認められるかどうかを調べるために、平均値Y1AVRとY2AVRのずれを、平均の差を表す、例えばt値といった統計量に換算する。t値は一般的に数4を用いて算出され、数4を用いて算出したt値を、予め本発明システム1に登録してあるt分布に照らし合わし、第1故障率の有意確率を取得する。更に、取得した有意確率が、予め登録されている所定の有意水準よりも小さいか否かを判定し、有意水準よりも小さい場合、第1故障率と第2故障率のずれには有意差が認められるため、故障率評価手段3は指定機器I1の指定部位J1の故障率が有意に高いと判定する。そして、例えば、判定した結果を図8に示すような画面を入出力端末6に表示する(#a101)。
【0049】
【数4】
t=|Y1AVR―Y2AVR|/√((SD21×N1+SD22×N2)/(N1+N2−2)×(1/N1+1/N2))
但し、Y1AVRは第1故障率の平均値、Y2AVRは第2故障率の平均値、SD21は第1故障率の標準偏差の二乗、SD22は第2故障率の標準偏差の二乗、N1は第1故障率のデータ個数、N2は第2故障率のデータ個数となる。
【0050】
部品交換要否判定手段4は、故障率評価手段3が、指定機器I1の指定部位J1の故障率Y1は有意に高いと判定した場合、指定部位J1を有する指定機器I1の使用者に対して行う次回定期点検において、指定部位J1に対して部品交換をすべきか否かを判定する。
【0051】
部品交換要否判定手段4が行う具体的な判定方法としては、例えば、次回定期点検時に指定部位J1の部位品交換を行わなかった場合(以下、条件Aとする)と、指定部位J1の部品交換を行った場合(以下、条件Bとする)の2つの条件において、次回定期点検日から次々回定期点検日前までに指定部位J1の部品交換に係る費用を比較し、指定部位J1に対して部品交換をすべきか否かを判定する。ここで、条件A、条件Bにおける指定部位J1の部品交換に係る双方の費用には、次回定期点検日から次々回定期点検日前までに指定部位J1が故障した際に要する費用期待値FA、FBが夫々加算されるため、費用期待値FA、FBを、数5を用いて算出すると、条件A、条件Bの夫々における指定部位J1の部品交換に係る費用SA、SBは、数6で求めることができる。ここで、数5のY(X)は、積算運転時間がX時間の場合の指定機器I1の指定部位J1の故障率を示しており、通常保守単価は指定部位J1の部品交換を行う際に要する、諸経費をも含めた費用を示し、例えば、技術料、交換部品費といった費用に、交通費、日当といった諸経費との合計を表している。それに対して、数6の事前保守単価とは、定期点検時に指定部位J1の部品交換を行う際に要する費用を示しているため、例えば、技術料、交換部品費といった費用が含まれている。
【0052】
【数5】
(条件Aの場合)
FA = 通常保守単価 × Y(XA)
XA=(前回定期点検日の積算運転時間)+(次々回定期点検日−前回定期点検日)×1日当たりの運転時間
(条件Bの場合)
FB = 通常保守単価 × Y(XB)
XB=(次々回定期点検日−次回定期点検日)×1日当たりの運転時間
【0053】
【数6】
SA = FA
SB = FB + 事前保守単価
【0054】
上述の様にして、条件A、条件Bにおける費用SA、SBが算出された後引き続き、部品交換要否判定手段4は費用SA、SBを比較し、費用SAが費用SB以上である場合は、指定部位J1の部品交換は不要であると判定し、費用SAが費用SBより小さい場合は、指定部位J1の部品交換の必要があると判定する。
【0055】
<第2実施形態>
次に、本発明システム1の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、故障部位検出の精度をより高めるために、先ず第1回帰式、または第2回帰式を複数通り導出し、導出した複数の回帰式のなかから、当てはまりの良さを評価する指標である評価指標値が最も大きいものを、第1回帰式、または第2回帰式とする機能が故障率相関関係算出手段2に追加されている。更に、評価指標値が所定数以下の指定機器I1の指定部位J1については、故障率評価手段3の有意性の判定対象から除外する機能が追加されている。
【0056】
下記に故障率相関関係算出手段2に追加された機能について、図9に示すフロー図を用いて説明するが、故障率相関関係算出手段2が、入出力端末6から入力された指定機器I1の指定部位J1に応じて、標準機器I2を決定し、実動機器データベースAと故障部位データベースBを検索することにより一通りの第1故障率と第2故障率を算出し、第1回帰式、及び第2回帰式を導出する処理内容については、第1実施形態で述べた内容と重複するので、説明を割愛する。尚、下記の説明で用いる記号は、前述と同様である。
【0057】
先ず、故障率相関関係算出手段2は、例えば500時間といった所定の刻み幅で、評価用時間である積算運転時間を区分けして、それを評価用時間範囲とし、更に、例えば数1に示すような1次式で第2回帰式を表すこととし、第1実施形態で示した処理方法を用いて、第2回帰式を導出する(#b1)。次に、導出した第2回帰式の当てはまりの良さを評価する指標である評価指数値R2を、一般的に回帰式の当てはまりの良さを示す基準である決定係数を用いて表すと、数7によって求めることができる。ここで、数7に用いられているYAVRは、標準機器I2の指定部位J1に該当する部位における故障率Y2の平均値を示し、Y(i)は実動機器データベースA、及び故障部位データベースBを検索することによって求めた第2故障率Y2を示し、Yは第2回帰式から予測される故障率を示す。
【0058】
【数7】
【0059】
故障率相関関係算出手段2は、数7によって評価指数値R2を求めると(#b2)、次に、例えば数8に示すような2次式で表す第2回帰式を導出し(#b3)、ステップ(#b2)と同様にして評価指数値R2を求める(#b4)。
【0060】
【数8】
Y = aX2 + bX + c
【0061】
評価用時間範囲の代表値Xと、標準機器I2の指定部位J1に該当する部位における第2故障率Y2との第2相関関係を、1次式、2次式といった複数の通りで表す第2回帰式を導出した後、更に、故障率相関関係算出手段2は、例えば、評価用時間である積算運転時間の刻み幅が、1000時間、2000時間、2500時間といった具体に、本発明システム1に登録されている場合、上記と同様に、第2回帰式、及び評価指数値R2を、第1実施形態、及び上記に示した同様の方法で導出する(#b5)。そして、評価指標値R2の値が最大となる積算運転時間の刻み幅と、第2回帰式の次数を選定(#b6)し、標準機器I2の指定部位J1に該当する部位の第2回帰式を導出する際の条件として用いる。
【0062】
さらに、故障率相関関係算出手段2は、上述の処理で選定した、最適な刻み幅、及び次数を用いて、第1回帰式を導出する(#b7)が、その処理内容については第1実施形態で述べた処理内容と重複するため、その説明を割愛する。また、導出する第2回帰式の次元は、1次元、2次元に限らなくても構わない。
【0063】
また、評価指標値R2の値が最大となる積算運転時間の刻み幅と、回帰式の次数といった第1、第2回帰式導出のための条件の選定は、故障率相関関係算出手段2が入出力端末6から指定機器I1、指定部位J1の入力を受け付ける度に行うのではなく、本発明システム1に登録されている全ての部位について、予め選定して本発明システム1に登録しておき、第1回帰式、第2回帰式を導出する際に、登録してある条件を読み込むようにしても構わない。
【0064】
故障率相関関係算出手段2が第1回帰式、第2回帰式を導出し、夫々の評価指標値R2を算出した後、故障率評価手段3は、第1実施形態で説明した指定部位J1の故障率が有意に高いか否かの有意性を判定する前に、故障率相関関係算出手段2が求めた第1回帰式、第2回帰式の評価指数値R2を読み込み、その値が所定の値以下の場合は、前記有意性の判定の対象から、指定機器I1の指定部位J1を除外する。このことによって、回帰式の当てはまりの悪いものを除外することができ、敢えて不確実な有意性判定を行わなくなるので、誤った有意性判定による誤った対応を事前に回避できる。
【0065】
以下に、別の実施形態につき説明する。
〈1〉上記実施形態では、本発明システム1の評価用時間は、機器内のタイマーによって記録されている積算運転時間を評価用時間として用いたが、実動を開始したタイミングから故障時または故障修理時までの経過時間を評価用時間として用いてもよい。
【0066】
〈2〉上記第1実施形態では、第1回帰式、第2回帰式として1次式を用いたが、1次式に限らず、2次式などの多次元多項式を用いて、各々の相関関係を求めても良い。2次式を用いた回帰式を例示すると、数8を用いて求められる。
【0067】
〈3〉第1実施形態では、故障率相関関係算出手段2が、指定機器I1の指定部位J1に応じた標準機器I2の第2回帰式を導出する際に、予め本発明システム1に登録されている標準機器I2を決定する条件を読み込んで、その条件を読み込むことで標準機器I2を決定し、その都度、第2回帰式を導出するとしたが、予め、本発明システム1に第2回帰式を登録しておき、故障率相関関係算出手段2は、標準機器I2の第2回帰式を読み込むのみとしても構わない。
【0068】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る故障部位検出システムの一実施形態を示す回路ブロック図
【図2】各データベースのデータレイアウトの一例図
【図3】本発明に係る故障部位検出システムの処理フロー図
【図4】機器区分、部位区分の入力画面の一例図
【図5】本発明に係る故障部位検出システムの第1相関関係算出処理フロー図
【図6】本発明に係る故障部位検出システムの第2相関関係算出処理フロー図
【図7】評価用時間範囲毎における第1故障率、第2故障率の一例図
【図8】本発明に係る故障部位検出システムの故障率評価手段3が判定する結果表示の一例図
【図9】本発明に係る故障部位検出システムの別実施形態における評価指標値算出処理フロー図
【符号の説明】
1: 本発明に係る故障部位検出システム
2: 故障率相関関係算出手段
3: 故障率評価手段
4: 部品交換要否判定手段
5: ネットワーク
6: 入出力端末
A: 実動機器データベース
B: 故障部位データベース
C: 機器データベース
Claims (8)
- 実動を開始した機器の個体別に、前記個体の識別情報と、積算運転時間または経過時間で定義付けられる評価用時間または前記評価用時間を推定可能な等価量を少なくとも記録してなる実動機器データベースと、
前記機器の種別と、前記機器を構成する部位と、前記部位の故障時または故障修理時の前記評価用時間とを少なくとも記録してなる故障部位データベースと、
前記機器の区別と前記部位の区別の入力を受け付け、前記実動機器データベースと前記故障部位データベースとを検索することにより、前記入力によって指定される指定機器の指定部位における故障率と前記評価用時間との第1相関関係と、前記指定部位に応じて決定される一または複数の機器からなる標準機器の前記指定部位に該当する部位における故障率と前記評価用時間との第2相関関係とを算出する故障率相関関係算出手段と、
前記故障率相関関係算出手段が算出した前記第1相関関係と前記第2相関関係から、前記指定機器の前記指定部位の故障率と前記標準機器の前記該当部位の故障率につき、両者を相対比較するための所定の故障評価値を夫々算出し、前記故障評価値の相対比較結果に基づき前記指定部位の故障率が有意に高いか否かの有意性を判定する故障率評価手段と、を備えてなる故障部位検出システム。 - 前記機器の種別毎に、前記機器の属性情報と、前記機器を構成する各部位の種別と属性情報とを少なくとも記録してなる機器データベースを更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の故障部位検出システム。
- 前記故障率相関関係算出手段は、前記評価用時間を所定の刻み幅で区分けした評価用時間範囲毎に、前記指定機器の前記指定部位における故障率を第1故障率として、また、前記標準機器の前記指定部位に該当する部位における故障率を第2故障率として、前記実動機器データベースと前記故障部位データベースとを検索して算出し、前記第1相関関係として前記第1故障率と前記評価用時間範囲の代表値を変数とする回帰式を第1回帰式として導出し、前記第2相関関係として、前記第2故障率と前記評価用時間範囲の代表値を変数とする回帰式を第2回帰式として導出することを特徴とする請求項1または2に記載の故障部位検出システム。
- 前記故障率評価手段は、前記故障評価値の相対比較として、前記第1故障率と前記第2故障率の平均値の一致の程度と、前記第1回帰式と前記第2回帰式の係数の一致の程度の少なくとも何れか一方を算出し、前記一致の程度により前記有意性を判定することを特徴とする請求項3に記載の故障部位検出システム。
- 前記故障率相関関係算出手段は、前記第1回帰式または前記第2回帰式を、前記評価用時間の前記刻み幅と前記回帰式の次数の少なくとも何れか一方の複数の場合について、複数通り導出し、その内の回帰式の当てはまり良さを評価する指標である評価指標値が最大となる前記刻み幅と前記回帰式の次数を前記第1回帰式と前記第2回帰式の導出に用いることを特徴とする請求項3または4に記載の故障部位検出システム。
- 前記第1回帰式と前記第2回帰式の前記評価指標値が所定数以下の場合は、前記指定機器の前記指定部位を、前記故障率評価手段による前記有意性の判定対象から除外することを特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載の故障部位検出システム。
- 前記故障率評価手段により故障率が有意に高いと判定された前記指定部位を有する前記指定機器の使用者に対する次回定期点検において、前記指定部位に対して部品交換をすべきか否かを、前記第1相関関係または前記第1相関関係と前記第2相関関係に基づいて判定する部品交換要否判定手段を備えていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の故障部位検出システム。
- 前記部品交換要否判定手段は、次回定期点検時に前記指定部位に対して部品交換を行う費用と部品交換後の同じ指定部位が次回定期点検時と次々回定期点検時の間に故障して部品交換しなければならない場合の費用期待値の和と、次回定期点検時に前記指定部位に対して部品交換を行わず、前記指定部位が次回定期点検時と次々回定期点検時の間に故障して部品交換しなければならない場合の費用期待値とを算出し、両者の比較結果により前記部品交換の要否を判定することを特徴とする請求項7に記載の故障部位検出システム。
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2003
- 2003-03-19 JP JP2003074855A patent/JP2004280748A/ja not_active Withdrawn
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