JP2004280392A - 情報記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ICモジュールとベース基材との接着性を向上させることができるとともに、ICモジュールとアンテナとの耐断線性能を向上させる。
【解決手段】ベース基材20にICモジュール10を埋め込むために形成された穴26に対して、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施し、その後、アンテナ30に対して、水素等の還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す。
【選択図】 図2
【解決手段】ベース基材20にICモジュール10を埋め込むために形成された穴26に対して、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施し、その後、アンテナ30に対して、水素等の還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報の書き込み及び読み出しが可能な情報記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、該カードを用いた情報管理や決済等が行われている。
【0003】
このような情報管理や決済等に用いられるカードは、ICチップが内蔵されたICカードや、磁気により情報が書き込まれた磁気カード等があり、専用の装置を用いて情報の書き込み及び読み出しが行われる。
【0004】
さらに、ICカードにおいては、情報の書き込み及び読み出しを専用の装置に接触させることにより行う接触型ICカードと、専用の装置に近接させるだけで情報の書き込み及び読み出しを行うことができる非接触型ICカードがある。これらのICカードは、磁気カードと比較してセキュリティ性が高いとともに書き込み可能な情報量が多く、また、1枚のカードを多目的に使用できるため、市場における普及度は増加の一途を辿っている。また、その中でも、非接触型ICカードにおいては、情報の書き込みあるいは読み出しを行う際、カードを取り出して専用の装置に挿入したりする必要がなく取り扱いに便利なため、そのカード及び該カードに書き込まれた情報を読み取るための装置の急速な普及が進みつつある。
【0005】
さらに、近年では、上述したような接触型ICカードと非接触型ICカードとを組み合わせた複合ICカードも普及しており、接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うICチップと非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うICチップとがそれぞれ搭載されたハイブリッド型ICカードや、接触状態及び非接触状態のいずれの場合においても情報の書き込み及び読み出しが可能な1つのICモジュールが搭載されたコンビネーション型ICカードが用いられている。
【0006】
図5は、一般的なコンビネーション型ICカードの一例を示す図であり、(a)はその構造を示す図、(b)は断面図である。
【0007】
図5に示すように本例においては、表面層121、中間層125、アンテナシート122及び裏面層124が積層されてなるベース基材120に、その表面に、外部に設けられ、接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置(不図示)と電気的に接するための接点111を有してなるICモジュール110が埋め込まれた状態で接着性を有する導電材128によってベース基材120に固着されており、さらに、導電材128を介してICモジュール110と電気的に接続され、外部に設けられ、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置(不図示)からの電磁誘導によりICモジュール110に電流を供給し、それにより、ICモジュール110の凸部に内蔵されたICチップ(不図示)に対する情報の書き込み及び読み出しを行うためのアンテナ130がベース基材120を構成するアンテナシート122に形成されている。
【0008】
上記のように構成されたコンビネーション型ICカードにおいては、ICモジュール110の接点111が、接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置に電気的に接触すると、接点111を介して、ICモジュール110内のICチップに情報が書き込まれたり、ICモジュール110内のICチップに書き込まれた情報が接点111を介して読み出されたりする。
【0009】
また、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置に近接すると、該情報書込/読出装置からの電磁誘導によってアンテナ130に電流が流れ、この電流が導電材128及び接点112を介してICモジュール110に供給され、それにより、ICモジュール110内のICチップに対する情報の書き込みあるいは読み出しが行われる。
【0010】
以下に、上述したコンビネーション型ICカードの従来の製造方法について説明する。
【0011】
図6は、図5に示したコンビネーション型ICカードの従来の製造方法の一例を説明するための図である。
【0012】
まず、PET材等からなる表面層121、中間層125、アンテナシート122及び裏面層124を、中間層125と裏面層124とによってアンテナシート122を挟み込むように互いに圧着し、ベース基材120を作製する(図6(a))。ここで、アンテナ130は、図5(a)に示したようなコイル形状を有するものであって、例えばアルミニウムからなり、アンテナシート122にエッチングによって予め形成されている。
【0013】
次に、表面層121、中間層125、アンテナシート122及び裏面層124が圧着されてなるベース基材120に、ICモジュール110がベース基材120に埋め込まれるような形状及び深さを有する穴126を形成する(図6(b))。この際、ICモジュール110に設けられた接点112とアンテナ130とを電気的に接続するためにアンテナ130の一部が穴126の内部にて露出するように穴126を形成する。
【0014】
次に、ベース基材120に形成された穴126の領域のうち、アンテナ130が露出している領域に、例えば銀ペーストからなる接着性を有する導電材128を塗布する(図6(c))。
【0015】
その後、穴126にICモジュール110を埋め込み、ICモジュール110を導電材128によってベース基材120に接着する(図6(d))。この際、ICモジュール110の接点112が導電材128を介してアンテナ130と接着されることになるため、ICモジュール110とアンテナ130とが接着剤128を介して電気的に接続されることになる。
【0016】
ここで、上述したような製造方法によって製造されたコンビネーション型ICカードにおいては、導電材128によってICモジュール110とベース基材120とが接着されているとともに、ICモジュール110とアンテナ130とが導電材128を介して電気的に接続されているが、ベース基材120が曲る方向に外力が加わった場合、導電材128がベース基材120から剥離してしまい、それにより、ICモジュール110がベース基材120から剥離してしまったり、ICモジュール110とアンテナ130とが電気的に絶縁されてしまったりするというという問題点がある。
【0017】
そこで、ICモジュール110とアンテナ130とを接続する領域を、ベース基材120の長辺と平行に向けて配置し、それにより、ベース基材120が曲る方向に外力が加わった場合に、ICモジュール110とアンテナ130とが電気的に絶縁されてしまうことを回避する技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0018】
このようにICモジュール110とアンテナ130とを接続する領域を、ベース基材120の長辺と平行に向けて配置した場合、ICモジュール110とアンテナ130とを接続する領域が、ベース基材120が湾曲されにくい方位に配置されることになり、それにより、ベース基材120が曲る方向に外力が加わった場合において、ICモジュール110とアンテナ130とが電気的に絶縁されにくくすることができる。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−92577号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように、ICモジュールとアンテナとを接続する領域を、ベース基材の長辺と平行に向けて配置することによりICモジュールとアンテナとが電気的に絶縁されてしまうことを回避しようとするものにおいては、ICモジュールとアンテナとを接続する領域が、ベース基材が湾曲されにくい方位に配置されているだけのものであるため、ベース基材が曲る方向に外力が加わった場合において、ICモジュールとアンテナとが電気的に絶縁されてしまうことを回避することができるとは言いがたい。
【0021】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、ICモジュールとベース基材との接着性を向上させることができるとともに、ICモジュールとアンテナとの導電性を向上させることができるコンビネーション型ICカードの製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、
接触状態及び非接触状態のいずれの場合にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICモジュールと、前記ICモジュールに設けられた接点を介して該ICモジュールと電気的に接続され、前記ICモジュールに対して非接触状態にて情報の書き込みあるいは読み出しを行うための導電性材料からなるアンテナとを少なくとも有し、前記ICモジュールが、前記アンテナが設けられた樹脂基材に該アンテナと接続された状態で埋め込まれてなる情報記録媒体の製造方法であって、
前記樹脂基材に、前記アンテナの一部が露出するように前記ICモジュールを埋め込むための穴を形成する工程と、
前記樹脂基材の前記穴が形成された面のうち少なくとも前記穴が形成された領域に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、
前記穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、
前記穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して接着性を具備する導電材を塗布する工程と、
前記穴に前記ICモジュールを埋め込み、前記ICモジュールを前記導電材によって前記樹脂基材に接着するとともに前記アンテナと前記ICモジュールとを前記導電材を介して電気的に接続する工程とを有することを特徴とする。
【0023】
また、前記樹脂基材の前記穴が形成された領域のうち前記アンテナが露出した領域以外で前記ICモジュールと対向する領域に接着剤を塗布することを特徴とする。
【0024】
また、導電性のアンテナが形成されるとともに、該アンテナを介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップが前記アンテナに設けられた端子部にて該アンテナに接続されて搭載された第1の樹脂基材と、前記ベース基材の前記ICチップが搭載された面に積層される第2の樹脂基材とを少なくとも有してなる情報記録媒体の製造方法であって、
前記第1の樹脂基材に、少なくとも前記端子部が露出するように前記アンテナを形成する工程と、
前記第1の樹脂基材の前記端子部が露出した面に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、
前記第1の樹脂基材の前記端子部が露出した面のうち少なくとも前記端子部に対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、
前記端子部に対して接着性を具備する導電材を塗布する工程と、
前記ICチップが前記端子部と接続されるように該ICチップを前記第1の樹脂基材上に搭載する工程と、
前記第1の樹脂基材の前記ICチップが搭載された面に前記第2の樹脂基材を積層する工程とを有することを特徴とする。
【0025】
また、前記酸化性気体は、酸素、二酸化炭素または空気であることを特徴とする。
【0026】
また、前記還元性気体は、水素を含むことを特徴とする。
【0027】
(作用)
上記のように構成された本発明においては、アンテナが設けられた樹脂基材に、アンテナの一部が露出するようにICモジュールを埋め込むための穴を形成した後、樹脂基材の穴が形成された面のうち少なくとも穴が形成された領域に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す。これにより、プラズマ処理が施された領域において、その表面に酸素を有する官能基が導入され、プラズマ処理が施された領域における接着力が向上する。また、プラズマ処理によって形成された凹凸によっても接着力が向上する。その際、アンテナの表面においては、酸化性気体雰囲気中におけるプラズマ処理により、表面に酸化膜が形成されてしまい、この状態では、アンテナ上に接着性を有する導電材を塗布してこの導電材によってICモジュールと基材とを接着した場合に、アンテナの表面に形成された酸化膜によってアンテナと導電材との導電性が低下し、それにより、アンテナとICモジュールとの導電性が低下してしまう。そこで、その後、穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施すと、アンテナの表面に形成された酸化膜と還元性気体とが反応し、それにより、アンテナの表面に形成されていた酸化膜が除去される。その後、穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して接着性を有する導電材を塗布し、穴にICモジュールを埋め込み、ICモジュールを導電材によって樹脂基材に接着するとともにアンテナとICモジュールとを導電材を介して電気的に接続すれば、ICモジュールと樹脂基材との接着性が向上するとともに、ICモジュールとアンテナとの導電性が向上した情報記録媒体が製造される。
【0028】
また、樹脂基材の穴が形成された領域のうち、アンテナが露出した領域以外でICモジュールと対向する領域に接着剤を塗布すれば、ICモジュールと樹脂基材とがさらに強固に接着される。
【0029】
また、第1の樹脂基材に、少なくともICチップと接続されるための端子部が露出するようにアンテナを形成した後、第1の樹脂基材に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す。これにより、プラズマ処理が施された領域において、その表面に酸素を有する官能基が導入され、プラズマ処理が施された領域における接着力が向上する。また、プラズマ処理によって形成された凹凸によっても接着力が向上する。その際、端子部の表面においては、酸化性気体雰囲気中におけるプラズマ処理により、表面に酸化膜が形成されてしまい、この状態では、端子部上に接着性を有する導電材を塗布してこの導電材によってICチップと端子部とを接着した場合に、アンテナの表面に形成された酸化膜によってICチップと導電材との導電性が低下し、それにより、端子部とICチップとの導電性が低下してしまう。そこで、その後、第1の樹脂基材の端子部が露出した面のうち少なくとも端子部に対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施すと、端子部の表面に形成された酸化膜と還元性気体とが反応し、それにより、端子部の表面に形成されていた酸化膜が除去される。その後、端子部に対して接着性を具備する導電材を塗布し、ICチップが端子部と接続されるようにICチップを第1の樹脂基材上に搭載し、さらに、第1の樹脂基材のICチップが搭載された面に第2の樹脂基材を積層すれば、第1の樹脂基材と第2の樹脂基材との接着性が向上するとともに、ICチップとアンテナとの導電性が向上した情報記録媒体が製造される。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の情報記録媒体の製造方法の第1の実施の形態によって製造されたコンビネーション型ICカードを示す図であり、(a)はその構造を示す図、(b)は断面図である。
【0032】
図1に示すように本形態におけるコンビネーション型ICカードにおいては、それぞれPET材等の樹脂からなる表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24が積層されてなるベース基材20に、その表面に、外部に設けられ、接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置(不図示)と電気的に接するための接点11を有してなるICモジュール10が、埋め込まれた状態で接着性を有する導電材28と、必要に応じて中間層25に塗布された接着剤(不図示)とによってベース基材20に固着されており、さらに、導電材28を介してICモジュール10と電気的に接続され、外部に設けられ、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置(不図示)からの電磁誘導によりICモジュール10に電流を供給し、それにより、ICモジュール10の凸部に内蔵されたICチップ(不図示)に対する情報の書き込み及び読み出しを行うためのアンテナ30がベース基材20を構成するアンテナシート22に形成されている。特に、ICモジュール10との接着領域を構成する中間層25においては、PETやPVC等の樹脂のような、酸化性雰囲気中においてプラズマ処理が施されることにより接着力が向上する材質のものが使用される。
【0033】
上記のように構成されたコンビネーション型ICカードにおいては、ICモジュール10の接点11が、接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置に電気的に接触すると、接点11を介して、ICモジュール10内のICチップに情報が書き込まれたり、ICモジュール10内のICチップに書き込まれた情報が接点11を介して読み出されたりする。
【0034】
また、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置に近接すると、該情報書込/読出装置からの電磁誘導によってアンテナ30に電流が流れ、この電流が接着剤28及び接点12を介してICモジュール10に供給され、それにより、ICモジュール10内のICチップに対する情報の書き込みあるいは読み出しが行われる。
【0035】
以下に、上述したコンビネーション型ICカードの製造方法について説明する。
【0036】
図2は、図1に示したコンビネーション型ICカードの製造方法を説明するための図である。
【0037】
まず、PET材等の樹脂からなる表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24を、中間層25と裏面層24とによってアンテナシート22を挟み込むように互いに熱圧着(または接着)し、ベース基材20を作製する(図2(a))。ここで、アンテナ30は、図1(a)に示したようなコイル形状を有するものであって、例えばアルミニウムからなり、アンテナシート22にエッチングによって予め形成されている。
【0038】
次に、表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24が熱圧着(または接着)されてなるベース基材20に、ICモジュール10がベース基材20に埋め込まれるような形状及び深さを有する穴26を形成する(図2(b))。この際、ICモジュール10に設けられた接点12とアンテナ30とを電気的に接続するためにアンテナ30の一部が穴26の内部にて露出するように穴26を形成する。
【0039】
次に、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中において、ベース基材20の穴26が形成された面の少なくとも穴26が形成された領域に対して、プラズマ処理を施す(図2(c))。ここで、表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24においては、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中においてプラズマ処理が施された場合、露出面に酸素を有する官能基が導入され、その官能基によって表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24における接着力が向上する。また、プラズマ処理によって表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24の露出面に形成された微細な凹凸によっても、表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24における接着力が向上する。一方、アンテナ30においては、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中においてプラズマ処理が施されると、表面に酸化膜が形成されてしまい、その酸化膜により、その後の工程において接着性を有する導電材28を塗布した場合にアンテナ30と導電材28との導電性が低下してしまう。
【0040】
そこで、次に、水素等を含む還元性気体雰囲気中において、ベース基材20の穴26が形成された面の少なくともアンテナ30が露出した領域に対して、プラズマ処理を施す(図2(d))。すると、アンテナ30の表面に形成されていた酸化膜と水素とが反応し、アンテナ30の表面に形成されていた酸化膜が除去されることになる。
【0041】
例えば、アンテナ30がアルミニウムから構成されている場合は、
Al2O3+3H2→Al2+3H2O
となり、アンテナ30の表面に形成されていた酸化膜が除去される。また、アンテナ30が銅から構成されている場合は、
CuO+H2→Cu+H2O
となり、アンテナ30の表面に形成されていた酸化膜が除去される。また、アンテナ30が銀から構成されている場合は、
AgO+H2→Ag+H2O
となり、アンテナ30の表面に形成されていた酸化膜が除去される。なお、水素等を含む還元性気体雰囲気中におけるプラズマ処理においては、アンテナ30が露出した領域のみに対して行うことにより、アンテナ30の表面に形成された酸化膜が除去され、アンテナ30の表面における導電性が向上することになる。一方、ベース基材20においては、水素等を含む還元性気体雰囲気中におけるプラズマ処理を施した場合においても、酸化膜気体雰囲気中におけるプラズマ処理により酸素を有する官能基が導入された状態が元の状態に完全に戻ることがないため、向上した接着力は維持された状態となっている。また、酸化性気体雰囲気中におけるプラズマ処理によってベース基材20の表面に形成された微細な凹凸によっても接着力が維持される。
【0042】
次に、中間層25における穴26のアンテナ30が露出している領域以外の部分に接着剤を塗布するとともに、ベース基材20に形成された穴26の領域のうち、アンテナ30が露出している領域に、例えば、ACP(異方性導電接着剤)、はんだ、または銀ペーストからなる接着性を有する導電材28を塗布する(図2(c))。
【0043】
その後、穴26にICモジュール10を埋め込み、ICモジュール10を中間層25の穴26に塗布された接着剤、並びに接着性を有する導電材28によってベース基材20に接着する(図2(d))。この際、ICモジュール10のアンテナ30が露出している領域以外の部分に塗布された接着剤によりICモジュール10とベース基材20とが強固に接着されるとともに、ICモジュール10の接点12が導電材28を介してアンテナ30と接続されることになるため、ICモジュール10とアンテナ30とが導電材28を介して電気的に接続されることになる。なお、本形態においては、ICモジュール10のアンテナ30が露出している領域以外の部分に接着剤を塗布する構成となっているが、接着性を有する導電材28のみでICモジュール10とベース基材20とを接着することも考えられる。
【0044】
上述した製造方法によって製造されたコンビネーション型ICカードにおいては、ベース基材20にICモジュール10を埋め込むために形成された穴26に対して、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理が施されているため、表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24の露出面に酸素を有する官能基が導入されることになり、それにより、その後、塗布された接着性を有する導電材28や接着剤と、表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24との接着力が向上し、ICモジュール10とベース基材20との接着性を向上させることができる。さらに、アンテナ30に対して、水素等の還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理が施されているため、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理が施されることによりアンテナ30表面に形成された酸化膜が水素と反応して除去され、それにより、接着性を有する導電材28を介してのICモジュール10とアンテナ30との導電性を向上させることができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の情報記録媒体の製造方法の第2の実施の形態によって製造された非接触型ICカードを示す図であり、(a)はその構造を示す図、(b)は断面図である。
【0046】
本形態における非接触型ICカードは図3に示すように、樹脂シート222上に、外部からの情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ210が接着性を有する導電材228を介して搭載されるとともに、両端に設けられた端子部であるパッド部231において接続端子211を介してICチップ210と接続され、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)からの電磁誘導によりICチップ210に電流を供給し、ICチップ210に対する情報の書き込み及び読み出しを非接触状態にて行うためのコイル状の導電性を有するアンテナ230が形成されたインレット220と、インレット220のICチップ210が搭載された面に接着剤層223を介して積層され、ICチップ210及びアンテナ230を保護するとともに、その表面に情報が印字される第2の樹脂基材である表面層221と、インレット220のICチップ210が搭載された面とは反対側の面に接着剤層225を介して積層された裏面層224とから構成されている。
【0047】
上記のように構成された非接触型ICカードにおいては、外部に設けられた情報書込/読出装置に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電磁誘導によりアンテナ230からICチップ210に電流が供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ210に情報が書き込まれたり、ICチップ210に書き込まれた情報が情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0048】
以下に、上述したような非接触型ICカードの製造方法について説明する。
【0049】
図4は、図3に示した非接触型ICカードの製造方法を説明するための図である。
【0050】
まず、第1の樹脂基材である樹脂シート222上に、エッチングや印刷等によって両端にパッド部231を有するコイル形状のアンテナ230を形成する(図4(a))。なお、アンテナ230の材質としては、銅や銀、アルミニウム等が例として挙げられる。また、アンテナ230においては、パッド部231にてICチップ210と電気的に接続されるため、少なくともパッド部231が露出していればよい。
【0051】
次に、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中において、樹脂シート222のアンテナ230が形成された面に対して、プラズマ処理を施す(図4(b))。ここで、樹脂シート222においては、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中においてプラズマ処理が施された場合、露出面に酸素を有する官能基が導入され、その官能基によって樹脂シート222における接着力が向上する。また、プラズマ処理によって樹脂シート222の露出面に形成された微細な凹凸によっても、樹脂シート222における接着力が向上する。一方、パッド部231においては、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中においてプラズマ処理が施されると、表面に酸化膜が形成されてしまい、その酸化膜により、その後の工程において接着性を有する導電材228を塗布した場合にパッド部231と導電材228との導電性が低下してしまう。
【0052】
そこで、次に、水素等を含む還元性気体雰囲気中において、樹脂シート222のアンテナ230が形成された面の少なくともパッド部231が露出した領域に対して、プラズマ処理を施す(図4(c))。すると、パッド部231の表面に形成されていた酸化膜と水素とが反応し、パッド部231の表面に形成されていた酸化膜が除去されることになる。なお、水素等を含む還元性気体雰囲気中におけるプラズマ処理においては、パッド部231が露出した領域のみに対して行うことにより、パッド部231の表面に形成された酸化膜が除去され、パッド部231の表面における導電性が向上することになる。一方、樹脂シート222においては、水素等を含む還元性気体雰囲気中におけるプラズマ処理を施した場合においても、酸化膜気体雰囲気中におけるプラズマ処理により酸素を有する官能基が導入された状態が元の状態に完全に戻ることがないため、向上した接着力は維持された状態となっている。また、酸化性気体雰囲気中におけるプラズマ処理によって樹脂シート222の表面に形成された微細な凹凸によっても接着力が維持される。
【0053】
次に、アンテナ230のICチップ210との接続部分となるパッド部231上に接着性を有する導電材228を塗布する(図4(d))。
【0054】
次に、パッド部231に塗布された導電材228にICチップ210の接続端子211が当接するようにICチップ210を樹脂シート222上に搭載し、ICチップ210と樹脂シート222とを導電材228を介して接着するとともに、ICチップ210の裏面に設けられた接続端子211及びパッド部231を介してアンテナ230とICチップ210とを電気的に接続し、インレット220を完成させる(図4(e))。
【0055】
その後、インレット220を挟むように接着剤層223,225を介して表面層221及び裏面層224をそれぞれ積層し、非接触型ICカードを完成させる(図4(f))。
【0056】
上記のように製造された非接触型ICカードにおいては、樹脂シート222の表面において、酸化性気体雰囲気中におけるプラズマ処理により接着力が向上しているため、接着剤層223を介しての樹脂シート222と表面層221との接着性を向上させることができる。
【0057】
また、樹脂シート222のアンテナ230及びパッド部231が形成された面とは反対側の面に対しても酸化性気体雰囲気中におけるプラズマ処理を施せば、接着剤層225を介しての樹脂シート222と裏面層224との接着性をも向上させることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、接触状態及び非接触状態のいずれの場合にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICモジュールと、ICモジュールに設けられた接点を介して該ICモジュールと電気的に接続され、ICモジュールに対して非接触状態にて情報の書き込みあるいは読み出しを行うための導電性材料からなるアンテナとを少なくとも有し、ICモジュールが、アンテナが設けられた樹脂基材に該アンテナと接続された状態で埋め込まれてなる情報記録媒体の製造方法において、樹脂基材に、アンテナの一部が露出するようにICモジュールを埋め込むための穴を形成する工程と、樹脂基材の穴が形成された面のうち少なくとも穴が形成された領域に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して接着性を有する導電材を塗布する工程と、穴にICモジュールを埋め込み、ICモジュールを導電材によって樹脂基材に接着するとともにアンテナとICモジュールとを導電材を介して電気的に接続する工程とを順次行う構成としたため、情報記録媒体において、ICモジュールと樹脂基材との接着性を向上させることができるとともに、ICモジュールとアンテナとの導電性を向上させることができる。
【0059】
また、導電性のアンテナが形成されるとともに、該アンテナを介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップがアンテナに設けられた端子部にて該アンテナに接続されて搭載された第1の樹脂基材と、ベース基材のICチップが搭載された面に積層される第2の樹脂基材とを少なくとも有してなる情報記録媒体の製造方法において、第1の樹脂基材に、少なくとも端子部が露出するようにアンテナを形成する工程と、第1の樹脂基材に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、第1の樹脂基材の端子部が露出した面のうち少なくとも端子部に対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、端子部に対して接着性を具備する導電材を塗布する工程と、ICチップが端子部と接続されるように該ICチップを第1の樹脂基材上に搭載する工程と、第1の樹脂基材のICチップが搭載された面に第2の樹脂基材を積層する工程とを順次行う構成としたため、第1の樹脂基材と第2の樹脂基材との接着性を向上させることができるとともに、ICチップとアンテナとの導電性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報記録媒体の製造方法の第1の実施の形態によって製造されたコンビネーション型ICカードを示す図であり、(a)はその構造を示す図、(b)は断面図である。
【図2】図1に示したコンビネーション型ICカードの製造方法を説明するための図である。
【図3】本発明の情報記録媒体の製造方法の第2の実施の形態によって製造された非接触型ICカードを示す図であり、(a)はその構造を示す図、(b)は断面図である。
【図4】図3に示した非接触型ICカードの製造方法を説明するための図である。
【図5】一般的なコンビネーション型ICカードの一例を示す図であり、(a)はその構造を示す図、(b)は断面図である。
【図6】図5に示したコンビネーション型ICカードの従来の製造方法の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
10 ICモジュール
11,12 接点
20 ベース基材
21,221 表面層
22 アンテナシート
24,224 裏面層
25 中間層
26 穴
28,228 導電材
30 アンテナ
210 ICチップ
211 接続端子
220 インレット
222 樹脂シート
230 アンテナ
231 パッド部
223,225 接着剤層
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報の書き込み及び読み出しが可能な情報記録媒体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報化社会の進展に伴って、情報をカードに記録し、該カードを用いた情報管理や決済等が行われている。
【0003】
このような情報管理や決済等に用いられるカードは、ICチップが内蔵されたICカードや、磁気により情報が書き込まれた磁気カード等があり、専用の装置を用いて情報の書き込み及び読み出しが行われる。
【0004】
さらに、ICカードにおいては、情報の書き込み及び読み出しを専用の装置に接触させることにより行う接触型ICカードと、専用の装置に近接させるだけで情報の書き込み及び読み出しを行うことができる非接触型ICカードがある。これらのICカードは、磁気カードと比較してセキュリティ性が高いとともに書き込み可能な情報量が多く、また、1枚のカードを多目的に使用できるため、市場における普及度は増加の一途を辿っている。また、その中でも、非接触型ICカードにおいては、情報の書き込みあるいは読み出しを行う際、カードを取り出して専用の装置に挿入したりする必要がなく取り扱いに便利なため、そのカード及び該カードに書き込まれた情報を読み取るための装置の急速な普及が進みつつある。
【0005】
さらに、近年では、上述したような接触型ICカードと非接触型ICカードとを組み合わせた複合ICカードも普及しており、接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うICチップと非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うICチップとがそれぞれ搭載されたハイブリッド型ICカードや、接触状態及び非接触状態のいずれの場合においても情報の書き込み及び読み出しが可能な1つのICモジュールが搭載されたコンビネーション型ICカードが用いられている。
【0006】
図5は、一般的なコンビネーション型ICカードの一例を示す図であり、(a)はその構造を示す図、(b)は断面図である。
【0007】
図5に示すように本例においては、表面層121、中間層125、アンテナシート122及び裏面層124が積層されてなるベース基材120に、その表面に、外部に設けられ、接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置(不図示)と電気的に接するための接点111を有してなるICモジュール110が埋め込まれた状態で接着性を有する導電材128によってベース基材120に固着されており、さらに、導電材128を介してICモジュール110と電気的に接続され、外部に設けられ、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置(不図示)からの電磁誘導によりICモジュール110に電流を供給し、それにより、ICモジュール110の凸部に内蔵されたICチップ(不図示)に対する情報の書き込み及び読み出しを行うためのアンテナ130がベース基材120を構成するアンテナシート122に形成されている。
【0008】
上記のように構成されたコンビネーション型ICカードにおいては、ICモジュール110の接点111が、接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置に電気的に接触すると、接点111を介して、ICモジュール110内のICチップに情報が書き込まれたり、ICモジュール110内のICチップに書き込まれた情報が接点111を介して読み出されたりする。
【0009】
また、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置に近接すると、該情報書込/読出装置からの電磁誘導によってアンテナ130に電流が流れ、この電流が導電材128及び接点112を介してICモジュール110に供給され、それにより、ICモジュール110内のICチップに対する情報の書き込みあるいは読み出しが行われる。
【0010】
以下に、上述したコンビネーション型ICカードの従来の製造方法について説明する。
【0011】
図6は、図5に示したコンビネーション型ICカードの従来の製造方法の一例を説明するための図である。
【0012】
まず、PET材等からなる表面層121、中間層125、アンテナシート122及び裏面層124を、中間層125と裏面層124とによってアンテナシート122を挟み込むように互いに圧着し、ベース基材120を作製する(図6(a))。ここで、アンテナ130は、図5(a)に示したようなコイル形状を有するものであって、例えばアルミニウムからなり、アンテナシート122にエッチングによって予め形成されている。
【0013】
次に、表面層121、中間層125、アンテナシート122及び裏面層124が圧着されてなるベース基材120に、ICモジュール110がベース基材120に埋め込まれるような形状及び深さを有する穴126を形成する(図6(b))。この際、ICモジュール110に設けられた接点112とアンテナ130とを電気的に接続するためにアンテナ130の一部が穴126の内部にて露出するように穴126を形成する。
【0014】
次に、ベース基材120に形成された穴126の領域のうち、アンテナ130が露出している領域に、例えば銀ペーストからなる接着性を有する導電材128を塗布する(図6(c))。
【0015】
その後、穴126にICモジュール110を埋め込み、ICモジュール110を導電材128によってベース基材120に接着する(図6(d))。この際、ICモジュール110の接点112が導電材128を介してアンテナ130と接着されることになるため、ICモジュール110とアンテナ130とが接着剤128を介して電気的に接続されることになる。
【0016】
ここで、上述したような製造方法によって製造されたコンビネーション型ICカードにおいては、導電材128によってICモジュール110とベース基材120とが接着されているとともに、ICモジュール110とアンテナ130とが導電材128を介して電気的に接続されているが、ベース基材120が曲る方向に外力が加わった場合、導電材128がベース基材120から剥離してしまい、それにより、ICモジュール110がベース基材120から剥離してしまったり、ICモジュール110とアンテナ130とが電気的に絶縁されてしまったりするというという問題点がある。
【0017】
そこで、ICモジュール110とアンテナ130とを接続する領域を、ベース基材120の長辺と平行に向けて配置し、それにより、ベース基材120が曲る方向に外力が加わった場合に、ICモジュール110とアンテナ130とが電気的に絶縁されてしまうことを回避する技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0018】
このようにICモジュール110とアンテナ130とを接続する領域を、ベース基材120の長辺と平行に向けて配置した場合、ICモジュール110とアンテナ130とを接続する領域が、ベース基材120が湾曲されにくい方位に配置されることになり、それにより、ベース基材120が曲る方向に外力が加わった場合において、ICモジュール110とアンテナ130とが電気的に絶縁されにくくすることができる。
【0019】
【特許文献1】
特開2002−92577号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したように、ICモジュールとアンテナとを接続する領域を、ベース基材の長辺と平行に向けて配置することによりICモジュールとアンテナとが電気的に絶縁されてしまうことを回避しようとするものにおいては、ICモジュールとアンテナとを接続する領域が、ベース基材が湾曲されにくい方位に配置されているだけのものであるため、ベース基材が曲る方向に外力が加わった場合において、ICモジュールとアンテナとが電気的に絶縁されてしまうことを回避することができるとは言いがたい。
【0021】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、ICモジュールとベース基材との接着性を向上させることができるとともに、ICモジュールとアンテナとの導電性を向上させることができるコンビネーション型ICカードの製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、
接触状態及び非接触状態のいずれの場合にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICモジュールと、前記ICモジュールに設けられた接点を介して該ICモジュールと電気的に接続され、前記ICモジュールに対して非接触状態にて情報の書き込みあるいは読み出しを行うための導電性材料からなるアンテナとを少なくとも有し、前記ICモジュールが、前記アンテナが設けられた樹脂基材に該アンテナと接続された状態で埋め込まれてなる情報記録媒体の製造方法であって、
前記樹脂基材に、前記アンテナの一部が露出するように前記ICモジュールを埋め込むための穴を形成する工程と、
前記樹脂基材の前記穴が形成された面のうち少なくとも前記穴が形成された領域に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、
前記穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、
前記穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して接着性を具備する導電材を塗布する工程と、
前記穴に前記ICモジュールを埋め込み、前記ICモジュールを前記導電材によって前記樹脂基材に接着するとともに前記アンテナと前記ICモジュールとを前記導電材を介して電気的に接続する工程とを有することを特徴とする。
【0023】
また、前記樹脂基材の前記穴が形成された領域のうち前記アンテナが露出した領域以外で前記ICモジュールと対向する領域に接着剤を塗布することを特徴とする。
【0024】
また、導電性のアンテナが形成されるとともに、該アンテナを介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップが前記アンテナに設けられた端子部にて該アンテナに接続されて搭載された第1の樹脂基材と、前記ベース基材の前記ICチップが搭載された面に積層される第2の樹脂基材とを少なくとも有してなる情報記録媒体の製造方法であって、
前記第1の樹脂基材に、少なくとも前記端子部が露出するように前記アンテナを形成する工程と、
前記第1の樹脂基材の前記端子部が露出した面に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、
前記第1の樹脂基材の前記端子部が露出した面のうち少なくとも前記端子部に対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、
前記端子部に対して接着性を具備する導電材を塗布する工程と、
前記ICチップが前記端子部と接続されるように該ICチップを前記第1の樹脂基材上に搭載する工程と、
前記第1の樹脂基材の前記ICチップが搭載された面に前記第2の樹脂基材を積層する工程とを有することを特徴とする。
【0025】
また、前記酸化性気体は、酸素、二酸化炭素または空気であることを特徴とする。
【0026】
また、前記還元性気体は、水素を含むことを特徴とする。
【0027】
(作用)
上記のように構成された本発明においては、アンテナが設けられた樹脂基材に、アンテナの一部が露出するようにICモジュールを埋め込むための穴を形成した後、樹脂基材の穴が形成された面のうち少なくとも穴が形成された領域に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す。これにより、プラズマ処理が施された領域において、その表面に酸素を有する官能基が導入され、プラズマ処理が施された領域における接着力が向上する。また、プラズマ処理によって形成された凹凸によっても接着力が向上する。その際、アンテナの表面においては、酸化性気体雰囲気中におけるプラズマ処理により、表面に酸化膜が形成されてしまい、この状態では、アンテナ上に接着性を有する導電材を塗布してこの導電材によってICモジュールと基材とを接着した場合に、アンテナの表面に形成された酸化膜によってアンテナと導電材との導電性が低下し、それにより、アンテナとICモジュールとの導電性が低下してしまう。そこで、その後、穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施すと、アンテナの表面に形成された酸化膜と還元性気体とが反応し、それにより、アンテナの表面に形成されていた酸化膜が除去される。その後、穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して接着性を有する導電材を塗布し、穴にICモジュールを埋め込み、ICモジュールを導電材によって樹脂基材に接着するとともにアンテナとICモジュールとを導電材を介して電気的に接続すれば、ICモジュールと樹脂基材との接着性が向上するとともに、ICモジュールとアンテナとの導電性が向上した情報記録媒体が製造される。
【0028】
また、樹脂基材の穴が形成された領域のうち、アンテナが露出した領域以外でICモジュールと対向する領域に接着剤を塗布すれば、ICモジュールと樹脂基材とがさらに強固に接着される。
【0029】
また、第1の樹脂基材に、少なくともICチップと接続されるための端子部が露出するようにアンテナを形成した後、第1の樹脂基材に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す。これにより、プラズマ処理が施された領域において、その表面に酸素を有する官能基が導入され、プラズマ処理が施された領域における接着力が向上する。また、プラズマ処理によって形成された凹凸によっても接着力が向上する。その際、端子部の表面においては、酸化性気体雰囲気中におけるプラズマ処理により、表面に酸化膜が形成されてしまい、この状態では、端子部上に接着性を有する導電材を塗布してこの導電材によってICチップと端子部とを接着した場合に、アンテナの表面に形成された酸化膜によってICチップと導電材との導電性が低下し、それにより、端子部とICチップとの導電性が低下してしまう。そこで、その後、第1の樹脂基材の端子部が露出した面のうち少なくとも端子部に対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施すと、端子部の表面に形成された酸化膜と還元性気体とが反応し、それにより、端子部の表面に形成されていた酸化膜が除去される。その後、端子部に対して接着性を具備する導電材を塗布し、ICチップが端子部と接続されるようにICチップを第1の樹脂基材上に搭載し、さらに、第1の樹脂基材のICチップが搭載された面に第2の樹脂基材を積層すれば、第1の樹脂基材と第2の樹脂基材との接着性が向上するとともに、ICチップとアンテナとの導電性が向上した情報記録媒体が製造される。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の情報記録媒体の製造方法の第1の実施の形態によって製造されたコンビネーション型ICカードを示す図であり、(a)はその構造を示す図、(b)は断面図である。
【0032】
図1に示すように本形態におけるコンビネーション型ICカードにおいては、それぞれPET材等の樹脂からなる表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24が積層されてなるベース基材20に、その表面に、外部に設けられ、接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置(不図示)と電気的に接するための接点11を有してなるICモジュール10が、埋め込まれた状態で接着性を有する導電材28と、必要に応じて中間層25に塗布された接着剤(不図示)とによってベース基材20に固着されており、さらに、導電材28を介してICモジュール10と電気的に接続され、外部に設けられ、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置(不図示)からの電磁誘導によりICモジュール10に電流を供給し、それにより、ICモジュール10の凸部に内蔵されたICチップ(不図示)に対する情報の書き込み及び読み出しを行うためのアンテナ30がベース基材20を構成するアンテナシート22に形成されている。特に、ICモジュール10との接着領域を構成する中間層25においては、PETやPVC等の樹脂のような、酸化性雰囲気中においてプラズマ処理が施されることにより接着力が向上する材質のものが使用される。
【0033】
上記のように構成されたコンビネーション型ICカードにおいては、ICモジュール10の接点11が、接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置に電気的に接触すると、接点11を介して、ICモジュール10内のICチップに情報が書き込まれたり、ICモジュール10内のICチップに書き込まれた情報が接点11を介して読み出されたりする。
【0034】
また、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しを行うための情報書込/読出装置に近接すると、該情報書込/読出装置からの電磁誘導によってアンテナ30に電流が流れ、この電流が接着剤28及び接点12を介してICモジュール10に供給され、それにより、ICモジュール10内のICチップに対する情報の書き込みあるいは読み出しが行われる。
【0035】
以下に、上述したコンビネーション型ICカードの製造方法について説明する。
【0036】
図2は、図1に示したコンビネーション型ICカードの製造方法を説明するための図である。
【0037】
まず、PET材等の樹脂からなる表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24を、中間層25と裏面層24とによってアンテナシート22を挟み込むように互いに熱圧着(または接着)し、ベース基材20を作製する(図2(a))。ここで、アンテナ30は、図1(a)に示したようなコイル形状を有するものであって、例えばアルミニウムからなり、アンテナシート22にエッチングによって予め形成されている。
【0038】
次に、表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24が熱圧着(または接着)されてなるベース基材20に、ICモジュール10がベース基材20に埋め込まれるような形状及び深さを有する穴26を形成する(図2(b))。この際、ICモジュール10に設けられた接点12とアンテナ30とを電気的に接続するためにアンテナ30の一部が穴26の内部にて露出するように穴26を形成する。
【0039】
次に、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中において、ベース基材20の穴26が形成された面の少なくとも穴26が形成された領域に対して、プラズマ処理を施す(図2(c))。ここで、表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24においては、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中においてプラズマ処理が施された場合、露出面に酸素を有する官能基が導入され、その官能基によって表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24における接着力が向上する。また、プラズマ処理によって表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24の露出面に形成された微細な凹凸によっても、表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24における接着力が向上する。一方、アンテナ30においては、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中においてプラズマ処理が施されると、表面に酸化膜が形成されてしまい、その酸化膜により、その後の工程において接着性を有する導電材28を塗布した場合にアンテナ30と導電材28との導電性が低下してしまう。
【0040】
そこで、次に、水素等を含む還元性気体雰囲気中において、ベース基材20の穴26が形成された面の少なくともアンテナ30が露出した領域に対して、プラズマ処理を施す(図2(d))。すると、アンテナ30の表面に形成されていた酸化膜と水素とが反応し、アンテナ30の表面に形成されていた酸化膜が除去されることになる。
【0041】
例えば、アンテナ30がアルミニウムから構成されている場合は、
Al2O3+3H2→Al2+3H2O
となり、アンテナ30の表面に形成されていた酸化膜が除去される。また、アンテナ30が銅から構成されている場合は、
CuO+H2→Cu+H2O
となり、アンテナ30の表面に形成されていた酸化膜が除去される。また、アンテナ30が銀から構成されている場合は、
AgO+H2→Ag+H2O
となり、アンテナ30の表面に形成されていた酸化膜が除去される。なお、水素等を含む還元性気体雰囲気中におけるプラズマ処理においては、アンテナ30が露出した領域のみに対して行うことにより、アンテナ30の表面に形成された酸化膜が除去され、アンテナ30の表面における導電性が向上することになる。一方、ベース基材20においては、水素等を含む還元性気体雰囲気中におけるプラズマ処理を施した場合においても、酸化膜気体雰囲気中におけるプラズマ処理により酸素を有する官能基が導入された状態が元の状態に完全に戻ることがないため、向上した接着力は維持された状態となっている。また、酸化性気体雰囲気中におけるプラズマ処理によってベース基材20の表面に形成された微細な凹凸によっても接着力が維持される。
【0042】
次に、中間層25における穴26のアンテナ30が露出している領域以外の部分に接着剤を塗布するとともに、ベース基材20に形成された穴26の領域のうち、アンテナ30が露出している領域に、例えば、ACP(異方性導電接着剤)、はんだ、または銀ペーストからなる接着性を有する導電材28を塗布する(図2(c))。
【0043】
その後、穴26にICモジュール10を埋め込み、ICモジュール10を中間層25の穴26に塗布された接着剤、並びに接着性を有する導電材28によってベース基材20に接着する(図2(d))。この際、ICモジュール10のアンテナ30が露出している領域以外の部分に塗布された接着剤によりICモジュール10とベース基材20とが強固に接着されるとともに、ICモジュール10の接点12が導電材28を介してアンテナ30と接続されることになるため、ICモジュール10とアンテナ30とが導電材28を介して電気的に接続されることになる。なお、本形態においては、ICモジュール10のアンテナ30が露出している領域以外の部分に接着剤を塗布する構成となっているが、接着性を有する導電材28のみでICモジュール10とベース基材20とを接着することも考えられる。
【0044】
上述した製造方法によって製造されたコンビネーション型ICカードにおいては、ベース基材20にICモジュール10を埋め込むために形成された穴26に対して、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理が施されているため、表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24の露出面に酸素を有する官能基が導入されることになり、それにより、その後、塗布された接着性を有する導電材28や接着剤と、表面層21、中間層25、アンテナシート22及び裏面層24との接着力が向上し、ICモジュール10とベース基材20との接着性を向上させることができる。さらに、アンテナ30に対して、水素等の還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理が施されているため、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理が施されることによりアンテナ30表面に形成された酸化膜が水素と反応して除去され、それにより、接着性を有する導電材28を介してのICモジュール10とアンテナ30との導電性を向上させることができる。
【0045】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の情報記録媒体の製造方法の第2の実施の形態によって製造された非接触型ICカードを示す図であり、(a)はその構造を示す図、(b)は断面図である。
【0046】
本形態における非接触型ICカードは図3に示すように、樹脂シート222上に、外部からの情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップ210が接着性を有する導電材228を介して搭載されるとともに、両端に設けられた端子部であるパッド部231において接続端子211を介してICチップ210と接続され、外部に設けられた情報書込/読出装置(不図示)からの電磁誘導によりICチップ210に電流を供給し、ICチップ210に対する情報の書き込み及び読み出しを非接触状態にて行うためのコイル状の導電性を有するアンテナ230が形成されたインレット220と、インレット220のICチップ210が搭載された面に接着剤層223を介して積層され、ICチップ210及びアンテナ230を保護するとともに、その表面に情報が印字される第2の樹脂基材である表面層221と、インレット220のICチップ210が搭載された面とは反対側の面に接着剤層225を介して積層された裏面層224とから構成されている。
【0047】
上記のように構成された非接触型ICカードにおいては、外部に設けられた情報書込/読出装置に近接させることにより、情報書込/読出装置からの電磁誘導によりアンテナ230からICチップ210に電流が供給され、それにより、非接触状態において、情報書込/読出装置からICチップ210に情報が書き込まれたり、ICチップ210に書き込まれた情報が情報書込/読出装置にて読み出されたりする。
【0048】
以下に、上述したような非接触型ICカードの製造方法について説明する。
【0049】
図4は、図3に示した非接触型ICカードの製造方法を説明するための図である。
【0050】
まず、第1の樹脂基材である樹脂シート222上に、エッチングや印刷等によって両端にパッド部231を有するコイル形状のアンテナ230を形成する(図4(a))。なお、アンテナ230の材質としては、銅や銀、アルミニウム等が例として挙げられる。また、アンテナ230においては、パッド部231にてICチップ210と電気的に接続されるため、少なくともパッド部231が露出していればよい。
【0051】
次に、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中において、樹脂シート222のアンテナ230が形成された面に対して、プラズマ処理を施す(図4(b))。ここで、樹脂シート222においては、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中においてプラズマ処理が施された場合、露出面に酸素を有する官能基が導入され、その官能基によって樹脂シート222における接着力が向上する。また、プラズマ処理によって樹脂シート222の露出面に形成された微細な凹凸によっても、樹脂シート222における接着力が向上する。一方、パッド部231においては、酸素、二酸化炭素あるいは空気等の酸化性気体雰囲気中においてプラズマ処理が施されると、表面に酸化膜が形成されてしまい、その酸化膜により、その後の工程において接着性を有する導電材228を塗布した場合にパッド部231と導電材228との導電性が低下してしまう。
【0052】
そこで、次に、水素等を含む還元性気体雰囲気中において、樹脂シート222のアンテナ230が形成された面の少なくともパッド部231が露出した領域に対して、プラズマ処理を施す(図4(c))。すると、パッド部231の表面に形成されていた酸化膜と水素とが反応し、パッド部231の表面に形成されていた酸化膜が除去されることになる。なお、水素等を含む還元性気体雰囲気中におけるプラズマ処理においては、パッド部231が露出した領域のみに対して行うことにより、パッド部231の表面に形成された酸化膜が除去され、パッド部231の表面における導電性が向上することになる。一方、樹脂シート222においては、水素等を含む還元性気体雰囲気中におけるプラズマ処理を施した場合においても、酸化膜気体雰囲気中におけるプラズマ処理により酸素を有する官能基が導入された状態が元の状態に完全に戻ることがないため、向上した接着力は維持された状態となっている。また、酸化性気体雰囲気中におけるプラズマ処理によって樹脂シート222の表面に形成された微細な凹凸によっても接着力が維持される。
【0053】
次に、アンテナ230のICチップ210との接続部分となるパッド部231上に接着性を有する導電材228を塗布する(図4(d))。
【0054】
次に、パッド部231に塗布された導電材228にICチップ210の接続端子211が当接するようにICチップ210を樹脂シート222上に搭載し、ICチップ210と樹脂シート222とを導電材228を介して接着するとともに、ICチップ210の裏面に設けられた接続端子211及びパッド部231を介してアンテナ230とICチップ210とを電気的に接続し、インレット220を完成させる(図4(e))。
【0055】
その後、インレット220を挟むように接着剤層223,225を介して表面層221及び裏面層224をそれぞれ積層し、非接触型ICカードを完成させる(図4(f))。
【0056】
上記のように製造された非接触型ICカードにおいては、樹脂シート222の表面において、酸化性気体雰囲気中におけるプラズマ処理により接着力が向上しているため、接着剤層223を介しての樹脂シート222と表面層221との接着性を向上させることができる。
【0057】
また、樹脂シート222のアンテナ230及びパッド部231が形成された面とは反対側の面に対しても酸化性気体雰囲気中におけるプラズマ処理を施せば、接着剤層225を介しての樹脂シート222と裏面層224との接着性をも向上させることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように本発明においては、接触状態及び非接触状態のいずれの場合にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICモジュールと、ICモジュールに設けられた接点を介して該ICモジュールと電気的に接続され、ICモジュールに対して非接触状態にて情報の書き込みあるいは読み出しを行うための導電性材料からなるアンテナとを少なくとも有し、ICモジュールが、アンテナが設けられた樹脂基材に該アンテナと接続された状態で埋め込まれてなる情報記録媒体の製造方法において、樹脂基材に、アンテナの一部が露出するようにICモジュールを埋め込むための穴を形成する工程と、樹脂基材の穴が形成された面のうち少なくとも穴が形成された領域に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して接着性を有する導電材を塗布する工程と、穴にICモジュールを埋め込み、ICモジュールを導電材によって樹脂基材に接着するとともにアンテナとICモジュールとを導電材を介して電気的に接続する工程とを順次行う構成としたため、情報記録媒体において、ICモジュールと樹脂基材との接着性を向上させることができるとともに、ICモジュールとアンテナとの導電性を向上させることができる。
【0059】
また、導電性のアンテナが形成されるとともに、該アンテナを介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップがアンテナに設けられた端子部にて該アンテナに接続されて搭載された第1の樹脂基材と、ベース基材のICチップが搭載された面に積層される第2の樹脂基材とを少なくとも有してなる情報記録媒体の製造方法において、第1の樹脂基材に、少なくとも端子部が露出するようにアンテナを形成する工程と、第1の樹脂基材に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、第1の樹脂基材の端子部が露出した面のうち少なくとも端子部に対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、端子部に対して接着性を具備する導電材を塗布する工程と、ICチップが端子部と接続されるように該ICチップを第1の樹脂基材上に搭載する工程と、第1の樹脂基材のICチップが搭載された面に第2の樹脂基材を積層する工程とを順次行う構成としたため、第1の樹脂基材と第2の樹脂基材との接着性を向上させることができるとともに、ICチップとアンテナとの導電性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の情報記録媒体の製造方法の第1の実施の形態によって製造されたコンビネーション型ICカードを示す図であり、(a)はその構造を示す図、(b)は断面図である。
【図2】図1に示したコンビネーション型ICカードの製造方法を説明するための図である。
【図3】本発明の情報記録媒体の製造方法の第2の実施の形態によって製造された非接触型ICカードを示す図であり、(a)はその構造を示す図、(b)は断面図である。
【図4】図3に示した非接触型ICカードの製造方法を説明するための図である。
【図5】一般的なコンビネーション型ICカードの一例を示す図であり、(a)はその構造を示す図、(b)は断面図である。
【図6】図5に示したコンビネーション型ICカードの従来の製造方法の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
10 ICモジュール
11,12 接点
20 ベース基材
21,221 表面層
22 アンテナシート
24,224 裏面層
25 中間層
26 穴
28,228 導電材
30 アンテナ
210 ICチップ
211 接続端子
220 インレット
222 樹脂シート
230 アンテナ
231 パッド部
223,225 接着剤層
Claims (5)
- 接触状態及び非接触状態のいずれの場合にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICモジュールと、前記ICモジュールに設けられた接点を介して該ICモジュールと電気的に接続され、前記ICモジュールに対して非接触状態にて情報の書き込みあるいは読み出しを行うための導電性材料からなるアンテナとを少なくとも有し、前記ICモジュールが、前記アンテナが設けられた樹脂基材に該アンテナと接続された状態で埋め込まれてなる情報記録媒体の製造方法であって、
前記樹脂基材に、前記アンテナの一部が露出するように前記ICモジュールを埋め込むための穴を形成する工程と、
前記樹脂基材の前記穴が形成された面のうち少なくとも前記穴が形成された領域に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、
前記穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、
前記穴が形成された領域のうち少なくとも露出したアンテナに対して接着性を具備する導電材を塗布する工程と、
前記穴に前記ICモジュールを埋め込み、前記ICモジュールを前記導電材によって前記樹脂基材に接着するとともに前記アンテナと前記ICモジュールとを前記導電材を介して電気的に接続する工程とを有することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。 - 請求項1に記載の情報記録媒体の製造方法において、
前記樹脂基材の前記穴が形成された領域のうち前記アンテナが露出した領域以外で前記ICモジュールと対向する領域に接着剤を塗布することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。 - 導電性のアンテナが形成されるとともに、該アンテナを介して非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICチップが前記アンテナに設けられた端子部にて該アンテナに接続されて搭載された第1の樹脂基材と、前記ベース基材の前記ICチップが搭載された面に積層される第2の樹脂基材とを少なくとも有してなる情報記録媒体の製造方法であって、
前記第1の樹脂基材に、少なくとも前記端子部が露出するように前記アンテナを形成する工程と、
前記第1の樹脂基材に対して酸化性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、
前記第1の樹脂基材の前記端子部が露出した面のうち少なくとも前記端子部に対して還元性気体雰囲気中にてプラズマ処理を施す工程と、
前記端子部に対して接着性を具備する導電材を塗布する工程と、
前記ICチップが前記端子部と接続されるように該ICチップを前記第1の樹脂基材上に搭載する工程と、
前記第1の樹脂基材の前記ICチップが搭載された面に前記第2の樹脂基材を積層する工程とを有することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報記録媒体の製造方法において、
前記酸化性気体は、酸素、二酸化炭素または空気であることを特徴とする情報記録媒体の製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報記録媒体の製造方法において、
前記還元性気体は、水素を含むことを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
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