JP2004280344A - 電力線通信機能を有するフィールド機器およびそれを用いた制御システム - Google Patents

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Abstract

【課題】1つのフィールド機器に対して、電力を供給する電力線と測定したプロセス量を伝送する信号線の計4本のケーブルが必要であるために配線コストや設置工事費が高くなっていたという課題を解決する。
【解決手段】測定したプロセス量をデジタル信号に変換し、プロセス現場に電力を供給する商用電力線に重畳して伝送するようにした。また、通信プロトコルとしてTCP/IPを用いるようにした。電力線と信号線を共用することができるので配線コストや設置工事費を低減することができる。また、デジタル信号に変換して伝送するので、1対の電力線で多くのプロセス量を伝送することができる。
【選択図】 図1

Description

【発明の属する技術分野】
この発明は、流量計や圧力伝送器のようなフィールド機器に関し、特に電力線を介してデータを伝送することができる電力線通信機能を有するフィールド機器およびそれを用いた制御システムに関するものである。
【0001】
【従来の技術】
図3にフィールド機器と制御機器との接続を示す。電磁流量計71、コリオリ流量計72,差圧伝送器73,渦流量計74は個別の伝送路によって制御機器9に接続され、プロセス量のデータはこの伝送路を介して制御機器9に伝送される。制御機器9はモニタの場合もある。
【0002】
差圧伝送器73や渦流量計74は消費電力が小さいので、測定値の伝送と電力供給を1対の線で行う2線式伝送器として構成される。従って、これらの機器と制御機器9との間の伝送路は2本の線で接続することができる。しかしながら、電磁流量計71やコリオリ流量計72は消費電力が大きいので2線式伝送器とすることができない。そのため、4−20mAなどの信号を伝送する1対の信号線と電力を供給する電源線の合計4本のケーブルが必要になる。
【0003】
特許文献1には、測定データの他に測定レンジなどのデータを1対の伝送路で送信する発明が記載されている。この発明は特定の周波数の信号を測定データに重畳し、測定レンジによってこの重畳する信号の周波数を変えることによって、1対の伝送路で測定データと測定レンジの両方を同時に伝送するようにしたものである。
【0004】
特許文献2には電力線を利用してデータを伝送する発明が記載されている。図4に基づいてこの発明の方式を説明する。図4に示すように、商用電力の半周期をt1〜t4の4つの区間に分割し、これらの区間に搬送波を重畳したりしなかったりすることによって、デジタルデータを伝送する。
【0005】
例えば、区間t2とt3のみに搬送波が重畳されているとデータの送出を開始することを表し、区間t2のみに搬送波が重畳されていると‘0’を、区間t2とt4のみに搬送波が重畳されていると‘1’を表す。また、区間t2〜t4に搬送波が重畳されていると送出が完了したことを表す。このようにすることにより、ノイズが多い電力線でデジタルデータを伝送することができる。
【特許文献1】
実開昭56−175764号明細書
【特許文献2】
特公平1−17336号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなデータの伝送方式には次のような課題があった。
【0007】
図3に示す伝送方式では、電磁流量計71やコリオリ流量計72のように消費電力が大きい機器では、測定データの伝送と電力供給のために4本のケーブルが必要である。そのため、配線が煩雑になり、配線や設置工事のコストが高くなってしまうという課題があった。また、2線式伝送器は1対のケーブルで測定データと駆動電力の両方を伝送できるが、機器毎に独立にケーブルを引かなければならず、やはり配線が煩雑になり、コストアップになってしまうという課題があった。
【0008】
特許文献1に記載された発明は1対のケーブルで複数のデータを伝送することはできるが、電力線は別に配線しなければならないという課題があった。また、周波数を変える方式であるために伝送できるデータ量が限られてしまうという課題もあった。
【0009】
特許文献2に記載された発明は1対のケーブルで電力とデータの両方を伝送できるという利点はあるが、商用電力の半周期(8〜10mS)で1ビットの情報しか伝送することができず、多量のデータを伝送することができないという課題があった。
【0010】
従って本発明の目的は、1対のケーブルで電力の供給とデータの伝送を同時に行うことができ、かつ1対のケーブルに複数の機器を接続することができる電力線通信機能を有するフィールド機器およびそれを用いた制御システムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、プロセス現場に設置され、プロセス量を測定して伝送するフィールド機器であって、前記プロセス量を検出する検出部と、この検出部の出力をデジタル信号に変換する変換部と、この変換部の出力を変調して商用電力線に重畳する電力線モデムとにより構成されるようにしたものである。電力線と信号線を共用できる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記電力線モデムを前記変換部から分離できるようにしたものである。設置の自由度が増す。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記伝送するプロトコルとしてTCP/IPを用いたものである。信頼性の高い通信ができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし請求項3いずれかに記載の発明において、前記フィールド機器は前記商用電力線を用いて前記測定したプロセス量を伝送すると共に、前記商用電力線とは別の通信線を用いてアナログ信号により前記プロセス量を伝送するようにしたものである。2重に伝送するので、信頼性が高くなる。
【0015】
請求項5記載の発明は、プロセス現場に設置され、プロセス量を測定するフィールド機器と、前記プロセス現場に電力を供給する商用電力線と、前記フィールド機器が測定した前記プロセス量に基づいて操作量を演算して出力する制御機器とを有し、前記フィールド機器は前記商用電力線を用いて前記プロセス量を前記制御機器に伝送するようにしたものである。電力線と信号線を共用できる。
【0016】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記伝送するプロトコルとして,TCP/IPを用いたものである。信頼性のある伝送ができる。
【0017】
請求項7記載の発明は、請求項5または請求項6記載の発明において、前記フィールド機器は、前記商用電力線を用いて前記測定したプロセス量を前記制御機器に伝送すると共に、この商用電力線とは異なる通信線を用いてアナログ信号により前記プロセス量を前記制御機器に伝送するようにしたものである。2重に伝送するのでより信頼性が高くなる。
【発明の実施の形態】
以下に、図に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は本発明に係る電力線通信機能を有するフィールド機器およびそれを用いた制御システムの構成を示したものである。図1において、11はフィールド機器であり、プロセス量を検出する検出部111およびこの検出器111が検出したプロセス量をデジタル値に変換して出力する変換器112で構成されている。変換器112には電力線モデム113が内蔵されている。
【0018】
2はAC100V等の商用電力の電力線である。この電力線2には電力を取り出すためのコンセント21〜24が設置されている。フィールド機器11はプラグ114およびコンセント21を介して電力線2に接続されている。
【0019】
電力線モデム113は電力線2から電力を取り出す。この電力は検出器111および変換器112に電源として供給される。また、変換器112内のCPUは電力線モデム113に接続される。このCPUは検出器111が検出したプロセス量をデジタル値に変換して電力線モデム113に出力する。電力線モデム113はこのデジタル値を商用電力に重畳して電力線2に出力する。また、電力線2を介して送られてきた設定値などを取り出して変換器112内のCPUに出力する。
【0020】
フィールド機器12,13もフィールド機器11と同様の構成であり、検出器によってプロセス量を検出し、変換器内のCPUでデジタル値に変換して電力線モデムに出力する。電力線モデムはこのデジタル値を重畳して電力線2に出力する。また、電力線2を介して送られてきた設定値などを受け取る。
【0021】
3は分電盤であり、電力線モデム31が内蔵されている。4は制御機器としてのDCS(Distributed Control System)であり、電力線モデム31と専用線41で接続されている。電力線モデム31は電力線2を介してフィールド機器11〜13と通信し、プロセス量を得る。このプロセス量は専用線41を介してDCS4に送られる。また、DCS4は専用線41,電力線モデム31を介してフィールド機器11〜13に設定値などを送信する。
【0022】
なお、電力線2は従来から用いられている商用電力線をそのまま用いることができる。また、コンセント21〜24にはフィールド機器だけでなく、一般の電気製品あるいはモータなども接続される。また、図1では電力線2は1本のみ描かれているが、実際には多数枝分かれしている。DCS4は他の制御機器やモニタが用いられることもある。
【0023】
図2に本発明の他の実施例を示す。なお、図2と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。図2において、51〜53はフィールド機器である。フィールド機器51はプロセス量を検出する検出器511,検出器511が検出したプロセス量をデジタル値に変換して出力する変換器512で構成されている。変換器512には電力線モデム513が内蔵されている。また、プラグ515およびコンセント21を介して電力線2に接続されている。フィールド機器52,53も同様の構成である。
【0024】
514はD/A変換器であり、前記デジタル値を4−20mA等のアナログ信号に変換する。このアナログ信号は専用のケーブル61を介してDCS4に出力される。フィールド機器52、53にもD/A変換器が内蔵され、前記デジタル値を4−20mAのアナログ信号に変換する。このアナログ信号は専用ケーブル62,63を介してDCS4に出力される。
【0025】
この実施例においても、検出器511が検出したプロセス量は電力線モデム513で電力線2に重畳され、分電盤3を介してDCS4に入力される。この実施例ではそれに加えて4−20mAの標準アナログ信号に変換して別系統でDCS4に送信するようにする。このようにすると、より信頼性の高いシステムを構築することができる。
【0026】
同一の電力系統を用いる工場やプラントでは、電力線がこの工場やプラントの隅々にまで張り巡らされている。この電力線を用いてパケット通信を用いたデジタル通信を行うことによって、1系統の電力線に複数のフィールド機器を接続して同時に通信することができる。高速の電力線を用いた通信を用い、タイムシェアリングを行うことにより、多数のフィールド機器とほぼリアルタイムで通信することができる。
【0027】
また、通信プロトコルとしてTCP/IPを用いることもできる。このようにすると、既存の機器やソフトウエアを用いることができるので、簡単かつ安価にシステムを構築することができる。
【0028】
なお、図1、図2の実施例では電力線モデムをフィールド機器内部に設置するようにしたが、フィールド機器の外部に設置し、フィールド機器とは1対の電力搬送用ケーブルおよび1対の測定値伝送用ケーブルで接続してもよい。このようにすると、設置の自由度が増し、かつ電力線通信に対応していないフィールド機器を用いることもできる。
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次の効果が期待できる。
請求項1記載の発明によれば、プロセス現場に設置され、プロセス量を測定して伝送するフィールド機器であって、前記プロセス量を検出する検出部と、この検出部の出力をデジタル信号に変換する変換部と、この変換部の出力を変調して商用電力線に重畳する電力線モデムとにより構成されるようにした。
【0029】
2本の電力線を設置するだけで電力の搬送と信号の伝送ができるため、フィールド機器毎に別々のケーブルを敷設する必要がなくなり、設置工事が大幅に簡単になるために、大幅なコスト低減が可能になるという効果がある。
【0030】
また、分岐、合流が自由であり、複数のフィールド機器からの配線を1つにまとめて共用することができるという効果もある。また、既設の電力線があれば、その電力線に接続するだけで通信することができるという効果もある。さらに、高速の電力線通信を用いてパケット通信で伝送すると、擬似的なリアルタイム処理が可能になるという効果もある。
【0031】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、前記電力線モデムを前記変換部から分離できるようにした。電力線モデムを電力線の近くに設置し、フィールド機器とこの電力モデムの間は専用線で接続するなど、設置の自由度が増すという効果がある。
【0032】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2記載の発明において、前記伝送するプロトコルとしてTCP/IPを用いるようにした。TCP/IPは広く用いられているので、既存製品を流用して安価で信頼性の高い通信を行うことができるという効果がある。また、コンピュータと容易に接続できるという効果もある。
【0033】
請求項4記載の発明によれば、請求項1ないし請求項3いずれかに記載の発明において、前記フィールド機器は前記商用電力線を用いて前記測定したプロセス量を伝送すると共に、前記商用電力線とは別の通信線を用いてアナログ信号により前記プロセス量を伝送するようにした。
【0034】
複数の経路で信号を伝送するので、より信頼性の高い通信ができるという効果がある。また、既設の配線があるときはその配線を流用できるので、追加投資なしに信頼性向上を図ることができるという効果もある。
【0035】
請求項5記載の発明によれば、プロセス現場に設置され、プロセス量を測定するフィールド機器と、前記プロセス現場に電力を供給する商用電力線と、前記フィールド機器が測定した前記プロセス量に基づいて操作量を演算して出力する制御機器とを有し、前記フィールド機器は前記商用電力線を用いて前記プロセス量を前記制御機器に伝送するようにした。
【0036】
2本の電力線を設置するだけで電力の搬送と信号の伝送ができるため、フィールド機器毎に別々のケーブルを敷設する必要がなくなり、設置工事が大幅に簡単になるために、大幅なコスト低減が可能になるという効果がある。
【0037】
また、分岐、合流の自由であり、複数のフィールド機器からの配線を1つにまとめて共用でき、また、既設の電力線があれば、その電力線に接続するだけで通信することができるので、安価にシステムを構築できるという効果もある。さらに、高速の電力線通信を用いてパケット通信で伝送すると、擬似的なリアルタイム制御が可能になるという効果もある。
【0038】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明において、前記伝送するプロトコルとして,TCP/IPを用いるようにした。TCP/IPは広く用いられているので、既存製品を流用して安価で信頼性の高い通信を行うことができるという効果がある。また、コンピュータと容易に接続できるという効果もある。
【0039】
請求項7記載の発明によれば、請求項5または請求項6記載の発明において、前記フィールド機器は、前記商用電力線を用いて前記測定したプロセス量を前記制御機器に伝送すると共に、この商用電力線とは異なる通信線を用いてアナログ信号により前記プロセス量を前記制御機器に伝送するようにした。
【0040】
複数の経路で信号を伝送するので、より信頼性の高い通信ができるという効果がある。また、既設の配線があるときはその配線を流用できるので、追加投資なしに信頼性向上を図ることができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図3】従来の制御システムの構成図である。
【図4】従来の電力線搬送制御方式の動作を説明するための特性図である。
【符号の説明】
11〜13、51〜53 フィールド機器
113、31、513 電力線モデム
21〜24 コンセント
3 分電盤
4 DCS
61〜63 専用ケーブル

Claims (7)

  1. プロセス現場に設置され、プロセス量を測定して伝送するフィールド機器において、
    前記プロセス量を検出する検出部と、この検出部の出力をデジタル信号に変換する変換部と、この変換部の出力を変調して商用電力線に重畳する電力線モデムとを有することを特徴とする電力線通信機能を有するフィールド機器。
  2. 前記電力線モデムを前記変換部から分離できるように構成されたことを特徴とする請求項1記載の電力線通信機能を有するフィールド機器。
  3. 前記伝送するプロトコルとしてTCP/IP(Transmisson Control Protocol/Internet Protocol)を用いたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電力線通信機能を有するフィールド機器。
  4. 前記フィールド機器は前記商用電力線を用いて前記測定したプロセス量を伝送すると共に、前記商用電力線とは別の通信線を用いてアナログ信号により前記プロセス量を伝送するようにしたことを特徴とする請求項1ないし請求項3いずれかに記載の電力線通信機能を有するフィールド機器。
  5. プロセス現場に設置され、プロセス量を測定するフィールド機器と、前記プロセス現場に電力を供給する商用電力線と、前記フィールド機器が測定した前記プロセス量に基づいて操作量を演算して出力する制御機器とを有し、前記フィールド機器は前記商用電力線を用いて前記プロセス量を前記制御機器に伝送するようにしたことを特徴とする制御システム。
  6. 前記伝送するプロトコルとして,TCP/IPを用いたことを特徴とする請求項5記載の制御システム。
  7. 前記フィールド機器は、前記商用電力線を用いて前記測定したプロセス量を前記制御機器に伝送すると共に、この商用電力線とは異なる通信線を用いてアナログ信号により前記プロセス量を前記制御機器に伝送するようにしたことを特徴とする請求項5または請求項6記載の制御システム。
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