JP2004279973A - トナー容器用通気フィルタ、通気部材、これらを用いたトナー容器、およびトナー容器用通気フィルタの保持材 - Google Patents
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Abstract
【課題】トナーの漏れが抑制されたトナー容器用通気フィルタ、通気部材、およびそれらが容器の通気部に取り付けられたトナー容器を提供する。
【解決手段】トナー容器用通気フィルタ1は、フッ素樹脂およびポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む複数層の多孔体6と少なくとも1層の通気性支持材7とを含み、複数層の多孔体6から選択される少なくとも1対の多孔体の間に少なくとも1層の通気性支持材7が配置されている。トナー容器は、トナー容器用通気フィルタが、トナーを収容するため空間を有する容器の通気部に取り付けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】トナー容器用通気フィルタ1は、フッ素樹脂およびポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む複数層の多孔体6と少なくとも1層の通気性支持材7とを含み、複数層の多孔体6から選択される少なくとも1対の多孔体の間に少なくとも1層の通気性支持材7が配置されている。トナー容器は、トナー容器用通気フィルタが、トナーを収容するため空間を有する容器の通気部に取り付けられていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はトナー容器用通気フィルタ、通気部材、これらを用いたトナー容器、およびトナー容器用通気フィルタの保持材に関する。
【0002】
【従来の技術】
トナー容器には、トナー容器内に生じた負圧や正圧を解消するために通気部が設けられている。負圧や正圧状態は、温度変化やトナー量の減少などにより発生する。この通気部には、トナーが空気と共に外へ漏れ出さないようにフィルタが取り付けられており、このフィルタは、1層のフッ素樹脂多孔体と織布または不織布とから構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−311553号公報(図5、図6、図10、図12、5−8頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような構造のフィルタにおいては、何らかの力によりフッ素樹脂多孔体にピンホールが生じた場合、ピンホールからトナー漏れが発生するという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のトナー容器用通気フィルタは、フッ素樹脂およびポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む複数層の多孔体と、少なくとも1層の通気性支持材とを含み、前記複数層の多孔体から選ばれる少なくとも1対の多孔体の間に、少なくとも1層の前記通気性支持材が配置されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の通気部材は、本発明のトナー容器用通気フィルタと、貫通孔を有する支持体とを含み、前記トナー容器用通気フィルタが前記貫通孔を覆うように前記支持体に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のトナー容器は、本発明のトナー容器用通気フィルタが、トナーを収容するための空間を有する容器の通気部に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の別のトナー容器は、本発明の通気部材が、トナーを収容するための空間を有する容器の通気部に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明のトナー容器用通気フィルタの一例と、そのトナー容器用通気フィルタを用いたトナー容器の一例について説明する。
【0011】
図1に示すように、トナー容器用通気フィルタ1は、フッ素樹脂およびポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む2層の多孔体6と、1層の通気性支持材7とを含み、2層の多孔体6の間に通気性支持材7が配置されている。
【0012】
本実施の形態のトナー容器用通気フィルタ1では、1対の多孔体6の間に通気性支持材7が配置されているので、外力などにより1対の多孔体6が同時期に破損することを抑制でき、いずれか一方の多孔体6にピンホールが発生しても、他方の多孔体6によりトナー漏れを抑制できる。
【0013】
図1に示したトナー容器用通気フィルタ1は、2層の多孔体6と1層の通気性支持材7とからなるが、本実施形態のトナー容器用通気フィルタ1はこれに制限されるものではなく、3層以上の多孔体6と2層以上の通気性支持材7とを含んでいてもよい。複数層の多孔体6から選択される少なくとも1対の多孔体6の間に、少なくとも1層の通気性支持材7が配置されていれば、例えば、図4に示すように、複数の多孔体6と複数の通気性支持材7とが交互に積層されていてもよいし、多孔体6および通気性支持材7のいずれか一方もしくは両方が連続して積層されている部分があってもよい。
【0014】
トナー容器用通気フィルタ1は、JIS K 7127に準拠して測定された引張強度が1MPa以上であることが好ましい。図2に示すように、トナー容器用通気フィルタ1が容器5の通気部9に取り付けられた状態で、通気部9から空気を排出して開口部3から容器5内にトナー2を吸引したり、通気部9から空気を送り込んで余分なトナー2を開口部3から排出することを繰り返し行っても、トナー容器用通気フィルタ1の変形、破損を抑制できるからである。引張強度の上限については特に制限はないが、通常、100MPa以下である。
【0015】
トナー容器用通気フィルタ1は、JIS P 8117に準拠して測定された通気度(ガーレー通気度)が、0.1〜300sec/100mLであることが好ましい。トナー容器内外の圧力差を迅速に解消できるからである。
【0016】
トナー容器用通気フィルタ1の捕集効率は90%以上であることが望ましい。捕集効率が90%以上であれば、トナー漏れを十分に防ぐことができるからである。尚、本発明において捕集効率とは、粒径が0.3〜0.5μmのジオクチルフタレート(DOP)を、5.3cm/sの流速で透過させたときの捕集効率であり、下記のようにして求めることができる。
【0017】
サンプルを有効面積が100cm2となるように円形ホルダーにセットし、サンプルを通過する空気の流速を5.3cm/sに調整しながら、サンプルの上流側にDOP(粒径0.3〜0.5μm)を濃度が約107個/リットルとなるように供給し、上流側の粒子濃度とサンプルを透過してきた下流側の粒子濃度とをパーティクルカウンターで測定し、その測定値を下記の式に代入する。
【0018】
捕集効率(%)=(1−(下流側濃度/上流側濃度))×100
【0019】
多孔体6は、フッ素樹脂およびポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含んでいる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」という)、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などが挙げられる。ポリオレフィンのモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、1−ブテンなどが挙げられる。ポリオレフィンは、これら上記のモノマーを単体で重合したものでもよいし、共重合したものでもよい。これらの樹脂を用いると、精度の良い多孔体が容易にでき、通気安定性の高いトナー容器用通気フィルタを得ることができる。特に、PTFEが好ましい。PTFEは、高気孔率で精度の良い多孔化が容易だからである。
【0020】
トナー容器用通気フィルタ1の一方の面は、多孔体6の一方の面から形成されており、その多孔体6が、撥水性に優れ、トナーが付着し難いフッ素樹脂、特に、PTFEを含んでいることが好ましい。トナー容器用通気フィルタ1を、上記一方の面が容器の内部空間側に向くように容器に取り付ければ、トナーの浸透や付着が抑制されて、トナー容器用通気フィルタ1の目詰まりを抑制できるからである。
【0021】
多孔体6の、粒径が0.3〜0.5μmのジオクチルフタレートを、5.3cm/sの流速で透過させたときの捕集効率が90%以上であることが好ましい。トナー漏れを十分に防ぐことができるからである。尚、多孔体6の捕集効率も、トナー容器用通気フィルタ1の場合と同様にして求めることができる。
【0022】
多孔体6の気孔率(体積%)は30〜99%であることが好ましい。気孔率が30〜99%の多孔体6を用いれば、十分な通気量が確保できるからである。気孔率は、多孔体6の片面の面積S、厚みd、重量mおよび比重rとから、下記の式により求めることができる。
【0023】
気孔率(体積%)=[1−(m/(S×d×r))]×100
【0024】
多孔体6の孔径は、通常10μm以下、さらには、0.01μm〜5μmであることが好ましい。孔径が大きすぎると多孔体6が強度不足となったり、トナー漏れが発生し易くなるからである。
【0025】
多孔体6の厚さは、通常2μm以上、さらには、10μm〜100μmであることが好ましい。薄すぎると多孔体6の強度不足により、トナー容器の内部圧力の上昇によってトナー漏れが発生し易くなり、厚すぎると通気性が低下するからである。
【0026】
上記した多孔体6は、従来から用いられてきた方法により作製することができる。以下にその作製方法の一例を、PTFE多孔体を例に挙げて説明する。
【0027】
まず、PTFEファインパウダーに液状潤滑剤を加えたペースト状の混和物を予備成形する。液状潤滑剤はPTFEファインパウダーの表面を濡らすことができ、抽出や乾燥によって除去できるものであれば特に制限されない。例えば、ナフサ、ホワイトオイルなどの炭化水素を使用できる。液状潤滑剤の添加量はPTFEファインパウダー100重量部に対して5〜50重量部程度が適当である。予備成形は、液状潤滑剤が絞り出されない程度の圧力で行う。予備成形体をペースト押出や圧延によってシート状に成形し、得られたPTFE成形体を少なくとも一軸方向に延伸して未焼成のPTFE多孔体を得る。なお、延伸は液状潤滑剤を除去してから行うことが好ましい。この未焼成のPTFE多孔体は、PTFEの融点以上の温度で加熱し焼成すれば、強度を高めることができる。
【0028】
通気性支持材7は、材質、構造、形態については特に制限されないが、多孔体6よりも通気性が高い材料、例えば、不織布、織布、メッシュ(網目状シート)、スポンジ、フォーム、金属多孔体、金属メッシュ、その他の多孔質材料を用いることが好ましい。特に、強度、柔軟性、作業性の点からは不織布が好ましい。不織布の目付け量は、10〜500g/m2であることが好ましい。通気性支持材7の材料について特に制限はなく、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、芳香族ポリアミド、またはこれらの複合材などを用いることができる。特には、プラスチック容器等への溶着が容易な、融点が250℃以下の熱可塑性樹脂を含んでいることが好ましい。
【0029】
多孔体6と通気性支持材7は、単に重ねあわせるだけでもよく、互いに接合してもよい。接合は、例えば、接着剤ラミネート、熱ラミネート、加熱溶着、超音波溶着、振動溶着、接着剤による接着などの方法により行うことができる。例えば、熱ラミネートにより積層する場合は、加熱により通気性支持材7の一部を溶融して多孔体6と通気性支持材7とを接着すればよい。また、ホットメルトパウダーのような融着剤を介在させて接着してもよい。
【0030】
トナー容器用通気フィルタ1は、図3に示すように、周縁の少なくとも1部において、互いに隣接する層が密着していることが好ましい。周縁の少なくとも1部において、互いに隣接する層が密着していると、1層の多孔体6にピンホールが発生した場合に、トナー容器用通気フィルタ1の端部からトナーが漏れることを抑制できるからである。密着は、加熱溶着、超音波溶着、熱圧縮、粘着材による接着、トナー容器用通気フィルタ1の周縁をリング止めする等の方法により行うことができる。
【0031】
トナー容器用通気フィルタ1には、トナー容器用通気フィルタの性質またはトナーの性質に応じて撥水処理、撥油処理などの撥液処理が施されていてもよい。撥液処理は、表面張力の小さな物質を塗布し、乾燥後、キュアすることにより行うことができる。撥液剤としては、多孔体6または通気性支持材7よりも低い表面張力の被膜を形成できれば特に限定されないが、パーフルオロアルキル基を有する高分子が好適である。このような高分子としては、例えば、「フロラード」(住友スリーエム製)、「スコッチガード」(住友スリーエム製)、「テックスガード」(ダイキン工業製)、「ユニダイン」(ダイキン工業製)、「アサヒガード」(旭硝子製)など(すべて商品名)を利用してもよい。撥液剤の塗布は、含浸、スプレーなどにより行えばよい。撥液剤の塗布量は十分な撥液効果が得られ、かつトナー容器用通気フィルタ1の通気性が妨げられないように調整することが好ましい。撥液処理は、多孔体6にのみ施してもよいし、多孔体6および通気性支持材7の両方に施してもよい。
【0032】
図2および図5に示すように、トナー容器用通気フィルタ1が、容器5の通気部9を覆うことができる形状をしている場合、トナー容器用通気フィルタ1の一方の面の周縁が粘着層8の一方の面から形成されていることが好ましい。トナー容器用通気フィルタ1が粘着層8を含み、トナー容器用通気フィルタ1の一方の面の周縁が粘着層8の一方の面から形成されていると、通気部9への取り付け(図2参照)が容易だからである。粘着層8には、例えば、両面テープ等を用いることができる。
【0033】
トナー容器用通気フィルタ1の形状、大きさについては特に制限はない。図5に示した例では、円形状をしているが、容器5の通気部9を覆うように配置できればどのような形状であってもよい。
【0034】
トナー容器用通気フィルタ1は、通気部9(図2参照)へ取り付けられる前においては、図6に示すように、剥離可能なシート状物上に貼り付けられて、保管または輸送等されることが好ましい。複数のトナー容器用通気フィルタ1が剥離可能なシート状物に貼り付けられたトナー容器用通気フィルタの保持材は、取り扱いが容易であり、トナー容器用通気フィルタ1を通気部9へ取り付ける際の自動化が容易となる。
【0035】
例えば、トナー容器用通気フィルタ1が粘着層8を含む場合(図5参照)、図6(a)に示すように、表面にシリコンが塗布されたセパレータシート18上に複数のトナー容器用通気フィルタ1を貼り付けて保管等する。また、トナー容器用通気フィルタ1が上記粘着層8を含まない場合には、図6(b)に示すように、セパレータシート18と粘着性シート19との間に複数のトナー容器用通気フィルタ1を挟んで保管等する。図6(a)および図6(b)に示したシート状物(図6(a)ではセパレータシート18、図6(b)ではセパレータシート18および粘着性シート19)は帯状であってもよく、複数のトナー容器用通気フィルタ1が貼り付けられた上記シート状物はロール状に巻き取られていてもよい。
【0036】
図2には、トナー容器用通気フィルタ1が取り付けられたトナー容器の一例を示している。本実施の形態のトナー容器は、図2に示すように、トナー容器用通気フィルタ1と、通気部9、開口部3およびトナー2を内部に収容するための空間を有する容器5とを含んでいる。トナー2が充填されたトナー容器を、レーザープリンター、ファクシミリ等の電子写真画像形成装置に装着すれば、開口部3からトナー2をプリンタヘッドなどの描画手段へ送り込むことができる。
【0037】
図7〜図9に、本実施の形態のトナー容器用通気フィルタ1が取り付けられたトナー容器の他の例を示している。これらのトナー容器は、本実施の形態のトナー容器用通気フィルタ1が取り付けられていること以外は従来からある一般的なトナー容器と同様の構造をしている。
【0038】
図7に示した本実施の形態のトナー容器は、円筒形をしており、トナー容器用通気フィルタ1とトナー2を内部に収容するための空間を有する容器5とを含んでいる。容器5は、トナー容器用通気フィルタ1によって覆われた通気部9、スライドさせることにより開口部(図示せず)を開閉可能とするシャッター部材11と、容器5の内部に配置されて、トナーを上記開口部から排出する掻きだし部材(図示せず)とを備えている。
【0039】
図8に示した本実施の形態のトナー容器では、画像形成装置の感光ドラムにトナーを供給する現像ローラ13と、トナー2を収容するための空間を有するとともに、上記現像ローラ13を支持する容器5と、容器5の通気部9を覆うトナー容器用通気フィルタ1とを含んでいる。容器5は、トナーを攪拌するための攪拌バー14と、現像ローラ13を露出させるための開口部を開閉可能とするシャッター部材11とを備えている。
【0040】
図9に示した本実施の形態のトナー容器は、廃トナーを回収するためのトナー容器であり、トナー2を内部に収容するための空間を有する容器5とトナー容器用通気フィルタ1とを含んでいる。容器5は、トナー容器用通気フィルタ1によって覆われた通気部9と、廃トナーを導入するためのチューブ15が接続された注入口16とを備えている。画像形成装置の感光ドラムに残留した未転写トナーは、画像形成装置内のクリーニング装置により感光ドラムから除去され、廃トナー搬送装置により、図9に示すようなトナー容器に送られて収容される。
【0041】
(実施の形態2)
実施の形態2では、本発明の通気部材の一例と、その通気部材を用いたトナー容器の一例について説明する。
【0042】
図10に示すように、本実施の形態の通気部材21は、実施の形態1のトナー容器用通気フィルタ1と、貫通孔12を有する支持体10とを含み、トナー容器用通気フィルタ1が、貫通孔12を覆うように支持体10に配置されている。トナー容器用通気フィルタ1は、薄く軽いため、単体ではハンドリング性が悪く、容器へ取り付けるプロセスの自動化が容易でない。トナー容器用通気フィルタ1が支持体10によって支持されていると、容器への取り付けが容易となる。
【0043】
図10および図11に示すように、支持体10は、容器5の通気部9内に挿入される筒状部10aを含み、トナー容器用通気フィルタ1は、筒状部10aの挿入開始側端部(一方の端部)に固着されている。トナー容器用通気フィルタ1が筒状部10aの一方の端部に固着されているので、トナー容器用通気フィルタ1を容器5の内部に配置できる。トナー容器用通気フィルタ1を容器5の内部に配置すれば、通気部9におけるトナー滞留領域を減らすことができるので、トナー滞留領域内に残留したトナーによる通気フィルタの目詰まり、すなわち、通気フィルタの性能劣化を防止できる。
【0044】
トナー容器用通気フィルタ1の支持体10への固着は、例えば、加熱溶着、超音波溶着、振動溶着、接着剤による接着、粘着層による接着などの方法により行うことができる。
【0045】
図11に、図10に示した通気部材21を用いたトナー容器の一例を示している。図11に示すように、トナー容器は、支持体10にトナー容器用通気フィルタ1が固着された通気部材と、通気部9、開口部3およびトナー2を内部に収容するための空間を有する容器5とを含んでいる。
【0046】
通気部材21の容器5への取り付けは、例えば、超音波溶着、熱溶着、振動溶着、接着剤による接着、圧入等の方法により行うことができる。支持体10と通気部9に、互いに螺合または嵌合する、ネジ溝または嵌合溝等を設ける等して、嵌合または螺合により、通気部材21を容器5へ取り付けてもよい。圧入、嵌合、螺合による取り付けは、通気部材21の交換が容易であるため好ましい。
【0047】
図12に、図10に示した通気部材21を用いたトナー容器の他の例を示している。図12に示すトナー容器では、容器5が2つの開口部3を備えている。容器5が2つの開口部3を備えているので、通気部9からトナー容器用通気フィルタ1を介して空気を排出して一方の開口部3から容器5内にトナー2を吸引し、通気部9から空気を送り込んで他方の開口部3からり余分なトナーを排出することができる。
【0048】
尚、容器5に取り付けられるトナー容器用通気フィルタ1または通気部材21の個数については特に制限されるものではなく、他の面や同じ面に複数個取り付けられていてもよい。トナー容器用通気フィルタ1または通気部材21を複数個取り付ける場合、トナーが収容されたトナー容器5がどのような姿勢に置かれても、少なくとも一つのトナー容器用通気フィルタ1または通気部材21がトナーによって塞がれないように、トナー容器用通気フィルタ1または通気部材21の取り付け位置を決定することが好ましい。
【0049】
【実施例】
以下、本発明のトナー容器用通気フィルタの一例をさらに詳細に説明する。
【0050】
(実施例1)
下記のとおり、図1に示した構造のトナー容器用通気フィルタ1を作製した。PTFE多孔体6(日東電工(株)製、「ミクロテックスNTF1033」、厚さ15μm、捕集効率98.7%)2枚と、PP製メルトブローン不織布7(厚さ300μm、目付け量40g/m2)を1枚を用意した。不織布7とPTFE多孔体6とを、160℃にて接着剤ラミネートした。さらに、不織布7のPTFE多孔体6がラミネートされていない面と、もう一枚のPTFE多孔体6とを上記と同様にラミネートして、3層構造のトナー容器用通気フィルタ(ガーレー通気度1.6sec/100ml)を得た。
【0051】
(比較例1)
実施例1で用いたPTFE多孔体6と不織布7とを1枚ずつ用意し、PTFE多孔体6と不織布7とを実施例1と同様の方法によりラミネートして、図13に示すような2層構造のトナー容器用通気フィルタ(ガーレー通気度0.7sec/100ml)を得た。
【0052】
(比較例2)
PTFE多孔体(厚さ10μm、捕集効率82.8%、フラジール通気度40cm3/cm2・s)をトナー容器用通気フィルタ(ガーレー通気度1600sec/100ml)として用意した。
【0053】
実施例1、比較例1、2において得たトナー容器用通気フィルタ(トナー容器用通気フィルタAと総称する)について、下記のトナー漏れ試験をした。
【0054】
トナー容器用通気フィルタAの両面のうちの、PTFE多孔体の一方の面によって形成される面をトナー接触面とし、シリンジ用交換針(外径×内径 0.47mm×0.115mm)を、上記トナー接触面から不織布7に達するまで突き刺して、上記PTFE多孔体にピンホールを形成した。PTFE多孔体6にピンホールが形成されたトナー容器用通気フィルタAを、図14に示した支持体10に粘着剤17によって固定した後、乾式トナー2(市販品、シアントナー、平均粒径5μm)を収容した容器(ボトル)5に取り付け、トナー容器31を作製した(トナー容器内の容積500cm3、トナー容量250cm3)。このトナー容器31を、30cmの高さから10回落下させた後、トナー容器用通気フィルタAからのトナー漏れの有無を確認した。
【0055】
上記試験の結果、実施例1で得たトナー容器用通気フィルタでは、トナー漏れは確認されなかったが、比較例1、2で得たトナー容器用通気フィルタでは、トナー漏れが確認された。いずれか一方の多孔体6にピンホールが発生しても、他方の多孔体6によりトナー漏れを抑制できることが確認できた。
【0056】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、トナー漏れが抑制されたトナー容器用通気フィルタ、通気部材、これらを用いたトナー容器を提供できる。また、本発明のトナー容器用通気フィルタの保持材も提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナー容器用通気フィルタの一例を示す断面図
【図2】本発明のトナー容器の一例を示す断面図
【図3】本発明のトナー容器用通気フィルタの他の例を示す断面図
【図4】本発明のトナー容器用通気フィルタの他の例を示す断面図
【図5】本発明のトナー容器用通気フィルタの他の例を示す断面図
【図6】(a)および(b)は、トナー容器用通気フィルタの保持材の一例を示す斜視図
【図7】本発明のトナー容器の他の例を示す斜視図
【図8】(a)は本発明のトナー容器の他の例を示す斜視図、(b)は(a)I−I’断面図
【図9】本発明のトナー容器の他の例を示す斜視図
【図10】本発明の通気部材の一例を示す断面図
【図11】本発明のトナー容器の他の例を示す断面図
【図12】本発明のトナー容器の他の例を示す断面図
【図13】比較例1のトナー容器用フィルタを示す断面図
【図14】トナー漏れ試験に用いたトナー容器を説明する図
【符号の説明】
1 トナー容器用通気フィルタ
2 トナー
3 開口部
5 容器
6 多孔体
7 通気性支持材
8 粘着層
9 通気部
10 支持体
10a 筒状部
11 シャッター
12 貫通孔
13 現像ローラ
14 攪拌バー
15 チューブ
16 注入口
21 通気部材
31 トナー容器
【発明の属する技術分野】
本発明はトナー容器用通気フィルタ、通気部材、これらを用いたトナー容器、およびトナー容器用通気フィルタの保持材に関する。
【0002】
【従来の技術】
トナー容器には、トナー容器内に生じた負圧や正圧を解消するために通気部が設けられている。負圧や正圧状態は、温度変化やトナー量の減少などにより発生する。この通気部には、トナーが空気と共に外へ漏れ出さないようにフィルタが取り付けられており、このフィルタは、1層のフッ素樹脂多孔体と織布または不織布とから構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−311553号公報(図5、図6、図10、図12、5−8頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような構造のフィルタにおいては、何らかの力によりフッ素樹脂多孔体にピンホールが生じた場合、ピンホールからトナー漏れが発生するという問題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のトナー容器用通気フィルタは、フッ素樹脂およびポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む複数層の多孔体と、少なくとも1層の通気性支持材とを含み、前記複数層の多孔体から選ばれる少なくとも1対の多孔体の間に、少なくとも1層の前記通気性支持材が配置されていることを特徴とする。
【0006】
本発明の通気部材は、本発明のトナー容器用通気フィルタと、貫通孔を有する支持体とを含み、前記トナー容器用通気フィルタが前記貫通孔を覆うように前記支持体に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明のトナー容器は、本発明のトナー容器用通気フィルタが、トナーを収容するための空間を有する容器の通気部に取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明の別のトナー容器は、本発明の通気部材が、トナーを収容するための空間を有する容器の通気部に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照しながら説明する。
【0010】
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明のトナー容器用通気フィルタの一例と、そのトナー容器用通気フィルタを用いたトナー容器の一例について説明する。
【0011】
図1に示すように、トナー容器用通気フィルタ1は、フッ素樹脂およびポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む2層の多孔体6と、1層の通気性支持材7とを含み、2層の多孔体6の間に通気性支持材7が配置されている。
【0012】
本実施の形態のトナー容器用通気フィルタ1では、1対の多孔体6の間に通気性支持材7が配置されているので、外力などにより1対の多孔体6が同時期に破損することを抑制でき、いずれか一方の多孔体6にピンホールが発生しても、他方の多孔体6によりトナー漏れを抑制できる。
【0013】
図1に示したトナー容器用通気フィルタ1は、2層の多孔体6と1層の通気性支持材7とからなるが、本実施形態のトナー容器用通気フィルタ1はこれに制限されるものではなく、3層以上の多孔体6と2層以上の通気性支持材7とを含んでいてもよい。複数層の多孔体6から選択される少なくとも1対の多孔体6の間に、少なくとも1層の通気性支持材7が配置されていれば、例えば、図4に示すように、複数の多孔体6と複数の通気性支持材7とが交互に積層されていてもよいし、多孔体6および通気性支持材7のいずれか一方もしくは両方が連続して積層されている部分があってもよい。
【0014】
トナー容器用通気フィルタ1は、JIS K 7127に準拠して測定された引張強度が1MPa以上であることが好ましい。図2に示すように、トナー容器用通気フィルタ1が容器5の通気部9に取り付けられた状態で、通気部9から空気を排出して開口部3から容器5内にトナー2を吸引したり、通気部9から空気を送り込んで余分なトナー2を開口部3から排出することを繰り返し行っても、トナー容器用通気フィルタ1の変形、破損を抑制できるからである。引張強度の上限については特に制限はないが、通常、100MPa以下である。
【0015】
トナー容器用通気フィルタ1は、JIS P 8117に準拠して測定された通気度(ガーレー通気度)が、0.1〜300sec/100mLであることが好ましい。トナー容器内外の圧力差を迅速に解消できるからである。
【0016】
トナー容器用通気フィルタ1の捕集効率は90%以上であることが望ましい。捕集効率が90%以上であれば、トナー漏れを十分に防ぐことができるからである。尚、本発明において捕集効率とは、粒径が0.3〜0.5μmのジオクチルフタレート(DOP)を、5.3cm/sの流速で透過させたときの捕集効率であり、下記のようにして求めることができる。
【0017】
サンプルを有効面積が100cm2となるように円形ホルダーにセットし、サンプルを通過する空気の流速を5.3cm/sに調整しながら、サンプルの上流側にDOP(粒径0.3〜0.5μm)を濃度が約107個/リットルとなるように供給し、上流側の粒子濃度とサンプルを透過してきた下流側の粒子濃度とをパーティクルカウンターで測定し、その測定値を下記の式に代入する。
【0018】
捕集効率(%)=(1−(下流側濃度/上流側濃度))×100
【0019】
多孔体6は、フッ素樹脂およびポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含んでいる。フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下「PTFE」という)、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体などが挙げられる。ポリオレフィンのモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、1−ブテンなどが挙げられる。ポリオレフィンは、これら上記のモノマーを単体で重合したものでもよいし、共重合したものでもよい。これらの樹脂を用いると、精度の良い多孔体が容易にでき、通気安定性の高いトナー容器用通気フィルタを得ることができる。特に、PTFEが好ましい。PTFEは、高気孔率で精度の良い多孔化が容易だからである。
【0020】
トナー容器用通気フィルタ1の一方の面は、多孔体6の一方の面から形成されており、その多孔体6が、撥水性に優れ、トナーが付着し難いフッ素樹脂、特に、PTFEを含んでいることが好ましい。トナー容器用通気フィルタ1を、上記一方の面が容器の内部空間側に向くように容器に取り付ければ、トナーの浸透や付着が抑制されて、トナー容器用通気フィルタ1の目詰まりを抑制できるからである。
【0021】
多孔体6の、粒径が0.3〜0.5μmのジオクチルフタレートを、5.3cm/sの流速で透過させたときの捕集効率が90%以上であることが好ましい。トナー漏れを十分に防ぐことができるからである。尚、多孔体6の捕集効率も、トナー容器用通気フィルタ1の場合と同様にして求めることができる。
【0022】
多孔体6の気孔率(体積%)は30〜99%であることが好ましい。気孔率が30〜99%の多孔体6を用いれば、十分な通気量が確保できるからである。気孔率は、多孔体6の片面の面積S、厚みd、重量mおよび比重rとから、下記の式により求めることができる。
【0023】
気孔率(体積%)=[1−(m/(S×d×r))]×100
【0024】
多孔体6の孔径は、通常10μm以下、さらには、0.01μm〜5μmであることが好ましい。孔径が大きすぎると多孔体6が強度不足となったり、トナー漏れが発生し易くなるからである。
【0025】
多孔体6の厚さは、通常2μm以上、さらには、10μm〜100μmであることが好ましい。薄すぎると多孔体6の強度不足により、トナー容器の内部圧力の上昇によってトナー漏れが発生し易くなり、厚すぎると通気性が低下するからである。
【0026】
上記した多孔体6は、従来から用いられてきた方法により作製することができる。以下にその作製方法の一例を、PTFE多孔体を例に挙げて説明する。
【0027】
まず、PTFEファインパウダーに液状潤滑剤を加えたペースト状の混和物を予備成形する。液状潤滑剤はPTFEファインパウダーの表面を濡らすことができ、抽出や乾燥によって除去できるものであれば特に制限されない。例えば、ナフサ、ホワイトオイルなどの炭化水素を使用できる。液状潤滑剤の添加量はPTFEファインパウダー100重量部に対して5〜50重量部程度が適当である。予備成形は、液状潤滑剤が絞り出されない程度の圧力で行う。予備成形体をペースト押出や圧延によってシート状に成形し、得られたPTFE成形体を少なくとも一軸方向に延伸して未焼成のPTFE多孔体を得る。なお、延伸は液状潤滑剤を除去してから行うことが好ましい。この未焼成のPTFE多孔体は、PTFEの融点以上の温度で加熱し焼成すれば、強度を高めることができる。
【0028】
通気性支持材7は、材質、構造、形態については特に制限されないが、多孔体6よりも通気性が高い材料、例えば、不織布、織布、メッシュ(網目状シート)、スポンジ、フォーム、金属多孔体、金属メッシュ、その他の多孔質材料を用いることが好ましい。特に、強度、柔軟性、作業性の点からは不織布が好ましい。不織布の目付け量は、10〜500g/m2であることが好ましい。通気性支持材7の材料について特に制限はなく、ポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、芳香族ポリアミド、またはこれらの複合材などを用いることができる。特には、プラスチック容器等への溶着が容易な、融点が250℃以下の熱可塑性樹脂を含んでいることが好ましい。
【0029】
多孔体6と通気性支持材7は、単に重ねあわせるだけでもよく、互いに接合してもよい。接合は、例えば、接着剤ラミネート、熱ラミネート、加熱溶着、超音波溶着、振動溶着、接着剤による接着などの方法により行うことができる。例えば、熱ラミネートにより積層する場合は、加熱により通気性支持材7の一部を溶融して多孔体6と通気性支持材7とを接着すればよい。また、ホットメルトパウダーのような融着剤を介在させて接着してもよい。
【0030】
トナー容器用通気フィルタ1は、図3に示すように、周縁の少なくとも1部において、互いに隣接する層が密着していることが好ましい。周縁の少なくとも1部において、互いに隣接する層が密着していると、1層の多孔体6にピンホールが発生した場合に、トナー容器用通気フィルタ1の端部からトナーが漏れることを抑制できるからである。密着は、加熱溶着、超音波溶着、熱圧縮、粘着材による接着、トナー容器用通気フィルタ1の周縁をリング止めする等の方法により行うことができる。
【0031】
トナー容器用通気フィルタ1には、トナー容器用通気フィルタの性質またはトナーの性質に応じて撥水処理、撥油処理などの撥液処理が施されていてもよい。撥液処理は、表面張力の小さな物質を塗布し、乾燥後、キュアすることにより行うことができる。撥液剤としては、多孔体6または通気性支持材7よりも低い表面張力の被膜を形成できれば特に限定されないが、パーフルオロアルキル基を有する高分子が好適である。このような高分子としては、例えば、「フロラード」(住友スリーエム製)、「スコッチガード」(住友スリーエム製)、「テックスガード」(ダイキン工業製)、「ユニダイン」(ダイキン工業製)、「アサヒガード」(旭硝子製)など(すべて商品名)を利用してもよい。撥液剤の塗布は、含浸、スプレーなどにより行えばよい。撥液剤の塗布量は十分な撥液効果が得られ、かつトナー容器用通気フィルタ1の通気性が妨げられないように調整することが好ましい。撥液処理は、多孔体6にのみ施してもよいし、多孔体6および通気性支持材7の両方に施してもよい。
【0032】
図2および図5に示すように、トナー容器用通気フィルタ1が、容器5の通気部9を覆うことができる形状をしている場合、トナー容器用通気フィルタ1の一方の面の周縁が粘着層8の一方の面から形成されていることが好ましい。トナー容器用通気フィルタ1が粘着層8を含み、トナー容器用通気フィルタ1の一方の面の周縁が粘着層8の一方の面から形成されていると、通気部9への取り付け(図2参照)が容易だからである。粘着層8には、例えば、両面テープ等を用いることができる。
【0033】
トナー容器用通気フィルタ1の形状、大きさについては特に制限はない。図5に示した例では、円形状をしているが、容器5の通気部9を覆うように配置できればどのような形状であってもよい。
【0034】
トナー容器用通気フィルタ1は、通気部9(図2参照)へ取り付けられる前においては、図6に示すように、剥離可能なシート状物上に貼り付けられて、保管または輸送等されることが好ましい。複数のトナー容器用通気フィルタ1が剥離可能なシート状物に貼り付けられたトナー容器用通気フィルタの保持材は、取り扱いが容易であり、トナー容器用通気フィルタ1を通気部9へ取り付ける際の自動化が容易となる。
【0035】
例えば、トナー容器用通気フィルタ1が粘着層8を含む場合(図5参照)、図6(a)に示すように、表面にシリコンが塗布されたセパレータシート18上に複数のトナー容器用通気フィルタ1を貼り付けて保管等する。また、トナー容器用通気フィルタ1が上記粘着層8を含まない場合には、図6(b)に示すように、セパレータシート18と粘着性シート19との間に複数のトナー容器用通気フィルタ1を挟んで保管等する。図6(a)および図6(b)に示したシート状物(図6(a)ではセパレータシート18、図6(b)ではセパレータシート18および粘着性シート19)は帯状であってもよく、複数のトナー容器用通気フィルタ1が貼り付けられた上記シート状物はロール状に巻き取られていてもよい。
【0036】
図2には、トナー容器用通気フィルタ1が取り付けられたトナー容器の一例を示している。本実施の形態のトナー容器は、図2に示すように、トナー容器用通気フィルタ1と、通気部9、開口部3およびトナー2を内部に収容するための空間を有する容器5とを含んでいる。トナー2が充填されたトナー容器を、レーザープリンター、ファクシミリ等の電子写真画像形成装置に装着すれば、開口部3からトナー2をプリンタヘッドなどの描画手段へ送り込むことができる。
【0037】
図7〜図9に、本実施の形態のトナー容器用通気フィルタ1が取り付けられたトナー容器の他の例を示している。これらのトナー容器は、本実施の形態のトナー容器用通気フィルタ1が取り付けられていること以外は従来からある一般的なトナー容器と同様の構造をしている。
【0038】
図7に示した本実施の形態のトナー容器は、円筒形をしており、トナー容器用通気フィルタ1とトナー2を内部に収容するための空間を有する容器5とを含んでいる。容器5は、トナー容器用通気フィルタ1によって覆われた通気部9、スライドさせることにより開口部(図示せず)を開閉可能とするシャッター部材11と、容器5の内部に配置されて、トナーを上記開口部から排出する掻きだし部材(図示せず)とを備えている。
【0039】
図8に示した本実施の形態のトナー容器では、画像形成装置の感光ドラムにトナーを供給する現像ローラ13と、トナー2を収容するための空間を有するとともに、上記現像ローラ13を支持する容器5と、容器5の通気部9を覆うトナー容器用通気フィルタ1とを含んでいる。容器5は、トナーを攪拌するための攪拌バー14と、現像ローラ13を露出させるための開口部を開閉可能とするシャッター部材11とを備えている。
【0040】
図9に示した本実施の形態のトナー容器は、廃トナーを回収するためのトナー容器であり、トナー2を内部に収容するための空間を有する容器5とトナー容器用通気フィルタ1とを含んでいる。容器5は、トナー容器用通気フィルタ1によって覆われた通気部9と、廃トナーを導入するためのチューブ15が接続された注入口16とを備えている。画像形成装置の感光ドラムに残留した未転写トナーは、画像形成装置内のクリーニング装置により感光ドラムから除去され、廃トナー搬送装置により、図9に示すようなトナー容器に送られて収容される。
【0041】
(実施の形態2)
実施の形態2では、本発明の通気部材の一例と、その通気部材を用いたトナー容器の一例について説明する。
【0042】
図10に示すように、本実施の形態の通気部材21は、実施の形態1のトナー容器用通気フィルタ1と、貫通孔12を有する支持体10とを含み、トナー容器用通気フィルタ1が、貫通孔12を覆うように支持体10に配置されている。トナー容器用通気フィルタ1は、薄く軽いため、単体ではハンドリング性が悪く、容器へ取り付けるプロセスの自動化が容易でない。トナー容器用通気フィルタ1が支持体10によって支持されていると、容器への取り付けが容易となる。
【0043】
図10および図11に示すように、支持体10は、容器5の通気部9内に挿入される筒状部10aを含み、トナー容器用通気フィルタ1は、筒状部10aの挿入開始側端部(一方の端部)に固着されている。トナー容器用通気フィルタ1が筒状部10aの一方の端部に固着されているので、トナー容器用通気フィルタ1を容器5の内部に配置できる。トナー容器用通気フィルタ1を容器5の内部に配置すれば、通気部9におけるトナー滞留領域を減らすことができるので、トナー滞留領域内に残留したトナーによる通気フィルタの目詰まり、すなわち、通気フィルタの性能劣化を防止できる。
【0044】
トナー容器用通気フィルタ1の支持体10への固着は、例えば、加熱溶着、超音波溶着、振動溶着、接着剤による接着、粘着層による接着などの方法により行うことができる。
【0045】
図11に、図10に示した通気部材21を用いたトナー容器の一例を示している。図11に示すように、トナー容器は、支持体10にトナー容器用通気フィルタ1が固着された通気部材と、通気部9、開口部3およびトナー2を内部に収容するための空間を有する容器5とを含んでいる。
【0046】
通気部材21の容器5への取り付けは、例えば、超音波溶着、熱溶着、振動溶着、接着剤による接着、圧入等の方法により行うことができる。支持体10と通気部9に、互いに螺合または嵌合する、ネジ溝または嵌合溝等を設ける等して、嵌合または螺合により、通気部材21を容器5へ取り付けてもよい。圧入、嵌合、螺合による取り付けは、通気部材21の交換が容易であるため好ましい。
【0047】
図12に、図10に示した通気部材21を用いたトナー容器の他の例を示している。図12に示すトナー容器では、容器5が2つの開口部3を備えている。容器5が2つの開口部3を備えているので、通気部9からトナー容器用通気フィルタ1を介して空気を排出して一方の開口部3から容器5内にトナー2を吸引し、通気部9から空気を送り込んで他方の開口部3からり余分なトナーを排出することができる。
【0048】
尚、容器5に取り付けられるトナー容器用通気フィルタ1または通気部材21の個数については特に制限されるものではなく、他の面や同じ面に複数個取り付けられていてもよい。トナー容器用通気フィルタ1または通気部材21を複数個取り付ける場合、トナーが収容されたトナー容器5がどのような姿勢に置かれても、少なくとも一つのトナー容器用通気フィルタ1または通気部材21がトナーによって塞がれないように、トナー容器用通気フィルタ1または通気部材21の取り付け位置を決定することが好ましい。
【0049】
【実施例】
以下、本発明のトナー容器用通気フィルタの一例をさらに詳細に説明する。
【0050】
(実施例1)
下記のとおり、図1に示した構造のトナー容器用通気フィルタ1を作製した。PTFE多孔体6(日東電工(株)製、「ミクロテックスNTF1033」、厚さ15μm、捕集効率98.7%)2枚と、PP製メルトブローン不織布7(厚さ300μm、目付け量40g/m2)を1枚を用意した。不織布7とPTFE多孔体6とを、160℃にて接着剤ラミネートした。さらに、不織布7のPTFE多孔体6がラミネートされていない面と、もう一枚のPTFE多孔体6とを上記と同様にラミネートして、3層構造のトナー容器用通気フィルタ(ガーレー通気度1.6sec/100ml)を得た。
【0051】
(比較例1)
実施例1で用いたPTFE多孔体6と不織布7とを1枚ずつ用意し、PTFE多孔体6と不織布7とを実施例1と同様の方法によりラミネートして、図13に示すような2層構造のトナー容器用通気フィルタ(ガーレー通気度0.7sec/100ml)を得た。
【0052】
(比較例2)
PTFE多孔体(厚さ10μm、捕集効率82.8%、フラジール通気度40cm3/cm2・s)をトナー容器用通気フィルタ(ガーレー通気度1600sec/100ml)として用意した。
【0053】
実施例1、比較例1、2において得たトナー容器用通気フィルタ(トナー容器用通気フィルタAと総称する)について、下記のトナー漏れ試験をした。
【0054】
トナー容器用通気フィルタAの両面のうちの、PTFE多孔体の一方の面によって形成される面をトナー接触面とし、シリンジ用交換針(外径×内径 0.47mm×0.115mm)を、上記トナー接触面から不織布7に達するまで突き刺して、上記PTFE多孔体にピンホールを形成した。PTFE多孔体6にピンホールが形成されたトナー容器用通気フィルタAを、図14に示した支持体10に粘着剤17によって固定した後、乾式トナー2(市販品、シアントナー、平均粒径5μm)を収容した容器(ボトル)5に取り付け、トナー容器31を作製した(トナー容器内の容積500cm3、トナー容量250cm3)。このトナー容器31を、30cmの高さから10回落下させた後、トナー容器用通気フィルタAからのトナー漏れの有無を確認した。
【0055】
上記試験の結果、実施例1で得たトナー容器用通気フィルタでは、トナー漏れは確認されなかったが、比較例1、2で得たトナー容器用通気フィルタでは、トナー漏れが確認された。いずれか一方の多孔体6にピンホールが発生しても、他方の多孔体6によりトナー漏れを抑制できることが確認できた。
【0056】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、トナー漏れが抑制されたトナー容器用通気フィルタ、通気部材、これらを用いたトナー容器を提供できる。また、本発明のトナー容器用通気フィルタの保持材も提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトナー容器用通気フィルタの一例を示す断面図
【図2】本発明のトナー容器の一例を示す断面図
【図3】本発明のトナー容器用通気フィルタの他の例を示す断面図
【図4】本発明のトナー容器用通気フィルタの他の例を示す断面図
【図5】本発明のトナー容器用通気フィルタの他の例を示す断面図
【図6】(a)および(b)は、トナー容器用通気フィルタの保持材の一例を示す斜視図
【図7】本発明のトナー容器の他の例を示す斜視図
【図8】(a)は本発明のトナー容器の他の例を示す斜視図、(b)は(a)I−I’断面図
【図9】本発明のトナー容器の他の例を示す斜視図
【図10】本発明の通気部材の一例を示す断面図
【図11】本発明のトナー容器の他の例を示す断面図
【図12】本発明のトナー容器の他の例を示す断面図
【図13】比較例1のトナー容器用フィルタを示す断面図
【図14】トナー漏れ試験に用いたトナー容器を説明する図
【符号の説明】
1 トナー容器用通気フィルタ
2 トナー
3 開口部
5 容器
6 多孔体
7 通気性支持材
8 粘着層
9 通気部
10 支持体
10a 筒状部
11 シャッター
12 貫通孔
13 現像ローラ
14 攪拌バー
15 チューブ
16 注入口
21 通気部材
31 トナー容器
Claims (12)
- フッ素樹脂およびポリオレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む複数層の多孔体と、少なくとも1層の通気性支持材とを含み、前記複数層の多孔体から選ばれる少なくとも1対の多孔体の間に、少なくとも1層の前記通気性支持材が配置されていることを特徴とするトナー容器用通気フィルタ。
- 前記フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1に記載のトナー容器用通気フィルタ。
- 一方の面の少なくとも一部は、前記多孔体の一方の面によって形成されている請求項1または2に記載のトナー容器用通気フィルタ。
- 粘着層をさらに含み、一方の面の周縁は、前記粘着層の一方の面から形成されている請求項1〜3のいずれかの項に記載のトナー容器用通気フィルタ。
- 周縁の少なくとも一部において、互いに隣接する層が密着している請求項1〜4のいずれかの項に記載のトナー容器用通気フィルタ。
- 前記多孔体の、粒径が0.3〜0.5μmのジオクチルフタレートを、5.3cm/sの流速で透過させたときの捕集効率が90%以上である請求項1〜5のいずれかの項に記載のトナー容器用通気フィルタ。
- 請求項1〜6のいずれかの項に記載のトナー容器用通気フィルタを複数含み、複数の前記トナー容器用通気フィルタが剥離可能なシート状物に貼り付けられていることを特徴とするトナー容器用通気フィルタの保持材。
- 前記シート状物が帯状であり、複数の前記トナー容器用通気フィルタが貼り付けられた前記シート状物がロール状に巻き取られている請求項7に記載のトナー容器用通気フィルタの保持材。
- 請求項1〜6のいずれかの項に記載のトナー容器用通気フィルタと、貫通孔を有する支持体とを含み、前記トナー容器用通気フィルタが前記貫通孔を覆うように前記支持体に配置されていることを特徴とする通気部材。
- 前記支持体が、筒状部を含み、前記筒状部の一方の端部に前記トナー容器用通気フィルタが固着された請求項9に記載の通気部材。
- 請求項1〜6のいずれかの項に記載のトナー容器用通気フィルタが、トナーを収容するための空間を有する容器の通気部に取り付けられていることを特徴とするトナー容器。
- 請求項9または10に記載の通気部材が、トナーを収容するための空間を有する容器の通気部に取り付けられていることを特徴とするトナー容器。
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