JP2004279434A - 静電荷像現像用トナー、フルカラートナーキット、画像形成方法及び熱刺激電流測定方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、フルカラートナーキット、画像形成方法及び熱刺激電流測定方法 Download PDF

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Tomoko Uchiumi
知子 内海
Masaru Mochizuki
賢 望月
Yasutaka Iwamoto
康敬 岩本
Yasuo Asahina
安雄 朝比奈
Hideki Sugiura
英樹 杉浦
Kazuhiko Umemura
和彦 梅村
Koichi Sakata
宏一 坂田
Tomoyuki Ichikawa
智之 市川
Shinya Nakayama
慎也 中山
Hisashi Nakajima
久志 中島
Naoto Shimoda
直人 霜田
Takahiro Honda
隆浩 本多
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Abstract

【課題】トナーを高温高湿環境で長時間保管後に高温高湿環境下で数万枚画像を出力した後においても帯電安定性に優れ、弱帯電、逆帯電トナーが少なく、トナー飛散が発生しない、また、常温常湿環境だけでなく、低温低湿環境下において数万枚画像を出力した後でも帯電安定性に優れ、弱帯電、逆帯電トナーが少なく、地肌汚れ(かぶり)が発生しない、さらに、数万枚画像を出力した後でも、十分な着色性、耐光性、透明性、発色性、鮮明性、色再現性、彩度、光沢を有するトナー、現像剤、画像形成方法、画像形成装置を提供する。
【解決手段】少なくとも着色剤とバインダー樹脂を含む静電荷像現像用トナーにおいて、トナーを帯電させ、電極と接触させた状態で測定する接触法で測定した昇温過程における熱刺激電流値の少なくとも60〜100℃におけるピーク値が、0.001〜1pAであることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電荷像現像用トナー、二成分現像剤、フルカラートナーキット、及び画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
静電荷像現像法、静電印刷法による代表的な画像形成工程は、光電導性絶縁層を一様に帯電させ、その絶縁層を露光させた後、露光された部分上の電荷を消散させることによって電気的な潜像を形成し、該潜像に電荷を持った微粉末のトナーを付着させることにより可視化させる現像工程、得られた可視像を転写紙等の転写材に転写させる転写工程、加熱あるいは加圧(通常、熱ローラー使用)により定着させる定着工程からなる。潜像保持面上に形成される静電荷像を現像する為の現像剤として、キャリアとトナーから成る二成分系現像剤及び、キャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)が知られている。フルカラー画像形成装置としては、感光体上に形成された各色のトナー像を中間転写体に順次転写して一旦保持し、その後一括して用紙上に再度転写する方式がよく知られている。
【0003】
このような静電荷像現像法あるいは静電印刷法に使用されるトナーはバインダー樹脂及び着色剤を主成分とし、これに必要とあれば帯電制御剤、オフセット防止剤等の添加物を含有させたものであり、上記各工程において様々な性能が要求される。例えば、現像工程においては、電気的な潜像にトナーを付着させるために、トナー及びトナー用バインダー樹脂は温度、湿度等の周囲の環境に影響されることなくコピー機、あるいはプリンターに適した帯電量を保持しなくてはならない。また、熱ローラー定着方式による定着工程においては、通常100〜230℃程度の温度に加熱された熱ローラーに付着しない非オフセット性、及び紙への定着性が良好でなくてはならない。さらに、コピー機内での保存中にトナーがブロッキングしない耐ブロッキング性も要求される。
【0004】
静電荷像現像に使用されるトナーは、一般に、結着樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、その他の添加剤を含有させた着色粒子であり、その製造方法には、大別して粉砕法と重合法がある。粉砕法では、熱可塑性樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤等を溶融混合して均一に分散させ、得られた組成物を粉砕、分級することによりトナーを製造している。粉砕法によれば、ある程度優れた特性を有するトナーを製造することができるが、トナー用材料の選択に制限がある。例えば、溶融混合により得られる組成物は、経済的に使用可能な装置により粉砕し、分級できるものでなければならない。この要請から、溶融混合した組成物は、充分に脆くせざるを得ない。このため、実際に上記組成物を粉砕して粒子にする際に、高範囲の粒径分布が形成され易く、良好な解像度と階調性のある複写画像を得ようとすると、例えば、粒径5μm以下の微粉と20μm以上の粗粉を分級により除去しなければならず、収率が非常に低くなるという欠点がある。また、粉砕法では、着色剤や帯電制御剤等を熱可塑性樹脂中に均一に分散することが困難である。配合剤の不均一な分散は、トナーの流動性、現像性、耐久性、画像品質等に悪影響を及ぼす。
【0005】
近年、これらの粉砕法における問題点を克服するために、例えば懸濁重合法(特許文献1参照)によってトナー粒子を得ることが行われている。しかしながら、懸濁重合法で得られるトナー粒子は球形であるが、クリーニング性に劣るという欠点がある。画像面積率の低い現像・転写では転写残トナーが少なく、クリーニング不良が問題となることはないが、写真画像等画像面積率の高いもの、さらには、給紙不良等で未転写の画像形成したトナーが感光体上に転写残トナーとして発生することがあり、蓄積すると画像の地汚れを発生してしまう。また、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう。また低温定着性も十分でなく、定着に必要なエネルギーが多く必要で問題であった。一方、乳化重合法により得られる樹脂微粒子を会合させて不定形のトナー粒子を得る方法が開示されている(特許文献2参照)。しかし、乳化重合法で得られるトナー粒子は、水洗浄工程を経ても、界面活性剤が、表面だけでなく、粒子内部にも多量に残存し、トナーの帯電の環境安定性を損ない、かつ帯電量分布を広げ、得られた画像の地汚れが不良となる。また、残存する界面活性剤により、感光体や帯電ローラ、現像ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう等、問題であった。
【0006】
一方、熱ローラ等の加熱部材を使用して行われる接触加熱方式による定着工程において、加熱部材に対するトナー粒子の離型性(以下、「耐オフセット性」という。)が要求される。ここに、耐オフセット性は、トナー粒子表面に離型剤を存在させることにより向上させることができる。これに対し、特許文献3、及び特許文献4では樹脂微粒子をトナー粒子中に含有させるだけでなく、当該樹脂微粒子がトナー粒子の表面に偏在していることにより、耐オフセット性を向上する方法が開示されている。しかし、定着下限温度が上昇し、低温定着性即ち省エネ定着性が十分でない問題があった。
【0007】
また、乳化重合法によって得られる樹脂微粒子を会合させて不定形のトナー粒子を得る方法では、下記のような問題を生じる。つまり耐オフセット性を向上させるために、離型剤微粒子を会合させる場合において、当該離型剤微粒子がトナー粒子の内部に取り込まれてしまい、この結果、耐オフセット性の向上を十分に図ることができない。樹脂微粒子、離型剤微粒子、着色剤微粒子等がランダムに融着してトナー粒子が構成されるので、得られるトナー粒子間において組成(構成成分の含有割合)及び構成樹脂の分子量等にバラツキが発生し、この結果、トナー粒子間で表面特性が異なり、長期にわたり安定した画像を形成することができない。さらに低温定着が求められる低温定着システムにおいては、トナー表面に偏在する樹脂微粒子による定着阻害が発生し、定着温度幅を確保できない問題があった。
【0008】
一方、溶解懸濁法(EA;Emulsion−Aggregation法)という新製法が最近提案されている(特許文献5参照)。この手法は、懸濁重合法がモノマーから粒子を形成するのに対して、有機溶剤等に溶解したポリマーから造粒する手法で、樹脂の選択範囲の拡大や、極性の制御性等の利点をあげている。またトナーの構造制御(コア/シェル構造制御)が可能という利点を挙げているが、シェル構造は樹脂のみの層で顔料やワックスの表面への露出を低下させることを目的にしており、特に表面状態を工夫したわけではなく、またそのような構造にもなっていない(非特許文献1参照)。したがってシェル構造にはなっているがトナー表面は通常の樹脂で特に工夫はなく、より低温定着を目指した際には、耐熱保存性、環境帯電安定性の点で十分でなく問題であった。
【0009】
また、上記懸濁重合法、乳化重合法、溶解懸濁法いずれもスチレン・アクリル系の樹脂を用いることが一般的で、ポリエステル系樹脂では粒子化に難があり粒径、粒度分布、形状制御が困難であった。またより低温定着を目指した場合に定着性に限界があった。
【0010】
一方、耐熱保存性、低温定着を目的として、ウレア結合で変性されたポリエステルを使用することも知られているが(特許文献6参照)、特に表面が工夫されたものでなく、特により条件の厳しい環境帯電安定性の点で十分でなく、問題であった。
【0011】
一方、トナーのバインダー樹脂としては、トナー用として要求される特性、即ち透明性、絶縁性、耐水性、流動性(粉体として)、機械的強度、光沢、熱可塑性、粉砕性等の点からポリスチレン、スチレン−アクリル系共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が一般に使用され、中でもスチレン系樹脂が粉砕性・耐水性及び流動性に優れている事から、広く使用されている。しかし、スチレン系樹脂含有トナーで得られたコピーを保存するために、塩化ビニル系樹脂シート製書類ホルダー中に入れておくと、コピーの画像面がシートと密着状態で放置されるため、シート、即ち塩化ビニル系樹脂に含まれる可塑剤が定着トナー画像に転移可塑化してこれをシート側に溶着せしめ、その結果、コピーをシートから離すと、コピーからトナー画像が一部又は全部剥離し、またシートも汚してしまうという欠点があった。この様な欠点はポリエステル樹脂含有トナーにも見られる。
【0012】
以上の様な塩化ビニル系樹脂シートへの転移防止策として特許文献7や特許文献8ではスチレン系樹脂又はポリエステル樹脂に塩化ビニル系樹脂用可塑剤で可塑化されないエポキシ樹脂をブレンドする提案がなされている。
しかし、この様なブレンド樹脂を特にカラートナー用として用いた場合、異種の樹脂間の不相溶性によりオフセット性、定着画像のカール、光沢度(カラートナー画像の場合は光沢がないと貧弱な画像として見える)、着色性、透過性、発色性が問題となってくる。これらの問題は従来のエポキシ樹脂や特許文献9で提案される様なアセチル化変性エポキシ樹脂でも全て解決できるものではない。
【0013】
そこでエポキシ樹脂を単独で用いる事により前記問題点を解決する事が考えられるが、新たな問題点として、エポキシ樹脂のアミンとの反応性が生じてくる。エポキシ樹脂は、一般にはエポキシ基と硬化剤とを反応させ架橋構造を組む事により、機械的強度や耐薬品性の優れた硬化型樹脂として使用されている。硬化剤はアミン系と有機酸無水物系に大別される。もちろん、静電荷像現像用トナーとして用いられるエポキシ樹脂は熱可塑性樹脂として用いるものであるが、トナーとして樹脂と一緒に混練される染顔料、帯電制御剤の中にはアミン系のものがあり、混練時に架橋反応を起こし、トナーとして使用できない場合がある。またこのエポキシ基の化学的活性は生化学的性、即ち皮膚刺激等の毒性が考えられ、その存在には十分注意を要する。
またエポキシ基は親水性を示す事から、高温高湿下での吸水が著しく、帯電低下、地汚れ、クリーニング不良等の原因となる。更にエポキシ樹脂における帯電安定性も一つの問題である。
【0014】
特許文献10にはε−カプロラクトンでエステル変性したエポキシ樹脂をバインダー樹脂として使用したトナーが開示されているが、耐塩化ビニル性、流動性等が改良されるものの、変性量が15〜90wt%もあり、軟化点が下がり過ぎ、光沢も出すぎる欠点があった。
【0015】
特許文献11には、脂肪族一級又は二級アミンと既製のエポキシ樹脂の末端エポキシ基とを反応させ、正帯電性を有するものが開示されているが、前で述べた様にエポキシ基とアミンとは架橋反応を起こしてしまい、トナーとして使用できない場合が考えられる。更にまた特許文献12には、エポキシ樹脂の末端エポキシ基のどちらか一方又は両方をアルコール、フェノール、グリニヤール試薬、有機酸ナトリウムアセチライド、アルキルクロライド等で反応させる事が開示されているが、エポキシ基が残っている場合は前述の通りアミンとの反応性、毒性、親水性等の問題を生じる。また上記反応物の中には親水性のもの、また帯電に影響するもの、またトナー化する際の粉砕性に影響するものがあり、必ずしも全て有効ではない。
【0016】
また、特許文献13には、エポキシ樹脂の末端エポキシ基の両方を1価の活性水素含有化合物で反応させた後、モノカルボン酸やそれらのエステル誘導体、ラクトン類でエステル化するものが開示されているが、エポキシ樹脂の反応性、毒性、親水性は解決されているが定着においてカールがさほど改善されていない。
【0017】
さらに、一般的にエポキシ樹脂あるいはポリオール樹脂の合成時にキシレン等の溶剤を用いることが多いが(例えば特許文献14)、それら溶剤あるいは、ビスフェノールA等の未反応残留モノマー等が、製造後の樹脂中に少なからず存在し、それら樹脂を用いたトナーにおいても残存量は多く、問題であった。
【0018】
また、近年、静電荷像現像の分野では、高画質化が様々な角度から検討されており、中でも、トナーの小径化及び球形化が極めて有効であるとの認識が高まっている。しかし、トナーの小径化が進むにつれて転写性、定着性が低下し、貧弱な画像となってしまう傾向が見られる。一方、トナーを球形化することにより転写性が改善されることが知られている(特許文献15参照)。
【0019】
このような状況の中、カラー複写機やカラープリンターの分野では、さらに画像形成の高速化が望まれている。高速化のためには「タンデム方式」が有効である(例えば、特許文献16参照)。「タンデム方式」というのは、画像形成ユニットによって形成された画像を転写ベルトに搬送される単一の転写紙(転写材)上に順次重ね合わせて転写することにより転写紙(転写材)上にフルカラー画像を得る方式である。タンデム方式のカラー画像形成装置は、使用可能な転写紙(転写材)の種類が豊富であり、フルカラー画像の品質も高く、高速度でフルカラー画像を得ることができる、という優れた特質を備える。特に、高速度でフルカラー画像を得ることができるという特質は、他の方式のカラー画像形成装置にはない特有の性質である。一方、球形トナーを用いて高画質化を図りつつ、高速化も達成しようという試みもなされている。しかしながら、上記の方式を採用した装置において高速化を達成しようとすると、トナーが現像部を通過する所要時間を短縮する必要があるため、従来と同様の現像能力を得ようとすると現像剤をより高速に、高トルクで撹拌し帯電現像させる必要があり、その結果、弱帯電トナー、逆帯電トナーが発生しやすくなり、現像部からのトナー飛散が発生し問題であった。
【0020】
一方、トナーの流動特性、帯電特性等を改善する目的でトナー粒子と各種金属酸化物等の無機粉末等を混合して使用する方法が提案されており、外添剤と呼ばれている。また必要に応じて該無機粉末表面の疎水性、帯電特性等を改質する目的で特定のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、シリコーンオイル、有機酸等で処理する方法、特定の樹脂を被覆する方法等も提案されている。前記無機粉末としては、例えば、二酸化珪素(シリカ)、二酸化チタン(チタニア)、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化銅、酸化錫等が知られている。
特にシリカや酸化チタン微粒子と、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等の有機珪素化合物と反応させシリカ微粒子表面のシラノール基を有機基で置換し疎水化したシリカ微粒子が用いられている。
【0021】
これらのうち十分な疎水性を示し、且つ、トナーに含有された時にその低表面エネルギーから該トナーが優れた転写性を示す疎水化処理剤としては、シリコーンオイルが知られている。特許文献17や特許文献18にはシリコーンオイルで処理されたシリカの疎水化度が規定されている。また特許文献19や特許文献20にはシリコーンオイル添加量や添加剤中の炭素含有率が規定されている。外添剤の母剤である無機微粒子を疎水化処理し、高湿度下における現像剤の帯電性の安定性を確保するためには先に挙げた特許文献におけるシリコーンオイル含有量や疎水化度で満足できた。しかしシリコーンオイルの重要な特異性である低表面エネルギーを利用して現像剤と接触する部材、例えば 接触帯電装置、現像剤担持体(スリーブ)やドクターブレード、キャリア、静電潜像担持体(感光体)、中間転写体等への付着性を下げるための積極的な試みは行われていなかった。特に、感光体への現像剤の付着力が強い事による地肌汚れや画像における文字部やライン部、ドット部のエッジ部や中央部における転写後のぬけ(現像剤の転写されない部分)はシリコーンオイルの添加量や疎水化度を調節するだけでは改良できなかった。さらに凹凸の激しい転写部材への転写時における凹部へ転写できない事による白抜けも同様に改良できていなかった。特許文献21にはシリコーンオイルを液体成分として特定量含有させた無機微粒子が開示されている。しかしこのような量の定義では上述の特性を満足する事はできなかった。
【0022】
静電荷像現像用トナーには、均一で安定した帯電が要求され、これらが不十分な場合には、地汚れ、濃度ムラ等の発生により画質低下が生じる。また、作像装置の小型化に伴って、現像機構が小型化になってきているために、高画像品質を得るにはトナー帯電立ち上がりは一層重要な項目となってきている。これらを改良するためには、これまでにも様々な提案がなされてきている。このうち静電荷像現像用トナーの添加剤により帯電性の改善が提案されている例を挙げると、特許文献22にはシリコーンオイルで処理した無機粉体を含む非磁性一成分現像剤が、特許文献23にはトナーに対する添加剤の被覆率が3〜30%の一成分系磁性現像剤が、特許文献24にはBET非表面積が5〜100m/gの微粒子をトナー表面に固定したトナーと、該トナーに固定された微粒子の1.2倍以上の比表面積を有する粒子を含有する静電荷現像剤が、特許文献25には疎水性シリカ微粉末と特定の疎水性酸化チタンを含む非磁性一成分トナーを用いた現像剤が、また特許文献26には有機ポリマー骨格とポリシロキサン骨格を含む有機質−無機質複合粒子からなるトナー用添加剤を含有してなる現像剤が、それぞれ開示されている。
【0023】
しかし、上記手法でも十分な帯電の均一性が得られず、またトナー帯電量の立ち上がりも十分でなく、さらにトナー帯電量の環境安定性、特に湿度に対する安定性について、必ずしも十分であるとは言えなかった。特に、提案の多くに見られる、一般的な酸化物粒子の表面処理により疎水性を高めた添加剤の使用では、初期的には所望の帯電安定性を示すものの、ランニング等の経時によって添加剤の組成変化に伴うトナーの劣化が発生してしまうという問題点があった。また、例えば前記特許文献26にあるような液相法を用いて合成された複合粒子では、粒子内部に残存する媒液物質の影響により、十分な疎水性が得られず、経時により疎水性が変化してしまう場合があった。
【0024】
一般にトナーはバインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤等から構成されている。着色剤としては様々な染顔料が知られており、中には帯電制御性を有するものもあり、着色剤と帯電制御剤との2つの作用を有するものもある。各種樹脂をバインダー樹脂として用い、前記の様な組成でトナー化する事は広く行なわれているが、問題点として染顔料、帯電制御剤等の分散性がある。一般にバインダー樹脂と染顔料、帯電制御剤等の混練は、熱ロールミルで行われ、染顔料、帯電制御剤等をバインダー樹脂中に均一に分散させる必要がある。しかし十分に分散させる事は難しく、着色剤としての染顔料の分散が悪いと発色が悪く着色度も低くなってしまう。また帯電制御剤等の分散が悪いと帯電分布が不均一となり、帯電不良、地汚れ、飛散、ID不足、ぼそつき、クリーニング不良等様々な不良原因となる。
【0025】
一方、トナーの製造方法としては、特許文献27に代表されるように、原料を全て一度に混合して混練機等により加熱、溶融、分散を行い均一な組成物とした後、これを冷却して、粉砕、分級することにより体積平均粒径6〜10μm程度のトナーを製造する方法が一般的に採用されている。特にカラー画像の形成に用いられる静電荷像現像用カラートナーは、一般に、バインダー樹脂中に各種の有彩色染料又は顔料を分散含有させて構成される。この場合、使用するトナーに要求される性能は、黒色画像を得る場合に比べ厳しいものとなる。即ち、トナーとしては、衝撃や湿度等の外的要因に対する機械的電気的安定性に加え、適正な色彩の発現(着色度)やオーバーヘッドプロジェクター(OHP)に用いたときの光透過性(透明性)が必要となる。
【0026】
着色剤として染料を用いるものとしては、例えば、特許文献28、特許文献29に記載のものがある。しかしながら、着色剤に染料を用いた場合、得られる画像は透明性に優れ、発色性が良くて鮮明なカラー画像の形成が可能であるが、反面、耐光性が劣り、直射光下に放置した場合、変色、退色してしまう問題がある。
【0027】
一方、着色剤として顔料を用いるものとしては、特許文献30、特許文献31に記載のものがある。しかしながら、顔料系のカラートナーは耐光性は優れているものの、反面、バインダー樹脂に対する顔料の分散性が悪いため、着色度(発色性)や透明性が劣るという問題がある。
【0028】
バインダー樹脂に対する顔料の分散性を向上する方法としては
(1)特許文献32;バインダー樹脂としてポリエステル樹脂(樹脂A)を用い、当該樹脂Aよりも高い分子量のポリエステル樹脂(樹脂B)により顔料をあらかじめ被覆し、この被覆された顔料を樹脂A中に分散させてカラートナーを得る技術
(2)特許文献33;顔料と顔料用樹脂とを溶融混練して選られる加工顔料がバインダー樹脂中に分散含有されてなり、前記顔料用樹脂の重量平均分子量が前記バインダー樹脂の重量平均分子量よりも小さく、前記バインダー樹脂の重量平均分子量が10万以上であることを特徴とするカラートナー
(3)特許文献34;バインダー樹脂と顔料の混合物をあらかじめ有機溶剤と共にバインダー樹脂の溶融温度よりも低い温度で1段目の混練を行い、さらにバインダー樹脂、帯電制御剤を加えて2段目の加熱溶融混練してカラートナーを得る技術
(4)特許文献35;重量平均分子量4万以下のバインダー樹脂と、該バインダー樹脂を用いたフラッシング顔料よりなる着色剤とを含むことを特徴とするトナー
(5)特許文献36;溶剤と該溶剤に可溶な第1のバインダー樹脂及び該溶剤に不溶な着色剤の粒子を混合し、加圧条件下で温度50〜100℃で、剪断力をかけながら着色剤の粒子をバインダー樹脂に分散した後、溶剤を除去して着色剤の粒子が分散されている着色バインダー樹脂組成物を得て、さらにバインダー樹脂、帯電制御剤を加えて2段目の加熱溶融混練してトナーを得る技術
等が提案されている。
【0029】
しかしながら、前記(1)、(2)の方法でも、いずれも十分な顔料の分散は得られず、着色度、透明性が劣っているのが現状である。
また、前記(3)、(4)、(5)の方法は顔料の分散は向上するものの、いずれの方法も溶剤を使用するため、いくら除去したとしても製品中あるいはトナー中に極微量ではあるが溶剤が残り、これが高温環境下での使用という特殊な環境においてトナーの帯電量を低下させ、現像部でのトナー飛散といった問題の原因になっていることが最近になって、本発明者らの検討によって明らかになった。トナー飛散は装置のメンテナンス性の低下を引き起こすだけでなく、飛散したトナーが非印字部に付着するといった問題も発生する。
【0030】
また着色剤のトナー中における粒径を規定した例も知られているが(特許文献37、特許文献38参照)、これらの粒径分布では着色度は十分であるが、色透明性、発色性、耐光性の点では十分な効果が得られなかった。また特に高温高湿環境下におけるトナー飛散、低温低湿下における地肌汚れに対する改善効果は得られなかった。同様に特許文献39でも粒度分布が規定されているが、小粒径側については考慮されておらず、特に耐光性に問題があった。
【0031】
またトナー製造後の保管時、運搬時における高温高湿、低温低湿環境等はトナーにとって過酷な状況にあり、環境保存後においてもトナー同士が凝集せず、帯電特性、流動性、転写性、定着性の劣化のない、あるいは極めて少ない保存性に優れたトナーが要求されているが、これに対する有効な手段はこれまで見つかっていない。
【0032】
またトナー(特に負帯電トナー)の帯電能力を上げる手段としてフッ素系化合物を電荷制御剤等の役目としてトナーに含有することも知られている(特許文献40、特許文献41等参照)。しかしながら、該手法ではトナー母体としての帯電能力は向上するが、これに添加する流動化剤の種類、特性によりトナー母体の良好な特性が覆われて、特に帯電立ち上がりが低下し、トナー地汚れ(かぶり)や、トナー飛散が発生して問題であり、有効な手法が望まれていた。一方、フッ素系疎水化処理剤を用いた無機微粒子も知られているが(特許文献42参照)、感光体表面との摩擦低減等が目的で、十分な帯電立ち上がり性の改善効果はなく、特に環境帯電安定性の点で問題であった。
【0033】
トナーの帯電特性を測定する方法として、特許文献43に非接触法による熱刺激電流を測定する方法が開示されている。この方法では各温度での電荷の消費量や保持量についての定量的データや、トナーのモルホロジーや造粒履歴の相違による帯電特性が検出される。
【0034】
【特許文献1】
特開平9−43909号公報
【特許文献2】
特許第2537503号公報
【特許文献3】
特開2000−292973号公報
【特許文献4】
特開2000−292978号公報
【特許文献5】
特許第3141783号公報
【特許文献6】
特開平11−133667号公報
【特許文献7】
特開昭60−263951号公報
【特許文献8】
特開昭61−24025号公報
【特許文献9】
特開昭61−235852号公報
【特許文献10】
特開昭61−219051号公報
【特許文献11】
特開昭52−86334号公報
【特許文献12】
特開昭52−156632号公報
【特許文献13】
特開平1−267560号公報
【特許文献14】
特開平11−189646号公報
【特許文献15】
特開平9−258474号公報
【特許文献16】
特開平5−341617号公報
【特許文献17】
特公平7−3600号公報
【特許文献18】
特許第02568244号公報
【特許文献19】
特開平7−271087号公報
【特許文献20】
特開平8−29598号公報
【特許文献21】
特開平11−212299号公報
【特許文献22】
特開平3−294864号公報
【特許文献23】
特開平4−204665号公報
【特許文献24】
特開平4−335357号公報
【特許文献25】
特開平7−43930号公報
【特許文献26】
特開平8−202071号公報
【特許文献27】
特開平1−304467号公報
【特許文献28】
特開昭57−130043号公報
【特許文献29】
特開昭57−130044号公報
【特許文献30】
特開昭49−46951号公報
【特許文献31】
特開昭52−17023号公報
【特許文献32】
特開昭62−280755号公報
【特許文献33】
特開平2−66561号公報
【特許文献34】
特開平9−101632号公報
【特許文献35】
特開平4−39671号公報
【特許文献36】
特開平4−230770号公報
【特許文献37】
特許第2992924号公報
【特許文献38】
特許第3047310号公報
【特許文献39】
特開2001−228653号公報
【特許文献40】
特許第2942588号公報
【特許文献41】
特許第3102797号公報
【特許文献42】
特許第3057209号公報
【特許文献43】
特開平8−62885号公報
【非特許文献1】
石山 孝雄、鈴木 千秋、松村 保雄、富士ゼロックス テクニカルレポート No.14、96−102
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安定して以下を提供することである。
1.常温常湿環境下だけでなく、低温低湿環境下において数万枚画像を出力した後でも帯電安定性に優れ、弱帯電、逆帯電トナーが少なく、地肌汚れ(かぶり)が発生しないトナー、現像剤、画像形成方法を提供すること。
2.トナーを高温高湿環境に長時間保管し、高温高湿環境下で数万枚印字後においても帯電安定性に優れ、帯電性が良好で、弱帯電、逆帯電トナーが少なく、トナー飛散が発生しないトナー、現像剤、画像形成方法を提供すること。
3.数万枚画像を出力した後でも、十分な着色性、耐光性、透明性、発色性、鮮明性、色再現性、彩度、及び光沢を有するトナー、現像剤、画像形成方法を提供すること。
4.画像形成システムとして高耐久、低メンテナンス性を兼ね備えた画像形成方法を提供すること。
5.高温高湿、低温低湿いずれの環境下でも必要かつ十分な帯電立ち上がり性、保持帯電量を示すトナー、現像剤、画像形成方法を提供すること。
6.印刷速度が低速から高速領域まで遜色なく、継続的画像出力で画像濃度低下のない、定着性及び非オフセット性のバランスに優れたトナー、現像剤、画像形成方法を提供すること。
7.定着画像面を塩化ビニル系樹脂シートに密着させても、シートへのトナー画像の転移のないトナー、現像剤、画像形成方法を提供すること。
8.定着画像が実質上カールする事のないトナー、現像剤、画像形成方法を提供すること。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下(1)〜(14)より構成される。
(1)少なくとも着色剤とバインダー樹脂を含む静電荷像現像用トナーにおいて、トナーを帯電させ、電極と接触させた状態で測定する接触法で測定した昇温過程における熱刺激電流値の少なくとも60〜100℃におけるピーク値が、0.001〜1pAであることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【0037】
(2)前記トナーの平均円形度が0.94〜0.99であることを特徴とする(1)記載の静電荷像現像用トナー。
(3)前記バインダー樹脂が、少なくとも酸価が14〜40のポリエステル樹脂を含むことを特徴とする(1)又は(2)記載の静電荷像現像用トナー。
(4)前記バインダー樹脂が、少なくとも変性ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(5)前記トナーがプレポリマーを含むトナー組成物を溶解した有機溶媒の油滴を水系媒体中に分散させ、伸長反応及び/又は架橋反応により形成された粒子からなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
【0038】
(6)前記バインダー樹脂が、少なくともポリオール樹脂を含むことを特徴とする(1)記載の静電荷像現像用トナー。
(7)前記ポリオール樹脂が、少なくとも主鎖にエポキシ樹脂部とポリオキシアルキレン部を有するポリオール樹脂であることを特徴とする(6)記載の静電荷像現像用トナー。
【0039】
(8)前記トナーの体積平均粒径が1〜8μmであることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(9)前記(1)〜(8)いずれか記載のトナーと磁性粒子からなるキャリアを含むことを特徴とする二成分系現像剤。
(10)少なくともマゼンタトナー、イエロートナー、シアントナーを収容するフルカラートナーキットにおいて、マゼンタトナー、イエロートナー、シアントナーの少なくとも1つ以上が(1)〜(8)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とするフルカラートナーキット。
【0040】
(11)感光体と、現像手段と、帯電手段及び/又はクリーニング手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段は、トナー又は現像剤を保持し、該トナー又は現像剤は、(1)〜(9)のいずれか記載のトナー又は現像剤からなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
(12)前記(1)〜(9)のいずれかに記載のトナー又は現像剤を使用することを特徴とする画像形成方法。
(13)前記(1)〜(9)のいずれかに記載のトナー又は現像剤を使用しかつ、印字速度がA4サイズ相当で20枚/分以上であることを特徴とするタンデム方式のカラー画像形成方法。
【0041】
(14)少なくとも着色剤とバインダー樹脂を含む静電荷像現像用トナーを帯電させ、電極と接触させた状態で測定する接触法で昇温過程における熱刺激電流を測定することを特徴とする静電荷像現像用トナーの着色剤の分散性の測定方法。
【0042】
前記課題を達成すべく鋭意検討した結果、少なくとも着色剤と樹脂を含むトナーにおいて、接触法で測定した熱刺激電流値の少なくとも60〜100℃におけるピーク値が、0.001〜1pAであることを特徴とする静電荷像現像用球形トナーを用いることで、トナーを高温高湿環境下で長時間保管後、数万枚画像を出力した後においても帯電安定性に優れ、弱帯電、逆帯電トナーが少なく、トナー飛散が発生せず、かつ常温常湿環境及び低温低湿環境下において数万枚画像を出力した後でも帯電安定性に優れ、弱帯電、逆帯電トナーが少なく、地肌汚れ(かぶり)が発生せず、かつ数万枚画像を出力した後でも十分な着色性、耐光性、透明性、発色性、鮮明性、色再現性、彩度、光沢に優れた画像を形成しうることを見出した。
【0043】
そのメカニズムは現在解明中であるが、いくつかの解析データから以下のことが推測される。熱刺激電流は、試料に電界を加えることにより試料内部に分極や電荷トラップを生じさせ、主に昇温過程での脱分極現象を電流として観測したものである(図2参照)。この熱刺激電流はトナーの帯電の生成、保持にとても重要であり、その熱刺激電流値の制御が帯電性、定着性、色特性、他を制御する上で重要となってくる。
【0044】
接触法の熱刺激電流値は、各種の分析手法、例えばトナー表面の測定するXPS(X線光電子分光法)や、トナー断面のTEM(透過型電子顕微鏡)像、その元素分布解析(STEM、EDX)等の手法により、着色剤の分散性に大きく依存することが明確となった。しかしながらXPSやTEMでは着色剤の分散性の特性値化は十分ではなく、TEMで観察して同じ分散性でも実際の色特性、帯電特性は異なるものであった。着色剤の分散性が良いと、着色剤樹脂界面サイトでトラップされる電荷が多くなるため熱刺激電流値が小さくなり、一方分散性が悪いと、電荷トラップサイトが少なくなるため熱刺激電流値が大きくなる(図3参照)。着色剤の分散性が悪いと、色再現範囲が狭くなったり、透明性の低下による発色性の低下が発生して好ましくない。また分散性が悪いことに起因するトナー表面への着色剤の露出で、帯電制御剤や樹脂のトナー表面への露出が阻害され、各種トナー帯電性に悪影響を及ぼす。一方、着色剤の分散性が良すぎると耐光性が阻害されたり、着色度が低下したり、トナーの抵抗が低下し、十分な帯電保持保持能力がなくなり好ましくない。トナー中の着色剤の分散性に関する情報は本発明における接触法による熱刺激電流で初めて観測できるようになったものである。
【0045】
また、この手法を用いて、着色剤の分散性を制御することで始めて色特性、帯電特性の優れたトナーを得ることができた。特に球形トナーにおいて着色剤の分散性改善は必須であり、熱刺激電流を制御してトナー化することが重要である。
【0046】
また、該熱刺激電流ピーク値が60℃〜100℃において、0.001〜1pA、より好ましくは0.01〜0.09pA、さらに好ましくは0.03〜0.05pAであることにより帯電安定性が十分発揮され好ましい。熱刺激電流ピーク値が1pAを超えるとトナーとして必要な電気抵抗がなくなり、転写性に問題が発生する。また、0.001pA未満であると電荷のトラップサイトが増加し、電荷移動がスムーズに働かなくなり、トナーとしての帯電性、除電性に問題を起こし、好ましくない。
【0047】
また、該トナー粒子の平均円径度Eが0.94〜0.99の実質球形であることを特徴とする静電荷像現像用トナーとすることで、トナー表面の凹凸が制御でき、フッ素系外添剤のトナー表面への付着状態ががより均一になり、外添剤の効果をより有効に発揮してより好ましい。
【0048】
熱刺激電流は、重合トナーにおいてはバインダー樹脂として酸価が14〜40のポリエステル樹脂を使用することにより、顔料の分散性が良くなり、本発明の範囲で検出されることが可能となる。ポリエステル樹脂の酸価は、より好ましくは20以上30以下である。
【0049】
また、前記バインダー樹脂が、少なくとも酸価が14〜40のポリエステル樹脂を含むことで、樹脂と顔料の分散性が良好となり、前述に示すような効果が発揮されてより好ましい。また、前記ポリエステル樹脂が、少なくとも酸価が高いことでよりその効果をより発揮できてさらに好ましい。
【0050】
熱刺激電流は、粉砕トナーにおいては着色剤のマスターバッチの練り条件の改善(練り回数、温度)、分散剤の種類、量等を変えることにより、本発明の範囲で検出されることが可能となる。
また、粉砕トナーにおいては、前記バインダー樹脂が、少なくともポリオール樹脂を含むことで、樹脂と顔料の分散性が良好となり、前述に示すような効果が発揮されてより好ましい。
また、前記ポリオール樹脂が、少なくとも主鎖にエポキシ樹脂部とポリオキシアルキレン部を有することでよりその効果をより発揮できてさらに好ましい。
【0051】
またトナーの体積平均粒径が1〜8μmであることで、色再現性、帯電性等の点でより好ましい。
また、高速画像印字システムにおいて、画像品質安定性の余裕度がより低下するが、本発明のトナーを用いることで、高速印字における画像品質(地汚れ、トナー飛散)等が改善されてより好ましい。
【0052】
また、前記トナーと磁性粒子からなるキャリアを含むことを特徴とする二成分系現像剤とすることで、帯電立ち上がり性をより改善することが可能で十分にシャープな帯電分布量を持たせることができて、より好ましい。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。ここで、本発明に用いられる静電荷像現像用トナー、現像剤の製法や材料、及び静電荷像現像プロセスに関するシステム全般に関しては条件を満たせば、公知のものが全て使用可能である。
【0054】
(熱刺激電流値)
本発明で用いるトナーの熱刺激電流(TSC)値は、TSC法等により求めることができる。本発明に用いる接触法による熱刺激電流を測定する装置の一例を図1に示す。測定方法、装置種類、条件等は同様な結果が得られるのであれば特に制限されないが、本発明においては以下の条件で測定した結果を用いた。
装置; 理学電気製 熱刺激電流測定装置TS−POLAR
測定温度範囲;−180〜350℃
測定雰囲気; He雰囲気
電流測定範囲;±5fA〜1mA
【0055】
測定条件
測定はトナーをペレット状にし、接触法で測定した。ペレットの前処理条件としてトナーを30mg測りとり、約100Nの圧力でペレット状に成型し、除電ブロアで表面の電荷を除き、その後、コロナ放電装置で−800V程度に帯電させ以下の測定プログラムで測定した。
【0056】
【表1】
Figure 2004279434
測定はHe雰囲気下で行った。
図4は、測定プログラムをグラフで表したものである。
【0057】
(平均円形度E)
本発明におけるトナーは特定の形状と形状の分布を有すことが重要であり、平均円形度Eが、0.90〜0.99が好ましい。0.90以下で、球形からあまりに離れた不定形の形状のトナーでは、満足した転写性やチリのない高画質画像が得られない。また0.99を超える場合、完全な球となり、クリーニング性に不具合が出るため好ましくない。なお形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値が平均円形度Eである。トナーが適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するためには、なお平均円形度Eは0.94〜0.99であると、さらに好ましい。クリーニングの容易性に着目すれば、平均円形度Eが0.94〜0.99で、円形度が0.94未満の粒子が10%以下であるのがより好適である。
【0058】
装置は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)により平均円形度Eとして計測できる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.1〜0.5ml加え、更に測定試料を0.1〜0.5g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1万個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られる。
【0059】
(マスターバッチ着色剤)
本発明では、樹脂と着色剤との親和性を向上させる目的で、あらかじめ樹脂と着色剤を混合、混練りしたマスターバッチ着色剤を用いることもできる。着色剤は顔料、染料等着色する物質であれば何でも使用できる。樹脂と着色剤の比率は、20:80〜80:20、より好ましくは、30:70〜70:30、さらに好ましくは40:60〜60:40がより好ましい。またここで用いる樹脂は必ずしもトナーのバインダー樹脂そのものでなくても良く、トナーのバインダー樹脂と親和性の良いポリオール樹脂、ポリエステル樹脂等がより好ましく使用できる。それらについては、後述のバインダー樹脂と同様な樹脂が使用できる。
【0060】
さらに、乾燥粉体顔料を用い、樹脂と濡らす方法として水を用いることでより分散性をより向上できる。顔料はそもそも、その1次粒子は0.001〜0.1μmと非常に小さなものであるが、原材料の乾燥粉体の状態では数μm大の大きな凝集体を形成している。理想的な顔料の分散は、この凝集体を解砕し1次粒子にまでバラバラにすることであるが、通常の混練方法で0.001〜0.1μm程度の1次粒子を、それ以下に小さくすることは、このような通常の機械的な繰り返し剪断による混練方法では限界である。すなわち、顔料の分散が悪いということは、この凝集体を解砕できないことに他ならない。凝集体が解砕されるための必要条件は、凝集体内部の空隙にまで、周りの樹脂が入り込み、全ての1次粒子表面を効率よく濡らすことである。したがって、顔料分散のポイントは、凝集体内部の空隙にまで、周りの樹脂が入り込めるかどうかにある。しかし、通常のトナーに用いられるバインダー樹脂は溶融粘度が高いため、凝集体内部にまで入り込ませるには、大きなエネルギーを必要とし、それでも、顔料は目指す1次粒子にはなっていないのが現状である。
【0061】
一般的に着色剤として使用される有機顔料は疎水性であるが、その製造工程においては水洗、乾燥という工程をとっているため、ある程度の力を加えれば顔料凝集体内部にまで水を染み込ませることが可能である。この凝集体内部に水が染み込んだ顔料と樹脂を混合したものを、開放型の混練機で、100℃以上の設定温度で混練すると、凝集体内部の水は瞬時に沸点に達し、体積膨張するため、凝集体内部から凝集体を解砕しようとする力が加わることになる。この凝集体内部からの力は、外部から加える力に比べ非常に効率良く凝集体を解砕することが可能である。さらにこの時、樹脂は軟化点以上の温度に加熱されているため、粘度が低くなり、凝集体を効率よく濡らすようになるのと同時に、凝集体内部の沸点温度近い水といわゆるフラッシングに似た効果で置換されることにより、1次粒子に近い状態で顔料が分散したマスターバッチ着色剤を得ることができる。さらに、水が蒸発している過程においては、水の蒸発に伴う気化熱を混練物から奪うので、混練物の温度は100℃以下の比較的低温高粘度に保持されるため、剪断力が有効に顔料凝集体に加えられるという効果も合せもつ。
【0062】
マスターバッチ着色剤製造用の開放型混練機としては通常の2本ロール、3本ロールの他、バンバリーミキサーを開放型として使用する方法や、三井鉱山社製連続式2本ロール混練機等を用いることができる。また着色剤を樹脂中により良好に分散させる手段として、1度練り上がったマスターバッチ着色剤をパルペライザー等で粗粉砕した後、2度、3度と再度混練する事も有効である。
【0063】
(着色剤)
本発明のトナーの着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用できる。例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
【0064】
好ましくはポリ縮合アゾ系顔料、不溶性アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、カーミン系顔料、ナフトールカーミン系顔料、イソインドリノン系顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、銅フタロシアニン系顔料等の高耐光性、高樹脂分散性の顔料が好ましい。
【0065】
マゼンタ用着色顔料としてはC.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48:1、49、50、51、52、53、53:1、54、55、57、57:1、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、177、179、202、206、207、209、211;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35等が挙げられる。
【0066】
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、60;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45又フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料、グリーン7、グリーン36等が挙げられる。
【0067】
イエロー用着色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー0−16、1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、55、65、73、74、83、97、110、151、154、180;C.I.バットイエロー1、3、20、オレンジ36等が挙げられる。
【0068】
着色剤の含有量はトナーに対して1〜15wt%、より好ましくは3〜10wt%である。
また着色剤の樹脂中における分散性を向上させる目的で、各種分散向上剤を含有することもできる。
【0069】
(外添剤)
本発明で得られた着色粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、有機、無機微粒子を併用して用いることがより好ましい。外添剤としては酸化物微粒子の他に、無機微粒子や疎水化処理無機微粒子を併用することができるが、疎水化処理された一次粒子の平均粒径が1〜100nm、より好ましくは5nm〜70nmの無機微粒子を少なくとも1種類以上含むことがより望ましい。さらに疎水化処理された一次粒子の平均粒径が20nm以下の無機微粒子を少なくとも1種類以上含みかつ、30nm以上の無機微粒子を少なくとも1種類以上含むことがより望ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。
【0070】
外添剤は、公知のものすべて使用可能である。例えば、シリカ微粒子、疎水性シリカ、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム等)、金属酸化物(チタニア、アルミナ、酸化錫、酸化アンチモン等)、フルオロポリマー等を含有してもよい。
【0071】
特に好適な添加剤としては、疎水化されたシリカ、チタニア、酸化チタン、アルミナ微粒子が挙げられる。シリカ微粒子としては、HDK H 2000、HDK H 2000/4、HDK H 2050EP、HVK21、HDK H 1303(以上ヘキスト)やR972、R974、RX200、RY200、R202、R805、R812(以上日本アエロジル社製)がある。また、チタニア微粒子としては、P−25(日本アエロジル社製)やSTT−30、STT−65C−S(以上チタン工業)、TAF−140(富士チタン工業社製)、MT−150W、MT−500B、MT−600B、MT−150A(以上テイカ社製)等がある。特に疎水化処理された酸化チタン微粒子としては、T−805(日本アエロジル社製)やSTT−30A、STT−65S−S(以上チタン工業社製)、TAF−500T、TAF−1500T(以上富士チタン工業社製)、MT−100S、MT−100T(以上テイカ社製)、IT−S(石原産業社製)等がある。
【0072】
疎水化処理された酸化物微粒子、シリカ微粒子、チタニア微粒子、及びアルミナ微粒子を得るためには、親水性の微粒子をメチルトリメトキシシランやメチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理して得ることができる。またシリコーンオイルを必要ならば熱を加えて無機微粒子に処理した、シリコーンオイル処理酸化物微粒子、無機微粒子も好適である。
【0073】
シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーンオイル、フェノール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アクリル、メタクリル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル等が使用できる。無機微粒子としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等を挙げることができる。その中でも特にシリカと二酸化チタンが好ましい。
【0074】
添加量はトナーに対し0.1〜5wt%、好ましくは0.3〜3wt%を用いる事ができる。無機微粒子の一次粒子の平均粒径は、100nm以下、好ましくは3nm以上70nm以下である。この範囲より小さいと、無機微粒子がトナー中に埋没し、その機能が有効に発揮されにくい。またこの範囲より大きいと、感光体表面を不均一に傷つけ好ましくない。
【0075】
この他、外添剤として高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロン等の重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。このような樹脂微粒子と併用する事によって現像剤の帯電性が強化でき、逆帯電のトナー粒子を減少させ、地肌汚れを低減することができる。添加量はトナーに対し0.01〜5wt%、好ましくは0.1〜2wt%を用いる事ができる。
【0076】
(表面処理剤)
上記のような外添剤(流動化剤)は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。
酸化物微粒子を含む外添剤の表面処理剤としては例えばジアルキルジハロゲン化シラン、トリアルキルハロゲン化シラン、アルキルトリハロゲン化シラン、ヘキサアルキルジシラザン等のシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニス等が挙げられる。より好ましくは有機ケイ素化合物表面処理剤、疎水化処理剤である。
【0077】
(体積平均粒径、Dv/Dn(体積平均粒径/個数平均粒径の比))
本発明のトナーの体積平均粒径(Dv)は2〜7μmがより好ましく、個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.25以下、好ましくは1.10〜1.25である乾式トナーにより、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機等に用いた場合に画像の光沢性に優れ、更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤として用いた場合において、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。特に本発明の少なくともフッ素含有化合物と、ケイ素含有化合物の両方により表面処理する無機微粒子を流動化剤として用いる場合、フッ素基の影響で、フィルミングに対して余裕度が小さくなるため該粒度分布がより好ましい。
【0078】
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得る為に有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、本発明の範囲よりも体積平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたり、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。
【0079】
また、これらの現象は微粉の含有率が本発明の範囲より多いトナーにおいても同様である。
逆に、トナーの粒子径が本発明の範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.25よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
【0080】
(バインダー樹脂)
本発明のトナーのバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。特に、ポリオール樹脂、ポリエステル樹脂がより好ましい。
【0081】
またバインダー樹脂のポリオール樹脂末端が不活性であると環境安定性、有害性の少ないトナーとすることができる。
【0082】
本発明に用いられるポリオール樹脂(エポキシ樹脂)は、少なくとも主鎖にエポキシ樹脂部とポリオキシアルキレン部を有するポリオール樹脂であることがより好ましく、▲1▼エポキシ樹脂と、▲2▼2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルと、▲3▼エポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、▲4▼エポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるポリオール樹脂を用いることが好ましい。
【0083】
ここでエポキシ樹脂は、好ましくはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとエピクロロヒドリンを結合して得られたものである。特に、エポキシ樹脂は安定した定着特性や光沢を得るために、数平均分子量の相違する少なくとも2種以上のビスフェノールA型エポキシ樹脂で、低分子量成分の数平均分子量が360〜2000であり、高分子量成分の数平均分子量が3000〜10000であることが好ましい。更に低分子量成分が20〜50wt%、又は高分子量成分が5〜40wt%であることが好ましい。低分子量成分が多すぎたり分子量360よりさらに低分子の場合は、光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。また、高分子量成分が多すぎたり分子量10000よりさらに高分子の場合は、光沢が不足したり、さらには定着性の悪化の可能性がある。
【0084】
2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物としては以下のものが例示される。エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド及びこれらの混合物とビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとの反応生成物が挙げられる。得られた付加物をエピクロロヒドリンやβ−メチルエピクロロヒドリンでグリシジル化して用いてもよい。特に下記一般式(1)で表わされるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテルが好ましい。
【0085】
【化1】
Figure 2004279434
(ここでRは
【化2】
Figure 2004279434
である。また、n、mは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、n+m=2〜8である。)
【0086】
また、2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物もしくはそのグリシジルエーテルが、ポリオール樹脂に対して10〜40wt%含まれていることが好ましい。ここで量が少ないとカールが増す等の不具合が生じ、またn+mが8を超えたり、量が多すぎると光沢が出すぎたり、さらには保存性の悪化の可能性がある。
【0087】
本発明で用いられるエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物としては、1価フェノール類、2級アミン類、カルボン酸類がある。1価フェノール類としては以下のものが例示される。フェノール、クレゾール、イソプロピルフェノール、アミノフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、キシレノール、p−クミルフェノール等が挙げられる。2級アミン類としては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチル(エチル)ピペラジン、ピペリジン等が挙げられる。また、カルボン酸類としては、プロピオン酸、カプロン酸等が挙げられる。
【0088】
本発明で用いられるエポキシ基と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物としては、2価フェノール類、多価フェノール類、多価カルボン酸類が挙げられる。2価フェノールとしてはビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールが挙げられる。また、多価フェノール類としてはオルソクレゾールノボラック類、フェノールノボラック類、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼンが例示される。多価カルボン酸類としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸が例示される。
【0089】
また該バインダー樹脂のエポキシ当量を、20000以上に制御することで、樹脂の熱特性を制御できるとともに、反応残留物である低分子のエピクロロヒドリン等の量を低減することができ、安全性、樹脂特性ともに優れたトナーとすることができる。
【0090】
ポリオール樹脂あるいは少なくとも主鎖にエポキシ樹脂部とポリオキシアルキレン部を有するポリオール樹脂を少なくとも含むことで、十分な耐圧縮強度、引張破断強度、環境安定性、安定した定着特性、コピー定着画像面の塩化ビニル系樹脂へのシートに密着時のシートへのトナー画像の転移防止を図ることができ、特にカラートナーに使用した場合カラー再現性、安定した光沢、コピー定着画像のカール防止等に効果をもたらしより好ましい。さらに少なくともポリオール樹脂部とポリエステル樹脂部を含むことで、耐圧縮強度とともに伸縮性と付着性のバランスのとれたトナーとなり、さらに安定した転写性、現像性、定着特性が得られたより好ましい。
【0091】
樹脂としてポリエステル樹脂も好ましく使用することができ、各種のタイプのポリエステル樹脂が使用できるが、特に、
▲1▼2価のカルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物のいずれかから選ばれる少なくとも一種、
▲2▼下記一般式(2)で示されるジオール成分、
【化3】
Figure 2004279434
(式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、炭素数2〜4のアルキレン基であり、またx、yは繰り返し単位の数であり、各々1以上であって、x+y=2〜16である。)
▲3▼3価以上の多価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物、及び、3価以上の多価アルコールのいずれかから選ばれる少なくとも一種、
を反応させてなるポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0092】
ここで、▲1▼の2価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物の一例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸及びこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル及びジエチルエステル、及び無水フタル酸、無水マレイン酸等があり、特にテレフタル酸、イソフタル酸及びこれらのジメチルエステルが耐ブロッキング性及びコストの点で好ましい。これらの2価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物はトナーの定着性や耐ブロッキング性に大きく影響する。すなわち、縮合度にもよるが、芳香族系のテレフタル酸、イソフタル酸等を多く用いると耐ブロッキング性は向上するが、定着性が低下する。逆に、セバシン酸、イソデシルコハク酸、マレイン酸、フマル酸等を多く用いると定着性は向上するが、耐ブロッキング性が低下する。従って、他のモノマー組成や比率、縮合度に合わせてこれらの2価カルボン酸類が適宜選定され、単独又は組合わせて使用される。
【0093】
▲2▼の前記一般式(2)で示されるジオール成分の一例としては、ポリオキシプロピレン−(n)−ポリオキシエチレン−(n′)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられるが、特に、2.1≦n≦2.5であるポリオキシプロピレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び2.0≦n≦2.5であるポリオキシエチレン−(n)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。このようなジオール成分は、ガラス転移温度を向上させ、反応を制御し易くするという利点がある。
【0094】
なお、ジオール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1、3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオールを使用することも可能である。
【0095】
▲3▼の3価以上の多価カルボン酸ならびにその低級アルキルエステル及び酸無水物の一例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,3,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサトリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸及びこれらのモノメチル、モノエチル、ジメチル及びジエチルエステル等が挙げられる。
【0096】
また、▲3▼の3価以上の多価アルコールの一例としては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。
【0097】
ここで、3価以上の多価単量体の配合割合は、単量体組成物全体の1〜30モル%程度が適当である。1モル%未満の時には、トナーの耐オフセット性が低下し、また、耐久性も悪化しやすい。一方、30モル%を超えると、トナーの定着性が悪化しやすい。
【0098】
これらの3価以上の多価単量体のうち、特にベンゼントリカルボン酸、これらの酸の無水物又はエステル等のベンゼントリカルボン酸類が好ましい。すなわち、ベンゼントリカルボン酸類を用いることにより、定着性と耐オフセット性の両立を図ることができる。
【0099】
また、これらのポリエステル樹脂やポリオール樹脂は、高い架橋密度を持たせると、透明性や光沢度が得られにくくなるため、好ましくは、非架橋もしくは弱い架橋(THF不溶分が5%以下)であることが好ましい。
【0100】
また、これらのバインダー樹脂の製造法は、特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合等のいずれも用いることが出来る。
【0101】
バインダー樹脂は以下のように製造することができる。
(変性ポリエステル樹脂)
本発明において、ポリエステル樹脂として、変性ポリエステル系樹脂を組成として含むことが好ましい。この変性ポリエステル系樹脂として、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)を用いることができる。(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)と伸長剤及び/又は架橋剤との反応物等が挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させた物等が挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等が挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0102】
イソシアネート基を有するプレポリマーは、以下の方法等で製造することができる。ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイド等公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)を得る。
【0103】
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)及び3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、又は(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0104】
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)及び3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、及び(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸等);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等)等が挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
【0105】
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0106】
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの;及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0107】
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
【0108】
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、架橋及び/又は伸長後の変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0109】
(架橋剤及び伸長剤)
本発明において、架橋剤及び/又は伸長剤として、アミン類を用いることができる。アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)等が挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)等が挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン等が挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン等が挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸等が挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物等が挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1及びB1と少量のB2の混合物である。
【0110】
さらに、必要により架橋及び/又伸長は停止剤を用いて反応終了後の変性ポリエステルの分子量を調整することができる。停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)等が挙げられる。
【0111】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常2/1〜1/2、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2より大きかったり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0112】
(未変性ポリエステル)
本発明においては、前記変性されたポリエステル(A)単独使用だけでなく、この(A)と共に、変性されていないポリエステル(C)をトナーバインダー成分として含有させることが重要である。(C)を併用することで、低温定着性及びフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上する。(C)としては、前記(A)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物等が挙げられ、好ましいものも(A)と同様である。また、(C)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(A)と(C)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(A)のポリエステル成分と(C)は類似の組成が好ましい。(A)を含有させる場合の(A)と(C)の重量比は、通常5/95〜75/25、好ましくは10/90〜25/75、さらに好ましくは12/88〜25/75、特に好ましくは12/88〜22/78である。(A)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0113】
(C)のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(C)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(C)の酸価は通常0.5〜40、好ましくは5〜35である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。また、酸価及び水酸基価がそれぞれこの範囲を越えるものは高温高湿度下、低温低湿度下の環境下において、環境の影響を受けやすく、画像の劣化を招きやすい。
【0114】
本発明において、トナーのガラス転移点(Tg)は通常40〜70℃、好ましくは45〜55℃である。40℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不十分となる。架橋及び/又は伸長されたポリエステル樹脂の共存により、本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても良好な保存性を示す。トナーの貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10000dyne/cmとなる温度(TG’)が、通常100℃以上、好ましくは110〜200℃である。100℃未満では耐ホットオフセット性が悪化する。トナーの粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下、好ましくは90〜160℃である。180℃を超えると低温定着性が悪化する。すなわち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましい。さらに好ましくは10℃以上であり、特に好ましくは20℃以上である。差の上限は特に限定されない。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100℃が好ましい。さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
【0115】
(帯電制御剤)
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0116】
本発明において荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。また0.1重量部未満の場合、帯電制御剤の機能を十分発揮できない。
【0117】
(樹脂微粒子)
本発明では、必要に応じて樹脂微粒子も含有させることができる。使用される樹脂微粒子は、ガラス転移点(Tg)が40〜100℃であり、重量平均分子量が9千〜20万がより好ましく、前述したようにガラス転移点(Tg)が40℃未満、及び/又は重量平均分子量が9千未満の場合、トナーの保存性が悪化してしまい、保管時及び現像機内でブロッキングを発生してしまう。ガラス転移点(Tg)が100℃を超える、及び/又は重量平均分子量が20万を超える場合、樹脂微粒子が定着紙との接着性を阻害してしまい、定着下限温度が上がってしまう。
【0118】
樹脂微粒子のトナー粒子に対する残存率を0.5〜5.0wt%にすることがさらに好ましい。残存率が、0.5wt%未満の時、トナーの保存性が悪化してしまい、保管時及び現像機内でブロッキングの発生が見られ、また、残存量が5.0wt%以上では、樹脂微粒子がワックスのしみ出しを阻害し、ワックスの離型性効果が得られず、オフセットの発生が見られる。
樹脂微粒子の残存率は、トナー粒子に起因せず樹脂微粒子に起因する物質を熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計で分析し、そのピーク面積から算出し測定することができる。検出器としては、質量分析計が好ましいが、特に制限はない。
【0119】
樹脂微粒子は水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
【0120】
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0121】
(製造方法)
本発明のトナー製造方法は、条件があえば公知の製造方法すべてが使用できる。
<粉砕法によるトナー製造方法>
少なくともバインダー樹脂、及び着色剤を含む現像剤成分を機械的に混合する工程と、溶融混練する工程と、粉砕する工程と、分級する工程とを有するトナーの製造方法が適用できる。また機械的に混合する工程や溶融混練する工程において、粉砕又は分級する工程で得られる製品となる粒子以外の粉末を戻して再利用する製造方法も含まれる。
【0122】
ここで言う製品となる粒子以外の粉末(副製品)とは溶融混練する工程後、粉砕工程で得られる所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子や引き続いて行われる分級工程で発生する所望の粒径の製品となる成分以外の微粒子や粗粒子を意味する。このような副製品を混合工程や溶融混練する工程で原料と好ましくは副製品1に対しその他原材料99から副製品50に対し、その他原材料50の重量比率で混合するのが好ましい。
【0123】
少なくともバインダー樹脂、及び着色剤、副製品を含む現像剤成分を機械的に混合する混合工程は、回転させる羽による通常の混合機等を用いて通常の条件で行えばよく、特に制限はない。より好ましくはあらかじめ樹脂と着色剤を混合しておく。
【0124】
以上の混合工程が終了したら、次いで混合物を混練機に仕込んで溶融混練する。溶融混練機としては、1軸、2軸の連続混練機や、ロールミルによるバッチ式混練機を用いることができる。例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、池貝鉄工所社製PCM型2軸押出機、ブス社製コニーダー等が好適に用いられる。
【0125】
この溶融混練は、バインダー樹脂の分子鎖を切断しないような適正な条件で行うことが重要である。具体的には、溶融混練温度は、バインダー樹脂の軟化点を参考に行うべきであり、軟化点より低温過ぎると切断が激しく、高温過ぎると分散が進まない。またトナー中の揮発性成分量を制御する場合、溶融混練温度と時間、雰囲気は、その時の残留揮発性成分量をモニターしながら最適条件を設定することがより好ましい。
【0126】
以上の溶融混練工程が終了したら、次いで混練物を粉砕する。この粉砕工程においては、まず粗粉砕し、次いで微粉砕することが好ましい。この際ジェット気流中で衝突板に衝突させて粉砕する衝突式粉砕方式や、機械的に回転するローターとステーターの狭いギャップで粉砕するローター粉砕方式が好ましく用いられる。衝突式粉砕機としては、ハンマーミル、ボールミル、チューブミル、振動ミル等を挙げることができる。圧縮空気及び衝突板を主構成要素として具備してなるジェット式粉砕機としてIタイプ及びIDSタイプ衝突式粉砕機(日本ニューマチック工業社製)を好ましく使用できる。また、ローター粉砕機としては、ロールミル、ピンミル、流動層式ジェットミル等を例示できるが、特に外壁としての固定容器と該固定容器と中心軸を同一にする回転片とを主構成要素として具備するものが好ましい。この種のローター式粉砕機としてターボミル(ターボ工業社製)、クリプトロン(川崎重工業社製)、ファインミル(日本ニューマチック工業社製)等が使用できる。トナーをより球形化したい場合は、ローター粉砕機を用いることが好ましい。
【0127】
この粉砕工程が終了した後に、粉砕物を遠心力等で気流中で分級し、もって所定の粒径例えば体積平均粒径が1〜20μmのトナー(母体粒子)を製造する。トナーの体積平均粒径は1〜8μmであることが、トナー転写定着の転写チリを防止し、かつトナーとしての十分な着色性を発揮させることができる。またトナー飛散、地肌汚れの防止にも有効であった。また画像品質、製造コスト、外添剤との被覆率等からより好ましい。体積平均粒径は例えば、COULTERTA−II(COULTER ELECTRONICS,INC)等を用いて測定できる。
【0128】
また、トナーを調製する際には、トナーの流動性や保存性、現像性、転写性を高めるために、以上のようにして製造されたトナーにさらに先に挙げた酸化物微粒子、疎水性シリカ微粉末等の無機微粒子を添加混合してもよい。外添剤の混合は一般の粉体の混合機が用いられるがジャケット等装備して、内部の温度を調節できることが好ましい。外添剤に与える負荷の履歴を変えるには、途中又は漸次外添剤を加えていけばよい。もちろん混合機の回転数、転動速度、時間、温度等を変化させてもよい。はじめに強い負荷を、次に比較的弱い負荷を与えても良いし、その逆でも良い。
【0129】
使用できる混合設備の例としては、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー等が挙げられる。
【0130】
<水系媒体中でのトナー製造法>
本発明に用いる水性相には、予め樹脂微粒子を添加することにより使用する。水性相に用いる水は、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)等が挙げられる。
【0131】
トナー粒子は、水性相で有機溶媒に溶解、又は分散させたイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を、アミン類(B)と反応させて形成することにより得られる。水性相でポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水性相に有機溶媒に溶解、又は分散させたポリエステルプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法等が挙げられる。有機溶媒に溶解、又は分散させたポリエステルプレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤、変性されていないポリエステル樹脂等は、水性相で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合後、有機溶媒に溶解、又は分散させた後、水性相にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤等の他のトナー原料は、必ずしも、水性相で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0132】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波等の公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温なほうが、ポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
【0133】
ポリエステルプレポリマー(A)を含むトナー組成物100部に対する水性相の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0134】
トナー組成物が分散された油性相を水性相に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル等の陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体等の非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタイン等の両性界面活性剤が挙げられる。
【0135】
またフルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステル等が挙げられる。
【0136】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02(ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F−150(ネオス社製)等が挙げられる。
【0137】
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)等が挙げられる。
また水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等も用いる事が出来る。
【0138】
また高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸又は無水マレイン酸等の酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等、又はビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子、又はその複素環を有するもの等のホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類等が使用できる。
【0139】
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗する等の方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解等の操作によっても除去できる。
【0140】
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長及び/又は架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0141】
伸長及び/又は架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート等が挙げられる。
【0142】
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルン等の短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
また有機溶媒を除去する方法として、ロータリーエバポレータ等でエアーを吹き込み除去させることが可能である。
【0143】
その後、遠心分離により粗分離を行い、洗浄タンクにて乳化分散体を洗浄、温風乾燥機にて乾燥の工程を繰り返し、溶媒を除去、乾燥させてトナー母体を得ることができる。
【0144】
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、又は粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、又は粗粒子はウェットの状態でも構わない。
【0145】
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
【0146】
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子等の異種粒子とともに混合を行ったり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
【0147】
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士又は複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法等がある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢等が挙げられる。
【0148】
最後に無機微粒子等の外添剤とトナーをヘンシェルミキサー等で混合し、超音波篩い等で粗大粒子を除去して、最終的なトナーを得る。
【0149】
(二成分用キャリア)
また、本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリア等従来公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。またポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂及びスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリフッ化ビニル樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、及びシリコーン樹脂等が使用できる。またこれら被覆材料の膜厚は0.01〜3μm、より好ましくは0.1〜0.3μmである。0.01μm未満であると膜制御が困難でかつコート膜としての機能が発揮できない。さらに3μmを超えると導電性が得られず、好ましくない。また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
【0150】
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない一成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0151】
(磁性材料)
更に、本発明のトナーは、磁性材料を含有させ、磁性トナーとしても使用し得る。磁性トナーとする場合には、トナー粒子に磁性体の微粒子を含有させれば良い。斯かる磁性体としては、フェライト、マグネタイトをはじめとする鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性を示す金属もしくは合金又はこれらの元素を含む化合物、強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金、例えばマンガン銅アルミニウム、マンガン−銅−錫、等のマンガンと銅とを含むホイスラー合金と呼ばれる種頼の合金、二酸化クロム、その他を挙げることができる。磁性体は、平均粒径が0.1〜1μmの微粉末の形態で均一に分散されて含有されることが好ましい。そして磁性体の含有割合は、得られるトナーの100重量部に対して、10〜70重量部であることが好ましく、特に20〜50重量部であることが好ましい。
【0152】
(ワックス)
トナーあるいは現像剤に定着離型性を持たせる為に、トナーあるいは現像剤の中にワックスを含有させることが好ましい。特に画像定着部にオイル塗布を行わない、オイルレス定着機を用いた場合、トナー中にワックスを含むことが好ましい。前記ワックスは、その融点が40〜120℃のものであり、特に50〜110℃のものであることが好ましい。ワックスの融点が過大のときには低温での定着性が不足する場合があり、一方融点が過小のときには耐オフセット性、耐久性が低下する場合がある。なお、ワックスの融点は、示差走査熱量測定法(DSC)によって求めることができる。すなわち、数mgの試料を一定の昇温速度、例えば(10℃/min)で加熟したときの融解ピーク値を融点とする。ワックスの含有量は0〜20重量部が好ましく、特に0〜10重量部であることがより好ましい。
【0153】
本発明に用いることができるワックスとしては、例えば固形のパラフィンワックス、マイクロワックス、ライスワックス、脂肪酸アミド系ワックス、脂肪酸系ワックス、脂肪族モノケトン類、脂肪酸金属塩系ワックス、脂肪酸エステル系ワックス、部分ケン化脂肪酸エステル系ワックス、シリコーンワニス、高級アルコール、カルナウバワックス等を挙げることができる。また低分子量ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン等も用いることができる。特に、環球法による軟化点が60〜150℃のポリオレフィン、エステルが好ましく、さらには当該軟化点が70〜120℃のポリオレフィン、エステルが好ましい。
【0154】
さらに好ましくは、酸価5以下の脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタン系エステルワックス、酸価10〜30の酸化ライスワックス及びサゾールワックスから選ばれた少なくとも一種のワックス類を含有することが効果的であることが判明した。脱遊離脂肪酸型カルナウバワックスは、カルナウバワックスを原料にして遊離脂肪酸を脱離したものであり、このため酸価が5以下となり、且つ従来のカルナウバワックスより微結晶となり、バインダー樹脂中での分散平均粒径が1μm以下となり、分散性が向上する。モンタン系エステルワックスは鉱物より精製されたものであり、カルナウバワックスと同様に微結晶となり、バインダー樹脂中での分散平均粒径が1μm以下となり、分散性が向上する。モンタン系エステルワックスの場合、酸価として特に5〜14であることが好ましい。
【0155】
なおワックスの分散径は3μm以下であることが望ましく、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下である。分散径が3μmを超えるとワックス流出性、転写材剥離性は向上するが、トナーとしての高温高湿耐久性、帯電安定性等が低下する。
【0156】
また、酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものである。酸価は10〜30であることが好ましく、10未満では定着下限温度が上昇し低温定着性が不十分となり、30より大きいとコールドオフセット温度が上昇しやはり低温定着性が不十分となる。サゾールワックスは、サゾール社製サゾールワックスH1、H2、A1、A2、A3、A4、A6、A7、A14、C1、C2、SPRAY30、SPRAY40等が使用できるが、中でもH1、H2、SPRAY30、SPRAY40が低温定着、保存安定性にすぐれ好ましい。また、上記ワックスは単独で用いても組み合わせて用いても良く、バインダー樹脂100重量部に対して1〜15重量部、好ましくは2〜10重量部含有させることが好ましい。
【0157】
(クリーニング性向上剤)
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤をトナー中に含有あるいはトナー表面に添加あるいは、現像剤中に含有あるいは表面に添加することがより好ましい。クリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合等によって製造された、ポリマー微粒子等を挙げることができる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。クリーニング性向上剤の含有量はトナーあるいは現像剤100重量部に対して0.001〜5重量部が好ましく、特に0.001〜1重量部であることがより好ましい。
【0158】
(中間転写体)
本発明において転写システムに中間転写体を用いることもできる。中間転写体の一実施形態について説明する。図5は本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。像担持体としての感光体ドラム(以下、感光体という)110の回りには、帯電装置としての帯電ローラ120、露光装置130、クリーニングブレードを有するクリーニング装置160、除電装置としての除電ランプ170、現像装置140、中間転写体としての中間転写体150とが配設されている。該中間転写体150は、複数の懸架ローラ151によって懸架され、図示しないモータ等の駆動手段により矢印方向に無端状に走行するように構成されている。この懸架ローラ151の一部は、中間転写体へ転写バイアスを供給する転写バイアスローラとしての役目を兼ねており、図示しない電源から所定の転写バイアス電圧が印加される。また、中間転写体150のクリーニングブレードを有するクリーニング装置190も配設されている。また、中間転写体150に対向し、最終転写材としての転写紙sに現像像を転写するための転写手段として転写ローラ180が配設され、該転写ローラ180は図示しない電源装置により転写バイアスを供給される。そして、上記中間転写体150の周りには、電荷付与手段としてのコロナ帯電器152が設けられている。
【0159】
上記現像装置140は、現像剤担持体としての現像ベルト141と、該現像ベルト141の回りに併設した黒(以下、Bkという)現像ユニット145K、イエロー(以下、Yという)現像ユニット145Y、マゼンタ(以下、Mという)現像ユニット145M、シアン(以下、Cという)現像ユニット145Cとから構成されている。また、該現像ベルト141は、複数のベルトローラに張り渡され、図示しないモータ等の駆動手段により矢印方向に無端状に走行するように構成され、上記感光体110との接触部では該感光体110とほぼ同速で移動する。
【0160】
各現像ユニットの構成は共通であるので、以下の説明はBk現像ユニット145Kについてのみ行ない、他の現像ユニット145Y、145M、145Cについては、図中でBk現像ユニット145Kにおけるものと対応する部分に、該ユニットにおけるものに付した番号の後にY、M、Cを付すに止め説明は省略する。現像ユニット145Kは、トナー粒子とキャリア液成分とを含む、高粘度、高濃度の液体現像剤を収容する現像タンク142Kと、下部を該現像タンク142K内の液体現像剤に浸漬するように配設された汲み上げローラ143Kと、該汲み上げローラ143Kから汲み上げられた現像剤を薄層化して現像ベルト141に塗布する塗布ローラ144Kとから構成されている。塗布ローラ144Kは、導電性を有しており、図示しない電源から所定のバイアスが印加される。
【0161】
なお、本実施形態に係る画像形成装置の構成としては、図5に示すような装置構成以外にも、図6に示すような、各色の現像ユニット145を感光体110の回りに併設した装置構成であっても良い。
【0162】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の動作について説明する。図5において、感光体110を矢印方向に回転駆動しながら帯電ローラ120により一様帯電した後、露光装置130により図示しない光学系で原稿からの反射光を結像投影して該感光体110上に静電潜像を形成する。この静電潜像は、現像装置140により現像され、顕像としてのトナー像が形成される。現像ベルト141上の現像剤薄層は、現像領域において感光体との接触により薄層の状態で該ベルト141から剥離し、感光体110上の潜像の形成されている部分に移行する。この現像装置140により現像されたトナー像は、感光体110と等速移動している中間転写体150との当接部(一次転写領域)にて中間転写体150の表面に転写される(一次転写)。3色あるいは4色を重ね合わせる転写を行う場合は、この行程を各色ごとに繰り返し、中間転写体150にカラー画像を形成する。
【0163】
上記中間転写体上の重ね合せトナー像に電荷を付与するための上記コロナ帯電器152を、該中間転写体150の回転方向において、上記感光体110と該中間転写体150との接触対向部の下流側で、かつ該中間転写体150と転写紙sとの接触対向部の上流側の位置に設置する。そして、このコロナ帯電器152が、該トナー像に対して、該トナー像を形成するトナー粒子の帯電極性と同極性の真電荷を付与し、転写紙sへ良好な転写がなされるに十分な電荷をトナー像に与える。上記トナー像は、上記コロナ帯電器152によりに帯電された後、上記転写ローラ180からの転写バイアスにより、図示しない給紙部から矢印方向に搬送された転写紙s上に一括転写される(二次転写)。この後、トナー像が転写された転写紙sは、図示しない分離装置により感光体110から分離され、図示しない定着装置で定着処理がなされた後に装置から排紙される。一方、転写後の感光体110は、クリーニング装置160よって未転写トナーが回収除去され、次の帯電に備えて除電ランプ170により残留電荷が除電される。
【0164】
該中間転写体の静止摩擦係数は、好ましくは0.1〜0.6、より好ましくは0.3〜0.5が良い。該中間転写体の体積抵抗は数Ωcm以上10Ωcm以下であることが好ましい。体積抵抗を数Ωcm以上10Ωcm以下とすることにより、中間転写体自身の帯電を防ぐとともに、電荷付与手段により付与された電荷が該中間転写体上に残留しにくくなるので、二次転写時の転写ムラを防止できる。また、二次転写時の転写バイアス印加を容易にできる。
【0165】
中間転写体の材質は特に制限されず、公知の材料が全て使用できる。その一例を以下に示す。(1)ヤング率(引張弾性率)の高い材料を単層ベルトとして用いたものであり、PC(ポリカーボネイト)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PAT(ポリアルキレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネイト)/PAT(ポリアルキレンテレフタレート)のブレンド材料、ETFE(エチレンテトラフロロエチレン共重合体)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料、カーボンブラック分散の熱硬化性ポリイミド等。これらヤング率の高い単層ベルトは画像形成時の応力に対する変形量が少なく、特にカラー画像形成時にレジズレを生じにくいとの利点を有している。(2)上記のヤング率の高いベルトを基層とし、その外周上に表面層又は中間層を付与した2〜3層構成のベルトであり、これら2〜3層構成のベルトは単層ベルトの硬さに起因し発生するライン画像の中抜けを防止しうる性能を有している。(3)ゴム及びエラストマーを用いたヤング率の比較的低いベルトであり、これらのベルトは、その柔らかさによりライン画像の中抜けが殆ど生じない利点を有している。また、ベルトの幅を駆動ロール及び張架ロールより大きくし、ロールより突出したベルト耳部の弾力性を利用して蛇行を防止するので、リブや蛇行防止装置を必要とせず低コストを実現できる。
【0166】
中間転写ベルトは、従来からフッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等が使用されてきていたが、近年ベルトの全層や、ベルトの一部を弾性部材にした弾性ベルトが使用されてきている。樹脂ベルトを用いたカラー画像の転写は以下の課題がある。
【0167】
カラー画像は通常4色の着色トナーで形成される。1枚のカラー画像には、1層から4層までのトナー層が形成されている。トナー層は1次転写(感光体から中間転写ベルトへの転写)や、2次転写(中間転写ベルトからシートへの転写)を通過することで圧力を受け、トナー同士の凝集力が高くなる。トナー同士の凝集力が高くなると文字の中抜けやベタ部画像のエッジ抜けの現象が発生しやすくなる。樹脂ベルトは硬度が高くトナー層に応じて変形しないため、トナー層を圧縮させやすく文字の中抜け現象が発生しやすくなる。
【0168】
また、最近はフルカラー画像を様々な用紙、例えば和紙や意図的に凹凸を付けた用紙に画像を形成したいという要求が高くなってきている。しかし、平滑性の悪い用紙は転写時にトナーと空隙が発生しやすく、転写抜けが発生しやすくなる。密着性を高めるために2次転写部の転写圧を高めると、トナー層の凝縮力を高めることになり、上述したような文字の中抜けを発生させることになる。
【0169】
弾性ベルトは次の狙いで使用される。弾性ベルトは、転写部でトナー層、平滑性の悪い用紙に対応して変形する。つまり、局部的な凹凸に追従して弾性ベルトは変形するため、過度にトナー層に対して転写圧を高めることなく、良好な密着性が得られ文字の中抜けの無い、平面性の悪い用紙に対しても均一性の優れた転写画像を得ることが出来る。
【0170】
弾性ベルトの樹脂は、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(ETFE、PVDF)、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単重合体又は共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0171】
弾性材ゴム、エラストマーとしては、ブチルゴム、フッ素系ゴム、アクリルゴム、EPDM、NBR、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンゴム天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリン系ゴム、リコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリウレア、ポリエステル系、フッ素樹脂系)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。ただし、上記材料に限定されるものではないことは当然である。
【0172】
抵抗値調節用導電剤に特に制限はないが、例えば、カーボンブラック、グラファイト、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化錫、酸化チタン、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタン酸カリウム、酸化アンチモン−酸化錫複合酸化物(ATO)、酸化インジウム−酸化錫複合酸化物(ITO)等の導電性金属酸化物等が挙げられ、導電性金属酸化物は、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム等の絶縁性微粒子を被覆したものでもよい。上記導電剤に限定されるものではないことは当然である。
【0173】
表層材料、表層は弾性材料による感光体への汚染防止と、転写ベルト表面への表面摩擦抵抗を低減させてトナーの付着力を小さくしてクリーニング性、2次転写性を高めるものが要求される。たとえばポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂等の1種類あるいは2種類以上を使用し表面エネルギーを小さくし潤滑性を高める材料、たとえばフッ素樹脂、フッ素化合物、フッ化炭素、二酸化チタン、シリコンカーバイト等の粉体、粒子を1種類あるいは2種類以上又は粒径を異ならしたものを分散させ使用することができる。またフッ素系ゴム材料のように熱処理を行うことで表面にフッ素リッチな層を形成させ表面エネルギーを小さくさせたものを使用することもできる。
【0174】
ベルトの製造方法は限定されるものではない。
回転する円筒形の型に材料を流し込みベルトを形成する遠心成型法
液体塗料を噴霧し膜を形成させるスプレイ塗工法
円筒形の型を材料の溶液の中に浸けて引き上げるディッピング法
内型、外型の中に注入する注型法
円筒形の型にコンパウンドを巻き付け、加硫研磨を行う方法
があるがこれに限定されるものではなく、複数の製法を組み合わせてベルトを製造することが一般的である。
【0175】
弾性ベルトの伸びを防止する方法として、伸びの少ない芯体樹脂層にゴム層を形成する方法、芯体層に伸びを防止する材料を入れる方法等があるが、特に製法に関わるものではない。
【0176】
伸びを防止する芯体層を構成する材料は、例えば、綿、絹、等の天然繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアセタール繊維、ポリフロロエチレン繊維、フェノール繊維等の合成繊維、炭素繊維、ガラス繊維、ボロン繊維等の無機繊維、鉄繊維、銅繊維等の金属繊維からなる群より選ばれる1種あるいは2種以上を用い織布状あるいは糸状のものができる。もちろん上記材料に限定されるものではない。
【0177】
糸は1本又は複数のフィラメントを撚ったもの、片撚糸、諸撚糸、双糸等、どのような撚り方であってもよい。また、例えば上記材料群から選択された材質の繊維を混紡してもよい。もちろん糸に適当な導電処理を施して使用することもできる。
一方織布は、メリヤス織り等どのような織り方の織布でも使用可能であり、もちろん交織した織布も使用可能であり当然導電処理を施すこともできる。
【0178】
芯体層を設ける製造方法は特に限定されるものではない、例えば筒状に織った織布を金型等に被せ、その上に被覆層を設ける方法、筒状に織った織布を液状ゴム等に浸漬して芯体層の片面あるいは両面に被覆層を設ける方法、糸を金型等に任意のピッチで螺旋状に巻き付け、その上に被覆層を設ける方法等を挙げることができる。
【0179】
弾性層の厚さは、弾性層の硬度にもよるが、厚すぎると表面の伸縮が大きくなり表層に亀裂の発生しやすくなる。又、伸縮量が大きくなることから画像に伸びちじみが大きくなること等から厚すぎる(およそ1mm以上)ことは好ましくない。
【0180】
(タンデム方式のカラー画像形成方法)
本発明のタンデム方式のカラー画像形成方法の実施形態について説明する。タンデム型の画像形成装置には、図7に示すように、各感光体1上の画像を転写装置2により、シート搬送ベルト3で搬送するシートsに順次転写する直接転写方式のものと、図8に示すように、各感光体1上の画像を1次転写装置2によりいったん中間転写体4に順次転写して後、その中間転写体4上の画像を2次転写装置5によりシートsに一括転写する間接転写方式のものとがある。転写装置5は図8においては転写搬送ベルトであるが、ローラ形状の方式であってもよい。
【0181】
直接転写方式のものと、間接転写方式のものとを比較すると、前者は、感光体1を並べたタンデム型画像形成装置Tの上流側に給紙装置6を、下流側に定着装置7を配置しなければならず、シート搬送方向に大型化する欠点がある。
これに対し、後者は、2次転写位置を比較的自由に設置することができる。給紙装置6、及び定着装置7をタンデム型画像形成装置Tと重ねて配置することができ、小型化が可能となる利点がある。
【0182】
また、前者は、シート搬送方向に大型化しないためには、定着装置7をタンデム型画像形成装置Tに接近して配置することとなる。そのため、シートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができず、シートsの先端が定着装置7に進入するときの衝撃(特に厚いシートで顕著となる)や、定着装置7を通過するときのシート搬送速度と、転写搬送ベルトによるシート搬送速度との速度差により、定着装置7が上流側の画像形成に影響を及ぼしやすい欠点がある。
これに対し、後者は、シートsがたわむことができる十分な余裕をもって定着装置7を配置することができるから、定着装置7がほとんど画像形成に影響を及ぼさないようにすることができる。
【0183】
以上のようなことから、最近は、タンデム型画像形成装置の中の、特に間接転写方式のものが注目されてきている。
そして、この種のカラー画像形成装置では、図8に示すように、1次転写後に感光体1上に残留する転写残トナーを、感光体クリーニング装置8で除去して感光体1表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。また、2次転写後に中間転写体4上に残留する転写残トナーを、中間転写体クリーニング装置9で除去して中間転写体4表面をクリーニングし、再度の画像形成に備えている。
【0184】
以下、図面を参照しつつ、本発明の画像形成装置の実施の形態につき説明する。
図9は、本発明の画像形成装置の一実施の形態を示すもので、タンデム型間接転写方式の画像形成装置である。図中符号100は複写装置本体、200はそれを載せる給紙テーブル、300は複写装置本体100上に取り付けるスキャナ、400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。複写装置本体100には、中央に、無端ベルト状の中間転写体10を設ける。
そして、中間転写体10は、図示例では3つの支持ローラ14、15、16に掛け回して図中時計回りに回転搬送可能とする。
この図示例では、3つのなかで第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設ける。
【0185】
また、3つのなかで第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15間に張り渡した中間転写体10上には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18を横に並べて配置してタンデム画像形成装置20を構成する。
そのタンデム画像形成装置20の上には、さらに露光装置21を設ける。一方、中間転写体10を挟んでタンデム画像形成装置20と反対の側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、図示例では、2つのローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成し、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に押し当てて配置し、中間転写体10上の画像をシートに転写する。
【0186】
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。
上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて備えることは難しくなる。
【0187】
なお、図示例では、このような2次転写装置22及び定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成装置20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備える。
【0188】
さて、いまこのカラー静電荷像現像装置を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。又は、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
【0189】
そして、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33及び第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0190】
また、不図示のスタートスイッチを押すと、不図示の駆動モータで支持ローラ14、15、16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転し、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック・イエロー・マゼンタ・シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
【0191】
一方、不図示のスタートスイッチを押すと、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
【0192】
又は、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0193】
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
【0194】
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。又は、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0195】
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成装置20による再度の画像形成に備える。
【0196】
ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0197】
さて、上述したタンデム画像形成装置20において、個々の画像形成手段18は、詳しくは、例えば図10に示すように、ドラム状の感光体40のまわりに、帯電装置60、現像装置61、1次転写装置62、感光体クリーニング装置63、除電装置64等を備えてなる。
【0198】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。また、以下の例おいて、部及び%は、特に断りのない限り重量基準である。
【0199】
また、得られたトナーの物性及びバインダー樹脂の分子量は以下のように測定した。
(軟化点、流出開始温度)
本発明のトナーの軟化点は、軟化点測定装置(メトラー社製、FP90)を使用して、1℃/minの昇温速度で軟化温度、流出開始温度を測定した。
【0200】
(ガラス転移温度(Tg))
本発明のトナーのTgは、下記の示差走査型熱量計を用いて、下記条件で測定した。
Figure 2004279434
【0201】
(分子量)
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及びピーク分子量(Mp)の測定は、以下のように行った。試料80mgをTHF10mlに溶解して試料液を調製し、5μmのフィルターで濾過して、この試料液100μlをカラムに注入し、下記の条件で保持時間の測定を行う。また、平均分子量既知のポリスチレンを標準物質として用いて、保持時間を測定して、あらかじめ作成しておいた検量線から試料の数平均分子量をポリスチレン換算で求めた。
Figure 2004279434
【0202】
実施例1
(ポリオール樹脂1)
撹拌装置、温度計、N導入口、冷却管付セパラブルフラスコに、低分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約360)378.4g、高分子ビスフェノールA型エポキシ樹脂(数平均分子量:約2700)86.0g、ビスフェノールA型プロピレンオキサイド付加体のジグリシジル化物〔前記一般式(1)においてn+m:約2.1〕191.0g、ビスフェノールF274.5g、p−クミルフェノール70.1g、キシレン200gを加えた。N雰囲気下で70〜100℃まで昇温し、塩化リチウムを0.183g加え、更に160℃まで昇温し減圧下で水を加え、水とキシレンをバブリングさせることで水、キシレン、他揮発性成分、極性溶媒可溶成分を除去し、180℃の反応温度で6〜9時間重合させて、Mn;3800、Mw/Mn;3.9、Mp;5000、軟化点109℃、Tg58℃、エポキシ当量20000以上のポリオール樹脂1000gを得た(ポリオール樹脂1)。重合反応ではモノマー成分が残留しないように、反応条件を制御した。主鎖のポリオキシアルキレン部については、NMRにて確認した。
【0203】
(トナーの製造)
マゼンタトナー
水 600部
Pigment Red 122 1200部
ポリオール樹脂1 1200部
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度128℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ着色剤を得た。
【0204】
Figure 2004279434
上記材料をミキサーで混合後、2本ロールミルで5回溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後ジェットミルによる衝突板方式の粉砕機(I式ミル;日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級(DS分級機;日本ニューマチック工業社製)を行い、体積平均粒径5.5μm、個数平均粒径4.5μmのマゼンタ色の着色粒子を得た。さらに、一次粒子径10nmの疎水性シリカ(HDK H2000、クラリアントジャパン)を1.0wt%、一次粒子径15nmの酸化チタン(MT−150A、テイカ)を0.9wt%添加し、ヘンシェルミキサーで混合、目開き50μmの篩を通過させ凝集物を取り除く事によりマゼンタトナーを得た。ワックスのトナー中での分散径は0.2μmであった。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値は0.0378pAであった。
【0205】
実施例2
実施例1において、以下のようにトナーを製造した以外は実施例1と同様にしてトナーを製造した。
シアントナー
水 600部
Pigment Blue 15:3 1200部
ポリオール樹脂1 1200部
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度128℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ着色剤を得た。
【0206】
Figure 2004279434
上記材料をミキサーで混合後、2本ロールミルで5回溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後ジェットミルによる衝突板方式の粉砕機(I式ミル;日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級(DS分級機;日本ニューマチック工業社製)を行い、体積平均粒径5.5μm、個数平均粒径4.5μmのシアン色の着色粒子を得た。さらに、一次粒子径10nmの疎水性シリカ(HDKH2000、クラリアントジャパン)を1.0wt%、一次粒子径15nmの酸化チタン(MT−150A、テイカ)を0.9wt%添加し、ヘンシェルミキサーで混合、目開き50μmの篩を通過させ凝集物を取り除く事によりシアントナーを得た。ワックスのトナー中での分散径は0.2μmであった。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値は0.0402pAであった。
【0207】
実施例3
実施例1において、以下のようにトナーを製造した以外は実施例1と同様にしてトナーを製造した。
イエロートナー
水 600部
Pigment Yellow 180 1200部
ポリオール樹脂1 1200部
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度128℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ着色剤を得た。
【0208】
Figure 2004279434
上記材料をミキサーで混合後、2本ロールミルで5回溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後ジェットミルによる衝突板方式の粉砕機(I式ミル;日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級(DS分級機;日本ニューマチック工業社製)を行い、体積平均粒径5.5μm、個数平均粒径4.5μmのイエロー色の着色粒子を得た。さらに一次粒子径10nmの疎水性シリカ(HDKH2000、クラリアントジャパン)を1.0wt%、一次粒子径15nmの酸化チタン(MT−150A、テイカ)を0.9wt%添加し、ヘンシェルミキサーで混合、目開き50μmの篩を通過させ凝集物を取り除く事によりイエロートナーを得た。ワックスのトナー中での分散径は0.3μmであった。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値は0.0332pAであった。
【0209】
実施例4
実施例1において、以下のようにトナーを製造した以外は実施例1と同様にしてトナーを製造した。
マゼンタトナー
水 600部
Pigment Red 57:1 1200部
ポリオール樹脂1 1200部
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度128℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ着色剤を得た。
【0210】
Figure 2004279434
上記材料をミキサーで混合後、2本ロールミルで5回溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後ジェットミルによる衝突板方式の粉砕機(I式ミル;日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級(DS分級機;日本ニューマチック工業社製)を行い、体積平均粒径5.5μm、個数平均粒径4.5μmのマゼンタ色の着色粒子を得た。さらに、一次粒子径10nmの疎水性シリカ(HDK H2000、クラリアントジャパン)を1.0wt%、一次粒子径15nmの酸化チタン(MT−150A、テイカ)を0.9wt%添加し、ヘンシェルミキサーで混合、目開き50μmの篩を通過させ凝集物を取り除く事によりマゼンタトナーを得た。ワックスのトナー中での分散径は0.2μmであった。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値は0.0601pAであった。
【0211】
実施例5
実施例1において、以下のようにトナーを製造した以外は実施例1と同様にしてトナーを製造した。
マゼンタトナー
水 600部
Pigment Red 185 1200部
ポリオール樹脂1 1200部
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度126℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、圧延冷却しパルペライザーで粉砕後さらに、ロ−ル表面温度125℃に設定した2本ロールにより40分間混練を行ない、圧延冷却しパルペライザーで粉砕マスターバッチ着色剤を得た。
【0212】
Figure 2004279434
上記材料をミキサーで混合後、2本ロールミルで5回溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後ジェットミルによる衝突板方式の粉砕機(I式ミル;日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級(DS分級機;日本ニューマチック工業社製)を行い、体積平均粒径5.5μm、個数平均粒径4.5μmのマゼンタ色の着色粒子を得た。さらに、一次粒子径10nmの疎水性シリカ(HDK H2000、クラリアントジャパン)を1.0wt%、一次粒子径15nmの酸化チタン(MT−150A、テイカ)を0.9wt%添加し、ヘンシェルミキサーで混合、目開き50μmの篩を通過させ凝集物を取り除く事によりマゼンタトナーを得た。ワックスのトナー中での分散径は0.2μmであった。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値は0.0950pAであった。
【0213】
実施例6
実施例1において、以下のようにトナーを製造した以外は実施例1と同様にしてトナーを製造した。
マゼンタトナー
水 600部
Pigment Red 57:1 1200部
ポリオール樹脂1 1200部
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度128℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ着色剤を得た。
【0214】
Figure 2004279434
上記材料をミキサーで混合後、2本ロールミルで5回溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後ジェットミルによる衝突板方式の粉砕機(I式ミル;日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級(DS分級機;日本ニューマチック工業社製)を行い、体積平均粒径5.5μm、個数平均粒径4.5μmのマゼンタ色の着色粒子を得た。さらに、一次粒子径10nmの疎水性シリカ(HDK H2000、クラリアントジャパン)を1.0wt%、一次粒子径15nmの酸化チタン(MT−150A、テイカ)を0.9wt%添加し、ヘンシェルミキサーで混合、目開き50μmの篩を通過させ凝集物を取り除く事によりマゼンタトナーを得た。ワックスのトナー中での分散径は0.2μmであった。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値は0.003pAであった。
【0215】
実施例7
実施例1、2、3記載のマゼンタトナー、シアントナー、イエロートナーと以下に記載するブラックトナーを含んだフルカラートナーキットを作製し、評価した。各種評価はフルカラーモードで行った。
ブラックトナー
水 1000部
フタロシアニングリーン含水ケーキ(固形分30%) 200部
カーボンブラック(MA60 三菱化学社製) 1000部
ポリオール樹脂1 1000部
上記原材料をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度128℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、マスターバッチ着色剤を得た。
【0216】
Figure 2004279434
上記材料をミキサーで混合後、2本ロールミルで3回以上溶融混練し、混練物を圧延冷却した。その後ジェットミルによる衝突板方式の粉砕機(I式ミル;日本ニューマチック工業社製)と旋回流による風力分級(DS分級機;日本ニューマチック工業社製)を行い、体積平均粒径5.5μm、個数平均粒径4.5μmのブラック色の着色粒子を得た。さらに一次粒子径10nmの疎水性シリカ(HDK H2000、クラリアントジャパン)を1.0wt%、一次粒子径15nmの酸化チタン(MT−150A、テイカ)を0.9wt%添加し、ヘンシェルミキサーで混合、目開き50μmの篩を通過させ凝集物を取り除く事によりブラックトナーを得た。ワックスのトナー中での分散径は0.15μmであった。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値は0.540pAであった。
【0217】
実施例8
実施例1において、樹脂をポリエステル樹脂(フマル酸、ポリオキシプロピレン−(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン−(2.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、無水トリメリット酸から合成された樹脂、酸価;10、水酸基価;30、Mn;5000、Mw/Mn;10、Mp;9000、Tg;61℃、軟化点108℃)に変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを製造した。得られたトナーの体積平均粒径は5.5μm、個数平均粒径は4.5μmであり、得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値は0.950pAであった。
【0218】
比較例1
実施例1において、マスターバッチ着色剤の製造条件を変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。マスターバッチ着色剤はロール表面温度115℃に設定した2本ロールにより40分間混練して得た。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値は0.0001pA未満であった。
【0219】
比較例2
実施例4において、トナーの製造条件を変更した以外は実施例4と同様にしてトナーを作製した。トナーの混練りをブス社製コニーダーに変更して作製し、混練物を圧延冷却した。そして粗粉砕して再度コニーダーで混練りして最終的な混練物を得た。その後、実施例4と同様にトナーを作製して評価した。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値は0.0001pA未満であった。
【0220】
比較例3
実施例1において、トナー中の着色剤が1.3wt%になるようにマスターバッチ着色剤とバインダー樹脂の処方量比を変更した以外は実施例1と同様にしてトナーを作製した。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値は0.0001pA未満であった。
【0221】
実施例1〜8、及び比較例1〜3で得られたトナーについて、以下のように評価を行った。用いた評価機、及び評価結果を表1に示す。
(評価機)
評価で用いる画像は以下の評価機A、B、C、D、Eいずれかを用いて評価した。
評価機A
4色の非磁性二成分系の現像部と4色用の感光体を有するタンデム方式のリコー社製フルカラーレーザープリンター IPSiO Color 8150の定着ユニットをオイルレス定着ユニットに改良しチューニングしたものを評価機Aとした。印字速度は高速印字、フルカラーで20枚〜50枚/min・A4まで変化させて評価した。
【0222】
評価機B
4色の非磁性二成分系の現像部と4色用の感光体を有するタンデム方式のリコー社製フルカラーレーザープリンター IPSiO Color 8150を改良して、中間転写体上に一次転写し、該トナー像を転写材に二次転写する、中間転写方式に変更して、かつ定着ユニットをオイルレス定着ユニットに改良しチューニングしたものを評価機Bとした。印字速度は高速印字、フルカラーで20枚〜50枚/min・A4まで変化させて評価した。
【0223】
評価機C
4色の現像部が二成分系現像剤を1つのドラム状感光体に各色現像し、中間転写体に順次転写し、転写材に4色を一括転写する方式のリコー社製フルカラーレーザー複写機 IMAGIO Color 5300の定着ユニットをオイルレス定着ユニットに改良しチューニングしたものを評価機Cとした。印字速度はフルカラーで6枚/min・A4で評価した。
【0224】
評価機D
4色の現像部が非磁性一成分系現像剤を1つのベルト感光体に各色順次現像し、中間転写体に順次転写し、転写材に4色を一括転写する方式のリコー社製フルカラーレーザープリンター IPSiO Color 8000の定着ユニットをオイルレス定着ユニットに改良し、オイルレス定着ユニットに改良しチューニングしたものを評価機Dとした。印字速度はフルカラーで6枚/min・A4で評価した。
【0225】
評価機E
4色の非磁性二成分系の現像部と4色用の感光体を有するタンデム方式のリコー社製フルカラーレーザープリンター IPSiO Color 8150をオイル塗布型定着部のままチューニングしたものを評価機Eとした。印字速度は高速印字、20枚〜50枚/min・A4まで変化させて評価した。
【0226】
(評価項目)
1)高温高湿環境下でのトナー飛散性
温度35℃、湿度80%の高温高湿環境下にトナーを12時間調湿保管後、同環境に評価機を設置して、単色モードで80%画像面積の画像チャートを30,000枚ランニング出力した後、現像部から飛散したトナー量を現像ユニットをオープンにして目視で判断した。×、△、○、◎の順にランクが良くなる。
【0227】
2)低温低湿環境下での地肌汚れ
単色モードで7%画像面積の画像チャートを30,000枚ランニング出力した後、白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定した。画像濃度の差が少ない方が地肌汚れは良く、×、△、○、◎の順にランクが良くなる。
【0228】
3)画像濃度(着色度)
単色モードで50%画像面積の画像チャートを200,000枚ランニング出力した後、ベタ画像をリコー社製6000ペーパーに画像出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定。これを4色単独に行い平均を求めた。この値が、1.2未満の場合は×、1.2以上1.4未満の場合は△、1.4以上1.8未満の場合は○、1.8以上2.2未満の場合は◎とした。
【0229】
4)色の鮮やかさ
単色モードで50%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力した後、色の鮮やかさをリコー社製6000ペーパーに出力した画像を視覚的に評価した。良好な順に◎、○、△、×とした。
【0230】
5)色再現性
単色モードで50%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力した後、色再現性をリコー社製6000ペーパーに出力した画像を視覚的に評価した。良好な順に◎、○、△、×とした。
【0231】
6)光沢
単色モードで50%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力した後、リコー社製6000ペーパーに出力した画像を、光沢度計(VG−1D)(日本電色社製)を用い、投光角度、受光角度をそれぞれ60°に合わせ、S、S/10切り替えSWはSに合わせ、0調製及び標準板を用いた標準設定の後、測定した。光沢度が良好なものから、◎:13以上、○:5以上13未満、△:2以上〜5未満、×:2未満、とした。
【0232】
7)耐光性
単色モードで50%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力した後、リコー社製6000ペーパーに出力した画像を、XENONTESTER XW−150(島津製作所社製)により画像に1万ルックスで15時間照射した後の画像を観察し、次の基準により耐光性を評価した。
◎:ほとんど変化しない。
○:わずかに変化する。
△:やや変化する。
×:かなり変化する。
【0233】
8)耐熱保存性
各色トナーを10gずつ計量し、20mlのガラス容器に入れ、100回ガラス瓶をタッピングした後、55℃にセットした恒温槽に24時間放置した後、針入度計で針入度を測定した。良好なものから、◎:20mm以上、○:15mm以上20mm未満、△:10mm以上〜15mm未満、×:10mm未満、とした。
【0234】
9)高温高湿環境帯電安定性
温度40℃、湿度90%の環境において、単色モードで7%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力する間に、1000枚ごとに現像剤を一部サンプリングしてブローオフ法により帯電量を測定して、帯電安定性を評価した。帯電上昇や帯電低下が少なく安定して良好な順に◎、○、△、×とした。
【0235】
10)低温低湿環境帯電安定性
温度10℃、湿度15%の環境において、単色モードで7%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力する間に、1000枚ごとに現像剤を一部サンプリングしてブローオフ法により帯電量を測定して、帯電安定性を評価した。帯電上昇や帯電低下が少なく安定して良好な順に◎、○、△、×とした。
【0236】
(二成分現像剤評価)
二成分系現像剤で画像評価する場合は、以下のように、シリコーン樹脂により0.3μmの平均厚さでコーティングされた平均粒径50μmのフェライトキャリアを用い、キャリア100重量部に対し各色トナー5重量部を容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、現像剤を作製した。
【0237】
(キャリアの製造)
・芯材
Cu−Znフェライト粒子(重量平均径:35μm) 5000部
・コート材
トルエン 450部
シリコーン樹脂SR2400
(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50%) 450部
アミノシランSH6020(東レ・ダウコーニング・シリコーン製)10部
カーボンブラック 10部
上記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調整し、このコート液と芯材を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成し上記キャリアを得た。
【0238】
【表2】
Figure 2004279434
【0239】
実施例9
(有機微粒子エマルションの合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、メタクリル酸166部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、6400回転/分で30分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し4時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で6時間熟成してビニル系樹脂(メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(堀場製作所製)で測定した体積平均粒径は、110nmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは58℃であり、重量平均分子量は13万であった。
【0240】
(水相の調整)
水990部、[微粒子分散液1]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.3%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
【0241】
(低分子ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧、230℃で7時間反応させ、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応させた後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で3時間反応させ、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1]は、数平均分子量2300、重量平均分子量6700,Tg43℃、酸価24であった。
【0242】
(中間体ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧、230℃で7時間反応させ、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応させ、[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2200、重量平均分子量9700、Tg54℃、酸価0.5、水酸基価52であった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応させ、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネートwt%は、1.53%であった。
【0243】
(ケチミンの合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で4時間半反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は417であった。
【0244】
(マスターバッチ(MB)の合成)
水1200部、カーボンブラック(Printex35、デクサ製)540部〔DBP吸油量=42ml/100mg、pH=9.5〕、ポリエステル樹脂1200部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて130℃で1時間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、[マスターバッチ1]を得た。
【0245】
(油相の作製)
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、カルナバワックス100部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部を加え、上記条件のビーズミルで2パスし、[顔料・ワックス分散液1]を得た。[顔料・ワックス分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
【0246】
(乳化⇒脱溶剤)
[顔料・ワックス分散液1]749部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで50分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で7時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
【0247】
(洗浄⇒乾燥)
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、以下のように洗浄した。
▲1▼:濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
▲2▼:▲1▼の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
▲3▼:▲2▼の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
▲4▼:▲3▼の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い[トナー母体粒子1]を得た。
得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値、物性は表2に示し、評価結果は表3に示した。
【0248】
実施例10
実施例9において、低分子ポリエステルの合成の工程を以下の条件に変更した以外は実施例9と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値、物性は表2、評価結果は表3に示した。
(低分子ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を常圧下、230℃で7時間重縮合させ、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応させて[低分子ポリエステル2]を得た。[低分子ポリエステル2〕は、数平均分子量2300、重量平均分子量6700、ピーク分子量3800、Tg43℃、酸価4であった。
【0249】
実施例11
実施例9において、油相の作製の工程を以下の条件に変更した以外は実施例9と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値、物性は表2、評価結果は表3に示した。
(油相の作製)
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、カルナバ/ライスワックス(重量比7:3)100部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま4時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液2]を得た。
[原料溶解液2]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、7パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで4パスし、[顔料・ワックス分散液2]を得た。[顔料・ワックス分散液2]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
【0250】
実施例12
実施例9において、乳化から脱溶剤の工程を以下の条件に変更した以外は実施例9と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値、物性は表2、評価結果は表3に示した。
(乳化⇒脱溶剤)
[顔料・ワックス分散液1]749部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで10分間混合し[乳化スラリー2]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー2]を投入し、30℃で6時間脱溶剤した後、45℃で5時間熟成を行い、[分散スラリー2]を得た。
【0251】
実施例13
実施例9において、乳化から脱溶剤の工程を以下の条件に変更した以外は実施例9と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値、物性は表2、評価結果は表3に示した。
(乳化⇒脱溶剤)
[顔料・ワックス分散液1]749部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで2分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで40分間混合し[乳化スラリー3]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー3]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で5時間熟成を行い、[分散スラリー3]を得た。
【0252】
実施例14
実施例9において、低分子ポリエステルの合成の工程を以下の条件に変更した以外は実施例9と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値、物性は表2、評価結果は表3に示した。
(低分子ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物500部、テレフタル酸500部を常圧下、230℃で7時間重縮合させ、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応させて[低分子ポリエステル3]を得た。[低分子ポリエステル3]は、数平均分子量2300、重量平均分子量6700、ピーク分子量3800、Tg43℃、酸価10であった。
【0253】
実施例15
実施例9において、乳化から脱溶剤の工程を以下の条件に変更した以外は実施例9と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値、物性は表2、評価結果は表3に示した。
(乳化⇒脱溶剤)
[顔料・ワックス分散液1]749部、[プレポリマー1]を115部、[ケチミン化合物1]2.9部を容器に入れ、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで1時間混合し[乳化スラリー4]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー4]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で10時間熟成を行い、[分散スラリー4]を得た。
【0254】
実施例16
実施例9において、以下の条件を変更した以外は実施例9と同様にしてトナーを得た。得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値、物性は表2に、評価結果は表3に示した。
(低分子ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸276部を常圧下、230℃で7時間重縮合させ、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応させて[低分子ポリエステル2]を得た。[低分子ポリエステル2〕は、数平均分子量2300、重量平均分子量6700、ピーク分子量3800、Tg43℃、酸価4であった。
【0255】
(油相の作製)
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル2]378部、カルナバ/ライスワックス(重量比7:3)100部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま4時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液3]を得た。
[原料溶解液3]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、7パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル2]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで4パスし、[顔料・ワックス分散液3]を得た。[顔料・ワックス分散液3]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
【0256】
比較例4
<第1工程>
(分散液(1)の調製)
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・ 370g
n−ブチルアクリレート・・・・・・・・・ 30g
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・・・ 8g
ドデカンチオール・・・・・・・・・・・・ 24g
四臭化炭素・・・・・・・・・・・・・・・・ 4g
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6g及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)10gをイオン交換水550gに溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、平均粒径が155nm、ガラス転移点が59℃、重量平均分子量(Mw)が12,000である樹脂粒子を分散させてなる分散液(1)を調製した。
【0257】
(分散液(2)の調製)
スチレン・・・・・・・・・・・・・・・ 280g
nブチルアクリレート・・・・・・・・・ 120g
アクリル酸・・・・・・・・・・・・・・・・ 8g
以上を混合し、溶解したものを、非イオン性界面活性剤(三洋化成(株)製:ノニポール400)6g及びアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)12gをイオン交換水550gに溶解したものに、フラスコ中で分散し、乳化し、10分間ゆっくりと混合しながら、これに過硫酸アンモニウム3gを溶解したイオン交換水50gを投入し、窒素置換を行った後、前記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続し、平均粒径が105nm、ガラス転移点が53℃、重量平均分子量(Mw)が550,000である樹脂粒子を分散させてなる分散液(2)を調製した。
【0258】
(着色剤分散液(1)の調製)
カーボンブラック・・・・・・・・・・ 50g
(キャボット社製:モーガルL)
非イオン性界面活性剤・・・・・・・・・ 5g
(三洋化成(株)製:ノニポール400)
イオン交換水・・・・・・・・・・・ 200g
以上を混合し、溶解し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散し、平均粒径が250nmである着色剤(カーボンブラック)を分散させてなる着色剤分散液(1)を調製した。
【0259】
(離型剤分散液(1)の調製)
パラフィンワックス・・・・・・・・・・ 50g
(日本精蝋(株)製:HNP0190、融点85℃)
カチオン性界面活性剤・・・・・・・・・ 5g
(花王(株)製:サニゾールB50)
イオン交換水・・・・・・・・・・・・・200g
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、平均粒径が550nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(1)を調製した。
【0260】
(凝集粒子の調製)
分散液(1)・・・・・・・・・・・・120g
分散液(2)・・・・・・・・・・・・ 80g
着色剤分散液(1)・・・・・・・・・ 30g
離型剤分散液(1)・・・・・・・・・ 40g
カチオン性界面活性剤・・・・・・・・1.5g
(花王(株)製:サニゾールB50)
以上を丸型ステンレス製フラスコ中でホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて混合し、分散した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で30分間保持した後、光学顕微鏡にて観察すると、平均粒径が約5μmである凝集粒子(体積:95cm)が形成されていることが確認された。
【0261】
<第2工程>
(付着粒子の調製)
ここに、樹脂含有微粒子分散液としての分散液(1)を緩やかに60g追加した。なお、前記分散液(1)に含まれる樹脂粒子の体積は25cmである。そして、加熱用オイルバスの温度を50℃に上げて1時間保持した。
【0262】
<第3工程>
その後、ここにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)3gを追加した後、前記ステンレス製フラスコを密閉し、磁力シールを用いて攪拌を継続しながら、105℃まで加熱し、3時間保持した。そして、冷却後、反応生成物をろ過し、イオン交換水で十分に洗浄した後、乾燥させた。
【0263】
<第4工程>
循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体を得た。
得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値、物性は表2、評価結果は表3に示した。
【0264】
比較例5
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、イソフタル酸276部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧、230℃で8時間反応させ、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応させた後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応させた。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソフォロンジイソシアネート188部と2時間反応を行いイソシアネート含有プレポリマー(1)を得た。次いでプレポリマー(1)267部とイソホロンジアミン14部を50℃で2時間反応させ、重量平均分子量64000のウレア変性ポリエステル(1)を得た。上記と同様にビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物724部、テレフタル酸138部及びイソフタル酸138部を常圧下、230℃で6時間重縮合させ、次いで10〜15mmHgの減圧で5時間反応させて、ピーク分子量2300、水酸基価55、酸価1の変性されていないポリエステル(a)を得た。ウレア変性ポリエステル(1)200部と変性されていないポリエステル(a)800部を酢酸エチル/MEK(1/1)混合溶剤1000部に溶解、混合し、トナーバインダー(1)の酢酸エチル/MEK溶液を得た。冷却管、攪拌機及び温度計付の反応槽中に、水942部、ハイドロキシアパタイト10%懸濁液(日本化学工業(株)製スーパタイト10)58部を入れておき、攪拌下にトナーバインダー(1)の酢酸エチル/MEK溶液1000部を加えて分散した。98℃まで昇温して有機溶剤を溜去し、冷却後水から濾別、洗浄、乾燥し、トナーバインダー(1)を得た。トナーバインダー(1)のTgは52℃、Tηは123℃、TG’は132℃であった。
【0265】
前記トナーバインダー(1)100部、グリセリントリベヘネート7部及びシアニンブルーKRO(山陽色素(株)製)4部を用い、下記の方法でトナーを製造した。まず、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM10B)を用いて予備混合した後、二軸混練機((株)池貝製PCM−30)で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット(日本ニューマチック工業社製)を用いて微粉砕した後、気流分級機(日本ニューマチック工業社製MDS−I)で分級した。その後、循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥した。その後、目開き75μmメッシュで篩い、トナー母体を得た。
得られたトナーの60〜100℃における熱刺激電流ピーク値、物性は表2に、評価結果は表3に示した。
【0266】
実施例9〜16、及び比較例4〜5で得られたトナーについて以下のように評価を行った。
(二分現像剤評価)
二成分系現像剤で画像評価する場合は、以下のように、シリコーン樹脂により0.5μmの平均厚さでコーティングされた平均粒径35μmのフェライトキャリアを用い、キャリア100重量部に対し各色トナー7重量部を容器が転動して攪拌される型式のターブラーミキサーを用いて均一混合し帯電させて、現像剤を作製した。
【0267】
(キャリアの製造)
・芯材
Mnフェライト粒子(重量平均径:35μm) 5000部
・コート材
トルエン 450部
シリコーン樹脂SR2400
(東レ・ダウコーニング・シリコーン製、不揮発分50%)450部
アミノシランSH6020
(東レ・ダウコーニング・シリコーン製) 10部
カーボンブラック 10部
上記コート材を10分間スターラーで分散してコート液を調整し、このコート液と芯材を流動床内に回転式底板ディスクと攪拌羽根を設けた旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置に投入して、当該コート液を芯材上に塗布した。得られた塗布物を電気炉で250℃、2時間焼成し上記キャリアを得た。
【0268】
(評価項目)
1)粒径
トナーの粒径は、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用い、アパーチャー径100μmで測定した。体積平均粒径及び個数平均粒径は上記粒度測定器により求めた。
【0269】
2)平均円形度E
フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス株式会社)により平均円形度Eが計測できる。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水120ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.3ml加え、更に測定試料を0.2g程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約2分間分散処理を行ない、分散液濃度を約5000個/μlとして前記装置によりトナーの形状及び分布を測定することによって得られた。
【0270】
4)クリーニング性
100枚出力後の清掃工程を通過した感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム(株)製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、ブランクとの差が0.005未満のものを◎、0.005〜0.010のものを○、0.011〜0.02のものを△、0.02を超えるものを×として評価した。
【0271】
5)帯電安定性
Ricoh製IPSiO Color8150をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を用いて、各トナーを用いて画像面積率7%チャート連続100000枚出力耐久試験を実施し、そのときの帯電量の変化を評価した。現像剤1gを計量し、ブローオフ法により帯電量変化を求めた。帯電量の変化が5μc/g以下の場合は○、10μc/g以下の場合は△、10μc/gを超える場合は×とした。
【0272】
6)画像濃度
Ricoh製IPSiO Color8150をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を用い、普通紙の転写紙(リコー製 タイプ6200)に0.5±0.1 mg/cmの付着量におけるベタ画像出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定した。画像濃度1.4以上を○、それ未満を×とした。
【0273】
7)画像粒状性、鮮鋭性
Ricoh製IPSiO Color8150をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を用い、単色で写真画像の出力を行い、粒状性、鮮鋭性の度合を目視にて評価した。良好なものから◎、○、△、×で評価した。◎はオフセット印刷並、○はオフセット印刷よりわずかに悪い程度、△はオフセット印刷よりかなり悪い程度、×は従来の電子写真画像程度で非常に悪いとした。
【0274】
8)カブリ
温度35℃、湿度95%の環境において、Ricoh製IPSiO Color8150をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を用いて、各トナーを用いて画像面積率7%チャート連続100000枚出力耐久試験を実施後の転写紙上地肌部のトナー汚れ度合を目視(ルーペ)にて評価した。良好なものから◎、○、△、×で評価した。◎は、トナー汚れがまったく観察されず良好状態、○は、わずかに汚れが観察される程度で問題とはならない、△は少し汚れが観察される程度、×は許容範囲外で非常に汚れがあり問題となる。
【0275】
9)トナー飛散
温度35℃、湿度95%の環境において、Ricoh製IPSiO Color8150をオイルレス定着方式に改造してチューニングした評価機を用いて、各トナーを用いて画像面積率7%チャート連続100000枚出力耐久試験を実施後の複写機内のトナー汚染状態を目視にて評価した。◎は、トナー汚れがまったく観察されず良好状態、○は、わずかに汚れが観察される程度で問題とはならない、△は少し汚れが観察される程度、×は許容範囲外で非常に汚れがあり問題となる。
【0276】
10)環境保存性
トナーを10gずつ計量し、20mlのガラス容器に入れ、100回ガラス瓶をタッピングした後、温度55℃、湿度85%にセットした恒温槽に24時間放置した後、針入度計で針入度を測定した。また低温低湿(10℃、15%)環境に保存したトナーも同様に針入度を評価し、高温高湿、低温低湿環境で、より針入度が小さい方の値を採用して評価した。良好なものから、◎:20mm以上、○:15mm以上20mm未満、△:10mm以上〜15mm未満、×:10mm未満、とした。
【0277】
11)色の鮮やかさ
単色モードで50%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力した後、色の鮮やかさをリコー社製6000ペーパーに出力した画像を視覚的に評価した。良好な順に◎、○、△、×とした。
【0278】
12)色再現性
単色モードで50%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力した後、色再現性をリコー社製6000ペーパーに出力した画像を視覚的に評価した。良好な順に◎、○、△、×とした。
【0279】
13)光沢
単色モードで50%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力した後、リコー社製6000ペーパーに出力した画像を、光沢度計(VG−1D)(日本電色社製)を用い、投光角度、受光角度をそれぞれ60°に合わせ、S、S/10切り替えSWはSに合わせ、0調製及び標準板を用いた標準設定の後、測定した。光沢度が良好なものから、◎:13以上、○:5以上13未満、△:2以上〜5未満、×:2未満、とした。
【0280】
14)耐光性
単色モードで50%画像面積の画像チャートを100,000枚ランニング出力した後、リコー社製6000ペーパーに出力した画像を、XENONTESTER XW−150(島津製作所社製)により画像に1万ルックスで15時間照射した後の画像を観察し、次の基準により耐光性を評価した。
◎:ほとんど変化しない。
○:わずかに変化する。
△:やや変化する。
×:かなり変化する。
【0281】
【表3】
Figure 2004279434
【0282】
【表4】
Figure 2004279434
【0283】
【発明の効果】
少なくともバインダー樹脂と着色剤とを含有するトナーにおいて、熱刺激電流ピーク値が少なくとも60〜100℃において、0.001〜1pAであることを特徴とする静電荷像現像用トナーを用いることで、トナーを高温高湿環境で長時間保管後に、高温高湿環境下で数万枚画像を出力した後においても帯電安定性に優れた、弱帯電、逆帯電トナーが少なくトナー飛散が発生しない、トナー、現像剤、画像形成方法を提供できかつ、常温常湿環境だけでなく、低温低湿環境下において数万枚画像を出力した後でも帯電安定性に優れた、弱帯電、逆帯電トナーが少なく地肌汚れ(かぶり)が発生しないトナー、現像剤、画像形成方法を提供できかつ、数万枚画像を出力した後でも、十分な着色性、耐光性、透明性、発色性、鮮明性、色再現性、彩度、光沢を有するトナー、現像剤、画像形成方法を提供できることを見いだした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる接触法の熱刺激電流の測定装置の一例の概略構成図である。
【図2】熱刺激電流と温度との関係を示す図である。
【図3】熱刺激電流値と着色剤の分散性状態の関係を示す図である。
【図4】本発明における接触法による熱刺激電流の測定プログラムの一例をグラフにしたものである。
【図5】本発明の画像形成方法の実施形態の一例を示す概略構成図である。
【図6】本発明の画像形成方法の実施形態の他の例を示す概略構成図である。
【図7】タンデム方式の画像形成方法の実施の形態の一例を示す概略構成図である。
【図8】タンデム方式の画像形成方法の実施の形態の他の例を示す概略構成図である。
【図9】タンデム型間接転写方式の画像形成方法の一例を示す概略構成図である。
【図10】図9における画像形成装置の部分拡大図である。
【符合の説明】
1 感光体
2 1次転写装置
3 シート搬送ベルト
4 中間転写体
5 2次転写装置
6 給紙装置
7 定着装置
8 感光体クリーニング装置
9 中間転写体クリーニング装置
10 中間転写体
14、15、16 支持ローラ
17 中間転写体クリーニング装置
18 画像形成手段
20 ダンデム画像形成装置
21 露光装置
22 2次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 原稿台
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結合レンズ
36 読取りセンサ
40 感光体
43 ペーパーバンク
44 給紙カセット
45、52 分離ローラ
46、48 給紙路
47 搬送ローラ
49 レジストローラ
50 給紙ローラ
51 手差しトレイ
53 手差し給紙路
55 切換爪
56 排紙ローラ
57 排紙トレイ
60 帯電装置
61 現像装置
62 1次転写装置
63 感光体クリーニング装置
64 除電装置
100 複写装置本体
110 感光体
120 帯電ローラ
130 露光装置
140 現像装置
141 現像ベルト
142 現像タンク
143 汲み上げローラ
144 塗布ローラ
145 現像ユニット
150 中間転写体
151 懸架ローラ
152 コロナ帯電器
160 クリーニング装置
170 除電ランプ
180 転写ローラ
190 クリーニング装置
200 給紙テーブル
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置
s シート(転写紙)
T ダンデム型画像形成装置

Claims (14)

  1. 少なくとも着色剤とバインダー樹脂を含む静電荷像現像用トナーにおいて、トナーを帯電させ、電極と接触させた状態で測定する接触法で測定した昇温過程における熱刺激電流値の少なくとも60〜100℃におけるピーク値が、0.001〜1pAであることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記トナーの平均円形度が0.94〜0.99であることを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記バインダー樹脂が、少なくとも酸価が14〜40のポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 前記バインダー樹脂が、少なくとも変性ポリエステル樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  5. 前記トナーがプレポリマーを含むトナー組成物を溶解した有機溶媒の油滴を水系媒体中に分散させ、伸長反応及び/又は架橋反応により形成された粒子からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  6. 前記バインダー樹脂が、少なくともポリオール樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 前記ポリオール樹脂が、少なくとも主鎖にエポキシ樹脂部とポリオキシアルキレン部を有するポリオール樹脂であることを特徴とする請求項6記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 前記トナーの体積平均粒径が1〜8μmであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  9. 請求項1〜8いずれか記載のトナーと磁性粒子からなるキャリアを含むことを特徴とする二成分系現像剤。
  10. 少なくともマゼンタトナー、イエロートナー、シアントナーを収容するフルカラートナーキットにおいて、マゼンタトナー、イエロートナー、シアントナーの少なくとも1つ以上が請求項1〜8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーであることを特徴とするフルカラートナーキット。
  11. 感光体と、現像手段と、帯電手段及び/又はクリーニング手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段は、トナー又は現像剤を保持し、該トナー又は現像剤は、請求項1〜9のいずれか記載のトナー又は現像剤からなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  12. 請求項1〜9のいずれかに記載のトナー又は現像剤を使用することを特徴とする画像形成方法。
  13. 請求項1〜9のいずれかに記載のトナー又は現像剤を使用しかつ、印字速度がA4サイズ相当で20枚/分以上であることを特徴とするタンデム方式のカラー画像形成方法。
  14. 少なくとも着色剤とバインダー樹脂を含む静電荷像現像用トナーを帯電させ、電極と接触させた状態で測定する接触法で昇温過程における熱刺激電流を測定することを特徴とする静電荷像現像用トナーの着色剤の分散性の測定方法。
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