JP2004279072A - マイクロ波センサ - Google Patents

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Tadashi Chiga
匡 千賀
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Abstract

【課題】センサ本体の構成を変えることなく、種々の用途に応じて検出範囲を調整できるとともに、設置のための余裕が少ない環境に適応できるようにする。
【解決手段】センサ本体11には、発信素子または受信素子が周辺回路やホーンアンテナとともに収容される。外付けホーンアンテナ12は、このセンサ本体11の周面に外接する大きさの筒状体121の後端縁に取り付け部122が連続形成されて成るもので、取り付け部122は、センサ本体11に対し、着脱自由に取り付けられる。また、この外付けホーンアンテナ12が取り付けられたときのセンサ本体11では、両側の側面112に、取り付け金具5を付けるための空き領域を確保することができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、マイクロ波を用いて物体を検出するマイクロ波センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なマイクロ波センサは、マイクロ波の発信部、受信部、ホーンアンテナなどを具備するもので、発信部と受信部とが対向配備される透過式のセンサや、発信部と受信部とが同じ筐体に配備された反射型のセンサがある。
【0003】
また、工場の製造ラインなどで使用するFA(ファクトリー・オートメーション)用途のマイクロ波センサは、製造者以外の者による回路の変更や、ゴミや水などの混入を防止するために、発信部や受信部を、ホーンアンテナとともに筐体内部に封印した構成をとる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この種のマイクロ波センサでは、使用目的や被検出物体の種類に応じて、ホーンアンテナの長さや内部空間を調整することにより、物体の検出が可能な強度を持つマイクロ波が届く範囲(以下、これを「検出距離」という。)や、マイクロ波が進行方向に対して広がる角度範囲(以下、これを「視野」という。)を調整することが望まれる。しかしながら、上記のFA用途のマイクロ波センサのように、ホーンアンテナが筐体内に封印されると、上記のような調整を行うのは困難である。このため、種々の用途に適合する検出距離や視野を持つセンサを提供するには、ホーンアンテナの形態が異なる製品を個別に製造する必要があり、コスト高を招く、という問題がある。
【0005】
また、従来のホーンアンテナは、角錐状または円錐状など、先端に向かって広がるように構成されているため、上記の調整が容易に行えるように、ホーンアンテナを筐体の外部に露出させたとしても、幅方向の余裕が少ない場所への取り付けが困難になる。たとえば、側方に壁や機械などがある環境にセンサを取り付けなければならない場合には、ホーンアンテナの先端部分を設置するだけの場所を確保できなくなり、取り付けが困難になるおそれがある。
【0006】
この発明は上記問題に着目してなされたもので、センサ本体の構成を変えることなく、その検出範囲を種々の用途に応じて簡単に調整できるとともに、設置のための余裕が少ない環境にも適応できるようなマイクロ波センサを提供することを、目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかるマイクロ波センサは、発信部または受信部の少なくとも一方が組み込まれたセンサ本体と、このセンサ本体に着脱自由に取り付けられることが可能な金属製の筒状体とを具備する。また、センサ本体の内部には、その前面に対向させてホーンアンテナが設けられる。
【0008】
前記発信部は、マイクロ波の発信素子やその駆動回路を含むものとすることができる。また、受信部は、マイクロ波の受信素子やその受信信号の処理回路を含むものとすることができる。
ホーンアンテナは金属体であって、センサ本体の大きさに応じた一定のサイズに形成することができる。このホーンアンテナを、センサ本体の前面に対向させて配備することにより、前記センサ本体の前面を、マイクロ波の送信面または受信面として機能させることができる。なお、このセンサ本体は、開口された面を持たない密閉型の筐体として構成されるのが望ましいが、FA用途以外の目的で使用される場合には、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0009】
発信部のみが組み込まれたセンサ本体は、透過式のマイクロ波センサの発信機として、受信機のみが組み込まれたセンサ本体(受信機)と対にして使用することができる。一方、発信機と受信機との双方が組み込まれたセンサ本体は、物体からの反射波を受信する反射式のマイクロ波センサを構成することができる。
【0010】
この発明は、透過式、反射式のいずれのマイクロ波センサにも適用することができる。この発明にかかるマイクロ波センサでは、前記筒状体は、前記センサ本体の前面の周縁に接し、かつこの接触位置における外形と大きさとを維持しながら前記筐体の前方に突出するように構成される。
【0011】
前記金属製の筒状体は、マイクロ波センサの第2のホーンアンテナとして機能するものであり、その後端部がセンサ本体の前面の周縁に外接するように構成されるのが望ましい。この筒状体は、その後端部またはその後方に連続形成される取り付け部をセンサ本体に固定できるようにするのが望ましい。この取り付けは、スナップフィット方式など、センサ本体に対する着脱を簡単に行うことができるものであるのが望ましいが、これに限らず、たとえばネジによりセンサ本体に固定するようにしてもよい。
【0012】
上記構成によれば、筒状体は、センサ本体の前面の周縁をそのまま前方に伸ばしたのとほぼ同等の状態で、センサ本体の前方に突出するようになる。センサ本体が発信部を含む場合には、この筒状体の長さや内部空間の大きさを調整することによって、マイクロ波が届く距離や角度範囲を調整することができる。また、センサ本体が受信部を含む場合にも、筒状体の長さや内部空間の大きさを調整することによって、受信部に導かれるマイクロ波の範囲を調整することができる。よって、センサ本体の内部構成を変更せずに、検出距離や視野を用途に応じて調整することが可能となる。また、筒状体の幅方向の長さはセンサ本体とほぼ等しくなるから、長さ方向のスペースさえ確保できれば、幅方向の設置スペースを広げる必要はなく、側方に壁などの障害物がある環境下にも容易に取り付けることができる。
【0013】
なお、下記の特許文献1は、通信用のアンテナ装置に関する発明であるが、マイクロ波の出射面に導波管を着脱可能に取り付ける技術が開示されている。
【0014】
【特許文献1】
特開平5−299922号 公報
【0015】
この特許文献1では、通信装置本体の前面とアンテナ装置との間に、通信装置本体側の導波管と同じ形状の導波管を嵌合した取り付け金具を介在させている(図1、段落[0027]〜[0031]参照。)。しかしながら、この取り付け金具は、通信装置本体の前面にネジ止めされるため、このネジなどの固定用部材が電波が通過する空間中に含まれてしまい、電波の減衰や指向性の乱れを引きおこすおそれがある。したがって、固定用部材が電波の通過範囲に含まれないようにするには、センサ本体の前面をマイクロ波の出射範囲より大きく構成し、その出射範囲外の部分で導波管を固定する必要があるが、このような構成をマイクロ波センサに適用すると、センサ本体の外形が大きくなり、狭いスペースに設置するのが困難となる。
【0016】
これに対し、この発明の好ましい態様のマイクロ波センサでは、前記筒状体は、前記センサ本体の前記前面に連続する外周面に対し、その両側に所定大きさの空き領域を確保した状態で取り付けられる。たとえば、筒状体の終端位置に取り付け部材を連続形成し、この取り付け部材をセンサ本体の外周面に固定することができる。この取り付け部材を、外周面の上下位置のみに対応するものとすれば、側方部が被覆されることがなく、十分な空き領域を確保することができる。しかしながら、側方位置に対しても、前記所定大きさの空き領域を確保できる範囲であれば、取り付け部材を設けることができる。また、センサ本体や筒状体が円筒形であれば、センサ本体の外周面と筒状体の内周面とにそれぞれネジ部を形成し、これらネジ部を嵌合することにより、両者を接合してもよい。
【0017】
上記の態様によれば、センサ本体の前面に固定用部材が設けられることがないから、電波の減衰や指向性の乱れが生じるおそれなしに、筒状体を取り付けることができる。また、センサ本体が角状であれば、両側の空き領域にL字金具のような固定部材を取り付けるなど、センサの固定配置を容易に行うことができるので、実用性に優れたマイクロ波センサを提供することができる。
【0018】
他の好ましい態様のマイクロ波センサでは、前記筒状体の内側には、その内部空間を電界の振動方向に沿ってセンサ本体の前面より狭めるための内壁部が長さ方向にわたって形成される。たとえば、センサ本体や筒状体が角状であって、電界が上下方向に沿って振動する場合であれば、筒状体内の上下にそれぞれ所定の厚みを持つ内壁部を形成することにより、筒状体の外形を変えることなく、筒状体の内部空間をセンサ本体の前面よりも狭くすることができる。
【0019】
このようにすれば、センサ本体への取り付け部の構成に影響を及ぼさずに、視野を絞り込むことが可能となる。また、筒状体内では、電波が振動する範囲が狭くなるので、マイクロ波の位相が合いやすくなり、マイクロ波の出射強度や受信波の強度を強めることができる。よって、検出距離を確保しつつ、微小な物体や、細長形状の物体の検出に適した視野を設定することができる。
【0020】
さらに好ましい態様のマイクロ波センサでは、センサ本体内の発信部は、24.05〜24.25GHzの周波数域のマイクロ波を発信し、前記筒状体は、筐体の前面に対し、30〜40mm前方に突出するように構成される。
【0021】
一般に、マイクロ波の導波管内を伝搬されるマイクロ波の位相を揃えるためには、導波管をマイクロ波の波長に比例する長さに設定するのが望ましい。また、この種のセンサをFA用途で使用する場合、設置場所を考えると、センサ本体からの突出は40mm程度までにとどめるのが望ましい。上記の構成によれば、24.05〜24.25GHzのマイクロ波を使用した場合、センサ本体から突出する部分の長さを3波長分の長さにすることができるから、センサの設置環境に対応した状態で、検出距離を伸ばすことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に示す各実施例は、マイクロ波を発信する発信機と、その発信されたマイクロ波を受信するための受信機とが対向配備される透過型のマイクロ波センサにかかるものである。まず、図1では、各実施例に共通する電気構成を示す。
【0023】
図示例のマイクロ波センサは、発信機1A、受信機1Bのほか、アンプ部2を具備する。発信機1Aには、発信素子13のほか、その駆動回路14や発信回路15が含まれる。受信機1Bには、受信素子16のほか、受信したマイクロ波の大きさを電圧信号に変換するための処理回路17(以下、「受信回路17」という。)が含まれる。
【0024】
アンプ部2は、前記発信機1Aおよび受信機1Bに接続するための端子2a,2b、電源用端子2c、出力用端子2dなどを具備する。また、このアンプ部2の内部には、低電圧回路21、電源リセット回路22、発信回路23、相互干渉防止回路24、増幅回路25、信号処理回路26、出力回路27などが組み込まれ、さらに、機体の適所には、安定表示灯28、動作表示灯29などの表示灯が配備される。なお、図中の3は、検出対象の物体である。
【0025】
上記構成において、アンプ部2側の発信回路23は、一定の時間間隔毎に基準パルスを生成する。この基準パルスは、前記端子2aおよび信号処理回路26に出力される。
発信機1A側の発信回路15は、前記基準パルスに同期するパルスを生成して駆動回路14に出力する。これにより、駆動回路14は、一定の間隔で発信素子13を駆動して、マイクロ波を発信させる。このマイクロ波は、受信機1B側の受信素子16および受信回路17により処理され、受信したマイクロ波のレベルに応じた電圧信号(以下、「受信信号」という。)が生成される。
【0026】
アンプ部2の増幅回路25は、受信回路17により生成された受信信号を増幅して、信号処理回路26に入力する。信号処理回路26は、前記受信信号のレベルを所定のしきい値と比較し、物体の有無を示す信号(以下、「物体有無信号」という。)を生成する。なお、信号処理回路26は、ノイズを除去するために、前記発信回路23からの基準パルスに同期するタイミングで前記の比較処理を行うようにしている。出力回路27は、信号処理回路26が生成した物体有無信号を出力端子2dに出力するとともに、この信号が「物体あり」を示すレベルにあるとき、動作表示灯29を点灯するように構成される。
【0027】
なお、電源用端子2cは、12〜24Vの外部直流電源に接続されており、低電圧回路21は、この供給電圧を、それより低い一定電圧に変換して、アンプ部2および発信機1A、受信機1B内の各回路に供給する。また、電源リセット回路22は、電源投入直後に回路が不安定な状態にある際に、誤った出力がされないように、一定の時間、出力回路27の動作を停止させるためのものである。相互干渉防止回路24は、近傍に他のマイクロ波センサがある場合に、このセンサからのマイクロ波の干渉による誤動作が生じないように、発信回路23の基準パルスの生成タイミングを調整するためのものである。
【0028】
また、信号処理回路26は、電源立ち上げ時などに、入力される受信信号のレベルのばらつきが所定の分解能の範囲内であるかどうかを検出し、前記ばらつきが分解能の範囲であれば、安定表示灯28を点灯するようにしている。
【0029】
透過型のマイクロ波センサでは、発信機1Aと受信機1Bとの間に物体が存在しない場合に、発信機1Aからのマイクロ波が受信機1Bに入るようになる。したがって、この実施例の信号処理回路26では、前記受信信号がしきい値以下のときに、前記物体検知信号を「物体あり」を示すレベルに設定する。
【0030】
なお、図1の構成のアンプ部2は、反射型のマイクロ波センサに使用することもできる。この場合には、前記信号処理回路26は、受信信号がしきい値以上のときに、前記物体検知信号を「物体あり」を示すレベルに設定することになる。ただし、透過型、反射型のいずれのタイプのセンサについても、必ずしもアンプ部2を設ける必要はなく、前記アンプ部2内に含まれる回路を、発信素子13や発信素子16と同一の筐体内に収容してもよい。
【0031】
前記図1の発信機1Aと受信機1Bとは、外観上は、ほぼ同様の形態となる。以下の実施例では、発信機1Aおよび受信機1Bの共通構成に言及する場合は、両者を「センサヘッド1」と総称し、個別の説明が必要な場合のみ、「発信機1A」「受信機1B」と言い表すことにする。
【0032】
図2は、センサヘッド1の第1の構成例を示す。この実施例のセンサヘッド1の機体は、ステンレスのような金属を成型して成るもので、前記図1の発信機1Aまたは受信機1Bの回路を含むセンサ本体11と、外付けホーンアンテナ12とにより構成される。なお、図中の104は、前記アンプ部2に接続するためのコードであり、5は、発信機1Aを固定設置するためのL字状の取り付け金具である。
【0033】
センサ本体11は、直方体状の筐体として構成されるもので、その内部には、図3に示すように、前記発信素子13または受光素子16の収容部101、回路基板102、ホーンアンテナ103などが収容される。なお、このセンサ本体11は、特殊なネジにより、全面が密閉された状態にある。
【0034】
外付けホーンアンテナ12は、前記センサ本体11に外接する大きさの内面を具備する角形の筒状体と、この筒状体の後端縁に連続する取り付け部122とから成る。
前記取り付け部122は、上面の矩形板124と、両側の逆L字状の側板125(片側のみ図示。)と、これら矩形板124および側板125の前縁と筒状体121の後縁との間に形成されたV字溝123aとを含む。矩形板124は、センサ本体11の上面111の前方部を被覆する大きさに形成される。また各側板125の短く形成された部分には、水平方向に沿うV字溝123bが形成される。
【0035】
前記センサ本体11を構成する筐体には、上面111および両側の側面112(片側のみ図示。)の前方に、それぞれ前記取り付け部122の前方のV字溝123aに対応する矩形溝(図示せず。)が形成される。さらに、各側面112には、前記側板のV字溝123bに対応する高さ位置に、奥行き方向に沿って伸びる矩形溝113が形成される。これらの矩形溝は、それぞれ対応するV字溝の裏側の突部を嵌め込むことが可能な幅を持つ。よって、センサ本体11の前方側の矩形溝にV字溝123aを、奥行き側の矩形溝113にV字溝123bを、それぞれ嵌め込むことにより、外付けホーンアンテナ12は、前記筒状体121を前方側に突出させた状態で、センサ本体11に取り付けられる。
【0036】
このように、この実施例では、センサ本体11に対する外付けホーンアンテナ12の着脱を、スナップフィット方式で行うことができるので、仮に、外付けホーンアンテナ12の内部にゴミや水滴が入ったとしても、容易に取り外して洗浄するなどの対応をとることができ、センサとしての機能を維持することができる。また、外付けホーンアンテナ12については、長さを変化させたり、後記するように内部空間の大きさを変えるなど、形態の異なる複数種のホーンアンテナを用意することができるので、使用目的の変更などにより、外付けホーンアンテナ12を他の種類のものに変更する場合にも、その取替作業を容易に行うことができる。
【0037】
さらに、この実施例では、外付けホーンアンテナ12の前記取り付け部122の側板125の形状を逆L字状にすることにより、センサ本体11の側面112に、前記取り付け金具5を付けるだけの空き領域を確保できるようにしている。したがって、センサを設置する作業も、簡単かつ確実に行うことができる。
【0038】
図4は、上記図2の構成のセンサヘッド1を使用して、物体を検出する例を示す(この図では、筒状体とセンサ本体11との取り付けにかかる構成の図示は省略する。)。図中、41は検出対象の物体3を搬送するためのコンベアであり、42,43は、このコンベア41の両側に形成された壁部である。図示例では、壁部42,43で囲まれた領域を通過した直後の物体3を検出するために、発信機1Aおよび受信機1Bを構成する各センサヘッド1,1を、それぞれその一側面を、前記壁部42,43の出口側の壁面42a,43aに接触させた状態で設置している。各センサヘッド1,1の外付けホーンアンテナ12の筒状体は、センサ本体11の周縁とほぼ同じ形状と大きさとを維持しながら前方に突出するものであるから、各センサヘッド1,1を、その全長にわたって、壁面42a,43aに接触させた状態で設置することができる。また、いずれのセンサヘッド1,1とも、壁面42a,43aに接触しない方の側面112に前記取り付け金具5が取り付けられ、この取り付け金具5を介して支持面44,45上に固定設置される。
【0039】
図5は、センサヘッド1の第2の構成例を示す。この例でも、センサ本体11は、直方体状の筐体により構成され、その前方に、センサ本体11に外接する大きさの角形の筒状体121を具備する外付けホーンアンテナ12が取り付けられる。
この実施例の外付けホーンアンテナ12の取り付け部122は、筒状体121の上面および下面の後端縁に沿って形成されたV字溝126a,126bと、これらV字溝126a,126bから後方に突出する取り付け片127a,127bとにより構成される。また、センサ本体11の上面および下面には、それぞれ前記V字溝126a,126bの裏面の突出部に適合する幅を持つ矩形溝114a,114bが形成される。
【0040】
上記構成によれば、上下のV字溝125a,126bをセンサ本体11側の上下の矩形溝114a,114bに嵌め込むことにより、外付けホーンアンテナ12は、前記筒状体121をセンサ本体11の前端面から突出させた状態でセンサ本体11に取り付けられる。この実施例の取り付け状態では、センサ本体11の側面112は全く被覆されることがないから、取り付け金具5についても、何の問題もなく、取り付けることができる。
【0041】
なお、第1、第2のいずれの実施例とも、外付けホーンアンテナ12の筒状体121の長さは、マイクロ波の波長に比例した値に近くなるようにするのが望ましい。たとえば、24GHzのマイクロ波では、1波長が約12mmとなるが、FA用途で使用する場合の設置条件を考慮すれば、筒状体の長さは、3波長分に対応する程度の長さ(約36mm)を限度とするのが望ましい。
【0042】
つぎに、図6は、前記図2,5のセンサヘッド1について、外付けホーンアンテナ12を取り付けない状態と、外付けホーンアンテナ12を取り付けた状態とでの検出範囲の違いを測定した結果を示す。なお、図6(1)は、発信機1A、受信機1Bとも、外付けホーンアンテナ12を取り付けなかった場合の測定結果であり、図6(2)は、発信機1A、受信機1Bとも、外付けホーンアンテナ12を取り付けた場合の測定結果である。
【0043】
前記の測定は、発信機1Aを固定した状態で、受信機1Bを、発信機1Aに対向させた状態のまま一定距離ずつ遠ざけ、各地点において、前記発信機1Aに対して左右方向(機体の幅方向に沿う方向)に移動させながらマイクロ波を受信し、物体の検知に必要な受信レベルが得られる限界の位置を検出したものである。図中、横軸の「設定距離」とは、前記受信機1Bを遠ざけた度合であって、左右に移動させる前の受信機1Bから発信機1Aまでの距離に相当する。また、縦軸の「動作位置」とは、各設定距離に相当する位置において、受信機1Bを左右方向に移動させたときに、物体の検出が可能なレベルの受信信号が得られた限界点を示すもので、その数値は、受信機1Bが発信機1Aに対向する位置と前記限界点との距離に相当する。
【0044】
各グラフによれば、外付けホーンアンテナ12を使用しなかった場合には、発信機1Aからのマイクロ波は約62°の広がりをもって進み、センサとしての検出距離は約2000mmとなる。この図上、約1000mmから先はマイクロ波の広がりが収束しているように見えるが、これは、マイクロ波が拡がることで、マイクロ波のエネルギー密度が下がり、受信器で検出できる範囲が狭くなっている、と言う意味であり、マイクロ波自身は同じ約62°で広がり続ける。
一方、外付けホーンアンテナ12を使用した場合には、マイクロ波は約28°の広がりを持って進み、その時のセンサとしての検出距離は約3500mmとなる。
【0045】
上記の測定結果によれば、前記外付けホーンアンテナ12を使用すると、使用しない場合に比べ、検出距離を格段に伸ばすことができる。また、この検出距離におけるマイクロ波の広がり角度(視野)を、外付けホーンアンテナ12を使用しない場合の約半分にすることができ、高精度の物体検出に適した性能を持たせることができる。
【0046】
つぎに、図7は、外付けホーンアンテナ12の内部空間を小さくして、視野をさらに絞り込んだ実施例を示す。なお、この例での外付けホーンアンテナ12をセンサ本体11に取り付けるための構成は、図2と同様であるため、図示は省略する。
【0047】
この実施例では、外付けホーンアンテナ12においては、上下方向に沿って電界が振動するものとする。この実施例では、筒状体121内の上下面に、それぞれ所定の厚みを持つ内壁部128a,128bを形成することにより、筒状体121の内部空間を、電界の振動方向に沿ってセンサ本体11の前面より狭めるようにしている(図中、狭められた空間を塗りつぶしにより示す。)。
【0048】
上記構成によれば、発信機1Aでは、内壁部128a,128bがない場合よりも、マイクロ波の出射範囲が絞り込まれるようになる。また、受信機1Bでも、内壁部128a,128bがない場合よりも狭い範囲からのマイクロ波を取り込むようになるから、微小な物体や細長形状の物体を認識するのに適した視野を設定することができる。
【0049】
また、この実施例では、内壁部128a,128bにより、筒状体の全長にわたる空間が電界方向と沿って狭められているので、この狭い空間内を伝搬されるマイクロ波の位相が合いやすくなり、出射レベルや受信レベルを強めることができる。したがって、単に、センサ本体11または外付けホーンアンテナ12の前面にスリットを取り付けて出射範囲を限定した場合よりも、検出距離を長くすることができ、マイクロ波センサとしての性能を向上することができる。
【0050】
図8は、上記図7の構成のセンサヘッド1の特性を調べるための実験例を示す。この実験は、対向配備された発信機1Aと受信機1Bとの間で、細長形状の物体3Aを、長さ方向を前記電界の振動方向に合わせた状態で、左右方向(図中の矢印Eで示す方向)に移動させ、受信機1B側の受信レベルの変化を測定したものである。
【0051】
図9は、この実験結果であって、前記物体3Aが通過する期間およびその前後における受信レベルの変化を抽出したもので、(1)は、発信機1A、受信機1Bに、前記図7の構成の外付けホーンアンテナ12を使用せず、センサ本体11のみで実験を行った場合の測定結果を示す。一方、(2)は、発信機1A、受信機1Bとも、図7の外付けホーンアンテナ12を使用して実験を行った場合の測定結果を示す。なお、図中のTHは、物体の有無を判別するためのしきい値に相当する。
【0052】
上記図9によれば、外付けホーンアンテナ12を使用しなかった場合、物体の通過により受信信号のレベルが落ち込むべき期間に、受信レベルが一時的にしきい値THより上まで回復する現象が生じている。これは、マイクロ波が物体に当たることにより生じた回析波が受信機1Bに入ったためと考えられるが、このように受信信号にしきい値THを越える変化が生じると、物体の有無判別に誤りが生じてしまう。
これに対し、外付けホーンアンテナ12により視野を限定した場合には、物体が通過する間の受信信号には、上記のようなノイズは発生せず、物体の通過を精度良く反映した変化を示している。
【0053】
ところで、前記図2,5の例におけるマイクロ波センサでは、いずれも、直線偏波によるマイクロ波が出射されるが、このような場合、電界の振動方向(いずれの実施例とも上下方向とする。)とは異なる方向(たとえば側方)から金属などが接近すると、この物体から反射して受信機1Bに入る波と、発信機1Aから受信機1Bに入る通常の波との位相が大きくずれて、受信信号に大きなノイズが生じる可能性がある。この種のマイクロ波センサが設置される製造現場では、センサの検出領域の近傍を種々の物体が通過する可能性があるため、このようなノイズの発生による誤検出を防止する必要がある。
【0054】
図10は、上記の課題に対応するための具体例を示す。
この実施例では、前記図2または図5の構成の外付けホーンアンテナ12を使用する場合に、発信機1A側の外付けホーンアンテナ12の内部に、合成樹脂などによる誘電体板100を挿入するようにしている。図10(1)は、この誘電体板100の構成を、図10(2)は、外付けホーンアンテナ12への誘電体板100の挿入例を、それぞれ示す。
【0055】
この実施例の誘電体板100は、矩形状の板材100Aの両側を、それぞれV字状に切り欠いて形成されたもので、両側の切り欠き部105a,105bを、それぞれ筒状体121の内側面に向け、かつ板面を電界の振動方向Eに対して約45°傾けた状態で設置される。なお、図中のFは、マイクロ波の進行方向である。
【0056】
ここで、電界の通常の振動方向Eを、反時計回りに45°回転した方向E1(図中、+45°として示す。)と、時計回りに45°回転した方向E2(図中、−45°として示す。)とに分けて考えた場合、誘電体板100がない状態では、これらの方向E1,E2における電界は同位相を持つため、結果として、前記一方向Eに沿った電界変化のみが現れることになる。これに対し、誘電体板100が挿入された場合には、方向E1に沿う電界が空気の誘電率に基づき振動するのに対し、方向E2に沿う電界は、誘電体板100を通過して伝搬されるため、方向E1とは異なる位相を持って振動するようになる。この結果、各方向E1,E2にかかる波の合成により、円偏波が発生することになる。
【0057】
なお、前記切り欠き部105a,105bは、方向E2に沿う電界が誘電体板100を通過する距離に幅をもたせることで、この電界の位相に所定のばらつきを生じさせることを目的にしたものである。これにより、マイクロ波の周波数に所定の変動幅をもたせた場合、マイクロ波の波長が変化しても、方向E2にかかる電界に、方向E1に対する位相のずれが90°前後となる状態を設定することができ、円偏波に近い振動状態を維持することができる。
【0058】
図11は、上記の誘電体板100がマイクロ波の作用範囲に及ぼす影響を調べた計測実験の結果を模式化したグラフである。この実験は、発信機1Aを固定し、その外付けホーンアンテナ12の周面に対し、受信機1Bを一定の距離をおいて一周させながら、22.5°の範囲毎に受信信号を測定したものである。このグラフは、各方位で得た受信レベルをその方位に対応づけてプロットしたものであり、Pは、外付けホーンアンテナ12のみで誘電体板100を使用しなかった場合の測定結果を、Qは、誘電体板100を使用した場合の測定結果を、それぞれ示す。
【0059】
なお、P,Q中の各測定値(図中、■または●により示す。)は、受信機1Bを一周させる間に得られた最大の受信レベルに対する比率に換算したものである。また、図中の点線Sは、各方位において前記受信レベルの比率が1.0となる点を結んだものである。
【0060】
誘電体板100を使用しなかった場合の測定結果Pによれば、マイクロ波の受信レベルは、上下方向に偏って大きくなっている。これに対し、誘電体板100を使用した場合の測定結果Qによれば、受信レベルは、いずれの方向でも大きくなっており、各方位に対するマイクロ波の指向性が均一化の方向に近づいていると、考えることができる。
【0061】
このように、外付けホーンアンテナ12に誘電体板100を挿入することにより、発信機1Aからのマイクロ波を直線偏波から円偏波に変換すると、仮に、検出対象外の物体が接近し、その物体からの反射波が受信機1Bに導かれたとしても、前記発信機1Aから受信機1Bに入る通常の波と反射波との位相の差を、直線偏波の場合よりも小さくすることができる。したがって、検出対象外の物体が接近した場合のノイズを小さくすることができ、誤検出を防止することができる。
【0062】
上記した各実施例によれば、ユーザーに対し、一種類のセンサ本体11と、長さや内部空間の大きさが異なる複数種の外付けホーンアンテナ12とを提示することができる。したがって、ユーザーは、使用目的に応じた外付けホーンアンテナ12を選択してセンサ本体11に取り付けることにより、その目的に適合した検出範囲を設定し、高精度の物体検出を行うことができる。さらに、必要に応じて、前記図10の誘電体板100を使用することにより、検出対象外の物体によるノイズを抑えることができる。
【0063】
なお、上記した各実施例では、センサ本体11および外付けホーンアンテナ12の断面形状を角形にしたが、これに限らず、図12に示すように、センサ本体および外付けホーンアンテナの断面は、円形状にすることもできる。
【0064】
図12において、11Aはセンサ本体、12Aは外付けホーンアンテナであり、いずれも金属を成型して形成される。センサ本体11Aの前方の外周面にはネジ部116が形成され、また後方内部には、発信素子または受信素子や、内蔵のホーンアンテナ(いずれも図示せず。)が収容される。また、前記ネジ部116には、取り付けけ用のナット117が嵌め込まれている。
一方、外付けホーンアンテナ12Aは、センサ本体11とほぼ同じ大きさの外形を持つ円筒として形成され、その後端の内周面には、前記センサ本体11のネジ部116に係合するネジ部129が形成される。
【0065】
上記構成のマイクロ波センサを設置する際には、図示しない支持面に形成された取り付け穴に対し、裏面側からセンサ本体11Aを挿入し、ナット117により前面への突出範囲を調整する。この状態下で、取り付け穴から突出したセンサ本体11Aの前端部に外付けホーンアンテナ12Aを被せてネジ止めすることにより、センサ本体11および外付けホーンアンテナ12Aは、一体化された状態で支持面に固定配備される。
【0066】
【発明の効果】
この発明にかかるマイクロ波センサによれば、第2のホーンアンテナとなる筒状体の長さや内部空間を調整することにより、センサ本体11の構成を変えずに、用途に応じて検出距離や視野を調整することが可能となる。また、筒状体のセンサ本体11から突出する部分では、センサ本体11の前面の周縁に対応する形状と大きさとが維持されるので、幅方向の設置スペースを広げる必要がなく、設置のための余裕が少ない環境にも、容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明が適用されたマイクロ波センサの電気構成を示すブロック図である。
【図2】センサヘッドの外観を示す斜視図である。
【図3】センサ本体の一部を切り欠いて内部構成を示した斜視図である。
【図4】図2のセンサヘッドの取り付け例を示す図である。
【図5】センサヘッドの他の構成を示す斜視図である。
【図6】外付けホーンアンテナを使用した場合と使用しなかった場合とについて、物体検知に必要な強度のマイクロ波が及ぶ範囲を測定した結果を示すグラフである。
【図7】視野を絞り込んだセンサヘッドの構成を示す斜視図である。
【図8】図7のセンサヘッドを用いた実験例を示す図である。
【図9】外付けホーンアンテナを使用した場合と使用しなかった場合とについて、図8の実験により得た測定結果を示すグラフである。
【図10】誘電体板の構成例、およびこの誘電体板を外付けホーンアンテナに挿入した例を示す図である。
【図11】誘電体板を使用した場合と使用しなかった場合について、各方位におけるマイクロ波の強度を測定した結果を示すグラフである。
【図12】円筒形状のセンサユニットにこの発明を適用した例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 センサユニット
1A 発信機
1B 受信機
11,11A センサ本体
12,12A 外付けホーンアンテナ
13 発信素子
16 受信素子
103 ホーンアンテナ
112 (センサ本体の)側面
121 筒状体
122 取り付け部
128a,128b 内壁部

Claims (4)

  1. 発信部または受信部の少なくとも一方が組み込まれたセンサ本体と、このセンサ本体に着脱自由に取り付けることが可能な金属製の筒状体とを具備し、
    前記センサ本体の内部には、その前面に対向させてホーンアンテナが設けられており、
    前記筒状体は、前記センサ本体の前面の周縁に接し、かつこの接触位置における外形と大きさとを維持しながら前記センサ本体の前方に突出するように構成されて成るマイクロ波センサ。
  2. 前記筒状体は、前記センサ本体の前記前面に連続する外周面に対し、その両側に所定大きさの空き領域を確保した状態で取り付けられる請求項1に記載されたマイクロ波センサ。
  3. 前記筒状体の内側には、その内部空間を電界の振動方向に沿ってセンサ本体の前面よりも狭めるための内壁部が長さ方向にわたって設けられて成る請求項1または2に記載されたマイクロ波センサ。
  4. 前記センサ本体内の発信部は、24.05〜24.25GHzのマイクロ波を発信し、前記筒状体は、センサ本体の前面に対し、30〜40mm前方に突出するように構成されて成る請求項1〜3のいずれかに記載されたマイクロ波センサ。
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