JP2004278479A - 多気筒内燃機関の燃料供給制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】気筒間出力偏差を確実に低減する。
【解決手段】機関運転が開始されるときには(矢印Z)、煤の発生量がピークとなるEGRガス量よりも燃焼室内に供給されるEGRガス量が少ない第2の燃焼がまず初めに行われ、機関冷却水温度が切替温度を越えたときに(矢印W)アイドリング運転が行われているときには、煤の発生量がピークとなるEGRガス量よりも燃焼室内に供給されるEGRガス量が多く煤がほとんど発生しない第1の燃焼に切り替えられる。第1の燃焼が行われるときには、気筒間出力偏差を低減するための低負荷補正係数K1L(i)でもってi番気筒の燃料噴射量が補正され、低負荷補正係数K1L(i)が逐次更新されて記憶される。機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、このとき記憶されている低負荷時補正係数K1LO(i)とは異なるK1LL(i)から低負荷時補正係数K1L(i)の更新を開始する。
【選択図】 図16
【解決手段】機関運転が開始されるときには(矢印Z)、煤の発生量がピークとなるEGRガス量よりも燃焼室内に供給されるEGRガス量が少ない第2の燃焼がまず初めに行われ、機関冷却水温度が切替温度を越えたときに(矢印W)アイドリング運転が行われているときには、煤の発生量がピークとなるEGRガス量よりも燃焼室内に供給されるEGRガス量が多く煤がほとんど発生しない第1の燃焼に切り替えられる。第1の燃焼が行われるときには、気筒間出力偏差を低減するための低負荷補正係数K1L(i)でもってi番気筒の燃料噴射量が補正され、低負荷補正係数K1L(i)が逐次更新されて記憶される。機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、このとき記憶されている低負荷時補正係数K1LO(i)とは異なるK1LL(i)から低負荷時補正係数K1L(i)の更新を開始する。
【選択図】 図16
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多気筒内燃機関の燃料供給制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃焼室から排出された排気ガスを機関吸気通路内に再循環させる再循環装置を具備し、燃料噴射時期をほぼ一定に維持しながら燃焼室内に供給される再循環排気ガスの量を増大していくと煤の発生量が次第に増大してピークに達し、燃料噴射時期をほぼ一定に維持しながら燃焼室内に供給される再循環排気ガスの量を更に増大していくと燃焼室内における燃焼時の燃料及びその周囲のガス温が煤の生成温度よりも低くなって煤がほとんど発生しなくなる内燃機関において、煤の発生量がピークとなる再循環排気ガス量よりも燃焼室内に供給される再循環排気ガスの量が多く煤がほとんど発生しない第1の燃焼と、煤の発生量がピークとなる再循環排気ガス量よりも燃焼室内に供給される再循環排気ガスの量が少ない第2の燃焼とを選択的に切り替えるようにした内燃機関が公知である(特許文献1,2,3参照)。
【0003】
ところで、各燃料噴射弁には個体差があり、各燃料噴射弁の噴射特性が互いに異なっている場合がある。その結果、気筒間出力偏差が生ずる恐れがある。そこで、このような気筒間出力偏差を低減するために、第1の燃焼が行われるときには第1の補正方法により各気筒の燃料噴射量を補正し、第2の燃焼が行われるときには第1の補正方法とは異なる第2の補正方法により各気筒の燃料噴射量を補正するようにした内燃機関が公知である(特許文献1参照)。
【0004】
即ち、簡単に説明すると、第1の燃焼では多量の再循環排気ガス及び少量の空気の存在下で燃料が燃焼せしめられる。この場合、燃料噴射量が増量補正されると空気が更に不足し燃焼が悪化して出力が低下し、燃料噴射量が減量補正されると燃焼が改善されて出力が増大する。そこで上述の第1の補正方法では、出力を減少させるべき気筒の燃料噴射量を増量補正し、出力を増大させるべき気筒の燃料噴射量を減量補正するようにしている。
【0005】
これに対し、第2の燃焼では多量の空気の存在下で燃料が燃焼せしめられる。この場合、燃料噴射量が増量補正されると出力が増大し、燃料噴射量が減量補正されると出力が低下する。そこで上述の第2の補正方法では、出力を減少させるべき気筒の燃料噴射量を減量補正し、出力を増大させるべき気筒の燃料噴射量を増量補正するようにしている。
【0006】
気筒間出力偏差を低減するための補正方法には様々な方法があり、例えば第1の燃焼が行われているときには気筒間出力偏差を低減するための第1の補正係数を逐次更新して記憶すると共に、記憶されている第1の補正係数でもって各気筒の燃料噴射量を補正し、第2の燃焼が行われているときには気筒間出力偏差を低減するための第2の補正係数を逐次更新して記憶すると共に、記憶されている第2の補正係数でもって各気筒の燃料噴射量を補正するようにすることもできる。このようにすると、機関運転時間が或る程度経過すれば、このとき記憶されている第1及び第2の補正係数はそれぞれの燃焼に対し最適な値になっている。
【0007】
この補正方法では、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、このとき記憶されている第1の補正係数、即ち先の機関運転時の最後に更新され記憶された第1の補正係数から第1の補正係数の更新が開始される。
【0008】
【特許文献1】
特許第3331986号公報
【特許文献2】
特許第3331935号公報
【特許文献3】
特許第3331974号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃料噴射弁の可動部材例えばニードルは燃料通路内に配置され、燃料が潤滑油として作用するのが一般的である。従って、燃料噴射弁の温度即ち燃料噴射弁内の燃料の温度が低いときには高いときに比べて、ニードルの動きが不安定になり、燃料噴射弁の噴射特性の偏差が大きくなる恐れがある。即ち、気筒間出力偏差の大きさは燃料噴射弁の温度に依存し、気筒間出力偏差を低減するのに最適な補正係数も燃料噴射弁の温度に依存するということになる。
【0010】
機関運転が開始された直後は通常、燃料噴射弁の温度は低くなっている。これに対し、先の機関運転時の最後に更新され記憶された第1の補正係数は燃料噴射弁の温度が高いときに気筒間出力偏差を低減するのに最適な値である。
【0011】
従って、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに先の機関運転時の最後に更新され記憶された第1の補正係数から第1の補正係数の更新を開始するようにすると、気筒間出力偏差を必ずしも低減することができないという問題点がある。この場合、燃料噴射量が過増量されたり過減量されたりする恐れがあるので、気筒間出力偏差が却って大きくなったり、失火したりする恐れもある。
【0012】
そこで本発明の目的は、気筒間出力偏差を確実に低減することができる多気筒内燃機関の燃料供給制御装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために1番目の発明によれば、燃料噴射時期をほぼ一定に維持しながら燃焼室内に供給される不活性ガスの量を増大していくと煤の発生量が次第に増大してピークに達し、燃料噴射時期をほぼ一定に維持しながら燃焼室内に供給される不活性ガスの量を更に増大していくと燃焼室内における燃焼時の燃料及びその周囲のガス温が煤の生成温度よりも低くなって煤がほとんど発生しなくなる多気筒内燃機関において、煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内に供給される不活性ガスの量が多く煤がほとんど発生しない第1の燃焼と、煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内に供給される不活性ガスの量が少ない第2の燃焼とを選択的に切り替える切替手段と、各気筒の燃料噴射量を算出する算出手段と、第1の燃焼が行われているときに気筒間出力偏差を低減するための第1の補正係数を逐次更新して記憶すると共に該記憶されている第1の補正係数でもって各気筒の燃料噴射量を補正する第1の補正手段とを具備し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、このとき記憶されている第1の補正係数とは異なる初期値から第1の補正係数の更新を開始するようにしている。
【0014】
また、2番目の発明によれば1番目の発明において、第2の燃焼が行われているときに気筒間出力偏差を低減するための第2の補正係数を逐次更新して記憶すると共に該記憶されている第2の補正係数でもって各気筒の燃料噴射量を補正する第2の補正手段を更に具備している。
【0015】
また、3番目の発明によれば1番目の発明において、燃料噴射弁の温度を代表する第1の代表温度が予め定められた設定温度よりも低いか否かを判断する温度判断手段を具備し、第1の燃焼が行われているときに該第1の代表温度が該設定温度よりも低いと判断されたときにはこのときの第1の補正係数を前記初期値として記憶しておくようにしている。
【0016】
また、4番目の発明によれば3番目の発明において、前記温度判断手段は、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われてから予め定めれた設定時間だけ経過するまでは前記第1の代表温度が前記設定温度よりも低いと判断し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われてから該設定時間だけ経過した後は前記第1の代表温度が前記設定温度よりも高いと判断する。
【0017】
また、5番目の発明によれば3番目の発明において、燃料噴射弁の温度を代表する少なくとも一つの第2の代表温度に応じて定まる温度領域毎に前記初期値が設定されており、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときの前記第2の代表温度がいずれの温度領域に属するかを特定する特定手段を具備し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、該特定された温度領域に設定されている前記初期値から第1の補正係数の更新を開始するようにしている。
【0018】
また、6番目の発明によれば1番目の発明において、機関負荷が予め定められた許容負荷よりも低いか否かを判断する負荷判断手段を更に具備し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに機関負荷が該許容負荷よりも低いと判断されたときには、前記初期値から第1の補正係数の更新を開始し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに機関負荷が該許容負荷よりも高いと判断されたときには、このとき記憶されている第1の補正係数から第1の補正係数の更新を開始するようにしている。
【0019】
また、7番目の発明によれば6番目の発明において、前記負荷判断手段は、機関アイドリング運転が行われているときに機関負荷が前記許容負荷よりも低いと判断し、機関アイドリング運転以外の機関運転時に機関負荷が前記許容負荷よりも高いと判断する。
【0020】
また、8番目の発明によれば1番目の発明において、機関運転が開始されるときにはまず初めに第2の燃焼が行われ、次いで機関の温度が予め定められた切替温度を越えたときに機関負荷に応じて第2の燃焼が継続されるか又は第1の燃焼に切り替えられるようになっており、機関の温度が前記切替温度を越えたときに第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられたときには、前記初期値から第1の補正係数の更新を開始し、機関の温度が前記切替温度を越えたときに第2の燃焼が継続されその後第1の燃焼に切り替えられたときには、このとき記憶されている第1の補正係数から第1の補正係数の更新を開始するようにしている。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を圧縮着火式内燃機関に適用した場合を示している。
【0022】
図1を参照すると、1は例えば4つの気筒を有する機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は対応する吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、サージタンク12は吸気ダクト13を介して排気ターボチャージャ14のコンプレッサ15に連結される。吸気ダクト13内にはステップモータ16により駆動されるスロットル弁17が配置され、更に吸気ダクト13周りには吸気ダクト13内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置18が配置される。
【0023】
一方、排気ポート10は排気マニホルド19及び排気管20を介して排気ターボチャージャ14の排気タービン21の入口に連結され、排気タービン21の出口は排気管20aを介して酸化機能を有する触媒22を収容したケーシング23に連結される。触媒22として酸化触媒、三元触媒、又はNOX吸収剤を用いることができる。NOX吸収剤は流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにはNOXを蓄え、流入する排気ガスの空燃比が低下したときに排気ガス中に還元剤が含まれていると蓄えているNOXを還元して蓄えているNOXの量を減少させる蓄積還元作用を行う。このNOX吸収剤は例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Pt、パラジウムPd、ロジウムRh、イリジウムIrのような貴金属とが担持されている。
【0024】
更に図1を参照すると、排気マニホルド19とサージタンク12とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路24を介して互いに連結され、EGR通路24内には電気制御式EGR制御弁25が配置される。また、EGR通路24周りにはEGR通路24内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置26が配置される。
【0025】
一方、各燃料噴射弁6は燃料供給管6aを介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール27に連結される。このコモンレール27内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ28から燃料が供給され、コモンレール27内に供給された燃料は各燃料供給管6aを介して燃料噴射弁6に供給される。コモンレール27にはコモンレール27内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ29が取付けられ、燃料圧センサ29の出力信号に基づいてコモンレール27内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ28の吐出量が制御される。
【0026】
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、常時電源に接続されているB−RAM(バックアップRAM)35、入力ポート36、及び出力ポート37を具備する。機関本体1には機関冷却水温度THWを検出するための水温センサ39が取り付けられ、コモンレール27にはコモンレール27内の燃料の温度THFを検出するための燃料温センサ40が取り付けられる。燃料圧センサ29、水温センサ39、及び燃料温センサ40の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また、アクセルペダルにはアクセルペダルの踏み込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。ここで、アクセルペダルの踏み込み量は要求負荷Lを表している。更に入力ポート36にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。CPU34ではクランク角センサ42からの出力パルスに基づいて機関回転数Nが算出される。一方、出力ポート37は対応する駆動回路39を介して燃料噴射弁6、スロットル弁駆動用ステップモータ16、EGR制御弁25、及び燃料ポンプ28にそれぞれ接続される。
【0027】
図1に示される内燃機関では、互いに異なる二つの燃焼即ち第1の燃焼と第2の燃焼とが選択的に切り替えられるようになっている。まずこのことについて説明する。
【0028】
図2は機関回転数及び燃料噴射量を一定に維持したときの、燃料噴射時期及びEGR率(=EGRガス量/(EGRガス量+吸入空気量))即ち燃焼室5内で燃焼せしめられる混合気の空燃比AFMと、スモーク及びNOXの排出量との関係を示すシミュレーション結果の一例を表している。図2において、実線は等スモーク排出量(FSN)を示しており、破線は等NOX排出量(g/kwh)を示している。
【0029】
図2からわかるように、燃料噴射時期を一定に維持しながらEGR率を例えば30パーセントから増大していくとスモークの排出量が増大を開始する。次いで、燃料噴射時期を一定にしながら更にEGR率を高め混合気の空燃比AFMを小さくするとスモークの発生量が急激に増大してピークに達する。次いで燃料噴射時期を一定にしながら更にEGR率を高め混合気の空燃比AFMを小さくすると今度はスモークが急激に低下し、燃料噴射時期を一定にしながらEGR率を65パーセント以上とし混合気の空燃比AFMが15.0付近になるとスモークがほぼ零となる。即ち、煤がほとんど発生しなくなる。このときNOXの発生量がほぼゼロになっている。
【0030】
このようなスモーク及びNOXの排出量の挙動は図3に示される実験例によっても裏付けられている。図3は機関低負荷運転時において燃料噴射時期を一定に維持しながらスロットル弁17の開度及びEGR率を変化させることにより燃焼室5内で燃焼せしめられる混合気の空燃比AFM(図2の横軸)を変化させたときの出力トルクの変化、及びスモーク、HC,CO,NOXの排出量の変化を示す実験例を表している。
【0031】
そこで図1の内燃機関では、煤の発生量がピークとなるEGR率よりもEGR率が高くかつ煤及びNOXがほとんど生成しない燃料噴射時期及びEGR率でもって燃焼を行うようにしている。これが第1の燃焼である。これに対し、第2の燃焼は従来より普通に行われている燃焼であり、煤の発生量がピークとなるEGR率よりもEGR率が低くなっている。
【0032】
従って、一般的に言うと、第1の燃焼とは煤の発生量がピークとなるEGRガス量よりも燃焼室5内に供給されるEGRガス量が多く煤がほとんど発生しない燃焼のことであり、第2の燃焼とは煤の発生量がピークとなるEGRガス量よりも燃焼室5内に供給されるEGRガス量が少ない燃焼のことであるということになる。
【0033】
図4は第1の燃焼が行われる領域R1と第2の燃焼が行われる領域R2とをそれぞれ示している。図4において、破線Pは煤の発生量がピークとなるところを示しており、実線Qは更にEGR率を高くしたときに煤の発生量がほぼゼロとなるところを示している。図4からわかるように第1の燃焼が行われる領域R1は破線Pの一側にあり、第2の燃焼が行われる領域R2は破線Pの他側にある。
【0034】
第1の燃焼では、燃焼室5内に多量のEGRガスと少量の空気とが供給される。燃料はこの少量の酸素と反応し、このときの反応熱は周囲のEGRガスに吸収され、このため燃焼温度がさほど上昇しない。その結果、燃料即ち炭化水素が煤まで成長せず、煤の前駆体又はその前の状態の炭化水素の形で燃焼室5から排出されることになる。実際、図3に示されるようにスモークの排出量がほぼゼロになるとHC,COの排出量が増大する。これらHC,COは触媒22により簡単に酸化処理される。また、燃焼温度が低く抑えられているためにNOXの発生量も低く抑えられている。
【0035】
図5は第1の燃焼が行われる第1の運転領域Iと、第2の燃焼が行われる第2の燃焼領域IIとを示している。図5においてLX(N)は第1の運転領域Iと第2の運転領域IIとの第1の境界を示しており、LY(N)は第1の運転領域Iと第2の運転領域IIとの第2の境界を示している。第1の運転領域Iから第2の運転領域IIへの運転領域の変化判断は第1の境界LX(N)に基づいて行われ、第2の運転領域IIから第1の運転領域Iへの運転領域の変化判断は第2の境界LY(N)に基づいて行われる。即ち、機関の運転状態が第1の運転領域Iにあって第1の燃焼が行われているときに要求負荷Lが機関回転数Nの関数である第1の境界LX(N)を越えると運転領域が第2の運転領域IIに移ったと判断され、第2の燃焼に切り替えられる。次いで要求負荷Lが機関回転数Nの関数である第2の境界LY(N)よりも低くなると運転領域が第1の運転領域Iに移ったと判断され、第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられる。
【0036】
ただし、機関運転が開始されるときには、要求負荷Lに関わらずまず初めに第2の燃焼が行われ、次いで要求負荷Lに応じて即ち図5のマップに従って第1の燃焼に切り替えられ又は第2の燃焼が継続される。即ち、図6に矢印Zで示されるように機関の運転が開始されるとまず初めに第2の燃焼が行われる。次いで、図6に矢印Wで示されるように機関冷却水温THWが予め定められた切替温度TWを越えたときに、図6に実線で示される例では要求負荷Lがゼロに維持されており、即ちアイドリング運転が継続して行われており、従って第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられる。これに対し、図6に破線で示される例ではこのとき第1の境界LX(N)を越えており、従って第2の燃焼が継続される。
【0037】
この場合、機関冷却水温THWは触媒22の温度を代表しており、切替温度TWは例えば触媒22の活性化温度を代表している。即ち、本発明による実施例では、機関運転が開始されるときにはまず初めに第2の燃焼が行われ、次いで触媒22が活性化したときには機関負荷に応じて第2の燃焼が継続されるか又は第1の燃焼に切り替えられるということになる。このようにすると、第1の燃焼が行われたときに燃焼室5から排出される多量のHC,COを活性化した触媒22で確実に処理することができ、触媒22が活性化していないときに第1の燃焼が行われるのを阻止できる。
【0038】
図7は機関運転制御を実行するためのルーチンを示している。このルーチンは予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行される。
【0039】
図7を参照すると、まず初めにステップ100では機関冷却水温THWが上述の切替温度TWよりも高いか否かが判別される。THW≦TWのときには次いでステップ101に進み、水温フラグXWがリセットされる(XW=0)。この水温フラグXWは機関冷却水温THWが切替温度TWを越えていないときにリセットされ、THW>TWになるとセットされる。続くステップ102では、第1の燃焼を行うべきときにセットされ第2の燃焼を行うべきときにリセットされる燃焼フラグXC1がリセットされる(XC1=0)。続くステップ103では第2の燃焼制御が実行される。このようにTHW≦TWのときには第2の燃焼が行われる。
【0040】
THW>TWになったときにはステップ100からステップ104に進み、水温フラグXWがセットされる(XW=1)。続くステップ105では、燃焼フラグXC1がセットされているか否か、即ち第1の燃焼を行うべきか否かが判別される。機関運転が開始されてから初めてステップ105に進んだときには燃焼フラグXC1はリセットされているので、次いでステップ106に進み、要求負荷Lが第2の境界LY(N)よりも低いか否か、即ち機関の運転領域が第1の運転領域Iにあるか否かが判別される。L≧LY(N)のときにはステップ103に進み、第2の燃焼が継続して行われる。これに対し、L<LY(N)のときには次いでステップ107に進んで燃焼フラグXC1をセットした後に(XC1=1)ステップ108に進み、第1の燃焼制御が実行される。即ち、第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられる。
【0041】
燃焼フラグXC1がセットされているときにはステップ105からステップ109に進み、要求負荷Lが第1の境界LX(N)よりも高いか否か、即ち機関の運転領域が第2の運転領域IIにあるか否かが判別される。L≦LX(N)のときにはステップ108に進み、第1の燃焼が継続して行われる。これに対し、L>LX(N)のときには次いでステップ102に進んで燃焼フラグXC1をセットした後に(XC1=1)ステップ103に進み、第2の燃焼制御が実行される。即ち、第1の燃焼から第2の燃焼に切り替えられる。
【0042】
図8(A)は図7のステップ108で実行される第1の燃焼制御ルーチンを示している。図8(A)を参照すると、まず初めにステップ110では、図9(A)のマップから目標スロットル弁開度STが算出され、スロットル弁17の開度がこの目標スロットル弁開度STに制御される。続くステップ111では、図9(B)のマップから目標EGR制御弁開度SEが算出され、EGR制御弁25の開度が目標EGR制御弁開度SEに制御される。続くステップ112では、図9(C)のマップから基本燃料噴射量QBが算出される。続くステップ113では、第1の燃焼が行われるときに気筒間出力偏差を低減するためのi番気筒(i=1,2,3,4)の第1の補正係数K1(i)が読み込まれる。続くステップ114では、i番気筒の燃料噴射量Q(i)が次式に基づいて算出される。
【0043】
Q(i)=QB・K1(i)
i番気筒の燃料噴射弁6からはQ(i)だけ燃料が噴射される。
【0044】
即ち、図11に示されるように、第1の燃焼が行われる第1の運転領域Iではスロットル弁17の開度は要求負荷Lが高くなるにつれて全閉近くから半開程度まで徐々に増大せしめられ、EGR制御弁25の開度は要求負荷Lが高くなるにつれて全閉近くから全開まで徐々に増大せしめられる。
【0045】
図11に示される例では、第1の運転領域IではEGR率がほぼ70パーセントとされており、空燃比AFMは15から18程度のリーン空燃比とされている。従って、第1の運転領域IではEGR率がほぼ70パーセントとなり、空燃比AFMが15から18程度の目標リーン空燃比となるようにスロットル弁17の開度およびEGR制御弁25の開度が制御されるという見方もできる。この場合、排気通路内に空燃比センサを配置して空燃比AFMが目標リーン空燃比に一致するようにスロットル弁17の開度およびEGR制御弁25の開度を制御してもよい。
【0046】
一方、第1の運転領域Iでは圧縮上死点TDC前に燃料噴射が行われる。この場合、噴射開始時期θSは要求負荷Lが高くなるにつれて遅くなり、噴射完了時期θEも噴射開始時期θSが遅くなるにつれて遅くなる。なお、アイドリング運転時にはスロットル弁17は全閉近くまで閉弁され、このときEGR制御弁25も全閉近くまで閉弁せしめられる。
【0047】
図8(B)は図7のステップ103で実行される第2の燃焼制御ルーチンを示している。図8(B)を参照すると、まず初めにステップ120では、図10(A)のマップから目標スロットル弁開度STが算出され、スロットル弁17の開度がこの目標スロットル弁開度STに制御される。続くステップ121では、図10(B)のマップから目標EGR制御弁開度SEが算出され、EGR制御弁25の開度が目標EGR制御弁開度SEに制御される。続くステップ122では、図10(C)のマップから基本燃料噴射量QBが算出される。続くステップ123では、第2の燃焼が行われるときに気筒間出力偏差を低減するためのi番気筒の第2の補正係数K2(i)が読み込まれる。続くステップ124では、i番気筒の燃料噴射量Q(i)が次式に基づいて算出される。
【0048】
Q(i)=QB・K2(i)
i番気筒の燃料噴射弁6からはQ(i)だけ燃料が噴射される。
【0049】
即ち、図11に示されるように、第2の燃焼が行われる第2の運転領域IIでは、スロットル弁17は一部を除いて全開状態に保持され、EGR制御弁25の開度は要求負荷Lが高くなるにつれて小さくされる。この運転領域IIではEGR率は要求負荷Lが高くなるほど低くなり、空燃比AFMは要求負荷Lが高くなるほど小さくなる。ただし、空燃比AFMは要求負荷Lが高くなっても24から60程度のリーン空燃比とされる。また、第2の運転領域IIでは燃料噴射開始時期θSは圧縮上死点TDC付近とされる。
【0050】
なお、図11に示されるように、機関の運転領域が第1の運転領域Iから第2の運転領域IIに変わると、燃料噴射量がステップ状に低減せしめられる。これは、従来から行われている第2の燃焼では第1の燃焼に比べて熱効率が高いからである。
【0051】
上述したように本発明による実施例では、気筒間出力偏差を低減するための補正係数K1(i),K2(i)を用いてi番気筒の燃料噴射量Q(i)が算出される。次にこのことについて説明する。
【0052】
冒頭でも述べたように各燃料噴射弁6には個体差があり、このため各燃料噴射弁6の噴射特性が互いに異なっている場合がある。その結果、気筒間出力偏差が生ずる恐れがあり、この場合ドライバビリティが悪化したり、振動及び燃焼騒音が増大しうる。
【0053】
そこで、このような気筒間出力偏差を低減するために本発明による実施例では、気筒間出力偏差を低減するための第1及び第2の補正係数K1(i),K2(i)を逐次更新して記憶し、記憶されている第1及び第2の補正係数K1(i),K2(i)でもって各気筒の燃料噴射量Q(i)を補正するようにしている。なお、K1(i),K2(i)は補正する必要がないときにはそれぞれ1.0とされる。また、これらK1(i),K2(i)はB−RAM35内に記憶され、従って機関運転が停止されている間もB−RAM35内に保持されている。
【0054】
ここで、第1の燃焼が行われているときの第1の補正係数K1(i)と、第2の燃焼が行われているときの第2の補正係数K2(i)とを別個に設けているのは次の理由による。即ち、上述したように第1の燃焼では多量の再循環排気ガス及び少量の空気の存在下で燃料が燃焼せしめられる。この場合、燃料噴射量の補正量ΔQと出力トルクの変化量ΔTRQとの関係を示す図12に実線で示されるように、燃料噴射量が増量補正されると(ΔQ>0)空気が更に不足し燃焼が悪化して出力トルクが低下し(ΔTRQ<0)、燃料噴射量が減量補正されると(ΔQ<0)燃焼が改善されて出力トルクが増大する(ΔTRQ>0)。これに対して、第2の燃焼では多量の空気の存在下で燃料が燃焼せしめられるので、図12に破線で示されるように、燃料噴射量が増量補正されると(ΔQ>0)出力トルクが増大し(ΔTRQ>0)、燃料噴射量が減量補正されると(ΔQ<0)出力トルクが低下する(ΔTRQ<0)。このように第1の燃焼と第2の燃焼とでは燃焼室5内で生じている現象が異なっており、これら二つの燃焼に対し同一の補正係数を用いることはできない。
【0055】
図13は互いに異なる二つの燃料噴射弁の、温度一定のもとでの燃料噴射時間TAUに対する実際の燃料噴射量QACTを示している。燃料噴射時間TAUが概ね要求負荷Lを表すものと考えると、図13からわかるように二つの燃料噴射弁の燃料噴射量偏差dqは要求負荷Lに応じて変動する。その結果、気筒間出力偏差も要求負荷Lに応じて変動することになる。要求負荷Lが低いときに第1の燃焼が行われ、要求負荷Lが高いときに第2の燃焼が行われることを考えると、この点からも二つの燃焼に対し同一の補正係数を用いることはできない。
【0056】
そこで本発明による実施例では、補正係数を燃焼の種類に応じた二つの補正係数K1(i),K2(i)から構成しているのである。
【0057】
更に本発明による実施例では、第1の燃焼が行われているときの第1の補正係数K1(i)を、要求負荷Lに応じた二つの補正係数、即ち低負荷時補正係数K1L(i)及び高負荷時補正係数K1H(i)から構成している。具体的に説明すると、第1の燃焼が行われるときに要求負荷Lが予め定められた許容負荷よりも低いか否かが判断され、要求負荷Lが許容負荷よりも低いと判断されたときには低負荷時補正係数K1L(i)でもって各気筒の燃料噴射量Q(i)が補正され、要求負荷Lが許容負荷よりも高いと判断されたときには高負荷時補正係数K1H(i)でもって各気筒の燃料噴射量Q(i)が補正される。
【0058】
ここで、要求負荷Lがゼロのとき即ちアイドリング運転が行われているときに要求負荷Lが許容負荷よりも低いと判断され、要求負荷Lがゼロよりも大きいとき即ちアイドリング運転以外の運転が行われているときに要求負荷Lが許容負荷よりも高いと判断される。そうすると、本発明による実施例において、低負荷時補正係数K1L(i)はアイドリング運転が行われているときの第1の補正係数K1(i)であり、高負荷時補正係数K1H(i)はアイドリング運転以外の第1の補正係数K1(i)であるということになる。
【0059】
これに対し、第2の燃焼が行われるときには、要求負荷Lに関わらず一つの補正係数K2(i)が用いられる。第2の燃焼では出力自体が大きく気筒間出力偏差がさほど問題とならないというだけでなく、比較的安定した燃焼が得られるからである。
【0060】
本発明による実施例では、i番気筒の第1の補正係数、即ち低負荷時補正係数K1L(i)及び高負荷時補正係数K1H(i)はそれぞれ次式に基づいて更新される。
【0061】
K1L(i)=K1L(i)−(Δt(i)−AVE)・C1L
K1H(i)=K1H(i)−(Δt(i)−AVE)・C1H
ここで、Δt(i)はi番気筒の膨張行程に予め設定されたクランク角範囲、例えば圧縮上死点後30°から60°までをクランク角が回転するのに要する時間を、AVEは所要時間Δt(i)の平均値AVE(=(Δt(1)+Δt(2)+Δt(3)+Δt(4))/4)を、C1L,C1Hは定数をそれぞれ表している。
【0062】
所要時間Δt(i)が平均値AVEよりも大きい気筒ではK1L(i),K1H(i)が減少されて燃料噴射量Q(i)が減少されるので、図12からわかるように出力が増大され、所要時間Δt(i)が平均値AVEよりも小さい気筒ではK1L(i),K1H(i)が増大されて燃料噴射量Q(i)が増大されるので、出力が減少される。このようにして気筒間出力偏差が低減される。
【0063】
一方、i番気筒の第2の補正係数K2(i)は次式に基づいて更新される。
【0064】
K2(i)=K2(i)+(Δt(i)−AVE)・C2
ここでC2は定数を表している。
【0065】
所要時間Δt(i)が平均値AVEよりも大きい気筒ではK2(i)が増大されて燃料噴射量Q(i)が増大されるので、図12からわかるように出力が増大され、所要時間Δt(i)が平均値AVEよりも小さい気筒ではK2(i)が減少されて燃料噴射量Q(i)が減少されるので、出力が減少される。このようにして気筒間出力偏差が低減される。
【0066】
従って、一般的に言うと、気筒間出力偏差を検出し、検出された気筒間出力偏差に基づき補正係数K1L(i),K1H(i),K2(i)を逐次更新しているということになる。
【0067】
次に、図14から図16を参照して補正係数K1L(i),K1H(i),K2(i)を詳しく説明する。図14から図16において、実線は各補正係数が燃料噴射量の補正に用いられ更新されている場合を示しており、破線は各補正係数が燃料噴射量の補正に用いられておらずその値が更新されていない場合を示している。
【0068】
図14に示される例において、矢印Zで示されるように機関運転が開始されると、上述したように第2の燃焼が開始され、このとき第2の補正係数K2(i)でもって燃料噴射量が補正され、第2の補正係数K2(i)が逐次更新される。この場合、第2の補正係数K2(i)はこのとき第2の補正係数としてB−RAM35内に記憶されている値K2O(i)から更新が開始される。なお、図14に示されるように、第2の補正係数K2(i)の更新が開始されてからしばらくすると、第2の補正係数K2(i)が或る値に収束する。この値は第2の燃焼が行われているときに気筒間出力偏差を低減するのに最適な値である。
【0069】
次いで、矢印Wに示されるように機関冷却水温THWが切替温度TWを越え、このとき図14に示される例では要求負荷Lが第1の境界LX(N)よりも高いので、第2の燃焼が継続される。
【0070】
次いで、矢印Vで示されるように要求負荷Lが第2の境界LY(N)を越えて低下すると第1の燃焼に切り替えられる。このとき図14に示される例では、要求負荷Lがゼロよりも高く従ってアイドリング運転ではないので、第1の補正係数K1(i)のうち高負荷時補正係数K1H(i)でもって燃料噴射量が補正され、高負荷時補正係数K1H(i)が逐次更新される。この場合、高負荷時補正係数K1H(i)はこのとき高負荷時補正係数としてB−RAM35内に記憶されている値K1HO(i)から更新が開始される。
【0071】
次いで、矢印Rで示されるように要求負荷Lがゼロになり即ちアイドリング運転になると、第1の補正係数K1(i)のうち低負荷時補正係数K1L(i)でもって燃料噴射量が補正され、低負荷時補正係数K1L(i)が逐次更新される。この場合、低負荷時補正係数K1L(i)はこのとき低負荷時補正係数としてB−RAM35内に記憶されている値K1LO(i)から更新が開始される。
【0072】
図15に示される例では、矢印Wに示されるように機関冷却水温THWが切替温度TWを越え、このとき要求負荷Lが第1の境界LX(N)よりも低いので第1の燃焼に切り替えられ、しかしながらこのとき要求負荷Lがゼロよりも高い即ちアイドリング運転以外であるので、高負荷時補正係数K1H(i)でもって燃料噴射量が補正され、高負荷時補正係数K1H(i)が逐次更新される。この場合も、高負荷時補正係数K1H(i)はK1HO(i)から更新が開始される。
【0073】
これに対し、図16に示される例では、矢印Wに示されるように機関冷却水温THWが切替温度TWを越え、このとき要求負荷Lがゼロである即ちアイドリング運転が行われているので、第1の燃焼に切り替えられると共に、低負荷時補正係数K1L(i)でもって燃料噴射量が補正され、低負荷時補正係数K1L(i)が逐次更新される。この場合、低負荷時補正係数K1L(i)はK1LL(i)から更新が開始される。
【0074】
即ち、機関運転が開始された後初めて第2の燃焼が行われるときには、このとき記憶されている第2の補正係数K2O(i)、即ち先の機関運転で最後に更新され記憶された第2の補正係数から第2の補正係数の更新が開始される。また、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときにアイドリング運転以外のときには、このとき記憶されている高負荷時補正係数K1HO(i)、即ち先の機関運転で最後に更新され記憶された高負荷時補正係数から高負荷時補正係数の更新が開始される。
【0075】
これに対し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときにアイドリング運転が行われているときには、このとき記憶されている低負荷時補正係数K1LO(i)、即ち先の機関運転で最後に更新され記憶された低負荷時補正係数とは異なるK1LL(i)から更新が開始される。
【0076】
図17は互いに異なる二つの燃料噴射弁の、燃料噴射時間一定のもとでの、燃料噴射弁温度THIに対する実際の燃料噴射量QACTを示している。図17からわかるように、二つの燃料噴射弁の燃料噴射量偏差dqは燃料噴射弁温度THIに応じて変動し、気筒間出力偏差も燃料噴射弁温度THIに応じて変動することになる。これは、燃料噴射弁が燃料を潤滑油として用いているので、燃料噴射弁の温度即ち燃料噴射弁内の燃料の温度が低いときには高いときに比べてニードルの動きが不安定になるからであると考えられる。
【0077】
機関運転が開始される時点でB−RAM35内に記憶されているK1LO(i)は上述したように、先の機関運転で最後に更新され記憶された低負荷時補正係数であり、即ち燃料噴射弁6の温度が高いときに気筒間出力偏差を低減するのに最適な値である。
【0078】
一方、機関運転が開始された直後は通常、燃料噴射弁6の温度は低くなっている。従って、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに、先の機関運転時の最後に更新され記憶された低負荷時補正係数K1LO(i)から低負荷時補正係数の更新を開始するようにすると、気筒間出力偏差を必ずしも低減することができない。
【0079】
そこで本発明による実施例では、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときにアイドリング運転が行われているときには、低負荷時補正係数K1L(i)の更新がK1LO(i)から開始されるのを禁止している。
【0080】
機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときにアイドリング運転以外のときに、高負荷時補正係数K1H(i)の更新がK1HO(i)から開始されるのを禁止することもできるし、機関運転が開始された後初めて第2の燃焼が行われるときに、第2の補正係数K2(i)の更新がK2O(i)から開始されるのを禁止することもできる。
【0081】
従って、一般的に言うと、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、このとき記憶されている第1の補正係数とは異なる初期値K1LL(i)から第1の補正係数の更新を開始するようにしているということになる。
【0082】
その上で、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに機関負荷が許容負荷よりも低いと判断されたときには、前記初期値K1LL(i)から第1の補正係数の更新を開始し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに機関負荷が許容負荷よりも高いと判断されたときには、このとき記憶されている第1の補正係数から第1の補正係数の更新を開始するようにしているということになる。或いは、機関の温度が切替温度を越えたときに第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられたときには、前記初期値K1LL(i)から第1の補正係数の更新を開始し、機関の温度が前記切替温度を越えたときに第2の燃焼が継続されその後第1の燃焼に切り替えられたときには、このとき記憶されている第1の補正係数から第1の補正係数の更新を開始するようにしているという見方もできる。
【0083】
なお、機関運転が開始された後2回目以降の第1の燃焼が行われるときには、要求負荷Lに応じ、このとき記憶されている低負荷時補正係数K1L(i)又は高負荷時補正係数K1H(i)から低負荷時補正係数K1L(i)又は高負荷時補正係数K1H(i)の更新が開始される。
【0084】
上述したK1LL(i)は本発明による実施例では、次のようにして求められる。
【0085】
即ち、図16を再び参照すると、矢印Wで示されるように機関冷却水温度THWが切替温度TWを越えてから、即ち第1の燃焼が開始されてから、予め定められた設定時間tLだけ経過したときの低負荷時補正係数K1L(i)がK1LL(i)としてB−RAM35内に記憶される。この設定時間tLは低負荷時補正係数K1L(i)が収束するのに必要な時間であり、また、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには燃料噴射弁6の温度が低くなっている。従って、設定時間tLだけ経過したときのK1LL(i)は燃料噴射弁6の温度が低いときに気筒間出力偏差を低減するのに適した低負荷時補正係数K1L(i)になっている。このようにして求められたK1LL(i)が後続の機関運転で用いられる。
【0086】
従って、一般的に言うと、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われてから予め定めれた設定時間だけ経過するまでは、燃料噴射弁の温度を代表する第1の代表温度が設定温度よりも低いと判断し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われてから設定時間だけ経過した後は第1の代表温度が設定温度よりも高いと判断し、その上で、第1の燃焼が行われているときに第1の代表温度が設定温度よりも低いと判断されたときにはこのときの第1の補正係数を初期値K1LL(i)として記憶しておくようにしているということになる。
【0087】
図18は本発明による実施例の第1及び第2の補正係数K1(i),K2(i)算出ルーチンを示している。このルーチンは予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行される。
【0088】
図18を参照すると、まずステップ130では所要時間Δt(i)の平均値AVEが算出される。続くステップ131では、図7を参照して説明した燃焼フラグXC1がセットされているか否か、即ち第1の燃焼を行うべきときか否かが判別される。燃焼フラグXC1がリセットされているとき(XC1=0)、即ち第2の燃焼を行うべきときには次いでステップ132に進み、各気筒の第2の補正係数K2(i)が更新される(K2(i)=K2(i)+(Δt(i)−AVE)・C2、i=1,2,3,4)。
【0089】
これに対し、燃焼フラグXCがセットされているとき(XC1=1)、即ち第1の燃焼を行うべきときにはステップ131からステップ133に進み、要求負荷Lがゼロか、即ち現在アイドリング運転中か否かが判別される。L>0のとき即ち現在アイドリング運転中でないときには次いでステップ134に進み、各気筒の高負荷時補正係数K1H(i)が更新される(K1H(i)=K1H(i)−(Δt(i)−AVE)・C1H、i=1,2,3,4)。続くステップ135ではステップ134で更新された高負荷時補正係数K1H(i)が第1の補正係数K1(i)とされる。
【0090】
一方、ステップ133においてL=0のとき、即ち現在アイドリング運転中のときには次いでステップ136に進み、図7を参照して説明した水温フラグXWが前回の処理サイクルにおいてセットされているか否かが判別される。機関冷却水温度THWが切替温度TWを越えたときに第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられたときには、前回の処理サイクルにおいて水温フラグXWはリセットされている(XW=0)ので、このときには次いでステップ137に進み、低負荷時補正係数K1L(i)が初期値K1LL(i)とされる。次いでステップ141にジャンプする。
【0091】
これに対し、前回の処理サイクルにおいて水温フラグXWがセットされている(XW=1)ときには次いでステップ138に進み、各気筒の低負荷時補正係数K1L(i)が更新される(K1L(i)=K1L(i)−(Δt(i)−AVE)・C1L、i=1,2,3,4)。
【0092】
続くステップ139では、機関冷却水温度THWが切替温度TWを越えてから、図16を参照して説明した設定時間tLだけ経過したか否かが判別される。設定時間tLだけ経過していないときには次いでステップ140に進み、ステップ138で更新された低負荷時補正係数K1L(i)が初期値K1LL(i)とされる。次いでステップ141に進む。これに対し、設定時間tLだけ経過するとステップ139からステップ141に進む。即ち、初期値K1LL(i)の更新が停止され、従ってこのとき記憶されている初期値K1LL(i)は設定時間tLだけ経過したときの値を表している。
【0093】
ステップ141ではステップ138で更新された低負荷時補正係数K1L(i)が第1の補正係数K1(i)とされる。
【0094】
次に、本発明による別の実施例を説明する。
【0095】
図17を参照して上述したように、燃料噴射弁温度に応じて気筒間出力偏差が変動する。このことは燃料噴射弁温度に応じて補正係数を設定するのが好ましいということを意味している。この場合、燃料温センサ40(図1参照)により検出される燃料温度THFは燃料噴射弁6の温度を代表している。
【0096】
そこで本発明による別の実施例では、図19(A)に示されるように燃料温度THFのとりうる温度範囲をJ個(J=2,3,…)の温度領域に分割し、図19(B)に示されるように各温度領域j(j=2,3,…)に対し上述の初期値K1LL(i,j)を設定している。例えば、燃料温度THFのとりうる温度範囲を0℃以下、0から20℃、20から40℃、40から60℃、60℃以上の5つの温度領域に分割することができる。
【0097】
図20に示される例では図16に示される例と同様に、矢印Wに示されるように機関冷却水温THWが切替温度TWを越え、このとき要求負荷Lがゼロである即ちアイドリング運転が行われているので、第1の燃焼に切り替えられると共に、低負荷時補正係数K1L(i)でもって燃料噴射量が補正され、低負荷時補正係数K1L(i)が逐次更新される。この場合、第1の燃焼が開始されるときの燃料温度THFに基づき温度領域jが決定され、この温度領域jの初期値K1LL(i,j)から低負荷時補正係数K1L(i)の更新が開始される。
【0098】
機関冷却水温度THWが切替温度TWを越えてから、即ち第1の燃焼が開始されてから、上述した設定時間tLだけ経過すると、このときの燃料温度THFに基づき温度領域jが決定され、このときの低負荷時補正係数K1L(i)がこの温度領域jのK1LL(i,j)としてB−RAM35内に記憶される。
【0099】
図21は本発明による別の実施例の第1及び第2の補正係数K1(i),K2(i)算出ルーチンを示している。このルーチンは予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行される。
【0100】
図21を参照すると、まずステップ230では所要時間Δt(i)の平均値AVEが算出される。続くステップ231では、図7を参照して説明した燃焼フラグXC1がセットされているか否か、即ち第1の燃焼を行うべきときか否かが判別される。燃焼フラグXC1がリセットされているとき(XC1=0)、即ち第2の燃焼を行うべきときには次いでステップ232に進み、各気筒の第2の補正係数K2(i)が更新される(K2(i)=K2(i)+(Δt(i)−AVE)・C2、i=1,2,3,4)。
【0101】
これに対し、燃焼フラグXCがセットされているとき(XC1=1)、即ち第1の燃焼を行うべきときにはステップ231からステップ233に進み、要求負荷Lがゼロか、即ち現在アイドリング運転中か否かが判別される。L>0のとき即ち現在アイドリング運転中でないときには次いでステップ234に進み、各気筒の高負荷時補正係数K1H(i)が更新される(K1H(i)=K1H(i)−(Δt(i)−AVE)・C1H、i=1,2,3,4)。続くステップ235ではステップ234で更新された高負荷時補正係数K1H(i)が第1の補正係数K1(i)とされる。
【0102】
一方、ステップ233においてL=0のとき、即ち現在アイドリング運転中のときには次いでステップ236に進み、図7を参照して説明した水温フラグXWが前回の処理サイクルにおいてセットされているか否かが判別される。機関冷却水温度THWが切替温度TWを越えたときに第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられたときには、前回の処理サイクルにおいて水温フラグXWはリセットされている(XW=0)ので、このときには次いでステップ237aに進む。ステップ237aでは燃料温度THFの属する温度領域jが決定され、続くステップ237bでは低負荷時補正係数K1L(i)が初期値K1LL(i,j)とされる。次いでステップ241にジャンプする。
【0103】
これに対し、前回の処理サイクルにおいて水温フラグXWがセットされている(XW=1)ときには次いでステップ238に進み、各気筒の低負荷時補正係数K1L(i)が更新される(K1L(i)=K1L(i)−(Δt(i)−AVE)・C1L、i=1,2,3,4)。
【0104】
続くステップ239では、機関冷却水温度THWが切替温度TWを越えてから、図20を参照して説明した設定時間tLだけ経過したか否かが判別される。設定時間tLだけ経過していないときには次いでステップ240aに進む。ステップ240aでは燃料温度THFの属する温度領域jが決定され、続くステップ240bでは、ステップ238で更新された低負荷時補正係数K1L(i)が初期値K1LL(i,j)とされる。次いでステップ241に進む。これに対し、設定時間tLだけ経過するとステップ239からステップ241に進む。即ち、初期値K1LL(i)の更新が停止され、従ってこのとき記憶されている初期値K1LL(i,j)は設定時間tLだけ経過したときの値を表している。
【0105】
ステップ241ではステップ238で更新された低負荷時補正係数K1L(i)が第1の補正係数K1(i)とされる。
【0106】
上述した本発明による別の実施例では、燃料噴射弁6の温度を代表する代表温度として燃料温度を用いている。しかしながら、この代表温度として機関冷却水温度や機関潤滑油温度を用いることもできるし、燃料噴射弁6自体に温度センサを取り付けて燃料噴射弁温度を検出するようにすることもできる。
【0107】
また、上述した本発明による別の実施例では、燃料温度THFに応じて定まる温度領域j毎に初期値が設定されている。しかしながら、燃料噴射弁6の温度を代表する複数の代表温度に応じて定まる温度領域(j,k)(j,k=2,3,…)毎に初期値を設定することもできる。
【0108】
従って、一般的に言うと、燃料噴射弁の温度を代表する少なくとも一つの第2の代表温度に応じて定まる温度領域毎に前記初期値K1LL(i,j)が設定されており、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときの前記第2の代表温度がいずれの温度領域に属するかを特定し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、特定された温度領域に設定されている前記初期値K1LL(i,j)から第1の補正係数の更新を開始するようにしているということになる。
【0109】
【発明の効果】
気筒間出力偏差を確実に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の全体図である。
【図2】燃料噴射時期及びEGR率とスモーク及びNOXの発生量との関係を示す図である。
【図3】混合気の空燃比を変化させたときのスモーク排出量等を示す図である。
【図4】第1及び第2の燃焼領域を示すである。
【図5】第1及び第2の運転領域を示す図である。
【図6】機関運転が開始されたときのスロットル弁の開度等を示す図である。
【図7】運転制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】燃焼制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】第1の燃焼が行われるときの目標スロットル開度等を示す図である。
【図10】第2の燃焼が行われるときの目標スロットル開度等を示す図である。
【図11】スロットル弁開度等を示す図である。
【図12】燃料噴射量の変化に対する出力トルクの変化を示す図である。
【図13】燃料噴射弁の噴射特性を示す図である。
【図14】各補正係数の更新作用を説明するための図である。
【図15】各補正係数の更新作用を説明するための図である。
【図16】各補正係数の更新作用を説明するための図である。
【図17】燃料噴射弁の噴射特性を示す図である。
【図18】補正係数算出ルーチンを示すフローチャートである。
【図19】本発明による別の実施例における初期値K1LL(i,j)を示す図である。
【図20】本発明による別の実施例における各補正係数の更新作用を説明するための図である。
【図21】本発明による別の実施例における補正係数算出ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…機関本体
5…燃焼室
6…燃料噴射弁
24…EGR通路
【発明の属する技術分野】
本発明は多気筒内燃機関の燃料供給制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃焼室から排出された排気ガスを機関吸気通路内に再循環させる再循環装置を具備し、燃料噴射時期をほぼ一定に維持しながら燃焼室内に供給される再循環排気ガスの量を増大していくと煤の発生量が次第に増大してピークに達し、燃料噴射時期をほぼ一定に維持しながら燃焼室内に供給される再循環排気ガスの量を更に増大していくと燃焼室内における燃焼時の燃料及びその周囲のガス温が煤の生成温度よりも低くなって煤がほとんど発生しなくなる内燃機関において、煤の発生量がピークとなる再循環排気ガス量よりも燃焼室内に供給される再循環排気ガスの量が多く煤がほとんど発生しない第1の燃焼と、煤の発生量がピークとなる再循環排気ガス量よりも燃焼室内に供給される再循環排気ガスの量が少ない第2の燃焼とを選択的に切り替えるようにした内燃機関が公知である(特許文献1,2,3参照)。
【0003】
ところで、各燃料噴射弁には個体差があり、各燃料噴射弁の噴射特性が互いに異なっている場合がある。その結果、気筒間出力偏差が生ずる恐れがある。そこで、このような気筒間出力偏差を低減するために、第1の燃焼が行われるときには第1の補正方法により各気筒の燃料噴射量を補正し、第2の燃焼が行われるときには第1の補正方法とは異なる第2の補正方法により各気筒の燃料噴射量を補正するようにした内燃機関が公知である(特許文献1参照)。
【0004】
即ち、簡単に説明すると、第1の燃焼では多量の再循環排気ガス及び少量の空気の存在下で燃料が燃焼せしめられる。この場合、燃料噴射量が増量補正されると空気が更に不足し燃焼が悪化して出力が低下し、燃料噴射量が減量補正されると燃焼が改善されて出力が増大する。そこで上述の第1の補正方法では、出力を減少させるべき気筒の燃料噴射量を増量補正し、出力を増大させるべき気筒の燃料噴射量を減量補正するようにしている。
【0005】
これに対し、第2の燃焼では多量の空気の存在下で燃料が燃焼せしめられる。この場合、燃料噴射量が増量補正されると出力が増大し、燃料噴射量が減量補正されると出力が低下する。そこで上述の第2の補正方法では、出力を減少させるべき気筒の燃料噴射量を減量補正し、出力を増大させるべき気筒の燃料噴射量を増量補正するようにしている。
【0006】
気筒間出力偏差を低減するための補正方法には様々な方法があり、例えば第1の燃焼が行われているときには気筒間出力偏差を低減するための第1の補正係数を逐次更新して記憶すると共に、記憶されている第1の補正係数でもって各気筒の燃料噴射量を補正し、第2の燃焼が行われているときには気筒間出力偏差を低減するための第2の補正係数を逐次更新して記憶すると共に、記憶されている第2の補正係数でもって各気筒の燃料噴射量を補正するようにすることもできる。このようにすると、機関運転時間が或る程度経過すれば、このとき記憶されている第1及び第2の補正係数はそれぞれの燃焼に対し最適な値になっている。
【0007】
この補正方法では、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、このとき記憶されている第1の補正係数、即ち先の機関運転時の最後に更新され記憶された第1の補正係数から第1の補正係数の更新が開始される。
【0008】
【特許文献1】
特許第3331986号公報
【特許文献2】
特許第3331935号公報
【特許文献3】
特許第3331974号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、燃料噴射弁の可動部材例えばニードルは燃料通路内に配置され、燃料が潤滑油として作用するのが一般的である。従って、燃料噴射弁の温度即ち燃料噴射弁内の燃料の温度が低いときには高いときに比べて、ニードルの動きが不安定になり、燃料噴射弁の噴射特性の偏差が大きくなる恐れがある。即ち、気筒間出力偏差の大きさは燃料噴射弁の温度に依存し、気筒間出力偏差を低減するのに最適な補正係数も燃料噴射弁の温度に依存するということになる。
【0010】
機関運転が開始された直後は通常、燃料噴射弁の温度は低くなっている。これに対し、先の機関運転時の最後に更新され記憶された第1の補正係数は燃料噴射弁の温度が高いときに気筒間出力偏差を低減するのに最適な値である。
【0011】
従って、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに先の機関運転時の最後に更新され記憶された第1の補正係数から第1の補正係数の更新を開始するようにすると、気筒間出力偏差を必ずしも低減することができないという問題点がある。この場合、燃料噴射量が過増量されたり過減量されたりする恐れがあるので、気筒間出力偏差が却って大きくなったり、失火したりする恐れもある。
【0012】
そこで本発明の目的は、気筒間出力偏差を確実に低減することができる多気筒内燃機関の燃料供給制御装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために1番目の発明によれば、燃料噴射時期をほぼ一定に維持しながら燃焼室内に供給される不活性ガスの量を増大していくと煤の発生量が次第に増大してピークに達し、燃料噴射時期をほぼ一定に維持しながら燃焼室内に供給される不活性ガスの量を更に増大していくと燃焼室内における燃焼時の燃料及びその周囲のガス温が煤の生成温度よりも低くなって煤がほとんど発生しなくなる多気筒内燃機関において、煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内に供給される不活性ガスの量が多く煤がほとんど発生しない第1の燃焼と、煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内に供給される不活性ガスの量が少ない第2の燃焼とを選択的に切り替える切替手段と、各気筒の燃料噴射量を算出する算出手段と、第1の燃焼が行われているときに気筒間出力偏差を低減するための第1の補正係数を逐次更新して記憶すると共に該記憶されている第1の補正係数でもって各気筒の燃料噴射量を補正する第1の補正手段とを具備し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、このとき記憶されている第1の補正係数とは異なる初期値から第1の補正係数の更新を開始するようにしている。
【0014】
また、2番目の発明によれば1番目の発明において、第2の燃焼が行われているときに気筒間出力偏差を低減するための第2の補正係数を逐次更新して記憶すると共に該記憶されている第2の補正係数でもって各気筒の燃料噴射量を補正する第2の補正手段を更に具備している。
【0015】
また、3番目の発明によれば1番目の発明において、燃料噴射弁の温度を代表する第1の代表温度が予め定められた設定温度よりも低いか否かを判断する温度判断手段を具備し、第1の燃焼が行われているときに該第1の代表温度が該設定温度よりも低いと判断されたときにはこのときの第1の補正係数を前記初期値として記憶しておくようにしている。
【0016】
また、4番目の発明によれば3番目の発明において、前記温度判断手段は、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われてから予め定めれた設定時間だけ経過するまでは前記第1の代表温度が前記設定温度よりも低いと判断し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われてから該設定時間だけ経過した後は前記第1の代表温度が前記設定温度よりも高いと判断する。
【0017】
また、5番目の発明によれば3番目の発明において、燃料噴射弁の温度を代表する少なくとも一つの第2の代表温度に応じて定まる温度領域毎に前記初期値が設定されており、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときの前記第2の代表温度がいずれの温度領域に属するかを特定する特定手段を具備し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、該特定された温度領域に設定されている前記初期値から第1の補正係数の更新を開始するようにしている。
【0018】
また、6番目の発明によれば1番目の発明において、機関負荷が予め定められた許容負荷よりも低いか否かを判断する負荷判断手段を更に具備し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに機関負荷が該許容負荷よりも低いと判断されたときには、前記初期値から第1の補正係数の更新を開始し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに機関負荷が該許容負荷よりも高いと判断されたときには、このとき記憶されている第1の補正係数から第1の補正係数の更新を開始するようにしている。
【0019】
また、7番目の発明によれば6番目の発明において、前記負荷判断手段は、機関アイドリング運転が行われているときに機関負荷が前記許容負荷よりも低いと判断し、機関アイドリング運転以外の機関運転時に機関負荷が前記許容負荷よりも高いと判断する。
【0020】
また、8番目の発明によれば1番目の発明において、機関運転が開始されるときにはまず初めに第2の燃焼が行われ、次いで機関の温度が予め定められた切替温度を越えたときに機関負荷に応じて第2の燃焼が継続されるか又は第1の燃焼に切り替えられるようになっており、機関の温度が前記切替温度を越えたときに第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられたときには、前記初期値から第1の補正係数の更新を開始し、機関の温度が前記切替温度を越えたときに第2の燃焼が継続されその後第1の燃焼に切り替えられたときには、このとき記憶されている第1の補正係数から第1の補正係数の更新を開始するようにしている。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明を圧縮着火式内燃機関に適用した場合を示している。
【0022】
図1を参照すると、1は例えば4つの気筒を有する機関本体、2はシリンダブロック、3はシリンダヘッド、4はピストン、5は燃焼室、6は電気制御式燃料噴射弁、7は吸気弁、8は吸気ポート、9は排気弁、10は排気ポートをそれぞれ示す。吸気ポート8は対応する吸気枝管11を介してサージタンク12に連結され、サージタンク12は吸気ダクト13を介して排気ターボチャージャ14のコンプレッサ15に連結される。吸気ダクト13内にはステップモータ16により駆動されるスロットル弁17が配置され、更に吸気ダクト13周りには吸気ダクト13内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置18が配置される。
【0023】
一方、排気ポート10は排気マニホルド19及び排気管20を介して排気ターボチャージャ14の排気タービン21の入口に連結され、排気タービン21の出口は排気管20aを介して酸化機能を有する触媒22を収容したケーシング23に連結される。触媒22として酸化触媒、三元触媒、又はNOX吸収剤を用いることができる。NOX吸収剤は流入する排気ガスの空燃比がリーンのときにはNOXを蓄え、流入する排気ガスの空燃比が低下したときに排気ガス中に還元剤が含まれていると蓄えているNOXを還元して蓄えているNOXの量を減少させる蓄積還元作用を行う。このNOX吸収剤は例えばアルミナを担体とし、この担体上に例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Pt、パラジウムPd、ロジウムRh、イリジウムIrのような貴金属とが担持されている。
【0024】
更に図1を参照すると、排気マニホルド19とサージタンク12とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路24を介して互いに連結され、EGR通路24内には電気制御式EGR制御弁25が配置される。また、EGR通路24周りにはEGR通路24内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置26が配置される。
【0025】
一方、各燃料噴射弁6は燃料供給管6aを介して燃料リザーバ、いわゆるコモンレール27に連結される。このコモンレール27内へは電気制御式の吐出量可変な燃料ポンプ28から燃料が供給され、コモンレール27内に供給された燃料は各燃料供給管6aを介して燃料噴射弁6に供給される。コモンレール27にはコモンレール27内の燃料圧を検出するための燃料圧センサ29が取付けられ、燃料圧センサ29の出力信号に基づいてコモンレール27内の燃料圧が目標燃料圧となるように燃料ポンプ28の吐出量が制御される。
【0026】
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、常時電源に接続されているB−RAM(バックアップRAM)35、入力ポート36、及び出力ポート37を具備する。機関本体1には機関冷却水温度THWを検出するための水温センサ39が取り付けられ、コモンレール27にはコモンレール27内の燃料の温度THFを検出するための燃料温センサ40が取り付けられる。燃料圧センサ29、水温センサ39、及び燃料温センサ40の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また、アクセルペダルにはアクセルペダルの踏み込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。ここで、アクセルペダルの踏み込み量は要求負荷Lを表している。更に入力ポート36にはクランクシャフトが例えば30°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。CPU34ではクランク角センサ42からの出力パルスに基づいて機関回転数Nが算出される。一方、出力ポート37は対応する駆動回路39を介して燃料噴射弁6、スロットル弁駆動用ステップモータ16、EGR制御弁25、及び燃料ポンプ28にそれぞれ接続される。
【0027】
図1に示される内燃機関では、互いに異なる二つの燃焼即ち第1の燃焼と第2の燃焼とが選択的に切り替えられるようになっている。まずこのことについて説明する。
【0028】
図2は機関回転数及び燃料噴射量を一定に維持したときの、燃料噴射時期及びEGR率(=EGRガス量/(EGRガス量+吸入空気量))即ち燃焼室5内で燃焼せしめられる混合気の空燃比AFMと、スモーク及びNOXの排出量との関係を示すシミュレーション結果の一例を表している。図2において、実線は等スモーク排出量(FSN)を示しており、破線は等NOX排出量(g/kwh)を示している。
【0029】
図2からわかるように、燃料噴射時期を一定に維持しながらEGR率を例えば30パーセントから増大していくとスモークの排出量が増大を開始する。次いで、燃料噴射時期を一定にしながら更にEGR率を高め混合気の空燃比AFMを小さくするとスモークの発生量が急激に増大してピークに達する。次いで燃料噴射時期を一定にしながら更にEGR率を高め混合気の空燃比AFMを小さくすると今度はスモークが急激に低下し、燃料噴射時期を一定にしながらEGR率を65パーセント以上とし混合気の空燃比AFMが15.0付近になるとスモークがほぼ零となる。即ち、煤がほとんど発生しなくなる。このときNOXの発生量がほぼゼロになっている。
【0030】
このようなスモーク及びNOXの排出量の挙動は図3に示される実験例によっても裏付けられている。図3は機関低負荷運転時において燃料噴射時期を一定に維持しながらスロットル弁17の開度及びEGR率を変化させることにより燃焼室5内で燃焼せしめられる混合気の空燃比AFM(図2の横軸)を変化させたときの出力トルクの変化、及びスモーク、HC,CO,NOXの排出量の変化を示す実験例を表している。
【0031】
そこで図1の内燃機関では、煤の発生量がピークとなるEGR率よりもEGR率が高くかつ煤及びNOXがほとんど生成しない燃料噴射時期及びEGR率でもって燃焼を行うようにしている。これが第1の燃焼である。これに対し、第2の燃焼は従来より普通に行われている燃焼であり、煤の発生量がピークとなるEGR率よりもEGR率が低くなっている。
【0032】
従って、一般的に言うと、第1の燃焼とは煤の発生量がピークとなるEGRガス量よりも燃焼室5内に供給されるEGRガス量が多く煤がほとんど発生しない燃焼のことであり、第2の燃焼とは煤の発生量がピークとなるEGRガス量よりも燃焼室5内に供給されるEGRガス量が少ない燃焼のことであるということになる。
【0033】
図4は第1の燃焼が行われる領域R1と第2の燃焼が行われる領域R2とをそれぞれ示している。図4において、破線Pは煤の発生量がピークとなるところを示しており、実線Qは更にEGR率を高くしたときに煤の発生量がほぼゼロとなるところを示している。図4からわかるように第1の燃焼が行われる領域R1は破線Pの一側にあり、第2の燃焼が行われる領域R2は破線Pの他側にある。
【0034】
第1の燃焼では、燃焼室5内に多量のEGRガスと少量の空気とが供給される。燃料はこの少量の酸素と反応し、このときの反応熱は周囲のEGRガスに吸収され、このため燃焼温度がさほど上昇しない。その結果、燃料即ち炭化水素が煤まで成長せず、煤の前駆体又はその前の状態の炭化水素の形で燃焼室5から排出されることになる。実際、図3に示されるようにスモークの排出量がほぼゼロになるとHC,COの排出量が増大する。これらHC,COは触媒22により簡単に酸化処理される。また、燃焼温度が低く抑えられているためにNOXの発生量も低く抑えられている。
【0035】
図5は第1の燃焼が行われる第1の運転領域Iと、第2の燃焼が行われる第2の燃焼領域IIとを示している。図5においてLX(N)は第1の運転領域Iと第2の運転領域IIとの第1の境界を示しており、LY(N)は第1の運転領域Iと第2の運転領域IIとの第2の境界を示している。第1の運転領域Iから第2の運転領域IIへの運転領域の変化判断は第1の境界LX(N)に基づいて行われ、第2の運転領域IIから第1の運転領域Iへの運転領域の変化判断は第2の境界LY(N)に基づいて行われる。即ち、機関の運転状態が第1の運転領域Iにあって第1の燃焼が行われているときに要求負荷Lが機関回転数Nの関数である第1の境界LX(N)を越えると運転領域が第2の運転領域IIに移ったと判断され、第2の燃焼に切り替えられる。次いで要求負荷Lが機関回転数Nの関数である第2の境界LY(N)よりも低くなると運転領域が第1の運転領域Iに移ったと判断され、第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられる。
【0036】
ただし、機関運転が開始されるときには、要求負荷Lに関わらずまず初めに第2の燃焼が行われ、次いで要求負荷Lに応じて即ち図5のマップに従って第1の燃焼に切り替えられ又は第2の燃焼が継続される。即ち、図6に矢印Zで示されるように機関の運転が開始されるとまず初めに第2の燃焼が行われる。次いで、図6に矢印Wで示されるように機関冷却水温THWが予め定められた切替温度TWを越えたときに、図6に実線で示される例では要求負荷Lがゼロに維持されており、即ちアイドリング運転が継続して行われており、従って第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられる。これに対し、図6に破線で示される例ではこのとき第1の境界LX(N)を越えており、従って第2の燃焼が継続される。
【0037】
この場合、機関冷却水温THWは触媒22の温度を代表しており、切替温度TWは例えば触媒22の活性化温度を代表している。即ち、本発明による実施例では、機関運転が開始されるときにはまず初めに第2の燃焼が行われ、次いで触媒22が活性化したときには機関負荷に応じて第2の燃焼が継続されるか又は第1の燃焼に切り替えられるということになる。このようにすると、第1の燃焼が行われたときに燃焼室5から排出される多量のHC,COを活性化した触媒22で確実に処理することができ、触媒22が活性化していないときに第1の燃焼が行われるのを阻止できる。
【0038】
図7は機関運転制御を実行するためのルーチンを示している。このルーチンは予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行される。
【0039】
図7を参照すると、まず初めにステップ100では機関冷却水温THWが上述の切替温度TWよりも高いか否かが判別される。THW≦TWのときには次いでステップ101に進み、水温フラグXWがリセットされる(XW=0)。この水温フラグXWは機関冷却水温THWが切替温度TWを越えていないときにリセットされ、THW>TWになるとセットされる。続くステップ102では、第1の燃焼を行うべきときにセットされ第2の燃焼を行うべきときにリセットされる燃焼フラグXC1がリセットされる(XC1=0)。続くステップ103では第2の燃焼制御が実行される。このようにTHW≦TWのときには第2の燃焼が行われる。
【0040】
THW>TWになったときにはステップ100からステップ104に進み、水温フラグXWがセットされる(XW=1)。続くステップ105では、燃焼フラグXC1がセットされているか否か、即ち第1の燃焼を行うべきか否かが判別される。機関運転が開始されてから初めてステップ105に進んだときには燃焼フラグXC1はリセットされているので、次いでステップ106に進み、要求負荷Lが第2の境界LY(N)よりも低いか否か、即ち機関の運転領域が第1の運転領域Iにあるか否かが判別される。L≧LY(N)のときにはステップ103に進み、第2の燃焼が継続して行われる。これに対し、L<LY(N)のときには次いでステップ107に進んで燃焼フラグXC1をセットした後に(XC1=1)ステップ108に進み、第1の燃焼制御が実行される。即ち、第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられる。
【0041】
燃焼フラグXC1がセットされているときにはステップ105からステップ109に進み、要求負荷Lが第1の境界LX(N)よりも高いか否か、即ち機関の運転領域が第2の運転領域IIにあるか否かが判別される。L≦LX(N)のときにはステップ108に進み、第1の燃焼が継続して行われる。これに対し、L>LX(N)のときには次いでステップ102に進んで燃焼フラグXC1をセットした後に(XC1=1)ステップ103に進み、第2の燃焼制御が実行される。即ち、第1の燃焼から第2の燃焼に切り替えられる。
【0042】
図8(A)は図7のステップ108で実行される第1の燃焼制御ルーチンを示している。図8(A)を参照すると、まず初めにステップ110では、図9(A)のマップから目標スロットル弁開度STが算出され、スロットル弁17の開度がこの目標スロットル弁開度STに制御される。続くステップ111では、図9(B)のマップから目標EGR制御弁開度SEが算出され、EGR制御弁25の開度が目標EGR制御弁開度SEに制御される。続くステップ112では、図9(C)のマップから基本燃料噴射量QBが算出される。続くステップ113では、第1の燃焼が行われるときに気筒間出力偏差を低減するためのi番気筒(i=1,2,3,4)の第1の補正係数K1(i)が読み込まれる。続くステップ114では、i番気筒の燃料噴射量Q(i)が次式に基づいて算出される。
【0043】
Q(i)=QB・K1(i)
i番気筒の燃料噴射弁6からはQ(i)だけ燃料が噴射される。
【0044】
即ち、図11に示されるように、第1の燃焼が行われる第1の運転領域Iではスロットル弁17の開度は要求負荷Lが高くなるにつれて全閉近くから半開程度まで徐々に増大せしめられ、EGR制御弁25の開度は要求負荷Lが高くなるにつれて全閉近くから全開まで徐々に増大せしめられる。
【0045】
図11に示される例では、第1の運転領域IではEGR率がほぼ70パーセントとされており、空燃比AFMは15から18程度のリーン空燃比とされている。従って、第1の運転領域IではEGR率がほぼ70パーセントとなり、空燃比AFMが15から18程度の目標リーン空燃比となるようにスロットル弁17の開度およびEGR制御弁25の開度が制御されるという見方もできる。この場合、排気通路内に空燃比センサを配置して空燃比AFMが目標リーン空燃比に一致するようにスロットル弁17の開度およびEGR制御弁25の開度を制御してもよい。
【0046】
一方、第1の運転領域Iでは圧縮上死点TDC前に燃料噴射が行われる。この場合、噴射開始時期θSは要求負荷Lが高くなるにつれて遅くなり、噴射完了時期θEも噴射開始時期θSが遅くなるにつれて遅くなる。なお、アイドリング運転時にはスロットル弁17は全閉近くまで閉弁され、このときEGR制御弁25も全閉近くまで閉弁せしめられる。
【0047】
図8(B)は図7のステップ103で実行される第2の燃焼制御ルーチンを示している。図8(B)を参照すると、まず初めにステップ120では、図10(A)のマップから目標スロットル弁開度STが算出され、スロットル弁17の開度がこの目標スロットル弁開度STに制御される。続くステップ121では、図10(B)のマップから目標EGR制御弁開度SEが算出され、EGR制御弁25の開度が目標EGR制御弁開度SEに制御される。続くステップ122では、図10(C)のマップから基本燃料噴射量QBが算出される。続くステップ123では、第2の燃焼が行われるときに気筒間出力偏差を低減するためのi番気筒の第2の補正係数K2(i)が読み込まれる。続くステップ124では、i番気筒の燃料噴射量Q(i)が次式に基づいて算出される。
【0048】
Q(i)=QB・K2(i)
i番気筒の燃料噴射弁6からはQ(i)だけ燃料が噴射される。
【0049】
即ち、図11に示されるように、第2の燃焼が行われる第2の運転領域IIでは、スロットル弁17は一部を除いて全開状態に保持され、EGR制御弁25の開度は要求負荷Lが高くなるにつれて小さくされる。この運転領域IIではEGR率は要求負荷Lが高くなるほど低くなり、空燃比AFMは要求負荷Lが高くなるほど小さくなる。ただし、空燃比AFMは要求負荷Lが高くなっても24から60程度のリーン空燃比とされる。また、第2の運転領域IIでは燃料噴射開始時期θSは圧縮上死点TDC付近とされる。
【0050】
なお、図11に示されるように、機関の運転領域が第1の運転領域Iから第2の運転領域IIに変わると、燃料噴射量がステップ状に低減せしめられる。これは、従来から行われている第2の燃焼では第1の燃焼に比べて熱効率が高いからである。
【0051】
上述したように本発明による実施例では、気筒間出力偏差を低減するための補正係数K1(i),K2(i)を用いてi番気筒の燃料噴射量Q(i)が算出される。次にこのことについて説明する。
【0052】
冒頭でも述べたように各燃料噴射弁6には個体差があり、このため各燃料噴射弁6の噴射特性が互いに異なっている場合がある。その結果、気筒間出力偏差が生ずる恐れがあり、この場合ドライバビリティが悪化したり、振動及び燃焼騒音が増大しうる。
【0053】
そこで、このような気筒間出力偏差を低減するために本発明による実施例では、気筒間出力偏差を低減するための第1及び第2の補正係数K1(i),K2(i)を逐次更新して記憶し、記憶されている第1及び第2の補正係数K1(i),K2(i)でもって各気筒の燃料噴射量Q(i)を補正するようにしている。なお、K1(i),K2(i)は補正する必要がないときにはそれぞれ1.0とされる。また、これらK1(i),K2(i)はB−RAM35内に記憶され、従って機関運転が停止されている間もB−RAM35内に保持されている。
【0054】
ここで、第1の燃焼が行われているときの第1の補正係数K1(i)と、第2の燃焼が行われているときの第2の補正係数K2(i)とを別個に設けているのは次の理由による。即ち、上述したように第1の燃焼では多量の再循環排気ガス及び少量の空気の存在下で燃料が燃焼せしめられる。この場合、燃料噴射量の補正量ΔQと出力トルクの変化量ΔTRQとの関係を示す図12に実線で示されるように、燃料噴射量が増量補正されると(ΔQ>0)空気が更に不足し燃焼が悪化して出力トルクが低下し(ΔTRQ<0)、燃料噴射量が減量補正されると(ΔQ<0)燃焼が改善されて出力トルクが増大する(ΔTRQ>0)。これに対して、第2の燃焼では多量の空気の存在下で燃料が燃焼せしめられるので、図12に破線で示されるように、燃料噴射量が増量補正されると(ΔQ>0)出力トルクが増大し(ΔTRQ>0)、燃料噴射量が減量補正されると(ΔQ<0)出力トルクが低下する(ΔTRQ<0)。このように第1の燃焼と第2の燃焼とでは燃焼室5内で生じている現象が異なっており、これら二つの燃焼に対し同一の補正係数を用いることはできない。
【0055】
図13は互いに異なる二つの燃料噴射弁の、温度一定のもとでの燃料噴射時間TAUに対する実際の燃料噴射量QACTを示している。燃料噴射時間TAUが概ね要求負荷Lを表すものと考えると、図13からわかるように二つの燃料噴射弁の燃料噴射量偏差dqは要求負荷Lに応じて変動する。その結果、気筒間出力偏差も要求負荷Lに応じて変動することになる。要求負荷Lが低いときに第1の燃焼が行われ、要求負荷Lが高いときに第2の燃焼が行われることを考えると、この点からも二つの燃焼に対し同一の補正係数を用いることはできない。
【0056】
そこで本発明による実施例では、補正係数を燃焼の種類に応じた二つの補正係数K1(i),K2(i)から構成しているのである。
【0057】
更に本発明による実施例では、第1の燃焼が行われているときの第1の補正係数K1(i)を、要求負荷Lに応じた二つの補正係数、即ち低負荷時補正係数K1L(i)及び高負荷時補正係数K1H(i)から構成している。具体的に説明すると、第1の燃焼が行われるときに要求負荷Lが予め定められた許容負荷よりも低いか否かが判断され、要求負荷Lが許容負荷よりも低いと判断されたときには低負荷時補正係数K1L(i)でもって各気筒の燃料噴射量Q(i)が補正され、要求負荷Lが許容負荷よりも高いと判断されたときには高負荷時補正係数K1H(i)でもって各気筒の燃料噴射量Q(i)が補正される。
【0058】
ここで、要求負荷Lがゼロのとき即ちアイドリング運転が行われているときに要求負荷Lが許容負荷よりも低いと判断され、要求負荷Lがゼロよりも大きいとき即ちアイドリング運転以外の運転が行われているときに要求負荷Lが許容負荷よりも高いと判断される。そうすると、本発明による実施例において、低負荷時補正係数K1L(i)はアイドリング運転が行われているときの第1の補正係数K1(i)であり、高負荷時補正係数K1H(i)はアイドリング運転以外の第1の補正係数K1(i)であるということになる。
【0059】
これに対し、第2の燃焼が行われるときには、要求負荷Lに関わらず一つの補正係数K2(i)が用いられる。第2の燃焼では出力自体が大きく気筒間出力偏差がさほど問題とならないというだけでなく、比較的安定した燃焼が得られるからである。
【0060】
本発明による実施例では、i番気筒の第1の補正係数、即ち低負荷時補正係数K1L(i)及び高負荷時補正係数K1H(i)はそれぞれ次式に基づいて更新される。
【0061】
K1L(i)=K1L(i)−(Δt(i)−AVE)・C1L
K1H(i)=K1H(i)−(Δt(i)−AVE)・C1H
ここで、Δt(i)はi番気筒の膨張行程に予め設定されたクランク角範囲、例えば圧縮上死点後30°から60°までをクランク角が回転するのに要する時間を、AVEは所要時間Δt(i)の平均値AVE(=(Δt(1)+Δt(2)+Δt(3)+Δt(4))/4)を、C1L,C1Hは定数をそれぞれ表している。
【0062】
所要時間Δt(i)が平均値AVEよりも大きい気筒ではK1L(i),K1H(i)が減少されて燃料噴射量Q(i)が減少されるので、図12からわかるように出力が増大され、所要時間Δt(i)が平均値AVEよりも小さい気筒ではK1L(i),K1H(i)が増大されて燃料噴射量Q(i)が増大されるので、出力が減少される。このようにして気筒間出力偏差が低減される。
【0063】
一方、i番気筒の第2の補正係数K2(i)は次式に基づいて更新される。
【0064】
K2(i)=K2(i)+(Δt(i)−AVE)・C2
ここでC2は定数を表している。
【0065】
所要時間Δt(i)が平均値AVEよりも大きい気筒ではK2(i)が増大されて燃料噴射量Q(i)が増大されるので、図12からわかるように出力が増大され、所要時間Δt(i)が平均値AVEよりも小さい気筒ではK2(i)が減少されて燃料噴射量Q(i)が減少されるので、出力が減少される。このようにして気筒間出力偏差が低減される。
【0066】
従って、一般的に言うと、気筒間出力偏差を検出し、検出された気筒間出力偏差に基づき補正係数K1L(i),K1H(i),K2(i)を逐次更新しているということになる。
【0067】
次に、図14から図16を参照して補正係数K1L(i),K1H(i),K2(i)を詳しく説明する。図14から図16において、実線は各補正係数が燃料噴射量の補正に用いられ更新されている場合を示しており、破線は各補正係数が燃料噴射量の補正に用いられておらずその値が更新されていない場合を示している。
【0068】
図14に示される例において、矢印Zで示されるように機関運転が開始されると、上述したように第2の燃焼が開始され、このとき第2の補正係数K2(i)でもって燃料噴射量が補正され、第2の補正係数K2(i)が逐次更新される。この場合、第2の補正係数K2(i)はこのとき第2の補正係数としてB−RAM35内に記憶されている値K2O(i)から更新が開始される。なお、図14に示されるように、第2の補正係数K2(i)の更新が開始されてからしばらくすると、第2の補正係数K2(i)が或る値に収束する。この値は第2の燃焼が行われているときに気筒間出力偏差を低減するのに最適な値である。
【0069】
次いで、矢印Wに示されるように機関冷却水温THWが切替温度TWを越え、このとき図14に示される例では要求負荷Lが第1の境界LX(N)よりも高いので、第2の燃焼が継続される。
【0070】
次いで、矢印Vで示されるように要求負荷Lが第2の境界LY(N)を越えて低下すると第1の燃焼に切り替えられる。このとき図14に示される例では、要求負荷Lがゼロよりも高く従ってアイドリング運転ではないので、第1の補正係数K1(i)のうち高負荷時補正係数K1H(i)でもって燃料噴射量が補正され、高負荷時補正係数K1H(i)が逐次更新される。この場合、高負荷時補正係数K1H(i)はこのとき高負荷時補正係数としてB−RAM35内に記憶されている値K1HO(i)から更新が開始される。
【0071】
次いで、矢印Rで示されるように要求負荷Lがゼロになり即ちアイドリング運転になると、第1の補正係数K1(i)のうち低負荷時補正係数K1L(i)でもって燃料噴射量が補正され、低負荷時補正係数K1L(i)が逐次更新される。この場合、低負荷時補正係数K1L(i)はこのとき低負荷時補正係数としてB−RAM35内に記憶されている値K1LO(i)から更新が開始される。
【0072】
図15に示される例では、矢印Wに示されるように機関冷却水温THWが切替温度TWを越え、このとき要求負荷Lが第1の境界LX(N)よりも低いので第1の燃焼に切り替えられ、しかしながらこのとき要求負荷Lがゼロよりも高い即ちアイドリング運転以外であるので、高負荷時補正係数K1H(i)でもって燃料噴射量が補正され、高負荷時補正係数K1H(i)が逐次更新される。この場合も、高負荷時補正係数K1H(i)はK1HO(i)から更新が開始される。
【0073】
これに対し、図16に示される例では、矢印Wに示されるように機関冷却水温THWが切替温度TWを越え、このとき要求負荷Lがゼロである即ちアイドリング運転が行われているので、第1の燃焼に切り替えられると共に、低負荷時補正係数K1L(i)でもって燃料噴射量が補正され、低負荷時補正係数K1L(i)が逐次更新される。この場合、低負荷時補正係数K1L(i)はK1LL(i)から更新が開始される。
【0074】
即ち、機関運転が開始された後初めて第2の燃焼が行われるときには、このとき記憶されている第2の補正係数K2O(i)、即ち先の機関運転で最後に更新され記憶された第2の補正係数から第2の補正係数の更新が開始される。また、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときにアイドリング運転以外のときには、このとき記憶されている高負荷時補正係数K1HO(i)、即ち先の機関運転で最後に更新され記憶された高負荷時補正係数から高負荷時補正係数の更新が開始される。
【0075】
これに対し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときにアイドリング運転が行われているときには、このとき記憶されている低負荷時補正係数K1LO(i)、即ち先の機関運転で最後に更新され記憶された低負荷時補正係数とは異なるK1LL(i)から更新が開始される。
【0076】
図17は互いに異なる二つの燃料噴射弁の、燃料噴射時間一定のもとでの、燃料噴射弁温度THIに対する実際の燃料噴射量QACTを示している。図17からわかるように、二つの燃料噴射弁の燃料噴射量偏差dqは燃料噴射弁温度THIに応じて変動し、気筒間出力偏差も燃料噴射弁温度THIに応じて変動することになる。これは、燃料噴射弁が燃料を潤滑油として用いているので、燃料噴射弁の温度即ち燃料噴射弁内の燃料の温度が低いときには高いときに比べてニードルの動きが不安定になるからであると考えられる。
【0077】
機関運転が開始される時点でB−RAM35内に記憶されているK1LO(i)は上述したように、先の機関運転で最後に更新され記憶された低負荷時補正係数であり、即ち燃料噴射弁6の温度が高いときに気筒間出力偏差を低減するのに最適な値である。
【0078】
一方、機関運転が開始された直後は通常、燃料噴射弁6の温度は低くなっている。従って、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに、先の機関運転時の最後に更新され記憶された低負荷時補正係数K1LO(i)から低負荷時補正係数の更新を開始するようにすると、気筒間出力偏差を必ずしも低減することができない。
【0079】
そこで本発明による実施例では、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときにアイドリング運転が行われているときには、低負荷時補正係数K1L(i)の更新がK1LO(i)から開始されるのを禁止している。
【0080】
機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときにアイドリング運転以外のときに、高負荷時補正係数K1H(i)の更新がK1HO(i)から開始されるのを禁止することもできるし、機関運転が開始された後初めて第2の燃焼が行われるときに、第2の補正係数K2(i)の更新がK2O(i)から開始されるのを禁止することもできる。
【0081】
従って、一般的に言うと、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、このとき記憶されている第1の補正係数とは異なる初期値K1LL(i)から第1の補正係数の更新を開始するようにしているということになる。
【0082】
その上で、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに機関負荷が許容負荷よりも低いと判断されたときには、前記初期値K1LL(i)から第1の補正係数の更新を開始し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに機関負荷が許容負荷よりも高いと判断されたときには、このとき記憶されている第1の補正係数から第1の補正係数の更新を開始するようにしているということになる。或いは、機関の温度が切替温度を越えたときに第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられたときには、前記初期値K1LL(i)から第1の補正係数の更新を開始し、機関の温度が前記切替温度を越えたときに第2の燃焼が継続されその後第1の燃焼に切り替えられたときには、このとき記憶されている第1の補正係数から第1の補正係数の更新を開始するようにしているという見方もできる。
【0083】
なお、機関運転が開始された後2回目以降の第1の燃焼が行われるときには、要求負荷Lに応じ、このとき記憶されている低負荷時補正係数K1L(i)又は高負荷時補正係数K1H(i)から低負荷時補正係数K1L(i)又は高負荷時補正係数K1H(i)の更新が開始される。
【0084】
上述したK1LL(i)は本発明による実施例では、次のようにして求められる。
【0085】
即ち、図16を再び参照すると、矢印Wで示されるように機関冷却水温度THWが切替温度TWを越えてから、即ち第1の燃焼が開始されてから、予め定められた設定時間tLだけ経過したときの低負荷時補正係数K1L(i)がK1LL(i)としてB−RAM35内に記憶される。この設定時間tLは低負荷時補正係数K1L(i)が収束するのに必要な時間であり、また、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには燃料噴射弁6の温度が低くなっている。従って、設定時間tLだけ経過したときのK1LL(i)は燃料噴射弁6の温度が低いときに気筒間出力偏差を低減するのに適した低負荷時補正係数K1L(i)になっている。このようにして求められたK1LL(i)が後続の機関運転で用いられる。
【0086】
従って、一般的に言うと、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われてから予め定めれた設定時間だけ経過するまでは、燃料噴射弁の温度を代表する第1の代表温度が設定温度よりも低いと判断し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われてから設定時間だけ経過した後は第1の代表温度が設定温度よりも高いと判断し、その上で、第1の燃焼が行われているときに第1の代表温度が設定温度よりも低いと判断されたときにはこのときの第1の補正係数を初期値K1LL(i)として記憶しておくようにしているということになる。
【0087】
図18は本発明による実施例の第1及び第2の補正係数K1(i),K2(i)算出ルーチンを示している。このルーチンは予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行される。
【0088】
図18を参照すると、まずステップ130では所要時間Δt(i)の平均値AVEが算出される。続くステップ131では、図7を参照して説明した燃焼フラグXC1がセットされているか否か、即ち第1の燃焼を行うべきときか否かが判別される。燃焼フラグXC1がリセットされているとき(XC1=0)、即ち第2の燃焼を行うべきときには次いでステップ132に進み、各気筒の第2の補正係数K2(i)が更新される(K2(i)=K2(i)+(Δt(i)−AVE)・C2、i=1,2,3,4)。
【0089】
これに対し、燃焼フラグXCがセットされているとき(XC1=1)、即ち第1の燃焼を行うべきときにはステップ131からステップ133に進み、要求負荷Lがゼロか、即ち現在アイドリング運転中か否かが判別される。L>0のとき即ち現在アイドリング運転中でないときには次いでステップ134に進み、各気筒の高負荷時補正係数K1H(i)が更新される(K1H(i)=K1H(i)−(Δt(i)−AVE)・C1H、i=1,2,3,4)。続くステップ135ではステップ134で更新された高負荷時補正係数K1H(i)が第1の補正係数K1(i)とされる。
【0090】
一方、ステップ133においてL=0のとき、即ち現在アイドリング運転中のときには次いでステップ136に進み、図7を参照して説明した水温フラグXWが前回の処理サイクルにおいてセットされているか否かが判別される。機関冷却水温度THWが切替温度TWを越えたときに第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられたときには、前回の処理サイクルにおいて水温フラグXWはリセットされている(XW=0)ので、このときには次いでステップ137に進み、低負荷時補正係数K1L(i)が初期値K1LL(i)とされる。次いでステップ141にジャンプする。
【0091】
これに対し、前回の処理サイクルにおいて水温フラグXWがセットされている(XW=1)ときには次いでステップ138に進み、各気筒の低負荷時補正係数K1L(i)が更新される(K1L(i)=K1L(i)−(Δt(i)−AVE)・C1L、i=1,2,3,4)。
【0092】
続くステップ139では、機関冷却水温度THWが切替温度TWを越えてから、図16を参照して説明した設定時間tLだけ経過したか否かが判別される。設定時間tLだけ経過していないときには次いでステップ140に進み、ステップ138で更新された低負荷時補正係数K1L(i)が初期値K1LL(i)とされる。次いでステップ141に進む。これに対し、設定時間tLだけ経過するとステップ139からステップ141に進む。即ち、初期値K1LL(i)の更新が停止され、従ってこのとき記憶されている初期値K1LL(i)は設定時間tLだけ経過したときの値を表している。
【0093】
ステップ141ではステップ138で更新された低負荷時補正係数K1L(i)が第1の補正係数K1(i)とされる。
【0094】
次に、本発明による別の実施例を説明する。
【0095】
図17を参照して上述したように、燃料噴射弁温度に応じて気筒間出力偏差が変動する。このことは燃料噴射弁温度に応じて補正係数を設定するのが好ましいということを意味している。この場合、燃料温センサ40(図1参照)により検出される燃料温度THFは燃料噴射弁6の温度を代表している。
【0096】
そこで本発明による別の実施例では、図19(A)に示されるように燃料温度THFのとりうる温度範囲をJ個(J=2,3,…)の温度領域に分割し、図19(B)に示されるように各温度領域j(j=2,3,…)に対し上述の初期値K1LL(i,j)を設定している。例えば、燃料温度THFのとりうる温度範囲を0℃以下、0から20℃、20から40℃、40から60℃、60℃以上の5つの温度領域に分割することができる。
【0097】
図20に示される例では図16に示される例と同様に、矢印Wに示されるように機関冷却水温THWが切替温度TWを越え、このとき要求負荷Lがゼロである即ちアイドリング運転が行われているので、第1の燃焼に切り替えられると共に、低負荷時補正係数K1L(i)でもって燃料噴射量が補正され、低負荷時補正係数K1L(i)が逐次更新される。この場合、第1の燃焼が開始されるときの燃料温度THFに基づき温度領域jが決定され、この温度領域jの初期値K1LL(i,j)から低負荷時補正係数K1L(i)の更新が開始される。
【0098】
機関冷却水温度THWが切替温度TWを越えてから、即ち第1の燃焼が開始されてから、上述した設定時間tLだけ経過すると、このときの燃料温度THFに基づき温度領域jが決定され、このときの低負荷時補正係数K1L(i)がこの温度領域jのK1LL(i,j)としてB−RAM35内に記憶される。
【0099】
図21は本発明による別の実施例の第1及び第2の補正係数K1(i),K2(i)算出ルーチンを示している。このルーチンは予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行される。
【0100】
図21を参照すると、まずステップ230では所要時間Δt(i)の平均値AVEが算出される。続くステップ231では、図7を参照して説明した燃焼フラグXC1がセットされているか否か、即ち第1の燃焼を行うべきときか否かが判別される。燃焼フラグXC1がリセットされているとき(XC1=0)、即ち第2の燃焼を行うべきときには次いでステップ232に進み、各気筒の第2の補正係数K2(i)が更新される(K2(i)=K2(i)+(Δt(i)−AVE)・C2、i=1,2,3,4)。
【0101】
これに対し、燃焼フラグXCがセットされているとき(XC1=1)、即ち第1の燃焼を行うべきときにはステップ231からステップ233に進み、要求負荷Lがゼロか、即ち現在アイドリング運転中か否かが判別される。L>0のとき即ち現在アイドリング運転中でないときには次いでステップ234に進み、各気筒の高負荷時補正係数K1H(i)が更新される(K1H(i)=K1H(i)−(Δt(i)−AVE)・C1H、i=1,2,3,4)。続くステップ235ではステップ234で更新された高負荷時補正係数K1H(i)が第1の補正係数K1(i)とされる。
【0102】
一方、ステップ233においてL=0のとき、即ち現在アイドリング運転中のときには次いでステップ236に進み、図7を参照して説明した水温フラグXWが前回の処理サイクルにおいてセットされているか否かが判別される。機関冷却水温度THWが切替温度TWを越えたときに第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられたときには、前回の処理サイクルにおいて水温フラグXWはリセットされている(XW=0)ので、このときには次いでステップ237aに進む。ステップ237aでは燃料温度THFの属する温度領域jが決定され、続くステップ237bでは低負荷時補正係数K1L(i)が初期値K1LL(i,j)とされる。次いでステップ241にジャンプする。
【0103】
これに対し、前回の処理サイクルにおいて水温フラグXWがセットされている(XW=1)ときには次いでステップ238に進み、各気筒の低負荷時補正係数K1L(i)が更新される(K1L(i)=K1L(i)−(Δt(i)−AVE)・C1L、i=1,2,3,4)。
【0104】
続くステップ239では、機関冷却水温度THWが切替温度TWを越えてから、図20を参照して説明した設定時間tLだけ経過したか否かが判別される。設定時間tLだけ経過していないときには次いでステップ240aに進む。ステップ240aでは燃料温度THFの属する温度領域jが決定され、続くステップ240bでは、ステップ238で更新された低負荷時補正係数K1L(i)が初期値K1LL(i,j)とされる。次いでステップ241に進む。これに対し、設定時間tLだけ経過するとステップ239からステップ241に進む。即ち、初期値K1LL(i)の更新が停止され、従ってこのとき記憶されている初期値K1LL(i,j)は設定時間tLだけ経過したときの値を表している。
【0105】
ステップ241ではステップ238で更新された低負荷時補正係数K1L(i)が第1の補正係数K1(i)とされる。
【0106】
上述した本発明による別の実施例では、燃料噴射弁6の温度を代表する代表温度として燃料温度を用いている。しかしながら、この代表温度として機関冷却水温度や機関潤滑油温度を用いることもできるし、燃料噴射弁6自体に温度センサを取り付けて燃料噴射弁温度を検出するようにすることもできる。
【0107】
また、上述した本発明による別の実施例では、燃料温度THFに応じて定まる温度領域j毎に初期値が設定されている。しかしながら、燃料噴射弁6の温度を代表する複数の代表温度に応じて定まる温度領域(j,k)(j,k=2,3,…)毎に初期値を設定することもできる。
【0108】
従って、一般的に言うと、燃料噴射弁の温度を代表する少なくとも一つの第2の代表温度に応じて定まる温度領域毎に前記初期値K1LL(i,j)が設定されており、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときの前記第2の代表温度がいずれの温度領域に属するかを特定し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、特定された温度領域に設定されている前記初期値K1LL(i,j)から第1の補正係数の更新を開始するようにしているということになる。
【0109】
【発明の効果】
気筒間出力偏差を確実に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関の全体図である。
【図2】燃料噴射時期及びEGR率とスモーク及びNOXの発生量との関係を示す図である。
【図3】混合気の空燃比を変化させたときのスモーク排出量等を示す図である。
【図4】第1及び第2の燃焼領域を示すである。
【図5】第1及び第2の運転領域を示す図である。
【図6】機関運転が開始されたときのスロットル弁の開度等を示す図である。
【図7】運転制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】燃焼制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】第1の燃焼が行われるときの目標スロットル開度等を示す図である。
【図10】第2の燃焼が行われるときの目標スロットル開度等を示す図である。
【図11】スロットル弁開度等を示す図である。
【図12】燃料噴射量の変化に対する出力トルクの変化を示す図である。
【図13】燃料噴射弁の噴射特性を示す図である。
【図14】各補正係数の更新作用を説明するための図である。
【図15】各補正係数の更新作用を説明するための図である。
【図16】各補正係数の更新作用を説明するための図である。
【図17】燃料噴射弁の噴射特性を示す図である。
【図18】補正係数算出ルーチンを示すフローチャートである。
【図19】本発明による別の実施例における初期値K1LL(i,j)を示す図である。
【図20】本発明による別の実施例における各補正係数の更新作用を説明するための図である。
【図21】本発明による別の実施例における補正係数算出ルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…機関本体
5…燃焼室
6…燃料噴射弁
24…EGR通路
Claims (8)
- 燃料噴射時期をほぼ一定に維持しながら燃焼室内に供給される不活性ガスの量を増大していくと煤の発生量が次第に増大してピークに達し、燃料噴射時期をほぼ一定に維持しながら燃焼室内に供給される不活性ガスの量を更に増大していくと燃焼室内における燃焼時の燃料及びその周囲のガス温が煤の生成温度よりも低くなって煤がほとんど発生しなくなる多気筒内燃機関において、煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内に供給される不活性ガスの量が多く煤がほとんど発生しない第1の燃焼と、煤の発生量がピークとなる不活性ガス量よりも燃焼室内に供給される不活性ガスの量が少ない第2の燃焼とを選択的に切り替える切替手段と、各気筒の燃料噴射量を算出する算出手段と、第1の燃焼が行われているときに気筒間出力偏差を低減するための第1の補正係数を逐次更新して記憶すると共に該記憶されている第1の補正係数でもって各気筒の燃料噴射量を補正する第1の補正手段とを具備し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、このとき記憶されている第1の補正係数とは異なる初期値から第1の補正係数の更新を開始するようにした燃料供給制御装置。
- 第2の燃焼が行われているときに気筒間出力偏差を低減するための第2の補正係数を逐次更新して記憶すると共に該記憶されている第2の補正係数でもって各気筒の燃料噴射量を補正する第2の補正手段を更に具備した請求項1に記載の多気筒内燃機関の燃料供給制御装置。
- 燃料噴射弁の温度を代表する第1の代表温度が予め定められた設定温度よりも低いか否かを判断する温度判断手段を具備し、第1の燃焼が行われているときに該第1の代表温度が該設定温度よりも低いと判断されたときにはこのときの第1の補正係数を前記初期値として記憶しておくようにした請求項1に記載の多気筒内燃機関の燃料供給制御装置。
- 前記温度判断手段は、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われてから予め定めれた設定時間だけ経過するまでは前記第1の代表温度が前記設定温度よりも低いと判断し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われてから該設定時間だけ経過した後は前記第1の代表温度が前記設定温度よりも高いと判断する請求項3に記載の多気筒内燃機関の燃料供給制御装置。
- 燃料噴射弁の温度を代表する少なくとも一つの第2の代表温度に応じて定まる温度領域毎に前記初期値が設定されており、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときの前記第2の代表温度がいずれの温度領域に属するかを特定する特定手段を具備し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときには、該特定された温度領域に設定されている前記初期値から第1の補正係数の更新を開始するようにした請求項3に記載の多気筒内燃機関の燃料供給制御装置。
- 機関負荷が予め定められた許容負荷よりも低いか否かを判断する負荷判断手段を更に具備し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに機関負荷が該許容負荷よりも低いと判断されたときには、前記初期値から第1の補正係数の更新を開始し、機関運転が開始された後初めて第1の燃焼が行われるときに機関負荷が該許容負荷よりも高いと判断されたときには、このとき記憶されている第1の補正係数から第1の補正係数の更新を開始するようにした請求項1に記載の多気筒内燃機関の燃料供給制御装置。
- 前記負荷判断手段は、機関アイドリング運転が行われているときに機関負荷が前記許容負荷よりも低いと判断し、機関アイドリング運転以外の機関運転時に機関負荷が前記許容負荷よりも高いと判断する請求項6に記載の多気筒内燃機関の燃料供給制御装置。
- 機関運転が開始されるときにはまず初めに第2の燃焼が行われ、次いで機関の温度が予め定められた切替温度を越えたときに機関負荷に応じて第2の燃焼が継続されるか又は第1の燃焼に切り替えられるようになっており、機関の温度が前記切替温度を越えたときに第2の燃焼から第1の燃焼に切り替えられたときには、前記初期値から第1の補正係数の更新を開始し、機関の温度が前記切替温度を越えたときに第2の燃焼が継続されその後第1の燃焼に切り替えられたときには、このとき記憶されている第1の補正係数から第1の補正係数の更新を開始するようにした請求項1に記載の多気筒内燃機関の燃料供給制御装置。
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- 2003-03-18 JP JP2003073924A patent/JP2004278479A/ja active Pending
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