JP2004278478A - 内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】ヒートインシュレータの設置により放熱性の低下した排気系部品を効率的に冷却することのできる内燃機関を提供することにある。
【解決手段】内燃機関10の吸気通路17の上流側は、第1の吸気通路14と第2の吸気通路15とに分岐されている。第1の吸気通路14の先端は、排気マニホルド12aの周囲を覆うヒートインシュレータ13内部に接続され、第2の吸気通路15の先端は、そのまま外気開放されている。第1及び第2の吸気通路14,15の合流部には、第1の吸気通路14から内燃機関10に導入される空気量と第2の吸気通路15から内燃機関10に導入される空気量との比率を調整する調整弁16が配設されている。
【選択図】 図1
【解決手段】内燃機関10の吸気通路17の上流側は、第1の吸気通路14と第2の吸気通路15とに分岐されている。第1の吸気通路14の先端は、排気マニホルド12aの周囲を覆うヒートインシュレータ13内部に接続され、第2の吸気通路15の先端は、そのまま外気開放されている。第1及び第2の吸気通路14,15の合流部には、第1の吸気通路14から内燃機関10に導入される空気量と第2の吸気通路15から内燃機関10に導入される空気量との比率を調整する調整弁16が配設されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に関し、特にその排気系部品の冷却性を向上するための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃焼により発生した排気は、排気マニホルド、排気管、触媒コンバータ、マフラー等の排気系部品を通過して大気中に排出される。こうした排気系部品は、排気により熱せられて高温となるため、外部への熱放射を低減するために、その周囲をヒートインシュレータ(遮熱板)により覆うことがある。
【0003】
こうしてヒートインシュレータにより周囲を覆ってしまえば、その内部に熱がこもり、排気系部品の冷却性が損なわれる。そこで従来、ヒートインシュレータの内部に車両走行時の走行風を利用して、そうした排気系部品の冷却を図る車載内燃機関が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この車載内燃機関では、車両前後方向に延伸され、両端の開口された筒状の通気ダクトをエンジンルーム内に配設するようにしている。またその通気ダクトの途中に、排気マニホルドの周囲に設けられたヒートインシュレータに形成された通気口を連結させている。
【0005】
こうした通気ダクトの内部には、車両の走行に伴い、走行風が流される。そしてその通気ダクト内の走行風の流れにより、ヒートインシュレータ内部の空気が、通気口を通じて通気ダクトに引き込まれる。これによりヒートインシュレータの内部を換気することで、排気マニホルドの冷却が図られるようになっている。
【0006】
【特許文献1】
実開平7―42404号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、走行風を利用する以上は、車両の停止中や低速走行中には十分な冷却を行うことができなくなってしまう。もっとも、送風ファンなどを設けてヒートインシュレータ内部を換気させれば、車両停止中などにも排気系部品の冷却を継続することが可能であるが、送風ファン等の駆動に余計な動力が必要となってしまう。
【0008】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヒートインシュレータの設置により放熱性の低下した排気系部品を効率的に冷却することのできる内燃機関を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下、上述した目的を達成するための手段及びその作用効果を記載する。
請求項1記載の発明は、排気系部品の周囲を覆うように配設されたヒートインシュレータの内部を吸気通路の一部とするように内燃機関を構成したものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、排気系部品の周囲を覆うように配設されたヒートインシュレータの内部を通って、燃焼に供される外気を導入するように内燃機関を構成したものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、排気系部品の周囲を覆うように配設されたヒートインシュレータの内部に吸気通路を連結するように内燃機関を構成したものである。
上記請求項1乃至3の構成では、内燃機関の空気吸入に応じて、ヒートインシュレータ内部を通じて空気が流れるようになる。そしてその空気の流れにより、ヒートインシュレータ内部の排気系部品が冷却される。したがって上記各構成によれば、ヒートインシュレータの設置により放熱性の低下した排気系部品を効率的に冷却することができる。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、排気系部品の周囲を覆うように配設されたヒートインシュレータの内部を通過する第1の吸気通路と、前記ヒートインシュレータの内部を通過しない第2の吸気通路と、前記第1の吸気通路を通じて当該機関に導入される空気量と前記第2の吸気通路を通じて当該機関に導入される空気量との比率を調整する調整弁とを備えて内燃機関を構成したものである。
【0013】
この構成では、第1の吸気通路を通じて内燃機関に空気を導入することで、ヒートインシュレータ内部に空気の流れが形成され、ヒートインシュレータの設置により放熱性の低下した排気系部品を効率的に冷却することができる。また上記構成では、上記第1の吸気通路に加え、ヒートインシュレータ内部を通過せずに内燃機関に空気を直接導入する第2の吸気通路、及び第1及び第2の吸気通路の空気量の比率を調整する調整弁を備えている。これにより、必要な空気の吸入量を確保しつつ、ヒートインシュレータ内部を通じて内燃機関に導入される空気量を調整することができ、排気系部品の冷却をより適切に行うことができるようになる。例えば、第1の吸気通路を通じて導入される空気量の比率を低下されることで、冷間始動時等に排気系部品の冷却を抑えて排気触媒の昇温性を確保したり、排気系部品の冷却に伴う吸気温度の上昇による吸気効率低下を抑制したりすることができる。
【0014】
請求項5記載の構成では、内燃機関の排気を浄化する触媒、すなわち排気触媒の温度に基づき上記調整弁の作動を制御するようにしている。こうした構成によれば、排気触媒の昇温性を確保しながら、排気系部品を冷却することができる。
【0015】
また請求項6記載の発明のように、排気温度が高くなるときに、第1の吸気通路を通じて導入される空気量の比率を大きくするように、上記調整弁を作動制御すれば、ヒートインシュレータ内部を流れる空気量を排気系部品の冷却要求に応じて調整して、効率的に冷却を行うことができる。こうした調整弁の作動制御は、排気温度が高くなる高負荷・高回転運転時に第1の吸気通路を通じて導入される空気量の比率を大きくするといったように、機関負荷や機関回転速度に基づいても行うことができる。
【0016】
また請求項7に記載の発明は、請求項4乃至6のいずれかに記載の内燃機関において、調整弁の作動を排気温度に基づき制御することをその要旨とする。
排気温度が低ければ、排気触媒の温度が低下し易くなる。一方、排気温度が高ければ、排気系部品の温度が上昇し易くなる。そのため、上記構成のように排気温度に基づき調整弁の作動を制御することで、排気触媒及び排気系部品の温度変化の傾向に応じて好適に、排気系部品の冷却を行うことができる。
【0017】
一方、請求項8に記載の発明は、請求項4又は5記載の内燃機関において、前記調整弁の作動は、吸気温度に基づき制御されることをその要旨とする。
排気系部品の冷却を行った空気は、排気系部品から熱を奪うことで高温となる。そうして高温となり、密度の低下した空気が多量に内燃機関に導入されれば、吸気効率の低下を招くおそれがある。その点、上記構成では、吸気温度に基づき調整弁の作動が制御され、ヒートインシュレータ内部を通じて内燃機関に導入される空気量の比率が調整されるため、吸気効率の低下を抑えつつ、好適に排気系部品の冷却を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車載内燃機関として具体化した一実施の形態を、図を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1に示されるように、内燃機関10は大きくは、シリンダヘッドやシリンダブロック等からなる機関本体10a、排気通路12及び吸気通路17を備えて構成されている。
【0020】
排気通路12には、排気マニホルド12a及び触媒コンバータ19が配設されている。排気マニホルド12aの上流側は複数に分岐され、分岐された各管は、内燃機関10の機関本体10aに形成された各気筒の排気ポートにそれぞれ接続されている。また排気マニホルド12aには、その周囲を覆うように、ヒートインシュレータ13が配設されている。ヒートインシュレータ13は、その内部を流れる排気の熱により高温となる排気マニホルド12aに対し、外部への熱放射を遮るための遮熱板となっている。本実施形態では、この排気マニホルド12aが、ヒートインシュレータ13によってその周囲を覆われた上記「排気系部品」に対応する構成となっている。
【0021】
排気マニホルド12aの下流側は、触媒コンバータ19に接続されている。触媒コンバータ19の内部には、排気を浄化するための触媒が担持されている。また触媒コンバータ19には、触媒の温度(触媒床温)を検出するための触媒温度センサ20が配設されている。
【0022】
一方、吸気通路17には、機関本体10aに接続された吸気マニホルド11、及び吸気通路17を流れる空気を浄化するエアクリーナ18等が配設されている。エアクリーナ18には、その内部を流れる空気の温度を検出するための吸気温度センサ21が配設されている。
【0023】
この内燃機関10では、吸気通路17のエアクリーナ18の上流側に、調整弁16が配設されており、その上流側では吸気通路17が2つの通路に、すなわち第1の吸気通路14と第2の吸気通路15とに分岐されている。
【0024】
調整弁16は、電子制御装置(ECU)22によりその作動を制御される流量制御弁で、第1の吸気通路14を通じて導入される空気量と、第2の吸気通路15を通じて導入される空気量との比率を調整するように構成されている。第1の吸気通路14の上流側は、排気マニホルド12aの周囲を覆う上記ヒートインシュレータ13に接続され、その内部に開口されている。これに対して、第2の吸気通路15の上流側は、そのまま直接、大気開放されている。
【0025】
電子制御装置22は、内燃機関10の運転に係る各種の機関制御を司る電子制御回路であり、機関制御に係る処理を実行するCPU、機関制御用のプログラムやその制御に必要な情報の記憶されたROM、機関制御中に必要な情報を一時的に記憶しておくためのRAM等を備えて構成されている。
【0026】
電子制御装置22には、内燃機関10の運転状況を検出するための各種センサが接続されている。例えば本実施形態では、上記触媒温度センサ20や吸気温度センサ21、機関回転速度を検出するためのNEセンサ23、運転者のアクセル操作量を検出するアクセルセンサ24などが、そうしたセンサとして設けられている。そしてそれらセンサの検出結果に基づき、上記調整弁16の作動制御を始めとする各種の機関制御が実施されている。
【0027】
続いて、以上のように構成された内燃機関10の作用を説明する。
まずここでは、調整弁16の作動制御により、第2の吸気通路15を通じてのみ、空気の導入を行う場合を説明する。
【0028】
内燃機関10が運転されると、機関本体10aの各気筒に配設されたピストンの昇降により、吸気通路17を通じて外部から空気が吸入される。このときには、上記調整弁16の作動制御により、第2の吸気通路15のみを通じて、外部から直接、吸気通路17に空気が導入される。吸気通路17に導入された空気は、エアクリーナ18で浄化された後、吸気マニホルド11を通じて各気筒に分配され、各気筒での燃焼に供される。
【0029】
各気筒での燃焼によって生じた排気は、排気マニホルド12aを通じて合流され、触媒コンバータ19に送られる。そして触媒コンバータ19内の触媒により浄化された後、大気に排出される。
【0030】
このとき、排気マニホルド12aは、その内部を通過する燃焼直後の高温の排気により熱せられる。そうして高温となった排気マニホルド12aは、外部への熱放射により冷却される。ただし、ヒートインシュレータ13によって熱放射が制限されており、またこのときのヒートインシュレータ13内外の空気流通は限られているため、その内部の空気の温度が次第に上昇していくようになる。そしてヒートインシュレータ13内部の空気の高温化に応じて、排気マニホルド12aの冷却性が低下する。
【0031】
ここで、上記調整弁16の作動制御により、第1の吸気通路14を通じて空気を導入させるようにすると、ヒートインシュレータ13内部の空気が吸気通路17に吸入されるようになる。すなわちこのときのヒートインシュレータ13の内部は、吸気通路17の一部となる。これにより、高温となったヒートインシュレータ13内部の空気が換気され、その内部の空気の温度が低下するため、排気マニホルド12aの冷却性が向上される。なお、ヒートインシュレータ13は、こうした第1の吸気通路14を通じた空気の導入が円滑に行なえるように、熱放射を遮断する必要のない、排気マニホルド12aの機関本体10aに面した側などが、十分に開放された構成となっている。
【0032】
続いて、以上のように構成された本実施形態の内燃機関10における調整弁16の作動制御に基づく吸気切替制御の一例を、図2を併せ参照して説明する。
この制御例では、基本的には、次のように機関運転条件に応じて、空気を導入する吸気通路を切り替えるようにしている。
【0033】
(A)低負荷・低回転運転時
内燃機関10の低負荷・低回転運転時には、排気温度は比較的低く、また排気量が少ないため、排気マニホルド12aが高温化するおそれはほとんど無い。一方、このときには排気温度が低いため、触媒コンバータ19の触媒の温度が低下して、その排気浄化性能が低下するおそれがある。また特に、冷間始動時には、触媒の温度をその活性温度まで速やかに昇温させ、排気浄化性能を十分に発揮させるようにする必要がある。ちなみに冷間始動、温間始動に拘わらず、機関始動は、低負荷・低回転運転域で行われる。
【0034】
そこでこの制御例では、低負荷・低回転運転時には、第2の吸気通路15側からのみ、空気が導入されるように調整弁16の作動を制御する。これにより、ヒートインシュレータ13内外の空気の流通が制限され、排気マニホルド12aの保温性が向上されるようになる。そのため、このときの排気マニホルド12aの内部を流れる排気の温度は比較的高温に保持されるようになり、触媒が昇温され易くなる。
【0035】
(B)高負荷・高回転運転時
内燃機関10の高負荷・高回転運転時には、高温の排気が多量に排出されるため、排気マニホルド12aが昇温し易くなる。そこでこの制御例では、高負荷・高回転運転時には、基本的には、第1の吸気通路14側からのみ、空気が導入されるように、調整弁16の作動を制御する。これにより、ヒートインシュレータ13内外の空気交換が促進され、その内部の空気温度が低下するため、排気マニホルド12aの冷却性が向上されるようになる。
【0036】
ただし、このときの第1の吸気通路14には、ヒートインシュレータ13の内部を通り、排気マニホルド12aを冷却したことで、高温となった空気が導入されることとなる。高温となった空気は密度が低いため、このときの内燃機関10の吸気効率は低下して、その最高出力性能が制限されてしまうようになる。
【0037】
そこで、この制御例では、上記吸気温度センサ21により検出された吸気温度THAが所定の判定値αよりも高いときには、第1の吸気通路14に加え、第2の吸気通路15からも空気を導入するように調整弁16の作動を制御する。これにより、第1の吸気通路14からの高温の空気と第2の吸気通路15からの低温の空気とが混合されて、内燃機関10に導入される空気の温度が低下されることとなり、吸気温度の過上昇を抑えつつ、排気マニホルド12aの冷却性を確保するようにしている。
【0038】
なお、このときの第1の吸気通路14側と第2の吸気通路15側との空気量の比率は一律としても良いが、例えば吸気温度が高いときほど第2の吸気通路15側との空気量の比率を高めるようにするなど、吸気温度に応じてその比率を変更すれば、より効果的に過剰な吸気温度の上昇を抑えることができる。
【0039】
図2は、そうした吸気切替制御のフローチャートである。同図に示される一連の処理は、機関運転中、電子制御装置22によって周期的に実行される。
このフローチャートの処理が開始されると、まずステップ100において、機関回転速度、アクセル操作量、及び吸気温度が読み込まれる。そしてステップ110において、機関回転速度、及びアクセル操作量に基づいて、内燃機関10が高負荷・高回転運転域で運転されているか否かが判定される。
【0040】
ここで否定判定されたとき、すなわち低負荷・低回転運転域で運転されているときには(S110:NO)、ステップ120において、第2の吸気通路15側からのみ空気が導入されるように、調整弁16の作動が制御され、今回の処理が終了される。
【0041】
一方、高負荷・高回転運転域で運転されているときには(S110:YES)、ステップS130において、吸気温度が所定の判定値α以上であるか否かが判定される。そして吸気温度が判定値α未満のときには(S130:NO)、ステップ140において、第1の吸気通路14側からのみ空気が導入されるように、調整弁16の作動が制御され、今回の処理が終了される。また吸気温度が判定値α以上のときには(S130:YES)、ステップ150において、第1の吸気通路14側、及び第2の吸気通路15側の双方から空気が導入されるように調整弁16の作動が制御され、今回の処理が終了される。
【0042】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、ヒートインシュレータ13内部に第1の吸気通路14を連結し、ヒートインシュレータ13内部を通って燃焼に供される空気を導入するようにしている。そのため、内燃機関10の空気吸入に応じて、ヒートインシュレータ13内部に空気の流れを形成し、その内部に配設された排気マニホルド12aを冷却することができる。したがって上記各構成によれば、ヒートインシュレータ13の設置により放熱性の低下した排気マニホルド12aを効率的に冷却することができる。
【0043】
(2)本実施形態では、上記第1の吸気通路14に加え、ヒートインシュレータ13内部を通過せずに外部から直接空気を導入するための第2の吸気通路15と、第1の吸気通路14と第2の吸気通路15との空気量の比率を調整する調整弁16とを備えている。これにより、ヒートインシュレータ13内部を通過する空気の流量を調整することができるようになり、より効率的に排気マニホルド12aの冷却を行うことができる。
【0044】
(3)本実施形態では、排気温度の高くなる高負荷・高回転運転域では、第1の吸気通路14側から空気を導入するように調整弁16の作動を制御している。そのため、排気マニホルド12aの冷却を効率的に行うことができる。
【0045】
(4)本実施形態では、低負荷・低回転運転域では、第2の吸気通路15側からのみ空気を導入するように調整弁16の作動を制御している。そのため、冷間始動時等に排気マニホルド12aの保温性を確保して排気温度の低下を抑え、排気触媒の昇温性を好適に維持することができる。
【0046】
(5)本実施形態では、吸気温度が高いときには、第1の吸気通路14側の空気と第2の吸気通路15側の空気とを混合して、内燃機関10に供給するようにしている。そのため、排気マニホルド12aの冷却を行いつつも、吸気温度の高温化を抑制して吸気効率の低下を抑えることができる。
【0047】
なお、上記実施の形態を以下のように変更してもよい。
・吸気温度の高温化を抑える必要がないのであれば、上記吸気切替制御のステップ130の処理を省略し、高負荷・高回転運転時には、常に第1の吸気通路14側からのみ、空気を導入させるようにしても良い。
【0048】
・上記制御例では、機関回転速度及びアクセル操作量に基づいて、図2のステップ120での機関運転領域の判定を行うようにしていたが、アクセル操作量に代えて、吸入空気量や燃料噴射量等の他の制御パラメータを用いて同様の判定を行うようにしても良い。
【0049】
・上記制御例では、機関運転領域(機関回転速度、機関負荷)から排気の温度傾向を把握し、それに基づいて調整弁16の作動を制御するようにしていたが、勿論、排気温度を直接検出し、その検出結果に基づいても、同様の作動制御を行うことができる。
【0050】
・調整弁16の作動制御を、触媒温度に基づいて行うようにしても良い。この場合、触媒の昇温要求に応じて的確に吸気切替えを行うことができる。例えば、触媒温度が低いときには、第1の吸気通路14側からの空気量の比率を低下させ、或いは第1の吸気通路14側からの空気の導入を禁止すれば、排気マニホルド12aの冷却を抑えて排気の温度低下を抑制することができる。そして触媒の昇温要求を満たしつつ、排気マニホルド12aの冷却を行うことができる。
【0051】
・吸気切替制御において、第1の吸気通路14側と第2の吸気通路15側との空気量の比率を細かく調整する必要が無いのであれば、内燃機関10に連通させる吸気通路を、第1及び第2の吸気通路14,15から選択的に切り替えるような弁を上記調整弁として用いることもできる。すなわち、第1及び第2の吸気通路14,15の空気量の比率を、100%:0%、及び0%:100%のいずれかに選択的に切り替える弁を上記調整弁として用いるようにしても良い。
【0052】
・第1及び第2の吸気通路14,15からの空気量の比率を状況に応じて変える必要がなければ、調整弁16を省略しても良い。その場合、第1及び第2の吸気通路14,15からの空気量の比率は、常にほぼ一定となる。そうした空気量の比率の設定は、例えば第1及び第2の吸気通路14,15の通路面積を調整することで行うことができる。
【0053】
・更に、ヒートインシュレータ13内部を通過した空気と、それを通過せずに外部から直接取り込まれた空気とを混合する必要がなければ、第2の吸気通路15を省略し、常時、ヒートインシュレータ13内部を通過した空気を内燃機関10に導入するようにしても良い。
【0054】
・本発明は、例えば排気管、触媒コンバータ、マフラー等の排気マニホルド以外の排気系部品であれ、それがヒートインシュレータによって周囲を覆われているのであれば、その排気系部品を対象としてその冷却性の向上を図る内燃機関として実施することもできる。
【0055】
上記実施形態及びその変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(イ)前記調整弁は、前記触媒の温度が低いときには、高いときに比して前記第1の吸気通路を通じて当該内燃機関に導入される空気量の比率を低下させる請求項5に記載の内燃機関。
【0056】
(ロ)前記調整弁は、前記排気温度が低いときには、高いときに比して前記第2の吸気通路を通じて当該内燃機関に導入される空気量を低下させる請求項6記載の内燃機関。
【0057】
(ハ)前記調整弁は、当該内燃機関の排気を浄化する触媒の温度が低下するときに、前記第1の吸気通路を通じて当該内燃機関に導入される空気量の比率を低下させるように作動制御される請求項4又は5に記載の内燃機関。
【0058】
(ニ)前記調整弁は、当該内燃機関の排気温度が上昇するときに、前記第1の吸気通路を通じて当該内燃機関に導入される空気量の比率を低下させるように作動制御される請求項4又は5に記載の内燃機関。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体構造を示す模式図。
【図2】吸気切替制御のフローチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、10a…機関本体、11…吸気マニホルド、12…排気通路、12a…排気マニホルド、13…ヒートインシュレータ、17…吸気通路(14…第1の吸気通路、15…第2の吸気通路)、16…調整弁、18…エアクリーナ、20…触媒温度センサ、21…吸気温度センサ、22…電子制御装置、23…NEセンサ、24…アクセルセンサ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関に関し、特にその排気系部品の冷却性を向上するための改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃焼により発生した排気は、排気マニホルド、排気管、触媒コンバータ、マフラー等の排気系部品を通過して大気中に排出される。こうした排気系部品は、排気により熱せられて高温となるため、外部への熱放射を低減するために、その周囲をヒートインシュレータ(遮熱板)により覆うことがある。
【0003】
こうしてヒートインシュレータにより周囲を覆ってしまえば、その内部に熱がこもり、排気系部品の冷却性が損なわれる。そこで従来、ヒートインシュレータの内部に車両走行時の走行風を利用して、そうした排気系部品の冷却を図る車載内燃機関が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
この車載内燃機関では、車両前後方向に延伸され、両端の開口された筒状の通気ダクトをエンジンルーム内に配設するようにしている。またその通気ダクトの途中に、排気マニホルドの周囲に設けられたヒートインシュレータに形成された通気口を連結させている。
【0005】
こうした通気ダクトの内部には、車両の走行に伴い、走行風が流される。そしてその通気ダクト内の走行風の流れにより、ヒートインシュレータ内部の空気が、通気口を通じて通気ダクトに引き込まれる。これによりヒートインシュレータの内部を換気することで、排気マニホルドの冷却が図られるようになっている。
【0006】
【特許文献1】
実開平7―42404号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、走行風を利用する以上は、車両の停止中や低速走行中には十分な冷却を行うことができなくなってしまう。もっとも、送風ファンなどを設けてヒートインシュレータ内部を換気させれば、車両停止中などにも排気系部品の冷却を継続することが可能であるが、送風ファン等の駆動に余計な動力が必要となってしまう。
【0008】
本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヒートインシュレータの設置により放熱性の低下した排気系部品を効率的に冷却することのできる内燃機関を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下、上述した目的を達成するための手段及びその作用効果を記載する。
請求項1記載の発明は、排気系部品の周囲を覆うように配設されたヒートインシュレータの内部を吸気通路の一部とするように内燃機関を構成したものである。
【0010】
請求項2記載の発明は、排気系部品の周囲を覆うように配設されたヒートインシュレータの内部を通って、燃焼に供される外気を導入するように内燃機関を構成したものである。
【0011】
請求項3記載の発明は、排気系部品の周囲を覆うように配設されたヒートインシュレータの内部に吸気通路を連結するように内燃機関を構成したものである。
上記請求項1乃至3の構成では、内燃機関の空気吸入に応じて、ヒートインシュレータ内部を通じて空気が流れるようになる。そしてその空気の流れにより、ヒートインシュレータ内部の排気系部品が冷却される。したがって上記各構成によれば、ヒートインシュレータの設置により放熱性の低下した排気系部品を効率的に冷却することができる。
【0012】
また、請求項4記載の発明は、排気系部品の周囲を覆うように配設されたヒートインシュレータの内部を通過する第1の吸気通路と、前記ヒートインシュレータの内部を通過しない第2の吸気通路と、前記第1の吸気通路を通じて当該機関に導入される空気量と前記第2の吸気通路を通じて当該機関に導入される空気量との比率を調整する調整弁とを備えて内燃機関を構成したものである。
【0013】
この構成では、第1の吸気通路を通じて内燃機関に空気を導入することで、ヒートインシュレータ内部に空気の流れが形成され、ヒートインシュレータの設置により放熱性の低下した排気系部品を効率的に冷却することができる。また上記構成では、上記第1の吸気通路に加え、ヒートインシュレータ内部を通過せずに内燃機関に空気を直接導入する第2の吸気通路、及び第1及び第2の吸気通路の空気量の比率を調整する調整弁を備えている。これにより、必要な空気の吸入量を確保しつつ、ヒートインシュレータ内部を通じて内燃機関に導入される空気量を調整することができ、排気系部品の冷却をより適切に行うことができるようになる。例えば、第1の吸気通路を通じて導入される空気量の比率を低下されることで、冷間始動時等に排気系部品の冷却を抑えて排気触媒の昇温性を確保したり、排気系部品の冷却に伴う吸気温度の上昇による吸気効率低下を抑制したりすることができる。
【0014】
請求項5記載の構成では、内燃機関の排気を浄化する触媒、すなわち排気触媒の温度に基づき上記調整弁の作動を制御するようにしている。こうした構成によれば、排気触媒の昇温性を確保しながら、排気系部品を冷却することができる。
【0015】
また請求項6記載の発明のように、排気温度が高くなるときに、第1の吸気通路を通じて導入される空気量の比率を大きくするように、上記調整弁を作動制御すれば、ヒートインシュレータ内部を流れる空気量を排気系部品の冷却要求に応じて調整して、効率的に冷却を行うことができる。こうした調整弁の作動制御は、排気温度が高くなる高負荷・高回転運転時に第1の吸気通路を通じて導入される空気量の比率を大きくするといったように、機関負荷や機関回転速度に基づいても行うことができる。
【0016】
また請求項7に記載の発明は、請求項4乃至6のいずれかに記載の内燃機関において、調整弁の作動を排気温度に基づき制御することをその要旨とする。
排気温度が低ければ、排気触媒の温度が低下し易くなる。一方、排気温度が高ければ、排気系部品の温度が上昇し易くなる。そのため、上記構成のように排気温度に基づき調整弁の作動を制御することで、排気触媒及び排気系部品の温度変化の傾向に応じて好適に、排気系部品の冷却を行うことができる。
【0017】
一方、請求項8に記載の発明は、請求項4又は5記載の内燃機関において、前記調整弁の作動は、吸気温度に基づき制御されることをその要旨とする。
排気系部品の冷却を行った空気は、排気系部品から熱を奪うことで高温となる。そうして高温となり、密度の低下した空気が多量に内燃機関に導入されれば、吸気効率の低下を招くおそれがある。その点、上記構成では、吸気温度に基づき調整弁の作動が制御され、ヒートインシュレータ内部を通じて内燃機関に導入される空気量の比率が調整されるため、吸気効率の低下を抑えつつ、好適に排気系部品の冷却を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車載内燃機関として具体化した一実施の形態を、図を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1に示されるように、内燃機関10は大きくは、シリンダヘッドやシリンダブロック等からなる機関本体10a、排気通路12及び吸気通路17を備えて構成されている。
【0020】
排気通路12には、排気マニホルド12a及び触媒コンバータ19が配設されている。排気マニホルド12aの上流側は複数に分岐され、分岐された各管は、内燃機関10の機関本体10aに形成された各気筒の排気ポートにそれぞれ接続されている。また排気マニホルド12aには、その周囲を覆うように、ヒートインシュレータ13が配設されている。ヒートインシュレータ13は、その内部を流れる排気の熱により高温となる排気マニホルド12aに対し、外部への熱放射を遮るための遮熱板となっている。本実施形態では、この排気マニホルド12aが、ヒートインシュレータ13によってその周囲を覆われた上記「排気系部品」に対応する構成となっている。
【0021】
排気マニホルド12aの下流側は、触媒コンバータ19に接続されている。触媒コンバータ19の内部には、排気を浄化するための触媒が担持されている。また触媒コンバータ19には、触媒の温度(触媒床温)を検出するための触媒温度センサ20が配設されている。
【0022】
一方、吸気通路17には、機関本体10aに接続された吸気マニホルド11、及び吸気通路17を流れる空気を浄化するエアクリーナ18等が配設されている。エアクリーナ18には、その内部を流れる空気の温度を検出するための吸気温度センサ21が配設されている。
【0023】
この内燃機関10では、吸気通路17のエアクリーナ18の上流側に、調整弁16が配設されており、その上流側では吸気通路17が2つの通路に、すなわち第1の吸気通路14と第2の吸気通路15とに分岐されている。
【0024】
調整弁16は、電子制御装置(ECU)22によりその作動を制御される流量制御弁で、第1の吸気通路14を通じて導入される空気量と、第2の吸気通路15を通じて導入される空気量との比率を調整するように構成されている。第1の吸気通路14の上流側は、排気マニホルド12aの周囲を覆う上記ヒートインシュレータ13に接続され、その内部に開口されている。これに対して、第2の吸気通路15の上流側は、そのまま直接、大気開放されている。
【0025】
電子制御装置22は、内燃機関10の運転に係る各種の機関制御を司る電子制御回路であり、機関制御に係る処理を実行するCPU、機関制御用のプログラムやその制御に必要な情報の記憶されたROM、機関制御中に必要な情報を一時的に記憶しておくためのRAM等を備えて構成されている。
【0026】
電子制御装置22には、内燃機関10の運転状況を検出するための各種センサが接続されている。例えば本実施形態では、上記触媒温度センサ20や吸気温度センサ21、機関回転速度を検出するためのNEセンサ23、運転者のアクセル操作量を検出するアクセルセンサ24などが、そうしたセンサとして設けられている。そしてそれらセンサの検出結果に基づき、上記調整弁16の作動制御を始めとする各種の機関制御が実施されている。
【0027】
続いて、以上のように構成された内燃機関10の作用を説明する。
まずここでは、調整弁16の作動制御により、第2の吸気通路15を通じてのみ、空気の導入を行う場合を説明する。
【0028】
内燃機関10が運転されると、機関本体10aの各気筒に配設されたピストンの昇降により、吸気通路17を通じて外部から空気が吸入される。このときには、上記調整弁16の作動制御により、第2の吸気通路15のみを通じて、外部から直接、吸気通路17に空気が導入される。吸気通路17に導入された空気は、エアクリーナ18で浄化された後、吸気マニホルド11を通じて各気筒に分配され、各気筒での燃焼に供される。
【0029】
各気筒での燃焼によって生じた排気は、排気マニホルド12aを通じて合流され、触媒コンバータ19に送られる。そして触媒コンバータ19内の触媒により浄化された後、大気に排出される。
【0030】
このとき、排気マニホルド12aは、その内部を通過する燃焼直後の高温の排気により熱せられる。そうして高温となった排気マニホルド12aは、外部への熱放射により冷却される。ただし、ヒートインシュレータ13によって熱放射が制限されており、またこのときのヒートインシュレータ13内外の空気流通は限られているため、その内部の空気の温度が次第に上昇していくようになる。そしてヒートインシュレータ13内部の空気の高温化に応じて、排気マニホルド12aの冷却性が低下する。
【0031】
ここで、上記調整弁16の作動制御により、第1の吸気通路14を通じて空気を導入させるようにすると、ヒートインシュレータ13内部の空気が吸気通路17に吸入されるようになる。すなわちこのときのヒートインシュレータ13の内部は、吸気通路17の一部となる。これにより、高温となったヒートインシュレータ13内部の空気が換気され、その内部の空気の温度が低下するため、排気マニホルド12aの冷却性が向上される。なお、ヒートインシュレータ13は、こうした第1の吸気通路14を通じた空気の導入が円滑に行なえるように、熱放射を遮断する必要のない、排気マニホルド12aの機関本体10aに面した側などが、十分に開放された構成となっている。
【0032】
続いて、以上のように構成された本実施形態の内燃機関10における調整弁16の作動制御に基づく吸気切替制御の一例を、図2を併せ参照して説明する。
この制御例では、基本的には、次のように機関運転条件に応じて、空気を導入する吸気通路を切り替えるようにしている。
【0033】
(A)低負荷・低回転運転時
内燃機関10の低負荷・低回転運転時には、排気温度は比較的低く、また排気量が少ないため、排気マニホルド12aが高温化するおそれはほとんど無い。一方、このときには排気温度が低いため、触媒コンバータ19の触媒の温度が低下して、その排気浄化性能が低下するおそれがある。また特に、冷間始動時には、触媒の温度をその活性温度まで速やかに昇温させ、排気浄化性能を十分に発揮させるようにする必要がある。ちなみに冷間始動、温間始動に拘わらず、機関始動は、低負荷・低回転運転域で行われる。
【0034】
そこでこの制御例では、低負荷・低回転運転時には、第2の吸気通路15側からのみ、空気が導入されるように調整弁16の作動を制御する。これにより、ヒートインシュレータ13内外の空気の流通が制限され、排気マニホルド12aの保温性が向上されるようになる。そのため、このときの排気マニホルド12aの内部を流れる排気の温度は比較的高温に保持されるようになり、触媒が昇温され易くなる。
【0035】
(B)高負荷・高回転運転時
内燃機関10の高負荷・高回転運転時には、高温の排気が多量に排出されるため、排気マニホルド12aが昇温し易くなる。そこでこの制御例では、高負荷・高回転運転時には、基本的には、第1の吸気通路14側からのみ、空気が導入されるように、調整弁16の作動を制御する。これにより、ヒートインシュレータ13内外の空気交換が促進され、その内部の空気温度が低下するため、排気マニホルド12aの冷却性が向上されるようになる。
【0036】
ただし、このときの第1の吸気通路14には、ヒートインシュレータ13の内部を通り、排気マニホルド12aを冷却したことで、高温となった空気が導入されることとなる。高温となった空気は密度が低いため、このときの内燃機関10の吸気効率は低下して、その最高出力性能が制限されてしまうようになる。
【0037】
そこで、この制御例では、上記吸気温度センサ21により検出された吸気温度THAが所定の判定値αよりも高いときには、第1の吸気通路14に加え、第2の吸気通路15からも空気を導入するように調整弁16の作動を制御する。これにより、第1の吸気通路14からの高温の空気と第2の吸気通路15からの低温の空気とが混合されて、内燃機関10に導入される空気の温度が低下されることとなり、吸気温度の過上昇を抑えつつ、排気マニホルド12aの冷却性を確保するようにしている。
【0038】
なお、このときの第1の吸気通路14側と第2の吸気通路15側との空気量の比率は一律としても良いが、例えば吸気温度が高いときほど第2の吸気通路15側との空気量の比率を高めるようにするなど、吸気温度に応じてその比率を変更すれば、より効果的に過剰な吸気温度の上昇を抑えることができる。
【0039】
図2は、そうした吸気切替制御のフローチャートである。同図に示される一連の処理は、機関運転中、電子制御装置22によって周期的に実行される。
このフローチャートの処理が開始されると、まずステップ100において、機関回転速度、アクセル操作量、及び吸気温度が読み込まれる。そしてステップ110において、機関回転速度、及びアクセル操作量に基づいて、内燃機関10が高負荷・高回転運転域で運転されているか否かが判定される。
【0040】
ここで否定判定されたとき、すなわち低負荷・低回転運転域で運転されているときには(S110:NO)、ステップ120において、第2の吸気通路15側からのみ空気が導入されるように、調整弁16の作動が制御され、今回の処理が終了される。
【0041】
一方、高負荷・高回転運転域で運転されているときには(S110:YES)、ステップS130において、吸気温度が所定の判定値α以上であるか否かが判定される。そして吸気温度が判定値α未満のときには(S130:NO)、ステップ140において、第1の吸気通路14側からのみ空気が導入されるように、調整弁16の作動が制御され、今回の処理が終了される。また吸気温度が判定値α以上のときには(S130:YES)、ステップ150において、第1の吸気通路14側、及び第2の吸気通路15側の双方から空気が導入されるように調整弁16の作動が制御され、今回の処理が終了される。
【0042】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、ヒートインシュレータ13内部に第1の吸気通路14を連結し、ヒートインシュレータ13内部を通って燃焼に供される空気を導入するようにしている。そのため、内燃機関10の空気吸入に応じて、ヒートインシュレータ13内部に空気の流れを形成し、その内部に配設された排気マニホルド12aを冷却することができる。したがって上記各構成によれば、ヒートインシュレータ13の設置により放熱性の低下した排気マニホルド12aを効率的に冷却することができる。
【0043】
(2)本実施形態では、上記第1の吸気通路14に加え、ヒートインシュレータ13内部を通過せずに外部から直接空気を導入するための第2の吸気通路15と、第1の吸気通路14と第2の吸気通路15との空気量の比率を調整する調整弁16とを備えている。これにより、ヒートインシュレータ13内部を通過する空気の流量を調整することができるようになり、より効率的に排気マニホルド12aの冷却を行うことができる。
【0044】
(3)本実施形態では、排気温度の高くなる高負荷・高回転運転域では、第1の吸気通路14側から空気を導入するように調整弁16の作動を制御している。そのため、排気マニホルド12aの冷却を効率的に行うことができる。
【0045】
(4)本実施形態では、低負荷・低回転運転域では、第2の吸気通路15側からのみ空気を導入するように調整弁16の作動を制御している。そのため、冷間始動時等に排気マニホルド12aの保温性を確保して排気温度の低下を抑え、排気触媒の昇温性を好適に維持することができる。
【0046】
(5)本実施形態では、吸気温度が高いときには、第1の吸気通路14側の空気と第2の吸気通路15側の空気とを混合して、内燃機関10に供給するようにしている。そのため、排気マニホルド12aの冷却を行いつつも、吸気温度の高温化を抑制して吸気効率の低下を抑えることができる。
【0047】
なお、上記実施の形態を以下のように変更してもよい。
・吸気温度の高温化を抑える必要がないのであれば、上記吸気切替制御のステップ130の処理を省略し、高負荷・高回転運転時には、常に第1の吸気通路14側からのみ、空気を導入させるようにしても良い。
【0048】
・上記制御例では、機関回転速度及びアクセル操作量に基づいて、図2のステップ120での機関運転領域の判定を行うようにしていたが、アクセル操作量に代えて、吸入空気量や燃料噴射量等の他の制御パラメータを用いて同様の判定を行うようにしても良い。
【0049】
・上記制御例では、機関運転領域(機関回転速度、機関負荷)から排気の温度傾向を把握し、それに基づいて調整弁16の作動を制御するようにしていたが、勿論、排気温度を直接検出し、その検出結果に基づいても、同様の作動制御を行うことができる。
【0050】
・調整弁16の作動制御を、触媒温度に基づいて行うようにしても良い。この場合、触媒の昇温要求に応じて的確に吸気切替えを行うことができる。例えば、触媒温度が低いときには、第1の吸気通路14側からの空気量の比率を低下させ、或いは第1の吸気通路14側からの空気の導入を禁止すれば、排気マニホルド12aの冷却を抑えて排気の温度低下を抑制することができる。そして触媒の昇温要求を満たしつつ、排気マニホルド12aの冷却を行うことができる。
【0051】
・吸気切替制御において、第1の吸気通路14側と第2の吸気通路15側との空気量の比率を細かく調整する必要が無いのであれば、内燃機関10に連通させる吸気通路を、第1及び第2の吸気通路14,15から選択的に切り替えるような弁を上記調整弁として用いることもできる。すなわち、第1及び第2の吸気通路14,15の空気量の比率を、100%:0%、及び0%:100%のいずれかに選択的に切り替える弁を上記調整弁として用いるようにしても良い。
【0052】
・第1及び第2の吸気通路14,15からの空気量の比率を状況に応じて変える必要がなければ、調整弁16を省略しても良い。その場合、第1及び第2の吸気通路14,15からの空気量の比率は、常にほぼ一定となる。そうした空気量の比率の設定は、例えば第1及び第2の吸気通路14,15の通路面積を調整することで行うことができる。
【0053】
・更に、ヒートインシュレータ13内部を通過した空気と、それを通過せずに外部から直接取り込まれた空気とを混合する必要がなければ、第2の吸気通路15を省略し、常時、ヒートインシュレータ13内部を通過した空気を内燃機関10に導入するようにしても良い。
【0054】
・本発明は、例えば排気管、触媒コンバータ、マフラー等の排気マニホルド以外の排気系部品であれ、それがヒートインシュレータによって周囲を覆われているのであれば、その排気系部品を対象としてその冷却性の向上を図る内燃機関として実施することもできる。
【0055】
上記実施形態及びその変形例から把握される技術的思想を以下に記載する。
(イ)前記調整弁は、前記触媒の温度が低いときには、高いときに比して前記第1の吸気通路を通じて当該内燃機関に導入される空気量の比率を低下させる請求項5に記載の内燃機関。
【0056】
(ロ)前記調整弁は、前記排気温度が低いときには、高いときに比して前記第2の吸気通路を通じて当該内燃機関に導入される空気量を低下させる請求項6記載の内燃機関。
【0057】
(ハ)前記調整弁は、当該内燃機関の排気を浄化する触媒の温度が低下するときに、前記第1の吸気通路を通じて当該内燃機関に導入される空気量の比率を低下させるように作動制御される請求項4又は5に記載の内燃機関。
【0058】
(ニ)前記調整弁は、当該内燃機関の排気温度が上昇するときに、前記第1の吸気通路を通じて当該内燃機関に導入される空気量の比率を低下させるように作動制御される請求項4又は5に記載の内燃機関。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の全体構造を示す模式図。
【図2】吸気切替制御のフローチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、10a…機関本体、11…吸気マニホルド、12…排気通路、12a…排気マニホルド、13…ヒートインシュレータ、17…吸気通路(14…第1の吸気通路、15…第2の吸気通路)、16…調整弁、18…エアクリーナ、20…触媒温度センサ、21…吸気温度センサ、22…電子制御装置、23…NEセンサ、24…アクセルセンサ。
Claims (8)
- 排気系部品の周囲を覆うように配設されたヒートインシュレータの内部を、吸気通路の一部としたことを特徴とする内燃機関。
- 排気系部品の周囲を覆うように配設されたヒートインシュレータの内部を通って、燃焼に供される空気を導入する内燃機関。
- 排気系部品の周囲を覆うように配設されたヒートインシュレータの内部に、吸気通路を連結したことを特徴とする内燃機関。
- 排気系部品の周囲を覆うように配設されたヒートインシュレータの内部を通過する第1の吸気通路と、前記ヒートインシュレータの内部を通過しない第2の吸気通路と、前記第1の吸気通路を通じて当該機関に導入される空気量と、前記第2の吸気通路を通じて当該機関に導入される空気量との比率を調整する調整弁とを備える内燃機関。
- 前記調整弁の作動は、排気を浄化する触媒温度に基づき制御される請求項4に記載の内燃機関。
- 前記調整弁は、排気温度が高くなるときに、前記第1の吸気通路を通じて導入される空気量の比率を大きくするように作動制御される請求項4又は5に記載の内燃機関。
- 前記調整弁の作動は、排気温度に基づき制御される請求項4乃至6のいずれかに記載の内燃機関。
- 前記調整弁の作動は、吸気温度に基づき制御される請求項4乃至7のいずれかに記載の内燃機関。
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JP2010144687A (ja) * | 2008-12-22 | 2010-07-01 | Suzuki Motor Corp | 車両の前部構造 |
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- 2003-03-18 JP JP2003073920A patent/JP2004278478A/ja active Pending
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