JP2004278423A - デュアルフューエルエンジンの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】軽油と、この軽油に対し単独では発熱量が不十分でありかつ発熱量自体が変動する燃料ガスを混合させた混合燃料によって、機関を駆動させる場合、機関の駆動負荷が一定であるときに燃料ガスの発熱量と相関関係にあるラック位置が一定となるように、低カロリー燃料の供給量をA/Fバルブ59により制御している。また、A/Fバルブによる燃料ガスの供給量が一定の範囲内に収まるように、スロットル弁4の開度を排気温度センサ16の検出値に基づいて制御している。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄物を熱分解処理して生成された低カロリーガスと単独で十分な発熱量を発生する軽油や天然ガスなどの高カロリー燃料とを混合した混合燃料により機関を駆動させるデュアルフューエルエンジンの制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生ゴミや家畜糞尿などの有機廃棄物を嫌気性発酵させた際に発生するメタンガスなどのバイオガスと、軽油とを混合した混合燃料によりデュアルフューエルエンジンの機関を駆動させることによって、発電機を作動させるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、間伐材、剪定枝、建築廃材や刈草などの木質バイオマスを熱分解炉により熱分解処理して可燃ガス(熱分解ガス)を生成し、この可燃ガスと軽油や天然ガスなどの高カロリー燃料とを混合した混合燃料によりデュアルフューエルエンジンの機関を駆動させることによって、発電機を作動させるようにしたものもある。
【0004】
しかし、上記後者のもののように、木質バイオマスを熱分解処理して得られた可燃ガスは、廃棄物中の水分保有率が安定せず、その原料自体も一定の品質のものではないため、熱分解炉により生成された時点においても、一定組成の燃料として扱うことができず、単独では発熱量が不十分でありかつ発熱量自体が変動する低カロリー燃料といわざるを得ないのが現状である。そのため、単独で十分な発熱量を発生する高カロリー燃料に対し単独では発熱量が不十分でありかつ発熱量自体が変動する低カロリー燃料(可燃ガス)を混合させた混合燃料によって、デュアルフューエルエンジンの機関を駆動することが行われている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−309979号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述したデュアルフューエルエンジンにおいて高カロリー燃料に混合して使用される低カロリー燃料は、発熱量が変動するため、デュアルフューエルエンジンの機関に対し供給される混合燃料の総発熱量が大きく変動し、機関の失火を招いたり、機関の性能が著しく悪化するという課題を保有している。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、機関の失火や性能悪化を防止しつつ低カロリー燃料を積極的に使用することができるデュアルフューエルエンジンの制御方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に係わる発明が講じた解決手段は、単独で十分な発熱量を発生する高カロリー燃料、およびこの高カロリー燃料に対し単独では発熱量が不十分でありかつ発熱量自体が変動する低カロリー燃料を混合させた混合燃料によって、機関を駆動させるようにしたデュアルフューエルエンジンの制御方法を前提とする。そして、混合燃料により機関を駆動させているときに高カロリー燃料の供給量を固定し、その固定された供給量の高カロリー燃料と低カロリー燃料との混合燃料による機関の出力を推定し、この推定された機関の出力を維持し得るように低カロリー燃料の供給量を制御している。
【0009】
この特定事項により、混合燃料による機関の駆動時に高カロリー燃料の供給量を固定し、その固定したときの混合燃料による機関の出力を維持するように低カロリー燃料の供給量を制御しているので、低カロリー燃料の発熱量が変動しても機関の出力が維持されることになり、低カロリー燃料はその供給量を制御しながら積極的に使用される。しかも、供給量が固定された高カロリー燃料によって機関の駆動を安定して行え、混合燃料のカロリーが大きく変動することがなくなり、機関の失火や、機関の性能悪化が確実に防止されることになる。
【0010】
請求項2に係わる発明では、機関の駆動負荷が一定であるときに低カロリー燃料の発熱量と相関関係にある高カロリー燃料の供給量が一定となるように、低カロリー燃料の供給量を制御している。
【0011】
この特定事項により、低カロリー燃料の供給量は、機関の駆動負荷が一定であるときに低カロリー燃料の発熱量が小さくなれば、高カロリー燃料の供給量が一定となるように、増大させる方向に制御される一方、低カロリー燃料の発熱量が大きくなれば、高カロリー燃料の供給量が一定となるように、減少させる方向に制御されることになり、低カロリー燃料の発熱量が変動しても機関の出力が維持される。そのため、高カロリー燃料の供給量を一定に維持した状態で、低カロリー燃料の供給量をその発熱量に応じて制御し、高カロリー燃料の発熱量と低カロリー燃料の発熱量との機関に対する総発熱量の比率を一定にすることが可能となる。
【0012】
請求項3に係わる発明では、低カロリー燃料の供給量が一定の範囲内に収まるように、機関に空気を供給する給気経路のスロットル開度を機関の排気温度またはその代用特性に基づいて制御している。
【0013】
この特定事項により、機関の排気温度またはその代用特性に基づいてスロットル開度を制御することによって低カロリー燃料の供給量が一定の範囲内に収まっていれば、排気温度が一定の範囲内で安定し、触媒が円滑に作動することになる。このため、機関から排出される燃焼ガス(排気ガス)中のCO濃度を低く抑えることが可能となる。
【0014】
請求項4に係わる発明では、失火により停止した直後に機関を再始動するとき、給気経路内の混合燃料がパージされるまでの間、高カロリー燃料を未供給にした状態で、機関を始動させるセルモータを回してから、機関を始動させるようにしている。
【0015】
この特定事項により、給気経路内に充満する混合燃料により空気が給気されない状態が、給気経路内の混合燃料がパージされるまで高カロリー燃料を未供給にして回したセルモータによって改善され、機関の再始動を円滑に行うことが可能となる。
【0016】
請求項5に係わる発明では、低カロリー燃料の供給量を一定値に固定してから、低カロリー燃料を供給し、この低カロリー燃料の供給量に応じて変更される高カロリー燃料の供給量に基づいて低カロリー燃料の発熱量を推定している。
【0017】
この特定事項により、低カロリー燃料の供給量を一定値に固定した際の高カロリー燃料の供給量と、一定値の低カロリー燃料に対し更に低カロリー燃料を供給した際に変更された高カロリー燃料の供給量との差に基づいて正確な低カロリー燃料の発熱量が推定されることになり、特別なセンサなどを用いなくとも低カロリー燃料を生成する装置を制御することが可能となる。
【0018】
請求項6に係わる発明では、低カロリー燃料の発熱量の増大により高カロリー燃料の供給量が一定値を超えたときに、目標とする高カロリー燃料の供給量との差に比例して低カロリー燃料の供給量を制御する制御速度を変更している。
【0019】
この特定事項により、低カロリー燃料の発熱量の増大に伴って高カロリー燃料の供給量が一定値以下になったときに、目標とする高カロリー燃料の供給量との差に比例して低カロリー燃料の供給量を制御する制御速度が変更されるので、高カロリー燃料の供給量が一定値を下回った際の機関の失火が確実に防止されることになる。
【0020】
請求項7に係わる発明では、低カロリー燃料の供給量を最大値にしても高カロリー燃料の供給量が変更されないときに、低カロリー燃料の供給流量が最大であると判断している。
【0021】
この特定事項により、低カロリー燃料の最大供給流量が、低カロリー燃料の供給量を最大値にしても高カロリー燃料の供給量が変更されないときに検出されるので、特別な流量計を用いなくとも低カロリー燃料を生成する装置の流量制御を行うことが可能となる。
【0022】
請求項8に係わる発明では、単独で十分な発熱量を発生する高カロリーガス、およびこの高カロリーガスに対し単独では発熱量が不十分でありかつ発熱量自体が変動する低カロリーガスを混合させた混合ガスを用い、機関の回転数および駆動負荷が一定であるときに低カロリーガスの発熱量と相関関係にある給気経路のスロットル開度が一定となるように、低カロリーガスの供給量を制御している。
【0023】
この特定事項により、機関の回転数および駆動負荷が一定であるときにスロットル開度が一定となるように低カロリーガスの供給量を制御しているので、低カロリーガスの発熱量が変動しても機関の出力が維持されることになり、機関の駆動を安定して行え、機関の失火や、機関の性能悪化が確実に防止されることになる。
【0024】
また、高カロリーガスとして都市ガスなどを利用すれば、液体などの高カロリー燃料を貯留しておくタンクが不要となり、省スペース化を図ることが可能となる。
【0025】
請求項9に係わる発明では、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量が最大値となったときに、高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量を制御している。
【0026】
この特定事項により、低カロリー燃料または低カロリーガスの発熱量の低下により該低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量が最大値となったときに、高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量を制御するようにしているので、低カロリー燃料または低カロリーガスの発熱量の低下による機関の失火や機関の性能悪化が確実に防止されることになる。
【0027】
請求項10に係わる発明では、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給開始直後、低カロリー燃料または低カロリーガスの発熱量が低いときに多くなる高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量と相関関係にある低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量を減らしていた状態から高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量が少なくなったときに、低カロリー燃料または低カロリーガスの発熱量が高くなったと判断し、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量を増やして高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量が目標値に近付くように、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量を制御している。
【0028】
この特定事項により、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給開始直後に低カロリー燃料または低カロリーガスの発熱量が低いときに、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量を減らす一方、高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量を多くして、機関への混合燃料または混合ガスの総発熱量を確保し、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給開始直後の発熱量不足を補うことが可能となる。また、高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量が少なくなったときに低カロリー燃料または低カロリーガスの発熱量が高くなったと判断して、高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量を目標値に近付けるように、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量を制御しているので、高カロリー燃料または高カロリーガスの無駄使いを抑えて、低カロリー燃料または低カロリーガスを積極的に消費することが可能となる。
【0029】
請求項11に係わる発明では、低カロリーガスの供給量を固定してから、低カロリーガスを供給し、この低カロリーガスの供給量に応じて変更される機関への混合ガスの供給量に基づいて低カロリーガスの発熱量を推定している。
【0030】
この特定事項により、低カロリーガスの供給量を一定値に固定した際の機関への混合ガスの供給量と、一定値の低カロリーガスに対し更に低カロリーガスを供給した際に変更された機関への混合ガスの供給量との差に基づいて正確な低カロリーガスの発熱量が推定されることになり、特別なセンサなどを用いなくとも低カロリーガスを生成する装置を制御することが可能となる。
【0031】
請求項12に係わる発明では、低カロリーガスの発熱量の増大によりスロットル開度が一定値以上になったとき、目標とするスロットル開度との差に比例して低カロリーガスの供給量を制御する制御速度を変更している。
【0032】
この特定事項により、低カロリーガスの発熱量の増大に伴ってスロットル開度が一定値以上になったときに、目標とするスロットル開度との差に比例して低カロリーガスの供給量を制御する制御速度が変更されるので、高カロリーガスの供給量が一定値を下回った際の機関の失火が確実に防止されることになる。
【0033】
請求項13に係わる発明では、低カロリーガスの供給量を最大値にしてもスロットル開度が変更されないとき、低カロリー燃料の供給流量が最大であると判断している。
【0034】
この特定事項により、低カロリーガスの最大供給流量が、低カロリーガスの供給量を最大値にしてもスロットル開度が変更されないときに検出されるので、特別な流量計を用いなくとも低カロリーガスを生成する装置の流量制御を行うことが可能となる。
【0035】
請求項14に係わる発明では、機関の回転数および駆動負荷が一定であるときに低カロリー燃料の発熱量と相関関係にあるスロットル開度が一定となるように、低カロリー燃料の供給量を制御している。
【0036】
この特定事項により、機関の回転数および駆動負荷が一定であるときにスロットル開度が一定となるように低カロリー燃料の供給量を制御しているので、低カロリー燃料の発熱量が変動しても機関の出力が維持されることになり、機関の駆動を安定して行え、機関の失火や、機関の性能悪化が確実に防止されることになる。
【0037】
請求項15に係わる発明では、混合燃料の発熱量が一定値に安定したときに、低カロリー燃料の供給量を一定にして高カロリー燃料の混合割合を最小とするように高カロリー燃料と空気との混合気量を制御している。
【0038】
この特定事項により、安定した発熱量の低カロリー燃料を効率よく消費しつつ、機関の失火および性能悪化を確実に防止することが可能となる。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0040】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係わるデュアルフューエルエンジンの制御システム構成図を示している。
【0041】
図1において、1はデュアルフューエルエンジン、2はデュアルフューエルエンジン1によって作動する発電機である。
【0042】
上記デュアルフューエルエンジン1は、単独で十分な発熱量を発生する高カロリー燃料としての軽油、およびこの軽油に対し単独では発熱量が不十分(たとえば600〜1000kcal程度)でありかつ発熱量自体が変動する低カロリー燃料としての燃料ガスを混合させた混合燃料によって、機関を駆動させるように構成されている。
【0043】
上記燃料ガスは、燃料ガス生成装置Xにおいて間伐材、剪定枝、建築廃材や刈草などの木質バイオマスから生成されるものであり、その生成方法の一例としては、燃料と空気とを燃焼させて得られた高温の燃焼ガスを熱源とする空気遮断状態下での間接加熱により、熱分解ガスと固体状の残さとに分解した後、この熱分解ガスを、空気、酸素富化空気または酸素を含む酸化剤ガスに導入し、熱分解ガス中に含まれる可燃成分と酸化剤ガス中の酸素との間で反応を起こさせ、熱分解ガス中の高位炭化水素を低位炭化水素等に変換させてから、この変換された高温のガスを急冷した後、そのガス中に含まれるダストおよび有害成分を浄化処理して燃料ガスが得られるようにしている。
【0044】
上記デュアルフューエルエンジン1は、ディーゼルエンジンがベースであり、軽油を燃焼室1Aに噴射する燃料噴射弁3と、燃焼室1Aに対し空気を供給する給気経路としての給気管11と、燃焼室1Aから排気を排出する排気管12と、この排気管12を介して排出される排気中の温度を検出する排気温度センサ16と、上記給気管11内に開度調整可能に設けられ、空気と混合した燃料ガスの供給量を調整するスロットル弁4(スロットル)と、上記燃料ガス生成装置Xにおいて生成された燃料ガスを上記スロットル弁4よりも上流側から給気管11内に導入する燃料ガス導入装置5とを備えている。また、14は、排気管12に介設された酸化触媒装置である。
【0045】
上記燃料噴射弁3は、この燃料噴射弁3に対し軽油を供給する噴射ポンプ31と、この噴射ポンプ31による軽油の噴射量を他段階に調整するラック32とを備えている。そして、上記ラック32は、CPUを搭載するコントローラ13に接続されており、このコントローラ13からの指令により、噴射ポンプ31による軽油の噴射量を最適に調整する位置にラック32を移動させるように制御している。
【0046】
上記スロットル弁4は、バタフライタイプのものであって、スロットル弁4の開度を調整する開度調整機構41に連結されている。この開度調整機構41は、上記コントローラ13に接続されている。また、排気温度センサ16も、コントローラ13に接続されている。
【0047】
上記燃料ガス導入装置5は、燃料ガス生成装置Xで生成された燃料ガスをスロットル弁4よりも上流側の給気管11内に導く燃料ガス導入管51と、この燃料ガス導入管51の途中に介設され、その燃料ガス導入管51の途中位置を開閉する電磁開閉弁52と、この電磁開閉弁52よりも下流側の燃料ガス導入管51の途中位置に設けられ、燃料ガスの圧力を検出するガス圧力センサ54と、このガス圧力センサ54よりも下流側の燃料ガス導入管51の途中位置に設けられ、燃料ガス導入管51からミキサ56(後述する)に供給される燃料ガスの圧力を一定にするレギュレータ55と、燃料ガス導入管51の下流端が開口する給気管11の途中位置に設けられ、燃料ガス導入管51を介して給気管11内に導入された燃料ガスを給気管11内の空気と混合させるミキサ56と、上記レギュレータ55とミキサ56との間に設けられ、レギュレータ55により一定のガス圧に保持された燃料ガスのミキサ56への供給量を調整するA/Fバルブ59とを備えている。そして、上記スロットル弁4の開度調整機構41、並びに燃料ガス導入装置5の電磁開閉弁52、ガス圧力センサ54およびA/Fバルブ59は、上記コントローラ13に接続されており、このコントローラ13からの指令により、燃料ガス導入管51から給気管11を介して最適な量の燃料ガスが燃焼室1Aに導かれるように制御されている。また、上記電磁開閉弁52は、開閉切換タイプのものであり、開放状態に切り換えてもA/Fバルブ59を開放調整しない限り、燃料ガス導入管51内に僅かな量の燃料ガスしか導入されないように構成されている。この場合、軽油と燃料ガスとの混合燃料によるデュアルフューエルエンジン1の機関の駆動時に、ラック32位置の調整による軽油の流量制御、スロットル弁4の開度調整および燃料ガス導入装置5(A/Fバルブ59)による燃料ガスの流量制御が行われる。
【0048】
そして、本発明の特徴部分として、軽油に対し発熱量が不十分な燃料ガスを混合させた混合燃料によってデュアルフューエルエンジン1の機関を駆動させているときに、ラック32位置を固定して軽油の供給量を固定し、その固定された供給量の軽油と燃料ガスとの混合燃料によるデュアルフューエルエンジン1の機関の出力を推定し、この推定された機関の出力を維持(一定に)し得るように燃料ガスの供給量をA/Fバルブ59によって制御している。これをブロック線図で表すと、図2に示すように、機関の回転数の目標値NdをPID制御してラック32の位置Rcを決定し、この決定されたラック32位置Rcにより噴射量(供給量)が調整された軽油をデュアルフューエルエンジン1の機関(燃焼室1A)に対し供給する一方、上記ラック32位置Rcに基づいてA/Fバルブ59の開度AFを決定し、この決定されたA/Fバルブ59の開度AFにより供給量が調整された燃料ガスをデュアルフューエルエンジン1の機関(燃焼室1A)に対し供給している。これにより、混合燃料による機関の駆動時に軽油の供給量を固定した上で、燃料ガスの供給量をA/Fバルブ59により制御することで、燃料ガスの発熱量が変動しても機関の出力が維持されることになり、燃料ガスはその供給量を制御しながら積極的に使用することができる。しかも、ラック32位置の固定により供給量が固定された軽油によって機関の駆動を安定して行え、混合燃料のカロリーが大きく変動することがなくなり、機関の失火や、機関の性能悪化が確実に防止することができる。
【0049】
このとき、混合燃料中における燃料ガスの占める割合は、50%以上に設定されているが、燃料ガスの発熱量が600kcal以下となれば、軽油の占める割合を増やす方向にラック32位置が切り換わるように制御されており、これによって、機関の失火や、機関の性能悪化を確実に防止し得るようにしている。
【0050】
また、図3に示すように、デュアルフューエルエンジン1の機関の駆動負荷が一定であるときに、燃料ガスの発熱量と軽油の供給量(噴射ポンプ31による軽油の噴射量を調整するラック32位置)とは相関関係にあるため、デュアルフューエルエンジン1の機関の駆動負荷が一定であるときに、軽油の供給量が一定となるように、燃料ガスの供給量をA/Fバルブ59により制御している。この関係を式で表すと、
機関の駆動負荷(一定)
=燃料ガスの供給量(A/Fバルブ59開度)×燃料ガスの発熱量
+軽油の供給量(ラック32位置)
となる。この関係は、図4に示すように、A/Fバルブ59は、機関の駆動負荷が一定であるときに燃料ガスの発熱量が小さくなれば軽油の供給量が一定となるように、燃料ガスの供給量を増大させる開方向に制御される一方、燃料ガスの発熱量が大きくなれば軽油の供給量が一定となるように、燃料ガスの供給量を減少させる閉方向に制御されることになる。このため、燃料ガスの発熱量が変動しても機関の出力が維持され、軽油の供給量を一定に維持した状態で、燃料ガスの供給量をその発熱量に応じて制御し、軽油の発熱量と燃料ガスの発熱量との機関に対する総発熱量の比率を一定にすることができる。
【0051】
そして、燃料ガスの供給量が一定の範囲内に収まるように、スロットル弁4の開度を排気温度センサ16からの検出値に基づいて制御することで、機関に対して給気管11を介して供給される空気混合燃料ガスの供給量を調整している。これにより、機関の排気温度に基づいて空気混合燃料ガスの供給量を制御することによって燃料ガスの供給量が一定の範囲内に収まっていれば、酸化触媒装置14が円滑に作動し、排気温度を一定の範囲内、具体的には煙が出ない程度の濃さでNOxが低い辺りの範囲で安定させることも可能となる。このため、機関から排出される燃焼ガス(排気ガス)中のCO濃度を低く抑えることができる。
【0052】
また、失火により停止した直後にデュアルフューエルエンジン1の機関を再始動するときには、図5に示すように、給気管11内の混合燃料がパージされるまでの間、軽油を燃焼室1Aに対し未供給にした状態で、機関を始動させるセルモータを回してから、機関を始動させるように、再始動タイミングを通常の始動タイミングよりも所定時間t1だけ遅らせている。これにより、給気管11内に充満する混合燃料により空気が給気されない状態が、燃焼室1Aに対し軽油を未供給にした状態で給気管11内の混合燃料がパージされるまで回したセルモータによって改善され、機関の再始動を円滑に行うことができる。
【0053】
そして、図3において示したように、燃料ガスの供給量を一定値に固定してから、燃料ガスを供給し、この燃料ガスの供給量に応じて変更されるラック32位置(軽油の供給量)に基づいて燃料ガスの発熱量を推定している。これにより、燃料ガスの供給量を一定値に固定した際のラック32位置と、一定値の燃料ガスに対し更に燃料ガスを供給した際に変更されたラック32位置との差に基づいて正確な燃料ガスの発熱量が推定されることになり、特別なセンサなどを用いなくとも燃料ガス生成装置Xを制御することができる。
【0054】
また、図6に示すように、燃料ガスの発熱量の増大によりラック32位置が一定値(機関の失火を招く軽油の供給量)を下回ったときに、目標とするラック32位置との差に比例して燃料ガスの供給量を制御するA/Fバルブ59の制御速度を変更している。これにより、燃料ガスの発熱量の増大に伴ってラック32位置が一定値を下回ったときに、目標とするラック32位置との差に比例して変更されたA/Fバルブ59の制御速度によって、ラック32位置が一定値を下回った際の機関の失火を確実に防止することができる。
【0055】
そして、図7に示すように、A/Fバルブ59を全開にして燃料ガスの供給量を最大値にしてもラック32位置が変更されないときに、燃料ガスの供給流量が最大であると判断している。これにより、燃料ガスの最大供給流量が、A/Fバルブ59の開度を最大値にしてもラック32位置が変更されないときに検出されるので、特別な流量計を用いなくとも燃料ガス生成装置Xの流量制御を行うことができる。
【0056】
また、燃料ガスの供給量が最大値となったときに、ラック32の位置変更により軽油の供給量を制御している。これにより、燃料ガスの発熱量の低下により該燃料ガスの供給量が最大値となったときに、ラック位置を変更して軽油の供給量を制御することで、燃料ガスの発熱量の低下による機関の失火や機関の性能悪化を確実に防止することができる。
【0057】
そして、燃料ガスの供給開始直後、ガス圧力センサ54により燃料ガスの圧力が高くなると、電磁開閉弁52を開放する。このように、燃料ガスの供給開始直後では、図8に示すように、燃料ガスの発熱量が低いために多くなる軽油の供給量と相関関係にある燃料ガスの供給量を減らしているが、この状態から軽油の供給量が少なくなったとき、つまり燃料ガスを50%以上使用可能なデュアルフューエル運転状態までラック32位置が小さくなったとき(ラック32位置Dc)に、燃料ガスの発熱量が高くなったと判断し、燃料ガスの供給量を増やしてラック32位置が目標値DLに近付くように、燃料ガスの供給量をA/Fバルブ59により制御している。これにより、燃料ガスの供給開始直後に燃料ガスの発熱量が低いときに、燃料ガスの供給量を減らす一方、軽油の供給量を多くして、機関への混合燃料の総発熱量を確保し、燃料ガスの供給開始直後の発熱量不足を補うことができる。しかも、軽油の供給量が少なくなったとき(ラック32位置Dc)に燃料ガスの発熱量が高くなったと判断して、軽油の供給量を目標値DLつまり目標ラック32位置に近付けるように、燃料ガスの供給量をA/Fバルブ59により制御しているので、軽油の無駄使いを抑えて、燃料ガスを積極的に消費することができる。
【0058】
また、機関の回転数および駆動負荷が一定であるときに燃料ガスの発熱量と相関関係にある機関への空気混合燃料ガスの供給量が一定となるように、燃料ガスの供給量をA/Fバルブ59により制御している。これにより、機関の回転数および駆動負荷が一定であるときに機関への空気混合燃料ガスの供給量が一定となるように燃料ガスの供給量をA/Fバルブ59により制御すれば、燃料ガスの発熱量が変動しても機関の出力が維持されることになり、機関の駆動を安定して行え、機関の失火や、機関の性能悪化を確実に防止することができる。
【0059】
更に、混合燃料の発熱量が一定値に安定したときに、A/Fバルブ59による燃料ガスの供給量を一定にしてラック32による軽油の混合割合を最小とするように軽油と空気との混合気量を制御している。これにより、安定した発熱量の燃料ガスを効率よく消費しつつ、機関の失火および性能悪化を確実に防止することができる。
【0060】
<第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施形態を図9ないし図12に基づいて説明する。
【0061】
この実施形態では、軽油に代えて都市ガスと、燃料ガスとの混合ガスによりデュアルフューエルエンジン6の機関を駆動させるようにしている。なお、上記第1の実施形態と同一の部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略している。
【0062】
すなわち、本実施形態では、図9に示すように、デュアルフューエルエンジン6は、ガスエンジンがベースであり、低カロリーガスとしての都市ガスをスロットル弁4よりも上流側から給気管61内に導入する都市ガス導入装置7と、燃焼室6Aの点火プラグ67を点火する点火コイル68と、燃焼室6Aに対し空気を供給する給気経路としての給気管61と、燃焼室1Aから排気を排出する排気管62と、この排気管62を介して排出される排気中の温度を検出する排気温度センサ66と、上記給気管61内に開度調整可能に設けられ、空気、燃料ガスおよび都市ガスを混合させた混合ガスの供給量を調整するスロットル弁4と、上記燃料ガス生成装置Xにおいて生成された燃料ガスを上記スロットル弁4よりも上流側から給気管61内に導入する燃料ガス導入装置5とを備えている。
【0063】
上記都市ガス導入装置7は、敷地内に引き込まれた都市ガス用引込管(図示せず)からの都市ガスをスロットル弁4よりも上流側の給気管61内に導く都市ガス導入管71と、この都市ガス導入管71の途中に介設され、その都市ガス導入管71の途中位置を開閉する電磁開閉弁72と、この電磁開閉弁72よりも下流側の都市ガス導入管71の途中位置に設けられ、都市ガスの圧力を検出するガス圧力センサ74と、このガス圧力センサ74よりも下流側の都市ガス導入管71の途中位置に設けられ、都市ガス導入管71から供給される都市ガスの圧力を一定にするレギュレータ75と、上記レギュレータ75と燃料ガス導入装置5のミキサ56との間に設けられ、レギュレータ75により一定のガス圧に保持された都市ガスの供給量を調整するA/Fバルブ79とを備えている。そして、都市ガス導入管71の下流端は燃料ガス導入装置5のミキサ56(給気管61)に対し開口し、このミキサ56によって、都市ガス導入管71を介して給気管61内に導入された都市ガスと、燃料ガス導入管51を介して給気管61内に導入された燃料ガスとが給気管61内の空気と混合されるようになっている。また、上記スロットル弁4の開度調整機構41、並びに都市ガス導入装置7の電磁開閉弁72、ガス圧力センサ74およびA/Fバルブ79は、上記コントローラ13に接続されており、このコントローラ13からの指令により、都市ガス導入管71から給気管71を介して最適な量の都市ガスが燃焼室1Aに導かれるように制御されている。更に、上記電磁開閉弁72は、開閉切換タイプのものであり、開放状態に切り換えてもA/Fバルブ79を開放調整しない限り、都市ガス導入管71内に僅かな量の都市ガスしか導入されないように構成されている。この場合、軽油と燃料ガスとの混合燃料によるデュアルフューエルエンジン6の機関の駆動時に、都市ガス導入装置7(A/Fバルブ79)による都市ガスの流量制御、スロットル弁4の開度調整および燃料ガス導入装置5(A/Fバルブ59)による燃料ガスの流量制御が行われる。
【0064】
上記点火コイル68は、ミキサ56で都市ガスと燃料ガスとに空気を混在させた混合ガスを点火プラグ67により着火させるものであり、コントローラ13に接続されている。
【0065】
そして、本発明の特徴部分として、単独で十分な発熱量を発生する都市ガスに対し単独では発熱量が不十分でありかつ発熱量自体が変動する燃料ガスを混合させた混合ガスによってデュアルフューエルエンジン6の機関を駆動させているときに、都市ガス導入装置7のA/Fバルブ79の開度を固定して都市ガスの供給量を固定し、その固定された供給量の都市ガスと燃料ガスとの混合ガスによるデュアルフューエルエンジン6の機関の出力を推定し、この推定された機関の出力を維持(一定に)し得るように燃料ガスの供給量をA/Fバルブ59によって制御している。これをブロック線図で表すと、図10に示すように、機関の回転数の目標値NdをPID制御してスロットル弁4の開度位置Rcを決定し、この決定された開度位置Rcにより流量が調整された混合ガスをデュアルフューエルエンジン6の機関(燃焼室6A)に対し供給する一方、上記開度位置Rcに基づいてA/Fバルブ59の開度AFを決定し、この決定されたA/Fバルブ59の開度AFにより供給量が調整された燃料ガスをミキサ56(給気管61)に対し供給している。これにより、混合ガスによる機関の駆動時に都市ガスの供給量を固定した上で、燃料ガスの供給量をA/Fバルブ59により制御することで、燃料ガスの発熱量が変動しても機関の出力が維持されることになり、燃料ガスはその供給量を制御しながら積極的に使用することができる。しかも、ミキサ56への供給量が固定された都市ガスによって機関の駆動を安定して行え、混合ガスのカロリーが大きく変動することがなくなり、機関の失火や、機関の性能悪化が確実に防止することができる。
【0066】
また、デュアルフューエルエンジン6の機関の回転数および駆動負荷が一定であるときには、燃料ガスの発熱量と相関関係にあるスロットル弁4の開度が一定となるように、燃料ガスの供給量をA/Fバルブ59により制御している。これにより、機関の回転数および駆動負荷が一定であるときに機関への混合ガスの供給量が一定となるように燃料ガスの供給量をA/Fバルブ59により制御すれば、燃料ガスの発熱量が変動しても機関の出力が維持されることになり、機関の駆動を安定して行え、機関の失火や、機関の性能悪化を確実に防止することができる。しかも、都市ガスを高カロリーガスとして利用すれば、高カロリー燃料として軽油などを利用する場合に必要な軽油貯留用のタンクが不要となり、敷地内の省スペース化を図ることができる。
【0067】
そして、A/Fバルブ59の開度を固定して燃料ガスの供給量を固定してから、燃料ガスを供給し、この燃料ガスの供給量に応じて変更されるスロットル弁4による機関への混合ガスの供給量に基づいて燃料ガスの発熱量を推定している。これにより、燃料ガスの供給量を一定値に固定した際の機関への混合ガスの供給量と、一定値の燃料ガスに対し更に燃料ガスを供給した際に変更された機関への混合ガスの供給量との差、つまりスロットル弁4の開度差に基づいて正確な燃料ガスの発熱量が推定されることになり、特別なセンサなどを用いなくとも燃料ガス生成装置Xを制御することができる。
【0068】
また、図3において示したように、デュアルフューエルエンジン1の機関の駆動負荷が一定であるときに、燃料ガスの発熱量と軽油の供給量(噴射ポンプ31による軽油の噴射量を調整するラック32位置)とは相関関係にあるため、デュアルフューエルエンジン6の機関の駆動負荷が一定であるときには、燃料ガスの発熱量と都市ガスの供給量(A/Fバルブ79の開度)とも相関関係となり、デュアルフューエルエンジン6の機関の駆動負荷が一定であるときに、スロットル弁4の開度(混合ガスの供給量)が一定となるように、燃料ガスの供給量をA/Fバルブ59により制御している。この関係を式で表すと、
機関の駆動負荷(一定)=燃料ガスの供給量(A/Fバルブ59開度)×燃料ガスの発熱量×混合ガスの供給量(スロットル弁4の開度)
となる。この関係は、図4において示したように、A/Fバルブ59は、機関の駆動負荷が一定であるときに燃料ガスの発熱量が小さくなれば都市ガスの供給量が一定となるように、燃料ガスの供給量を増大させる開方向に制御される一方、燃料ガスの発熱量が大きくなれば都市ガスの供給量が一定となるように、燃料ガスの供給量を減少させる閉方向に制御されることになる。このため、燃料ガスの発熱量が変動しても機関の出力が維持され、都市ガスの供給量を一定に維持した状態で、燃料ガスの供給量をその発熱量に応じて制御し、都市ガスの発熱量と燃料ガスの発熱量との機関に対する総発熱量の比率を一定にすることができる。
【0069】
そして、燃料ガスの発熱量の増大によりスロットル弁4の開度が一定値を超えたときに、目標とするスロットル弁4の開度位置との差に比例して燃料ガスの供給量を制御するA/Fバルブ59の制御速度を変更している。これにより、燃料ガスの発熱量の増大に伴ってスロットル弁4の開度位置が一定値を超えたときに、目標とするスロットル弁4の開度位置との差に比例して変更されたA/Fバルブ59の制御速度によって、スロットル弁4の開度位置が一定値を超えた際の機関の失火を確実に防止することができる。
【0070】
更に、図11に示すように、A/Fバルブ59を全開にして燃料ガスの供給量を最大値にしてもスロットル弁4の開度位置が変更されないときに、燃料ガスの供給流量が最大であると判断している。これにより、燃料ガスの最大供給流量が、A/Fバルブ59の開度を最大値にしてもスロットル弁4の開度位置が変更されないときに検出されるので、特別な流量計を用いなくとも燃料ガス生成装置Xの流量制御を行うことができる。
【0071】
<変形例>
次に、本実施形態の変形例を図12に基づいて説明する。
【0072】
この変形例では、燃料ガス導入装置5および都市ガス導入装置7のA/Fバルブ59,79を変更している。なお、上記第2の実施形態と同一の部分については同じ符号を付して、その詳細な説明は省略している。
【0073】
すなわち、本実施形態では、図13に示すように、燃料ガス導入装置5の燃料ガス導入管51の下流端(レギュレータ55の下流側)および都市ガス導入装置7の都市ガス導入管71の下流端(レギュレータ75の下流側)は、それぞれチャンバ80に連結され、このチャンバ80内において、燃料ガス導入管51から導入された燃料ガスと、都市ガス導入管71から導入された都市ガスとが混合されるようになっている。上記チャンバ80とミキサ56との間には混合ガス導入管81が連結され、この混合ガス導入管81にA/Fバルブ59が介設されている。
【0074】
このように、燃料ガス導入管51と都市ガス導入管71とを1つにまとめた混合ガス導入管81にA/Fバルブ59が介設されているので、A/Fバルブ59が単一で済み、コストの低廉化を図ることができる。
【0075】
<その他の変形例>
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その他種々の変形例を包含している。例えば、上記各実施形態では、排気管12(62)内の排気温度を排気温度センサ16により検出し、その検出値に基づいて燃料ガスの供給量が一定の範囲内に収まるようにスロットル弁4の開度をコントローラ13により制御することで、空気混合燃料ガス(混合ガス)の供給量を調整したが、図14に示すように、排気管12の酸化触媒装置14よりも下流側に全領域空燃比センサ{以下、このセンサをUEGOセンサ(Universal A/F Heated Exhaust Gas Oxygen Sensor)と呼ぶ}9を設け、このUEGOセンサ9により、排気管12を介して排出される排気中の酸素濃度を酸化触媒装置14の下流側で検出することによる混合気の空燃比の認識をリーン領域からリッチ領域まで広範囲に亘って行い、これに基づいて燃料ガスの供給量が一定の範囲内に収まるようにスロットル弁4の開度を制御することで、混合燃料(混合ガス)の供給量を調整するようにしてもよい。
【0076】
また、上記第2の実施形態では、都市ガスと木質バイオマスより生成した燃料ガスとの混合燃料によりデュアルフューエルエンジン6を駆動させるようにしたが、例えば天然ガスと燃料ガスとの混合ガスなどによりデュアルフューエルエンジンを駆動させるようにしても良く、その組み合わされる燃料の種類については、特に限定されるものではない。
【0077】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係わる発明によれば、供給量を固定した高カロリー燃料と低カロリー燃料との混合燃料による機関の出力を推定し、この推定した機関の出力を維持し得るように低カロリー燃料の供給量を制御することで、低カロリー燃料の発熱量が変動しても機関の出力を維持でき、供給量を制御しながら低カロリー燃料を積極的に使用することができる。しかも、供給量を固定した高カロリー燃料によって機関の駆動を安定して行え、混合燃料の大きなカロリー変動を抑制して、機関の失火や、機関の性能悪化を確実に防止することができる。
【0078】
請求項2に係わる発明によれば、機関の駆動負荷が一定であるときに高カロリー燃料の供給量が一定となるように、低カロリー燃料の供給量を制御することで、高カロリー燃料の供給量を一定に維持した状態で低カロリー燃料の供給量をその発熱量に応じて制御して、高カロリー燃料の発熱量と低カロリー燃料の発熱量との機関に対する総発熱量の比率を一定にすることができる。
【0079】
請求項3に係わる発明によれば、低カロリー燃料の供給量が一定の範囲内に収まるように、スロットル開度を機関の排気温度またはその代用特性に基づいて制御することで、低カロリー燃料の供給量を一定の範囲内に収めれば、排気温度も一定の範囲内で安定し、触媒を円滑に作動させて、機関から排出される燃焼ガス中のCO濃度を低く抑えることができる。
【0080】
請求項4に係わる発明によれば、失火により停止した直後に機関を再始動するとき、給気経路内の混合燃料がパージされるまでの間、高カロリー燃料を未供給にした状態でセルモータを回した後、機関を始動させることで、給気経路内に充満する混合燃料により空気が給気されない状態を改善し、機関の再始動を円滑に行うことができる。
【0081】
請求項5に係わる発明によれば、低カロリー燃料の供給量を一定値に固定した際の高カロリー燃料の供給量と、一定値の低カロリー燃料に対し更に低カロリー燃料を供給した際に変更された高カロリー燃料の供給量との差に基づいて低カロリー燃料の発熱量を推定することで、正確な低カロリー燃料の発熱量を特別なセンサなどを用いることなく推定でき、低カロリー燃料を生成する装置を制御することができる。
【0082】
請求項6に係わる発明によれば、低カロリー燃料の発熱量の増大に伴って高カロリー燃料の供給量が一定値以下になったときに、目標とする高カロリー燃料の供給量との差に比例して低カロリー燃料の供給量を制御する制御速度を変更することで、高カロリー燃料の供給量が一定値を下回った際の機関の失火を確実に防止することができる。
【0083】
請求項7に係わる発明によれば、低カロリー燃料の最大供給流量を、低カロリー燃料の供給量を最大値にしても高カロリー燃料の供給量が変更されないときに検出することで、特別な流量計を用いなくとも低カロリー燃料を生成する装置の流量制御を行うことができる。
【0084】
請求項8に係わる発明によれば、機関の回転数および駆動負荷が一定であるときに、スロットル開度が一定となるように低カロリーガスの供給量を制御することで、低カロリーガスの発熱量が変動しても機関の出力を維持して機関の駆動を安定して行え、機関の失火や、機関の性能悪化を確実に防止することができる。しかも、高カロリーガスとして都市ガスなどを利用すれば、液体などの高カロリー燃料を貯留するタンクを不要にして、省スペース化を図ることもできる。
【0085】
請求項9に係わる発明によれば、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量が最大値となったときに、高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量を制御することで、低カロリー燃料または低カロリーガスの発熱量の低下による機関の失火や機関の性能悪化を確実に防止することができる。
【0086】
請求項10に係わる発明によれば、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給開始直後に低カロリー燃料または低カロリーガスの発熱量が低いときの供給量を減らす一方、高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量を多くすることで、機関への混合燃料または混合ガスの総発熱量を確保し、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給開始直後の発熱量不足を補うことができる。そして、高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量が少なくなったときに低カロリー燃料または低カロリーガスの発熱量が高くなったと判断し、高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量を目標値に近付けるように、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量を制御することで、高カロリー燃料または高カロリーガスの無駄使いを抑えて、低カロリー燃料または低カロリーガスを積極的に消費することができる。
【0087】
請求項11に係わる発明によれば、低カロリーガスの供給量を一定値に固定した際のスロットル開度と、一定値の低カロリーガスに対し更に低カロリーガスを供給した際に変更されたスロットル開度との差に基づいて低カロリーガスの発熱量を推定することで、正確な低カロリーガスの発熱量を特別なセンサなどを用いずに推定でき、低カロリーガスを生成する装置を制御することができる。
【0088】
請求項12に係わる発明によれば、低カロリーガスの発熱量の増大に伴ってスロットル開度が一定値以上になったときに、目標とするスロットル開度との差に比例して低カロリーガスの供給量を制御する制御速度を変更することで、高カロリーガスの供給量が一定値を下回った際の機関の失火を確実に防止することができる。
【0089】
請求項13に係わる発明によれば、低カロリーガスの最大供給流量を、低カロリーガスの供給量を最大値にしてもスロットル開度が変更されないときに検出することで、特別な流量計を用いなくとも低カロリーガスを生成する装置の流量制御を行うことができる。
【0090】
請求項14に係わる発明によれば、機関の回転数および駆動負荷が一定であるときにスロットル開度が一定となるように低カロリー燃料の供給量を制御することで、低カロリー燃料の発熱量が変動しても機関の出力を維持して機関の駆動を安定して行え、機関の失火や、機関の性能悪化を確実に防止することができる。
【0091】
更に、請求項15に係わる発明によれば、混合燃料の発熱量が一定値に安定したときに、低カロリー燃料の供給量を一定にして高カロリー燃料の混合割合を最小とするように高カロリー燃料と空気との混合気量を制御することで、安定した発熱量の低カロリー燃料を効率よく消費しつつ、機関の失火および性能悪化を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るデュアルフューエルエンジンの制御システム構成図である。
【図2】同じくコントローラによるラック位置およびA/Fバルブの制御手順を示すブロック線図である。
【図3】同じくラック位置に対する燃料ガスの発熱量の特性を表す特性図である。
【図4】同じくA/Fバルブ開度に対する燃料ガスの発熱量の特性を表す特性図である。
【図5】同じくデュアルフューエルエンジンの機関の始動時におけるコントローラによる制御手順を示すタイムチャート図である。
【図6】同じくデュアルフューエルエンジンの機関の燃料ガスの発熱量の変動時におけるコントローラによる制御手順を示すタイムチャート図である。
【図7】同じくA/Fバルブ開度に対するラック位置の特性を表す特性図である。
【図8】同じくデュアルフューエルエンジンの機関の始動時における燃料ガス生成装置からの燃料ガスの生成状態を示すタイムチャート図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係わるデュアルフューエルエンジンの制御システム構成図である。
【図10】同じくコントローラによるラック位置およびA/Fバルブの制御手順を示すブロック線図である。
【図11】同じくA/Fバルブ開度に対するスロットル弁開度の特性を表す特性図である。
【図12】第2の実施形態の変形例に係わるデュアルフューエルエンジンの制御システム構成図である。
【図13】その他の変形例に係わるデュアルフューエルエンジンの制御システム構成図である。
【符号の説明】
1,6 デュアルフューエルエンジン
11,61 給気管(給気経路)
4 スロットル弁(スロットル)
Claims (15)
- 単独で十分な発熱量を発生する高カロリー燃料、およびこの高カロリー燃料に対し単独では発熱量が不十分でありかつ発熱量自体が変動する低カロリー燃料を混合させた混合燃料によって、機関を駆動させるようにしたデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
混合燃料により機関を駆動させているときに高カロリー燃料の供給量を固定し、
その固定された供給量の高カロリー燃料と低カロリー燃料との混合燃料による機関の出力を推定し、
この推定された機関の出力を維持し得るように低カロリー燃料の供給量を制御している
ことを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項1に記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
機関の駆動負荷が一定であるときに低カロリー燃料の発熱量と相関関係にある高カロリー燃料の供給量が一定となるように、低カロリー燃料の供給量を制御していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項1または請求項2に記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
低カロリー燃料の供給量が一定の範囲内に収まるように、機関に空気を供給する給気経路のスロットル開度を機関の排気温度またはその代用特性に基づいて制御していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
失火により停止した直後に機関を再始動するとき、給気経路内の混合燃料がパージされるまでの間、高カロリー燃料を未供給にした状態で、機関を始動させるセルモータを回してから、機関を始動させるようにしていることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
低カロリー燃料の供給量を一定値に固定してから、低カロリー燃料を供給し、この低カロリー燃料の供給量に応じて変更される高カロリー燃料の供給量に基づいて低カロリー燃料の発熱量を推定していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
低カロリー燃料の発熱量の増大により高カロリー燃料の供給量が一定値を超えたときに、目標とする高カロリー燃料の供給量との差に比例して低カロリー燃料の供給量を制御する制御速度を変更していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
低カロリー燃料の供給量を最大値にしても高カロリー燃料の供給量が変更されないときに、低カロリー燃料の供給流量が最大であると判断していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項1に記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
単独で十分な発熱量を発生する高カロリーガス、およびこの高カロリーガスに対し単独では発熱量が不十分でありかつ発熱量自体が変動する低カロリーガスを混合させた混合ガスを用い、機関の回転数および駆動負荷が一定であるときに低カロリーガスの発熱量と相関関係にある給気経路のスロットル開度が一定となるように、低カロリーガスの供給量を制御していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項1ないし請求項3および請求項8のいずれか1つに記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量が最大値となったときに、高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量を制御していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項1ないし請求項3および請求項8のいずれか1つに記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
低カロリー燃料または低カロリーガスの供給開始直後、低カロリー燃料または低カロリーガスの発熱量が低いときに多くなる高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量と相関関係にある低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量を減らしていた状態から高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量が少なくなったときに、低カロリー燃料または低カロリーガスの発熱量が高くなったと判断し、
低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量を増やして高カロリー燃料または高カロリーガスの供給量が目標値に近付くように、低カロリー燃料または低カロリーガスの供給量を制御していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項8に記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
低カロリーガスの供給量を固定してから、低カロリーガスを供給し、この低カロリーガスの供給量に応じて変更される給気経路のスロットル開度に基づいて低カロリーガスの発熱量を推定していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項8に記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
低カロリーガスの発熱量の増大により給気経路のスロットル開度が一定値以上になったとき、目標とするスロットル開度との差に比例して低カロリーガスの供給量を制御する制御速度を変更していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項8に記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
低カロリーガスの供給量を最大値にしても給気経路のスロットル開度が変更されないとき、低カロリー燃料の供給流量が最大であると判断していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
機関の回転数および駆動負荷が一定であるときに低カロリー燃料の発熱量と相関関係にある給気経路のスロットル開度が一定となるように、低カロリー燃料の供給量を制御していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。 - 上記請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のデュアルフューエルエンジンの制御方法において、
混合燃料の発熱量が一定値に安定したときに、低カロリー燃料の供給量を一定にして高カロリー燃料の混合割合を最小とするように高カロリー燃料と空気との混合気量を制御していることを特徴とするデュアルフューエルエンジンの制御方法。
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