JP2004278021A - 伐根チップ材を使用した植生工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本来は廃棄物となる伐根材を緑化基盤材として有効に再利用可能にすることで、造成現場等から伐採した伐根材の廃棄量を減少可能にする。
【解決手段】伐根材に付着した泥や石等を取り除き、伐根材を一次破砕機に投入できる大きさに切断する破砕前処理2、小割にした伐根材を一次破砕機に投入して破砕を行う一次破砕処理3、一次破砕の完了したチップ材を二次破砕機に投入してさらに大鋸屑状になるよう破砕する二次破砕処理4を有するチップ化工程Pと、チップ化工程Pによって製造したチップ材を土砂系または有機質系の植生基盤材主体の材料として吹付けする植生基盤材吹付処理9を有する植生工程Qとから構成する。土砂系の植生基盤材は、チップ材を腐食させない生材の状態で配合した土砂主体のものとし、また有機質系の植生基盤材は、チップ材を配合した有機質主体のものとする。
【選択図】 図1
【解決手段】伐根材に付着した泥や石等を取り除き、伐根材を一次破砕機に投入できる大きさに切断する破砕前処理2、小割にした伐根材を一次破砕機に投入して破砕を行う一次破砕処理3、一次破砕の完了したチップ材を二次破砕機に投入してさらに大鋸屑状になるよう破砕する二次破砕処理4を有するチップ化工程Pと、チップ化工程Pによって製造したチップ材を土砂系または有機質系の植生基盤材主体の材料として吹付けする植生基盤材吹付処理9を有する植生工程Qとから構成する。土砂系の植生基盤材は、チップ材を腐食させない生材の状態で配合した土砂主体のものとし、また有機質系の植生基盤材は、チップ材を配合した有機質主体のものとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄処分される伐根材を緑化基盤材として再利用可能にして造成地における植生の栄養分とするための伐根チップ材を使用した植生工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来における植生工法は、道路新設、ダム工事等の土地造成にともない発生した裸地(主に法面)、特に植物の生育が難しい硬質の岩盤等に植生する為に、植物の生育に必要な生育基盤を吹付けすることによって人工的にこれを設ける工法であり、厚層基材吹付工または植生基盤材吹付工がある。このときの造成地に発生する木材のうち不要な部分である例えば根、枝葉は、産業廃棄物として廃棄している。
【0003】
また、土壌硬度23mmから27mmまでの植生に有効な土壌層のない法面等に適用される土砂系での厚層基材吹付工の作業において使用する吹付機としては、例えばスクイズポンプによる圧送機種を使用し、コンプレッサ・発電機・攪拌用モータを備えたミキシングタンク等の編成機材を専用トラックに搭載して作業を行う。一方、土壌硬度27mm以上の硬質岩盤等で植生に有効な土壌層のない法面や急傾斜地等、従来継続的な緑化が困難な場所に適用される有機質系での厚層基材吹付工の作業において使用する吹付機としては、例えばモルタル吹付機を使用し、コンプレッサ・発電機等を現場に設置して吹付作業を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような従来の植生工法では、例えば厚層基材吹付工のみの作業の場合、整地等で剥ぎ取られた伐根材は、上述したように、再利用されずにそのまま廃棄処理されているのが現状である。そのため、このように整地等で剥ぎ取られた伐根材は、そのまま廃棄処理されていた為、造成現場等から発生する伐根材の廃棄物が大量に増えるのに伴い、廃棄処理のための設備や労働力が嵩んでコストもかかる等の問題点を有していた。
【0005】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、地山等の道路に沿った法面等から剥ぎ取られた本来は廃棄物となる伐根材を植生基盤材として土中に返すことで造成地における植生の栄養分とすることができ、しかも当該伐根材を有効に再利用することによって従来工法と比較して造成現場等から発生する伐根材の廃棄量を大幅に減少させることができ、また伐根材を配合しても、植生の生育に係る品質が従来工法によるのと同等で、且つ管理基準、管理方法においても従来工法と同じような基準および方法で管理することができ、さらに吹付工における使用機械も従来と同じ吹付機械設備で施工することができるものとした伐根チップ材を使用した植生工法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を達成するため、本発明にあっては、緑化すべき地域に元々存在していた伐裁材の根、枝葉等の部分を再利用して造成地での植物の育成を可能ならしめるよう細かく破砕したチップ材を植生基盤材主体の材料として吹付けする植生基盤材吹付処理9を有するものである。
植生基盤材吹付処理9は、チップ材を腐食させない生材の状態で配合した土砂主体の植生基盤材にして吹付けするものとできる。
植生基盤材吹付処理9における土砂主体の植生基盤材の1立方m当たりの配合量は、高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、養生材を20kg、黒土状の客土を0.5立方m、バーク堆肥等の木質土壌改良材を800リットル、その他の土壌改良材8kg、粘着材を1kg、チップ材を200リットルとし、種子を混合する構成とすることができる。
植生基盤材吹付処理9は、チップ材を配合した有機質主体の植生基盤材にして吹付けするものとできる。
植生基盤材吹付処理9における有機質主体の植生基盤材の1立方m当たりの配合量は、高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、生育基盤材を1000リットル、バーク堆肥等の木質土壌改良材を500リットル、粘着材を1kg、チップ材を500リットルとし、種子を混合する構成とすることができる。
チップ材は、伐根材に付着した泥や石等を取り除いてから当該伐根材を一次破砕機に投入できる大きさに切断する破砕前処理2、小割にした伐根材を一次破砕機に投入して破砕を行う一次破砕処理3、一次破砕の完了したチップ材を二次破砕機に投入してさらに大鋸屑状になるよう破砕する二次破砕処理4を有するチップ化工程Pによって製造されるものとできる。
造成地の勾配の程度に応じて植生基盤材吹付処理9の前に金網Rを植生面に添わせて布設する金網布設処理7を行うものとすることができる。
【0007】
以上のように構成された本発明に係る伐根チップ材を使用した植生工法において、チップ化工程Pは、一次破砕処理3でもって一次破砕の完了したチップ材を、二次破砕処理4における二次破砕機に投入してさらに大鋸屑状になるよう破砕させる。
また、チップ化工程Pによって製造されたチップ材を、植生基盤材吹付処理9でもって土砂主体の植生基盤材にして吹付けを行うので、安定した植生基盤の造成を可能にさせる。すなわち、有効な土壌層のない法面等の安定化と緑化が図れると同時に伐根材の廃棄量を減少させ、しかも処理コストも低減させる。また造成現場内で発生した伐根材を生育基盤材として再利用するため、チップ化工程Pを含めても従来の植生基盤材吹付工と比較してほぼ同程度のコストで施工を可能にさせる。
植生基盤材吹付処理9における吹付材料の所定の配合量は、造成地における安定した緑化基盤構造を形成させる。
また、チップ化工程Pによって製造されたチップ材を、植生基盤材吹付処理9でもって有機質主体の植生基盤材にして吹付けを行うので、安定した植生基盤の造成を可能にさせ、これによって有効な土壌層のない法面等の安定化と緑化を図ると同時に伐根材の廃棄量を減少させ、しかも処理コストも低減させる。
前記二次破砕処理4によって細かく破砕したチップ材を植生基盤材主体の材料と混合して吹付けする植生基盤材吹付処理9は、緑化すべき造成地で生じた伐根材を、土砂地盤の厚さまたは有機質地盤の厚さを選定して再利用させることで、現場内で発生した伐根材を緑化のための生育基盤材として効率良く再利用させる。
金網布設処理7は、例えば道路法面等の造成地の植生面に対し適正な被覆効果が得られ、植生基盤を安定化させる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態に係る伐根チップ材を使用した所謂チップバックと称する植生工法は、伐根材を自然の土に返すという考えに基づき、例えば土地造成等で発生した伐根材を現地で細かく破砕してチップ化し、吹付の基盤の中に混合することで、従来は廃棄物であった伐根材を緑化のための植生基盤材として有効的に再利用する工法である。すなわち、図1に示すフローチャートのように、主としてチップ化工程Pと、細かく破砕したチップ材を配合して土砂系または有機質系の植生基盤材に加工してから吹付けする植生基盤材吹付処理9を有する植生工程Qとに大別される。尚、この植生基盤とは、植物の生育に必要な例えば保水性、保肥性、通気性等を備えた人工的な土壌の総称である。
【0009】
先ずチップ化工程Pの施工手順について図1に示すフローチャートに基づき説明する。チップ化工程Pは、先ず伐根材の乾燥作業および一次破砕機、バックホウの搬入・配置作業等の準備・仮設処理1を行い、次いで法面で伐採された破砕前の伐根材に付着した泥や石等を取り除き、伐根材を一次破砕機に投入できる大きさに切断する破砕前処理2を行う。そして小割にした伐根材を一次破砕機に投入して破砕を行う一次破砕処理3、一次破砕の完了した伐根材を二次破砕機に投入してさらに細かく大鋸屑状になるよう破砕する二次破砕処理4それぞれを行った後、破砕処理プラントの片付け作業としての後片付け処理5を行う。
【0010】
このチップ化工程Pの準備・仮設処理1では、伐根材の根に付着している土石を取りやすくするために当該伐根材を最低1ヶ月から2ヶ月程度の間だけ堆積した状態で乾燥させる伐根材の乾燥作業と、一次破砕機およびバックホウを施工現場に配置する一次破砕機・バックホウの搬入・配置作業とが行われる。尚、必要に応じて近隣住民等に対し施工現場が危険であることを明確にすべく立入禁止等の看板を設置する等の措置を取る。
【0011】
破砕前処理2は、乾燥させた伐根材を油圧切断機付のバックホウで小割にし土石を取り除く作業である。すなわち、破砕前の伐根材に付着した泥や石等を取り除き、伐根材を一次破砕機に投入できる大きさに切断するためにバックホウおよびアタッチメントの油圧切断機を使用する。この工程での処理状況が一次破砕処理3、二次破砕処理4の後のチップ材の品質に大きく影響するので、念入りに泥や石等を取り除き、一次破砕機に投入可能となる大きさに均等に切断する必要がある。
【0012】
一次破砕処理3では、小割にした伐根材を掴み装置付のバックホウで一次破砕機に投入して約38mm〜50mm程度の大きさに破砕処理し、破砕形成されたチップ材を例えばベビートロンメル等で篩にかけ、大きいチップ材は再度破砕するものとした一次破砕作業と、一次破砕したチップ材を施工現場近辺の空地等において、例えば幅約5m程度、高さ約2m程度に堆積した状態で保管するための一次破砕チップ材の保管作業とが行われる。
【0013】
二次破砕処理4では、先ず二次破砕機とタイヤショベルとを施工現場に配置する二次破砕機・タイヤショベルの搬入配置作業が行われ、必要に応じて近隣住民等に対し施工現場が危険であることを明確にすべく立入禁止等の看板を設置する等の措置を取る。そして一次破砕の完了したチップ材をタイヤショベルで二次破砕機に投入してさらに細かく例えば約10mm程度の大きさの大鋸屑状になるよう破砕する二次破砕作業と、二次破砕したチップ材を例えば1トン土嚢に詰め込みクレーン付トラックで運搬して一旦保管しておくための二次破砕チップ材の保管作業とが行われる。
【0014】
このようにチップ材を約10mm程度まで細かく破砕するため、従来の植生基盤材吹付工の機械設備での吹付施工が可能となる。しかも吹付に必要な機械設備、能力、施工方法は、従来の植生基盤材吹付工と同様のため、施工管理基準・出来形管理基準および管理方法がそのまま流用できるものとなる。
【0015】
後片付け処理5では、機械類の搬出後に破砕処理プラントを速やかに片付けし、プラント設置前と同じ状態に復旧するための破砕処理プラントの片付け作業を行う。
【0016】
次に植生基盤材吹付処理9を有する植生工程Qの施工手順について、同じく図1に示すフローチャートに基づき説明する。植生工程Qは、先ず施工範囲と施工数量を確認する起工測量作業および資材発注・搬入・検収作業等の準備・仮設処理6を行い、次いで地山の状態・勾配等により金網Rを法面に添わせて布設することで吹付仕上がり面が適正な被覆効果を発揮させるようにするための金網布設処理7を行う。そして金網布設処理7にて布設された金網Rをアンカーピンの打設によってしっかりと固定するための金網固定処理8を行った後、植生基盤材吹付処理9を行い植生基盤を造成する。次いで出来形面積を測量用テープで実測して出来形図面を作成する出来形測定処理10と、吹付用機材を設置した場所、吹付施工面周辺等を施工前と同じ状態に復旧する後片付け処理11とを行う。
【0017】
この植生工程Qでの準備・仮設処理6では、例えば施工実施期間・施工手順・作業人員の手配等の為の綿密な打合せを行い、次いで測量用テープ等で実測して施工範囲と施工数量を確認する起工測量作業と、各資材を工程に合わせて随時発注し搬入すると共に、搬入時には規格寸法を検収して設計と合致することを確認して使用し、また現場内で保管する場合は、雨水に濡れないように防水シート材やコンクリートパネル等で養生を行う資材発注・搬入・検収作業とが行われる。
【0018】
前記金網布設処理7は、現場条件によって植生基盤の安定を図るために行われる作業である。すなわち、図2(a)に示すように、例えば菱形格子状に編成された金網Rをできるだけ地山の法面に添わせて布設し、仕上がり面が適正な被覆効果を発揮するようにする。また、法肩部については、流下水浸入による損傷防止、吹付材の安定と十分な植生効果を得るため約30cm〜40cm程度の巻き込みを行う。このとき法面上では作業者の転落防止のため直径約18mm程度の親綱を使用したロープ足場Vを使用して作業する。
【0019】
また金網固定処理8は、金網布設処理7にて布設された金網Rをしっかりと固定するために行われる作業である。すなわち図2(b)に示すように、通常100平方m当たりに例えば直径が約16mm、全長が約400mm、フック長が約50mmの主アンカーピンS1を30本、直径が約10mm、全長が約200mm、フック長が約30mmの補助アンカーピンS2を150本それぞれを所定距離の間隔をもって打ち込むものである。このとき、両アンカーピンS1,S2の打ち込みは法面に対して直角となるようにし、セットハンマーで打ち込む。尚、硬質面はハンマードリルで削孔したあとに両アンカーピンS1,S2を挿入し、セットハンマーで打ち込む。このとき、両アンカーピンS1,S2の浮き上がりが無いように留意する。
【0020】
尚、金網Rは、例えば垂直距離1に対し、水平距離1.5の勾配より急な斜面に対して使用するのであるが、平らな造成面を植生するときには金網Rを使用せずに平地にそのまま植生工程Qの吹付けを施工する。尚、金網Rに代えて合成樹脂材製のネット材を用いることもできる。
【0021】
そして植生基盤材吹付処理9は、土砂材と前記チップ化工程Pで形成したチップ材とが主材料となる土砂系の植生基盤材を吹付ける場合と、有機質材と同じく前記チップ化工程Pで形成したチップ材とが主材料となる有機質系の植生基盤材を吹付ける場合とがあり、現場条件・施工条件・気象条件等を検討して適宜使い分けをするものとしている。このときの吹付け施工に使用される植生基盤材の土砂系と有機質系の分け方については、例えば北海道等の寒冷地においては、一般的に土壌硬度23mmから27mmまでの地盤の場合には土砂系の植生基盤材を、土壌硬度27mm以上の地盤の場合には有機質系の植生基盤材を適用している。この土壌硬度の調査方法としては、吹付する面が露出した段階で土壌硬度計等を使用して測定する。また、植生基盤材吹付処理9を実施する前には、緑化する箇所の勾配、土質、土壌成分、降水量等の調査を実施し、その結果によって工法および植生基盤の厚さ等を決定して選定された植生工程Qのフローに基づいて行われる。
【0022】
土砂系の植生基盤材を吹付ける場合は、土壌硬度23mmから27mmまでの植生に有効な土壌層のない法面等に適用されるもので、山地の状況に応じて法面に金網Rを張付け、ペースト状の土砂・伐根チップ材主体の基層吹付を行い、保水性・保肥性・通気性等を有し植生の安定生育が可能な植生基盤を造成するものである。
【0023】
具体的には、土砂系の吹付材料として使用される植生基盤材は、1立方m当たりの所定の配合量に従い、使用する吹付機のタンク容量により1タンク当たりの投入量を決定する。すなわち1立方m当たりの数量に決定された配合量は、例えば高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、養生材を20kg、黒土状の客土を0.5立方m、バーク堆肥等の木質土壌改良材を800リットル、その他の土壌改良材8kg、例えば粉末状の粘着材を1kg、チップ材を200リットルとし、植生のために混合される種子については、現地条件、気象条件等により使用する品種および種子量を選定することとしている。
【0024】
尚、図3に示すように、土砂系の植生基盤材の吹付作業において使用する吹付機21は、スクイズポンプ22による圧送機種を使用し、コンプレッサ23と、発電機24と、攪拌用モータ25によって回転する複数の回転羽根を内装したミキシングタンク26と、揚水ポンプ27との編成機材を専用トラックTに搭載して作業を行う。またミキシングタンク26の搬入口には揚水ポンプ27の導入管が挿入され、ミキシングタンク26内に水が供給される。ベルトコンベアによるミキシングタンク26内への材料投入は、配合割合を熟知している熟練した人員を配置し、上記した配合量にしたがって1タンク当たりの数量を投入する。また投入量を袋数で管理できないものは計量器具を用いて計量する。
【0025】
吹付機21のミキシングタンク26内で攪拌用モータ25によって十分混練させた吹付材料は、図4(a)に示すように、地山の法面近傍に搬送配置された材料圧送ホース28によって給送され、材料圧送ホース28のノズル先端で接続されたエアーホース29先端を介してコンプレッサ23によるエアーと合流させて地山に吹付けられる。このとき法面上では作業者の転落防止のため直径約18mm程度の親綱を使用したロープ足場Vを使用して作業する。尚、基層吹付処理7のノズル操作は熟練者が行い、図4(b)に示すようにノズルは原則として吹付面に対して略直角となるようにし、吹付距離は、法面から約0.8〜1.0m程度に保持し、著しい厚薄のムラが生じないように作業する。
【0026】
一方、有機質系の植生基盤材を吹付ける場合は、土壌硬度27mm以上の硬質岩盤等で植生に有効な土壌層のない法面や急傾斜地等、従来継続的な緑化が困難な場所に適用されるもので、山地の状況に応じてこれらの場所に緑化基礎として金網Rをアンカーピンで張付けて法面を被覆し、その後に有機質基盤材、伐根チップ材が主体の材料構成で、例えばコンクリート吹付機等を使用して厚層に吹付けを行い、法面に対し保水性・保肥性・通気性等を有し植生の安定生育が可能な植生基盤を造成するものである。
【0027】
有機質系の吹付材料として使用される植生基盤材は1立方m当たりの配合量に従い、使用する吹付機のタンク容量により1バッチ当たりの投入量を決定する。すなわち1立方m当たりの数量に決定された吹付材料の配合量は、例えば高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、生育基盤材を1000リットル、例えば「ネイチャーソイル3号」と称するバーク堆肥内容物の木質土壌改良材を500リットル、粘着材を1kg、チップ材を500リットルとし、種子については、現地条件、気象条件等により使用する品種および種子量を選定することとしている。
【0028】
しかして、高度化成肥料とは、肥料の成分中、N・P・K(窒素・リン酸・カリウム)の割合が30%以上の肥料のものをいう。そして遅効性肥料とは、肥料の表面にコーティングが施してあり、施肥したときすぐに溶けずに、時間をかけて少しずつ溶解する性質の肥料のことである。また黒土状というのは、土砂の性状のことを意味するものであり、本発明においては土の形状は特に限定されない。バーク堆肥を内容物とした木質土壌改良材としては例えば「ネイチャーソイル3号」(商品名)というものを採用することができる。
【0029】
また、種子については、主に牧草の種子を使用するのであり、それらには、寒さに強い品種、乾燥に強い品種、暑さに強い品種等それぞれ特徴がありそれらを気象条件にあわせ使い分ける。例えば、公園等で使用する場合は、草丈が短く、株状になりにくい品種を使用する。また、発注者の要望によっては花の種子を配合する場合、または野草の種子を配合する場合、あるいは木の種子を配合する場合などがある。
【0030】
尚、図5に示すように、有機質系の植生基盤材の吹付作業において使用する吹付機としては例えばコンクリート吹付機31を使用し、コンプレッサ32・発電機33等の吹付プラントを現場内に設置して作業を行う。ベルトコンベア34により上記した配合量にしたがって1バッチ当たりの数量を投入する。投入量を袋数で管理できないものは計量器具を用いて計量する。
【0031】
コンクリート吹付機31のタンク内で十分混練させた植生基盤材は、法面近傍に搬送配置された材料圧送ホース35内をコンプレッサ32のエアー圧で給送され、地山に吹付けられる。尚、材料圧送ホース35のノズル操作は熟練者が行い、ノズルは原則として吹付面に対して略直角となるようにし、吹付距離は、法面から約0.8〜1.0m程度に保持し、著しい厚薄のムラが生じないように作業する(図4参照)。また、法面上では作業者の転落防止のため、直径約18mm程度の親綱を使用したロープ足場Vを使用して作業する(図2参照)。
【0032】
更に前記出来形測定処理10では、例えば200平方mに1箇所、吹付厚の出来形を測定して結果表に取りまとめ、また出来形面積を測量用テープで実測して出来形図面を作成し、さらに使用された空袋・空缶等の数量を確認して結果表に取りまとめる。
【0033】
後片付け処理11では、資材置場、仕込ヤード等の作業所周辺を清掃し、施工前と同じ状態に復旧する。
【0034】
次に以上のように構成された実施の形態における作業手順の一例について説明する。先ず、緑化造成すべき箇所の勾配、土質、土壌成分、降水量等の調査を実施する一方、その箇所に生育している樹木その他を伐採し、材木として使用可能なものは適宜搬出し、また樹木の根等は地中から取り出し、地均し等を行い、平坦化あるいは傾斜状の法面化処理を行う。このとき造成地で生じた伐根材等をチップ化工程Pによってチップ化するのであり、一次破砕処理3では造成地に搬入した一次破砕機・バックホウ等によって一次破砕し、所定期間の乾燥後に二次破砕処理4ではタイヤショベルで二次破砕機に投入して更に破砕して大鋸屑状にチップ化し、保管する一方、後片付け処理5でこれらの機器を搬出し、植生工程Qに備える。
【0035】
次いで植生工程Qによって、緑化すべき植生造成に対応した種子を含む植生基盤材を吹き付けるのであり、準備・仮設処理6では施工範囲、施工数量等の確認、準備を行い、造成地の傾斜の有無等によって例えば法面等の植生基盤材等の流出の虞がある場合には金網布設処理7、金網固定処理8を行って造成地等に金網Rを張り巡らす。次いで、測定された土壌硬度に対応して土壌硬度が例えば23mmから27mmまでで植生に有効な土壌層のない法面等である場合には土砂系の植生基盤材を吹付機21等を使用して厚層に吹付けを行う。一方、土壌硬度27mm以上の硬質岩盤等で植生に有効な土壌層のない法面や急傾斜地等である場合には有機質系の植生基盤材をコンクリート吹付機31を使用して吹付けを行う。然る後、出来形測定処理10では吹付厚その他の出来形を測定して取りまとめると共に出来形図面を実測作成し、後片付け処理11では資材置場、仕込ヤード等の作業所周辺を清掃し、施工前と同じ状態に復旧することで一連の作業を完了するのである。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているために、地山等の道路に沿った法面等から剥ぎ取られた本来は廃棄物となる伐根材を植生基盤材として土中に返すことで造成地における植生の栄養分とすることができ、しかも当該伐根材を有効に再利用することによって従来工法と比較して造成現場等から発生する伐根材の廃棄量を大幅に減少させることができる。また伐根材を配合しても、植生の生育に係る品質が従来工法によるのと同等で、且つ管理基準、管理方法においても従来工法と同じような基準および方法で管理することができ、さらに吹付工における使用機械も従来と同じ吹付機械設備で施工することができる。
【0037】
また現在では、様々な廃棄物やリサイクルに関わる法律も施行され、造成地以外の例えば工事現場等から発生する廃棄物の減量、当該現場内での廃棄物の再利用についても行政からの指導がある。そのため、従来では廃棄物として廃棄されていた根・枝葉を再利用して自然に返すこと、例えば、道路新設、ダム工事等の土地造成にともない発生した木材のうち、製材としての利用価値が低い根及び枝葉の部分を細かく破砕することによって、道路新設、ダム工事等の土地造成にともない発生した裸地(主に法面)、特に植物の生育が難しい硬質の岩盤等を人工的に植生するための生育基盤の一部として再利用することで、廃棄物の量を軽減する有効なリサイクル手段を提供することができ、しかも省資源にも十分に貢献することができる。
【0038】
すなわちこれは本発明が、緑化すべき地域に元々存在していた伐裁材の根、枝葉等の部分を再利用して造成地での植物の育成を可能ならしめるよう細かく破砕したチップ材を植生基盤材主体の材料として吹付けする植生基盤材吹付処理9を有するからであり、これにより、現場内で発生した伐根材を緑化のための生育基盤材として効率良く再利用することができ、廃棄物の量を軽減する有効なリサイクル手段を提供することができる。そればかりでなく、現場内で発生した伐根材を緑化のための生育基盤材として再利用するため、従来の植生基盤材吹付工と比較して同等程度のコストで施工が可能となる。また、硬質岩盤等で有効な土壌層のない道路法面や急傾斜地等に安定した植生基盤の造成が可能となり、土壌層のない地山法面の安定化と緑化を図ることができ、同時に伐根材の廃棄量を減少させることができ、しかも処理コストも低減することができる。
【0039】
植生基盤材吹付処理9として、チップ材を腐食させない生材の状態で配合した土砂主体の植生基盤材にして吹付けすることで、これにより土壌硬度23mmから27mmまでの植生に有効な土壌層のない道路法面や急傾斜地等に対し、保水性・保肥性・通気性等を有する植生の安定生育が可能な植生基盤を造成して地山法面の安定化と緑化を図ることができ、同時に伐根材の廃棄量を減少させることができ、しかも処理コストも低減することができる。また、現場内で発生した伐根材を緑化のための生育基盤材として再利用するため、従来の土砂系の植生基盤材吹付工と比較して同等程度のコストで施工が可能となる。
【0040】
また、土砂主体の植生基盤材の1立方m当たりの配合量は、高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、養生材を20kg、黒土状の客土を0.5立方m、バーク堆肥等の木質土壌改良材を800リットル、その他の土壌改良材8kg、粘着材を1kg、チップ材を200リットルとし、種子を混合する構成としたので、植生の生育に係る品質が従来工法によるのと同等で、且つ管理基準・管理方法においても従来工法と同じような基準および方法で管理することができる。しかも、植生基盤材吹付処理9における土砂系の植生基盤材は、1立方m当たりの配合量に従い、使用する吹付機のタンク容量により1タンク当たりの投入量を決定することで容易に作製することができる。
【0041】
植生基盤材吹付処理9として、チップ材を配合した有機質主体の植生基盤材にして吹付けすることで、これにより土壌硬度27mm以上の硬質岩盤等で植生に有効な土壌層のない法面や急傾斜地等、従来継続的な緑化が困難な場所でも安定した植生基盤の造成が可能となり、土壌層のない地山法面の安定化と緑化を図ることができ、同時に伐根材の廃棄量を減少させることができ、しかも処理コストも低減することができる。また、現場内で発生した伐根材を緑化のための生育基盤材として再利用するため、従来の有機質系の植生基盤材吹付工と比較して同等程度のコストで施工が可能となる。
【0042】
また、有機質主体の植生基盤材の1立方m当たりの配合量は、高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、生育基盤材を1000リットル、バーク堆肥等の木質土壌改良材を500リットル、粘着材を1kg、チップ材を500リットルとし、種子を混合する構成としたので、植生の生育に係る品質が従来工法によるのと同等で、且つ管理基準・管理方法においても従来工法と同じような基準および方法で管理することが可能である。しかも、植生基盤材吹付処理9における有機質系の植生基盤材は1立方m当たりの配合量に従い、使用するコンクリート吹付機31のタンク容量により1バッチ当たりの投入量を決定することで容易に作製することができる。
【0043】
チップ材は、伐根材に付着した泥や石等を取り除いてから当該伐根材を一次破砕機に投入できる大きさに切断する破砕前処理2、小割にした伐根材を一次破砕機に投入して破砕を行う一次破砕処理3、一次破砕の完了したチップ材を二次破砕機に投入してさらに大鋸屑状になるよう破砕する二次破砕処理4を有するチップ化工程Pによって製造されるものとしたので、従来では廃棄物として廃棄されていた根・枝葉を無駄なく、しかも効率良く再利用して自然に返すことができ、生育地盤の植生に必要な栄養価を向上できる。
【0044】
造成地の勾配の程度に応じて植生基盤材吹付処理9の前に金網Rを植生面に添わせて布設する金網布設処理7、金網固定処理8を行うものとしたので、例えば道路法面における植生面に対し適正な被覆効果を発揮することができ、植生基盤の安定化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における道路法面に対する施工手順を示すフローチャートである。
【図2】同じく金網布設処理・金網固定処理の作業状態を示すもので、(a)は金網布設作業の斜視図、(b)は金網固定処理作業の斜視図である。
【図3】同じく植生基盤材吹付処理での作業において使用する吹付機の構成と使用状態を示す一部切欠側面図である。
【図4】同じくノズルによる吹付作業状態を示すもので、(a)は、吹付作業中の斜視図、(b)は法面の吹付面に対するノズルの配置状態を示す側面図である。
【図5】同じく植生基盤材吹付処理での作業における吹付機の使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
P…チップ化工程 Q…植生工程
R…金網 S1…主アンカーピン
S2…補助アンカーピン V…ロープ足場
T…専用トラック
1…準備・仮設処理 2…破砕前処理
3…一次破砕処理 4…二次破砕処理
5…後片付け処理 6…準備・仮設処理
7…金網布設処理 8…金網固定処理
9…植生基盤材吹付処理 10…出来形測定処理
11…後片付け処理
21…吹付機 22…スクイズポンプ
23…コンプレッサ 24…発電機
25…攪拌用モータ 26…ミキシングタンク
27…揚水ポンプ 28…材料圧送ホース
29…エアーホース
31…コンクリート吹付機 32…コンプレッサ
33…発電機 34…ベルトコンベア
35…材料圧送ホース 36…エアーホース
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃棄処分される伐根材を緑化基盤材として再利用可能にして造成地における植生の栄養分とするための伐根チップ材を使用した植生工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来における植生工法は、道路新設、ダム工事等の土地造成にともない発生した裸地(主に法面)、特に植物の生育が難しい硬質の岩盤等に植生する為に、植物の生育に必要な生育基盤を吹付けすることによって人工的にこれを設ける工法であり、厚層基材吹付工または植生基盤材吹付工がある。このときの造成地に発生する木材のうち不要な部分である例えば根、枝葉は、産業廃棄物として廃棄している。
【0003】
また、土壌硬度23mmから27mmまでの植生に有効な土壌層のない法面等に適用される土砂系での厚層基材吹付工の作業において使用する吹付機としては、例えばスクイズポンプによる圧送機種を使用し、コンプレッサ・発電機・攪拌用モータを備えたミキシングタンク等の編成機材を専用トラックに搭載して作業を行う。一方、土壌硬度27mm以上の硬質岩盤等で植生に有効な土壌層のない法面や急傾斜地等、従来継続的な緑化が困難な場所に適用される有機質系での厚層基材吹付工の作業において使用する吹付機としては、例えばモルタル吹付機を使用し、コンプレッサ・発電機等を現場に設置して吹付作業を行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような従来の植生工法では、例えば厚層基材吹付工のみの作業の場合、整地等で剥ぎ取られた伐根材は、上述したように、再利用されずにそのまま廃棄処理されているのが現状である。そのため、このように整地等で剥ぎ取られた伐根材は、そのまま廃棄処理されていた為、造成現場等から発生する伐根材の廃棄物が大量に増えるのに伴い、廃棄処理のための設備や労働力が嵩んでコストもかかる等の問題点を有していた。
【0005】
そこで本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、地山等の道路に沿った法面等から剥ぎ取られた本来は廃棄物となる伐根材を植生基盤材として土中に返すことで造成地における植生の栄養分とすることができ、しかも当該伐根材を有効に再利用することによって従来工法と比較して造成現場等から発生する伐根材の廃棄量を大幅に減少させることができ、また伐根材を配合しても、植生の生育に係る品質が従来工法によるのと同等で、且つ管理基準、管理方法においても従来工法と同じような基準および方法で管理することができ、さらに吹付工における使用機械も従来と同じ吹付機械設備で施工することができるものとした伐根チップ材を使用した植生工法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を達成するため、本発明にあっては、緑化すべき地域に元々存在していた伐裁材の根、枝葉等の部分を再利用して造成地での植物の育成を可能ならしめるよう細かく破砕したチップ材を植生基盤材主体の材料として吹付けする植生基盤材吹付処理9を有するものである。
植生基盤材吹付処理9は、チップ材を腐食させない生材の状態で配合した土砂主体の植生基盤材にして吹付けするものとできる。
植生基盤材吹付処理9における土砂主体の植生基盤材の1立方m当たりの配合量は、高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、養生材を20kg、黒土状の客土を0.5立方m、バーク堆肥等の木質土壌改良材を800リットル、その他の土壌改良材8kg、粘着材を1kg、チップ材を200リットルとし、種子を混合する構成とすることができる。
植生基盤材吹付処理9は、チップ材を配合した有機質主体の植生基盤材にして吹付けするものとできる。
植生基盤材吹付処理9における有機質主体の植生基盤材の1立方m当たりの配合量は、高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、生育基盤材を1000リットル、バーク堆肥等の木質土壌改良材を500リットル、粘着材を1kg、チップ材を500リットルとし、種子を混合する構成とすることができる。
チップ材は、伐根材に付着した泥や石等を取り除いてから当該伐根材を一次破砕機に投入できる大きさに切断する破砕前処理2、小割にした伐根材を一次破砕機に投入して破砕を行う一次破砕処理3、一次破砕の完了したチップ材を二次破砕機に投入してさらに大鋸屑状になるよう破砕する二次破砕処理4を有するチップ化工程Pによって製造されるものとできる。
造成地の勾配の程度に応じて植生基盤材吹付処理9の前に金網Rを植生面に添わせて布設する金網布設処理7を行うものとすることができる。
【0007】
以上のように構成された本発明に係る伐根チップ材を使用した植生工法において、チップ化工程Pは、一次破砕処理3でもって一次破砕の完了したチップ材を、二次破砕処理4における二次破砕機に投入してさらに大鋸屑状になるよう破砕させる。
また、チップ化工程Pによって製造されたチップ材を、植生基盤材吹付処理9でもって土砂主体の植生基盤材にして吹付けを行うので、安定した植生基盤の造成を可能にさせる。すなわち、有効な土壌層のない法面等の安定化と緑化が図れると同時に伐根材の廃棄量を減少させ、しかも処理コストも低減させる。また造成現場内で発生した伐根材を生育基盤材として再利用するため、チップ化工程Pを含めても従来の植生基盤材吹付工と比較してほぼ同程度のコストで施工を可能にさせる。
植生基盤材吹付処理9における吹付材料の所定の配合量は、造成地における安定した緑化基盤構造を形成させる。
また、チップ化工程Pによって製造されたチップ材を、植生基盤材吹付処理9でもって有機質主体の植生基盤材にして吹付けを行うので、安定した植生基盤の造成を可能にさせ、これによって有効な土壌層のない法面等の安定化と緑化を図ると同時に伐根材の廃棄量を減少させ、しかも処理コストも低減させる。
前記二次破砕処理4によって細かく破砕したチップ材を植生基盤材主体の材料と混合して吹付けする植生基盤材吹付処理9は、緑化すべき造成地で生じた伐根材を、土砂地盤の厚さまたは有機質地盤の厚さを選定して再利用させることで、現場内で発生した伐根材を緑化のための生育基盤材として効率良く再利用させる。
金網布設処理7は、例えば道路法面等の造成地の植生面に対し適正な被覆効果が得られ、植生基盤を安定化させる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態に係る伐根チップ材を使用した所謂チップバックと称する植生工法は、伐根材を自然の土に返すという考えに基づき、例えば土地造成等で発生した伐根材を現地で細かく破砕してチップ化し、吹付の基盤の中に混合することで、従来は廃棄物であった伐根材を緑化のための植生基盤材として有効的に再利用する工法である。すなわち、図1に示すフローチャートのように、主としてチップ化工程Pと、細かく破砕したチップ材を配合して土砂系または有機質系の植生基盤材に加工してから吹付けする植生基盤材吹付処理9を有する植生工程Qとに大別される。尚、この植生基盤とは、植物の生育に必要な例えば保水性、保肥性、通気性等を備えた人工的な土壌の総称である。
【0009】
先ずチップ化工程Pの施工手順について図1に示すフローチャートに基づき説明する。チップ化工程Pは、先ず伐根材の乾燥作業および一次破砕機、バックホウの搬入・配置作業等の準備・仮設処理1を行い、次いで法面で伐採された破砕前の伐根材に付着した泥や石等を取り除き、伐根材を一次破砕機に投入できる大きさに切断する破砕前処理2を行う。そして小割にした伐根材を一次破砕機に投入して破砕を行う一次破砕処理3、一次破砕の完了した伐根材を二次破砕機に投入してさらに細かく大鋸屑状になるよう破砕する二次破砕処理4それぞれを行った後、破砕処理プラントの片付け作業としての後片付け処理5を行う。
【0010】
このチップ化工程Pの準備・仮設処理1では、伐根材の根に付着している土石を取りやすくするために当該伐根材を最低1ヶ月から2ヶ月程度の間だけ堆積した状態で乾燥させる伐根材の乾燥作業と、一次破砕機およびバックホウを施工現場に配置する一次破砕機・バックホウの搬入・配置作業とが行われる。尚、必要に応じて近隣住民等に対し施工現場が危険であることを明確にすべく立入禁止等の看板を設置する等の措置を取る。
【0011】
破砕前処理2は、乾燥させた伐根材を油圧切断機付のバックホウで小割にし土石を取り除く作業である。すなわち、破砕前の伐根材に付着した泥や石等を取り除き、伐根材を一次破砕機に投入できる大きさに切断するためにバックホウおよびアタッチメントの油圧切断機を使用する。この工程での処理状況が一次破砕処理3、二次破砕処理4の後のチップ材の品質に大きく影響するので、念入りに泥や石等を取り除き、一次破砕機に投入可能となる大きさに均等に切断する必要がある。
【0012】
一次破砕処理3では、小割にした伐根材を掴み装置付のバックホウで一次破砕機に投入して約38mm〜50mm程度の大きさに破砕処理し、破砕形成されたチップ材を例えばベビートロンメル等で篩にかけ、大きいチップ材は再度破砕するものとした一次破砕作業と、一次破砕したチップ材を施工現場近辺の空地等において、例えば幅約5m程度、高さ約2m程度に堆積した状態で保管するための一次破砕チップ材の保管作業とが行われる。
【0013】
二次破砕処理4では、先ず二次破砕機とタイヤショベルとを施工現場に配置する二次破砕機・タイヤショベルの搬入配置作業が行われ、必要に応じて近隣住民等に対し施工現場が危険であることを明確にすべく立入禁止等の看板を設置する等の措置を取る。そして一次破砕の完了したチップ材をタイヤショベルで二次破砕機に投入してさらに細かく例えば約10mm程度の大きさの大鋸屑状になるよう破砕する二次破砕作業と、二次破砕したチップ材を例えば1トン土嚢に詰め込みクレーン付トラックで運搬して一旦保管しておくための二次破砕チップ材の保管作業とが行われる。
【0014】
このようにチップ材を約10mm程度まで細かく破砕するため、従来の植生基盤材吹付工の機械設備での吹付施工が可能となる。しかも吹付に必要な機械設備、能力、施工方法は、従来の植生基盤材吹付工と同様のため、施工管理基準・出来形管理基準および管理方法がそのまま流用できるものとなる。
【0015】
後片付け処理5では、機械類の搬出後に破砕処理プラントを速やかに片付けし、プラント設置前と同じ状態に復旧するための破砕処理プラントの片付け作業を行う。
【0016】
次に植生基盤材吹付処理9を有する植生工程Qの施工手順について、同じく図1に示すフローチャートに基づき説明する。植生工程Qは、先ず施工範囲と施工数量を確認する起工測量作業および資材発注・搬入・検収作業等の準備・仮設処理6を行い、次いで地山の状態・勾配等により金網Rを法面に添わせて布設することで吹付仕上がり面が適正な被覆効果を発揮させるようにするための金網布設処理7を行う。そして金網布設処理7にて布設された金網Rをアンカーピンの打設によってしっかりと固定するための金網固定処理8を行った後、植生基盤材吹付処理9を行い植生基盤を造成する。次いで出来形面積を測量用テープで実測して出来形図面を作成する出来形測定処理10と、吹付用機材を設置した場所、吹付施工面周辺等を施工前と同じ状態に復旧する後片付け処理11とを行う。
【0017】
この植生工程Qでの準備・仮設処理6では、例えば施工実施期間・施工手順・作業人員の手配等の為の綿密な打合せを行い、次いで測量用テープ等で実測して施工範囲と施工数量を確認する起工測量作業と、各資材を工程に合わせて随時発注し搬入すると共に、搬入時には規格寸法を検収して設計と合致することを確認して使用し、また現場内で保管する場合は、雨水に濡れないように防水シート材やコンクリートパネル等で養生を行う資材発注・搬入・検収作業とが行われる。
【0018】
前記金網布設処理7は、現場条件によって植生基盤の安定を図るために行われる作業である。すなわち、図2(a)に示すように、例えば菱形格子状に編成された金網Rをできるだけ地山の法面に添わせて布設し、仕上がり面が適正な被覆効果を発揮するようにする。また、法肩部については、流下水浸入による損傷防止、吹付材の安定と十分な植生効果を得るため約30cm〜40cm程度の巻き込みを行う。このとき法面上では作業者の転落防止のため直径約18mm程度の親綱を使用したロープ足場Vを使用して作業する。
【0019】
また金網固定処理8は、金網布設処理7にて布設された金網Rをしっかりと固定するために行われる作業である。すなわち図2(b)に示すように、通常100平方m当たりに例えば直径が約16mm、全長が約400mm、フック長が約50mmの主アンカーピンS1を30本、直径が約10mm、全長が約200mm、フック長が約30mmの補助アンカーピンS2を150本それぞれを所定距離の間隔をもって打ち込むものである。このとき、両アンカーピンS1,S2の打ち込みは法面に対して直角となるようにし、セットハンマーで打ち込む。尚、硬質面はハンマードリルで削孔したあとに両アンカーピンS1,S2を挿入し、セットハンマーで打ち込む。このとき、両アンカーピンS1,S2の浮き上がりが無いように留意する。
【0020】
尚、金網Rは、例えば垂直距離1に対し、水平距離1.5の勾配より急な斜面に対して使用するのであるが、平らな造成面を植生するときには金網Rを使用せずに平地にそのまま植生工程Qの吹付けを施工する。尚、金網Rに代えて合成樹脂材製のネット材を用いることもできる。
【0021】
そして植生基盤材吹付処理9は、土砂材と前記チップ化工程Pで形成したチップ材とが主材料となる土砂系の植生基盤材を吹付ける場合と、有機質材と同じく前記チップ化工程Pで形成したチップ材とが主材料となる有機質系の植生基盤材を吹付ける場合とがあり、現場条件・施工条件・気象条件等を検討して適宜使い分けをするものとしている。このときの吹付け施工に使用される植生基盤材の土砂系と有機質系の分け方については、例えば北海道等の寒冷地においては、一般的に土壌硬度23mmから27mmまでの地盤の場合には土砂系の植生基盤材を、土壌硬度27mm以上の地盤の場合には有機質系の植生基盤材を適用している。この土壌硬度の調査方法としては、吹付する面が露出した段階で土壌硬度計等を使用して測定する。また、植生基盤材吹付処理9を実施する前には、緑化する箇所の勾配、土質、土壌成分、降水量等の調査を実施し、その結果によって工法および植生基盤の厚さ等を決定して選定された植生工程Qのフローに基づいて行われる。
【0022】
土砂系の植生基盤材を吹付ける場合は、土壌硬度23mmから27mmまでの植生に有効な土壌層のない法面等に適用されるもので、山地の状況に応じて法面に金網Rを張付け、ペースト状の土砂・伐根チップ材主体の基層吹付を行い、保水性・保肥性・通気性等を有し植生の安定生育が可能な植生基盤を造成するものである。
【0023】
具体的には、土砂系の吹付材料として使用される植生基盤材は、1立方m当たりの所定の配合量に従い、使用する吹付機のタンク容量により1タンク当たりの投入量を決定する。すなわち1立方m当たりの数量に決定された配合量は、例えば高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、養生材を20kg、黒土状の客土を0.5立方m、バーク堆肥等の木質土壌改良材を800リットル、その他の土壌改良材8kg、例えば粉末状の粘着材を1kg、チップ材を200リットルとし、植生のために混合される種子については、現地条件、気象条件等により使用する品種および種子量を選定することとしている。
【0024】
尚、図3に示すように、土砂系の植生基盤材の吹付作業において使用する吹付機21は、スクイズポンプ22による圧送機種を使用し、コンプレッサ23と、発電機24と、攪拌用モータ25によって回転する複数の回転羽根を内装したミキシングタンク26と、揚水ポンプ27との編成機材を専用トラックTに搭載して作業を行う。またミキシングタンク26の搬入口には揚水ポンプ27の導入管が挿入され、ミキシングタンク26内に水が供給される。ベルトコンベアによるミキシングタンク26内への材料投入は、配合割合を熟知している熟練した人員を配置し、上記した配合量にしたがって1タンク当たりの数量を投入する。また投入量を袋数で管理できないものは計量器具を用いて計量する。
【0025】
吹付機21のミキシングタンク26内で攪拌用モータ25によって十分混練させた吹付材料は、図4(a)に示すように、地山の法面近傍に搬送配置された材料圧送ホース28によって給送され、材料圧送ホース28のノズル先端で接続されたエアーホース29先端を介してコンプレッサ23によるエアーと合流させて地山に吹付けられる。このとき法面上では作業者の転落防止のため直径約18mm程度の親綱を使用したロープ足場Vを使用して作業する。尚、基層吹付処理7のノズル操作は熟練者が行い、図4(b)に示すようにノズルは原則として吹付面に対して略直角となるようにし、吹付距離は、法面から約0.8〜1.0m程度に保持し、著しい厚薄のムラが生じないように作業する。
【0026】
一方、有機質系の植生基盤材を吹付ける場合は、土壌硬度27mm以上の硬質岩盤等で植生に有効な土壌層のない法面や急傾斜地等、従来継続的な緑化が困難な場所に適用されるもので、山地の状況に応じてこれらの場所に緑化基礎として金網Rをアンカーピンで張付けて法面を被覆し、その後に有機質基盤材、伐根チップ材が主体の材料構成で、例えばコンクリート吹付機等を使用して厚層に吹付けを行い、法面に対し保水性・保肥性・通気性等を有し植生の安定生育が可能な植生基盤を造成するものである。
【0027】
有機質系の吹付材料として使用される植生基盤材は1立方m当たりの配合量に従い、使用する吹付機のタンク容量により1バッチ当たりの投入量を決定する。すなわち1立方m当たりの数量に決定された吹付材料の配合量は、例えば高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、生育基盤材を1000リットル、例えば「ネイチャーソイル3号」と称するバーク堆肥内容物の木質土壌改良材を500リットル、粘着材を1kg、チップ材を500リットルとし、種子については、現地条件、気象条件等により使用する品種および種子量を選定することとしている。
【0028】
しかして、高度化成肥料とは、肥料の成分中、N・P・K(窒素・リン酸・カリウム)の割合が30%以上の肥料のものをいう。そして遅効性肥料とは、肥料の表面にコーティングが施してあり、施肥したときすぐに溶けずに、時間をかけて少しずつ溶解する性質の肥料のことである。また黒土状というのは、土砂の性状のことを意味するものであり、本発明においては土の形状は特に限定されない。バーク堆肥を内容物とした木質土壌改良材としては例えば「ネイチャーソイル3号」(商品名)というものを採用することができる。
【0029】
また、種子については、主に牧草の種子を使用するのであり、それらには、寒さに強い品種、乾燥に強い品種、暑さに強い品種等それぞれ特徴がありそれらを気象条件にあわせ使い分ける。例えば、公園等で使用する場合は、草丈が短く、株状になりにくい品種を使用する。また、発注者の要望によっては花の種子を配合する場合、または野草の種子を配合する場合、あるいは木の種子を配合する場合などがある。
【0030】
尚、図5に示すように、有機質系の植生基盤材の吹付作業において使用する吹付機としては例えばコンクリート吹付機31を使用し、コンプレッサ32・発電機33等の吹付プラントを現場内に設置して作業を行う。ベルトコンベア34により上記した配合量にしたがって1バッチ当たりの数量を投入する。投入量を袋数で管理できないものは計量器具を用いて計量する。
【0031】
コンクリート吹付機31のタンク内で十分混練させた植生基盤材は、法面近傍に搬送配置された材料圧送ホース35内をコンプレッサ32のエアー圧で給送され、地山に吹付けられる。尚、材料圧送ホース35のノズル操作は熟練者が行い、ノズルは原則として吹付面に対して略直角となるようにし、吹付距離は、法面から約0.8〜1.0m程度に保持し、著しい厚薄のムラが生じないように作業する(図4参照)。また、法面上では作業者の転落防止のため、直径約18mm程度の親綱を使用したロープ足場Vを使用して作業する(図2参照)。
【0032】
更に前記出来形測定処理10では、例えば200平方mに1箇所、吹付厚の出来形を測定して結果表に取りまとめ、また出来形面積を測量用テープで実測して出来形図面を作成し、さらに使用された空袋・空缶等の数量を確認して結果表に取りまとめる。
【0033】
後片付け処理11では、資材置場、仕込ヤード等の作業所周辺を清掃し、施工前と同じ状態に復旧する。
【0034】
次に以上のように構成された実施の形態における作業手順の一例について説明する。先ず、緑化造成すべき箇所の勾配、土質、土壌成分、降水量等の調査を実施する一方、その箇所に生育している樹木その他を伐採し、材木として使用可能なものは適宜搬出し、また樹木の根等は地中から取り出し、地均し等を行い、平坦化あるいは傾斜状の法面化処理を行う。このとき造成地で生じた伐根材等をチップ化工程Pによってチップ化するのであり、一次破砕処理3では造成地に搬入した一次破砕機・バックホウ等によって一次破砕し、所定期間の乾燥後に二次破砕処理4ではタイヤショベルで二次破砕機に投入して更に破砕して大鋸屑状にチップ化し、保管する一方、後片付け処理5でこれらの機器を搬出し、植生工程Qに備える。
【0035】
次いで植生工程Qによって、緑化すべき植生造成に対応した種子を含む植生基盤材を吹き付けるのであり、準備・仮設処理6では施工範囲、施工数量等の確認、準備を行い、造成地の傾斜の有無等によって例えば法面等の植生基盤材等の流出の虞がある場合には金網布設処理7、金網固定処理8を行って造成地等に金網Rを張り巡らす。次いで、測定された土壌硬度に対応して土壌硬度が例えば23mmから27mmまでで植生に有効な土壌層のない法面等である場合には土砂系の植生基盤材を吹付機21等を使用して厚層に吹付けを行う。一方、土壌硬度27mm以上の硬質岩盤等で植生に有効な土壌層のない法面や急傾斜地等である場合には有機質系の植生基盤材をコンクリート吹付機31を使用して吹付けを行う。然る後、出来形測定処理10では吹付厚その他の出来形を測定して取りまとめると共に出来形図面を実測作成し、後片付け処理11では資材置場、仕込ヤード等の作業所周辺を清掃し、施工前と同じ状態に復旧することで一連の作業を完了するのである。
【0036】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているために、地山等の道路に沿った法面等から剥ぎ取られた本来は廃棄物となる伐根材を植生基盤材として土中に返すことで造成地における植生の栄養分とすることができ、しかも当該伐根材を有効に再利用することによって従来工法と比較して造成現場等から発生する伐根材の廃棄量を大幅に減少させることができる。また伐根材を配合しても、植生の生育に係る品質が従来工法によるのと同等で、且つ管理基準、管理方法においても従来工法と同じような基準および方法で管理することができ、さらに吹付工における使用機械も従来と同じ吹付機械設備で施工することができる。
【0037】
また現在では、様々な廃棄物やリサイクルに関わる法律も施行され、造成地以外の例えば工事現場等から発生する廃棄物の減量、当該現場内での廃棄物の再利用についても行政からの指導がある。そのため、従来では廃棄物として廃棄されていた根・枝葉を再利用して自然に返すこと、例えば、道路新設、ダム工事等の土地造成にともない発生した木材のうち、製材としての利用価値が低い根及び枝葉の部分を細かく破砕することによって、道路新設、ダム工事等の土地造成にともない発生した裸地(主に法面)、特に植物の生育が難しい硬質の岩盤等を人工的に植生するための生育基盤の一部として再利用することで、廃棄物の量を軽減する有効なリサイクル手段を提供することができ、しかも省資源にも十分に貢献することができる。
【0038】
すなわちこれは本発明が、緑化すべき地域に元々存在していた伐裁材の根、枝葉等の部分を再利用して造成地での植物の育成を可能ならしめるよう細かく破砕したチップ材を植生基盤材主体の材料として吹付けする植生基盤材吹付処理9を有するからであり、これにより、現場内で発生した伐根材を緑化のための生育基盤材として効率良く再利用することができ、廃棄物の量を軽減する有効なリサイクル手段を提供することができる。そればかりでなく、現場内で発生した伐根材を緑化のための生育基盤材として再利用するため、従来の植生基盤材吹付工と比較して同等程度のコストで施工が可能となる。また、硬質岩盤等で有効な土壌層のない道路法面や急傾斜地等に安定した植生基盤の造成が可能となり、土壌層のない地山法面の安定化と緑化を図ることができ、同時に伐根材の廃棄量を減少させることができ、しかも処理コストも低減することができる。
【0039】
植生基盤材吹付処理9として、チップ材を腐食させない生材の状態で配合した土砂主体の植生基盤材にして吹付けすることで、これにより土壌硬度23mmから27mmまでの植生に有効な土壌層のない道路法面や急傾斜地等に対し、保水性・保肥性・通気性等を有する植生の安定生育が可能な植生基盤を造成して地山法面の安定化と緑化を図ることができ、同時に伐根材の廃棄量を減少させることができ、しかも処理コストも低減することができる。また、現場内で発生した伐根材を緑化のための生育基盤材として再利用するため、従来の土砂系の植生基盤材吹付工と比較して同等程度のコストで施工が可能となる。
【0040】
また、土砂主体の植生基盤材の1立方m当たりの配合量は、高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、養生材を20kg、黒土状の客土を0.5立方m、バーク堆肥等の木質土壌改良材を800リットル、その他の土壌改良材8kg、粘着材を1kg、チップ材を200リットルとし、種子を混合する構成としたので、植生の生育に係る品質が従来工法によるのと同等で、且つ管理基準・管理方法においても従来工法と同じような基準および方法で管理することができる。しかも、植生基盤材吹付処理9における土砂系の植生基盤材は、1立方m当たりの配合量に従い、使用する吹付機のタンク容量により1タンク当たりの投入量を決定することで容易に作製することができる。
【0041】
植生基盤材吹付処理9として、チップ材を配合した有機質主体の植生基盤材にして吹付けすることで、これにより土壌硬度27mm以上の硬質岩盤等で植生に有効な土壌層のない法面や急傾斜地等、従来継続的な緑化が困難な場所でも安定した植生基盤の造成が可能となり、土壌層のない地山法面の安定化と緑化を図ることができ、同時に伐根材の廃棄量を減少させることができ、しかも処理コストも低減することができる。また、現場内で発生した伐根材を緑化のための生育基盤材として再利用するため、従来の有機質系の植生基盤材吹付工と比較して同等程度のコストで施工が可能となる。
【0042】
また、有機質主体の植生基盤材の1立方m当たりの配合量は、高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、生育基盤材を1000リットル、バーク堆肥等の木質土壌改良材を500リットル、粘着材を1kg、チップ材を500リットルとし、種子を混合する構成としたので、植生の生育に係る品質が従来工法によるのと同等で、且つ管理基準・管理方法においても従来工法と同じような基準および方法で管理することが可能である。しかも、植生基盤材吹付処理9における有機質系の植生基盤材は1立方m当たりの配合量に従い、使用するコンクリート吹付機31のタンク容量により1バッチ当たりの投入量を決定することで容易に作製することができる。
【0043】
チップ材は、伐根材に付着した泥や石等を取り除いてから当該伐根材を一次破砕機に投入できる大きさに切断する破砕前処理2、小割にした伐根材を一次破砕機に投入して破砕を行う一次破砕処理3、一次破砕の完了したチップ材を二次破砕機に投入してさらに大鋸屑状になるよう破砕する二次破砕処理4を有するチップ化工程Pによって製造されるものとしたので、従来では廃棄物として廃棄されていた根・枝葉を無駄なく、しかも効率良く再利用して自然に返すことができ、生育地盤の植生に必要な栄養価を向上できる。
【0044】
造成地の勾配の程度に応じて植生基盤材吹付処理9の前に金網Rを植生面に添わせて布設する金網布設処理7、金網固定処理8を行うものとしたので、例えば道路法面における植生面に対し適正な被覆効果を発揮することができ、植生基盤の安定化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における道路法面に対する施工手順を示すフローチャートである。
【図2】同じく金網布設処理・金網固定処理の作業状態を示すもので、(a)は金網布設作業の斜視図、(b)は金網固定処理作業の斜視図である。
【図3】同じく植生基盤材吹付処理での作業において使用する吹付機の構成と使用状態を示す一部切欠側面図である。
【図4】同じくノズルによる吹付作業状態を示すもので、(a)は、吹付作業中の斜視図、(b)は法面の吹付面に対するノズルの配置状態を示す側面図である。
【図5】同じく植生基盤材吹付処理での作業における吹付機の使用状態を示す側面図である。
【符号の説明】
P…チップ化工程 Q…植生工程
R…金網 S1…主アンカーピン
S2…補助アンカーピン V…ロープ足場
T…専用トラック
1…準備・仮設処理 2…破砕前処理
3…一次破砕処理 4…二次破砕処理
5…後片付け処理 6…準備・仮設処理
7…金網布設処理 8…金網固定処理
9…植生基盤材吹付処理 10…出来形測定処理
11…後片付け処理
21…吹付機 22…スクイズポンプ
23…コンプレッサ 24…発電機
25…攪拌用モータ 26…ミキシングタンク
27…揚水ポンプ 28…材料圧送ホース
29…エアーホース
31…コンクリート吹付機 32…コンプレッサ
33…発電機 34…ベルトコンベア
35…材料圧送ホース 36…エアーホース
Claims (7)
- 緑化すべき地域に元々存在していた伐裁材の根、枝葉等の部分を再利用して造成地での植物の育成を可能ならしめるよう細かく破砕したチップ材を植生基盤材主体の材料として吹付けする植生基盤材吹付処理を有することを特徴とした伐根チップ材を使用した植生工法。
- 植生基盤材吹付処理は、チップ材を腐食させない生材の状態で配合させた土砂主体の植生基盤材にして吹付けするものである請求項1記載の伐根チップ材を使用した植生工法。
- 植生基盤材吹付処理における土砂主体の植生基盤材の1立方m当たりの配合量は、高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、養生材を20kg、黒土状の客土を0.5立方m、バーク堆肥等の木質土壌改良材を800リットル、その他の土壌改良材8kg、粘着材を1kg、チップ材を200リットルとし、種子を混合することとしている請求項2記載の伐根チップ材を使用した植生工法。
- 植生基盤材吹付処理は、チップ材を配合させた有機質主体の植生基盤材にして吹付けするものである請求項1記載の伐根チップ材を使用した植生工法。
- 植生基盤材吹付処理における有機質主体の植生基盤材の1立方m当たりの配合量は、高度化成肥料を6kg、遅効性肥料を3kg、生育基盤材を1000リットル、バーク堆肥等の木質土壌改良材を500リットル、粘着材を1kg、チップ材を500リットルとし、種子を混合することとしている請求項4記載の伐根チップ材を使用した植生工法。
- チップ材は、伐根材に付着した泥や石等を取り除いてから当該伐根材を一次破砕機に投入できる大きさに切断する破砕前処理、小割にした伐根材を一次破砕機に投入して破砕を行う一次破砕処理、一次破砕の完了したチップ材を二次破砕機に投入してさらに大鋸屑状になるよう破砕する二次破砕処理を有するチップ化工程によって製造される請求項1乃至5のいずれか記載の伐根チップ材を使用した植生工法。
- 造成地の勾配の程度に応じて植生基盤材吹付処理の前に金網を植生面に添わせて布設する金網布設処理を行うものとする請求項1乃至6のいずれか記載の伐根チップ材を使用した植生工法。
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JP2013108287A (ja) * | 2011-11-21 | 2013-06-06 | Hayashi Kensetsu Kk | 親綱支持装置および親綱支持装置を用いる法面の作業方法 |
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2003
- 2003-03-13 JP JP2003067442A patent/JP2004278021A/ja active Pending
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