JP2004277446A - 化粧板用プリプレグ及びその製造方法並びに化粧板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易にかつ低コストで、耐熱性等を有しつつ、曲面加工性に優れた化粧板用のプリプレグを製造する。
【解決手段】化粧板用プリプレグは基材とこの基材に担持された樹脂組成物とを有する。この樹脂組成物は、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物粒子を有する。この樹脂組成物は、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを複合粒子化して形成されている。この化粧板用プリプレグを、加熱加圧して化粧板を成形する。
【選択図】 なし
【解決手段】化粧板用プリプレグは基材とこの基材に担持された樹脂組成物とを有する。この樹脂組成物は、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物粒子を有する。この樹脂組成物は、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを複合粒子化して形成されている。この化粧板用プリプレグを、加熱加圧して化粧板を成形する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧板用プリプレグとその製造方法、及び化粧板の製造方法に関し、特に、曲面加工性に優れた化粧板用のプリプレグに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化粧板は、表面が硬く、耐熱性や耐汚染性に優れ、意匠性においても美しい外観を有し、更に豊富な色調、色柄の中から選択できることから、家具テーブル、会議用テーブル、事務デスク等の天板、あるいは住宅やオフィスビルの内装材などに広く使用されている。
【0003】
この化粧板の中でも、例えばメラミン樹脂化粧板のような熱硬化性樹脂化粧板は、熱硬化性樹脂を溶剤に溶解した樹脂ワニスを紙基材に含浸させたプリプレグを順次積層し、加熱加圧成形して製造される。この熱硬化性樹脂化粧板は用いる熱硬化性樹脂の性質により、耐熱性が高く、表面硬度、耐摩耗性、耐汚染性等の表面性能には優れたものであるが、反面、特に常温域では可撓性に乏しいため、曲面加工に対応することは困難である。このため、通常垂直面や水平面のような平面に限定して使用されている。
一方、常温域において大きな可撓性を有する化粧板としては熱可塑性樹脂化粧板がある。これは曲面加工性には優れたものであるが、耐熱性は低く、耐汚染性、耐候性、表面硬度などの表面性能は大きく低下するという問題がある。
【0004】
このような化粧板の欠点を解消すべく、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の特性を併せ持ち、耐熱性等を有しつつ、平面施工だけではなく、曲面加工も行える化粧板の検討が行われてきた。その一つとして、例えば、熱硬化性樹脂化粧板用のプリプレグとともに、熱可塑性樹脂を主成分とするシート等を用い、これらを交互にあるいは併用して積層して化粧板を成形する方法がある(例えば、特許文献1ないし3参照。)。しかし、この方法は、小さな曲げ半径を有する曲面加工を施す薄物の化粧板には適用しにくく、さらに、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが層単位で積層されているため、両樹脂のなじみの悪さに起因する両層の境界における分離または剥離が発生しやすいという問題があった。
【0005】
また、他の試みとして、化粧板用のプリプレグ自体に両樹脂の特性を併せ持たせることも行われている。例えば、紙基材として、あらかじめ熱可塑性樹脂成分を含有したものを用い、この基材に熱硬化性樹脂ワニスを含浸させてプリプレグを製造する方法がある(例えば、特許文献4及び5参照。)。この場合、熱可塑性樹脂成分は一般的に低粘度化させるのが難しいため、粒子化したものを紙基材繊維スラリーに混ぜて混抄するか、溶剤に溶解した熱可塑性樹脂を抄紙済みの基材に塗工した後、溶剤を除去する等の方法が採られることが多い。しかし、熱可塑性樹脂粒子は疎水性であるものが多いため、特に微粒子状のものを用いた場合は基材とともに混抄することそのものが難しい。また、溶剤を用いる場合でも、溶剤の除去、処理を要するだけでなく、基材繊維近辺に熱可塑性樹脂が偏在するという問題があった。
【0006】
このほかにも、熱可塑性樹脂を乳化重合等により水エマルジョン化し、これを熱硬化性樹脂ワニスとともに基材に含浸させる方法もある(例えば、特許文献6参照。)。しかし、熱可塑性樹脂を特定の粒径を有する微粒子化したエマルジョンとするためには、重合反応を高度に制御する必要があり、また、両樹脂成分の相溶性が小さいため、プリプレグ及び化粧板としたときに、両樹脂成分が分離して海島構造となりやすく、目的とする性状を充分に発現させることができないという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平09−011407号公報
【特許文献2】
特開平09−011408号公報
【特許文献3】
特開平09−011409号公報
【特許文献4】
特開平02−136237号公報
【特許文献5】
特開平02−217243号公報
【特許文献6】
特開昭52−130902号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、簡易にかつ低コストで、耐熱性等を有しつつ、曲面加工性に優れた化粧板用のプリプレグ及びその製造方法、並びにこのプリプレグを加熱加圧成形して化粧板を製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、基材とこの基材に担持された樹脂組成物とを有し、この樹脂組成物は、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物粒子を有することを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0010】
このように、樹脂組成物として、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを含有する粒子を有するプリプレグとすることにより、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との特性を併せ持つ化粧板を簡易にかつ低コストで製造することができる。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、上記第1の解決手段において、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との重量比が、2:2〜8:2の範囲から選択されることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0012】
このように、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との重量比を、2:2〜8:2の範囲から選択すると、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の両方の特性をバランスよく発現させることができる。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2のいずれかの解決手段において、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とは、複合粒子化されていることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0014】
このように、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とが複合粒子化されていると、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合精度を向上させることができ、両樹脂粒子の粒径を任意に設定することにより、目的とする混合精度を得ることができる。また、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のみかけの性状の差異を小さくすることができる。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第3の解決手段において、複合粒子は、平均粒径が1〜50μmであることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0016】
このように、複合粒子の平均粒径が1〜50μmであると、これを基材に担持させた場合に、複合粒子を基材内部に容易に担持させることができ、樹脂成分の含浸が容易なプリプレグを簡易に得ることができる。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第3の解決手段において、複合粒子は、平均粒径が50〜500μmであることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0018】
このように、複合粒子の平均粒径が50〜500μmであると、これを基材に担持させた場合に、複合粒子が基材の表面に多く存在するプリプレグを簡易に得ることができる。
【0019】
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、上記第3ないし第5のいずれかの解決手段において、複合粒子は、粒子状の熱可塑性樹脂の表面の少なくとも一部が粒子状の熱硬化性樹脂により被覆されているものを含有することを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0020】
このように、複合粒子が、粒子状の熱可塑性樹脂の表面の少なくとも一部が粒子状の熱硬化性樹脂により被覆されているものであると、熱可塑性樹脂の性状をみかけ上、熱硬化性樹脂と近似したものにすることができる。
【0021】
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第1ないし第6のいずれかの解決手段において、粒子状の熱硬化性樹脂は、親水性樹脂であることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0022】
このように、熱硬化性樹脂として親水性のものを用いると、これを水中に精度よく分散させることができる。そして、熱可塑性樹脂が好ましくは熱硬化性樹脂と複合化して、熱硬化性樹脂により表面の少なくとも一部が被覆されていると、本来は疎水性である熱可塑性樹脂についても、その取り扱い性を親水性の熱硬化性樹脂とほぼ同等にすることができる。
【0023】
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、上記第7の解決手段において、親水性樹脂は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、又は尿素樹脂のいずれかであることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0024】
このように、親水性樹脂がフェノール樹脂、メラミン樹脂、又は尿素樹脂であると、耐熱性、硬度、耐摩耗性、耐汚染性を効果的に発現させることができる。また、これらの樹脂は一般的に低コストであるので、化粧板を製造するコストを低減させることができる。
【0025】
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第1ないし第8のいずれかの解決手段において、粒子状の熱可塑性樹脂は、ABS樹脂であることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0026】
このように、熱可塑性樹脂がABS樹脂であると、熱硬化性樹脂の特性である耐熱性や機械的強度を大きく低下させることなく、可撓性、耐衝撃性を付与することができる。
【0027】
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、上記第1ないし第9のいずれかの解決手段において、基材内部に樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されていることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0028】
このように、基材内部に樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されていると、樹脂組成物粒子が加熱により溶融するだけで基材に含浸した状態とすることができるので、このプリプレグを通常のプレス装置により加熱加圧成形することにより、含浸性の良好な化粧板を得ることができる。
【0029】
本発明は、上記の課題を解決するための第11の手段として、上記第1ないし第9のいずれかの解決手段において、基材表面に樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されていることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0030】
このように、基材表面に樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されていると、このプリプレグを複数枚数用いて化粧板を製造する場合に、加熱により溶融した樹脂組成物粒子によってプリプレグどうしを容易に接着させることができるので、加熱ロール等の簡易な装置を用いて化粧板を製造するのに適したプリプレグを得ることができる。
【0031】
さらに本発明は、上記第1ないし第11の解決手段である化粧板用プリプレグを適切に製造することができる以下の解決手段をも提供するものである。即ち、具体的には、本発明は、上記の課題を解決するための第12の手段として、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有させて樹脂組成物粒子とし、基材に樹脂組成物粒子を有する樹脂組成物を担持させて化粧板用プリプレグを製造することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0032】
本発明は、上記の課題を解決するための第13の手段として、上記第12の解決手段において、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との重量比を、2:8〜8:2の範囲から選択して樹脂組成物粒子とすることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0033】
本発明は、上記の課題を解決するための第14の手段として、上記第12又は第13のいずれかの解決手段において、粒子状の熱可塑性樹脂と、粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物に、ずり剪断力を与えて複合粒子化することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0034】
このように、粒子状の熱可塑性樹脂と、粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物に、ずり剪断力を与えて複合粒子化すると、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが強固に融合した複合粒子を得ることができ、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合精度に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0035】
本発明は、上記の課題を解決するための第15の手段として、上記第12ないし上記第14のいずれかの解決手段において、粒子状の熱可塑性樹脂の表面の少なくとも一部を粒子状の熱硬化性樹脂により被覆することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0036】
本発明は、上記の課題を解決するための第16の手段として、上記第12ないし上記第15のいずれかの解決手段において、平均粒径が1〜50μmの粒子状の熱可塑性樹脂と、平均粒径が0.1〜10μmの粒子状の熱硬化性樹脂とを複合粒子化することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0037】
このように、平均粒子径がそれぞれ上記の範囲内にある熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子とを複合粒子化することにより、基材の内部に担持されやすい粒径を有した複合粒子を得ることができる。
【0038】
本発明は、上記の課題を解決するための第17の手段として、上記第12ないし上記第15のいずれかの解決手段において、平均粒径が50〜500μmの粒子状の熱可塑性樹脂と、平均粒径が1〜50μmの粒子状の熱硬化性樹脂とを複合粒子化することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0039】
このように、平均粒子径がそれぞれ上記の範囲内にある熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子とを複合粒子化することにより、基材の表面に担持されやすい粒径を有した複合粒子を得ることができる。
【0040】
本発明は、上記の課題を解決するための第18の手段として、上記第14ないし上記第17のいずれかの解決手段において、所定のクリアランスをもって相対して設置された内子と外子との間に形成された空間に、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物を供給し、該空間において内子と外子との相対的な回転運動を行うことにより、前記粒子状の熱可塑性樹脂と、前記粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物に、ずり剪断力を与えて複合粒子化することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0041】
このように、樹脂混合物にずり剪断力を与えて複合粒子化する際に、所定のクリアランスをもって相対して設置された内子と外子との間に形成された空間に、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物を供給し、該空間において内子と外子との相対的な回転運動によって行うと、簡易な装置で効率よく複合粒子を得ることができる。
【0042】
本発明は、上記の課題を解決するための第19の手段として、上記第18の解決手段において、内子と外子は、いずれか一方又は双方が粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物と接する面に溝を有していることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0043】
このように、内子と外子は、いずれか一方又は双方が粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物と接する面に溝を有していると、この樹脂混合物と、内子及び外子の表面との間ですべりを生ずることなく、効果的に圧縮、ずり剪断力を作用させることができるので、樹脂混合物の性状に影響を与えることなく、短時間の処理で効率的に複合粒子を得ることができる。
【0044】
本発明は、上記の課題を解決するための第20の手段として、上記第18又は上記第19のいずれかの解決手段において、空間は、中空円錐または中空円錐台の、周面状の形状であることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0045】
このように、樹脂混合物にずり剪断力を与える処理を行う空間を、中空円錐または中空円錐台の、周面状の形状とすることにより、樹脂混合物に与える作用を空間内の円周方向において均等なものにすることができる。
【0046】
本発明は、上記の課題を解決するための第21の手段として、上記第12ないし上記第20のいずれかの解決手段において、樹脂組成物を水に分散させ、樹脂組成物を分散させた水を介して、樹脂組成物を基材に担持させることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0047】
このように、樹脂組成物を分散させた水を用いると、基材への塗工を均一に行いやすくなる。また、有機溶媒を使用することなく、化粧板用プリプレグを得ることができるので、有機溶剤コスト及び有機溶剤の処理コストを、実質的に不要とすることができる。さらには、作業環境、環境負荷などの環境衛生面においても好ましいものである。
【0048】
本発明は、上記の課題を解決するための第22の手段として、上記第21の解決手段において、樹脂組成物を分散させた水を基材に噴霧して、樹脂組成物を基材に担持させることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0049】
このように、樹脂組成物を分散させた水を、例えばスプレーノズルなどの噴射装置を用いて基材に噴射して、樹脂組成物を基材に担持させると、この操作は基材の片面からはもちろん、両面からも同時に行うことができるので、化粧板用プリプレグを効率よく製造することができる。また、基材に担持させる樹脂組成物の量を、噴射量の設定のみにより容易に調整することができる。
【0050】
さらに本発明は、上記第1ないし第11の解決手段である化粧板用プリプレグを用いる、以下の解決手段をも提供するものである。即ち、具体的には、本発明は、上記第1ないし上記第11のいずれかの化粧板用プリプレグを、加熱加圧して化粧板を成形することを特徴とする化粧板の製造方法を提供するものである。
【0051】
本発明は、上記第1ないし上記第11のいずれかの化粧板用プリプレグを、ロール装置により連続的に加熱加圧して化粧板を成形することを特徴とする化粧板の製造方法を提供するものである。
【0052】
本発明は、上記第12ないし上記第22のいずれかの化粧板用プリプレグの製造方法により得られた化粧板用プリプレグを、加熱加圧して化粧板を成形することを特徴とする化粧板の製造方法を提供するものである。
【0053】
本発明は、上記第12ないし上記第22のいずれかの化粧板用プリプレグの製造方法により得られた化粧板用プリプレグを、ロール装置により連続的に加熱加圧して化粧板を成形することを特徴とする化粧板の製造方法を提供するものである。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
はじめに、本発明が適用される化粧板について図面を参照しながら詳細に説明すると、図1は本発明が適用される化粧板1を示し、この化粧板1は、芯材層3と、この芯材層3に積層された化粧層2とから成っている。この化粧板1は、化粧層2と芯材層3とを形成した後、図1に示すようにこれらを重ね合わせて加熱加圧成形して、芯材層3に化粧層2を積層することにより製造することができる。
なお、図示していないが、化粧板1は、化粧層2と芯材層3のほか、必要に応じて、化粧層2の外側にオーバーレイ層、あるいは化粧層2と反対側の芯材層3の表面にバック層などを積層して形成することもできる。
これらの化粧層2,芯材層3は、化粧板用プリプレグから形成されるが、本発明の化粧板用プリプレグは、上記化粧層2、及び芯材層3のいずれにも適用することができる。特に、芯材層3に用いられるプリプレグは、通常、化粧板1の所定厚みの大半を構成する要素であるので、この芯材層3に本発明の化粧板用プリプレグを適用すると、その特性を効果的に発現させることができる。
【0055】
本発明の化粧板用プリプレグは、基材と、この基材に担持された樹脂組成物とを有し、樹脂組成物は、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物粒子を有する。
【0056】
本発明の化粧板用プリプレグに用いられる基材としては特に限定されないが、表面層となる化粧層2に用いられる基材としては、セルロース(パルプ)に顔料(チタン白など)をすきこんだ抄造紙に模様を印刷した印刷紙が適当である。坪量としても特に限定されないが、通常、50〜150g/m2のものを用いることができる。
また、芯材層3に用いられる基材としては、天然有機繊維、ガラス等の無機繊維、ポリエステル等の合成繊維などを単独もしくは混紡、混抄により複数種用いた紙、織布、あるいは不織布などが使用できるが、通常、化粧板用としてはクラフト紙を用いることができる。クラフト紙を用いる場合の坪量は特に限定されないが、通常、50〜250g/m2のものを使用することができる。
【0057】
本発明の化粧板用プリプレグに用いられる樹脂組成物は、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有する。
この熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、あるいは、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。これらを単独または複数種用いることができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に、ABS樹脂を用いることが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂の特性である耐熱性や機械的強度を大きく低下させることなく、可撓性、耐衝撃性を付与することができる。
【0058】
また、この熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えば、レゾール型、ノボラック型などのフェノール樹脂、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0059】
また、この熱硬化性樹脂は親水性のものであることが好ましい。これにより、カップリング剤等を用いなくても、樹脂組成物を簡易に水に分散させて用いることができるので、有機溶剤を使用しない系で化粧板用プリプレグの製造を行うことができる。
この親水性の熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂のいずれかであることが好ましい。これにより、上記効果に加えて、耐熱性、硬度、耐摩耗性、耐汚染性を効果的に発現させることができる。また、これらの樹脂は一般的に価格が安いので、化粧板を製造するコストを抑えることができる。
【0060】
上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との配合比率は、使用する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の性状、あるいは目的とする化粧板の性状を考慮して適宜選択すればよく、特に限定されないが、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との重量比が、2:8〜8:2の範囲から選択されることが好ましく、さらに好ましくは4:6〜6:4である。これにより、用いる熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の特性を充分に発現させ、両樹脂の有する特性を併せ持つ化粧板とすることができる。
【0061】
上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、これらを単純に混合したものを用いることもできるが、これらが複合粒子化されたものを用いることが好ましい。
本発明の化粧板用プリプレグを製造する際に用いられる樹脂組成物は、種々の形態で用いることができるが、例えば、水に樹脂組成物を分散させて用いる場合、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを単純に混合しただけのものでは、両者の性状、具体的には、疎水性、親水性など水に対する親和性の差異が発現し、両者を均一に分散させることが困難になることがある。また、化粧板用プリプレグの製造工程あるいは加工工程において、樹脂組成物を加熱溶融した状態での両者の相溶性が小さい場合は、いわゆる海島状態になり、均一性が低下するようになる。このような状態では、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを併用する効果が充分に発現できないことがある。
したがって、本発明の化粧板用プリプレグにおいては、好ましくは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを複合粒子化することにより、両者を一粒子単位において混合されている状態とする。これにより、両者を単純に混合した場合と比較して、より高い混合精度を得ることができる。そして、両樹脂粒子の粒径、配合量などを任意に設定することにより、目的とする混合精度を有した樹脂組成物を得ることができる。
さらに、複合粒子化することにより、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが有する性状の違いを、みかけ上小さくすることができる。これにより、上記のような性状の差異に起因する問題が起こりにくく、複合粒子化した際の混合精度を維持したままプリプレグを得ることができる。
【0062】
上記複合粒子は特に限定されないが、粒子状の熱可塑性樹脂の表面の少なくとも一部が、粒子状の熱硬化性樹脂により被覆されているものであることが好ましい。
本発明の化粧板用プリプレグに好ましく用いられる熱可塑性樹脂は、本質的に疎水性であるものが多いため、例えばこれを単独で水に分散させると、水との濡れ性が極めて悪く、固液が分離した状態となりやすい。このため好ましくは、疎水性である熱可塑性樹脂粒子の表面を、親水性である熱硬化性樹脂粒子によって被覆することにより、熱可塑性樹脂粒子のみかけの性状を熱硬化性樹脂に近いものにすることができる。このような複合粒子は、疎水性である熱可塑性樹脂を用いているにもかかわらず、親水性の熱硬化性樹脂と類似した挙動を示すため、例えば、水に分散した場合でもダマ状態となりにくく、良好な分散状態とすることができる。
このような複合粒子は、熱可塑性樹脂粒子の表面全体が熱硬化性樹脂粒子によって被覆されていることが好ましいが、その一部が被覆されている状態であっても構わない。このように、熱可塑性樹脂粒子が熱硬化性樹脂粒子により被覆されている程度により、態様の異なる複合粒子が混合していても、充分に上記効果を発現させることができる。
なお、複合粒子化された状態での熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂は、それぞれが必ずしも粒子形状を維持していなくても構わない。例えば、熱可塑性樹脂の表面を熱硬化性樹脂で被覆する場合、被覆後の複合粒子において、熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂の表面で、粒子形状、片形状、膜形状など様々な態様をとりうると考えられる。このような場合についても、本発明に含まれる。
【0063】
上記複合粒子の大きさとしては特に限定されないが、例えば、平均粒径で1〜50μmのものを用いると、樹脂組成物の含浸が容易なプリプレグを製造することができる。
即ち、化粧板用プリプレグの基材として多く用いられる印刷紙やクラフト紙には、その坪量にもよるが、通常は基材表面や基材表面に連通している基材内部に、5〜60μm程度の隙間を有している。このため、その基材密度に合わせて上記の範囲から選択した適宜の粒径の複合粒子を用いると、これが基材間の隙間に侵入して内部に担持された状態となりやすく、この後の加熱により複合粒子が基材内部で溶融する。さらに、基材表面に担持された状態の複合粒子も、粒径が小さいため熱容量が小さく、加熱により短時間で溶融するので、基材表面から基材内部へ含浸する時間を長く確保することができる。このような理由により、樹脂組成物の含浸が容易なプリプレグを製造することができる。
このような複合粒子の粒径は、使用する基材の坪量により調整して用いることができるが、かかる目的のためには、複合粒子の平均粒径は1〜30μmとすることがさらに好ましい。
また、このような平均粒径を有する複合粒子を用いた場合は、特に限定されないが、樹脂組成物が基材内部に70重量%以上担持されているものであることが好ましい。さらに好ましくは80重量%以上である。これにより、プリプレグの段階で基材内部に存在している樹脂組成物の量が多いので、これを平板プレス等の装置で加熱加圧成形することにより、含浸性が良好な化粧板を簡易に製造することができ、使用した樹脂成分の特性を化粧板として顕在化させることができる。
【0064】
一方、平均粒径が50〜500μmである複合粒子を、上記密度を有するプリプレグの基材に担持させると、複合粒子は基材表面の隙間から内部に侵入するよりも、基材表面に担持されている量が多くなり、基材表面に残存しやすくなる。そして、各粒子の熱容量が大きいため、この後の加熱によっても、粒子表面が溶融して基材表面に溶着するにとどまるようになる。これにより、樹脂組成物が基材表面に多く担持されたプリプレグを製造することができる。かかる目的のためには、複合粒子の平均粒径は100〜300μmとすることがさらに好ましい。
また、このような平均粒径を有する複合粒子を用いた場合は、特に限定されないが、基材内部に樹脂組成物が70重量%以上担持されているものであることが好ましい。さらに好ましくは80重量%以上である。このように、樹脂組成物が基材表面に多く存在するプリプレグとすることにより、このプリプレグを複数枚数積層して化粧板を製造する場合に、例えば、熱圧ロールラミネート法のような簡易な方法を適用するのに適したプリプレグとすることができる。
【0065】
これらの熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子とを複合粒子化する方法としては特に限定はないが、熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子との樹脂混合物に、ずり剪断力を与えて複合粒子化することが好ましい。
【0066】
熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子との樹脂混合物に、ずり剪断力を与えて複合粒子化する具体的な方法としては特に限定されないが、例えば、石臼もしくはこれと類似の機能を有する摩砕装置などにより、樹脂混合物にずり剪断力を与える方法、あるいは、強い圧縮と摩擦作用を有する圧密装置により樹脂混合物を処理する方法などが挙げられる。
【0067】
本発明においては、ずり剪断力を与えて複合粒子化する方法として、所定のクリアランスをもって相対して設置された内子と外子との間に形成された空間に樹脂混合物を供給し、該空間において内子と外子との相対的な回転運動により処理を行うものであることが好ましい。これにより、簡易な装置で連続的に複合粒子化することができる。
【0068】
図2は、このような処理を行うための方法の一例を示したものである。
図2(a)は内子4と外子5のそれぞれの斜視図であり、図2(b)はこれを組み合わせたときの縦断面図である。樹脂混合物11は、内子4と外子5との間に形成された空間7に供給される。8は樹脂混合物11と接触する内子4の表面、9は同様に外子5の表面である。内子4と外子5との間には、クリアランス10が設けられている。図2(b)の例では、樹脂混合物11は空間7の一方の開口部13側から供給され、空間7において内子4と外子5との相対的な回転運動により複合粒子12となってもう一方の開口部14から排出される。
【0069】
この空間7の形状については特に限定されないが、例えば、いずれも中空状の円錐形、円錐台形、円筒形、あるいはこれらに類する形の周面に沿った形状などが挙げられる。この場合、空間7の断面形状(図2(b)のA1〜A2断面)は、樹脂混合物11の移送方向のどの部位においても内子4及び外子5の回転中心と同心円であり、クリアランス10に相当する幅を有した形状となる。また、必要に応じてこのような形状を複数組み合わせた形状のものを使用することもできる。
【0070】
この空間7として、例えば先拡がりの中空の円錐形状や、図2(b)に示したような先拡がりの中空の円錐台形状を適用し、空間7の幅すなわちクリアランス10を一定とした場合は、樹脂混合物11が処理される空間容積は排出側14への移送に伴い増大していくので、供給された樹脂混合物11が処理途中で再凝集しにくく、順次スムーズに複合粒子12を排出することができる。一方、上記空間7の幅10を排出側14へ向かうにつれて小さくなるように設定すると、樹脂混合物11に大きなずり剪断力を与えることができる。
【0071】
この方法により樹脂混合物11にずり剪断力を与える場合には、内子4と外子5とは相対的に回転数差を有する。これにより、供給された樹脂混合物11にはずり剪断力が作用する。この回転数差や回転方向は特に限定されないが、内子4と外子5の両方を反対方向または同一方向に回転させることによって与えてもよいし、内子4又は外子5のどちらか一方のみを回転させる方式を用いてもよい。これらの中でも、外子5を固定とし、内子4を回転させる方式とすると、設備構成を簡易にすることができ好ましい。
このような回転数差は、内子4と外子5との組合せごとにそれぞれ設計することができる。従って、内子4と外子5との組合せを複数段階設けて処理を行う場合には、各々についてこれを設計することができる。
【0072】
この処理を行う際の内子4と外子5の相対的な回転数差については特に限定されない。これは、処理される樹脂混合物11の性状、装置の条件などによって変動し、各々最適範囲が異なると考えられるためである。いずれの場合でも、樹脂混合物11に充分なずり剪断力を与えるとともに、これが過大なエネルギー供給とならないような範囲とすることが好ましい。
【0073】
これらの内子4及び外子5の形態としては特に限定されないが、各々温調機構を有したものであることが好ましい。これにより、処理を行うときの樹脂混合物11の状態を最適なものにできる。通常、このような処理時には、樹脂混合物11にずり剪断力が作用するため、摩擦により熱を生ずる。用いる樹脂の性状により、熱による変質を防止したい場合は、内子4及び外子5を適した温度で冷却することができる。一方、例えば、用いる樹脂粒子が常温では硬度が大きい場合は、加温により複合粒子化をより円滑に行うこともできる。
【0074】
これらの内子4と外子5とのクリアランス10はついても特に限定されず、用いる樹脂の粒径や、目的とする複合粒子の粒径などにより適宜設定することができる。一例を挙げると、複合粒子として平均粒径が1〜50μmのものを得る場合は、0.3〜1.5mmに設定することが好ましい。また、複合粒子として平均粒径が50〜500μmのものを得る場合は、0.5〜2.0mmに設定することが好ましい。これにより、樹脂混合物11に充分なずり剪断力を作用させて処理できるとともに、樹脂混合物11に過剰な力を与えて摩擦により発熱するのを抑えることができる。
クリアランス10が前記上限値を越えると、樹脂混合物11に充分なずり剪断力を作用させる前に装置から排出されやすくなったり、複合粒子化が充分に行われなかったりすることがある。一方、クリアランス10が前記下限値より小さいと、処理時に大きなずり剪断力が作用するようになるため、複合粒子が目的とする粒径より小さくなったり、樹脂混合物11の種類によっては発熱による変質や装置への融着、あるいは粒子どうしの融着が起こったりすることがある。
【0075】
また、これらの内子4や外子5は、図2に示すようにいずれか一方又は双方に、樹脂混合物11と接触する面に溝6a、6bを有するものであることが好ましい。この溝6a、6bにより、樹脂混合物11と、内子4及び外子5の表面との間ですべりを生ずることなく、効果的に圧縮、ずり剪断力を作用させることができるので、樹脂混合物11の性状に影響を与えることなく、短時間の処理で効率的に複合粒子を得ることができる。
図3(a)(側面図)は円錐台形状の内子4の表面に、図3(b)(側断面図)はこれと相対する形状の外子5の表面に、それぞれ溝6a、6bを加工した例であるが、特にこのような加工形状に限定されるものではない。
また、この溝6の断面形状については特に限定されないが、一般的には図3(c)(断面図)に示した形状を有するものが好ましく用いられる。図3(c)において、15は溝6の幅、16は溝6の深さである。これにより、上記効果に加えて溝6の内部に樹脂混合物11が滞留するのを防ぐことができる。
また、この溝6を形成する位置については特に限定はなく、内子4や外子5の全面に加工してもよいし、一部のみの加工でもよい。また、内子4、外子5のどちらか一方への加工でもよい。
【0076】
さらに、これらの内子4や外子5の表面の溝6については特に限定されないが、例えば内子4のみが回転する場合の内子4表面の溝6aの形状は、図4(側面図)に示したような形状、すなわち、樹脂混合物11の移送方向に対して角度を有したものであることが好ましい。これにより、樹脂混合物11を処理すると同時に、排出側14へ移送する機能を付与することができる。図4において、溝6aの本数、角度、ピッチなどは特に限定されないが、内子4の樹脂混合物11の供給側13から複合粒子12の排出側14へ向かって、溝6が内子4の回転方向(図4の矢印17参照)側へ向くような方向に角度を付けて加工すればよい。このとき、外子5の表面の溝6bは特に限定されないが、図3(b)のような形状でもよいし、あるいは、内子4の溝6aと反対方向の角度を有した形状に加工することにより、樹脂混合物11を移送する効果をさらに高めてもよい。
本発明の製造方法で用いられる樹脂混合物11は温度感応性が高い性質を有する場合があり、内子4と外子5との間に形成された空間7内に長時間滞留したり、その滞留時間にバラツキを生じると、得られる複合粒子12の特性に影響する場合がある。内子4や外子5にこのような溝6を加工することにより、このような問題をより確実に回避することができる。
【0077】
図5(縦断面図)は、以上に説明した方法により、熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子とを複合粒子化する形態の一例を示したものである。
図5において、熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子とを予備混合した樹脂混合物11を、供給装置18の供給口19から供給する。樹脂混合物11は供給装置18の下部からずり剪断力を与える装置20へ送られる。この装置20は、内子4と外子5とから構成される。樹脂混合物11は、内子4と外子5との間に形成されたクリアランス10を有する空間7に供給され、ここで内子4と外子5との相対的な回転により、ずり剪断力、圧縮力の作用を受け、複合粒子化される。なお、図示していないが、内子4及び外子5は、各々独立して設定が可能な温調装置を有しており、内子4のみでなく、外子5にも、樹脂混合物11と接する表面に溝加工が施されている。なお、内子4はモーター等の駆動装置21により自転し、外子5は固定されている。樹脂混合物11は空間7においてずり剪断力を与えられて複合粒子化された後、回収装置22に貯留される。なお、23は樹脂混合物11の供給時に装置内に供給された空気を排出するための排気装置を示す。
【0078】
なお、このように樹脂混合物11にずり剪断力を与えて複合粒子化することができる装置としては、図5に挙げたもののほか、例えば、ずり剪断力を作用させることができる臼型の装置として、増幸産業株式会社製の摩砕装置「スーパーマスコロイダー」、圧密装置としてはホソカワミクロン株式会社製のメカノフュージョン装置「オングミル」などを用いることができる。
【0079】
これらの内子4及び外子5の表面の材質については特に限定されないが、耐熱性や耐摩耗性を有するものであることが好ましい。一般的には、鉄、ステンレス、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ダイヤモンドなどが好ましく用いられる。これらは、処理する樹脂混合物11の種類や組成に合わせて適宜選択することができる。
【0080】
上記装置18に樹脂混合物11を供給する方法は特に限定されないが、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを例えばヘンシェルミキサーなどにより混合した樹脂混合物11を、スクリューフィーダー、振動フィーダーなど公知の粉体供給装置を用いることができる。
【0081】
本発明において、このようにして得られた複合粒子12を基材に担持させる方法としては特に限定はないが、例えば、樹脂組成物を水に分散させたもの(以下、「樹脂分散水」ということがある)を基材に塗工する方法、あるいは、粉体状の樹脂組成物をそのまま基材に塗工する方法などが挙げられる。
これらの中でも、樹脂分散水を基材に塗工する方法が好ましい。これにより、基材への塗工量を均一に行いやすくなる。また、有機溶剤を用いることなく、樹脂組成物を基材に担持させることができ、有機溶剤のコストだけでなく、有機溶剤の処理コストをも不要にすることができる。さらには、作業環境を改善し、環境に対する負荷も低減することができる。
【0082】
また、この樹脂分散水を用いると、例えば基材としてクラフト紙などを用いた場合には、これらの木質繊維は水とのなじみに優れているため、基材に樹脂分散水を容易に担持させることができる。さらに、樹脂分散水は用いる水の量により低粘度に調製することができるので、樹脂分散水を基材に担持させた後、特に外力等を加える操作を行わなくても、水が基材に浸透する際に、水とともに樹脂組成物を基材内部に移動させることができる。このような効果は、特に複合粒子として平均粒径の小さいものを用いた場合に、より顕著に発現させることができる。これにより、プリプレグの段階で、基材に対する樹脂組成物の含浸性を高くすることができるとともに、樹脂組成物の基材内部への担持量を多くすることができるので、このプリプレグを加熱加圧成形して化粧板1を製造する場合でも、加熱加圧により樹脂組成物が系外へ流出してしまうのを防ぐことができる。
【0083】
さらには、このような樹脂分散水は簡易に調製することができ、樹脂成分の経時変化などをほとんど無視することができるので、長時間にわたって連続生産を行う場合などでも、安定した品質を維持することができる。
【0084】
上記樹脂分散水を基材に塗工する方法としては特に限定はないが、例えば、樹脂分散水をスプレーノズルなどの噴射装置を用いて基材に噴射塗工する方法、樹脂分散水をコーター等により基材に塗工する方法、樹脂分散水中に基材を浸漬する方法などが挙げられる。これらの中でも、樹脂分散水をスプレーノズルなどの噴射装置を用いて基材に噴射塗工する方法が好ましい。この方法によると、樹脂分散水を基材の両面から同時に行うことができるので、化粧板用プリプレグを効率よく製造することができる。また、基材に担持させる樹脂組成物の量を噴射量の設定のみにより簡易に調整することができるので、例えば、基材に担持させる樹脂組成物の量を、基材の表裏で異なるように設定する場合でも、容易に対応することができる。
【0085】
上記樹脂分散水の調製方法としては特に限定はないが、樹脂組成物あるいは複合粒子からなる樹脂組成物を、ディスパーザー、乳化分散装置などを用いて、水中に分散させることにより得ることができる。
樹脂分散水中の樹脂組成物の濃度としては特に限定はないが、10〜40重量%とすることが好ましい。これにより、化粧板用プリプレグを製造する効率を低下させることなく、樹脂分散水の粘度も適正なものにすることができる。樹脂組成物の濃度が上記の下限値より小さいと、樹脂分散水の塗工が長時間を所要することがあり、化粧板用プリプレグの製造効率が低下することがある。また、樹脂組成物を基材に担持させた後、水分を除去する際にはそのためのエネルギーが増大する。一方、上記の上限値より大きいと、樹脂分散水が高粘度化することがあるため、取り扱い性が低下したり、特に平均粒径の小さな複合粒子を用いた場合に、基材内部への樹脂組成物の移動が充分ではなかったりすることがある。
【0086】
【実施例】
以下、芯材層3に本発明の化粧板用プリプレグを用い、図1に示す化粧板1を製造した本発明の実施例を詳細に説明する。ここで、「部」は全て「重量部」、「%」は全て「重量%」を表す。
【0087】
<実施例1>
1.化粧層用プリプレグの作製
メラミン(M)とホルムアルデヒド(F)との反応モル比(F/M)が1.7となるように配合し、反応温度95℃で水混和度が16ml/5mlとなるまで反応させ、メラミン樹脂ワニスを得た。このメラミン樹脂ワニス中のメラミン樹脂分は54%、溶剤成分の比率(メタノール:水)は5:95であった。
このメラミン樹脂ワニスを、米坪90g/m2のグラビア印刷紙に含浸させた後、熱風乾燥装置で乾燥させ、米坪195g/m2、揮発分8%の化粧層用プリプレグを作製した。
【0088】
2.芯材層用プリプレグの作製
2.1 樹脂組成物(複合粒子)の調製
(1)熱可塑性樹脂
ABS樹脂(UMG ABS株式会社製・「B−600N」)を用い、これを液体窒素で冷却した後、フリッチュ・ジャパン株式会社製・「ロータースピードミル」を使用し、粉末状のドライアイスとともに冷却粉砕した。得られた粉砕物を目開き16μm、25μmのマイクロシーブを用いて分級し、平均粒径20μmのABS樹脂粒子を得た。
(2)熱硬化性樹脂
固形レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製・「PR−51723」)を粉体衝突型ジェットミル装置(ホソカワミクロン株式会社製・「カウンタージェットミル200AFG」)を用いて粉砕した。供給用ノズルはφ3mmのものを3本用い、空気圧600kPa、圧空量1.7m3/minで処理し、分級ローターの回転数を11500rpmに設定して粉砕物を捕集し、平均粒径1.5μmのフェノール樹脂粒子を得た。
【0089】
(3)複合粒子の調製
このようにして得られた粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを等量配合し、ヘンシェルミキサーで予備混合して樹脂混合物を得た後、これを図5に示した装置に投入し、ずり剪断力を与えて平均粒径25μmの複合粒子を得た。なお、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、複合粒子のいずれも、平均粒径は粒度分布計(HORIBA LA−910)を用いて測定を行った。また、ずり剪断力を与える装置18の仕様及び運転条件は下記の通りで行った。
(ア) 内子4の仕様:内子4は駆動させる側とした。円錐台形状であり、短径側(混合品供給側)外径30mm、長径側(混合品排出側)外径60mm、円錐台高さ80mmのものを使用した。溝6aの形状は図3(c)に示した断面形状および図4に示した平面形状を有するものを使用し、溝6aの断面の幅3mm、深さは1mmとし、これを12本均一ピッチで加工した。
(イ) 外子5の仕様:外子5は固定する側とした。円錐台形状である内子4と相対する全部位において同じクリアランス10を有する形状とし、クリアランス10を0.5mmとした。溝6bの形状は図3(b)に示した平面形状および図3(c)に示した断面形状を有するものを使用し、溝6bの断面の幅、深さ、本数は内子4側に加工したものと同仕様とした。
(ウ) 内子4及び外子5の温調条件:内子4、外子5とも常温に設定した。
(エ) 内子4の運転条件:回転数を1200rpmとした。
【0090】
(4)樹脂分散水の調製
上記で得られた樹脂組成物と水とを、樹脂組成物:水=3:7の重量比率で振騰撹拌し、樹脂組成物の含有率が30%である樹脂分散水を得た。
【0091】
(5)プリプレグの作製
基材として190g/m2のクラフト紙を用い、この表裏両面からスプレーノズルを用いて樹脂分散水を噴射して塗工した。これを100℃の乾燥装置で10分間乾燥し、米坪270g/m2の芯材層用プリプレグを得た。
【0092】
3.化粧板の製造
上記1の方法で得られた化粧層用プリプレグ1枚、上記2の方法で得られた芯材層用プリプレグ4枚を積層し、平板プレス装置を使用して、150℃、10MPaで60分間加熱加圧成形を行い、厚さ0.8mmの化粧板を得た。
【0093】
<実施例2>
熱可塑性樹脂として、ABS樹脂(UMG ABS株式会社製・「B−400N」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、化粧層用プリプレグ、芯材層用プリプレグを作製し、厚さ0.8mmの化粧板を得た。
【0094】
<実施例3>
1.化粧層用プリプレグの作製
実施例1と同様にして化粧層用プリプレグを作製した。
【0095】
2.芯材層用プリプレグの作製
2.1 樹脂組成物(複合粒子)の調製
(1)熱可塑性樹脂
ABS樹脂(UMG ABS株式会社製・「B−600N」)を用い、これを目開き160μm、250μmの標準ふるいを用いて分級し、平均粒径200μmのABS樹脂粒子を得た。
(2)熱硬化性樹脂
固形レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製・「PR−51723」)を粉体衝突型ジェットミル装置(ホソカワミクロン株式会社製・「カウンタージェットミル200AFG」)を用いて粉砕した。供給用ノズルはφ5mmのものを3本用い、空気圧600kPa、圧空量4.8m3/minで処理し、分級ローターの回転数を2000rpmに設定して粉砕物を捕集し、平均粒径11.8μmのフェノール樹脂粒子を得た。
【0096】
(3)複合粒子の調製
このようにして得られた粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを等量配合し、ヘンシェルミキサーで予備混合して樹脂混合物を得た後、これを図5に示した装置に投入し、ずり剪断力を与えて平均粒径250μmの複合粒子を得た。また、ずり剪断力を与える装置18の仕様及び運転条件は下記の通りで行った。
(ア) 内子4の仕様:内子4は駆動させる側とした。円錐台形状であり、短径側(混合品供給側)外径30mm、長径側(混合品排出側)外径60mm、円錐台高さ80mmのものを使用した。溝6aの形状は図3(c)に示した断面形状および図4に示した平面形状を有するものを使用し、溝6aの断面の幅3mm、深さは1mmとし、これを12本均一ピッチで加工した。
(イ) 外子5の仕様:外子5は固定する側とした。円錐台形状である内子4と相対する全部位において同じクリアランス10を有する形状とし、クリアランス10を1.2mmとした。溝6bの形状は図3(b)に示した平面形状および図3(c)に示した断面形状を有するものを使用し、溝6bの断面の幅、深さ、本数は内子4側に加工したものと同仕様とした。
(ウ) 内子4及び外子5の温調条件:内子4、外子5とも常温に設定した。
(エ) 内子4の運転条件:回転数を1200rpmとした。
【0097】
(4)樹脂分散水の調製
上記で得られた樹脂組成物と水とを、7:3の重量比率で振騰撹拌し、樹脂組成物の含有率が30%である樹脂分散水を得た。
【0098】
(5)プリプレグの作製
基材として190g/m2のクラフト紙を用い、この表裏両面からスプレーノズルを用いて樹脂分散水を噴射して塗工した。これを100℃の乾燥装置で10分間乾燥し、米坪270g/m2の芯材層用プリプレグを得た。
【0099】
3.化粧板の製造
上記1の方法で得られた化粧層用プリプレグ1枚、上記2の方法で得られた芯材層用プリプレグ4枚を積層し、170℃に加温されたシリコンゴムロール5対、ステンレスロール2対の間を通した。ロールの間隙は、シリコンゴムロール/3.0mm、2.5mm、2.0mm、1.5mm、1.5mmの順とし、ステンレスロール/1.5mm、1.5mmとした。得られたものをさらに150℃の乾燥機で30分間処理し、厚み0.8mmの化粧板を得た。
【0100】
<実施例4>
熱可塑性樹脂として、ABS樹脂(UMG ABS株式会社製・「B−400N」)を用いた以外は、実施例3と同様にして、化粧層用プリプレグ、芯材層用プリプレグを作製し、厚さ0.8mmの化粧板を得た。
【0101】
一方、比較例として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂をそれぞれ溶剤に溶解させ、これを紙基材に含浸させる方法、及び、熱硬化性樹脂のみを用いてこれを溶剤に溶解させ、紙基材に含浸させる方法で化粧板を製造した。
<比較例1>
1.化粧層用プリプレグの作製
実施例1と同様にして化粧層用プリプレグを作製した。
【0102】
2.芯材層用プリプレグの作製
(1)熱可塑性樹脂ワニスの調製
ABS樹脂(UMG ABS株式会社製・「B−600N」)を用い、これをアセトンに溶解させ、樹脂分50%の熱可塑性樹脂ワニスを調製した。
(2)熱硬化性樹脂ワニスの調製
フェノール(P)とホルムアルデヒド(F)とを、反応モル比(F/P)が1.1となるように配合して反応させ、レゾール型フェノール樹脂ワニスを得た。このフェノール樹脂ワニス中のフェノール樹脂分は50%、溶剤成分の比率(メタノール:水)は20:80であった。
(3)芯材層用プリプレグの作製
上記熱可塑性樹脂ワニスを、米坪190g/m2のクラフト紙に含浸させた後、熱風乾燥装置で乾燥させ、米坪230g/m2の熱可塑性樹脂含浸基材を作製した。次いで、これに上記熱硬化性樹脂ワニスを含浸させた後、熱風乾燥装置で乾燥させ、米坪270g/m2の芯材層用プリプレグを作製した。
【0103】
3.化粧板の製造
上記1の方法で得られた化粧層用プリプレグ1枚、上記2の方法で得られた芯材層用プリプレグ4枚を積層し、平板プレス装置を使用して、150℃、10MPaで60分間加熱加圧成形を行い、厚さ0.8mmの化粧板を得た。
【0104】
<比較例2>
1.化粧層用プリプレグの作製
実施例1と同様にして化粧層用プリプレグを作製した。
【0105】
2.芯材層用プリプレグの作製
フェノール(P)とホルムアルデヒド(F)とを、反応モル比(F/P)が1.1となるように配合して反応させ、レゾール型フェノール樹脂ワニスを得た。このフェノール樹脂ワニス中のフェノール樹脂分は50%、溶剤成分の比率(メタノール:水)は20:80であった。このフェノール樹脂ワニスを、米坪190g/m2のクラフト紙に含浸させた後、熱風乾燥装置で乾燥させ、米坪270g/m2の芯材層用プリプレグを作製した。
【0106】
3.化粧板の製造
上記1の方法で得られた化粧層用プリプレグ1枚、上記2の方法で得られた芯材層用プリプレグ4枚を積層し、平板プレス装置を使用して、150℃、10MPaで60分間加熱加圧成形を行い、厚さ0.8mmの化粧板を得た。
【0107】
実施例及び比較例で得られた化粧板用プリプレグ及び化粧板1について、特性評価を行った。その結果を表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
これらの実施例及び比較例の評価は、以下の方法で行った。
1.芯材層用プリプレグ
樹脂組成物の担持比率:芯材層用プリプレグを100mm×100mmの大きさに裁断し、表面に残存している樹脂組成物粒子をカッターナイフで削り取り、重量を測定して、基材に担持されている全樹脂組成物量(0.8g)に対する割合を算出してプリプレグ表面に担持されている重量比率(%)とし、残りは基材内部に担持されている重量比率(%)とした。なお、比較例で得られた芯材層用プリプレグは、表面に残存している樹脂組成物粒子がないため、本評価の対象外とした。
【0110】
2.化粧板
(1)曲げ強度及び曲げ弾性率は、JIS K 6902(「熱硬化性樹脂化粧板試験方法」)に準じて、荷重を芯材層側から与えたときの値を測定した。
(2)含浸性は、化粧板の芯材層側から成形性を目視で観察し、芯材層に樹脂成分が均一に含浸されているものを「良好」とした。
(3)溶剤使用量は、化粧板1m2を製造するのに要した溶剤量(g)を算出した。
【0111】
この表1からもわかる通り、本発明の実施例の芯材層用プリプレグはいずれも、熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる複合粒子を用い、これを水に分散させた樹脂分散水を用いる本発明の製造方法にて製造したものである。そして、これを化粧層用プリプレグとともに加熱加圧成形あるいは加熱ロールによりラミネート成形した化粧板1は、有機溶剤を用いて熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを含浸させた比較例1と同等以上の特性を有するものであった。さらに、溶剤使用量については、比較例1、2と比べて、大幅に低減させることができた。
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、上記のように、基材に担持された樹脂組成物として、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物粒子を有しているので、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との特性を併せ持つ化粧板を容易に製造することができる実益がある。
【0113】
本発明によれば、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との重量比を、2:2〜8:2の範囲から選択しているので、用いる熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の特性を充分に発現させ、両樹脂の有する特性を併せ持つ化粧板とすることができる実益がある。
【0114】
本発明によれば、上記のように、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とは、複合粒子化されているので、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合精度を向上させることができ、両樹脂粒子の粒径を任意に設定することにより、目的とする混合精度を得ることができる実益がある。また、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のみかけの性状の差異を小さくすることができる実益がある。
【0115】
本発明によれば、上記のように、複合粒子の平均粒径が1〜50μmであるので、複合粒子を基材内部に多く担持させることができ、樹脂成分の含浸が容易なプリプレグを簡易に得ることができる実益がある。
【0116】
本発明によれば、上記のように、複合粒子の平均粒径が50〜500μmであるので、複合粒子を基材表面に多く担持させたプリプレグを簡易に得ることができる実益がある。
【0117】
本発明によれば、上記のように、複合粒子は、粒子状の熱可塑性樹脂の表面の、少なくとも一部が粒子状の熱硬化性樹脂により被覆されているものを含有するので、熱可塑性樹脂の性状をみかけ上、熱硬化性樹脂と近似したものにすることができる実益がある。
【0118】
本発明によれば、上記のように、粒子状の熱硬化性樹脂が親水性樹脂であるので、水中に精度よく分散させることができる実益がある。そして、熱可塑性樹脂が好ましくは熱硬化性樹脂と複合化あるいは熱硬化性樹脂により少なくとも一部が被覆されていると、本来は疎水性である熱可塑性樹脂についても親水性の熱硬化性樹脂とほぼ同様の取り扱い性を付与することができる実益がある。
【0119】
本発明によれば、上記のように、親水性樹脂が、フェノール樹脂、メラミン樹脂、又は尿素樹脂のいずれかであるので、耐熱性、硬度、耐摩耗性、耐汚染性を効果的に発現させることができる実益がある。また、これらの樹脂は一般的に低コストであるので、化粧板を製造するコストを低減させることができる実益がある。
【0120】
本発明によれば、上記のように、粒子状の熱可塑性樹脂が、ABS樹脂であるので、熱硬化性樹脂の特性である耐熱性や機械的特性を大きく低下させることなく、熱可塑性樹脂の特性である可撓性、耐衝撃性を付与することができる実益がある。
【0121】
本発明によれば、上記のように、基材内部に樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されているので、このプリプレグを通常のプレス装置により加熱加圧成形することにより、含浸性の良好な化粧板を得ることができる実益がある。
【0122】
本発明によれば、上記のように、基材表面に樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されているので、このプリプレグを複数枚数積層して化粧板を製造する場合に、例えば、熱圧ロールラミネート法のような簡易な方法を適用するのに適したプリプレグとすることができる実益がある。
【0123】
本発明によれば、上記のように、粒子状の熱可塑性樹脂と、粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物にずり剪断力を与えて複合粒子化しているので、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが強固に融合した複合粒子を得ることができ、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合精度に優れた樹脂組成物を得ることができる実益がある。
【0124】
本発明によれば、上記のように、平均粒径が1〜50μmの粒子状の熱可塑性樹脂と、平均粒径が0.1〜10μmの粒子状の熱硬化性樹脂とを複合粒子化しているので、基材の内部に担持されやすい粒径の複合粒子を得ることができる実益がある。
【0125】
本発明によれば、上記のように、平均粒径が50〜500μmの粒子状の熱可塑性樹脂と、平均粒径が1〜50μmの粒子状の熱硬化性樹脂とを複合粒子化しているので、基材の表面に担持されやすい粒径の複合粒子を得ることができる実益がある。
【0126】
本発明によれば、上記のように、ずり剪断力を与えて複合粒子化する際に、所定のクリアランスをもって相対して設置された内子と外子との間に形成された空間に、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物を供給し、該空間において内子と外子との相対的な回転運動によって行っているので、簡易な装置で効率よく複合粒子を得ることができる実益がある。
【0127】
本発明によれば、上記のように、内子と外子は、いずれか一方又は双方が粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物と接する面に溝を有しているので、この樹脂混合物と、内子及び外子の表面との間ですべりを生ずることなく、効果的に圧縮、ずり剪断力を作用させることができるので、短時間の処理で複合粒子を得ることができる実益がある。
【0128】
本発明によれば、上記のように、樹脂混合物にずり剪断力を与える処理を行う空間が中空円錐または中空円錐台の周面の形状であるので、樹脂混合物に与える作用を空間内の円周方向において均等なものにすることができる実益がある。
【0129】
本発明によれば、上記のように、樹脂組成物を水に分散させ、樹脂組成物を分散させた水を介して、樹脂組成物を基材に担持させているので、基材への塗工を均一に行いやすいという実益がある。さらに、有機溶媒を使用することなく、樹脂組成物を基材に担持させて、化粧板用プリプレグを得ることができるので、有機溶剤コスト及び有機溶剤の処理コストを、実質的に不要とすることができる実益がある。
【0130】
本発明によれば、上記のように、樹脂組成物を分散させた水を基材に噴霧して、樹脂組成物を基材に担持させているので、この操作は基材の片面からはもちろん、両面からも同時に行うことができ、化粧板用プリプレグを効率よく製造することができる実益がある。また、基材に担持させる樹脂組成物の量を、噴射量の設定のみにより容易に調整することができる実益がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧板の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明に用いられる樹脂混合物にずり剪断力を与える装置の一例を示し、同図(a)はその斜視図、同図(b)は、その縦断面図である。
【図3】図3は、図2に示す装置の表面の溝の一例を示し、同図(a)は内子の表面の溝の平面形状を示す内子の側面図、同図(b)は外子の表面の溝の平面形状を示す外子の側面図、同図(c)は溝の断面形状を示す装置の縦断面図である。
【図4】本発明に用いられる樹脂混合物にずり剪断力を与える装置の内子の表面の溝の他の平面形状を示す内子の側面図である。
【図5】本発明に用いられる樹脂混合物にずり剪断力を与えて複合粒子を製造する装置の一例を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 化粧板
2 化粧層
3 芯材層
4 内子
5 外子
6a、6b 溝
7 内子と外子との間に形成された空間
8 内子表面
9 外子表面
10 内子と外子とのクリアランス
11 樹脂混合物
12 複合粒子
15 溝の幅
16 溝の深さ
18 複合粒子の供給装置
19 複合粒子の供給口
20 樹脂混合物にずり剪断力を与えて複合粒子化する装置
21 内子の駆動装置
22 複合粒子の回収装置
23 排気装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧板用プリプレグとその製造方法、及び化粧板の製造方法に関し、特に、曲面加工性に優れた化粧板用のプリプレグに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化粧板は、表面が硬く、耐熱性や耐汚染性に優れ、意匠性においても美しい外観を有し、更に豊富な色調、色柄の中から選択できることから、家具テーブル、会議用テーブル、事務デスク等の天板、あるいは住宅やオフィスビルの内装材などに広く使用されている。
【0003】
この化粧板の中でも、例えばメラミン樹脂化粧板のような熱硬化性樹脂化粧板は、熱硬化性樹脂を溶剤に溶解した樹脂ワニスを紙基材に含浸させたプリプレグを順次積層し、加熱加圧成形して製造される。この熱硬化性樹脂化粧板は用いる熱硬化性樹脂の性質により、耐熱性が高く、表面硬度、耐摩耗性、耐汚染性等の表面性能には優れたものであるが、反面、特に常温域では可撓性に乏しいため、曲面加工に対応することは困難である。このため、通常垂直面や水平面のような平面に限定して使用されている。
一方、常温域において大きな可撓性を有する化粧板としては熱可塑性樹脂化粧板がある。これは曲面加工性には優れたものであるが、耐熱性は低く、耐汚染性、耐候性、表面硬度などの表面性能は大きく低下するという問題がある。
【0004】
このような化粧板の欠点を解消すべく、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の特性を併せ持ち、耐熱性等を有しつつ、平面施工だけではなく、曲面加工も行える化粧板の検討が行われてきた。その一つとして、例えば、熱硬化性樹脂化粧板用のプリプレグとともに、熱可塑性樹脂を主成分とするシート等を用い、これらを交互にあるいは併用して積層して化粧板を成形する方法がある(例えば、特許文献1ないし3参照。)。しかし、この方法は、小さな曲げ半径を有する曲面加工を施す薄物の化粧板には適用しにくく、さらに、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが層単位で積層されているため、両樹脂のなじみの悪さに起因する両層の境界における分離または剥離が発生しやすいという問題があった。
【0005】
また、他の試みとして、化粧板用のプリプレグ自体に両樹脂の特性を併せ持たせることも行われている。例えば、紙基材として、あらかじめ熱可塑性樹脂成分を含有したものを用い、この基材に熱硬化性樹脂ワニスを含浸させてプリプレグを製造する方法がある(例えば、特許文献4及び5参照。)。この場合、熱可塑性樹脂成分は一般的に低粘度化させるのが難しいため、粒子化したものを紙基材繊維スラリーに混ぜて混抄するか、溶剤に溶解した熱可塑性樹脂を抄紙済みの基材に塗工した後、溶剤を除去する等の方法が採られることが多い。しかし、熱可塑性樹脂粒子は疎水性であるものが多いため、特に微粒子状のものを用いた場合は基材とともに混抄することそのものが難しい。また、溶剤を用いる場合でも、溶剤の除去、処理を要するだけでなく、基材繊維近辺に熱可塑性樹脂が偏在するという問題があった。
【0006】
このほかにも、熱可塑性樹脂を乳化重合等により水エマルジョン化し、これを熱硬化性樹脂ワニスとともに基材に含浸させる方法もある(例えば、特許文献6参照。)。しかし、熱可塑性樹脂を特定の粒径を有する微粒子化したエマルジョンとするためには、重合反応を高度に制御する必要があり、また、両樹脂成分の相溶性が小さいため、プリプレグ及び化粧板としたときに、両樹脂成分が分離して海島構造となりやすく、目的とする性状を充分に発現させることができないという問題があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平09−011407号公報
【特許文献2】
特開平09−011408号公報
【特許文献3】
特開平09−011409号公報
【特許文献4】
特開平02−136237号公報
【特許文献5】
特開平02−217243号公報
【特許文献6】
特開昭52−130902号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、簡易にかつ低コストで、耐熱性等を有しつつ、曲面加工性に優れた化粧板用のプリプレグ及びその製造方法、並びにこのプリプレグを加熱加圧成形して化粧板を製造する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、基材とこの基材に担持された樹脂組成物とを有し、この樹脂組成物は、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物粒子を有することを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0010】
このように、樹脂組成物として、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを含有する粒子を有するプリプレグとすることにより、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との特性を併せ持つ化粧板を簡易にかつ低コストで製造することができる。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、上記第1の解決手段において、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との重量比が、2:2〜8:2の範囲から選択されることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0012】
このように、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との重量比を、2:2〜8:2の範囲から選択すると、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の両方の特性をバランスよく発現させることができる。
【0013】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2のいずれかの解決手段において、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とは、複合粒子化されていることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0014】
このように、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とが複合粒子化されていると、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合精度を向上させることができ、両樹脂粒子の粒径を任意に設定することにより、目的とする混合精度を得ることができる。また、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のみかけの性状の差異を小さくすることができる。
【0015】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第3の解決手段において、複合粒子は、平均粒径が1〜50μmであることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0016】
このように、複合粒子の平均粒径が1〜50μmであると、これを基材に担持させた場合に、複合粒子を基材内部に容易に担持させることができ、樹脂成分の含浸が容易なプリプレグを簡易に得ることができる。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第3の解決手段において、複合粒子は、平均粒径が50〜500μmであることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0018】
このように、複合粒子の平均粒径が50〜500μmであると、これを基材に担持させた場合に、複合粒子が基材の表面に多く存在するプリプレグを簡易に得ることができる。
【0019】
本発明は、上記の課題を解決するための第6の手段として、上記第3ないし第5のいずれかの解決手段において、複合粒子は、粒子状の熱可塑性樹脂の表面の少なくとも一部が粒子状の熱硬化性樹脂により被覆されているものを含有することを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0020】
このように、複合粒子が、粒子状の熱可塑性樹脂の表面の少なくとも一部が粒子状の熱硬化性樹脂により被覆されているものであると、熱可塑性樹脂の性状をみかけ上、熱硬化性樹脂と近似したものにすることができる。
【0021】
本発明は、上記の課題を解決するための第7の手段として、上記第1ないし第6のいずれかの解決手段において、粒子状の熱硬化性樹脂は、親水性樹脂であることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0022】
このように、熱硬化性樹脂として親水性のものを用いると、これを水中に精度よく分散させることができる。そして、熱可塑性樹脂が好ましくは熱硬化性樹脂と複合化して、熱硬化性樹脂により表面の少なくとも一部が被覆されていると、本来は疎水性である熱可塑性樹脂についても、その取り扱い性を親水性の熱硬化性樹脂とほぼ同等にすることができる。
【0023】
本発明は、上記の課題を解決するための第8の手段として、上記第7の解決手段において、親水性樹脂は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、又は尿素樹脂のいずれかであることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0024】
このように、親水性樹脂がフェノール樹脂、メラミン樹脂、又は尿素樹脂であると、耐熱性、硬度、耐摩耗性、耐汚染性を効果的に発現させることができる。また、これらの樹脂は一般的に低コストであるので、化粧板を製造するコストを低減させることができる。
【0025】
本発明は、上記の課題を解決するための第9の手段として、上記第1ないし第8のいずれかの解決手段において、粒子状の熱可塑性樹脂は、ABS樹脂であることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0026】
このように、熱可塑性樹脂がABS樹脂であると、熱硬化性樹脂の特性である耐熱性や機械的強度を大きく低下させることなく、可撓性、耐衝撃性を付与することができる。
【0027】
本発明は、上記の課題を解決するための第10の手段として、上記第1ないし第9のいずれかの解決手段において、基材内部に樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されていることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0028】
このように、基材内部に樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されていると、樹脂組成物粒子が加熱により溶融するだけで基材に含浸した状態とすることができるので、このプリプレグを通常のプレス装置により加熱加圧成形することにより、含浸性の良好な化粧板を得ることができる。
【0029】
本発明は、上記の課題を解決するための第11の手段として、上記第1ないし第9のいずれかの解決手段において、基材表面に樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されていることを特徴とする化粧板用プリプレグを提供するものである。
【0030】
このように、基材表面に樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されていると、このプリプレグを複数枚数用いて化粧板を製造する場合に、加熱により溶融した樹脂組成物粒子によってプリプレグどうしを容易に接着させることができるので、加熱ロール等の簡易な装置を用いて化粧板を製造するのに適したプリプレグを得ることができる。
【0031】
さらに本発明は、上記第1ないし第11の解決手段である化粧板用プリプレグを適切に製造することができる以下の解決手段をも提供するものである。即ち、具体的には、本発明は、上記の課題を解決するための第12の手段として、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有させて樹脂組成物粒子とし、基材に樹脂組成物粒子を有する樹脂組成物を担持させて化粧板用プリプレグを製造することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0032】
本発明は、上記の課題を解決するための第13の手段として、上記第12の解決手段において、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との重量比を、2:8〜8:2の範囲から選択して樹脂組成物粒子とすることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0033】
本発明は、上記の課題を解決するための第14の手段として、上記第12又は第13のいずれかの解決手段において、粒子状の熱可塑性樹脂と、粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物に、ずり剪断力を与えて複合粒子化することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0034】
このように、粒子状の熱可塑性樹脂と、粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物に、ずり剪断力を与えて複合粒子化すると、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが強固に融合した複合粒子を得ることができ、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合精度に優れた樹脂組成物を得ることができる。
【0035】
本発明は、上記の課題を解決するための第15の手段として、上記第12ないし上記第14のいずれかの解決手段において、粒子状の熱可塑性樹脂の表面の少なくとも一部を粒子状の熱硬化性樹脂により被覆することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0036】
本発明は、上記の課題を解決するための第16の手段として、上記第12ないし上記第15のいずれかの解決手段において、平均粒径が1〜50μmの粒子状の熱可塑性樹脂と、平均粒径が0.1〜10μmの粒子状の熱硬化性樹脂とを複合粒子化することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0037】
このように、平均粒子径がそれぞれ上記の範囲内にある熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子とを複合粒子化することにより、基材の内部に担持されやすい粒径を有した複合粒子を得ることができる。
【0038】
本発明は、上記の課題を解決するための第17の手段として、上記第12ないし上記第15のいずれかの解決手段において、平均粒径が50〜500μmの粒子状の熱可塑性樹脂と、平均粒径が1〜50μmの粒子状の熱硬化性樹脂とを複合粒子化することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0039】
このように、平均粒子径がそれぞれ上記の範囲内にある熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子とを複合粒子化することにより、基材の表面に担持されやすい粒径を有した複合粒子を得ることができる。
【0040】
本発明は、上記の課題を解決するための第18の手段として、上記第14ないし上記第17のいずれかの解決手段において、所定のクリアランスをもって相対して設置された内子と外子との間に形成された空間に、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物を供給し、該空間において内子と外子との相対的な回転運動を行うことにより、前記粒子状の熱可塑性樹脂と、前記粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物に、ずり剪断力を与えて複合粒子化することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0041】
このように、樹脂混合物にずり剪断力を与えて複合粒子化する際に、所定のクリアランスをもって相対して設置された内子と外子との間に形成された空間に、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物を供給し、該空間において内子と外子との相対的な回転運動によって行うと、簡易な装置で効率よく複合粒子を得ることができる。
【0042】
本発明は、上記の課題を解決するための第19の手段として、上記第18の解決手段において、内子と外子は、いずれか一方又は双方が粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物と接する面に溝を有していることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0043】
このように、内子と外子は、いずれか一方又は双方が粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物と接する面に溝を有していると、この樹脂混合物と、内子及び外子の表面との間ですべりを生ずることなく、効果的に圧縮、ずり剪断力を作用させることができるので、樹脂混合物の性状に影響を与えることなく、短時間の処理で効率的に複合粒子を得ることができる。
【0044】
本発明は、上記の課題を解決するための第20の手段として、上記第18又は上記第19のいずれかの解決手段において、空間は、中空円錐または中空円錐台の、周面状の形状であることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0045】
このように、樹脂混合物にずり剪断力を与える処理を行う空間を、中空円錐または中空円錐台の、周面状の形状とすることにより、樹脂混合物に与える作用を空間内の円周方向において均等なものにすることができる。
【0046】
本発明は、上記の課題を解決するための第21の手段として、上記第12ないし上記第20のいずれかの解決手段において、樹脂組成物を水に分散させ、樹脂組成物を分散させた水を介して、樹脂組成物を基材に担持させることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0047】
このように、樹脂組成物を分散させた水を用いると、基材への塗工を均一に行いやすくなる。また、有機溶媒を使用することなく、化粧板用プリプレグを得ることができるので、有機溶剤コスト及び有機溶剤の処理コストを、実質的に不要とすることができる。さらには、作業環境、環境負荷などの環境衛生面においても好ましいものである。
【0048】
本発明は、上記の課題を解決するための第22の手段として、上記第21の解決手段において、樹脂組成物を分散させた水を基材に噴霧して、樹脂組成物を基材に担持させることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法を提供するものである。
【0049】
このように、樹脂組成物を分散させた水を、例えばスプレーノズルなどの噴射装置を用いて基材に噴射して、樹脂組成物を基材に担持させると、この操作は基材の片面からはもちろん、両面からも同時に行うことができるので、化粧板用プリプレグを効率よく製造することができる。また、基材に担持させる樹脂組成物の量を、噴射量の設定のみにより容易に調整することができる。
【0050】
さらに本発明は、上記第1ないし第11の解決手段である化粧板用プリプレグを用いる、以下の解決手段をも提供するものである。即ち、具体的には、本発明は、上記第1ないし上記第11のいずれかの化粧板用プリプレグを、加熱加圧して化粧板を成形することを特徴とする化粧板の製造方法を提供するものである。
【0051】
本発明は、上記第1ないし上記第11のいずれかの化粧板用プリプレグを、ロール装置により連続的に加熱加圧して化粧板を成形することを特徴とする化粧板の製造方法を提供するものである。
【0052】
本発明は、上記第12ないし上記第22のいずれかの化粧板用プリプレグの製造方法により得られた化粧板用プリプレグを、加熱加圧して化粧板を成形することを特徴とする化粧板の製造方法を提供するものである。
【0053】
本発明は、上記第12ないし上記第22のいずれかの化粧板用プリプレグの製造方法により得られた化粧板用プリプレグを、ロール装置により連続的に加熱加圧して化粧板を成形することを特徴とする化粧板の製造方法を提供するものである。
【0054】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
はじめに、本発明が適用される化粧板について図面を参照しながら詳細に説明すると、図1は本発明が適用される化粧板1を示し、この化粧板1は、芯材層3と、この芯材層3に積層された化粧層2とから成っている。この化粧板1は、化粧層2と芯材層3とを形成した後、図1に示すようにこれらを重ね合わせて加熱加圧成形して、芯材層3に化粧層2を積層することにより製造することができる。
なお、図示していないが、化粧板1は、化粧層2と芯材層3のほか、必要に応じて、化粧層2の外側にオーバーレイ層、あるいは化粧層2と反対側の芯材層3の表面にバック層などを積層して形成することもできる。
これらの化粧層2,芯材層3は、化粧板用プリプレグから形成されるが、本発明の化粧板用プリプレグは、上記化粧層2、及び芯材層3のいずれにも適用することができる。特に、芯材層3に用いられるプリプレグは、通常、化粧板1の所定厚みの大半を構成する要素であるので、この芯材層3に本発明の化粧板用プリプレグを適用すると、その特性を効果的に発現させることができる。
【0055】
本発明の化粧板用プリプレグは、基材と、この基材に担持された樹脂組成物とを有し、樹脂組成物は、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物粒子を有する。
【0056】
本発明の化粧板用プリプレグに用いられる基材としては特に限定されないが、表面層となる化粧層2に用いられる基材としては、セルロース(パルプ)に顔料(チタン白など)をすきこんだ抄造紙に模様を印刷した印刷紙が適当である。坪量としても特に限定されないが、通常、50〜150g/m2のものを用いることができる。
また、芯材層3に用いられる基材としては、天然有機繊維、ガラス等の無機繊維、ポリエステル等の合成繊維などを単独もしくは混紡、混抄により複数種用いた紙、織布、あるいは不織布などが使用できるが、通常、化粧板用としてはクラフト紙を用いることができる。クラフト紙を用いる場合の坪量は特に限定されないが、通常、50〜250g/m2のものを使用することができる。
【0057】
本発明の化粧板用プリプレグに用いられる樹脂組成物は、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有する。
この熱可塑性樹脂としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、あるいは、ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。これらを単独または複数種用いることができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に、ABS樹脂を用いることが好ましい。これにより、熱硬化性樹脂の特性である耐熱性や機械的強度を大きく低下させることなく、可撓性、耐衝撃性を付与することができる。
【0058】
また、この熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、例えば、レゾール型、ノボラック型などのフェノール樹脂、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0059】
また、この熱硬化性樹脂は親水性のものであることが好ましい。これにより、カップリング剤等を用いなくても、樹脂組成物を簡易に水に分散させて用いることができるので、有機溶剤を使用しない系で化粧板用プリプレグの製造を行うことができる。
この親水性の熱硬化性樹脂としては特に限定されないが、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂のいずれかであることが好ましい。これにより、上記効果に加えて、耐熱性、硬度、耐摩耗性、耐汚染性を効果的に発現させることができる。また、これらの樹脂は一般的に価格が安いので、化粧板を製造するコストを抑えることができる。
【0060】
上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との配合比率は、使用する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の性状、あるいは目的とする化粧板の性状を考慮して適宜選択すればよく、特に限定されないが、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との重量比が、2:8〜8:2の範囲から選択されることが好ましく、さらに好ましくは4:6〜6:4である。これにより、用いる熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の特性を充分に発現させ、両樹脂の有する特性を併せ持つ化粧板とすることができる。
【0061】
上記熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、これらを単純に混合したものを用いることもできるが、これらが複合粒子化されたものを用いることが好ましい。
本発明の化粧板用プリプレグを製造する際に用いられる樹脂組成物は、種々の形態で用いることができるが、例えば、水に樹脂組成物を分散させて用いる場合、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを単純に混合しただけのものでは、両者の性状、具体的には、疎水性、親水性など水に対する親和性の差異が発現し、両者を均一に分散させることが困難になることがある。また、化粧板用プリプレグの製造工程あるいは加工工程において、樹脂組成物を加熱溶融した状態での両者の相溶性が小さい場合は、いわゆる海島状態になり、均一性が低下するようになる。このような状態では、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを併用する効果が充分に発現できないことがある。
したがって、本発明の化粧板用プリプレグにおいては、好ましくは熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを複合粒子化することにより、両者を一粒子単位において混合されている状態とする。これにより、両者を単純に混合した場合と比較して、より高い混合精度を得ることができる。そして、両樹脂粒子の粒径、配合量などを任意に設定することにより、目的とする混合精度を有した樹脂組成物を得ることができる。
さらに、複合粒子化することにより、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが有する性状の違いを、みかけ上小さくすることができる。これにより、上記のような性状の差異に起因する問題が起こりにくく、複合粒子化した際の混合精度を維持したままプリプレグを得ることができる。
【0062】
上記複合粒子は特に限定されないが、粒子状の熱可塑性樹脂の表面の少なくとも一部が、粒子状の熱硬化性樹脂により被覆されているものであることが好ましい。
本発明の化粧板用プリプレグに好ましく用いられる熱可塑性樹脂は、本質的に疎水性であるものが多いため、例えばこれを単独で水に分散させると、水との濡れ性が極めて悪く、固液が分離した状態となりやすい。このため好ましくは、疎水性である熱可塑性樹脂粒子の表面を、親水性である熱硬化性樹脂粒子によって被覆することにより、熱可塑性樹脂粒子のみかけの性状を熱硬化性樹脂に近いものにすることができる。このような複合粒子は、疎水性である熱可塑性樹脂を用いているにもかかわらず、親水性の熱硬化性樹脂と類似した挙動を示すため、例えば、水に分散した場合でもダマ状態となりにくく、良好な分散状態とすることができる。
このような複合粒子は、熱可塑性樹脂粒子の表面全体が熱硬化性樹脂粒子によって被覆されていることが好ましいが、その一部が被覆されている状態であっても構わない。このように、熱可塑性樹脂粒子が熱硬化性樹脂粒子により被覆されている程度により、態様の異なる複合粒子が混合していても、充分に上記効果を発現させることができる。
なお、複合粒子化された状態での熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂は、それぞれが必ずしも粒子形状を維持していなくても構わない。例えば、熱可塑性樹脂の表面を熱硬化性樹脂で被覆する場合、被覆後の複合粒子において、熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂の表面で、粒子形状、片形状、膜形状など様々な態様をとりうると考えられる。このような場合についても、本発明に含まれる。
【0063】
上記複合粒子の大きさとしては特に限定されないが、例えば、平均粒径で1〜50μmのものを用いると、樹脂組成物の含浸が容易なプリプレグを製造することができる。
即ち、化粧板用プリプレグの基材として多く用いられる印刷紙やクラフト紙には、その坪量にもよるが、通常は基材表面や基材表面に連通している基材内部に、5〜60μm程度の隙間を有している。このため、その基材密度に合わせて上記の範囲から選択した適宜の粒径の複合粒子を用いると、これが基材間の隙間に侵入して内部に担持された状態となりやすく、この後の加熱により複合粒子が基材内部で溶融する。さらに、基材表面に担持された状態の複合粒子も、粒径が小さいため熱容量が小さく、加熱により短時間で溶融するので、基材表面から基材内部へ含浸する時間を長く確保することができる。このような理由により、樹脂組成物の含浸が容易なプリプレグを製造することができる。
このような複合粒子の粒径は、使用する基材の坪量により調整して用いることができるが、かかる目的のためには、複合粒子の平均粒径は1〜30μmとすることがさらに好ましい。
また、このような平均粒径を有する複合粒子を用いた場合は、特に限定されないが、樹脂組成物が基材内部に70重量%以上担持されているものであることが好ましい。さらに好ましくは80重量%以上である。これにより、プリプレグの段階で基材内部に存在している樹脂組成物の量が多いので、これを平板プレス等の装置で加熱加圧成形することにより、含浸性が良好な化粧板を簡易に製造することができ、使用した樹脂成分の特性を化粧板として顕在化させることができる。
【0064】
一方、平均粒径が50〜500μmである複合粒子を、上記密度を有するプリプレグの基材に担持させると、複合粒子は基材表面の隙間から内部に侵入するよりも、基材表面に担持されている量が多くなり、基材表面に残存しやすくなる。そして、各粒子の熱容量が大きいため、この後の加熱によっても、粒子表面が溶融して基材表面に溶着するにとどまるようになる。これにより、樹脂組成物が基材表面に多く担持されたプリプレグを製造することができる。かかる目的のためには、複合粒子の平均粒径は100〜300μmとすることがさらに好ましい。
また、このような平均粒径を有する複合粒子を用いた場合は、特に限定されないが、基材内部に樹脂組成物が70重量%以上担持されているものであることが好ましい。さらに好ましくは80重量%以上である。このように、樹脂組成物が基材表面に多く存在するプリプレグとすることにより、このプリプレグを複数枚数積層して化粧板を製造する場合に、例えば、熱圧ロールラミネート法のような簡易な方法を適用するのに適したプリプレグとすることができる。
【0065】
これらの熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子とを複合粒子化する方法としては特に限定はないが、熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子との樹脂混合物に、ずり剪断力を与えて複合粒子化することが好ましい。
【0066】
熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子との樹脂混合物に、ずり剪断力を与えて複合粒子化する具体的な方法としては特に限定されないが、例えば、石臼もしくはこれと類似の機能を有する摩砕装置などにより、樹脂混合物にずり剪断力を与える方法、あるいは、強い圧縮と摩擦作用を有する圧密装置により樹脂混合物を処理する方法などが挙げられる。
【0067】
本発明においては、ずり剪断力を与えて複合粒子化する方法として、所定のクリアランスをもって相対して設置された内子と外子との間に形成された空間に樹脂混合物を供給し、該空間において内子と外子との相対的な回転運動により処理を行うものであることが好ましい。これにより、簡易な装置で連続的に複合粒子化することができる。
【0068】
図2は、このような処理を行うための方法の一例を示したものである。
図2(a)は内子4と外子5のそれぞれの斜視図であり、図2(b)はこれを組み合わせたときの縦断面図である。樹脂混合物11は、内子4と外子5との間に形成された空間7に供給される。8は樹脂混合物11と接触する内子4の表面、9は同様に外子5の表面である。内子4と外子5との間には、クリアランス10が設けられている。図2(b)の例では、樹脂混合物11は空間7の一方の開口部13側から供給され、空間7において内子4と外子5との相対的な回転運動により複合粒子12となってもう一方の開口部14から排出される。
【0069】
この空間7の形状については特に限定されないが、例えば、いずれも中空状の円錐形、円錐台形、円筒形、あるいはこれらに類する形の周面に沿った形状などが挙げられる。この場合、空間7の断面形状(図2(b)のA1〜A2断面)は、樹脂混合物11の移送方向のどの部位においても内子4及び外子5の回転中心と同心円であり、クリアランス10に相当する幅を有した形状となる。また、必要に応じてこのような形状を複数組み合わせた形状のものを使用することもできる。
【0070】
この空間7として、例えば先拡がりの中空の円錐形状や、図2(b)に示したような先拡がりの中空の円錐台形状を適用し、空間7の幅すなわちクリアランス10を一定とした場合は、樹脂混合物11が処理される空間容積は排出側14への移送に伴い増大していくので、供給された樹脂混合物11が処理途中で再凝集しにくく、順次スムーズに複合粒子12を排出することができる。一方、上記空間7の幅10を排出側14へ向かうにつれて小さくなるように設定すると、樹脂混合物11に大きなずり剪断力を与えることができる。
【0071】
この方法により樹脂混合物11にずり剪断力を与える場合には、内子4と外子5とは相対的に回転数差を有する。これにより、供給された樹脂混合物11にはずり剪断力が作用する。この回転数差や回転方向は特に限定されないが、内子4と外子5の両方を反対方向または同一方向に回転させることによって与えてもよいし、内子4又は外子5のどちらか一方のみを回転させる方式を用いてもよい。これらの中でも、外子5を固定とし、内子4を回転させる方式とすると、設備構成を簡易にすることができ好ましい。
このような回転数差は、内子4と外子5との組合せごとにそれぞれ設計することができる。従って、内子4と外子5との組合せを複数段階設けて処理を行う場合には、各々についてこれを設計することができる。
【0072】
この処理を行う際の内子4と外子5の相対的な回転数差については特に限定されない。これは、処理される樹脂混合物11の性状、装置の条件などによって変動し、各々最適範囲が異なると考えられるためである。いずれの場合でも、樹脂混合物11に充分なずり剪断力を与えるとともに、これが過大なエネルギー供給とならないような範囲とすることが好ましい。
【0073】
これらの内子4及び外子5の形態としては特に限定されないが、各々温調機構を有したものであることが好ましい。これにより、処理を行うときの樹脂混合物11の状態を最適なものにできる。通常、このような処理時には、樹脂混合物11にずり剪断力が作用するため、摩擦により熱を生ずる。用いる樹脂の性状により、熱による変質を防止したい場合は、内子4及び外子5を適した温度で冷却することができる。一方、例えば、用いる樹脂粒子が常温では硬度が大きい場合は、加温により複合粒子化をより円滑に行うこともできる。
【0074】
これらの内子4と外子5とのクリアランス10はついても特に限定されず、用いる樹脂の粒径や、目的とする複合粒子の粒径などにより適宜設定することができる。一例を挙げると、複合粒子として平均粒径が1〜50μmのものを得る場合は、0.3〜1.5mmに設定することが好ましい。また、複合粒子として平均粒径が50〜500μmのものを得る場合は、0.5〜2.0mmに設定することが好ましい。これにより、樹脂混合物11に充分なずり剪断力を作用させて処理できるとともに、樹脂混合物11に過剰な力を与えて摩擦により発熱するのを抑えることができる。
クリアランス10が前記上限値を越えると、樹脂混合物11に充分なずり剪断力を作用させる前に装置から排出されやすくなったり、複合粒子化が充分に行われなかったりすることがある。一方、クリアランス10が前記下限値より小さいと、処理時に大きなずり剪断力が作用するようになるため、複合粒子が目的とする粒径より小さくなったり、樹脂混合物11の種類によっては発熱による変質や装置への融着、あるいは粒子どうしの融着が起こったりすることがある。
【0075】
また、これらの内子4や外子5は、図2に示すようにいずれか一方又は双方に、樹脂混合物11と接触する面に溝6a、6bを有するものであることが好ましい。この溝6a、6bにより、樹脂混合物11と、内子4及び外子5の表面との間ですべりを生ずることなく、効果的に圧縮、ずり剪断力を作用させることができるので、樹脂混合物11の性状に影響を与えることなく、短時間の処理で効率的に複合粒子を得ることができる。
図3(a)(側面図)は円錐台形状の内子4の表面に、図3(b)(側断面図)はこれと相対する形状の外子5の表面に、それぞれ溝6a、6bを加工した例であるが、特にこのような加工形状に限定されるものではない。
また、この溝6の断面形状については特に限定されないが、一般的には図3(c)(断面図)に示した形状を有するものが好ましく用いられる。図3(c)において、15は溝6の幅、16は溝6の深さである。これにより、上記効果に加えて溝6の内部に樹脂混合物11が滞留するのを防ぐことができる。
また、この溝6を形成する位置については特に限定はなく、内子4や外子5の全面に加工してもよいし、一部のみの加工でもよい。また、内子4、外子5のどちらか一方への加工でもよい。
【0076】
さらに、これらの内子4や外子5の表面の溝6については特に限定されないが、例えば内子4のみが回転する場合の内子4表面の溝6aの形状は、図4(側面図)に示したような形状、すなわち、樹脂混合物11の移送方向に対して角度を有したものであることが好ましい。これにより、樹脂混合物11を処理すると同時に、排出側14へ移送する機能を付与することができる。図4において、溝6aの本数、角度、ピッチなどは特に限定されないが、内子4の樹脂混合物11の供給側13から複合粒子12の排出側14へ向かって、溝6が内子4の回転方向(図4の矢印17参照)側へ向くような方向に角度を付けて加工すればよい。このとき、外子5の表面の溝6bは特に限定されないが、図3(b)のような形状でもよいし、あるいは、内子4の溝6aと反対方向の角度を有した形状に加工することにより、樹脂混合物11を移送する効果をさらに高めてもよい。
本発明の製造方法で用いられる樹脂混合物11は温度感応性が高い性質を有する場合があり、内子4と外子5との間に形成された空間7内に長時間滞留したり、その滞留時間にバラツキを生じると、得られる複合粒子12の特性に影響する場合がある。内子4や外子5にこのような溝6を加工することにより、このような問題をより確実に回避することができる。
【0077】
図5(縦断面図)は、以上に説明した方法により、熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子とを複合粒子化する形態の一例を示したものである。
図5において、熱可塑性樹脂粒子と熱硬化性樹脂粒子とを予備混合した樹脂混合物11を、供給装置18の供給口19から供給する。樹脂混合物11は供給装置18の下部からずり剪断力を与える装置20へ送られる。この装置20は、内子4と外子5とから構成される。樹脂混合物11は、内子4と外子5との間に形成されたクリアランス10を有する空間7に供給され、ここで内子4と外子5との相対的な回転により、ずり剪断力、圧縮力の作用を受け、複合粒子化される。なお、図示していないが、内子4及び外子5は、各々独立して設定が可能な温調装置を有しており、内子4のみでなく、外子5にも、樹脂混合物11と接する表面に溝加工が施されている。なお、内子4はモーター等の駆動装置21により自転し、外子5は固定されている。樹脂混合物11は空間7においてずり剪断力を与えられて複合粒子化された後、回収装置22に貯留される。なお、23は樹脂混合物11の供給時に装置内に供給された空気を排出するための排気装置を示す。
【0078】
なお、このように樹脂混合物11にずり剪断力を与えて複合粒子化することができる装置としては、図5に挙げたもののほか、例えば、ずり剪断力を作用させることができる臼型の装置として、増幸産業株式会社製の摩砕装置「スーパーマスコロイダー」、圧密装置としてはホソカワミクロン株式会社製のメカノフュージョン装置「オングミル」などを用いることができる。
【0079】
これらの内子4及び外子5の表面の材質については特に限定されないが、耐熱性や耐摩耗性を有するものであることが好ましい。一般的には、鉄、ステンレス、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ダイヤモンドなどが好ましく用いられる。これらは、処理する樹脂混合物11の種類や組成に合わせて適宜選択することができる。
【0080】
上記装置18に樹脂混合物11を供給する方法は特に限定されないが、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを例えばヘンシェルミキサーなどにより混合した樹脂混合物11を、スクリューフィーダー、振動フィーダーなど公知の粉体供給装置を用いることができる。
【0081】
本発明において、このようにして得られた複合粒子12を基材に担持させる方法としては特に限定はないが、例えば、樹脂組成物を水に分散させたもの(以下、「樹脂分散水」ということがある)を基材に塗工する方法、あるいは、粉体状の樹脂組成物をそのまま基材に塗工する方法などが挙げられる。
これらの中でも、樹脂分散水を基材に塗工する方法が好ましい。これにより、基材への塗工量を均一に行いやすくなる。また、有機溶剤を用いることなく、樹脂組成物を基材に担持させることができ、有機溶剤のコストだけでなく、有機溶剤の処理コストをも不要にすることができる。さらには、作業環境を改善し、環境に対する負荷も低減することができる。
【0082】
また、この樹脂分散水を用いると、例えば基材としてクラフト紙などを用いた場合には、これらの木質繊維は水とのなじみに優れているため、基材に樹脂分散水を容易に担持させることができる。さらに、樹脂分散水は用いる水の量により低粘度に調製することができるので、樹脂分散水を基材に担持させた後、特に外力等を加える操作を行わなくても、水が基材に浸透する際に、水とともに樹脂組成物を基材内部に移動させることができる。このような効果は、特に複合粒子として平均粒径の小さいものを用いた場合に、より顕著に発現させることができる。これにより、プリプレグの段階で、基材に対する樹脂組成物の含浸性を高くすることができるとともに、樹脂組成物の基材内部への担持量を多くすることができるので、このプリプレグを加熱加圧成形して化粧板1を製造する場合でも、加熱加圧により樹脂組成物が系外へ流出してしまうのを防ぐことができる。
【0083】
さらには、このような樹脂分散水は簡易に調製することができ、樹脂成分の経時変化などをほとんど無視することができるので、長時間にわたって連続生産を行う場合などでも、安定した品質を維持することができる。
【0084】
上記樹脂分散水を基材に塗工する方法としては特に限定はないが、例えば、樹脂分散水をスプレーノズルなどの噴射装置を用いて基材に噴射塗工する方法、樹脂分散水をコーター等により基材に塗工する方法、樹脂分散水中に基材を浸漬する方法などが挙げられる。これらの中でも、樹脂分散水をスプレーノズルなどの噴射装置を用いて基材に噴射塗工する方法が好ましい。この方法によると、樹脂分散水を基材の両面から同時に行うことができるので、化粧板用プリプレグを効率よく製造することができる。また、基材に担持させる樹脂組成物の量を噴射量の設定のみにより簡易に調整することができるので、例えば、基材に担持させる樹脂組成物の量を、基材の表裏で異なるように設定する場合でも、容易に対応することができる。
【0085】
上記樹脂分散水の調製方法としては特に限定はないが、樹脂組成物あるいは複合粒子からなる樹脂組成物を、ディスパーザー、乳化分散装置などを用いて、水中に分散させることにより得ることができる。
樹脂分散水中の樹脂組成物の濃度としては特に限定はないが、10〜40重量%とすることが好ましい。これにより、化粧板用プリプレグを製造する効率を低下させることなく、樹脂分散水の粘度も適正なものにすることができる。樹脂組成物の濃度が上記の下限値より小さいと、樹脂分散水の塗工が長時間を所要することがあり、化粧板用プリプレグの製造効率が低下することがある。また、樹脂組成物を基材に担持させた後、水分を除去する際にはそのためのエネルギーが増大する。一方、上記の上限値より大きいと、樹脂分散水が高粘度化することがあるため、取り扱い性が低下したり、特に平均粒径の小さな複合粒子を用いた場合に、基材内部への樹脂組成物の移動が充分ではなかったりすることがある。
【0086】
【実施例】
以下、芯材層3に本発明の化粧板用プリプレグを用い、図1に示す化粧板1を製造した本発明の実施例を詳細に説明する。ここで、「部」は全て「重量部」、「%」は全て「重量%」を表す。
【0087】
<実施例1>
1.化粧層用プリプレグの作製
メラミン(M)とホルムアルデヒド(F)との反応モル比(F/M)が1.7となるように配合し、反応温度95℃で水混和度が16ml/5mlとなるまで反応させ、メラミン樹脂ワニスを得た。このメラミン樹脂ワニス中のメラミン樹脂分は54%、溶剤成分の比率(メタノール:水)は5:95であった。
このメラミン樹脂ワニスを、米坪90g/m2のグラビア印刷紙に含浸させた後、熱風乾燥装置で乾燥させ、米坪195g/m2、揮発分8%の化粧層用プリプレグを作製した。
【0088】
2.芯材層用プリプレグの作製
2.1 樹脂組成物(複合粒子)の調製
(1)熱可塑性樹脂
ABS樹脂(UMG ABS株式会社製・「B−600N」)を用い、これを液体窒素で冷却した後、フリッチュ・ジャパン株式会社製・「ロータースピードミル」を使用し、粉末状のドライアイスとともに冷却粉砕した。得られた粉砕物を目開き16μm、25μmのマイクロシーブを用いて分級し、平均粒径20μmのABS樹脂粒子を得た。
(2)熱硬化性樹脂
固形レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製・「PR−51723」)を粉体衝突型ジェットミル装置(ホソカワミクロン株式会社製・「カウンタージェットミル200AFG」)を用いて粉砕した。供給用ノズルはφ3mmのものを3本用い、空気圧600kPa、圧空量1.7m3/minで処理し、分級ローターの回転数を11500rpmに設定して粉砕物を捕集し、平均粒径1.5μmのフェノール樹脂粒子を得た。
【0089】
(3)複合粒子の調製
このようにして得られた粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを等量配合し、ヘンシェルミキサーで予備混合して樹脂混合物を得た後、これを図5に示した装置に投入し、ずり剪断力を与えて平均粒径25μmの複合粒子を得た。なお、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、複合粒子のいずれも、平均粒径は粒度分布計(HORIBA LA−910)を用いて測定を行った。また、ずり剪断力を与える装置18の仕様及び運転条件は下記の通りで行った。
(ア) 内子4の仕様:内子4は駆動させる側とした。円錐台形状であり、短径側(混合品供給側)外径30mm、長径側(混合品排出側)外径60mm、円錐台高さ80mmのものを使用した。溝6aの形状は図3(c)に示した断面形状および図4に示した平面形状を有するものを使用し、溝6aの断面の幅3mm、深さは1mmとし、これを12本均一ピッチで加工した。
(イ) 外子5の仕様:外子5は固定する側とした。円錐台形状である内子4と相対する全部位において同じクリアランス10を有する形状とし、クリアランス10を0.5mmとした。溝6bの形状は図3(b)に示した平面形状および図3(c)に示した断面形状を有するものを使用し、溝6bの断面の幅、深さ、本数は内子4側に加工したものと同仕様とした。
(ウ) 内子4及び外子5の温調条件:内子4、外子5とも常温に設定した。
(エ) 内子4の運転条件:回転数を1200rpmとした。
【0090】
(4)樹脂分散水の調製
上記で得られた樹脂組成物と水とを、樹脂組成物:水=3:7の重量比率で振騰撹拌し、樹脂組成物の含有率が30%である樹脂分散水を得た。
【0091】
(5)プリプレグの作製
基材として190g/m2のクラフト紙を用い、この表裏両面からスプレーノズルを用いて樹脂分散水を噴射して塗工した。これを100℃の乾燥装置で10分間乾燥し、米坪270g/m2の芯材層用プリプレグを得た。
【0092】
3.化粧板の製造
上記1の方法で得られた化粧層用プリプレグ1枚、上記2の方法で得られた芯材層用プリプレグ4枚を積層し、平板プレス装置を使用して、150℃、10MPaで60分間加熱加圧成形を行い、厚さ0.8mmの化粧板を得た。
【0093】
<実施例2>
熱可塑性樹脂として、ABS樹脂(UMG ABS株式会社製・「B−400N」)を用いた以外は、実施例1と同様にして、化粧層用プリプレグ、芯材層用プリプレグを作製し、厚さ0.8mmの化粧板を得た。
【0094】
<実施例3>
1.化粧層用プリプレグの作製
実施例1と同様にして化粧層用プリプレグを作製した。
【0095】
2.芯材層用プリプレグの作製
2.1 樹脂組成物(複合粒子)の調製
(1)熱可塑性樹脂
ABS樹脂(UMG ABS株式会社製・「B−600N」)を用い、これを目開き160μm、250μmの標準ふるいを用いて分級し、平均粒径200μmのABS樹脂粒子を得た。
(2)熱硬化性樹脂
固形レゾール型フェノール樹脂(住友ベークライト株式会社製・「PR−51723」)を粉体衝突型ジェットミル装置(ホソカワミクロン株式会社製・「カウンタージェットミル200AFG」)を用いて粉砕した。供給用ノズルはφ5mmのものを3本用い、空気圧600kPa、圧空量4.8m3/minで処理し、分級ローターの回転数を2000rpmに設定して粉砕物を捕集し、平均粒径11.8μmのフェノール樹脂粒子を得た。
【0096】
(3)複合粒子の調製
このようにして得られた粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを等量配合し、ヘンシェルミキサーで予備混合して樹脂混合物を得た後、これを図5に示した装置に投入し、ずり剪断力を与えて平均粒径250μmの複合粒子を得た。また、ずり剪断力を与える装置18の仕様及び運転条件は下記の通りで行った。
(ア) 内子4の仕様:内子4は駆動させる側とした。円錐台形状であり、短径側(混合品供給側)外径30mm、長径側(混合品排出側)外径60mm、円錐台高さ80mmのものを使用した。溝6aの形状は図3(c)に示した断面形状および図4に示した平面形状を有するものを使用し、溝6aの断面の幅3mm、深さは1mmとし、これを12本均一ピッチで加工した。
(イ) 外子5の仕様:外子5は固定する側とした。円錐台形状である内子4と相対する全部位において同じクリアランス10を有する形状とし、クリアランス10を1.2mmとした。溝6bの形状は図3(b)に示した平面形状および図3(c)に示した断面形状を有するものを使用し、溝6bの断面の幅、深さ、本数は内子4側に加工したものと同仕様とした。
(ウ) 内子4及び外子5の温調条件:内子4、外子5とも常温に設定した。
(エ) 内子4の運転条件:回転数を1200rpmとした。
【0097】
(4)樹脂分散水の調製
上記で得られた樹脂組成物と水とを、7:3の重量比率で振騰撹拌し、樹脂組成物の含有率が30%である樹脂分散水を得た。
【0098】
(5)プリプレグの作製
基材として190g/m2のクラフト紙を用い、この表裏両面からスプレーノズルを用いて樹脂分散水を噴射して塗工した。これを100℃の乾燥装置で10分間乾燥し、米坪270g/m2の芯材層用プリプレグを得た。
【0099】
3.化粧板の製造
上記1の方法で得られた化粧層用プリプレグ1枚、上記2の方法で得られた芯材層用プリプレグ4枚を積層し、170℃に加温されたシリコンゴムロール5対、ステンレスロール2対の間を通した。ロールの間隙は、シリコンゴムロール/3.0mm、2.5mm、2.0mm、1.5mm、1.5mmの順とし、ステンレスロール/1.5mm、1.5mmとした。得られたものをさらに150℃の乾燥機で30分間処理し、厚み0.8mmの化粧板を得た。
【0100】
<実施例4>
熱可塑性樹脂として、ABS樹脂(UMG ABS株式会社製・「B−400N」)を用いた以外は、実施例3と同様にして、化粧層用プリプレグ、芯材層用プリプレグを作製し、厚さ0.8mmの化粧板を得た。
【0101】
一方、比較例として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂をそれぞれ溶剤に溶解させ、これを紙基材に含浸させる方法、及び、熱硬化性樹脂のみを用いてこれを溶剤に溶解させ、紙基材に含浸させる方法で化粧板を製造した。
<比較例1>
1.化粧層用プリプレグの作製
実施例1と同様にして化粧層用プリプレグを作製した。
【0102】
2.芯材層用プリプレグの作製
(1)熱可塑性樹脂ワニスの調製
ABS樹脂(UMG ABS株式会社製・「B−600N」)を用い、これをアセトンに溶解させ、樹脂分50%の熱可塑性樹脂ワニスを調製した。
(2)熱硬化性樹脂ワニスの調製
フェノール(P)とホルムアルデヒド(F)とを、反応モル比(F/P)が1.1となるように配合して反応させ、レゾール型フェノール樹脂ワニスを得た。このフェノール樹脂ワニス中のフェノール樹脂分は50%、溶剤成分の比率(メタノール:水)は20:80であった。
(3)芯材層用プリプレグの作製
上記熱可塑性樹脂ワニスを、米坪190g/m2のクラフト紙に含浸させた後、熱風乾燥装置で乾燥させ、米坪230g/m2の熱可塑性樹脂含浸基材を作製した。次いで、これに上記熱硬化性樹脂ワニスを含浸させた後、熱風乾燥装置で乾燥させ、米坪270g/m2の芯材層用プリプレグを作製した。
【0103】
3.化粧板の製造
上記1の方法で得られた化粧層用プリプレグ1枚、上記2の方法で得られた芯材層用プリプレグ4枚を積層し、平板プレス装置を使用して、150℃、10MPaで60分間加熱加圧成形を行い、厚さ0.8mmの化粧板を得た。
【0104】
<比較例2>
1.化粧層用プリプレグの作製
実施例1と同様にして化粧層用プリプレグを作製した。
【0105】
2.芯材層用プリプレグの作製
フェノール(P)とホルムアルデヒド(F)とを、反応モル比(F/P)が1.1となるように配合して反応させ、レゾール型フェノール樹脂ワニスを得た。このフェノール樹脂ワニス中のフェノール樹脂分は50%、溶剤成分の比率(メタノール:水)は20:80であった。このフェノール樹脂ワニスを、米坪190g/m2のクラフト紙に含浸させた後、熱風乾燥装置で乾燥させ、米坪270g/m2の芯材層用プリプレグを作製した。
【0106】
3.化粧板の製造
上記1の方法で得られた化粧層用プリプレグ1枚、上記2の方法で得られた芯材層用プリプレグ4枚を積層し、平板プレス装置を使用して、150℃、10MPaで60分間加熱加圧成形を行い、厚さ0.8mmの化粧板を得た。
【0107】
実施例及び比較例で得られた化粧板用プリプレグ及び化粧板1について、特性評価を行った。その結果を表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
これらの実施例及び比較例の評価は、以下の方法で行った。
1.芯材層用プリプレグ
樹脂組成物の担持比率:芯材層用プリプレグを100mm×100mmの大きさに裁断し、表面に残存している樹脂組成物粒子をカッターナイフで削り取り、重量を測定して、基材に担持されている全樹脂組成物量(0.8g)に対する割合を算出してプリプレグ表面に担持されている重量比率(%)とし、残りは基材内部に担持されている重量比率(%)とした。なお、比較例で得られた芯材層用プリプレグは、表面に残存している樹脂組成物粒子がないため、本評価の対象外とした。
【0110】
2.化粧板
(1)曲げ強度及び曲げ弾性率は、JIS K 6902(「熱硬化性樹脂化粧板試験方法」)に準じて、荷重を芯材層側から与えたときの値を測定した。
(2)含浸性は、化粧板の芯材層側から成形性を目視で観察し、芯材層に樹脂成分が均一に含浸されているものを「良好」とした。
(3)溶剤使用量は、化粧板1m2を製造するのに要した溶剤量(g)を算出した。
【0111】
この表1からもわかる通り、本発明の実施例の芯材層用プリプレグはいずれも、熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂とからなる複合粒子を用い、これを水に分散させた樹脂分散水を用いる本発明の製造方法にて製造したものである。そして、これを化粧層用プリプレグとともに加熱加圧成形あるいは加熱ロールによりラミネート成形した化粧板1は、有機溶剤を用いて熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを含浸させた比較例1と同等以上の特性を有するものであった。さらに、溶剤使用量については、比較例1、2と比べて、大幅に低減させることができた。
【0112】
【発明の効果】
本発明によれば、上記のように、基材に担持された樹脂組成物として、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物粒子を有しているので、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との特性を併せ持つ化粧板を容易に製造することができる実益がある。
【0113】
本発明によれば、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との重量比を、2:2〜8:2の範囲から選択しているので、用いる熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の特性を充分に発現させ、両樹脂の有する特性を併せ持つ化粧板とすることができる実益がある。
【0114】
本発明によれば、上記のように、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とは、複合粒子化されているので、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合精度を向上させることができ、両樹脂粒子の粒径を任意に設定することにより、目的とする混合精度を得ることができる実益がある。また、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂のみかけの性状の差異を小さくすることができる実益がある。
【0115】
本発明によれば、上記のように、複合粒子の平均粒径が1〜50μmであるので、複合粒子を基材内部に多く担持させることができ、樹脂成分の含浸が容易なプリプレグを簡易に得ることができる実益がある。
【0116】
本発明によれば、上記のように、複合粒子の平均粒径が50〜500μmであるので、複合粒子を基材表面に多く担持させたプリプレグを簡易に得ることができる実益がある。
【0117】
本発明によれば、上記のように、複合粒子は、粒子状の熱可塑性樹脂の表面の、少なくとも一部が粒子状の熱硬化性樹脂により被覆されているものを含有するので、熱可塑性樹脂の性状をみかけ上、熱硬化性樹脂と近似したものにすることができる実益がある。
【0118】
本発明によれば、上記のように、粒子状の熱硬化性樹脂が親水性樹脂であるので、水中に精度よく分散させることができる実益がある。そして、熱可塑性樹脂が好ましくは熱硬化性樹脂と複合化あるいは熱硬化性樹脂により少なくとも一部が被覆されていると、本来は疎水性である熱可塑性樹脂についても親水性の熱硬化性樹脂とほぼ同様の取り扱い性を付与することができる実益がある。
【0119】
本発明によれば、上記のように、親水性樹脂が、フェノール樹脂、メラミン樹脂、又は尿素樹脂のいずれかであるので、耐熱性、硬度、耐摩耗性、耐汚染性を効果的に発現させることができる実益がある。また、これらの樹脂は一般的に低コストであるので、化粧板を製造するコストを低減させることができる実益がある。
【0120】
本発明によれば、上記のように、粒子状の熱可塑性樹脂が、ABS樹脂であるので、熱硬化性樹脂の特性である耐熱性や機械的特性を大きく低下させることなく、熱可塑性樹脂の特性である可撓性、耐衝撃性を付与することができる実益がある。
【0121】
本発明によれば、上記のように、基材内部に樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されているので、このプリプレグを通常のプレス装置により加熱加圧成形することにより、含浸性の良好な化粧板を得ることができる実益がある。
【0122】
本発明によれば、上記のように、基材表面に樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されているので、このプリプレグを複数枚数積層して化粧板を製造する場合に、例えば、熱圧ロールラミネート法のような簡易な方法を適用するのに適したプリプレグとすることができる実益がある。
【0123】
本発明によれば、上記のように、粒子状の熱可塑性樹脂と、粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物にずり剪断力を与えて複合粒子化しているので、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とが強固に融合した複合粒子を得ることができ、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂との混合精度に優れた樹脂組成物を得ることができる実益がある。
【0124】
本発明によれば、上記のように、平均粒径が1〜50μmの粒子状の熱可塑性樹脂と、平均粒径が0.1〜10μmの粒子状の熱硬化性樹脂とを複合粒子化しているので、基材の内部に担持されやすい粒径の複合粒子を得ることができる実益がある。
【0125】
本発明によれば、上記のように、平均粒径が50〜500μmの粒子状の熱可塑性樹脂と、平均粒径が1〜50μmの粒子状の熱硬化性樹脂とを複合粒子化しているので、基材の表面に担持されやすい粒径の複合粒子を得ることができる実益がある。
【0126】
本発明によれば、上記のように、ずり剪断力を与えて複合粒子化する際に、所定のクリアランスをもって相対して設置された内子と外子との間に形成された空間に、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物を供給し、該空間において内子と外子との相対的な回転運動によって行っているので、簡易な装置で効率よく複合粒子を得ることができる実益がある。
【0127】
本発明によれば、上記のように、内子と外子は、いずれか一方又は双方が粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物と接する面に溝を有しているので、この樹脂混合物と、内子及び外子の表面との間ですべりを生ずることなく、効果的に圧縮、ずり剪断力を作用させることができるので、短時間の処理で複合粒子を得ることができる実益がある。
【0128】
本発明によれば、上記のように、樹脂混合物にずり剪断力を与える処理を行う空間が中空円錐または中空円錐台の周面の形状であるので、樹脂混合物に与える作用を空間内の円周方向において均等なものにすることができる実益がある。
【0129】
本発明によれば、上記のように、樹脂組成物を水に分散させ、樹脂組成物を分散させた水を介して、樹脂組成物を基材に担持させているので、基材への塗工を均一に行いやすいという実益がある。さらに、有機溶媒を使用することなく、樹脂組成物を基材に担持させて、化粧板用プリプレグを得ることができるので、有機溶剤コスト及び有機溶剤の処理コストを、実質的に不要とすることができる実益がある。
【0130】
本発明によれば、上記のように、樹脂組成物を分散させた水を基材に噴霧して、樹脂組成物を基材に担持させているので、この操作は基材の片面からはもちろん、両面からも同時に行うことができ、化粧板用プリプレグを効率よく製造することができる実益がある。また、基材に担持させる樹脂組成物の量を、噴射量の設定のみにより容易に調整することができる実益がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧板の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明に用いられる樹脂混合物にずり剪断力を与える装置の一例を示し、同図(a)はその斜視図、同図(b)は、その縦断面図である。
【図3】図3は、図2に示す装置の表面の溝の一例を示し、同図(a)は内子の表面の溝の平面形状を示す内子の側面図、同図(b)は外子の表面の溝の平面形状を示す外子の側面図、同図(c)は溝の断面形状を示す装置の縦断面図である。
【図4】本発明に用いられる樹脂混合物にずり剪断力を与える装置の内子の表面の溝の他の平面形状を示す内子の側面図である。
【図5】本発明に用いられる樹脂混合物にずり剪断力を与えて複合粒子を製造する装置の一例を示す概略縦断面図である。
【符号の説明】
1 化粧板
2 化粧層
3 芯材層
4 内子
5 外子
6a、6b 溝
7 内子と外子との間に形成された空間
8 内子表面
9 外子表面
10 内子と外子とのクリアランス
11 樹脂混合物
12 複合粒子
15 溝の幅
16 溝の深さ
18 複合粒子の供給装置
19 複合粒子の供給口
20 樹脂混合物にずり剪断力を与えて複合粒子化する装置
21 内子の駆動装置
22 複合粒子の回収装置
23 排気装置
Claims (26)
- 基材と前記基材に担持された樹脂組成物とを有し、前記樹脂組成物は、粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有する樹脂組成物粒子を有することを特徴とする化粧板用プリプレグ。
- 請求項1に記載された化粧板用プリプレグであって、前記粒子状の熱可塑性樹脂と前記粒子状の熱硬化性樹脂との重量比が、2:8〜8:2の範囲から選択されることを特徴とする化粧板用プリプレグ。
- 請求項1又は請求項2のいずれかに記載された化粧板用プリプレグであって、前記粒子状の熱可塑性樹脂と前記粒子状の熱硬化性樹脂とは、複合粒子化されていることを特徴とする化粧板用プリプレグ。
- 請求項3に記載された化粧板用プリプレグであって、前記複合粒子は、平均粒径が1〜50μmであることを特徴とする化粧板用プリプレグ。
- 請求項3に記載された化粧板用プリプレグであって、前記複合粒子は、平均粒径が50〜500μmであることを特徴とする化粧板用プリプレグ。
- 請求項3ないし請求項5のいずれかに記載された化粧板用プリプレグであって、前記複合粒子は、前記粒子状の熱可塑性樹脂の表面の少なくとも一部が前記粒子状の熱硬化性樹脂により被覆されているものを含有することを特徴とする化粧板用プリプレグ。
- 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載された化粧板用プリプレグであって、前記粒子状の熱硬化性樹脂は、親水性樹脂であることを特徴とする化粧板用プリプレグ。
- 請求項7に記載された化粧板用プリプレグであって、前記親水性樹脂は、フェノール樹脂、メラミン樹脂、又は尿素樹脂のいずれかであることを特徴とする化粧板用プリプレグ。
- 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載された化粧板用プリプレグであって、前記粒子状の熱可塑性樹脂は、ABS樹脂であることを特徴とする化粧板用プリプレグ。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載された化粧板用プリプレグであって、前記基材内部に前記樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されていることを特徴とする化粧板用プリプレグ。
- 請求項1ないし請求項9のいずれかに記載された化粧板用プリプレグであって、前記基材表面に前記樹脂組成物粒子が70重量%以上担持されていることを特徴とする化粧板用プリプレグ。
- 粒子状の熱可塑性樹脂と粒子状の熱硬化性樹脂とを含有させて樹脂組成物粒子とし、基材に前記樹脂組成物粒子を有する樹脂組成物を担持させて化粧板用プリプレグを製造することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法。
- 請求項12に記載された化粧板用プリプレグの製造方法であって、前記粒子状の熱可塑性樹脂と前記粒子状の熱硬化性樹脂との重量比を、2:8〜8:2の範囲から選択して前記樹脂組成物粒子とすることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法。
- 請求項12又は13のいずれかに記載された化粧板用プリプレグの製造方法であって、前記粒子状の熱可塑性樹脂と、前記粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物に、ずり剪断力を与えて複合粒子化することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法。
- 請求項12ないし請求項14のいずれかに記載された化粧板用プリプレグの製造方法であって、前記粒子状の熱可塑性樹脂の表面の少なくとも一部を前記粒子状の熱硬化性樹脂により被覆することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法。
- 請求項12ないし請求項15のいずれかに記載された化粧板用プリプレグの製造方法であって、平均粒径が1〜50μmの前記粒子状の熱可塑性樹脂と、平均粒径が0.1〜10μmの前記粒子状の熱硬化性樹脂とを複合粒子化することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法。
- 請求項12ないし請求項15のいずれかに記載された化粧板用プリプレグの製造方法であって、平均粒径が50〜500μmの前記粒子状の熱可塑性樹脂と、平均粒径が1〜50μmの前記粒子状の熱硬化性樹脂とを複合粒子化することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法。
- 請求項14ないし請求項17のいずれかに記載された化粧板用プリプレグの製造方法であって、所定のクリアランスをもって相対して設置された内子と外子との間に形成された空間に、前記粒子状の熱可塑性樹脂と前記粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物を供給し、該空間において前記内子と前記外子との相対的な回転運動を行うことにより、前記粒子状の熱可塑性樹脂と、前記粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物に、ずり剪断力を与えて複合粒子化することを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法。
- 請求項18に記載された化粧板用プリプレグの製造方法であって、前記内子と外子は、いずれか一方又は双方が前記粒子状の熱可塑性樹脂と前記粒子状の熱硬化性樹脂との樹脂混合物と接する面に溝を有していることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法。
- 請求項18又は請求項19のいずれかに記載された化粧板用プリプレグの製造方法であって、前記空間は、中空円錐または中空円錐台の周面状の形状であることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法。
- 請求項12ないし請求項20のいずれかに記載された化粧板用プリプレグの製造方法であって、前記樹脂組成物を水に分散させ、前記樹脂組成物を分散させた水を介して、前記樹脂組成物を基材に担持させることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法。
- 請求項21に記載された化粧板用プリプレグの製造方法であって、前記樹脂組成物を分散させた水を前記基材に噴霧して、前記樹脂組成物を前記基材に担持させることを特徴とする化粧板用プリプレグの製造方法。
- 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載された化粧板用プリプレグを、加熱加圧して化粧板を成形することを特徴とする化粧板の製造方法。
- 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載された化粧板用プリプレグを、ロール装置により連続的に加熱加圧して化粧板を成形することを特徴とする化粧板の製造方法。
- 請求項12ないし請求項22のいずれかに記載された製造方法により得られた化粧板用プリプレグを、加熱加圧して化粧板を成形することを特徴とする化粧板の製造方法。
- 請求項12ないし請求項22のいずれかに記載された製造方法により得られた化粧板用プリプレグを、ロール装置により連続的に加熱加圧して化粧板を成形することを特徴とする化粧板の製造方法。
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WO2007041782A1 (en) * | 2005-10-11 | 2007-04-19 | Crc For Advanced Composite Structures Limited | A method of binding dry reinforcement fibres |
JP2007261008A (ja) * | 2006-03-28 | 2007-10-11 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | 化粧板用材料及び化粧板並びに化粧板用材料の製造方法 |
-
2003
- 2003-03-12 JP JP2003066701A patent/JP2004277446A/ja active Pending
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WO2007041782A1 (en) * | 2005-10-11 | 2007-04-19 | Crc For Advanced Composite Structures Limited | A method of binding dry reinforcement fibres |
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