JP2004275838A - 円筒状基体洗浄方法および円筒状基体浸漬洗浄装置 - Google Patents

円筒状基体洗浄方法および円筒状基体浸漬洗浄装置 Download PDF

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渉 中林
Hajime Tanaka
一 田中
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Abstract

【課題】感光体用基体等の円筒状基体を浸漬洗浄した際に、生産性を確保しつつ残留異物をより低減することができる円筒状基体洗浄方法および円筒状基体浸漬洗浄装置を提供すること。
【解決手段】洗浄液供給口と洗浄液排出端とを少なくとも備えた洗浄槽に、洗浄液を前記洗浄液供給口から供給して満たし、前記洗浄液供給口から供給された洗浄液を少なくとも略鉛直方向に移動させた後に前記洗浄液排出端から排出させながら、円筒状基体を該円筒状基体の略軸方向に浸漬することにより洗浄する円筒状基体洗浄方法において、前記洗浄槽内に浸漬された円筒状基体の円筒面上の、少なくとも前記円筒状基体の中心軸に対して等距離且つ略反対な位置関係にある第1の領域および第2の領域に近接する位置に、前記洗浄液排出端が設けられたことを特徴とする円筒状基体洗浄方法。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒状基体の洗浄方法および洗浄装置に関するものであり、特に、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリなどに用いられる電子写真感光体の感光層を形成するための円筒状基体の洗浄に好適な円筒状基体の洗浄方法および洗浄装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に電子写真感光体用基体は、アルミニウム合金、銅、ニッケル、ステンレス、真鍮などの金属製、あるいは紙、プラスチック、ガラスなど多種の材質からなる円筒状基体が挙げられるが、低価格、加工の容易さ、得られる寸法や形状の精度、強度及び耐久性、重量などの点でアルミニウム合金がもっとも一般的である。
電子写真感光体用基体は形状精度、表面性を所望の状態に形成するために、切削、研削、ブラストなどの加工を施す。その後に、感光体用基体に付着している異物、油分を何らかの洗浄を施してから、塗膜形成を行う。このような塗膜は薄膜でかつ均一な厚さに塗工する必要があり、前処理として感光体用基体表面の汚れを十分に洗浄して除去する必要がある。洗浄で汚れを十分に除去できないと塗膜品質を損ない、画質上黒点、白点、ハーフトーンむらなどの欠陥を生じる。
【0003】
洗浄剤には、従来フロンなどのハロゲン化炭化水素が多く使用されてきたが、地球環境保護の観点からオゾン層を破壊しない炭化水素系、水系、準水系の洗浄剤が使用されることが多くなってきている。洗浄の方法としては、洗浄液を満たした槽に感光体用基体を導入し超音波をかける浸漬洗浄、ジェットノズルなどによる洗浄液の高圧噴射洗浄、ブラシやブレードなどの摺擦部材を用いるこすり洗浄など各種の手法が採用されている。
【0004】
いずれの洗浄法においても、感光体用基体表面に付着した洗浄剤を洗い流す目的で、洗浄の後にすすぎ洗浄の工程を設けるのが一般的である。すすぎは、すすぎ洗浄槽に純水をオーバーフロー循環しながら満たし、そこに感光体用基体を浸漬し、所定の時間保持した後に引き上げて感光体用基体表面の洗浄剤を純水と置換する。洗浄剤が十分に置換されるまで複数段のすすぎ洗浄槽でおこなわれることもある。
【0005】
すすぎ後の最終洗浄として、水切り工程を行うことが多い。水切り槽はすすぎ槽と同様に純水をオーバーフロー循環しながら満たし、そこに感光体用基体を浸漬し、所定の時間保持した後に比較的低速度で感光体用基体を引き上げる。この際、感光体用基体表面に付着する水分を極力少なくするために、純水の温度を常温より上げて温純水として用いることが一般的である。
【0006】
また、実際の生産工程では大量の感光体用基体表面を効率的に洗浄する必要があるため、一度に複数の感光体用基体を同時に洗浄にかけるのが一般的であり、洗浄液を満たした浸漬槽に複数の感光体用基体を多列に密集させて浸漬させ、適宜超音波を照射させながら洗浄した後引き上げて次工程へ送る浸漬洗浄がよく用いられている。すすぎに関しても同様であり、純水を満たした槽に複数の感光体用基体を多列に配列した状態で同時に浸漬させ、すすぎを施した後、その槽から引き上げて次工程へ送られるすすぎ洗浄が利用されている。
このような一連の洗浄工程を経ても感光体用基体の表面に異物が残留していると、このような残留異物が感光体用基体に塗膜を形成する際の欠陥を招くことになり、結果として高品質の感光体を歩留まりよく得ることが出来なくなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の洗浄では、一連の洗浄工程を経ても感光体用基体の表面に感光体の品質劣化や、歩留まり低下の原因となる異物が多く残留している場合があり、洗浄品質の向上が課題であった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、感光体用基体等の円筒状基体を浸漬洗浄した際に、生産性を確保しつつ残留異物をより低減することができる円筒状基体洗浄方法および円筒状基体浸漬洗浄装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、
<1> 洗浄液供給口と洗浄液排出端とを少なくとも備えた洗浄槽に、洗浄液を前記洗浄液供給口から供給して満たし、前記洗浄液供給口から供給された洗浄液を少なくとも略鉛直方向に移動させた後に前記洗浄液排出端から排出させながら、円筒状基体を該円筒状基体の略軸方向に浸漬することにより洗浄する円筒状基体洗浄方法において、
前記洗浄槽内に浸漬された円筒状基体の円筒面上の、少なくとも前記円筒状基体の中心軸に対して等距離且つ略反対な位置関係にある第1の領域および第2の領域に近接する位置に、前記洗浄液排出端が設けられたことを特徴とする円筒状基体洗浄方法である。
【0009】
<2> 前記第1の領域および前記第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端が、少なくとも前記円筒状基体の内周側に設けられ、且つ、下式(1)および(2)を満たすことを特徴とする<1>に記載の円筒状基体洗浄方法である。
・式(1) 0.2Rin≦Xin(1)≦0.85Rin
・式(2) 0.2Rin≦Xin(2)≦0.85Rin
〔但し、式(1)および(2)において、Xin(1)は、前記円筒状基体の内周面(第1の領域)から、前記第1の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、Xin(2)は、前記円筒状基体の内周面(第2の領域)から、前記第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、Rinは、前記円筒状基体の中心軸から内周面までの半径(mm)を表す。〕
【0010】
<3> 前記円筒状基体の内周側に設けられた洗浄液排出端が、前記円筒状基体の中心軸と同軸方向に設けられた円筒パイプの端部であることを特徴とする<2>に記載の円筒状基体洗浄方法である。
【0011】
<4> 前記第1の領域および前記第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端が、少なくとも前記円筒状基体の外周側に設けられ、且つ、下式(3)および(4)を満たすことを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1つに記載の円筒状基体洗浄方法である。
・式(3) 0.15h(1)≦Xout(1)≦0.85h(1)
・式(4) 0.15h(2)≦Xout(2)≦0.85h(2)
〔但し、式(3)および(4)中、Xout(1)は、前記円筒状基体の外周面(第1の領域)から、前記第1の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、Xout(2)は、前記円筒状基体の外周面(第2の領域)から、前記第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、h(1)は、前記円筒状基体の中心軸から、前記第1の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、h(2)は、前記円筒状基体の中心軸から、前記第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)を表す。〕
【0012】
<5> 少なくとも2本以上の円筒状基体を、前記洗浄槽に同時に浸漬することにより洗浄する<4>に記載の円筒状基体洗浄方法であって、
前記2本以上の円筒状基体全てが、前記式(3)および前記式(4)を満たすことを特徴とする円筒状基体洗浄方法である。
【0013】
<6> 前記2本以上の円筒状基体全てが、前記洗浄槽に浸漬された際に直列に配列されることを特徴とする<5>に記載の円筒状基体洗浄方法である。
【0014】
<7> 前記洗浄槽内の洗浄液が、少なくとも前記円筒面近傍に沿って鉛直方向に移動し、前記円筒面近傍に沿って鉛直方向に移動する洗浄液の平均流速が、5mm/s以上であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1つに記載の円筒状基体洗浄方法である。
【0015】
<8> 前記円筒状基体が、電子写真用の感光体用基体であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれか1つに記載の円筒状基体洗浄方法である。
【0016】
<9> 洗浄液供給口と洗浄液排出端とを少なくとも備えた洗浄槽を含み、洗浄液を前記洗浄液供給口から供給して満たし、前記洗浄液供給口から供給された洗浄液を少なくとも略鉛直方向に移動させた後に前記洗浄液排出端から排出させながら、円筒状基体を該円筒状基体の略軸方向に浸漬することにより洗浄する機能を少なくとも備えた円筒状基体浸漬洗浄装置において、
<1>〜<8>のいずれか1つに記載の円筒状基体洗浄方法により前記円筒状基体を浸漬洗浄することが可能なことを特徴とする円筒状基体浸漬洗浄装置である。
【0017】
<10> 前記洗浄槽が、その底部に洗浄液排出・回収手段を有し、前記洗浄槽内に、一端が前記洗浄液を前記洗浄槽に満たした際の最高液面位置と同等あるいは下側に位置し、もう一端が前記洗浄液排出・回収手段に接続されるように鉛直方向に設けた円筒パイプを、少なくとも1本以上設けた<9>に記載の円筒状基体浸漬洗浄装置であって、
前記円筒パイプの外径が、前記円筒状基体の内径よりも小さいことを特徴とする円筒状基体浸漬洗浄装置である。
【0018】
<11> 1本の基準線上に、同一の外径を有する2本以上の円筒状基体を一列に離間して配置した状態で同時に浸漬することにより浸漬洗浄を行うことが可能な洗浄エリアを少なくとも1つ以上含む洗浄槽を用いた<9>または<10>に記載の円筒状基体浸漬洗浄装置であって、
前記基準線の両側に、第1の洗浄液排出部および第2の洗浄液排出部が少なくとも設けられ、前記第1の洗浄液排出部および前記第2の洗浄液排出部が、線状に連続的あるいは非連続的に配置された洗浄液排出端を含み、各円筒状基体と前記第1または第2の洗浄液排出部とが、下式(5)〜(7)を満たすことを特徴とする円筒状基体浸漬洗浄装置である。
・式(5) 0.15≦d/H1≦0.85
・式(6) 0.15≦d/H2≦0.85
・式(7) 120≦θ≦180
〔但し、式(5)〜(7)において、dは、前記各円筒状基体の中心軸から外周面までの距離(mm)、H1は前記各円筒状基体の中心軸から前記第1の洗浄液排出部上に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、H2は前記各円筒状基体の中心軸から前記第2の洗浄液排出部上に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、θは各円筒状基体における円筒状基体の中心軸から最短距離H1に位置する前記洗浄液排出端に向かう第1の仮想線と、前記円筒状基体の中心軸から最短距離H2に位置する前記洗浄液排出端に向かう第2の仮想線との成す角度(deg)を表す。〕
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を、円筒状基体洗浄方法と、円筒状基体浸漬洗浄装置と、に分けて順に説明する。
【0020】
(円筒状基体洗浄方法)
本発明の円筒状基体洗浄方法は、洗浄液供給口と洗浄液排出端とを少なくとも備えた洗浄槽に、洗浄液を前記洗浄液供給口から供給して満たし、前記洗浄液供給口から供給された洗浄液を少なくとも略鉛直方向に移動させた後に前記洗浄液排出端から排出させながら、円筒状基体を該円筒状基体の略軸方向に浸漬することにより洗浄する円筒状基体洗浄方法において、
前記洗浄槽内に浸漬された円筒状基体の円筒面上の、少なくとも前記円筒状基体の中心軸に対して等距離且つ略反対な位置関係にある第1の領域および第2の領域に近接する位置に、前記洗浄液排出端が設けられたことを特徴とする。
【0021】
従って、本発明の円筒状基体洗浄方法を用いて、円筒状基体を洗浄すれば、生産性を確保しつつ残留異物をより低減することができる。特に、感光体感光体用基体の洗浄に用いた場合には、生産性を確保しつつ感光体感光体用基体の洗浄品質を向上させることができ、結果として感光体の品質および歩留まりを向上させることができる。
【0022】
なお、「円筒面上の、円筒状基体の中心軸に対して等距離且つ略反対な位置関係にある第1の領域および第2の領域」とは、具体的には、内周側の円筒面上の、円筒状基体の中心軸に対して略反対な位置関係にある第1の領域および第2の領域、および/または、外周側の円筒面上の、円筒状基体の中心軸に対して略反対な位置関係にある第1の領域および第2の領域を意味する。また、「略反対な位置関係」とは、中心軸−第1の領域と、中心軸−第2の領域と、の成す角θが、少なくとも120°〜180°の範囲内にあることを意味する。この場合、θの値は円筒面の周方向における洗浄バラツキをより小さくする観点からは、135°〜180°の範囲内が好ましく、150°〜180°の範囲内がより好ましい。
【0023】
但し、第1の領域、および、第2の領域は点として特定できる程度の領域を意味し、且つ、洗浄液排出端が設けられた高さと同じ位置にある領域(洗浄液排出端が設けられた高さと同じ位置に円筒面が実際に存在しない場合には、洗浄槽に浸漬された円筒状基体の軸方向に円筒壁を延長したと仮定した架空の円筒面上の領域とする)を意味する。
【0024】
この場合、「第1の領域および第2の領域に近接する位置に、洗浄液排出端が設けられる」とは、(1)第1の領域および第2の領域が、内周面側に位置する場合には、「第1の領域および第2の領域に近接し、且つ、円筒状基体の内周側の位置に、洗浄液排出端が設けられる」ことを意味し、(2)第1の領域および第2の領域が、外周面側に位置する場合には、「第1の領域および第2の領域に近接し、且つ、円筒状基体の外周側の位置に、洗浄液排出端が設けられる」ことを意味する。なお、第1の領域および第2の領域は、内周面あるいは外周面のいずれか一方の面にのみに設けてもよく、内周面および外周面の両方に設けてもよい。但し、後者の場合は、内周面に設けられる第1(第2)の領域と、外周面に設けられる第1(第2)の領域とは、それぞれ異なるものであり、中心軸に対して任意の位置関係に設けられるものである。
【0025】
また、当該「近接」とは、第1(あるいは第2)の領域とこれに近接して設けられる洗浄液排出端との間に、洗浄液の水平方向の移動を実質的に妨げる遮蔽物(例えば、他の円筒状基体や、洗浄槽の内壁、洗浄槽内に設けた仕切り板等)が存在しない状態で、且つ、洗浄液が、円筒状基体の円筒面(第1の領域や第2の領域近傍)から、これに近接する洗浄液排出端が設けられた方向へと、洗浄液の流れが形成され易い距離を意味する。
【0026】
また、本発明において、「洗浄液排出端」とは、洗浄液供給口から洗浄液を供給しながら浸漬洗浄する際に、洗浄槽内の洗浄液が、少なくとも円筒状基体の円筒面から離れる方向への不可逆的な流れが容易に形成されるような狭い流路を意味する。このような流路の具体例については後述するが、例えば、洗浄槽の側壁上端から洗浄液が洗浄槽外へとオーバーフローするような場合には、この部分が洗浄液排出端として機能する。また、洗浄槽内に仕切り板等を設けることによって、少なくとも円筒状基体の円筒面から離れる方向への一方的な流れが形成できるような狭い流路を設けることにより、洗浄液排出端とすることもできる。
【0027】
なお、洗浄液排出端を通過した洗浄液は、上記したようにオーバーフローすることにより直ちに洗浄槽外へと排出されてもよいが、洗浄槽内に一時的あるいは半恒久的に滞留・循環していてもよい。
但し、滞留・循環する場合には、洗浄液排出端を通過した洗浄液が、フィルター処理等の異物除去処理を受けることなく同じ洗浄槽内に浸漬された円筒状基体の円筒面近傍へと実質的に再び循環しないようにすることが非常に好ましい。このような円筒面近傍への再循環の防止は、洗浄槽全体の構成を最適化したり、洗浄液の洗浄槽への供給量を調整すること等により容易に達成できる。
【0028】
−洗浄液排出端の具体例−
次に、上記したように定義される「洗浄液排出端」の具体例を、円筒状基体の外周側に洗浄液排出端を設けた場合を例として図面を用いて説明する。但し、本発明において定義される「洗浄液排出端」は、以下に示す具体例のみに限定されるものではない。
図1は本発明の円筒状基体洗浄方法の一例を説明するための模式図であり、図1(a)〜(e)は、それぞれ断面構造が異なる洗浄槽に円筒状基体を浸漬して洗浄している状態を示す模式断面図である。但し、図1(a)〜(e)に示される円筒状基体の断面は直径に相当する部分の断面を示すものである。
【0029】
また、図1中、100は洗浄槽、101は洗浄槽、102は鍔、103は洗浄槽、104は仕切り板、105は洗浄槽、106は仕切り板、107は洗浄槽、108U、108Bは仕切り板、110、111、112は洗浄液供給口、200は洗浄液、201は(洗浄槽100、101、103、105、107内に洗浄液200を最高液面位置となるように満たした時の)液面、300は円筒状基体を表し、白抜きの矢印は、洗浄液200の不可逆的な流れを示し、記号“OF”は、洗浄液200が、洗浄槽100、101、103、105、107からオーバーフローする位置を示し、記号“E”は、洗浄槽100、101、103、105、107内における洗浄液200の流れが、不可逆的である位置を示す。
なお、図1中、同一の符号を付した部分は、同一の機能・構成を有する部分である。
【0030】
図1(a)に示す洗浄槽100は、その断面が方形で、上部は円筒状基体300が、不図示の円筒状基体搬送手段により洗浄槽100内に出し入れ可能なように開放されている。また、洗浄槽100の底部近傍には不図示の洗浄液供給源に接続された洗浄液供給口110が設けられている。
円筒状基体300の浸漬洗浄に際しては、洗浄液200が少なくとも全体として上昇するような流れが形成されるように洗浄液供給口110から洗浄液200が洗浄槽100内に供給される。また、円筒状基体300は、その中心軸が洗浄槽100の真中に位置するような状態で、少なくともその上端部分が液面201と同等かあるいは液面201よりもやや下側に位置するように浸漬される。この際、液面200近傍の洗浄液200は、白抜き矢印で示されるように、矢印OFで示される洗浄槽100の上端部を超えてオーバーフローし、洗浄槽100外へと排出される。
以上に説明したように図1(a)に示す場合では、矢印OFで示される位置が洗浄液排出端として機能する。
【0031】
図1(b)に示す洗浄槽101は、図1(a)に示す洗浄槽100の外周上部に、洗浄槽100本体部分の外周上端部(矢印Eで示される位置)よりも、より外側の位置(矢印OFで示される位置)で洗浄液200がオーバーフローできるように水深の浅い鍔102を取りつけた構成を有するものである。
円筒状基体300の浸漬洗浄に際しては、液面201近傍の洗浄液200は、鍔102の水深が浅いため、白抜き矢印で示されるように矢印Eから外周側の矢印OFの位置まで不可逆的に流れ、鍔102の端(矢印OFの位置)を超えてオーバーフローし、洗浄槽101外へと排出される。
以上に説明したように図1(b)に示す場合では、矢印OFおよび矢印Eで示される位置が洗浄液排出端として機能する。
【0032】
図1(c)に示す洗浄槽103は、図1(a)に示す洗浄槽100の幅を大きくし、洗浄槽103側面の内壁と、浸漬された円筒状基体300の外周面と、の間を仕切る仕切り板104を設けた構成を有するものである。
なお、洗浄液供給口110から供給される洗浄液200が、円筒状基体300の円筒面に到達できるように、仕切り板104の下端と、洗浄槽103底面との間には十分な隙間が設けられている。また、仕切り板104は、その上端が液面201よりもやや下側に位置するように設けられている。
【0033】
円筒状基体300の浸漬洗浄に際しては、円筒状基体300外周面と仕切り板104との間、および、仕切り板104と洗浄槽103側面の内壁との間、の両方に位置する洗浄液200が、少なくとも全体として上昇するような流れが形成できる程度に、十分な量の洗浄液200が洗浄液供給口110から供給される。
この際、円筒状基体300の外周面近傍を上昇して液面201近傍に到達した洗浄液200は、白抜き矢印で示されるように仕切り板104の上端(矢印Eで示される位置)を超え、また、仕切り板104と洗浄槽103側面の内壁との間を上昇してきた洗浄液200と合流して洗浄槽103の上端(矢印OFで示される位置)からオーバーフローされることにより、洗浄槽103外へと排出される。
以上に説明したように図1(c)に示す場合では、矢印OFおよび矢印Eで示される位置が洗浄液排出端として機能する。
【0034】
図1(d)に示す洗浄槽105は、図1(c)に示す洗浄槽103と同じ幅を持つものであるが、仕切り板104の代りに仕切り板106を設け、洗浄液供給口110の代りに洗浄液供給口111を設けたものである。
なお、仕切り板106は、洗浄槽105側面の内壁と、浸漬された円筒状基体300の外周面と、の間を仕切るように設けられている。この仕切り板106は、仕切り板106下端と洗浄槽105底面との間を洗浄液200が流れることができ、その下端が洗浄槽105底部と隙間を成すように位置し、さらに、液面201近傍の円筒状基体300外周面側と洗浄槽105内壁側との間の洗浄液200の流れを完全に遮断するように、その上端が液面201よりも十分に高くなるように位置している。
【0035】
また、不図示の洗浄液供給源に接続された洗浄液供給口111は、2つの仕切り板106の間に洗浄液200が供給できるように液面201の上方に設けられている。なお、この洗浄液供給口111は、円筒状基体300の洗浄槽105への浸漬・引き上げの際には、洗浄槽105上から退避することができる可動式のものである。
【0036】
円筒状基体300の浸漬洗浄に際しては、円筒状基体300外周面と仕切り板106との間に位置する洗浄液200が、少なくとも全体として下降するような流れが形成できる程度に、十分な量の洗浄液200が洗浄液供給口111から供給される。
この際、円筒状基体300の外周面近傍を下降して洗浄槽105底面近傍に到達した洗浄液200は、白抜き矢印で示されるように仕切り板106の下端(矢印Eで示される位置)を回り込んで、仕切り板106と洗浄槽105側面の内壁との間に流れ込み、最終的に洗浄槽105の上端(矢印OFで示される位置)からオーバーフローされることにより、洗浄槽105外へと排出される。
以上に説明したように図1(d)に示す場合では、矢印OFおよび矢印Eで示される位置が洗浄液排出端として機能する。
【0037】
図1(e)に示す洗浄槽107は、図1(d)に示す洗浄槽105と同じ幅を持つものであるが、仕切り板104の代りに仕切り板108Uおよび108Bを設け、洗浄液供給口111に加えて洗浄液供給口112も設けたものである。
なお、仕切り板108U、108Bは、洗浄槽107側面の内壁と、浸漬された円筒状基体300の外周面と、の間を仕切るように設けられている。仕切り板108Uの下端と108B上端との間には、水深のほぼ真中辺りに位置するような隙間(あるいは開口部)を形成している。また、仕切り板108Bは、その下端が洗浄槽107底部と繋がるように設けられており、仕切り板108Uは、仕切り板106と同様に、その上端が液面201よりも十分に高くなる位置に設けられている。
【0038】
また、不図示の洗浄液供給源に接続された洗浄液供給口111は、2つの仕切り板108Uの間に洗浄液200が供給できるように液面201の上方に設けられている。さらに、不図示の洗浄液供給源に接続された洗浄液供給口112は、2つの仕切り板108Bの間に洗浄液200が供給できるように洗浄槽107底面に設けられている。
【0039】
円筒状基体300の浸漬洗浄に際しては、円筒状基体300外周面と仕切り板108Uとの間に位置する洗浄液200が、少なくとも全体として下降し、且つ、円筒状基体300外周面と仕切り板108Uとの間に位置する洗浄液200が、少なくとも全体として上昇するような流れが形成できる程度に、十分な量の洗浄液200が洗浄液供給口111および洗浄液供給口112から供給される。
【0040】
この際、円筒状基体300の外周面近傍を液面201から下降してきた洗浄液200、および、円筒状基体300の外周面近傍を洗浄槽107底部から上昇してきた洗浄液200は、白抜き矢印で示されるように仕切り板108U下端と仕切り板108B上端との隙間(矢印Eで示される位置)から、仕切り板108U、108Bと洗浄槽107側面の内壁との間に流れ込む。そして、この領域に流れ込んだ洗浄液200は、最終的に洗浄槽107の上端(矢印OFで示される位置)からオーバーフローされることにより、洗浄槽107外へと排出される。
以上に説明したように図1(e)に示す場合では、矢印OFおよび矢印Eで示される位置が洗浄液排出端として機能する。
【0041】
次に、上記に説明したような本発明の円筒状基体洗浄方法を、円筒面(内周面)上に設けられた第1の領域および第2の領域に近接する位置に洗浄液排出端を設けた場合と、円筒面(外周面)上に設けられた第1の領域および第2の領域に近接する位置に洗浄液排出端を設けた場合と、に分け、円筒状基体である感光体用基体の浸漬洗浄を具体例として従来の技術と比較も行いながらより具体的に説明する。
【0042】
−内周面上の第1および第2の領域に近接して洗浄液排出端を設けた場合−
まず、円筒面(内周面)上に設けられた第1の領域および第2の領域に近接する位置に洗浄液排出端を設けた場合について、従来の技術と比較しながら以下に本発明の円筒状基体洗浄方法を説明する。
従来の感光体用基体の浸漬洗浄は、例えば、原理的には図14に示すような浸漬洗浄装置を用いて行っていた。なお、感光体用基体の洗浄は複数本を同時に浸漬して行うのが一般的であるが、本発明の理解を容易とするために、図14に示す例では、1本の感光体用基体の浸漬洗浄を前提として説明する。
【0043】
図14は従来の円筒状基体洗浄方法の一例を説明するための模式図であり、具体的には従来の感光体用基体等の円筒状基体の浸漬洗浄方法に用いられる浸漬洗浄装置(原理的な構成を有する装置)の一例について示した模式図である。なお、図14(a)は、従来の円筒状基体洗浄方法に用いられる浸漬洗浄装置の洗浄槽部分の上面図、図14(b)は従来の円筒状基体洗浄方法に用いられる浸漬洗浄装置を側面から見た場合の概略的構成図について示したものである。
図14中、1は洗浄液、2は洗浄槽(浸漬槽)、4は外周オーバーフローパン、5はオーバーフロー戻り配管、6は洗浄液供給配管、8は感光体用基体(円筒状基体)、9は補助タンク、10は送液ポンプ、11はフィルタ、12はオーバーフロー外周排出口を表す。
【0044】
図14に示す浸漬洗浄装置は、洗浄槽1と、洗浄槽1の上部外周に設けられた外周オーバーフローパン4と、洗浄槽1の下側に設けられた補助タンク9と、外周オーバーフローパン4の底面と補助タンク9の上面とを接続するオーバーフロー戻り配管5と、補助タンク9の側面下側と洗浄槽1の側面底部とを接続する洗浄液供給配管6と、洗浄液供給配管6の途中に補助タンク9側に設けられた送液ポンプ10および洗浄槽1側に設けられたフィルタ11と、から構成される。
【0045】
浸漬洗浄は、フィルタリング処理された洗浄液1を、洗浄液供給配管6より洗浄槽1の底部から連続して供給しながら、洗浄液排出端として機能する洗浄槽1の上端部の全周(矢印Outで示される位置)から白抜き矢印で示すような方向にオーバーフローさせた状態で、感光体用基体8を洗浄槽1に浸漬して行う。
なお、オーバーフローした洗浄液1は、外周オーバーフローパン4からオーバーフロー戻り配管5を経て補助タンク9に回収され、その後、洗浄液供給配管6と、その途中に設けられた送液ポンプ10およびフィルタ11とを経て、再びフィルタリング処理された状態の洗浄液1として洗浄槽2の底部より供給される。
【0046】
一般に、感光体用基体を薬液中に浸漬して洗浄したり、純水中に浸漬してすすぎ洗浄等を施す場合、洗浄槽中の洗浄液中に空中や感光体用基体から持ち込まれる異物が存在するため、単に感光体用基体を浸漬洗浄したのみでは、感光体用基体を洗浄槽から引き上げて次工程に移る際に、このような洗浄液中の異物が感光体用基体の表面に付着し、十分な洗浄度を得ることができない。
そこで、このような問題を防止するために、従来は図14に説明したように、洗浄槽2上端(図14中の矢印Outで示される位置)からオーバーフローさせることにより洗浄液1中の異物を洗浄槽2外へと排出していた。
【0047】
しかしながら、図14に示すような洗浄方法を利用して感光体用基体を洗浄しても、洗浄後の感光体用基体に異物が残留し、このような残留異物が後工程の塗工工程で塗膜を形成する際に欠陥となり感光体の品質や歩留まり低下を引き起こしていた。このため高品質な感光体を歩留まりよく生産するためには、洗浄工程で感光体用基体表面に残留する異物を極力低減させることが課題となってきた。
【0048】
このような問題を解決するために、洗浄槽内の洗浄液中の異物量を減らすことが重要であり、そのためにオーバーフローによる洗浄槽外への異物の排出の効率を向上させることが必要である。そこで、本発明者らは洗浄槽内の洗浄液の流れに着目して鋭意検討した結果、洗浄槽内の洗浄液の流れが悪く滞留が起こり易い部分を無くしたり、少なくしたりすることが必要であると考えた。
このような観点からは、浸漬洗浄した際に感光体用基体(円筒状基体)の内周面側に位置する洗浄液が、外周側に位置する洗浄液と比べるとオーバーフローにより排出されにくく、異物を含んだ洗浄液が滞留しやすいデットエリアとして挙げられる。このデットエリアに滞留する洗浄液は、洗浄条件によっては浸漬洗浄中や浸漬洗浄を終えて感光体用基体を引き上げる際に、感光体用基体の外周面に回りこんで付着し、最終的に、感光体の品質低下や歩留まり低下を招く場合があるものと考えられる。
【0049】
このような問題の発生を防止するためには浸漬洗浄した際に、感光体用基体の内周側からも洗浄液をオーバーフロー等により洗浄槽外へと排出させることが重要である。この場合、本発明の円筒状基体洗浄方法は、円筒面(内周面)上に設けられた第1の領域および第2の領域に近接する位置に洗浄液排出端を設けることができるため、このような問題の発生を防止することができる。
【0050】
次に、図14に示す従来の洗浄方法に対比させて、本発明の洗浄方法(円筒面(内周面)上に設けられた第1の領域および第2の領域に近接する位置に洗浄液排出端を設ける場合)について図面を用いて具体的に説明する。
図2は本発明の円筒状基体洗浄方法の他の例を説明するための模式図であり、具体的には、本発明の感光体用基体等の円筒状基体の浸漬洗浄方法に用いられる浸漬洗浄装置(原理的な構成を有する装置)の一例について示した模式図である。なお、図2(a)は本発明の円筒状基体洗浄方法に用いられる浸漬洗浄装置の洗浄槽部分の上面図、図2(b)は本発明の円筒状基体洗浄方法に用いられる浸漬洗浄装置を側面から見た場合の概略的構成図について示したものである。
図2中、3は感光体用基体内面オーバーフロー排出口、7はオーバーフロー戻り配管を表し、その他の符号は図14と同様の部材を意味する。
【0051】
図2に示す浸漬洗浄装置は、洗浄液排出端として機能する感光体用基体内面オーバーフロー排出口3と、感光体用基体内面オーバーフロー排出口3をその一端に備えたオーバーフロー戻り配管7とを有する以外は、図14と同様の構成・機能を有するものである。なお、オーバーフロー戻り配管7は、感光体用基体8を浸漬した際に、内周側中央部に位置するように洗浄槽2の中心に底面を貫通するように鉛直に配置され、その一端を構成する感光体用基体内面オーバーフロー排出口3が、洗浄槽2の上端部と同じ高さに位置し、もう一端が補助タンク9の上面に接続されている。
【0052】
浸漬洗浄は、洗浄液1を、洗浄液供給配管6より洗浄槽1の底部から連続して供給しながら、図14に示した場合と同様に洗浄槽1の上端部の全周(矢印Outで示される位置)から白抜き矢印で示すような方向にオーバーフローさせると同時に感光体用基体8の内周側に位置する感光体用基体内面オーバーフロー排出口3(矢印Inで示される位置)へと白抜き矢印で示すような方向にオーバーフローさた状態で、感光体用基体8を洗浄槽1に浸漬して行う。
このため、本発明の円筒状基体洗浄方法は、従来の円筒状基体洗浄方法と比べると円筒状基体(感光体用基体8)の内周側に洗浄液も洗浄槽2外へと効率的に排出され結果的に感光体用基体8の表面に付着する異物を低減することができる。
【0053】
なお、矢印Outの位置からオーバーフローした洗浄液1は、外周オーバーフローパン4からオーバーフロー戻り配管5を経て補助タンク9に回収され、矢印Inの位置からオーバーフローした洗浄液1はオーバーフロー戻り配管7を経て補助タンク9に回収される。このようにして補助タンク9に回収された洗浄液1は、その後、洗浄液供給配管6と、その途中に設けられた送液ポンプ10およびフィルタ11とを経て、再びフィルタリング処理された状態の洗浄液1として洗浄槽2の底部より供給される。
【0054】
以上、本発明の円筒状基体洗浄方法を、円筒面(内周面)上の第1の領域および第2の領域に近接する位置に洗浄液排出端を設けた場合について図面を用いて具体例を挙げて説明したが、本発明の円筒状基体洗浄方法は上記の具体例のみに限定されるものではない。
【0055】
なお、円筒状基体の内周側に洗浄液排出端が設けられる場合、既述したように本発明においては、円筒状基体の円筒面(内周面)上の、円筒状基体の中心軸に対して略反対な位置関係にある第1の領域および第2の領域に近接する位置に、少なくとも設けられるものであるが、定量的には下式(8)および(9)を満たすことを意味する。
・式(8) Xin(1)<2Rin
・式(9) Xin(2)<2Rin
但し、式(8)および(9)において、Xin(1)は、円筒状基体の内周面(第1の領域)から、第1の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、Xin(2)は、円筒状基体の内周面(第2の領域)から、第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、Rinは、円筒状基体の中心軸から内周面までの半径(mm)を表す。
【0056】
すなわち、内周側は限られた狭い領域であるために、上記の式(8)および(9)を満たすのであれば、内周側のいずれの位置に洗浄液排出端が設けられていてもよい。
また、円筒状基体に付着する異物をより低減させるためには、Xin(1)、Xin(2)はそれぞれ下式(1)および(2)を満たすことがより好ましい。
・式(1) 0.2Rin≦Xin(1)≦0.85Rin
・式(2) 0.2Rin≦Xin(2)≦0.85Rin
Xin(1)およびXin(2)の値が、0.2Rinよりも小さい場合には、第1の領域および第2の領域に近接して設けられた洗浄液排出端近傍の洗浄液の鉛直方向の流れ(洗浄液排出端に接近する流れ)が悪くなり、十分な洗浄品質が得られない場合がある。また、Xin(1)とXin(2)との値は内周面の洗浄品質のバラツキの発生を防ぐためには、実質的にほぼ同じ値であることが好ましい。
【0057】
なお、内周側に設けられる洗浄液排出端として機能する部分の数や形状は少なくとも式(8)および(9)の関係を満たすものであれば特に限定されないが、実用上は、図2に例示したように浸漬された円筒状基体の内周側に位置するように円形状の連続した洗浄液排出端として機能する1本の円筒パイプを設けることが好ましく、さらに、浸漬された円筒状基体の中心軸と同軸方向に円筒パイプを設けることが好ましい。
【0058】
このような場合、円筒状基体の内周面のいずれの領域からも等距離に洗浄液排出端が存在するために、円筒状基体の内周側に存在する洗浄液が均等に洗浄槽外へ排出されるため洗浄品質のバラツキを抑制したり、洗浄品質をより向上させることができる。更に、式(1)や式(2)に示したような関係を満たすことが洗浄品質のバラツキを抑制し、洗浄品質をより向上させる上ではより好ましい。
【0059】
なお、少なくとも2本以上の円筒状基体を洗浄槽に同時に浸漬することにより洗浄する場合には、少なくともいずれか1本が上記したような円筒状基体洗浄方法により浸漬洗浄されるものであれば特に限定されない。しかしながら、勿論、洗浄槽に同時に浸漬される円筒状基体の全てが上記したような円筒状基体洗浄方法により浸漬洗浄されることが好ましい。
【0060】
−外周面上の第1および第2の領域に近接して洗浄液排出端を設けた場合−
次に、円筒面(外周面)上に設けられた第1の領域および第2の領域に近接する位置に洗浄液排出端を設けた場合について、従来の技術と比較しながら以下に本発明の円筒状基体洗浄方法を説明する。
従来の感光体用基体の浸漬洗浄は、例えば、図15に示すような浸漬洗浄装置を用いて行っていた。
【0061】
図15は従来の円筒状基体洗浄方法の他の例を説明するための模式図であり、具体的には、従来の円筒状基体洗浄方法に用いられる浸漬洗浄装置の一例についてその洗浄槽部分の上面図について示したものである。なお、洗浄槽以外のその他の構成・機能については省略したが、本質的には図14(b)に示した場合と同様である。
図15中、20は洗浄槽、21、22、23、24は洗浄槽外周上端部(洗浄液排出端)、40、41は感光体用基体(円筒状基体)、50は洗浄液排出端21〜24近傍の領域、51は領域50と比較して相対的に洗浄液排出端21〜24よりも離れた領域を示す。
【0062】
洗浄槽20は、その4辺を構成する洗浄槽外周上端部21〜24の全てが洗浄液排出端であり、浸漬洗浄に際してはこれら全周から洗浄液がほぼ均等に洗浄槽20外へと排出される。また、洗浄槽内20には縦3列×横4列の桝目状で等間隔に配列された合計12本の感光体用基体40、41を同時に浸漬することができる。なお、洗浄槽20の外周部に配置された感光体用基体40と洗浄液排出端21〜24との最短距離はいずれも等距離であるように配置されている。
【0063】
感光体用基体の浸漬洗浄に際しては、生産性を確保するために、図15に示したように洗浄槽内に多列に複数本の感光体用基体を配置して浸漬洗浄を行っていた。このような場合、感光体用基体40が位置するような領域50近傍の洗浄液は洗浄液排出端21〜24に近いため、比較的容易に洗浄槽20外へ排出されやすい。一方、感光体用基体40で囲まれた洗浄槽20の中央部に位置する感光体用基体41が位置するような領域51近傍の洗浄液は洗浄液排出端21〜24から遠い上に、洗浄液排出端21〜24近傍に位置するように配置された感光体用基体40が存在するために、領域51近傍の洗浄液は領域50近傍と比較すると洗浄槽20外に排出されにくい。
【0064】
このため、従来の洗浄方法では、領域51近傍の洗浄液が異物を含んだまま洗浄槽20内に滞留しやすいため、一旦、感光体用基体40、41表面に付着していた異物が剥離されても再付着しやすく、これが洗浄品質の低下や、洗浄品質のバラツキを招いていた。
【0065】
これに対して本発明の円筒状基体洗浄方法による感光体用基体の浸漬洗浄は、例えば、図3に示すような浸漬洗浄装置を用いて行うことができる。
図3は本発明の円筒状基体洗浄方法の他の例を説明するための模式図であり、、具体的には、本発明の円筒状基体洗浄方法に用いられる浸漬洗浄装置の一例についてその洗浄槽部分の上面図について示したものである。なお、洗浄槽以外のその他の構成・機能については省略したが、本質的には図14(b)に示した場合と同様である。
図3中、30は洗浄槽、31、32は洗浄槽外周上端部(洗浄液排出端)、33、34は洗浄槽外周上端部(洗浄液排出端として機能しない部分)43は感光体用基体(円筒状基体)、52は洗浄液排出端31近傍の領域、53は洗浄液排出端32近傍の領域を示す。
【0066】
洗浄槽30は、その4辺を構成する洗浄槽外周上端部31〜34のうち、向かい合う2辺31,32が洗浄液排出端であり、残りの2辺33,34が洗浄液排出端として機能しない部分である。
浸漬洗浄に際しては洗浄液排出端31,32から洗浄液がほぼ均等に洗浄槽30外へと排出される。また、洗浄槽内30には1列で等間隔に配列された合計6本の感光体用基体43を同時に浸漬することができる。なお、相互に隣接する感光体用基体43の間隔は図15の場合と同じであり、また、感光体用基体43と洗浄液排出端31〜32との最短距離も図15の場合と同様である。
【0067】
本発明の円筒状基体洗浄方法では、図3に例示したように、洗浄槽30に浸漬されたいずれの円筒状基体43も、外周面に近接するように中心軸に対して略反対の位置に洗浄液排出端31、32が位置する。すなわち、いずれの感光体用基体43も、洗浄液排出端31、32近傍の領域52、53内に位置し、従来のような洗浄液排出端から離れており、異物を含んだ洗浄液が滞留しやすい領域が、感光体用基体43の一部あるいは全体と重なることがない。このため、感光体用基体43近傍の洗浄液は全て滞ることなく速やかに洗浄液排出端31,32へと移動し洗浄槽30外へと排出されるため、感光体用基体43表面に付着していた異物が剥離されても再付着が起こりにくく、洗浄品質を向上させ、またバラツキを抑えることができる。
【0068】
以上、本発明の円筒状基体洗浄方法を、円筒面(外周面)上の第1の領域および第2の領域に近接する位置に洗浄液排出端を設けた場合について図面を用いて具体例を挙げて説明したが、本発明の円筒状基体洗浄方法は上記の具体例のみに限定されるものではない。
【0069】
なお、円筒状基体の外周側に洗浄液排出端が設けられる場合、既述したように本発明においては、円筒状基体の円筒面(外周面)上の、円筒状基体の中心軸に対して略反対な位置関係にある第1の領域および第2の領域に近接する位置に、少なくとも設けられるのであれば特に限定されないが、具体的には下式(3)および(4)を満たすことが好ましい。
・式(3) 0.15h(1)≦Xout(1)≦0.85h(1)
・式(4) 0.15h(2)≦Xout(2)≦0.85h(2)
但し、式(3)および(4)中、Xout(1)は、前記円筒状基体の外周面(第1の領域)から、前記第1の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、Xout(2)は、前記円筒状基体の外周面(第2の領域)から、前記第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、h(1)は、前記円筒状基体の中心軸から、前記第1の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、h(2)は、前記円筒状基体の中心軸から、前記第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)を表す。
【0070】
Xout(1)が0.15h(1)よりも小さい場合や、Xout(2)が0.15h(2)よりも小さい場合には、円筒状基体外周面とこれに近接して設けられる洗浄液排出端との距離が小さすぎるため、両者の間の鉛直方向の洗浄液の流れが悪くなり過ぎること等により、局所的な洗浄液の滞留が発生し洗浄品質が低下してしまう場合がある。
【0071】
なお、このような鉛直方向の洗浄液の流れの悪化は、円筒状基体の外周面近傍に洗浄液排出端以外の洗浄液の流れを実質的に遮蔽するような遮蔽部材(例えば洗浄槽内に設けられる仕切り板や、他の円筒状基体、洗浄槽の内壁等)が設けられる場合にも同様に起こり得る場合がある。従って、円筒状基体の外周面とこの外周面の近くに位置する遮蔽部材との間に関しても、式(3)や(4)の左側に示されるのと本質的に同じ関係が満たされることが好ましい。
【0072】
Xout(1)が0.85h(1)よりも大きい場合や、Xout(2)が0.85h(2)よりも大きい場合には、円筒状基体外周面とこれに近接して設けられる洗浄液排出端との距離が大きすぎるため、両者の間の洗浄液の流れが可逆的になったり滞留が発生したりすることにより洗浄品質が低下してしまう場合がある。
【0073】
このような式(3)および(4)で表される関係は、例えば、図1(a)においては2つの矢印OFで示される洗浄液排出端により満たされることが好ましく、図1(b)〜(e)においては2つの矢印Eで示される洗浄液排出端により満たされることが好ましい。
なお、上記したような問題の発生を確実に防止するとともに、より洗浄品質を向上させるためには、Xout(1)は0.2h(1)〜0.7h(1)の範囲内がより好ましく、0.25h(1)〜0.5h(1)の範囲内が更に好ましい。またXout(2)は0.2h(2)〜0.7h(2)の範囲内がより好ましく、0.25h(2)〜0.5h(2)の範囲内が更に好ましい。
さらに、Xout(1)とXout(2)との値は外周面の洗浄品質のバラツキの発生を防ぐためには、実質的にほぼ同じ値であることが好ましい。
【0074】
また、洗浄槽内に浸漬された円筒状基体の円筒面(外周面)上の、円筒状基体の中心軸に対して略反対な位置関係にある第1の領域および第2の領域に近接する位置以外にも、洗浄液排出端が近接して設けられていていることが好ましい((以下、上記の関係を満たす洗浄液排出端を「第3の洗浄液排出端」と略す)。
勿論、この第3の洗浄液排出端も上記した式(3)や(4)で示されるような関係を満たすことが好ましい。
この場合には、例えば、円筒状基体の外周面全体に近接するように円形の連続した洗浄液排出端を設けたり、円筒状基体の中心軸に対して120度毎や90度毎に円筒状基体の外周面に近接するように洗浄液排出端を設けたりすることができる。このように、第3の洗浄液排出端を更に設ける場合には、浸漬洗浄後の円筒状基体表面に残留する異物をより低減することができる。
【0075】
なお、少なくとも2本以上の円筒状基体を洗浄槽に同時に浸漬することにより洗浄する場合には、少なくともいずれか1本が上記したような円筒状基体洗浄方法により浸漬洗浄されるものであれば特に限定されない。しかしながら、勿論、洗浄槽に同時に浸漬される円筒状基体の全てが上記したような円筒状基体洗浄方法により浸漬洗浄されることが好ましい。
【0076】
更に、上記したような円筒状基体洗浄方法は、少なくとも4本の円筒状基体が必要な桝目配列や、少なくとも5本の円筒状基体が必要な千鳥配列等、周知の2次元的配列(多列配列)が可能となる4、5本以上の円筒状基体を洗浄槽に同時に浸漬洗浄する場合に更に有効である。
例えば、感光体用基体のような円筒状基体を、実際の生産過程において多量に浸漬洗浄する場合には、図15に示したように例えば桝目状に多列配列した状態で円筒状基体を同時に浸漬洗浄することが一般的であった。この場合、各々の感光体用基体外周面の洗浄液排出端との距離やその面し方により、各々の感光体用基体外周面近傍の洗浄液の流れ具合に異なりが発生することが考えられる。
【0077】
例えば、図15を例に説明すれば、各々の感光体用基体外周面の洗浄液排出端との距離やその面し方により、洗浄槽20の4隅に位置する感光体用基体40と、これ以外に位置する感光体用基体40と、洗浄槽20の中央部に位置する感光体用基体41とでは浸漬洗浄時の異物の再付着の起こり易さが異なることが考えられ、結果として洗浄品質のバラツキ、また、浸漬された全ての感光体用基体の洗浄品質の低下を招いていたものと考えられる。
【0078】
しかしながら、4、5本以上の円筒状基体を洗浄槽に同時に浸漬洗浄する場合に、少なくとも4、5本以上、より好ましくは、洗浄槽に浸漬された全ての円筒状基体について上記した円筒状基体洗浄方法を適用することにより、洗浄槽内に浸漬される円筒状基体の配列に関係無く上記したような問題を大幅に低減することができる。このため、高い生産性を確保しつつ洗浄品質の向上と、洗浄品質のバラツキを抑制することができる。
さらに、この場合においてXout(1)、Xout(2)の値は、個々の円筒状基体間において実質的に同一であることが上記したような問題を更に低減することができ、結果としてより一層の洗浄品質の向上と、洗浄品質のバラツキを抑制することができるため更に好ましい。勿論、このような関係は、洗浄槽内に浸漬される円筒状基体が4本未満の場合においても同様である。
【0079】
なお、洗浄槽内に浸漬される4、5本以上の円筒状基体全てに対して本発明の円筒状基体洗浄方法により浸漬洗浄する場合、個々の円筒状基体が本発明の円筒状基体洗浄方法により洗浄可能であればその配列は特に限定されず、1本の曲線や直線上に一列状に配置された配列であってもよいし、周知の2次元的配列により配列されていてもよく、また不規則な配列であってもよい。
【0080】
−内周面および外周面上の第1および第2の領域に近接して洗浄液排出端を設けた場合の共通事項−
次に、内周面上の第1の領域および第2の領域に近接する位置に洗浄液排出端を設けた場合、および、外周面上の第1の領域および第2の領域に近接する位置に洗浄液排出端を設けた場合の両方に共通する事項について以下に詳細に説明する。
【0081】
本発明の円筒状基体洗浄方法においては、既述したように2本以上の円筒状基体を同時に浸漬して洗浄してもよく、この場合、2本以上あるいは全ての円筒状基体を本発明の円筒状基体洗浄方法により浸漬洗浄することができる。
このように2本以上の円筒状基体を同時に浸漬洗浄する場合には取り扱い上、個々の円筒状基体の外径等のサイズは同一であることが好ましいがそれぞれ異なっていてもよい。
【0082】
また、2本以上の円筒状基体を同時に浸漬洗浄する場合の個々の円筒状基体の配列は特に限定されるものではなく、本発明の円筒状基体洗浄方法により洗浄できるのであれば如何様に配列してもよい。しかしながら、本発明の円筒状基体洗浄方法に用いられる円筒状基体浸漬洗浄装置の構成を簡易にしたり、洗浄槽へ2本以上の円筒状基体を同時に出し入れして搬送したりする際の取り扱いを容易とするためには、直線や曲線上に直列に配置されていることが好ましく、一本の直線上に直列に配置されていることがより好ましい。さらに、個々の円筒状基体間の距離は等間隔であることが好ましい。
【0083】
なお、このような本発明の円筒状基体洗浄方法に適した円筒状基体浸漬洗浄装置の構成については後述するが、本発明の円筒状基体洗浄方法に用いられる円筒状基体浸漬洗浄装置は、少なくとも洗浄液供給口と洗浄液排出端とを少なくとも備えた洗浄槽を有するものであれば特にその構成は限定されない。また、浸漬洗浄に際しては、所望の洗浄度が得られるようにフィルタリング処理等により異物の含有量が所定量以下に抑えられた洗浄液が洗浄槽内に供給できるような構成を有する。
【0084】
また、本発明の円筒状基体洗浄方法により円筒状基体を浸漬洗浄する場合には、洗浄液供給口から供給された洗浄液は、少なくとも洗浄槽内を略鉛直方向に移動した後に洗浄液排出端から、洗浄槽外および/または洗浄槽内の他の部分へ排出されるが、この場合、円筒状基体表面に付着した異物を除去し、更に一旦表面から剥離した異物の再付着を防ぐためには少なくとも円筒面近傍に沿って鉛直方向に移動することが好ましい。さらに、円筒面近傍に沿って鉛直方向に移動する洗浄液の平均流速が、5mm/s以上であることがより好ましい。なお、当該平均流速とは、単位時間当りに洗浄槽内に供給される洗浄液量を、液面に対して平行で円筒状基体を囲むようにして設けられた壁面(洗浄槽側面や仕切り板等)内の領域の断面積で除した値で定義される。
【0085】
円筒面近傍に沿って鉛直方向に移動する洗浄液の平均流速が、5mm/s未満である場合には、円筒状基体表面に付着した異物を除去する効果が低下したり、および/または、一旦表面から剥離した異物の再付着が起こり易くなる場合がある。なお、円筒面近傍に沿って鉛直方向に移動する洗浄液の平均流速は10mm/s以上であることがより好ましい。
【0086】
なお、「洗浄液が円筒面近傍に沿って鉛直方向に移動する」とは、例えば、円筒状基体外周面の洗浄液の流れに着目して説明するならば、図1(a)および(b)においては、円筒状基体300外周面と洗浄槽100(101)側面内壁との間を洗浄液が全体として鉛直方向(上方向)に移動することを意味し、図1(c)においては、円筒状基体300外周面と仕切り板104の円筒状基体300が設けられた側の面との間を洗浄液が全体として鉛直方向(上方向)に移動することを意味し、図1(d)においては、円筒状基体300外周面と仕切り板106の円筒状基体300が設けられた側の面との間を洗浄液が全体として鉛直方向(下方向)に移動することを意味する。
【0087】
また、図1(e)においては、円筒状基体300外周面と仕切り板108Uの円筒状基体300が設けられた側の面との間(以下、「領域U」と略す)を洗浄液が全体として鉛直方向(下方向)に移動すること、および、円筒状基体300外周面と仕切り板108Bの円筒状基体300が設けられた側の面との間(以下、「領域B」と略す)を洗浄液が全体として鉛直方向(上方向)に移動することを意味する。なお、図1(e)の場合は、領域Uおよび領域Bの両方の円筒面近傍(但し、両者の境界部分を除く)に沿って鉛直方向に移動する洗浄液の平均流速が、それぞれ5mm/s以上であることがより好ましい。
【0088】
以上に説明した本発明の円筒状基体洗浄方法は、公知の如何なる円筒状基体の浸漬洗浄にも適用可能であり、また、この際用いられる洗浄液も、洗浄対象となる円筒状基体の種類や、洗浄工程(例えば、薬液による脱脂等を目的とした洗浄、すすぎ洗浄、温純水による水切り等)、所望する洗浄品質等に応じて選択できる。また、必要に応じて超音波を印加したり円筒状基体を揺動したりするなど、浸漬洗浄時に併用可能な公知の方法を利用することもできる。
【0089】
このような上述した諸条件に関して、円筒状基体が電子写真用の感光体用基体である場合を例に更に詳細に説明する。
まず、用いられる感光体用基体としては、そのサイズや材質は公知のものであれば如何なるものでも用いることができる。また、本発明の円筒状基体洗浄方法を感光体用基体に適用する場合には感光体用基体の鏡面加工後に適用することが好適である。
【0090】
なお、感光体用基体の洗浄は、最初に洗浄剤を溶解させた洗浄液に浸漬して薬液洗浄工程、その後に洗浄剤を洗い流すすすぎ工程、感光体用基体表面の水分を極力減少させる水切り工程、引き続いて感光体用基体表面に残留する水分を除去する乾燥工程から構成され、本発明の円筒状基体洗浄方法は、これらの工程の内、浸漬した状態で洗浄を行う薬液洗浄工程、すすぎ工程、水切り工程のいずれにも適用可能である。
【0091】
但し、鏡面加工後の感光体用基体の洗浄は、上記のような組合せのみに限定されるものではなく、浸漬洗浄工程に加えて、ブラシなどを用いたスクラブ洗浄、シャワー洗浄、スプレーなどのジェット洗浄工程などと組み合わせて行うことができ、これらの組合せは洗浄効果が最大となるように任意に組み合わせることができる。
この際、少なくともいずれか1回の浸漬洗浄工程に際して本発明の円筒状基体洗浄方法が利用でき、全ての浸漬洗浄に際して本発明の円筒状基体洗浄方法を利用することがより好ましい。
【0092】
また、浸漬洗浄工程は、脱脂等を目的とした薬液洗浄工程、純水等を利用したすすぎ洗浄工程、温純水等を利用し感光体用基体表面に残留している異物・洗剤等を除去することを目的とした水切り洗浄工程等として行われるが、この際、いずれを目的とした浸漬洗浄工程にも本発明の円筒状基体洗浄方法を利用することが可能である。なお、薬液洗浄工程、すすぎ洗浄工程、水切り洗浄工程の各々はそれぞれ1回のみでもよいが、複数回行ってもよい。
【0093】
これらの種々の浸漬洗浄工程に用いられる洗浄液としては、感光体用基体を洗浄することが可能な液体であれば特に限定されないが、地球環境保護の観点、人体への害の少なさ、発火・爆発の危険性のなさ、取り扱いの容易さなどから水系洗浄液が好適に使用される。
例えば、(1)市水、純水、イオン交換水、井戸水などの水、(2)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー型及びノニルフェノールポリオキシエチレンエーテルなどのノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼン、高級アルコール、α−オレフィンの硫酸、ケイ酸、リン酸及び炭酸などのオキシ酸塩などのアニオン系界面活性剤、(3)電解性アルカリイオン水の一種である超還元性水(日本電子アクティブ株式会社製、商品名:EKO−13、EKO−13ALなど)、(4)上記した(1)から(3)の任意の混合物など公知の洗浄液があげられる。
【0094】
また、薬液洗浄工程やすすぎ洗浄工程においては、洗浄槽内に浸漬された感光体用基体に超音波を照射することもできる。この場合、感光体用基体表面に付着した異物の剥離に有効である。
なお、感光体用基体に照射される超音波は感光体用基体の表面にキャビテーションによるダメージを与えない種類のものが選択される。例えば感光体用基体を構成する材料としてアルミニウム合金を用いる場合は、発振周波数28kHz以上150kHz程度のものが用いられる。また複数の周波数を周期的に切換えられる超音波発信装置を用いて超音波を照射することも有効である。また、感光体用基体の特定の位置にダメージが集中しないように、浸漬洗浄に際して感光体用基体を上下方向に揺動してもよい。
【0095】
感光体用基体の洗浄槽への浸漬・引き上げは、公知の方法により行うことができるが、浸漬・引き上げに際して感光体用基体を安定して保持でき、また、浸漬時に洗浄液の自由な流れを阻害しない方法であることが好ましい。なお、一般的に感光体用基体の場合には感光体用基体下端部を感光体用基体保持具により保持した状態で行われるが、これに限定されるものではない。
【0096】
使用される感光体用基体保持具の形状は特に限定されるものではないが、例えば、感光体用基体保持具は感光体用基体を載せる底面と、感光体用基体を底面の所定の位置に保持する位置決めピンとから構成されていてもよい。このような感光体用基体保持具を用いる場合には底面及び位置決めピンを感光体用基体底部の内面に接触させて感光体用基体を保持する。この状態で洗浄槽に感光体用基体を浸漬する際には、洗浄液が感光体用基体内周側に浸入しやすいように、感光体用基体内面と位置決めピンとの間に形成される間隙部の断面積が極力広くなるような保持具であることが効果的である。この部分の断面積が狭いと感光体用基体内周側への洗浄液の流通が悪くなり、洗浄液中に含まれる異物粒子が洗浄槽鉛直方向に移動しにくくなる場合がある。
【0097】
また、洗浄液供給口から供給される洗浄液は、その中に含まれる異物の量や大きさが洗浄対象となる感光体用基体の汚れ具合や、所望する洗浄品質に応じて必要であればフィルター等を利用して一定値以下に調整されたものが利用できる。
例えば、鏡面処理直後の汚れの酷い感光体用基体を浸漬洗浄する場合は、何らの異物除去処理が施されていない洗浄液を利用してもよい。また、ある程度、感光体用基体の表面がきれいになった場合には、フィルター等を用いて、洗浄液供給口から供給される洗浄液中の異物の量や大きさを一定値以下に調整した洗浄液を利用することができる。
【0098】
(円筒状基体浸漬洗浄装置)
次に、本発明の円筒状基体浸漬洗浄装置について説明する。本発明の円筒状基体浸漬洗浄装置は、洗浄液供給口と洗浄液排出端とを少なくとも備えた洗浄槽を含み、洗浄液を前記洗浄液供給口から供給して満たし、前記洗浄液供給口から供給された洗浄液を少なくとも略鉛直方向に移動させた後に前記洗浄液排出端から排出させながら、円筒状基体を該円筒状基体の略軸方向に浸漬することにより洗浄する機能を少なくとも備えた円筒状基体浸漬洗浄装置において、本発明の円筒状基体洗浄方法により前記円筒状基体を浸漬洗浄することが可能なものであれば特に限定されない。
【0099】
本発明の円筒状基体浸漬洗浄装置は、洗浄液供給口と洗浄液排出端とを少なくとも備えた洗浄槽を含むものであるが、必要に応じて公知の浸漬洗浄装置に取りつけられるその他の構成を含んでいてもよい。
例えば、図14や図2に示されるように、洗浄液排出端から洗浄槽外へと排出された洗浄液を受け止めて補助タンクに回収し、再びポンプとフィルターとを経て異物除去された洗浄液を洗浄槽内に供給可能な構成を含んでいてもよい。また、洗浄槽内には、図1に示したように仕切り板等、洗浄槽内の洗浄液の流れを遮蔽したり一方向に制御したりするような部材を必要に応じて設けてもよいし、円筒状基体に超音波を印加しながら洗浄するための超音波発信装置を設けてもよい。
【0100】
また、洗浄槽は洗浄液供給口と洗浄液排出端とを少なくとも備えたものであれば特に限定されないが、図1(c)〜(e)に例示したように仕切り板等を有していてもよい。洗浄槽に設けられる洗浄液供給口と洗浄液排出端とは各々少なくとも1つ以上設けられればよいが、複数設けてもよい。
なお、洗浄液供給口と洗浄液排出端とは浸漬洗浄に際して洗浄液が洗浄槽内を少なくとも略鉛直方向に移動することができるように配置され、また、洗浄液排出端が本発明の円筒状基体洗浄方法を利用して円筒状基体が洗浄できるような位置に配置されるのであれば、図1に例示したように洗浄槽の任意の位置に設けることができる。
【0101】
次に、本発明の円筒状基体浸漬洗浄装置のより好ましい構成について、洗浄槽に浸漬した円筒状基体の内周側に洗浄液排出端が位置する構成と、洗浄槽に浸漬した円筒状基体の外周側に洗浄液排出端が位置する構成と、に分けて具体的に説明する。なお、本発明の円筒状基体浸漬洗浄装置は、円筒状基体の内周側あるいは外周側のいずれか一方に洗浄液排出端が位置する構成のみに限定されるものではなく、内周側および外周側の両方に洗浄液排出端が位置する構成であることがより好ましい。
【0102】
−円筒状基体の内周側に洗浄液排出端が位置する場合の構成−
浸漬洗浄に際して円筒状基体の内周側に洗浄液排出端が位置する場合の円筒状基体浸漬洗浄装置の構成としては、洗浄槽が、その底部に洗浄液排出・回収手段を有し、前記洗浄槽内に、一端が洗浄液を前記洗浄槽に満たした際の最高液面位置と同等あるいは下側に位置し、もう一端が前記洗浄液排出・回収手段に接続されるように鉛直方向に設けた円筒パイプを、少なくとも1本以上設けることができる。この場合、円筒パイプの外径が、洗浄槽内に浸漬される円筒状基体の内径よりも小さいことが必要である。具体例としては、円筒パイプを洗浄槽内に1本だけ設けた構成として図2に示される浸漬洗浄装置が挙げられる。
【0103】
洗浄槽内に浸漬される円筒状基体の内径よりも外径が小さく洗浄液排出端として機能する円筒パイプを洗浄槽内に設けることにより、浸漬洗浄に際して円筒パイプがその内周側に位置するように円筒状基体を浸漬すれば、円筒状基体内周面のいずれの領域からも近接する位置に洗浄液排出端が設けられることとなり、洗浄品質を向上させることができる。
この場合、円筒状基体を洗浄槽に浸漬する際に、円筒状基体の中心軸と円筒パイプ中心軸とを一致させることがより好ましく、既述したような式(1)や(2)の関係を満たすように円筒パイプの外径と円筒状基体の外径とが選択されることが好ましい。
【0104】
なお、円筒パイプを2本以上設ける場合には、各々の円筒パイプ間の最短距離は、生産性を向上させるために、洗浄対象となる円筒状基体の外径よりも大きい間隔であることが好ましい。
また、円筒パイプは円筒状基体の内周側のみならず、外周側に位置する洗浄液排出端としても勿論利用することができる。このような場合は、円筒パイプの外径や円筒パイプ間の距離については特に限定されず、任意に設定することができる。
【0105】
−円筒状基体の外周側に洗浄液排出端が位置する場合の構成−
浸漬洗浄に際して円筒状基体の外周側に洗浄液排出端が位置する場合の円筒状基体浸漬洗浄装置としては、1本の基準線上に、同一の外径を有する2本以上の円筒状基体を一列に離間して配置した状態で同時に浸漬することにより浸漬洗浄を行うことが可能な洗浄エリアを少なくとも1つ以上含む洗浄槽を用いた円筒状基体浸漬洗浄装置であって、前記基準線の両側に、第1の洗浄液排出部および第2の洗浄液排出部が少なくとも設けられ、前記第1の洗浄液排出部および前記第2の洗浄液排出部が、線状に連続的あるいは非連続的に配置された洗浄液排出端を含み、各円筒状基体と前記第1または第2の洗浄液排出部とが、下式(5)〜(7)を満たすことが好ましい。
【0106】
・式(5) 0.15≦d/H1≦0.85
・式(6) 0.15≦d/H2≦0.85
・式(7) 120≦θ≦180
【0107】
但し、式(5)〜(7)において、dは、前記各円筒状基体の中心軸から外周面までの距離(mm)、H1は前記各円筒状基体の中心軸から前記第1の洗浄液排出部上に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、H2は前記各円筒状基体の中心軸から前記第2の洗浄液排出部上に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、θは各円筒状基体における円筒状基体の中心軸から最短距離H1に位置する前記洗浄液排出端に向かう第1の仮想線と、前記円筒状基体の中心軸から最短距離H2に位置する前記洗浄液排出端に向かう第2の仮想線との成す角度(deg)を表す。
【0108】
従って、このような構成は2本以上の円筒状基体を同時に浸漬洗浄した場合においても、洗浄品質を向上させ、洗浄品質のバラツキを抑えることができ、特に、従来のような多列配列で洗浄されることが一般的であった4、5本以上の円筒状基体を同時に浸漬洗浄する場合に有効である。また、勿論、既述したように円筒状基体の内周側に円筒パイプを設ける構成と組み合わせることも可能である。
【0109】
なお、洗浄槽に浸漬された円筒状基体の少なくともいずれか1本以上が、式(5)〜(7)のいずれかを満たすことができない場合には、洗浄品質のバラツキが発生したり、式(5)〜(7)のいずれかを満たすことができない円筒状基体の数の増加に伴い全体の洗浄品質が低下し易くなる。
【0110】
なお、式(5)〜(6)において、下限値の値は、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることが更に好ましく、上限値の値は、0.8
以下であることがより好ましく、0.75以下であることが更に好ましい。また、式(7)において、下限値の値は135以上であることがより好ましく、150以上であることが更に好ましい。
【0111】
以下に、上記に説明した円筒状基体浸漬洗浄装置について図面を用いて更に説明する。
図4は本発明の円筒状基体浸漬洗浄装置の一例を示す上面図であり、具体的には、円筒状基体浸漬洗浄装置の洗浄槽内に設けられた1本の基準線上に同一の外径を有する2本以上の円筒状基体を一列に配置した状態で同時に浸漬することにより浸漬洗浄を行うことが可能な洗浄エリアの一部分(円筒状基体が2本配置された部分)の一例について示した上面図である。
【0112】
図4中、d、H1、H1’は式(5)中に示したH1を表し、H2、H2’は式(6)中に示したH2を表し、θ、θ’で示される記号は上記の式(7)中に示したθと同様であり、P1およびP2は円筒状基体の中心軸、60は洗浄エリア、61は基準線、62は中心軸が基準線に重なるように設けられた円筒状基体、63は中心軸が基準線に重なるように設けられた円筒状基体、64は第1の洗浄液排出部、65は第2の洗浄液排出部、66,67は第2の洗浄液排出部65に部分的に連続して設けられた洗浄液排出端、68は第2の洗浄液排出部65の洗浄液排出端として機能しない部分(遮蔽部)、69は第1の洗浄液排出部64と第2の洗浄液排出部65との間に位置する洗浄液を表す。
【0113】
図4に示す例では、直線からなる基準線61上の両側に、直線上に連続的に配置された洗浄液排出端を含む第1の洗浄液排出部64と、直線上に非連続的に配置された洗浄液排出端66、67を含む第2の洗浄液排出部65とが基準線61に対して平行且つ等間隔に設けられており、基準線61上にはそれぞれ外径dの円筒状基体62および63が、間隔を保つように配置されている。
【0114】
また、第1の洗浄液排出部64上のA点は、円筒状基体62の中心軸P1から最短距離に位置する洗浄液排出端、第2の洗浄液排出部65上のB点は、円筒状基体62の中心軸P1から最短距離に位置する洗浄液排出端、第1の洗浄液排出部64上のC点は、円筒状基体63の中心軸P2から最短距離に位置する洗浄液排出端、第2の洗浄液排出部65上のD点は、円筒状基体63の中心軸P2から最短距離に位置する洗浄液排出端を意味する。
【0115】
図4中、2つの円筒状基体62,63と、第1の洗浄液排出部64と、第2の洗浄液排出部65との位置関係は式(5)〜(7)を同時に満たすことが好ましい。なお、図4に示す例では、基準線61上に2本の円筒状基体を配置した場合について示したが、基準線上に3本以上の円筒状基体を配置した場合においても相互に隣接して配置される2本の円筒状基体が式(5)〜(7)の関係を同時に満たすことが好ましい。このような関係を満たすことによりそれぞれの円筒状基体の洗浄品質を向上させることができる。
【0116】
また、式(5)〜(7)の関係を同時に満たすことが可能であるならば、外径dの円筒状基体の代りに、外径d’(但し、d≠d’)の円筒状基体を浸漬洗浄しても良好な洗浄品質を得ることができる。
【0117】
洗浄液排出部は、その形状が符号64や65で示すように直線状であってもよいが、曲線等であってもよく、また、符号64や65で示されるように連続的なものであってもよく不連続なものであってもよい。洗浄液排出部は符号64で示されるように線上に連続的に配置された洗浄液排出端を含んでいてもよいし、符号65で示されるように遮蔽部68で分離された部分的に連続する洗浄液排出端66,67を含んでいてもよい。
【0118】
なお、部分的に連続する洗浄液排出端の数は式(5)〜(7)を満たすことができるのであれば特に限定されるものではなく、また部分的に連続する区間も特に限定されない。また、第2の洗浄液排出部65のように、洗浄液排出端が部分的に連続して設けられる場合には、符号67で示されるように式(6)を満たし且つ基準点から最短距離に位置するように洗浄液排出端が設けられることがより好ましいが、符号66で示されるように中心軸から最短距離に位置しない場所に洗浄液排出端が設けられる場合では式(5)を少なくとも満たすように洗浄液排出端が設けられていればよい。
【0119】
また、基準線は、外径が2d(mm)である円筒状基体を少なくとも2本以上一列に配列することが可能なように洗浄槽内の任意の位置に描画可能な直線あるいは曲線(一定の半径、あるいは、一定の曲率半径で決定される曲線)であれば特に限定されないが、洗浄槽の構成を簡易としたり、洗浄槽に同時に出し入れされる複数の円筒状基体のハンドリングを容易とするためには直線状であることが好ましい。
【0120】
上記したような構成を有する円筒状基体浸漬洗浄装置については、様々な構成が考えられるが実際の浸漬洗浄に際しては生産性の確保、洗浄品質の向上、洗浄品質のバラツキ抑制、浸漬洗浄装置の維持管理やコスト等の観点から洗浄槽の構成が簡素である等、円筒状基体浸漬洗浄装置として求められる様々な機能・性能をバランスよく高いレベルで両立させる必要がある。
【0121】
このような実用上の観点からは、〔1〕浸漬洗浄に際して基準線上の基準点に中心軸がほぼ一致するように円筒状基体が配置されること、〔2〕基準線が直線であること、〔3〕洗浄槽内に浸漬される全ての円筒状基体に関して、上記式(5)〜(7)が満たされること、〔4〕洗浄槽内に浸漬される全ての円筒状基体に関して、円筒状基体の中心軸から洗浄液排出部に設けられた洗浄液排出端までの最短距離がほぼ等しいこと、〔5〕洗浄槽内に浸漬される全ての円筒状基体に関して、相互に隣接する円筒状基体の中心軸間の最短距離がほぼ等しいこと、〔6〕基準線に対して実質的に同等の構成を有する第1の洗浄液排出部と第2の洗浄液排出部とが、実質的に平行且つ等距離に配置されること等の条件を満たしていることが好ましい。
【0122】
また、洗浄槽の構成をより簡易とするためには、〔7〕洗浄槽内に浸漬される全ての円筒状基体に関して、θの値が180度であること、〔8〕第1の洗浄液排出部および第2の洗浄液排出部が実質的に連続する洗浄液排出端から構成されること、〔9〕第1の洗浄液排出部および第2の洗浄液排出部が直線状であること等の条件を満たしていることが好ましい。
さらに、生産性の確保や、工場内に洗浄槽をレイアウトする際の自由度の高さ・省スペース性等の観点からは、〔10〕洗浄槽が2以上の洗浄エリアを含むもの等であることが好ましい。
【0123】
なお、これら上記に例示した10項目は、全てを同時に満たす必要は無く、洗浄品質を優先的に確保したい場合や生産性を優先的に確保したい場合等、目的に応じて取捨選択して自由に組み合わせることができる。
【0124】
以下に、上記〔1〕〜〔10〕項を考慮した円筒状基体浸漬洗浄装置の具体例を図示してより詳細に説明するが、本発明の円筒状基体浸漬洗浄装置は以下の例のみに限定されるものではない。
図5は、本発明の円筒状基体浸漬洗浄装置の他の例を示す上面図であり、具体的には2本以上の円筒状基体が同時に浸漬洗浄可能な洗浄槽部分全体の上面図について示したものである。なお、説明の都合上、図5に示す洗浄槽は、個々の洗浄液排出部が連続した洗浄液排出端からなり、洗浄液排出端が満水時の液面とほぼ同じ高さに設けられ、洗浄液供給口が洗浄槽の底部近傍に設けられたものとして説明するが、これに限定されるものではない。
【0125】
図5において、400、401、402、403は洗浄槽、410、411、412は基準線、413は第1の基準線、414は第2の基準線、420は第1の洗浄液排出部、421は第2の洗浄液排出部、422は第1の洗浄液排出部、423は第2の洗浄液排出部、424は第1の洗浄液排出部、425は第2の洗浄液排出部、426は洗浄液排出部A(第1の基準線413に対して設けられた第1の洗浄液排出部)、427は洗浄液排出部B(第1の基準線413および第2の基準線414に対して設けられた第2の洗浄液排出部)、428は洗浄液排出部C(第2の基準線414に対して設けられた第1の洗浄液排出部)、440は第1の洗浄エリア、441は第2の洗浄エリアを表す。
【0126】
図5(a)に示す洗浄槽は上記〔1〕〜〔6〕、〔8〕項を考慮した構成であり、洗浄槽400は、直線状の基準線410の両側に等距離に配置された第1の洗浄液排出部420、第2の洗浄液排出部421を有し、これら2つの洗浄液排出部420、421は基準線400の両端部分で繋がっている。基準線400上には中心軸間の距離が等距離となるように8本の円筒状基体490を配置することができる。また各々の円筒状基体490の外周面に沿って中心軸から半径Hの所に位置するように連続した円弧状の第1の洗浄液排出部420および第2の洗浄液排出部421が設けられている(但し、Hは全ての円筒状基体において等しく、以下も同様である)。
【0127】
図5(a)に示す洗浄槽400は、後述する図5(b)〜(d)に示す例と比較すると、特に基準線410上に配置された円筒状基体490の外周面に沿って等距離の位置に円弧状の洗浄液排出端が配置されているところに主な特徴がある。
このため、外周面近傍のいずれの位置からも洗浄液が洗浄液排出端へと効率的に排出され易く、洗浄品質をより向上させることができる。
【0128】
図5(b)に示す洗浄槽は上記〔1〕〜〔9〕項を考慮した構成であり、洗浄槽401は、直線状の基準線411の両側に、基準線411と垂直に交わる方向に距離Hを保ち平行に配置された直線状の第1の洗浄液排出部422、第2の洗浄液排出部423を有し、これら2つの洗浄液排出部422、423はその両端が、基準線411と垂直に交わる直線状の洗浄液排出部と繋がっている。基準線410上には中心軸間の距離が等距離となるように8本の円筒状基体490を配置することができる。
【0129】
なお、図5(c)に示す洗浄槽402も図5(b)に示す洗浄槽401と実質的にほぼ同様の構成を有するものであるが、直線状の基準線412の両側に、基準線412と垂直に交わる方向に距離Hを保ち平行に配置された直線状の第1の洗浄液排出部424および第2の洗浄液排出部425の両端が、洗浄槽412の外側に膨らむように設けられた半円状の洗浄液排出部と繋がっている点のみが異なるものである。
【0130】
図5(b)及び(c)に示す洗浄槽401、402は、図5(a)や後述する図5(d)に示す例と比較すると、洗浄槽401,402の形状・構成が非常にシンプルであるところに主な特徴がある。
このため、洗浄槽の維持管理が容易でその作製コストも安価である上に、多少外径の異なる円筒状基体であっても、上記の式(5)〜(7)を満たして浸漬洗浄を行うことが容易であるため使い勝手が良い。
【0131】
図5(d)に示す洗浄槽は上記〔1〕〜〔7〕、〔9〕〜〔10〕項を考慮した構成である。洗浄槽403は、その外周が長方形であり、外周を成す向かい合う2つの長辺が洗浄液排出部A426と洗浄液排出部C428とを構成し、残りの向かい合う2つの短辺が洗浄液排出部A426および洗浄液排出部C428の両端を繋いでいる。
さらに、洗浄槽内403内には、洗浄液排出部A426および洗浄液排出部C428に対して平行で、且つ、両者の中間に位置するように5つの洗浄液排出部B427が洗浄槽403の長辺方向に等間隔(向かい合う短辺同士が距離SP−2dとなるよう)に配置されている(但しSPは中心軸間の距離)。洗浄液排出部B427は、その形状が長方形からなり、その4辺全てが連続した洗浄液排出端から構成され、長辺方向の長さが洗浄槽403内に浸漬される円筒状基体490の外径2dとほぼ等しい長さを有するものである。
【0132】
洗浄槽403内には、洗浄槽403の長辺に平行で2本の直線状の基準線が設けられており、1本は洗浄液排出部A426と、洗浄液排出部A426側に面した洗浄液排出部B427の長辺との中間の位置に設けられた第1の基準線413であり、もう1本は洗浄液排出部A428と、洗浄液排出部A428側に面した洗浄液排出部B427の長辺との中間の位置に設けられた第1の基準線414である。なお、第1の基準線413(第2の基準線414)から、その両側に位置する洗浄液排出部までの最短距離はHである。
第1の基準線413および第2の基準線414上には、中心軸間の距離が等距離となるようにそれぞれ5本の円筒状基体490を配置することができる。すなわち、洗浄槽403内には合計で10本の円筒状基体490を5本づつ2列に配置することができる。
【0133】
なお、この場合、第1の基準線413の両側に設けられる洗浄液排出部A426および洗浄液排出部B427が、それぞれ第1の洗浄液排出部および第2の洗浄液排出部として機能し、第2の基準線414の両側に設けられる洗浄液排出部C428および洗浄液排出部B427が、それぞれ第1の洗浄液排出部および第2の洗浄液排出部として機能する。
【0134】
すなわち、洗浄槽403は、第1の基準線413の両側に配置された第1の洗浄液排出部(洗浄液排出部A426)および第2の洗浄液排出部(洗浄液排出部B427)で構成された第1の洗浄エリア440、および、第2の基準線414の両側に配置された第1の洗浄液排出部(洗浄液排出部A428)および第2の洗浄液排出部(洗浄液排出部B427)で構成された第2の洗浄エリア441の2つの洗浄エリアを含むものである。
【0135】
図5(d)に示す洗浄槽403は、図5(a)〜(c)に示す例と比較すると、洗浄エリアが複数であり、洗浄槽403内に円筒状基体490を多列に配置できるところに主な特徴がある。
このような構成は、洗浄槽内に多数の円筒状基体を同時に浸漬して洗浄する必要がある場合には、工場内の限られた設置スペースに応じて洗浄槽内に配置する円筒状基体の配列を選択できるため、洗浄槽のレイアウトが容易である。
なお、図5(b)及び(c)に示す洗浄槽401、402を並べて配置することによっても擬似的に多列配列とすることも可能であるが、洗浄槽403では、洗浄液の供給・回収システム(ポンプ、フィルター、配管等)が1つで済むために円筒状基体洗浄装置の低コスト化や、維持管理が容易である。
【0136】
【実施例】
以下に本発明を実施例を挙げてより具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に、本発明の実施例を電子写真用の感光体用基体の洗浄を例として、円筒状基体の内周側に洗浄液排出端を設ける場合と、円筒状基体の外周側に洗浄液排出端を設ける場合と、に分けて説明する。
【0137】
<<円筒状基体の内周側に洗浄液排出端を設ける場合>>
<実施例A1>
感光体用基体として、ダイヤモンドバイトを用いた鏡面旋盤により、外径84mm、長さ340mm、厚さ1mmのアルミニウムパイプに鏡面切削加工を行い、表面粗さRa(JIS B0601に規定される中心線平均粗さ)が0.04μmの平滑面に仕上げたものを準備した。
【0138】
次に図6に示す表面粗面化装置を用いて、上記の感光体用基体を以下のように粗面化処理を施した。
なお、図6は感光体用基体表面の粗面化処理に用いる表面粗面化装置の概略構成図について示したものである。図6に示す表面粗面化装置500は、研磨液501の飛散を防止するための筐体506と、筐体506内の上部に感光体用基体507を軸方向が鉛直方向に一致するように保持した状態で周方向に回転させることができる基体保持回転軸505とが設けられている。また、筐体506内に配置された感光体用基体507の外周面を鉛直方向に順次、研磨液501が吹き付けられるように可動式のノズル504が設けられている。このノズル504は途中、送液ポンプ503を介してパイプ502により研磨液501が蓄えられたタンクに接続されている。
【0139】
感光体用基体の粗面化処理は具体的には以下のように行った。まず、個数平均粒径27mmの酸化アルミニウム製の研磨剤(商品名:アルミナビーズCBA−30S、昭和タイタニウム製)27重量部を水73重量部に分散させた研磨液を用いて、以下に示す条件で感光体用基体の湿式ホーニングを行った。
・感光体用基体回転速度:100rpm
・感光体用基体とスプレーノズルとの水平距離:130mm
・スプレーノズルの移動速度:500mm/min
・研磨液の圧力:0.1〜0.2Mpa
・研磨液の流量:18L/min
・研磨処理時間:90秒
このようにして得られた感光体用基体の表面粗さRaは0.19μmであった。
【0140】
次に感光体用基体に向けてイオン交換水を吹き付け下に示す条件でシャワー洗浄を行った。
・感光体用基体の回転速度:150rpm
・シャワーノズルの移動速度:400mm/min
・シャワーノズルと感光体用基体の距離60mm
・イオン交換水の圧力:0.3Mpa
・イオン交換水の流量:50L/min
・シャワーリング時間:90秒
【0141】
このようにして得られた感光体用基体について、図7に示す浸漬洗浄装置で感光体用基体8本を同時に浸漬すすぎ洗浄を施した。
図7は、実施例A1(および実施例A2)で用いた浸漬洗浄装置の上面図について示したものである。図7中、600は浸漬洗浄装置、610は洗浄槽、611は外周オーバーフローパン、612はオーバーフロー外周排出口、613は基体内面オーバーフロー戻り配管を表し、また図中に示される寸法の単位はmmである。
【0142】
浸漬洗浄装置600は、長方形の洗浄槽610と、洗浄槽610内に桝目状に配列された合計8本(長辺方向に4本×短辺方向に2本)の基体内面オーバーフロー戻り配管613と、洗浄槽610外周を囲むようにして設けられた外周オーバーフローパン611と、外周オーバーフローパン611の対角するに設けられた2つのオーバーフロー外周排出口612と、からなる。浸漬洗浄装置600の側面から見た概略構成図については省略するが、基本的な構成は図2に示した浸漬洗浄装置と同様である。なお、洗浄槽610の外周上端部と基体内面オーバーフロー戻り配管613の上端部とが洗浄液排出端として機能し、浸漬洗浄に際しては、感光体用基体620の中心軸が基体内面オーバーフロー戻り配管613の中心軸と一致するように浸漬される。
【0143】
すすぎ洗浄は、すすぎ槽(洗浄槽610)底部に設けた不図示の洗浄液供給口からイオン交換水を供給し、供給されたイオン交換水を洗浄槽610外周上端部及び基体内面オーバーフロー戻り配管613上端部からオーバーフローさせながら行った。なお、浸漬洗浄に際してはすすぎ槽(洗浄槽610)内部に予め設置した不図示の超音波振動子から超音波を照射しながら下記に示す条件で揺動洗浄を行った。
・揺動ストローク:30mm
・揺動回数:8回/min
・超音波周波数及び出力:100kHz、600W
・洗浄時間:60秒
この後、水切りを行うために図7に示す浸漬洗浄装置600と同様の浸漬洗浄装置により、水切り槽(洗浄槽610)に50℃の純水をオーバーフローさせながら感光体用基体8本を同時に浸漬し、1分間停止した後、速度300mm/minで引上げ、水切りを行った。
最後にこれらの感光体用基体を熱風乾燥器の中に入れ、温度110℃で2分間加熱乾燥させて洗浄済み感光体用基体を得た。
【0144】
<実施例A2>
ダイヤモンドバイトを用いた鏡面旋盤により、外径84mm、長さ340mm、厚さ1mmのアルミニウム感光体用基体に鏡面切削加工を行い、表面粗さRa(JIS B0601に限定されている中心線平均粗さ)が0.04ミクロンの平滑面に仕上げた。
【0145】
鏡面切削加工終了後、導電性の感光体用基体の脱脂洗浄を以下の手順で行った。
まず、図7に示す浸漬洗浄装置600を2つ用い2段階の脱脂洗浄を行った。
脱脂洗浄(浸漬洗浄)に際しては、洗浄槽600には、底部に設けられた不図示の洗浄液供給口より界面活性剤をイオン交換水に溶解させた洗浄液を供給し、供給された洗浄液を洗浄槽610外周上端部及び基体内面オーバーフロー戻り配管613上端部からオーバーフローさせながら行った。なお、洗浄に際しては、洗浄槽610内に予め設けた不図示の超音波発振機により洗浄液を介して40kHzの超音波を感光体用基体に印加した。
一つの洗浄槽610につき1分間の洗浄を行い、その後一括して感光体用基体620を引き上げる動作を行った。洗浄槽610に浸漬している間、感光体用基体620をストローク30mm、8回/minで揺動させた。
【0146】
なお、界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤(ライオン(株)製LH 600F)を用い、洗浄液中の界面活性剤の濃度は、1回目の脱脂洗浄に用いる洗浄槽では10〜20質量%とし、2回目の脱脂洗浄に用いる洗浄槽では1〜2質量%とした。また、洗浄液に用いたイオン交換水としては、電気伝導度が0.1μS/cm以下のものを使用した。
【0147】
こうして感光体用基体の脱脂洗浄を2回行った後、次に、すすぎ洗浄を行った。すすぎ洗浄は、洗浄液としてイオン交換水のみを用いた以外は上記の脱脂洗浄と全く同様にして行った。
濯ぎ洗浄を行った後は、感光体用基体を同様に図7に示す浸漬洗浄装置を用いて、50℃に保持した温純水中に60秒間浸漬した後、5mm/sの速さで引き上げ水切りした。
最後に、水切り後の感光体用基体を乾燥室で110度の熱風乾燥を2分間行い、洗浄済みの感光体用基体を得た。
【0148】
<比較例A1>
浸漬すすぎと水切り用の浸漬槽に図16に示した浸漬洗浄装置601を用いたこと以外は、実施例A1と全く同様にして、洗浄済みの感光体用基体8本を得た。
なお、図16は、比較例A1(および比較例A2)で用いた浸漬洗浄装置の上面図について示したものであり、図16に示す浸漬洗浄装置601は、基体内面オーバーフロー戻り配管613が設けていないこと以外は、浸漬洗浄装置600と同様の構成・寸法・機能を有する浸漬洗浄装置である。
【0149】
<比較例A2>
脱脂洗浄、すすぎ洗浄、水切り用の浸漬洗浄装置として図16に示した浸漬洗浄装置を用いたこと以外は、実施例A2と全く同様にして、洗浄済みの感光体用基体8本を得た。
【0150】
−洗浄済み感光体用基体の評価−
実施例A1、A2、及び、比較例A1、A2において得られた感光体用基体各々8本について、CCDカメラと顕微鏡とからなる表面欠陥評価装置(富士ゼロックス(株)製)を用いて感光体用基体表面に存在する直径が20μm以上の異物の有無を確認し、20μm以上の異物が認められた感光体用基体の欠陥発生数を算出した。
なお、欠陥発生数は、CCDカメラにより感光体用基体表面全面をスキャンし、電気的信号に異常が検出された箇所を倍率500倍の顕微鏡にて異物付着を確認し、一本当りの個数を求めた。結果を以下の表1に示す。
【0151】
【表1】
Figure 2004275838
【0152】
表1から判るように、実施例A1およびA2は、それぞれ比較例A1およびA2と比較して感光体用基体の清浄度が格段に向上していることがわかる。
また、実施例A1およびA2で得られた感光体用基体に感光層を形成して電子写真プロセスに供される電子写真感光体として用いたとき、比較例A1およびA2と比較して、殆どの感光体用基体から作製した感光体において品質上合格レベルの画像上に白抜け、黒点、画像濃度むら等の発生がない良好な画質を得ることができた。
すなわち、比較例A1およびA2と比較して、実施例A1およびA2では感光体用基体から感光体を作製する際の歩留まりが向上し、感光体を製造する際のコストを非常に安くすることができた。
【0153】
<<円筒状基体の外周側に洗浄液排出端を設ける場合>>
以下の例では、感光体用基体の洗浄は、図8に示すように2回の脱脂洗浄、2回のすすぎ洗浄、1回の温水水切りをこの順に全て浸漬洗浄により行い、最後に熱風乾燥させることにより行った。
【0154】
−浸漬洗浄装置の構成−
以下の実施例および比較例で用いた浸漬洗浄装置は図9〜13および図17〜20に示したものを用いた。これらの図は、実施例および比較例で用いた浸漬洗浄装置の洗浄槽部分の上面図について示したものであり、長方形あるいは長手方向の両端が円弧状の方形からなり、外周上端部分が洗浄液排出端として機能するものである。図9〜13および図17〜20中、700〜708はそれぞれ洗浄槽、720は感光体用基体を表し、これら図中に示される寸法は全てmmである。なお、洗浄槽の寸法形状以外のハード面(配管等)の基本的な構成については図14に示したものと実質的に同様である。
【0155】
後述する各実施例および比較例における浸漬洗浄は、洗浄槽700〜704を用いた場合には、感光体用基体720を、その中心軸が各々の洗浄槽の2つの長辺と平行な中間点に位置するように長辺方向に等間隔で直列に配置して実施し、洗浄槽705を用いた場合には、感光体用基体720を、桝目状(長辺方向4本×短辺方向2本)に縦横ほぼ等間隔に多列に配置して実施し、洗浄槽706を用いた場合には、感光体用基体720を、縦横がほぼ等間隔となるように8本を千鳥配列して実施し、洗浄槽707を用いた場合には、感光体用基体720を、桝目状(長辺方向4本×短辺方向3本)に縦横ほぼ等間隔に多列に配置して実施し、洗浄槽708を用いた場合には、感光体用基体720を、縦横がほぼ等間隔となるように8本を千鳥配列して実施した。
なお、以下に説明する各実施例、比較例において浸漬洗浄される感光体用基体720の外径や各々の洗浄槽内に配列される感光体用基体720の正確な間隔・位置関係については図中に寸法を示した。
【0156】
また、図中に示す寸法から判るように、図9〜13に示す例は、各々の洗浄槽内に浸漬される全ての円筒状基体720が、本発明の円筒状基体浸漬洗浄方法により浸漬洗浄される場合について示したものであり、図17〜20に示す例では、各々の洗浄槽内に浸漬される全ての円筒状基体720のうち、本発明の円筒状基体浸漬洗浄方法により浸漬洗浄されないものが必ず含まれるように浸漬洗浄される場合について示したものである。
なお、図9〜13に示す例は実寸法を除けば、洗浄槽の形状や洗浄槽内に配置される感光体用基体の配列は図5(b)や(c)に示したものとほぼ同様のものである。
【0157】
<実施例B1>
ダイヤモンドバイトを用いた鏡面旋盤により、外径84mm、長さ340mm、厚さ1mmのアルミニウム感光体用基体に鏡面切削加工を行い、表面粗さRa(JIS B0601に限定されている中心線平均粗さ)が0.04ミクロンの平滑面に仕上げた。
【0158】
鏡面切削加工終了後、感光体用基体の脱脂洗浄を図9に洗浄槽700を2つ用いて2段階の脱脂洗浄を以下の手順で行った。
脱脂洗浄に際しては洗浄槽700には、底部に設けられた不図示の洗浄液供給口より界面活性剤をイオン交換水に溶解させた洗浄液を供給し、洗浄液を洗浄槽700の外周上端部からオーバーフローさせた。その際、2つの洗浄槽700中の上方向への平均流速が5mm/sとなるように洗浄液の流量を設定した。
【0159】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤(ライオン(株)製LH−600F)を用い、洗浄液中の界面活性剤の濃度は、1回目の脱脂洗浄を行う洗浄槽700では10〜20質量%とし、2回目の脱脂洗浄を行う洗浄槽700では1〜2質量%とした。また、洗浄液に用いたイオン交換水としては、電気伝導度が0.1μS/cm以下のものを使用した。
更に、2回の脱脂洗浄に際しては、洗浄槽700内に予め設けた不図示の超音波発振機により洗浄液を介して40kHzの超音波を感光体用基体720に印加した。感光体用基体720は洗浄槽700の2つの長辺の中間に等間隔で直列に配置した状態で洗浄槽700に浸漬させ、一つの洗浄槽700につき1分間の洗浄を行い、その後、一括して洗浄槽700から引き上げた。洗浄槽700に感光体用基体720を浸漬している間、感光体用基体720をストローク50mm、周波数0.5Hzで揺動させた。
【0160】
こうして感光体用基体720の脱脂洗浄を行った後、すすぎ洗浄を行った。すすぎ洗浄は、洗浄液としてイオン交換水のみを用いた以外は脱脂洗浄と全く同様にして行った。
濯ぎ洗浄を行った後は、感光体用基体720を、水切り用に準備した洗浄槽700を用いて35℃に保持した温純水中に30秒間浸漬した後、5mm/sの速さで引き上げ水切りした。
最後に、水切り後の感光体用基体を乾燥室で135度の熱風乾燥を90秒行った。
【0161】
<実施例B2>
脱脂洗浄、すすぎ洗浄及び水切りに用いた洗浄槽として図10に示す洗浄槽701を用いた以外は実施例B1と同様にして感光体用基体720の浸漬洗浄を行い、熱風乾燥させた。
【0162】
<実施例B3>
ダイヤモンドバイトを用いた鏡面旋盤により、外径30mm、長さ334mm、厚さ0.8mmのアルミニウム感光体用基体に鏡面切削加工を行い、表面粗さRa(JIS B0601に限定されている中心線平均粗さ)が0.04ミクロンの平滑面に仕上げた。
【0163】
鏡面切削加工終了後、感光体用基体の脱脂洗浄を図11に洗浄槽702を2つ用いて2段階の脱脂洗浄を以下の手順で行った。
脱脂洗浄に際しては洗浄槽702には、底部に設けられた不図示の洗浄液供給口より界面活性剤をイオン交換水に溶解させた洗浄液を供給し、洗浄液を洗浄槽702の外周上端部からオーバーフローさせた。その際、2つの洗浄槽702中の上方向への平均流速が7.5mm/sとなるように洗浄液の流量を設定した。この際、その他の洗浄条件は実施例B1と全く同様にして行った。
こうして感光体用基体の脱脂洗浄を行った後、すすぎ洗浄を行った。すすぎ洗浄は、洗浄液としてイオン交換水のみを用いた以外は脱脂洗浄と全く同様にして行った。
【0164】
濯ぎ洗浄を行った後は、感光体用基体720を、水切り用に準備した洗浄槽702を用いて35℃に保持した温純水中に20秒間浸漬した後、5mm/sの速さで引き上げ水切りした。
最後に、水切り後の感光体用基体を乾燥室で135度の熱風乾燥を90秒行った。
【0165】
<実施例B4>
脱脂洗浄、すすぎ洗浄及び水切りに際して洗浄槽702内の洗浄液の上方向への平均流速を10mm/sとなるように流量を設定した以外は実施例B3と全く同様にして感光体用基体720の浸漬洗浄を行い、熱風乾燥させた。
【0166】
<実施例B5>
ダイヤモンドバイトを用いた鏡面旋盤により、外径60mm、長さ340mm、厚さ0.8mmのアルミニウム感光体用基体に鏡面切削加工を行い、表面粗さRa(JIS B0601に限定されている中心線平均粗さ)が0.04ミクロンの平滑面に仕上げた。
【0167】
鏡面切削加工終了後、感光体用基体の脱脂洗浄を図12に洗浄槽703を2つ用いて2段階の脱脂洗浄を以下の手順で行った。
脱脂洗浄に際しては洗浄槽703には、底部に設けられた不図示の洗浄液供給口より界面活性剤をイオン交換水に溶解させた洗浄液を供給し、洗浄液を洗浄槽703の外周上端部からオーバーフローさせた。その際、2つの洗浄槽703中の上方向への平均流速が7.5mm/sとなるように洗浄液の流量を設定した。
この際、その他の洗浄条件は実施例B1と全く同様にして行った。
こうして感光体用基体の脱脂洗浄を行った後、すすぎ洗浄を行った。すすぎ洗浄は、洗浄液としてイオン交換水のみを用いた以外は脱脂洗浄と全く同様にして行った。
【0168】
濯ぎ洗浄を行った後は、感光体用基体720を、水切り用に準備した洗浄槽703を用いて35℃に保持した温純水中に30秒間浸漬した後、5mm/sの速さで引き上げ水切りした。
最後に、水切り後の感光体用基体を乾燥室で135度の熱風乾燥を90秒行った。
【0169】
<実施例B6>
脱脂洗浄、すすぎ洗浄及び温純水水切りに際して図13に示した洗浄槽704を用い、浸漬洗浄時の洗浄槽704内の洗浄液の上方向への平均流速を5.0mm/sとなるように流量を設定したこと以外は実施例B5と同様にして感光体用基体720の浸漬洗浄を行い、熱風乾燥させた。
【0170】
<比較例B1>
洗浄には実施例B1で用いた鏡面切削後の感光体用基体を準備した。次に、感光体用基体の脱脂洗浄を図17に示す洗浄槽705を2つ用いて2段階の脱脂洗浄を以下の手順で行った。
脱脂洗浄に際しては洗浄槽705内の洗浄液の上方向への平均流速を2mm/sとし、その他の洗浄条件は実施例B1と同様に行った。
その後、すすぎ洗浄は洗浄液としてイオン交換水のみを用いた以外は脱脂洗浄と全く同様にして行った。
【0171】
すすぎ洗浄を行った後は、感光体用基体720を、水切り用に準備した洗浄槽705を用いて35℃に保持した温純水中に30秒間浸漬した後、5mm/sの速さで引き上げ水切りした。
最後に、水切り後の感光体用基体を乾燥室で135度の熱風乾燥を90秒行った。
【0172】
<比較例B2>
脱脂洗浄、すすぎ洗浄及び温純水水切りに際して、図18に示す洗浄槽706た以外は比較例B1と全く同様にして感光体用基体720を浸漬洗浄し、熱風乾燥させた。
【0173】
<比較例B3>
洗浄には実施例B3で用いた鏡面切削後の感光体用基体を準備した。次に、感光体用基体の脱脂洗浄を図19に示す洗浄槽707を2つ用いて2段階の脱脂洗浄を以下の手順で行った。
脱脂洗浄に際しては洗浄槽707内の洗浄液の上方向への平均流速を3.5mm/sとし、その他の洗浄条件は比較例B1と同様に行った。
その後、すすぎ洗浄は洗浄液としてイオン交換水のみを用いた以外は脱脂洗浄と全く同様にして行った。
【0174】
すすぎ洗浄を行った後は、感光体用基体720を、水切り用に準備した洗浄槽707を用いて35℃に保持した温純水中に20秒間浸漬した後、5mm/sの速さで引き上げ水切りした。
最後に、水切り後の感光体用基体を乾燥室で135度の熱風乾燥を90秒行った。
【0175】
<比較例B4>
洗浄には実施例B5で用いた鏡面切削後の感光体用基体を準備した。次に、感光体用基体の脱脂洗浄を図20に示す洗浄槽708を2つ用いて2段階の脱脂洗浄を以下の手順で行った。
脱脂洗浄に際しては洗浄槽708内の洗浄液の上方向への平均流速を2.0mm/sとし、その他の洗浄条件は比較例B1と同様に行った。
その後、すすぎ洗浄は洗浄液としてイオン交換水のみを用いた以外は脱脂洗浄と全く同様にして行った。
【0176】
すすぎ洗浄を行った後は、感光体用基体720を、水切り用に準備した洗浄槽709を用いて35℃に保持した温純水中に30秒間浸漬した後、5mm/sの速さで引き上げ水切りした。
最後に、水切り後の感光体用基体を乾燥室で135度の熱風乾燥を90秒行った。
【0177】
−洗浄済み感光体用基体の評価−
実施例B1〜B6及び比較例B1〜B6において得られた感光体用基体各々について、CCDカメラと顕微鏡とからなる表面欠陥評価装置(富士ゼロックス((株)製)を用いて感光体用基体表面に存在する直径が20μm以上の異物の有無を確認し、20μm以上の異物が認められた感光体用基体の割合(欠陥発生率)を算出した。
なお、測定に際しては、CCDカメラにより感光体用基体表面全体をスキャンし、電気的信号に異常が認められた箇所を倍率500倍の顕微鏡にて異物付着を確認し、1本当りの個数を求めた。
この際、1本当りの異物数が2個以上である感光体用基体を欠陥品とし、これ未満を合格品として判定した。また、欠陥発生率は、感光体用基体のサンプリング数を各実施例および比較例当り96本として、96本中の欠陥品の発生割合から求めた。結果を以下の表2に示す。
【0178】
【表2】
Figure 2004275838
【0179】
表2から判るように、実施例B1〜B6は、それぞれ比較例B1〜B4と比較して感光体用基体の清浄度が格段に向上していることがわかる。
また、実施例B1〜B6で得られた感光体用基体に感光層を形成して電子写真プロセスに供される電子写真感光体として用いたとき、比較例B1〜B4と比較して、殆どの感光体用基体から作製した感光体において品質上合格レベルの画像上に白抜け、黒点、画像濃度むら等の発生がない良好な画質を得ることができた。
すなわち、比較例B1〜B4と比較して、実施例B1およびB6では感光体用基体から感光体を作製する際の歩留まりが向上し、感光体を製造する際のコストを非常に安くすることができた。
【0180】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、感光体用基体等の円筒状基体を浸漬洗浄した際に、生産性を確保しつつ残留異物をより低減することができる円筒状基体洗浄方法および円筒状基体浸漬洗浄装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の円筒状基体洗浄方法の一例を説明するための模式図である。
【図2】本発明の円筒状基体洗浄方法の一例を説明するための模式図である。
【図3】本発明の円筒状基体洗浄方法の他の例を説明するための模式図である。
【図4】本発明の円筒状基体浸漬洗浄装置の一例を示す上面図である。
【図5】本発明の円筒状基体浸漬洗浄装置の他の例を示す上面図である。
【図6】感光体用基体表面の粗面化処理に用いる表面粗面化装置の概略構成図である。
【図7】実施例A1(および実施例A2)で用いた浸漬洗浄装置の上面図である。
【図8】実施例B1〜B6および比較例B1〜B4における感光体用基体の洗浄・乾燥工程の流れを説明するフローチャートである。
【図9】実施例B1で用いた浸漬洗浄装置の洗浄槽部分の上面図である。
【図10】実施例B2で用いた浸漬洗浄装置の洗浄槽部分の上面図である。
【図11】実施例B3およびB4で用いた浸漬洗浄装置の洗浄槽部分の上面図である。
【図12】実施例B5で用いた浸漬洗浄装置の洗浄槽部分の上面図である。
【図13】実施例B6で用いた浸漬洗浄装置の洗浄槽部分の上面図である。
【図14】従来の円筒状基体洗浄方法の一例を説明するための模式図である。
【図15】従来の円筒状基体洗浄方法の他の例を説明するための模式図である。
【図16】比較例A1(および比較例A2)で用いた浸漬洗浄装置の上面図である。
【図17】比較例B1で用いた浸漬洗浄装置の洗浄槽部分の上面図である。
【図18】比較例B2で用いた浸漬洗浄装置の洗浄槽部分の上面図である。
【図19】比較例B3で用いた浸漬洗浄装置の洗浄槽部分の上面図である。
【図20】比較例B4で用いた浸漬洗浄装置の洗浄槽部分の上面図である。
【符号の説明】
1 洗浄液
2 洗浄槽(浸漬槽)
3 感光体用基体内面オーバーフロー排出口
4 外周オーバーフローパン
5 オーバーフロー戻り配管
6 洗浄液供給配管
7 オーバーフロー戻り配管
8 感光体用基体(円筒状基体)
9 補助タンク
10 送液ポンプ
11 フィルタ
12 オーバーフロー外周排出口
20 洗浄槽
30 洗浄槽
21、22、23、24 洗浄槽外周上端部(洗浄液排出端)
31、32 洗浄槽外周上端部(洗浄液排出端)
33、34 洗浄槽外周上端部(洗浄液排出端として機能しない部分)
40、41、43 感光体用基体(円筒状基体)
50 洗浄液排出端21〜24近傍の領域
51 領域50と比較して相対的に洗浄液排出端21〜24よりも離れた領域
52 洗浄液排出端31近傍の領域
53 洗浄液排出端32近傍の領域
60 洗浄エリア
61 基準線
62 中心軸が基準線に重なるように設けられた円筒状基体
63 中心軸が基準線に重なるように設けられた円筒状基体
64 第1の洗浄液排出部
65 第2の洗浄液排出部
66,67 第2の洗浄液排出部65に部分的に連続して設けられた洗浄液排出端
68 第2の洗浄液排出部65の洗浄液排出端として機能しない部分(遮蔽部)69 第1の洗浄液排出部64と第2の洗浄液排出部65との間に位置する洗浄液
100 洗浄槽
101 洗浄槽
102 鍔
103 洗浄槽
104 仕切り板
105 洗浄槽
106 仕切り板
107 洗浄槽
108U 仕切り板
108B 仕切り板
110 洗浄液供給口
111 洗浄液供給口
112 洗浄液供給口
200 洗浄液
201 液面
300 円筒状基体
400、401、402、403 洗浄槽
410、411、412 基準線
413 第1の基準線
414 第2の基準線
420 第1の洗浄液排出部
421 第2の洗浄液排出部
422 第1の洗浄液排出部
423 第2の洗浄液排出部
424 第1の洗浄液排出部
425 第2の洗浄液排出部
426 洗浄液排出部A(第1の基準線413に対して設けられた第1の洗浄液排出部)
427 洗浄液排出部B(第1の基準線413および第2の基準線414に対して設けられた第2の洗浄液排出部)
428 洗浄液排出部C(第2の基準線414に対して設けられた第1の洗浄液排出部)
440 第1の洗浄エリア
441 第2の洗浄エリア
500 表面粗面化装置
501 研磨液
502 パイプ
503 送液ポンプ
504 ノズル
505 基体保持回転軸
506 筐体506
507 感光体用基体
600、601 浸漬洗浄装置
610 洗浄槽
611 外周オーバーフローパン
612 オーバーフロー外周排出口
613 基体内面オーバーフロー戻り配管
701〜710 洗浄槽
720 感光体用基体

Claims (11)

  1. 洗浄液供給口と洗浄液排出端とを少なくとも備えた洗浄槽に、洗浄液を前記洗浄液供給口から供給して満たし、前記洗浄液供給口から供給された洗浄液を少なくとも略鉛直方向に移動させた後に前記洗浄液排出端から排出させながら、円筒状基体を該円筒状基体の略軸方向に浸漬することにより洗浄する円筒状基体洗浄方法において、
    前記洗浄槽内に浸漬された円筒状基体の円筒面上の、少なくとも前記円筒状基体の中心軸に対して等距離且つ略反対な位置関係にある第1の領域および第2の領域に近接する位置に、前記洗浄液排出端が設けられたことを特徴とする円筒状基体洗浄方法。
  2. 前記第1の領域および前記第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端が、少なくとも前記円筒状基体の内周側に設けられ、且つ、下式(1)および(2)を満たすことを特徴とする請求項1に記載の円筒状基体洗浄方法。
    ・式(1) 0.2Rin≦Xin(1)≦0.85Rin
    ・式(2) 0.2Rin≦Xin(2)≦0.85Rin
    〔但し、式(1)および(2)において、Xin(1)は、前記円筒状基体の内周面(第1の領域)から、前記第1の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、Xin(2)は、前記円筒状基体の内周面(第2の領域)から、前記第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、Rinは、前記円筒状基体の中心軸から内周面までの半径(mm)を表す。〕
  3. 前記円筒状基体の内周側に設けられた洗浄液排出端が、前記円筒状基体の中心軸と同軸方向に設けられた円筒パイプの端部であることを特徴とする請求項2に記載の円筒状基体洗浄方法。
  4. 前記第1の領域および前記第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端が、少なくとも前記円筒状基体の外周側に設けられ、且つ、下式(3)および(4)を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の円筒状基体洗浄方法。
    ・式(3) 0.15h(1)≦Xout(1)≦0.85h(1)
    ・式(4) 0.15h(2)≦Xout(2)≦0.85h(2)
    〔但し、式(3)および(4)中、Xout(1)は、前記円筒状基体の外周面(第1の領域)から、前記第1の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、Xout(2)は、前記円筒状基体の外周面(第2の領域)から、前記第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、h(1)は、前記円筒状基体の中心軸から、前記第1の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、h(2)は、前記円筒状基体の中心軸から、前記第2の領域に近接する位置に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)を表す。〕
  5. 少なくとも2本以上の円筒状基体を、前記洗浄槽に同時に浸漬することにより洗浄する請求項4に記載の円筒状基体洗浄方法であって、
    前記2本以上の円筒状基体全てが、前記式(3)および前記式(4)を満たすことを特徴とする円筒状基体洗浄方法。
  6. 前記2本以上の円筒状基体全てが、前記洗浄槽に浸漬された際に直列に配列されることを特徴とする請求項5に記載の円筒状基体洗浄方法。
  7. 前記洗浄槽内の洗浄液が、少なくとも前記円筒面近傍に沿って鉛直方向に移動し、前記円筒面近傍に沿って鉛直方向に移動する洗浄液の平均流速が、5mm/s以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の円筒状基体洗浄方法。
  8. 前記円筒状基体が、電子写真用の感光体用基体であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の円筒状基体洗浄方法。
  9. 洗浄液供給口と洗浄液排出端とを少なくとも備えた洗浄槽を含み、洗浄液を前記洗浄液供給口から供給して満たし、前記洗浄液供給口から供給された洗浄液を少なくとも略鉛直方向に移動させた後に前記洗浄液排出端から排出させながら、円筒状基体を該円筒状基体の略軸方向に浸漬することにより洗浄する機能を少なくとも備えた円筒状基体浸漬洗浄装置において、
    請求項1〜8のいずれか1つに記載の円筒状基体洗浄方法により前記円筒状基体を浸漬洗浄することが可能なことを特徴とする円筒状基体浸漬洗浄装置。
  10. 前記洗浄槽が、その底部に洗浄液排出・回収手段を有し、前記洗浄槽内に、一端が前記洗浄液を前記洗浄槽に満たした際の最高液面位置と同等あるいは下側に位置し、もう一端が前記洗浄液排出・回収手段に接続されるように鉛直方向に設けた円筒パイプを、少なくとも1本以上設けた請求項9に記載の円筒状基体浸漬洗浄装置であって、
    前記円筒パイプの外径が、前記円筒状基体の内径よりも小さいことを特徴とする円筒状基体浸漬洗浄装置。
  11. 1本の基準線上に、同一の外径を有する2本以上の円筒状基体を一列に離間して配置した状態で同時に浸漬することにより浸漬洗浄を行うことが可能な洗浄エリアを少なくとも1つ以上含む洗浄槽を用いた請求項9または10に記載の円筒状基体浸漬洗浄装置であって、
    前記基準線の両側に、第1の洗浄液排出部および第2の洗浄液排出部が少なくとも設けられ、前記第1の洗浄液排出部および前記第2の洗浄液排出部が、線状に連続的あるいは非連続的に配置された洗浄液排出端を含み、各円筒状基体と前記第1または第2の洗浄液排出部とが、下式(5)〜(7)を満たすことを特徴とする円筒状基体浸漬洗浄装置。
    ・式(5) 0.15≦d/H1≦0.85
    ・式(6) 0.15≦d/H2≦0.85
    ・式(7) 120≦θ≦180
    〔但し、式(5)〜(7)において、dは、前記各円筒状基体の中心軸から外周面までの距離(mm)、H1は前記各円筒状基体の中心軸から前記第1の洗浄液排出部上に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、H2は前記各円筒状基体の中心軸から前記第2の洗浄液排出部上に設けられた洗浄液排出端までの最短距離(mm)、θは各円筒状基体における円筒状基体の中心軸から最短距離H1に位置する前記洗浄液排出端に向かう第1の仮想線と、前記円筒状基体の中心軸から最短距離H2に位置する前記洗浄液排出端に向かう第2の仮想線との成す角度(deg)を表す。〕
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JP2007050401A (ja) * 2005-07-20 2007-03-01 Ai System Product:Kk 金属製素材の製造方法

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