JP2004275452A - 温度転移性の治療剤を用いたバイオサージェリーシステム、温度制御型カテーテルおよび治療方法 - Google Patents

温度転移性の治療剤を用いたバイオサージェリーシステム、温度制御型カテーテルおよび治療方法 Download PDF

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Abstract

【課題】昇温時ゲル化型ハイドロゲルを利用して、切開をできるだけ少なくすることができる、血管閉塞や欠損部再生などに用いることができるバイオサージェリーシステムを提供する。
【解決手段】体温より低い温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を体内に搬送するためのシステム10であって、前記治療剤を体内の奥深くまで注入するためのカテーテル11と、そのカテーテル内の治療剤を前記体温より離れた温度に維持するように冷却するための冷却装置13とからなるシステム10。カテーテル11は、治療剤容器12と連通する注入ルーメン21と、冷却装置13から熱媒体を供給する往路ルーメン23と、熱媒体を戻す復路ルーメン24とを備えている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は温度転移性の治療剤を用いたバイオサージェリーシステム、温度制御型カテーテルおよび治療方法に関する。さらに詳しくは、体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を血管や内臓の患部に搬送し、治療するためのバイオサージェリーシステムおよびそれに用いる温度制御型カテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特表2000−504594号公報
【特許文献2】特許第3190332号公報
【特許文献3】特表平10−511873号公報
【特許文献4】特開平10−324633号公報
【0003】
癌組織に酸素や栄養分を送る動脈を閉塞させて癌を壊死させる治療法が行われている。また、血管の閉塞部位にバイパスを形成する手術も行われている。そのような手術では、カテーテルを血管に通して塞栓部材(ステント)を留置する機械的閉塞、あるいは血管内に注入した液を化学反応により硬化させる化学的閉塞(たとえば二液硬化型薬剤)などにより行っている。また、動脈瘤や静脈瘤に対してコイルを挿入して塞栓し、瘤破裂を防止する手術もカテーテルを介して外部から手術している。
【0004】
特許文献1では、血管内の特定部位で管腔内閉鎖を形成するために、エネルギーの導入と補助塞栓器との組み合わせにより構成される血管内の流れを遮断する方法および装置が開示されている。また、補助塞栓器として、形状記憶合金製ワイヤとメンブレンとを組み合わせたものなどが開示されている。
【0005】
特許文献2には、カテーテル挿入中に患者の血管に生成される通路の障害を超えて流体を灌流することができる灌流カテーテルが開示されている。このものは通路を複数本有するいわゆるマルチルーメンのカテーテルであり、そららのルーメンを通して血液を灌流させることができる。特許文献3にも同様なマルチルーメンタイプのカテーテルが開示されている。
【0006】
特許文献4には、止血剤あるいは血管閉塞剤として用いられる、硫酸化脂質、とくに硫酸化糖脂質又はコレステロール硫酸を用いる局所血液凝固促進剤が開示されている。
【0007】
他方、組織培養などに用いられているハイドロゲルなどでは、低温ではゾル状態で、体温(36℃〜37℃)でゲルに変化して3次元マトリックスを形成する温度転移性のもの(昇温時硬化型熱可逆ハイドロゲルなど)がある。このものは冷却してゾル状態で保存しておき、使用時に種々の細胞接着因子あるいは治療に有効な薬効成分を混入してゲル化させ、組織培養に用いられる。このようなハイドロゲルとして、温度感応性高分子(ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド誘導体)と親水性高分子(ポリエチレングリコール誘導体)の共重合体からなるものがある(メビオール株式会社製の「メビオール ジェル(登録商標)」)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の形状記憶合金製ワイヤとメンブレンを組み合わせた閉塞部材は特定の用途にすぐれているが、徐放性の薬剤を担持させたり、欠損組織に組織再生補助剤を充填したりする手術には適用が困難である。本発明は、前記温度転移性の治療剤と特許文献2、3のマルチルーメンタイプのカテーテルを利用して、種々の用途に用いることができるバイオサージェリーシステムおよびそのシステムに好適に用いられる温度制御型カテーテルを提供することを技術課題としている。さらに本発明は前記バイオサージェリーシステムを利用した治療法を提供することを技術課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のバイオサージェリーシステム(請求項1)は、体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を体内に搬送するためのバイオサージェリーシステムであって、前記治療剤を体内の奥深くまで注入するための注入カテーテルと、その注入カテーテル内の治療剤を前記体温より離れた温度に維持するように冷熱または温熱を供給する熱供給手段とを備えていることを特徴としている。なお、ここでいう治療剤は、化学成分を含む医薬に限らず、生物的あるいは物理的な働きで治療効果があるものも含む概念である。
【0010】
前記熱供給手段は、加熱または冷却するための熱源と、前記熱源とカテーテル内の治療剤との間で熱交換する熱交換手段を備えているものが好ましい(請求項2)。前記熱交換手段は、熱源で加熱または冷却熱された熱媒体を送り出すためのポンプと、そのポンプに連結される熱媒体を環流させる環流カテーテルとからなり、その環流カテーテルが、熱媒体を体内側に送り出す往路ルーメンと、体内側から熱媒体操作装置側に戻す復路ルーメンとを有し、前記往路ルーメンが前記注入カテーテルと長さ方向に渡って接しているものが好ましい(請求項3)。
【0011】
さらに前記注入カテーテルは、前記環流カテーテルのルーメンとなるように一体化され、全体として温度制御型カテーテルを構成しているものが好ましい(請求項4)。その場合の温度制御型カテーテルは、前記治療剤注入ルーメンを中心とし、その治療剤注入ルーメンの周囲を前記往路ルーメンが取り囲み、その往路ルーメンの周囲を前記復路ルーメンが取り囲んでいるものが好ましい(請求項5)。
【0012】
また前記熱交換手段は、熱伝導材を前記体温から離れた温度に加熱または冷却するための加熱・冷却装置と、その加熱・装置に連結されると共に、前記注入カテーテルと長さ方向に渡って接している熱伝導材とから構成することもできる(請求項6)。
【0013】
本発明の温度制御型カテーテル(請求項7)は、体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を注入する注入ルーメンと、その注入ルーメンの周囲を取り囲む往路ルーメンと、その往路ルーメンの周囲を取り囲む復路ルーメンとからなることを特徴としている。
【0014】
本発明の温度制御型カテーテルの第2の態様(請求項8)は、体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を注入するための注入カテーテルと、その注入カテーテルと熱伝導可能に設けられる熱伝導材とからなることを特徴としている。本発明の温度制御型カテーテルの第3の態様(請求項9)は、体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を注入するための注入カテーテルと、その注入カテーテルを加熱するための電熱ヒータとからなることを特徴としている。本発明の温度制御型カテーテルの第4の態様(請求項10)は、体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を注入するための注入カテーテルと、その注入カテーテルを冷却するための電気式冷却器とからなることを特徴としている。
【0015】
前記いずれの温度制御型カテーテルにおいても、先端近辺に、治療剤をホールドして容積が膨らむコイルが遠隔操作で着脱自在に設けることができる(請求項11)。その場合は先端に位置センサを設けるのが好ましい(請求項12)。なおここにいうコイルとは、ワイヤを螺旋状にしたものに限るものではなく、ワイヤをジグザグ形状など、医療において用いられる所定の形状に成型したものを含む概念である。
【0016】
本発明の組織欠損部の治療方法(請求項13)は、温度制御型カテーテルの先端を組織欠損部に到達させ、体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤に細胞増殖剤ないし組織再生剤を含有させた液を組織欠損部に注入し、体温で固化させ、長期に渡って細胞増殖剤ないし組織再生剤を徐放させることを特徴としている。
【0017】
本発明の管状臓器の治療方法(請求項14)は、体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を含浸しているコイルを温度制御型カテーテルの先端に保持させ、カテーテルの先端を管状臓器の治療部位に到達させ、前記コイルを外して治療部位に留置することを特徴としている。
【0018】
【作用および発明の効果】
本発明のバイオサージェリーシステム(請求項1)では、体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を、熱供給手段によって加熱または冷却しながら体内に導入することができる。そのため、体温から離れた温度に温度制御して液状を維持したまま体内の奥まで搬送できる。その後は体温で治療剤が固化する。したがって大きく切開する手術をしなくても、固形状の治療剤を体内に留置することができる。また、手術の途中で治療剤の量を調節することも可能である。
【0019】
前記熱供給手段が、体外に設置される熱源と、前記熱源とカテーテル内の治療剤との間で熱交換する熱交換手段とを備えている場合(請求項2)は、カテーテルには熱交換手段の一部を設けるだけでよいので、比較的細く、柔軟にすることができ、使い勝手がよい。
【0020】
また熱交換手段が、熱媒体を前記体温から離れた温度に加熱または冷却すると共に、熱媒体を送り出し、かつ、受け入れるためのポンプと、そのポンプに連結される熱媒体を環流させる環流カテーテルとからなり、その環流カテーテルが、熱媒体を体内側に送り出す往路ルーメンと、体内側から熱媒体操作装置側に戻す復路ルーメンとを有し、前記往路ルーメンが前記注入カテーテルと長さ方向に渡って接している場合(請求項2)は、往路ルーメン内を流れる熱媒体と注入カテーテル内を流れる治療剤との間で熱交換が行われる。そして往路ルーメンには熱媒体は熱源で加熱または冷却された熱媒体が供給されるので、注入カテーテル内の治療剤は充分に必要な温度が維持される。熱交換が終わった熱媒体は復路ルーメンで体外に戻される。戻った熱媒体は、再び熱源で加熱または冷却することができる。ただし使い捨てにすることもできる。
【0021】
前記注入カテーテルが、前記環流カテーテルのルーメンとなるように一体化され、全体として温度制御型カテーテルを構成している場合(請求項4)は、カテーテルの取り扱いが容易であり、温度制御もしやすい。前記治療剤注入ルーメンを中心とし、その治療剤注入ルーメンの周囲を前記往路ルーメンが取り囲み、その往路ルーメンの周囲を前記復路ルーメンが取り囲んでいる場合(請求項5)は、周囲から伝わる熱がもっとも外側の復路ルーメン内の熱媒体に伝達され、その熱媒体は体外に出ていく。そのため、往路内の熱媒体の温度が変化しにくい。それにより注入カテーテル内の治療剤も適切な温度が維持される。
【0022】
前記熱交換手段が、熱伝導材を前記体温から離れた温度に加熱または冷却するための加熱・冷却装置と、その加熱・装置に連結されると共に、前記注入カテーテルと長さ方向に渡って接している熱伝導材とを備えている場合(請求項6)は、熱伝導材と注入カテーテル内を流れる治療剤との間で熱交換が行われる。そして熱伝導材には熱源で加熱または冷却されるので、注入カテーテル内の治療剤は必要な温度が充分維持される。
【0023】
本発明の温度制御型カテーテル(請求項7)は、熱媒体を体外の熱源で所定の温度に加熱あるいは冷却して使用する。そしてカテーテルに周囲から伝わる熱は、もっとも外側の復路ルーメン内の熱媒体に伝達され、その熱媒体は体外に出ていく。そのため、往路内の熱媒体の温度が変化しにくい。それにより注入カテーテル内の治療剤も適切な温度が維持される。
【0024】
本発明の温度制御型カテーテルの第2の態様(請求項8)は、熱伝導材を外部の熱源で加熱または冷却して使用する。そして熱伝導材の熱はカテーテル内で注入カテーテルに伝わり、治療剤が加熱され、あるいは冷却される。したがって注入カテーテルの内部の治療剤は、元の温度を維持したまま体内に導入することができる。熱伝導材の周囲に断熱材を設ける場合は、外側の断熱材で周囲の熱が伝わってくるのを防止するので、一層治療剤の温度を維持することができる。
【0025】
本発明の温度制御型カテーテルの第3の態様(請求項9)は、電熱ヒータにより注入カテーテルを加熱することができる。そのため、温度調節が比較的容易であり、使い勝手がよい。本発明の温度制御型カテーテルの第4の態様(請求項10)は、電気式冷却器により注入カテーテルを冷却することができる。そのため、温度調節が比較的容易であり、冷却装置とつながるチューブがないので、使い勝手がよい。
【0026】
前記温度制御型カテーテルの先端近辺に、治療剤をホールドして容積が膨らむコイルが遠隔操作で着脱自在に設けられている場合(請求項11)は、そのコイルが目的とする治療部位まで挿入する間、コイルが保持する治療剤を体温から離れた温度に維持することができる。そして所定の部位でコイルを遠隔操作で外し、留置させると、体温で治療剤が固化し、その部位にコイルと治療剤の複合固形物が留置される。そのため、治療剤のみを固化させる場合よりも強固な固形物を治療部位に留置させることができる。
【0027】
前記コイルを備えた温度制御型カテーテルの先端に位置センサを設ける場合(請求項12)は、その位置センサによってコイルの位置を正確に検出しながらコイルを留置させることができる。そのため正確な位置にコイルおよび治療剤の複合固形物を留置させることができる。
【0028】
本発明の組織欠損部の治療方法(請求項13)は、細胞増殖剤ないし組織再生剤を含有する液体をカテーテルを用いて体内に導入することができ、その後は体温で固形化させることができる。したがって比較的大きい固形物を組織欠損部に充填することができ、長期間に渡って含有する薬剤を徐放させ、組織の再生を促すことができる。
【0029】
本発明の管状臓器の治療方法(請求項14)は、血管などの管状臓器内にカテーテルを用いてコイルを治療剤と共に導入することができる。導入後は治療剤が体温で固形化し、コイルと共に管状臓器を塞栓する。したがって癌や腫瘍の組織の動脈を塞いで癌組織を壊死に至らしめることができる。また、動脈瘤や静脈瘤にコイルと治療剤とを留置して、瘤が破裂することを防止することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
つぎに図面を参照しながら本発明のバイオサージェリーシステム(以下、単にシステムという)、温度制御型カテーテル(以下、単にカテーテルという)および治療方法を説明する。図1は本発明のシステムの一実施形態を示す概念図、図2aは本発明のカテーテルの一実施形態を示す縦断面図、図2bは図2aのII−II線断面図、図3は本発明のカテーテルの他の実施形態を示す横断面図、図4〜7はそれぞれ本発明のカテーテルのさらに他の実施形態を示す縦断面図、図8および図9はそれぞれ本発明の治療方法の実施形態を示す概略説明図である。
【0031】
図1に示すシステム10は、カテーテル11と、そのカテーテルに供給する治療剤を収容している治療剤容器12と、カテーテル11に熱媒体(ここでは冷媒)を供給するための冷却装置13とを備えている。治療剤容器12とカテーテル11との間には可撓性を有するチューブ14が介在されている。必要であれば、治療剤容器12には治療剤を送出するポンプ15を設ける。
【0032】
前記冷却装置13は、熱媒体を環流するための第1コイル16と、その第1コイルと熱交換する第2コイル17が設けられ、さらに第1コイル16から出ていく熱媒体を圧送するためのポンプ18を備えている。
【0033】
前記カテーテル11は、図2aおよび図2bに詳細に示すように、中央に配置される注入ルーメン(治療剤注入カテーテル)21と、その周囲を同心状に囲む熱媒体環流ルーメン(環流カテーテル)22とから構成されるマルチルーメンタイプのカテーテルである。そして熱媒体環流ルーメン22は、注入ルーメン21のすぐ外側を取り囲む往路ルーメン23と、その外側を取り囲む復路ルーメン24とからなる。図2aに示すように、注入ルーメン21の基端側(図2aの左側)21aは、熱媒体環流ルーメン22を構成する壁を貫通して外部に導かれ、前述のチューブ14を介して治療剤容器12に接続されている(図1参照)。治療剤供給ルーメン21の先端側21bは、図2aに示すように開口している。
【0034】
往路ルーメン23の基端側23aは復路ルーメン24の基端側24aの壁を貫通して外部に導かれ、図1のように往路チューブ25を介して冷却装置13のポンプ18に連結されている。復路ルーメン24の基端側24aは1本のチューブにまとめられ、図1のように復路チューブ26を介して冷却装置13の第1コイル16の入り口側に連結されている。そして往路ルーメン23の先端側23bと復路ルーメン24の先端側24bとは、連通部27によって連通している。それにより熱媒体環流ルーメン22、往路チューブ25、復路チューブ26および第1コイル16は、閉ループ構造となっている。ただし水などの熱媒体を用いる場合は、閉ループにせず、水道から供給し、使用後は排水することにより、開ループとすることもできる。
【0035】
なお、図2aでは往路ルーメン23と復路ルーメン24を連通する連通部27は、両者を仕切る仕切り壁(往路ルーメン23の外周を区画する壁)28を外側の壁(復路ルーメン25の外周を区画する壁)29よりも短くすることにより環状に形成しているが、仕切り壁28を外側の壁29の先端内面に接続して、仕切り壁27の1個所または数カ所に窓状に形成してもよい。その場合は往路の熱媒体と復路の熱媒体とが混じりにくくなる。また注入ルーメン21の開口部を先端正面でなく、側面側に設けることもできる。
【0036】
また、前記実施形態ではカテーテル11と冷却装置13とを往路チューブ25と復路チューブ26の2本のチューブで連結しているが、往路チューブ25を中心側とする二重チューブで連結し、冷却装置13内で分離するようにしてもよい。そのほうが往路チューブ25内の熱媒体に外部から熱が伝わりにくい。
【0037】
このようなカテーテル11は、可撓性を有する熱可塑性樹脂からそれぞれの壁を構成するチューブを押し出し成型し、得られたチューブを組み合わせ、熱融着あるいは接着剤などで接合することにより製造することができる。なお、治療剤供給ルーメン21を区画する内側の壁30と前記外側の壁29とを径が異なる部分を有する1本のチューブとして成型し、内側の壁30を外側の壁29の内部に折り込み、それと仕切り壁28を構成するチューブを組み合わせて製造することもできる。
【0038】
上記のように構成されるシステム10は、カテーテル11を患者の静脈などに通し、液状の治療剤を患部に導入するために用いられる。すなわち冷却装置13で冷却した熱媒体はポンプ18によって往路チューブ25に圧送され、カテーテル11の往路ルーメン23の基部側23aに入る。そして往路ルーメン23内を先端側23bまで流れるときに、内側の壁30を介して注入ルーメン21内の治療剤を冷却する。先端に達した熱媒体は連通部27から復路ルーメン24の先端側24bに入り、基部側24aに向かって流れる。そのとき、復路ルーメン24内の熱媒体は患者の体温で暖められるが、外部と往路ルーメン23との断熱層として作用する。そのため、往路ルーメン23内の熱媒体は温度上昇が少ない状態に維持される。
【0039】
一方、治療剤容器12からチューブ14を通ってカテーテル11に導かれる治療剤は、最内部の注入ルーメン21の基部側21aに入り、先端側21bに向かって進行する。そのとき前記往路ルーメン23から冷熱が供給され、冷却されながら進行し、先端部側21bの開口から患部に注入される。したがって治療剤は低温を維持しながら患部に注入されることになる。
【0040】
上記システム10は、低温で患部に供給する必要がある治療剤であればいずれにも使用することができるが、とくに、体温より低い温度で液状で、体温で固化する治療剤の注入に好適に用いられる。そのような治療剤としては、体温より低い温度にゾル−ゲル転移点があるハイドロゲル(昇温時ゲル化型ハイドロゲル)があげられ、とくに前述した、温度感応性高分子(ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド誘導体)と親水性高分子(ポリエチレングリコール誘導体)の共重合体からなる熱可逆ハイドロゲル(メビオール株式会社製の「メビオール ジェル(登録商標)」)などが好ましい。なお、このハイドロゲルは、転移点を5℃〜70℃の範囲で調節できるので、5℃〜37℃の範囲、とくに20℃〜37℃程度に設定したものを用いる。それにより、前記ハイドロゲルあるいはそれに薬効成分を含有させた液体を患部に注入し、カテーテル11から注入したときに体温でゲル化して、その患部に安定して留置することができる。
【0041】
治療剤としては、前記ハイドロゲルのほか、体温より高い温度で液状を呈し、体温で固化するハイドロゲル、たとえば低融点アガロースなどがあげられる。また、前記ハイドロゲルおよびそれに薬効成分を含有させた液体だけでなく、ハイドロゲルと一体化して固形物を形成するもの、たとえば後述するコイル、ステント、バルーンなどと一緒に用いることもできる。
【0042】
つぎに図3〜7を参照して本発明のカテーテルの他の実施形態を説明する。図2のカテーテル11は各ルーメンを同心状に配列しているが、図3のカテーテル32のように並列的に配置してもよい。このカテーテル32では、注入ルーメン21を構成するチューブ33と、往路ルーメン23を構成するチューブ34と、復路ルーメン24を構成するチューブ35とがそれぞれ別個に形成されると共に、並列的に配列されている。そしてそれらの全体を外皮36で一体に保持している。外皮36は断熱性が高いものが好ましい。各チューブは平行に配列してもよく、螺旋状に撚り合わせてもよい。
【0043】
このカテーテル11においても、往路ルーメン23で冷却した熱媒体を流し、先端側で復路ルーメン24に移動させて基端側に戻すこと、および注入ルーメン21で治療剤を流すことは前述の場合と同じである。それにより治療剤を低温に維持しながら患部に注入することができる。
【0044】
なお、注入ルーメン21のチューブ33と往路ルーメン23を構成するチューブ34とは、密接するのが好ましい。また外皮36と各チューブ33、34、35の隙間37は空洞でもよく、断熱性がある充填材を充填するようにしてもよい。さらに復路ルーメン24を構成するチューブ35を省略して、隙間37を復路ルーメンとして利用することもできる。その場合も注入用のチューブ33と往路ルーメン用のチューブ34とを密接させるのが好ましい。
【0045】
図4に示すカテーテル38は、図2a、図2bのカテーテル11の構成に加えて、注入ルーメン21の先端側21bの開口部に保持させたコイル39と、注入ルーメン21内に通した操作用ワイヤ40と、先端に設けた位置センサ41とを備えている。操作用ワイヤ40は、治療剤を充填した後に挿入するようにしてもよい。コイル39は低温で可撓性があり、体温で弾力性を復元する形状記憶合金製のワイヤなどから形成するのが好ましい。ただし弾力性で縮めた状態で注入ルーメン21内に収容することができ、操作用ワイヤ40で注入ルーメン21から出したときに拡がるものであってもよい。なお、符号41aは、カテーテルの先端部に装着した白金または金の造影リングであり、この造影リング41aは位置センサ41と連続してもよく、密着させてもよい。
【0046】
コイル39は螺旋状のほか、ジグザグ状、網目状、鳥かご状、線材を単に集積しただけのものなど、種々の形態にすることができる。本明細書では、この分野で通常使用されている用語に基づき、それらの血管などに挿入する金属ワイヤ加工物をコイルと総称する。前記操作ワイヤ40はコイル39を注入ルーメン21から押し出すことができるものであればよい。したがってカテーテル38を患部まで案内するガイドワイヤを用いることもできる。なお、コイル39と治療剤が混在した固形物を患部から回収できるように、操作用ワイヤ40の先端に引っかけ部などを設けることもできる。
【0047】
前記位置センサ41は、たとえば電波あるいは磁気を発生して、体外からその位置をリアルタイムで検出できるものである。位置センサに代えて放射線造影性を有する白金、金などの金属製のリングを用いてもよく、これらを用いることにより、血管の瘤に対してコイル39と治療剤を容易に充填することができる。
【0048】
このカテーテル38は、動脈瘤や静脈瘤を閉塞するために使用することができる。すなわち位置センサ41を用いてカテーテル38の先端部を動脈瘤や静脈瘤などの患部に正確に合わせ、操作用ワイヤ40でコイル39を患部内に押し出し、注入ルーメン21から治療剤を注入することにより、コイル39と治療剤とを患部に充填する。その後、治療剤が体温によってゲル化すると、コイル39と共に固形物となって動脈瘤あるいは静脈瘤を塞ぐことができ、将来破裂が生ずるのを防ぐことができる。コイル39が前述の形状記憶合金製のものである場合は、往路ルーメン23の壁に接触していることにより冷却され、押し出されたときに体温で元の形状に復帰する。
【0049】
また上記カテーテル38は、心臓動脈あるいは静脈のバイパス手術などで、ステントに代えて、動脈・静脈を閉塞するためなどにも使用することができる。さらに血管のほか、腸管、胆管、膵管、尿管などの管状臓器の閉塞にも使用しうる。
【0050】
図5に示すカテーテル42では、注入ルーメン21を構成するチューブ33と外皮36との間に熱伝導性が高く、可撓性を有する熱伝導部材44を介在させている。カテーテル42内には環流ルーメンを設けていない。そして熱伝導部材44の基端側44aをカテーテル42の外部に引き出し、その部位を冷却するようにしている。外皮36は断熱性が高いものが好ましい。
【0051】
前記熱伝導部材44は、板状ないし線状であってもよいが、注入ルーメン21を囲む管状に形成するのが好ましい。たとえばアルミニウムや銅などの幅が狭い金属板を螺旋状に成形した螺旋管などが用いられる。隣接する金属板同士の間に隙間を形成してもよく、密接して螺旋巻きしてもよい。前者の場合は可撓性が高くなり、後者の場合は熱伝導する熱量が増加する。まっすぐな板材や線材で熱伝導部材を構成する場合は、複数の板材ないし線材で注入ルーメン21を囲むように構成してもよい。
【0052】
このカテーテル42は、カテーテル42の外部に出ている熱伝導部材44の基端側44aを、図2の環流ルーメン22と同様の冷却ジャケット45で囲み、その往路46と復路47を図1の冷却装置13などに連結して用いる。冷却ジャケット45には前述の場合と同様に、熱媒体を環流させ、熱伝導部材44を冷却させる。それにより冷却された熱伝導部材44で、注入ルーメン21内の治療剤を冷却することができる。また、外皮36が断熱性を有する場合は、熱伝導部材44の冷熱を体温から遮断することができる。他の点は前述のカテーテル10、38と同じであり、実質的に同じ作用効果を奏する。なお、冷却ジャケット22を用いずに熱伝導部材44の端部を冷却装置、たとえばペルチェ効果素子の冷却側などで冷却してもよい。さらに場合により、熱伝導部材44の端部を空気中に開放して空気で放熱・冷却してもよい。その場合は熱媒体を環流させるチューブが不要になり、取り扱いが便利である。
【0053】
前記カテーテルはいずれも治療剤を冷却する場合を示しているが、治療剤が体温より高い温度で液体で、その温度より体温に近い温度で個体になる場合は逆に注入ルーメンを加熱する必要がある。体温より高い温度で流動性が高く、その温度より体温に近い温度で流動性が低くなる場合も同様である。前記いずれの実施形態も、図1の冷却装置13に代えて熱媒体あるいは熱伝導部材を加熱する加熱装置を採用することにより、そのような注入ルーメンを加熱するシステムに応用することができる。すなわち加熱装置で熱媒体や熱伝送部材を加熱すると、その熱が注入ルーメン内の治療剤を加熱し、液状あるいは高い流動性を維持する。そして患部に注入されたときに固形状体になる。それにより前述と同様の治療効果を達成することができる。なお、断熱性が高い外皮を用いている場合は、その外皮は熱媒体などの熱が逃げるのを防ぐだけでなく、患者を熱から保護する役割を果たす。
【0054】
図6に示すカテーテル50は、熱媒体や熱伝導部材を用いず、注入ルーメン21を構成するチューブ(注入カテーテル)33の周囲に設けた電熱ヒータ51で注入ルーメン21内の治療剤を直接加熱するものである。注入ルーメン21を治療剤容器(図1の符号12)に接続する点など、他の点は前述の場合と同様である。符号52は電熱ヒータ51の電源端子である。このカテーテル50は熱媒体の環流チューブや加熱装置を別個に設ける必要がなく、熱量の調節も容易で、取り扱いが便利である。
【0055】
図7に示すカテーテル54は図6のカテーテル50における電熱ヒータ51に代えて、ペルチェ効果素子55で注入ルーメン21を構成するチューブ(注入カテーテル)33を加熱あるいは冷却するものである。すなわちペルチェ効果素子の加熱側をチューブ33に接するように配置すると治療剤を加熱することができる。また、冷却側をチューブ33に接するように配置すると治療剤を冷却することができる。このものは加熱装置や冷却装置、およびそれらとカテーテルとを連結するチューブが不要であるので、取り扱いが容易である。さらに冷却用あるいは加熱用の専用のカテーテルとするほか、ペルチェ効果素子を着脱自在とし、その表裏を交換できるように構成し、冷却用と加熱用とを1個のシステムで兼用できるようにすることもできる。
【0056】
図8は上記のシステムを用いて切除手術を行わずに癌組織を壊死させる治療方法を示している。たとえば肝臓癌や大腸癌は、身体の奥の方にあるので、切開おして摘出する手術は困難である。そのため、癌組織57につながる動脈58が少ないなど、周囲の状況が良好であれば、削除するよりも動脈58を閉塞させて癌組織を壊死させる手段を採用することができる。
【0057】
すなわち前述のシステムのカテーテル10を、ガイドワイヤを用いて大腿動脈などから挿入し、位置センサで癌組織57につながる動脈58に注入ルーメン21の開口部59を向ける。なおこの実施形態では、開口部59は側面に設けている。そして前述のようにゲル化転移点より低い温度に冷却した昇温持ゲル化型ハイドロゲルなどの治療剤を動脈58に注入する。注入された治療剤は、体温で加熱され、ゲル化して固形物60となり、動脈58を閉塞する。それにより癌組織57に酸素および栄養の供給が止められ、癌組織を壊死に導くことができる。また、癌組織57につながる静脈(図示していない)を閉塞することにより、血液の環流を阻害して癌組織57を壊死に導くようにしてもよい。
【0058】
なお、図4のカテーテル38のようにコイル39を併用すれば、コイル39と治療剤とが一体になって一層堅固な固形物60を形成し、動脈閉塞効果が一層確実になる。また、治療剤に抗癌剤を含有させておくこともできる。その場合、固形物60から抗癌剤が徐放され、長期に渡って抗癌作用を奏する。さらに動脈瘤や静脈瘤の閉塞、あるいは異常血管組織の修復などについても、前記システムおよびカテーテルを用いて同じように切開手術を行わずに、あるいは切開部を少なくして、治療することができる。
【0059】
図9は前述のようにして切開・切除を行わずに肝臓62の癌組織を壊死に導いた場合の組織再生を補助する治療方法を示している。この場合は前述のシステムを用いて壊死した部位63に昇温持ゲル化型熱可逆ハイドロゲルなどの治療剤を充填する。その場合、治療剤に肝細胞/肝組織の再生を補助する薬効成分を混入しておくのが一層好ましい。壊死した部位63に注入された治療剤は、その部位でゲル化し、固形物60を生ずる。それにより再生部に周囲の組織・臓器と癒着することが防止される。また、再生補助成分を有する場合は、再生補助成分が長期に渡って徐放され、細胞・組織の再生を促す。そして固形化したハイドロゲルは、肝組織の再生持に吸収されるので、肝組織は周囲の組織あるいは臓器と癒着を起こすことなく、欠損部に正常な組織62aが再生する。
【0060】
前述の治療方法は、恒温動物、とくに哺乳類の治療に採用することができる。また、ヒトの治療に採用することもできる。変温動物に採用する場合は、手術中の体温を必要な温度まで上昇させ、あるいは下降させておく。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシステムの一実施形態を示す概念図である。
【図2】図2aは本発明のカテーテルの一実施形態を示す縦断面図、図2bは図2aのII−II線断面図である。
【図3】本発明のカテーテルの他の実施形態を示す横断面図である。
【図4】本発明のカテーテルのさらに他の実施形態を示す縦断面図である。
【図5】本発明のカテーテルのさらに他の実施形態を示す縦断面図である。
【図6】本発明のカテーテルのさらに他の実施形態を示す縦断面図である。
【図7】本発明のカテーテルのさらに他の実施形態を示す縦断面図である。
【図8】本発明の治療方法の実施形態を示す概略説明図である。
【図9】本発明の治療方法の実施形態を示す概略説明図である
【符号の説明】
10 システム
11 カテーテル
12 治療剤容器
13 冷却装置
14 チューブ
15 ポンプ
16 第1コイル
17 第2コイル
18 ポンプ
21 注入ルーメン(治療剤カテーテル)
21a 基端側
21b 先端側
22 熱媒体環流ルーメン(環流カテーテル)
23 往路ルーメン
23a 基端側
23b 先端側
24 復路ルーメン
24a 基端側
24b 先端側
25 往路チューブ
26 復路チューブ
27 連通部
28 仕切り壁
29 外側の壁
30 内側の壁
32 カテーテル
33、34、35 チューブ
36 外皮
37 隙間
38 カテーテル
39 コイル
40 操作用ワイヤ
41 位置センサ
42 カテーテル
44 熱伝導部材
50 カテーテル
51 ヒータ
52 端子
54 カテーテル
55 ペルチェ効果素子
57 癌組織
58 動脈
59 開口部
60 固形物
62 肝臓
63 壊死した部位
62a 正常な組織

Claims (14)

  1. 体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を体内に搬送するためのバイオサージェリーシステムであって、
    前記治療剤を体内の奥深くまで注入するための注入カテーテルと、
    その注入カテーテル内の治療剤を前記体温より離れた温度に維持するように冷熱または温熱を供給する熱供給手段
    とを備えているバイオサージェリーシステム。
  2. 前記熱供給手段が、体外に設置される熱源と、前記熱源とカテーテル内の治療剤との間で熱交換する熱交換手段とを備えている請求項1記載のバイオサージェリーシステム。
  3. 前記熱交換手段が、熱源で加熱または冷却された熱媒体を送り出すためのポンプと、
    そのポンプに連結され、熱媒体を環流させる環流カテーテルとからなり、
    その環流カテーテルが、熱媒体を体内側に送り出す往路ルーメンと、体内側から熱媒体操作装置側に戻す復路ルーメンとを有し、前記往路ルーメンが前記注入カテーテルと長さ方向に渡って接している請求項2記載のバイオサージェリーシステム。
  4. 前記注入カテーテルが、前記環流カテーテルのルーメンとなるように一体化され、全体として温度制御型カテーテルを構成している請求項3記載のバイオサージェリーシステム。
  5. 治療剤注入ルーメンを中心とし、その治療剤注入ルーメンの周囲を前記往路ルーメンが取り囲み、その往路ルーメンの周囲を前記復路ルーメンが取り囲んでいる請求項4記載のバイオサージェリーシステム。
  6. 前記熱交換手段が、熱伝導材を前記体温から離れた温度に加熱または冷却するための加熱・冷却装置と、
    その加熱・装置に連結されると共に、前記注入カテーテルと長さ方向に渡って接している熱伝導材
    とを備えている請求項2記載のバイオサージェリーシステム。
  7. 体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を注入する注入ルーメンと、その注入ルーメンの周囲を取り囲む往路ルーメンと、その往路ルーメンの周囲を取り囲む復路ルーメンとからなる温度制御型カテーテル。
  8. 体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を注入するための注入カテーテルと、その注入カテーテルと熱伝導可能に設けられる熱伝導材とからなる温度制御型カテーテル。
  9. 体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を注入するための注入カテーテルと、その注入カテーテルを加熱するための電熱ヒータとからなる温度制御型カテーテル。
  10. 体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を注入するための注入カテーテルと、その注入カテーテルを冷却するための電気式冷却器とからなる温度制御型カテーテル。
  11. 先端近辺に、治療剤をホールドして容積が膨らむコイルが遠隔操作で外せるように設けられている請求項7〜10のいずれかに記載の温度制御型カテーテル。
  12. 先端に位置センサを備えている請求項11記載の温度制御型カテーテル。
  13. 温度制御型カテーテルの先端を組織欠損部に到達させ、体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤に細胞増殖剤ないし組織再生剤を含有させた液を組織欠損部に注入し、体温で固化させ、長期に渡って細胞増殖剤ないし組織再生剤を徐放させる組織欠損部の治療方法。
  14. 体温から離れた温度で液状で、その温度より体温に近い温度で固化する治療剤を含浸しているコイルを温度制御型カテーテルの先端に保持させ、カテーテルの先端を管状臓器の治療部位に到達させ、前記コイルを外して治療部位に留置する管状臓器の治療方法。
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