JP2004275177A - 糸状菌を用いたタンパク質の効率的製造法 - Google Patents

糸状菌を用いたタンパク質の効率的製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】 翻訳効率の高い非翻訳領域(5’UTR)を有する糸状菌用発現ベクターの提供。
【解決手段】 本発明によれば、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)由来の特定の非翻訳リーダー配列を用いることにより翻訳効率を増加させることが可能となり、発現効率の高い糸状菌用発現ベクターが提供される。これにより、種々の有用タンパク質をより効率的に大量製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、糸状菌を宿主とした有用タンパク質の効率的製造に関するものであり、詳細には、翻訳効率の高い新規な非翻訳領域(5’UTR)、該翻訳効率の高い非翻訳領域(5’UTR)を有する発現ベクター、該ベクターを導入された形質転換宿主細胞、およびそれを用いた有用タンパク質ならびにポリペプチドの製造法に関するものである。
遺伝子組み換えによる有用タンパク質生産の宿主としては、大腸菌や枯草菌をはじめ酵母、昆虫、植物細胞、動物細胞等数多くの系が開発されており、生産させようとする目的タンパク質によってより適した系が選択されているのが現状である。糸状菌は多種多様の酵素タンパク質を分泌生産している。特に、アスペルギルス(Aspergillus)属やトリコデルマ(Trichoderma)属は酵素タンパク質を著量に分泌生産する能力に優れているため、工業的な酵素製剤の生産に利用されている。これらの菌株の中には、培養液1リットルあたり20g以上、小麦フスマ1kgあたり50gという高い生産性を示すものもある。一方、異種タンパク質の生産においては、タンパク質のフォールディングや糖鎖付加などの翻訳後修飾が本来の生物と同様に行われることが重要である。糸状菌は大腸菌や酵母より進化的に高等動物に近いので、動物由来異種タンパク質を活性ある形で生産することも期待できる。また、麹菌アスペルギルス・オリゼのように古くから発酵食品の製造に用いられているものが多く、その生産物は安全であるというGRAS(generally regarded as safe)グレードとして認められているので、これらの糸状菌による有用タンパク質生産も認可されやすいと考えられる。アスペルギルス・オリゼをはじめとする糸状菌は一般的に有性生活環が認められず、分生子も多核であるために、古典遺伝学的手法による遺伝解析は容易ではなく、分子生物学的研究も他の微生物に比べて遅れていた。しかし、1980年代後半になって、産業的に重要な糸状菌について形質転換系が確率され、糸状菌の遺伝子工学が発展してきた。このような状況の中、前述した利点にも後押しされ、糸状菌を宿主としたさまざまな有用タンパク質の生産が報告されるようになってきた(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。また、タンパク質を高発現させるために多くの強力なプロモーターが取得されており、麹菌ではαアミラーゼ遺伝子のプロモーターや(特許文献2参照)、本発明者らの改良型プロモーター(特許文献3参照)などが使用されその有用性が認められている。
しかしながら、糸状菌を宿主とする異種タンパク質、特に高等生物起源のタンパク質の生産については、多くの場合培養液1リットルあたりmgオーダーの低い生産量しか得られていないのが現状である(非特許文献2参照)。一般的に、異種タンパク質の分泌生産量に寄与する要因として、転写量、mRNAの安定性、翻訳効率、翻訳後修飾、分泌経路における品質管理(クオリティーコントロール)、輸送、宿主プロテアーゼによる分解などが指摘されており、障害となっているプロセスを改善するためにさまざまな方法が試みられている(非特許文献3、4参照)。その研究対象は、主に分泌経路であり、分泌機構の解明とその利用を目指したものである。これらは、糸状菌が本来持っている高い分泌能力に着眼したものである。
さて、遺伝子発現において転写プロセスの次に存在する翻訳プロセスも、最終的な生産量に影響すると考えられるが、糸状菌宿主において翻訳プロセスを詳細に解析した報告はなく、その機構は全く解明されていない。それゆえ、翻訳効率(翻訳開始効率)を改善することによりタンパク質の生産量を増大させようとした試みはこれまでなかった。
ここで真核生物一般で提唱されている翻訳機構について説明する。まず、開始tRNAが多くの開始因子とともに40Sリボソームサブユニットへ結合する。この40S複合体がキャップ(CAP)構造を有するmRNAの5’末端に結合し、mRNAを3’方向に走査(スキャン)して開始コドン(AUG)を探す。開始コドンが認識されたところで60Sリボソームサブユニットが結合して80S開始複合体として完成する。タンパク質合成の速さ(翻訳効率)は開始段階で決定されると考えられており、mRNAの5’端から開始コドンまでのいわゆる5’非翻訳領域(5’UTR)のスキャンニングプロセスが非常に重要となる。翻訳効率に影響を及ぼすmRNA上の因子としては、キャップ構造の有無、5’UTRの2次構造(非特許文献5参照)、開始コドン近傍の塩基配列(非特許文献6、7参照)、および翻訳エンハンサーと定義されている特殊な1次配列(非特許文献8参照)などが示されている。一方、糸状菌の翻訳機構についてはほとんど解明されておらず、5’UTRと翻訳効率との関係を定量的に解析した報告はない。もし、翻訳開始に有効に機能する、つまり翻訳効率の高い5’UTRを取得できれば、それらを利用することにより目的遺伝子の発現を翻訳レベルで増大させるような発現ベクターの構築が可能となる。すなわち、既存の高発現プロモーターを利用した発現系の生産能力をさらに高めることにより、効率的なタンパク質生産システムを確立することが可能になると考えられる。
特開昭62−272988号公報 特開平07−51067号公報 特許第3343567号公報 「バイオテクノロジー(Biotechnology)」,(米国),1988年,第6巻,p.1419−1422 宍戸和夫編著,「キノコとカビの基礎科学とバイオ技術」,株式会社アイピーシー,2002年7月20日,p.509−528 「アプライドマイクロバイオロジーアンドバイオテクノロジー(Applied Microbiology and Biotechnology)」,(ドイツ),1997年,第47巻,第1号,p.1−11 塚越規弘編著,「生物化学実験法(第45巻)組換えタンパク質生産法」,株式会社学会出版センター,2001年5月15日,p.79−102 「ジャーナルオブバイオロジカルケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」,(米国),1993年,第268巻,第9号,p.6453−6462 「ジャーナルオブバイオロジカルケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」,(米国),1991年,第266巻,第30号,p.19867−19870 「モレキュラーマイクロバイオロジー(Molecular Microbiology)」,(英国),1996年,第19巻,第6号,p.1225−1239 「ヌクレイックアシッドリサーチ(Nucleic Acids Research)」,(英国),1992年,第20巻,第17号,p.4631−4638
これまで、糸状菌宿主において数々のタンパク質の発現が試みられている。しかし、翻訳効率(翻訳開始効率)が考慮されたことはなく、翻訳開始に効率的に機能する5’UTR配列、構造などに関する報告はない。
本発明の目的は、上記した現状に鑑み、糸状菌宿主における遺伝子発現系において、その発現ベクターの翻訳効率を高めることによって発現効率の高いベクターを提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を行い、糸状菌宿主において翻訳効率の高い発現ベクターを構築することに成功した。すなわち、レポーター遺伝子を導入した糸状菌用発現ベクターにおいて、5’UTR相当領域のみを改変(置換)し、レポーター遺伝子産物の活性を翻訳効率の指標として評価した結果、翻訳効率の高い5’UTR配列を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
(1)以下の(a)〜(d)のいずれかに記載の塩基配列を含むDNA:
(a)配列番号1〜4のいずれかに記載のアスペルギルス・オリゼ由来の非翻訳リーダー配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
(b)配列番号1〜4に記載のいずれかの塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
(c)配列番号1〜4に記載のいずれかの塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつその下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
(d)配列番号1〜4に記載のいずれかの塩基配列からなるDNAに対して少なくとも90%の相同性を有する塩基配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列、
(2)以下の(a)〜(d)のいずれかに記載の塩基配列を含むDNA:
(a)配列番号5〜8のいずれかに記載のアスペルギルス・オリゼ由来の非翻訳リーダー配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
(b)配列番号5〜8に記載のいずれかの塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
(c)配列番号5〜8に記載のいずれかの塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつその下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列、
(d)配列番号5〜8に記載のいずれかの塩基配列からなるDNAに対して少なくとも90%の相同性を有する塩基配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
(3)糸状菌細胞内において機能しうるプロモーター領域と、目的のポリペプチドをコードするDNA配列の間の非翻訳領域に(1)又は(2)記載の配列を含有することを特徴とする発現ベクター、
(4)プロモーターが、P-No8142であることを特徴とする、(3)記載の発現ベクター、
(5)目的のポリペプチドをコードするDNA配列が、βグルクロニダーゼ(GUS)をコードするuidA遺伝子であることを特徴とする(3)又は(4)に記載の発現ベクター、
(6)(3)〜(5)のいずれか1項に記載の発現ベクターを糸状菌に導入して得られた形質転換体、ならびに
(7)(6)に記載の形質転換体を利用することによるポリペプチドの製造法を提供する。
本発明により取得された5’UTR配列を利用することにより、既存の発現ベクターの発現効率を翻訳レベルで増大させることが可能となり、目的タンパク質のさらなる高生産システムが提供される。
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明発明者らは、配列番号1〜4に示す塩基配列(図3Bの配列の二重下線部に相当)を、非常に高い翻訳効率を示す新規5’UTR配列として新たに同定した。すなわち、本発明発明者らは、5’UTR領域に配列番号1〜4に示す配列を含有する発現ベクターを導入した形質転換体のβグルクロニダーゼ(GUS)活性は、これらの配列を含まない、GUS遺伝子(uidA)が元来有する大腸菌由来の5’UTR配列(pBI221由来の配列)を含有するコントロールベクター(pNANG8142)を導入した形質転換体のGUS活性に比べ2〜4倍増加することを見出した(図5参照)。これにより、糸状菌宿主において翻訳効率の高い5’UTR配列を提供するに至った。これらの配列は、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された配列であっても、同一条件下で配列番号1〜4のいずれかに示す塩基配列と同等の翻訳効率を保持するかぎり本発明に使用することができる。また、配列番号1〜4のいずれかの塩基配列と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列であって、かつ、同一条件下でこれらの配列と同等の翻訳効率を保持するかぎり本発明に使用することができる。さらに配列番号1〜4のいずれかの塩基配列に対して、通常には少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%(例えば少なくとも95%)の相同性を有する塩基配列であって、同一条件下にて、これらの配列と同等の翻訳効率を保持するかぎり本発明に使用することができる。当業者は、これらの塩基配列を有するDNAを、適当な方法を用いて選択、取得あるいは製造することができ、使用することができる。
したがって、本発明は、1の態様において、
以下の(a)〜(d)のいずれかに記載の塩基配列を含むDNA:
(a)配列番号1〜4のいずれかに記載のアスペルギルス・オリゼ由来の非翻訳リーダー配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
(b)配列番号1〜4に記載のいずれかの塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
(c)配列番号1〜4に記載のいずれかの塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつその下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
(d)配列番号1〜4に記載のいずれかの塩基配列からなるDNAに対して少なくとも90%の相同性を有する塩基配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
を提供するものである。
なお、「ストリンジェントな条件」とは、配列番号1〜4のいずれかに示される塩基配列と、これと相同性の高い他の塩基配列とのオリゴヌクレオチド二本鎖を形成させるのに充分な条件を意図する。代表的な例として次の条件が挙げられる。すなわち、高イオン濃度下(例えば、6XSSC等)に、65℃の温度条件下でハイブリダイズさせた後、低イオン濃度下(例えば、0.1XSSC等)で65℃、30分間の洗浄を行うような条件をいう。また、DNA配列の相同性の定義および決定法は当業者によく知られている。
上記の配列番号1〜4に示す配列は、以下の方法を用いて見出され、取得された(詳細は実施例参照)。
糸状菌において、タンパク質の発現は、培養条件などの環境因子に応じて多段階で制御されている。しかし、細胞にとって重要なタンパク質、大量に生産されるタンパク質は、多くの場合、遺伝子の転写、翻訳、翻訳後修飾、他すべての制御段階が効率的に進んでいることが予想される。そこで、翻訳を効率的に開始することのできる5’UTRを取得するために、糸状菌で元来高発現している遺伝子からの取得を考え、ESTデータを利用することとした。すなわち、アスペルギルス・オリゼのESTデータよりさまざまな培養条件下で高発現している遺伝子を選抜し、その推定5’UTR配列を取得した。具体的には、液体培養(富栄養、グルコース)条件下で高発現していた既知遺伝子であるエノラーゼ遺伝子(enoA:the GenBank, EMBL and DDBJ Nucleotide Sequence Database accession No.D63941)、フルクトースビスリン酸アルドラーゼ遺伝子(fbaA:the GenBank, EMBL and DDBJ Nucleotide Sequence Database accession No.AB032272)、液体培養(貧栄養、炭素源なし)条件下で高発現していた機能未知遺伝子(h1)、液体培養(富栄養、グルコース、高温)条件下で高発現していた機能未知遺伝子(k2)、以上4遺伝子について推定5’UTR配列を取得した(それぞれ、配列表の配列番号1〜4に対応する)。なお、ここで言う「機能未知遺伝子」とは既知遺伝子データベース中に高いホモロジーを示す遺伝子が存在しないことを示す。また、「推定5’UTR配列」とはESTデータから得られる配列であって、推定される開始コドンより上流部分の配列をいうものとする。
5’UTR配列を取得する方法の一例として、アスペルギルス・オリゼのゲノムDNAをテンプレートにしたPCR法が挙げられる。EST配列から推定された各5’UTR配列について、両端に制限酵素サイトを付加するようにプライマーをデザインし、PCRを行う。増幅産物を電気泳動で確認後、目的の断片を単離・精製する。この断片の塩基配列を決定し、EST配列と照らし合わせ確認することにより目的の5’UTR配列を取得した。なお、当業者は5’UTR配列を取得する方法としてPCR法以外の方法も適宜使用することができる。
5’UTRの翻訳効率を評価する方法としては、各々の5’UTR配列を導入した発現ベクターにおいて、下流のレポーター遺伝子産物の活性を指標とすることとした。具体的には図1に示すような発現ベクターpNAN8142(「化学と生物」,2000年,第38巻,第12号,p.831−838)を用いた。このベクターは糸状菌細胞内で高発現するプロモーター(P-No8142)と、同じく糸状菌細胞内で機能するターミネーター(T-agdA)、および形質転換用マーカーであるアスペルギルス・オリゼのniaD遺伝子を含む。このベクターのマルチクローニングサイト(MCS)を利用し、種々の5’UTR配列およびレポーター遺伝子として大腸菌のβグルクロニダーゼ(GUS)をコードする遺伝子であるuidA(pBI221:クローンテック社)を導入した発現ベクターを構築した。こうして得られる発現ベクターの5’UTR部分の概要を、図3に模式的に示す。図中、二重下線で示した領域の配列が、導入した5’UTR配列である。プロモーター(P-No8142)の転写開始点はマルチクローニングサイトよりかなり上流にあるため、これらのベクターの5’UTR領域は、プロモーター(P-No8142)由来の5’UTR配列(部分配列:図3に示す配列の点線部分に相当)の下流に制限酵素サイト(XhoI-SalI、あるいはHindIII)をはさんで各種遺伝子由来の5’UTR配列がつながった融合配列となっている。これらの発現ベクターを用いて、アスペルギルス・オリゼ宿主(硝酸還元酵素欠損株)を形質転換し、得られた形質転換体のサザン解析を行い、導入ベクターが染色体のniaD座位に1コピーだけ導入された形質転換体を選択した。これらの形質転換体の菌体内のGUS活性を測定することにより、各5’UTR配列の翻訳効率を評価した。当業者は上記5’UTRの翻訳効率を評価する方法を変更・修飾して用いることができる。
上記方法により検討した結果、配列番号1〜4に示す配列(図3Bに示す配列の二重下線部に相当)がいずれも高い翻訳効率を示すことを見出した。
さらに、本発明発明者らは、配列番号5〜8に示す塩基配列(図7Bの配列の二重下線部に相当)を、非常に高い翻訳効率を示す新規5’UTR配列として新たに同定した。すなわち、5’UTR領域に配列番号5〜8に示す配列を含有する発現ベクターを導入した形質転換体のβグルクロニダーゼ(GUS)活性は、これらの配列を含まないコントロールベクター(pNANG8142)を導入した形質転換体のGUS活性に比べ、8〜12倍増加することを見出した(図9参照)。これにより、糸状菌宿主においてさらに翻訳効率の高い5’UTR領域を提供するに至った。これらの配列は、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された配列であっても、同一条件下で配列番号5〜8のいずれかに示す塩基配列と同等の翻訳効率を保持するかぎり本発明に使用することができる。また、配列番号5〜8のいずれかの塩基配列と、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列であって、かつ、同一条件下でこれらの配列と同等の翻訳効率を保持するかぎり本発明に使用することができる。さらに配列番号5〜8の塩基配列に対して、通常には少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも90%(例えば少なくとも95%)の相同性を有する塩基配列であって、同一条件下にて、これらの配列と同等の翻訳効率を保持するかぎり本発明に使用することができる。当業者は、これらの塩基配列を有するDNAを、適当な方法を用いて選択、取得あるいは製造することができ、使用することができる。
したがって、本発明は、もう一つの態様において、
以下の(a)〜(d)のいずれかに記載の塩基配列を含むDNA:
(a)配列番号5〜8のいずれかに記載のアスペルギルス・オリゼ由来の非翻訳リーダー配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
(b)配列番号5〜8に記載のいずれかの塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
(c)配列番号5〜8に記載のいずれかの塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつその下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
(d)配列番号5〜8に記載のいずれかの塩基配列からなるDNAに対して少なくとも90%の相同性を有する塩基配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
を提供するものである。
なお、「ストリンジェントな条件」とは、配列番号5〜8のいずれかに示される塩基配列と、これと相同性の高い他の塩基配列とのオリゴヌクレオチド二本鎖を形成させるのに充分な条件を意図する。代表的な例として次の条件が挙げられる。すなわち、高イオン濃度下(例えば、6XSSC等)に、65℃の温度条件下でハイブリダイズさせた後、低イオン濃度下(例えば、0.1XSSC等)で65℃、30分間の洗浄を行うような条件をいう。また、DNA配列の相同性の定義および決定法については当業者によく知られている。
上記の配列番号5〜8に示す配列は、以下の方法を用いて見出され、取得された(詳細は実施例参照)。
生物は、様々な外的刺激(ストレス)に対応するため多様な応答機構を備えており、ストレス応答として知られている。ストレス応答は、細菌から高等動植物まで極めて一般的かつ普遍的な機構であり、細胞あるいは生物個体の生存にとって必須の応答であると考えられる。代表的なストレス応答として熱ショック応答が挙げられる。これは、細胞が高温状態にさらされたとき、その危機的状況から細胞を守るために必要な一群のタンパク質「熱ショックタンパク質(HSP)」が転写レベルで誘導され、生合成される機構である。また、熱ショックタンパク質は高温だけでなく、各種の物理化学的ストレス(圧力、紫外線、重金属イオン、酸素濃度など)によっても発現が誘導され、これらストレスによりダメージを受けた(変性した)タンパク質の高次構造を修復する機能を保持していることから分子シャペロンとも呼ばれる。このように、熱ショックタンパク質は細胞の生存のために重要な役割を担っており、外部環境の変化に応じてすばやく生合成されなければならない。つまり、これらのタンパク質の生合成は転写誘導以降のプロセスも効率的に進行していることが予想される。このような観点から、翻訳を効率的に開始することのできる5'UTRの取得源として熱ショックタンパク質遺伝子に注目した。すなわち、他起源の糸状菌において既にクローニングされている熱ショックタンパク質遺伝子と相同性の高い遺伝子をアスペルギルス・オリゼのESTデータより抽出し、その推定5'UTR配列を取得した。具体的には、Aspergillus nidulans のシャペロン/熱ショックタンパク質遺伝子(Awh11)、おなじくAspergillus nidulans のHSP30遺伝子(hsp30)、Neurospora crassa のHSP70遺伝子(hsp70)、Aspergillus niger のtigA、以上4遺伝子と相同性の高い遺伝子についてその推定5'UTR配列を取得した。「推定5'UTR配列」とはESTデータから得られる配列であって、推定される開始コドンより上流部分の配列をいうものとする。また、開始コドンの推定は、既知遺伝子のフレーム(アミノ酸配列の読み枠)を参考にして行った。5’UTR配列を取得する方法の一例としては、前記PCR法が挙げられるがそれ以外の方法であっても当業者は適宜使用することができる。
5’UTRの翻訳効率の評価は前記載方法と同様、各々の5’UTR配列を導入した発現ベクターにおいて、下流のレポーター遺伝子産物の活性を指標とすることとした。ここでは、コントロール発現ベクターpNANG8142に元々含まれているプロモーター(P-No8142)由来の5’UTR領域(図7Aの点線部分に相当)を大部分削除し、その下流に制限酵素サイト(HindIII)をはさみ、取得したアスペルギルス・オリゼ由来の各種5’UTR配列を導入したベクターを構築した。こうして得られる発現ベクターの5’UTR部分の概要を、図7Bに模式的に示す。図7Bにおいて、二重下線で示した領域の配列が、導入した5’UTR配列である。この試験では、コントロールベクターpNANG8142の5’UTR領域のほぼ全域を置換することにより、元々のP-No8142由来の5’UTR配列に起因する影響を小さくできるため、導入したアスペルギルス・オリゼ由来の各種5’UTR配列の効果をより直接的に評価することが可能である。これらの発現ベクターを用いて、アスペルギルス・オリゼ宿主(硝酸還元酵素欠損株)を形質転換し、得られた形質転換体のサザン解析を行い、導入ベクターが染色体のniaD座位に1コピーだけ導入された形質転換体を選択した。これらの形質転換体の菌体内のGUS活性を測定することにより、各5’UTR配列の翻訳効率を評価した。
上記方法により検討した結果、配列番号5〜8に示す配列(図7Bに示す配列の二重下線部に相当)がいずれも非常に高い翻訳効率を示すことを見出した。当業者は上記の5’UTRの翻訳効率の評価法を適宜変更・修飾して用いることができる。
また、本発明は、もう1つの態様において、上記のように提供された配列を、糸状菌細胞内において機能しうるプロモーター領域と、目的のポリペプチドをコードするDNA配列の間の任意の部位に挿入することにより翻訳効率の高い発現ベクターを提供する。ベクターを構築するためのDNA配列の連結、挿入などはそれ自体公知の方法で行うことができる。
糸状菌細胞内において機能しうるプロモーター領域とは、糸状菌細胞内で下流のタンパク質をコードする遺伝子を転写する機能のあるDNA配列であれば特に制限されない。具体的には、αアミラーゼ、グルコアミラーゼ、セルラーゼ、セロビオハイドラーゼ、アセトアミダーゼ等の加水分解酵素遺伝子、エノラーゼ、3−ホスホグリセレートキナーゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ等の解糖系酵素遺伝子のプロモーター、トランスレーションエロンゲーションファクター遺伝子等のプロモーターが挙げられる。好適には、P-No8142プロモーターが用いられる。また、目的のポリペプチドとしては特に限定されないが、糸状菌由来の細胞内タンパク質、分泌タンパク質、原核生物由来タンパク質、真核生物由来タンパク質等が挙げられる。好適には、レポーター遺伝子として使用実績の多い大腸菌由来のβグルクロニダーゼ(GUS)が用いられる。
本発明は、さらにもう1つの態様において、上記ベクターを導入して得られる形質転換体に関する。上記ベクターを導入される宿主細胞としては糸状菌細胞であればいずれの細胞であってもよく、好ましくはAspergillus属の糸状菌細胞、より好ましくはAspergillus oryzae細胞が用いられる。糸状菌細胞へのベクターの導入方法および条件は当業者に公知であり適宜選択される。例えば、糸状菌宿主細胞を細胞壁溶解酵素にて処理してプロトプラストを得て、ベクター共存下においてポリエチレングリコール(PEG)、塩化カルシウム共存下でベクターを導入してもよく、あるいは電気パルスを用いてプロトプラスト中にベクターを導入してもよく、その後、プロトプラストから元の糸状菌細胞を再生させるのが一般的である(これらの手法も当業者に公知である)。このようにして得られた形質転換体は、適当な培地にて培養し、タンパク質あるいはポリペプチドの生産に使用することができる。
本発明は、さらなる態様において、上記発現ベクターを糸状菌に導入して得られた形質転換体を培養して、糸状菌宿主において目的のポリペプチドを効率的に生産させる方法をも開示するものである。上記発現ベクターを導入するための糸状菌宿主の形質転換は、自体公知の方法で行うことができる(上記参照)。得られた形質転換体の培養も、常法により適当な培地、培養条件を適宜選択することにより行うことができ、目的のタンパク質あるいはポリペプチドを生産させることができる。当業者は使用菌株および目的ポリペプチドに応じて形質転換体の培養方法および条件、例えば培地組成や培養温度、pH等を適宜選択することができる。培地としては、固体(例えば小麦フスマ培地)あるいは液体であってよく、例えば、スターチ、グルコース、麦芽エキス、酵母エキス等の天然成分を配合した培地、デキストリン・ペプトン培地、あるいは合成培地などを用いることができる。使用するプロモーターが誘導性のプロモーターである場合には、培地に誘導物質を添加してさらなる増産を図ることもできる。タンパク質あるいはポリペプチドは菌体内に産生されるものであってもよく、菌体外に分泌されるものであってもよい。生産されたタンパク質あるいはポリペプチドは、その種類や性質に応じて当業者に公知の適当な方法で定性、定量し、また、必要に応じて単離・精製することができる。
このように、本発明により取得された5’UTR配列を利用することにより、既存の発現ベクターの発現効率を翻訳レベルで増大させることが可能となり、目的タンパク質のさらなる高生産システムが提供される。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の実施例はこれらに限られるものではない。
実施例1:pNANG8142ベクターにおける5’UTR部分置換実験
コントロールベクターpNANG8142(下記参照)の5’UTR領域において、3’側の一部分(pBI221由来の配列)を、アスペルギルス・オリゼ由来の各種5’UTR配列(配列番号1〜4)に置換したベクターを用いてGUS発現量を比較し、置換効果を調べた。
(1)GUS遺伝子(uidA)、およびuidAが元来有する5’UTR配列を導入したGUS発現用コントロールベクターpNANG8142の構築
糸状菌用高発現ベクターpNAN8142(図1)のマルチクローニングサイト(MCS)を利用し、大腸菌のβグルクロニダーゼ(GUS)遺伝子uidA、およびuidAが元来有する5’UTR配列(pBI221由来の配列)を導入したコントロールベクターpNANG8142(図2)を構築した。
まず、pBI221(クローンテック社)のGUS遺伝子の5’上流のSmaIサイトで消化し、これにSalIリンカーを付けてセルフライゲーションした後、次に3’下流のSacIサイトで消化後、平滑末端化してXbaIリンカーを付け同様にセルフライゲーションしてpBI221-SXを得た。このpBI221-SXからGUS遺伝子を含む約1.9kbのSalI-XbaI断片を切り出し、pNAN8142のマルチクローニングサイトのSalI、XbaIサイトに挿入してGUS発現用コントロールベクターpNANG8142を得た。このベクターにおける5’UTR部分の概要を図3A(配列番号9)に模式的に示す。
(2)アスペルギルス・オリゼ由来の各種非翻訳リーダー配列(5’UTR配列)の単離
アスペルギルス・オリゼのゲノムDNAを常法により調整し、PCR用のテンプレートとした。次にESTデータより選抜した4遺伝子(enoA、fbaA、h1、k2)の推定5’UTR配列について、上流にHindIIIサイトが、下流にGUS遺伝子の一部およびStuIサイトが付加するようにプライマーを設計しPCR反応を行った。下流に付加した配列は5’−ATGTTAAGGCCT−3’(AGGCCT:StuIサイト)となる。得られた増幅産物をHindIII、StuIで消化し以後の操作に用いた。
(3)各種非翻訳リーダー配列(5’UTR配列)を導入したGUS発現ベクターの構築
上記取得5’UTR配列(enoA 5'UTR, fbaA 5'UTR, h1 5'UTR, k2 5'UTR、それぞれ配列番号1、2、3および4)を導入したGUS発現ベクターを以下のように構築した。ここでは、一例としてenoA 遺伝子の5’UTR配列(配列番号1)を導入したベクターpNANG-enoAUTR(図4)の構築方法について示す。
まず、pBI221よりGUS遺伝子の部分領域StuIサイトからSnaBIサイトまでを含む約0.4kbの断片をPCR法により取得した。ここでStuIサイトとは本来のGUS遺伝子が有しないサイトであり、本来のGUS遺伝子の開始コドン以下の下流の配列5’−ATGTTACGTCCT−3’において下線の2塩基をそれぞれC→A、T→Gに置換することにより造成された認識サイト(AGGCCT)である(この塩基置換はGUS遺伝子においてアミノ酸配列の置換を伴わない塩基置換である)。またSnaBIサイトの下流にはXbaIサイトを付加させるようにプライマーを設計しPCRに用いた。この増幅断片をpUC19のSmaIサイトに導入し、pUC-uidA1を得た。次に、実施例1の(2)で得られたenoA遺伝子の5’UTR断片を、HindIII、StuI消化したpUC-uidA1に導入し、pUC-uidA2を得た。次に、実施例1の(1)で得られたpNANG8142をSnaBI、XbaIで消化し、約1.5kbのGUS遺伝子部分断片を切り出し、この断片をSnaBI、XbaI消化したpUC-uidA2に導入することによりpUC-uidA3を得た。次に、pUC-uidA3をHindIII消化後、平滑末端化処理を行い、さらにXbaIで消化することにより、enoA遺伝子の5’UTR配列とGUS遺伝子全長を含む約1.9kbの断片を切り出した。この断片を、XhoI消化後平滑末端化処理を行い、さらにXbaIで消化したpNAN8142に導入することにより、enoA遺伝子の5’UTR配列を含むGUS発現ベクターpNANG-enoAUTRを得た。ここで、平滑末端化処理にはT4DNAポリメラーゼを用いているため、平滑化されたHindIII、XhoI末端のライゲーションにより再びHindIIIサイト(AAGCTT)が造成されている。
なお、他の5’UTR配列を導入したベクターについては、実施例1の(2)で取得したそれぞれの断片を、HindIII、StuI消化によりenoA遺伝子の5’UTR配列部分を除いたpNANG-enoAUTRに導入することにより構築した(pNANG-fbaAUTR、pNANG-h1UTR、pNANG-k2UTR)。これらのベクターの5’UTR部分の概要を図3Bに模式的に示す(配列番号10〜13)。図3Bに示した塩基配列(配列番号10〜13)については実際に解析を行い、確認した。
(4)形質転換体の取得とGUS活性の測定
上述のように得られた5種類のGUS発現ベクター(pNANG8142、pNANG-enoAUTR、pNANG-fbaAUTR、pNANG-h1UTR、pNANG-k2UTR)を用いて、常法(プロトプラスト−PEG法)によりアスペルギルス・オリゼを形質転換し、ベクターが宿主ゲノムのniaD座位に1コピーのみ導入された形質転換体を選択した。形質転換体をデキストリン・ペプトン培地(2%デキストリン、1%ポリペプトン、0.5%KH2PO4、0.05%、MgSO4・7H2O)で30℃、2日間振とう培養後、集菌し、乳鉢を用いて液体窒素中ですりつぶした。この菌体破砕物を緩衝液に懸濁し、遠心分離した上清を粗酵素液とした。得られた粗酵素液のGUS活性を公知の方法(Proc Natl Acad Sci,1986年,第83巻,第22号,p.8447−8451)に準じて測定した。その結果を図5に示す。
本発明の5’UTRのかわりにpBI221の5’UTR配列を有するコントロールベクター(pNANG8142)導入株と比較し、いずれの株においても顕著なGUS活性の上昇が確認された。pNANG-fbaAUTR導入株で約2倍、pNANG-enoAUTR、pNANG-h1UTR、pNANG-k2UTR各導入株においては約4倍の活性上昇を示した。
(5)形質転換体のノザン解析
実施例1の(3)で構築した、アスペルギルス・オリゼ由来の各種非翻訳リーダー配列(5’UTR配列)を導入したGUS発現ベクターの導入株において、顕著なGUS活性の上昇が確認された。しかし、GUS活性の上昇は、翻訳効率の増加以外にも、転写活性を増加させるcis因子がその非翻訳リーダー配列内にあることや、転写産物(mRNA)の安定性が増加したことなどによるmRNA量の増加が原因として考えられる。そこで、mRNA量の確認を目的にノザン解析を行った。
形質転換体を15mlのデキストリン・ペプトン培地で30℃、2日間振とう培養後、ガラスフィルターで集菌し、滅菌水で洗浄した。この菌体を新しいデキストリン・ペプトン培地15mlに移し、さらに30℃で12時間振とう培養後、おなじくガラスフィルターで集菌し滅菌水で洗浄した後、RNAの抽出に用いた。RNAの抽出にはセパゾール RNA I Super(ナカライテスク社)を用いた。得られた総RNA5μgについて、ホルムアルデヒド・アガロースゲル電気泳動を行い、Hybond-N+メンブレン(アマシャムファルマシアバイオテク社)にブロットした後、GUS遺伝子領域をプローブとしたノザン解析を行った。プローブの標識および検出は、AlkPhos Direct System(アマシャムファルマシアバイオテク社) を用いた。
この結果、図6に示すように、いずれの形質転換体においても検出されたシグナルの強さは同等であり、ほぼ同程度のGUS遺伝子のmRNAが蓄積していることが確認された。
このように、各形質転換体のmRNA量に違いは認められず、また、発現するGUSタンパク質はアミノ酸配列において全く同一であることから、取得したアスペルギルス・オリゼ由来の各種非翻訳リーダー配列(5’UTR配列)を導入した形質転換体で確認されたGUS活性の上昇は、翻訳段階で生じており、単位mRNAあたりの翻訳効率が上昇したためであることが示唆された。
実施例2:pNANG8142ベクターにおける5’UTR置換実験
コントロールベクターpNANG8142において、プロモーター(P-No8142)の転写開始点下流(3’側)の5’UTR領域の大部分を、アスペルギルス・オリゼ由来の各種5’UTR配列(配列番号5〜8)に置換したベクターを用いてGUS発現量を比較し、置換効果を調べた。
(1)P-No8142d断片の取得
pNANG8142に含まれるプロモーター(P-No8142)領域において、転写開始点より下流の5’UTRに相当する領域(図7Aの点線部分に相当)の大部分を削除した領域を、新たなプロモーター領域(P-No8142d)として取得した。具体的には、pNANG8142(図2)のP-No8142領域(PstI-SalI領域)において、5’端はそのままに、3’端についてはSalIサイト(GTCGAC:図7AのSalIサイトに等しい)から上流(5’側)に107塩基欠失させ、その間の領域について、PCR増幅を行った。なお、増幅断片の下流にはHindIIIサイトが付加するようにプライマーを設計した。得られた増幅産物をPstI、HindIIIで消化し以後の操作に用いた。
(2)アスペルギルス・オリゼ由来の各種非翻訳リーダー配列(5’UTR配列)の単離
ESTデータより抽出した、4種類の熱ショックタンパク質遺伝子ホモログ、Awh11ホモログ(AoAwh11)、hsp30ホモログ(Aohsp30)、hsp70ホモログ(Aohsp70)、tigAホモログ(AotigA)の推定5’UTR配列について、実施例1の(2)に記載した方法と同様、上流にHindIII配列サイトが、下流にGUS遺伝子の一部およびStuIサイトが付加するようにプライマーを設計しPCR反応を行った。得られた増幅産物をHindIII、StuIで消化し以後の操作に用いた。
(3)P-No8142dの下流に各種非翻訳リーダー配列(5’UTR配列)を導入したGUS発現ベクターの構築
ここでは、一例としてAwh11ホモログ(AoAwh11)遺伝子の5’UTR配列(配列番号5)を導入したベクターpNANGd-AoAwh11UTR(図8)の構築方法について示す。
まず、実施例2の(1)で得られたP-No8142d断片を、PstI、HindIII消化によりP-No8142断片を取り除いたpNANG-enoAUTR(実施例1の(3)により得られたもの:図4参照)に導入し、pNANGd-enoAUTRを得た。次に、実施例2の(2)で得られたAoAwh11の5’UTR断片を、HindIII、StuI消化によりenoA遺伝子の5’UTR断片を取り除いたpNANGd-enoAUTRに導入し、pNANGd-AoAwh11UTRを得た。pNANGd-AoAwh11UTRではコントロールベクターpNANG8142の5’UTR領域の大部分をAoAwh11の5’UTR配列に置換した構造となっている。なお、他の5’UTR配列を導入したベクターについては、実施例2の(2)で取得したそれぞれの断片を、HindIII、StuI消化によりAoAwh11の5’UTR配列部分を取り除いたpNANGd-AoAwh11UTRに導入することにより構築した(pNANGd-Aohsp30UTR、pNANGd-Aohsp70UTR、pNANGd-AotigAUTR)。これらのベクターの5’UTR部分の概要を図7Bに模式的に示す(配列番号14〜17)。図7Bに示した塩基配列については実際に解析を行い、確認した。
(4)形質転換体の取得とGUS活性の測定
上述のように得られた4種類のGUS発現ベクター(pNANGd-AoAwh11UTR、pNANGd-Aohsp30UTR、pNANGd-Aohsp70UTR、pNANGd-AotigAUTR)を用いて、実施例1の(4)に記載した手順に従い形質転換体を取得し、GUS活性を測定した。その結果を図9に示す。
コントロールベクター(pNANG8142)導入株と比較し、本発明の5’UTR配列を有するGUS発現ベクター導入株では、いずれの株においても顕著なGUS活性の上昇が確認された。pNANGd-Aohsp30UTR導入株で約8倍、pNANGd-Aohsp70UTR導入株で約10倍、pNANGd-AoAwh11UTRおよびpNANGd-AotigAUTR各導入株においては約12倍の活性上昇を示した。
(5)形質転換体のノザン解析
実施例1の(5)に記載した手順に従い、ノザン解析を行った。
この結果、図10に示すように、コントロールベクターpNANG8142導入株、pNANGd-Aohsp30UTR導入株、pNANGd-Aohsp70UTR導入株間ではGUS遺伝子のmRNA量に大きな差は見られず、pNANGd-Aohsp30UTR導入株、pNANGd-Aohsp70UTR導入株で見られた顕著なGUS活性の上昇が翻訳レベルで生じたものであることが確認された。一方、pNANGd-AoAwh11UTR導入株、pNANGd-AotigAUTR導入株ではpNANG8142導入株と比較し、GUS遺伝子mRNA量の増加が観察された。
このことから、用いたAoAwh11およびAotigAの5’UTR配列は、転写を促進させる効果、あるいは生じたmRNAの安定性を増加させる効果を有していると推察された。しかしながら、これらの株で見られたmRNA量の増加はGUS活性の上昇量を説明できる程の顕著な差ではないことから、GUS活性が上昇した主な要因はやはり翻訳レベルにあり、単位mRNAあたりの翻訳効率が上昇したためであることが示唆された。
本発明の非翻訳リーダー配列を用いることにより、翻訳効率を増加させることが可能であり、発現効率の高い糸状菌用ベクターが構築できる。さらに、本発明の発現ベクターを用いることにより、糸状菌を宿主として種々の有用タンパク質、ポリペプチド等をより効率的に大量製造することができる。
糸状菌用高発現ベクターpNAN8142を示す図である。 GUS発現用コントロールベクターpNANG8142の構築手順を示す図である。 各種GUS発現ベクターの5’UTR部分の概要を示す図である。(A)は、コントロールベクターpNANG8142の5’UTR部分を示し、(B)はアスペルギルス・オリゼ由来の各種非翻訳リーダー配列(5’UTR配列)を導入したGUS発現ベクターの5’UTR部分を示す。 ベクターpNANG-enoAUTRの構築手順を示す図である。 各種非翻訳リーダー配列(5’UTR配列)を導入した形質転換体のGUS活性を示すグラフである。値は、3回行った実験の平均値である。 各種非翻訳リーダー配列(5’UTR配列)を導入した形質転換体のノザン解析のバンドパターンを示す図である。 各種GUS発現ベクターの5’UTR部分の概要を示す図である。(A)は、コントロールベクターpNANG8142の5’UTR部分を示し、(B)はアスペルギルス・オリゼ由来の各種非翻訳リーダー配列(5’UTR配列)を導入したGUS発現ベクターの5’UTR部分を示す。 ベクターpNANGd-AoAwh11UTRの構築手順を示す図である。 各種非翻訳リーダー配列(5’UTR配列)を導入した形質転換体のGUS活性を示すグラフである。値は、3回行った実験の平均値である。 各種非翻訳リーダー配列(5’UTR配列)を導入した形質転換体のノザン解析のバンドパターンを示す図である。

Claims (7)

  1. 以下の(a)〜(d)のいずれかに記載の塩基配列を含むDNA:
    (a)配列番号1〜4のいずれかに記載のアスペルギルス・オリゼ由来の非翻訳リーダー配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
    (b)配列番号1〜4に記載のいずれかの塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
    (c)配列番号1〜4に記載のいずれかの塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつその下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
    (d)配列番号1〜4に記載のいずれかの塩基配列からなるDNAに対して少なくとも90%の相同性を有する塩基配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列。
  2. 以下の(a)〜(d)のいずれかに記載の塩基配列を含むDNA:
    (a)配列番号5〜8のいずれかに記載のアスペルギルス・オリゼ由来の非翻訳リーダー配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
    (b)配列番号5〜8に記載のいずれかの塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換もしくは付加された塩基配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
    (c)配列番号5〜8に記載のいずれかの塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつその下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列
    (d)配列番号5〜8に記載のいずれかの塩基配列からなるDNAに対して少なくとも90%の相同性を有する塩基配列であって、その下流に置かれた目的のポリペプチドをコードするDNA配列の翻訳効率を増加させる機能を有する塩基配列。
  3. 糸状菌細胞内において機能しうるプロモーター領域と、目的のポリペプチドをコードするDNA配列の間の非翻訳領域に請求項1又は2記載の配列を含有することを特徴とする発現ベクター。
  4. プロモーターが、P-No8142であることを特徴とする、請求項3記載の発現ベクター。
  5. 目的のポリペプチドをコードするDNA配列が、βグルクロニダーゼ(GUS)をコードするuidA遺伝子であることを特徴とする請求項3又は4に記載の発現ベクター。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の発現ベクターを糸状菌に導入して得られた形質転換体。
  7. 請求項6に記載の形質転換体を利用することによるポリペプチドの製造法。
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