JP2004275123A - 樹木への水分供給装置及び樹木への水分供給方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、効率よく水分を供給することで樹木の樹勢を回復させることで、定植後の樹木の活着を促進又は確実にしたり、樹木の枯死を防止したり、さらには古木の再生を図ることにある。
【解決手段】樹木への水分供給装置1は、樹木11に効率よく水分を供給するための装置であって、取り付け管部3と、バッグ2と、ホース4とを備えている。取り付け管部3は、樹木11の根18の先端に取り付けられる。バッグ2は、地表面より上方に設けられる。ホース4は、バッグ2から取り付け管部3に水分を供給する。
【選択図】 図1
【解決手段】樹木への水分供給装置1は、樹木11に効率よく水分を供給するための装置であって、取り付け管部3と、バッグ2と、ホース4とを備えている。取り付け管部3は、樹木11の根18の先端に取り付けられる。バッグ2は、地表面より上方に設けられる。ホース4は、バッグ2から取り付け管部3に水分を供給する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹木に水分を供給するための装置及び方法に関し、特に、樹木に効率よく水分を供給することで、定植後の樹木の活着を促進又は確実にしたり、樹木の枯死を防止したり、さらには古木の再生を図ったりする装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
一般に、例えば公園や道路に樹木を植える場合は、山林の木又は畑で育成した木を掘り起こして、それを目的の箇所に植え込む。樹木は根から水分を吸い、その水分は蒸散作用によって根から、幹、枝、葉へと移動し、樹木全体に行き渡る。その結果、樹木は新たな場所において活着する。
【0003】
このような移植作業では、樹木が元の場所から掘り起こされてから定植されるまでに1〜2週間程度かかることがある。また、樹木を元の場所から掘り起こすときには樹木の根を大きく切ることになる。以上の結果、樹勢が弱ることは避けらず、樹木が定植後すぐに又は一定期間経過後に枯れてしまうという問題がある。また、定植後すぐに枯れない場合であっても活着までに夏が到来すると、水分不足によって枯れてしまうこともある。これらに対する対策としては活着促進剤を樹木に供給することが行われているが、効果が十分であるとは言えない。
【0004】
さらに、近年は松枯れのように樹木が枯死する問題が広がっている。この問題に対しては、例えば、松の幹に穴をあけて松枯れ防止剤を注入し、松枯れ線虫を退治することが試みられている。しかし、この場合は、一本の松に対して何十本もの松枯れ防止剤を注入することになるため、作業効率が大変に悪い。また、幹の木質部分に薬剤を注入しているため、樹木全体に対する効果はそれほど大きくない。
【0005】
さらに、貴重な古木を再生するためには、従来では古木全体の中でも枯れていない部分の土を掘り起こして、ピートモスや腐葉土を与えたり、栄養剤を供給したりする。しかし、そのような方法では効率が悪く、古木の再生に十分に成功しないことがある。
本発明の課題は、効率よく水分を供給することで樹木の樹勢を回復させることで、定植後の樹木の活着を促進又は確実にしたり、樹木の枯死を防止したり、さらには古木の再生を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の樹木への水分供給装置は、樹木に効率よく水分を供給するための装置であって、取り付け管部と、水分収納部と、水分供給部とを備えている。取り付け管部は、樹木の根の先端に取り付けられる。水分収納部は、地表面より上方に設けられる。水分供給部は、水分収納部から取り付け管部に水分を供給する。
【0007】
この装置では、水分が、水分収納部から水分供給部から取り付け管部に供給され、樹木の根の先端から樹木内に吸収される。この水分は、蒸散作用によって、根から幹、枝、葉へと順番に移動して、樹木全体に行き渡る。このように樹木に対して効率よく水分が供給されるため、樹木の樹勢が速やかに回復する。具体的には定植後の弱った樹木であっても、活着が促進されたり確実になったりする。
【0008】
請求項2に記載の樹木への水分供給装置では、請求項1において、取り付け管部は、根の周りに配置される管本体と、管本体を根に対して締め付けるための締め付け部と有している。
この樹木への水分供給装置では、締め付け部が管本体を根に対して締め付けているため、水分供給部からの水分が取り付け管部から漏れることなく根の先端に供給される。
【0009】
請求項3に記載の樹木への水分供給装置では、請求項1又は2において、取り付け管部は複数設けられている。
この樹木への水分供給装置では、複数の取り付け管部から複数の根に対してそれぞれ水分が供給されるため、樹木全体に対して確実に水分が供給される。
請求項4に記載の樹木への水分供給装置は、請求項1〜3のいずれかにおいて、水分収納部に収納された水分と樹木の栄養素をさらに備えている。
【0010】
この樹木への水分供給装置では、樹木の栄養素が樹木の根に供給されるため、樹勢が速やかに回復する。
請求項5に記載の樹木への水分供給装置は、請求項1〜3のいずれかにおいて、水分収納部に収納された水分と樹木の枯れ防止剤をさらに備えている。
この樹木への水分供給装置では、樹木の枯れ防止剤が樹木の根に供給されるため、樹木の枯死が確実に防止される。
【0011】
請求項6に記載の樹木への水分供給方法は、樹木に効率よく水分を供給することで樹木の樹勢を回復させるための方法であって、以下の工程を備えている。
◎樹木の根の先端を切断する切断工程
◎切断された根の先端から水分を供給する水分供給工程
この樹木への水分供給方法では、切断された根の先端に水分が供給され、そこから樹木内に吸収される。この水分は、蒸散作用によって、根から幹、枝、葉へと移動して、樹木全体に行き渡る。このように樹木に対して効率よく水分が供給されるため、樹木の樹勢が速やかに回復する。具体的には定植後の弱った樹木であっても、活着が促進されたり確実になったりする。なお、切断工程は樹木の定植前に行っても良いし、定植後に土中の根を掘り起こして行っても良い。
【0012】
請求項7に記載の樹木への水分供給方法では、請求項6において、切断工程では、生きている根の先端を切断する。
この樹木への水分供給方法では、生きている根の先端を切断して、そこから水分を供給するため、樹木に対して効率よく水分を供給できる。
請求項8に記載の樹木への水分供給方法では、請求項7において、切断工程では、若い根の先端を切断する。
【0013】
この樹木への水分供給方法では、若い根の先端を切断して、そこから水分を供給するため、樹木に対して効率よく水分を供給できる。
請求項9に記載の樹木への水分供給方法では、請求項6〜8のいずれかにおいて、切断工程では、樹木の複数の根の先端を切断する。水分供給工程では、切断された複数の根の先端から水分を供給する。
【0014】
この樹木への水分供給方法では、複数の根の切断された先端に対して水分が供給されるため、樹木全体に対して確実に水分が供給される。
請求項10に記載の樹木への水分供給方法では、請求項6〜9のいずれかにおいて、水分供給工程では、水分とともに樹木の栄養素を根の切断された先端に供給する。
【0015】
この樹木への水分供給方法では、樹木の栄養素が樹木の根に供給されるため、樹勢が速やかに回復する。
請求項11に記載の樹木への水分供給方法では、請求項6〜9のいずれかにおいて、水分供給工程では、水分とともに樹木の枯れ防止剤を根の切断された先端に供給する。
【0016】
この樹木への水分供給方法では、樹木の栄養素が樹木の根に供給されるため、樹勢が速やかに回復する。
【0017】
【発明の実施の形態】
(1)樹木への水分供給装置
図1は、本発明の一実施形態としての樹木への水分供給装置1が装着された樹木11の概要を示している。樹木11は、幹12と、そこから延びる複数の枝13と、そこから伸びる複数の葉14と、幹12の下端から土中に延びる根15とを有している。根15は、幹12の真下に延びる直根16、主要な根17、水分を吸い上げるための細い根18とを含んでいる。
【0018】
樹木への水分供給装置1は、水分収納部としてのバッグ2と、取り付け管部3と、水分供給部としてのホース4とから構成されている。バッグ2内には、数リットル程度の水が入っている。バッグ2の大きさは樹木の大きさやその他の条件に従って変更することが可能である。この水には必要に応じて栄養素や枯れ防止剤などが加えられていても良い。なお、ここでいう栄養素とは、窒素、リン酸、カリなどの無機質肥料やさらには微量要素を含み、さらには、植物を活性化させたり成長を促進させたりする薬剤や、さらには木酢などの植物に好影響を与える天然の材料も含む。また、ここでいう枯死防止剤とは、通常の殺虫剤や殺菌剤を含む。当然のことながら、枯死防止以外を目的とする殺虫剤や殺菌剤を入れてもよい。バッグ2は樹木11の枝13に掛けられている。取り付け管部3は土中において細い根18の先端に装着されている。取り付け管部3の構造については後で詳細に説明する。ホース4はバッグ2から取り付け管部3まで水分を供給するための細い管であり、たわみ可能な材料からできている。
【0019】
(2)取り付け管部の詳細
図2は、土中における取り付け管部3の装着状態を示す断面図である。取り付け管部3は、根18の周りに配置される管本体6と、管本体6を根18に対して締め付けるための締め付け部7とから構成されている。管本体6は、ホース4の先端部8と、その内部には装着された弾性筒状部材9とから構成されている、弾性筒状部材9は、ゴムや弾性樹脂からなり、ホース4の先端に内径の小さな部分を形成している。根18は、取り付け管部3内に、より具体的には、弾性筒状部材9内に配置されている。図から明らかなように、根18の先端部は切断されており、切断面18aが形成されている。言い換えると、根18は切断面18aを取り付け管部3内に向けていることになる。
【0020】
締め付け部7は、金属又は樹脂からなるリング状の部材であり、自らが弾性的に管本体6を締め付けている。締め付け部3は、さらに詳細には、筒状の部材であり、一カ所がカットされて弾性変形可能になっている。締め付け部3の端部は起こされて延びており、そのため締め付け部7を広げる際の作業性が向上している。また、図3では端部同士はボルト等の締結部材によって固定されているが、このような締結部材は必ずしも無くてよい。そのため、管本体6の弾性筒状部材9は根18に対して密着している。このような構成によって、ホース4から供給された水は取り付け管部3において外に漏れることがなく、確実に根18に供給される。
【0021】
(3)作用効果
以上の構成において、バッグ2からの水分はホース4を通って取り付け管部3に供給される。水分は、取り付け管部3から根18を通って樹木11内に供給される。樹木11内では、水分は根18から他の根16,17を通り、幹12、枝13、葉14にこの順番で吸い上げられていく。水分は最終的に葉14から空気中に蒸発していく。このように、樹木11内には常に水分が供給されているため、樹木11は全体にみずみずしい状態を維持できる。このため、樹木11は定植後であっても、樹勢を回復して速やかに活着できる。又は、樹木11は樹勢を衰えることなく速やかに活着する。特に夏においても、水不足になることが無く、樹木11は健康な状態を保つことができる。
【0022】
・根18の先端を切断しているため、そうでない場合に比べて水分はより速やかに樹木11内に供給される。
・根18は生きており、若い根であるため、そうでない場合に比べて水分はより速やかに樹木11内に供給される。
・水分に樹木の栄養素が含まれている場合には、樹勢が速やかに回復する。特に、従来の栄養素の供給に比べて大量の水分を用いることができるため、濃度を薄くして樹木全体に行き渡らせることができる。また従来の方法に比べて確実に樹木全体に栄養素を供給できる。
【0023】
・水分に樹木の枯れ防止剤が樹木の根に供給されるため、樹木の枯死が確実に防止される。特に、従来の枯れ防止剤の供給に比べて大量の水分を用いることができるため、濃度を薄くして樹木全体に行き渡らせることができる。また、従来の方法に比べて確実に樹木全体に枯れ防止材を供給できる。
(4)装置取り付け方法
定植後の樹木の樹勢を判断し、健常でないと判断すると樹木への水分供給装置1を樹木に装着する。最初に、土を掘り起こし、取り付け管部3を装着する根18を選び出す。このとき選び出す基準は、1)生きている根、2)若い根であることが重要であり、さらに3)取り付け管部3の内径に合った大きさの根であることが必要である。次に、根18の先端をナイフ等の道具で切り、切断面18aを形成する。さらに、取り付け管部3を根18の先端に装着し、その状態で根18を土中に戻す。
【0024】
さらに、バッグ2を樹木11の枝13に掛ける。この状態で樹木への水分供給装置1から樹木11に水分が供給される。
(5)他の実施形態
本発明は前記実施形態に限定されず、発明の趣旨の範囲内で様々な変更が可能である。
【0025】
例えば、1本の樹木に対して取り付け管部は複数設けられていてもよい。その場合は、複数の取り付け管部から根に対して水分が供給されるため、樹木全体に対して確実に水分が供給される。
取り付け管部の根への装着は、樹木の定植前に行っても良い。
本発明は、古木の再生にも適用できる。その場合は、生きている根を掘り出してその先端に取り付け管部を装着することになる。すると、古木の生きている部分に水分や栄養素が十分に行き渡り、樹勢が回復する。
【0026】
【発明の効果】
本発明に係る樹木への水分供給装置及び方法では、樹木の根の先端に水分を供給しているため、樹木に対して効率よく水分が供給される。この結果、樹木の樹勢が速やかに回復する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての樹木への水分供給装置が樹木に取り付けられた状態を示す概略図。
【図2】取り付け管部の概略断面図。
【図3】取り付け管部の概略斜視図。
【符号の説明】
1 樹木への水分供給装置
2 バッグ(水分収納部)
3 取り付け管部
4 ホース(水分供給部)
11 樹木
12 幹
13 枝
14 葉
15 根
16 直根
17 主要な根
18 若い根
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹木に水分を供給するための装置及び方法に関し、特に、樹木に効率よく水分を供給することで、定植後の樹木の活着を促進又は確実にしたり、樹木の枯死を防止したり、さらには古木の再生を図ったりする装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
一般に、例えば公園や道路に樹木を植える場合は、山林の木又は畑で育成した木を掘り起こして、それを目的の箇所に植え込む。樹木は根から水分を吸い、その水分は蒸散作用によって根から、幹、枝、葉へと移動し、樹木全体に行き渡る。その結果、樹木は新たな場所において活着する。
【0003】
このような移植作業では、樹木が元の場所から掘り起こされてから定植されるまでに1〜2週間程度かかることがある。また、樹木を元の場所から掘り起こすときには樹木の根を大きく切ることになる。以上の結果、樹勢が弱ることは避けらず、樹木が定植後すぐに又は一定期間経過後に枯れてしまうという問題がある。また、定植後すぐに枯れない場合であっても活着までに夏が到来すると、水分不足によって枯れてしまうこともある。これらに対する対策としては活着促進剤を樹木に供給することが行われているが、効果が十分であるとは言えない。
【0004】
さらに、近年は松枯れのように樹木が枯死する問題が広がっている。この問題に対しては、例えば、松の幹に穴をあけて松枯れ防止剤を注入し、松枯れ線虫を退治することが試みられている。しかし、この場合は、一本の松に対して何十本もの松枯れ防止剤を注入することになるため、作業効率が大変に悪い。また、幹の木質部分に薬剤を注入しているため、樹木全体に対する効果はそれほど大きくない。
【0005】
さらに、貴重な古木を再生するためには、従来では古木全体の中でも枯れていない部分の土を掘り起こして、ピートモスや腐葉土を与えたり、栄養剤を供給したりする。しかし、そのような方法では効率が悪く、古木の再生に十分に成功しないことがある。
本発明の課題は、効率よく水分を供給することで樹木の樹勢を回復させることで、定植後の樹木の活着を促進又は確実にしたり、樹木の枯死を防止したり、さらには古木の再生を図ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の樹木への水分供給装置は、樹木に効率よく水分を供給するための装置であって、取り付け管部と、水分収納部と、水分供給部とを備えている。取り付け管部は、樹木の根の先端に取り付けられる。水分収納部は、地表面より上方に設けられる。水分供給部は、水分収納部から取り付け管部に水分を供給する。
【0007】
この装置では、水分が、水分収納部から水分供給部から取り付け管部に供給され、樹木の根の先端から樹木内に吸収される。この水分は、蒸散作用によって、根から幹、枝、葉へと順番に移動して、樹木全体に行き渡る。このように樹木に対して効率よく水分が供給されるため、樹木の樹勢が速やかに回復する。具体的には定植後の弱った樹木であっても、活着が促進されたり確実になったりする。
【0008】
請求項2に記載の樹木への水分供給装置では、請求項1において、取り付け管部は、根の周りに配置される管本体と、管本体を根に対して締め付けるための締め付け部と有している。
この樹木への水分供給装置では、締め付け部が管本体を根に対して締め付けているため、水分供給部からの水分が取り付け管部から漏れることなく根の先端に供給される。
【0009】
請求項3に記載の樹木への水分供給装置では、請求項1又は2において、取り付け管部は複数設けられている。
この樹木への水分供給装置では、複数の取り付け管部から複数の根に対してそれぞれ水分が供給されるため、樹木全体に対して確実に水分が供給される。
請求項4に記載の樹木への水分供給装置は、請求項1〜3のいずれかにおいて、水分収納部に収納された水分と樹木の栄養素をさらに備えている。
【0010】
この樹木への水分供給装置では、樹木の栄養素が樹木の根に供給されるため、樹勢が速やかに回復する。
請求項5に記載の樹木への水分供給装置は、請求項1〜3のいずれかにおいて、水分収納部に収納された水分と樹木の枯れ防止剤をさらに備えている。
この樹木への水分供給装置では、樹木の枯れ防止剤が樹木の根に供給されるため、樹木の枯死が確実に防止される。
【0011】
請求項6に記載の樹木への水分供給方法は、樹木に効率よく水分を供給することで樹木の樹勢を回復させるための方法であって、以下の工程を備えている。
◎樹木の根の先端を切断する切断工程
◎切断された根の先端から水分を供給する水分供給工程
この樹木への水分供給方法では、切断された根の先端に水分が供給され、そこから樹木内に吸収される。この水分は、蒸散作用によって、根から幹、枝、葉へと移動して、樹木全体に行き渡る。このように樹木に対して効率よく水分が供給されるため、樹木の樹勢が速やかに回復する。具体的には定植後の弱った樹木であっても、活着が促進されたり確実になったりする。なお、切断工程は樹木の定植前に行っても良いし、定植後に土中の根を掘り起こして行っても良い。
【0012】
請求項7に記載の樹木への水分供給方法では、請求項6において、切断工程では、生きている根の先端を切断する。
この樹木への水分供給方法では、生きている根の先端を切断して、そこから水分を供給するため、樹木に対して効率よく水分を供給できる。
請求項8に記載の樹木への水分供給方法では、請求項7において、切断工程では、若い根の先端を切断する。
【0013】
この樹木への水分供給方法では、若い根の先端を切断して、そこから水分を供給するため、樹木に対して効率よく水分を供給できる。
請求項9に記載の樹木への水分供給方法では、請求項6〜8のいずれかにおいて、切断工程では、樹木の複数の根の先端を切断する。水分供給工程では、切断された複数の根の先端から水分を供給する。
【0014】
この樹木への水分供給方法では、複数の根の切断された先端に対して水分が供給されるため、樹木全体に対して確実に水分が供給される。
請求項10に記載の樹木への水分供給方法では、請求項6〜9のいずれかにおいて、水分供給工程では、水分とともに樹木の栄養素を根の切断された先端に供給する。
【0015】
この樹木への水分供給方法では、樹木の栄養素が樹木の根に供給されるため、樹勢が速やかに回復する。
請求項11に記載の樹木への水分供給方法では、請求項6〜9のいずれかにおいて、水分供給工程では、水分とともに樹木の枯れ防止剤を根の切断された先端に供給する。
【0016】
この樹木への水分供給方法では、樹木の栄養素が樹木の根に供給されるため、樹勢が速やかに回復する。
【0017】
【発明の実施の形態】
(1)樹木への水分供給装置
図1は、本発明の一実施形態としての樹木への水分供給装置1が装着された樹木11の概要を示している。樹木11は、幹12と、そこから延びる複数の枝13と、そこから伸びる複数の葉14と、幹12の下端から土中に延びる根15とを有している。根15は、幹12の真下に延びる直根16、主要な根17、水分を吸い上げるための細い根18とを含んでいる。
【0018】
樹木への水分供給装置1は、水分収納部としてのバッグ2と、取り付け管部3と、水分供給部としてのホース4とから構成されている。バッグ2内には、数リットル程度の水が入っている。バッグ2の大きさは樹木の大きさやその他の条件に従って変更することが可能である。この水には必要に応じて栄養素や枯れ防止剤などが加えられていても良い。なお、ここでいう栄養素とは、窒素、リン酸、カリなどの無機質肥料やさらには微量要素を含み、さらには、植物を活性化させたり成長を促進させたりする薬剤や、さらには木酢などの植物に好影響を与える天然の材料も含む。また、ここでいう枯死防止剤とは、通常の殺虫剤や殺菌剤を含む。当然のことながら、枯死防止以外を目的とする殺虫剤や殺菌剤を入れてもよい。バッグ2は樹木11の枝13に掛けられている。取り付け管部3は土中において細い根18の先端に装着されている。取り付け管部3の構造については後で詳細に説明する。ホース4はバッグ2から取り付け管部3まで水分を供給するための細い管であり、たわみ可能な材料からできている。
【0019】
(2)取り付け管部の詳細
図2は、土中における取り付け管部3の装着状態を示す断面図である。取り付け管部3は、根18の周りに配置される管本体6と、管本体6を根18に対して締め付けるための締め付け部7とから構成されている。管本体6は、ホース4の先端部8と、その内部には装着された弾性筒状部材9とから構成されている、弾性筒状部材9は、ゴムや弾性樹脂からなり、ホース4の先端に内径の小さな部分を形成している。根18は、取り付け管部3内に、より具体的には、弾性筒状部材9内に配置されている。図から明らかなように、根18の先端部は切断されており、切断面18aが形成されている。言い換えると、根18は切断面18aを取り付け管部3内に向けていることになる。
【0020】
締め付け部7は、金属又は樹脂からなるリング状の部材であり、自らが弾性的に管本体6を締め付けている。締め付け部3は、さらに詳細には、筒状の部材であり、一カ所がカットされて弾性変形可能になっている。締め付け部3の端部は起こされて延びており、そのため締め付け部7を広げる際の作業性が向上している。また、図3では端部同士はボルト等の締結部材によって固定されているが、このような締結部材は必ずしも無くてよい。そのため、管本体6の弾性筒状部材9は根18に対して密着している。このような構成によって、ホース4から供給された水は取り付け管部3において外に漏れることがなく、確実に根18に供給される。
【0021】
(3)作用効果
以上の構成において、バッグ2からの水分はホース4を通って取り付け管部3に供給される。水分は、取り付け管部3から根18を通って樹木11内に供給される。樹木11内では、水分は根18から他の根16,17を通り、幹12、枝13、葉14にこの順番で吸い上げられていく。水分は最終的に葉14から空気中に蒸発していく。このように、樹木11内には常に水分が供給されているため、樹木11は全体にみずみずしい状態を維持できる。このため、樹木11は定植後であっても、樹勢を回復して速やかに活着できる。又は、樹木11は樹勢を衰えることなく速やかに活着する。特に夏においても、水不足になることが無く、樹木11は健康な状態を保つことができる。
【0022】
・根18の先端を切断しているため、そうでない場合に比べて水分はより速やかに樹木11内に供給される。
・根18は生きており、若い根であるため、そうでない場合に比べて水分はより速やかに樹木11内に供給される。
・水分に樹木の栄養素が含まれている場合には、樹勢が速やかに回復する。特に、従来の栄養素の供給に比べて大量の水分を用いることができるため、濃度を薄くして樹木全体に行き渡らせることができる。また従来の方法に比べて確実に樹木全体に栄養素を供給できる。
【0023】
・水分に樹木の枯れ防止剤が樹木の根に供給されるため、樹木の枯死が確実に防止される。特に、従来の枯れ防止剤の供給に比べて大量の水分を用いることができるため、濃度を薄くして樹木全体に行き渡らせることができる。また、従来の方法に比べて確実に樹木全体に枯れ防止材を供給できる。
(4)装置取り付け方法
定植後の樹木の樹勢を判断し、健常でないと判断すると樹木への水分供給装置1を樹木に装着する。最初に、土を掘り起こし、取り付け管部3を装着する根18を選び出す。このとき選び出す基準は、1)生きている根、2)若い根であることが重要であり、さらに3)取り付け管部3の内径に合った大きさの根であることが必要である。次に、根18の先端をナイフ等の道具で切り、切断面18aを形成する。さらに、取り付け管部3を根18の先端に装着し、その状態で根18を土中に戻す。
【0024】
さらに、バッグ2を樹木11の枝13に掛ける。この状態で樹木への水分供給装置1から樹木11に水分が供給される。
(5)他の実施形態
本発明は前記実施形態に限定されず、発明の趣旨の範囲内で様々な変更が可能である。
【0025】
例えば、1本の樹木に対して取り付け管部は複数設けられていてもよい。その場合は、複数の取り付け管部から根に対して水分が供給されるため、樹木全体に対して確実に水分が供給される。
取り付け管部の根への装着は、樹木の定植前に行っても良い。
本発明は、古木の再生にも適用できる。その場合は、生きている根を掘り出してその先端に取り付け管部を装着することになる。すると、古木の生きている部分に水分や栄養素が十分に行き渡り、樹勢が回復する。
【0026】
【発明の効果】
本発明に係る樹木への水分供給装置及び方法では、樹木の根の先端に水分を供給しているため、樹木に対して効率よく水分が供給される。この結果、樹木の樹勢が速やかに回復する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての樹木への水分供給装置が樹木に取り付けられた状態を示す概略図。
【図2】取り付け管部の概略断面図。
【図3】取り付け管部の概略斜視図。
【符号の説明】
1 樹木への水分供給装置
2 バッグ(水分収納部)
3 取り付け管部
4 ホース(水分供給部)
11 樹木
12 幹
13 枝
14 葉
15 根
16 直根
17 主要な根
18 若い根
Claims (11)
- 樹木に効率よく水分を供給するための装置であって、
樹木の根の先端に取り付けられる取り付け管部と、
地表面より上方に設けられる水分収納部と、
前記水分収納部から前記取り付け管部に水分を供給するための水分供給部と、を備えた樹木への水分供給装置。 - 前記取り付け管部は、前記根の周りに配置される管本体と、前記管本体を前記根に対して締め付けるための締め付け部と有している、請求項1に記載の樹木への水分供給装置。
- 前記取り付け管部は複数設けられている、請求項1又は2に記載の樹木への水分供給装置。
- 前記水分収納部に収納された水分と樹木の栄養素をさらに備えている、請求項1〜3のいずれかに記載の樹木への水分供給装置。
- 前記水分収納部に収納された水分と樹木の枯れ防止剤をさらに備えている、請求項1〜3のいずれかに記載の樹木への水分供給装置。
- 樹木に効率よく水分を供給するための方法であって、
樹木の根の先端を切断する切断工程と、
切断された根の先端から水分を供給する水分供給工程と、
を備えた樹木への水分供給方法。 - 前記切断工程では、生きている根の先端を切断する、請求項6に記載の樹木への水分供給方法。
- 前記切断工程では、若い根の先端を切断する、請求項7に記載の樹木への水分供給方法。
- 前記切断工程では、樹木の複数の根の先端を切断し、
前記水分供給工程では、切断された複数の根の先端から水分を供給する、請求項6〜8のいずれかに記載の樹木への水分供給方法。 - 前記水分供給工程では、水分とともに樹木の栄養素を根の切断された先端に供給する、請求項6〜9のいずれかに記載の樹木への水分供給方法。
- 前記水分供給工程では、水分とともに樹木の枯れ防止剤を根の切断された先端に供給する、請求項6〜9のいずれかに記載の樹木への水分供給方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100986530B1 (ko) * | 2010-08-19 | 2010-10-07 | 박승관 | 산림조림용 물주머니 |
US8001723B2 (en) | 2005-09-29 | 2011-08-23 | Mitsubishi Heavy Industries, Inc. | Tool, system, method, and plant for promoting growth of seedling, seedling set for planting, and planting method |
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2003
- 2003-03-18 JP JP2003073658A patent/JP2004275123A/ja active Pending
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