JP2004274673A - Pll周波数シンセサイザ - Google Patents
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Abstract
【課題】発振周波数帯域を切り替え可能なPLL周波数シンセサイザについて、発振周波数帯域の変化にかかわらず一定のループ帯域幅を維持可能にし、特性の改善を図る。
【解決手段】PLL周波数シンセサイザ(10)に、電圧制御型発振器(15)の発振周波数帯域を切り替える帯域制御信号(BC)に基づいて、チャージポンプ電流(ICP)の量を制御する電流量制御回路(13)を設ける。ここで、チャージポンプ電流(ICP)の量を、電圧制御型発振器(15)の発振周波数帯域の高いときは小さく、低いときは大きくなるように、制御する。これにより、電圧制御型発振器(15)のゲインの変化分とチャージポンプ電流(ICP)の変化分とが相殺され、ループ帯域幅を一定に保つことができる。結果として、位相ノイズ特性やロックアップ時間のばらつきを低減することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】PLL周波数シンセサイザ(10)に、電圧制御型発振器(15)の発振周波数帯域を切り替える帯域制御信号(BC)に基づいて、チャージポンプ電流(ICP)の量を制御する電流量制御回路(13)を設ける。ここで、チャージポンプ電流(ICP)の量を、電圧制御型発振器(15)の発振周波数帯域の高いときは小さく、低いときは大きくなるように、制御する。これにより、電圧制御型発振器(15)のゲインの変化分とチャージポンプ電流(ICP)の変化分とが相殺され、ループ帯域幅を一定に保つことができる。結果として、位相ノイズ特性やロックアップ時間のばらつきを低減することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、PLL(Phase Locked Loop)周波数シンセサイザに関し、特に、広帯域のローカル信号を必要とする無線通信装置などに好適なPLL周波数シンセサイザの技術に属する。
【0002】
【従来の技術】
図12は、従来のPLL周波数シンセサイザの構成を示す。従来のPLL周波数シンセサイザ100において、位相比較器11は、基準クロックCKREFと帰還された分周クロックCKDIVとの位相差を比較し、その比較結果に基づいて信号UPおよびDNを出力する。そして、チャージポンプ回路120は、信号UPおよびDNに基づいてチャージポンプ電流ICPを出入する。
【0003】
図13は、チャージポンプ回路120およびチャージポンプバイアス回路130の回路構成を示す。チャージポンプバイアス回路130は、基準バイアス発生回路131において基準電流I0に基づいて基準バイアス電圧VREFを発生させ、それをカレントミラー回路で構成されたバイアス変換回路132に与えてバイアス制御信号VBPおよびVBNを生成し、チャージポンプ回路120に出力する。チャージポンプ回路120は、トランジスタTr121およびTr122にそれぞれ信号UPおよびDNを受けて、相補的に電流ICPPの吐き出しおよびICPNの吸引を行う。ここで、電流ICPPおよびICPNの量は、それぞれバイアス制御信号VBPおよびVBNを受けるバイアス制御トランジスタTr123およびTr124によって決定される。すなわち、チャージポンプ電流ICPの量は、チャージポンプバイアス回路130によって一定にされている。また、チャージポンプ回路120におけるトランジスタTr121〜Tr124およびチャージポンプバイアス回路130におけるトランジスタTr131〜Tr135のそれぞれのゲート幅およびゲート長は、電流ICPPおよびICPNの量が等しくなるように設定されている。
【0004】
一方、図12に戻り、ローパスフィルタ14は、チャージポンプ電流ICPの出入によって生じる電圧である発振周波数制御信号VTに含まれる高周波成分を除去するフィルタリングを行う。図14は、ローパスフィルタ14の回路構成を示す。同図に示すように、ローパスフィルタ14として、たとえば、3次の受動型フィルタを用いることができる。
【0005】
図12に戻り、電圧制御型発振器15は、PLL周波数シンセサイザ100の出力クロックCKOUTを生成する。近年、無線通信装置などにおいて利用される周波数帯域の高周波化が進み、これに伴い、出力クロックCKOUTを広帯域化する必要が生じている。このため、電圧制御型発振器15として、複数の発振周波数帯域を有し、帯域制御信号BCによって発振周波数帯域を切り替え可能なものが好んで用いられている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0006】
図15は、電圧制御型発振器15の回路構成を示す。電圧制御型発振器15において、発振ノードOUTAおよびOUTBのそれぞれに付加される付加容量値Coffsetは、帯域制御信号BCであるビット信号[BIT0,BIT1]の論理レベルが[L,L]のとき0、[L,H]のときCf0、[H,L]のときCf1、そして[H,H]のときCf0+Cf1となる。ここで、Cf0<Cf1である。これにより、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域を、帯域制御信号BCに基づいて切り替えることができる。また、発振周波数は、各発振周波数帯域において、発振周波数制御信号VTに応じて連続的に変化する(図16(a)参照)。
【0007】
一方、図12に戻り、プログラマプル分周器16は、設定された分周比で出力クロックCKOUTを分周し、分周クロックCKDIVを位相比較器11にフィードバックする。したがって、出力クロックCKOUTの周波数fOUTと基準クロックCKREFの周波数fREFとの関係は、プログラマブル分周器16において設定された分周比をNとすると、
fOUT=N×fREF
となる。
【0008】
以上のように、PLL周波数シンセサイザ100は、帯域制御信号BCおよび発振周波数制御信号VTに基づいて、出力クロックCKOUTの周波数fOUTを変化させる。そして、PLL周波数シンセサイザ100を内蔵した無線通信装置などでは、基準クロックCKREFの周波数fREFおよび/または分周比Nを変化させて所望の周波数fOUTの出力クロックCKOUTを得、これをローカル信号として、無線信号の送受信を行っている。
【0009】
【非特許文献1】
キム(Bo−Eun Kim)、外9名、「デジタル放送システム用の直接変換型衛星受信機のCMOS単一チップ(A CMOS Single−chip Direct Conversion Satellite Receiver for Digital Broadcasting System)」、“ISSCC Digest of Technical Papers”,米国,ISSCC(International Solid−State Circuits Conference),2002年2月,p.238−241
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のPLL周波数シンセサイザ100における電圧制御型発振器15の発振周波数fVCOの特性は、次式(1)のようになる。
【数1】
【0011】
ここで、Lはインダクタ151のインダクタ値、CV(VT)は可変容量152の発振周波数制御信号VTに応じた容量値、Coffsetは帯域制御信号BCに基づいて付加される付加容量値、そしてCPは発振ノードOUTAおよびOUTBに付加される各種トランジスタや配線などの寄生容量値である。
【0012】
また、電圧制御型発振器15のゲインKVCOは、次式(2)のようになる。
【数2】
【0013】
そして、PLL周波数シンセサイザ100のループ特性であるループ帯域幅ωcは、次式(3)のようになる。
【数3】
【0014】
ここで、ICPはチャージポンプ電流の量、Nはプログラマブル分周器16において設定された分周比、そしてRZ,CZおよびCPはローパスフィルタ14を構成する抵抗素子の抵抗値および2個の容量素子の容量値である(図14参照)。
【0015】
式(2)において、発振周波数帯域が高周波になるに従って、付加容量値Cof fsetは減少する。しかし、dCV(VT)/dVTは、発振周波数帯域の高低にかかわらず一定である。したがって、電圧制御型発振器15のゲインKVCOは、発振周波数帯域が低いときは小さく、高いときは大きくなるという特性を示す(図16(b)参照)。
【0016】
一方、式(3)において、チャージポンプ電流の量ICPは、上述したように、発振周波数帯域の高低にかかわらず一定である(図16(c)参照)。また、ゲインKVCOおよび分周比Nは、発振周波数帯域が低周波帯域のときは小さく、高周波帯域のときは大きくなる。しかし、式(1)および(2)からわかるように、ゲインKVCOの変化率の方が、分周比Nの変化率よりも大きい。したがって、PLL周波数シンセサイザ100のループ帯域幅ωcは、実質的にはゲインKVCOに依存し、ゲインKVCOと同様の特性、すなわち、発振周波数帯域が低いときは小さく、高いときは大きくなるという特性を示す(図16(d)参照)。
【0017】
PLL周波数シンセサイザ100の位相ノイズ特性は、ループ帯域幅ωcの変動によって直接的に影響を受ける。すなわち、位相ノイズ特性は、ループ帯域幅ωc以下の周波数帯域における位相ノイズを抑制するというものであるため、発振周波数帯域によってループ帯域幅ωcが異なってしまうと、位相ノイズ特性もまた異なってしまうこととなる。特に、発振周波数帯域の下降に伴い、低オフセット周波数部分の特性が劣化する(図16(e)参照)。また、ロックアップ時間についても発振周波数帯域によってばらつきが生じてしまい、好ましくない。
【0018】
上記の問題に鑑み、本発明は、PLL周波数シンセサイザについて、発振周波数帯域の変化にかかわらず一定のループ帯域幅を維持可能にして、特性の改善を図ることを課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明が講じた手段は、与えられたクロックに対して所定の周波数比となるクロックを出力するPLL周波数シンセサイザとして、前記与えられたクロックと当該PLL周波数シンセサイザにおいて帰還されたクロックとの位相比較結果に基づいて、与えられたバイアス制御信号に基づいた量のチャージポンプ電流を出入するチャージポンプ回路と、当該PLL周波数シンセサイザが出力するクロックを生成し、かつ、帯域制御信号を受け、発振周波数帯域を、前記帯域制御信号によって指示された周波数帯域に切り替えるとともに、切り替えた発振周波数帯域において、前記チャージポンプ電流に基づいて発振周波数を変化させる発振器と、前記帯域制御信号を受け、前記帯域制御信号が相対的に高い周波数帯域を指示したとき、前記チャージポンプ電流の量が相対的に小さくなるようにする一方、前記帯域制御信号が相対的に低い周波数帯域を指示したとき、前記チャージポンプ電流の量が相対的に大きくなるように、前記バイアス制御信号を生成する電流量制御回路とを備えたものとする。
【0020】
本発明によると、発振器の発振周波数帯域が高周波帯域になるとチャージポンプ電流の量が小さくなり、発振器の発振周波数帯域が低周波帯域になるとチャージポンプ電流の量が大きくなる。PLL周波数シンセサイザのループ帯域幅には、チャージポンプ電流の量に比例するとともに、発振器の発振周波数帯域が低周波帯域のときは小さく、発振器の発振周波数帯域が高周波帯域のときは大きくなるという特性がある。したがって、上記のようにチャージポンプ電流の量を変化させることによって、チャージポンプ電流の量の変化分と発振器の発振周波数帯域の変化分とが相殺され、発振周波数帯域の変化にかかわらず一定のループ帯域幅を維持することができる。これにより、位相ノイズ特性やロックアップ時間などの特性が改善される。
【0021】
好ましくは、前記電流量制御回路は、前記帯域制御信号に基づいて、前記バイアス制御信号のアナログ量を変化させるものであり、前記チャージポンプ回路は、前記バイアス制御信号のアナログ量の変化に応じて、前記チャージポンプ電流の量を変化させるものであるとする。
【0022】
具体的には、この場合における電流量制御回路は、並列に接続され、前記バイアス制御信号のアナログ量を制御する複数のトランジスタを有し、前記帯域制御信号に基づいて、前記複数のトランジスタのそれぞれについて、活性・非活性を切り替えるものとする。
【0023】
また、好ましくは、前記電流量制御回路は、前記帯域制御信号に基づいて、前記バイアス制御信号のデジタル値を変化させるものであり、前記チャージポンプ回路は、前記バイアス制御信号のデジタル値の変化に応じて、前記チャージポンプ電流の量を変化させるものであるとする。
【0024】
具体的には、この場合におけるチャージポンプ回路は、並列に接続され、前記チャージポンプ電流の量を制御する複数のトランジスタを有し、前記バイアス制御信号に基づいて、前記複数のトランジスタのそれぞれについて、活性・非活性を切り替えるものとする。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るPLL周波数シンセサイザの構成を示す。本発明に係るPLL周波数シンセサイザ10は、図12に示した従来のPLL周波数シンセサイザ100において、チャージポンプ回路120およびチャージポンプバイアス回路130を、それぞれチャージポンプ回路12および電流量制御回路13に置き換えた構成をしている。以下、本発明の実施の形態について、特に、チャージポンプ回路12および電流量制御回路13の構成のいくつかについて、図面を参照しながら説明する。なお、PLL周波数シンセサイザ10において、PLL周波数シンセサイザ100と同様の構成要素については、図12において付した符号で参照し、その説明を省略する。
【0026】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る電流量制御回路13である電流量制御回路13Aの回路構成を示す。本実施形態の電流量制御回路13Aは、基準バイアス電圧VREFを発生させる基準バイアス発生回路131と、デコード信号BIT00,BIT01,BIT10およびBIT11に基づいて、基準バイアス電圧VREFを変換して、バイアス制御信号VBPおよびVBNを生成するバイアス変換回路132Aと、帯域制御信号BCであるビット信号BIT0およびBIT1をデコードし、デコード信号BIT00〜BIT11を生成するデコーダ回路133Aとを備えている。なお、本実施形態に係るチャージポンプ回路12は、従来のチャージポンプ回路120と同様の構成をしている。
【0027】
バイアス変換回路132Aは、並列に接続され、スイッチ134を介して基準バイアス電圧VREFをゲートに受けるトランジスタTr135,Tr136,Tr137およびTr138を有する。スイッチ134は、各デコード信号BIT00〜BIT11の論理レベルに応じて、電源電圧Vddおよび入力とする基準バイアス電圧VREFのいずれか一方を出力する。
【0028】
スイッチ134は、たとえば、図3に示した回路構成で実現することができる。この回路構成によると、コントロール端子Cに論理レベル“H”(高位電圧)が入力されると、入力端子INと出力端子OUTとが導通する一方、コントロール端子Cに論理レベル“L”(低位電圧)が入力されると、入力端子INと出力端子OUTとが非導通となり、出力端子OUTからの出力が電源電圧Vddに固定される。
【0029】
トランジスタTr135〜Tr138については、ゲートに基準バイアス電圧VREFが与えられたときのそれぞれの相互コンダクタンスをgm135〜gm138としたとき、gm135>gm136>gm137>gm138となるように構成しておく。具体的には、トランジスタTr135〜Tr138のそれぞれのゲート幅をW135〜W138、ゲート長をL135〜L138としたとき、W135/L135<W136/L136<W137/L137<W138/L138となるようにする。
【0030】
デコーダ回路133Aについては、図4に示した真理値表に従って、帯域制御信号BCをデコードするように構成しておく。したがって、帯域制御信号BCに基づいて、トランジスタTr135〜Tr138のいずれか一つが活性化し、その活性化したトランジスタの特性に応じたバイアス制御信号VBPおよびVBNが生成される。
【0031】
ここで、帯域制御信号BCが示す値が大きくなるに従って、すなわち、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くなるに従って、バイアス制御信号VBPおよびVBNのアナログ量(電圧)が増加する。そして、バイアス制御信号VBPおよびVBNのアナログ量が増加すると、チャージポンプ電流ICPの量は増加する。したがって、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は増加する。換言すると、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が高くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は減少する。
【0032】
図5は、PLL周波数シンセサイザ10の各種特性グラフである。同図中(a)は、電圧制御型発振器15の発振周波数特性を示す。また、(b)は、電圧制御型発振器15のゲイン特性を示す。これら特性は従来と同様である。一方、(c)は、チャージポンプ電流ICPの特性を示す。上述したように、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は増加する。そして、電圧制御型発振器15のゲインKVCOの変化分とチャージポンプ電流ICPの量の変化分とが相殺され、PLL周波数シンセサイザ10のループ帯域幅ωcは、発振周波数帯域の高低にかかわらず一定となる(図5(d)参照)。この結果、PLL周波数シンセサイザ10の位相ノイズ特性は、発振周波数帯域の高低にかかわらず一様となる(図5(e)参照)。
【0033】
以上、本実施形態によると、PLL周波数シンセサイザ10の発振周波数帯域が変化しても、ループ帯域幅を一定に維持することができる。これにより、PLL周波数シンセサイザ10において、発振周波数帯域の変化による位相ノイズ特性のばらつきを解消することができる。また、PLL周波数シンセサイザ10のロックアップ時間についても、ばらつきを解消することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る電流量制御回路13である電流量制御回路13Bの回路構成を示す。なお、本実施形態の電流量制御回路13Bにおいて、第1の実施形態に係る電流量制御回路13Aと同様の構成要素については、図2において付した符号で参照し、その説明を省略する。
【0035】
本実施形態の電流量制御回路13Bは、基準バイアス電圧VREFを発生させる基準バイアス発生回路131と、デコード信号BIT00,BIT01およびBIT10に基づいて、基準バイアス電圧VREFを変換して、バイアス制御信号VBPおよびVBNを生成するバイアス変換回路132Bと、帯域制御信号BCであるビット信号BIT0およびBIT1をデコードし、デコード信号BIT00〜BIT10を生成するデコーダ回路133Bとを備えている。なお、本実施形態に係るチャージポンプ回路12は、従来のチャージポンプ回路120と同様の構成をしている。
【0036】
バイアス変換回路132Bは、基準バイアス電圧VREFをゲートに受けるトランジスタTr135、ならびにスイッチ134を介して基準バイアス電圧VREFをゲートに受けるトランジスタTr136,Tr137およびTr138を有する。これらトランジスタTr135〜Tr138は、並列に接続されている。なお、スイッチ134は、上述した通りである。
【0037】
トランジスタTr136〜Tr138については、ゲートに基準バイアス電圧VREFが与えられたときのそれぞれの相互コンダクタンスをgm136〜gm138としたとき、gm136>gm137>gm138となるように構成しておく。具体的には、トランジスタTr136〜Tr138のそれぞれのゲート幅をW136〜W138、ゲート長をL136〜L138としたとき、W136/L136<W137/L137<W138/L138となるようにする。
【0038】
デコーダ回路133Bについては、図7に示した真理値表に従って、帯域制御信号BCをデコードするように構成しておく。したがって、帯域制御信号BCに基づいて、トランジスタTr136〜Tr138のいずれか一つが活性化する。ここで、トランジスタTr135は、基準バイアス電圧VREFを受けて活性化している。したがって、トランジスタTr135の活性化によって生じる電流に、デコード信号BIT00〜BIT10に応じてそれぞれ活性化したトランジスタTr136〜Tr138によって生じる電流が加算され、これらの合計電流に応じたバイアス制御信号VBPおよびVBNが生成される。
【0039】
ここで、帯域制御信号BCが示す値が大きくなるに従って、バイアス制御信号VBPおよびVBNのアナログ量(電圧)が増加する。したがって、上述したように、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くまたは高くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は増加または減少する。なお、本実施形態のPLL周波数シンセサイザの特性は、図5に示したグラフのようになる。
【0040】
以上、本実施形態によると、PLL周波数シンセサイザ10の発振周波数帯域が変化しても、ループ帯域幅を一定に維持することができる。しかも、第1の実施形態と比較して、電流量制御回路13Bにおいて必要とするスイッチ134の個数が少なくて済み、第1の実施形態よりも回路規模を縮小することができる。
【0041】
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態に係る電流量制御回路13である電流量制御回路13Cの回路構成を示す。なお、本実施形態の電流量制御回路13Cにおいて、第1の実施形態に係る電流量制御回路13Aと同様の構成要素については、図2において付した符号で参照し、その説明を省略する。
【0042】
本実施形態の電流量制御回路13Cは、基準バイアス電圧VREFを発生させる基準バイアス発生回路131と、帯域制御信号BCであるビット信号BIT0およびBIT1に基づいて、基準バイアス電圧VREFを変換して、相当するバイアス制御信号VBPおよびVBNを生成するバイアス変換回路132Cとを備えている。なお、本実施形態に係るチャージポンプ回路12は、従来のチャージポンプ回路120と同様の構成をしている。
【0043】
バイアス変換回路132Cは、基準バイアス電圧VREFをゲートに受けるトランジスタTr135、ならびにスイッチ134を介して基準バイアス電圧VREFをゲートに受けるトランジスタTr136およびTr137を有する。これらトランジスタTr135〜Tr137は、並列に接続されている。なお、スイッチ134は、上述した通りである。
【0044】
トランジスタTr136およびTr137については、ゲートに基準バイアス電圧VREFが与えられたときのそれぞれの相互コンダクタンスをgm136およびgm137としたとき、gm136>gm137となるように構成しておく。具体的には、トランジスタTr136およびTr137のそれぞれのゲート幅をW136およびW137、ゲート長をL136およびL137としたとき、W136/L136<W137/L137となるようにする。
【0045】
バイアス変換回路132Cにおいて、トランジスタTr135は、基準バイアス電圧VREFを受けて活性化している。したがって、トランジスタTr135の活性化によって生じる電流に、ビット信号BIT0およびBIT1に応じてそれぞれ活性化したトランジスタTr136およびTr137によって生じる電流が加算され、これらの合計電流に応じたバイアス制御信号VBPおよびVBNが生成される。
【0046】
ここで、帯域制御信号BCが示す値が大きくなるに従って、バイアス制御信号VBPおよびVBNのアナログ量(電圧)が増加する。したがって、上述したように、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くまたは高くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は増加または減少する。なお、本実施形態のPLL周波数シンセサイザの特性は、図5に示したグラフのようになる。
【0047】
以上、本実施形態によると、PLL周波数シンセサイザ10の発振周波数帯域が変化しても、ループ帯域幅を一定に維持することができる。しかも、第2の実施形態と比較して、帯域制御信号BCのデコード回路が不要であり、かつ、電流量制御回路13Cにおいて必要とするスイッチ134の個数がさらに少なくて済み、第2の実施形態よりも回路規模をさらに縮小することができる。
【0048】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態に係る電流量制御回路13である電流量制御回路13Dの回路構成を示す。なお、本実施形態の電流量制御回路13Dにおいて、第1の実施形態に係る電流量制御回路13Aと同様の構成要素については、図2において付した符号で参照し、その説明を省略する。
【0049】
本実施形態の電流量制御回路13Dは、基準バイアス発生回路131と、基準バイアス電圧VREFを変換し、デコード信号BIT00,BIT01,BIT10およびBIT11に基づいて、バイアス制御信号VBPおよびVBNを生成するバイアス変換回路132Dと、帯域制御信号BCであるビット信号BIT0およびBIT1をデコードし、デコード信号BIT00〜BIT11を生成するデコーダ回路133Aとを備えている。
【0050】
バイアス変換回路132Dは、図13に示した従来のバイアス変換回路132の後段に、デコード信号BIT00〜BIT11に対応したスイッチ134および135をそれぞれ4個ずつ備えている。そして、バイアス制御信号VBPを、デコード信号BIT00〜BIT11に対応したビット信号VP0,VP1,VP2およびVP3で表されるデジタル値で出力するとともに、バイアス制御信号VBNを、デコード信号BIT00〜BIT11に対応したビット信号VN0,VN1,VN2およびVN3で表されるデジタル値で出力する。なお、スイッチ134は、上述した通りである。
【0051】
スイッチ135は、たとえば、図10に示した回路構成で実現することができる。この回路構成によると、コントロール端子Cに論理レベル“H”(高位電圧)が入力されると、入力端子INと出力端子OUTとが導通する一方、コントロール端子Cに論理レベル“L”(低位電圧)が入力されると、入力端子INと出力端子OUTとが非導通となり、出力端子OUTからの出力が基準電圧Vssに固定される。
【0052】
また、図11は、本実施形態に係るチャージポンプ回路12の回路構成を示す。チャージポンプ回路12は、並列に接続され、バイアス制御信号VBPであるビット信号VP0〜VP3をそれぞれゲートに受けるバイアス制御トランジスタTr123a,Tr123b,Tr123cおよびTr123d、ならびに、並列に接続され、バイアス制御信号VBNであるビット信号VN0〜VN3をそれぞれゲートに受けるバイアス制御トランジスタTr124a,Tr124b,Tr124cおよびTr124dを備えている。
【0053】
バイアス制御トランジスタTr123a〜Tr123dについては、ゲートに基準バイアス電圧VBP0が与えられたときのそれぞれの相互コンダクタンスをgm123a〜gm123dとしたとき、gm123a>gm123b>gm123c>gm123dとなるように構成しておく。具体的には、トランジスタTr123a〜Tr123dのそれぞれのゲート幅をW123a〜W123d、ゲート長をL123a〜L123dとしたとき、W123a/L123a<W123b/L123b<W123c/L123c<W123d/L123dとなるようにする。バイアス制御トランジスタTr124a〜Tr124dについてもこれと同様である。
【0054】
デコーダ回路133Aについては、図4に示した真理値表に従って、帯域制御信号BCをデコードするように構成しておく。したがって、帯域制御信号BCに基づいて、スイッチ134および135のいずれか一つずつが導通状態となってビット信号VP0〜VP3のいずれかとビット信号VN0〜VN3のいずれかとが論理レベル“H”となり、それに対応するバイアス制御トランジスタTr123a〜Tr123dおよびTr124a〜Tr124dのいずれか一つずつが活性化し、その活性化したトランジスタの特性に応じたチャージポンプ電流ICPが生成される。
【0055】
ここで、帯域制御信号BCが示す値が大きくなるに従って、すなわち、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くなるに従って、バイアス制御信号VBPおよびVBNのデジタル値が増加する。ただし、ここで、ビット信号VP3およびVN3が上位ビットであるとする。そして、バイアス制御信号VBPおよびVBNのデジタル値が増加すると、チャージポンプ電流ICPの量は増加する。したがって、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は増加する。換言すると、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が高くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は減少する。なお、本実施形態のPLL周波数シンセサイザの特性は、図5に示したグラフのようになる。
【0056】
以上、本実施形態によると、PLL周波数シンセサイザ10の発振周波数帯域が変化しても、ループ帯域幅を一定に維持することができる。そして、第1から3の実施形態では、バイアス制御信号VBPおよびVBNの電圧を変化させているのに対して、本実施形態では、バイアス制御信号VBPおよびVBNの電圧を一定にして、そのデジタル値を変化させることによってチャージポンプ電流ICPを変化させている。これにより、チャージポンプ電流ICPの量の大小にかかわらず、バイアス制御トランジスタTr123a〜Tr123dとトランジスタTr121と間の電圧変化、およびバイアス制御トランジスタTr124a〜Tr124dとトランジスタTr122と間の電圧変化を抑制することができ、チャージポンプ回路12の入出力特性を安定化させることができる。
【0057】
なお、本実施形態は、第2の実施形態と同様に、スイッチ134および135の個数を削減するように構成を変更することが可能である。また、第3の実施形態と同様に、スイッチ134および135の個数を削減するとともに、バイアス変換回路132Dにおけるデコーダ133Aを省略する構成に変更することも可能である。
【0058】
また、以上の説明では、帯域制御信号BCは、2ビットの信号であるとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。帯域制御信号BCが1ビットあるいは3ビット以上の信号であっても、本発明によって上記と同様の効果を得ることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、PLL周波数シンセサイザについて、発振周波数帯域の変化にかかわらず、一定のループ帯域幅を維持することができる。これにより、位相ノイズ特性やロックアップ時間などのばらつきを低減することができ、広帯域に渡って所望の特性を維持するPLL周波数シンセサイザを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るPLL周波数シンセサイザの構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電流量制御回路の回路図である。
【図3】図2の電流量制御回路におけるスイッチの回路図である。
【図4】図2の電流量制御回路におけるデコーダ回路のデコード真理値表である。
【図5】本発明に係るPLL周波数シンセサイザの各種特性グラフである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電流量制御回路の回路図である。
【図7】図6の電流量制御回路におけるデコーダ回路のデコード真理値表である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る電流量制御回路の回路図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る電流量制御回路の回路図である。
【図10】図9の電流量制御回路におけるスイッチの回路図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係るチャージポンプ回路の回路図である。
【図12】従来のPLL周波数シンセサイザの構成図である。
【図13】図12のPLL周波数シンセサイザにおけるチャージポンプ回路およびチャージポンプバイアス回路の回路図である。
【図14】図12のPLL周波数シンセサイザにおけるローパスフィルタの回路図である。
【図15】図12のPLL周波数シンセサイザにおける電圧制御型発振器の回路図である。
【図16】図12のPLL周波数シンセサイザの各種特性グラフである。
【符号の説明】
10 PLL周波数シンセサイザ
12 チャージポンプ回路
13,13A〜13D 電流量制御回路
15 電圧制御型発振器(発振器)
Tr135〜Tr138 トランジスタ(バイアス制御信号のアナログ量を制御する複数のトランジスタ)
Tr123a〜Tr123d,Tr124a〜Tr124d バイアス制御トランジスタ(チャージポンプ電流の量を制御する複数のトランジスタ)
VBP,VBN バイアス制御信号
BC 帯域制御信号
【発明の属する技術分野】
本発明は、PLL(Phase Locked Loop)周波数シンセサイザに関し、特に、広帯域のローカル信号を必要とする無線通信装置などに好適なPLL周波数シンセサイザの技術に属する。
【0002】
【従来の技術】
図12は、従来のPLL周波数シンセサイザの構成を示す。従来のPLL周波数シンセサイザ100において、位相比較器11は、基準クロックCKREFと帰還された分周クロックCKDIVとの位相差を比較し、その比較結果に基づいて信号UPおよびDNを出力する。そして、チャージポンプ回路120は、信号UPおよびDNに基づいてチャージポンプ電流ICPを出入する。
【0003】
図13は、チャージポンプ回路120およびチャージポンプバイアス回路130の回路構成を示す。チャージポンプバイアス回路130は、基準バイアス発生回路131において基準電流I0に基づいて基準バイアス電圧VREFを発生させ、それをカレントミラー回路で構成されたバイアス変換回路132に与えてバイアス制御信号VBPおよびVBNを生成し、チャージポンプ回路120に出力する。チャージポンプ回路120は、トランジスタTr121およびTr122にそれぞれ信号UPおよびDNを受けて、相補的に電流ICPPの吐き出しおよびICPNの吸引を行う。ここで、電流ICPPおよびICPNの量は、それぞれバイアス制御信号VBPおよびVBNを受けるバイアス制御トランジスタTr123およびTr124によって決定される。すなわち、チャージポンプ電流ICPの量は、チャージポンプバイアス回路130によって一定にされている。また、チャージポンプ回路120におけるトランジスタTr121〜Tr124およびチャージポンプバイアス回路130におけるトランジスタTr131〜Tr135のそれぞれのゲート幅およびゲート長は、電流ICPPおよびICPNの量が等しくなるように設定されている。
【0004】
一方、図12に戻り、ローパスフィルタ14は、チャージポンプ電流ICPの出入によって生じる電圧である発振周波数制御信号VTに含まれる高周波成分を除去するフィルタリングを行う。図14は、ローパスフィルタ14の回路構成を示す。同図に示すように、ローパスフィルタ14として、たとえば、3次の受動型フィルタを用いることができる。
【0005】
図12に戻り、電圧制御型発振器15は、PLL周波数シンセサイザ100の出力クロックCKOUTを生成する。近年、無線通信装置などにおいて利用される周波数帯域の高周波化が進み、これに伴い、出力クロックCKOUTを広帯域化する必要が生じている。このため、電圧制御型発振器15として、複数の発振周波数帯域を有し、帯域制御信号BCによって発振周波数帯域を切り替え可能なものが好んで用いられている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0006】
図15は、電圧制御型発振器15の回路構成を示す。電圧制御型発振器15において、発振ノードOUTAおよびOUTBのそれぞれに付加される付加容量値Coffsetは、帯域制御信号BCであるビット信号[BIT0,BIT1]の論理レベルが[L,L]のとき0、[L,H]のときCf0、[H,L]のときCf1、そして[H,H]のときCf0+Cf1となる。ここで、Cf0<Cf1である。これにより、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域を、帯域制御信号BCに基づいて切り替えることができる。また、発振周波数は、各発振周波数帯域において、発振周波数制御信号VTに応じて連続的に変化する(図16(a)参照)。
【0007】
一方、図12に戻り、プログラマプル分周器16は、設定された分周比で出力クロックCKOUTを分周し、分周クロックCKDIVを位相比較器11にフィードバックする。したがって、出力クロックCKOUTの周波数fOUTと基準クロックCKREFの周波数fREFとの関係は、プログラマブル分周器16において設定された分周比をNとすると、
fOUT=N×fREF
となる。
【0008】
以上のように、PLL周波数シンセサイザ100は、帯域制御信号BCおよび発振周波数制御信号VTに基づいて、出力クロックCKOUTの周波数fOUTを変化させる。そして、PLL周波数シンセサイザ100を内蔵した無線通信装置などでは、基準クロックCKREFの周波数fREFおよび/または分周比Nを変化させて所望の周波数fOUTの出力クロックCKOUTを得、これをローカル信号として、無線信号の送受信を行っている。
【0009】
【非特許文献1】
キム(Bo−Eun Kim)、外9名、「デジタル放送システム用の直接変換型衛星受信機のCMOS単一チップ(A CMOS Single−chip Direct Conversion Satellite Receiver for Digital Broadcasting System)」、“ISSCC Digest of Technical Papers”,米国,ISSCC(International Solid−State Circuits Conference),2002年2月,p.238−241
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のPLL周波数シンセサイザ100における電圧制御型発振器15の発振周波数fVCOの特性は、次式(1)のようになる。
【数1】
【0011】
ここで、Lはインダクタ151のインダクタ値、CV(VT)は可変容量152の発振周波数制御信号VTに応じた容量値、Coffsetは帯域制御信号BCに基づいて付加される付加容量値、そしてCPは発振ノードOUTAおよびOUTBに付加される各種トランジスタや配線などの寄生容量値である。
【0012】
また、電圧制御型発振器15のゲインKVCOは、次式(2)のようになる。
【数2】
【0013】
そして、PLL周波数シンセサイザ100のループ特性であるループ帯域幅ωcは、次式(3)のようになる。
【数3】
【0014】
ここで、ICPはチャージポンプ電流の量、Nはプログラマブル分周器16において設定された分周比、そしてRZ,CZおよびCPはローパスフィルタ14を構成する抵抗素子の抵抗値および2個の容量素子の容量値である(図14参照)。
【0015】
式(2)において、発振周波数帯域が高周波になるに従って、付加容量値Cof fsetは減少する。しかし、dCV(VT)/dVTは、発振周波数帯域の高低にかかわらず一定である。したがって、電圧制御型発振器15のゲインKVCOは、発振周波数帯域が低いときは小さく、高いときは大きくなるという特性を示す(図16(b)参照)。
【0016】
一方、式(3)において、チャージポンプ電流の量ICPは、上述したように、発振周波数帯域の高低にかかわらず一定である(図16(c)参照)。また、ゲインKVCOおよび分周比Nは、発振周波数帯域が低周波帯域のときは小さく、高周波帯域のときは大きくなる。しかし、式(1)および(2)からわかるように、ゲインKVCOの変化率の方が、分周比Nの変化率よりも大きい。したがって、PLL周波数シンセサイザ100のループ帯域幅ωcは、実質的にはゲインKVCOに依存し、ゲインKVCOと同様の特性、すなわち、発振周波数帯域が低いときは小さく、高いときは大きくなるという特性を示す(図16(d)参照)。
【0017】
PLL周波数シンセサイザ100の位相ノイズ特性は、ループ帯域幅ωcの変動によって直接的に影響を受ける。すなわち、位相ノイズ特性は、ループ帯域幅ωc以下の周波数帯域における位相ノイズを抑制するというものであるため、発振周波数帯域によってループ帯域幅ωcが異なってしまうと、位相ノイズ特性もまた異なってしまうこととなる。特に、発振周波数帯域の下降に伴い、低オフセット周波数部分の特性が劣化する(図16(e)参照)。また、ロックアップ時間についても発振周波数帯域によってばらつきが生じてしまい、好ましくない。
【0018】
上記の問題に鑑み、本発明は、PLL周波数シンセサイザについて、発振周波数帯域の変化にかかわらず一定のループ帯域幅を維持可能にして、特性の改善を図ることを課題とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明が講じた手段は、与えられたクロックに対して所定の周波数比となるクロックを出力するPLL周波数シンセサイザとして、前記与えられたクロックと当該PLL周波数シンセサイザにおいて帰還されたクロックとの位相比較結果に基づいて、与えられたバイアス制御信号に基づいた量のチャージポンプ電流を出入するチャージポンプ回路と、当該PLL周波数シンセサイザが出力するクロックを生成し、かつ、帯域制御信号を受け、発振周波数帯域を、前記帯域制御信号によって指示された周波数帯域に切り替えるとともに、切り替えた発振周波数帯域において、前記チャージポンプ電流に基づいて発振周波数を変化させる発振器と、前記帯域制御信号を受け、前記帯域制御信号が相対的に高い周波数帯域を指示したとき、前記チャージポンプ電流の量が相対的に小さくなるようにする一方、前記帯域制御信号が相対的に低い周波数帯域を指示したとき、前記チャージポンプ電流の量が相対的に大きくなるように、前記バイアス制御信号を生成する電流量制御回路とを備えたものとする。
【0020】
本発明によると、発振器の発振周波数帯域が高周波帯域になるとチャージポンプ電流の量が小さくなり、発振器の発振周波数帯域が低周波帯域になるとチャージポンプ電流の量が大きくなる。PLL周波数シンセサイザのループ帯域幅には、チャージポンプ電流の量に比例するとともに、発振器の発振周波数帯域が低周波帯域のときは小さく、発振器の発振周波数帯域が高周波帯域のときは大きくなるという特性がある。したがって、上記のようにチャージポンプ電流の量を変化させることによって、チャージポンプ電流の量の変化分と発振器の発振周波数帯域の変化分とが相殺され、発振周波数帯域の変化にかかわらず一定のループ帯域幅を維持することができる。これにより、位相ノイズ特性やロックアップ時間などの特性が改善される。
【0021】
好ましくは、前記電流量制御回路は、前記帯域制御信号に基づいて、前記バイアス制御信号のアナログ量を変化させるものであり、前記チャージポンプ回路は、前記バイアス制御信号のアナログ量の変化に応じて、前記チャージポンプ電流の量を変化させるものであるとする。
【0022】
具体的には、この場合における電流量制御回路は、並列に接続され、前記バイアス制御信号のアナログ量を制御する複数のトランジスタを有し、前記帯域制御信号に基づいて、前記複数のトランジスタのそれぞれについて、活性・非活性を切り替えるものとする。
【0023】
また、好ましくは、前記電流量制御回路は、前記帯域制御信号に基づいて、前記バイアス制御信号のデジタル値を変化させるものであり、前記チャージポンプ回路は、前記バイアス制御信号のデジタル値の変化に応じて、前記チャージポンプ電流の量を変化させるものであるとする。
【0024】
具体的には、この場合におけるチャージポンプ回路は、並列に接続され、前記チャージポンプ電流の量を制御する複数のトランジスタを有し、前記バイアス制御信号に基づいて、前記複数のトランジスタのそれぞれについて、活性・非活性を切り替えるものとする。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るPLL周波数シンセサイザの構成を示す。本発明に係るPLL周波数シンセサイザ10は、図12に示した従来のPLL周波数シンセサイザ100において、チャージポンプ回路120およびチャージポンプバイアス回路130を、それぞれチャージポンプ回路12および電流量制御回路13に置き換えた構成をしている。以下、本発明の実施の形態について、特に、チャージポンプ回路12および電流量制御回路13の構成のいくつかについて、図面を参照しながら説明する。なお、PLL周波数シンセサイザ10において、PLL周波数シンセサイザ100と同様の構成要素については、図12において付した符号で参照し、その説明を省略する。
【0026】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る電流量制御回路13である電流量制御回路13Aの回路構成を示す。本実施形態の電流量制御回路13Aは、基準バイアス電圧VREFを発生させる基準バイアス発生回路131と、デコード信号BIT00,BIT01,BIT10およびBIT11に基づいて、基準バイアス電圧VREFを変換して、バイアス制御信号VBPおよびVBNを生成するバイアス変換回路132Aと、帯域制御信号BCであるビット信号BIT0およびBIT1をデコードし、デコード信号BIT00〜BIT11を生成するデコーダ回路133Aとを備えている。なお、本実施形態に係るチャージポンプ回路12は、従来のチャージポンプ回路120と同様の構成をしている。
【0027】
バイアス変換回路132Aは、並列に接続され、スイッチ134を介して基準バイアス電圧VREFをゲートに受けるトランジスタTr135,Tr136,Tr137およびTr138を有する。スイッチ134は、各デコード信号BIT00〜BIT11の論理レベルに応じて、電源電圧Vddおよび入力とする基準バイアス電圧VREFのいずれか一方を出力する。
【0028】
スイッチ134は、たとえば、図3に示した回路構成で実現することができる。この回路構成によると、コントロール端子Cに論理レベル“H”(高位電圧)が入力されると、入力端子INと出力端子OUTとが導通する一方、コントロール端子Cに論理レベル“L”(低位電圧)が入力されると、入力端子INと出力端子OUTとが非導通となり、出力端子OUTからの出力が電源電圧Vddに固定される。
【0029】
トランジスタTr135〜Tr138については、ゲートに基準バイアス電圧VREFが与えられたときのそれぞれの相互コンダクタンスをgm135〜gm138としたとき、gm135>gm136>gm137>gm138となるように構成しておく。具体的には、トランジスタTr135〜Tr138のそれぞれのゲート幅をW135〜W138、ゲート長をL135〜L138としたとき、W135/L135<W136/L136<W137/L137<W138/L138となるようにする。
【0030】
デコーダ回路133Aについては、図4に示した真理値表に従って、帯域制御信号BCをデコードするように構成しておく。したがって、帯域制御信号BCに基づいて、トランジスタTr135〜Tr138のいずれか一つが活性化し、その活性化したトランジスタの特性に応じたバイアス制御信号VBPおよびVBNが生成される。
【0031】
ここで、帯域制御信号BCが示す値が大きくなるに従って、すなわち、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くなるに従って、バイアス制御信号VBPおよびVBNのアナログ量(電圧)が増加する。そして、バイアス制御信号VBPおよびVBNのアナログ量が増加すると、チャージポンプ電流ICPの量は増加する。したがって、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は増加する。換言すると、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が高くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は減少する。
【0032】
図5は、PLL周波数シンセサイザ10の各種特性グラフである。同図中(a)は、電圧制御型発振器15の発振周波数特性を示す。また、(b)は、電圧制御型発振器15のゲイン特性を示す。これら特性は従来と同様である。一方、(c)は、チャージポンプ電流ICPの特性を示す。上述したように、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は増加する。そして、電圧制御型発振器15のゲインKVCOの変化分とチャージポンプ電流ICPの量の変化分とが相殺され、PLL周波数シンセサイザ10のループ帯域幅ωcは、発振周波数帯域の高低にかかわらず一定となる(図5(d)参照)。この結果、PLL周波数シンセサイザ10の位相ノイズ特性は、発振周波数帯域の高低にかかわらず一様となる(図5(e)参照)。
【0033】
以上、本実施形態によると、PLL周波数シンセサイザ10の発振周波数帯域が変化しても、ループ帯域幅を一定に維持することができる。これにより、PLL周波数シンセサイザ10において、発振周波数帯域の変化による位相ノイズ特性のばらつきを解消することができる。また、PLL周波数シンセサイザ10のロックアップ時間についても、ばらつきを解消することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態に係る電流量制御回路13である電流量制御回路13Bの回路構成を示す。なお、本実施形態の電流量制御回路13Bにおいて、第1の実施形態に係る電流量制御回路13Aと同様の構成要素については、図2において付した符号で参照し、その説明を省略する。
【0035】
本実施形態の電流量制御回路13Bは、基準バイアス電圧VREFを発生させる基準バイアス発生回路131と、デコード信号BIT00,BIT01およびBIT10に基づいて、基準バイアス電圧VREFを変換して、バイアス制御信号VBPおよびVBNを生成するバイアス変換回路132Bと、帯域制御信号BCであるビット信号BIT0およびBIT1をデコードし、デコード信号BIT00〜BIT10を生成するデコーダ回路133Bとを備えている。なお、本実施形態に係るチャージポンプ回路12は、従来のチャージポンプ回路120と同様の構成をしている。
【0036】
バイアス変換回路132Bは、基準バイアス電圧VREFをゲートに受けるトランジスタTr135、ならびにスイッチ134を介して基準バイアス電圧VREFをゲートに受けるトランジスタTr136,Tr137およびTr138を有する。これらトランジスタTr135〜Tr138は、並列に接続されている。なお、スイッチ134は、上述した通りである。
【0037】
トランジスタTr136〜Tr138については、ゲートに基準バイアス電圧VREFが与えられたときのそれぞれの相互コンダクタンスをgm136〜gm138としたとき、gm136>gm137>gm138となるように構成しておく。具体的には、トランジスタTr136〜Tr138のそれぞれのゲート幅をW136〜W138、ゲート長をL136〜L138としたとき、W136/L136<W137/L137<W138/L138となるようにする。
【0038】
デコーダ回路133Bについては、図7に示した真理値表に従って、帯域制御信号BCをデコードするように構成しておく。したがって、帯域制御信号BCに基づいて、トランジスタTr136〜Tr138のいずれか一つが活性化する。ここで、トランジスタTr135は、基準バイアス電圧VREFを受けて活性化している。したがって、トランジスタTr135の活性化によって生じる電流に、デコード信号BIT00〜BIT10に応じてそれぞれ活性化したトランジスタTr136〜Tr138によって生じる電流が加算され、これらの合計電流に応じたバイアス制御信号VBPおよびVBNが生成される。
【0039】
ここで、帯域制御信号BCが示す値が大きくなるに従って、バイアス制御信号VBPおよびVBNのアナログ量(電圧)が増加する。したがって、上述したように、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くまたは高くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は増加または減少する。なお、本実施形態のPLL周波数シンセサイザの特性は、図5に示したグラフのようになる。
【0040】
以上、本実施形態によると、PLL周波数シンセサイザ10の発振周波数帯域が変化しても、ループ帯域幅を一定に維持することができる。しかも、第1の実施形態と比較して、電流量制御回路13Bにおいて必要とするスイッチ134の個数が少なくて済み、第1の実施形態よりも回路規模を縮小することができる。
【0041】
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態に係る電流量制御回路13である電流量制御回路13Cの回路構成を示す。なお、本実施形態の電流量制御回路13Cにおいて、第1の実施形態に係る電流量制御回路13Aと同様の構成要素については、図2において付した符号で参照し、その説明を省略する。
【0042】
本実施形態の電流量制御回路13Cは、基準バイアス電圧VREFを発生させる基準バイアス発生回路131と、帯域制御信号BCであるビット信号BIT0およびBIT1に基づいて、基準バイアス電圧VREFを変換して、相当するバイアス制御信号VBPおよびVBNを生成するバイアス変換回路132Cとを備えている。なお、本実施形態に係るチャージポンプ回路12は、従来のチャージポンプ回路120と同様の構成をしている。
【0043】
バイアス変換回路132Cは、基準バイアス電圧VREFをゲートに受けるトランジスタTr135、ならびにスイッチ134を介して基準バイアス電圧VREFをゲートに受けるトランジスタTr136およびTr137を有する。これらトランジスタTr135〜Tr137は、並列に接続されている。なお、スイッチ134は、上述した通りである。
【0044】
トランジスタTr136およびTr137については、ゲートに基準バイアス電圧VREFが与えられたときのそれぞれの相互コンダクタンスをgm136およびgm137としたとき、gm136>gm137となるように構成しておく。具体的には、トランジスタTr136およびTr137のそれぞれのゲート幅をW136およびW137、ゲート長をL136およびL137としたとき、W136/L136<W137/L137となるようにする。
【0045】
バイアス変換回路132Cにおいて、トランジスタTr135は、基準バイアス電圧VREFを受けて活性化している。したがって、トランジスタTr135の活性化によって生じる電流に、ビット信号BIT0およびBIT1に応じてそれぞれ活性化したトランジスタTr136およびTr137によって生じる電流が加算され、これらの合計電流に応じたバイアス制御信号VBPおよびVBNが生成される。
【0046】
ここで、帯域制御信号BCが示す値が大きくなるに従って、バイアス制御信号VBPおよびVBNのアナログ量(電圧)が増加する。したがって、上述したように、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くまたは高くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は増加または減少する。なお、本実施形態のPLL周波数シンセサイザの特性は、図5に示したグラフのようになる。
【0047】
以上、本実施形態によると、PLL周波数シンセサイザ10の発振周波数帯域が変化しても、ループ帯域幅を一定に維持することができる。しかも、第2の実施形態と比較して、帯域制御信号BCのデコード回路が不要であり、かつ、電流量制御回路13Cにおいて必要とするスイッチ134の個数がさらに少なくて済み、第2の実施形態よりも回路規模をさらに縮小することができる。
【0048】
(第4の実施形態)
図9は、本発明の第4の実施形態に係る電流量制御回路13である電流量制御回路13Dの回路構成を示す。なお、本実施形態の電流量制御回路13Dにおいて、第1の実施形態に係る電流量制御回路13Aと同様の構成要素については、図2において付した符号で参照し、その説明を省略する。
【0049】
本実施形態の電流量制御回路13Dは、基準バイアス発生回路131と、基準バイアス電圧VREFを変換し、デコード信号BIT00,BIT01,BIT10およびBIT11に基づいて、バイアス制御信号VBPおよびVBNを生成するバイアス変換回路132Dと、帯域制御信号BCであるビット信号BIT0およびBIT1をデコードし、デコード信号BIT00〜BIT11を生成するデコーダ回路133Aとを備えている。
【0050】
バイアス変換回路132Dは、図13に示した従来のバイアス変換回路132の後段に、デコード信号BIT00〜BIT11に対応したスイッチ134および135をそれぞれ4個ずつ備えている。そして、バイアス制御信号VBPを、デコード信号BIT00〜BIT11に対応したビット信号VP0,VP1,VP2およびVP3で表されるデジタル値で出力するとともに、バイアス制御信号VBNを、デコード信号BIT00〜BIT11に対応したビット信号VN0,VN1,VN2およびVN3で表されるデジタル値で出力する。なお、スイッチ134は、上述した通りである。
【0051】
スイッチ135は、たとえば、図10に示した回路構成で実現することができる。この回路構成によると、コントロール端子Cに論理レベル“H”(高位電圧)が入力されると、入力端子INと出力端子OUTとが導通する一方、コントロール端子Cに論理レベル“L”(低位電圧)が入力されると、入力端子INと出力端子OUTとが非導通となり、出力端子OUTからの出力が基準電圧Vssに固定される。
【0052】
また、図11は、本実施形態に係るチャージポンプ回路12の回路構成を示す。チャージポンプ回路12は、並列に接続され、バイアス制御信号VBPであるビット信号VP0〜VP3をそれぞれゲートに受けるバイアス制御トランジスタTr123a,Tr123b,Tr123cおよびTr123d、ならびに、並列に接続され、バイアス制御信号VBNであるビット信号VN0〜VN3をそれぞれゲートに受けるバイアス制御トランジスタTr124a,Tr124b,Tr124cおよびTr124dを備えている。
【0053】
バイアス制御トランジスタTr123a〜Tr123dについては、ゲートに基準バイアス電圧VBP0が与えられたときのそれぞれの相互コンダクタンスをgm123a〜gm123dとしたとき、gm123a>gm123b>gm123c>gm123dとなるように構成しておく。具体的には、トランジスタTr123a〜Tr123dのそれぞれのゲート幅をW123a〜W123d、ゲート長をL123a〜L123dとしたとき、W123a/L123a<W123b/L123b<W123c/L123c<W123d/L123dとなるようにする。バイアス制御トランジスタTr124a〜Tr124dについてもこれと同様である。
【0054】
デコーダ回路133Aについては、図4に示した真理値表に従って、帯域制御信号BCをデコードするように構成しておく。したがって、帯域制御信号BCに基づいて、スイッチ134および135のいずれか一つずつが導通状態となってビット信号VP0〜VP3のいずれかとビット信号VN0〜VN3のいずれかとが論理レベル“H”となり、それに対応するバイアス制御トランジスタTr123a〜Tr123dおよびTr124a〜Tr124dのいずれか一つずつが活性化し、その活性化したトランジスタの特性に応じたチャージポンプ電流ICPが生成される。
【0055】
ここで、帯域制御信号BCが示す値が大きくなるに従って、すなわち、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くなるに従って、バイアス制御信号VBPおよびVBNのデジタル値が増加する。ただし、ここで、ビット信号VP3およびVN3が上位ビットであるとする。そして、バイアス制御信号VBPおよびVBNのデジタル値が増加すると、チャージポンプ電流ICPの量は増加する。したがって、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が低くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は増加する。換言すると、電圧制御型発振器15の発振周波数帯域が高くなるに従って、チャージポンプ電流ICPの量は減少する。なお、本実施形態のPLL周波数シンセサイザの特性は、図5に示したグラフのようになる。
【0056】
以上、本実施形態によると、PLL周波数シンセサイザ10の発振周波数帯域が変化しても、ループ帯域幅を一定に維持することができる。そして、第1から3の実施形態では、バイアス制御信号VBPおよびVBNの電圧を変化させているのに対して、本実施形態では、バイアス制御信号VBPおよびVBNの電圧を一定にして、そのデジタル値を変化させることによってチャージポンプ電流ICPを変化させている。これにより、チャージポンプ電流ICPの量の大小にかかわらず、バイアス制御トランジスタTr123a〜Tr123dとトランジスタTr121と間の電圧変化、およびバイアス制御トランジスタTr124a〜Tr124dとトランジスタTr122と間の電圧変化を抑制することができ、チャージポンプ回路12の入出力特性を安定化させることができる。
【0057】
なお、本実施形態は、第2の実施形態と同様に、スイッチ134および135の個数を削減するように構成を変更することが可能である。また、第3の実施形態と同様に、スイッチ134および135の個数を削減するとともに、バイアス変換回路132Dにおけるデコーダ133Aを省略する構成に変更することも可能である。
【0058】
また、以上の説明では、帯域制御信号BCは、2ビットの信号であるとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。帯域制御信号BCが1ビットあるいは3ビット以上の信号であっても、本発明によって上記と同様の効果を得ることができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、PLL周波数シンセサイザについて、発振周波数帯域の変化にかかわらず、一定のループ帯域幅を維持することができる。これにより、位相ノイズ特性やロックアップ時間などのばらつきを低減することができ、広帯域に渡って所望の特性を維持するPLL周波数シンセサイザを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るPLL周波数シンセサイザの構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る電流量制御回路の回路図である。
【図3】図2の電流量制御回路におけるスイッチの回路図である。
【図4】図2の電流量制御回路におけるデコーダ回路のデコード真理値表である。
【図5】本発明に係るPLL周波数シンセサイザの各種特性グラフである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る電流量制御回路の回路図である。
【図7】図6の電流量制御回路におけるデコーダ回路のデコード真理値表である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る電流量制御回路の回路図である。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る電流量制御回路の回路図である。
【図10】図9の電流量制御回路におけるスイッチの回路図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係るチャージポンプ回路の回路図である。
【図12】従来のPLL周波数シンセサイザの構成図である。
【図13】図12のPLL周波数シンセサイザにおけるチャージポンプ回路およびチャージポンプバイアス回路の回路図である。
【図14】図12のPLL周波数シンセサイザにおけるローパスフィルタの回路図である。
【図15】図12のPLL周波数シンセサイザにおける電圧制御型発振器の回路図である。
【図16】図12のPLL周波数シンセサイザの各種特性グラフである。
【符号の説明】
10 PLL周波数シンセサイザ
12 チャージポンプ回路
13,13A〜13D 電流量制御回路
15 電圧制御型発振器(発振器)
Tr135〜Tr138 トランジスタ(バイアス制御信号のアナログ量を制御する複数のトランジスタ)
Tr123a〜Tr123d,Tr124a〜Tr124d バイアス制御トランジスタ(チャージポンプ電流の量を制御する複数のトランジスタ)
VBP,VBN バイアス制御信号
BC 帯域制御信号
Claims (5)
- 与えられたクロックに対して所定の周波数比となるクロックを出力するPLL周波数シンセサイザであって、
前記与えられたクロックと当該PLL周波数シンセサイザにおいて帰還されたクロックとの位相比較結果に基づいて、与えられたバイアス制御信号に基づいた量のチャージポンプ電流を出入するチャージポンプ回路と、
当該PLL周波数シンセサイザが出力するクロックを生成し、かつ、帯域制御信号を受け、発振周波数帯域を、前記帯域制御信号によって指示された周波数帯域に切り替えるとともに、切り替えた発振周波数帯域において、前記チャージポンプ電流に基づいて発振周波数を変化させる発振器と、
前記帯域制御信号を受け、前記帯域制御信号が相対的に高い周波数帯域を指示したとき、前記チャージポンプ電流の量が相対的に小さくなるようにする一方、前記帯域制御信号が相対的に低い周波数帯域を指示したとき、前記チャージポンプ電流の量が相対的に大きくなるように、前記バイアス制御信号を生成する電流量制御回路とを備えた
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。 - 請求項1に記載のPLL周波数シンセサイザにおいて、
前記電流量制御回路は、前記帯域制御信号に基づいて、前記バイアス制御信号のアナログ量を変化させるものであり、
前記チャージポンプ回路は、前記バイアス制御信号のアナログ量の変化に応じて、前記チャージポンプ電流の量を変化させるものである
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。 - 請求項2に記載のPLL周波数シンセサイザにおいて、
前記電流量制御回路は、並列に接続され、前記バイアス制御信号のアナログ量を制御する複数のトランジスタを有し、前記帯域制御信号に基づいて、前記複数のトランジスタのそれぞれについて、活性・非活性を切り替える
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。 - 請求項1に記載のPLL周波数シンセサイザにおいて、
前記電流量制御回路は、前記帯域制御信号に基づいて、前記バイアス制御信号のデジタル値を変化させるものであり、
前記チャージポンプ回路は、前記バイアス制御信号のデジタル値の変化に応じて、前記チャージポンプ電流の量を変化させるものである
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。 - 請求項4に記載のPLL周波数シンセサイザにおいて、
前記チャージポンプ回路は、並列に接続され、前記チャージポンプ電流の量を制御する複数のトランジスタを有し、前記バイアス制御信号に基づいて、前記複数のトランジスタのそれぞれについて、活性・非活性を切り替える
ことを特徴とするPLL周波数シンセサイザ。
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