JP2004274103A - 適応型変調伝送システム及び適応型変調制御方法 - Google Patents

適応型変調伝送システム及び適応型変調制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】適応型変調伝送システム及び適応型変調制御方法に関し、伝搬路状態とユーザ要求とに対応した変調パラメータとマルチコード数との組合せを割当てる。
【解決手段】送信局1は、送信データを変調パラメータに従って変調する信号変調部15と、マルチコード数に従ってコード多重化を行うコード多重部16と、要求伝送情報量に従ってマルチコード数を選択するコード多重制御部12と、変調パラメータとマルチコード数との組合せを適用する伝搬路品質の範囲を定める閾値を設定し、この閾値と、送信局1と受信局2との間の伝搬路品質情報とを比較した結果とコード多重制御部12からのマルチコード数とを基に、変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択して、信号変調部15に変調パラメータを加える適応変調制御部11とを備えている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変調方式を示す変調パラメータと多重度を示すマルチコード数との組合せを、伝搬路状態やユーザの要求等に対して、最適な伝送制御が可能となる適応型変調伝送システム及び適応型変調制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動通信システムに於いては、各種の要求伝送品質や要求伝送レートに従って効率良く通信を行うことが要望されている。このような要望に対しては、パケット伝送方式が適している。又移動通信システムに於ける基地局から各移動端末に対する下り回線については、大容量データを効率良く伝送することが要望されており、パケット伝送方式は、必要時のみパケットによりデータを送信し、又チャネルを複数のユーザが共有できる利点があるから、無線リソースを有効に利用することができる。
【0003】
又更に効率良くデータ伝送を行う為に、適応変調,スケジューラ,再送等の手段を適用することができる。又無線伝搬路は、時々刻々と伝搬路状態が変化するから、それに合わせた送信手段を用いることが望ましいことになる。一例としては、送信電力を制御する手段が知られている。例えば、伝搬路状態が悪い場合には送信電力を増加して、受信局側に於ける受信品質を或るレベルに保証する手段がある。その場合、他の受信局や隣接するセルに対する干渉特性が変化する。又送信電力を一定として、変調パラメータ(変調方式,符号化率,拡散率等)を伝搬路状態に合わせて変更する手段がある。これは、適応変調方式又は適応変復調方式と称されている。
【0004】
又送信データは、一般には、各種の多値変調方式により変調され、又誤り訂正符号化されている。変調多値数が多い程、又誤り訂正符号による符号化率が大きい程、伝送情報量が多くなる。その反面、伝送誤りに対する耐性が劣化する。そこで、伝搬路状態が良い場合に、変調多値数を多くし、符号化率を大きくすることにより、伝送情報量を増加して、伝送スループットを高くする。反対に、伝搬路状態が悪い場合、変調多値数を少なくし、符号化率を小さくすることにより、伝送情報量を少なくし、伝送誤り率の上昇を防止することができる。
【0005】
又適応変調方式に於いては、伝搬路状態に合わせてデータ送信を行うもので、送信時の伝搬路状態を識別することが必要となる。例えば、TDD(Time Division Duplex)システムでは、上下回線の周波数が同一であるから、上下回線の伝搬路状態は同一と見做すことができる。この為、例えば、基地局に於いて、移動局からの信号を用いて伝搬路品質(上り回線品質)を測定し、この品質値を伝搬路品質(下り回線品質)とすることができる。
【0006】
又FDD(Frequency Division Duplex)システムでは、上下回線の周波数が異なるから、上下回線の伝搬路状態は異なることになる。そこで、移動局に於いて測定した伝搬路品質を基地局へ通知し、基地局に於いて上下回線の伝搬路品質を認識する手段が知られている。その場合、移動局に於ける伝搬路品質測定時間と基地局への通知時間等の時間遅延が生じるから、測定伝搬路品質と、現伝搬路品質とが必ずしも一致しないことになる。この為、過去の伝搬路品質情報を基に、現伝搬路品質を予測する手段も提案されている。このような測定された伝搬路品質を基に、最適な変調パラメータを割り当てることが考えられている。
【0007】
変調パラメータとしては、変調多値数と符号化率が一般的であるが、符号分割多重アクセス方式(CDMA:Code Division MultipleAccess)等のデータを拡散処理して伝送するシステムに於いては、拡散率(プロセスゲインとも称されている)を変調パラメータとすることができる。このように、伝搬路の状態に合わせて変調パラメータを変更することにより、伝搬路状態に適合したデータ送信が可能となり、その結果、伝送誤り率の改善が可能となって、効率の良い伝送が可能となる(例えば、特許文献1又は非特許文献1参照)。
【0008】
又送信伝送量を増加させる手段として、1ユーザに対して複数のチャネルを割当てる手段が知られている。例えば、複数の周波数チャネルを割当てる手段や、複数の符号チャネルを割当てる手段がある。符号分割多重アクセス方式に於いては、1ユーザに対して、複数の符号(コード)チャネルを割当てるマルチコード伝送が一般的である。このマルチコード伝送は、2コードを使用することにより、伝送量を2倍とすることができる。この場合、使用するコードに直交符号を用いることにより、コード間の直交性が得られて、コード間の干渉を無くすことができる。又コード多重を行う場合、送信電力はコード多重数分増加する。例えば、2コード使用時に、送信電力は、1コード使用時の2倍となる。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−298369号公報
【非特許文献1】
S.Parkuall 他著「The Evolution of WCDMA Toward Higher Speed Downlink Packet Data Access」IEEE VTC2001−Spring
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
伝搬路状態に応じて変調パラメータを変更して送信する適応変調方式に於いて、更に送信マルチコード数を適応的に組合せることにより、一層柔軟な伝送量として送信することが可能となる。しかし、実際にマルチコード変調伝送を行う場合、マルチコードに対して直交符号を適用しても、伝搬路上に於ける例えばマルチパスの存在により、コード間の直交性が崩れてコード間の干渉が生じることがある。
【0011】
このように、マルチコード数の増加によるコード間の干渉が生じると、受信信号品質が劣化するから、より高い伝搬路品質が必要となる。信号品質の劣化の度合いは、マルチコード数によって異なり、コード数が多い程、受信信号品質の劣化の度合いは大きくなる。この為、伝搬路状態に応じて最適な変調パラメータを選択する場合に、マルチコード数の変更或いはユーザ間のマルチコード数の相違により、最適な変調パラメータを選択することが困難となる問題がある。
【0012】
本発明は、伝搬路品質に対応して最適な変調パラメータとマルチコード数との組合せの選択を可能とすることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の適応型変調伝送システムは、図1を参照して説明すると、基地局等の送信局1と移動局等の受信局2との間の伝搬路状態に応じて変調パラメータを変更し、伝送量に応じてマルチコード数を変更して伝送する適応型変調伝送システムに於いて、送信局1は、送信データを変調パラメータに従って変調する信号変調部15と、マルチコード数に従ってコード多重化を行うコード多重部16と、要求伝送情報量に従ってマルチコード数を選択するコード多重制御部12と、変調パラメータとマルチコード数との組合せを適用する伝搬路品質の範囲を定める閾値を設定し、この閾値と伝搬路品質情報とを比較した結果と前記コード多重制御部12からのマルチコード数とを基に、変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択して、信号変調部15に変調パラメータを加える適応変調制御部11とを備えている。
【0014】
又受信局2は、送信局1と受信局2との間の伝搬路品質を測定する測定部(SIR測定部23)と、この測定部により測定した伝搬路品質情報を送信局1へ通知する手段とを備え、送信局2は、要求伝送情報量に従ってマルチコード数を選択するコード多重制御部12と、変調パラメータとマルチコード数との組合せを適用する伝搬路品質の範囲を定める閾値を設定し、この閾値と受信局2から受信した伝搬路品質情報とを比較した結果とコード多重制御部12からのマルチコード数とを基に、変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択して信号変調部15に変調パラメータを加える適応変調制御部11とを備えている。
【0015】
又送信局1の適応変調制御部11は、変調パラメータとマルチコード数との複数の組合せの中から、要求伝送情報量を維持できる組合せをグループとし、このグループの中の組合せを切替える閾値を設定し、この閾値と伝搬路品質情報との比較結果に基づいて、グループの中の変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択する構成を備えることができる。
【0016】
又本発明の適応型変調制御方法は、送信局1と受信局2との間の伝搬路状態に応じて変調パラメータを変更し、伝送量に応じてマルチコード数を変更して伝送する適応型変調制御方法であって、変調パラメータとマルチコード数との組合せを適用する伝搬路品質の範囲を定める閾値を設定し、伝搬路品質の情報と閾値とを比較した結果により、変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択し、この組合せによる変調パラメータに従って送信データを変調し、且つマルチコード数に従ってコード多重化を行う過程を含むものである。
【0017】
又受信局2に於いて測定した伝搬路品質の情報を送信局1へ通知し、送信局1は、受信局2からの伝搬路品質情報と、変調パラメータとマルチコード数との組合せを適用する範囲を設定した閾値と比較して、変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択し、この組合せによる変調パラメータに従って送信データを変調し、且つマルチコード数に従ってコード多重化を行う過程を含むことができる。
【0018】
又伝搬路品質情報とスループットとに対応した複数の変調パラメータとマルチコード数との組合せの中の要求伝送情報量を維持できる変調パラメータとマルチコード数との組合せをグループとし、このグループの中の変調パラメータとマルチコード数との組合せを、伝搬路品質情報と閾値とを比較して選択する過程を含むことができる。又変調パラメータとマルチコード数との組合せによるグループを複数種類設定し、要求伝送情報量に従ったグループを選択し、このグループに対する閾値と伝搬路品質情報とを比較して、グループ内の変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択する過程を含むことができる。又変調パラメータとマルチコード数との組合せによるグループを複数種類設定し、システムから通知される干渉量又は許容伝送情報量に従ったグループを選択し、このグループに対する閾値と伝搬路品質情報とを比較して、グループ内の変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択する過程を含むことができる。
【0019】
又変調パラメータとマルチコード数との組合せを適用する伝搬路品質の範囲を定める閾値を設定し、且つ閾値による伝搬路品質の範囲内に補助閾値を設定し、この補助閾値を伝搬路品質情報が超えた時に送信電力を変更することなくマルチコード数を増加して変調する過程を含むことができる。又スループットが最も高くなる変調パラメータとマルチコード数との組合せのグループを設定し、このグループの変調パラメータとマルチコード数の組合せを適用する伝搬路品質情報の範囲を定める閾値を設定し、伝搬路品質情報と閾値とを比較して送信電力を一定の状態として、変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択する過程を含むことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態の適応型変調伝送システムの要部説明図であり、1は基地局等の送信局、2は移動局等の受信局、11は適応変調制御部、12はコード多重制御部、13はスケジューラ、14は送信データ制御部、15は信号変調部、16はコード多重部、17は信号送信部、18は送信データ、19はユーザ要求、21は信号受信部、22は同期部、23はSIR測定部、24は信号復調部、25はパラメータ判定部を示す。
【0021】
送信局1と受信局2とに於いて、点線矢印は信号の転送経路を示し、又送信局1と受信局2とは無線の伝搬路を介して通信を行うものであり、例えば、FDD方式により通信を行う。又適応変調方式とマルチコード伝送方式とを組合せて、伝搬路品質に従って、変調パラメータとマルチコード数との組合せの最適化を図るものである。又送信局1の適応変調制御部11とコード多重制御部12と信号変調部15とコード多重部16とを含む構成により送信局1のデータ変調部を構成している。
【0022】
又前述のように、送信局1と受信局2との間の伝搬路品質に従って最適な変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択するもので、この場合、受信局2に於いて測定した伝搬路品質情報を送信局1に通知する場合を示すもので、受信局2は、信号受信部21により送信局1からの信号を受信し、同期部22に於いて受信同期をとり、SIR(Signal to Interference Power Ratio;希望波信号電力対干渉波信号電力比)測定部23と信号復調部24とに転送する。信号復調部24により復調された信号は、パケット判定部25に於いてデータ受信処理等を行う。又SIR測定部23に於いて、送信局1との間の伝搬路による希望波信号電力と干渉波信号電力との比を測定し、測定結果のSIR値を、伝搬路品質情報として送信局1へ上り回線の制御チャネル等により通知する。なお、TDD方式の場合、送信局1に於いて受信局2からの信号受信により伝搬路品質の測定が可能である。
【0023】
この実施の形態に於いては、送信局1の図示を省略した信号受信部により受信した受信局2からのSIR値を、適応変調制御部11とスケジューラ13とに入力する。又ユーザ要求19の伝送レート等により、コード多重制御部12からマルチコード数を適応変調制御部11とコード多重部16とに入力する。適応変調制御部11は、変調パラメータ(QPSK,16値QAM等の変調方式,誤り訂正符号化等による符号化率,コード拡散率等)と、マルチコード数との組合せを適用する範囲を定める閾値を設定し、コード多重制御部12からのマルチコード数に従った変調パラメータとの組合せを適用する閾値と、SIR値とを比較して、変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択し、選択された組合せの変調パラメータを信号変調部15に入力する。
【0024】
又送信データ18は、送信データ制御部14と信号変調部15とコード多重部16とにより処理されて、信号送信部17から送信される。その時、信号変調部15に於いては、変調パラメータに従った変調が行われ、コード多重部16に於いては、コード多重制御部12からのマルチコード数に従ったコード多重処理が行われて、信号送信部17から無線伝搬路に送信される。又スケジューラ13は、パケットの送信順序やタイミングの決定又はパケットを送信するユーザを決定する処理を行う。このスケジューラ13の機能は既に各種提案されており、伝搬路状態が良いユーザ又は時間には多くのパケットを割当てる為に、通常は伝搬路品質を示すSIR値を用いる。
【0025】
又送信データ18は、送信データ制御部14内のバッファに一時的に蓄積され、スケジューラ13により決定されたユーザ/時間に於いて信号変調部15とコード多重部16とに転送されて、送信処理されることになる。即ち、スケジューラ13により選択されたユーザからのユーザ要求19等に従って適応変調制御部11とコード多重制御部12とに於ける処理が行われる。又適応変調制御部11に於いては、ユーザ要求や伝搬路品質情報のSIR値を基に変調パラメータを決定する。この変調パラメータに従って信号変調部15はQPSK変調や多値直交変調等の変調を行う。又コード多重制御部12に於いては、主としてユーザ要求19を基にマルチコード数を決定する。コード多重部12に於いては、マルチコード数分の多重化を行って送信する。
【0026】
図2の(A)は伝搬路品質としてのSIRを横軸、パケット受信成功確率を縦軸に示し、(B)はSIRを横軸に、スループットを縦軸に示し、MCS(Modulation and Coding Scheme)は、変調方式(QPSK,16QAM等)と符号化率の組合せを示す。又MCS1<MCS2<MCS3<MCS4・・・の関係で伝送レートが高くなる変調パラメータを示す。又スループットは、受信局2に於いて正常に復調できた情報伝送量を表す。
【0027】
例えば、現在の伝搬路品質のSIR値対して、高伝送レートのMCSを割当てた場合、例えば、QPSK変調より高伝送レートとなる16値QAM変調の変調パラメータを割当てた場合、パケットの受信成功確率は低下する。反対に、低伝送レートのMCSを割当てると、受信成功確率は100%となる。この場合は、現在の伝搬路状態に於いて伝送可能な最大伝送レートより低いレートで送信することになるから、無線リソースを有効に利用できないことになる。従って、伝搬路品質に対応して適切なMCSを選択することが必要となる。
【0028】
又伝送レートをDRとし、スループットをTPとすると、TP=DR×(パケット受信成功率)で表される。図2の(B)に於いては、例えば、MCS1に於ける伝送レートをDRとし、MCS2はDRの1.5倍、MCS3はDRの2倍、MCS4はDRの2.5倍となる場合を示している。パケット受信成功確率がSIRに依存するから、スループット特性もSIRにより変化する。従って、本発明に於いては、曲線bに示すように、最大スループットが得られるようにMCSを選択する。
【0029】
そこで、図3に示すように、MCS1,MCS2,MCS3,MCS4,・・・を選択する為の閾値TH1,TH2,TH3,・・・を設定し、測定されたSIR値と閾値とを比較する。この場合、理想的な閾値を示し、例えば、SIR値が閾値TH1以下の場合は、MCS1を割当て、伝搬路状態が良くなって、SIR値が閾値TH1を超えると、MCS2を割当てて伝送レートを高くする。更に伝搬路状態が良くなって、SIR値が閾値TH2を超えると、MCS3を割当てることにより、更に伝送レートを高くする。
【0030】
又SIR測定の遅延や伝搬路状態の変動が大きい等の条件を含めて閾値を設定することができる。例えば、伝搬路状態の変動が激しい環境に於いては、測定されたSIR値と現在の状態との差が大きく、最適なMCS割当てが困難となる可能性がある。その場合は、閾値を高めに設定することにより、パケット受信失敗の確率を低減することができる。又パケットの受信再送制御を行うシステムに於いては、多少のパケット受信失敗を許容できるから、閾値を低めに設定して、より高い伝送レートで伝送することができる。逆に、リアルタイム性を重視する伝送サービスについては、閾値を高めに設定して、パケット受信失敗の発生を防止し、再送処理の発生が生じないように制御することができる。又パケット受信成功確率等の測定結果を含めて閾値の決定或いは調整を行うことも可能である。
【0031】
又マルチコード数を変更した場合のパケット受信成功確率を図4に示し、マルチコード数A<マルチコード数Bの関係を有する場合のSIRを横軸に、パケット受信成功確率を縦軸として、MCS1,MCS2,MCS3,MCSRとの関係を示している。マルチコードを用いた場合、マルチコード間で直交符号を用いることにより、理想的にはコード間の干渉は生じないものである。しかし、マルチパスにより直交性が崩れて、コード間の干渉が生じる。このような干渉の増加により、或るパケット受信成功確率を得る為には、必要とするSIR値が高い状態であることが必要となる。例えば、マルチコード数Aの場合のSIRの閾値を用いて、マルチコード数Bの場合のMCS切替えを行うと、最適なMCS選択ができないことになる。即ち、最適なMCSを割当てる為のSIRに対する閾値を、マルチコード数に対応して変更することが必要となる。
【0032】
そこで、本発明の一実施の形態として、図5に示すように、マルチコード数と適応変調MCSとの組合せに対応したSIRに対する閾値を設定する。即ち、横軸をSIR、縦軸をスループットとして、前述のMCS1〜MCS4とマルチコード数1〜4との組合せの範囲を定める閾値TH1−1,TH2−1,TH3−1,TH4−1,TH2−1,・・・TH3−1,・・を設定する。
【0033】
又MCS1に対してMCS2は1.5倍の伝送レート、MCS3は2倍の伝送レート、MCS4は2.5倍の伝送レートとし、マルチコード数2のMCS3の場合、マルチコード数1のMCS1の場合を基準とすると、この基準の4倍の伝送レートで送信を行うことができる。マルチコード数が大きい程、所望のSIR値が高くなる。例えば、マルチコード数1で、MCS1とMCS2との閾値をTH1−1として示し、MCS2とMCS3との閾値をTH1−2として示している。又マルチコード数2では、MCS1とMCS2との閾値をTH2−1として示している。このように、変調パラメータとマルチコード数との組合せにより、伝搬路の状態に対応して最適な伝送レートの設定が可能となる。
【0034】
図6は、MCS1〜MCS3と、マルチコード数Mcod1〜Mcod3との組合せに対応したSIRに対する閾値と伝送レートDRTとの関係の一例を示す。又マルチコード数1に於けるMCS1〜MCS3の伝送レートをDR1〜DR3として示す。又例えば、MCS3,Mcod3の組合せは、SIR値がTH3−2〜TH3−3の区間である場合に選択することができる。この時の伝送レートDRTは、DR3×Mcod3=2×3=6となる。即ち、基準の伝送レートの6倍の伝送レートとなる。
【0035】
又MCS1,Mcod3の組合せの場合と、MCS2,Mcod2の組合せの場合とに於いては、伝送レートが等しくなり、必要なSIR値の範囲が重なることになる。この状態は、図5の例1として示す範囲であり、何れの組合せを選択するかは、要求伝送レート以外の他の情報を用いて決定することもできる。例えば、マルチコード数の少ない方を選択するように設定した場合は、MCS2,Mcod2の組合せを選択することになる。又パケット受信失敗を少なくする場合は、MCS1,Mcod3の組合せを選択する。
【0036】
図7の(A)は、図1に於ける適応変調制御部11と信号変調部15とコード多重制御部12とコード多重部16とを含むコード変調部の本発明の一実施の形態の説明図であり、図1と同一符号は同一部分を示し、又(B)は適応変調制御部の機能ブロックを示し、31は比較器、32はSIR閾値選択部、33はMCS番号選択部を示す。
【0037】
適応変調制御部11は、伝搬路品質情報のSIR値を基に変調パラメータを決定して信号変調部15に於ける変調方式や符号化率等の選択する。又コード多重制御部12は、ユーザからの要求、例えば、マルチコード数やスループットを基にマルチコード数を決定する。又受信局側で受信可能のコード数に上限がある場合は、最大マルチコード数を超えないように制御される。又ユーザが要求する伝送レート或いはスループット情報からマルチコード数を決定することもできる。又適応変調制御部11とコード多重制御部12との間で相互に情報を交換し、最終的な変調パラメータとマルチコード数とを決定する。
【0038】
即ち、図7の(B)に示すように、適応変調制御部11は、コード多重制御部12からのマルチコード数に対応するSIR閾値をSIR閾値選択部32によって選択し、この選択した閾値と、伝搬路品質情報のSIR値とを比較器31に於いて比較し、変調パラメータとマルチコード数との組合せを適用するSIR値の範囲を判定し、その変調パラメータとマルチコード数との組合せの変調パラメータを示すMCS番号を出力して信号変調部15に入力する。このSIR閾値選択部32には、例えば、変調パラメータとマルチコード数との組合せに対応した図6に示す閾値TH1−1,TH1−2,・・・等が格納されており、マルチコード数2が入力されると、閾値TH2−1,TH2−2,TH2−3,・・・が選択されて比較器31に入力される。
【0039】
図8はMCS決定手順の説明図であり、(a)は、ユーザからの要求コード数の通知により、そのコード数がコード多重制御部12に入力され、伝搬路品質情報のSIRから変調パラメータMCSを決定する手順を示す。又(b)は、ユーザからの要求伝送レートが通知された場合、適応変調制御部11は、SIRに従ってMCSを仮に決定し、コード多重制御部12にこの仮MCSを通知する。コード多重制御部12は、その仮MCSを基に、要求伝送レートを満足するコード数を決定し、このコード数を適応変調制御部11に通知する。それにより、適応変調制御部11は、MCSを決定する。そして、変調パラメータに対応するMCS番号を信号変調部15に通知し、コード数をコード多重部16に通知する手順により、送信データをユーザの要求と伝搬路の状態とに対応して適応的に変調して送信する。
【0040】
図9は、本発明の他の実施の形態のマルチコード数と閾値との説明図であり、図5と同様なマルチコード数1〜4とMCS1〜MCS4との組合せに従ったスループットの特性を有する場合に、ユーザが点線で示す伝送レートDRを要求した場合、この要求送信伝送レートDRを維持できる変調パラメータとマルチコード数との組合せセットを割当てる。即ち、SIRが閾値TH3−1以下の場合、マルチコード数3とMCS1、閾値TH2−2以下の場合、マルチコード数2とMCS2、閾値TH2−3以下の場合、マルチコード数2とMCS3、SIRが閾値TH2−3を超えた場合、マルチコード数2とMCS4との組合せを、MCS/Mcodグループとして割当てることができる。この場合のMCS/Mcodグループとしての特性を一点鎖線で示す。
【0041】
又送信時の伝送レートが要求伝送レートDR以上であるとしても、受信側のスループットは、伝搬路状態の変動によって、要求伝送レートDR以下となる可能性がある。例えば、一点鎖線で示すMCS/Mcodグループの特性が、点線で示す要求送信伝送レートDR以下となると、スループットが低下することになるが、その場合は、送信タイミングを早める等の措置を講じることにより、一定の伝送レートによる受信を維持することが可能となる。
【0042】
又、例えば、マルチコード数1,MCS1のセットに於ける伝送レートを1とすると、ユーザがDR=3.5を要求した場合、このユーザに対するパケット送信時に、伝搬路状態が悪く、MCS1を割当てたとすると、要求送信伝送レートDRを維持する為には、マルチコード数4を割当てることになる。又MCS2(MCS1の1.5倍の伝送レート)を割当てた場合は、マルチコード数2を用いることにより、伝送レートは4.5となり、要求送信伝送レートDRの3.5を満足することができる。この場合のMCS1,MCS2の切替えの為の閾値はTH3−1とすれば良いことになる。
【0043】
又MCS3(MCS1の2倍の伝送レート)を割当てた場合、マルチコード数2を用いることにより、伝送レートは4となり、要求送信伝送レートDR=3.5を満足することになる。又伝搬路状態が良く、MCS4(MSC1の2.5倍の伝送レート)を割当てた場合、マルチコード数2を用いることにより、伝送レートは5となり、要求送信伝送レートDR=3.5を満足することになる。この場合、MCS3とMCS4とに於いて、同じマルチコード数2とし、閾値TH2−3を用いることになる。このように、MCS/Mcodのセットを選択して割当てることにより、常に要求伝送レートDRを満足する最小の伝送レートによる伝送が可能となる。
【0044】
又伝搬路のSIR値は、フェージング等により時々刻々と変動するが、ユーザ(移動局)の位置にも関係し、基地局(送信局)から近い移動局(受信局)では、平均SIR値が高く、例えば、MCS4が割当られる確率が高い。マルチコード数一定のシステムに於いては、基地局に近いユーザに対しては高い伝送レートによって伝送され、遠いユーザに対しては低い伝送レートによって伝送される。このような点を解消するには、遠いユーザに対して送信回数を増加する措置を講ずることが考えられるが、前述の本発明の実施の形態のように、マルチコード数をMCSに対応して変更することにより、移動局の位置に関係なく、均等な伝送レートで伝送することが可能となる。
【0045】
図10は、本発明の更に他の実施の形態のマルチコード数と閾値との説明図であり、図9に示す場合と同様に、ユーザの要求送信伝送レートDRに対して、MCS/Mcodグループを割当てた場合に於いて、閾値TH1,TH2,TH2−3を設定する。この場合の閾値TH1,TH2は、図9に於ける閾値TH3−1,TH3−2より高めに設定する。それにより、一点鎖線で示すMCS/Mcodグループの特性は、点線で示すユーザの要求送信伝送レートDR以下とならないようにすることができる。即ち、閾値を高めに設定することにより、パケット受信失敗率が減少するような変調パラメータとマルチコード数との組合せを割当てて、スループットが要求送信伝送レートDR以下となる確率を低減し、安定な伝送を可能とすることができる。又図9に示す場合に比較して、より低いMCSを使用し、より高いマルチコード数を使用することになる。この場合、マルチコード数の増加は、隣接セルへの干渉の増加の原因となるから、隣接セルへの影響も考慮して閾値を設定することになる。
【0046】
図11の(A)は、図1に於ける適応変調制御部11と信号変調部15とコード多重制御部12とコード多重部16とを含むコード変調部の本発明の他の実施の形態の説明図であり、図1と同一符号は同一部分を示し、12aはMCS/Mcodセット算出部を示す。又(B)は適応変調制御部の機能ブロックを示し、41は比較器、42はSIR閾値選択部、43はMCS番号/コード数選択部を示す。
【0047】
適応変調制御部11は、伝搬路品質情報のSIR値を基に変調パラメータを決定して信号変調部15に於ける送信データに対する変調方式を制御する。又MCS/Mcodセット算出部12aは、ユーザの要求送信伝送レートに従った変調パラメータとマルチコード数との組合せ、即ち、MCS/Mcodセットを選択して、適応変調制御部11へ通知する。この場合、要求送信伝送レートに対して、図9又は図10に於ける一点鎖線で示すMCS/Mcodグループを選択して、適応変調制御部11へ通知する構成とすることもできる。
【0048】
適応変調制御部11は、伝搬路品質情報のSIR値と、MCS/Mcodセット算出部12aから通知されたMCS/Mcodセットとを基に、MCS番号を信号変調部15へ、又コード数をコード多重部16へ転送し、送信データを変調して信号送信部17から送信する。
【0049】
適応変調制御部11は、図11の(B)に示すように、比較器41とSIR閾値選択部42とMCS番号/コード数選択部43とを含む構成を有し、SIR閾値選択部42は、MCS/Mcodセット算出部12aからのMCS/Mcodセット番号に従った閾値を比較器41に転送する。例えば、図9に於ける送信要求送信伝送レートDRに対して、SIR閾値選択部42は、閾値TH3−1,TH2−2,TH2−3を選択して比較器41に通知する。
【0050】
比較器41は、伝搬路品質情報のSIR値と閾値とを比較して、MCS番号/コード数選択部43に、SIR値が何れの閾値の範囲かを通知する。MCS番号/コード数選択部43は、例えば、図9に於いて、SIR値が閾値TH2−2を超え、閾値TH2−3以下の場合、MCS3をMCS番号として信号変調部15へ通知し、マルチコード数2をコード数として、コード多重部16へ通知する。その場合、信号変調部15は、MCS番号のMCS3に従った変調方式により変調し、コード多重部16により、マルチコード数2に従った多重化処理を行い、信号送信部17から送信することになる。
【0051】
図12は、図9及び図10に示す実施の形態と同様に、横軸をSIR、縦軸をスループットとして、適応変調/適応マルチコード数セットについて示すもので、マルチコード数1〜マルチコード数4とMCS1〜MCS4とのそれぞれの組合せがあり、その中で、要求送信伝送レートDR1に対して、マルチコード数2とMCS1、マルチコード数2とMCS2、マルチコード数1とMCS3、マルチコード数1とMCS4との組合せを含むMCS/Mcodグループ1、又要求送信伝送レートDR2に対して、マルチコード数3とMCS1、マルチコード数3とMCS2、マルチコード数3とMCS3、マルチコード数2とMCS4の組合せを含むMCS/Mcodグループ2をそれぞれ設定した場合を示す。なお、閾値については図示を省略している。
【0052】
従って、一点鎖線で示すMCS/Mcodグループ1を割当てた場合、(MCS1/Mcod2),(MCS2/Mcod2),(MCS3/Mcod1),(MCS4/Mcod1)のそれぞれのセットを含み、SIR値に従って何れかのセットが選択される。又二点鎖線で示すMCS/Mcodグループ2を割当てた場合、(MCS1/Mcod4),(MCS2/Mcod3),(MCS3/Mcod3),(MCS4/Mcod2)のそれぞれのセットを含み、SIR値に従って何れかのセットが選択される。
【0053】
例えば、ユーザが要求する伝送レートについて、高レートユーザと低レートユーザとに分けて、要求送信伝送レートがDR2等の高レートユーザに対しては、二点鎖線で示すMCS/Mcodグループ2を割当てることにより、高スループットの状態を維持し、又要求送信伝送レートがDR1等の低レートユーザに対しては、一点鎖線で示すMCS/Mcodグループ1を割当てることができる。なお、MCS/Mcodグループは、更に多種類用意して、ユーザの要求に対応したMCS/Mcodグループを選択して割当てることもできる。
【0054】
又同一のユーザであっても、時間の経過に従って伝送情報量が増加して、要求送信伝送レートを変更する要望が生じることがある。そのような場合、ユーザからの送信伝送レートの変更通知等に従って、MCS/Mcodグループの割当てを変更することができる。又重要なデータ等を伝送する場合に、時間の制約がなく、正確な伝送を要望する場合には、例えば、低伝送レートのMCS/Mcodグループ1を割当てる。又伝送情報量が多く、且つ短時間でデータを伝送する要望の場合には、例えば、高伝送レートのMCS/Mcodグループ2を割当てることができる。
【0055】
図13は、図11に於ける適応変調制御部11とMCS/Mcodセット算出部12aを含むデータ変調部の本発明の実施の形態の説明図であり、要求スループット51とサービス情報52と要求送信伝送レート53とは、図1に於けるユーザ要求19に相当し、ユーザの要求スループット51と、ユーザに対するサービス情報52とを基に要求送信伝送レート53を求めて、MCS/Mcodセット算出部12aに入力する。
【0056】
このMCS/Mcodセット算出部12aは、前述のように、要求送信伝送レート53に従ったMCS/Mcodセット又はMCS/Mcodグループを選択して、適応変調制御部11に、SIR値に対する閾値を含むMCS/Mcodセット又はMCS/Mcodグループを通知する。それにより、適応変調制御部11は、伝搬路品質情報のSIR値を、閾値と比較して、MCS番号とコード数とを選択して、MCS番号を信号変調部15(図11参照)に通知し、コード数をコード多重部16(図11参照)に通知する。それにより、図12について説明したように、要求送信伝送レートと、伝搬路品質のSIR値とに従って、適応変調と適応マルチコード変調との組合せを最適化することができる。
【0057】
図14は、図11に於ける適応変調制御部11とMCS/Mcodセット算出部12aを含むデータ変調部の本発明の実施の形態の説明図であり、要求スループット61とトラヒック情報62と受信スループット64と要求送信伝送レート63とは、図1に於けるユーザ要求19に相当する。
【0058】
要求送信伝送レート63は、要求スループット61と、トラヒック情報62と、受信スループット64とを基に、ユーザの要求送信伝送レート63として、MCS/Mcodセット算出部12aに入力する。送信局(基地局)から受信局(移動局)へ、要求送信伝送レート63により送信しても、伝搬路の状態の変動等によっては、受信局に於いて正常に受信復調ができないことがあり、受信スループットが低下する。
【0059】
そこで、送信局は、受信局から通知される受信スループット64と、ユーザの要求スループット61とを比較して、受信スループット64が要求スループット61を満足していない場合に、要求送信伝送レート63を現在の値より高くして、MCS/Mcodセット算出部12aに入力する。それにより、ユーザに於ける受信スループット64を要求スループット61に引き上げるように、MCS/Mcodセットを切替える。従って、ユーザは、要求スループットを満足するような受信スループットの状態でデータを受信できることになる。
【0060】
図15は、図11に於ける適応変調制御部11とMCS/Mcodセット算出部12aを含むデータ変調部の本発明の実施の形態の説明図であり、図14に於ける受信スループット64の代わりに、システム干渉量65を用いる場合を示す。伝送レートを上げる為に、マルチコード数を増加すると、隣接セルに対する干渉量が増加する。それによって、システム全体としても干渉量が増加する。
【0061】
そこで、システムの統括局或いは監視局に於いて求めたシステム干渉量65をを基に、要求送信伝送レート63を調整して通知する。このシステム干渉量65としては、隣接セルに於ける干渉量の増加を検出して通知するように構成することも可能である。そして、システム干渉量65の増加を抑制する為に、要求送信伝送レート63を現在の値より低くして、MCS/Mcodセット算出部12aに通知する。それよって、MCS/Mcodセット算出部12aは、低減した伝送レートに対応したMCS/Mcodセットを求めて適応変調制御部11に通知する。このような制御処理により、システム干渉量の増加を抑制して、システム全体の効率化を図ることができる。なお、この場合、ユーザが要求する伝送レート(スループット)を満足することができなくなるが、例えば、ベストエフォート等の伝搬路状態に対応して伝送レートを変更するサービスに対しては有効である。
【0062】
又ユーザが要求する伝送レート、受信スループット、システム情報等の要素を複合的に考慮して、MCS/Mcodグループを決定することもできる。このように、各ユーザの要求送信伝送レートとシステム情報とを考慮することにより、各ユーザの要求送信伝送レートを或る程度満足させ、且つシステム全体として効率的な運用が可能となる。この場合、何れの要素を優先させるかは、システム側で選定することができる。或いはサービスの種類により、例えば、リアルタイムトラヒックに対しては、ユーザ要求を優先し、非リアルタイムトラヒックに対しては、システム効率を優先するように制御処理することも可能である。
【0063】
図16は、送信電力を一定として、SIR値に対応してスループットの向上を図る本発明の実施の形態の説明図である。前述の図5,図9,図10に示す各実施の形態に於いては、変調パラメータを変更しても送信電力は一定とし、マルチコード数の変更により、マルチコード数分の送信電力が増加する場合について示すものである。これに対して、この実施の形態に於いては、同一のMCS/Mcodセット内でも、SIR値が低い領域と高い領域とが存在するから、SIR値が高い領域では更に高い伝送レートで送信することを可能とするものである。その為に、送信電力は一定のままマルチコード数を増加する。その場合、1コード当たりの送信電力は減少して、必要とするSIR値も高くなる。
【0064】
図16に於いて、横軸をSIR、縦軸をスループットとし、例えば、マルチコード数を4とし、MCS1は閾値TH1以下、MCS2は閾値TH1〜TH2の範囲、それよりSIRが良い場合はMCS3とした場合に於いて、MCS1内で補助閾値TH1aを設け、又MCS2内で補助閾値TH2aを設ける。そして、SIR値が、補助閾値TH1a,TH2aを超えた時に、マルチコード数を増加する。しかし、この場合に送信電力は変更しない。そして、マルチコード数の増加により、斜線で示す領域のように、スループットは増加する。
【0065】
又SIR値が補助閾値を超えた時に、マルチコード数を増加しても送信電力は変更しないから、1コード当たりの送信電力は減少し、その時に必要とするSIR値は高くなる。このような点を考慮して、補助閾値TH1a,TH2aを設定する。例えば、マルチコード数4でMCS1の変調パラメータの場合、SIR値が補助閾値TH1aを超えると、マルチコード数を4より増加する。この増加数は、システム対応に選定することができる。それにより、マルチコード数の増加分だけスループットは斜線で示す領域のように増加する。又更にSIR値が良くなって、閾値TH1を超えると、MCS2とマルチコード数4との組合せとし、更に補助閾値TH2aを超えると、マルチコード数を4より増加し、斜線で示す領域のようにスループットは増加する。従って、きめ細かなスループット向上の制御が可能となる。
【0066】
図17は、図16に示すマルチコード数変更処理を行う本発明の実施の形態の適応変調制御部11(図1参照)の構成を示し、71,72は比較器、73はSIRS閾値選択部、74はマルチコード数閾値設定部、75はMCS番号選択部を示す。伝搬路品質情報のSIRを比較器71に入力し、又基準コード数をSIR閾値選択部73に入力する。SIR閾値選択部73は、入力された基準コード数を基に、例えば、図5に示す閾値を選択して比較器71に入力する。比較器71は、入力されたSIR値と閾値とを比較し、比較結果を比較器72とMCS番号選択部75とに入力する。
【0067】
MCS番号選択部75は、SIR値と閾値との比較結果の情報に従ってMCS番号を選択し、そのMCS番号を比較器72と、図示を省略した信号変調部とに入力し、比較器72は、このMCS番号に対するマルチコード数を増加できるか否かをマルチコード数閾値設定部74からのマルチコード数閾値と比較し、コード数を決定する。前述のように、比較器71からSIR値が補助閾値TH1aを超え且つ閾値TH2以下の比較結果により、MCS番号選択部75からMCS1のMSC番号を選択出力し、比較器72は、マルチコード数閾値設定部74からマルチコード数閾値を例えば6とした時、マルチコード数を6に決定する。それにより、伝送レートを増加することができる。なお、送信電力は一定とする。この場合、現在のマルチコード数に対する閾値を設定することができるものであり、増加数可能数を閾値とすることも可能である。
【0068】
図18は、送信電力を一定としてマルチコード数を変更する場合の本発明の実施の形態のスループット特性説明図であり、横軸はSIR、縦軸はスループットとし、マルチコード数1〜4と、MCS1〜4とのセットに対応したスループット特性を示し、又一点鎖線は、MCS/Mcodグループの特性を示す。そして、閾値TH1,TH2,TH3を設定し、SIR値が、閾値TH1以下では、マルチコード数1/MCS1のセットとし、閾値TH1〜TH2の範囲に於いては、マルチコード数2/MCS1、閾値TH2〜TH3の範囲に於いては、マルチコード数3/MCS2、閾値TH3以上に於いては、マルチコード数3又はマルチコード数4/MCS3又はMCS4のセットを割当てる。
【0069】
従って、一点鎖線で示すMCS/Mcodグループを選択することにより、送信電力を一定した場合のスループットの増加が可能となる。なお、送信電力を一定とする条件であるから、前述の図5,図9,図10に示す場合に比較して、スループットは低くなる。又この実施の形態に於いては、基準マルチコード数を1として示すものであるが、要求送信伝送レートに従って、基準マルチコード数を変更することも可能である。
【0070】
本発明は、前述の実施の形態のみに限定されるものではなく、それぞれの実施の形態の組合せや他の機能及び条件を付加することも可能である。又主として、FDD方式の場合についての実施の形態を示すが、TDD方式に於いても適用することができる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、変調パラメータとマルチコード数との組合せを適用する伝搬路品質情報(SIR)の範囲を決める閾値を設定し、ユーザの要求やシステム状態等を考慮し、且つ伝搬路品質情報を基に最適な変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択するもので、基地局等の送信局と移動局等の受信局との間の伝搬路状態が変動しても、無線リソースを有効に利用して、ユーザの要求送信伝送レートに対しても対応できる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の要部説明図である。
【図2】パケット受信成功確率とスループットとの説明図である。
【図3】閾値の説明図である。
【図4】パケット受信成功確率とマルチコード数との説明図である。
【図5】本発明の一実施の形態のマルチコード数と閾値との説明図である。
【図6】閾値と伝送レートとの説明図である。
【図7】データ変調部の説明図である。
【図8】MCS決定手順の説明図である。
【図9】本発明の他の実施の形態のマルチコード数と閾値との説明図である。
【図10】本発明の更に他の実施の形態のマルチコード数と閾値との説明図である。
【図11】データ変調部の説明図である。
【図12】本発明の更に他の実施の形態のMCS/Mcodグループの説明図である。
【図13】データ変調部の説明図である。
【図14】データ変調部の説明図である。
【図15】データ変調部の説明図である。
【図16】本発明の更に他の実施の形態のスループット向上の説明図である。
【図17】適応変調制御部の説明図である。
【図18】本発明の更に他の実施の形態の送信電力一定の場合のスループット特性の説明図である。
【符号の説明】
1 送信局
2 受信局
11 適応変調制御部
12 コード多重制御部
13 スケジューラ
14 送信データ制御部
15 信号変調部
16 コード多重部
17 信号送信部
21 信号受信部
22 同期部
23 SIR測定部
24 信号復調部
25 パケット判定部

Claims (10)

  1. 送信局と受信局との間の伝搬路状態に応じて変調パラメータを変更し、伝送量に応じてマルチコード数を変更して伝送する適応型変調伝送システムに於いて、
    前記送信局は、送信データを前記変調パラメータに従って変調する信号変調部と、前記マルチコード数に従ってコード多重化を行うコード多重部と、要求伝送情報量に従って前記マルチコード数を選択するコード多重制御部と、前記変調パラメータと前記マルチコード数との組合せを適用する伝搬路品質の範囲を定める閾値を設定し、該閾値と伝搬路品質情報とを比較した結果と前記コード多重制御部からの前記マルチコード数とを基に前記変調パラメータと前記マルチコード数との組合せを選択して前記信号変調部に前記変調パラメータを加える適応変調制御部とを備えた
    ことを特徴とする適応型変調伝送システム。
  2. 前記受信局は、前記送信局と前記受信局との間の伝搬路品質を測定する測定部と、該測定部により測定した伝搬路品質情報を前記送信局へ通知する手段とを備え、前記送信局は、要求伝送情報量に従って前記マルチコード数を選択するコード多重制御部と、前記変調パラメータと前記マルチコード数との組合せを適用する伝搬路品質の範囲を定める閾値を設定し、該閾値と前記受信局から受信した前記伝搬路品質情報とを比較した結果と前記コード多重制御部からの前記マルチコード数とを基に前記変調パラメータと前記マルチコード数との組合せを選択して前記信号変調部に前記変調パラメータを加える適応変調制御部とを備えたことを特徴とする請求項1記載の適応型変調伝送システム。
  3. 前記送信局の適応変調制御部は、前記変調パラメータと前記マルチコード数との複数の組合せの中から、要求伝送情報量を維持できる組合せをグループとし、該グループの中の組合せを切替える閾値を設定し、該閾値と前記伝搬路品質情報との比較結果に基づいて前記グループの中の変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択する構成を有することを特徴とする請求項1又は2記載の適応型変調伝送システム。
  4. 送信局と受信局との間の伝搬路状態に応じて変調パラメータを変更し、伝送量に応じてマルチコード数を変更して伝送する適応型変調制御方法に於いて、
    変調パラメータとマルチコード数との組合せを適用する伝搬路品質の範囲を定める閾値を設定し、前記伝搬路品質の情報と前記閾値とを比較した結果により前記変調パラメータと前記マルチコード数との組合せを選択し、該組合せによる変調パラメータに従って送信データを変調し、且つ前記マルチコード数に従ってコード多重化を行う過程を含む
    ことを特徴とする適応型変調制御方法。
  5. 前記受信局に於いて測定した伝搬路品質の情報を前記送信局へ通知し、該送信局は、前記受信局からの伝搬路品質情報と、変調パラメータとマルチコード数との組合せを適用する範囲を設定した閾値と比較して、前記変調パラメータと前記マルチコード数との組合せを選択し、該組合せによる変調パラメータに従って送信データを変調し、且つ前記マルチコード数に従ってコード多重化を行う過程を含むことを特徴とする請求項4記載の適応型変調制御方法。
  6. 前記伝搬路品質情報とスループットとに対応した複数の前記変調パラメータと前記マルチコード数との組合せの中の要求伝送情報量を維持できる前記変調パラメータと前記マルチコード数との組合せをグループとし、該グループの中の前記変調パラメータと前記マルチコード数との組合せを、前記伝搬路品質情報と前記閾値とを比較して選択する過程を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の適応型変調制御方法。
  7. 前記変調パラメータと前記マルチコード数との組合せによるグループを複数種類設定し、要求伝送情報量に従ったグループを選択し、該グループに対する閾値と前記伝搬路品質情報とを比較して該グループ内の変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択する過程を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の適応型変調制御方法。
  8. 前記変調パラメータと前記マルチコード数との組合せによるグループを複数種類設定し、システムから通知される干渉量又は許容伝送情報量に従ったグループを選択し、該グループに対する閾値と前記伝搬路品質情報とを比較して該グループ内の変調パラメータとマルチコード数との組合せを選択する過程を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の適応型変調制御方法。
  9. 変調パラメータとマルチコード数との組合せを適用する伝搬路品質の範囲を定める閾値を設定し、且つ該閾値による前記伝搬路品質の範囲内に補助閾値を設定し、該補助閾値を前記伝搬路品質情報が超えた時に送信電力を変更することなくマルチコード数を増加して変調する過程を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の適応型変調制御方法。
  10. スループットが最も高くなる変調パラメータとマルチコード数との組合せのグループを設定し、該グループの変調パラメータとマルチコード数の組合せを適用する前記伝搬路品質情報の範囲を定める閾値を設定し、前記伝搬路品質情報と前記閾値とを比較して送信電力を一定の状態として前記変調パラメータと前記マルチコード数との組合せを選択する過程を含むことを特徴とする請求項4又は5記載の適応型変調制御方法。
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