JP2004273364A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

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健 小倉
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Abstract

【課題】プラズマディスプレイパネルの製造時に発生する透明電極の変色を防止する。
【解決手段】真空蒸着法により基板上に保護膜を形成する成膜装置10は、チャンバ11と、チャンバを真空にする排気ポンプ12と、チャンバにプロセスガス14を導入するプロセスガス導入手段15と、保護層の原料からなる蒸発源13と、基板をチャンバの内部の所定の位置に保持するとともに、所定の領域を覆うマスク兼用のキャリア16と、基板上に配設された電極群を構成する個々の電極同士をプラズマディスプレイパネルの表示区域外において電気的に接続し、電極間電位差を0に維持する電位制御装置17と、を備える。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマディスプレイパネルの製造方法に関し、特に、プラズマディスプレイパネルにおける保護膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6は、プラズマディスプレイ表示装置の一構成要素であるプラズマディスプレイパネルにおける一つの表示セルの斜視図である。
【0003】
表示セルは、ガラスからなる絶縁基板をそれぞれベースとする前面基板101及び背面基板102とから形成されている。絶縁基板は、例えば、0.5乃至5mm程度の厚さを有している。
【0004】
前面基板101が背面基板102と対向している面上には透明電極103及び104が設けられている。透明電極103及び104は本プラズマディスプレイパネルの水平方向(横方向)に並んで配置されている。透明電極103及び104は、例えば、酸化スズまたはインジウムティンオキサイド(Indium−Tin Oxide:ITO)を主成分とし、約100乃至500nmの膜厚を有している。
【0005】
また、透明電極103及び104に重なるようにバス電極105及び106が形成されている。バス電極105及び106は、例えば、銀などの金属厚膜、クロム/銅/クロムなどの多層薄膜またはアルミニウム薄膜からなり、厚さが約1乃至10μm、幅が約30乃至80μmの電極であり、透明電極103及び104と外部の駆動装置(図示せず)との間の電極抵抗値を小さくするために設けられている。
【0006】
動作上の役割の相違に応じて、透明電極103及びバス電極105で構成される電極を走査電極115と呼び、透明電極104及びバス電極106で構成される電極を維持電極116と呼ぶ。
【0007】
さらに、前面基板101には、走査電極115及び維持電極116を覆う誘電体層110が形成されている。誘電体層110は、例えば、低融点鉛ガラスペーストからなり、約10乃至40μmの膜厚を有している。
【0008】
さらに、誘電体層110上には、誘電体層110を放電から保護する保護層112が蒸着やスパッタなどにより約0.5乃至2μmの膜厚で形成されている。
【0009】
背面基板102が前面基板101と対向している面上には、走査電極115及び維持電極116と直交する複数個のデータ電極107が設けられている。データ電極107は、例えば、銀からなり、約2乃至4μmの膜厚を有している。
【0010】
データ電極107は低融点鉛ガラスに白色顔料を混ぜ合わせた厚膜ペーストからなる誘電体層113で覆われている。
【0011】
さらに、誘電体層113上において、データ電極107と平行に延び、表示セルを区切る隔壁109が設けられている。
【0012】
隔壁109の側面及び誘電体層113の表面上には、放電ガスの放電により発生する紫外線を可視光に変換する蛍光体層111が形成されている。蛍光体層111は、表示セル毎に、例えば、光の3原色である赤(R)、緑(G)及び青(B)に塗り分けられている。
【0013】
そして、前面基板101及び背面基板102により形成される空間は放電ガス空間108を規定しており、この放電ガス空間108内に、ヘリウム、ネオンもしくはキセノンまたはこれらの混合ガスからなる放電ガスが充填されている。
【0014】
保護層112は、誘電体層110を放電から保護する役目があり、また、放電ガス空間108に直接的に接するため、その材質及び膜質は放電特性に大きな影響を与える。
【0015】
このため、保護層112の材料としては、酸化マグネシウム(MgO)が一般的に使用されている。これは、酸化マグネシウムが耐スパッタリング性に優れ、かつ、2次電子放出係数の大きい絶縁物であるためである。酸化マグネシウムを使用することにより、放電開始電圧を下げ、プラズマディスプレイパネルの駆動を可能にしている。
【0016】
保護層112の形成方法としては、一般に、真空蒸着法という成膜方法が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0017】
図7は、保護層112を成膜する従来の真空蒸着装置200の概略的な構成を示す断面図であり、図8は、真空蒸着装置内に装着された前面基板101を矢印Aの方向から見た場合の平面図である。
【0018】
真空蒸着装置200は、真空チャンバ201と、真空チャンバ201の内部を排気し、真空状態にする排気ポンプ202と、真空チャンバ201の底面上に配置され、保護層112の原料としての酸化マグネシウムからなる蒸発源203と、酸素その他のプロセスガス204を真空チャンバ201の内部に導入するプロセスガス導入機構205と、前面基板101を真空チャンバ201の内部の所定の位置に保持するとともに、所定の領域を覆うマスク兼用のキャリア206と、前面基板101を加熱するためのヒーター(図示せず)と、を備えている。
【0019】
前面基板101には、絶縁基板上に走査電極115、維持電極116及び誘電体層110が既に形成されているものとする。
【0020】
真空蒸着装置200を使用して保護層112を製造する場合、先ず、真空チャンバ201の上部に配置されたマスク兼用のキャリア206に前面基板101を設置する。キャリア206は、一般的には、金属製であり、前面基板101の走査電極115及び維持電極116上に保護層112が成膜されないように、成膜エリアを制限する。
【0021】
次いで、排気ポンプ202により、真空チャンバ201を排気するとともに、前面基板101をヒーターにより摂氏100乃至300度に加熱する。
【0022】
次に、酸化マグネシウムの結晶配向性を揃えるために、プロセスガス導入機構205により、酸素ガスを真空チャンバ201の内部に導入し、成膜圧力を1×10−3乃至1×10−1Paに制御しつつ、電子ビームを蒸発源203に照射することにより、前面基板101の蒸発源203に対向する面上に保護層112としての酸化マグネシウム膜を形成する。この場合の成膜レートは10乃至100オングストローム/秒であり、保護層112の膜厚は5000乃至10000オングストロームである。
【0023】
また、特開2002−358878号公報(特許文献2)には、保護層112の形成の際に、保護層112の膜厚を一定にするために、前面基板101に外部から電圧を印加する方法が提案されている。具体的には、前面基板101の絶縁基板の裏面に電極板を密着させた状態で電圧を印加する。
【0024】
【特許文献1】
特開平11−16159号公報
【0025】
【特許文献2】
特開2002−358878号公報
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
プラズマディスプレイパネルにおいては、パネル面内の発光特性を均一にすることが重要な要素となっている。この目的のために、通常、保護層112の成膜においては、前面基板101の絶縁基板の温度分布や保護層112の膜厚、成膜圧力、レートなどのファクターで保護層112の膜質を制御するという手法が採用されている。
【0027】
近年では、プラズマディスプレイパネルの駆動電圧の低電圧化やアドレスの高速化に対する要求が強くなっている。このため、保護層112の膜質としては、より低電圧での放電開始を可能に膜、あるいは、放電の応答性が高速な膜が求められている。しかしながら、上記の手法では、所望されている膜質を有する保護層112の提供は極めて困難であるか、あるいは、ほとんど不可能である。
【0028】
また、保護層112の成膜中に透明電極103、104が変色を起こすことがある。この変色は、パネル表示面に黒い横すじを発生させ、表示品質を著しく悪化させ、歩留まり低下の一因になっていたが、従来のプラズマディスプレイパネルの製造方法では、透明電極103、104の変色を防止することは不可能であった。
【0029】
上述の特開2002−358878号公報に記載されている方法によっても、上記の問題は解決されていない。
【0030】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、より低電圧化及び高速応答性に対応した膜質制御を可能にするとともに、パネル面内において均一な放電特性を実現し、透明電極の変色を防止することができるプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、真空蒸着装置を用いて基板上に保護膜を形成する過程を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、保護膜形成過程は、基板上に配設された電極群を構成する電極の電極間電位差を0に維持した状態の下で実施されることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
【0032】
本発明においては、例えば、基板上に配設された走査電極群と維持電極群とを同電位にして電極間電位差を0にし、この状態の下において、保護層を形成する。走査電極群と維持電極群とを同電位にすることにより、蒸着時に起こる成膜基板の帯電に伴って発生する電極間の電位の不均一を防止し、電極間で電位差を生じたときに発生する透明電極の変色(透明電極材料の還元現象やデンドライトの発生)を防止する。また、走査電極群と維持電極群とを同電位にすることにより成膜基板の電位を均一化し、ひいては、保護層の膜質を均一化することを可能にする。さらには、成膜基板の電位制御による保護層の膜質制御を可能にする。この結果、高い歩留まりを有し、表示部面内の放電特性が良好で均一のプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
【0033】
基板上に配設された電極群を構成する電極の電極間電位差を0にするためには、例えば、電極群を構成する個々の電極同士をプラズマディスプレイパネルの表示区域外において電気的に接続する
あるいは、電極群を真空蒸着装置から電気的に絶縁することにより、電極間電位差を0にすることができる。
【0034】
電極群と真空蒸着装置との間の電気的絶縁は、例えば、電極群と真空蒸着装置の一構成要素であって、基板を保持するマスク兼用キャリアとの間に絶縁体を配置することにより、実現することができる。キャリアは一般的に金属製であるが、従来、金属製のキャリアと電極群との接触が基板の反りやマスク変形の要因になっていた。電極群を真空蒸着装置から電気的に絶縁することにより、マスクと電極とが電気的に接続されている部分と接続されていない部分との間において発生する電極間の電位差を防止することが可能になる。
【0035】
また、本発明は、真空蒸着装置を用いて基板上に保護膜を形成する過程を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、保護膜形成過程は、基板上に配設された電極群を真空蒸着装置内に設置された蒸発源の電位と同電位または蒸発源の電位に対して負電位に保持した状態の下で実施されることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
【0036】
この場合、電極群を構成する電極(例えば、走査電極と維持電極)は相互に同電位に保持しておくこともできる。負電位は0乃至5kVの範囲内であることが好ましい。
【0037】
このように、電極群と蒸発源との間の電位を制御することによって、成膜基板の近傍に電界を発生させ、保護層の膜質(マグネシウムと酸素との組成比、酸素欠損量、密度等)を制御することが可能になる。
【0038】
さらに、前述のように、電極群の電位を蒸発源の電位に対して所定の電位に制御することにより、電極群相互間の電位を0または所定の値以下にすることができるため、上述の透明電極の変色防止その他の効果を奏することができる。
【0039】
さらに、本発明は、真空蒸着法により基板上に保護膜を形成する成膜装置であって、チャンバと、チャンバを真空にする排気ポンプと、チャンバにプロセスガスを導入するプロセスガス導入手段と、保護層の原料からなる蒸発源と、基板をチャンバの内部の所定の位置に保持するとともに、所定の領域を覆うマスク兼用のキャリアと、基板上に配設された電極群を構成する電極の電極間電位差を0に維持する電位制御装置と、を備える成膜装置を提供する。
【0040】
電位制御装置は、例えば、電極群を構成する個々の電極同士をプラズマディスプレイパネルの表示区域外において電気的に接続するものとして構成される。
【0041】
さらに、本発明は、真空蒸着法により基板上に保護膜を形成する成膜装置であって、チャンバと、チャンバを真空にする排気ポンプと、チャンバにプロセスガスを導入するプロセスガス導入手段と、保護層の原料からなる蒸発源と、基板上に配設された電極群を成膜装置から電気的に絶縁した状態で基板をチャンバの内部の所定の位置に保持するとともに、所定の領域を覆うマスク兼用のキャリアと、を備える成膜装置を提供する。
【0042】
さらに、本発明は、真空蒸着法により基板上に保護膜を形成する成膜装置であって、チャンバと、チャンバを真空にする排気ポンプと、チャンバにプロセスガスを導入するプロセスガス導入手段と、保護層の原料からなる蒸発源と、基板をチャンバの内部の所定の位置に保持するとともに、所定の領域を覆うマスク兼用のキャリアと、基板上に配設された電極群を真空蒸着装置内に設置された蒸発源の電位と同電位または蒸発源の電位に対して負電位にする電位制御装置と、を備える成膜装置を提供する。
【0043】
電位制御装置は、電極群を構成する電極を相互に同電位に保持するものとして構成することができる。
【0044】
さらに、電位制御装置は、電極群の電位を蒸発源の電位に対して0乃至5kVの範囲内の負電圧にするものとして構成することができる。
【0045】
上記の成膜装置によっても、上述のプラズマディスプレイパネルの製造方法と同様の効果を得ることができる。
【0046】
【発明の実施の形態】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の第一の実施形態に係る成膜装置10の概略的な構成を示す断面図であり、図2は、成膜装置10内に装着された前面基板101を図1の矢印Aの方向から見た場合の平面図である。
【0047】
本実施形態に係る成膜装置10は、真空チャンバ11と、真空チャンバ11の内部を排気し、真空状態にする排気ポンプ12と、真空チャンバ11の底面上に配置され、保護層112の原料としての酸化マグネシウムからなる蒸発源13と、酸素その他のプロセスガス14を真空チャンバ11の内部に導入するプロセスガス導入機構15と、前面基板101を真空チャンバ11の内部の所定の位置に保持するとともに、所定の領域を覆うマスク兼用のキャリア16と、前面基板101を加熱するためのヒーター(図示せず)と、前面基板101に配設された走査電極115と維持電極116との間の電極間電位差を0に維持する電位制御装置17と、を備えている。
【0048】
電位制御装置17は、図2に示すように、走査電極115と維持電極116とをプラズマディスプレイパネルの表示区域外において電気的に接続する。電位制御装置17は、例えば、キャリア16に形成された端子として構成することができる。この端子を介して、走査電極115と維持電極116とが電気的に接続される。
【0049】
また、電位制御装置17を設ける代わりに、走査電極115及び維持電極116の電極パターンを、走査電極115及び維持電極116が接続するように予め形成することも可能である。ただし、この場合には、保護層112の成膜後において、走査電極115及び維持電極116を相互に切り離す工程(基板切断やレーザー等による電極切断)が必要になる。
【0050】
次いで、本実施形態に係る成膜装置10を用いて保護層112を形成する方法を以下に説明する。
【0051】
先ず、真空チャンバ11の上部に配置されたマスク兼用のキャリア16に前面基板101を設置する。キャリア16は金属製であり、前面基板101の走査電極115及び維持電極116上に保護層112が成膜されないように、成膜エリアを制限する。
【0052】
次いで、排気ポンプ12により、真空チャンバ11を排気するとともに、前面基板101をヒーターにより摂氏100乃至300度に加熱する。
【0053】
次に、酸化マグネシウムの結晶配向性を揃えるために、プロセスガス導入機構15により、酸素ガスを真空チャンバ11の内部に導入し、成膜圧力を1×10−3乃至1×10−1Paに制御しつつ、電子ビームを蒸発源13に照射することにより、前面基板101の蒸発源13に対向する面上に保護層112としての酸化マグネシウム膜を形成する。この場合の成膜レートは10乃至100オングストローム/秒であり、保護層112の膜厚は5000乃至10000オングストロームである。
【0054】
走査電極115と維持電極116とは電位制御装置17を介して相互に電気的に接続されているため、走査電極115と維持電極116との間の電位差は0になっている。このように、保護層112の成膜の間において走査電極115と維持電極116とを同電位に維持することにより、成膜時における前面基板101へのチャージの影響をなくすことができる。
【0055】
この結果、膜質の面内均一性及び透明電極103、104の変色抑制を実現することができる。具体的には、表示セルが面内均一な電位となり、電界の偏りがなくなると、電界強度差に起因する膜質の不均一を解消することができる。この結果として、膜質の面内均一性を実現することができる。また、相互に近接している走査電極115と維持電極116との間に電位差の発生及び電流の発生がない。この結果、デンドライトや還元反応を防止することができ、ひいては、透明電極103、104の変色を抑制することができる。
【0056】
一般的に、前面基板101のベースとなる基板は絶縁物であるため、基板に電圧を印加することは難しい。これに対して、本実施形態においては、前面基板101の電極(具体的には、走査電極115及び維持電極116)を利用し、電圧を均一に印加することを可能とした。
【0057】
また、電位(電界)は電極部に集中するため、プラズマディスプレイパネルの放電部分に選択的に、かつ、効率的に蒸発粒子を堆積させることができる。よって、印加する電圧値により、膜質制御が可能となり、プラズマディスプレイパネルの駆動との整合を取ることが比較的容易に行える。従って、走査電極115と維持電極116との間で発生する電位差を防止することにより、それらの電極間で電位差を生じたときに発生する透明電極の変色(透明電極材料還元現象やデンドライト発生)の防止、成膜基板の電位の均一化による保護層112の膜質面内均一化、成膜基板の電位制御による保護層112の膜質制御という効果を得ることができ、その結果として、高い歩留まりを有し、表示部面内の放電特性が良好で均一のプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
(第二の実施形態)
図3は、本発明の第二の実施形態に係る成膜装置20の概略的な構成を示す断面図であり、図4は、成膜装置20内に装着された前面基板101を図3の矢印Aの方向から見た場合の平面図である。
【0058】
本実施形態に係る成膜装置20は、第一の実施形態における電位制御装置17に代えて、電位制御装置21を有している。この点を除き、本実施形態に係る成膜装置20は第一の実施形態に係る成膜装置10と同一の構成を有している。従って、第一の実施形態に係る成膜装置10と同一の構成要素については同一の符号をもって表す。
【0059】
本実施形態における電位制御装置21は、前面基板101に配設された走査電極115と維持電極116とを電気的に接続し、同電位に維持するとともに、走査電極115及び維持電極116の電位を蒸発源13の電位と同電位または蒸発源の電位13に対して負電位に維持する。具体的には、走査電極115及び維持電極116の電位は、本実施形態における電位制御装置21によって、蒸発源の電位13に対して0kV乃至−5kVの範囲内に維持される。
【0060】
本実施形態に係る成膜装置20によれば、前述の第一の実施形態に係る成膜装置10と同一の効果を得ることができるとともに、走査電極115及び維持電極116と蒸発源13との間の電位差を制御することにより、保護層112の膜質(マグネシウムと酸素との組成比、酸素欠損量、密度等)を制御することが可能になる。走査電極115及び維持電極116と蒸発源13との間の電位差は、保護層112の膜質に応じて選択される。例えば、電位差を0V(GND)に設定すると、前面基板101へのチャージを防止する効果があり、電圧差を0から−5kVの間に設定すると、その電位差に応じて、走査電極115及び維持電極116の近傍に電界が生じ、蒸着時に発生する蒸発粒子のイオンを加速させ、高エネルギー化させる。このような高エネルギー化したイオンが誘電体層110上に堆積することにより、高密度で配向性の良い保護層112を得ることができる。
【0061】
なお、本実施形態に係る成膜装置20においては、電位制御装置21は、走査電極115及び維持電極116を相互に電気的に接続し、同電位に保持しているが、これは必ずしも必要ではない。走査電極115及び維持電極116をそれぞれ独立に蒸発源13の電位に対して所定の負電位に保持するようにすることも可能である。
(第三の実施形態)
図5は、本発明の第三の実施形態に係る成膜装置30の概略的な構成を示す断面図である。
【0062】
本実施形態に係る成膜装置30においては、前面基板101は、走査電極115及び維持電極116を成膜装置30から電気的に絶縁した状態の下に、チャンバ11の内部の所定の位置に保持される。具体的には、本実施形態におけるキャリア16においては、査電極115及び維持電極116に接するマスクの領域は電気的な絶縁体31で覆われている。このため、前面基板101は成膜装置30から電気的に絶縁される。この点を除き、本実施形態に係る成膜装置30は第一の実施形態に係る成膜装置10と同一の構成を有している。従って、第一の実施形態に係る成膜装置10と同一の構成要素については同一の符号をもって表す。
【0063】
本実施形態に係る成膜装置30のように、走査電極115及び維持電極116と成膜装置30とを絶縁体31を介して電気的に絶縁することによっても、簡易的に走査電極115と維持電極116との間の電位差を減少させることができ、透明電極113、114のデンドライトや還元現象による変色を防止することができる。
【0064】
マスク兼用キャリア16は、耐熱性及び洗浄に対する耐久性により、金属製のものが使用されている。マスク兼用キャリア16上に前面基板101を設置する場合、マスク兼用キャリア16や前面基板101の反りまたはたわみによって、走査電極115及び維持電極116とマスク兼用キャリア16とが接触している箇所と非接触の箇所とが存在する。また、保護層112の成膜中の前面基板101は高温に加熱されるため、前面基板101の反りは大きくなり、マスク兼用キャリア16と走査電極115及び維持電極116とを均一に接触させることは一層困難となる。
【0065】
その結果として、マスク兼用キャリア16と走査電極115及び維持電極116とが接触している箇所の電極と、マスク兼用キャリア16と走査電極115及び維持電極116とが接触していない箇所の電極との間には、成膜中の前面基板101へのチャージにより、電位差を生じる。そのため、透明電極103、104のデンドライトや還元現象による変色を生じる。
【0066】
本実施形態に係る成膜装置30によれば、マスク兼用キャリア16上の絶縁体31により、マスク兼用キャリア16と走査電極115及び維持電極116とは均一に絶縁状態を得ることができ、チャージの影響を走査電極115及び維持電極116間で均一にすることができ、走査電極115及び維持電極116間ではわずかな電位差のみが生じ、透明電極103、104の変色を防止することができる。
【0067】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、基板上に配設された電極群を構成する電極(例えば、走査電極と維持電極)の電極間電位差を同電位にして電極間電位差を0にし、この状態の下において、保護層を形成する。これにより、蒸着時に起こる成膜基板の帯電に伴って発生する電極間の電位の不均一を防止し、電極間で電位差を生じたときに発生する透明電極の変色(透明電極材料の還元現象やデンドライトの発生)を防止することができる。また、電極間電位差を0にすることにより、成膜基板の電位を均一化し、ひいては、保護層の膜質を均一化することを可能にする。さらには、成膜基板の電位制御による保護層の膜質制御を可能にする。この結果、高い歩留まりを有し、表示部面内の放電特性が良好で均一のプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
【0068】
また、本発明によれば、電極群と蒸発源との間の電位差を制御することにより、保護層の膜質(マグネシウムと酸素との組成比、酸素欠損量、密度等)を制御することが可能になる。電極群と蒸発源との間の電位差は、保護層の膜質に応じて選択される。例えば、電位差を0V(GND)に設定すると、成膜基板へのチャージを防止する効果があり、電圧差を0から−5kVの間に設定すると、その電位差に応じて、電極群の近傍に電界が生じ、蒸着時に発生する蒸発粒子のイオンを加速させ、高エネルギー化させる。このような高エネルギー化したイオンが誘電体層上に堆積することにより、高密度で配向性の良い保護層を得ることができる。
【0069】
キャリアは一般的に金属製であるが、従来、金属製のキャリアと電極群との接触が基板の反りやマスク変形の要因になっていた。これに対して、本発明によれば、電極群を真空蒸着装置から電気的に絶縁することにより、マスクと電極とが電気的に接続されている部分と接続されていない部分との間において発生する電極間の電位差を防止することが可能になる。これにより、チャージの影響を各電極間で均一にすることができ、透明電極の変色を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る成膜装置の概略的な構成を示す断面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係る成膜装置内に装着された前面基板を図1の矢印Aの方向から見た場合の平面図である。
【図3】本発明の第二の実施形態に係る成膜装置の概略的な構成を示す断面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る成膜装置内に装着された前面基板を図3の矢印Aの方向から見た場合の平面図である。
【図5】本発明の第三の実施形態に係る成膜装置の概略的な構成を示す断面図である。
【図6】プラズマディスプレイ表示装置の一構成要素であるプラズマディスプレイパネルにおける一つの表示セルの斜視図である。
【図7】従来の成膜装置の概略的な構成を示す断面図である。
【図8】従来の成膜装置内に装着された前面基板を図7の矢印Aの方向から見た場合の平面図である。
【符号の説明】
10 第一の実施形態に係る成膜装置
11 真空チャンバ
12 排気ポンプ
13 蒸発源
14 プロセスガス
15 プロセスガス導入機構
16 マスク兼用のキャリア
17 電位制御装置
20 第二の実施形態に係る成膜装置
21 電位制御装置
30 第三の実施形態に係る成膜装置
31 絶縁体
101 前面基板
112 保護層
115 走査電極
116 維持電極

Claims (13)

  1. 真空蒸着装置を用いて基板上に保護膜を形成する過程を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
    前記過程は、前記基板上に配設された電極群を構成する電極の電極間電位差を0に維持した状態の下で実施されることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 前記電極群を構成する個々の電極同士をプラズマディスプレイパネルの表示区域外において電気的に接続することにより、前記電極間電位差を0にすることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. 前記電極群を前記真空蒸着装置から電気的に絶縁することにより、前記電極間電位差を0にすることを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  4. 真空蒸着装置を用いて基板上に保護膜を形成する過程を備えるプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
    前記過程は、前記基板上に配設された電極群を前記真空蒸着装置内に設置された蒸発源の電位と同電位または前記蒸発源の電位に対して負電位に保持した状態の下で実施されることを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  5. 前記電極群を構成する電極は相互に同電位に保持されていることを特徴とする請求項4に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  6. 前記負電位は0乃至5kVの範囲内であることを特徴とする請求項4または5に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  7. 前記電極群を構成する電極は走査電極及び維持電極からなるものであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  8. 真空蒸着法により基板上に保護膜を形成する成膜装置であって、
    チャンバと、
    前記チャンバを真空にする排気ポンプと、
    前記チャンバにプロセスガスを導入するプロセスガス導入手段と、
    前記保護層の原料からなる蒸発源と、
    前記基板を前記チャンバの内部の所定の位置に保持するとともに、所定の領域を覆うマスク兼用のキャリアと、
    前記基板上に配設された電極群を構成する電極の電極間電位差を0に維持する電位制御装置と、
    を備える成膜装置。
  9. 前記電位制御装置は、前記電極群を構成する個々の電極同士をプラズマディスプレイパネルの表示区域外において電気的に接続するものであることを特徴とする請求項8に記載の成膜装置。
  10. 真空蒸着法により基板上に保護膜を形成する成膜装置であって、
    チャンバと、
    前記チャンバを真空にする排気ポンプと、
    前記チャンバにプロセスガスを導入するプロセスガス導入手段と、
    前記保護層の原料からなる蒸発源と、
    前記基板上に配設された電極群を前記成膜装置から電気的に絶縁した状態で前記基板を前記チャンバの内部の所定の位置に保持するとともに、所定の領域を覆うマスク兼用のキャリアと、
    を備える成膜装置。
  11. 真空蒸着法により基板上に保護膜を形成する成膜装置であって、
    チャンバと、
    前記チャンバを真空にする排気ポンプと、
    前記チャンバにプロセスガスを導入するプロセスガス導入手段と、
    前記保護層の原料からなる蒸発源と、
    前記基板を前記チャンバの内部の所定の位置に保持するとともに、所定の領域を覆うマスク兼用のキャリアと、
    前記基板上に配設された電極群を前記真空蒸着装置内に設置された蒸発源の電位と同電位または前記蒸発源の電位に対して負電位にする電位制御装置と、
    を備える成膜装置。
  12. 前記電位制御装置は、前記電極群を構成する電極を相互に同電位に保持することを特徴とする請求項11に記載の成膜装置。
  13. 前記負電位は0乃至5kVの範囲内であることを特徴とする請求項12または13に記載の成膜装置。
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CN113192809A (zh) * 2021-04-30 2021-07-30 林梅琴 一种等离子平板显示器

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