JP2004272107A - ロック構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造でもって内装機器の本体筐体への装着状態を確実に維持させ得るロック構造を提供する。
【解決手段】本体筐体11に対して出入可能に装着され、且つ当該本体筐体11に内装される各種の被装着機器(この実施形態では搬送ユニット30)が収納されてなる引出し体20が本体筐体11に装着された状態をロックするものであり、引出し体20には、本体筐体11のフレーム11bに穿設された係合孔11cに係合することによって当該引出し体20の本体筐体11内への装着状態をロックするロック位置と、係合が解除される解除位置との間で位置変更する係合爪48を備えたロック部材40が設けられ、このロック部材40は、操作レバー44の自重で係合爪48がロック位置に位置設定されるように構成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、本体筐体内に出入可能に装着される内装機器に対して装着状態を係脱可能にロックするロック構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば複写機やプリンタ等の画像形成装置の本体筐体には、各種の機器がそれぞれユニットとして内装され、これらの被装着機器の協働で所定の画像処理が実行されるようになっている。本体筐体に内装される内装機器は、組み立て性およびメンテナンス性を考慮して、本体筐体に対し個々に出入可能とされている。したがって、紙詰まりが発生したときや被装着機器の交換作業を行うときなど本体筐体を分解しなくても内装機器を本体筐体から引き出すことによってユニット単位で対応することが可能となる。
【0003】
一方、本体筐体内に装着された内装機器が、設置場所の変更等に伴う移動とか、動作中の多少の振動等によって簡単に引き出されてしまうようでは、被装着機器間の相対的な位置関係がずれてしまい、画像形成装置が正常に作動しなくなる。かかる不都合を回避するために、通常、本体筐体に対する装着状態を保持のためのロック構造が採用されている。
【0004】
このロック構造は、内装機器側にロック姿勢とロック解除姿勢との間で姿勢変更可能に取り付けられたロック部材と、このロック部材と対向して本体筐体側に設けられた係合部とを備えて構成されているのが一般的である。そして、内装機器が本体筐体に押し込まれた状態で、ロック部材に形成された所定の係合爪が前記係合部に係合することによって内装機器の本体筐体への装着が行われるようになっている。
【0005】
従来、特許文献1に示すように、前記ロック部材にはコイルスプリングが付設され、このコイルスプリングの付勢力によってロック部材のロック姿勢が維持されるようになされている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−137157号公報
【特許文献2】
特開平8−179581号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のロック構造にあっては、コイルスプリングが採用されているためその分ロック構造が複雑な構成になり、部品コストおよび組み付けコストの高騰を招くばかりか、位置的な制約によってコイルスプリングの採用が困難な場合もあり、さらには機器のリサイクル性の向上のためにスプリング等の付勢手段の使用が好ましくない場合もある。従来のロック構造は、これらに対処し得ていないというのが実情であった。
【0008】
本発明は、かかる状況に鑑みなされたものであり、簡易な構造でもって内装機器の本体筐体への装着状態を確実に維持させ得るロック構造を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、本体筐体適所に形成された出入口に対して出し入れ可能に装着される所定の内装機器を前記本体筐体に装着された状態でロックするロック構造であって、前記内装機器に設けられ、係止爪部と操作部とを備えるロック部材と、このロック部材の姿勢を変更する姿勢変更部とを有し、前記姿勢変更部は、ロック部材を、その係止爪部が前記本体筐体の適所に形成された係合部と係合することによって内装機器の本体筐体に対する装着状態をロックするロック位置と前記係合が解除される解除位置との間で位置変更し得るように姿勢変更可能にする構造であるとともに、係止爪部を、前記操作部の自重によってロック位置方向に付勢させる位置に設けられていることを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、内装機器を本体筐体に装着し、且つ係合爪部を本体筐体の係合部に係合させた状態で係合爪部の係合部に対する係合状態がロック部材の自重によって維持され、内装機器の本体筐体からの抜け出しが防止される。
【0011】
ロック状態で本体筐体に装着されている内装機器を引き出すに際しては、操作部を操作してロック部材の係合爪部をロック位置から解除位置に位置変更させればよい。こうすることによって、係合爪部の係合部に対する係合が解除され、内装機器は、本体筐体から抜き出され得るようになる。
【0012】
このように、ロック部材は、姿勢変更部の作用により操作部の自重で係合爪部がロック位置に位置設定するようになっているため、従来のように付勢手段を用いて係合爪部のロック位置を保持させるようにしたものに比べて付勢手段が存在しない分その構造の簡素化が実現し、部品コストおよび組み付けコストの低減化に貢献する。また、位置的な制約等によって付勢手段の採用が困難な場合にも対応することができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記係合部は前記出入口の近傍であって前記出入口と同一の向きを有して穿設された係合孔であり、前記姿勢変更部は、前記出し入れ方向と交差する方向に伸び、前記ロック部材を回動自在に支持する支持軸であることを特徴とするものである。
【0014】
この発明によれば、一旦引き出された内装機器を本体筐体に装着するに際しては、操作レバーの回動操作で係合爪部を解除位置に位置設定し、この状態で内装機器を本体筐体に向けて押し込めば、係合爪部は、縁部に干渉することなく係合孔に嵌り込む。この状態で操作レバーの操作を中止すれば、ロック部材は操作部の自重で支持軸回りに回動してその係合爪部をロック位置に位置変更させるため、係合爪部の係合孔縁部への係合によって内装機器の本体筐体からの抜け出しが確実に防止される。
【0015】
ロック状態で本体筐体に装着されている内装機器を引き出すに際しては、操作レバーを操作してロック部材を支持軸回りに逆方向へ回動し、ロック部材の係合爪部をロック位置から解除位置に位置変更させればよい。こうすることによって、係合爪部の係合部に対する係合が解除され、内装機器は、本体筐体から抜き出され得るようになる。
【0016】
このように、姿勢変更部として支持軸を採用し、係合部を係合孔によって形成するとともに、ロック部材を支持軸回りに回動操作し得るように内装機器に取り付けることにより、ロック構造は、構造の簡素化が実現された上で、良好な操作性を備えたものになる。
【0017】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記係止爪部には、頂部から爪先端に亘って傾斜部が形成されており、前記内装機器を前記出入口から押し込む際に、係止爪部が係合孔に係合する前の前記ロック部材は、傾斜部が係合孔の一端に当接し、押し込みに連れて姿勢を変更しながら前記一端を摺動し、内装機器が本体筐体に装着されたときに係止爪部がロック位置に位置するように姿勢変更するものであることを特徴とするものである。
【0018】
この発明によれば、一旦引き出された内装機器を本体筐体に装着するに際し、内装機器を本体筐体内に押し込むことによって、ロック位置に位置設定されているロック部材の傾斜部が係合孔の一端に当接し、これによって係合爪部を解除位置に順次位置変更させるため、特に操作レバーを操作しなくても係合爪部は係合孔に嵌め込まれる。そして、内装機器が本体筐体内に完全に装着されることにより、傾斜部の係合孔一端に対する当接が解消されるため、係合爪部は、ロック部材の自重によって再度ロック位置に復帰され、これによって内装機器の本体筐体からの抜け出しが防止される。
【0019】
このように、ロック部材に傾斜部を設けることにより、引き出された内装機器は、それを単に本体筐体に押し込むだけでロックされるため、内装機器の本体筐体に対するロック操作が容易になる。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項2または3記載の発明において、前記支持軸は係止爪部と操作部との間に設けられると共に、前記係止爪部の爪先端は、係止爪部が係合孔に係合した状態でロック位置にあるとき、支持軸の軸心から本体筐体の係合孔が穿設された部分へ降ろした垂線の交点に対して同一レベルまたは下方にあることを特徴とするものである。
【0021】
この発明によれば、係合孔に係合されたロック部材の係止爪部がロック位置に位置設定された状態で、当該係止爪部の爪先端は、支持軸の軸心から本体筐体の係合孔が穿設された部分へ降ろした垂線の交点に対して同一レベルまたは下方に位置するように設置位置が設定されているため、内装機器に対して本体筐体から引き出される方向に力が加わった状態で、少なくとも前記同一レベルのときには係止爪部に対し支持軸回りに係合状態を解消する方向に向かうモーメントが作用しないばかりか、爪先端が前記交点より下方に位置するときには、係止爪部に対し支持軸回りにさらに係合状態が増す方向に向かうモーメントが作用することになり、これによってたとえ内装機器に引き出し方向へ向かう力が加わっても、係止爪部の係合孔に対する係合係止状態が解消されるような不都合が確実に防止される。
【0022】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るロック構造が適用された画像形成装置の一実施形態を示す概略側面図である。図1に示すように、画像形成装置10は、本体筐体11を有し、その内部に後述する引出し体20とこの引出し体20にマウントされた搬送ユニット30とからなる内装機器が装着されている。
【0023】
かかる画像形成装置10は、上流側(図1の紙面の左側)から下流側へ向けて順次配設されたイエロー用ユニット12Yと、マゼンダ用ユニット12Mと、シアン用ユニット12Cと、ブラック用ユニット12Kとからなる画像形成ユニット12を備えている。各ユニット12Y,12M,12C,12Kは、本体筐体11および各部に対して所定の相対的な位置関係で位置決めされて装着されている。
【0024】
各ユニット12Y,12M,12C,12Kには、現像装置13および感光体ドラム14がそれぞれ備えられている。各感光体ドラム14は、対応した現像装置13からトナーの供給を受け、図1において反時計方向へ向けて回転するようになっている。
【0025】
各感光体ドラム14の図1における上方右寄りの位置には帯電部15がそれぞれ設けられているとともに、同上方左寄りの位置には露光部16がそれぞれ設けられている。そして、各感光体ドラム14は、前記帯電部15によって周面が一様に帯電され、図略の読取り装置から入力された画像データに基づくLED光が前記各露光部16から帯電後の感光体ドラム14の周面に照射されることにより、各感光体ドラム14の周面に静電潜像が形成されるようになっている。かかる静電潜像に現像装置13のトナー容器からトナーが供給されることにより、感光体ドラム14の周面にトナー像が形成される。
【0026】
各感光体ドラム14の下方位置には搬送ユニット30が設けられている。この搬送ユニット30は、引出し体20にマウントされる基台31と、この基台31に支持されて図1における時計方向に周回する搬送ベルト32とを備えている。かかる搬送ベルト32は、基台31の図1における右端部に設けられた駆動ローラ33、同左端部に設けられた従動ローラ34、およびこれら駆動ローラ33および従動ローラ34間において若干上方位置に等ピッチで配設された4つの転動ローラ35に掛け回され、駆動ローラ33の回転駆動によって周回するようになっている。
【0027】
前記各転動ローラ35は、搬送ベルト32を介して対応した各感光体ドラム14に押し付けられ、これによって搬送ベルト32で搬送される用紙への感光体ドラム14からの転写が確実に行われるようになっている。また、各感光体ドラム14の図1における右方下部位置には感光体ドラム14周面の残留トナーを除去してクリーニングするクリーニング機構18が設けられている。クリーニング機構18によって清浄化処理された感光体ドラム14の周面は、新たな帯電処理のために帯電部15へ向かうことになる。
【0028】
そして、本体筐体11内の引出し体20より下方位置に設けられた給紙機構17から矢印で示すように送り出された用紙は、搬送ベルト32の周回に案内されて各感光体ドラム14と転動ローラ35との間に送り込まれ、ブラック用ユニット12Kでの転写処理が完了した用紙は、図略の定着ローラ対を有する定着装置19に導入され、定着装置19での熱定着処理によって定着されたカラー画像が形成される。定着処理の完了したカラー画像付の用紙は、所定の搬送路を通って排出部9へ排出される。
【0029】
そして、引出し体20は、上記のように構成された画像形成装置10における搬送ユニット30をマウントした状態で画像形成装置10に対して出入し得るようになっている。かかる引出し体20は、幅方向(図1の紙面に直交する方向)一対の側板21と、各側板21の下部から画像形成装置10の本体筐体11奥部(図1の右方)に向けて延設された幅方向一対の支持アーム22と、一対の側板21間に架設された図略の架設フレームとを備えて構成されている。前記搬送ユニット30は、その前半部分(図1の左方部分)が一対のアーム22に支持された状態で引出し体20に装着されている。
【0030】
一方、本体筐体11の前面(図1の左方)には開口11aが設けられ、引出し体20は、本体筐体11に対しこの開口11aを通して出入されるようになっている。開口11aの奥部には、引出し体20が本体筐体11に装着された状態における側板21のアーム22寄りの位置に、上下方向に延びる幅方向一対のフレーム11bが設けられ、本体筐体11内に装着された引出し体20は、その各側板21がこれら一対のフレーム11bに挟持された状態になるようにしている。
【0031】
そして、本発明に係るロック部材40は、フレーム11bと対向するように側板21に取り付けられている。また、フレーム11bには、ロック部材40の後述する係合爪48と対向するように上下方向に延びた長孔状の係合孔11cが穿設されている。
【0032】
図2は、ロック部材40の第1実施形態を示す斜視図であり、図3は、その側面図である。これらの図に示すように、ロック部材40は、引出し体20の側板21に支持軸(姿勢変更部)49回りに回動自在に軸支されるロック部材本体41と、このロック部材本体41の一方の側縁部に付設されたウエイト部42と、同他方の側縁部に付設された係合爪部46とを備えた基本構成を有している。
【0033】
前記支持軸49は、引出し体20が本体筐体11内に装着された状態でフレーム11bより若干外方(図2および図3の左方)寄りの位置に、引出し体20の移動方向と直交する方向に延びるように側板21を貫通して設けられている。
【0034】
前記ロック部材本体41は、上半分が半円状を呈するとともに、下半分が矩形状を呈するように形状設定され、半円状の部分の曲率中心位置に支持軸49を挿通するための挿通孔41aが穿設され、この挿通孔41aを側板21の外側位置で支持軸49に外嵌することにより、ロック部材40が支持軸49回りに正逆回動し得るようになっている。
【0035】
一方、支持軸49には、側板21よりロック部材本体41の厚み寸法分だけ外方寄りの位置に環状溝が凹設され、この環状溝にCリング49aが装着されることによって、ロック部材本体41は支持軸49から抜け止めされるようになっている。
【0036】
前記ウエイト部42は、ロック部材本体41の下半分の矩形状の部分の下縁部から引出し体20の引き出し方向へ向けて斜め下方に延びるように延設された斜め延設板43と、この斜め延設板43の外方側の縁部から側板21の側方外方に向けて突設された所定幅寸法の操作レバー44とを備えて構成されている。操作レバー44は、ロック部材40を回動操作するときに指で摘むためのものである。
【0037】
このようなウエイト部42の重量によって、ロック部材40は支持軸49回りに図2および図3における反時計方向に向かう回転力を常に受けた状態になっている。
【0038】
そして、操作レバー44には、上下方向に並設された複数個のボルト45が螺着されている。これらのボルト45は、錘の役割を果たすものであり、その個数を設定することによりウエイト部42の重量を種々変更し、これによってロック部材40の重量による回転力を調整し得るようになっている。
【0039】
前記係合爪部46は、ロック部材本体41の下半分の矩形状の部分から側方かつ外方に向かって突設され且つ平面視でL字状に折り曲げられた折曲げ部47と、この折曲げ部47の先端縁部から引出し体20の押し込み方向に向けて突設された係合爪48とを備えて構成されている。係合爪48は、折曲げ部47の先端縁部から当該折曲げ部47と直交するように上方に向けて突設された係合縁48aと、この係合縁48aの上端部から引出し体20の押し込み方向に向けて先下がりに傾斜した誘導傾斜縁(傾斜部)48bとを有している。
【0040】
また、係合縁48aの上端部には半円球状を呈した半円球突起48cが突設され、ロック部材40がフレーム11bに係合されて後述するロック姿勢に姿勢設定された状態で当該半円球突起48cが本体筐体11の背面にピンポイントで当接し、これによって係合爪48のフレーム11bに対する当接位置が製作誤差などによって変動しないようになされている。
【0041】
そして、本実施形態においては、半円球突起48cとフレーム11bとの当接点Pは、支持軸49の中心Oを通り、且つ引出し体20の移動方向と平行な高さレベル線Lより若干下方に位置するように位置設定されている。かかる位置設定を行うことにより、引出し体20を引き出そうとしたときに、当接点Pにおける半円球突起48cには支持軸49の回りに反時計方向へ向かうモーメントが作用するため、係合爪48は支持軸49回りに反時計方向へ向かう力を受け、これによって係合爪48による係止効果がより確実なものになる。
【0042】
このように構成されたロック部材40は、支持軸49回りに正逆回動されることにより、係合爪48が係合孔11cに貫通して半円球突起48cがフレーム11bの背面に当接したロック状態の、図3に実線で示すロック姿勢と、このロック状態が解除された、同二点鎖線で示す解除姿勢との間で姿勢変更し得るようになっている。ロック部材40がロック姿勢に姿勢設定された状態では、係合爪48は、ロック位置に位置設定される一方、ロック部材40が解除姿勢に姿勢設定された状態では、係合爪48は解除位置に位置設定される。
【0043】
そして、係合爪48が係合孔11cに嵌り込んで半円球突起48cがフレーム11bに当接していない状態であっても、ロック部材40にロック姿勢を維持させるために、側板21の適所からストッパー21aが突設され、斜め延設板43がこのストッパー21aに当止することによって、普段はウエイト部42の重量により支持軸49回りに反時計方向に向かう力を受けているロック部材40の回り過ぎが阻止され、ロック姿勢が維持されるようになっている。
【0044】
一方、前記フレーム11bに係合爪部46に対応して穿設された係合孔11cは、ロック部材40がロック姿勢に姿勢設定された状態で、その上縁部がロック部材40の折曲げ部47の上縁と当止する一方、ロック部材40が解除姿勢に姿勢設定された状態で、その下縁が係合爪部46の下角部と干渉しないように上下寸法が設定されている。
【0045】
また、係合爪48の誘導傾斜縁48bは、ロック部材40がロック姿勢に姿勢設定された状態で、当該誘導傾斜縁48bの最下部位置が係合孔11cの上縁部より若干下方位置に位置するように長さ設定され、これによって一旦引き出された引出し体20を本体筐体11内に押し込むに際し、誘導傾斜縁48bの最下端部が係合孔11cに嵌り込み得るようになっている。
【0046】
そして、係合爪48の最下端部が係合孔11cに嵌り込んだ後も引出し体20の押し込み操作を継続することにより、誘導傾斜縁48bが係合孔11cの上縁部と干渉することによってロック部材40が支持軸49回りに時計方向に回動し、これによって係合爪48の下方の隅部が下縁部に干渉することなく係合孔11cを一旦すり抜け、係合縁48aの上縁部が係合孔11cの上縁部を通過した後にロック部材40がウエイト部42の重量によって支持軸49回りに反時計方向に回動することによって、当該ロック部材40は、図3に実線で示したように、係合爪48の半円球突起48cがフレーム11bの背面に当止したロック姿勢に姿勢設定される。
【0047】
ロック部材40がロック姿勢に姿勢設定された状態では、引出し体20を本体筐体11から引き出そうとしても、係合爪48の半円球突起48cがフレーム11bの背面に当止しているため、引出し体20が本体筐体11から引き出されることが阻止される。
【0048】
本体筐体11に収納された引出し体20を引き出すに際しては、操作レバー44を手前に引くことによってロック部材4を支持軸49回りに時計方向に回動操作する。こうすることによってロック部材40は、図3に二点鎖線で示すように、ロックが解除されたロック解除姿勢に姿勢設定され、これによる係合爪48のロック位置から解除位置への位置変更で係合爪48のフレーム11b背面に対する当接が解消されて係合縁48aが係合孔11cの上縁部と干渉しなくなるため、引出し体20を本体筐体11から引き出すことが可能になる。
【0049】
そして、本実施形態においては、図1に示すように、本体筐体11内に収納された引出し体20のアーム22の後端縁(図1の右方)を引き出し方向に向けて押圧するように装着された弾性部材8が設けられている。弾性部材8としては、ゴムや軟質の合成樹脂材料、さらには各種のバネ等を挙げることができる。本体筐体11に収納されてロック部材40によりロックされた引出し体20は、当該弾性部材8の弾性力によって引き出し方向へ向けて押圧されるため、半円球突起48cが常にフレーム11bの背面に押圧当接した状態になり、これによって引出し体20の確実な位置決めが実現するほか、振動等によって引出し体20が振れるような不都合が防止される。
【0050】
本発明のロック構造は、以上詳述したように、本体筐体11に対して出入可能に装着され、且つ当該本体筐体11に内装される各種の被装着機器(この実施形態では搬送ユニット30)が収納されてなる引出し体20が本体筐体11に装着された状態をロックするものであり、引出し体20には、本体筐体11のフレーム11bに穿設された係合孔11cに係合することによって当該引出し体20の本体筐体11内への装着状態をロックするロック位置と、係合が解除される解除位置との間で位置変更する係合爪48を備えたロック部材40が設けられ、このロック部材40は、自重で係合爪48がロック位置に位置設定されるように構成されているため、引出し体20を本体筐体11に装着し、且つ係合爪48を本体筐体11の係合孔11cに係合させた状態で係合爪48の係合孔11cに対する係合状態がロック部材40の自重によって維持され、これによって引出し体20の本体筐体11からの抜け出しを確実に防止することができる。
【0051】
そして、ロック状態で本体筐体11に装着されている引出し体20を引き出すに際しては、ロック部材40を操作してその係合爪48をロック位置から解除位置に位置変更させればよい。こうすることによって、係合爪48の係合孔11cに対する係合が解除され、引出し体20を本体筐体11から抜き出すことができる。
【0052】
このように、ロック部材40は、自重で係合爪48がロック位置に位置設定されるようになっているため、従来のように付勢手段を用いて係合爪48のロック位置を保持させるようにしたものに比べて付勢手段が存在しない分その構造の簡素化が実現し、部品コストおよび組み付けコストの低減化に貢献する。また、位置的な制約等によって付勢手段の採用が困難な場合にも対応することができる。
【0053】
そして、ロック部材40は、引出し体20の外側面に前記係合孔11cに対応して当該引出し体20の出入方向と交差する方向に延びる支持軸49回りに回動自在に軸支されているとともに、係合爪48は、引出し体20が本体筐体11内に収納されることにより、係合孔11cに嵌り込んで引出し体20の突出を規制するように形状設定され、しかも、前記支持軸49回りの回動操作により係合爪48の係合孔11cへの嵌り込みを解除する操作レバー44が設けられているため、一旦引き出された引出し体20を本体筐体11に装着するに際し、操作レバー44の回動操作で係合爪48を解除位置に位置設定し、この状態で引出し体20を本体筐体11に向けて押し込めば、係合爪48は、縁部に干渉することなく係合孔11cに嵌り込むことができる。この状態で操作レバー44の操作を中止すれば、ロック部材40は自重でその係合爪48をロック位置に位置変更させるため、係合爪48の係合孔11c縁部への係合によって引出し体20の本体筐体11からの抜け出しを確実に防止することができる。
【0054】
これとは逆に、ロック状態で本体筐体11に装着されている引出し体20を引き出すに際しては、操作レバー44を操作してその係合爪48をロック位置から解除位置に位置変更させればよい。こうすることによって、係合爪48の係合孔11cの縁部に対する係合が解除され、引出し体20を本体筐体11から抜き出すことができる。
【0055】
このように、係合部を係合孔11cによって形成するとともに、ロック部材40を支持軸49回りに回動操作し得るように引出し体20に取り付けることにより、ロック構造は、その構造の簡素化が実現された上で、良好な操作性を備えたものになる。
【0056】
また、係合爪48には、前記ロック部材40がロック位置に位置設定された状態で前記係合孔11cの所定の端縁に対向し、且つ引出し体20を本体筐体11内に押し込むに際し前記係合孔11cの所定の端縁に当接することによってロック部材40を解除位置へ誘導する誘導傾斜縁48bが設けられているため、一旦引き出された引出し体20を本体筐体11に装着するに際し、引出し体20を本体筐体11内に押し込むことによって、ロック位置に位置設定されているロック部材40の誘導傾斜縁48bが係合孔11cの縁部に当接し、これによって係合爪48を解除位置に順次位置変更させることができる。したがって、引出し体20を本体筐体11に押し込むに際しては、特に操作レバー44を操作しなくても係合爪48を係合孔11cに嵌め込むことができ、操作性が良好になる。
【0057】
そして、引出し体20が本体筐体11内に完全に装着されることにより、誘導傾斜縁48bの係合孔11c縁部に対する当接が解消されるため、係合爪48は、ロック部材40の自重によって再度ロック位置に復帰され、これによって引出し体20の本体筐体11からの抜け出しを防止することができる。
【0058】
このように、ロック部材40に誘導傾斜縁48bを設けることにより、引き出された引出し体20は、それを単に本体筐体11に押し込むだけでロックされるため、引出し体20の本体筐体11に対するロック操作が容易になる。
【0059】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0060】
(1)図4は、本発明に係るロック部材の他の実施形態を示す側面視の説明図であり、(イ)は、第2実施形態、(ロ)は、第3実施形態のロック部材をそれぞれ示している。まず、図4の(イ)に示す第2実施形態のロック部材40aは、側面視で逆L字状を呈し、上下方向に長尺の操作レバー42aと、この操作レバー42aの上端部からフレーム11bの方向に延びた先の実施形態の係合爪部46に対応する長尺係合爪部46aとからなっている。
【0061】
そして、操作レバー42aと長尺係合爪部46aとの交差位置が支持軸49に摺接状態で外嵌され、これによってロック部材40aは支持軸49回りに正逆回動可能になっている。長尺係合爪部46aの先端部には係合爪48dが形成されている。この係合爪48dは、先の実施形態とは上下が逆で下方に向かうように延設された係合縁48eが設けられているとともに、この係合縁48eの下端部から引出し体20の押し込み方向に向けて先上りに形成された誘導傾斜縁48fを有している。引出し体20の側板21には、当該引出し体20が本体筐体11内に収納された状態におけるフレーム11bの係合孔11cの下縁部直外方であって、該下縁部と同一高さ位置にストッパー21aが設けられている。
【0062】
かかるロック部材40は、長尺係合爪部46aの重量により当該長尺係合爪部46aがストッパー21aに当止した、図4の(イ)に実線で示すロック姿勢と、操作レバー42aを引出し体20の押し込み方向に押圧することにより係合爪48dが係合孔11cの下縁部から外れた、図4の(ロ)に二点鎖線で示す解除姿勢との間で姿勢変更可能になっている。
【0063】
第2実施形態のロック部材40aによれば、極めて簡素な構造でありながら、第1実施形態のロック部材40と同一の作用効果を得ることができる。
【0064】
ついで、図4の(ロ)に示す第3実施形態のロック部材40bは、第2実施形態のロック部材40aと同様に逆L字状に形成され、上下方向に長尺に形成された長尺縦杆42bと、第2実施形態の長尺係合爪部46aより短い短尺係合爪部46bと、長尺縦杆42bの下端部から引出し体20の引き出し方向に向けて突設された操作レバー44bとからなっている。
【0065】
短尺係合爪部46bの先端部には、第2実施形態のものと同様の、係合縁48eおよび誘導傾斜縁48fを備えた係合爪48dが形成されている。かかるロック部材40bは、長尺縦杆42bが引出し体20の側板21に固定された平面視でコ字状のガイド部材42cに摺接状態で嵌入されている。ガイド部材42cは、その上縁部がフレーム11bに穿設された係合孔11cの下縁部と同一高さ位置に設定されている。したがって、ロック部材40bは、操作レバー44bを把持して上下方向に正逆操作することにより、図4の(ロ)に実線で示す下方位置(ロック位置)と、同二点鎖線で示す上方位置(解除位置)との間で位置変更し得るようになっている。
【0066】
かかる第3実施形態のロック部材40bによれば、係合爪48dの位置変更が、先のロック部材40,40aの支持軸49回りの回動に代えて長尺縦杆42bがガイド部材42cに案内されつつ行われるロック部材40bの上下動による点を除き、先の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0067】
(2)上記の実施形態においては、本発明の係合部として、フレーム11bに穿設された係合孔11cが採用されているが、本発明は、係合部が係合孔11cであることに限定されるものではなく、係合孔11cの幅方向のいずれかの縁部が開放状態になった、いわゆる切欠き凹部であってもよいし、係合爪48,48fの係合縁48eが引っ掛かる係止ピンであってもよい。
【0068】
(3)上記の実施形態においては、ロック部材40,40a,40b等を備えたロック構造が画像形成装置10の搬送ユニット30のマウントされる引出し体20に適用されているが、本発明は、ロック構造を画像形成装置10に適用することに限定されるものではなく、各種の本体筐体に引出し式で出入可能に装着される各種の内装機器に適用することができる。
【0069】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明は、内装機器に本体筐体の適所に形成された係合部に係合することによって当該内装機器の本体筐体内への装着状態をロックするロック位置と、前記係合が解除される解除位置との間で位置変更する係合爪を備えたロック部材を設け、このロック部材の自重で係合爪がロック位置に位置設定されるようにしているため、従来のように付勢手段を用いて係合爪のロック位置を保持させるようにしたものに比べて付勢手段が存在しない分その構造の簡素化が実現し、部品コストおよび組み付けコストの低減化に貢献することができる。また、位置的な制約等によって付勢手段の採用が困難な場合にも対応することができ、汎用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るロック構造が適用された引出しの一実施形態を示す模式化された側面視の説明図である。
【図2】ロック部材の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】図2に示すロック部材の側面図である。
【図4】本発明に係るロック部材の他の実施形態を示す側面視の説明図であり、(イ)は、第2実施形態、(ロ)は、第3実施形態のロック部材をそれぞれ示している。
【符号の説明】
1 搬送路 8 弾性部材
9 排出部 10 画像形成装置
11 装置本体(本体筐体) 11a 開口
11b フレーム 11c 係合孔
12 画像形成ユニット 13 現像装置
14 感光体ドラム 15 帯電部
16 露光部 17 給紙機構
18 クリーニング機構 19 定着装置
20 引出し体(内装機器)
21 側板 21a ストッパー
22 アーム 30搬送ユニット(内装機器)
31 基台 32 搬送ベルト
33 駆動ローラ 34 従動ローラ
35 転動ローラ 40,40a,40b ロック部材
41 ロック部材本体 41a 挿通孔
42 ウエイト部 42a 操作レバー
42b 長尺縦杆 42c ガイド部材
43 斜め延設板 44 操作レバー
45 ボルト 46 係合爪部
46a 長尺係合爪部 46b 短尺係合爪部
47 折曲げ部 48 係合爪
48a 係合縁 48b 誘導傾斜縁(傾斜部)
48c 半円球突起 48d 係合爪
48e 係合縁 48f 誘導傾斜縁
49 支持軸(姿勢変更部)

Claims (4)

  1. 本体筐体適所に形成された出入口に対して出し入れ可能に装着される所定の内装機器を前記本体筐体に装着された状態でロックするロック構造であって、前記内装機器に設けられ、係止爪部と操作部とを備えるロック部材と、このロック部材の姿勢を変更する姿勢変更部とを有し、前記姿勢変更部は、ロック部材を、その係止爪部が前記本体筐体の適所に形成された係合部と係合することによって内装機器の本体筐体に対する装着状態をロックするロック位置と前記係合が解除される解除位置との間で位置変更し得るように姿勢変更可能にする構造であるとともに、係止爪部を、前記操作部の自重によってロック位置方向に付勢させる位置に設けられていることを特徴とするロック構造。
  2. 前記係合部は前記出入口の近傍であって前記出入口と同一の向きを有して穿設された係合孔であり、前記姿勢変更部は、前記出し入れ方向と交差する方向に伸び、前記ロック部材を回動自在に支持する支持軸であることを特徴とする請求項1記載のロック構造。
  3. 前記係止爪部には、頂部から爪先端に亘って傾斜部が形成されており、前記内装機器を前記出入口から押し込む際に、係止爪部が係合孔に係合する前の前記ロック部材は、傾斜部が係合孔の一端に当接し、押し込みに連れて姿勢を変更しながら前記一端を摺動し、内装機器が本体筐体に装着されたときに係止爪部がロック位置に位置するように姿勢変更するものであることを特徴とする請求項2記載のロック構造。
  4. 前記支持軸は係止爪部と操作部との間に設けられると共に、前記係止爪部の爪先端は、係止爪部が係合孔に係合した状態でロック位置にあるとき、支持軸の軸心から本体筐体の係合孔が穿設された部分へ降ろした垂線の交点に対して同一レベルまたは下方にあることを特徴とする請求項2または3記載のロック構造。
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