JP2004271634A - 導波路型スポットサイズ変換回路及びそれを用いた光部品及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型で低損失で低コストの導波路型スポットサイズ変換回路及びそれを用いた光部品及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】導波路23と光ファイバとの間のクラッド層22内に、レンズ媒質部24a、24bが形成され、このレンズ媒質部により光信号のスポットサイズが変換されるため、偏波依存性の無い、小型、低損失、低コストのスポットサイズ変換を行うことができる。
【選択図】 図1
【解決手段】導波路23と光ファイバとの間のクラッド層22内に、レンズ媒質部24a、24bが形成され、このレンズ媒質部により光信号のスポットサイズが変換されるため、偏波依存性の無い、小型、低損失、低コストのスポットサイズ変換を行うことができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導波路型スポットサイズ変換回路及びそれを用いた光部品及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス導波路型光デバイスは、半導体プロセスを利用することにより、量産し易いことから既に多くの光デバイスが実用化されている。しかし、更なる小型化、低コスト化のための研究開発が進められている。その例として、ガラス導波路型光デバイスの高比屈折率差(高Δ)化による小型化、低コスト化が検討されている。具体例として、Δが1.5%以上、2.5%程度の光デバイスが検討されている。
【0003】
ところが、ガラス導波路型光デバイスの高Δ化に対して、ガラス導波路型光デバイスに接続する光ファイバは、通常のシングルモード光ファイバであるため、Δは0.3%から1%の範囲のものが用いられる。そのために、光ファイバと光デバイスとの間にモードミスマッチングが生じるという問題がある。このモードミスマッチングの問題を解決するために、次のような技術的手段が用いられている。
【0004】
図6は導波路型スポットサイズ変換回路の従来例を示す説明図であり、図7は導波路型スポットサイズ変換回路の他の従来例を示す説明図である。
【0005】
第1の技術的手段は、図6に示すように、光デバイス側にモード変換部(スポットサイズ変換部)を設ける方法である(例えば特許文献1参照。)。
【0006】
同図に示す光デバイス1は、光導波路2の一端(図では左端)をヒータ3で加熱すると共に、光導波路2の他端(この場合右端)を水冷式冷却機構を有するサンプルホルダ4で冷却することにより、光導波路2のコア層5の一端にモード変換部としての熱拡散領域Lを形成したものである。
【0007】
熱拡散領域Lはコア層5の長手方向に沿って4mm以上形成される。
【0008】
第2の技術的手段は、TEC(Thermal Expand Core:熱拡散によるコア拡大)を用いるものである(例えば特許文献2参照。)。
【0009】
図7に示すように光デバイス10は、高Δの光ファイバ6a、6bの一端(図では内側)を光デバイス(高Δ導波路)7に接続し、両光ファイバ6a、6bの他端(この場合外側)に低Δの光ファイバ8a、8bをTEC技術を用いて接続し、そのTEC接続部9a、9bでモード変換する方法である。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−43330号公報
【特許文献2】
特開平5−257032号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のモード変換方式には次のような課題が存在している。
【0012】
(1)光デバイス側にモード変換部を設ける方式は、光デバイスのサイズが非常に大きくなるという問題がある。そのために低コスト化が難しい。
【0013】
(2)また、光デバイスの損失も大きくなり、実用的でない。
【0014】
(3)光デバイスの入、出力端面に高Δの光ファイバの一端を接続し、その光ファイバの他端にTEC技術を用いて低Δの光ファイバをモード整合接続する方式は、低損失で実現できるというメリットがあるが、高Δの光ファイバを特別に作らなければならないために、コスト高になる。
【0015】
(4)また、実装コストも高くなり、低コスト化が難しい。さらに、それぞれの光ファイバ長を長くして接続しなければならないために、小型化にも制約を受ける。
【0016】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、小型で低損失で低コストの導波路型スポットサイズ変換回路及びそれを用いた光部品及びそれらの製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、クラッド層の内部にクラッド層より屈折率が高いコア層が形成された光導波路を有し、コア層の光軸上にあってコア層端面と光導波路端面との間のクラッド層内にコア層より屈折率が低いレンズ部が形成されている導波路型スポットサイズ変換回路である。
【0018】
請求項1の構成によれば、レンズ部により光信号のスポットサイズがスポットサイズ変換回路の入出力端側で略等しくなるように変換されるため、偏波依存性の無い、小型、低損失、低コストのスポットサイズ変換を行うことができる。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成に加え、レンズ部がコア層の光軸上に沿って複数形成され、各レンズ部の屈折率がコア層端面から光導波路端面に向かって徐々に低くなっているのが好ましい。
【0020】
請求項2の構成によれば、導波路のフィールドパターンに沿うようにレンズ部列を形成することができ、コア層とレンズ部との間及び各コア層間における光信号が効率的に伝搬する。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、レンズ部がコア層の光軸上に沿って複数形成され、各レンズ部の外形がコア層端面から光導波路端面に向かって、徐々に大きくなっているのが好ましい。
【0022】
請求項3の構成によれば、導波路のフィールドパターンに沿うようにレンズ部列を形成することができ、コア層とレンズ部との間及び各コア層間における光信号が効率的に伝搬する。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の構成に加え、光導波路のコア層とクラッド層との比屈折率差Δhは1.5%以上3.5%以下であり、光導波路の端面における入力端、あるいは出力端のスポットサイズは3μm以上10μm以下であるのが好ましい。
【0024】
ここで、スポットサイズは、光波の振幅が光軸上の1/eとなる光軸からの距離の2倍とし、ビーム直径を表すものとする。
【0025】
請求項4の構成によれば、通常の低比屈折率差の光ファイバを接続することができる。このため、低損失化、偏波無依存化、低コスト化が図れる。
【0026】
請求項5の発明は、クラッド層の内部にクラッド層より屈折率が高いコア層を有する光導波路を形成し、コア層の光軸上にあってコア層端面と光導波路端面との間のクラッド層内にコア層より屈折率が低いレンズ部を形成する導波路型スポットサイズ変換回路の製造方法であって、クラッド層にはSiO2の屈折率制御用ドーパントとして、Bのみ、B及びP、あるいはFのみ添加するものである。
【0027】
請求項5の構成によれば、クラッド層の屈折率をSiO2より低下させることができ、クラッド層内に超短パルスレーザビームの集光、照射による高屈折率化の際の屈折率制御範囲を広くとることができる。すなわち、Δhが1%以上3.5%の範囲までの導波路型スポットサイズ変換回路を得ることができる。
【0028】
請求項6の発明は、請求項5に記載の構成に加え、クラッド層に超短パルスレーザビームを集光、照射することによりコア層より屈折率を低くして各レンズ部を形成するのが好ましい。
【0029】
請求項6に記載の構成によれば、超短パルスレーザビームをクラッド層に集光、照射することにより、コア層よりも徐々に屈折率が低く、所望間隔、所望外形、所望屈折率を有する略球状のレンズ部を少なくとも2箇所、導波路のコア層及び光ファイバのコア間の光軸上に形成することができる。このため、より緻密で低損失なレンズ部を有する導波路型スポットサイズ変換回路を得ることができる。
【0030】
請求項7の発明は、光ファイバと、光ファイバの比屈折率差よりも高い比屈折率差を有する導波路型光デバイスと、クラッド層の内部にクラッド層よりも屈折率の高いレンズ部が複数個形成されている導波路型スポットサイズ変換回路とからなる光部品であって、導波路型スポットサイズ変換回路が光ファイバのコア端面と導波路型光デバイスのコア層端面との間に形成されているものである。
【0031】
請求項7に記載の構成によれば、レンズ部により光信号のスポットサイズがスポットサイズ変換回路の入出力端側で略等しくなるように変換されるため、偏波依存性の無い、小型、低損失、低コストのスポットサイズ変換を行う光部品を得ることができる。
【0032】
請求項8の発明は、請求項7に記載の構成に加え、光ファイバのコア端面から導波路型光デバイスのコア層端面に向かって、レンズ部の外形が徐々に小さくなると共にレンズ部の屈折率が徐々に高くなるのが好ましい。
【0033】
請求項8に記載の構成によれば、導波路のフィールドパターンに沿うようにレンズ部列を形成することができ、コア層とレンズ部との間及び各コア層間における光信号が効率的に伝搬する光部品を得ることができる。
【0034】
請求項9の発明は、請求項7または8に記載の構成に加え、クラッド層の他端に接続される光ファイバは0.3%以上1%以下の低比屈折率差を有するのが好ましい。
【0035】
請求項9に記載の構成によれば、通常の低比屈折率差の光ファイバを接続することができる。このため、光部品の低損失化、偏波無依存化、低コスト化が図れる。
【0036】
請求項10の発明は、請求項7から9のいずれかに記載の構成に加え、クラッド層の光ファイバ側の端面がコア層の光軸に対して斜めに形成されているのが好ましい。
【0037】
請求項10に記載の構成によれば、光ファイバとの接続部からの不要な反射光のコア層への入射を抑えた光部品を得ることができる。
【0038】
請求項11の発明は、請求項7から10のいずれかに記載の構成に加え、クラッド層の端面に光ファイバが融着接続、あるいは接着剤接続されているのが好ましい。
【0039】
請求項11に記載の構成によれば、低コスト化を図った光部品を得ることができる。
【0040】
請求項12の発明は、光ファイバを準備し、光ファイバの比屈折率差よりも高い比屈折率差を有する導波路型光デバイスを準備し、導波路型光デバイスのクラッド層の内部にクラッド層よりも屈折率の高いレンズ部を複数個形成して導波路型スポットサイズ変換回路を形成し、光ファイバと導波路型スポットサイズ変換回路とを接続して光部品を製造する光部品の製造方法であって、クラッド層にはSiO2の屈折率制御用ドーパントとして、Bのみ、B及びP、あるいはFのみ添加するものである。
【0041】
請求項12に記載の構成によれば、クラッド層の屈折率をSiO2より低下させることができ、クラッド層内に超短パルスレーザビームの集光、照射による高屈折率化の際の屈折率制御範囲を広くとることができる。すなわち、Δhが1%以上3.5%の範囲までの導波路型スポットサイズ変換回路を有する光部品を得ることができる。
【0042】
請求項13の発明は、請求項12に記載の構成に加え、クラッド層に超短パルスレーザビームを集光、照射することによりコア層より屈折率を低くして各レンズ部を形成するのが好ましい。
【0043】
請求項13に記載の構成によれば、超短パルスレーザビームをクラッド層に集光、照射することにより、コア層よりも徐々に屈折率が低く、所望間隔、所望外形、所望屈折率を有する略球状のレンズ部を少なくとも2箇所、導波路のコア層及び光ファイバのコア間の光軸上に形成することができる。このため、より緻密で低損失なレンズ部を有する導波路型スポットサイズ変換回路を有する光部品を得ることができる。
【0044】
請求項14の発明は、請求項12または13に記載の構成に加え、超短パルスレーザビームを、クラッド層に光ファイバが接続された状態で照射するのが好ましい。
【0045】
請求項14に記載の構成によれば、クラッド層に光ファイバが接続された状態で超短パルスレーザビームを集光、照射することにより、光部品の製造効率が向上し、低コスト化が図れる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0047】
図1(a)は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の一実施の形態を示す正面断面図であり、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線断面図であり、図1(c)は、図1(b)のIc−Ic線上の屈折率分布を示す図である(尚、光ファイバは省略されている)。図1(c)において縦軸は屈折率を示し、横軸は位置を示している。
【0048】
本光部品20の構造は、光信号が伝搬するコア層(屈折率nw、厚さt、幅s)21と、コア層21より屈折率の低いクラッド層(屈折率nu)22との比屈折率差Δの高い(この例ではΔh:2%、nw:1.4872、nu:1.4575)埋め込み型ガラス導波路23の一方の端面方向に向かってその導波路23内のコア層3の延長に(コア層21の端面21aとガラス導波路23の端面23aとの間に)そのコア層21の屈折率よりも徐々に低い値の略球状のレンズ媒質24a,24b(この例では2個であるが限定されない。)が所望間隔(fa、fa+fb、fb)、所望径(Ra、Rb)、所望屈折率(na、nb)を持つように形成され、その端面方向に向かってスポットをwにサイズ変換することを特徴とする導波路型スポットサイズ変換回路を有するものである。
【0049】
ここで、レンズ部(レンズ媒質部)の屈折率の大きさは以下の関係を満たすように作製する。
【0050】
導波路コア層3の屈折率>レンズ部の屈折率≧光ファイバコアの屈折率>クラッド層の屈折率
このレンズ媒質部24a、24bとレンズ媒質部24a、24bを覆う部分のクラッド層22とが本発明の導波路型スポットサイズ変換回路である(スポットサイズ変換回路のクラッド層とガラス導波路23のクラッド層との境界線は省略されている。)。尚、25は基板である。
【0051】
レンズ媒質部24a、24bは所定間隔(fa:端面23a〜レンズ媒質部24a、fa+fb:レンズ媒質部24a〜レンズ媒質部24b、fb:レンズ媒質部24b〜コア層21の端面21a)、所定外径(Ra:レンズ媒質部24aの外径、Rb:レンズ媒質部24bの外径)、所定屈折率(na:レンズ媒質部24aの屈折率、nb:レンズ媒質部24bの屈折率)を有するように形成されている。これらのパラメータは、コア層21を伝搬した光のスポットサイズがガラス導波路23の端面23aでwになるように設定されている。
【0052】
このようにスポットサイズ変換回路と光導波路23とを構成することにより、端面23aに、比屈折率差Δの低い(Δl:例えば0.3%)通常のシングルモード光ファイバを低損失で接続することができる。
【0053】
図1(a)〜(c)の構成について説明を続ける。
【0054】
光部品20の基板25にはガラス(石英ガラス、多成分ガラス等)、半導体(Si、InP、GaAs等)、磁性体(セラミックス、アルミナ等)、強誘電体(LiNbO3、LiTaO5等)を用いることができる。
【0055】
その基板25上に低屈折率nuのクラッド層22が設けられている。このクラッド層22には、SiO2、SiO2に屈折率制御用ドーパントを少なくとも1種類添加したものなどを用いる。そしてこのクラッド層22内には高屈折率nwのコア層21が埋め込まれている。
【0056】
このような構成において、光信号のスポットサイズwがどの位の値まで変換できるかを近似的に計算した例を以下に説明する。
【0057】
光部品20の一方の端面23aに接続する光ファイバとして、コア層(直径10μm、屈折率n2=1.4619)、クラッド層(直径125μm、屈折率n1=1.4575)からなるステップ型屈折率分布(Δ=0.3%)のものを用いる。そのためには、スポットサイズwoを約10μmにまでスポットサイズ変換しなければならない。すなわち、光部品20は、数1式、数2式及び数3式を満足しなければならない。
【0058】
【数1】
wi=fb・wo/fa
【0059】
【数2】
fa=na・Ra/[2(na−nu)]
【0060】
【数3】
fb=nb・Rb/[2(nb−nu)]
ここで、スポットサイズwo=10μm、レンズ媒質部24aの屈折率na=1.4722、レンズ媒質部24aの直径Ra=4μm、レンズ媒質部24bの屈折率nb=1.4797、レンズ媒質部24bの直径Rb=2μmとすると、スポットサイズwiを3.3μmまで小さくすることができる。
【0061】
すなわち、この本発明の構成、すなわち光部品20を用いれば、Δが約2%の高Δ導波路型光部品と、Δが0.3%の低Δ光ファイバとを低損失でモードフィールド整合を取って結合させることができる。
【0062】
以上のような計算例の導波路構造及び屈折率分布は図1(a)〜(c)のようになる。
【0063】
ここで、他の実施の形態として、コア層(屈折率nw、厚さt、幅s)21とクラッド層(屈折率nu)22との比屈折率差Δhが3%の場合について説明する。
【0064】
すなわち、スポットサイズwo=10μm、レンズ媒質部24aの屈折率na=1.4722、レンズ媒質部24aの直径Ra=4μm、レンズ媒質部24bの屈折率nb=1.4797、レンズ媒質部24bの直径Rb=1.25μmとすると、スポットサイズwiを2μmまで小さくすることができる。
【0065】
すなわち、本発明の構造を用いれば(導波路型スポットサイズ変換回路によれば)、Δが約3%の超高Δ導波路型光部品と、Δが0.3%の低Δ光ファイバとを低損失でモードフィールド整合を取って結合させることができる。そしてこの結果、超小型、超低損失の光部品を実現することができる。
【0066】
図2は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の他の実施の形態を示す正面断面図である。
【0067】
同図に示す超高Δの光部品30の入、出力の両端面30a、30bに低Δの光ファイバ(コア層46a、46b:クラッド層47a、47b)31a、31bを接続したものである。上記超高Δの光部品30に用いられる導波路型光デバイスとしての導波路32には、コア層33によるパターンとして、直線パターン、曲線パターン等の組合せからなる種々の光信号処理回路(光フィルタ、導波路格子グレーティング、光方向性結合回路、Y分岐回路、リング型共振回路、光スイッチ回路等を少なくとも1種類含んだ光回路)が形成されていても良い。48a、48b、49a、49bはレンズ媒質部であり、レンズ媒質部48a、48bと、レンズ媒質部48a、48bを覆うクラッド層34とで本発明の導波路型スポットサイズ変換回路が構成され、同様にレンズ媒質部49a、49bと、レンズ媒質部49a、49bを覆うクラッド層34とで本発明の導波路型スポットサイズ変換回路が構成されている。尚、34はクラッド層であり、35は基板である。
【0068】
このように、光部品30は、光ファイバ31a(31b)のコア層46a(46b)を伝搬した光信号がレンズ媒質部48a、48bでスポットサイズ変換されてコア層33内に低損失で伝搬される。
【0069】
図3(a)〜(d)は図1(a)〜(c)に示した導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の製造方法を示す工程図であり、図3(e)〜図3(h)は図3(a)〜(d)の右側面図である(尚、光ファイバは省略されている)。
【0070】
まず、図3(a)において、基板25上に下部クラッド層22−1及びコア膜21−1を順次成膜形成する。基板25にはSi基板を用いた。下部クラッド層22−1にはSiO2ガラスを用い、厚み約20μmに形成した。コア膜21−1はSiO2−GeO2ガラス層を約4μmの厚みに形成したものである。コア膜21−1と下部クラッド層22−1との比屈折率差Δは約2%であった。上記下部クラッド層22−1及びコア膜21−1はアルコキシド系の原料ソースを用いたプラズマCVD法により低温(約400℃)で成膜した(図3(a)、(e))。
【0071】
次に、図3(a)、(b)に示すように、コア膜21−1の上にWSi膜(図示せず。)をスパッタリング法で約1μmの厚さに形成し、そのWSi膜の上にフォトレジスト(図示せず。)を塗布後、フォトマスク(図示せず。)を用いてフォトリソグラフィ工程によりフォトレジストパターンを形成し、ついでそのフォトレジストパターンをマスクにしてドライエッチング工程によりWSi膜をパターニングした。パターニング後、上記WSiパターンをマスクにしてコア膜21−1を略矩形断面形状のパターンに加工して図3(b)、(f)に示すような略矩形断面形状のパターンのコア層21を得た。また、下部クラッド層22−1の一端(図3(b)では左端)を段差部36が形成されるようにエッチングする(図3(b)、(f))。
【0072】
エッチングのあとで図3(c)、(g)に示すように、段差部36を覆うようにコア層21及び下部クラッド層22−1上に上部クラッド層22−2を形成する。
【0073】
最後に図3(d)、(h)に示すように、波長800nmの超短パルスレーザビーム(パルス幅:150fs、パルス繰り返し周波数:200kHz、平均出力:600mW)37を集光レンズ38で集光し、上部クラッド層22−2内のコア層21の延長線(図示せず。)に照射することにより、上部クラッド層22−2の屈折率を部分的に高めてレンズ媒質部24aを形成する。
【0074】
ついで、上部クラッド層22−2の一端(この場合左端)からコア層21の端面21aに向かって所定距離だけずらした位置に同様に超短パルスレーザビーム37を集光、照射して屈折率を高めて他のレンズ媒質部24bを形成する。なお、レンズ媒質部24a、24bの屈折率及び球形サイズは超短パルスレーザビーム37のパワー、スポット径及び照射時間等を変えることにより制御することができる。
【0075】
図4(a)は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の他の実施の形態を示す正面断面図であり、図4(b)は図4(a)のIVb−IVb線断面図である(尚、光ファイバは省略されている)。
【0076】
図4(a)、(b)に示した実施の形態と図1(a)〜(c)に示した実施の形態との相違点は、光入出力の両端面をそのコア層内を伝搬する光信号の光軸(コア層の光軸)に対して角度θ(θ:3°から8°の範囲から選ばれる。)だけ斜めに形成されている点である。
【0077】
レンズ媒質部44a、44b、44c及びクラッド層41で本発明の導波路型スポットサイズ変換回路が構成され、同様にレンズ媒質部44d、44e、44f及びクラッド層41で本発明の導波路型スポットサイズ変換回路が構成されている。
【0078】
このように図4(a)、(b)に示す光部品40は、光軸に対して入出力端面40a、40bが斜めに形成されているので、光ファイバ(図示せず。)との接続部からの不要な反射を抑えることができる。
【0079】
本発明の光部品40のクラッド層41のSiO2に屈折率制御用ドーパントとして、B、B及びP、あるいはFが添加されていても良い。すなわち、上記B、またはBとP、あるいはFを添加しておくと、クラッド層41の屈折率をSiO2の屈折率よりも低くすることができ、上記クラッド層41内に超短パルスレーザビーム(図示せず。)の集光、照射による高屈折率化の際の屈折率制御範囲を広く取ることができる。すなわち、Δhが1%以上3.5%以下の範囲までの光部品40を実現することができる。
【0080】
尚、42はコア層、43は導波路型光デバイスとしてのガラス導波路、45は基板をそれぞれ示す。
【0081】
図5(a)は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の他の実施の形態を示す正面断面図であり、図5(b)は図5(a)のVb−Vb線断面図である(尚、光ファイバは省略されている)。
【0082】
図5(a)、(b)に示す実施の形態と図1(a)〜(c)に示す実施の形態との相違点は、コア層の両端面を光軸に対して厚み方向(法線方向)に角度αで斜めカットし、あるいはコア層の両端面を光軸に対して幅方向に角度βで斜めカットした点である。
【0083】
レンズ媒質部55a、55b及びクラッド層52で本発明の導波路型スポットサイズ変換回路が構成され、同様にレンズ媒質部55c、55d及びクラッド層52で本発明の導波路型スポットサイズ変換回路が構成されている。
【0084】
このように図5(a)、(b)に示す光部品50は、コア層51の両端面51a、51bを斜めカットすることにより、上記端面(光ファイバとの接続部)からの不要な反射がコア層51内を伝搬する光信号に影響を及ぼすことがないようにしたものである。尚、52はクラッド層、53は導波路型光デバイスとしてのガラス導波路、54は基板をそれぞれ示す。
【0085】
本発明の導波路型スポットサイズ変換回路のレンズ媒質部の形成に際しては、光ファイバが埋め込み型ガラス導波路光回路端面に接続された状態で超短パルスレーザビームをクラッド層内に集光、照射するようにすると、より高結合効率で光ファイバと導波路とを接続することができる。
【0086】
本発明の導波路型スポットサイズ変換回路に用いるコア層には、SiO2にGeO2、P2O5、TiO2、N等を少なくとも1種類添加した材料を用いると、高Δhのコア層を実現することができる。例えば、コア層21にSiO2−GeO2ガラス層が形成され、そのコア層21及び下部クラッド層22を覆うように上部クラッド層22をSiO2層で形成されていてもよい。
【0087】
具体的な導波路型スポットサイズ変換回路の試作例として、偏波依存損失が接続箇所1箇所について0.05dB以下で、接続損失が接続箇所1箇所について0.1dBで実現することができた(波長1550nm)。また、レンズ媒質部の長さ(レンズ媒質部列の長さ)として、約200μmの長さで実現することができた。
【0088】
以上のように、本発明の実施の形態によれば下記に示すような効果を有している。
【0089】
(1)比屈折率差Δの高い(Δh)埋め込み型ガラス導波路のクラッド層内のコア層の延長線上にそのコア層の屈折率よりも徐々に低い値の略球状のレンズ媒質部が少なくとも2個、所定の間隔、所定の外径、所定の屈折率を持つように形成され、コア層の端面からクラッド層の端面に向かってスポットサイズ変換された、いわゆるレンズ列方式でスポットサイズ変換回路を構成しているので、偏波依存性の無い導波路型スポットサイズ変換回路を実現することができる。
【0090】
(2)また、その導波路型スポットサイズ変換回路を高屈折率nwの略矩形断面形状のコア層が低屈折率nuのガラスクラッド層で覆われた埋め込み型ガラス導波路のその入力端、あるいは出力端の近傍のコア層の端部を途中でカットしてそのカット部がガラスからなる透明なクラッド層で埋め込まれた領域内部に、超短パルスレーザビームを集光、照射してそのコア層の屈折率よりも外側に向かって徐々に低い値の略球状のレンズ媒質部を少なくとも2個、クラッド層の端部のコア層の延長線上に所定の間隔、所定の直径、所定の屈折率を持つように形成することで、ガラスクラッド層内に超短パルスレーザビームを集光、照射することで、より緻密で低損失な略球状のレンズ媒質部を有する導波路型スポットサイズ変換回路を実現することができる。
【0091】
(3)略球状のレンズ媒質部を有する導波路型スポットサイズ変換回路の入力端面、あるいは出力端面に低比屈折率差Δlの光ファイバを接続することにより、低損失、偏波無依存な導波路型スポットサイズ変換回路を実現することができる。
【0092】
(4)光入出力の両端面をそのコア層内を伝搬する光軸に対して角度θ(θ:3°から8°までの範囲から選ばれる。)だけ斜めに形成されているので、光ファイバとの接続部からの不要な反射を抑えることができる。
【0093】
(5)本導波路型スポットサイズ変換回路のクラッド層のSiO2に屈折率制御用ドーパントとして、B、またはBとP、あるいはFが添加されていても良い。すなわち、上記B、またはBとP、あるいはFを添加しておくと、屈折率をSiO2の屈折率よりも低くすることができ、上記クラッド層内に超短パルスレーザビームの集光、照射による高屈折率化の際の屈折率制御範囲を広く取ることができる。すなわち、Δhが1%以上3.5%の範囲までの導波路型スポットサイズ変換回路を実現することができる。
【0094】
(6)本導波路型スポットサイズ変換回路のレンズ媒質部の形成に際しては、光ファイバが埋め込み型ガラス導波路光回路端面に接続された状態で超短パルスレーザビームをクラッド層内に集光、照射するようにすると、より高結合効率、より低反射で光ファイバと導波路とを接続することができる。
【0095】
(7)また、導波路のΔhが製造歩留まりでずれていても超短パルスレーザビーム照射で調整してモード変換機能を形成することができる。
【0096】
(8)ガラス導波路型光部品のクラッド層は、ガラス導波路型光部品の比屈折率差Δが1.5%程度の場合には、SiO2を用いるが、比屈折率差Δが2%前後の場合にはSiO2に屈折率制御用添加物(例えば、P2O5、B2O3)を1種類添加した材料、あるいは上記添加物を共添加した材料を用いることによって実現することができた。すなわち、B2O3やP2O5を添加したSiO2ガラスは超短パルスレーザビーム照射でその屈折率を大きくすることが容易にできるためである。また、上記添加物はSiO2内に添加することにより、そのガラスの屈折率はSiO2に対して大きく変化しないので、高Δ用光部品のクラッド層として好適であった。
【0097】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、小型で低損失で低コストの導波路型スポットサイズ変換回路及びそれを用いた光部品及びそれらの製造方法の提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の一実施の形態を示す正面断面図であり、(b)は(a)のIb−Ib線断面図であり、(c)は、(b)のIc−Ic線上の屈折率分布を示す図である。
【図2】本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の他の実施の形態を示す正面断面図である。
【図3】(a)〜(d)は図1(a)〜(c)に示した導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の製造方法を示す工程図であり、(e)〜(h)は(a)〜(d)の右側面図である。
【図4】(a)は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の他の実施の形態を示す正面断面図であり、(b)は(a)のIVb−IVb線断面図である。
【図5】(a)は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の他の実施の形態を示す正面断面図であり、(b)は(a)のVb−Vb線断面図である。
【図6】導波路型スポットサイズ変換回路の従来例を示す説明図である。
【図7】導波路型スポットサイズ変換回路の他の従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
20 光部品
21 コア層
22 クラッド層
23 ガラス導波路
24a、24b レンズ媒質部
25 基板
【発明の属する技術分野】
本発明は、導波路型スポットサイズ変換回路及びそれを用いた光部品及びそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガラス導波路型光デバイスは、半導体プロセスを利用することにより、量産し易いことから既に多くの光デバイスが実用化されている。しかし、更なる小型化、低コスト化のための研究開発が進められている。その例として、ガラス導波路型光デバイスの高比屈折率差(高Δ)化による小型化、低コスト化が検討されている。具体例として、Δが1.5%以上、2.5%程度の光デバイスが検討されている。
【0003】
ところが、ガラス導波路型光デバイスの高Δ化に対して、ガラス導波路型光デバイスに接続する光ファイバは、通常のシングルモード光ファイバであるため、Δは0.3%から1%の範囲のものが用いられる。そのために、光ファイバと光デバイスとの間にモードミスマッチングが生じるという問題がある。このモードミスマッチングの問題を解決するために、次のような技術的手段が用いられている。
【0004】
図6は導波路型スポットサイズ変換回路の従来例を示す説明図であり、図7は導波路型スポットサイズ変換回路の他の従来例を示す説明図である。
【0005】
第1の技術的手段は、図6に示すように、光デバイス側にモード変換部(スポットサイズ変換部)を設ける方法である(例えば特許文献1参照。)。
【0006】
同図に示す光デバイス1は、光導波路2の一端(図では左端)をヒータ3で加熱すると共に、光導波路2の他端(この場合右端)を水冷式冷却機構を有するサンプルホルダ4で冷却することにより、光導波路2のコア層5の一端にモード変換部としての熱拡散領域Lを形成したものである。
【0007】
熱拡散領域Lはコア層5の長手方向に沿って4mm以上形成される。
【0008】
第2の技術的手段は、TEC(Thermal Expand Core:熱拡散によるコア拡大)を用いるものである(例えば特許文献2参照。)。
【0009】
図7に示すように光デバイス10は、高Δの光ファイバ6a、6bの一端(図では内側)を光デバイス(高Δ導波路)7に接続し、両光ファイバ6a、6bの他端(この場合外側)に低Δの光ファイバ8a、8bをTEC技術を用いて接続し、そのTEC接続部9a、9bでモード変換する方法である。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−43330号公報
【特許文献2】
特開平5−257032号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のモード変換方式には次のような課題が存在している。
【0012】
(1)光デバイス側にモード変換部を設ける方式は、光デバイスのサイズが非常に大きくなるという問題がある。そのために低コスト化が難しい。
【0013】
(2)また、光デバイスの損失も大きくなり、実用的でない。
【0014】
(3)光デバイスの入、出力端面に高Δの光ファイバの一端を接続し、その光ファイバの他端にTEC技術を用いて低Δの光ファイバをモード整合接続する方式は、低損失で実現できるというメリットがあるが、高Δの光ファイバを特別に作らなければならないために、コスト高になる。
【0015】
(4)また、実装コストも高くなり、低コスト化が難しい。さらに、それぞれの光ファイバ長を長くして接続しなければならないために、小型化にも制約を受ける。
【0016】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、小型で低損失で低コストの導波路型スポットサイズ変換回路及びそれを用いた光部品及びそれらの製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、クラッド層の内部にクラッド層より屈折率が高いコア層が形成された光導波路を有し、コア層の光軸上にあってコア層端面と光導波路端面との間のクラッド層内にコア層より屈折率が低いレンズ部が形成されている導波路型スポットサイズ変換回路である。
【0018】
請求項1の構成によれば、レンズ部により光信号のスポットサイズがスポットサイズ変換回路の入出力端側で略等しくなるように変換されるため、偏波依存性の無い、小型、低損失、低コストのスポットサイズ変換を行うことができる。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成に加え、レンズ部がコア層の光軸上に沿って複数形成され、各レンズ部の屈折率がコア層端面から光導波路端面に向かって徐々に低くなっているのが好ましい。
【0020】
請求項2の構成によれば、導波路のフィールドパターンに沿うようにレンズ部列を形成することができ、コア層とレンズ部との間及び各コア層間における光信号が効率的に伝搬する。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、レンズ部がコア層の光軸上に沿って複数形成され、各レンズ部の外形がコア層端面から光導波路端面に向かって、徐々に大きくなっているのが好ましい。
【0022】
請求項3の構成によれば、導波路のフィールドパターンに沿うようにレンズ部列を形成することができ、コア層とレンズ部との間及び各コア層間における光信号が効率的に伝搬する。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の構成に加え、光導波路のコア層とクラッド層との比屈折率差Δhは1.5%以上3.5%以下であり、光導波路の端面における入力端、あるいは出力端のスポットサイズは3μm以上10μm以下であるのが好ましい。
【0024】
ここで、スポットサイズは、光波の振幅が光軸上の1/eとなる光軸からの距離の2倍とし、ビーム直径を表すものとする。
【0025】
請求項4の構成によれば、通常の低比屈折率差の光ファイバを接続することができる。このため、低損失化、偏波無依存化、低コスト化が図れる。
【0026】
請求項5の発明は、クラッド層の内部にクラッド層より屈折率が高いコア層を有する光導波路を形成し、コア層の光軸上にあってコア層端面と光導波路端面との間のクラッド層内にコア層より屈折率が低いレンズ部を形成する導波路型スポットサイズ変換回路の製造方法であって、クラッド層にはSiO2の屈折率制御用ドーパントとして、Bのみ、B及びP、あるいはFのみ添加するものである。
【0027】
請求項5の構成によれば、クラッド層の屈折率をSiO2より低下させることができ、クラッド層内に超短パルスレーザビームの集光、照射による高屈折率化の際の屈折率制御範囲を広くとることができる。すなわち、Δhが1%以上3.5%の範囲までの導波路型スポットサイズ変換回路を得ることができる。
【0028】
請求項6の発明は、請求項5に記載の構成に加え、クラッド層に超短パルスレーザビームを集光、照射することによりコア層より屈折率を低くして各レンズ部を形成するのが好ましい。
【0029】
請求項6に記載の構成によれば、超短パルスレーザビームをクラッド層に集光、照射することにより、コア層よりも徐々に屈折率が低く、所望間隔、所望外形、所望屈折率を有する略球状のレンズ部を少なくとも2箇所、導波路のコア層及び光ファイバのコア間の光軸上に形成することができる。このため、より緻密で低損失なレンズ部を有する導波路型スポットサイズ変換回路を得ることができる。
【0030】
請求項7の発明は、光ファイバと、光ファイバの比屈折率差よりも高い比屈折率差を有する導波路型光デバイスと、クラッド層の内部にクラッド層よりも屈折率の高いレンズ部が複数個形成されている導波路型スポットサイズ変換回路とからなる光部品であって、導波路型スポットサイズ変換回路が光ファイバのコア端面と導波路型光デバイスのコア層端面との間に形成されているものである。
【0031】
請求項7に記載の構成によれば、レンズ部により光信号のスポットサイズがスポットサイズ変換回路の入出力端側で略等しくなるように変換されるため、偏波依存性の無い、小型、低損失、低コストのスポットサイズ変換を行う光部品を得ることができる。
【0032】
請求項8の発明は、請求項7に記載の構成に加え、光ファイバのコア端面から導波路型光デバイスのコア層端面に向かって、レンズ部の外形が徐々に小さくなると共にレンズ部の屈折率が徐々に高くなるのが好ましい。
【0033】
請求項8に記載の構成によれば、導波路のフィールドパターンに沿うようにレンズ部列を形成することができ、コア層とレンズ部との間及び各コア層間における光信号が効率的に伝搬する光部品を得ることができる。
【0034】
請求項9の発明は、請求項7または8に記載の構成に加え、クラッド層の他端に接続される光ファイバは0.3%以上1%以下の低比屈折率差を有するのが好ましい。
【0035】
請求項9に記載の構成によれば、通常の低比屈折率差の光ファイバを接続することができる。このため、光部品の低損失化、偏波無依存化、低コスト化が図れる。
【0036】
請求項10の発明は、請求項7から9のいずれかに記載の構成に加え、クラッド層の光ファイバ側の端面がコア層の光軸に対して斜めに形成されているのが好ましい。
【0037】
請求項10に記載の構成によれば、光ファイバとの接続部からの不要な反射光のコア層への入射を抑えた光部品を得ることができる。
【0038】
請求項11の発明は、請求項7から10のいずれかに記載の構成に加え、クラッド層の端面に光ファイバが融着接続、あるいは接着剤接続されているのが好ましい。
【0039】
請求項11に記載の構成によれば、低コスト化を図った光部品を得ることができる。
【0040】
請求項12の発明は、光ファイバを準備し、光ファイバの比屈折率差よりも高い比屈折率差を有する導波路型光デバイスを準備し、導波路型光デバイスのクラッド層の内部にクラッド層よりも屈折率の高いレンズ部を複数個形成して導波路型スポットサイズ変換回路を形成し、光ファイバと導波路型スポットサイズ変換回路とを接続して光部品を製造する光部品の製造方法であって、クラッド層にはSiO2の屈折率制御用ドーパントとして、Bのみ、B及びP、あるいはFのみ添加するものである。
【0041】
請求項12に記載の構成によれば、クラッド層の屈折率をSiO2より低下させることができ、クラッド層内に超短パルスレーザビームの集光、照射による高屈折率化の際の屈折率制御範囲を広くとることができる。すなわち、Δhが1%以上3.5%の範囲までの導波路型スポットサイズ変換回路を有する光部品を得ることができる。
【0042】
請求項13の発明は、請求項12に記載の構成に加え、クラッド層に超短パルスレーザビームを集光、照射することによりコア層より屈折率を低くして各レンズ部を形成するのが好ましい。
【0043】
請求項13に記載の構成によれば、超短パルスレーザビームをクラッド層に集光、照射することにより、コア層よりも徐々に屈折率が低く、所望間隔、所望外形、所望屈折率を有する略球状のレンズ部を少なくとも2箇所、導波路のコア層及び光ファイバのコア間の光軸上に形成することができる。このため、より緻密で低損失なレンズ部を有する導波路型スポットサイズ変換回路を有する光部品を得ることができる。
【0044】
請求項14の発明は、請求項12または13に記載の構成に加え、超短パルスレーザビームを、クラッド層に光ファイバが接続された状態で照射するのが好ましい。
【0045】
請求項14に記載の構成によれば、クラッド層に光ファイバが接続された状態で超短パルスレーザビームを集光、照射することにより、光部品の製造効率が向上し、低コスト化が図れる。
【0046】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0047】
図1(a)は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の一実施の形態を示す正面断面図であり、図1(b)は図1(a)のIb−Ib線断面図であり、図1(c)は、図1(b)のIc−Ic線上の屈折率分布を示す図である(尚、光ファイバは省略されている)。図1(c)において縦軸は屈折率を示し、横軸は位置を示している。
【0048】
本光部品20の構造は、光信号が伝搬するコア層(屈折率nw、厚さt、幅s)21と、コア層21より屈折率の低いクラッド層(屈折率nu)22との比屈折率差Δの高い(この例ではΔh:2%、nw:1.4872、nu:1.4575)埋め込み型ガラス導波路23の一方の端面方向に向かってその導波路23内のコア層3の延長に(コア層21の端面21aとガラス導波路23の端面23aとの間に)そのコア層21の屈折率よりも徐々に低い値の略球状のレンズ媒質24a,24b(この例では2個であるが限定されない。)が所望間隔(fa、fa+fb、fb)、所望径(Ra、Rb)、所望屈折率(na、nb)を持つように形成され、その端面方向に向かってスポットをwにサイズ変換することを特徴とする導波路型スポットサイズ変換回路を有するものである。
【0049】
ここで、レンズ部(レンズ媒質部)の屈折率の大きさは以下の関係を満たすように作製する。
【0050】
導波路コア層3の屈折率>レンズ部の屈折率≧光ファイバコアの屈折率>クラッド層の屈折率
このレンズ媒質部24a、24bとレンズ媒質部24a、24bを覆う部分のクラッド層22とが本発明の導波路型スポットサイズ変換回路である(スポットサイズ変換回路のクラッド層とガラス導波路23のクラッド層との境界線は省略されている。)。尚、25は基板である。
【0051】
レンズ媒質部24a、24bは所定間隔(fa:端面23a〜レンズ媒質部24a、fa+fb:レンズ媒質部24a〜レンズ媒質部24b、fb:レンズ媒質部24b〜コア層21の端面21a)、所定外径(Ra:レンズ媒質部24aの外径、Rb:レンズ媒質部24bの外径)、所定屈折率(na:レンズ媒質部24aの屈折率、nb:レンズ媒質部24bの屈折率)を有するように形成されている。これらのパラメータは、コア層21を伝搬した光のスポットサイズがガラス導波路23の端面23aでwになるように設定されている。
【0052】
このようにスポットサイズ変換回路と光導波路23とを構成することにより、端面23aに、比屈折率差Δの低い(Δl:例えば0.3%)通常のシングルモード光ファイバを低損失で接続することができる。
【0053】
図1(a)〜(c)の構成について説明を続ける。
【0054】
光部品20の基板25にはガラス(石英ガラス、多成分ガラス等)、半導体(Si、InP、GaAs等)、磁性体(セラミックス、アルミナ等)、強誘電体(LiNbO3、LiTaO5等)を用いることができる。
【0055】
その基板25上に低屈折率nuのクラッド層22が設けられている。このクラッド層22には、SiO2、SiO2に屈折率制御用ドーパントを少なくとも1種類添加したものなどを用いる。そしてこのクラッド層22内には高屈折率nwのコア層21が埋め込まれている。
【0056】
このような構成において、光信号のスポットサイズwがどの位の値まで変換できるかを近似的に計算した例を以下に説明する。
【0057】
光部品20の一方の端面23aに接続する光ファイバとして、コア層(直径10μm、屈折率n2=1.4619)、クラッド層(直径125μm、屈折率n1=1.4575)からなるステップ型屈折率分布(Δ=0.3%)のものを用いる。そのためには、スポットサイズwoを約10μmにまでスポットサイズ変換しなければならない。すなわち、光部品20は、数1式、数2式及び数3式を満足しなければならない。
【0058】
【数1】
wi=fb・wo/fa
【0059】
【数2】
fa=na・Ra/[2(na−nu)]
【0060】
【数3】
fb=nb・Rb/[2(nb−nu)]
ここで、スポットサイズwo=10μm、レンズ媒質部24aの屈折率na=1.4722、レンズ媒質部24aの直径Ra=4μm、レンズ媒質部24bの屈折率nb=1.4797、レンズ媒質部24bの直径Rb=2μmとすると、スポットサイズwiを3.3μmまで小さくすることができる。
【0061】
すなわち、この本発明の構成、すなわち光部品20を用いれば、Δが約2%の高Δ導波路型光部品と、Δが0.3%の低Δ光ファイバとを低損失でモードフィールド整合を取って結合させることができる。
【0062】
以上のような計算例の導波路構造及び屈折率分布は図1(a)〜(c)のようになる。
【0063】
ここで、他の実施の形態として、コア層(屈折率nw、厚さt、幅s)21とクラッド層(屈折率nu)22との比屈折率差Δhが3%の場合について説明する。
【0064】
すなわち、スポットサイズwo=10μm、レンズ媒質部24aの屈折率na=1.4722、レンズ媒質部24aの直径Ra=4μm、レンズ媒質部24bの屈折率nb=1.4797、レンズ媒質部24bの直径Rb=1.25μmとすると、スポットサイズwiを2μmまで小さくすることができる。
【0065】
すなわち、本発明の構造を用いれば(導波路型スポットサイズ変換回路によれば)、Δが約3%の超高Δ導波路型光部品と、Δが0.3%の低Δ光ファイバとを低損失でモードフィールド整合を取って結合させることができる。そしてこの結果、超小型、超低損失の光部品を実現することができる。
【0066】
図2は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の他の実施の形態を示す正面断面図である。
【0067】
同図に示す超高Δの光部品30の入、出力の両端面30a、30bに低Δの光ファイバ(コア層46a、46b:クラッド層47a、47b)31a、31bを接続したものである。上記超高Δの光部品30に用いられる導波路型光デバイスとしての導波路32には、コア層33によるパターンとして、直線パターン、曲線パターン等の組合せからなる種々の光信号処理回路(光フィルタ、導波路格子グレーティング、光方向性結合回路、Y分岐回路、リング型共振回路、光スイッチ回路等を少なくとも1種類含んだ光回路)が形成されていても良い。48a、48b、49a、49bはレンズ媒質部であり、レンズ媒質部48a、48bと、レンズ媒質部48a、48bを覆うクラッド層34とで本発明の導波路型スポットサイズ変換回路が構成され、同様にレンズ媒質部49a、49bと、レンズ媒質部49a、49bを覆うクラッド層34とで本発明の導波路型スポットサイズ変換回路が構成されている。尚、34はクラッド層であり、35は基板である。
【0068】
このように、光部品30は、光ファイバ31a(31b)のコア層46a(46b)を伝搬した光信号がレンズ媒質部48a、48bでスポットサイズ変換されてコア層33内に低損失で伝搬される。
【0069】
図3(a)〜(d)は図1(a)〜(c)に示した導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の製造方法を示す工程図であり、図3(e)〜図3(h)は図3(a)〜(d)の右側面図である(尚、光ファイバは省略されている)。
【0070】
まず、図3(a)において、基板25上に下部クラッド層22−1及びコア膜21−1を順次成膜形成する。基板25にはSi基板を用いた。下部クラッド層22−1にはSiO2ガラスを用い、厚み約20μmに形成した。コア膜21−1はSiO2−GeO2ガラス層を約4μmの厚みに形成したものである。コア膜21−1と下部クラッド層22−1との比屈折率差Δは約2%であった。上記下部クラッド層22−1及びコア膜21−1はアルコキシド系の原料ソースを用いたプラズマCVD法により低温(約400℃)で成膜した(図3(a)、(e))。
【0071】
次に、図3(a)、(b)に示すように、コア膜21−1の上にWSi膜(図示せず。)をスパッタリング法で約1μmの厚さに形成し、そのWSi膜の上にフォトレジスト(図示せず。)を塗布後、フォトマスク(図示せず。)を用いてフォトリソグラフィ工程によりフォトレジストパターンを形成し、ついでそのフォトレジストパターンをマスクにしてドライエッチング工程によりWSi膜をパターニングした。パターニング後、上記WSiパターンをマスクにしてコア膜21−1を略矩形断面形状のパターンに加工して図3(b)、(f)に示すような略矩形断面形状のパターンのコア層21を得た。また、下部クラッド層22−1の一端(図3(b)では左端)を段差部36が形成されるようにエッチングする(図3(b)、(f))。
【0072】
エッチングのあとで図3(c)、(g)に示すように、段差部36を覆うようにコア層21及び下部クラッド層22−1上に上部クラッド層22−2を形成する。
【0073】
最後に図3(d)、(h)に示すように、波長800nmの超短パルスレーザビーム(パルス幅:150fs、パルス繰り返し周波数:200kHz、平均出力:600mW)37を集光レンズ38で集光し、上部クラッド層22−2内のコア層21の延長線(図示せず。)に照射することにより、上部クラッド層22−2の屈折率を部分的に高めてレンズ媒質部24aを形成する。
【0074】
ついで、上部クラッド層22−2の一端(この場合左端)からコア層21の端面21aに向かって所定距離だけずらした位置に同様に超短パルスレーザビーム37を集光、照射して屈折率を高めて他のレンズ媒質部24bを形成する。なお、レンズ媒質部24a、24bの屈折率及び球形サイズは超短パルスレーザビーム37のパワー、スポット径及び照射時間等を変えることにより制御することができる。
【0075】
図4(a)は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の他の実施の形態を示す正面断面図であり、図4(b)は図4(a)のIVb−IVb線断面図である(尚、光ファイバは省略されている)。
【0076】
図4(a)、(b)に示した実施の形態と図1(a)〜(c)に示した実施の形態との相違点は、光入出力の両端面をそのコア層内を伝搬する光信号の光軸(コア層の光軸)に対して角度θ(θ:3°から8°の範囲から選ばれる。)だけ斜めに形成されている点である。
【0077】
レンズ媒質部44a、44b、44c及びクラッド層41で本発明の導波路型スポットサイズ変換回路が構成され、同様にレンズ媒質部44d、44e、44f及びクラッド層41で本発明の導波路型スポットサイズ変換回路が構成されている。
【0078】
このように図4(a)、(b)に示す光部品40は、光軸に対して入出力端面40a、40bが斜めに形成されているので、光ファイバ(図示せず。)との接続部からの不要な反射を抑えることができる。
【0079】
本発明の光部品40のクラッド層41のSiO2に屈折率制御用ドーパントとして、B、B及びP、あるいはFが添加されていても良い。すなわち、上記B、またはBとP、あるいはFを添加しておくと、クラッド層41の屈折率をSiO2の屈折率よりも低くすることができ、上記クラッド層41内に超短パルスレーザビーム(図示せず。)の集光、照射による高屈折率化の際の屈折率制御範囲を広く取ることができる。すなわち、Δhが1%以上3.5%以下の範囲までの光部品40を実現することができる。
【0080】
尚、42はコア層、43は導波路型光デバイスとしてのガラス導波路、45は基板をそれぞれ示す。
【0081】
図5(a)は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の他の実施の形態を示す正面断面図であり、図5(b)は図5(a)のVb−Vb線断面図である(尚、光ファイバは省略されている)。
【0082】
図5(a)、(b)に示す実施の形態と図1(a)〜(c)に示す実施の形態との相違点は、コア層の両端面を光軸に対して厚み方向(法線方向)に角度αで斜めカットし、あるいはコア層の両端面を光軸に対して幅方向に角度βで斜めカットした点である。
【0083】
レンズ媒質部55a、55b及びクラッド層52で本発明の導波路型スポットサイズ変換回路が構成され、同様にレンズ媒質部55c、55d及びクラッド層52で本発明の導波路型スポットサイズ変換回路が構成されている。
【0084】
このように図5(a)、(b)に示す光部品50は、コア層51の両端面51a、51bを斜めカットすることにより、上記端面(光ファイバとの接続部)からの不要な反射がコア層51内を伝搬する光信号に影響を及ぼすことがないようにしたものである。尚、52はクラッド層、53は導波路型光デバイスとしてのガラス導波路、54は基板をそれぞれ示す。
【0085】
本発明の導波路型スポットサイズ変換回路のレンズ媒質部の形成に際しては、光ファイバが埋め込み型ガラス導波路光回路端面に接続された状態で超短パルスレーザビームをクラッド層内に集光、照射するようにすると、より高結合効率で光ファイバと導波路とを接続することができる。
【0086】
本発明の導波路型スポットサイズ変換回路に用いるコア層には、SiO2にGeO2、P2O5、TiO2、N等を少なくとも1種類添加した材料を用いると、高Δhのコア層を実現することができる。例えば、コア層21にSiO2−GeO2ガラス層が形成され、そのコア層21及び下部クラッド層22を覆うように上部クラッド層22をSiO2層で形成されていてもよい。
【0087】
具体的な導波路型スポットサイズ変換回路の試作例として、偏波依存損失が接続箇所1箇所について0.05dB以下で、接続損失が接続箇所1箇所について0.1dBで実現することができた(波長1550nm)。また、レンズ媒質部の長さ(レンズ媒質部列の長さ)として、約200μmの長さで実現することができた。
【0088】
以上のように、本発明の実施の形態によれば下記に示すような効果を有している。
【0089】
(1)比屈折率差Δの高い(Δh)埋め込み型ガラス導波路のクラッド層内のコア層の延長線上にそのコア層の屈折率よりも徐々に低い値の略球状のレンズ媒質部が少なくとも2個、所定の間隔、所定の外径、所定の屈折率を持つように形成され、コア層の端面からクラッド層の端面に向かってスポットサイズ変換された、いわゆるレンズ列方式でスポットサイズ変換回路を構成しているので、偏波依存性の無い導波路型スポットサイズ変換回路を実現することができる。
【0090】
(2)また、その導波路型スポットサイズ変換回路を高屈折率nwの略矩形断面形状のコア層が低屈折率nuのガラスクラッド層で覆われた埋め込み型ガラス導波路のその入力端、あるいは出力端の近傍のコア層の端部を途中でカットしてそのカット部がガラスからなる透明なクラッド層で埋め込まれた領域内部に、超短パルスレーザビームを集光、照射してそのコア層の屈折率よりも外側に向かって徐々に低い値の略球状のレンズ媒質部を少なくとも2個、クラッド層の端部のコア層の延長線上に所定の間隔、所定の直径、所定の屈折率を持つように形成することで、ガラスクラッド層内に超短パルスレーザビームを集光、照射することで、より緻密で低損失な略球状のレンズ媒質部を有する導波路型スポットサイズ変換回路を実現することができる。
【0091】
(3)略球状のレンズ媒質部を有する導波路型スポットサイズ変換回路の入力端面、あるいは出力端面に低比屈折率差Δlの光ファイバを接続することにより、低損失、偏波無依存な導波路型スポットサイズ変換回路を実現することができる。
【0092】
(4)光入出力の両端面をそのコア層内を伝搬する光軸に対して角度θ(θ:3°から8°までの範囲から選ばれる。)だけ斜めに形成されているので、光ファイバとの接続部からの不要な反射を抑えることができる。
【0093】
(5)本導波路型スポットサイズ変換回路のクラッド層のSiO2に屈折率制御用ドーパントとして、B、またはBとP、あるいはFが添加されていても良い。すなわち、上記B、またはBとP、あるいはFを添加しておくと、屈折率をSiO2の屈折率よりも低くすることができ、上記クラッド層内に超短パルスレーザビームの集光、照射による高屈折率化の際の屈折率制御範囲を広く取ることができる。すなわち、Δhが1%以上3.5%の範囲までの導波路型スポットサイズ変換回路を実現することができる。
【0094】
(6)本導波路型スポットサイズ変換回路のレンズ媒質部の形成に際しては、光ファイバが埋め込み型ガラス導波路光回路端面に接続された状態で超短パルスレーザビームをクラッド層内に集光、照射するようにすると、より高結合効率、より低反射で光ファイバと導波路とを接続することができる。
【0095】
(7)また、導波路のΔhが製造歩留まりでずれていても超短パルスレーザビーム照射で調整してモード変換機能を形成することができる。
【0096】
(8)ガラス導波路型光部品のクラッド層は、ガラス導波路型光部品の比屈折率差Δが1.5%程度の場合には、SiO2を用いるが、比屈折率差Δが2%前後の場合にはSiO2に屈折率制御用添加物(例えば、P2O5、B2O3)を1種類添加した材料、あるいは上記添加物を共添加した材料を用いることによって実現することができた。すなわち、B2O3やP2O5を添加したSiO2ガラスは超短パルスレーザビーム照射でその屈折率を大きくすることが容易にできるためである。また、上記添加物はSiO2内に添加することにより、そのガラスの屈折率はSiO2に対して大きく変化しないので、高Δ用光部品のクラッド層として好適であった。
【0097】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、小型で低損失で低コストの導波路型スポットサイズ変換回路及びそれを用いた光部品及びそれらの製造方法の提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の一実施の形態を示す正面断面図であり、(b)は(a)のIb−Ib線断面図であり、(c)は、(b)のIc−Ic線上の屈折率分布を示す図である。
【図2】本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の他の実施の形態を示す正面断面図である。
【図3】(a)〜(d)は図1(a)〜(c)に示した導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の製造方法を示す工程図であり、(e)〜(h)は(a)〜(d)の右側面図である。
【図4】(a)は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の他の実施の形態を示す正面断面図であり、(b)は(a)のIVb−IVb線断面図である。
【図5】(a)は本発明の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品の他の実施の形態を示す正面断面図であり、(b)は(a)のVb−Vb線断面図である。
【図6】導波路型スポットサイズ変換回路の従来例を示す説明図である。
【図7】導波路型スポットサイズ変換回路の他の従来例を示す説明図である。
【符号の説明】
20 光部品
21 コア層
22 クラッド層
23 ガラス導波路
24a、24b レンズ媒質部
25 基板
Claims (14)
- クラッド層の内部に該クラッド層より屈折率が高いコア層が形成された光導波路を有し、上記コア層の光軸上にあって上記コア層端面と上記光導波路端面との間の上記クラッド層内に上記コア層より屈折率が低いレンズ部が形成されていることを特徴とする導波路型スポットサイズ変換回路。
- 上記レンズ部が上記コア層の光軸上に沿って複数形成され、各レンズ部の屈折率が上記コア層端面から上記光導波路端面に向かって徐々に低くなっていることを特徴とする請求項1に記載の導波路型スポットサイズ変換回路。
- 上記レンズ部が上記コア層の光軸上に沿って複数形成され、各レンズ部の外形が上記コア層端面から上記光導波路端面に向かって、徐々に大きくなっていることを特徴とする請求項1または2に記載の導波路型スポットサイズ変換回路。
- 上記光導波路のコア層と上記クラッド層との比屈折率差Δhは1.5%以上3.5%以下であり、上記光導波路の端面における入力端、あるいは出力端のスポットサイズの直径は3μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の導波路型スポットサイズ変換回路。
- クラッド層の内部に該クラッド層より屈折率が高いコア層を有する光導波路を形成し、上記コア層の光軸上にあって上記コア層端面と上記光導波路端面との間の上記クラッド層内に上記コア層より屈折率が低いレンズ部を形成する導波路型スポットサイズ変換回路の製造方法であって、上記クラッド層にはSiO2の屈折率制御用ドーパントとして、Bのみ、B及びP、あるいはFのみ添加することを特徴とする導波路型スポットサイズ変換回路の製造方法。
- 上記クラッド層に超短パルスレーザビームを集光、照射することにより上記コア層より屈折率を低くして上記各レンズ部を形成することを特徴とする請求項5に記載の導波路型スポットサイズ変換回路の製造方法。
- 光ファイバと、該光ファイバの比屈折率差よりも高い比屈折率差を有する導波路型光デバイスと、クラッド層の内部に該クラッド層よりも屈折率の高いレンズ部が複数個形成されている導波路型スポットサイズ変換回路とからなる光部品であって、上記導波路型スポットサイズ変換回路が上記光ファイバのコア端面と上記導波路型光デバイスのコア層端面との間に形成されていることを特徴とする導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品。
- 上記コア端面から上記導波路端面に向かって、上記レンズ部の外形が徐々に小さくなると共に上記レンズ部の屈折率が徐々に高くなることを特徴とする請求項7に記載の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品。
- 上記クラッド層の他端に接続される光ファイバは0.3%以上1%以下の低比屈折率差を有することを特徴とする請求項7または8に記載の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品。
- 上記クラッド層の上記光ファイバ側の端面が上記コア層の光軸に対して斜めに形成されていることを特徴とする請求項7から9のいずれかに記載の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品。
- 上記クラッド層の端面に上記光ファイバが融着接続、あるいは接着剤接続されていることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の導波路型スポットサイズ変換回路を用いた光部品。
- 光ファイバを準備し、該光ファイバの比屈折率差よりも高い比屈折率差を有する導波路型光デバイスを準備し、該導波路型光デバイスのクラッド層の内部に該クラッド層よりも屈折率の高いレンズ部を複数個形成して導波路型スポットサイズ変換回路を形成し、上記光ファイバと該導波路型スポットサイズ変換回路とを接続して光部品を製造する光部品の製造方法であって、上記クラッド層にはSiO2の屈折率制御用ドーパントとして、Bのみ、B及びP、あるいはFのみ添加することを特徴とする光部品の製造方法。
- 上記クラッド層に超短パルスレーザビームを集光、照射することにより上記コア層より屈折率を低くして上記各レンズ部を形成することを特徴とする請求項12に記載の光部品の製造方法。
- 上記超短パルスレーザビームを、上記クラッド層に上記光ファイバが接続された状態で照射することを特徴とする請求項12または13に記載の光部品の製造方法。
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JP2003058763A JP2004271634A (ja) | 2003-03-05 | 2003-03-05 | 導波路型スポットサイズ変換回路及びそれを用いた光部品及びそれらの製造方法 |
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